JP2005005816A - 広角カメラおよび広角カメラシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】撮像素子の画素数を多くすることなく解像度が高い画像を得る。
【解決手段】双曲面ミラー5とレンズ6とからなる光学系1aと、光学系で集光された光学像を撮像する撮像素子7とを含む撮像手段1bとを有する広角カメラ1において、光学系1aで集光されたミラー光像のうち、撮像対象となる所定視野領域が撮像面の有効領域10に拡大されて結像されるべく、レンズ6の光軸12と、撮像素子7の撮像面の有効領域中心10aとが、撮像面上で所定の距離を有するように、光学系1aと撮像素子7との相対位置関係を調整するため、撮像素子7の画素数を多くすることなく、元々の画素数を有効に用いることができて、解像度が高い画像を得ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】双曲面ミラー5とレンズ6とからなる光学系1aと、光学系で集光された光学像を撮像する撮像素子7とを含む撮像手段1bとを有する広角カメラ1において、光学系1aで集光されたミラー光像のうち、撮像対象となる所定視野領域が撮像面の有効領域10に拡大されて結像されるべく、レンズ6の光軸12と、撮像素子7の撮像面の有効領域中心10aとが、撮像面上で所定の距離を有するように、光学系1aと撮像素子7との相対位置関係を調整するため、撮像素子7の画素数を多くすることなく、元々の画素数を有効に用いることができて、解像度が高い画像を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボット用視覚センサ、セキュリティ用カメラ、車載用カメラなどに利用される広角カメラおよび広角カメラシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、広い範囲の視野情報を同時に入力し得る入力装置に対する研究が盛んに行われている。このような広い範囲の視野情報を得ることができる画像入力装置として、例えば特許文献1には、二葉双曲面ミラーを用いた全方位カメラが開示されている。この全方位カメラは、周囲360°の視野画像を一度に撮像することができ、その撮像画像から射影中心を有する透視投影画像をリアルタイムに作成することができる。また、このような全方位カメラを、例えばロボット用視覚センサー、セキュリティ用カメラ、車載用カメラなどとして用いた全方位視覚システムの研究開発も盛んに為されている。
【0003】
以下に、従来の全方位カメラについて図6を用いて説明する。
【0004】
図6は、従来の全方位カメラにおける光学系および撮像手段の配置例を示す図であって、(a)は、光学系を構成する双曲面ミラー5およびレンズ6と、撮像手段を構成する撮像素子7との配置を模式的に示す斜視図、(b)は、双曲面ミラー5およびレンズ6を介して得られた円形のミラー像と撮像素子7の撮像面有効領域との配置関係を示す平面図である。
【0005】
図6(a)および図6(b)において、この全方位カメラ20は、周囲360°の視野対象を撮像するため、例えば凸型回転体ミラーの一種である双曲面ミラー5およびレンズ6を含む光学系1aと、その光学系1aで集光された光学像を撮像する撮像素子7を含む撮像手段1bとを有している。
【0006】
この光学系1aは、上記特許文献1に詳しく説明されているので、ここでは,その特徴点についてのみ説明を行う。この双曲面ミラー5は、双曲線を(X,Y,Z)座標系のZ軸を中心として回転させて得られる曲面である2葉双曲面の一方(Z>0の領域)の凸状面に、鏡面を形成したものである。
【0007】
2葉双曲面は、下記式(1)によって表される。
【0008】
(X2+Y2)/a2−Z2/b2=−1 ・・・(1)
c2=a2+b2
上記式(1)において、aおよびbは双曲面の形状を定義する定数、cは焦点の位置を定義する定数であり、それぞれ、図6(a)に同一の符号a、b、cにて示す部分に対応する。aは2葉双曲面の漸近線ZEと双曲面ミラー5の頂点との距離、bは双曲面ミラー5の頂点と座標原点8との距離、cは第1の焦点C1および第2の焦点9と座標原点8との距離である。
【0009】
この2葉双曲面は、第1の焦点C1および第2の焦点9という二つの焦点を有しており、外部から焦点C1に向かう光は双曲面ミラー5で反射されて、全て第2の焦点9に向かうという特徴がある。
【0010】
したがって、図6(a)に示すように、双曲面ミラー5の回転軸12a(光学系の光軸)と、レンズ6の光軸12を一致させると共に、第2の焦点9にレンズ6の主点6aを一致させるように、双曲面ミラー5とレンズ6とを配置することにより、撮像素子7で撮影すると、第1の焦点8を視点中心として、視野方向によって視点位置が変わらない画像が得られるという特徴を示す。
【0011】
また、双曲面ミラー5の回転軸12aと一致させたレンズ6の光軸12は、図6(a)および図6(b)に示すように、撮像素子7の撮像面有効領域の中心10aで交差している。一般的に、撮像素子7の撮像面有効領域10は長方形状であり、この全方位カメラ20では、その撮像面有効領域10の短辺長を直径とする円形状のミラー像11が入力画像として利用されている。
【0012】
次に、このような全方位カメラを用いたカメラシステムについて、図7を用いて説明する。
【0013】
図7は、従来の全方位カメラを用いたカメラシステムの構成例を示すブロック図である。
【0014】
図7において、このカメラシステム100は、全方位カメラ20と、この全方位カメラ20により撮像された画像情報に対して所定の演算処理を施す画像処理手段2と、この画像処理手段2で各種演算処理された画像情報を表示画面上に表示する表示手段3と、この表示手段3で表示される画像の選択、画像のサイズの制御などを行う表示制御手段4とを有している。
【0015】
全方位カメラ20は、図6に示す双曲線ミラー5およびレンズ6を含む光学系1aと、撮像素子7を含む撮像手段1bとを有している。
【0016】
撮像手段1bでは、双曲面ミラー5およびレンズ6によって集光された光学像が固体撮像素子7に入射され、CCDまたはCMOSイメージセンサなどの固体撮像素子7によって画像情報に変換される。変換された画像情報は、画像処理手段2に送られる。
【0017】
画像処理手段2は、撮像手段1bから供給された画像情報に対して種々の演算処理を施す画像変換部2aと、画像変換部2aで演算処理された結果を格納する出力バッファメモリ2bとを有している。
【0018】
画像変換部2aでは、撮像手段1bから供給された画像情報に対して、表示制御部4から制御ライン4aを介して供給される制御信号にしたがって、種々の演算処理が施され、その処理結果が出力バッファメモリ2bに格納される。
【0019】
出力バッファメモリ2bに格納された画像データは、信号ケーブル3aを介して表示手段3に供給されて、表示手段3の表示画面上に表示される。
【0020】
このカメラシステム100において、解像度を高くするためには、光学ズームを利用することができないため、入力画像データの一部を抜き出して電子的に拡大表示させるという電子ズームが利用される。したがって、この電子ズームを行っても良好な表示状態が保たれるように、撮像素子の画素数を多くする必要がある。
【0021】
このように光学ズームを用いることができない理由は、以下の通りである。光学ズームでは、レンズ6の焦点距離を長くし、画角を狭くして、撮像領域を相対的に狭くすることにより、相対的に拡大された撮像画像が得られる。これに対して、全方位カメラ20では、レンズ6の画角が変わると被写体であるミラー像が拡大されてミラー中心部のみが撮像されることになり、ミラー全体を撮像することができなくなる。したがって、全方位カメラ20では、常にミラー全体が撮像される必要があるため、ミラー像は常に一定のサイズで撮像されている必要があり、これには光学ズームを適用することができない。
【0022】
【特許文献1】
特開平6−295333号公報
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の全方位カメラ20を用いたカメラシステム100では、解像度を高くするために、光学ズームを利用することができない。また、電子ズームを利用する場合には、電子ズームに耐え得るように、撮像素子7の画素数を多くする必要があった。
【0024】
しかしながら、撮像素子7の画素数を多くする方法では、撮像素子7の読み出し速度の制約から、動画像を撮像して再生表示するためには一定の画素数以上に画素数を多くすることができず、それ以上に画素数を多くして解像度を高くすることは困難であった。
【0025】
例えば動画像を撮像してそれを再生表示する場合などには、撮像素子7の読み出し速度の制約から、比較的低画素数のCCD撮像素子を用いつつ、画像の分解能(解像度)を高くする方法が求められる。
【0026】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、撮像素子の画素数を現状に比べて多くすることなく、解像度が高い画像を容易に得ることができる広角カメラおよびこれを用いた広角カメラシステムを提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の広角カメラは、光学系と、該光学系で集光された光学像を撮像する撮像素子とを含む広角カメラにおいて、該光学系の光軸と該撮像素子の撮像面の有効領域中心とが、少なくとも撮像対象視野光を撮像画面上に拡大投影するべく、該撮像面上で所定の距離を有するように該光学系および該撮像素子が配置されており、そのことにより上記目的が達成される。
【0028】
また、好ましくは、本発明の広角カメラにおける光学系の光軸と前記撮像素子の撮像面の有効領域中心との距離は、前記光学系で集光された光学像のうち、撮像対象となる所定視野領域の光学像が該撮像面の有効領域に結像されるように設定されている。
【0029】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラにおける光学系の光軸と前記撮像素子の撮像面の有効領域中心との距離は、前記光学系と該撮像素子との相対的な位置関係により設定されている。
【0030】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラにおける撮像素子の有効撮像面が長方形状であり、前記光学系で集光された光学像の一部が該長方形の短辺および長辺方向いっぱいに結像されている。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラにおける光学系は、凸型回転体ミラーとレンズとを含み、該凸型回転体ミラーの回転軸を該レンズの光軸と一致させ、かつ、該凸型回転体ミラーの凸部を該レンズ側に向けて配置されている。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラにおける凸型回転体ミラーは、2葉双曲面のうちの一方の双曲面状の形状を有する反射ミラーであり、該双曲面の第2の焦点位置に前記レンズの主点が一致するように配置されている。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラにおける撮像素子は固体撮像素子である。
【0034】
本発明の広角カメラシステムは、請求項1〜7のいずれかに記載の広角カメラと、該広角カメラで撮像された画像情報に対して表示用に所定の演算処理を施す画像処理手段とを有し、そのことにより上記目的が達成される。
【0035】
また、好ましくは、本発明の広角カメラシステムにおいて、画像処理手段で演算処理された画像情報を表示画面上に表示する表示手段をさらに有する。
【0036】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラシステムにおいて、表示手段の表示画面上に表示される画像の選択および画像サイズを制御する表示制御手段をさらに有する。
【0037】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラシステムにおいて、画像処理手段による演算処理には、前記広角カメラで撮像された画像情報に対して、極座標系から直交座標系への変換処理が含まれている。
【0038】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラシステムにおいて、極座標系から直交座標系への変換処理には、パノラマ変換処理および透視変換処理の少なくとも何れかが含まれている。
【0039】
上記構成により、以下に、本発明の作用について説明する。
【0040】
本発明にあっては、例えば双曲面ミラーなどの凸型回転体ミラーおよびレンズを含む光学系と、その光学系で集光された光学像を撮像するCCDやCMOSイメージャなどの撮像素子とを含む広角カメラにおいて、光学系の光軸と撮像素子の撮像面の有効領域中心とが、少なくとも撮像対象視野光を撮像画面上に拡大投影するべく、撮像面上で所定の距離を有するように光学系と撮像素子とが配置されている。
【0041】
従来の全方位カメラでは、凸型回転体ミラーとしての双曲面ミラーに映っている円形画像全体を撮像するために、双曲面ミラーからの全体光像が撮像素子の撮像面有効領域内に入るように光学系と撮像素子とが配置されており、図6(b)に示すように、ミラー像の直径が撮像素子の撮像面有効領域の短辺長よりも短くなるように、光学系と撮像素子とが配置されていた。
【0042】
しかしながら、全方位カメラの利用目的によっては、必ずしもカメラの周囲360度(全方位)を撮像する必要がない場合がある、例えば、部屋の壁際に設置される場合や、車のコーナーモニタのように前方,側面,後方の3方向の視野範囲に限定される場合などが挙げられる。
【0043】
このように、カメラの周囲360度を撮像する必要がない場合には、光学系で集光された光学像のうち、必要とされる部分(撮像視野対象)だけが撮像素子の撮像面有効領域に、上記従来の場合に比べて拡大して結像されるように、光学系と撮像素子との相対的な配置を調整して、カメラの画角を変更すると共に、光学系の光軸を撮像素子の撮像面の有効領域中心からずらすことができる。この場合には、光学系で集光された円形状の光学像が一部欠けた状態で、例えば長方形状の撮像素子の撮像面の長辺および短辺いっぱいに結像される。
【0044】
これにより、双曲面ミラーとレンズとを含む光学系で集光された光学像は、CCDやCMOSイメージセンサなどの撮像素子の撮像面上に拡大投影されるため、画素数が多い撮像素子を用いなくても、元々ある画素数を有効に用いることにより解像度が高い画像が得られる。
【0045】
また、本発明の広角カメラシステムは、本発明の広角カメラで撮像された画像情報に対して、画像処理手段によって、パノラマ変換や透視変換などのような極座標系から直交座標系への変換処理を施して、表示手段によって表示させることができる。このときの変換処理の選択、画像サイズなどは、表示制御手段によって制御することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の広角カメラの実施形態を広角カメラシステムに適用した場合ついて、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の広角カメラは、全方位未満の視野を撮像するものである。
【0047】
図1は、本発明の広角カメラの一実施形態における光学系および撮像手段の配置例を示す図であり、(a)は、光学系を構成する双曲面ミラー5およびレンズ6と、撮像手段を構成する固体撮像素子などの撮像素子7との配置関係を模式的に示す斜視図、(b)は、双曲面ミラー5およびレンズ6を介して得られたミラー光像と撮像素子7の撮像面有効領域との配置関係を示す平面図である。
【0048】
図1(a)において、この広角カメラ1は、凸型回転体ミラーの一種である双曲面ミラー5およびレンズ6を含む光学系1aと、その光学系で集光される光学像を撮像するCCDやCMOSイメージャなどの固体撮像素子からなる固体撮像素子7を含む撮像手段1bとを有している。
【0049】
双曲面ミラー5は、図6の場合と同様に、双曲線を(X,Y,Z)座標系のZ軸(双曲面ミラー5の回転軸12a)を中心として回転させて得られる曲面である2葉双曲面の一方(Z>0の領域)の凸状面に、鏡面を形成したものである。この2葉双曲面は、上記式(1)によって表される。
【0050】
この2葉双曲面は、第1の焦点C1および第2の焦点9という二つの焦点を有しており、外部から一方の第1の焦点C1に向かう光は双曲面ミラー5で反射されて、全て第2の焦点9に向かうという特徴がある。
【0051】
このため、図1(a)に示すように、双曲面ミラー5の回転軸12a(光学系の光軸)と、レンズ6の光軸12を一致させると共に、第2の焦点9にレンズ6の主点6aを一致させるように、双曲面ミラー5とレンズ6とを配置することにより、撮像素子7で撮影すると、第1の焦点C1を視点中心として、視野方向によって視点位置が変わらない画像が得られる。
【0052】
また、本実施形態の広角カメラ1において、図1(a)および図1(b)に示すように、撮像素子7の撮像面の有効領域中心10aから所定の距離だけ離れた位置10bで撮像素子7と交差している。このとき、カメラの画角と、レンズ6および撮像素子7の配置(カメラの画角は光学系1aと撮像素子7とのZ軸方向の配置調整により設定、レンズ6および撮像素子7の配置は、光学系1aに対して撮像素子7のX−Y軸方向の配置調整により設定、但し、各配置調整に合わせて、ミラー定数、レンズの焦点距離なども変更される。)とは、少なくとも撮像対象視野光を撮像画面上に拡大投影するべく、光学系で得られたミラー光像のうち、撮像対象となる所定の視野領域だけが撮像面の有効領域10内いっぱい(図1(b)のように長辺および短辺方向いっぱい)に結像されるように調整されている。これによって、長方形状の撮像素子7の撮像面有効領域10には、円形状のミラー光像のうちの一部が欠けた状態の投影光像11aが入力画像として結像されている。
【0053】
なお、図1(b)の例では、光軸中心12が、撮像素子7の撮像面の有効領域中心10aから下方向にずれた位置10bに配置されているが、ずれの方向はこれに限らず、広角カメラ1の用途など、必要に応じて上下左右いずれの方向にずれていてもよい。
【0054】
ここで、本実施形態の広角カメラ1を用いたカメラシステム100Aについて、図2を用いて説明する。
【0055】
図2は、本発明の広角カメラシステムの一実施形態における構成例を示すブロック図である。
【0056】
図2において、この広角カメラシステム100Aは、広角カメラ1と、この広角カメラ1で撮像された画像情報に対して所定の演算処理を施す画像処理手段2と、画像処理手段2で演算処理された画像情報を表示画面上に表示する表示手段3と、表示手段3で表示される画像の選択、画像のサイズの制御などを行う表示制御手段4とを有している。
【0057】
全方位カメラ1は、図1に示す双曲線ミラー5を含む光学系1aと、撮像素子7を含む撮像手段1bを有している。
【0058】
撮像手段1bでは、双曲面ミラー5を介して得られる光学像が、レンズ6を介して撮像素子7に入射され、CCDまたはCMOSイメージセンサなどの撮像素子7によって画像情報に変換される。変換された画像情報は、画像処理手段2に送られる。
【0059】
画像処理手段2は、撮像手段1bから供給された画像情報に対して種々の演算処理を施す画像変換部2aと、画像変換部2aで演算処理された結果を格納する出力バッファメモリ2bとを有している。
【0060】
画像変換部2aでは、撮像手段1bから供給された画像情報に対して、表示制御部4から制御ライン4aを介して供給される制御信号にしたがって、パノラマ変換処理や透視変換処理などのような極座標系から直交座標系への変換処理が行われると共に、それらの画像サイズの調整などが行われ、その処理結果が出力バッファメモリ2bに格納される。
【0061】
出力バッファメモリ2bに格納された画像データは、信号ケーブル3aを介して表示手段3に供給され、表示手段3の表示画面上に表示される。
【0062】
なお、図1に示す本実施形態の広角カメラシステム100Aは、図7に示す従来の全方位カメラシステムと同様のブロック構成によって表されているが、広角カメラ1を構成する光学系1aおよび撮像手段1bは従来のものとはその配置が異なっており、本発明固有の構成を有している。また、光学系1aおよび撮像手段1bの配置関係が従来とは異なっていることから、画像処理手段2で行われる演算処理についても、従来とは異なる本願固有の処理となる。
【0063】
ここで、本実施形態の広角カメラシステム100Aにおける画像処理手段2について、図3〜図5を用いて詳細に説明する。
【0064】
図3は、図2の画像処理手段2の要部構成例を示すブロック図である。
【0065】
図3において、この画像処理手段2は、A/D変換器21、入力バッファメモリ22、CPU23、ルックアップテーブル(LUT)24、画像変換ロジック25などを含む画像変換部2aと、その処理結果を格納する出力バッファメモリ2bとを有しており、各々がバスライン26によって接続されている。
【0066】
広角カメラ1によって撮像された画像情報が、バスライン26を介して画像処理手段2に入力されると、その画像情報がアナログ信号の場合には、A/D変換器21によってデジタル信号に変換された後、入力バッファメモリ22に入力される。また、画像情報がデジタル信号の場合には、直接、入力バッファメモリ22に入力される。
【0067】
次に、入力バッファメモリ22からの出力データに対して、画像変換ロジック25によってパノラマ変換または透視変換などの各種演算処理が施され、各種演算処理後のデータが出力バッファメモリ2bに格納される。
【0068】
これらの画像演算処理は、後述するように、極座標系から直交座標系への変換処理のために三角関数が多用されるが、三角関数の計算には、一般に非常に時間がかかる。そこで、本実施形態では、予め関数の数値を計算し、その数値をルックアップテーブル(LUT)24にテーブルデータとして格納しておき、必要なときにそのテーブルデータを参照して座標変換を行っている。
【0069】
画像処理手段2を構成する各部分の制御は、CPU23(制御部:中央演算処理装置)によって行われる。このCPU23は、所謂RISC(ReducedInstruction Set Computer)方式のCPUであっても、CISC(Complex Instruction Set Computer)方式のCPUであってもよい。
【0070】
次に、画像変換ロジック25による画像変換処理の原理について説明する。
【0071】
まず、パノラマ変換処理について、図4を用いて説明する。
【0072】
図4は、図2の画像変換部2aによるパノラマ変換処理について説明するための図であり、(a)には撮像面10に結像された一部欠けた円形入力画像(ミラー光像11a)が示され、(b)には変換後のパノラマ画像13が示されている。
【0073】
図4(a)に示す入力画像11aを、撮像面とレンズ6の光軸12との交点10bを原点とした極座標で表わすと、各画素Pの座標は(r,θ)で表わされる。
【0074】
図4(a)において、この入力画像11aを、ドーナツ状に切り出して、撮像面とレンズ光軸との交点10bからの距離ro、角度θoである内円の一方のコーナ点PO(ro,θo)を基準に切り開いて引き伸ばし、図4(b)に示すような四角いパノラマ画像13に変換するための座標変換式は、パノラマ画像13上の点の座標をP(x,y)とすると、
x=θ−θo
y=r−ro
と表される。
【0075】
ここで、入力画像11a上の点の座標をP(X,Y)、その中心10bの座標をO(Xo,Yo)とすると、
X=r×cosθ+Xo
Y=r×sinθ+Yo
から、
X=(y+ro)cos(x+θo)+Xo ・・・(2)
Y=(y+ro)sin(x+θo)+Yo ・・・(3)
と表わされる。
【0076】
次に、透視変換処理について、図5を用いて説明する。
【0077】
図5は、図2の画像変換部2aにおける透視変換処理について説明するための図である。
【0078】
図5において、透視変換の座標変換処理では、空間上の点から、その点が画像上のどの位置に対応するかを計算し、その点の画像情報を透視変換後の対応する座標位置に割り当てる方法が適用される。
【0079】
空間上の点の座標をP(tx,ty,tz)(またはP(X,Y,Z))とし、対応する画像11a上の点の座標をR(r,θ)(rはレンズ6の光軸12と撮像素子の撮像面10との交点10bからの距離、θはZ軸回りの回転角)とし、レンズ6の焦点距離(レンズ6と撮像面10との距離)をFとし、さらに、双曲面ミラー5のミラー定数をa,b,cとすると、
r=F×tan((π/2)−β) ・・・(4)
但し、β=arctan(((b2+c2)×sinα−2×b×c)/(b2−c2)×cosα)
α=arctan(tz / √(tx2+ty2))
θ=arctan(ty/tx)
となる。なお、αは、双曲面ミラー5の第1の焦点C1を含む水平面から空間上の点Pに対する俯角であり、βは、第2の焦点9を含む水平面から双曲面ミラー5の入射点に対する天頂角である。
【0080】
これらの式を整理すると、
r=F×(((b2−c2)×√(tx2+ty2))/((b2+c2)×tz−2bc×√(tx2+ty2+tz2))) ・・・(4’)
となる。
【0081】
さらに、画像11a上の点の座標を極座標系から直行座標系に変換し、R(X,Y)と表すと、
X=rcosθ
Y=rsinθ
から、
X=F×(((b2−c2)×tx/((b2+c2)×tz−2bc×√(tx2+ty2+tz2))) ・・・(5)
Y=F×(((b2−c2)×ty/((b2+c2)×tz−2bc×√(tx2+ty2+tz2))) ・・・(6)
となる。
【0082】
ここで、双曲面ミラー5の第1の焦点C1から、距離R、俯角φ(図5ではα)、Z軸周りの回転角θである透視空間上に幅W、高さhの画像平面(仮想平面)14について考える。この平面14上の点、例えば右上コーナの点の座標P1(tx、ty、tz)は下記式(7)〜(9)で表される。
【0083】
tx=(Rcosφ+h/2sinφ)cosθ−W/2sinθ・・・(7)
ty=(Rcosφ+h/2sinφ)sinθ−W/2cosθ・・・(8)
tz=Rsinφ−h/2cosφ ・・・(9)
したがって、上記式(7)〜(9)を式(5)および(6)に代入することによって、入力画像面11a上の点の座標(X,Y)を、下記式(10)および(11)に示すように、極座標形式で表すことができる。
【0084】
X=F×(((b2−c2)×((Rcosφ+h/2sinφ)cosθ−W/2sinθ)/((b2+c2)×(Rsinφ−h/2cosφ)
−2bc×√(R2+W2+h2))) ・・・(10)
Y=F×(((b2−c2)×((Rcosφ+h/2sinφ)sinθ−W/2cosθ)/((b2+c2)×(Rsinφ−h/2cosφ) −2bc×√(R2+W2+h2))) ・・・(11)
ここで、透視画面サイズをピクセル単位でa,bとすると、仮想平面の幅WをW/aステップで、高さhをh/bステップで、W〜―W、h〜―hまで変化させたときに、それぞれの仮想平面14上の点に対応する入力画像11aの画像データを並べることによって、透視画像が得られる。
【0085】
上記構成により、画像処理手段2の動作について説明する。
【0086】
まず、表示手段3では、信号ケーブル3aを介して画像処理手段2で処理された画像データが入力されると、その画像データが映像として表示される。このとき、表示制御手段4により制御ライン4aを介して画像処理手段2の変換パラメータであるa,b,c,R,W,h(パノラマ変換では、上記式(2)および(3)からro、θo、Xo、Yoが必要で、透視変換では、上記式(10)および(11)から、F、b、c、R、h、W、θ、φが必要)などが指定される。
【0087】
画像処理手段2では、CPU23によって、それらの変換パラメータに基づいて、表示手段3に表示させる画像(画像処理手段2により変換されるパノラマ画像および透視画像など)の種類、画像の向き、画像のサイズなどの選択調整が行われる。
【0088】
例えば図4において、PO(ro,θo)のθoを変化させることにより、パノラマ画面での中心視野方向(図4A参照;撮像素子の撮像面の有効領域18、ミラー光像19、パノラマ画像28)を変化させることが可能である。また、図5において、θ、α、W、hを変化させることにより、透視画面の向きと画面サイズを変化させることが可能である。
【0089】
以上により、本発明によれば、双曲面ミラー5とレンズ6とからなる光学系1aと、光学系で集光された光学像を撮像する撮像素子7とを含む撮像手段1bとを有する広角カメラ1において、光学系1aで集光されたミラー光像のうち、撮像対象となる所定視野領域が撮像面の有効領域10に拡大されて結像されるべく、レンズ6の光軸12と、撮像素子7の撮像面の有効領域中心10aとが、撮像面上で所定の距離を有するように、光学系1aと撮像素子7との相対位置関係を調整するため、撮像素子7の画素数を多くすることなく、元々の画素数を有効に用いることができて、解像度が高い画像を得ることができる。
【0090】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、双曲面ミラーなどの凸型回転体ミラーおよびレンズを含む光学系と、その光学系で集光された光学像を撮像するCCDやCMOSイメージャなどの撮像素子を含む広角カメラにおいて、カメラの周囲360度を撮像する必要がない場合に、光学系と撮像素子との相対的な位置を調整して、光学系の光軸と撮像素子の撮像面の有効領域中心とを、少なくとも撮像対象視野光を撮像画面上に拡大投影するべく、撮像面上で所定の距離を有するようにずらせた配置とすることによって、光学系で集光された光学像のうち、必要な部分(撮像対象)だけが撮像素子の撮像面有効領域に結像させて、拡大表示することができる。これによって、従来の場合と同じ画素数の撮像素子を用いても、解像度の高い画像を得ることができる。
【0091】
また、本発明では、従来の全方位カメラおよびこれを用いた全方位カメラシステムと、機構および部品の多くが共通しており、従来技術からの変更点を最小限に抑えることができるため、低コストで高解像度の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態である広角カメラの光学系と撮像手段との配置例を模式的に示す斜視図および、(b)は、(a)の広角カメラによるミラー像と撮像素子7の撮像面有効領域との配置関係を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態である広角カメラシステムの構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の画像処理手段の構成例を示すブロック図である。
【図4】(a)および(b)はそれぞれ、図2の画像処理手段によるパノラマ変換処理について説明するための図である。
【図4A】図4のパノラマ画面での中心視野方向の変化について説明するための図である。
【図5】図2の画像処理手段による透視変換処理について説明するための図である。
【図6】(a)は、従来の全方位カメラの光学系と撮像手段との配置例を模式的に示す斜視図および、(b)は、(a)の全方位カメラによるミラー像と撮像素子の撮像面有効領域との配置関係を示す平面図である。
【図7】従来の全方位カメラシステムの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 広角カメラ
1a 光学系
1b 撮像手段
2 画像処理手段
2a 画像変換部
2b 出力バッファメモリ
3 表示手段
3a 信号ケーブル
4 表示制御手段
4a 制御ライン
5 双曲面ミラー
6 レンズ
6a レンズの主点
7 撮像素子
8 座標原点
C1 第1の焦点
9 第2の焦点
10、18 撮像素子の撮像面の有効領域
10a 撮像面の有効領域の中心
10b 光軸中心と交差する撮像素子の撮像面の位置
11a、19 ミラー光像
12 レンズの光軸
13、28 パノラマ画像
14 仮想平面
21 A/Dコンバータ
22 入力バッファメモリ
23 CPU
24 LUT
25 画像変換ロジック
26 バスライン
100A 広角カメラシステム
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボット用視覚センサ、セキュリティ用カメラ、車載用カメラなどに利用される広角カメラおよび広角カメラシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、広い範囲の視野情報を同時に入力し得る入力装置に対する研究が盛んに行われている。このような広い範囲の視野情報を得ることができる画像入力装置として、例えば特許文献1には、二葉双曲面ミラーを用いた全方位カメラが開示されている。この全方位カメラは、周囲360°の視野画像を一度に撮像することができ、その撮像画像から射影中心を有する透視投影画像をリアルタイムに作成することができる。また、このような全方位カメラを、例えばロボット用視覚センサー、セキュリティ用カメラ、車載用カメラなどとして用いた全方位視覚システムの研究開発も盛んに為されている。
【0003】
以下に、従来の全方位カメラについて図6を用いて説明する。
【0004】
図6は、従来の全方位カメラにおける光学系および撮像手段の配置例を示す図であって、(a)は、光学系を構成する双曲面ミラー5およびレンズ6と、撮像手段を構成する撮像素子7との配置を模式的に示す斜視図、(b)は、双曲面ミラー5およびレンズ6を介して得られた円形のミラー像と撮像素子7の撮像面有効領域との配置関係を示す平面図である。
【0005】
図6(a)および図6(b)において、この全方位カメラ20は、周囲360°の視野対象を撮像するため、例えば凸型回転体ミラーの一種である双曲面ミラー5およびレンズ6を含む光学系1aと、その光学系1aで集光された光学像を撮像する撮像素子7を含む撮像手段1bとを有している。
【0006】
この光学系1aは、上記特許文献1に詳しく説明されているので、ここでは,その特徴点についてのみ説明を行う。この双曲面ミラー5は、双曲線を(X,Y,Z)座標系のZ軸を中心として回転させて得られる曲面である2葉双曲面の一方(Z>0の領域)の凸状面に、鏡面を形成したものである。
【0007】
2葉双曲面は、下記式(1)によって表される。
【0008】
(X2+Y2)/a2−Z2/b2=−1 ・・・(1)
c2=a2+b2
上記式(1)において、aおよびbは双曲面の形状を定義する定数、cは焦点の位置を定義する定数であり、それぞれ、図6(a)に同一の符号a、b、cにて示す部分に対応する。aは2葉双曲面の漸近線ZEと双曲面ミラー5の頂点との距離、bは双曲面ミラー5の頂点と座標原点8との距離、cは第1の焦点C1および第2の焦点9と座標原点8との距離である。
【0009】
この2葉双曲面は、第1の焦点C1および第2の焦点9という二つの焦点を有しており、外部から焦点C1に向かう光は双曲面ミラー5で反射されて、全て第2の焦点9に向かうという特徴がある。
【0010】
したがって、図6(a)に示すように、双曲面ミラー5の回転軸12a(光学系の光軸)と、レンズ6の光軸12を一致させると共に、第2の焦点9にレンズ6の主点6aを一致させるように、双曲面ミラー5とレンズ6とを配置することにより、撮像素子7で撮影すると、第1の焦点8を視点中心として、視野方向によって視点位置が変わらない画像が得られるという特徴を示す。
【0011】
また、双曲面ミラー5の回転軸12aと一致させたレンズ6の光軸12は、図6(a)および図6(b)に示すように、撮像素子7の撮像面有効領域の中心10aで交差している。一般的に、撮像素子7の撮像面有効領域10は長方形状であり、この全方位カメラ20では、その撮像面有効領域10の短辺長を直径とする円形状のミラー像11が入力画像として利用されている。
【0012】
次に、このような全方位カメラを用いたカメラシステムについて、図7を用いて説明する。
【0013】
図7は、従来の全方位カメラを用いたカメラシステムの構成例を示すブロック図である。
【0014】
図7において、このカメラシステム100は、全方位カメラ20と、この全方位カメラ20により撮像された画像情報に対して所定の演算処理を施す画像処理手段2と、この画像処理手段2で各種演算処理された画像情報を表示画面上に表示する表示手段3と、この表示手段3で表示される画像の選択、画像のサイズの制御などを行う表示制御手段4とを有している。
【0015】
全方位カメラ20は、図6に示す双曲線ミラー5およびレンズ6を含む光学系1aと、撮像素子7を含む撮像手段1bとを有している。
【0016】
撮像手段1bでは、双曲面ミラー5およびレンズ6によって集光された光学像が固体撮像素子7に入射され、CCDまたはCMOSイメージセンサなどの固体撮像素子7によって画像情報に変換される。変換された画像情報は、画像処理手段2に送られる。
【0017】
画像処理手段2は、撮像手段1bから供給された画像情報に対して種々の演算処理を施す画像変換部2aと、画像変換部2aで演算処理された結果を格納する出力バッファメモリ2bとを有している。
【0018】
画像変換部2aでは、撮像手段1bから供給された画像情報に対して、表示制御部4から制御ライン4aを介して供給される制御信号にしたがって、種々の演算処理が施され、その処理結果が出力バッファメモリ2bに格納される。
【0019】
出力バッファメモリ2bに格納された画像データは、信号ケーブル3aを介して表示手段3に供給されて、表示手段3の表示画面上に表示される。
【0020】
このカメラシステム100において、解像度を高くするためには、光学ズームを利用することができないため、入力画像データの一部を抜き出して電子的に拡大表示させるという電子ズームが利用される。したがって、この電子ズームを行っても良好な表示状態が保たれるように、撮像素子の画素数を多くする必要がある。
【0021】
このように光学ズームを用いることができない理由は、以下の通りである。光学ズームでは、レンズ6の焦点距離を長くし、画角を狭くして、撮像領域を相対的に狭くすることにより、相対的に拡大された撮像画像が得られる。これに対して、全方位カメラ20では、レンズ6の画角が変わると被写体であるミラー像が拡大されてミラー中心部のみが撮像されることになり、ミラー全体を撮像することができなくなる。したがって、全方位カメラ20では、常にミラー全体が撮像される必要があるため、ミラー像は常に一定のサイズで撮像されている必要があり、これには光学ズームを適用することができない。
【0022】
【特許文献1】
特開平6−295333号公報
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の全方位カメラ20を用いたカメラシステム100では、解像度を高くするために、光学ズームを利用することができない。また、電子ズームを利用する場合には、電子ズームに耐え得るように、撮像素子7の画素数を多くする必要があった。
【0024】
しかしながら、撮像素子7の画素数を多くする方法では、撮像素子7の読み出し速度の制約から、動画像を撮像して再生表示するためには一定の画素数以上に画素数を多くすることができず、それ以上に画素数を多くして解像度を高くすることは困難であった。
【0025】
例えば動画像を撮像してそれを再生表示する場合などには、撮像素子7の読み出し速度の制約から、比較的低画素数のCCD撮像素子を用いつつ、画像の分解能(解像度)を高くする方法が求められる。
【0026】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、撮像素子の画素数を現状に比べて多くすることなく、解像度が高い画像を容易に得ることができる広角カメラおよびこれを用いた広角カメラシステムを提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の広角カメラは、光学系と、該光学系で集光された光学像を撮像する撮像素子とを含む広角カメラにおいて、該光学系の光軸と該撮像素子の撮像面の有効領域中心とが、少なくとも撮像対象視野光を撮像画面上に拡大投影するべく、該撮像面上で所定の距離を有するように該光学系および該撮像素子が配置されており、そのことにより上記目的が達成される。
【0028】
また、好ましくは、本発明の広角カメラにおける光学系の光軸と前記撮像素子の撮像面の有効領域中心との距離は、前記光学系で集光された光学像のうち、撮像対象となる所定視野領域の光学像が該撮像面の有効領域に結像されるように設定されている。
【0029】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラにおける光学系の光軸と前記撮像素子の撮像面の有効領域中心との距離は、前記光学系と該撮像素子との相対的な位置関係により設定されている。
【0030】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラにおける撮像素子の有効撮像面が長方形状であり、前記光学系で集光された光学像の一部が該長方形の短辺および長辺方向いっぱいに結像されている。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラにおける光学系は、凸型回転体ミラーとレンズとを含み、該凸型回転体ミラーの回転軸を該レンズの光軸と一致させ、かつ、該凸型回転体ミラーの凸部を該レンズ側に向けて配置されている。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラにおける凸型回転体ミラーは、2葉双曲面のうちの一方の双曲面状の形状を有する反射ミラーであり、該双曲面の第2の焦点位置に前記レンズの主点が一致するように配置されている。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラにおける撮像素子は固体撮像素子である。
【0034】
本発明の広角カメラシステムは、請求項1〜7のいずれかに記載の広角カメラと、該広角カメラで撮像された画像情報に対して表示用に所定の演算処理を施す画像処理手段とを有し、そのことにより上記目的が達成される。
【0035】
また、好ましくは、本発明の広角カメラシステムにおいて、画像処理手段で演算処理された画像情報を表示画面上に表示する表示手段をさらに有する。
【0036】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラシステムにおいて、表示手段の表示画面上に表示される画像の選択および画像サイズを制御する表示制御手段をさらに有する。
【0037】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラシステムにおいて、画像処理手段による演算処理には、前記広角カメラで撮像された画像情報に対して、極座標系から直交座標系への変換処理が含まれている。
【0038】
さらに、好ましくは、本発明の広角カメラシステムにおいて、極座標系から直交座標系への変換処理には、パノラマ変換処理および透視変換処理の少なくとも何れかが含まれている。
【0039】
上記構成により、以下に、本発明の作用について説明する。
【0040】
本発明にあっては、例えば双曲面ミラーなどの凸型回転体ミラーおよびレンズを含む光学系と、その光学系で集光された光学像を撮像するCCDやCMOSイメージャなどの撮像素子とを含む広角カメラにおいて、光学系の光軸と撮像素子の撮像面の有効領域中心とが、少なくとも撮像対象視野光を撮像画面上に拡大投影するべく、撮像面上で所定の距離を有するように光学系と撮像素子とが配置されている。
【0041】
従来の全方位カメラでは、凸型回転体ミラーとしての双曲面ミラーに映っている円形画像全体を撮像するために、双曲面ミラーからの全体光像が撮像素子の撮像面有効領域内に入るように光学系と撮像素子とが配置されており、図6(b)に示すように、ミラー像の直径が撮像素子の撮像面有効領域の短辺長よりも短くなるように、光学系と撮像素子とが配置されていた。
【0042】
しかしながら、全方位カメラの利用目的によっては、必ずしもカメラの周囲360度(全方位)を撮像する必要がない場合がある、例えば、部屋の壁際に設置される場合や、車のコーナーモニタのように前方,側面,後方の3方向の視野範囲に限定される場合などが挙げられる。
【0043】
このように、カメラの周囲360度を撮像する必要がない場合には、光学系で集光された光学像のうち、必要とされる部分(撮像視野対象)だけが撮像素子の撮像面有効領域に、上記従来の場合に比べて拡大して結像されるように、光学系と撮像素子との相対的な配置を調整して、カメラの画角を変更すると共に、光学系の光軸を撮像素子の撮像面の有効領域中心からずらすことができる。この場合には、光学系で集光された円形状の光学像が一部欠けた状態で、例えば長方形状の撮像素子の撮像面の長辺および短辺いっぱいに結像される。
【0044】
これにより、双曲面ミラーとレンズとを含む光学系で集光された光学像は、CCDやCMOSイメージセンサなどの撮像素子の撮像面上に拡大投影されるため、画素数が多い撮像素子を用いなくても、元々ある画素数を有効に用いることにより解像度が高い画像が得られる。
【0045】
また、本発明の広角カメラシステムは、本発明の広角カメラで撮像された画像情報に対して、画像処理手段によって、パノラマ変換や透視変換などのような極座標系から直交座標系への変換処理を施して、表示手段によって表示させることができる。このときの変換処理の選択、画像サイズなどは、表示制御手段によって制御することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の広角カメラの実施形態を広角カメラシステムに適用した場合ついて、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の広角カメラは、全方位未満の視野を撮像するものである。
【0047】
図1は、本発明の広角カメラの一実施形態における光学系および撮像手段の配置例を示す図であり、(a)は、光学系を構成する双曲面ミラー5およびレンズ6と、撮像手段を構成する固体撮像素子などの撮像素子7との配置関係を模式的に示す斜視図、(b)は、双曲面ミラー5およびレンズ6を介して得られたミラー光像と撮像素子7の撮像面有効領域との配置関係を示す平面図である。
【0048】
図1(a)において、この広角カメラ1は、凸型回転体ミラーの一種である双曲面ミラー5およびレンズ6を含む光学系1aと、その光学系で集光される光学像を撮像するCCDやCMOSイメージャなどの固体撮像素子からなる固体撮像素子7を含む撮像手段1bとを有している。
【0049】
双曲面ミラー5は、図6の場合と同様に、双曲線を(X,Y,Z)座標系のZ軸(双曲面ミラー5の回転軸12a)を中心として回転させて得られる曲面である2葉双曲面の一方(Z>0の領域)の凸状面に、鏡面を形成したものである。この2葉双曲面は、上記式(1)によって表される。
【0050】
この2葉双曲面は、第1の焦点C1および第2の焦点9という二つの焦点を有しており、外部から一方の第1の焦点C1に向かう光は双曲面ミラー5で反射されて、全て第2の焦点9に向かうという特徴がある。
【0051】
このため、図1(a)に示すように、双曲面ミラー5の回転軸12a(光学系の光軸)と、レンズ6の光軸12を一致させると共に、第2の焦点9にレンズ6の主点6aを一致させるように、双曲面ミラー5とレンズ6とを配置することにより、撮像素子7で撮影すると、第1の焦点C1を視点中心として、視野方向によって視点位置が変わらない画像が得られる。
【0052】
また、本実施形態の広角カメラ1において、図1(a)および図1(b)に示すように、撮像素子7の撮像面の有効領域中心10aから所定の距離だけ離れた位置10bで撮像素子7と交差している。このとき、カメラの画角と、レンズ6および撮像素子7の配置(カメラの画角は光学系1aと撮像素子7とのZ軸方向の配置調整により設定、レンズ6および撮像素子7の配置は、光学系1aに対して撮像素子7のX−Y軸方向の配置調整により設定、但し、各配置調整に合わせて、ミラー定数、レンズの焦点距離なども変更される。)とは、少なくとも撮像対象視野光を撮像画面上に拡大投影するべく、光学系で得られたミラー光像のうち、撮像対象となる所定の視野領域だけが撮像面の有効領域10内いっぱい(図1(b)のように長辺および短辺方向いっぱい)に結像されるように調整されている。これによって、長方形状の撮像素子7の撮像面有効領域10には、円形状のミラー光像のうちの一部が欠けた状態の投影光像11aが入力画像として結像されている。
【0053】
なお、図1(b)の例では、光軸中心12が、撮像素子7の撮像面の有効領域中心10aから下方向にずれた位置10bに配置されているが、ずれの方向はこれに限らず、広角カメラ1の用途など、必要に応じて上下左右いずれの方向にずれていてもよい。
【0054】
ここで、本実施形態の広角カメラ1を用いたカメラシステム100Aについて、図2を用いて説明する。
【0055】
図2は、本発明の広角カメラシステムの一実施形態における構成例を示すブロック図である。
【0056】
図2において、この広角カメラシステム100Aは、広角カメラ1と、この広角カメラ1で撮像された画像情報に対して所定の演算処理を施す画像処理手段2と、画像処理手段2で演算処理された画像情報を表示画面上に表示する表示手段3と、表示手段3で表示される画像の選択、画像のサイズの制御などを行う表示制御手段4とを有している。
【0057】
全方位カメラ1は、図1に示す双曲線ミラー5を含む光学系1aと、撮像素子7を含む撮像手段1bを有している。
【0058】
撮像手段1bでは、双曲面ミラー5を介して得られる光学像が、レンズ6を介して撮像素子7に入射され、CCDまたはCMOSイメージセンサなどの撮像素子7によって画像情報に変換される。変換された画像情報は、画像処理手段2に送られる。
【0059】
画像処理手段2は、撮像手段1bから供給された画像情報に対して種々の演算処理を施す画像変換部2aと、画像変換部2aで演算処理された結果を格納する出力バッファメモリ2bとを有している。
【0060】
画像変換部2aでは、撮像手段1bから供給された画像情報に対して、表示制御部4から制御ライン4aを介して供給される制御信号にしたがって、パノラマ変換処理や透視変換処理などのような極座標系から直交座標系への変換処理が行われると共に、それらの画像サイズの調整などが行われ、その処理結果が出力バッファメモリ2bに格納される。
【0061】
出力バッファメモリ2bに格納された画像データは、信号ケーブル3aを介して表示手段3に供給され、表示手段3の表示画面上に表示される。
【0062】
なお、図1に示す本実施形態の広角カメラシステム100Aは、図7に示す従来の全方位カメラシステムと同様のブロック構成によって表されているが、広角カメラ1を構成する光学系1aおよび撮像手段1bは従来のものとはその配置が異なっており、本発明固有の構成を有している。また、光学系1aおよび撮像手段1bの配置関係が従来とは異なっていることから、画像処理手段2で行われる演算処理についても、従来とは異なる本願固有の処理となる。
【0063】
ここで、本実施形態の広角カメラシステム100Aにおける画像処理手段2について、図3〜図5を用いて詳細に説明する。
【0064】
図3は、図2の画像処理手段2の要部構成例を示すブロック図である。
【0065】
図3において、この画像処理手段2は、A/D変換器21、入力バッファメモリ22、CPU23、ルックアップテーブル(LUT)24、画像変換ロジック25などを含む画像変換部2aと、その処理結果を格納する出力バッファメモリ2bとを有しており、各々がバスライン26によって接続されている。
【0066】
広角カメラ1によって撮像された画像情報が、バスライン26を介して画像処理手段2に入力されると、その画像情報がアナログ信号の場合には、A/D変換器21によってデジタル信号に変換された後、入力バッファメモリ22に入力される。また、画像情報がデジタル信号の場合には、直接、入力バッファメモリ22に入力される。
【0067】
次に、入力バッファメモリ22からの出力データに対して、画像変換ロジック25によってパノラマ変換または透視変換などの各種演算処理が施され、各種演算処理後のデータが出力バッファメモリ2bに格納される。
【0068】
これらの画像演算処理は、後述するように、極座標系から直交座標系への変換処理のために三角関数が多用されるが、三角関数の計算には、一般に非常に時間がかかる。そこで、本実施形態では、予め関数の数値を計算し、その数値をルックアップテーブル(LUT)24にテーブルデータとして格納しておき、必要なときにそのテーブルデータを参照して座標変換を行っている。
【0069】
画像処理手段2を構成する各部分の制御は、CPU23(制御部:中央演算処理装置)によって行われる。このCPU23は、所謂RISC(ReducedInstruction Set Computer)方式のCPUであっても、CISC(Complex Instruction Set Computer)方式のCPUであってもよい。
【0070】
次に、画像変換ロジック25による画像変換処理の原理について説明する。
【0071】
まず、パノラマ変換処理について、図4を用いて説明する。
【0072】
図4は、図2の画像変換部2aによるパノラマ変換処理について説明するための図であり、(a)には撮像面10に結像された一部欠けた円形入力画像(ミラー光像11a)が示され、(b)には変換後のパノラマ画像13が示されている。
【0073】
図4(a)に示す入力画像11aを、撮像面とレンズ6の光軸12との交点10bを原点とした極座標で表わすと、各画素Pの座標は(r,θ)で表わされる。
【0074】
図4(a)において、この入力画像11aを、ドーナツ状に切り出して、撮像面とレンズ光軸との交点10bからの距離ro、角度θoである内円の一方のコーナ点PO(ro,θo)を基準に切り開いて引き伸ばし、図4(b)に示すような四角いパノラマ画像13に変換するための座標変換式は、パノラマ画像13上の点の座標をP(x,y)とすると、
x=θ−θo
y=r−ro
と表される。
【0075】
ここで、入力画像11a上の点の座標をP(X,Y)、その中心10bの座標をO(Xo,Yo)とすると、
X=r×cosθ+Xo
Y=r×sinθ+Yo
から、
X=(y+ro)cos(x+θo)+Xo ・・・(2)
Y=(y+ro)sin(x+θo)+Yo ・・・(3)
と表わされる。
【0076】
次に、透視変換処理について、図5を用いて説明する。
【0077】
図5は、図2の画像変換部2aにおける透視変換処理について説明するための図である。
【0078】
図5において、透視変換の座標変換処理では、空間上の点から、その点が画像上のどの位置に対応するかを計算し、その点の画像情報を透視変換後の対応する座標位置に割り当てる方法が適用される。
【0079】
空間上の点の座標をP(tx,ty,tz)(またはP(X,Y,Z))とし、対応する画像11a上の点の座標をR(r,θ)(rはレンズ6の光軸12と撮像素子の撮像面10との交点10bからの距離、θはZ軸回りの回転角)とし、レンズ6の焦点距離(レンズ6と撮像面10との距離)をFとし、さらに、双曲面ミラー5のミラー定数をa,b,cとすると、
r=F×tan((π/2)−β) ・・・(4)
但し、β=arctan(((b2+c2)×sinα−2×b×c)/(b2−c2)×cosα)
α=arctan(tz / √(tx2+ty2))
θ=arctan(ty/tx)
となる。なお、αは、双曲面ミラー5の第1の焦点C1を含む水平面から空間上の点Pに対する俯角であり、βは、第2の焦点9を含む水平面から双曲面ミラー5の入射点に対する天頂角である。
【0080】
これらの式を整理すると、
r=F×(((b2−c2)×√(tx2+ty2))/((b2+c2)×tz−2bc×√(tx2+ty2+tz2))) ・・・(4’)
となる。
【0081】
さらに、画像11a上の点の座標を極座標系から直行座標系に変換し、R(X,Y)と表すと、
X=rcosθ
Y=rsinθ
から、
X=F×(((b2−c2)×tx/((b2+c2)×tz−2bc×√(tx2+ty2+tz2))) ・・・(5)
Y=F×(((b2−c2)×ty/((b2+c2)×tz−2bc×√(tx2+ty2+tz2))) ・・・(6)
となる。
【0082】
ここで、双曲面ミラー5の第1の焦点C1から、距離R、俯角φ(図5ではα)、Z軸周りの回転角θである透視空間上に幅W、高さhの画像平面(仮想平面)14について考える。この平面14上の点、例えば右上コーナの点の座標P1(tx、ty、tz)は下記式(7)〜(9)で表される。
【0083】
tx=(Rcosφ+h/2sinφ)cosθ−W/2sinθ・・・(7)
ty=(Rcosφ+h/2sinφ)sinθ−W/2cosθ・・・(8)
tz=Rsinφ−h/2cosφ ・・・(9)
したがって、上記式(7)〜(9)を式(5)および(6)に代入することによって、入力画像面11a上の点の座標(X,Y)を、下記式(10)および(11)に示すように、極座標形式で表すことができる。
【0084】
X=F×(((b2−c2)×((Rcosφ+h/2sinφ)cosθ−W/2sinθ)/((b2+c2)×(Rsinφ−h/2cosφ)
−2bc×√(R2+W2+h2))) ・・・(10)
Y=F×(((b2−c2)×((Rcosφ+h/2sinφ)sinθ−W/2cosθ)/((b2+c2)×(Rsinφ−h/2cosφ) −2bc×√(R2+W2+h2))) ・・・(11)
ここで、透視画面サイズをピクセル単位でa,bとすると、仮想平面の幅WをW/aステップで、高さhをh/bステップで、W〜―W、h〜―hまで変化させたときに、それぞれの仮想平面14上の点に対応する入力画像11aの画像データを並べることによって、透視画像が得られる。
【0085】
上記構成により、画像処理手段2の動作について説明する。
【0086】
まず、表示手段3では、信号ケーブル3aを介して画像処理手段2で処理された画像データが入力されると、その画像データが映像として表示される。このとき、表示制御手段4により制御ライン4aを介して画像処理手段2の変換パラメータであるa,b,c,R,W,h(パノラマ変換では、上記式(2)および(3)からro、θo、Xo、Yoが必要で、透視変換では、上記式(10)および(11)から、F、b、c、R、h、W、θ、φが必要)などが指定される。
【0087】
画像処理手段2では、CPU23によって、それらの変換パラメータに基づいて、表示手段3に表示させる画像(画像処理手段2により変換されるパノラマ画像および透視画像など)の種類、画像の向き、画像のサイズなどの選択調整が行われる。
【0088】
例えば図4において、PO(ro,θo)のθoを変化させることにより、パノラマ画面での中心視野方向(図4A参照;撮像素子の撮像面の有効領域18、ミラー光像19、パノラマ画像28)を変化させることが可能である。また、図5において、θ、α、W、hを変化させることにより、透視画面の向きと画面サイズを変化させることが可能である。
【0089】
以上により、本発明によれば、双曲面ミラー5とレンズ6とからなる光学系1aと、光学系で集光された光学像を撮像する撮像素子7とを含む撮像手段1bとを有する広角カメラ1において、光学系1aで集光されたミラー光像のうち、撮像対象となる所定視野領域が撮像面の有効領域10に拡大されて結像されるべく、レンズ6の光軸12と、撮像素子7の撮像面の有効領域中心10aとが、撮像面上で所定の距離を有するように、光学系1aと撮像素子7との相対位置関係を調整するため、撮像素子7の画素数を多くすることなく、元々の画素数を有効に用いることができて、解像度が高い画像を得ることができる。
【0090】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、双曲面ミラーなどの凸型回転体ミラーおよびレンズを含む光学系と、その光学系で集光された光学像を撮像するCCDやCMOSイメージャなどの撮像素子を含む広角カメラにおいて、カメラの周囲360度を撮像する必要がない場合に、光学系と撮像素子との相対的な位置を調整して、光学系の光軸と撮像素子の撮像面の有効領域中心とを、少なくとも撮像対象視野光を撮像画面上に拡大投影するべく、撮像面上で所定の距離を有するようにずらせた配置とすることによって、光学系で集光された光学像のうち、必要な部分(撮像対象)だけが撮像素子の撮像面有効領域に結像させて、拡大表示することができる。これによって、従来の場合と同じ画素数の撮像素子を用いても、解像度の高い画像を得ることができる。
【0091】
また、本発明では、従来の全方位カメラおよびこれを用いた全方位カメラシステムと、機構および部品の多くが共通しており、従来技術からの変更点を最小限に抑えることができるため、低コストで高解像度の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態である広角カメラの光学系と撮像手段との配置例を模式的に示す斜視図および、(b)は、(a)の広角カメラによるミラー像と撮像素子7の撮像面有効領域との配置関係を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態である広角カメラシステムの構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の画像処理手段の構成例を示すブロック図である。
【図4】(a)および(b)はそれぞれ、図2の画像処理手段によるパノラマ変換処理について説明するための図である。
【図4A】図4のパノラマ画面での中心視野方向の変化について説明するための図である。
【図5】図2の画像処理手段による透視変換処理について説明するための図である。
【図6】(a)は、従来の全方位カメラの光学系と撮像手段との配置例を模式的に示す斜視図および、(b)は、(a)の全方位カメラによるミラー像と撮像素子の撮像面有効領域との配置関係を示す平面図である。
【図7】従来の全方位カメラシステムの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 広角カメラ
1a 光学系
1b 撮像手段
2 画像処理手段
2a 画像変換部
2b 出力バッファメモリ
3 表示手段
3a 信号ケーブル
4 表示制御手段
4a 制御ライン
5 双曲面ミラー
6 レンズ
6a レンズの主点
7 撮像素子
8 座標原点
C1 第1の焦点
9 第2の焦点
10、18 撮像素子の撮像面の有効領域
10a 撮像面の有効領域の中心
10b 光軸中心と交差する撮像素子の撮像面の位置
11a、19 ミラー光像
12 レンズの光軸
13、28 パノラマ画像
14 仮想平面
21 A/Dコンバータ
22 入力バッファメモリ
23 CPU
24 LUT
25 画像変換ロジック
26 バスライン
100A 広角カメラシステム
Claims (12)
- 光学系と、該光学系で集光された光学像を撮像する撮像素子とを含む広角カメラにおいて、
該光学系の光軸と該撮像素子の撮像面の有効領域中心とが、少なくとも撮像対象視野光を撮像画面上に拡大投影するべく、該撮像面上で所定の距離を有するように該光学系および該撮像素子が配置されている広角カメラ。 - 前記光学系の光軸と前記撮像素子の撮像面の有効領域中心との距離は、前記光学系で集光された光学像のうち、撮像対象となる所定視野領域の光学像が該撮像面の有効領域に結像されるように設定されている請求項1に記載の広角カメラ。
- 前記光学系の光軸と前記撮像素子の撮像面の有効領域中心との距離は、前記光学系と該撮像素子との相対的な位置関係により設定されている請求項1に記載の広角カメラ。
- 前記撮像素子の有効撮像面が長方形状であり、前記光学系で集光された光学像の一部が該長方形の短辺および長辺方向いっぱいに結像されている請求項1に記載の広角カメラシステム。
- 前記光学系は、凸型回転体ミラーとレンズとを含み、該凸型回転体ミラーの回転軸を該レンズの光軸と一致させ、かつ、該凸型回転体ミラーの凸部を該レンズ側に向けて配置されている請求項1に記載の広角カメラ。
- 前記凸型回転体ミラーは、2葉双曲面のうちの一方の双曲面状の形状を有する反射ミラーであり、該双曲面の第2の焦点位置に前記レンズの主点が一致するように配置されている請求項5に記載の広角カメラ。
- 前記撮像素子は固体撮像素子である請求項1に記載の広角カメラ。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の広角カメラと、該広角カメラで撮像された画像情報に対して表示用に所定の演算処理を施す画像処理手段とを有する広角カメラシステム。
- 前記画像処理手段で演算処理された画像情報を表示画面上に表示する表示手段をさらに有する請求項8に記載の広角カメラシステム。
- 前記表示手段の表示画面上に表示される画像の選択および画像サイズを制御する表示制御手段をさらに有する請求項9に記載の広角カメラシステム。
- 前記画像処理手段による演算処理には、前記広角カメラで撮像された画像情報に対して、極座標系から直交座標系への変換処理が含まれている請求項8に記載の広角カメラシステム。
- 前記極座標系から直交座標系への変換処理には、パノラマ変換処理および透視変換処理の少なくとも何れかが含まれている請求項11に記載の広角カメラシステム。
Priority Applications (1)
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JP2003164434A JP2005005816A (ja) | 2003-06-09 | 2003-06-09 | 広角カメラおよび広角カメラシステム |
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JP2003164434A JP2005005816A (ja) | 2003-06-09 | 2003-06-09 | 広角カメラおよび広角カメラシステム |
Publications (1)
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Country | Link |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012215855A (ja) * | 2011-03-31 | 2012-11-08 | Mitsubishi Electric Research Laboratories Inc | 非中央カタディオプトリック光学系において投影を求める方法およびシステム |
US9143630B2 (en) | 2012-08-27 | 2015-09-22 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Photographing device with a mirror to photograph a display |
KR20160118868A (ko) * | 2015-04-03 | 2016-10-12 | 한국전자통신연구원 | 하나의 룩업 테이블을 이용한 파노라마 영상 출력 시스템 및 방법 |
WO2023145690A1 (ja) * | 2022-01-26 | 2023-08-03 | キヤノン株式会社 | 画像処理システム、移動体、撮像システム、画像処理方法、及び記憶媒体 |
-
2003
- 2003-06-09 JP JP2003164434A patent/JP2005005816A/ja active Pending
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