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JP2005101717A - 無線通信装置、無線通信システムおよび基地局側設備 - Google Patents

無線通信装置、無線通信システムおよび基地局側設備 Download PDF

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JP2005101717A JP2003329766A JP2003329766A JP2005101717A JP 2005101717 A JP2005101717 A JP 2005101717A JP 2003329766 A JP2003329766 A JP 2003329766A JP 2003329766 A JP2003329766 A JP 2003329766A JP 2005101717 A JP2005101717 A JP 2005101717A
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Abstract

【課題】アドホックネットワークと移動体通信ネットワーク双方のネットワーク資源を有効に活用して、ネットワークの効率化および最適化を図ることができ、これによってネットワーク全体としての通信容量やスループットを向上させることができる無線通信装置、無線通信システムおよび基地局側設備を提供する。
【解決手段】移動体通信ネットワークの基地局30との通信にTDD−CDMA方式を用いるとともに、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置との通信に、基地局と共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用する無線通信装置10(UE1)である。基地局側設備との通信経路として、基地局と直接通信を行う第1通信経路と、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置(UE2、UE3等)を経由して基地局側設備と通信を行う第2通信経路とを有する。これら通信経路の中で、基地局側設備から指定された通信経路を使用して基地局側設備との通信を行う。
【選択図】図3

Description

本発明は、TDD−CDMA方式による無線通信装置、無線通信システムおよび基地局側設備に関するものである。
周知のように、移動体通信ネットワークにおいては、携帯電話、パソコン、PDAなどの無線通信装置(User Equipment)によって移動局が構成され、それら移動局と基地局間の通信が無線によって行われるようになっている。また、各移動局間で音声通話やデータ通信を行う際には、図6に示すように、基地局(Base Station)を経由して信号の遣り取りが行われるようになっている。このような移動体通信に用いる通信方式としては、例えば、GSM(Global System for Mobile Communications)やWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)などが知られている。
また、上記移動体通信ネットワークにおいては、移動局と基地局間の通信が双方向になっていて、その通信方式が送受信を同時に行う復信方式となっている。復信方式には、図7に示すように、移動局から基地局への上り回線(Uplink)と基地局から移動局への下り回線(Downlink)とで異なる周波数帯を使用するFDD(Frequency Division Duplex)方式と、上り回線と下り回線の周波数帯は同じであるが上下回線を非常に短い時間で切り換えるTDD(Time Division Duplex)方式がある。TDD方式では、1フレームが複数(例えば、15)のタイムスロットに分割されて、その各々に上り回線と下り回線の何れかが割り当てられるようになっている。図8は、このTDD方式を復信方式として採用したTDD−CDMA(Code Division Multiple Access)のフレーム構成を示しており、このTDD−CDMA方式では、上り回線と下り回線に割り当てるタイムスロットの比率や配列をトラフィック量等に応じて適宜に設定可能となっている。
また、上記移動体通信ネットワークにおいては、一般に、移動局が同時に複数の基地局と通信を確立できるようになっている。例えば、図9に示すように、ある基地局の通信エリア(セル内)から移動局が移動する際には、受信電力の変化に応じて、接続先となる基地局を切り換えるハンドオーバーと呼ばれる処理が移動局によって行われる。移動局は、ある基地局と通信を確立している間に、近隣の他の基地局から送信される信号の強さを測定し、その測定値と、現在通信中の基地局から送信される信号の強さとを比較して、その差異が設定値以下となったときに、ハンドオーバーの処理を開始して、現在通信中の基地局よりも他の基地局の受信信号が強くなったときに、他の基地局へのハンドオーバーの処理を完了するようになっている。
一方、無線による近距離のデータ通信ネットワークとして、アドホックネットワークが知られている。このアドホックネットワークにおいては、図10に示すように、基地局の介在無しに、電波の届く範囲内にある無線通信装置どうしで直接通信を行うことが可能となっている。このため、アドホックネットワークによれば、基地局やアクセスポイントが不要となり、このような通信設備を持たない場所においても簡易にネットワークを構築することができるという利点が得られる。このようなアドホックネットワークを構築するための通信技術としては、例えば、Bluetoothや無線LAN(IEEE802.11x)などが提案されている。
ところが、従来では、上記アドホックネットワークと移動体通信ネットワークとで異なる通信方式が採用されていたために、それらネットワークの双方に接続できる無線通信装置を実現しようとすると、無線通信装置の構成が自ずと複雑になり、それに対応してコストが増大するという問題点があった。
また、一方のネットワーク(例えば、アドホックネットワーク)から他方のネットワーク(例えば、移動体通信ネットワーク)に接続先を切り換える際には、双方の通信方式が異なることから、ハンドオーバーの処理に時間がかかるという問題点もあった。
そこで、本発明者等は、先に、上記問題点を解消する無線通信装置として、アドホックネットワークにおける通信と移動体通信ネットワークにおける通信とに共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用する無線通信装置を開発するとともに、これに関する技術を特願2003−160576に開示している。この無線通信装置によれば、アドホックネットワークと移動体通信ネットワークにおける通信方式を統一したことにより、装置構成の複雑化やコスト増大を回避することができる上に、接続するネットワークの切換を円滑に行うことができるという利点が得られる。
しかし、上記無線通信装置において、さらに通信特性を改善し、ネットワーク全体としての通信容量やスループットを向上させるためには、アドホックネットワークと移動体通信ネットワーク双方のネットワーク資源を有効に活用して、ネットワークの効率化および最適化を図る必要がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、アドホックネットワークと移動体通信ネットワーク双方のネットワーク資源を有効に活用して、ネットワークの効率化および最適化を図ることができ、これによってネットワーク全体としての通信容量やスループットを向上させることができる無線通信装置、無線通信システムおよび基地局側設備を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、周囲に存在する他の無線通信装置とアドホックネットワークを構築して上記他の無線通信装置とTDD−CDMA方式を用いて無線で通信を行うとともに、このTDD−CDMA方式を使用して移動体通信ネットワークの基地局側設備と無線で通信を行う無線通信装置であって、上記基地局側設備との通信経路として、上記基地局側設備と直接通信を行う第1通信経路と、上記アドホックネットワーク内の他の無線通信装置を経由して上記基地局側設備と通信を行う第2通信経路とを有し、これら通信経路の中で、上記基地局側設備から指定された通信経路を使用して上記基地局側設備との通信を行うようになっていることを特徴とするものである。
ここで、TDD−CDMAとは、復信方式にTDD方式を使用するCDMAである。CDMAとは、スペクトラム拡散方式を応用した多元接続方式の一つで、符号分割多重接続と呼ばれる通信方式である。TDD−CDMAとしては、例えば、3GPP(3rd Generation Partnership Project)により標準化されたTD−CDMAなどが挙げられる。
無線通信装置としては、例えば、携帯電話や、移動体通信ネットワークとの接続機能を有するPDA(Personal Digital Assistance)やパーソナルコンピュータ等の情報端末などが挙げられる。これら無線通信装置は、少なくとも電波の到達範囲内にある周囲の無線通信装置とアドホックネットワークを構築して、当該アドホックネットワーク内の無線通信装置どうしで相互に通信を行う機能(以下、アドホック通信機能と称す。)を有している。
基地局側設備は、例えば、移動体通信ネットワークの基地局のみによって構成することも可能であるが、基地局とこれを制御する無線ネットワーク制御装置(RNC:Radio Network Contoroller equipment)との組合せによって構成することも可能である。
また、上記基地局側設備と上記無線通信装置との中継を行う「アドホックネットワーク内の他の無線通信装置」としては、例えば、移動体通信ネットワークの基地局との無線通信機能を有する無線通信装置や、LAN等の通信ネットワークを介して無線ネットワーク制御装置と接続可能な無線通信装置などが挙げられる。このような中継機能を有する「アドホックネットワーク内の他の無線通信装置」が複数存在する場合には、それに対応して第2通信経路も複数形成することが可能である。
請求項2に記載の発明は、移動体通信ネットワークの基地局側設備と、上記基地局側設備との通信にTDD−CDMA方式を用いるとともに、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置との通信に、上記基地局側設備と共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用する無線通信装置とを有する無線通信システムであって、上記無線通信装置と上記基地局側設備とを直接接続する通信経路を第1通信経路、上記アドホックネットワーク内の他の無線通信装置を介して上記無線通信装置と上記基地局側設備とを接続する通信経路を第2通信経路として、上記基地局側設備は、上記第1通信経路および上記第2通信経路の各々について、信号の送信に要する電力と、送信した信号が通信相手に届くまでにかかる遅延時間とをそれぞれ測定する測定手段と、上記電力と上記遅延時間の測定値に基づき、上記無線通信装置との通信に使用する通信経路として、上記第1通信経路および上記第2通信経路の少なくとも一方を選択し、選択した通信経路を上記無線通信装置に対して通知する通信経路選択手段とを備えてなり、上記無線通信装置は、上記基地局側設備から通知された通信経路を使用して上記基地局側設備との通信を行うようになっていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の無線通信システムにおいて、上記通信経路選択手段は、上記第1通信経路および上記第2通信経路の各々について、上記電力と上記遅延時間の測定値を引数とする評価関数の関数値をそれぞれ求め、それら関数値の比較結果に基づいて、上記無線通信装置との通信に使用する通信経路として、上記第1通信経路および上記第2通信経路の少なくとも一方を選択することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の無線通信システムにおいて、上記通信経路選択手段は、上記電力と上記遅延時間に予め許容値が設定されている場合に、上記電力と上記遅延時間の少なくとも一方が許容値を超過することとなる通信経路を選択対象から除外することを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、周囲に存在する他の無線通信装置とアドホックネットワークを構築して上記他の無線通信装置とTDD−CDMA方式を用いて無線で通信を行う無線通信装置を移動局として、当該移動局との間で、上記アドホックネットワークと共通のTDD−CDMA方式を使用して通信を行う移動体通信ネットワークの基地局側設備であって、上記移動局と直接通信を行う通信経路を第1通信経路、上記アドホックネットワーク内の他の無線通信装置を介して上記移動局と通信を行う通信経路を第2通信経路として、これら通信経路の各々について、信号の送信に要する電力と、送信した信号が通信相手に届くまでにかかる遅延時間とをそれぞれ測定する測定手段と、上記電力と上記遅延時間の測定値に基づいて、上記移動局との通信に使用する通信経路として、上記第1通信経路および上記第2通信経路の少なくとも一方を選択し、選択した通信経路を上記移動局に対して通知する通信経路選択手段とを備えることを特徴とするものである。
請求項1〜5の何れかに記載の発明によれば、移動体通信ネットワークの基地局側設備と無線通信装置とを繋ぐ通信経路として、両者を直接接続する第1通信経路と、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置を介して両者を接続する第2通信経路とを有し、これら通信経路の少なくとも一方を基地局側設備が選択して無線通信装置に通知するとともに、無線通信装置が、基地局側設備から通知された通信経路を使用して基地局側設備との通信を行うので、アドホックネットワークのネットワーク資源を移動体通信ネットワーク内の通信に利用することが可能となり、これによってネットワーク資源の利用効率を高めることが可能となる。また、第1通信経路および第2通信経路の各々について、信号の送信に要する電力と、送信した信号が通信相手に届くまでにかかる遅延時間とをそれぞれ測定し、その測定値に基づいて、基地局側設備と無線通信装置との通信に使用する通信経路を選択するようにしたので、ネットワークの効率化および最適化を図ることができ、これによってネットワーク全体としての通信容量やスループットを向上させることができる。
図1は、本発明に係る無線通信システムの一実施形態を示すもので、図中符号10は第1無線通信装置、符号20は第2無線通信装置、符号30は移動体通信ネットワークの基地局である。
第1無線通信装置10は、移動体通信ネットワークとの接続機能を有する無線通信装置(本発明に係る無線通信装置)で、例えば、携帯電話、PDA、パーソナルコンピュータなどにより構成されている。この第1無線通信装置10は、移動体通信ネットワークの基地局30との通信にTDD−CDMA方式を用いるようになっている。
一方、第2無線通信装置20は、移動体通信ネットワークとの接続機能を持たない無線通信装置で、例えば、LAN(Local Area Network)等の固定的な通信ネットワークに有線または無線で接続された情報端末(例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーションなど)や、情報端末の周辺機器(例えば、ヘッドセット、プリンタ、マウス)などにより構成されている。
これら第1および第2無線通信装置10、20は、周囲に存在する他の無線通信装置10、20とアドホックネットワークを構築して、当該アドホックネットワーク内の無線通信装置どうしで相互に通信を行うアドホック通信機能を有し、その通信方式に、移動体通信ネットワークにおける通信方式と共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用するようになっている。また、その通信に際しては、移動体通信ネットワークにおける通信と同期を取ってアドホックネットワーク内の通信を行うようになっている。
図2は、第1無線通信装置の要部構成を示すブロック図である。この図2に示すように、第1無線通信装置10は、送信器11、受信器12、アンテナ13、制御部14および記憶部15を有している。
送信器11は、送信信号を生成する送信データ処理部11aと、搬送波を送信信号で一次変調する一次変調部11bと、一次変調によって得られた変調信号を拡散符号で拡散変調(二次変調)する拡散部11cと、拡散変調された信号を増幅する増幅部11dとを備えている。すなわち、送信データ処理部11aで生成された送信信号は、一次変調部11bにて所定の変調方式で一次変調された後、拡散部11cにて拡散符号により拡散変調され、その後、増幅部11dにて増幅されてアンテナ13から電波として放射されるようになっている。
一方、受信器12は、アンテナ13から受信した受信信号に含まれる不要なノイズ成分を除去する帯域フィルタ12aと、この帯域フィルタ12aを通過した受信信号をベースバンド信号に復調する復調部12bと、ベースバンド信号に含まれるミッドアンブル(Midamble)からチャネル推定値を求めるチャネル推定部12cと、各無線通信装置のチャネル推定値と拡散符号とを用いてジョイントディテクション(Joint Detection)により干渉信号を除去する干渉信号除去部12dと、干渉信号が除去された復調信号に基づいて各種処理を行う受信データ処理部12eとを備えている。なお、各無線通信装置10、20には、固有のミッドアンブルが予め割り当てられており、受信信号に含まれるミッドアンブルから各無線通信装置のチャネル推定値を導き出すことが可能となっている。干渉信号除去部12dは、各無線通信装置に予め割り当てられた拡散符号と上記チャネル推定値とを畳込み乗算してシステム行列を生成し、このシステム行列をベースバンド信号に乗算することにより復調信号を得るようになっている。
制御部14は、記憶部15に記憶された各種情報に基づいて、送信器11および受信器12を制御するもので、この制御部14によって、送信と受信の切替制御、送信電力の出力制御(パワーコントロール)、アドホックネットワークと移動体通信ネットワークとの切替制御や同期制御等が行われるようになっている。例えば、移動体通信ネットワークの基地局30、或いはアドホックネットワーク内の他の無線通信装置と無線回線を使って通信する際には、予め設定されたタイムスロットの割当に基づいて送信と受信の切替が行われて、TDD方式で通信が行われるようになっている。
また、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置と通信を開始するにあたっては、移動体通信ネットワークの上り回線と下り回線に設定された各タイムスロットについて、干渉信号の大きさをそれぞれ測定し、その測定値に基づいて、アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットを選択する処理が行われるようになっている。さらに、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置と通信する際には、基地局30から受信した同期用の情報に基づいて、移動体通信ネットワークにおける通信タイミングに合致するように、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置との通信タイミングが設定されるようになっている。また、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置と通信する際には、受信器12に入力された受信信号から干渉レベルが検出され、その干渉レベルに応じて送信電力が調整されるようになっている。
また、移動体通信ネットワークを利用して通信する際には、基地局30からの指示に従って、通信経路の切換制御が行われるようになっている。この通信経路には、基地局30と直接通信を行う第1通信経路と、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置を経由して基地局側設備(基地局30または無線ネットワーク制御装置(RNC)40)と通信を行う第2通信経路とが含まれる。上記他の無線通信装置は、当該無線通信装置10(UE1)と基地局側設備との間で遣り取りされる信号の中継機能を有し、この無線通信装置には、例えば、図3に示すように、基地局30との無線通信機能を有する無線通信装置(UE2)と、基地局30との無線通信機能を持たないが、LAN等の通信ネットワークを介して基地局側設備(無線ネットワーク制御装置40若しくは基地局30)と接続可能な無線通信装置(UE3)とが含まれる。また、上記他の無線通信装置(UE2、UE3)が中継する信号には、移動体通信ネットワークの上り回線(Uplink)を使って当該無線通信装置10(UE1)から送信される信号と、下り回線(Downlink)を使って基地局30から送信される信号とが含まれる。
本実施形態では、送信器11、受信器12、アンテナ13、制御部14および記憶部15等によって、周囲に存在する他の無線通信装置10、20とアドホックネットワークを構築して、当該アドホックネットワーク内の無線通信装置どうしで相互に通信を行うアドホック通信機能が実現されている。
他方、第2無線通信装置20についても、上記第1無線通信装置10と同様の送信器、受信器、アンテナ、制御部および記憶部を有し、これら通信手段によって、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置と、基地局30の介在無しに無線回線を使って通信することが可能となっている。
図4は、移動体通信ネットワークの基地局の要部構成を示すブロック図である。この図4に示すように、基地局30は、送信器31、受信器32、アンテナ33、制御部34および記憶部35等を有し、このうち送信器31、受信器32およびアンテナ33は、上記第1無線通信装置10の対応する各構成要素とほぼ同様の機能を有している。また、制御部34は、本発明に係る測定手段および通信経路選択手段を構成しており、上述した第1通信経路および第2通信経路の各々について、信号の送信に要する電力p(power)と、送信した信号が通信相手に届くまでにかかる遅延時間d(delay)とをそれぞれ測定した後、その測定値に基づいて、第1無線通信装置10との通信に使用する通信経路として、第1通信経路および第2通信経路の少なくとも一方を選択し、選択した通信経路を第1無線通信装置10に対して通知する処理を行うようになっている。
制御部34は、上記通信経路の選択に際し、第1通信経路および第2通信経路の各々について、電力pと遅延時間dの測定値を引数とする評価関数f(p,d)の関数値Mをそれぞれ求め、それら関数値Mの比較結果に基づいて、第1無線通信装置10との通信に使用する通信経路として、第1通信経路および第2通信経路の少なくとも一方を選択するようになっている。また、その選択にあたっては、電力pと遅延時間dの少なくとも一方が予め設定されたそれぞれの許容値(電力の許容値P、遅延時間の許容値D)を超過することとなる通信経路を選択対象から予め除外するようになっている。
なお、本実施形態では、上述したように、電力pと遅延時間dを測定してから通信経路を選択・通知するまでの一連の処理(通信経路の切換処理)を基地局30が実行する構成としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、上記一連の処理を無線ネットワーク制御装置(RNC)40が実行する構成としたり、或いは基地局30と無線ネットワーク制御装置40との協働により実行する構成とすることも可能である。
次に、上記構成からなる無線通信システムによって実行される通信経路の切換処理について、図5のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、ステップS1では、基地局30が、セル内に存在するアドホックネットワークの中から、通信相手となる第1無線通信装置10(UE1)が属するアドホックネットワークを探索し、当該アドホックネットワークに関する情報を当該アドホックネットワークのマスタ等から取得して、記憶部35に記憶する処理を行う。上記アドホックネットワークに関する情報には、例えば、アドホックネットワークの属性情報や、アドホックネットワークを構成する各無線通信装置に関する情報(例えば、装置の種類、送信電力容量、移動体通信ネットワークとの接続機能の有無、インターネットとの接続機能の有無、通信状況など)が含まれる。
また、このステップS1では、第1無線通信装置10(UE1)が、基地局30と同様に、上記アドホックネットワークを構成する各無線通信装置に関する情報をマスタ等から取得して、記憶部15に記憶する処理を行う。
次いで、ステップS2では、基地局30が、第1無線通信装置10(UE1)に至る各通信経路(第1通信経路、第2通信経路)について、遅延時間dと電力pの特性をそれぞれ測定または推定し、その特性値を記憶部35に記憶する処理を行う。特に、インターネットとの接続機能を有する無線通信装置(UE3)がアドホックネットワーク内に存在する場合には、その無線通信装置を経由する通信経路について、遅延時間dの特性を測定若しくは推定するようにする。なお、遅延時間dには、信号の伝送に要する時間だけでなく、システムの待ち行列として待機する時間も含まれる。また、電力pには、受信側にパケットを確実に伝送するために必要とされる電力が採用される。
次いで、ステップS3においては、基地局30が、遅延時間dと電力pの特性値に基づいて、第1無線通信装置10(UE1)との通信(上り回線、下り回線)に使用する通信経路として、第1通信経路および第2通信経路の何れか一方を選択する処理を行う。この際に、基地局30は、第1通信経路および第2通信経路の各々について、電力pと遅延時間dの特性値を引数とする評価関数f(p,d)の関数値Mをそれぞれ求め、それら関数値Mの比較結果に基づいて、第1無線通信装置10(UE1)との通信に使用する通信経路として、第1通信経路および第2通信経路の何れか一方を選択する。評価関数f(p,d)としては、例えば、数1を用いることができる。
(数1)
M=f(p,d)=pa×db
この数1において、a、bは実数であり、それらパラメータの値としては、例えば、a=b=1を好適に用いることができる。この数1によれば、関数値Mが小さいほど通信特性に優れた通信経路として評価することができる。但し、電力pと遅延時間dには、多くの場合、それぞれ許容値(P、D)が設定されることとなるため、電力pと遅延時間dの少なくとも一方が許容値を超過するような通信経路については、予め選択対象から除外するようにする。例えば、音声の信号を送信する場合には、一般に、遅延時間dが60ms未満となるように設計することが要求されることから、このような場合、遅延時間dの測定値が許容値D=60(ms)以上となる通信経路は、電力pの特性如何に関わらず選択対象から除外する。また、無線通信装置の送信電力にはそれぞれ上限があるため、その上限を許容値Pとして、電力pの測定値がこの許容値P以上となる通信経路についても、遅延時間dの特性如何に関わらず選択対象から除外する。
すなわち、基地局30は、第1無線通信装置10(UE1)との通信に使用する通信経路として、数2の条件を満たす通信経路を選択する。
(数2)
min(M)and(p<P)and(d<D)
この数2によれば、QoS(Quality of Service)の要求を満たす通信経路の中で最も効率的な通信経路を容易に選択することができる。なお、本実施形態では、第1無線通信装置10(UE1)との通信に使用する通信経路として、第1通信経路および第2通信経路の何れか一方を選択するようにしたが、例えば、無線信号の信頼性が第一に要求される場合には、両通信経路を介して同一の無線信号をそれぞれ受信して、一方の良好な信号を優先的に用いるようにしたり、或いは受信した各信号を合成してノイズを除去したりすることも可能である。また、遅延時間dに関する条件が緩やかである場合には、インターネットに接続可能な最寄りの無線通信装置(例えば、図3のUE3など)を経由する通信経路を選択して、その無線通信装置から無線ネットワーク制御装置(RNC)40までの伝送路にインターネットを利用することも可能である。この場合、信号送信時の消費電力を大幅に抑制することができる。
このようにステップS3において通信経路の選択を行った後、基地局30は、続くステップS4において、選択した通信経路を第1無線通信装置10(UE1)に対して通知する処理を行う。すなわち、基地局30は、第1無線通信装置10(UE1)に制御信号を送信して、第1無線通信装置10(UE1)が上り回線で使用すべき通信経路を指定するとともに、第1無線通信装置10(UE1)に対して下り回線で使用する通信経路を通知する。
さらに、基地局30は、第1無線通信装置10(UE1)との通信を中継するアドホックネットワーク内の無線通信装置(例えば、UE2、UE3など)やマスタに対しても、第1無線通信装置10(UE1)との通信で使用する通信経路に関する情報やQoSに関する制約条件などを通知する。
その後、基地局30および第1無線通信装置10(UE1)は、定期的に、以上の処理を繰り返し行い、その都度、各々の記憶部35、15の記憶情報を更新する処理を行う。
次に、第1無線通信装置10によって実行されるアドホックネットワークへの接続処理について説明する。ここでは、第1無線通信装置10をノードXとして説明する。この処理は、上述した通信経路の切換処理よりも前に行われる処理であって、例えば、アドホックモードに通信モードの切換が行われた場合などに開始されるものである。
先ず、ノードXが、アドホックネットワーク内にマスタが存在するか否かを探索し、その探索結果に基づいて、当該ノードXのノード種別をマスタまたはスレーブの何れかに設定する処理を行う。すなわち、ノードXが、マスタから発せられるパイロット信号を検出する処理を行い、その結果、パイロット信号を検出できた場合には、ノード種別をスレーブに設定し、パイロット信号を検出できなかった場合には、ノード種別をマスタに設定する。
ここで、ノード種別がスレーブに設定された場合には、ノードXが、予め設定された共有チャネル(Common Channel)を利用して、ノード情報(例えば、ノードXのID、アドレスなど)をマスタに対して送信する処理を行う。マスタは、ノードXのノード情報を受信すると、このノード情報に基づいて、記憶部内のネットワーク情報(各スレーブのノード情報、ネットワーク資源、QoSのパラメータなど)を更新した後、当該ネットワーク情報をアドホックネットワーク内の各スレーブ(ノードXを含む。)に対して配信する処理を行う。これにより、ノードXがスレーブとしてアドホックネットワーク内に組み入れられた状態となる。
一方、ノード種別がマスタに設定された場合には、ノードXが、所定周期毎にパイロット信号を繰り返し発信(ブロードキャスト)するとともに、スレーブから出力される制御信号を監視しながら、定期的に、上記ネットワーク情報を更新する処理、並びにスレーブの通信状態を検出する処理を行う。これにより、ノードXをマスタとするアドホックネットワークが構築され、当該アドホックネットワークの維持管理がノードXによって行われる。
次に、上記のようにして構築されたアドホックネットワーク内において、各ノード間で通信を行う際の処理について説明する。例えば、ノードXがスレーブに設定されている場合に、当該ノードXが、スレーブに設定されている他の無線通信装置(以下、ノードYと称する)との通信を開始する際には、先ず、ノードXが、通信相手となるノードYのIDを指定して、通信チャネルの割当要求を、共有チャネル(Common Channel)を利用してマスタに対して送信する処理を行う。これを受けて、マスタは、記憶部内のネットワーク情報を参照して、ノードYの通信状態を確認するとともに、ノードX・Y間の通信チャネルを割り当てる処理を実行する。
その際に、マスタは、移動体通信ネットワークの上り回線と下り回線に設定された各タイムスロットについて、干渉信号(移動体通信ネットワークの移動局からの信号、基地局30からの信号)の大きさをそれぞれ測定し、その測定値に基づいて、アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットを選択することにより、ノードX・Y間の通信チャネルとして最も効率の良い通信チャネル或いはネットワーク全体として最も効率の良い通信チャネルを割り当てる処理を行う。
その後、マスタは、通信チャネルの割当が指定された設定情報を、通信要求のあったノードXに対して返信する処理を行う。この際に、マスタは、上記設定情報に基づきネットワーク情報を更新して記憶部に記憶する処理や、更新したネットワーク情報をアドホックネットワーク内の各スレーブに対して配信する処理を併せて行う。
ノードXは、ノードYとの通信に必要な設定情報をマスタから受信すると、当該設定情報を記憶部15に記憶した後、当該設定情報に従って、ノードYとの間で直接データ信号の送受信を行う。その際に、ノードXは、アドホックネットワークに加わってない近傍の無線通信装置の干渉とならないように、パワーコントロールを行う。すなわち、受信器12に入力された受信信号に基づいてすべてのタイムスロットの干渉レベルを測定し、その測定値と予め設定されたオフセット値との和を送信電力の最大値(許容値)として、この最大値を上回らないように、送信電力の出力制御を行う。また、ノードXは、基地局30からの信号を受信して、受信した信号の所定タイムスロットに含まれる同期用の情報を抽出し、当該同期用の情報に基づいて、移動体通信ネットワークにおける通信タイミングに合致するように、ノードYとの通信タイミングを設定する処理や、受信信号に含まれるミッドアンブルに基づいて、ノードYから送信された希望信号とそれ以外の干渉信号のチャネル推定値を求め、当該チャネル推定値と、各信号に割り当てられた拡散符号とを用いて、ジョイントディテクションにより上記干渉信号を除去する処理等を行う。
その後、マスタは、ノードXおよびYに対して定期的に通信状況の問い合わせを行い、その応答によりノードX・Y間の通信完了を確認した際に、ノードX・Y間の通信に割り当ててあった通信チャネルを解放した後、ネットワーク情報を更新して記憶部に記憶する処理や、更新したネットワーク情報をアドホックネットワーク内の各スレーブに対して配信する処理を行う。
以上のように、本実施形態によれば、移動体通信ネットワークの基地局側設備(基地局30または無線ネットワーク制御装置40)と無線通信装置10(UE1)とを繋ぐ通信経路として、両者を直接接続する第1通信経路と、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置(例えば、UE2、UE3など)を介して両者を接続する第2通信経路とを有し、これら通信経路の少なくとも一方を基地局側設備が選択して無線通信装置10(UE1)に通知するとともに、無線通信装置10(UE1)が、基地局側設備から通知された通信経路を使用して基地局側設備との通信を行うので、アドホックネットワークのネットワーク資源を移動体通信ネットワーク内の通信に利用することが可能となり、これによってネットワーク資源の利用効率を高めることが可能となる。また、第1通信経路および第2通信経路の各々について、信号の送信に要する電力pと、送信した信号が通信相手に届くまでにかかる遅延時間dとをそれぞれ測定した後、それら測定値を引数とする評価関数f(p,d)の関数値Mをそれぞれ求め、それら関数値の比較結果に基づいて、基地局側設備と無線通信装置10(UE1)との通信に使用する通信経路を選択するようにしたので、ネットワークの効率化および最適化を図ることができ、これによってネットワーク全体としての通信容量やスループットを向上させることができる。
本発明に係る無線通信システムの一実施形態を示す概略構成図である。 図1の第1無線通信装置の要部構成を示すブロック図である。 移動体通信ネットワークの基地局側設備と無線通信装置とを繋ぐ通信経路を説明するための模式図である。 移動体通信ネットワークの基地局の要部構成を示すブロック図である。 通信経路の切換処理を説明するためのフローチャートである。 移動体通信ネットワークの一例を示す概略構成図である。 TDD方式とFDD方式を説明するための模式図である。 TDD−CDMAのフレーム構成の一例を示す図である。 ハンドオーバーの処理を説明するための模式図である。 アドホックネットワークの一例を示す概略構成図である。
符号の説明
10 第1無線通信装置
20 第2無線通信装置
30 基地局
40 無線ネットワーク制御装置

Claims (5)

  1. 周囲に存在する他の無線通信装置とアドホックネットワークを構築して上記他の無線通信装置とTDD−CDMA方式を用いて無線で通信を行うとともに、このTDD−CDMA方式を使用して移動体通信ネットワークの基地局側設備と無線で通信を行う無線通信装置であって、
    上記基地局側設備との通信経路として、上記基地局側設備と直接通信を行う第1通信経路と、上記アドホックネットワーク内の他の無線通信装置を経由して上記基地局側設備と通信を行う第2通信経路とを有し、これら通信経路の中で、上記基地局側設備から指定された通信経路を使用して上記基地局側設備との通信を行うようになっていることを特徴とする無線通信装置。
  2. 移動体通信ネットワークの基地局側設備と、
    上記基地局側設備との通信にTDD−CDMA方式を用いるとともに、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置との通信に、上記基地局側設備と共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用する無線通信装置とを有する無線通信システムであって、
    上記無線通信装置と上記基地局側設備とを直接接続する通信経路を第1通信経路、上記アドホックネットワーク内の他の無線通信装置を介して上記無線通信装置と上記基地局側設備とを接続する通信経路を第2通信経路として、
    上記基地局側設備は、上記第1通信経路および上記第2通信経路の各々について、信号の送信に要する電力と、送信した信号が通信相手に届くまでにかかる遅延時間とをそれぞれ測定する測定手段と、
    上記電力と上記遅延時間の測定値に基づいて、上記無線通信装置との通信に使用する通信経路として、上記第1通信経路および上記第2通信経路の少なくとも一方を選択し、選択した通信経路を上記無線通信装置に対して通知する通信経路選択手段とを備えてなり、
    上記無線通信装置は、上記基地局側設備から通知された通信経路を使用して上記基地局側設備との通信を行うようになっていることを特徴とする無線通信システム。
  3. 上記通信経路選択手段は、上記第1通信経路および上記第2通信経路の各々について、上記電力と上記遅延時間の測定値を引数とする評価関数の関数値をそれぞれ求め、それら関数値の比較結果に基づいて、上記無線通信装置との通信に使用する通信経路として、上記第1通信経路および上記第2通信経路の少なくとも一方を選択することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
  4. 上記通信経路選択手段は、上記電力と上記遅延時間に予め許容値が設定されている場合に、上記電力と上記遅延時間の少なくとも一方が許容値を超過することとなる通信経路を選択対象から除外することを特徴とする請求項2または3に記載の無線通信システム。
  5. 周囲に存在する他の無線通信装置とアドホックネットワークを構築して上記他の無線通信装置とTDD−CDMA方式を用いて無線で通信を行う無線通信装置を移動局として、当該移動局との間で、上記アドホックネットワークと共通のTDD−CDMA方式を使用して通信を行う移動体通信ネットワークの基地局側設備であって、
    上記移動局と直接通信を行う通信経路を第1通信経路、上記アドホックネットワーク内の他の無線通信装置を介して上記移動局と通信を行う通信経路を第2通信経路として、これら通信経路の各々について、信号の送信に要する電力と、送信した信号が通信相手に届くまでにかかる遅延時間とをそれぞれ測定する測定手段と、
    上記電力と上記遅延時間の測定値に基づいて、上記移動局との通信に使用する通信経路として、上記第1通信経路および上記第2通信経路の少なくとも一方を選択し、選択した通信経路を上記移動局に対して通知する通信経路選択手段とを備えることを特徴とする基地局側設備。
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