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JP2004322849A - 車両用空調装置 - Google Patents

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JP2004322849A JP2003120464A JP2003120464A JP2004322849A JP 2004322849 A JP2004322849 A JP 2004322849A JP 2003120464 A JP2003120464 A JP 2003120464A JP 2003120464 A JP2003120464 A JP 2003120464A JP 2004322849 A JP2004322849 A JP 2004322849A
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Abstract

【課題】乗員の快適性保持と車両窓ガラスの防曇性確保との両立を図る。
【解決手段】送風機の目標風量BLWを空調熱負荷条件に応じて算出し(S140)、車室内吹出空気の吹出モードとして、少なくともデフロスタ開口部から空気が吹き出す吹出モードであるか否か判定し(S170)、少なくともデフロスタ開口部から空気が吹き出す吹出モードが設定されているときは、車両窓ガラスの曇りの発生しやすさの度合を、車室内湿度、車両窓ガラス温度と関連する情報値に基づいて判定し、送風機の目標風量に対する風量増加レベルαを曇りの発生しやすさの度合に応じて算出し(S180)、S140の目標風量に風量増加レベルを加えた風量にて送風機を作動させる(S190)。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗員の快適性を保持しつつ、窓ガラスの防曇性能を向上させるための風量自動制御を行う車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冬期においては、車両窓ガラス温度が車室内空気の露点温度まで低下することにより車両窓ガラスに結露が発生して、車両窓ガラスの曇りが発生する。そこで、このような窓ガラスの曇りが発生する条件下においては、車両用空調装置の吹出モードとしてデフロスタモードやフットデフロスタモードを選択して、車両窓ガラス内面側へ温風を吹き出して、車両窓ガラス温度を車室内空気の露点温度より高い温度に上昇させ、これにより、車両窓ガラスの曇りを防止するようにしている。
【0003】
また、本出願人においては、特願2001−182030号において、窓ガラスの曇りが発生する条件を判定して、吹出モードをフットモードからフットデフロスタモードに自動的に切り替えて、車両窓ガラスの曇りを防止するものを提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術や上記先願は、いずれも車両窓ガラス内面側への温風吹出風量を増加するように吹出モードを切り替えるため、乗員の快適性を損なうという不具合が生じる。
【0005】
すなわち、吹出モードをデフロスタモードに切り替える場合には、デフロスタ吹出口からの温風吹出によって乗員の顔部側に火照りが発生して、乗員の快適性を損なう。また、フットモードからフットデフロスタモードに切り替える場合には、デフロスタ吹出風量が増加する代わりにフット吹出風量が減少するので、乗員足元部の暖房不足が発生し、足元部の寒さを感じるようになって、やはり、乗員の快適性を損なう。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、乗員の快適性保持と車両窓ガラスの防曇性確保との両立を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内へ向かって空気を送風する送風機(7)と、送風機(7)の送風空気を加熱する暖房用熱交換器(12)と、暖房用熱交換器(12)で加熱された空気を車両窓ガラスへ向けて吹き出すデフロスタ開口部(15)と、暖房用熱交換器(12)で加熱された空気を車室内の乗員足元へ吹き出すフット開口部(17)と、送風機(7)の目標風量を空調熱負荷条件に応じて算出する目標風量算出手段(S140)と、車室内吹出空気の吹出モードとして、少なくともデフロスタ開口部(15)から空気が吹き出す吹出モードが設定されているときに、車両窓ガラスの曇りの発生しやすさの度合を判定し、送風機(7)の目標風量に対する風量増加レベルを曇りの発生しやすさの度合に応じて算出し、送風機(7)を目標風量に風量増加レベルを加えた風量にて作動させる制御手段(S170〜S190)とを備えることを特徴とする。
【0008】
これによると、車室内吹出空気の吹出モードが、少なくともデフロスタ開口部(15)から空気が吹き出す吹出モードになっているときに、送風機(7)の目標風量に対する風量増加レベルを曇りの発生しやすさの度合に応じて算出し、送風機(7)を目標風量に風量増加レベルを加えた風量にて作動させるから、車両窓ガラスの曇りが発生しやすい状況のときには、デフロスタ吹出風量を自動的に増加して車両窓ガラス温度を上昇させることにより、車両窓ガラスの曇りを防止できる。
【0009】
しかも、吹出モードの切替ではなく、デフロスタ吹出風量の自動増量という対応で曇り防止を行うから、冬期の暖房時に吹出モードの切替に伴う乗員の足元部の寒さ感とか顔部の火照り感が発生することを抑制して、乗員の快適性を保持しながら曇り防止を実現できるという効果が大である。
【0010】
請求項2に記載の発明のように、請求項1において、車両窓ガラスの曇りの発生しやすさの度合は具体的には、少なくとも車両窓ガラスの温度に関連する情報値に基づいて判定すればよい。
【0011】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項1において、車両窓ガラスの曇りの発生しやすさの度合を具体的には、車両窓ガラスの温度に関連する情報値および車室内湿度に基づいて判定するようにしてもよい。
【0012】
これによると、車両窓ガラス温度と車室内湿度の両方を考慮して車両窓ガラスの曇りの発生しやすさの度合をより的確に判定できる。
【0013】
請求項4に記載の発明のように、請求項1において、車両窓ガラスの曇りの発生しやすさの度合を具体的には、車両窓ガラスの温度に関連する情報値および降雨状態に関連する情報値に基づいて判定するようにしてもよい。
【0014】
ところで、降雨状態になると車室内湿度が上昇するという相関があるので、請求項4ではこの点に着目して車両窓ガラス温度の情報値に降雨状態に関連する情報値を加えことにより曇りの発生しやすさの度合をより的確に判定できる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項4において、降雨状態に関連する情報値として具体的には、車両ワイパ装置の作動信号を用いることができる。
【0016】
これによると、既存の車両ワイパ装置の作動信号を利用して降雨状態の情報値を得ることができるので、降雨状態検出のための専用のセンサを使用せずにすむ。
【0017】
請求項6に記載の発明のように、請求項2ないし5のいずれか1つにおいて、車両窓ガラスの温度に関連する情報値としては、少なくとも外気温を用いることができる。この外気温情報も車両に備えられる既存の外気温センサの検出信号からそのまま得ることができ、好都合である。
【0018】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の全体構成図であり、空調装置1の空調ケース2は車室内前部の計器盤内側に配置され、車室内へ向かって流れる空気の通路を形成する。空調ケース2の上流端には内外気切替箱3が設けられ、この内外気切替箱3内の内外気切替ドア4により内気吸入口5と外気吸入口6とを開閉することにより、車室内の空気(内気)または車室外の空気(外気)を切替導入する。内外気切替箱3の下流側には送風機7が配置され、送風機7のケース8に遠心式送風ファン9が収納され、駆動用モータ10にて送風ファン9を回転駆動する。
【0020】
次に、送風機7の下流側には冷房用熱交換器として蒸発器11が配置されている。この蒸発器11は車両エンジン(図示せず)により駆動される圧縮機40を持つ冷凍サイクルに設けられるものであって、蒸発器11に流入した低圧冷媒が送風機7の送風空気から吸熱して蒸発することにより送風空気を冷却する。なお、圧縮機40には動力断続用の電磁クラッチ41が備えられ、車両エンジンの動力が電磁クラッチ41を介して伝達される。
【0021】
空調ケース2内で、蒸発器11の下流側に暖房用熱交換器として車両エンジンの温水(冷却水)を熱源として空気を加熱する温水式ヒータコア12が配置されている。そして、この温水式ヒータコア12の側方にはバイパス通路13が形成されて、温水式ヒータコア12をバイパスして空気(冷風)が流れるようになっている。
【0022】
蒸発器11とヒータコア12の間に板状ドアからなるエアミックスドア14が回転可能に配置されている。このエアミックスドア14は温度調節手段であり、温水式ヒータコア12を通過する温風とバイパス通路13を通過する冷風との風量割合を調節することにより車室内への吹出空気温度を調節する。温水式ヒータコア12からの温風とバイパス通路13からの冷風が温水式ヒータコア12下流側で混合して所望温度の空気を作り出すことができる。
【0023】
さらに、空調ケース2の下流端部には、吹出モード切替部を構成するデフロスタ開口部15とフェイス開口部16とフット開口部17が開口している。デフロスタ開口部15は図示しないデフロスタダクトを介して車両フロント窓ガラス内面に空気を吹き出すもので、回転自在な板状のデフロスタドア15aにより開閉される。
【0024】
また、フェイス開口部16は図示しないフェイスダクトを介して車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出すもので、回転自在な板状のフェイスドア16aにより開閉される。また、フット開口部17は図示しないフットダクトを介して車室内乗員の足元に向けて空気を吹き出すもので、回転自在な板状のフットドア17aにより開閉される。
【0025】
上記した吹出モードドア15a、16a、17aは共通のリンク機構18に連結され、このリンク機構18を介してサーボモータからなる電気駆動装置19により駆動される。なお、内外気切替ドア4およびエアミックスドア14も、それぞれサーボモータからなる電気駆動装置20、21により駆動される。
【0026】
本実施形態においては、吹出モードドア15a、16a、17aの開閉により、フェイス開口部16を全開してフェイス開口部16から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出すフェイスモードと、フェイス開口部16とフット開口部17の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出すバイレベルモードと、フット開口部17を全開するとともにデフロスタ開口部15を小開度だけ開口して、フット開口部17から主に空気を吹き出し、デフロスタ開口部15から少量の空気を吹き出すフットモードと、デフロスタ開口部15およびフット開口部17を同程度開口することにより、フットモードに比較してフット開口部17からの吹出風量を減少させ、デフロスタ開口部15からの吹出風量を増加させるフットデフロスタモードと、デフロスタ開口部15を全開してデフロスタ開口部15から車両フロント窓ガラス内面に空気を吹き出すデフロスタモードとを設定できるようになっている。
【0027】
次に、本実施形態における電気制御部の概要を説明すると、空調用電子制御装置22はCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータと、その周辺回路にて構成されるものである。空調用電子制御装置22には、空調制御のために、温水温度Tw、内気温Tr、外気温Tam、日射量Ts、蒸発器冷却度合としての蒸発器吹出温度Te、エアミックスドア14の実際の開度θ、車速SPD、車室内湿度(相対湿度)RH等を検出する各センサ群23〜29、43から検出信号が入力される。
【0028】
なお、湿度センサ43は車室内の適宜の部位に設置され、その電気的特性(容量、抵抗等)が車室内相対湿度RHに応じて変化して相対湿度RHに応じた電気信号を発生するものである。この湿度センサ43は内気センサ24と同一部位(例えば、車室内前部の計器盤周辺部等)に設置することが好ましい。このようにすれば、湿度センサ43の設置部位における車室内相対湿度RHと車室内温度(内気温)Trの両方を検出できるので、この両検出信号RH、Trから湿り空気線図に基づいて車室内の絶対湿度を算出することができる。従って、車室内の絶対湿度をも考慮した空調制御も可能となる。
【0029】
更に、車室内の計器盤周辺に配置される空調操作パネル30には、乗員により手動操作される下記の操作部材が備えられ、この操作部材の操作信号も空調用電子制御装置22に入力される。
【0030】
空調操作パネル30の操作部材としては、温度設定信号Tsetを発生する温度設定スイッチ31、送風機7の風量切替信号を発生する風量スイッチ32、内外気切替信号を発生する内外気切替スイッチ33、前述した吹出モードの切替信号を発生する吹出モードスイッチ34、冷凍サイクルの圧縮機40の電磁クラッチ41のオンオフ信号を発生するエアコンスイッチ35、空調の自動制御モードを設定するオートスィッチ36等が設けられている。
【0031】
なお、吹出モードスイッチ34は、本例では、フェイス、バイレベル、フット、フットデフロスタの各モードをマニュアル設定するためのスィッチと、デフロスタモード専用のデフロスタスイッチとに分けて設けてある。
【0032】
送風機7のファン駆動用モータ10は駆動回路37により印加電圧が制御され、このモータ印加電圧の制御により送風機7の回転速度を調整して送風機7の風量を制御する。また、圧縮機40の電磁クラッチ41への電源供給は駆動回路38により断続される。空調用電子制御装置22には、車両エンジンのイグニッションスイッチ39を介して車載バッテリ42から電源が供給される。
【0033】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。図2のフローチャートは空調用電子制御装置22のマイクロコンピュータにより実行される制御処理の概要を示し、図2の制御ルーチンは、車両エンジンのイグニッションスイッチ39がオンされて制御装置22に電源が供給された状態において、空調操作パネル30のオートスイッチ36が投入されるとスタートする。
【0034】
先ず、ステップS100ではフラグ、タイマー等の初期化がなされ、次のステップS110で、センサ群23〜29、43からの検出信号、パネル30の操作部材31〜36からの操作信号等を読み込む。
【0035】
続いて、ステップS120にて、下記数式1に基づいて、車室内へ吹き出される空調風の目標吹出温度TAOを算出する。この目標吹出温度TAOは、空調熱負荷の変動にかかわらず車室内を温度設定スイッチ31の設定温度Tsetに維持するために必要な吹出温度である。
【0036】
【数1】
TAO=Kset ×Tset −Kr ×Tr −Kam×Tam−Ks ×Ts +C
但し、Tr :内気センサ24により検出される内気温
Tam :外気センサ25により検出される外気温
Ts :日射センサ26により検出される日射量
Kset 、Kr 、Kam、Ks :制御ゲイン
C :補正用の定数
次に、ステップS130にて、エアミックスドア14の目標開度SWを下記数式2に基づいて算出し、エアミックスドア14をこの目標開度SWの位置に駆動する。
【0037】
【数2】
SW={(TAO−Te)/(Tw−Te)}×100(%)
但し、Te :蒸発器温度センサ27により検出される蒸発器吹出温度
Tw :水温センサ23により検出されるヒータコア温水温度
次に、ステップS140にて送風ファン9により送風される空気の目標風量BLWを上記TAOに基づいて算出する。この目標風量BLWは、図3に示すように上記TAOに基づいて目標風量BLWを決定する。すなわち、上記TAOの高温側(最大暖房側)および低温側(最大冷房側)で目標風量を大きくし、上記TAOの中間温度域で目標風量を小さくする。
【0038】
送風ファン9の風量は送風ファン9の回転数により決定され、送風ファン9の回転数は駆動用モータ10の印加電圧により決定されるから、上記目標風量BLWAは具体的には駆動用モータ10の印加電圧レベルとして決定できる。
【0039】
次に、ステップS150にて内外気モードを決定し、この内外気モードが得られる位置に内外気切替ドア4を駆動する。ここで、内外気モードは基本的には上記TAOに応じて決定する。具体的には、TAOが低温側から高温側へ上昇するにつれて、全内気モード→内外気混入モード→全外気モード、あるいは全内気モード→全外気モードと切替設定する。但し、乗員が内外気切替スイッチ33を操作して内外気モードをマニュアル設定したときは、そのマニュアル設定したモードが内外気モードとして決定される。
【0040】
次に、ステップS160にて吹出モードを決定し、この吹出モードが得られる位置に吹出モードドア15a、16a、17aを駆動する。ここで、吹出モードも基本的には上記TAOに応じて決定する。具体的には、図4に示すようにTAOが低温側から高温側へ上昇するにつれてフェイス(FACE)モード→バイレベル(B/L)モード→フット(FOOT)モードと吹出モードを切替設定する。但し、乗員が吹出モードスイッチ34を操作して吹出モードをマニュアル設定したときは、そのマニュアル設定したモードが吹出モードとして決定される。
【0041】
次に、ステップS170にて、ステップS160にて決定された吹出モードがデフロスタ側への吹出があるモードであるか判定する。ここで、デフロスタ側への吹出がある吹出モードとは、フットモード、フットデフロスタモードおよびデフロスタモードの3種類である。フットモードは、前述のように吹出空気の大部分をフット開口部17から乗員足元側へ吹き出し、少量の空気をデフロスタ側、すなわち、車両窓ガラス側へ吹き出す。また、フットデフロスタモードは前述のようにフットモードに比較して乗員足元側へのフット吹出風量を減少し、車両窓ガラス側へのデフロスタ吹出風量を増加させる。そして、デフロスタモードは吹出空気の全部を車両窓ガラス側へ吹き出す。
【0042】
従って、吹出モードとしてフットモード、フットデフロスタモードおよびデフロスタモードのいずれかが選択されているときはステップS170の判定がYESとなり、ステップS180にて上記目標風量BLWに対する風量増加レベルαを算出する。この補正値αの算出は具体的には図5の制御特性に従って行う。図5の横軸は車両窓ガラスの曇りの発生しやすさの度合に関係する情報値であって、具体的には、湿度センサ43により検出される車室内空気の実際の相対湿度RHと、車両窓ガラスにおいて曇りが発生する、車室内空気の曇り発生相対湿度RHWとの差(RH−RHW)である。
【0043】
ここで、曇り発生相対湿度RHWとは、現在の内気温度Trから車両窓ガラス温度(より具体的には車両窓ガラス内面温度)まで車室内空気の温度が低下したときに車室内空気が相対湿度:100%、すなわち、露点温度に到達するという条件を満たす車室内相対湿度のことである。
【0044】
この曇り発生相対湿度RHWを図6の湿り空気線図に基づいて具体的に説明すると、今、内気温度Tr=T4(乾球温度)であるときに、湿度センサ43により検出される実際の車室内相対湿度RHがRH1であると、T4とRH1の交点A1から絶対湿度はx1であり、この場合の露点温度は絶対湿度x1のラインと飽和水蒸気圧力線との交点A2からT1となる。そして、このとき、外気温Tam等に基づいて推定される車両窓ガラス温度(乾球温度)がT2であると、このT2と飽和水蒸気圧力線との交点A3から、このT2が露点温度となる湿り空気の絶対湿度x2を求めることができる。
【0045】
この絶対湿度x2のラインと現在の内気温度Tr=T4(乾球温度)との交点A4から、相対湿度RH2を求めることができ、この相対湿度RH2が現在の車両窓ガラス温度T2に対応する曇り発生相対湿度RHWである。
【0046】
従って、曇り発生相対湿度RHWは、外気温Tam等に基づいて推定される車両窓ガラス温度と内気センサ24により検出される内気温度Trとに基づいて湿り空気線図から算出できる。なお、湿り空気線図を制御装置22のROM(読み出し専用記憶装置)に予め記憶しておくことにより、制御装置22にて車室内空気の曇り発生相対湿度RHWを算出(演算)できる。
【0047】
ここで、湿度センサ43により検出される実際の車室内相対湿度RHが、この曇り発生相対湿度RHW=RH2より高い時、例えば、図6において、内気温度Tr=T4(乾球温度)であるときに、実際の車室内相対湿度RHが上記の曇り発生相対湿度RHW=RH2より高いRH3であるときは、RH3とT4との交点A5から絶対湿度x3を求めることができ、この絶対湿度x3のラインと飽和水蒸気圧力線との交点A6から露点温度T3を求めることができる。
【0048】
この露点温度T3はこのときの車両窓ガラス温度T2より高いので、車室内空気は車両窓ガラスにより露点温度T3よりも低い温度T2まで冷却されて車両窓ガラスに曇りが発生することになる。
【0049】
以上のことから、(RH−RHW)が正の値になるときは、車室内空気が車両窓ガラス内面に接触すると露点温度以下に冷却されて車両窓ガラスに曇りが発生する。そして、(RH−RHW)が大きい程、この曇りの発生しやすさの度合が強くなるという相関がある。
【0050】
そこで、本実施形態においては、図5に示すように(RH−RHW)が大きくなる程、目標風量BLWの風量増加レベルαを増大するように決定する。また、実際の車室内相対湿度RHが曇り発生相対湿度RHWより低くなって、(RH−RHW)が負の値になるときは、車室内空気が車両窓ガラス内面に接触して冷却されても露点温度に到達せず、車両窓ガラスに曇りが発生しないから、目標風量BLWの風量増加レベルαを0とする。
【0051】
そして、次のステップS190において、ステップS140で算出された目標風量BLWに風量増加レベルαを加算した値を最終的な目標風量とし、この最終的な目標風量(BLW+α)の制御信号を駆動回路37に出力し、この駆動回路37によりこの目標風量(BLW+α)に対応した印加電圧を送風機駆動用モータ10に出力する。
【0052】
一方、吹出モードがフェイスモード又はバイレベルモードであるときはステップS170の判定がNOとなり、ステップS200に進み、ステップS140で算出された目標風量BLWの制御信号をそのまま駆動回路37に出力し、この駆動回路37によりこの目標風量BLWに対応した印加電圧を送風機駆動用モータ10に出力する。
【0053】
次に、ステップS210にて圧縮機作動の断続(ON−OFF)を決定して、その制御信号を駆動回路38に出力し、この駆動回路38により電磁クラッチ41の通電を断続制御する。圧縮機作動の断続は目標蒸発器吹出温度TEOと実際の蒸発器吹出温度Teとを比較して、蒸発器吹出温度Teが目標蒸発器吹出温度TEOより低下すると、圧縮機40を停止(OFF)状態とし、逆に、蒸発器吹出温度Teが目標蒸発器吹出温度TEOより上昇すると、圧縮機40を作動(ON)状態とする。
【0054】
ところで、本実施形態によると、湿度センサ43により検出される実際の車室内相対湿度RHが、車両窓ガラス温度、内気温等により決定される曇り発生相対湿度RHWより高くなると、車両窓ガラス内面に接触する車室内空気が露点温度に達して車両窓ガラスに曇りが発生するとともに、RHとRHWとの差(RH−RHW)が大きい程、曇りの発生しやすさの度合が強くなるという相関に着目して、図5に示すように(RH−RHW)が大きい程、風量の増加レベルαを大きくしている。
【0055】
このため、車両窓ガラス側(デフロスタ側)へ空気を吹き出す吹出モードが設定されている時に、RHがRHWより高くなるに従って、車両窓ガラス側への吹出温風の風量が増加し、これにより、車両窓ガラス温度をより高い温度に引き上げることができる。この結果、車両窓ガラス内面に車室内空気が接触しても露点温度に達することがなくなり、車両窓ガラスの曇りを防止できる。
【0056】
しかも、本実施形態においては吹出モードの切替でなく、送風機7の風量を増加し、これにより、車両窓ガラス側への吹出温風の風量を増加して車両窓ガラスの曇りを防止するから、従来技術のように曇り防止のために乗員足元部への温風吹出量が減少するという現象が発生しない。また、曇り防止のためのデフロスタモードへの切替によって乗員顔部の火照りが発生することもない。つまり、乗員の快適性を保持しつつ、車両窓ガラスの曇り防止を達成できるのであって、実用上の利益は大である。
【0057】
なお、図5において、風量増加レベルαは1レベル当たり、例えば15m/h程度である。
【0058】
(第2実施形態)
車両窓ガラスの曇りは低温ガラス面により車室内空気が冷却されて露点温度に達することにより発生するから、車両窓ガラスの曇り発生に最も大きく影響を及ぼすのは車両窓ガラス温度である。そして、車両窓ガラス温度と最も相関が強いのは外気温Tamである。従って、外気温Tamが低下するにつれて車両窓ガラスの曇りが発生しやすくなる。
【0059】
そこで、第2実施形態では、図7に示すように、第1実施形態における(RH−RHW)の代わりに外気温Tamを用い、外気温Tamが低下するにつれて風量の増加レベルαを大きくしている。
【0060】
これにより、外気温Tamが低下するにつれてデフロスタ吹出風量を増加し、それにより、車両窓ガラス温度を引き上げて車両窓ガラスの曇りを防止できるので、第2実施形態においても第1実施形態と同様に乗員の快適性を保持しつつ、車両窓ガラスの曇りを防止できる。
【0061】
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、車両窓ガラスの曇りの発生しやすさの度合との相関が強い外気温Tamのみに基づいて風量の増加レベルαを決定しているが、第3実施形態は図8に示すように、外気温Tamと降雨時に関連する情報値の両方に基づいて風量の増加レベルαを決定している。
【0062】
すなわち、降雨時には車室内湿度RHの上昇、車両窓ガラス温度の低下等の理由から、車両窓ガラスがより一層曇りやすくなるという相関関係があるので、第3実施形態ではこの点に着目して、降雨時には非降雨時に比して、同一の外気温であっても風量の増加レベルαをより大きくしている。降雨時には車両ワイパ装置が作動するので、具体的には、車両ワイパ装置の作動信号により降雨状態を判定して、風量の増加レベルαをより大きくすればよい。
【0063】
これにより、窓ガラスの曇りやすい降雨時には非降雨時に比してデフロスタ吹出風量をより多くして防曇性能を向上できる。これに対して、非降雨時にはデフロスタ吹出風量の増加を抑えて、デフロスタ開口部15からの温風吹出に伴う火照り感等の不具合を抑制できる。
【0064】
更に、車両ワイパ装置の作動速度は降雨量が増大する程上昇する関係にあり、そして、降雨量が増大する程車両窓ガラスが曇りやすくなるという相関関係があるので、第3実施形態では、車両ワイパ装置の作動速度の上昇に応じて風量の増加レベルαをより一層大きくしている。
【0065】
なお、第3実施形態において、車両ワイパ装置の作動信号を用いずに降雨状態を検出するセンサを設けて降雨状態を判定してもよいことはもちろんである。降雨状態を検出するセンサは車両ワイパ装置の自動制御装置等の用途で知られている光学方式等の種々なものを使用できる。
【0066】
(他の実施形態)
(1)上記の各実施形態では、車両窓ガラスの発生度合に応じて風量の増加レベルαを決定しているが、この風量増加の自動制御に吹出モードの自動切替制御を組み合わせるようにしてもよい。例えば、第1実施形態において、フットモード時に風量増加の自動制御を実行しても車室内空気の実際の相対湿度RHと車室内空気の曇り発生相対湿度RHWとの差(RH−RHW)が所定レベル以上の大きい状態に維持されている場合に、フットモードからフットデフロスタモードに自動的に切り替えて、デフロスタ吹出風量を増加させるようにしてもよい。更に、フットデフロスタモードに切り替えても(RH−RHW)が所定レベル以上の大きい状態に維持されている場合はフットデフロスタモードからデフロスタモードに自動的に切り替えて、デフロスタ吹出風量を増加させるようにしてもよい。
【0067】
また、フットデフロスタモード時に風量増加の自動制御を実行しても車室内空気の実際の相対湿度RHと車室内空気の曇り発生相対湿度RHWとの差(RH−RHW)が所定レベル以上の大きい状態に維持されている場合はフットデフロスタモードからデフロスタモードに自動的に切り替えてデフロスタ吹出風量を増加させるようにしてもよい。
【0068】
(2)上記の各実施形態では、外気温Tamのみに基づいて車両窓ガラス温度を推定する場合について説明したが、車両窓ガラス温度は車両走行に伴う車速風の冷却作用の影響も受けるので、車速センサ29により検出される車速が上昇する程、外気温Tamに基づいて推定される車両窓ガラス温度を低温側に補正して、車両窓ガラス温度の推定精度を向上するようにしてもよい。
【0069】
また、車両窓ガラス温度は日射量の影響も受けるので、日射センサ26により検出される日射量Tsが増加する程、外気温Tamに基づいて推定される車両窓ガラス温度を高温側に補正してもよい。
【0070】
(3)第1実施形態では、図5に示すように湿度センサ43により検出される車室内空気の実際の相対湿度RHと、車両窓ガラス温度等により決定される曇り発生相対湿度RHWとの差(RH−RHW)に基づいて風量の増加レベルαを決定しているが、前述した図6の湿り空気線図を用いて、車室内空気の実際の相対湿度RHとそのときの内気温度とから露点温度を算出し、この露点温度と車両窓ガラス温度との温度差に基づいて風量の増加レベルαを決定してもよい。
【0071】
すなわち、現在の車室内空気の露点温度よりも車両窓ガラス温度が高いときは車両窓ガラスに曇りが発生せず、露点温度よりも車両窓ガラス温度が低いと車両窓ガラスに曇りが発生する。従って、この露点温度Taと車両窓ガラス温度Tbとの差(Ta−Tb)が大きくなる程、車両窓ガラスの曇りの発生しやすさの度合が強くなる。そのため、この露点温度Taと車両窓ガラス温度Tbとの差(Ta−Tb)が大きくなる程、風量の増加レベルαを大きくなるように決定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の全体構成図である。
【図2】第1実施形態の作動の概要を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態による目標風量の制御特性図である。
【図4】第1実施形態による吹出モードの切替特性図である。
【図5】第1実施形態による風量増加レベルの制御特性図である。
【図6】第1実施形態の風量制御の説明のための湿り空気線図である。
【図7】第2実施形態による風量増加レベルの制御特性図である。
【図8】第3実施形態による風量増加レベルの制御特性図である。
【符号の説明】
7…送風機、12…暖房用熱交換器、15…デフロスタ開口部、
17…フット開口部、22…空調用電子制御装置。

Claims (6)

  1. 車室内へ向かって空気を送風する送風機(7)と、
    前記送風機(7)の送風空気を加熱する暖房用熱交換器(12)と、
    前記暖房用熱交換器(12)で加熱された空気を車両窓ガラスへ向けて吹き出すデフロスタ開口部(15)と、
    前記暖房用熱交換器(12)で加熱された空気を車室内の乗員足元へ吹き出すフット開口部(17)と、
    前記送風機(7)の目標風量を空調熱負荷条件に応じて算出する目標風量算出手段(S140)と、
    車室内吹出空気の吹出モードとして、少なくとも前記デフロスタ開口部(15)から空気が吹き出す吹出モードが設定されているときに、前記車両窓ガラスの曇りの発生しやすさの度合を判定し、前記送風機(7)の前記目標風量に対する風量増加レベルを前記曇りの発生しやすさの度合に応じて算出し、前記送風機(7)を前記目標風量に前記風量増加レベルを加えた風量にて作動させる制御手段(S170〜S190)とを備えることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記車両窓ガラスの曇りの発生しやすさの度合を少なくとも前記車両窓ガラスの温度に関連する情報値に基づいて判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記車両窓ガラスの曇りの発生しやすさの度合を、前記車両窓ガラスの温度に関連する情報値および車室内湿度に基づいて判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  4. 前記車両窓ガラスの曇りの発生しやすさの度合を、前記車両窓ガラスの温度に関連する情報値および降雨状態に関連する情報値に基づいて判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  5. 前記降雨状態に関連する情報値は車両ワイパ装置の作動信号であることを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
  6. 前記車両窓ガラスの温度に関連する情報値は、少なくとも外気温であることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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