JP2004315609A - 粘着テープ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】両面粘着テープ1は、粘着材2の両面に離型材3,4が貼り付けられ、使用時には離型材3,4を剥がして研磨パッドなどに貼り付ける。粘着材2の定盤と貼り合わせる粘着面2aに、複数の溝5を設けている。平面図からわかるように、溝5は互いに略平行に設けられている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
シリコンウエハやフラットパネルディスプレイ用ガラス、ハードディスクといった超精密研磨を行う研磨パッドを固定するための粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造の分野では、半導体素子の微細化および多層化による高集積化に伴い、半導体層や金属層の平坦化技術が重要な要素技術となっている。ウエハに集積回路を形成する際、電極配線などによる凹凸を平坦化せずに層を重ねると、段差が大きくなり、平坦性が極端に悪くなる。また段差が大きくなった場合、フォトリソグラフィにおいて凹部と凸部の両方に焦点を合わせることが困難になり微細化を実現することができなくなる。したがって、積層中の然るべき段階でウエハ表面の凹凸を除去するための平坦化処理を行う必要がある。平坦化処理には、エッチングにより凹凸部を除去するエッチバック法、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)などにより平坦な膜を形成する成膜法、熱処理によって平坦化する流動化法、選択CVDなどにより凹部の埋め込みを行う選択成長法などがある。
【0003】
以上の方法は、絶縁膜、金属膜など膜の種類によって適否があることや平坦化できる領域がきわめて狭いという問題がある。このような問題を克服することができる平坦化処理技術としてCMPによる平坦化がある。
【0004】
CMPによる平坦化処理では、微細な粒子(砥粒)を懸濁したスラリを研磨パッド表面に供給しながら、圧接した研磨パッドとシリコンウエハとを相対移動させて表面を研磨することにより、広範囲にわたるウエハ表面を高精度に平坦化することができる。
【0005】
CMPによる平坦化を行うCMP装置は、主に回転定盤部、キャリア部、スラリ供給部およびドレッシング部から構成される。回転定盤部は、その上面に粘着テープなどで研磨パッドが貼り付けられ、下面側は、回転駆動機構と、回転軸を介して接続される。キャリア部は、その下面にバッキング材およびリテーナリングによって被研磨物であるシリコンウエハを保持し、シリコンウエハの加工面を研磨パッドに圧接させる。上面側は、回転駆動機構と、回転軸を介して接続される。
【0006】
スラリ供給部は、シリカ、セリアおよびアルミナなどの粒子を媒体に懸濁させたスラリを研磨パッドの表面に供給する。ドレッシング部は、産業用ダイヤモンド粒子を電着したプレートを備え、研磨屑などが付着した部分を削り取ることで、研磨特性が低下した研磨パッドの表面を再生する。
【0007】
CMP装置は、回転駆動機構によって回転定盤部およびキャリア部を回転させるとともに、研磨パッドの略中央部にスラリを供給し、シリコンウエハと研磨パッドとを相対移動させることでシリコンウエハ加工面の研磨を行う。
【0008】
このようなCMP装置では、粘着テープが貼り合わせてある研磨パッドを、定盤に貼り合わせる際に、貼り合わせる面積が広いため、粘着テープと定盤との間にエアがみによる気泡が生じる。この気泡が残留することにより、研磨時の平坦性不良の原因となったり、粘着面積不足により生じるパッド剥がれの原因となっている。
【0009】
特許文献1記載の平面研磨装置では、ターンテーブル(定盤)の表面に全面にわたって格子状の溝が形成されている。研磨布(パッド)を取り付ける際に、この溝を通って気泡が排除される。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−315121号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1記載の平面研磨装置では、ターンテーブルに溝を形成するため、加工が困難で、コストも高くなるという問題がある。さらに、溝を通ってターンテーブルと粘着テープとの間にスラリが浸入し、研磨パッドがターンテーブルから剥がれてしまうという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、貼り付け時に気泡が残留しない粘着テープを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は粘着材と離型材とが積層され、少なくとも前記粘着材の前記離型材と合わさる粘着面に、前記粘着材の端面に開放する端部を有する1または複数の溝が設けられていることを特徴とする粘着テープである。
【0014】
また本発明は、前記溝は複数設けられ、
各溝は略平行に設けられていることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記溝は複数設けられ、
各溝は格子状に設けられていることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記溝は複数設けられ、
各溝は放射状に設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、粘着材と離型材とが積層されてなり、たとえば両面粘着テープの場合は、2枚の離型材の間に粘着材が積層されている。粘着材の離型材と合わさる粘着面に溝が設けられており、この溝の端部は、粘着材の端面に開放している。溝は複数設けられ、各溝は、略平行、格子状、放射状に設けられる。
【0018】
これにより、離型材を剥がして粘着材を所定の部材に貼り付ける際に、粘着材と部材との間に生じた気泡は、残留することなく、粘着面に設けられた溝を通って粘着材の端面から容易に排出することができる。この粘着テープを、たとえばCMP研磨装置の研磨パッドと定盤との貼り付けに用いると、気泡が残留していないので、平坦度を向上させることができる。
【0019】
また本発明は、前記粘着材の粘着力は、4.0N/25mm以上であり、
前記溝の幅は1mm以下、深さは1mm以下であることを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、粘着材の粘着力を、4.0N/25mm(JIS Z1528:対ステンレス90度剥離)以上とし、溝の幅を1mm以下、深さを1mm以下とする。
【0021】
これにより、粘着材が所定の部材に貼り付けられ、気泡が溝から排出された後、粘着材の流動性により溝が消滅することで、粘着面積が増大して粘着強度が向上する。特にCMP装置などの研磨装置の場合、砥粒を含むスラリを用いることが多いが、溝が消滅することで粘着材と定盤との間にスラリが浸入するのを防ぐことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
2以上の部材を貼りあわせるための粘着テープ、いわゆる両面粘着テープは、2枚の離型材と粘着材とが積層されてなる。従来の技術で説明したようなCMP装置に用いる場合、一方の離型材を剥がし研磨パッドに粘着材を貼り付け、もう一方の離型材を剥がして定盤と貼り合わせることによって、研磨パッドと定盤とが粘着材を介して固定される。粘着材を研磨パッドに貼り付ける際、および定盤に貼り合わせる際に、貼り合わせる面積が広いため、粘着材と研磨パッド、および粘着材と定盤との間に気泡が生じてしまう。
【0023】
本発明では、粘着材に溝を設け、貼り付けの際にこの溝を通じて気泡を外部に排出することで気泡の除去を可能としている。これにより、研磨時の平坦度および粘着強度が向上する。
【0024】
図1は、本発明の実施の一形態である両面粘着テープ1の断面図および平面図である。図1(a)は断面図を示し、図1(b)は定盤側の離型材を剥がした場合の平面図を示している。両面粘着テープ1は、図1(a)の断面図からわかるように、粘着材2の両面に離型材3,4が貼り付けられ、使用時には離型材3,4を剥がして研磨パッドなどに貼り付ける。本実施形態では、粘着材2の定盤と貼り合わせる粘着面2aに、粘着材の端面に開放する端部を有する複数の溝5を設けている。図1(b)の平面図からわかるように、溝5は互いにほぼ平行に設けられている。
【0025】
両面粘着テープの製造工程は、離型材および粘着材の作製、離型材への粘着材の塗工、塗工された粘着材への離型材の貼り付けからなる。
【0026】
離型材は、たとえば紙、PET(Polyethylene Terephthalate)などからなり、粘着材は、天然ゴム、合成ゴムおよびアクリル樹脂ならびに、エチレン酢酸ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系のホットメルトなどからなる。
【0027】
粘着材に溝を形成する方法は、粘着材を塗工する離型材側に凸部を形成する方法と、塗工後に凹部(溝)を形成する方法の主に2種類がある。まず、粘着材の塗工前に行う場合について説明する。
【0028】
一般に粘着材の塗工前に離型材に対して行う処理には、以下のようなものがある。
・離型材の厚み均一化処理
・粘着材との接着力強化のための表面粗化処理
・帯電防止処理(帯電防止剤の塗布)
【0029】
このような処理に加えて離型材に凸部を形成する。
具体的には、
・離型材に、ローラーでの点接触荷重などにより一方向軸のみ荷重を与え、同一方向の凸部を形成する。
・表面粗化処理時にサンドペーパなどを一定方向に移動して直線状の凹凸を設ける。
・予め凸部が形成された荷重を乗せて、面接触荷重により離型材に凸部を転写する。
などの方法がある。
【0030】
このようにして凸部が形成された離型材に粘着材を塗工する。貼り付けの際に離型材を剥がすと、離型材の凸部に対向した粘着材の部分に溝が形成される。
【0031】
次に、粘着材の塗工後に行う場合について説明する。
具体的には、塗工前と同様に、
・離型材に一方向軸のみ荷重を与え、粘着材に同一方向の凹部(溝)を形成する。
・予め凸部が形成された荷重を乗せて粘着材に凹部(溝)を転写する。
などの方法がある。
【0032】
なお、溝の配置は、図1に示したような、ほぼ平行な複数の直線状の溝からなる直線パターンに加え、互いに直交する複数の直線状の溝からなる格子パターン、中心から放射状に延びる複数の直線状の溝からなる放射パターンなどがあるが、曲線状であってもよく、貼り付けたときに気泡が除去可能なように、溝の端部が外部に開放していればよい。
【0033】
精密研磨用途の粘着テープでは、粘着材についても平坦性が求められ、粘着材表面は鏡面やそれに順ずる平坦性を有するように塗工される。
【0034】
以上のようにして作製された両面粘着テープを用いて研磨パッドと定盤と貼りあわせた場合、貼り合わせ直後は、溝を形成しない従来の粘着テープと比較してもほとんど差異はみられず、粘着材と定盤との間に多数の気泡が観測される。しかし、貼り合わせてから時間が経過するにつれて、気泡は溝を通りながら徐々に融合され最後には端面より排出される。
【0035】
多数存在した気泡は、養生時間が経過する毎に溝内にある数が減少していく。接着養生が完了した頃には、気泡は全く無くなる。
【0036】
さらに、粘着材の粘着力を高くする。たとえば4.0N/25mm(JIS Z1528:対ステンレス90度剥離)以上とする。また、溝の寸法をなるべく小さくする。たとえば幅は1mm以下、好ましくは0.5mm程度とし、深さは1mm以下、好ましくは0.5mm程度とする。これにより、気泡が排出された後、粘着材が流動して溝が消滅する。
【0037】
さらに、溝同士の間隔が広すぎると、気泡の排出が困難となるので、溝同士の間隔は5mm以下、好ましくは1mm程度とする。
【0038】
以上により、粘着面積が大きく、粘着材と定盤は均一かつムラが無く貼り合わされ、研磨時の平坦度および粘着強度が向上する。
【0039】
(実施例)
溝が形成された粘着テープを実施例1、溝が形成されていない従来の粘着テープを比較例1とする。
【0040】
実施例1および比較例1ともに、離型材には、PETを用い、粘着材には天然ゴムを用いた。
【0041】
実施例1の溝は、離型材に一方向軸のみ荷重を与えることによって形成した。また、溝の配置は、図1に示したような直線パターンで、溝幅を0.5mm、溝深さを0.5mmとした。
【0042】
実施例1と比較例1の各々を貼り合わせた研磨パッドを用意し、ポリカーボネイト(PC)製の透明な板に貼り付けた。
【0043】
貼り付けてから所定の時間経過後に貼り合わせた透明な板の裏側から気泡の数および大きさを測定した。なお、測定時間は、貼り付け直後、10分後、30分後、1時間後、3時間後、6時間後とした。
【0044】
図2は、観測された気泡の数の経時変化を示すグラフである。縦軸は気泡の数を示し、横軸は貼り付け後の経過時間を示す。曲線10は実施例1を示し、直線11は比較例1を示している。図3は、観測された気泡の径の経時変化を示すグラフである。縦軸は気泡の径を示し、横軸は貼り付け後の経過時間を示す。曲線12は実施例1を示し、直線13は比較例1を示している。
【0045】
グラフからわかるように、貼り付けてから時間が経過するにつれて、実施例1は、気泡の数が減少し、気泡の径が大きくなった。これは、実施例1の粘着材には溝が形成されているため気泡同士が集まっていく現象による。実施例1は、250minを過ぎる頃には、気泡の径は小さくなり、気泡の数はほぼゼロに近くなった。溝を通って端面から気泡が排出されたからである。さらに、時間が経過すると粘着材の流動性により溝が消滅し、均一にムラ無く研磨パッドと透明な板とが貼り合わされた。
【0046】
比較例1は、溝が無いため生じた気泡が移動することができないので、気泡の数および径のどちらも経時的な変化は見られなかった。
【0047】
本発明は、種々の部材の貼り合わせに有用であるが、特に、研磨装置に有用である。研磨時には、砥粒を分散させたスラリを用いることが多く、従来の技術で説明した平面研磨装置の場合、溝によって気泡を排出することはできるが、溝が定盤に形成されているため、この溝からスラリが浸入してしまい、定盤から粘着材が剥がれてしまう。これに対して本発明では、気泡排出後に溝が消滅するため、スラリが浸入することがない。
【0048】
以上のように、粘着テープの粘着材と定盤との間に生じる気泡を排出することができる。その結果、粘着面は全て均一になり、研磨時の平坦度および粘着強度を向上させることができる。さらにスラリの浸入を防ぐことで、低粘着強度の粘着材であっても研磨途中での剥がれが生じない。今後使用される定盤は、スラリのこびり付き防止や耐薬品性を向上させたものが増加する傾向にある。テフロン(登録商標)定盤や耐腐食処理を行った定盤は、一般的に粘着テープとの相性が悪く、通常の定盤に比較しても粘着材の剥離が起きやすい。しかし、本発明を用いることによって剥離性を低下させることが可能となる。
【0049】
また、気泡が残らないようにするためには、定盤への貼り合わせ作業は作業者の技術に依存することが多かったが、本発明を用いることで作業性の個人差を低減させることができ、容易に貼り合わせることができる。
【0050】
なお、溝の断面形状は矩形に限らず、半円形状、蒲鉾形状、三角形状などでもよい。また、上記では、粘着テープの片面にのみ溝を形成した場合について説明したが、両面粘着テープの場合は両面に溝を形成することが好ましい。両面に溝を形成することで、粘着材と研磨パッド、および粘着材と定盤との間に生じる気泡を排出することができ、研磨時の平坦度および粘着強度をさらに向上させることができる。
【0051】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、離型材を剥がして粘着材を所定の部材に貼り付ける際に、粘着材と部材との間に生じた気泡は、残留することなく、粘着面に設けられた溝を通って粘着材の端面から容易に排出することができる。この粘着テープを、たとえばCMP研磨装置の研磨パッドと定盤との貼り付けに用いると、気泡が残留していないので、平坦度を向上させることができる。
【0052】
また本発明によれば、粘着材が所定の部材に貼り付けられ、気泡が溝から排出された後、粘着材の流動性により溝が消滅することで、粘着面積が増大して粘着強度が向上する。特にCMP装置などの研磨装置の場合、砥粒を含むスラリを用いることが多いが、溝が消滅することで粘着材と定盤との間にスラリが浸入するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である両面粘着テープ1の断面図および平面図である。
【図2】観測された気泡の数の経時変化を示すグラフである。
【図3】観測された気泡の径の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 両面粘着テープ
2 粘着材
3,4 離型材
5 溝
Claims (5)
- 粘着材と離型材とが積層され、少なくとも前記粘着材の前記離型材と合わさる粘着面に、前記粘着材の端面に開放する端部を有する1または複数の溝が設けられていることを特徴とする粘着テープ。
- 前記溝は複数設けられ、
各溝は略平行に設けられていることを特徴とする請求項1記載の粘着テープ。 - 前記溝は複数設けられ、
各溝は格子状に設けられていることを特徴とする請求項1記載の粘着テープ。 - 前記溝は複数設けられ、
各溝は放射状に設けられていることを特徴とする請求項1記載の粘着テープ。 - 前記粘着材の粘着力は、4.0N/25mm以上であり、
前記溝の幅は1mm以下、深さは1mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の粘着テープ。
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