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JP2004511064A - 冷陰極放出用フイルムタイプ陰極及びその製造法 - Google Patents

冷陰極放出用フイルムタイプ陰極及びその製造法 Download PDF

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JP2004511064A
JP2004511064A JP2000550126A JP2000550126A JP2004511064A JP 2004511064 A JP2004511064 A JP 2004511064A JP 2000550126 A JP2000550126 A JP 2000550126A JP 2000550126 A JP2000550126 A JP 2000550126A JP 2004511064 A JP2004511064 A JP 2004511064A
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ブリアブリン,アレキサンドル・アレキサンドロヴィッチ
カンディドフ,アントン・ヴァレリエヴィッチ
ティモフィーフ,ミクハイル・アルカディエヴィッチ
セレズネフ,ボリス・ヴァディモヴィッチ
ピレフスキー,アンドレイ・アレクサンドロヴィッチ
ラクヒモフ,アレキサンドル・ツルスノヴィッチ
スエティン,ニコライ・ウラディスラヴォヴィッチ
サモロドフ,ウラディミール・アナトリエヴィッチ
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オブシェストヴォ・ス・オグラニチェンノイ・オトゥヴェストヴェンノスチュ・“ヴィソキー・テクノロジー”
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Abstract

本発明は電界エミッター(放出器)用の非常に有効なフイルムの製造に使用できる可能性をもっている。本発明の冷陰極放出用陰極フイルムは表面に不規則構造の炭素フイルムを備えた基材を含んでいる。この炭素フイルムは基材の表面に対して垂直な炭素のミクロ−及びナノサイズの細長い隆起(以後リブと訳出)及び/またはミクロ−及びナノサイズの糸状物を含んでいる。これらのリブ及び/または糸状物は0.1から100μmの分布密度と共に0.01−1μmの特徴的なサイズを持っており,そしてまたその表面厚さが1μmよりずっと薄いダイヤモンドのナノフイルムで被覆されている。この陰極の製造法は引き続いての二層の炭素フイルムの蒸着プロセスを含んでいる。ナノ規模のひっかかりを持つ一層の炭素フイルムの形成は最初に陽極上に配置された基材に0.15−0.5アンペアの直流放電を点火することにより水素及び炭素含有添加剤の混合物中で50−300トルの全圧下,5−15%濃度のエタノールまたは6−30%濃度のメタンの蒸気を使用して600−1,100℃の基材温度で行われる。次いで一層のダイヤモンドナノフイルムが上述の如く形成されたグラファイトフイルム上に蒸着される。

Description

【0001】
(発明の産業上利用の可能性)
二段階蒸着技術の利用は選択的蒸着とアドレス指定の創出のための広い可能性を開くものである。これは核形成段階で,なかんづく,触媒フイルム上に標準的リソグラフィー技術により必要なパターンを形成することにより可能である。我々はこのことをFe,Ni及びCoの例で示した。もう一つの異なる方法は蒸着の第一段階後のパターン形成である。この場合もエミッションを起こす表面の蒸着は第二段階で行われるのでエミッション特性の喪失を恐れることなくフォトレジストを使用できる。
【0002】
(技術分野)
本発明は平面パネルデイスプレイ,電子顕微鏡,超高周波(マイクロ波)エレクトロニクス製品,光源及びその他の一連の用途の開発に利用可能な高性能の電界エミッター用のフイルムの製造の領域に関するものである。
【0003】
(先行技術)
その表面にダイヤモンドフイルム[ダイヤモンドフイルム及び関連材料の応用: 第三回国際会議,1995年,A.フェルドマンその他監修NIST(米国国立標準技術研究所)特別出版885,37頁,61頁]を備えた基材を含む冷陰極放出用のフイルムタイプ陰極は既知である。しかし多結晶ダイヤモンドフイルムベースのフイルム陰極は電子放出中心の密度が低いため非常に有効な電界エミッターではない。
【0004】
本発明で提案する技術的解決に一番近いのは表面に炭素フイルム被覆をもつ基材を含む冷陰極放出用フイルム陰極[“ダイヤモンドベース電界放出(フィールドエミッションタイプフラットパネルディスプレイ)”ソリッドステート技術,1995年,5月,71頁]である。基材上の蒸着被覆は無定形炭素である。
【0005】
冷陰極放出用フイルム陰極のレーザースパッタリング法[“ダイヤモンドベースフィールドエミッションフラットパネルディスプレイ”ソリッドステート技術,1995年,5月,71頁]による製造法は既知である。この方法は強力なレーザー放射によりグラファイト標的(ターゲット)から蒸発した炭素の冷基材上への蒸着プロセスを含んでいる。方法の複雑さ,高価格,スケールアップの可能性に限界のあること,低密度のエミッション中心(20V/μmの電場で1cm当たり1,000程度)濃度等がこの方法の欠点である。この欠点からこの方法が256グラデーションの輝度をもつフルカラーモニター(ディスプレイ)の製造に不十分なことは明白である。
【0006】
水素気流中での陰極と陽極間の放電ギヤップでの直流グロー放電の点火,基材の蒸着温度までの加熱,水素流への炭素含有ガスの供給及び水素と炭素含有ガス混合物中での炭素の蒸着等のプロセスを含み,過剰グラファイト層を水素気流中での放電で除去する[A.T.ラキーモフ,B.V.セレズネフ,N.V.サーティン,その他.ダイヤモンドフイルム及び関連材料の応用: 第三回国際会議,ゲザースバーグ,メリーランド,米国,1995年,NISТIR5692,NIST特別出版885の付録,11頁]気相合成法による冷陰極放出用のフイルム陰極の製造法が知られている。この方法によりナノダイヤモンドフイルム陰極が得られる。しかしこの方法で得られるダイヤモンドフイルムは成長が遅く,フルカラーディスプレイ用陰極の製造には不十分なエミッション特性しかもたないことがしばしばである。
【0007】
炭素陰極の製造法[ソ連邦発明者証No.966782,MКИ(モスクワ共同研究所),опубл.(発行済み)]が知られている。この方法は水素,炭酸ガス,メタンの15−25/74−83/1−2の混合物からの炭素のフィラメント状結晶の蒸着及び1,200−1,500℃での基材への炭素層の蒸着を含んでいる。しかしこのようにして製造されたフイルムは非常に不均質なエミッション特性と低いエミッション中心濃度を持っている。
(詳細な説明)
現在の各種装置に対する要求としてフラットパネルディスプレイ,電子顕微鏡,光源,超高周波エレクトロニクス製品の製造及びその他一連の用途で高い電子エミッション特性をもち高電場に耐える電子の電界エミッターとして使用可能な冷陰極放出用フイルム陰極の創出が求められている。
【0008】
この課題は冷陰極放出用フイルム陰極がその表面に基材の表面に対して垂直に配向したサイズが0.005−1μmで分布密度が0.1−100/μmの不規則に分布する炭素のミクロ−及びナノサイズのリブ及び/またはミクロ−及びナノサイズの糸状物の形態の炭素フイルムが蒸着され,更にその上に第二の炭素フイルムが0.1−0.5μm厚さのナノダイヤモンドフイルムとして蒸着された基材として製造されることにより解決される。
【0009】
冷陰極放出用フイルム陰極の製造方法は二層の炭素フイルムの連続的蒸着からなる。すなわち陽極上に配置された基材上への水素と炭素含有化合物の混合物中での直流放電の点火によるナノサイズの先端(チップ)をもつ炭素フイルムの蒸着と成長したグラファイトフイルム上へのナノダイヤモンドフイルムの蒸着である。成長したグラファイトフイルム上へのナノダイヤモンドフイルムの蒸着は同じ直流放電或いはプロセスの活性化剤として熱フィラメントを使用する技術により行われる。
【0010】
第一の段階では放電は0.15−0.5A/cmの直流電流密度で点火され,蒸着は水素と炭素含有添加剤の混合物中で全圧が50−300トル,特に好ましくは5−15%濃度のエタノールまたは6−30%濃度のメタンの蒸気により600−1,100℃の基材温度で行われる。他の炭化水素類の蒸気も使用可能だが,その場合炭素のモル含有率を維持する必要がある。ガス混合物は全圧を維持して75%まで不活性ガス,特にアルゴンで希釈してもよい。ナノダイヤモンド構造の第二の炭素層の蒸着は直流放電プラズマから炭素含有添加剤の濃度を0.5−4%まで下げる以外は上述と同じプロセスパラメータでまたは金属フィラメント活性化剤の1,800−2,500℃への加熱,基材の600−1,100℃への加熱,水素と濃度が0.5−10%の炭素含有添加剤の混合物中での基材とフィラメントの間に配置されたスクリーンを通しての蒸着プロセスを含む蒸着による気相合成法で実施される。もしエタノール蒸気の濃度が5%以下またはメタン濃度が6%以下で圧力が50トル以下では,核形成速度は低下し,その結果エミッション特性は非常に不均質になる。それ以外にもフイルムのモルホロジーが変化する。エタノール蒸気の濃度が15%以上またはメタン濃度が30%以上で圧力が300トル以上になると放電の安定性が失われる。電流密度が0.5A/cm以上ではガス及び基材表面の過熱が起こってフイルムのエミッション特性の低下が起こる。電流密度が0.15A/cm以下ではガス媒体の必要な活性化度が確保されない。基材の温度が600℃以下または1,100℃以上になるとフイルムのモルホロジーが強く変化し,そのエミッション特性が失われる。
【0011】
第二段階では直流放電が4%以上の炭素含有添加剤濃度で使用されると基材表面に1μm以上の粒子を含むエミッションパラメータの非常に低い粒子状炭素フイルムが成長する。0.5%以下の炭素含有添加剤濃度では炭素フイルムの急激な成長速度の低下と第一段階で成長したフイルムのエッチングさえ起こる。
【0012】
第二段階で1,800℃以下での熱フィラメントによる活性化では必要なレベルのガスの活性化は起こらない。しかし2,500℃以上ではフィラメントは急速に破壊される。600℃以下または1,100℃以上の基材の加熱ではグラファイトフイルムまたは許容しがたい程にエミッション特性の低いフイルムが蒸着される。
(発明の好適な実施態様)
直流放電による冷陰極放出用フイルム陰極の製造方法は真空システム及び水素と炭素含有添加剤からなる混合ガスの供給及び制御を確保するためのガス分配システムを備えた部屋で行われる。放電は電力供給システムと接続した二つの電極の間で点火される。基材ホールダーとして陽極が利用され,基材としては400μm厚さのシリコンの平円板が使用される。蒸着に先だって基材は核形成中心の濃度を増加させる目的でダイヤモンド懸濁液で標準的な技術の一つにより処理された。特に我々は20−40分間の超音波処理を利用した。核形成中心を作り出すもう一つの方法はFe,Co,Ni等若干の金属の触媒的性質と関連している。これらの金属は基材に10−100nmの厚さに付着させられる。
【0013】
蒸着は水素とエタノール(5−10%)蒸気の混合ガス中で50−300トルの圧力で行われた。放電電力,特殊ヒーター及び冷却システムにより決定される基材温度は光学高温計により制御され,相当の補正を考慮して700−1,100℃の範囲に保持された。放電電流密度は0.3−0.4A/cmであった。この条件で炭素フイルムの成長速度は10μm/hr以下であった。基材としては蒸着温度に耐えることができ,炭素に対して高い接着力を示す材料ならどんな材料でも使用可能である。
【0014】
類似のフイルム構造(テキスチャー)が同一プロセスパラメータで6−15%のメタン及び若干の他の炭化水素ガス(アセチレン,プロパン等)を使用しても得られた。
【0015】
蒸着の結果得られるフイルムは自然にかなり優れたエミッション特性をもっているが,その安定性は十分とは言えない。このことはエミッションプロセス中のフイルム表面からのミクロ粒子の離脱による貫通破壊の発生に反映される。
【0016】
フイルムのエミッション及び接着特性を改善する目的で,その表面に第二段階で厚さが0.1−0.5μmのナノダイヤモンドフイルムが蒸着された。この蒸着は同一の直流放電で行われた。そのため(水素ガス中の)炭化水素ガス(我々の場合はメタン)の濃度は電流密度=0.3−0.4A/cm及び基材温度=850−950℃の場合0.5−2%まで下げられた。
【0017】
ほぼ0.1−0.5μm厚さのナノダイヤモンドフイルムは≪熱フィラメント≫技術によっても蒸着された。そのため第一段階で蒸着された炭素フイルムを備えた基材はガス混合物の熱活性化の可能な反応器に入れられた。蒸着の条件は次の通りであった: 水素とメタンの混合ガスの圧力=15−25トル,メタン濃度=3%,フィラメント温度=2,100−2,250℃,基材温度=800−900℃。炭素フイルムの走査型電子顕微鏡写真は第一段階で蒸着されたフイルムは表面に対して垂直方向に配向したミクロ−及びナノリブの形状の構造であることを示している。蒸着の第二段階後の表面の典型的な写真はエミッションの閾値(限界点)を低下させ,フイルムの耐久性を向上させるナノ結晶で覆われている。
【0018】
エミッションの均一性は励起電子ビームの入射密度に比例する発光団の発光分布で決定された。エミッション電流の分布は十分均一でエミッション中心の密度は目視でそれらを区分できない程であった。
【0019】
走査型トンネル顕微鏡で定量的に測定されたエミッション中心の密度はエミッションディスプレイの製造に十分なほぼ1,000,000/cmであった。
エミッション電流のボルト−アンペア特性によるとエミッションの閾値は十分低く,電流密度はほぼ10V/μmの電場で500ミリアンペア/cm以上に達する可能性がある。
【0020】
本発明提案の方法で製造される冷陰極放出用フイルム陰極は高いエミッション特性を持ち,強い電場でも安定で,化学的にも不活性であり,従ってフラットパネルディスプレイ,電子顕微鏡,超高周波エレクトロニクス製品,光源の製造及び一連のその他の応用に利用可能である。

Claims (7)

  1. その表面に炭素フイルムを備えた基材を含む冷陰極放出用フイルム陰極であって,さらに追加して第一の炭素フイルム上に被覆された第二の炭素フイルムを含み,その場合第一の炭素フイルムは不規則に配置された基材表面に対して垂直方向に配向した特徴的なサイズが0.005−1μmで分布密度が0.1−100/μmの炭素のミクロ−及びナノ−のリブ及び/またはミクロ−及びナノ−の糸状物からなる構造に形成されており,第二の炭素フイルムは厚さが0.1−0.5μmのナノダイヤモンドフイルムとして形成されていることを特徴とする冷陰極放出用フイルムタイプ陰極。
  2. 陽極上に配置された基材上に水素と炭素含有化合物添加剤の混合物中で直流放電による蒸着法で炭素フイルムを被覆するプロセスを含む冷陰極放出用フイルム陰極の製造方法であって、炭素フイルムの蒸着が全圧で50−300トル及び基材上の温度が600−1,100℃で、水素と炭素含有添加剤の混合物中,直流電流密度が0.15−0.5A/cmの放電プラズマから形成され,この第一の炭素フイルムの上に第二の炭素フイルムがナノダイヤモンド層として形成されることを特徴とする方法。
  3. 炭素含有添加剤として5−15%濃度でエタノール蒸気を使用することを特徴とする請求項2の方法。
  4. 炭素含有添加剤として6−30%濃度でメタンを使用する請求項2の方法。
  5. ナノダイヤモンド層の被覆が水素と0.5−4%の炭素含有添加剤の混合物中で,全圧が50−300トル及び基材温度が600−1,100℃で直流電流密度が0.15−0.5A/cmの直流放電プラズマからの蒸着法により形成されることを特徴とする請求項2の方法。
  6. 蒸着が全圧を維持して75%までの不活性ガスを含むガス混合物中で行われることを特徴とする請求項2−5の方法。
  7. ナノダイヤモンド層の被覆が金属フィラメント活性化剤の1,800−2,500℃までの加熱,基材の600−1100℃までの加熱及びフィラメントと基材の間に配設されたスクリーンを通して水素と0.5−10%の炭素含有添加剤の混合物中での蒸着を含む気相合成法により行われることを特徴とする請求項2の方法。
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