JP2004514922A - コンピュータ生成ホログラムを生成する改善された方法 - Google Patents
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Abstract
仮想3D物体上の点光源から放出される光の角度依存性成分および角度非依存性成分が別々に計算される、干渉に基づくコンピュータ生成ホログラム(CGH)を生成する改善された方法。これにより、角度非依存性成分は、点光源ごとに一度だけ計算されるが、角度依存性成分は、各CGH画素に対する各点光源ごとに計算される。この方法により、CGHを生成するのに必要とされる計算量が減り、したがって、計算負荷が減るが、3D画像の画質は完全に保たれる。
Description
【0001】
本発明は、干渉に基づくコンピュータ生成ホログラム(Computer Generated Hologram、CGH)を生成する改善された方法に関する。
【0002】
様々な手法を用いて3Dを視覚的に認知できることを、当業者なら承知していよう。例として、立体写真(stereo)、自動立体写真(auto−stereo)、掃引ボリューム(swept volume)、インテグラルフォトグラフィ(integral photography)、立体画(stereogram)、およびホログラフィが挙げられる。使用者全員にアクセス可能で、あらゆる心理的かつ生理的な刺激をもたらす真の3D画像を生成できるのは、ホログラフィだけである。
【0003】
古典的な干渉ホログラフィは、当業者によく知られている。物体から散乱した光が参照ビームと干渉し、強度パターンを形成し、たとえば写真フィルム上にその強度パターンを記録することができる。画像を再構築するには、元の波面の複製が再生されるように、記録した干渉パターンで共役参照光ビームを変調する。この波面は、さらに空間を伝播し、1人または複数の観察者に、物体が空間に実際に存在するような完全な印象を与える。
【0004】
古典的なホログラムと異なり、コンピュータ生成ホログラム(CGH)では、ホログラムを形成するのに使用する物体は、数学的な記述として存在するだけでよい。物理的な光の干渉は、CGH設計面(CDP)上で所与の物体について適切な干渉パターンを求める計算に置き換えられる。計算後、その干渉パターンを、光波変調が可能な装置に書き込むことができる。更新可能な3D画像が必要とされる場合には、算出したパターンを、空間光変調器(SML)などの再構成可能な装置に書き込むこともできる。従来型ホログラムの場合と同様に、3D画像は、入射光ビームを変調して生成される。
【0005】
仮想物体の干渉パターンを計算するいくつかの技法が、当業者に知られている。たとえば、フーリエベースの「ピンポン(ping−pong)」法(Ichioka他、Applied Optics、10、403−11、1971年)、およびコヒーレント光線追跡法(M.Lucente、Jrnl of electronic imaging 2(1)、28−34、1993年1月)がある。
【0006】
ピンポン法は簡単に実施できるが、完全なレンダリング効果および照明効果を伴わない自己発光体の画像生成に限られる。コヒーレント光線追跡(Coherent Ray Tracing、CRT)技術は、本質的に3Dスカラー回折積分を実施するものであり、従来型干渉ホログラム記録における光の伝播を厳密にシミュレートし、現実感のある照明効果および表面反射特性をもつ3D画像を生成することができる。
【0007】
CRT計算のために、各物体点は点光源として扱われる。この計算の核心部分は、仮想3D物体上の各点源による、CDPの所与の単一画素に対する電界の寄与の線形加算である。次いで、各CDP画素ごとにこの加算を繰り返さなければならない。便宜上、各物体点のスカラー振幅の寄与は、周囲振幅、拡散振幅、および反射振幅の3つの成分に分割することができる。これらの成分はそれぞれ、別々に計算される。
【0008】
仮想3D物体が、複数の仮想光源によって照明される場合、光は、各物体点から複数の方向に放出すると考えられる。すなわち、各物体点は複数の点光源として働く。ある物体点がCDPのある画素に寄与する光のスカラー振幅の合計を計算するには、その物体点に関連する各点源の振幅の寄与の計算が必要になる。したがって、現実感のある反射効果および照明効果をもつ3D画像をもたらすCGHを生成するには、物体点のCDP画素への計算のたびに、複数の振幅計算が必要になることがわかる。
【0009】
本発明の目的は、再構築されるときに現実感のある照明特性および表面反射特性をもつ3D画像を形成する、干渉に基づくCGHの生成に伴う計算量を、したがって、計算負荷を減らすことである。
【0010】
本発明によれば、干渉に基づくコンピュータ生成ホログラム(CGH)を生成する方法は、
i)それぞれが1つ以上の点光源を備える複数の物体点を規定するステップと、
ii)CGH設計面内の複数のCGH画素を規定するステップと、
iii)各CGH画素において全ての遮られていない(non−occluded)物体点が寄与する光の振幅の合計を決定するステップと、
iv)各CGH画素と遮られていない各物体点との間の光路長を決定するステップと、
v)振幅、遮蔽(occlusion)、および光路長情報から、各CGH画素における電界の合計を計算するステップと、
vi)各CGH画素ごとに計算された電界の合計からCGH干渉パターンを決定するステップとを含み、
各CGH画素において、全ての遮られていない物体点が寄与する光の振幅の合計を決定するステップが、各点光源による寄与を、角度依存性の寄与と角度非依存性の寄与とに分離するステップと、各点光源ごとに角度非依存性の寄与を一度計算するステップと、各点光源の各CGH画素に対する角度依存性の寄与を計算するステップとを含む。
【0011】
ここで、「角度依存性」という用語は、ある物体点が寄与する光量が、その物体点が観察されるCGH設計面画素に依存することを意味すると解釈するものとする。逆に、「角度非依存性」という用語は、ある物体点が寄与する光量が、その物体点が観察されるCGH設計面画素に実質的に依存しないことを意味すると解釈するものとする。
【0012】
各物体点は、1つの点光源を備えることもできるし、仮想3D物体シーン内の光源の数に応じて、2つ以上の点光源を備えることもできることが好ましい。
【0013】
各点光源の角度依存性の寄与は、反射成分を含み、各点光源の角度非依存性の寄与は、拡散成分および周囲成分を含むとみなすことができると有利である。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、ある点光源の角度非依存性の寄与の計算中に決定される遮光情報が、その点光源の角度依存性の寄与についての対応する計算用の遮光情報として使用される。
【0015】
干渉に基づくCGHの計算は、3次元物体とCGH設計面との間に配置されたレンズの光に対する効果を計算するステップをさらに含むこともできる。これにより、3D画像の、フレネルではなくフーリエ再生が可能になる。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、干渉に基づくCGHを計算するコンピュータプログラムは、干渉に基づくCGHを生成する上記の方法を組み込んである。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、3D画像生成用の装置は、
仮想3D物体についての干渉に基づくCGHを計算する計算手段と、
コヒーレント光源と、
干渉に基づくCGHで光波を変調することができる空間光変調手段とを備え、
光源による空間光変調手段の照明が、仮想3D物体の3D画像を生成するように構成され、計算手段が、上記の方法を組み込んだ干渉に基づくCGHを計算するコンピュータプログラムを含む。
【0018】
好ましい実施形態では、空間光変調手段が、再構成可能な空間光変調器である。
【0019】
次に、添付の図面を参照して、本発明を非限定的な例により説明する。
【0020】
図1を参照すると、仮想3次元物体(2)上の複数の物体点からの光が、レンズ(4)を通過し、CGH設計面(6)に当たる。コンピュータ援用設計パッケージから転送することができる仮想3D物体(2)に、必要とされる画像解像度を実現するのに適切な分布と密度をもつ物体点が配置される。次いで、各CGH設計面画素において、3D物体(2)のN個の各物体点の、その画素に対する寄与を加算することによって、電界を計算することができる。
【0021】
所与のCGH画素における電界は、次式で与えられる。
【数1】
ただし、apはp番目の物体点からの光線iの振幅、rpはCDP画素からp番目の物体点までの光路長、Φpはその物体点と各画素との間の位相である。
【0022】
振幅項apは次式で与えられる。
【数2】
ただし、Oeは定常放出項、GLは全体周囲光線項、Lはシーン内の光線の数、oniは光線iが点pに入射するかどうかを決定するブール変数、attenuationiは光線iの減衰量、Iiは光線の強度、diffusei、ambienti、およびspeculariは、物体点の振幅の拡散成分、周囲成分、および反射成分である。
【0023】
図2を参照すると、式2の拡散項、周囲項、および反射項は、4つのベクトル、V、L、R、およびNに依存している。観察ベクトルVは、CGH画素から物体点へのベクトルである。光線ベクトルLは、光線から物体点(10)へのベクトルである。ベクトルRは最大鏡面反射の方向であり、ベクトルNpは物体点の法線ベクトルである。
【0024】
ここで、拡散項、周囲項、および反射項は、この4つのベクトルによって次のように記述できる。
【数3】
【数4】
【数5】
ただし、Iia項は周囲光線の強度、Odは物体の拡散振幅係数、およびOsは反射係数である。
【0025】
本発明によれば、周囲項および拡散項は、観察ベクトルVに無関係であることがわかる。したがって、周囲項および拡散項は、強度を計算中のホログラム画素にも無関係である。このため、式2は次のように書くことができる。
【数6】
【0026】
apadは、明らかに、強度を計算中のホログラム画素に無関係であり、したがって、式8の振幅計算の前に、各物体点ごとにあらかじめ計算できることがわかる。
【0027】
したがって、式1は次のように書き直すことができる。
【数7】
【0028】
apadをあらかじめ計算する際、oniを決定するには、物体点と各光線Iとの間の光線追跡、すなわち、遮光情報の計算が必要である。この遮光情報を記憶し、その後、apsの計算に使用することもできる。そうすると、Ihを計算するのに必要なのは、rpを決定し、いくつかの乗算および加算を行い、式5中の反射項を計算することだけである。
【0029】
EFの計算に伴う光線追跡計算は、計算の中でも格段に計算コストがかかるプロセスである。apadの計算結果および物体点の照明に関する情報を保存することによって、計算時間の点で大きな節減となる。EFの縮約された計算である式9は、物体点が画素点において見えるかどうかを決定する際に、CGH設計面画素から物体点までの光線を追跡することだけを含む。
【0030】
次いで、3D物体(2)および参照ビーム(8)によって生成される電界の干渉をシミュレートすることにより、ホログラフィ干渉パターン(すなわちCGH)が計算される。このCGHは、3D画像を再構築するのに必要なすべての情報を含む。
【0031】
典型的なCGH計算では、ホログラムを再生時に観察するとき、3D表面が緻密で切れ目がないと観察者が思うようにするために、1平方メートル当たり約108個の物体点を使用することになろう。同様な数のCGH設計面画素も使用することになろう。
【0032】
このようなCGHを計算するための計算負荷を節減すると、スピードの向上の点で直接の利益が得られ、そのため、CGHを計算する際の計算コストが削減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
フーリエ幾何形態における干渉に基づくCGH生成の計算を示す概略図である。
【図2】
物体点ベクトルを示す図である。
本発明は、干渉に基づくコンピュータ生成ホログラム(Computer Generated Hologram、CGH)を生成する改善された方法に関する。
【0002】
様々な手法を用いて3Dを視覚的に認知できることを、当業者なら承知していよう。例として、立体写真(stereo)、自動立体写真(auto−stereo)、掃引ボリューム(swept volume)、インテグラルフォトグラフィ(integral photography)、立体画(stereogram)、およびホログラフィが挙げられる。使用者全員にアクセス可能で、あらゆる心理的かつ生理的な刺激をもたらす真の3D画像を生成できるのは、ホログラフィだけである。
【0003】
古典的な干渉ホログラフィは、当業者によく知られている。物体から散乱した光が参照ビームと干渉し、強度パターンを形成し、たとえば写真フィルム上にその強度パターンを記録することができる。画像を再構築するには、元の波面の複製が再生されるように、記録した干渉パターンで共役参照光ビームを変調する。この波面は、さらに空間を伝播し、1人または複数の観察者に、物体が空間に実際に存在するような完全な印象を与える。
【0004】
古典的なホログラムと異なり、コンピュータ生成ホログラム(CGH)では、ホログラムを形成するのに使用する物体は、数学的な記述として存在するだけでよい。物理的な光の干渉は、CGH設計面(CDP)上で所与の物体について適切な干渉パターンを求める計算に置き換えられる。計算後、その干渉パターンを、光波変調が可能な装置に書き込むことができる。更新可能な3D画像が必要とされる場合には、算出したパターンを、空間光変調器(SML)などの再構成可能な装置に書き込むこともできる。従来型ホログラムの場合と同様に、3D画像は、入射光ビームを変調して生成される。
【0005】
仮想物体の干渉パターンを計算するいくつかの技法が、当業者に知られている。たとえば、フーリエベースの「ピンポン(ping−pong)」法(Ichioka他、Applied Optics、10、403−11、1971年)、およびコヒーレント光線追跡法(M.Lucente、Jrnl of electronic imaging 2(1)、28−34、1993年1月)がある。
【0006】
ピンポン法は簡単に実施できるが、完全なレンダリング効果および照明効果を伴わない自己発光体の画像生成に限られる。コヒーレント光線追跡(Coherent Ray Tracing、CRT)技術は、本質的に3Dスカラー回折積分を実施するものであり、従来型干渉ホログラム記録における光の伝播を厳密にシミュレートし、現実感のある照明効果および表面反射特性をもつ3D画像を生成することができる。
【0007】
CRT計算のために、各物体点は点光源として扱われる。この計算の核心部分は、仮想3D物体上の各点源による、CDPの所与の単一画素に対する電界の寄与の線形加算である。次いで、各CDP画素ごとにこの加算を繰り返さなければならない。便宜上、各物体点のスカラー振幅の寄与は、周囲振幅、拡散振幅、および反射振幅の3つの成分に分割することができる。これらの成分はそれぞれ、別々に計算される。
【0008】
仮想3D物体が、複数の仮想光源によって照明される場合、光は、各物体点から複数の方向に放出すると考えられる。すなわち、各物体点は複数の点光源として働く。ある物体点がCDPのある画素に寄与する光のスカラー振幅の合計を計算するには、その物体点に関連する各点源の振幅の寄与の計算が必要になる。したがって、現実感のある反射効果および照明効果をもつ3D画像をもたらすCGHを生成するには、物体点のCDP画素への計算のたびに、複数の振幅計算が必要になることがわかる。
【0009】
本発明の目的は、再構築されるときに現実感のある照明特性および表面反射特性をもつ3D画像を形成する、干渉に基づくCGHの生成に伴う計算量を、したがって、計算負荷を減らすことである。
【0010】
本発明によれば、干渉に基づくコンピュータ生成ホログラム(CGH)を生成する方法は、
i)それぞれが1つ以上の点光源を備える複数の物体点を規定するステップと、
ii)CGH設計面内の複数のCGH画素を規定するステップと、
iii)各CGH画素において全ての遮られていない(non−occluded)物体点が寄与する光の振幅の合計を決定するステップと、
iv)各CGH画素と遮られていない各物体点との間の光路長を決定するステップと、
v)振幅、遮蔽(occlusion)、および光路長情報から、各CGH画素における電界の合計を計算するステップと、
vi)各CGH画素ごとに計算された電界の合計からCGH干渉パターンを決定するステップとを含み、
各CGH画素において、全ての遮られていない物体点が寄与する光の振幅の合計を決定するステップが、各点光源による寄与を、角度依存性の寄与と角度非依存性の寄与とに分離するステップと、各点光源ごとに角度非依存性の寄与を一度計算するステップと、各点光源の各CGH画素に対する角度依存性の寄与を計算するステップとを含む。
【0011】
ここで、「角度依存性」という用語は、ある物体点が寄与する光量が、その物体点が観察されるCGH設計面画素に依存することを意味すると解釈するものとする。逆に、「角度非依存性」という用語は、ある物体点が寄与する光量が、その物体点が観察されるCGH設計面画素に実質的に依存しないことを意味すると解釈するものとする。
【0012】
各物体点は、1つの点光源を備えることもできるし、仮想3D物体シーン内の光源の数に応じて、2つ以上の点光源を備えることもできることが好ましい。
【0013】
各点光源の角度依存性の寄与は、反射成分を含み、各点光源の角度非依存性の寄与は、拡散成分および周囲成分を含むとみなすことができると有利である。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、ある点光源の角度非依存性の寄与の計算中に決定される遮光情報が、その点光源の角度依存性の寄与についての対応する計算用の遮光情報として使用される。
【0015】
干渉に基づくCGHの計算は、3次元物体とCGH設計面との間に配置されたレンズの光に対する効果を計算するステップをさらに含むこともできる。これにより、3D画像の、フレネルではなくフーリエ再生が可能になる。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、干渉に基づくCGHを計算するコンピュータプログラムは、干渉に基づくCGHを生成する上記の方法を組み込んである。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、3D画像生成用の装置は、
仮想3D物体についての干渉に基づくCGHを計算する計算手段と、
コヒーレント光源と、
干渉に基づくCGHで光波を変調することができる空間光変調手段とを備え、
光源による空間光変調手段の照明が、仮想3D物体の3D画像を生成するように構成され、計算手段が、上記の方法を組み込んだ干渉に基づくCGHを計算するコンピュータプログラムを含む。
【0018】
好ましい実施形態では、空間光変調手段が、再構成可能な空間光変調器である。
【0019】
次に、添付の図面を参照して、本発明を非限定的な例により説明する。
【0020】
図1を参照すると、仮想3次元物体(2)上の複数の物体点からの光が、レンズ(4)を通過し、CGH設計面(6)に当たる。コンピュータ援用設計パッケージから転送することができる仮想3D物体(2)に、必要とされる画像解像度を実現するのに適切な分布と密度をもつ物体点が配置される。次いで、各CGH設計面画素において、3D物体(2)のN個の各物体点の、その画素に対する寄与を加算することによって、電界を計算することができる。
【0021】
所与のCGH画素における電界は、次式で与えられる。
【数1】
ただし、apはp番目の物体点からの光線iの振幅、rpはCDP画素からp番目の物体点までの光路長、Φpはその物体点と各画素との間の位相である。
【0022】
振幅項apは次式で与えられる。
【数2】
ただし、Oeは定常放出項、GLは全体周囲光線項、Lはシーン内の光線の数、oniは光線iが点pに入射するかどうかを決定するブール変数、attenuationiは光線iの減衰量、Iiは光線の強度、diffusei、ambienti、およびspeculariは、物体点の振幅の拡散成分、周囲成分、および反射成分である。
【0023】
図2を参照すると、式2の拡散項、周囲項、および反射項は、4つのベクトル、V、L、R、およびNに依存している。観察ベクトルVは、CGH画素から物体点へのベクトルである。光線ベクトルLは、光線から物体点(10)へのベクトルである。ベクトルRは最大鏡面反射の方向であり、ベクトルNpは物体点の法線ベクトルである。
【0024】
ここで、拡散項、周囲項、および反射項は、この4つのベクトルによって次のように記述できる。
【数3】
【数4】
【数5】
ただし、Iia項は周囲光線の強度、Odは物体の拡散振幅係数、およびOsは反射係数である。
【0025】
本発明によれば、周囲項および拡散項は、観察ベクトルVに無関係であることがわかる。したがって、周囲項および拡散項は、強度を計算中のホログラム画素にも無関係である。このため、式2は次のように書くことができる。
【数6】
【0026】
apadは、明らかに、強度を計算中のホログラム画素に無関係であり、したがって、式8の振幅計算の前に、各物体点ごとにあらかじめ計算できることがわかる。
【0027】
したがって、式1は次のように書き直すことができる。
【数7】
【0028】
apadをあらかじめ計算する際、oniを決定するには、物体点と各光線Iとの間の光線追跡、すなわち、遮光情報の計算が必要である。この遮光情報を記憶し、その後、apsの計算に使用することもできる。そうすると、Ihを計算するのに必要なのは、rpを決定し、いくつかの乗算および加算を行い、式5中の反射項を計算することだけである。
【0029】
EFの計算に伴う光線追跡計算は、計算の中でも格段に計算コストがかかるプロセスである。apadの計算結果および物体点の照明に関する情報を保存することによって、計算時間の点で大きな節減となる。EFの縮約された計算である式9は、物体点が画素点において見えるかどうかを決定する際に、CGH設計面画素から物体点までの光線を追跡することだけを含む。
【0030】
次いで、3D物体(2)および参照ビーム(8)によって生成される電界の干渉をシミュレートすることにより、ホログラフィ干渉パターン(すなわちCGH)が計算される。このCGHは、3D画像を再構築するのに必要なすべての情報を含む。
【0031】
典型的なCGH計算では、ホログラムを再生時に観察するとき、3D表面が緻密で切れ目がないと観察者が思うようにするために、1平方メートル当たり約108個の物体点を使用することになろう。同様な数のCGH設計面画素も使用することになろう。
【0032】
このようなCGHを計算するための計算負荷を節減すると、スピードの向上の点で直接の利益が得られ、そのため、CGHを計算する際の計算コストが削減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
フーリエ幾何形態における干渉に基づくCGH生成の計算を示す概略図である。
【図2】
物体点ベクトルを示す図である。
Claims (12)
- 干渉に基づくコンピュータ生成ホログラム(CGH)を生成する方法であって、
i)それぞれが1つ以上の点光源を備える複数の物体点を規定するステップと、
ii)CGH設計面内の複数のCGH画素を規定するステップと、
iii)各CGH画素において全ての遮られていない物体点が寄与する光の振幅の合計を決定するステップと、
iv)各CGH画素と遮られていない各物体点との間の光路長を決定するステップと、
v)振幅、遮蔽、および光路長情報から、各CGH画素における電界の合計を計算するステップと、
vi)各CGH画素ごとに計算された電界の合計からCGH干渉パターンを決定するステップとを含み、
各CGH画素において全ての遮られていない物体点が寄与する光の振幅の合計を決定する前記ステップが、各点光源の寄与を、角度依存性の寄与と角度非依存性の寄与とに分離するステップと、各点光源ごとに角度非依存性の寄与を一度計算するステップと、各点光源の各CGH画素に対する角度依存性の寄与を計算するステップとを含む方法。 - 各物体点が1つの点光源を備える、請求項1に記載の干渉に基づくコンピュータ生成ホログラム(CGH)を生成する方法。
- 各物体点が2つ以上の点光源を備える、請求項1に記載の干渉に基づくコンピュータ生成ホログラム(CGH)を生成する方法。
- 各点光源の角度依存性の寄与が反射成分を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の干渉に基づくコンピュータ生成ホログラム(CGH)を生成する方法。
- 各点光源の角度非依存性の寄与が拡散成分および周囲成分を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の干渉に基づくコンピュータ生成ホログラム(CGH)を生成する方法。
- ある点光源の角度非依存性の寄与の計算中に決定される遮光情報が、前記点光源の角度依存性の寄与についての対応する計算用の遮光情報として使用される、請求項1から5のいずれか一項に記載の干渉に基づくコンピュータ生成ホログラム(CGH)を生成する方法。
- 前記3次元物体と前記CGH設計面との間に配置されたレンズの光に対する効果を計算するステップをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の干渉に基づくCGHを生成する方法。
- 添付の図面を参照して明細書中で実質的に記載したような、干渉に基づくCGHを生成する方法。
- 請求項1から8のいずれか一項に記載の干渉に基づくCGHを生成する方法を組み込んだ、干渉に基づくCGHを計算するためのコンピュータプログラム。
- 3D画像生成用の装置であって、
仮想3D物体についての干渉に基づくCGHを計算する計算手段と、
コヒーレント光源と、
前記干渉に基づくCGHによって光波を変調することができる空間光変調手段とを備え、
前記光源による前記空間光変調手段の照明が、前記仮想3D物体の3D画像を生成するように構成され、
前記計算手段が、請求項9に記載の干渉に基づくCGHを計算するためのコンピュータプログラムを含む装置。 - 前記空間光変調手段が再構成可能な空間光変調器を備える、請求項10に記載の3D画像生成用の装置。
- 添付の図面を参照して明細書中で実質的に記載したような、3D画像生成用の装置。
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