近年、携帯機器などを含む各種電子機器は、表示内容に対応してペンまたは指での押圧操作で座標位置入力ができるタッチパネルを使用する形態のものが普及している。
このタッチパネルとしては、いくつかの方式のものがあるが、最も多く使用されている抵抗膜アナログ方式のタッチパネルについて、以下に図面を用いて説明する。
なお、各図面においては構成が理解し易いように厚み方向の寸法を拡大して示している。
図13は従来のタッチパネルの上面図、図14は同分解斜視図、図15は同図13のA−A線における断面図である。
同図において、1は、光透過性の第一透明基板であり、この第一透明基板1の上面には、スパッタリング等によって酸化インジウム・スズ(以下ITOと言う。)等からなる第一透明導電膜2が全面に形成されている。
そして、図13中に点線で示す第一透明基板1の中央領域が、矩形状に構成される当該タッチパネルの操作領域であり、前記第一透明導電膜2上の当該領域位置には、絶縁性のエポキシ樹脂等による微小寸法のドットスペーサ5(図15参照)が所定ピッチで設けられている。
なお、前記第一透明基板1としては、ガラス板、シート状に加工されたポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等、または二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等の材質のものが用いられる。
そして、3は、第一透明基板1と対向配置された光透過性の第二透明基板であり、その下面にはスパッタリング等によりITO等からなる第二透明導電膜4が全面に形成されており、前記ドットスペーサ5が設けられたタッチパネルの操作領域内を含み、第一透明導電膜2と第二透明導電膜4とは、所定の間隔を維持した対向状態に配されている。
なお、前述のように、第一透明導電膜2と第二透明導電膜4は、いずれも各基板1と3の全面に構成された状態のもの、つまり不要部分がエッチングされていないエッチングレスのものを用いている。
そして、この第一透明基板1と第二透明基板3とは、前記操作領域外方を囲うようにして設けられた枠状の外周部で接着されて前記対向状態が維持されている。
なお、操作される側となる第二透明基板3の上面には、ペンまたは指での操作時において発生しやすいキズ等などの発生を保護するため、アクリル系樹脂からなる鉛筆硬度3Hのハードコート層6が設けられている。
また、7は、第一透明導電膜2および第二透明導電膜4のそれぞれと電気的に接続される外部機器接続用のFPCである。
ここで、前記第一および第二透明基板1および3間を接着している外周部の構成について説明するが、以下、図14の図示状態に合わせ、FPC7が設置された側を前方側として説明する。
そして、図14および図15に示すように、第一透明基板1は、全面に形成された第一透明導電膜2上の操作領域周囲の外方部分において、その前辺端部と左右の側辺端部位置に、絶縁性材料からなるアンダーコートレジスト11がコの字状で形成されている。
このアンダーコートレジスト11は、通常、エポキシ系樹脂やアクリル系UV樹脂等を用いて、スクリーン印刷で形成されている。
なお、このアンダーコートレジスト11は、絶縁性確保のために二回の重ね印刷で構成されることも多い。
そして、第一透明導電膜2上には、直線状の電極12が、アンダーコートレジスト11のコの字内の前方位置、および第一透明基板1の後辺端部位置に、各々形成されている。
この一対の電極12どうしは、互いに平行関係で、各々、第一透明導電膜2上に直接、電気的接続状態で配されている。
そして、前記一対の電極12各々と繋がる配線パターン12Aは、第一透明基板1上に全面に形成された第一透明導電膜2との不用意な電気的接触を防止するために、前記アンダーコートレジスト11上を引き回され、その端部は、第一透明基板1の前辺中央位置に集められている。
また、当該基板1のアンダーコートレジスト11上には、第二透明基板3の第二透明導電膜4用の配線パターン13Aも引き回されており、その端部は、同様に第一透明基板1の前辺中央位置に集められている。
一方、第二透明基板3の第二透明導電膜4上には、前記電極12と直交する位置関係となる左右の対辺の端部位置に、直線状の電極14が各々形成されている。
この電極14どうしも、互いに平行関係で、各々、第二透明導電膜4上に直接、電気的接続状態で配されている。
そして、前記電極14の各々には、前記配線パターン13A上に配された電気的接続導体15の上端が接続されており、この電気的接続導体15を介して、前記各電極14は基板1上の配線パターン13Aに電気的に接続されている。
そして、前記のように各層などが形成された第一透明基板1において、電極12、配線パターン12Aや13Aの上面を、枠状にオーバーコートレジスト16で覆い、さらに、その上方に重ねて枠状に配した粘着剤17を第二透明基板3に接着させることにより、第一透明基板1と第二透明基板3とは対向状態で接着されて配されている。
次に、前記のように構成された従来のタッチパネルの動作について説明する。
まず、第二透明基板3上方から指またはペンで所定位置を押圧操作することによって、第二透明基板3は操作箇所を中心として部分的に下方に撓み、当該操作箇所に応じた第一透明導電膜2と第二透明導電膜4の部分が接触する。
このとき、上記操作箇所以外は、ドットスペーサ5で規制され、非接触の状態が維持されている。
そして、この状態で、第一透明導電膜2および第二透明導電膜4の電極12および電極14に所定電圧を交互に印加し、その接触点における電圧比率をFPC7を介して導出し、それを元に入力操作位置を外部回路で検出するものであった。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開平4−284525号公報
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図12を用いて説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1を用いて、本発明の請求項1記載の発明について説明する。
なお、以下に図面を用いて説明するが、図面としては構成が理解し易いように厚み方向の寸法を拡大して示している。
図1は本発明の第1の実施の形態によるタッチパネルの上面図、図2は同分解斜視図、図3は同図1のA−A線における断面図である。
同図において、21はソーダガラスからなる外形矩形状の第一透明基板であり、この第一透明基板21の上面には、酸化インジウム・スズ(以下ITOと言う。)等からなる第一透明導電膜22が全面に形成されていると共に、その第一透明導電膜22上中央の操作領域(図1に示す点線内の領域)内の部分には、従来同様に絶縁性のエポキシ樹脂による微小寸法のドットスペーサ20が所定ピッチで設けられている。
一方、31は、厚さ188μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる外形矩形状の第二透明基板であり、この第二透明基板31の下面にはITOからなる第二透明導電膜32が全面に形成され、この第二透明導電膜32が第一透明導電膜22と約20〜500μmの間隔を維持するように、第一透明基板21と第二透明基板31とは対向状態で後述する枠状の外周部で接着されている。
なお、操作される側となる第二透明基板31の上面側には、ペンまたは指での操作時において発生しやすいキズ等などを保護するために、アクリル系樹脂からなる鉛筆硬度3Hのハードコート層33が設けられている。
そして、40は、第一および第二透明導電膜22および32と電気的に接続されたフレキシブル配線基板(以下FPCという。)であり、第一透明基板21外周部の一辺における略中央位置に接着固定されている。
なお、以下、図2の図示状態に合わせ、FPC40が設置された側を前方側として説明する。
そして、図1に示すように、第二透明基板31は、前記FPC40の設置幅分、第一透明基板21よりも小さい矩形状のもので構成されており、FPC40は、上面全面が上方に露出状態で第一透明基板21に装着されている。
ここで、上記両基板21と31との間を接着している枠状の外周部の構成について説明する。
まず、第一透明基板21側から説明すると、図2に示すように、第一透明導電膜22上において、前辺端部および左右の側辺端部位置に、エポキシ系樹脂からなるアンダーコートレジスト23が、上面視コの字状に形成されている。
このアンダーコートレジスト23は、多層が重ねられて構成されていてもよい。
そして、24は、第一透明導電膜22上に互いに平行関係に一対で配された直線状の電極で、その一方は、アンダーコートレジスト23のコの字内の前方位置に、他方は第一透明基板21の後辺端部位置に配されている。
そして、この一対の電極24各々から伸びている配線パターン24Aはアンダーコートレジスト23上を引き回されて、FPC40設置部となる第一透明基板21の前方中央位置に集められ、その端部は前辺端部に向けて導出されている。
なお、前記電極24及び配線パターン24Aは、共に銀粉とポリエステル系樹脂からなっている。
また、アンダーコートレジスト23上の左右の側辺部分にも、各々配線パターン25Aが配されており、この各配線パターン25Aもアンダーコートレジスト23上を引き回されて、第一透明基板21の前方中央位置に集められ、その端部は前辺端部に向けて導出されている。
この配線パターン25Aは、第二透明導電膜32用に配されたものであり、前記電極24及び配線パターン24Aと同様に、銀粉とポリエステル系樹脂からなっている。
そして、左右の側辺位置に配された配線パターン25A上には、同じく銀粉とポリエステル系樹脂からなる電気的接続導体26が各々数ヶ所ずつ配されている。
そして、27は、アンダーコートレジスト23が形成されていない分、他の配線パターン24Aなどよりも低い高さ位置で構成された前記電極24上を覆うようにして配された絶縁層で、段差補正を行い、その膜厚高さ位置を均一化させるために各々の電極24上に直線状で構成されている。
そして、前記アンダーコートレジスト23および絶縁層27で構成される第一透明導電膜22上の枠状の外周部は、前後左右の辺が殆ど同一高さ位置で構成されたものとなる。
なお、前記枠状の外周部の内部領域は、矩形状の操作領域となると共に、この領域内に、前述したドットスペーサ20が形成されている。
以上のようにして構成された枠状の外周部上には、電気的接続導体26を配置してある箇所およびFPC40の設置部分を除いて、絶縁性の確保のため、エポキシ系樹脂からなるオーバーコートレジスト28が、また、さらにその上方に重ねてアクリル系の粘着剤29が各々枠状に形成されている。
このように絶縁層27を設け、段差補正して膜厚高さを均一化させた上に粘着剤29を配しているため、粘着剤29の高さ位置としても、電極24上の部分を含めて、均一高さ位置で配されることとなる。
一方、第二透明基板31の第二透明導電膜32上には、左右の側辺端部位置の各々に、銀粉とポリエステル系樹脂からなる直線状の電極30が互いに平行関係となるよう配されている。
そして、第一透明基板21外周部の最上層に形成された前記粘着剤29に第二透明導電膜32が接着され、電極30付きの第二透明基板31は、第一透明基板21と所定間隔を保った状態で接着固定されている。
そして、前述したFPC40は、下面のみに配線部を有し、この配線部を、アンダーコートレジスト23上の前辺中央に集められた配線パターン24Aおよび25A端部の上方露出部分に、異方性導電フィルム等を介してヒートシールされて電気的かつ機械的に装着されている。
ここで、前記構成のタッチパネルの製造方法について、簡単に説明する。
まず、第一透明基板21の表面に、ITOからなる第一透明導電膜22をスパッタリングにより形成する。
一方、第二透明基板31には、上面にアクリル系樹脂を主成分とする塗料をロールコータにより塗工してハードコート層33を形成し、また下面にスパッタリングにより第二透明導電膜32を形成する。
そして、第一透明基板21の第一透明導電膜22上において、操作領域に対応する部分に、ドットスペーサ20をスクリーン印刷によって形成すると共に、その外周部分に、アンダーコートレジスト23や電極24、配線パターン24A、25A及び膜厚段差補正用の絶縁層27等を前述に説明した構成となるよう印刷形成する。
そして、段差補正用の絶縁層27が形成されて膜厚が均一化された外周部上に重ねて、オーバーコートレジスト28およびさらに上層に粘着剤29を印刷形成する。
このとき、オーバーコートレジスト28および粘着剤29は、枠状の外周部の全周において必要な全幅で、高さ位置が揃った均一状態に容易に形成できる。
一方、第二透明基板31の第二透明導電膜32上には、電極30を左右の側辺端部位置に、各々印刷形成する。
なお、これらの各層やパターンの印刷時に、大きいサイズのガラスやフィルムを用い、個別のタッチパネルが多数個平面的に配置された多丁取りの構成となされていてもよい。
そして、その後、ガラスである第一透明基板21はスクライブ、切断などして、またポリエチレンテレフタレートフィルムである第二透明基板31は切断などして個別のタッチパネルサイズとする。
続いて、第一透明基板21と第二透明基板31とを、第一透明導電膜22と第二透明導電膜32とが対向状態となるように位置決めして貼り合わせる。
その後、外周部の接着性を強固にさせるための外周部押さえ工程とし、第二透明基板31の上方から、外周部の位置を所定温度に設定された治具等で、所定圧力をかけて押さえ込む。
このとき、粘着剤29は、枠状の外周部全周に亘って必要な幅全体が均一高さ位置の状態に印刷形成できているため、その熱や圧力が均一的に伝導されて作用し、この押さえ治具での押さえ工程においても、工数低減が図れ、かつその接着状態としても、枠状の外周部全域に亘って確実に接着されたものが容易に得られる。
そして、次工程として、表面平滑性を安定化させるためのエージング工程等を経たあと、第一透明基板21のFPC40設置部に、異方性導電フィルム等を用いてFPC40をヒートシール接着することにより、タッチパネルとして完成させる。
なお、当該製造仕掛かり品は、従来と同一接着幅の場合に従来同様もしくはそれ以上に強固な接着状態のものとなるため、エージング工程以後の作業も、より安定した状態で組み立て作業が行え、かつFPC40のヒートシール時に伝達される外周部への熱などの影響度合いも低減化されることとなるため、見映えなどに優れた高品質のものが容易に得られる。
また、基板間の外周部での接着状態が、従来のものよりも、枠状の外周部全周に亘って、より確実に接着された強固な接着状態のものとなるため、粘着剤29の幅寸法を狭く設定しても信頼性は確保できる。
前記のように構成される本実施の形態によるタッチパネルの動作は、従来のものと同様に、第二透明基板31の上方から操作領域内の所定位置を、指またはペンで押圧操作することによって、その操作部分を中心として第二透明基板31を部分的に下方に撓ませ、第一透明導電膜22と第二透明導電膜32とを部分的に接触させ、その接触点での電圧比率をFPC40を介して導出し、それを外部回路にて検出するものである。
このとき、前記操作箇所以外は、ドットスペーサ20で規制され、導電膜22と32との間は非接触の状態を維持していることは、従来のものの場合と同じである。
次に、前記構成の本実施の形態1によるタッチパネルの実使用サイズなどの事例につき説明する。
電子機器に搭載されるサイズとして、現在は、7インチ液晶への搭載サイズ(約170mm×110mm)のものが使用頻度が高く、このものにおいて、例えば外周部幅が、電気的接続導体26のある左右の側辺が2〜8mm、前辺が4〜8mm、後辺が1.5〜4mmの幅で、電気的接続導体26を1〜1.5mm角、粘着剤29の幅を電気的接続導体26のある辺の外周部の幅に合わせて2〜8mmのものとした時、60℃95%RHの高温高湿環境下、95℃の高温環境下、−40℃の低温環境下のそれぞれで1000時間以上放置、またはヒートサイクル条件として、−40℃で0.5時間、85℃で0.5時間の雰囲気間移動を1サイクルとして1000サイクル放置した後、確認したところ、タッチパネルの端子間抵抗値、直線性等の主要電気特性の劣化が無く、表面平滑性も初期状態をほぼ維持して、見映え上または品格上の劣化が起こることも無かった。
また、10〜15インチ液晶サイズのものであっても、同様な結果が得られた。
以上の結果は、膜厚均一化のための絶縁層27を設けた結果、外周部全周に亘って必要な全幅で段差のない状態に構成された粘着剤29で、基板21と31とが安定して接着力高く確実に接着固定された結果であると考えられ、当該構成とすれば、表面平滑性や耐環境性に優れたタッチパネルを容易に実現できる。
なお、第一透明基板21としては、上記に例として説明したソーダガラス以外に、メタクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリシクロヘキサジエン系樹脂、ノルボルネン樹脂等の一般的な押し出し成型、キャスティング成型、あるいは射出成型によって形成された樹脂シートや、二軸延伸ポリエステルフィルムやポリカーボネートフィルム等のフィルムを用いてもよく、その厚さは0.1〜10mm、好ましくは0.15〜3mmのものが実用的である。
また、第二透明基板31としては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートの他、二軸延伸ポリエチレンナフタレートや一軸延伸ポリエチレンテレフタレート等の延伸フィルムや、キャスティング法によるポリカーボネートやポリオレフィンフィルムを用いることができ、その厚さは、0.01〜0.4mm、好ましくは0.025〜0.2mmのものが実用的である。
第一透明導電膜22および第二透明導電膜32としては、ITOの他、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、金(Au)薄膜、銀(Ag)薄膜等としてもよく、その形成方法も、上記のスパッタリングの他に、CVD(化学的気相堆積法)、真空蒸着、イオンプレーティング、金属有機物の塗布焼成等を用いても良い。
さらに、アンダーコートレジスト23、オーバーコートレジスト28、膜厚均一化のための絶縁層27は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂の他、ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等を用いることができ、その印刷面との接着性の良いものを選択することが重要である。
電極24、30および配線パターン24A、25A、ならびに電気的接続導体26は、銀粉とポリエステル系樹脂の他、導電粉としては、銀粉とカーボン粉の混合粉や、銅粉、金粉等を用いても良く、また樹脂成分としても、エポキシ系、フェノール系、アクリル系、ウレタン系等、電気抵抗値・密着性・導電粉の分散性・耐環境性等に適したものから適宜選択できる。
外周部を構成する各層の形成方法も、スクリーン印刷以外の印刷方法、例えばオフセット印刷等、あるいは他のインキ塗工方法、例えば描画ヘッドによるインキパターニング塗布方法等を用いても良い。
また、特に、100μm以上の高膜厚を必要とする電気的接続導体26を形成する際には、ディスペンサによるインキ充填方法等を用いることもでき、また、粘着剤29としては両面粘着テープをパターン状に加工して貼り合わせても良い。
そして、膜厚均一化のための段差補正用の絶縁層27は、アンダーコートレジスト23と全く同じ膜厚高さで形成することが理想ではあるが、アンダーコートレジスト23の膜厚に対し、±10〜20μm程度の範囲内であれば同等の効果が得られるようになる。
なお、前記のように絶縁層27を先に印刷形成すると、オーバーコートレジスト28を介して配される粘着剤29の高さ位置がより安定した状態になり易くて好ましいが、先にオーバーコートレジストを印刷形成して、その上方に段差を補正するための絶縁層を形成して、粘着剤29をそのオーバーコートレジストの一部と絶縁層上に配するようにしてもよい。
また、前記には、透明導電膜を基板全面に配したエッチングレスタイプのものを事例として説明したが、操作領域およびその外周などの必要部分のみに透明導電膜を残し、他の部分をエッチングなどで除去したものの場合であっても、基板間を接着する外周部において、膜厚均一化のための段差補正用の絶縁層を含んで外周部を構成すると、基板間の接着安定性に優れるものが容易に得られる。
(実施の形態2)
実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項2および3に記載の発明について説明する。
図4は本発明の第2の実施の形態によるタッチパネルの上面図、図5は同分解斜視図、図6は同図4のA−A線における断面図、図7は同図4のB−B線における断面図である。
なお、実施の形態1の構成と同様の構成部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。
同図に示すように、本実施の形態によるタッチパネルも、第一および第二透明基板21および31が、第一および第二透明導電膜22および32間を所定間隔を維持させた対向状態に枠状の外周部で接着固定され、その前辺側にFPC40が装着されていることは実施の形態1の場合と同じである。
その第二透明基板31としては、図4に示すように、外形が第一透明基板21と殆ど同じ大きさの矩形状で、かつ前記FPC40の設置部分に対応する箇所に、そのFPC40外形よりも若干大きい切り欠き31Aを備えたものを用いてある。
そして、本実施の形態によるタッチパネルは、各種配線引き回し状態を含む枠状の外周部の構成なども実施の形態1によるものと異なり、ここで、その外周部の構成につき説明する。
図5に示すように、第一透明基板21の第一透明導電膜22上には、その後辺端部位置に直線状にアンダーコートレジスト41Aが、また前辺端部位置にも直線状にアンダーコートレジスト41Bが膜厚45μmで各々配されている。
このとき、前辺側のアンダーコートレジスト41Bは、FPC40が設置されるため、実施の形態1によるものと同等の広幅で形成されている。
そして、そのアンダーコートレジスト41A、41Bとは異なる対辺となる第一透明導電膜22上の左右の側辺端部位置に、直線状の電極42が互いに平行関係となるよう各々配されている。
この一対の電極42は、第一透明導電膜22上に直接配され、その各電極42の前方端部から延出された配線パターン42Aは、アンダーコートレジスト41B上を各々引き回されて前方中央位置に集められ、その端部は前辺端部に向けて導出されている。
そして、各電極42上を覆うようにして、アンダーコートレジスト41A、41Bと同一高さになるように、膜厚均一化のための段差補正用の絶縁層43が、左右の側辺端部位置に膜厚45μmで各々形成され、これらアンダーコートレジスト41A、41Bと絶縁層43とで枠状の外周部が構成され、この枠状の外周部に重ねてオーバーコートレジスト44および粘着剤45が形成されている。
一方、第二透明基板31側は、第二透明導電膜32上の前辺および左右の側辺端部位置に、アンダーコートレジスト41Cが膜厚45μmで略コの字状に形成されている。
また、第二透明導電膜32上には、一対の直線状の電極46も直接配されており、その一方の電極46は、コの字状のアンダーコートレジスト41Cで囲まれる領域内の前方位置に、また他方の電極46は、基板31の後辺端部位置に、互いに平行関係で配されている。
この電極46の配置状態であれば、切り欠き31Aを設けたことによって矩形状ではなくなる第二透明導電膜32において、電圧印加時の直線性特性への影響が低減化できる。
そして、前記各電極46から延出された配線パターン46Aは、アンダーコートレジスト41C上で各々第二透明基板31の前方中央位置まで引き回されている。
そして、各電極46上を覆うように、段差補正用の絶縁層47が膜厚45μmで各々形成され、均一高さとなった枠状の外周部上には、さらに枠状のオーバーコートレジスト48が形成されている。
また、第一透明基板21のアンダーコートレジスト41B上には、配線パターン46Bが配されており、前記各配線パターン46Aは、対応する各配線パターン46Bに上下方向で対向し、それぞれ電気的接続導体49で接続されている。
なお、外周部が最も広幅で必要となるFPC40を設置する前方部に電気的接続導体49を設けた当該構成とすると、電気的接続導体49のサイズも大きく構成でき接続安定性にも優れるものとなる。
そして、配線パターン46Bも、前方中央位置に集められ、その端部は前辺端部に向けて導出されている。
この電気的接続導体49を配した部分において、オーバーコートレジスト44と48、粘着剤45は、孔などにより逃がされた状態にしてあることは実施の形態1の場合と同じである。
そして、上側に配された前記オーバーコートレジスト48に粘着剤45が接着されて基板21と31は対向状態で接着固定されている。
なお、以上の外周部を構成する各層の材質などは、実施の形態1のものと同じであるため詳細な説明は省略する。
そして、FPC40は、前記切り欠き31A内で、下面の配線部を前方中央位置に集められた各配線パターン42Aと46B端部にヒートシールされて装着されている。
このとき、FPC40の上面は露出状態であるため、ヒートシール条件設定が容易で、作業性よく装着可能であることは実施の形態1の場合と同じである。
なお、上側に位置するオーバーコートレジスト48下面にも粘着剤を枠状に配し粘着剤どうしで接着する構成としてもよく、この場合には、より確実な接着状態のものを容易に得ることが可能となり、さらに信頼性に優れるものとなる。
このように構成される本実施の形態によるタッチパネルは、いずれにしても所定の広幅で構成する必要のあるFPC40が設置される前方部分を有効活用し、基板21と31とを接着する外周部の前辺部分を除く他の部分の幅寸法を狭く構成することができ、面積効率良く操作領域の広いものにできる。
そして、当該構成においても、枠状の外周部を、段差補正用の絶縁層43と47を含む構成としてあるために、外周部幅が狭いものであっても、基板21と31間の接着状態が安定した表面平滑性や耐環境性などに優れるタッチパネルが実現できる。
なお、本実施の形態によるものの動作や製造方法は、実施の形態1によるものと殆ど同じであるため、説明を省略する。
そして、本実施の形態2によるタッチパネルは、実使用サイズとして、7インチ液晶への搭載サイズ(約170mm×110mm)の大きさのもので、かつ、FPC40および電気的接続導体49の配された前辺の外周部の幅を4〜8mm、他の辺の幅を1.5〜4mm、電気的接続導体49のサイズを1〜1.5mm角、粘着剤45の幅を電気的接続導体49のある外周部の前辺幅に合わせて4〜8mmとした時、60℃95%RHの高温高湿環境下、95℃の高温環境下、−40℃の低温環境下のそれぞれで2000時間以上放置、またはヒートサイクル条件として、−40℃で0.5時間、85℃で0.5時間の雰囲気間移動を1サイクルとして2000サイクル放置した後、確認したところ、タッチパネルの端子間抵抗値、直線性等の主要電気特性の劣化が無く、表面平滑性も初期状態をほぼ維持して、見映え上または品格上の劣化が起こることも無かった。
また、10〜15インチ液晶サイズのものに対しても、同様な結果が得られた。
なお、基板21および31や外周部を構成する各層などは、実施の形態1のものと同様の材質のものを用いることができ、また透明導電膜を必要部分のみ残すようエッチング加工などを施して構成してもよく、さらには、電極配置状態も実施の形態1で説明した位置関係に配置してあってもよい。
(実施の形態3)
実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項4および5に記載の発明について説明する。
図8は本発明の第3の実施の形態によるタッチパネルの上面図、図9は同分解斜視図である。
同図に示すように、本実施の形態によるタッチパネルは、実施の形態2によるものに対し、FPC52の設置状態などが異なるものであり、実施の形態2の構成と同様の構成部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。
同図において、51は、下面全面に第二透明導電膜53が、また上面全面にハードコート層54が構成されたポリエチレンテレフタレート製の第二透明基板であり、この第二透明基板51は、FPC52の設置部分が切り欠かれていない矩形状のもので構成され、第一透明基板21の第一透明導電膜22上に接着固定されたFPC52上に、所定部分がオーバラップするようにして第一透明基板21と対向状態で配されている。
この基板21と51どうしは、膜厚均一化のための絶縁層43、47を含んで構成される枠状の外周部で安定して接着固定されている点は、実施の形態2によるものと同じである。
そして、前記外周部における配線パターンの引き回し状態が、実施の形態2のものとは異なっている。
つまり、図9に示すように、第一透明基板21上の前辺端部位置に配されたアンダーコートレジスト41Bには、左右の側辺端部位置に各々配された電極42から伸びる配線パターン42Aのみが引き回されており、その二本の配線パターン42Aは、第一透明基板21における前方中央位置に集められ、その端部は前辺端部に向けて導出されている。
また、第二透明基板51の前後辺位置に各々配された電極46から伸びる配線パターン46Cは、アンダーコートレジスト41C上を引き回されて、第二透明基板51における前方中央位置に集められ、その端部は前辺端部に向けて導出されている。
そして、FPC52は、所謂、両面基板タイプのものであり、上下面に各々配線部を有し、それぞれ配線パターン46C、42Aに電気的に接続されている。
なお、オーバーコートレジスト44と48、粘着剤45は、FPC52の少なくとも配線部位置に対応する箇所は逃がして構成されている。
また、当該構成のものは、電気的接続導体を必要としない構成であるため、オーバーコートレジスト44と48、粘着剤45には、電気的接続導体を逃がすための孔も設けなくとも済み、各パターン形成が容易にできると共に、外周部前辺位置において、配線パターン46C、42Aを上下各々に配するのみでよいので、実施の形態2のものよりも外周部前方位置の幅寸法を狭く構成でき、枠状の外周部のさらなる省スペース化が可能となる。
なお、当該構成の場合でも、絶縁層43および47を形成して段差補正をした外周部上に配した粘着剤45で、基板21と51間を接着固定しているため、前記狭額縁のタッチパネルとしても信頼性は確保できる。
なお、本実施の形態によるものは、第二透明基板51にFPC52設置用の切り欠きを配していないため、FPC52を挟み込むように第一透明基板21と第二透明基板51とを貼り合わすこととなり、その際のヒートシール条件管理や作業性の面では実施の形態1や2のものより若干劣るが、FPC52の圧着部分は、両基板21、51で完全に保護されたものにでき、しかも安定した接着固定状態となる基板21と51どうしで挟まれるため、FPC52の装着状態も安定し易い。
また、特に第二透明基板51において、全面に配されている第二透明導電膜53が矩形状のままであるため、電極46は、必ずしも前後辺の位置に配設せずともよく、このために設計自由度が増すという効果も得られる。
なお、FPC52を挟み込む当該構成においては、FPC52厚みを考慮して、FPC52設置範囲の領域に対応するアンダーコートレジスト41B、41Cおよび膜厚均一化のための絶縁層47などの厚みを設定することが好ましい。
そして、本実施の形態によるものの実使用サイズとしては、7インチ液晶への搭載サイズ(約170mm×110mm)の大きさのもので、かつ、FPC52を設置する前辺の外周部の幅が、狭額縁化された3〜4mm、他の辺の幅が1.5〜3mmにした時においても、60℃95%RHの高温高湿環境下、95℃の高温環境下、−40℃の低温環境下のそれぞれで2000時間以上放置、またはヒートサイクル条件として、−40℃で0.5時間、85℃で0.5時間の雰囲気間移動を1サイクルとして2000サイクル放置した後、確認したところ、タッチパネルの端子間抵抗値、直線性等の主要電気特性の劣化が無く、表面平滑性も初期状態をほぼ維持して、見映え上または品格上の劣化が起こることも無かった。
なお、本実施の形態による上下の基板間でFPCを挟み込んで保護する構成は、実施の形態1や2のものにも適用することができる。
(実施の形態4)
実施の形態4を用いて、本発明の特に請求項6に記載の発明について説明する。
本実施の形態は、実施の形態2によるものの光学特性を改善したものであり、実施の形態2によるものと同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図10は本発明の第4の実施の形態によるタッチパネルの上面図、図11は同図10のA−A線における断面図である。
同図において、61は、厚さ100μmのキャスティング方式により製造したポリカーボネートフィルムからなる第二透明基板であり、その第二透明基板61の下面全面にITOからなる第二透明導電膜32が、第一透明導電膜22と約50〜300μmの間隔を維持した絶縁状態になるように、枠状の外周部で第一透明基板21と接着されている。
なお、第二透明基板61は切り欠き61Aを備え、その領域内でFPC40が上面露出状態で第一透明基板21に装着されていることは実施の形態2のものと同じである。
そして、この第二透明基板61の上面には、1/4λ位相差板62、偏光板63が積層されて一体化されており、偏光板63の上面に、ペンまたは指での操作時において発生しやすいキズ等などの保護用にアクリル系樹脂からなる鉛筆硬度3Hのハードコート層64が設けられている。
一方、ソーダガラスからなる第一透明基板21の下面には、1/4λ位相差板62と軸角度を90°変えた1/4λ位相差板65が貼り合わされている。
前記以外の構成部分は、実施の形態2のものと同じであるため、説明は省略するが、当該構成においても、基板21と61とを対向状態に接着している枠状の外周部は、膜厚均一化のための段差補正用の絶縁層47(同機能を果たす絶縁層43は図示せず。)を含んで構成され、両基板21、61間は、安定した接着固定状態のものとなっている。
そして、このように構成された当該タッチパネルは、60℃95%RHの高温高湿環境下、95℃の高温環境下、−40℃の低温環境下のそれぞれで1000時間以上放置、またはヒートサイクル条件として、−40℃で0.5時間、85℃で0.5時間の雰囲気間移動を1サイクルとして1000サイクル放置した後、確認したところ、タッチパネルの端子間抵抗値、直線性等の主要電気特性の劣化が無く、表面平滑性も初期状態をほぼ維持して、見映え上または品格上の劣化が起こることの無い高品質のものであった。
これに加えて、本実施の形態によるものは、第二透明基板61の上方に1/4λ位相差板62、偏光板63が積載構成され、また第一透明基板21下面に1/4λ位相差板65を設けてあるため、タッチパネルの基板界面による光線反射が低減でき、実施の形態2のものでは約13%の反射率であったものが、約5%に低減されたものにできた。
そして、本実施の形態によるものは、1/4λ位相差板62および偏光板63が全面で貼り合わされている第二透明基板61が、外周部で接着力高く第一透明基板21と接着固定された状態であるため、1/4λ位相差板62や偏光板63に反りが発生しても、その影響度合いは低減化される。
なお、第二透明基板61は、キャスティング法によるポリカーボネートフィルムの他、光学的位相差の少ないフィルム、例えばポリオレフィンフィルム(JSR株式会社製アートン等)やポリアリレートフィルム等を用いることができ、その厚さは、0.01〜0.4mm、好ましくは0.025〜0.2mmのものが実用的である。
そして、第一透明基板21としては、ソーダガラスの他、光学的位相差の少ないフィルム、例えば上記キャスティング法によるポリカーボネートフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリアリレートフィルム等を用いることができ、その厚さは0.1〜10mm、好ましくは0.15〜3mmのものが実用的である。
また、第二透明基板61上面に貼り付けられる1/4λ位相差板62および偏光板63は、第二透明基板61と必ずしも同じサイズである必要は無く、タッチパネルの操作領域がカバーできる大きさがあれば良い。
また、同様に、第一透明基板21下面に貼り付ける1/4λ位相差板65も、タッチパネルの操作領域がカバーできる大きさがあれば良い。
なお、第一透明基板21下面に貼り付ける1/4λ位相差板65は、第一透明基板21の下面に貼らずに、タッチパネル下面に配置される液晶表示素子や有機EL素子の上面などに貼ってあっても良い。
また、各1/4λ位相差板62、65を取り除いて、第二透明基板61上に偏光板63のみを貼り付けたものとしても良い。
この場合の反射率は、約9%となり、位相差板62、65が有る場合より、反射率は劣るが、実施の形態2のものよりも反射率を低減させた安価なものを提供できる。
なお、円偏光板を用いても、前記説明と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態5)
以下、実施の形態5を用いて、本発明の請求項7に記載の発明について説明する。
図12は本発明の第5の実施の形態による電子機器としてのカーナビゲーション液晶モニタの分解斜視図であり、同図において、71は上部ケース72の下面に配された前記実施の形態1による構成の7インチタイプのタッチパネル、73はタッチパネル71の下方に配設された7インチ液晶表示装置、74は液晶表示装置73の下方に配設され、中央演算処理装置、記憶素子などの電子部品から構成されたモニタ制御回路部である。
これらの各部材は、上部ケース72と下部ケース75とで構成される空間内部に、所定の位置関係で収容保持されており、タッチパネル71と液晶表示装置73の各側部から導出されたFPC77と78は、モニタ制御回路部74に配されたコネクタに各々接続されている。
なお、76はモニタ制御回路部74に接続されるカーナビゲーション制御システム本体である。
このように本実施の形態による電子機器としてのカーナビゲーションシステムは構成されるものである。
そして、その動作は、液晶表示装置73に、各操作機能が表示された状態で、所望の機能表示箇所に対応する前記タッチパネル71上の位置を指またはペンで押圧操作し、これにより得られるタッチパネル71からの座標位置信号を元にモニタ制御回路部74が所定制御を行う、例えばモニタのON/OFF、ソフトウエアの選択、選択されたソフトウエアの機能などを作動させるようになっているものである。
そして、前記構成のカーナビゲーション液晶モニタを、60℃95%RHの高温高湿環境下に1000時間放置、またはヒートサイクル条件として、−40℃で0.5時間、85℃で0.5時間の雰囲気間移動を1サイクルとして1000サイクル放置した後、確認したところ、タッチパネル71の動作は問題なく、カーナビゲーションの良好な操作性や信頼性が維持できるものであった。
そして、タッチパネル71として7インチを超える液晶サイズのものの場合でも上記と同等の結果が得られ、耐環境性が高く、操作しやすい電子機器が容易に得られた。