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JP2005181426A - フォトクロミックレンズおよびその製造方法 - Google Patents

フォトクロミックレンズおよびその製造方法 Download PDF

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JP2005181426A
JP2005181426A JP2003418345A JP2003418345A JP2005181426A JP 2005181426 A JP2005181426 A JP 2005181426A JP 2003418345 A JP2003418345 A JP 2003418345A JP 2003418345 A JP2003418345 A JP 2003418345A JP 2005181426 A JP2005181426 A JP 2005181426A
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JP2003418345A
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English (en)
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Motoharu Takeuchi
基晴 竹内
Hideo Uno
英夫 宇野
Mitsuhiko Masumoto
光彦 増本
Ryozo Kawai
良三 河合
Yoshiyuki Aoki
良行 青木
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
MGC Filsheet Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
MGC Filsheet Co Ltd
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Abstract

【課題】 本発明は、光による発色および消色速度が速く、しかも、耐久性にも優れる有機フォトクロミックレンズを提供する。
【解決手段】 2枚の透明なポリカーボネートシートと該シートの間に介在するフォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂層からなる積層体(A)を、透明な熱硬化性樹脂(B)よりなるレンズ体中に埋設、または、上記積層体(A)上に、上記熱硬化性樹脂(B)を積層してなるフォトクロミックレンズ。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光照射により吸収スペクトルが可逆的に変化する現象、すなわちフォトクロミズムを示すレンズに関するものであり、さらに詳しくは、発色感度が高く、消色速度が速く、かつ繰り返し寿命が長いフォトクロミックレンズに関するものである。
近年、眼鏡用レンズにおいては、ガラス製レンズに比べて軽量であること、および割れにくさの点で安全性が高いことから、合成樹脂製レンズが賞用されるようになってきている。そしてこれに伴い、ガラス製レンズに対して従来施されている付加的機能を合成樹脂製レンズについても付与することの要求も大きくなってきており、特に強い光が当ったときにはその光の透過を抑制するよう呈色若しくは変色し、暗所に置かれたときには色が消失する特性、即ち調光性を有することが強く要請されている。
しかしながら、有機物質である樹脂中に無機フォトクロミック化合物を十分均一に分散させることは事実上不可能であり、このため、ガラス製レンズと同様の方法によっては良好な調光性を有する合成樹脂製レンズを得ることはできない。
一方、フォトクロミズムを示す有機化合物も種々のものが知られており、この有機フォトクロミック化合物は合成樹脂に対する相溶性が高いので合成樹脂中に比較的均一に分散させることができると考えられる。しかし、このような構成の合成樹脂製レンズは未だ実用化されていないのが現状であり、それは、有機フォトクロミック化合物は通常の固体物質中に分散されるとそのフォトクロミズムの発現が大きく抑制されてしまい、その結果、光が当ったときにも呈色若しくは変色が生ぜず或いはそのような呈色若しくは変色が生じたとしても次に暗所に置いたときに速やかに褪色しないものとなる。
以上のような事情から、種々の方面において研究がなされており、例えば合成樹脂製レンズの表面にいわゆるハードコート層を設け、このハードコート層に微粉末状のフォトトロピーガラスを含有させることが提案されている(特許文献1)。
また、二次転移温度が25℃以下の樹脂中に有機フォトクロミック化合物を分散させてなる調光性フィルムを、レンズ基材として用いられる重合性組成物中に埋没せしめ、この状態で当該重合性組成物を重合させ、斯くして内部に調光性フィルムを有する樹脂レンズを形成することが提案されている(特許文献2)。
フォトクロミック化合物においては、フォトクロミック作用の繰り返し耐性が良いこと、高い安定性を有すること、光の照射の有無に対応して可逆的な色調変化が容易に生ずること、また光が照射されたときに生ずる着色種が十分に安定であること等、フォトクロミック化合物自体が優れた特性を有することが基本的に要求されるほか、耐溶出性が高いことが必要である。その方法として、フォトクロミック化合物を、エポキシ樹脂の前駆体およびウレタン樹脂の前駆体と反応硬化させることによって得られるフォトクロミック性材料が提案されている(特許文献3)。
また、その他の方法として、調光層を2枚の透明な樹脂フィルムで挟む方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、樹脂フィルムが、レンズ基材として用いられる重合性組成物の重合時に白化や黄変を起こしたり、熱変形するものがあり、または該重合性組成物との接着性が悪い等、最適な樹脂フィルムは、未だ提案されていなかった。
特開昭59−107301号公報 特開昭61−236521号公報 特開昭63−051492号公報
フォトクロ性能を現出する為には、フォトクロミック物質が、光の照射に伴う色調変化性能を維持し、レンズ基材の重合性組成物に溶出しないことが要求される。この為には、フォトクロミック物質をマトリックス中に分散させた調光層を2枚の透明な樹脂フィルムで保護する方法が最適である。しかし、この方法の場合、レンズ基材の重合性組成物により、保護樹脂フィルムが着色、変形したり、重合性組成物との接着性不良等の問題が発生していた。
上記の問題を解決するため、フォトクロミック化合物を分散させる樹脂として、熱硬化性ポリウレタン樹脂を選択して、調光層を形成し、該調光層を2枚の透明なポリカーボネートシートで挟んで保護層とし、この積層体を重合性組成物に埋設せしめ、この状態で当該重合性組成物を重合させることによって、フォトクロミックの応答性および耐久性に優れ、しかも調光層の保護層の着色および変形がなく、また、保護層と重合性組成物との接着性にも優れたフォトクロミックレンズが得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明のフォトクロミックレンズは、光による発色および消色速度が速く、しかも、耐久性にも優れているので、従来から知られているガラス製のフォトクロミックレンズと同様に使用することでき、割れにくいので安全性の点で、特にスポーツ用のフォトクロミックレンズとして有用である。
本発明は、2枚の透明なポリカーボネートシートと該シートの間に介在するフォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂層からなる積層体(A)を、透明な熱硬化性樹脂(B)よりなるレンズ体中に埋設、または、上記積層体(A)上に、上記熱硬化性樹脂(B)を積層してなるフォトクロミックレンズである。
本発明で使用されるポリカーボネートシートの厚さは、20μm〜2mmであり、特に、曲面加工をする場合は、50μm〜1mmであることが好ましい。
本発明で用いられる熱硬化性ポリウレタン樹脂層としては、ポリウレタンプレポリマーと硬化剤からなる2液型の熱硬化性ポリウレタン樹脂である。
ポリウレタンプレポリマーとしては、ジイソシアネート化合物とポリオキシアルキレンジオールとを一定割合で反応させた化合物であって、両末端にイソシアネート基を有する化合物である。ポリウレタンプレポリマーに使用されるジイソシアネート化合物としては、ジフェニールメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートが使用できるが、ジフェニールメタン−4,4’−ジイソシアネートが好ましい。ポリオキシアルキレンジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールが使用できるが、5〜30の重合度を有するポリプロピレングリコールを使用することが好ましい。ポリウレタンプレポリマーの分子量は、数平均分子量500〜5000のものであり、好ましくは1500〜4000、より好ましくは2000〜3000である。
一方、硬化剤としては、水酸基を2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではなく、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が例示され、その中でも特定のイソシアネートと特定のポリオールから得られる末端に水酸基を有するポリウレタンポリオールが好ましい。特にジイソシアネート化合物とポリオールから誘導される少なくとも両末端に水酸基を有するポリウレタンポリオールが好ましい。該ジイソシアネート化合物としては、ジフェニールメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートが使用できるが、トリレンジイソシアネートを使用することが好ましい。また、ポリオールとしては、トリメチロールプロパン等をエチレンオキサイド或いはプロピレンオキサイドと反応させたものが使用でき、重合度が5〜30のポリプロピレングリコール誘導体を使用することが好ましい。この硬化剤の分子量は数平均分子量500〜5000であり、好ましくは1500〜4000、より好ましくは2000〜3000である。
これらのポリウレタンプレポリマー及び硬化剤は粘度調節のために酢酸エチル及びテトラヒドロフランなどの溶媒を使用することができる。特に、フォトクロミック化合物をウレタン樹脂中に均一に分散させるために、有効な方法である。
本発明で用いられるフォトクロミック化合物としては、ポリウレタンプレポリマーとの相溶性が良ければ特に制限されず、市販の有機フォトクロミック化合物が使用できる。フォトクロミック性能から、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物およびナフトピラン系化合物好ましく使用される。
スピロピラン系化合物の具体例としては、例えば、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−8’−ニトロ−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6’−ヒドロキシ−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−8’−メトキシ−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6’,8’−ジブロモー2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、1,3,3,4,7−ペンタメチルスピロ(インドリン−8’−エトキシ−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6’−ニトロ−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)および5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6’,8’−ジニトロ−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)などが挙げられる。
スピロオキサジン系化合物の具体的な例としては、例えば、1,3,3,4,5−ペンタメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3,4,6−ペンタメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、5−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6−(1−ピペリジル)−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6’−(1−モルホリル)−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3,4,5−ペンタメチルスピロ(インドリン−6’−(1−ピペリジル)−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3,5,6−ペンタメチルスピロ(インドリン−6’−(1−ピペリジル)−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6’−(1−ピペリジル)−9’−(メトキシ)−2,3−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、4,7−ジエトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3,5−テトラメチルスピロ(インドリン−9’−(メトキシ)−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1−イソプロピル−3,3,5−トリメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1−(p−クロロベンジル)−3,3’−ジメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,2’−[2H]−フェナントロ−(9,10−b)−(1,4)−オキサジン)、6’−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−1−プロピル−スピロ(2H−インドール−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)および6’−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−1−(2−メチルプロピル)−スピロ(2H−インドール−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)などを挙げることができる。
ナフトピラン系化合物の具体例としては、例えば、1,3,3−トリフェニルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−ピラン)、1−(2,3,4,5,6−ペンタメチルベンジル)−3,3−ジメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−ピラン)、1−(2−メトキシ−5−ニトロベンジル)−3,3−ジメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−ピラン)、1−(2−ニトロベンジル)−3,3−ジメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−ピラン)、1−(2−ナフチルメチル)−3,3−ジメチルスピロ(インドリン−2,3’−ナフト(2,1−b)−ピラン)、4−[4−〔6−(4−モルフォルニル)−3−フェニル−3H−ナフト(2,1−b)ピラン−3−イル〕フェニル]−モルフォリン、4−〔3−(4−メチキシフェニル)−3−フェニル−3H−ナフト(2,1−b)ピラン−6−イル〕−モルフォリン、4−〔3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−3H−ナフト(2,1−b)ピラン−6−イル〕−モルフォリンおよび4−[3−フェニル−3−〔4−(1−ピペリジル)フェニル〕−3H−ナフト(2,1−b)ピラン−6−イル]−モルフォリンなどが挙げられる。
本発明のフォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂層には、寿命を確保するために、各種の安定剤を添加することが好ましい。安定剤としては、ヒンダードアミン系の光安定剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤が添加される。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2、6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、トリエチレンジアミン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等が挙げられる。その他ニッケル系紫外線安定剤として、〔2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチル−ジチオカーバメート等も使用することが可能である。特にヒンダードアミン系の光安定剤としては、3級のアミンのみを含有するヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルー4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、または1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/トリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物が好ましい。
また、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3’、5’−ジ−t−ブチルー4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。特に、フェノール系酸化防止剤としては、分子量が550以上のものが好ましい。
チオール系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)等を挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
2枚の透明なポリカーボネートシートと該シートの間に介在するフォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂層からなる積層体(A)は、例えば、以下の方法により製造される。ポリウレタンプレポリマーを特定有機溶媒で希釈した溶液に、フォトクロミック化合物を樹脂固形分に対して0.2〜5重量%の割合で加え、さらに樹脂固形分に対して0.1〜5重量%のヒンダードアミン系の光安定剤及び/又は酸化防止剤等の添加剤を加え、均一に攪拌混合する。その後、更にイソシアネート基(I)と硬化剤の水酸基(H)の比I/Hが0.9〜20、好ましくは1〜10を目安として硬化剤を加えさらに攪拌し、溶液を形成させる。溶液中のポリマー濃度は、一般的には40〜90重量%が適当である。該溶液を透明なポリカーボネートシート片面に塗布厚50〜1000ミクロンのドクターブレードを使用して塗布した。塗布後、塗布面が溶媒を実質的に含まない状態まで加熱乾燥し、該合成樹脂シートの塗布面に他の透明なポリカーボネートシートを貼り合わせ、サンドイッチ状とした。上記の加熱乾燥は通常20〜50℃で、30〜120分行う。該積層シートを加熱し硬化剤を含むウレタンプレポリマーを硬化させ、透明な合成樹脂積層体を得た。ポリウレタンプレポリマーの硬化条件は、通常60〜140℃で、2時間〜1週間である。
希釈溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンのような炭化水素、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸nープロピル、酢酸イソブチル、酢酸nーブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸イソブチル等のエステル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキシルケトン等のケトン類、酢酸セルソルブ、ジエチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類、ジアセトンアルコール、t−アミルアルコール等の三級アルコール及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。特に、酢酸エチル、テトラヒドロフラン及びトルエンが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂(B)を形成する液状の重合性組成物は特に制限はなく、通常の樹脂レンズの材料となるモノマーの組成物をそのまま用いることができる。その具体例としては、メチルメタアクリレート等のメタアクリレート類、アクリレート類、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ジアリルフタレート等のアリル基を有するモノマー、臭素若しくは塩素で置換された各種のメタクリレート類、アクリレート類、アリル化合物、さらには、内部にウレタン結合をもつウレタンアクリル系重合組成物、イソシアネートとチオールとを組み合せたチオウレタン系重合組成物、その他を挙げることができる。
しかしながら、2枚の透明なポリカーボネートシートと該シートの間に介在するフォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂層からなる積層体(A)との相性から、チオウレタン系重合組成物が好ましい。
チオウレタン系重合組成物で組み合わされるイソシアネート化合物の具体例としては、以下の化合物があげられる。すなわち、ジエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、2,6−ビス(イソシアナトメチル)デカヒドロナフタレン、リジントリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、3−(2’−イソシアネートシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,2’−ビス(4−イソシアネートフェニル)プロパン、トリフェニルメタントリイソシアネート、ビス(ジイソシアネートトリル)フェニルメタン、3,3’−ジメトキシベンジジン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトベンゼン)、1,1’−メチレンビス(3−メチル−4−イソシアナトベンゼン)、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(2−イソシアナト−2−プロピル)ベンゼン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエン、ビス(イソシアネートメチル)ジシクロペンタジエン、ビス(イソシアネートメチル)テトラヒドロチオフェン、ビス(イソシアネートメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアネートメチルノルボルネン、ビス(イソシアネートメチル)アダマンタン、ダイマー酸ジイソシアネート、1,3,5−トリ(1−イソシアナトヘキシル)イソシアヌル酸、2,5−ジイソシアナートメチル−1,4−ジチアン、2,5−ビス(4−イソシアナート−2−チアブチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(3−イソシアナートメチル−4−イソシアナート−2−チアブチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(3−イソシアナート−2−チアプロピル)−1,4−ジチアン、1,3,5−トリイソシアナートシクロヘキサン、1,3,5−トリス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアネートメチルチオ)メタン、1、5−ジイソシアネート−2−イソシアネートメチル−3−チアペンタン、1,2,3−トリス(イソシアネートエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(イソシアネートメチルチオ)プロパン、1,1,6,6−テトラキス(イソシアネートメチル)−2,5−ジチアヘキサン、1,1,5,5、−テトラキス(イソシアネートメチル)−2,4−ジチアペンタン、1,2−ビス(イソシアネートメチルチオ)エタン、1、5−ジイソシアネート−3−イソシアネートメチル−2,4−ジチアペンタン、1、5−ジイソシアネート−3−イソシアネートメチル−2,4−ジチアペンタン等のポリイソシアネート類、これらのポリイソシアネート類のビュレット型反応によるニ量体、これらのポリイソシアネート類の環化三量体およびこれらのポリイソシアネート類とアルコールもしくはチオールの付加物等が挙げられる。さらには、上記化合物のイソシアネート基の全部または一部をイソチオシアネート基に変えた化合物等をあげることができる。以上、本発明で用いられる、イソシアネート基および/またはイソチオシアネート基を有する化合物を例示したが、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。
これらの中で好ましくはポリイソシアネート類であり、特に好ましくは環状構造を有するポリイソシアネート類である。
チオウレタン系重合組成物で組み合わされるチオール化合物の具体例としては、以下の化合物があげられる。すなわち、1,2−ジメルカプトエタン、1,2−ジメルカプトプロパン、2,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、1,2,3−トリメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メルカプトメチル−1,3−ジメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル−1,4−ジメルカプトブタン、2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、2,4−ビス(メルカプトメチル)−1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、4,8−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,2,7−トリメルカプト−4,6−ジチアヘプタン、1,2,9−トリメルカプト−4,6,8−トリチアノナン、1,2,8,9−テトラメルカプト−4,6−ジチアノナン、1,2,10,11−テトラメルカプト−4,6,8−トリチアウンデカン、1,2,12,13−テトラメルカプト−4,6,8,10−テトラチアトリデカン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、テトラキス(4−メルカプト−2−チアブチル)メタン、テトラキス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,1−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトシクロヘキサン、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1−チアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1−チアン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−メルカプトメチルフェニル)プロパン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3,4−チオフェンジチオール、1,2−ジメルカプト−3−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、グリセリルジチオグリコーレート、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン等のポリチオール類およびこれらの2量体〜20量体といったオリゴマーをあげることができる。
また、不飽和基を有するチオール類としては、アリルチオール、2−ビニルベンジルチオール、3−ビニルベンジルチオール、4−ビニルベンジルチオール、2−ビニルチオフェノール、3−ビニルチオフェノール、4−ビニルチオフェノール等をあげることができる。これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。これらの中で好ましい具体例はポリチオール類であり、特に好ましくはスルフィド構造またはエステル構造を有するポリチオール類である。
注型重合用型としては、通常の眼鏡用レンズを製作するための一般に使用されているガラス製のものをそのまま用いることができる。
注型重合を実施するための具体的操作においては、例えば、型の一方に重合性組成物を充填しておいてその上に該積層体(A)を浮かべておき、ガスケットを介して型の他方を液密にセットした後、型内に重合性組成物を更に注入して重合する方法、適当な手段により該積層体(A)を型内において支持させておいて重合性組成物を型内に注入して重合する方法、その他型の一方に該積層体(A)を密着させておき、型内に重合性組成物を注入して重合する方法を利用することができる。
用いる該積層体(A)の大きさ及び形状は自由に選定することができる。即ち、最終的に得られるレンズの全体に亘る形状のものであってもよいし、或いはレンズの一部を覆うようなものであってもよい。そして、該積層体(A)を一旦用いるモノマーで濡らした後に型内にセットするのが好ましく、これにより、気泡の混入を防止すると共に該積層体(A)と重合性組成物を重合させて得られる該熱硬化性樹脂との密着性を確保することができる。重合性組成物中には、場合によって、重合開始剤が含有され、適当な温度に加熱されることによって重合が行われる。
以下に実施例において、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に評価方法について、説明する。
[外観] 目視判断
[透過率] 超モノクロ電源〔日本分光(株)製〕で360nmの単一波長光を照射させながら5分後の透過率(T2)及び無照射時の透過率(T1)を測定。
透過率測定には、分光光度計〔日本分光(株)製〕を使用し、最大透過率の透過光の透過率を測定した。
[発色速度及び消色速度]
発色速度及び消色速度は、前記の暗所における透過率をT1、紫外線照射時の透過率をT2とし、
発色速度:透過率がT1から(T1+T2)/2にまで変化する時間
消色速度:透過率がT2から(T1+T2)/2にまで変化する時間
を最大透過率を示す光の波長の透過率の経時変化曲線より求めた。
実施例1
NCO基当量重量(当量重量とは官能基1個当たりの平均分子量)が1500のポリウレタンプレポリマー(ジフェニールメタン−4,4’−ジイソシアネートと平均重合度が15のポリプロピレングリコールを反応させて得られたもの)15gを有機溶媒(トルエン4.636g、メチルエチルケトン1.745g、および酢酸エチル7.2g)13.58gで希釈した溶液に、フォトクロミック化合物として、4−[4−〔6−(4−モルフォルニル)−3−フェニル−3H−ナフト(2,1−b)ピラン−3−イル〕フェニル]−モルフォリン(商品名:Reversacol Flame、James Robinson LTD製)を0.075gと、添加剤としてビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート0.136gおよびを3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン0.068g添加し、均一になるまで攪拌した後、水酸基当量重量が630である硬化剤(トリレンジイソシアネートとポリプロピレングリコールを反応させて得られたもの、商品名:BHS6020C;東洋モートン社製)1.6gを加え、さらに攪拌した。
次に、0.3mmの無色透明なポリカーボネートフィルム(商品名:ユーピロン、三菱瓦斯化学(株)社製)に該樹脂液を200μmのクリアランスであるドクターブレード(ヨシミツ精機(株)社製)を用いて塗布した。その後60℃の熱風乾燥機に10分間入れ、溶剤を揮発させた。その塗膜の上に、別の上記と同様な0.3mm厚のポリカーボネートフィルムを積層した後、70℃で2日間加熱硬化させた。このようにして、2枚の透明なポリカーボネートシートと該シートの間に介在するフォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂層からなる積層体(A)を得た。
この積層体(A)を直径60mmの円形に裁断し、これを148℃の雰囲気下で加熱開始と同時に1分間で50mmHgまで吸引し、6分間真空成形して、曲率半径R=90mmの曲げ加工品を得た。次いで熱硬化性樹脂(B)の原料組成物として、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン43.5重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)56.5重量部、ジメチルスズジラウリレート0.05重量部、およびブトキシエチルアシッドホスフェート0.2重量部を混合し均一とした後、真空下で脱気処理し、0.5μmのPTFT製のメンブランフィルターで濾過し、レンズモノマ−組成物(R−1)を調整した。その後、曲げ加工した積層体(A)を所定のガラスモールド中に入れ、この上下にレンズモノマー組成物を注入し、20℃から100℃まで20時間かけて徐々に昇温し、100℃から120℃まで1時間かけて昇温した後、120℃で1時間加熱し、重合硬化させた。モールドから離型した後、120℃で1時間アニールしてフォトクロミックレンズを作成した。尚、積層体(A)とフォトクロミックレンズの外観及び光応答性についてはその結果を表1に示した。
実施例2
実施例1の積層体(A)において、フォトクロミック化合物を6’−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−1−プロピル−スピロ(2H−インドール−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)(商品名:Reversacol Midnight Grey、James Robinson LTD製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体(A)を得た。
この積層体(A)を直径60mmの円形に裁断し、これを148℃の雰囲気下で加熱開始と同時に1分間で50mmHgまで吸引し、6分間真空成形して、曲率半径R=90mmの曲げ加工品を得た。次いで熱硬化性樹脂(B)の原料組成物として、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン50重量部、4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール50重量部、ジメチルスズジクロライド0.05重量部、およびドデシルアシッドホスフェート0.1重量部を混合し均一とした後、真空下で脱気処理し、0.5μmのPTFT製のメンブランフィルターで濾過し、レンズモノマ−原料組成物(R−2)を調整した。その後、曲げ加工した積層体(A)を所定のガラスモールド中に入れ、この上下にレンズモノマ−組成物を注入し、30℃で9時間、30℃から60℃まで2時間かけて昇温し、100℃から120℃まで2時間かけて昇温した後、120℃で2時間加熱し、重合硬化させた。モールドから離型した後、120℃で1時間アニールしてフォトクロミックレンズを作成した。尚、積層体(A)とフォトクロミックレンズの外観及び光応答性についてはその結果を表1に示した。
実施例3
実施例1の積層体(A)において、フォトクロミック化合物を4−[3−フェニル−3−〔4−(1−ピペリジル)フェニル〕−3H−ナフト(2,1−b)ピラン−6−イル]−モルフォリン(商品名:Reversacol Ruby、James Robinson LTD製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体(A)を得た。
この積層体(A)を直径60mmの円形に裁断し、これを148℃の雰囲気下で加熱開始と同時に1分間で50mmHgまで吸引し、6分間真空成形して、曲率半径R=90mmの曲げ加工品を得た。次いで熱硬化性樹脂(B)の原料組成物として、1,3−ビス(イソシアネトメチル)シクロヘキサン47.5重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)26.5重量部、2,5−ジ(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン26重量部、ジメチルスズジクロライド0.45重量部、およびブトキシエチルアシッドホスフェート0.2重量部を混合し均一とした後、真空下で脱気処理し、0.5μmのPTFT製のメンブランフィルターで濾過し、レンズ原料組成物(R−3)を調整した。その後、曲げ加工した積層体(A)を所定のガラスモールド中に入れ、この上下にレンズモノマー組成物を注入し、20℃から100℃まで20時間かけて徐々に昇温し、100℃から120℃まで1時間かけて昇温した後、120℃で3時間加熱し、重合硬化させた。モールドから離型した後、120℃で1時間アニールしてフォトクロミックレンズを作成した。尚、積層体(A)とフォトクロミックレンズの外観及び光応答性についてはその結果を表1に示した。
実施例4
実施例1において積層体(A)において、フォトクロミック化合物を、Reversacol Midnight Grey(商品名、James Robinson LTD製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体(A)を作成し、その後、フォトクロミックレンズを作成した。尚、積層体(A)とフォトクロミックレンズの外観及び光応答性についてはその結果を表1に示した。
比較例1
実施例1において積層体(A)のポリカ−ボネ−トを20μmのポリエチレンテレフタレ−トフィルム(商品名OPET、三菱樹脂製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体(A)を作成した。しかしながら、積層体(A)を作成する際に、発泡したため、その積層体(A)を用いて、フォトクロミックレンズは作成したなかった。
比較例2
実施例1において積層体(A)のポリカ−ボネ−トを20μmのエチレン−ビニルアルコ−ル共重合体フィルム(商品名:エバ−ルEF−F、クラレ社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体(A)を作成し、その後、フォトクロミックレンズを作成した。しかしながら、フォトクロミックレンズは、黄変しており、レンズ性能の測定が出来なかった。
Figure 2005181426

Claims (8)

  1. 2枚の透明なポリカーボネートシートと該シートの間に介在するフォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂層からなる積層体(A)を、透明な熱硬化性樹脂(B)よりなるレンズ体中に埋設、または、上記積層体(A)上に、上記熱硬化性樹脂(B)を積層してなるフォトクロミックレンズ。
  2. 透明なポリカーボネートシートが20μm〜2mmの厚みである請求項1記載のフォトクロミックレンズ。
  3. フォトクロミック化合物が、スピロベンゾピラン誘導体、ナフトピラン誘導体およびスピロオキサジン誘導体から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のフォトクロミックレンズ。
  4. 熱硬化性ポリウレタン樹脂層に、ヒンダードアミン系の光安定剤を含有させてなる請求項1記載のフォトクロミックレンズ。
  5. 熱硬化性ポリウレタン樹脂層に、3級アミンしか有さないヒンダードアミン系の光安定剤を含有させてなる請求項1記載のフォトクロミックレンズ。
  6. 熱硬化性ポリウレタン樹脂層に、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤から選ばれた少なくとも1種を含有させてなる請求項1記載のフォトクロミックレンズ。
  7. 積層体(A)を、重合して透明な熱硬化性樹脂(B)のレンズ基材となる重合性組成物中に埋設、または積層せしめ、この状態で当該重合性組成物を重合させ、これにより内部または外側に積層体(A)を有する熱硬化性樹脂レンズを形成する請求項1記載のフォトクロミックレンズの製造方法。
  8. 透明な熱硬化性樹脂(B)がチオウレタン系重合組成物である請求項1記載のフォトクロミックレンズ及び請求項7記載のフォロクロミックレンズの製造方法。
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