JP2004319342A - 組電池及び電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】組電池は、同一極性方向で配設された2本の単電池3が、塩化ビニル製の併設チューブ7で熱収縮により被覆されている。併設チューブ7は、上下に開口が形成されており、単電池3間における高さ方向の幅L2が単電池3に接触する位置での高さ方向の幅L1より短く、単電池3間に形成される平面部の上下両端部は略弧状とされている。平面部と単電池3との間の空間を利用して配線する。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は組電池及び電池モジュールに係り、特に、並設された複数個の柱状単電池を、単電池の上下端面に開口が形成されるように電気絶縁性樹脂製のシュリンクチューブで抱持した組電池及び該組電池を用いた電池モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数個の単電池を組み合わせた組電池では、単電池が直列及び/又は並列に組電池内に接続されている。例えば、3本の柱状単電池が隣接し上下を逆にして並置した組電池では、単電池の端子間が板状の金属製接続ブスバで直列接続されており、組電池における両端には外部出力端子が接続され、組電池全体を電気絶縁樹脂製の外装ケースで抱持したり(例えば、特許文献1参照)、熱収縮シュリンクチューブ等で被覆して電気的絶縁性を確保している(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
組電池全体を熱収縮シュリンクチューブで被覆する場合に、単に熱収縮シュリンクチューブで被覆しただけでは、被覆前の組電池から突出する鋭いエッジや突起部分より熱収縮時にチューブが破れ易いので、電気絶縁紙等でエッジ部を隠している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−325931号公報
【特許文献2】
特開2002−157982号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単電池に、例えば、高性能2次電池であるリチウム電池を使用する場合に、上述した電気絶縁紙を単に組電池上に配置すると、各リチウム電池は充放電管理のために電圧を全て測定する必要があるので、配線作業が煩雑となり、単電池を接続する全ブスバが完全に露出している状態では、作業の安全性及び効率が悪い、という問題点がある。また、組電池の使用本数や直並列接続に変更がある場合には、型等の新規作製や変更に時間が掛かり、顧客のニーズに素早く対応することは難しかった。
【0006】
本発明の上記事案に鑑み、単電池の使用本数の変化にも素早く対応でき、配線作業を簡便に行なうことができる組電池及び電池モジュールを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、並設された複数個の柱状単電池を、前記単電池の上下端面に開口が形成されるように電気絶縁性樹脂製のシュリンクチューブで抱持した組電池において、前記シュリンクチューブは、前記単電池間における上下方向の幅が前記単電池に接触する位置での上下方向の幅より短くなっていることを特徴とする。第1の態様によれば、併設された複数個の柱状単電池がシュリンクチューブで抱持されているので、組電池を構成するケースが不要となると共に、シュリンクチューブの単電池間における上下方向の幅が単電池に接触する位置での上下方向の幅より短くなっているので、単電池間の空間を利用して引出線を配線する際に、引出線を単電池の上下端面まで配線せずに折り返すことができ、引出線による組電池全体の高さを抑えることができる。このとき、シュリンクチューブの単電池間における上下方向の幅が短くなっている面の上下両端部を略弧状とすれば、上下両端部から引き出された引出線が折り返されても、上下両端部での形状変化が滑らかなため、シュリンクチューブの破損を防止することができる。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、第1の態様の組電池を用いた電池モジュールであって、前記シュリンクチューブの前記単電池間における上下方向の幅が短くなっている面の外側には単電池中心よりも単電池間寄りに接着剤が塗布されており、前記組電池は極性が交互になるように複数個積層状態で固定されていることを特徴とする。第2の態様によれば、シュリンクチューブの単電池間における上下方向の幅が短くなっている面の外側、かつ、単電池中心より単電池間寄りに接着剤が塗布されているので、単電池中心に沿って塗布された場合のように接着剤の大部分が積層状態で固定された組電池間に流れ出すことによる接着剤の塗布量から推測される接着強度との乖離が少なく、組電池間に流れ出す接着剤の量を減らすことができると共に接着強度のバラツキを低減させることができる。
【0009】
第2の態様において、接着剤が、シュリンクチューブの単電池間における上下方向の幅が短くなっている面に斜めにクロスするように塗布されていれば、組電池間に流れ出す接着剤は塗布した最初と最後の部分のみで大部分はシュリンクチューブの単電池間における上下方向の幅が短くなっている面に存在し接着強度のバラツキをなくすことができると共に、接着剤の塗布量が過多となっても、接着剤が塗布されたシュリンクチューブの内側は単電池と接触しておらず空間が存在するため、過多となった接着剤を逃がすために変形可能である。また、電池モジュールを、接続される各単電池からの距離が等しくなる位置にめねじ部を有する金属ブスバにより電気的に接続すれば、各単電池は等距離で接続されるため金属ブスバによる各単電池の電圧低下のバラツキを低減させることができると共に、金属ブスバがめねじ部を有しているので、引出線とのねじ締結による接続が可能となり、更に、電池モジュールの最外周と同等若しくは若干小さく、かつ、めねじ部に対応する位置に開口が形成された電気絶縁性樹脂製のシートで上下を覆えば、金属ブスバの露出箇所をめねじ部のみに限定でき短絡を防止することができると共に、シートが電池モジュールの外周よりも小さめであるため、目視に配置であっても組電池外周からのはみ出しを防止でき、安全性の向上を図ることができる。また更に、シュリンクチューブの単電池間における上下方向の幅が短くなっている面の内側に引出線を引き回し可能な空間を形成すれば、シュリンクチューブの単電池間における上下方向の幅が短くなっている面と単電池間との空間を利用して引出線を引き出すことで、引出線の引き回しによる全体寸法の増加を抑えることができる。また、複数個の組電池をその外周に沿って固定テープで保持すれば、電池モジュールの長手方向における組電池の遊動がなくなるため、単電池位置のバラツキが減少し作業効率を向上させることができる。また、金属ブスバと単電池の正極端面側の負極との間に樹脂製の絶縁シートを配設すれば、金属ブスバが変形しても、絶縁シートにより単電池の正極端面側での正負極の短絡を防止することができ、安全性を向上させることができる。そして、電池モジュール全体を、その長手方向と平行に更に熱収縮シュリンクチューブで覆えば、電池モジュールの外形を小さく維持したまま、電池モジュールの耐振動性や持ち運び等の作業性及び絶縁性を高めることができると共に、引出線等を固定することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明が適用可能な電池モジュールの実施の形態について説明する。
【0011】
(構成)
図1に示すように、本実施形態の電池モジュール2は、後述する電気絶縁性樹脂製の熱収縮シュリンクチューブ25で全体が被覆されている。図2は、この熱収縮シュリンクチューブ25で被覆される前の電池モジュール2を示している。
【0012】
図2及び図3に示すように、電池モジュール2には、14本の柱状単電池3が用いられている。単電池3は、マンガン酸リチウム等を正極合剤の主要構成材料とし、非晶質炭素等を負極合剤の主要構成材料とした高性能リチウム二次電池であり、熱伝導性の高い円筒状電池缶内に収容されている。
【0013】
図3及び図4に示すように、電池缶は負極を兼ね、上面端部6近傍で図示しないガスケットを介してカシメ封口されている。このため、上面端部6では、正極4と負極とが溝部を介して略同一面上に配置されている。単電池3の正極4側は、上面端部6から1/3程度の高さまで、熱収縮した塩化ビニル製の電池絶縁チューブ5で被覆されている。
【0014】
電池モジュール2は、7つの組電池1が直列接続された電気的接続構造を有しており、組電池1は並列に接続された2本の単電池3で構成されている。すなわち、組電池1は、同一極性方向で配設された2本の単電池3が、電池絶縁チューブ5と同材質の塩化ビニル製の併設チューブ7で熱収縮されることで被覆されている。併設チューブ7は、上下に開口が形成されており、単電池3間における高さ(上下)方向の幅L2が単電池3に接触する位置(単電池3の外周に沿った曲面部)での高さ方向の幅L1より短く、単電池3間に形成される平面部8の上下両端部は略弧状のくびれ部24(図7参照)とされている。
【0015】
図5(A)に示すように、図2の紙面右側(手前)側の組電池を除く各組電池1の平面部8の一側には、隣接する組電池1と接触する側に、単電池3の中心(図3の斜線部11参照)より単電池3間寄りに斜めにクロスするように接着剤9が塗布されており、図2及び図3に示すように、各組電池1は極性が交互となるように電池モジュール2の長手方向に積層されている。更に、積層された組電池1は、高さ方向の略中央部がその外周に沿って固定テープ13で保持されている。
【0016】
図2及び図7に示すように、各単電池3は、ニッケル製の金属ブスバにより電気的に接続されている。図6に示すように、この金属ブスバには、組電池1間を接続する中間ブスバ16と、電池モジュール2の出力線14とカシメ接続される出力ブスバ15との2種類がある。
【0017】
図6(A)、(B)に示すように、中間ブスバ16は十文字形状を呈しており、その中心部にはM3ナット17が配置されている。本例では、ナット17にカシメ方式のポップナットが用いられている。また、中間ブスバ16は、四方に等距離に伸びた腕部の中間に、単電池3の位置ずれや衝撃吸収の機能を有する折り返し部18が形成されている。中間ブスバ16の裏面側には、ナット17の部分を切り欠いた三角形状の中間絶縁シート19(樹脂製の絶縁シート)が貼り付けられている。
【0018】
図6(C)、(D)に示すように、出力ブスバ15はT字に近い形状を呈しており、単電池3に接続される2箇所の腕部、ナット17が配置された脚部、及び、脚部の反対側で垂直に折れ曲がって出力線14とカシメ接続される折り曲げ部で構成されている。単電池3に接続される2箇所の腕部の中間には、中間ブスバ16と同様に、折り返し部18が形成されている。出力ブスバ15の裏面側には、ナット17の部分を切り欠いた長方形状の出力絶縁シート20(樹脂製の絶縁シート)が貼り付けられている。
【0019】
図7に示すように、中間ブスバ16及び出力ブスバ15は、中間絶縁シート19、出力絶縁シート20が貼り付けられた側が正極4側に配置されており、各単電池3の正負極は腕部先端に形成された十字穴を介してスポット溶接により中間ブスバ16、出力ブスバ15に電気的、機械的に接続されている。なお、図2の紙面右側の組電池1の底部側には出力ブスバ15が配置されているが、この出力ブスバ15には出力絶縁シート20が貼り付けられていない。
【0020】
積層された組電池1の上下には、ナット17に対応する位置に略円形のシート開口部22が形成された全体絶縁シート21が配設されている。全体絶縁シート21は、組電池1が積層された電池モジュール2の最外周より若干小さいサイズとされている。図2に示すように、上側に配設された全体絶縁シート21には、一端にコネクタを有する電圧検出ハーネス23が配設されている。電圧検出ハーネス23の他端側は、ナット17にそれぞれねじ締結されている。なお、本例では、上述したように単電池3を2並列7直列とした構成を採っており、全ての2並列単電池3の電圧を検出するために、電圧検出ハーネス23の他端側は、図2に示すように、上側に配設された全体絶縁シート21の切り欠き部及び単電池間空間12(2本の単電池3の外周谷間と平面部8とで形成される空間、図3参照)を介して、下側に配設された全体絶縁シート21のシート開口部22に位置するナット17にも接続されている。
【0021】
また、下側に配置された出力ブスバ15の折り曲げ部は、出力線14(−側)の一端にカシメ接続されており、出力線14の他端側は図2の紙面右側の組電池の単電池間空間12を引き回され併設チューブ7の上側のくびれ部24で折り返されて電圧検出ハーネス23のコネクタ側まで伸びている。一方、上側に配置された出力ブスバ15の折り曲げ部は出力線14(+側)の一端にカシメ接続されており、この出力線14の他端側は図2の紙面左側の組電池の単電池間空間12及び下側に配設された全体絶縁シート21の外側(下側)を引き回されて電圧検出ハーネス23のコネクタ側まで伸びている。
【0022】
図1に示すように、電池モジュール2は、その長手方向と平行に円筒状の熱収縮チューブ25で覆われており、長手方向両端面には開口が形成されている。この開口の一方の下側から出力線14(+側)が導出されており、上側(開口と併設チューブ7のくびれ部24との間)から電圧検出ハーネス23及び出力線14(−側)が導出されている。
【0023】
(作製手順)
次に、本実施形態の電池モジュール2の作製手順について説明する。
【0024】
図4に示すように、単電池3の正極4側に電池絶縁チューブ5を被せ熱収縮させる。電池絶縁チューブ5による電池缶の被覆部は、機能的には単電池3の上面端部6のみでよいが、被覆部の長さが短すぎるとずれが生じて組立作業性が低下するため、被覆部を正極4端面から全高さの1/3までとした。
【0025】
電池絶縁チューブ5を被せた後、単電池3を2本同時に併設チューブ7で被覆し熱収縮させて固持させる(併設チューブ7で2本の単電池3を抱持する)。このとき、組電池1を構成する2本の単電池3の上下における位置ずれ(隣接する単電池3の高さのずれ)が発生すると、この位置ずれ分が電池モジュール2としての高さのバラツキとなるため、治具を用いることが好ましい。
【0026】
次に、組電池1の併設チューブ7で高さ方向の上下幅が短くなっている面、すなわち、単電池3外周に沿った曲面部ではなく単電池間部に形成された平面部8の外側に接着剤9を塗布する(図5(A)参照)。この接着剤9による塗布は、塗布する際に隣接する単電池3の極性が交互になるように、すなわち、接着剤9をクロスするように単電池3の正極4近傍から斜めに隣接する単電池3の負極方向(下方向)に向かって塗布する。なお、接着剤9には、セメダイン社のポリオレフィン系接着剤であるSG−1を用いた。
【0027】
接着剤9の塗布後、夫々の組電池1の極性を交互にして積層配置し、所定の寸法となるように治具で接着剤9が乾燥するまで固定する。接着材9が乾燥した後、積層配置された組電池1の外周に沿って固定テープ13を捲きつける(図7参照)。固定テープ13には、薄く粘着力の強い梱包用のPPテープを用いた。
【0028】
次いで、中間ブスバ16の中間絶縁シート19、出力ブスバ15の出力絶縁シート20が貼り付けられた箇所を正極4側に配設して、腕部先端に形成された十字穴を介して金属ブスバと単電池3とをスポット溶接する。溶接終了後、全体絶縁シート21を電池モジュール2の上下に配設する。このとき、シート開口部22を金属ブスバのナット17の位置に合わせる。
【0029】
次に、電圧検出ハーネス23を配置し他端をネット17とねじ締結する。また、この電圧検出ハーネス23の他端を上側に配設された全体絶縁シート21の切り欠き部及び組電池1の単電池間空間12を通して反対面に導き、下側のナット17ともねじ締結する。更に、出力線14の一端を電圧検出ハーネス23のコネクタ側に位置させ、他端を、単電池空間12を利用して出力ブスバ15の折り曲げ部まで導きカシメ接続する。
【0030】
そして、この電池モジュール2の長手方向と平行に熱収縮シュリンクチューブ25を被せ、熱収縮させることで全体を絶縁すると共に、電池検出ハーネス23及び出力線14を固定する。
【0031】
(作用等)
次に、本実施形態の電池モジュール2の作用等について説明する。
【0032】
本実施形態の電池モジュール2では、単電池3が、上面端部6側を電池絶縁チューブ5で覆われている。単電池3は電池缶が負極として用いられており、正極4との絶縁距離が短い。このため、正極・負極が最も隣接する上面端部6側にのみ正極4が開口している状態で電池絶縁チューブ5により覆うことで、短絡の危険性が減少し安全な組立作業が確保される。また、本実施形態では、2個の単電池3を極性が同一になるように並設し、負極である電池缶の底面と正極4とが露出するように大きめの併設チューブ7で覆い熱収縮させ収縮力によって各単電池3を抱持している。このため、単電池3を支えるためのケースが不要となると共に、組電池の組立作業の効率化を図ることができる。更に、本実施形態では、2個の単電池3を抱持した併設チューブ5の高さ方向での上下幅が単電池3の中間、すなわち、併設チューブ7と単電池3が接触していないデッドスペースの領域が他の部分に対して短くなっている。このことによって、このデッドスペースを利用して電圧検出ハーネス23や出力線14等の引出線を配線する際、単電池3の正極上面までいかずに折り返すことができ、引出線による電池モジュール2全体高さの増加を抑えることができる。また、平面部8の上下両端のくびれ部24の形状を略弧状としたので、引出線が折り返されても形状変化が滑らかなため、平面部8の上下両端で併設チューブ7が破損することを防止することができる。また更に、組電池1は併設チューブ7で抱持されているため、抱持本数を変更することで、電池モジュール2の使用変更にも素早く対応することができる。
【0033】
また、本実施形態の電池モジュール2では、組電池1の平面部8に接着剤を塗布し、組電池1の極性を交互に積層配置する。接着剤を塗布する際、単電池1の中心(図3の斜線部11)に沿って塗布するとその大部分が積層配置した組電池間に流れ出し、接着剤の塗布量から推定される接着強度とは異なり、バラツキが大きくなり管理が困難になる。このため、本実施形態では、接着剤の塗布領域を単電池3の中心よりも単電池間に近い方へ僅かにずらすことによって、組電池間谷間10(図3参照)に流れ出す量を減らすこができ、接着強度のバラツキを低減させることができる。更に、本実施形態では、接着剤をクロスするように単電池3の正極近傍から斜めに隣接する単電池の負極方向に向かって塗布している。これにより、組電池間に流れ出す接着剤は塗布した最初と最後の部分のみであり、大部分は単電池間の平面部8に存在することになるので、接着強度のバラツキをなくすことができる。特に、本実施形態では、平面部8の内側は単電池3と接触しておらず単電池間空間12が形成されているため、接着剤の塗布量が多くなりすぎたとしても、それを逃がすための変形が可能である。
【0034】
また、本実施形態の電池モジュール2は、接続される単電池3からの距離が等しくなる位置にナット17を配置した金属ブスバで電気的に接続されている。金属ブスバの腕部は各単電池3から等距離であるため、電気的には電圧低下分が少なく正確な単電池3の電圧の検出が可能となる。更に、ナット17には、めねじが螺設されているため、電圧検出ハーネス23の他端との接続においてねじ締結が可能であり、金属ブスバに予め接続しなくてもブスバ溶接後での作業が可能となり作業性が向上する。
【0035】
更に、本実施形態の電池モジュール2は、ナット17に対応する位置にシート開口部22を有する全体絶縁シート21で上下が覆われている。従って、金属ブスバ15、16の露出箇所がナット17のみに限定されるので、組立作業を含めた短絡が防止でき安全性が向上する。また、全体絶縁シート21が電池モジュール2の外周よりも小さいため、目視による配置であっても組電池外周からはみ出す危険性が減少する。つまり、全体絶縁シート21が組電池外周からのはみ出すと、エッジがでるため、熱収縮シュリンクチューブ25の破損に繋がるが、全体絶縁シート21が電池モジュール2の外周よりも小さいため、熱収縮シュリンクチューブ25の破損による短絡を防止することができる。
【0036】
また、本実施形態の電池モジュール2では、組電池1において、単電池3は金属ブスバで電気的機械的に接続されている。しかしながら、耐振動という意味では各単電池3の固定が不足しており、組電池1全体を一体とする必要がある。このため、電池モジュール2では、組電池1全体を熱収縮シュリンクチューブ25で被覆することで絶縁性を高め、全体を一体とすることで持ち運び等の作業性を向上させている。また更に、組電池1全体は熱収縮シュリンクチューブ25で被覆されているため、組電池1の個数を変更することで、電池モジュール2の使用変更にも素早く対応することができる。
【0037】
更に、本実施形態の電池モジュール2では、各単電池3の電圧検出ハーネス23の他端や出力線14を取り出すための開口部が、円筒状の熱収縮シュリンクチューブ25を熱収縮させることで短側面部に配されており、単電池間のデッドスペースが生じる位置となり空間効率を向上させることができる。
【0038】
また、金属ブスバを溶接した組電池における構造強度は前述した通りであるが、溶接する前においては組電池1の長手方向の電池位置を制限することが難しく、ワークの移動に関しても支障をきたしてしまう。本実施形態では、溶接前段階において、単電池側面の組電池外周に沿って固定テープを捲きつけることによって、長手方向の遊動を防止したので、ワーク移動における単電池位置のバラツキが減少しスポット溶接時の作業効率の向上を図ることができる。
【0039】
更に、本実施形態の電池モジュール2では、金属ブスバ裏面(単電池との溶接面)に樹脂製の絶縁シート19、20を、単電池3の負極部(電池缶)と金属ブスバとが重なっている部分にのみ配置している。組電池1の構造上電池缶と正極4とは電池絶縁チューブ5で隔てられているが、金属ブスバの変形等により電池絶縁チューブ5を傷める可能性がある。つまり、上面端部6で正極4と負極とは接触することはないが、正極4に溶接された金属ブスバは負極に接触する可能性がある。このため、本実施形態では、金属ブスバと負極とが重なり合う部分に、絶縁シート19、20を配設したので、正負極の接触が生ぜず安全性の向上を図ることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、組電池1を2本の単電池3で構成する例を示したが、本発明はこれに限定されず、3本以上の単電池で組電池を構成するようにしてもよい。この場合には、例えば、図5(B)に示すように、平面部の上下両端に単電池間にくびれ部を形成し、接着剤を単電池の中心よりも単電池間寄りに塗布することで2つのクロスを形成すればよい。
【0041】
また、本実施形態では、積層された組電池1全体の大きさ(電池モジュール2の大きさ)より小さい全体絶縁シート21を例示したが、熱収縮シュリンクチューブ25に対しエッジが出なければよいので、全体絶縁シート21を電池モジュール2と同等の大きさとしてもよい。
【0042】
更に、本実施形態では、金属ブスバのめねじ部にカシメ方式のポップナットを例示したが、本発明はこれに制限されず、例えば、打ち込みナットやバーリング等により雌ねじ部を形成してもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第1の態様によれば、併設された複数個の柱状単電池がシュリンクチューブで抱持されているので、組電池を構成するケースが不要となると共に、シュリンクチューブの単電池間における上下方向の幅が単電池に接触する位置での上下方向の幅より短くなっているので、単電池間の空間を利用して引出線を配線する際に、引出線を単電池の上下端面まで配線せずに折り返すことができ、引出線による組電池全体の高さを抑えることができ、本発明の第2の態様によれば、シュリンクチューブの単電池間における上下方向の幅が短くなっている面の外側、かつ、単電池中心より単電池間寄りに接着剤が塗布されているので、単電池中心に沿って塗布された場合のように接着剤の大部分が積層状態で固定された組電池間に流れ出すことによる接着剤の塗布量から推測される接着強度との乖離が少なく、組電池間に流れ出す接着剤の量を減らすことができると共に接着強度のバラツキを低減させることができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な実施形態の電池モジュールの外観斜視図である。
【図2】実施形態の電池モジュールの熱収縮シュリンクチューブ被覆前の外観斜視図である。
【図3】電池モジュールを構成する組電池の接着工程における斜視図である。
【図4】組電池を構成する単電池及び併設チューブの分解斜視図である。
【図5】組電池の平面部に塗布される接着剤の塗布位置を示す斜視図であり、(A)は実施形態での塗布位置を示し、(B)は他の実施形態の塗布位置を示す。
【図6】金属ブスバを示す斜視図であり、(A)は中間ブスバを上側からみたとき、(B)は中間ブスバを下(裏面)側からみたとき、(C)は出力ブスバを上側からみたとき、(D)は出力ブスバを下側からみたときをそれぞれ示す。
【図7】金属ブスバ溶接後の電池モジュールの斜視図である。
【符号の説明】
1 組電池
2 電池モジュール
3 単電池
4 正極
7 併設チューブ(シュリンクチューブ)
8 平面部(単電池間における上下方向の幅が短くなっている面)
9 接着剤
12 単電池間空間(空間)
13 固定テープ
14 出力線(引出線の一部)
15 出力ブスバ(金属ブスバ)
16 中間ブスバ(金属ブスバ)
17 ナット(めねじ部)
19 中間絶縁シート(絶縁シート)
20 出力絶縁シート(絶縁シート)
21 全体絶縁シート(シート)
22 シート開口部(開口)
23 電圧検出ハーネス(引出線の一部)
25 熱収縮シュリンクチューブ(熱収縮シュリンクチューブ)
Claims (9)
- 並設された複数個の柱状単電池を、前記単電池の上下端面に開口が形成されるように電気絶縁性樹脂製のシュリンクチューブで抱持した組電池において、前記シュリンクチューブは、前記単電池間における上下方向の幅が前記単電池に接触する位置での上下方向の幅より短くなっていることを特徴とする組電池。
- 前記シュリンクチューブは、前記単電池間における上下方向の幅が短くなっている面の上下両端部が略弧状であることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
- 請求項1に記載の組電池を用いた電池モジュールであって、前記シュリンクチューブの前記単電池間における上下方向の幅が短くなっている面の外側には単電池中心よりも単電池間寄りに接着剤が塗布されており、前記組電池は極性が交互になるように複数個積層状態で固定されていることを特徴とする電池モジュール。
- 前記接着剤は、前記シュリンクチューブの前記単電池間における上下方向の幅が短くなっている面に斜めにクロスするように塗布されていることを特徴とする請求項3に記載の電池モジュール。
- 前記電池モジュールは、接続される各単電池からの距離が等しくなる位置にめねじ部を有する金属ブスバにより電気的に接続されており、前記電池モジュールの最外周と同等若しくは若干小さく、かつ、前記めねじ部に対応する位置に開口が形成された電気絶縁性樹脂製のシートで上下が覆われていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の電池モジュール。
- 前記シュリンクチューブは、前記単電池間における上下方向の幅が短くなっている面の内側に引出線を引き回し可能な空間が形成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の電池モジュール。
- 前記複数個の組電池は、その外周に沿って固定テープで保持されていることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載の電池モジュール。
- 前記金属ブスバと前記単電池の正極端面側の負極との間に樹脂製の絶縁シートを配設したことを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれか1項に記載の電池モジュール。
- 前記電池モジュールは、その長手方向と平行に更に全体が熱収縮シュリンクチューブに覆われていることを特徴とする請求項3乃至請求項8のいずれか1項に記載の電池モジュール。
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