JP2004325263A - 電池の自己放電量検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バッテリーの電力消費を最少にして駐車中のバッテリーの自己放電量を検出する電池の自己放電量検出装置を提供する。
【解決手段】イグニッションオフ直前の負荷状態における組電池2の電圧から無負荷状態における組電池2の電圧を推定し、推定された組電池2の電圧から、イグニッションオン直後の無負荷状態における組電池2の電圧を減じて、イグニッションオフからオンまでの駐車時間における組電池2の自己放電量を算出する。
【選択図】 図1
【解決手段】イグニッションオフ直前の負荷状態における組電池2の電圧から無負荷状態における組電池2の電圧を推定し、推定された組電池2の電圧から、イグニッションオン直後の無負荷状態における組電池2の電圧を減じて、イグニッションオフからオンまでの駐車時間における組電池2の自己放電量を算出する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両に装備される電池の状態を検出する装置に関し、特に、自己放電量を検出するものである。
【0002】
【従来の技術】
駐車中の車両において間欠的に自己放電量を検出し、駐車直前の残存容量から駐車中の自己放電量を減じることによってバッテリーの残存容量を正確に検出するようにした電気自動車の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】
特開平11−150878号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の装置では、間欠的にではあるが駐車中に自己放電量の検出を行っているので、駐車中はバッテリーの自己放電に加え、自己放電量検出のためにバッテリー電力を消費するという問題がある。
【0005】
本発明は、バッテリーの電力消費を最少にして駐車中のバッテリーの自己放電量を検出する電池の自己放電量検出装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、イグニッションオフ直前の負荷状態における組電池の電圧から無負荷状態における組電池の電圧を推定し、推定された組電池の電圧から、イグニッションオン直後の無負荷状態における組電池の電圧を減じて、イグニッションオフからオンまでの駐車時間における組電池の自己放電量を算出する、ものである。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、バッテリーの電力消費を最少にして駐車中のバッテリーの自己放電量を正確に求めることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本願発明を電気自動車に適用した一実施の形態を説明する。図1は一実施の形態の構成を示す。電気自動車には、走行用モーター1を駆動するための電源となる高圧バッテリー2が搭載されている。この一実施の形態では、高圧バッテリー2の自己放電量および自己放電の異常を検出する。なお、この電気自動車には高圧バッテリー2の他に、後述する電池コントローラー3と車両コントローラー4に低圧の制御電源を供給する補助電源5と、タイマー3bに専用の電源を供給するタイマー電源3cを備えている。
【0009】
高圧バッテリー2は、複数個の電池セルCが直列に接続された電池モジュールMを複数組直列に接続して構成される組電池である。この一実施の形態では、複数個の電池セルCが直列に接続された電池モジュールM1〜M3を3組直列に接続した例を示す。なお、この高圧バッテリー2はリチウム・イオン電池である。
【0010】
高圧バッテリー2の高圧直流電力はリレー6を介して補機システム7とインバーター8に供給される。補機システム7は、空調装置や電動パワーステアリングなどの車載機器である。インバーター8は高圧バッテリー2の高圧直流電力を交流電力に変換して走行用モーター1に供給する。
【0011】
電池コントローラー3は、CPU3a、タイマー3b、タイマー電源3c、メモリ3d、セル電圧検出回路3eなどを備え、高圧バッテリー2の充放電制御と自己放電の管理などを行う。タイマー3bは車両の駐車時間、厳密にはイグニッションスイッチ9がオフされている時間を計時する。タイマー電源3cはタイマー3bの専用電源であり、車両のイグニッションスイッチ9のオン、オフに無関係に常時、タイマー3bに電源を供給する。
【0012】
メモリ3dは、各種マップやテーブルの他に、高圧バッテリー2を構成する各電池セルCの両端電圧(以下、セル電圧という)Vcなどのデータを記憶する。セル電圧検出回路3eは、各電池セルCのセル電圧Vcを検出する。
【0013】
電池コントローラー3にはまた、高圧バッテリー2の温度を検出する温度センサー10、高圧バッテリー2の両端電圧(以下、バッテリー電圧という)Vbを検出する電圧センサー11、高圧バッテリー2の充放電電流Ibを検出する電流センサー12が接続される。温度センサー10は、電池モジュールM1、M2、M3ごとに3個の温度検出素子が設けられ、各モジュールの温度が高くなると予想される場所と、中間的な温度になると予想される場所と、温度が低くなると予想される場所にそれぞれ配置される。
【0014】
なお、電流センサー12で検出される高圧バッテリー2の充放電電流Ibは、高圧バッテリー2から補機システム7およびインバーター8への放電電流を正とし、補機システム7およびインバーター8から高圧バッテリー2への充電電流を負とする。
【0015】
車両センサー4はCPU4aとメモリ4bなどを備え、インバーター8を制御して走行用モーター1を駆動するとともに、補機システム7の駆動制御を行う。車両コントローラー4には、イグニッションスイッチ9、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルセンサー13、ブレーキペダルの踏み込み圧を検出するブレーキセンサー14、車速を検出する車速センサー15、警告灯16などが接続される。
【0016】
車両コントローラー4は、電池コントローラー3から通信線17を介して高圧バッテリー2に関する情報を入手するとともに、上述したセンサー13〜15によりアクセルペダル踏み込み量、ブレーキペダル踏み込み圧、車速を検出し、これらの情報に基づいて車両の駆動力を演算して走行用モーター1の駆動制御を行う。
【0017】
電池コントローラー3と車両コントローラー4には、リレー18を介して補助電源5から低圧の制御電源が供給される。リレー18はイグニッションスイッチ9がオンすると直ちにオンし、補助電源5から電池コントローラー3と車両コントローラー4へ制御電源の供給を開始する。また、リレー18は、イグニッションスイッチ9がオフした後、電池コントローラー3が後述するイグニッションオフ後の処理を完了した時点でオフし、電池コントローラー3と車両コントローラー4への制御電源の供給を停止する。
【0018】
この一実施の形態では、イグニッションオン直後の高圧バッテリー2のセル電圧Vc_onを検出するとともに、イグニッションオフ直前の高圧バッテリー2のセル電圧Vc_offを検出し、電池セルCごとにイグニッションオフ直前のセル電圧Vc_offからイグニッションオン直後のセル電圧Vc_onを減じ、イグニッションオフからオンまでの駐車時間中の高圧バッテリー2の自己放電量Vdを求める。そして、この自己放電量Vdを異常判定基準値と比較し、自己放電量Vdが異常判定基準値以上の電池セルCを異常であるとする。
【0019】
なお、電池セルCごとのセル電圧Vcはセル電圧検出回路3eにより検出するが、検出値に対しては温度補正と劣化補正を行うとともに、イグニッションオフ直前の負荷状態のセル電圧Vcを無負荷状態のセル電圧Vcに変換する。
【0020】
図2は、一実施の形態の高圧バッテリー2の自己放電管理プログラムを示すフローチャートである。このフローチャートにより、一実施の形態の動作を説明する。電池コントローラー3のCPU3aは、車両コントローラー4を介してイグニッションスイッチ9のオン情報を受信するとこの自己放電管理プログラムの実行を開始する。
【0021】
ステップ1において、リレー6が投入される前にセル電圧検出回路3eにより各電池セルCの無負荷状態のセル電圧(開放セル電圧)Vcを検出する。続くステップ2で、温度センサー10により各電池モジュールM1、M2、M3の平均温度(以下、モジュール平均温度という)を検出するとともに、各電池モジュールM1、M2、M3のモジュール平均温度に基づいて高圧バッテリー2全体の平均温度(以下、バッテリー温度Tbという)を求める。
【0022】
ステップ3では、タイマー3bにより計時されているイグニッションスイッチ9のオフからオンまでの時間、すなわち駐車時間tpを検出する。ステップ4で図4に示すマップからバッテリー温度Tbに対応するセル電圧Vcの温度補正係数kTを検索する。
【0023】
図4は、バッテリー温度Tbに対するセル電圧Vcの温度補正係数kTを示すマップである。バッテリー温度Tbが常温20℃のときの温度係数kTを1とし、バッテリー温度Tbが20℃より高くなるほど温度係数kTが大きくなり、バッテリー温度Tbが20℃より低くなるほど温度係数kTが小さくなる。
【0024】
ステップ5において、ステップ1で検出した電池セルCごとのセル電圧Vcに温度係数kTを乗じて補正し、温度補正後の各電池セルCのセル電圧Vc_onを求める。このセル電圧Vc_onは、イグニッションオン直後の無負荷状態のセル電圧、すなわち開放セル電圧である。ステップ6で、駐車時間tp中の高圧バッテリー2の自己放電量Vdを求める。
【0025】
具体的には、後述するイグニッションオフ直前の各電池セルCのセル電圧Vc_offから、ステップ5で求めたイグニッションオン直後のセル電圧Vc_onを電池セルCごとに減算し、電池セルCごとの駐車時間tp中の自己放電量Pcを求める。なお、イグニッションオン直後のセル電圧Vc_onは温度補正後の無負荷状態(開放状態)のセル電圧である。また、イグニッションオフ直前のセル電圧Vc_offは、詳細を後述するが、負荷状態のセル電圧を無負荷状態のセル電圧に変換した後、温度補正と劣化補正を行ったセル電圧である。
【0026】
ステップ7において、図5に示す自己放電量Vdの異常判定基準値テーブルから、イグニッションオフ直前のSOCと駐車時間tpとに対応する異常判定基準値を補間演算する。図5において、例えば駐車時間tpが24hで、イグニッションオフ直前のSOCが90%の場合は、異常判定基準値が6mV/セルであるから、駐車中の自己放電量Vdが6mV未満の電池セルCは正常、6mV以上の電池セルCは異常と判定される。
【0027】
ステップ8において、駐車中の自己放電量Vdが異常判定基準値以上で自己放電量が異常と判定された電池セルCがあるかどうかを確認し、自己放電量異常の電池セルCがあればステップ9へ進み、異常セルがなければステップ11へ進む。
【0028】
自己放電量異常の電池セルCがある場合は、ステップ9で、車両コントローラー4へ自己放電量異常信号を出力し、車両コントローラー4により警告灯16を点灯させる。続くステップ10で、自己放電量異常が発生している電池セルCの個数に基づいて高圧バッテリー2の充放電制限値を決定し、車両コントローラー4へ出力する。車両コントローラー4は、この充放電制限値に基づいて高圧バッテリー2への充放電容量を制限する。
【0029】
ステップ11において、高圧バッテリー2の劣化係数kRを算出し、メモリ3dに記憶されている前回の値を更新する。具体的には、電圧センサー11により複数の時点において高圧バッテリー2のバッテリー電圧Vbを検出するとともに、電流センサー12により複数の時点において高圧バッテリー2の充放電電流Ibを検出し、検出結果のバッテリー電圧Vbと充放電電流Ibを2次元平面上にプロットして直線回帰し、回帰直線の傾きにより高圧バッテリー2の抵抗値を算出する。この抵抗値を予めメモリ3dに記憶している新品時の抵抗値で除することによって高圧バッテリー2の劣化係数kRを求める。
【0030】
続くステップ12では、高圧バッテリー2のSOCを検出し、メモリ3dに記憶されている前回の値を更新する。具体的には、予め高圧バッテリー2のバッテリー電圧Vbに対するSOCの特性を検出し、図6に示すような特性マップをメモリ3dに記憶しておく。そして、図6に示す特性マップから電圧センサー11により検出したバッテリー電圧Vbに対応するSOCを表引き演算する。
【0031】
ステップ13において、所定時間、例えば5秒間の間、電流センサー12により充放電電流Ibを、セル電圧検出回路3eにより電池セルCごとのセル電圧Vcを、温度センサー10によりバッテリー温度Tbを、順次繰り返し検出し、メモリ3dに記憶されている前回のデータを更新する。例えば1秒ごとに充放電電流Ib、セル電圧Vc、バッテリー温度Tbを検出し記憶したとすると、5秒間では5組のデータがサンプリングされ最新のデータに更新される。
【0032】
ステップ14でイグニッションスイッチ9がオフされたか否かを確認し、オフされていないときはステップ11へ戻る。したがって、イグニッションスイッチ9がオンされている間は、ステップ11〜13で随時、高圧バッテリー2の最新のデータ、すなわち劣化係数kR、SOC、充放電電流Ib、セル電圧Vc、バッテリー温度Tbが演算または検出され、メモリ3dの記憶値が更新される。
【0033】
一方、イグニッションスイッチ9がオフされたときは、メモリ3dに記憶されている劣化係数kR、SOC、充放電電流Ib、セル電圧Vc、バッテリー温度Tbは、イグニッションオフ直前の最新のデータとなる。イグニッションスイッチ9がオフされたときはステップ15へ進み、メモリ3dから高圧バッテリー2のイグニッションオフ直前の最新の劣化係数kR、SOC、電池セルCごとのセル電圧Vcおよびバッテリー温度Tbを読み出す。
【0034】
ステップ16において、イグニッションオフ直前の最新のセル電圧Vcに対する補正値を算出する。一般に、電池は負荷状態すなわち充放電状態と、無負荷状態すなわち端子開放状態とではセル電圧が異なり、負荷状態から無負荷状態になりセル電圧が安定するまでには時間がかかる。上述したように、イグニッションオン直後のセル電圧Vc_onは無負荷状態の開放セル電圧であるから、イグニッションオフ直前の負荷状態のセル電圧Vcを無負荷状態のセル電圧に変換し、同一条件のセル電圧として電池セルCの自己放電量Vdを演算する。
【0035】
まず、メモリ3dからイグニッションオフ直前の所定時間(ここでは5秒)の間にサンプリングした充放電電流Ibを読み出し、それらを二乗積算してイグニッションオフ直前の高圧バッテリー2の負荷とする。次に、メモリ3dに記憶されているセル電圧補正値テーブル(図7参照)から、イグニッションオフ直前の高圧バッテリー2の負荷(充放電電流Ibの二乗積算値)とSOCとに対応するセル電圧Vcの補正値を補間演算する。具体的には、SOCが80%で充放電電流Ibの二乗積算値が20A2の場合には、セル電圧補正値は6.5mVである。
【0036】
ステップ17において、イグニッションオフ直前の高圧バッテリー2のSOCと負荷に応じた補正値を用いて各電池セルCのセル電圧Vcを補正する。このとき、イグニッションオフ直前の充放電電流Ibが正で高圧バッテリー2が放電状態にあった場合には、各電池セルCのセル電圧Vcに補正値を加算し、逆にイグニッションオフ直前の充放電電流Ibが負で高圧バッテリー2が充電状態にあった場合には、各電池セルCのセル電圧Vcから補正値を減算する。
【0037】
補正後のセル電圧Vcは、イグニッションオフ直前の負荷状態におけるセル電圧を無負荷状態における安定な開放セル電圧に変換したものである。
【0038】
ステップ18で、図4に示すマップからイグニッションオフ直前の最新のバッテリー温度Tbに対応するセル電圧Vcの温度補正係数kTを検索する。続くステップ19で、高圧バッテリー2のSOCと負荷に応じて補正した各電池セルCのセル電圧Vcに対して、上記温度補正係数kTとイグニッションオフ直前の最新の劣化係数kRとを乗じ、高圧バッテリー2の劣化状態と温度によりセル電圧Vcを補正する。
【0039】
ステップ20において、補正後の各電池セルCのセル電圧Vcを、イグニッションオフ直前、つまり駐車状態に入る直前の各電池セルCの無負荷状態のセル電圧Vc_offとしてメモリ3dに記憶する。続くステップ21で、タイマー3bをスタートさせて駐車時間tpの計時を開始するとともに、リレー18をオフして補助電源5から電池コントローラー3と車両コントローラー4への制御電源の供給を停止する。
【0040】
以上説明したように一実施の形態によれば、イグニッションオフ直前の負荷状態における組電池(高圧バッテリー2)のセル電圧から無負荷状態における組電池のセル電圧Vc_offを演算により推定し、推定された組電池のセル電圧Vc_offから、イグニッションオン直後の無負荷状態における組電池のセル電圧Vc_onを減じて、イグニッションオフからオンまでの駐車時間tpにおける組電池の自己放電量Vdを算出するようにしたので、従来のように駐車中に間欠的に制御電源の電力を消費して自己放電量を検出する必要がなく、イグニッションオフ直後のセル電圧Vc_offの算出処理と駐車時間を計時するタイマーに要するわずかな制御電源の電力消費のみで、正確な駐車中の自己放電量Vdを求めることができる。
【0041】
一実施の形態では、組電池(高圧バッテリー2)の自己放電量Vdが予め定めた基準値以上である場合は組電池の異常と判定するので、組電池の異常を確実に検出できる。また、異常判定基準値を駐車時間tpと組電池のSOCに基づいて設定しているので、駐車時間と組電池のSOCに応じた適切な判定基準値により正確な異常判定を行うことができる。
【0042】
一実施の形態によれば、イグニッションオフ直前の組電池(高圧バッテリー2)の充放電電流IbとSOCに基づいてイグニッションオフ直前の無負荷状態における組電池のセル電圧Vc_offを推定するようにしたので、正確な無負荷状態における組電池のセル電圧Vc_offを推定できる。
【0043】
一実施の形態では、組電池(高圧バッテリー2)のセル電圧Vc_onおよびVc_offを組電池の温度に応じて補正するようにしたので、組電池の温度環境が変化しても正確な自己放電量Vdを求めることができる。また、一実施の形態では、イグニッションオフ直前の組電池(高圧バッテリー2)のセル電圧Vc_offを組電池の劣化の度合いに応じて補正するようにしたので、経年劣化があっても正確な自己放電量Vdを求めることができる。
【0044】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、セル電圧検出回路3eおよび電圧センサー11が電圧検出手段を、電池コントローラー3のCPU3aが電圧推定手段、自己放電量算出手段、異常判定手段、SOC検出手段、温度補正手段、劣化検出手段および劣化補正手段を、電流センサー12が電流検出手段を、温度センサー10が温度検出手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【0045】
上述した一実施の形態では本願発明を電気自動車に適用した例を示したが、本願発明は電気自動車に限定されず、エンジン車両やハイブリッド車両に搭載される組電池に適用することができる。
【0046】
上述した一実施の形態では、高圧バッテリー2にリチウム・イオン電池を用いた例を示したが、電池の種類はリチウム・イオン電池に限定されず、例えばニッケル・マンガン電池などであってもよい。また、高圧バッテリーを構成する電池モジュールの個数、電池モジュールを構成する電池セルの個数は上述した一実施の形態の構成に限定されるものではない。さらに、高圧バッテリーの電池セルまたは電池モジュールの直並列接続構成についても上述した一実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0047】
上述した一実施の形態では、高圧バッテリー2の電池セルCごとにセル電圧Vcを検出し、電池セルCごとのセル電圧Vcに基づいて駐車中の高圧バッテリー2の自己放電量を管理する例を示したが、電池モジュールMごとにモジュール両端の電圧(モジュール電圧)を検出し、電池モジュールごとのモジュール電圧に基づいて駐車中の高圧バッテリー2の自己放電量を管理するようにいてもよい。さらに、高圧バッテリー2の両端電圧、すなわちバッテリー電圧を検出し、バッテリー電圧に基づいて駐車中の高圧バッテリー2の自己放電量を管理するようにいてもよい。なお、モジュール電圧とバッテリー電圧は、セル電圧検出回路3eにより検出した電池セルCごとのセル電圧Vcの和により求めることができる。
【0048】
上述した一実施の形態では、イグニッションオフ直前の組電池の充放電電流とSOCとに基づいて、イグニッションオフ直前の組電池の負荷状態における電圧から無負荷状態における電圧に変換する例を示したが、イグニッションオフ直前の組電池の充放電電流のみに基づいて、イグニッションオフ直前の組電池の負荷状態における電圧から無負荷状態における電圧に変換してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】一実施の形態の自己放電管理プログラムを示すフローチャートである。
【図3】図2に続く、一実施の形態の自己放電管理プログラムを示すフローチャートである。
【図4】セル電圧の温度補正係数マップを示す図である。
【図5】電池セルの自己放電量に対する異常判定基準値テーブルを示す図である。
【図6】バッテリー電圧に対するSOCの特性マップを示す図である。
【図7】高圧バッテリーのSOCと負荷に対するセル電圧補正値テーブルを示す図である。
【符号の説明】
1 走行用モーター
2 高圧バッテリー
M1〜M3 電池モジュール
C 電池セル
3 電池コントローラー
3a CPU
3b タイマー
3c タイマー電源
3d メモリ
3e セル電圧検出回路
4 車両コントローラー
4a CPU
4b メモリ
5 補助電源
6 リレー
7 補機システム
8 インバーター
9 イグニッションスイッチ
10 温度センサー
11 電圧センサー
12 電流センサー
13 アクセルセンサー
14 ブレーキセンサー
15 車速センサー
16 警告灯
17 通信線
18 リレー
【発明の属する技術分野】
本発明は車両に装備される電池の状態を検出する装置に関し、特に、自己放電量を検出するものである。
【0002】
【従来の技術】
駐車中の車両において間欠的に自己放電量を検出し、駐車直前の残存容量から駐車中の自己放電量を減じることによってバッテリーの残存容量を正確に検出するようにした電気自動車の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】
特開平11−150878号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の装置では、間欠的にではあるが駐車中に自己放電量の検出を行っているので、駐車中はバッテリーの自己放電に加え、自己放電量検出のためにバッテリー電力を消費するという問題がある。
【0005】
本発明は、バッテリーの電力消費を最少にして駐車中のバッテリーの自己放電量を検出する電池の自己放電量検出装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、イグニッションオフ直前の負荷状態における組電池の電圧から無負荷状態における組電池の電圧を推定し、推定された組電池の電圧から、イグニッションオン直後の無負荷状態における組電池の電圧を減じて、イグニッションオフからオンまでの駐車時間における組電池の自己放電量を算出する、ものである。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、バッテリーの電力消費を最少にして駐車中のバッテリーの自己放電量を正確に求めることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本願発明を電気自動車に適用した一実施の形態を説明する。図1は一実施の形態の構成を示す。電気自動車には、走行用モーター1を駆動するための電源となる高圧バッテリー2が搭載されている。この一実施の形態では、高圧バッテリー2の自己放電量および自己放電の異常を検出する。なお、この電気自動車には高圧バッテリー2の他に、後述する電池コントローラー3と車両コントローラー4に低圧の制御電源を供給する補助電源5と、タイマー3bに専用の電源を供給するタイマー電源3cを備えている。
【0009】
高圧バッテリー2は、複数個の電池セルCが直列に接続された電池モジュールMを複数組直列に接続して構成される組電池である。この一実施の形態では、複数個の電池セルCが直列に接続された電池モジュールM1〜M3を3組直列に接続した例を示す。なお、この高圧バッテリー2はリチウム・イオン電池である。
【0010】
高圧バッテリー2の高圧直流電力はリレー6を介して補機システム7とインバーター8に供給される。補機システム7は、空調装置や電動パワーステアリングなどの車載機器である。インバーター8は高圧バッテリー2の高圧直流電力を交流電力に変換して走行用モーター1に供給する。
【0011】
電池コントローラー3は、CPU3a、タイマー3b、タイマー電源3c、メモリ3d、セル電圧検出回路3eなどを備え、高圧バッテリー2の充放電制御と自己放電の管理などを行う。タイマー3bは車両の駐車時間、厳密にはイグニッションスイッチ9がオフされている時間を計時する。タイマー電源3cはタイマー3bの専用電源であり、車両のイグニッションスイッチ9のオン、オフに無関係に常時、タイマー3bに電源を供給する。
【0012】
メモリ3dは、各種マップやテーブルの他に、高圧バッテリー2を構成する各電池セルCの両端電圧(以下、セル電圧という)Vcなどのデータを記憶する。セル電圧検出回路3eは、各電池セルCのセル電圧Vcを検出する。
【0013】
電池コントローラー3にはまた、高圧バッテリー2の温度を検出する温度センサー10、高圧バッテリー2の両端電圧(以下、バッテリー電圧という)Vbを検出する電圧センサー11、高圧バッテリー2の充放電電流Ibを検出する電流センサー12が接続される。温度センサー10は、電池モジュールM1、M2、M3ごとに3個の温度検出素子が設けられ、各モジュールの温度が高くなると予想される場所と、中間的な温度になると予想される場所と、温度が低くなると予想される場所にそれぞれ配置される。
【0014】
なお、電流センサー12で検出される高圧バッテリー2の充放電電流Ibは、高圧バッテリー2から補機システム7およびインバーター8への放電電流を正とし、補機システム7およびインバーター8から高圧バッテリー2への充電電流を負とする。
【0015】
車両センサー4はCPU4aとメモリ4bなどを備え、インバーター8を制御して走行用モーター1を駆動するとともに、補機システム7の駆動制御を行う。車両コントローラー4には、イグニッションスイッチ9、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルセンサー13、ブレーキペダルの踏み込み圧を検出するブレーキセンサー14、車速を検出する車速センサー15、警告灯16などが接続される。
【0016】
車両コントローラー4は、電池コントローラー3から通信線17を介して高圧バッテリー2に関する情報を入手するとともに、上述したセンサー13〜15によりアクセルペダル踏み込み量、ブレーキペダル踏み込み圧、車速を検出し、これらの情報に基づいて車両の駆動力を演算して走行用モーター1の駆動制御を行う。
【0017】
電池コントローラー3と車両コントローラー4には、リレー18を介して補助電源5から低圧の制御電源が供給される。リレー18はイグニッションスイッチ9がオンすると直ちにオンし、補助電源5から電池コントローラー3と車両コントローラー4へ制御電源の供給を開始する。また、リレー18は、イグニッションスイッチ9がオフした後、電池コントローラー3が後述するイグニッションオフ後の処理を完了した時点でオフし、電池コントローラー3と車両コントローラー4への制御電源の供給を停止する。
【0018】
この一実施の形態では、イグニッションオン直後の高圧バッテリー2のセル電圧Vc_onを検出するとともに、イグニッションオフ直前の高圧バッテリー2のセル電圧Vc_offを検出し、電池セルCごとにイグニッションオフ直前のセル電圧Vc_offからイグニッションオン直後のセル電圧Vc_onを減じ、イグニッションオフからオンまでの駐車時間中の高圧バッテリー2の自己放電量Vdを求める。そして、この自己放電量Vdを異常判定基準値と比較し、自己放電量Vdが異常判定基準値以上の電池セルCを異常であるとする。
【0019】
なお、電池セルCごとのセル電圧Vcはセル電圧検出回路3eにより検出するが、検出値に対しては温度補正と劣化補正を行うとともに、イグニッションオフ直前の負荷状態のセル電圧Vcを無負荷状態のセル電圧Vcに変換する。
【0020】
図2は、一実施の形態の高圧バッテリー2の自己放電管理プログラムを示すフローチャートである。このフローチャートにより、一実施の形態の動作を説明する。電池コントローラー3のCPU3aは、車両コントローラー4を介してイグニッションスイッチ9のオン情報を受信するとこの自己放電管理プログラムの実行を開始する。
【0021】
ステップ1において、リレー6が投入される前にセル電圧検出回路3eにより各電池セルCの無負荷状態のセル電圧(開放セル電圧)Vcを検出する。続くステップ2で、温度センサー10により各電池モジュールM1、M2、M3の平均温度(以下、モジュール平均温度という)を検出するとともに、各電池モジュールM1、M2、M3のモジュール平均温度に基づいて高圧バッテリー2全体の平均温度(以下、バッテリー温度Tbという)を求める。
【0022】
ステップ3では、タイマー3bにより計時されているイグニッションスイッチ9のオフからオンまでの時間、すなわち駐車時間tpを検出する。ステップ4で図4に示すマップからバッテリー温度Tbに対応するセル電圧Vcの温度補正係数kTを検索する。
【0023】
図4は、バッテリー温度Tbに対するセル電圧Vcの温度補正係数kTを示すマップである。バッテリー温度Tbが常温20℃のときの温度係数kTを1とし、バッテリー温度Tbが20℃より高くなるほど温度係数kTが大きくなり、バッテリー温度Tbが20℃より低くなるほど温度係数kTが小さくなる。
【0024】
ステップ5において、ステップ1で検出した電池セルCごとのセル電圧Vcに温度係数kTを乗じて補正し、温度補正後の各電池セルCのセル電圧Vc_onを求める。このセル電圧Vc_onは、イグニッションオン直後の無負荷状態のセル電圧、すなわち開放セル電圧である。ステップ6で、駐車時間tp中の高圧バッテリー2の自己放電量Vdを求める。
【0025】
具体的には、後述するイグニッションオフ直前の各電池セルCのセル電圧Vc_offから、ステップ5で求めたイグニッションオン直後のセル電圧Vc_onを電池セルCごとに減算し、電池セルCごとの駐車時間tp中の自己放電量Pcを求める。なお、イグニッションオン直後のセル電圧Vc_onは温度補正後の無負荷状態(開放状態)のセル電圧である。また、イグニッションオフ直前のセル電圧Vc_offは、詳細を後述するが、負荷状態のセル電圧を無負荷状態のセル電圧に変換した後、温度補正と劣化補正を行ったセル電圧である。
【0026】
ステップ7において、図5に示す自己放電量Vdの異常判定基準値テーブルから、イグニッションオフ直前のSOCと駐車時間tpとに対応する異常判定基準値を補間演算する。図5において、例えば駐車時間tpが24hで、イグニッションオフ直前のSOCが90%の場合は、異常判定基準値が6mV/セルであるから、駐車中の自己放電量Vdが6mV未満の電池セルCは正常、6mV以上の電池セルCは異常と判定される。
【0027】
ステップ8において、駐車中の自己放電量Vdが異常判定基準値以上で自己放電量が異常と判定された電池セルCがあるかどうかを確認し、自己放電量異常の電池セルCがあればステップ9へ進み、異常セルがなければステップ11へ進む。
【0028】
自己放電量異常の電池セルCがある場合は、ステップ9で、車両コントローラー4へ自己放電量異常信号を出力し、車両コントローラー4により警告灯16を点灯させる。続くステップ10で、自己放電量異常が発生している電池セルCの個数に基づいて高圧バッテリー2の充放電制限値を決定し、車両コントローラー4へ出力する。車両コントローラー4は、この充放電制限値に基づいて高圧バッテリー2への充放電容量を制限する。
【0029】
ステップ11において、高圧バッテリー2の劣化係数kRを算出し、メモリ3dに記憶されている前回の値を更新する。具体的には、電圧センサー11により複数の時点において高圧バッテリー2のバッテリー電圧Vbを検出するとともに、電流センサー12により複数の時点において高圧バッテリー2の充放電電流Ibを検出し、検出結果のバッテリー電圧Vbと充放電電流Ibを2次元平面上にプロットして直線回帰し、回帰直線の傾きにより高圧バッテリー2の抵抗値を算出する。この抵抗値を予めメモリ3dに記憶している新品時の抵抗値で除することによって高圧バッテリー2の劣化係数kRを求める。
【0030】
続くステップ12では、高圧バッテリー2のSOCを検出し、メモリ3dに記憶されている前回の値を更新する。具体的には、予め高圧バッテリー2のバッテリー電圧Vbに対するSOCの特性を検出し、図6に示すような特性マップをメモリ3dに記憶しておく。そして、図6に示す特性マップから電圧センサー11により検出したバッテリー電圧Vbに対応するSOCを表引き演算する。
【0031】
ステップ13において、所定時間、例えば5秒間の間、電流センサー12により充放電電流Ibを、セル電圧検出回路3eにより電池セルCごとのセル電圧Vcを、温度センサー10によりバッテリー温度Tbを、順次繰り返し検出し、メモリ3dに記憶されている前回のデータを更新する。例えば1秒ごとに充放電電流Ib、セル電圧Vc、バッテリー温度Tbを検出し記憶したとすると、5秒間では5組のデータがサンプリングされ最新のデータに更新される。
【0032】
ステップ14でイグニッションスイッチ9がオフされたか否かを確認し、オフされていないときはステップ11へ戻る。したがって、イグニッションスイッチ9がオンされている間は、ステップ11〜13で随時、高圧バッテリー2の最新のデータ、すなわち劣化係数kR、SOC、充放電電流Ib、セル電圧Vc、バッテリー温度Tbが演算または検出され、メモリ3dの記憶値が更新される。
【0033】
一方、イグニッションスイッチ9がオフされたときは、メモリ3dに記憶されている劣化係数kR、SOC、充放電電流Ib、セル電圧Vc、バッテリー温度Tbは、イグニッションオフ直前の最新のデータとなる。イグニッションスイッチ9がオフされたときはステップ15へ進み、メモリ3dから高圧バッテリー2のイグニッションオフ直前の最新の劣化係数kR、SOC、電池セルCごとのセル電圧Vcおよびバッテリー温度Tbを読み出す。
【0034】
ステップ16において、イグニッションオフ直前の最新のセル電圧Vcに対する補正値を算出する。一般に、電池は負荷状態すなわち充放電状態と、無負荷状態すなわち端子開放状態とではセル電圧が異なり、負荷状態から無負荷状態になりセル電圧が安定するまでには時間がかかる。上述したように、イグニッションオン直後のセル電圧Vc_onは無負荷状態の開放セル電圧であるから、イグニッションオフ直前の負荷状態のセル電圧Vcを無負荷状態のセル電圧に変換し、同一条件のセル電圧として電池セルCの自己放電量Vdを演算する。
【0035】
まず、メモリ3dからイグニッションオフ直前の所定時間(ここでは5秒)の間にサンプリングした充放電電流Ibを読み出し、それらを二乗積算してイグニッションオフ直前の高圧バッテリー2の負荷とする。次に、メモリ3dに記憶されているセル電圧補正値テーブル(図7参照)から、イグニッションオフ直前の高圧バッテリー2の負荷(充放電電流Ibの二乗積算値)とSOCとに対応するセル電圧Vcの補正値を補間演算する。具体的には、SOCが80%で充放電電流Ibの二乗積算値が20A2の場合には、セル電圧補正値は6.5mVである。
【0036】
ステップ17において、イグニッションオフ直前の高圧バッテリー2のSOCと負荷に応じた補正値を用いて各電池セルCのセル電圧Vcを補正する。このとき、イグニッションオフ直前の充放電電流Ibが正で高圧バッテリー2が放電状態にあった場合には、各電池セルCのセル電圧Vcに補正値を加算し、逆にイグニッションオフ直前の充放電電流Ibが負で高圧バッテリー2が充電状態にあった場合には、各電池セルCのセル電圧Vcから補正値を減算する。
【0037】
補正後のセル電圧Vcは、イグニッションオフ直前の負荷状態におけるセル電圧を無負荷状態における安定な開放セル電圧に変換したものである。
【0038】
ステップ18で、図4に示すマップからイグニッションオフ直前の最新のバッテリー温度Tbに対応するセル電圧Vcの温度補正係数kTを検索する。続くステップ19で、高圧バッテリー2のSOCと負荷に応じて補正した各電池セルCのセル電圧Vcに対して、上記温度補正係数kTとイグニッションオフ直前の最新の劣化係数kRとを乗じ、高圧バッテリー2の劣化状態と温度によりセル電圧Vcを補正する。
【0039】
ステップ20において、補正後の各電池セルCのセル電圧Vcを、イグニッションオフ直前、つまり駐車状態に入る直前の各電池セルCの無負荷状態のセル電圧Vc_offとしてメモリ3dに記憶する。続くステップ21で、タイマー3bをスタートさせて駐車時間tpの計時を開始するとともに、リレー18をオフして補助電源5から電池コントローラー3と車両コントローラー4への制御電源の供給を停止する。
【0040】
以上説明したように一実施の形態によれば、イグニッションオフ直前の負荷状態における組電池(高圧バッテリー2)のセル電圧から無負荷状態における組電池のセル電圧Vc_offを演算により推定し、推定された組電池のセル電圧Vc_offから、イグニッションオン直後の無負荷状態における組電池のセル電圧Vc_onを減じて、イグニッションオフからオンまでの駐車時間tpにおける組電池の自己放電量Vdを算出するようにしたので、従来のように駐車中に間欠的に制御電源の電力を消費して自己放電量を検出する必要がなく、イグニッションオフ直後のセル電圧Vc_offの算出処理と駐車時間を計時するタイマーに要するわずかな制御電源の電力消費のみで、正確な駐車中の自己放電量Vdを求めることができる。
【0041】
一実施の形態では、組電池(高圧バッテリー2)の自己放電量Vdが予め定めた基準値以上である場合は組電池の異常と判定するので、組電池の異常を確実に検出できる。また、異常判定基準値を駐車時間tpと組電池のSOCに基づいて設定しているので、駐車時間と組電池のSOCに応じた適切な判定基準値により正確な異常判定を行うことができる。
【0042】
一実施の形態によれば、イグニッションオフ直前の組電池(高圧バッテリー2)の充放電電流IbとSOCに基づいてイグニッションオフ直前の無負荷状態における組電池のセル電圧Vc_offを推定するようにしたので、正確な無負荷状態における組電池のセル電圧Vc_offを推定できる。
【0043】
一実施の形態では、組電池(高圧バッテリー2)のセル電圧Vc_onおよびVc_offを組電池の温度に応じて補正するようにしたので、組電池の温度環境が変化しても正確な自己放電量Vdを求めることができる。また、一実施の形態では、イグニッションオフ直前の組電池(高圧バッテリー2)のセル電圧Vc_offを組電池の劣化の度合いに応じて補正するようにしたので、経年劣化があっても正確な自己放電量Vdを求めることができる。
【0044】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、セル電圧検出回路3eおよび電圧センサー11が電圧検出手段を、電池コントローラー3のCPU3aが電圧推定手段、自己放電量算出手段、異常判定手段、SOC検出手段、温度補正手段、劣化検出手段および劣化補正手段を、電流センサー12が電流検出手段を、温度センサー10が温度検出手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【0045】
上述した一実施の形態では本願発明を電気自動車に適用した例を示したが、本願発明は電気自動車に限定されず、エンジン車両やハイブリッド車両に搭載される組電池に適用することができる。
【0046】
上述した一実施の形態では、高圧バッテリー2にリチウム・イオン電池を用いた例を示したが、電池の種類はリチウム・イオン電池に限定されず、例えばニッケル・マンガン電池などであってもよい。また、高圧バッテリーを構成する電池モジュールの個数、電池モジュールを構成する電池セルの個数は上述した一実施の形態の構成に限定されるものではない。さらに、高圧バッテリーの電池セルまたは電池モジュールの直並列接続構成についても上述した一実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0047】
上述した一実施の形態では、高圧バッテリー2の電池セルCごとにセル電圧Vcを検出し、電池セルCごとのセル電圧Vcに基づいて駐車中の高圧バッテリー2の自己放電量を管理する例を示したが、電池モジュールMごとにモジュール両端の電圧(モジュール電圧)を検出し、電池モジュールごとのモジュール電圧に基づいて駐車中の高圧バッテリー2の自己放電量を管理するようにいてもよい。さらに、高圧バッテリー2の両端電圧、すなわちバッテリー電圧を検出し、バッテリー電圧に基づいて駐車中の高圧バッテリー2の自己放電量を管理するようにいてもよい。なお、モジュール電圧とバッテリー電圧は、セル電圧検出回路3eにより検出した電池セルCごとのセル電圧Vcの和により求めることができる。
【0048】
上述した一実施の形態では、イグニッションオフ直前の組電池の充放電電流とSOCとに基づいて、イグニッションオフ直前の組電池の負荷状態における電圧から無負荷状態における電圧に変換する例を示したが、イグニッションオフ直前の組電池の充放電電流のみに基づいて、イグニッションオフ直前の組電池の負荷状態における電圧から無負荷状態における電圧に変換してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】一実施の形態の自己放電管理プログラムを示すフローチャートである。
【図3】図2に続く、一実施の形態の自己放電管理プログラムを示すフローチャートである。
【図4】セル電圧の温度補正係数マップを示す図である。
【図5】電池セルの自己放電量に対する異常判定基準値テーブルを示す図である。
【図6】バッテリー電圧に対するSOCの特性マップを示す図である。
【図7】高圧バッテリーのSOCと負荷に対するセル電圧補正値テーブルを示す図である。
【符号の説明】
1 走行用モーター
2 高圧バッテリー
M1〜M3 電池モジュール
C 電池セル
3 電池コントローラー
3a CPU
3b タイマー
3c タイマー電源
3d メモリ
3e セル電圧検出回路
4 車両コントローラー
4a CPU
4b メモリ
5 補助電源
6 リレー
7 補機システム
8 インバーター
9 イグニッションスイッチ
10 温度センサー
11 電圧センサー
12 電流センサー
13 アクセルセンサー
14 ブレーキセンサー
15 車速センサー
16 警告灯
17 通信線
18 リレー
Claims (8)
- 車両に搭載される組電池の自己放電量を検出する装置であって、
前記組電池の電圧を検出する電圧検出手段と、
イグニッションオフ直前の負荷状態における前記組電池の電圧から無負荷状態における前記組電池の電圧を推定する電圧推定手段と、
前記電圧推定手段により推定された前記組電池の電圧から、イグニッションオン直後の無負荷状態における前記組電池の電圧を減じて、イグニッションオフからオンまでの駐車時間における前記組電池の自己放電量を算出する自己放電量算出手段とを備えることを特徴とする電池の自己放電量検出装置。 - 請求項1に記載の電池の自己放電量検出装置において、
前記組電池の自己放電量が予め定めた基準値以上である場合は前記組電池の異常と判定する異常判定手段を備えることを特徴とする電池の自己放電量検出装置。 - 請求項1または2に記載の電池の自己放電量検出装置において、
前記組電池の充放電電流を検出する電流検出手段を備え、
前記電圧推定手段は、イグニッションオフ直前の前記組電池の充放電電流に基づいて無負荷状態における前記組電池の電圧を推定することを特徴とする電池の自己放電量検出装置。 - 請求項3に記載の電池の自己放電量検出装置において、
前記組電池のSOCを検出するSOC検出手段を備え、
前記電圧推定手段は、イグニッションオフ直前の前記組電池の充放電電流とSOCに基づいて無負荷状態における前記組電池の電圧を推定することを特徴とする電池の自己放電量検出装置。 - 請求項1〜4のいずれかの項に記載の電池の自己放電量検出装置において、
前記組電池の温度を検出する温度検出手段と、
前記電圧推定手段により推定された前記組電池の電圧、および前記電圧検出手段により検出されたイグニッションオン直後の無負荷状態における前記組電池の電圧を、前記組電池の温度に応じて補正する温度補正手段とを備えることを特徴とする電池の自己放電量検出装置。 - 請求項1〜4のいずれかの項に記載の電池の自己放電量検出装置において、
前記組電池の劣化度合いを検出する劣化検出手段と、
前記電圧推定手段により推定された前記組電池の電圧を、前記組電池の劣化度合いに応じて補正する劣化補正手段とを備えることを特徴とする電池の自己放電量検出装置。 - 請求項2に記載の電池の自己放電量検出装置において、
前記基準値は、イグニッションオフからオンまでの駐車時間に基づいて設定されることを特徴とする電池の自己放電量検出装置。 - 請求項2に記載の電池の自己放電量検出装置において、
前記組電池のSOCを検出するSOC検出手段を備え、
前記基準値は、前記組電池のSOCに基づいて設定されることを特徴とする電池の自己放電量検出装置。
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