JP2004338118A - 積層包装材料およびこれを用いた袋体ならびに複合容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】高いガスバリア性を備えるとともに、得られる積層包装材料中に溶剤が残存することなく環境面などから有利であり、また、積層直後から高いラミネート強度を発現し、しかも内容物を包装した後においてもこのような高いラミネート強度が安定に持続する積層包装材料を提供する。
【解決手段】基材フィルム11の片面に無機蒸着層12が形成されたガスバリアフィルム13と、ガスバリアフィルム13の無機蒸着層12側に積層されたヒートシール性のシーラントフィルム14とを備え、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とが、熱可塑性樹脂からなる中間層15を介して溶融圧着されている積層包装材料10である。
【選択図】 図1
【解決手段】基材フィルム11の片面に無機蒸着層12が形成されたガスバリアフィルム13と、ガスバリアフィルム13の無機蒸着層12側に積層されたヒートシール性のシーラントフィルム14とを備え、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とが、熱可塑性樹脂からなる中間層15を介して溶融圧着されている積層包装材料10である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、医薬品などの包装に使用される積層包装材料およびこれを使用した袋体ならびに複合容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品、医薬品などの包装材料として、ガスバリア性を備えたガスバリアフィルムと、ヒートシール性のシーラントフィルムとが積層された積層包装材料が使用されている。ガスバリアフィルムとしては、例えば、ナイロンなどからなる基材フィルムに、酸化ケイ素などからなるガスバリア性の無機蒸着層が形成されたものなどがある。
従来、このような積層包装材料は、ガスバリアフィルムとシーラントフィルムとを接着剤を使用して積層するドライラミネーション法や、ガスバリアフィルムとシーラントフィルムとを、これらの間に溶融押出された押出し熱可塑性樹脂層とガスバリアフィルム側に形成された接着剤からなるアンカーコート層とにより接着するルーダーラミネーション法などで製造されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−120441号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら接着剤を使用した方法では、接着剤をガスバリアフィルムに塗布した直後にシーラントフィルムを積層するために、接着剤中の溶剤が十分に揮発せずに、得られる積層包装材料中に残存する可能性があった。また、積層包装材料に比較的高い強度が求められる場合には、接着剤として2液反応硬化型接着剤が用いられることが多いが、このような接着剤を使用すると、接着剤を十分硬化させ安定したラミネート強度を得るために、積層後に数日間のエージング期間を要すうえ、硬化時の温度管理を厳密に行う必要もあった。さらに、このようにして得られるラミネート強度は、5〜8N程度が限界であり、包装する内容物の種類によっては強度不足であった。
さらに、これら接着剤からなる接着剤層は、ガスバリアフィルムの基材フィルムよりもファンデルワールス力が低いために、内容物に含まれる香料、薬効成分などの介入を受けやすく、その結果、接着剤層が膨潤してラミネート強度が低下してしまう可能性もあった。
また、従来のルーダーラミネーション法では、通常300℃以上の温度で熱可塑性樹脂を溶融しつつ押出すので、熱によってガスバリアフィルムの無機蒸着層にクラックが生じる恐れもあった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、高いガスバリア性を備えるとともに、得られる積層包装材料中に溶剤が残存することなく衛生面、環境面などから有利であり、また、積層直後から高いラミネート強度を発現し、しかも内容物を包装した後においてもこのような高いラミネート強度が安定に持続する積層包装材料およびこれを使用した袋体ならびに複合容器を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層包装材料は、基材フィルムの少なくとも片面に無機蒸着層が形成されたガスバリアフィルムと、該ガスバリアフィルムの前記無機蒸着層側に積層されたシーラントフィルムとを備えた積層包装材料であって、前記ガスバリアフィルムと前記シーラントフィルムとは、熱可塑性樹脂からなる中間層を介して溶融圧着されていることを特徴とする。
前記熱可塑性樹脂は、酸変性ポリオレフィン、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、これらのイオノマー樹脂、これらを主成分とする共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂の融点は65〜170℃であることが好ましい。
前記中間層の厚みは0.5〜10μmであることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂の質量平均分子量は10000以上であることが好ましい。
前記シーラントフィルムは、前記中間層と接する層として、α,β−ポリオレフィン、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、これらを主成分とする共重合体、これらのイオノマー樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種から形成された層を備えていることが好ましい。
前記無機蒸着層は、アルミニウム、ケイ素、炭素からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有していることが好ましい。
本発明の積層包装材料は、袋体や複合容器への使用に適している。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の積層包装材料10の一例を示す縦断面図であって、基材フィルム11の片面に無機蒸着層12が形成されたガスバリアフィルム13と、ガスバリアフィルム13の無機蒸着層12側に積層されたヒートシール性のシーラントフィルム14とを備え、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とが、熱可塑性樹脂からなる中間層15を介して溶融圧着されたものである。
基材フィルム11としては、例えば、ナイロンやポリエステルからなり、延伸が施された樹脂フィルムが好ましい。このような樹脂フィルムを基材フィルム11として使用すると、得られる積層包装材料の耐衝撃性、耐突き刺し性が優れる。基材フィルム11の厚みは、目的に応じて適宜設定できるが、通常、9〜25μmである。
【0008】
基材フィルム11に形成される無機蒸着層12は、酸素、水蒸気などに対するガスバリア性を有するものであって、アルミニウム、ケイ素、炭素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有するものが好ましい。これらの元素を含有する無機蒸着層12は高いガスバリア性を発現する。無機蒸着層12の具体例としては、これらの元素と、さらに酸素および/または水素とを含有する化合物から形成されるものが好ましく、酸化アルミニウム層、酸化ケイ素層、有機シリコーン系モノマーガスから形成されるSiOxCy層などが挙げられる。これらは、優れたガスバリア性を備えるだけでなく、透明性をも有しているため、積層包装材料に透明性が要求される場合でも好適である。
無機蒸着層12の形成は、真空蒸着法、イオンプレーディング法、スパッタリング法、プラズマ蒸着法、CVD法などのドライプロセスにより行うことができ、これらのなかでは、低コストであることなどから、真空蒸着法が好ましい。
無機蒸着層12の厚みは、目的、無機蒸着層12の種類などに応じて適宜設定でき、通常は10〜80nmである。
なお、図1の例では、基材フィルム11の片面のみに無機蒸着層12が形成されているが、両面に形成されていてもよい。
【0009】
また、無機蒸着層12上には、これを保護するために、テトラエトキシシランなどのアルコキシシランからなるコーティング剤を塗布し、コーティング層を設けてもよい。コーティング剤は、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などで塗布することができる。コーティング剤の塗布量には特に制限はないが、通常、乾燥後に0.1〜1μmの厚さとなるように塗布することが好ましい。
さらに、基材フィルム11と無機蒸着層12との間には、これらの間の接着強度改善のためにポリエステル系ウレタン樹脂層を設けてもよい。ポリエステル系ウレタン樹脂層は、ポリエステル系ウレタン樹脂からなるコーティング材のグラビアロールコーティング法などで形成できる。ポリエステル系ウレタン樹脂層の厚みには特に制限はないが、通常0.1〜1μmである。
【0010】
シーラントフィルム14としては、得られた積層包装材料を袋状などに形成する場合のためにヒートシール性を備えたものであればよく、単層でも多層でもよいが、少なくとも後述の中間層15と接する層として、α,β−ポリオレフィン、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、これらを主成分とする、すなわちこれらを50質量%以上含有する共重合体、これらのイオノマー樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種から形成された層を備えているものが好ましい。このような層を備えていると、中間層15と特に高いラミネート強度で接合する。
ポリオレフィンとしては、直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン直線状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)、ポリプロピレン、ポリブテンなどが挙げられ、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)などが挙げられ、イオノマー樹脂としては、EMAA−Na、EMAA−Zn、EMAA−Kなどが挙げられる。
シーラントフィルム14の厚みには特に制限はないが、通常、50〜200μmである。
【0011】
上述したガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とは、熱可塑性樹脂からなる中間層15を介して溶融圧着され、接合される。
ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とを中間層15で溶融圧着する方法としては、まず、熱可塑性樹脂を含有する塗布液をガスバリアフィルム13の無機蒸着層12側に塗布、乾燥し、中間層15を形成する。ここで塗布液としては、中間層15を形成する熱可塑性樹脂が有機溶剤に溶解した溶液や、分散した分散液を使用できる。ついで、形成された中間層15上にシーラントフィルム14を配置、積層させ、これを加熱ロール、ピンチロールなどで加熱、加圧することにより、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とが熱可塑性樹脂からなる中間層15を介して溶融圧着した積層包装材料を得ることができる。加熱、加圧の条件は中間層15を形成する熱可塑性樹脂の種類によって異なるが、通常は、120〜200℃に加熱した加熱ロールとピンチロールとの間を0.1〜2MPaの圧力で通すことによりラミネートする。
【0012】
中間層15を形成する熱可塑性樹脂としては、酸変性ポリオレフィン、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、これらのイオノマー樹脂、これらを主成分とする共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。
酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン共重合ポリプロピレンなどが挙げられ、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体としては、EMAA、EAAなどが挙げられ、イオノマー樹脂としては、EMAA−Na、EMAA−Zn、EMAA−Kなどが挙げられる。
【0013】
熱可塑性樹脂は、その融点が65〜170℃の範囲のものが好ましく、より好ましくは120〜160℃の範囲である。このような融点の熱可塑性樹脂を使用して中間層15を形成すると、溶融圧着の際に無機蒸着層12にクラックを生じさせるような温度まで加熱しなくても、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とが高いラミネート強度となるように確実に接合することができる。
また、中間層15の厚みは0.5〜10μm、好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは1.0〜2.0μmの範囲とする。このような範囲であると、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とを高いラミネート強度で接合することができ、しかも、溶融圧着の温度、圧力を過度に高くする必要がないので、無機蒸着層12にダメージを与えることがない。
【0014】
また、熱可塑性樹脂の分子量としては、質量平均分子量が10000以上のものを使用することが好ましい。このような質量平均分子量の熱可塑性樹脂を使用して中間層15を形成することによって、包装する内容物に含まれる香料、薬効成分などに対する中間層15の耐性が一層向上し、香料、薬効成分などの介入を受けにくく、高いラミネート強度を維持することができる。このような熱可塑性樹脂は、これを溶剤に添加しても溶解せずに分散した分散液となりやすい。よって、中間層15を形成する際に使用する塗布液としては、このような分散液を使用することが好適である。
【0015】
このような積層包装材料は、基材フィルム11の少なくとも片面に無機蒸着層12が形成されたガスバリアフィルム13と、このガスバリアフィルム13の無機蒸着層12側に積層されたシーラントフィルム14とを備えた積層包装材料であって、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とは、熱可塑性樹脂からなる中間層15を介して溶融圧着されている。すなわち、中間層15を一旦形成してから、この中間層15を介して溶融圧着することによりガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とが接合されているので、接着剤の塗布後、直ちにガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とを接合する従来の方法のように、接着剤中の溶剤が十分に揮発せずに、得られる積層包装材料中に残存してしまう可能性がない。また、接着剤として2液反応硬化型接着剤などを使用する場合のように積層後に接着剤を十分硬化させるための長期のエージング期間を設ける必要がなく、生産性に優れるうえ、積層直後から安定したラミネート強度が発現する。さらに、熱可塑性樹脂からなる中間層15による溶融圧着では、接着剤を使用した場合のように接着剤と接着対象物との濡れ性やタック力ではなく、無機蒸着層12と中間層15との化学的な作用により接合されラミネート強度が発現するうえ、熱可塑性樹脂からなる中間層15は従来の接着剤層よりもファンデルワールス力が高いため、たとえ包装対象の内容物がアルコールを含有するものである場合などでも、その介入を受けにくく、高いラミネート強度が安定に持続する。さらに、熱可塑性樹脂からなる中間層15による溶融圧着は、従来のルーダーラミネーション法よりも低温で行えるため、ガスバリアフィルム13の無機蒸着層12にクラックが生じることもなく、高いガスバリア性を発現することができる。
【0016】
このような積層包装材料は、袋体や、複合容器へ使用することができ、袋体としては、外箱と組み合わせて使用されるバッグインボックス用の内袋などの輸液用袋体や、重袋などが挙げられ、製袋の際には、シーラントフィルム14が内側になるように積層包装材料を重ねたり折りまげたりした後、縁部をヒートシールして袋状とすればよい。
複合容器としては、上述のバッグインボックスの他、紙などから成形された外装材の内側に積層包装材料が積層した形態の容器などが好ましく例示できる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
以下のようにして表1に示す構成の積層包装材料を製造した。
二軸延伸した厚み12μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製P60)を基材フィルム11とし、この片面に、真空蒸着法により酸化アルミニウムを主成分とする無機蒸着層12を厚さ20nmに積層させ、さらにその上に、テトラエトキシシランを主成分とするコーティング剤を乾燥塗布量で0.2g/m2(厚み0.2μm)塗布、乾燥して、透明なガスバリアフィルム13を製造した。
ついで、このガスバリアフィルム13のコーティング層側に、無水マレイン酸変性エチレン共重合ポリプロピレン(融点145℃、質量平均分子量30000)が分散したディスパージョンタイプコーティング剤(三井化学(株)製、ユニストールR−300)を乾燥塗布量で2.0g/m2(厚み2μm)塗布、乾燥して、中間層15を形成した。
ついで、シーラントフィルム14として、厚み15μmのメタロセンLLDPE層と厚み65μmのLLDPE層とからなる共押出2層フィルムを用意し、この2層フィルムのメタロセンLLDPE層と中間層15とが接触するように積層し、加熱ロールおよびピンチロールとを使用して溶融圧着し、積層包装材料を得た。
なお、溶融圧着の条件は温度180℃、圧力1.0MPaとした。
【0018】
このようにして得られた積層包装材料について、以下の評価を行った。
(1)残留溶剤量
所定面積に切り出された製造直後の積層包装材料を試料とし、この試料を所定容量のガラス瓶に封入した。80℃で30分間保持した後のガラス瓶中のガスをGC−MSで分析して、1m2当たりの残留溶剤量を求めた。結果を表2に示す。
(2)ラミネート強度経時評価
製造直後の積層包装材料と、50℃で所定時間保存した後の積層包装材料について、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14間の剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
(3)内容物保存時におけるラミネート強度経時評価
積層包装材料を4方シールして袋体を製造し、この袋体内に内容物としてエチルアルコール含有量40mol%の酒を充填し、40℃で保存した。
その際、保存直後の袋体と、50℃で所定時間保存した後の袋体について、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14間の剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
[実施例2]
実施例1と同様にしてガスバリアフィルム13を製造し、このガスバリアフィルム13のコーティング層側に、EAA(融点65℃、質量平均分子量20000)が分散したディスパージョンタイプコーティング剤(三井ヂュポンポリケミカル(株)製、N5130)を乾燥塗布量で2.0g/m2(厚み2μm)塗布、乾燥して、中間層15を形成した。
ついで、シーラントフィルム14として、厚み20μmのEAA層と厚み60μmのLLDPE層とからなる共押出2層フィルムを用意し、この2層フィルムのEAA層と中間層15とが接触するように積層し、加熱ロールおよびピンチロールとを使用して溶融圧着し、積層包装材料を得た。
なお、溶融圧着の条件は温度160℃、圧力1.0MPaとした。
こうして得られた積層包装材料について、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0022】
[実施例3]
二軸延伸した厚み15μmのナイロンフィルム(ユニチカ(株)製エンブレムRT)を基材フィルム11とし、この片面に、真空蒸着法により酸化アルミニウムを主成分とする無機蒸着層12を厚さ25nmに積層させ、さらにその上に、テトラエトキシシランを主成分とするコーティング剤を乾燥塗布量で0.2g/m2(厚み0.2μm)塗布、乾燥して、透明なガスバリアフィルム13を製造した。
ついで、このガスバリアフィルム13のコーティング層側に、EMAA−Naイオノマー樹脂(融点70℃、質量平均分子量20000)が分散したディスパージョンタイプコーティング剤(三井化学(株)製、ケミパールS120)を乾燥塗布量で2.0g/m2(厚み2μm)塗布、乾燥して、中間層15を形成した。
ついで、シーラントフィルム14として、厚み15μmのEMAA−Naイオノマー樹脂層と厚み65μmのLLDPE層とからなる共押出2層フィルムを用意し、この2層フィルムのEMAA−Naイオノマー樹脂層と中間層15とが接触するように積層し、加熱ロールおよびピンチロールとを使用して溶融圧着し、積層包装材料を得た。
なお、溶融圧着の条件は温度160℃、圧力1.0MPaとした。
こうして得られた積層包装材料について、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0023】
[比較例1]
実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造し、このガスバリアフィルムのコーティング層側に、2液硬化型ウレタンエステル型ドライ接着剤(武田製薬(株)製、A515)を乾燥塗布量で2.0g/m2(厚み2μm)塗布し、直ちに、厚み80μmのLLDPEフィルムからなるシーラントフィルムをその上に積層し、積層包装材料を得た。
こうして得られた積層包装材料について、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0024】
[比較例2]
実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造し、このガスバリアフィルムのコーティング層側に、2液硬化型ウレタンエステル型アンカーコート型接着剤(武田製薬(株)製、A3210)を乾燥塗布量で1.0g/m2(厚み1.0μm)塗布し、アンカーコート層を形成した。ついで、このアンカーコート層に、厚み65μmのLLDPEフィルムからなるシーラントフィルムを配置し、アンカーコート層とシーラントフィルムとの間に、320℃で加熱溶融させたLDPE(三井化学(株)製M14P)をTダイより厚さ15μmで層状に押出しながら、ガスバリアフィルムとシーラントフィルムとを積層し、積層包装材料を得た。
こうして得られた積層包装材料について、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の積層包装材料は、高いガスバリア性を備えるとともに、得られる積層包装材料中に溶剤が残存することなく衛生面、環境面などから有利であり、また、積層直後から高いラミネート強度を発現し、しかも内容物を包装した後においてもこのような高いラミネート強度が安定に持続する。よって、本発明の積層包装材料は、バッグインボックス用の内袋などの輸液用袋体、重袋に代表される袋体や、複合容器への使用に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層包装材料の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 積層包装材料
11 基材フィルム
12 無機蒸着層
13 ガスバリアフィルム
14 シーラントフィルム
15 中間層
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、医薬品などの包装に使用される積層包装材料およびこれを使用した袋体ならびに複合容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品、医薬品などの包装材料として、ガスバリア性を備えたガスバリアフィルムと、ヒートシール性のシーラントフィルムとが積層された積層包装材料が使用されている。ガスバリアフィルムとしては、例えば、ナイロンなどからなる基材フィルムに、酸化ケイ素などからなるガスバリア性の無機蒸着層が形成されたものなどがある。
従来、このような積層包装材料は、ガスバリアフィルムとシーラントフィルムとを接着剤を使用して積層するドライラミネーション法や、ガスバリアフィルムとシーラントフィルムとを、これらの間に溶融押出された押出し熱可塑性樹脂層とガスバリアフィルム側に形成された接着剤からなるアンカーコート層とにより接着するルーダーラミネーション法などで製造されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−120441号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら接着剤を使用した方法では、接着剤をガスバリアフィルムに塗布した直後にシーラントフィルムを積層するために、接着剤中の溶剤が十分に揮発せずに、得られる積層包装材料中に残存する可能性があった。また、積層包装材料に比較的高い強度が求められる場合には、接着剤として2液反応硬化型接着剤が用いられることが多いが、このような接着剤を使用すると、接着剤を十分硬化させ安定したラミネート強度を得るために、積層後に数日間のエージング期間を要すうえ、硬化時の温度管理を厳密に行う必要もあった。さらに、このようにして得られるラミネート強度は、5〜8N程度が限界であり、包装する内容物の種類によっては強度不足であった。
さらに、これら接着剤からなる接着剤層は、ガスバリアフィルムの基材フィルムよりもファンデルワールス力が低いために、内容物に含まれる香料、薬効成分などの介入を受けやすく、その結果、接着剤層が膨潤してラミネート強度が低下してしまう可能性もあった。
また、従来のルーダーラミネーション法では、通常300℃以上の温度で熱可塑性樹脂を溶融しつつ押出すので、熱によってガスバリアフィルムの無機蒸着層にクラックが生じる恐れもあった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、高いガスバリア性を備えるとともに、得られる積層包装材料中に溶剤が残存することなく衛生面、環境面などから有利であり、また、積層直後から高いラミネート強度を発現し、しかも内容物を包装した後においてもこのような高いラミネート強度が安定に持続する積層包装材料およびこれを使用した袋体ならびに複合容器を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層包装材料は、基材フィルムの少なくとも片面に無機蒸着層が形成されたガスバリアフィルムと、該ガスバリアフィルムの前記無機蒸着層側に積層されたシーラントフィルムとを備えた積層包装材料であって、前記ガスバリアフィルムと前記シーラントフィルムとは、熱可塑性樹脂からなる中間層を介して溶融圧着されていることを特徴とする。
前記熱可塑性樹脂は、酸変性ポリオレフィン、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、これらのイオノマー樹脂、これらを主成分とする共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂の融点は65〜170℃であることが好ましい。
前記中間層の厚みは0.5〜10μmであることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂の質量平均分子量は10000以上であることが好ましい。
前記シーラントフィルムは、前記中間層と接する層として、α,β−ポリオレフィン、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、これらを主成分とする共重合体、これらのイオノマー樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種から形成された層を備えていることが好ましい。
前記無機蒸着層は、アルミニウム、ケイ素、炭素からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有していることが好ましい。
本発明の積層包装材料は、袋体や複合容器への使用に適している。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の積層包装材料10の一例を示す縦断面図であって、基材フィルム11の片面に無機蒸着層12が形成されたガスバリアフィルム13と、ガスバリアフィルム13の無機蒸着層12側に積層されたヒートシール性のシーラントフィルム14とを備え、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とが、熱可塑性樹脂からなる中間層15を介して溶融圧着されたものである。
基材フィルム11としては、例えば、ナイロンやポリエステルからなり、延伸が施された樹脂フィルムが好ましい。このような樹脂フィルムを基材フィルム11として使用すると、得られる積層包装材料の耐衝撃性、耐突き刺し性が優れる。基材フィルム11の厚みは、目的に応じて適宜設定できるが、通常、9〜25μmである。
【0008】
基材フィルム11に形成される無機蒸着層12は、酸素、水蒸気などに対するガスバリア性を有するものであって、アルミニウム、ケイ素、炭素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有するものが好ましい。これらの元素を含有する無機蒸着層12は高いガスバリア性を発現する。無機蒸着層12の具体例としては、これらの元素と、さらに酸素および/または水素とを含有する化合物から形成されるものが好ましく、酸化アルミニウム層、酸化ケイ素層、有機シリコーン系モノマーガスから形成されるSiOxCy層などが挙げられる。これらは、優れたガスバリア性を備えるだけでなく、透明性をも有しているため、積層包装材料に透明性が要求される場合でも好適である。
無機蒸着層12の形成は、真空蒸着法、イオンプレーディング法、スパッタリング法、プラズマ蒸着法、CVD法などのドライプロセスにより行うことができ、これらのなかでは、低コストであることなどから、真空蒸着法が好ましい。
無機蒸着層12の厚みは、目的、無機蒸着層12の種類などに応じて適宜設定でき、通常は10〜80nmである。
なお、図1の例では、基材フィルム11の片面のみに無機蒸着層12が形成されているが、両面に形成されていてもよい。
【0009】
また、無機蒸着層12上には、これを保護するために、テトラエトキシシランなどのアルコキシシランからなるコーティング剤を塗布し、コーティング層を設けてもよい。コーティング剤は、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などで塗布することができる。コーティング剤の塗布量には特に制限はないが、通常、乾燥後に0.1〜1μmの厚さとなるように塗布することが好ましい。
さらに、基材フィルム11と無機蒸着層12との間には、これらの間の接着強度改善のためにポリエステル系ウレタン樹脂層を設けてもよい。ポリエステル系ウレタン樹脂層は、ポリエステル系ウレタン樹脂からなるコーティング材のグラビアロールコーティング法などで形成できる。ポリエステル系ウレタン樹脂層の厚みには特に制限はないが、通常0.1〜1μmである。
【0010】
シーラントフィルム14としては、得られた積層包装材料を袋状などに形成する場合のためにヒートシール性を備えたものであればよく、単層でも多層でもよいが、少なくとも後述の中間層15と接する層として、α,β−ポリオレフィン、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、これらを主成分とする、すなわちこれらを50質量%以上含有する共重合体、これらのイオノマー樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種から形成された層を備えているものが好ましい。このような層を備えていると、中間層15と特に高いラミネート強度で接合する。
ポリオレフィンとしては、直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン直線状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)、ポリプロピレン、ポリブテンなどが挙げられ、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)などが挙げられ、イオノマー樹脂としては、EMAA−Na、EMAA−Zn、EMAA−Kなどが挙げられる。
シーラントフィルム14の厚みには特に制限はないが、通常、50〜200μmである。
【0011】
上述したガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とは、熱可塑性樹脂からなる中間層15を介して溶融圧着され、接合される。
ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とを中間層15で溶融圧着する方法としては、まず、熱可塑性樹脂を含有する塗布液をガスバリアフィルム13の無機蒸着層12側に塗布、乾燥し、中間層15を形成する。ここで塗布液としては、中間層15を形成する熱可塑性樹脂が有機溶剤に溶解した溶液や、分散した分散液を使用できる。ついで、形成された中間層15上にシーラントフィルム14を配置、積層させ、これを加熱ロール、ピンチロールなどで加熱、加圧することにより、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とが熱可塑性樹脂からなる中間層15を介して溶融圧着した積層包装材料を得ることができる。加熱、加圧の条件は中間層15を形成する熱可塑性樹脂の種類によって異なるが、通常は、120〜200℃に加熱した加熱ロールとピンチロールとの間を0.1〜2MPaの圧力で通すことによりラミネートする。
【0012】
中間層15を形成する熱可塑性樹脂としては、酸変性ポリオレフィン、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、これらのイオノマー樹脂、これらを主成分とする共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。
酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン共重合ポリプロピレンなどが挙げられ、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体としては、EMAA、EAAなどが挙げられ、イオノマー樹脂としては、EMAA−Na、EMAA−Zn、EMAA−Kなどが挙げられる。
【0013】
熱可塑性樹脂は、その融点が65〜170℃の範囲のものが好ましく、より好ましくは120〜160℃の範囲である。このような融点の熱可塑性樹脂を使用して中間層15を形成すると、溶融圧着の際に無機蒸着層12にクラックを生じさせるような温度まで加熱しなくても、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とが高いラミネート強度となるように確実に接合することができる。
また、中間層15の厚みは0.5〜10μm、好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは1.0〜2.0μmの範囲とする。このような範囲であると、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とを高いラミネート強度で接合することができ、しかも、溶融圧着の温度、圧力を過度に高くする必要がないので、無機蒸着層12にダメージを与えることがない。
【0014】
また、熱可塑性樹脂の分子量としては、質量平均分子量が10000以上のものを使用することが好ましい。このような質量平均分子量の熱可塑性樹脂を使用して中間層15を形成することによって、包装する内容物に含まれる香料、薬効成分などに対する中間層15の耐性が一層向上し、香料、薬効成分などの介入を受けにくく、高いラミネート強度を維持することができる。このような熱可塑性樹脂は、これを溶剤に添加しても溶解せずに分散した分散液となりやすい。よって、中間層15を形成する際に使用する塗布液としては、このような分散液を使用することが好適である。
【0015】
このような積層包装材料は、基材フィルム11の少なくとも片面に無機蒸着層12が形成されたガスバリアフィルム13と、このガスバリアフィルム13の無機蒸着層12側に積層されたシーラントフィルム14とを備えた積層包装材料であって、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とは、熱可塑性樹脂からなる中間層15を介して溶融圧着されている。すなわち、中間層15を一旦形成してから、この中間層15を介して溶融圧着することによりガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とが接合されているので、接着剤の塗布後、直ちにガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14とを接合する従来の方法のように、接着剤中の溶剤が十分に揮発せずに、得られる積層包装材料中に残存してしまう可能性がない。また、接着剤として2液反応硬化型接着剤などを使用する場合のように積層後に接着剤を十分硬化させるための長期のエージング期間を設ける必要がなく、生産性に優れるうえ、積層直後から安定したラミネート強度が発現する。さらに、熱可塑性樹脂からなる中間層15による溶融圧着では、接着剤を使用した場合のように接着剤と接着対象物との濡れ性やタック力ではなく、無機蒸着層12と中間層15との化学的な作用により接合されラミネート強度が発現するうえ、熱可塑性樹脂からなる中間層15は従来の接着剤層よりもファンデルワールス力が高いため、たとえ包装対象の内容物がアルコールを含有するものである場合などでも、その介入を受けにくく、高いラミネート強度が安定に持続する。さらに、熱可塑性樹脂からなる中間層15による溶融圧着は、従来のルーダーラミネーション法よりも低温で行えるため、ガスバリアフィルム13の無機蒸着層12にクラックが生じることもなく、高いガスバリア性を発現することができる。
【0016】
このような積層包装材料は、袋体や、複合容器へ使用することができ、袋体としては、外箱と組み合わせて使用されるバッグインボックス用の内袋などの輸液用袋体や、重袋などが挙げられ、製袋の際には、シーラントフィルム14が内側になるように積層包装材料を重ねたり折りまげたりした後、縁部をヒートシールして袋状とすればよい。
複合容器としては、上述のバッグインボックスの他、紙などから成形された外装材の内側に積層包装材料が積層した形態の容器などが好ましく例示できる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
以下のようにして表1に示す構成の積層包装材料を製造した。
二軸延伸した厚み12μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製P60)を基材フィルム11とし、この片面に、真空蒸着法により酸化アルミニウムを主成分とする無機蒸着層12を厚さ20nmに積層させ、さらにその上に、テトラエトキシシランを主成分とするコーティング剤を乾燥塗布量で0.2g/m2(厚み0.2μm)塗布、乾燥して、透明なガスバリアフィルム13を製造した。
ついで、このガスバリアフィルム13のコーティング層側に、無水マレイン酸変性エチレン共重合ポリプロピレン(融点145℃、質量平均分子量30000)が分散したディスパージョンタイプコーティング剤(三井化学(株)製、ユニストールR−300)を乾燥塗布量で2.0g/m2(厚み2μm)塗布、乾燥して、中間層15を形成した。
ついで、シーラントフィルム14として、厚み15μmのメタロセンLLDPE層と厚み65μmのLLDPE層とからなる共押出2層フィルムを用意し、この2層フィルムのメタロセンLLDPE層と中間層15とが接触するように積層し、加熱ロールおよびピンチロールとを使用して溶融圧着し、積層包装材料を得た。
なお、溶融圧着の条件は温度180℃、圧力1.0MPaとした。
【0018】
このようにして得られた積層包装材料について、以下の評価を行った。
(1)残留溶剤量
所定面積に切り出された製造直後の積層包装材料を試料とし、この試料を所定容量のガラス瓶に封入した。80℃で30分間保持した後のガラス瓶中のガスをGC−MSで分析して、1m2当たりの残留溶剤量を求めた。結果を表2に示す。
(2)ラミネート強度経時評価
製造直後の積層包装材料と、50℃で所定時間保存した後の積層包装材料について、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14間の剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
(3)内容物保存時におけるラミネート強度経時評価
積層包装材料を4方シールして袋体を製造し、この袋体内に内容物としてエチルアルコール含有量40mol%の酒を充填し、40℃で保存した。
その際、保存直後の袋体と、50℃で所定時間保存した後の袋体について、ガスバリアフィルム13とシーラントフィルム14間の剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
[実施例2]
実施例1と同様にしてガスバリアフィルム13を製造し、このガスバリアフィルム13のコーティング層側に、EAA(融点65℃、質量平均分子量20000)が分散したディスパージョンタイプコーティング剤(三井ヂュポンポリケミカル(株)製、N5130)を乾燥塗布量で2.0g/m2(厚み2μm)塗布、乾燥して、中間層15を形成した。
ついで、シーラントフィルム14として、厚み20μmのEAA層と厚み60μmのLLDPE層とからなる共押出2層フィルムを用意し、この2層フィルムのEAA層と中間層15とが接触するように積層し、加熱ロールおよびピンチロールとを使用して溶融圧着し、積層包装材料を得た。
なお、溶融圧着の条件は温度160℃、圧力1.0MPaとした。
こうして得られた積層包装材料について、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0022】
[実施例3]
二軸延伸した厚み15μmのナイロンフィルム(ユニチカ(株)製エンブレムRT)を基材フィルム11とし、この片面に、真空蒸着法により酸化アルミニウムを主成分とする無機蒸着層12を厚さ25nmに積層させ、さらにその上に、テトラエトキシシランを主成分とするコーティング剤を乾燥塗布量で0.2g/m2(厚み0.2μm)塗布、乾燥して、透明なガスバリアフィルム13を製造した。
ついで、このガスバリアフィルム13のコーティング層側に、EMAA−Naイオノマー樹脂(融点70℃、質量平均分子量20000)が分散したディスパージョンタイプコーティング剤(三井化学(株)製、ケミパールS120)を乾燥塗布量で2.0g/m2(厚み2μm)塗布、乾燥して、中間層15を形成した。
ついで、シーラントフィルム14として、厚み15μmのEMAA−Naイオノマー樹脂層と厚み65μmのLLDPE層とからなる共押出2層フィルムを用意し、この2層フィルムのEMAA−Naイオノマー樹脂層と中間層15とが接触するように積層し、加熱ロールおよびピンチロールとを使用して溶融圧着し、積層包装材料を得た。
なお、溶融圧着の条件は温度160℃、圧力1.0MPaとした。
こうして得られた積層包装材料について、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0023】
[比較例1]
実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造し、このガスバリアフィルムのコーティング層側に、2液硬化型ウレタンエステル型ドライ接着剤(武田製薬(株)製、A515)を乾燥塗布量で2.0g/m2(厚み2μm)塗布し、直ちに、厚み80μmのLLDPEフィルムからなるシーラントフィルムをその上に積層し、積層包装材料を得た。
こうして得られた積層包装材料について、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0024】
[比較例2]
実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造し、このガスバリアフィルムのコーティング層側に、2液硬化型ウレタンエステル型アンカーコート型接着剤(武田製薬(株)製、A3210)を乾燥塗布量で1.0g/m2(厚み1.0μm)塗布し、アンカーコート層を形成した。ついで、このアンカーコート層に、厚み65μmのLLDPEフィルムからなるシーラントフィルムを配置し、アンカーコート層とシーラントフィルムとの間に、320℃で加熱溶融させたLDPE(三井化学(株)製M14P)をTダイより厚さ15μmで層状に押出しながら、ガスバリアフィルムとシーラントフィルムとを積層し、積層包装材料を得た。
こうして得られた積層包装材料について、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の積層包装材料は、高いガスバリア性を備えるとともに、得られる積層包装材料中に溶剤が残存することなく衛生面、環境面などから有利であり、また、積層直後から高いラミネート強度を発現し、しかも内容物を包装した後においてもこのような高いラミネート強度が安定に持続する。よって、本発明の積層包装材料は、バッグインボックス用の内袋などの輸液用袋体、重袋に代表される袋体や、複合容器への使用に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層包装材料の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 積層包装材料
11 基材フィルム
12 無機蒸着層
13 ガスバリアフィルム
14 シーラントフィルム
15 中間層
Claims (9)
- 基材フィルムの少なくとも片面に無機蒸着層が形成されたガスバリアフィルムと、該ガスバリアフィルムの前記無機蒸着層側に積層されたシーラントフィルムとを備えた積層包装材料であって、
前記ガスバリアフィルムと前記シーラントフィルムとは、熱可塑性樹脂からなる中間層を介して溶融圧着されていることを特徴とする積層包装材料。 - 前記熱可塑性樹脂は、酸変性ポリオレフィン、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、これらのイオノマー樹脂、これらを主成分とする共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の積層包装材料。
- 前記熱可塑性樹脂の融点が65〜170℃であることを特徴とする請求項1に記載の積層包装材料。
- 前記中間層の厚みが0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の積層包装材料。
- 前記熱可塑性樹脂の質量平均分子量が10000以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層包装材料。
- 前記シーラントフィルムは、前記中間層と接する層として、α,β−ポリオレフィン、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、これらを主成分とする共重合体、これらのイオノマー樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種から形成された層を備えていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の積層包装材料。
- 前記無機蒸着層は、アルミニウム、ケイ素、炭素からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の積層包装材料。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の積層包装材料を使用したことを特徴とする袋体。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の積層包装材料を使用したことを特徴とする複合容器。
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-
2003
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