JP2005085548A - 光源装置及び車両用前照灯 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 窒化物半導体層と一対の電極層とからなる発光素子が、該発光素子から照射される光を励起源とする蛍光体層をその表面に備え、かつ、車両用配光パターンと略相似な配光パターンを有するように複数個配置されて構成されており、前記車両用配光パターンは、鉛直方向に延びる中心線の一方向側において、上端に所定の水平カットラインを有し、他方向側において、中心線側が低くなる斜めカットラインを有するものである光源装置及びこれを用いた車両用前照灯。
【選択図】 なし
Description
このような光源装置は、高輝度及び高光束の光を発光させることが、その特性として求められる。しかし、これらの特性を満足するまでには至っていないのが現状である。
また、発光素子は、高輝度化に加えて、白色を呈するものが実用化されつつあり、従来のハロゲンランプに変わる光源としての期待も高まっている。例えば、発光素子を、車両用前照灯となるヘッドランプとして用いることが考えられている。
しかし、光の配光や照度などの点において、発光素子を用いた光源装置は、未だ車両用の前照灯、特にヘッドランプとしての特性を満たしておらず、実用化が望まれるところである。
さらに、本発明の車両用前照灯は、上記の光源装置における発光素子の発光面が鉛直方向と平行に配置され、かつ該発光面の正面に、前記発光面上に焦点を有するレンズが配置されて構成されることを特徴とする。
ここで、車両用配光パターンとは、鉛直方向に延びる中心線の一方向側(例えば、右側)において、上端に所定の水平カットラインを有し、他方向側(例えば、左側)において、中心線側が低くなる斜めカットラインを有するようなパターンを意味する。なお、このパターンは、車両が一般道路を走る場合、左側通行であり、対向車線が右側、歩行者及び道路標識が左側に配置することに基づくものである。本明細書においては、車両が左側通行である場合について説明するが、左右が逆になる場合もあり得る。
斜めカットラインの一端は、配光パターンの水平方向の中央付近、好ましくは中点で、水平カットラインと交差する。他端は、配光パターンが路面及び道路標識等を照らすことを考慮して、水平カットラインに平行か、あるいは、逆斜め方向に延びるカットラインに結合することが適当である。
一方向側の水平カットラインは、上述のH−Vグラフ(但し、−20°≦H≦20°、−5°≦V≦5°、好ましくは−15°≦H≦15°、−5°≦V≦5°)内において、0°≦H≦15°かつV=0°で表される直線に対応させることができる。また、斜めカットラインは、H=V=0°及びH=−1°、V=1°を通る直線に対応させることができる。さらに、斜めカットラインの他端は、−15°≦H≦−1°かつV=1°で表される直線と結合してもよいし、−20°≦H≦−5°、例えば、H=−20°、−15°又は−10°かつV=0°を通るいずれかの直線等と結合してもよい。
なお、このような配光パターンにおける位置は、別の観点から、上述したH−Vグラフにおける点H=−2°かつV=−1°の±1°の領域、言い換えると、−3°≦H≦−1°かつ−2°≦V≦0°の領域に対応する位置として表すことができる。
また、別の観点から、上述したH−VグラフにおけるH=−1.5〜−7.5°かつ0°<V≦1.5°の領域に対応する位置としてもよい。
また、上述の位置に対応する発光素子として、他の位置の発光素子における発光光よりも長いピーク波長を有するためには、発光素子を構成する半導体の組成、膜厚、層構造、ドーピング濃度、電極材料、電極構造等の種々の要件を適宜調整するか、ピーク波長を長くし得る蛍光体層を組み合わせることが適当である。
このような発光素子は、例えば、440nm〜480nm程度、好ましくは460nm〜470nm程度、さらに好ましくは460nm程度をピーク波長とし、紫外光から可視光において強い発光を示す。また、後述するような蛍光体を用いて蛍光体層を形成することにより、効率良く励起できる比較的短波長の光を、効率よく発光することができる。
なお、基板は、基板上に下地層などが形成されたものを用いてもよい。下地層としては、特にその上に形成される半導体層に対して異種基板を用いた場合、例えば、結晶核形成層及び核成長層として、AlxGa1−xN(0≦x≦1)を低温(200〜900℃)で成長させた低温成長バッファ層と、その上に形成される単結晶かつ高温成長層とからなるバッファ層等が挙げられる。膜厚は、例えば、50Å〜0.1μm程度が挙げられる。また、ELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)として知られるような層を設けてもよい。つまり、基板上又は下地層上に、島状部(凸部、マスク開口部)などの成長部を他の領域に比べて優先的又は選択的に成長させて、各選択成長部が横方向に成長して接合、会合することで層を形成するような成長層を設けてもよい。これにより結晶性、特に結晶欠陥を低減させた素子構造を得ることができる。下地層は、発光素子構造として動作部に含めてもよいが、通常、発光素子構造の成長用のためにのみ用いられて、発光素子として機能しない非動作部として設けられる。
窒化物半導体層は、MOVPE(有機金属気相成長法)、HVPE(ハライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)、MOCVD(有機金属化学気相成長法)等の種々の方法で形成することができる。なかでも、MOCVD、MBEにより形成することが好ましい。
この層により、比較的不純物濃度が高い面内拡散層による結晶性の悪化を回復し、その上に成長させる層の結晶性を良好にすることができる。また、得られた発光素子の駆動時には、高濃度の不純物を含有する層に隣接して低濃度不純物層又はアンドープ層が設けられることで、キャリアの面内拡散を促進させることができ、さらに耐圧性も向上させることができる。
さらに、発光層は、量子井戸構造の活性層を用いることが好ましい。例えば、井戸層が1つの単一量子井戸構造、さらに好ましくは、複数の井戸層が障壁層を介して積層した構造の多重量子井戸構造である。井戸層は、InGaN層を用いるものが好ましく、障壁層として、井戸層よりバンドギャップエネルギーが大きくなるような層、例えばInGaN、GaN、AlGaN等を設けることが好ましい。井戸層及び障壁層の膜厚は、30nm以下、好ましくは20nm以下であり、特に井戸層は10nm以下とすることで、量子効率に優れた発光層が得られる。井戸層及び障壁層は、各導電型層のドーパントがドープされていてもよいし、ドープされていなくてもよい。
クラッド層は、Alを含む窒化物半導体、さらにAlGaN層を用いることが好ましい。さらにクラッド層は、発光層に近接又は接触して形成されることにより、発光層の効率を高めることができる。
また、コンタクト層とクラッド層との間にそれらの層より低濃度の不純物層を介在させることにより、耐圧性に優れた素子を得ることができる。
さらに、コンタクト層を高濃度にドープすることにより、結晶性を改善することができる。コンタクト層は、電極を接続する領域の下方において発光するため、その面内でキャリアを拡散させる層としても機能し得る。また、電極により面内での電流拡散として機能させることで、窒化物半導体における低い移動度のp型キャリアの拡散を補助することができる。さらに、コンタクト層の膜厚を他の層(クラッド層、介在低濃度層)よりも小さくし、他の層よりも高濃度に不純物ドープすることにより、高キャリア濃度の層を形成して、電極からのキャリアの注入を効率的に行うことができる。
例えば、第1導電型層、発光層及び第2導電型層がこの順に積層されている場合には、部分的に第2導電型層と発光層、任意に第1導電型層の膜厚方向の一部が除去されることにより露出した第1導電型層の上面に第1電極が、第2導電型層の上面に第2電極が形成されていることが適当である。
第1及び第2電極は、当該分野で公知の方法、例えば、電極材料膜を半導体層上のほぼ全面に形成した後、フォトリソグラフィ及びエッチング工程、リフトオフ法、EB法等によりパターニングすることにより形成することができる。
体層を備える。
蛍光体層は、発光素子の半導体層から放出された可視光や紫外光の一部を吸収し、その吸収した光の波長と異なる波長を有する光を発光する、つまり、発光素子の発光層から発光された光によって励起され、波長変換した光を発光する蛍光体を、例えば、結着剤として機能する樹脂(エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ユリア樹脂等)や無機材料(ガラス、酸化珪素、酸化アルミニウム等の透光性材料)等を用いて、任意に拡散剤(チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、炭酸カルシウム、二酸化珪素等)を添加して、光が透過する程度に薄いドット状、層状等に形成されてなる。なお、蛍光体層は、発光素子の電極又は基板上(任意に保護層等を介して)に形成してもよいし、発光素子が封止又はモールドされる場合には、その表面に形成してもよい。
(1)セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(以下、「YAG系蛍光体」と呼ぶ)、
(2)アルミニウム・ガーネット系蛍光体、
(3)窒化物系蛍光体、
(4)アルカリ土類金属塩系蛍光体、
(5)銅で賦活された硫化カドミ亜鉛(ZnCdS:Cu)、Y2O2S:Eu、La2O2S:Eu、CaS:Eu、SrS:Eu、ZnS:Mn、ZnCdS:Ag,Al、ZnCdS:Cu,Al等の蛍光体、
等が挙げられる。
(Re1-xSmx)3(Al1-yGay)5O12:Ce蛍光体は、ガーネット構造のため、熱、光及び水分に強く、特に、高輝度で長時間使用する場合に好適である。また、励起スペクトルのピークを470nm付近に設定することができる。発光ピークは530nm付近にあり、720nmまで裾を引くブロードな発光スペクトルが得られる。
この種の蛍光体としては、具体的には、以下の表2に示すものが挙げられる。
特に、YAG系蛍光体は、Al、Ga、Y、La及びGdやSmの含有量が異なる2種類以上の(Re1-xSmx)3(Al1-yGay)5O12:Ce蛍光体を混合させることにより、RGBの波長成分を増やすことができる。また、現在のところ半導体発光素子の発光波長には、バラツキが生ずるものがあるが、2種類以上の蛍光体を混合することにより、所望の白色系の混色光等を得ることができる。つまり、発光素子の発光波長に合わせて色度点の異なる蛍光体を組み合わせることにより、それらの蛍光体間と発光素子とで結ばれる色度図上の任意の点の光を発光させることができる。
ガーネット構造を有するこの種の蛍光体は、Alの一部をGaで置換することで、発光スペクトルが短波長側にシフトし、また組成のYの一部をGd及び/又はLaで置換することで、発光スペクトルが長波長側へシフトする。このように組成を変化することで発光色を連続的に調節することが可能である。したがって、長波長側の強度がGdの組成比で連続的に変えられるなど、窒化物半導体の青色系発光を利用して白色系発光に変換するための理想条件を備えている。Yの置換が2割未満では、緑色成分が大きく、赤色成分が少なくなり、8割以上では、赤色成分が増えるものの輝度が急激に低下する。
例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光体は、緑色系又は赤色系に発光可能である。緑色系に発光可能な蛍光体は、ガーネット構造のため、熱、光及び水分に強く、励起吸収スペクトルのピーク波長が420nmから470nm付近であり、発光ピーク波長λpは510nm付近にあり、700nm付近まで裾を引くブロードな発光スペクトルを有する。また、赤色系に発光可能な蛍光体は、ガーネット構造であり、熱、光及び水分に強く、励起吸収スペクトルのピーク波長が420nmから470nm付近であり、発光ピーク波長λpは600nm付近にあり、750nm付近まで裾を引くブロードな発光スペクトルを有する。
また、この蛍光体は、放射照度として(Ee)=0.1W・cm−2以上、1000W・cm−2以下の発光素子と接するか、近接して配置された場合において、高効率に十分な耐光性を発揮する。
まず、Y、Gd、Ce、La、Al、Sm、Pr、Tb及びGaの原料として酸化物又は高温で容易に酸化物になる化合物を使用し、それらを化学量論比で十分に混合して原料を得る。あるいは、Y、Gd、Ce、La、Sm、Pr、Tbの希土類元素を化学量論比で酸に溶解した溶解液を蓚酸で共沈したものを焼成して得られる共沈酸化物と、酸化アルミニウム、酸化ガリウムとを混合して混合原料を得る。
この原料に、フラックスとしてフッ化アンモニウム等のフッ化物を適量混合して坩堝に入れ、空気中1350〜1450℃の温度範囲で2〜5時間焼成して焼成品を得る。
また、別の製造方法として、蛍光体の原料を混合した混合原料とフラックスからなる混合物を、大気中又は弱還元雰囲気中にて第一焼成を行い、次いで、還元雰囲気中にて第二焼成を行う二段階焼成法が挙げられる。ここで、弱還元雰囲気とは、混合原料から所望の蛍光体を形成する反応過程において必要な酸素量を含むように設定された弱い還元雰囲気のことをいう。弱還元雰囲気中において所望とする蛍光体の構造形成が完了するまで第一焼成工程を行うことにより、蛍光体の黒変を防止し、かつ光の吸収効率の低下を防止することができる。また、還元雰囲気とは、弱還元雰囲気より強い還元雰囲気をいう。このように二段階で焼成すると、励起波長の吸収効率の高い蛍光体が得られる。従って、このように形成された蛍光体を用いることにより、所望の色調を得るために必要な蛍光体量を減らすことができ、光取り出し効率を高めることが可能となる。
これらのうち、アルカリ土類金属系窒化ケイ素、例えば、一般式LXSiYN(2/3X+4/3Y):Eu又はLXSiYOZN(2/3X+4/3Y−2/3Z):Eu(Lは、Sr及び/又はCa、また、X及びYは、それぞれ任意の数をとることができるが、特に、X=2、Y=5又はX=1、Y=7であることが好ましい。)
で表される化合物が好ましい。蛍光体の組成にSiを用いることにより、安価で結晶性の良好な蛍光体を得ることができるからである。
まず、原料のSr、Caを粉砕する。原料のSr、Caは、単体を使用することが好ましいが、イミド化合物、アミド化合物などの化合物を使用してもよい。原料のSr、Caは、アルゴン雰囲気中、グローブボックス内で粉砕を行う。粉砕により得られたSr、Caは、平均粒径が約0.1μmから15μmであることが好ましい。Sr、Caの純度は、2N以上であることが好ましい。より混合状態を良くするため、金属Ca、金属Sr、金属Euのうち少なくとも1以上を合金状態としたのち、窒化し、粉砕後、原料として用いることもできる。
3Sr + N2 → Sr3N2 ・・・(式1)
3Ca + N2 → Ca3N2 ・・・(式2)
Sr、Caは、混合して窒化してもよいし、それぞれ個々に窒化してもよい。
原料のSiを、窒素雰囲気中、例えば、800〜1200℃の温度範囲で約5時間窒化し、窒化物を得る。この反応式を、以下の式3に示す。
3Si + 2N2 → Si3N4 ・・・(式3)
Sr、Caの窒化物及び窒化ケイ素は、高純度のものが好ましいが、市販のものを使用してもよい。
粉砕後のアルカリ土類金属の窒化物、窒化ケイ素及び酸化ユウロピウムの平均粒径は、約0.1μmから15μmであることが好ましい。
最後に、Sr、Ca、Sr−Caの窒化物、Siの窒化物、Eu2O3の混合物をアンモニア雰囲気中で焼成する。
この焼成による基本構成元素の反応式を、以下に示す。
焼成により、Mnが添加された(SrXCa1−X)2Si5N8:Euで表される蛍光体を得ることができる。ただし、各原料の配合比率を変更することにより、目的とする蛍光体の組成を変更することができる。
アルカリ土類金属珪酸塩は、以下のような一般式で表されるアルカリ土類金属オルト珪酸塩が好ましい。
(2−x−y)SrO・x(Ba,Ca)O・(1−a−b−c−d)SiO2・aP2O5bAl2O3cB2O3dGeO2:yEu2+
(式中、0<x<1.6、0.005<y<0.5、0<a、b、c、d<0.5である。)
(2−x−y)BaO・x(Sr,Ca)O・(1−a−b−c−d)SiO2・aP2O5bAl2O3cB2O3dGeO2:yEu2+
(式中、0.01<x<1.6、0.005<y<0.5、0<a、b、c、d<0.5である。)
なかでも、a、b、c及びdの値のうち、少なくとも一つが0.01より大きいものが好ましい。
まず、アルカリ土類金属珪酸塩として選択した組成に応じて、アルカリ土類金属炭酸塩、二酸化珪素及び酸化ユウロピウムの化学量論的量を密に混合する。
次いで、蛍光体の製造に常用の固体反応で、還元性雰囲気のもと、1100℃及び1400℃で所望の蛍光体に変換する。この際、0.2モル未満の塩化アンモニウム又は他のハロゲン化物を添加することが好ましい。また、必要に応じて珪素の一部をゲルマニウム、ホウ素、アルミニウム、リンで置換してもよいし、ユウロピウムの一部をマンガンで置換してもよい。
(式中、0.005<x<0.5、0.005<y<0.5、MeはBa、Sr及びCaの1種以上を示す。)
で示されるアルカリ土類金属−マグネシウム−二珪酸塩等を組み合わせて用いてもよい。
2種以上の蛍光体を組み合わせて用いる場合には、各蛍光体から発光される光や混色光の色ムラを減少させるため、蛍光体の平均粒径及び形状が類似していることが好ましい。ここで、蛍光体の粒径とは、体積基準粒度分布曲線により得られる値である。体積基準粒度分布曲線は、レーザ回折・散乱法により蛍光体の粒度分布を測定して得られるものである。具体的には、気温25℃、湿度70%の環境下において、0.05%の濃度のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に蛍光体を分散し、レーザ回折式粒度分布測定装置(SALD−2000A)により、粒径範囲0.03μm〜700μmにて測定して得られたものである。
例えば、輝度を高めようとする領域には、上述した蛍光体のうち、(1)のYAG蛍光体を用いた蛍光体層を形成することが好ましい。なお、(1)のYAG蛍光体を用いて輝度を高めようとする場合には、(2)〜(5)で表したような他の種類の蛍光体を組み合わせて用いると輝度が低下することがあるため、輝度を高めようとする領域には(1)の蛍光体を用いた1層のみの蛍光体層を形成することが好ましい。
ただし、例えば、440nmよりも短い波長(例えば、紫外光)にピーク波長を有する発光素子を用いるなどの場合、予め発光素子の発光面の全てに440nm〜480nm程度の励起光を発光し得る蛍光体を用いた蛍光体層を形成し、さらに、その上に輝度を高めるための蛍光体層を形成してもよい。
なお、演色性を高めようとする領域にのみ、上述した蛍光体層を形成してもよいが、それ以外の領域には、高演色性の蛍光体層を構成する蛍光体とは異なる(1)〜(5)の蛍光体をそれぞれ1種以上選択して蛍光体層を形成することが適当である。つまり、演色性を高める領域より演色性が高くならない蛍光体を1種又は2種以上を選択し、含有する蛍光体層を、演色性を高める領域以外の領域に形成することが適当である。
なお、演色性を高めようとする場合も、上述したように、予め発光素子の発光面の全てに440nm〜480nm程度の励起光を発光し得る蛍光体を用いた蛍光体層を形成しておいてもよい。
輝度及び/又は演色性を高めようとする領域以外の領域は、蛍光体層を形成しなくてもよいし、どのような蛍光体を用いて蛍光体層を形成してもよい。用いる発光素子の特性、各領域で用いた蛍光体の種類等を考慮して、適宜選択することが適当である。
このような構成により、発光素子の短絡等を防止することができ、発光素子が大気に覆われている場合と比べて、光の取り出し効率を高めることができる。また、発光素子に電気的接続手段としての金属ワイヤー等が接続されている場合には、それらも含めて樹脂で封止又はモールドされていることが適当である。なお、樹脂での封止等は、個々の発光素子を1つづつ行ってもよいが、複数の発光素子を所定のパターンに配列し、それらを一体的に行うことが好ましい。ここでの樹脂としては、成型のしやすさの点で、熱硬化性樹脂が有利である。具体的には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
発光素子を覆う樹脂は、発光素子を中心とする半球状であることが好ましい。これにより、指向性のない発光素子を得ることができる。発光素子から発光される光に指向性がない場合には、発光素子の周辺に反射板等を配置することにより、反射板の反射面全面に均一に光が入射することとなり、所望の配光性を容易に得ることが可能となる。
なお、発光素子は、例えば、半球状のガラス又は樹脂で発光素子が覆われ、さらにガラス又は樹脂内部がシリコーン樹脂等で覆われるように、樹脂とガラスとを又は複数の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
特に、車両用前照灯として用いる場合には、発光素子の発光面が鉛直方向と平行で、かつ車両の前方に向いて配置されていることが適当である。発光面の背面には反射部材が配置されているか、発光面の正面にレンズが配置されているか、その双方が配置されていることが適当である。
また、発光素子の発光面が鉛直方向と平行で、かつ車両の背面に向いて配置されていてもよい。この場合には、発光面の正面に反射部材が配置されていることが必要であり、さらに発光面の背面にレンズが配置されていてもよい。
なお、上記のいずれにおいても、発光光は、電極層側の反対側、つまり基板側から取り出されるように形成されていることが好ましい。
ここで、光源は、熱伝達ユニット上に配された導電性基板、導電性パターン等により外部電極から電力が供給される。
熱伝導性基板は、光源を載置することが可能であり、光源から発生する熱を熱伝達ユニットに伝える機能を有する。熱伝導性基板は、放熱性、光源の出力などを考慮して種々の大きさに形成させることができる。熱伝導性基板は、熱伝達ユニットが接続され、光源から放出された熱を熱伝達ユニット側に効率よく放熱させるため熱伝導性がよいことが好ましい。具体的な熱伝導度は、0.01cal/(s)(cm2)(℃/cm)以上が好ましく、より好ましくは 0.5cal/(s)(cm2)(℃/cm)以上である。
このような熱伝導性基板の材料としては、銅、アルミニウムやりん青銅板表面に銀、パラジウム又は銀、金などの金属メッキや半田メッキなどを施したものが好適に用いられる。このように銀メッキした場合にあっては、光源から出光した光の反射率が高くなり、照明装置の光取り出し効率が向上するため好ましい。また、熱伝導性基板上には、光源に電力を供給する導電性パターンを絶縁部材を介して設けることができる。
また、熱伝達ユニットには、光源に電力を供給する導電性パターンを配した導電性基板を設けてもよい。導電性基板は、種々の形状に加工を施した熱伝達ユニットの表面に添うように装着される。導電性基板の大きさは、導電性パターンを配することが可能な最小限度であり、かつ照射光を遮ることがないように、即ち照明装置を正面から見たとき熱伝達ユニットの影に隠れて導電性基板が見えない状態となるようにする。なお、熱伝達ユニット上には、絶縁部材を介して導電性パターンを直接印刷することにより光源に電力を供給してもよい。
基板としては、サファイアからなる基板上にアンドープAlGaN(膜厚100Å)をバッファ層として有するものを用いた。
n型半導体層としては、アンドープGaN層(15000Å)、SiドープGaN(41000Å)、アンドープGaN層(3000Å)、SiドープGaN(300Å)、アンドープGaN層(500Å)、アンドープGaN(40Å)/InGaN(20Å)10ペアからなる層を順に成長させた。活性層12としては、アンドープGaN層(250Å)及びアンドープInGaN(30Å)/GaN(265Å)6ペアからなる層を成長させた。さらに、活性層上に、p型半導体層として、Mgドープ(ドープ量:5×1019cm−3)AlGaN(40Å)/InGaN(25Å)5ペアからなる層、アンドープAlGaN層(2800Å)、Mgドープ(ドープ量:1×1020cm−3)GaN(1200Å)を成長させた。
p電極を構成するオーミック電極15は、Ni層(60Å)とAu層(100Å)との積層膜とし、パッド電極16は、Ni層とTi層とAu層との積層膜とし、n電極は、W層(200Å)、Al層(1000Å)、W層(500Å)、Pt層(3000Å)、Au層(5000Å)の積層膜を用いた。
得られたLEDを、図3(a)に示したように、9個、フェイスアップでサブマウント基板に、当該分野で公知の方法によって載置した。なお、サブマウント基板は、プラスチック等による透光性基板でもよいし、シリコン等の不透光性基板でもよい。
蛍光体層は、蛍光体として、表2におけるYAG蛍光体No.2−1をアルミナゾルに10:10(アルミナゾル重量:蛍光体重量、以下同じ)で混合し、スプレー法により形成した。なお、蛍光体は、中心粒径10.2μm程度であり、蛍光体層の膜厚は30μm程度であった。このYAG蛍光体を用いた蛍光体層は、図3(a)のAで示されるLEDチップのみに形成した。
得られた光源装置は、配光パターンが図3(b)に示すような形状となり、さらに、図3(b)におけるAの部分において、他の部分よりも輝度が高められていることが確認された。また、図3(b)におけるAの部分の相関色温度、CIE色度座標のy値、出力のいずれもが、他の部分よりも高められていることが確認された。
蛍光体層は、蛍光体として、実施例1と同様に、表2におけるYAG蛍光体No.2−1をアルミナゾルに10:10(重量比)で混合し、スプレー法により形成した。なお、このYAG蛍光体を用いた蛍光体層は、図4(a)のAで示されるLEDチップのみに形成した。
さらに、蛍光体として、表3及び表4における蛍光体No.3−1とNo.4−1又はNo.4−2(No.4−1又はNo.4−2/No.3−1=0.26)とを、アルミナゾルに10:10(重量比)で混合し、スプレー法により形成した。なお、蛍光体は、中心粒径が、それぞれNo.3−1のとき10.2μm程度、No.4−1のとき7.3μm程度、No.4−2のとき7.7μmであり、蛍光体層の膜厚は20nm程度であった。この蛍光体を用いた蛍光体層は、図4(a)のCで示されるLEDチップに形成した。
このようにして9個のLEDチップを搭載し、その表面に蛍光体層を形成したサブマウント基板を、シリコーン樹脂に拡散剤を含有させたモールド部材により封止して、光源装置を得た。
蛍光体層は、蛍光体として、実施例1と同様に、表2におけるYAG蛍光体No.2−1をアルミナゾルに10:10(重量比)で混合し、スプレー法により形成した。なお、このYAG蛍光体を用いた蛍光体層は、図4(a)のAで示されるLEDチップのみに形成した。
また、蛍光体として、表3及び表4における蛍光体No.3−1とNo.4−2又はNo.4−3(No.4−2又はNo.4−3/蛍光体No.3−1=0.15)とを、アルミナゾルに10:10(重量比)で混合し、スプレー法により形成した。なお、蛍光体は、中心粒径が、それぞれ10.2μm程度、No.4−2のとき7.7μm、No.4−3のとき11.3μm程度であり、蛍光体層の膜厚は30nm程度であった。この蛍光体を用いた蛍光体層は、図4(a)のBで示されるLEDチップに形成した。
得られた光源装置は、配光パターンが図4(b)に示すような形状となり、さらに、図4(b)におけるAの部分において、他の部分よりも輝度が高められていることが確認された。また、図4(b)におけるAの部分の相関色温度、CIE色度座標のy値、出力のいずれもが、他の部分よりも高められていることが確認された。さらに、図4(b)におけるBにおいて演色性が高められていることが確認された。
蛍光体層は、蛍光体として、実施例1と同様に、表2におけるYAG蛍光体No.2−1をシリコーン樹脂に3:10(重量比)で混合し、スクリーン印刷法により膜厚20μm程度で形成した。なお、このYAG蛍光体を用いた蛍光体層は、図5のAで示されるLEDチップのみに形成した。
さらに、蛍光体として、表3及び表4における蛍光体No.3−1とNo.4−1又はNo.4−2(No.4−1/No.3−1=0.26又はNo.4−2/No.3−1=0.17)とを、シリコーン樹脂に3:10(重量比)で混合し、スクリーン印刷法により形成した。なお、蛍光体は、中心粒径が、それぞれ10.2μm程度、7.5μm程度であり、蛍光体層の膜厚は20nm程度であった。この蛍光体を用いた蛍光体層は、図5のCで示されるLEDチップに形成した。
得られた光源装置は、配光パターンが図4(b)に示すような形状となり、さらに、図4(b)におけるAの部分において、他の部分よりも輝度が高められていることが確認された。また、図4(b)におけるAの部分の相関色温度、CIE色度座標のy値、出力のいずれもが、他の部分よりも高められていることが確認された。さらに、図4(b)におけるBにおいて演色性が高められていることが確認された。
得られた光源装置は、上記に加えて、図4(b)におけるBにおいて、配光パターンの他の部分よりも演色性が高められていることが確認された。
得られた前照灯24の配光パターンは、ほぼ図3(b)及び図4(b)に示す配光パターンを示すことが確認された。
得られた前照灯34の配光パターンは、ほぼ図3(b)及び図4(b)に示す配光パターンを示すことが確認された。
得られた前照灯の配光パターンは、ほぼ図3(b)及び図4(b)に示す配光パターンを示すことが確認された。
得られた照明装置の配光パターンは、ほぼ図4(b)及び図5(b)に示す配光パターンを示すことが確認された。
11 n型半導体層
12 発光層
13 p型半導体層
14 n電極
15 透光性電極
16 パッド電極
21、31 発光素子
22、32 光源装置
23 反射部材
33 凸レンズ
24、34 車両用前照灯
101 照明装置
102 ヒートパイプ
103 反射ユニット
104 端子
105 ヒートパイプの端部
901 発光素子
904 導電性基板
Claims (21)
- 窒化物半導体層と一対の電極層とからなる発光素子が、該発光素子から照射される光を励起源とする蛍光体層をその表面に備え、かつ、車両用配光パターンと略相似な配光パターンを有するように複数個配置されて構成されており、前記車両用配光パターンは、鉛直方向に延びる中心線の一方向側において、上端に所定の水平カットラインを有し、他方向側において、中心線側が低くなる斜めカットラインを有するものであることを特徴とする光源装置。
- 斜めカットラインの他端が、水平カットラインに平行か又は逆斜め方向に延びるカットラインに結合する請求項1に記載の光源装置。
- 斜めカットラインが、水平カットラインから30〜60°傾斜したラインである請求項1又は2に記載の光源装置。
- 斜めカットラインの一端が、中心線と水平カットラインとの交点で交差する請求項1〜3のいずれか1つに記載の光源装置。
- 一方向側の水平カットラインが、JIS D 5500での配光測定点表示のH−Vグラフ(但し、−15°≦H≦15°、−5°≦V≦5°)において、0≦H≦15°かつV=0°で表される直線に対応する請求項1〜4のいずれか1つに記載の光源装置。
- 斜めカットラインが、JIS D 5500での配光測定点表示のH−Vグラフ(但し、−15°≦H≦15°、−5°≦V≦5°)において、H=V=0°及びH=−1°、V=1°を通る直線に対応する請求項1〜5のいずれか1つに記載の光源装置。
- 斜めカットラインの他端が、JIS D 5500での配光測定点表示のH−Vグラフ(但し、−15°≦H≦15°、−5°≦V≦5°)において、−15≦H≦−1°かつV=1°で表される直線に結合する請求項2〜6のいずれか1つに記載の光源装置。
- 車両用配光パターンの鉛直方向に延びる中心線の他方向側であって、中心線の上部近傍に対応する位置の発光素子が、他の位置の発光素子よりも高い相関色温度を有するような蛍光体層を備える請求項1〜7の何れか1つに記載の光源装置。
- 車両用配光パターンの鉛直方向に延びる中心線の他方向側であって、中心線の上部近傍に対応する位置の発光素子が、他の位置の発光素子よりも高いCIE色度座標のy値を有するような蛍光体層を備える請求項1〜7の何れか1つに記載の光源装置。
- 車両用配光パターンの鉛直方向に延びる中心線の他方向側であって、中心線の上部近傍に対応する位置の発光素子が、他の位置の発光素子よりも高い光出力を有するように配置されてなる請求項1〜9のいずれか1つに記載の光源装置。
- 車両用配光パターンの鉛直方向に延びる中心線の他方向側であって、中心線の上部近傍に対応する位置が、JIS D 5500での配光測定点表示のH−Vグラフ(但し、−15°≦H≦15°、−5°≦V≦5°)における点H=−2°かつV=−1°の±1°の領域に対応する位置である請求項8〜10のいずれか1つに記載の光源装置。
- 車両用配光パターンの他方向側の上端部の一部に対応する位置の発光素子が、他の位置の発光素子よりも高い演色性を有するような蛍光体層を備える請求項1〜11のいずれか1つに記載の光源装置。
- 車両用配光パターンの他方向側の上端部の一部に対応する位置の発光素子が、他の位置の発光素子よりも長いピーク波長を有する請求項1〜12のいずれか1つに記載の光源装置。
- 車両用配光パターンの他方向側の上端部の一部に対応する位置が、一方向側の水平カットラインの延長線よりも上の領域である請求項12又は13のいずれか1つに記載の光源装置。
- 車両用配光パターンの他方向側の上端部の一部に対応する位置が、該車両用配光パターンの他方向側端部から、車両用配光パターン長の1/4〜1/2の範囲内に位置する請求項12〜14のいずれか1つに記載の光源装置。
- 車両用配光パターンの他方向側の上端部の一部に対応する位置が、JIS D 5500における配光測定点表示のH−Vグラフ(但し、−15°≦H≦15°、−5°≦V≦5°)において、H=−1.5〜−7.5°かつ0°<V≦1.5°の領域に対応する位置である請求項12〜15のいずれか1つに記載の光源装置。
- 発光素子が同じ形状、同じ大きさで複数個配列されてなる請求項1〜16のいずれか1つに記載の光源装置。
- 発光素子が異なる形状及び/又は異なる大きさの発光素子を含んで複数個配列されてなる請求項1〜16のいずれか1つに記載の光源装置。
- 請求項1〜18に記載の光源装置における発光素子の発光面が鉛直方向と平行に配置され、かつ該発光面の正面又は背面に、前記発光面上に焦点を有する放物面を有する反射部材が配置されて構成されることを特徴とする車両用前照灯。
- 発光素子に対して反射部材と異なる側に、さらに、発光面上に焦点を有するレンズが配置されてなる請求項19に記載の車両用前照灯。
- 請求項1〜18に記載の光源装置における発光素子の発光面が鉛直方向と平行に配置され、かつ該発光面の正面に、前記発光面上に焦点を有するレンズが配置されて構成されることを特徴とする車両用前照灯。
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