【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス製造業における溶融ガラス用スターラーとそのスターラーを使用した溶融ガラス用撹拌装置及び溶融ガラスの均質化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス製造業では、無機酸化物や無機塩類等の各種ガラス原料を加熱溶融して生成した溶融ガラスを所望の形状に成形することによって、所望の性質、形状を有し、各種の用途に利用されるガラス製品を製造している。ガラス製造業において、ガラス製品を均質化するために溶融ガラスの中に浸漬した溶融ガラス用スターラーを回転させる方法が従来から採用されてきている。
【0003】
そこで、撹拌操作を司るこのようなスターラーとしては、非常に多くの形状が提案されてきた。そして、流体が低レイノルズ数となる溶融ガラスの撹拌操作であって、しかも800℃以上の高温環境下で均質混合を行うという過酷な状況で使用されるスターラーについては、ガラスの用途や要求される特性等に応じて、これまでにいくつかの典型的な形状のスターラーが採用されてきた。有機化学工業等では、アンカー翼が使われるケースもあるが、溶融ガラスで使用する場合には、耐火物等の周辺の容器を構成する材料の高温状態での耐久性等に支障の発生する場合があるため、採用事例が少ない。このように、溶融ガラスに利用されてきたスターラーの形状は限定される傾向があり、代表的なスターラーの翼形状による分類を行えば、スパイラル翼、パドル翼、プロペラ翼、ヘリカルリボン翼等が知られている。
【0004】
例えば、スパイラル翼を有する溶融ガラス用スターラーとしては、特許文献1の図4に表したような形状のものがある。この溶融ガラス用のスターラー30は、耐熱性回転軸31にスパイラル形状を有する翼32を巻着したものであって、スパイラル翼32と溶融ガラスとの接触面積が大きいため、強い撹拌力を有している。そしてスターラー30は、例えば、回転軸31を右回りに回転させた場合、スパイラル翼32が周囲の溶融ガラスに上向きの強い流れを生じさせて、周囲の溶融ガラス生地を強制的に混合するものである。さらに撹拌能力を向上させるため、スパイラル翼を2枚配設した形態のスターラーも特許文献1に開示されている。
【0005】
また、図5に表したように、特許文献2では、パドル翼を有するスターラーとして、回転軸に対して多段の翼取り付け箇所を有する例の記載がある。ここに示した様に、回転軸41の長手方向に一定間隔で配設された複数枚の羽根42を有するスターラー40は、特に光学ガラス等の製造でその屈折率を均一に調整する場合に多用されている。このパドル翼については、翼そのものを回転軸に対して傾斜させて回転軸に直接配設した傾斜パドル翼が採用される場合もある。この傾斜パドル翼にねじりを加えたものがプロペラ翼となる。
【0006】
さらに、特許文献3にあるようなヘリカルリボン翼を有するスターラーは、図6に示した様な形状である。このスターラーは、複数本の支柱で連結したリボン状の羽根を利用して撹拌を行うものであって、図6に示したのは、2枚の羽根を有するダブルヘリカルリボン翼スターラーである。
【0007】
【特許文献1】
特開2003−034539号公報(第2−7頁、第2図)
【特許文献2】
特開2002−253942号公報(第2−4頁、第1−2図)
【特許文献3】
特開平11−276872号公報(第2−6頁、第14図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、溶融ガラスの均質化を行うための各種の撹拌装置が利用されてきた。しかし、上記のスパイラル翼については、スターラー先端近傍に混合不十分な溶融ガラスが停滞するといった問題等も指摘され、このためスターラーの先端形状についてのさらなる改良等が行われている。また、パドル翼は混合効果が大きいが、それに伴ってスターラーの翼先端の劣化が激しく、高い粘性を有する溶融ガラスの撹拌を行う場合には、スターラーの翼先端部の剥離によって発生した異物を防止するといった別の問題が発生する場合もある。このように、ただ単純にガラスを強制的に混合できればそれで良いというばかりでなく、スターラーそのものにも過度な負荷が掛からないような対応も必要となっている。さらに、ヘリカルリボン翼については、その欠点としてスターラーの軸を中心としたドーナツ状の混合不十分な領域が溶融ガラス中に発生するといった問題も指摘されており、対策としてこのヘリカルリボン翼を有するスターラーを直列に接続するという工夫も開示されている。
【0009】
上記のように溶融ガラス用スターラーに関連する技術については、依然として発展途上であって、これまで以上に均質性の向上が求められる溶融ガラスに対して、今後もさらに改良が必要なものとなっている。本発明者らは、このような状況に鑑み、溶融ガラス用スターラーに求められる構造を追求していくことによって、極めて均質度の高い溶融ガラスを製造することが可能であって、しかも溶融ガラス中にスターラー等から発生した異物が混入せず、翼に大きな負荷を掛けることなく効率的な撹拌が可能となる溶融ガラス用スターラー、撹拌装置及び均質化方法を発明し、ここに溶融ガラスの均質化を実現する新しい技術内容を開示するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の溶融ガラス用スターラーは、回転軸に翼が取り付けられ溶融ガラス中で回転する溶融ガラス用スターラーにおいて、前記翼が回転軸に取り付けられた複数本の支柱と該支柱を介して取り付けられた1枚の羽根によって一つの翼ユニットとして構成されており、該羽根が回転軸の支柱取り付け箇所の中心位置に対して回転方向に所定の位相ずれを生じさせた表面を具備し、該表面の抵抗係数が0.70〜0.05であることを特徴とする。
【0011】
ここで、翼が回転軸に取り付けられた複数本の支柱と、該支柱を介して取り付けられた1枚の羽根によって一つの翼ユニットとして構成されているとは、回転軸の周囲に取り付ける1枚の羽根を直接回転軸に取り付けるのではなく、2本以上の支柱によって取り付けるということであって、1枚の羽根と2本以上の支柱の組み合わせによる構成体の名称を本件では、翼ユニットと呼称することを意味している。そして1本の回転軸に取り付けられる複数の翼ユニットは、必ずしも同じ形状である必要性はなく、異なる形状を有する翼ユニットが複数配設されていても支障はない。ただし、異なる形状の翼ユニットを配設することによって、回転時のスターラーの重心位置が回転軸上から外れないように注意する必要がある。
【0012】
また、ここで羽根と呼ぶ部位は、必ずしも薄板状の構造物である必要性はなく、必要に応じて柱状体や球体のような立体形状となるもの、厚みを持ち複雑な表面形状を有するもの、さらに多数の単純形状を繰り返すような構造物についても採用することが可能であって、支柱を介して回転軸に取り付けられ、溶融ガラスを混合する機能を担う部位としての総称的な意味を有する。そして、羽根を構成する材料は、500℃以上の高温に耐える耐火性と溶融ガラスに対する化学的な耐久性を有する材料であれば、特に限定されるものではない。ただし、その重量については、なるべく軽量であることが好ましいが、どうしても重量が問題となる場合には、必要に応じて中空構造とすることで対応可能である。
【0013】
また、支柱についても、羽根を堅牢に回転軸に固定し、スターラーの回転運動に十分に耐え、高い耐火性を有する材料によって構成されているならば、羽根と同様に特にどのような材料を使用しても支障はない。そしてその形状についても、スターラー全体の構造において、溶融ガラスに浸漬した状態で回転運動中に発生する最大の局所的な応力発生箇所が十分な耐久性を持ち、過負荷によって損傷することがないような形状であれば支障はない。また、支柱の回転軸に対する固定方法と羽根に対する固定方法については、溶接や鋳造さらにボルト止め等があるが、どのような固定方法を採用しても、充分な強度を維持できるならば採用することが可能である。
【0014】
さらに、該羽根が回転軸の支柱取り付け箇所の中心位置に対して回転方向に所定の位相ずれを生じさせた表面を具備するとは、1つの翼ユニットを構成する1枚の羽根と2本以上の支柱について、2本以上の支柱の回転軸上の取り付け位置の回転軸上の座標中心位置に対してスターラーの回転中心について回転する場合の回転位相のずれた表面によって構成される表面を羽根の一部に持つことを意味している。
【0015】
また、羽根の表面の抵抗係数が0.7〜0.05であることとは、上述の回転位相のずれた表面を有する羽根の表面の抵抗係数が0.7から0.05の範囲内にあることを意味している。
【0016】
ここで、表面の抵抗係数とは、羽根の表面が溶融ガラスによって受ける摩擦による抵抗の大きさを表す尺度であって、この値は流体密度、翼面積そして翼の回転速度の二乗に反比例し、羽根の形状すなわち傾斜角や羽根の表面性状等によって決まる係数である。そして、この値が大きい程溶融ガラス用スターラーの翼ユニットを構成する羽根の表面が溶融ガラスによって受ける摩擦力が大きくなり、その結果溶融ガラス用スターラーの翼ユニットを構成する羽根の表面が経時的に劣化して剥離していくことで、溶融ガラス中に放逸された羽根表面の破片が溶融ガラス中の均質度を損なう異物となる。一方この値が小さすぎると溶融ガラスを撹拌する羽根の混合能力が低下して、不均質な溶融ガラスを混合して均質化する機能が低下する結果、溶融ガラスを撹拌するスターラーそのものの性能を低下させる。
【0017】
そして、この表面の抵抗係数が0.7を越えると上述のような表面の剥離を引き起こすため、羽根の破片に起因する溶融ガラス中の異物数が増加するため、溶融ガラスの均質度が低下し好ましくない。そしてより異物の発生数を減らした状態を実現し、さらに均質度の高い溶融ガラスとするためには、0.6をその上限とする方がより好ましい。一方この表面の抵抗係数が0.05より小さくなると羽根の撹拌性能が低下して、溶融ガラス用スターラーを使用しても溶融ガラスの十分な混合が行えなくなる。よって表面の抵抗係数は少なくとも0.05以上であることが好ましく、さらに高い混合性能を確保するためには、0.1以上の表面の抵抗係数が必要である。
【0018】
また、本発明の溶融ガラス用スターラーは、上述に加え翼ユニットが2〜100個回転軸に取り付けられていることを特徴とする。
【0019】
ここで、翼ユニットが2〜100個回転軸に取り付けられているとは、前述した2本以上の支柱と羽根によって構成される翼ユニットの数が2以上で100以下とすることを意味している。
【0020】
翼ユニットの数を1としても、回転軸を頑強なものとすれば使用することは可能であるが、撹拌効果は小さく、スターラーの重心位置も回転軸上から外れることになるため、2以上の数の翼ユニットとする方が好ましい。また翼ユニットの上限数を100としたのは、翼ユニットの数を増加させればそれだけ溶融ガラス用スターラーの構造は複雑となり、メンテナンスに支障をきたす虞がある。またそれぞれの翼ユニットの構造は、溶融ガラス中で相応の機能を発揮する必要性から、それなりの容積は必要であって、翼ユニットの全体の構造等に留意したとしても、翼ユニット数が増加するほどスターラー重量が重くなり、重いスターラーを回転するために必要となるエネルギーに見合うだけの撹拌効果が得られないという問題もあるためである。
【0021】
また、この翼ユニットは、1本の回転軸に種々の接合方法によって配設することができるものであるが、1本の回転軸に配設される翼ユニットはすべて同じ構成であってもよく、一方それぞれの翼ユニットが異なる構成であっても差し支えない。すなわち、例えば4つの翼ユニットが1本の回転軸に溶接された構造である場合、対向する2つづつがそれぞれ別種の形状を有する翼ユニットであっても差し支えない。そして翼ユニットの回転軸に対しての接合方法については、溶接に限らず経時的に支障の発生するような方法でなければ、どのような方法を採用しても差し支えない。
【0022】
また、本発明の溶融ガラス用スターラーは、上述に加え前記羽根の表面の回転軸の支柱取り付け箇所の中心位置に対する回転方向の位相ずれが1°〜180°の範囲であることを特徴とする。
【0023】
ここで、羽根の表面の回転軸の支柱取り付け箇所の中心位置に対しする回転方向の位相ずれが1°〜180°の範囲であるとは、前述の回転軸に配設した翼ユニットの羽根の一部を構成する表面の位相角度のずれの大きさが、回転軸上のその翼ユニットの支柱取り付け位置の中心に対してずれ角度で表して1°から180°の範囲内であることを意味している。
【0024】
この回転方向への位相ずれ角度の大きさは、回転軸の回転によって溶融ガラスから翼ユニットの羽根に働く回転軸の円周方向に作用する溶融ガラスの流れ方向を軸の上方あるいは下方に変化させ、回転によって溶融ガラスの流れ方向を変えるものである。そしてこの角度が小さすぎると、溶融ガラスの流れがスターラーの翼ユニットの羽根の回転方向の後方からはがれてしまった様な状態となる。すなわちそれぞれの羽根の端辺部の後方域では、層流が乱れて乱流によって発生する渦が多数生じやすい形状となっており、その結果羽根の端辺部等での経時的な表面の劣化が速やかに進行する傾向が認められる。そのため、この回転位相のずれは1°以上であることが好ましく、5°以上とする方がさらに好ましい。一方、この回転位相のずれを大きくしすぎると、羽根の表側と裏側で分離された溶融ガラスの流れは、それぞれ分離されたままの状態で、合流して混合されることなく回転軸に沿ってまとまったまま運動することとなるため、充分な混合効果を得られがたくなる傾向が認められる。そしてこの上限は、180°であって、より好ましくは170°とする方がよい。
【0025】
また、本発明の溶融ガラス用スターラーは、上述に加え複数の翼ユニットが回転軸に対して360°/n(n=2、3、4、6、8、10、12)の角度で配設されていることを特徴とする。
【0026】
ここで、複数の翼ユニットが回転軸に対して360°/n(n=2、3、4、6、8、10、12、18、20)の角度で配設されているとは、前述のように1本の回転軸の周囲に配設された任意の2つの翼ユニットのそれぞれの重心位置の相対的な位置関係が360°/n(n=2、3、4、6、8、10、12、18、20)の角度をなすものであることを意味している。
【0027】
任意の2つの翼ユニットを選択した場合にその2つの翼ユニットがなす角度が360°/n(n=2、3、4、6、8、10、12、18、20)の角度からはずれていても、スターラーを作り上げることは可能である。ただし、その場合には、スターラー全体の重心位置が回転軸上からわずかであっても外れることになるため、回転運動中にスターラーの回転軸の偏心が生じやすくなる、つまり回転ぶれが生じやすくなるため、効果的な混合が行いにくい現象が発生する虞がある。また、このように重心位置が回転軸上から外れる場合には、溶融ガラス用スターラーの羽根の外端の周囲にわずかなクリアランスで溶融ガラスを保持するための均質化槽容器の内壁がある場合には、その器壁を物理的に損傷してしまうという様な危険性もあるため好ましくない。
【0028】
また、本発明の溶融ガラス用スターラーは、上述に加え溶融ガラス用スターラーが白金を含む材料によって構成されていることを特徴とする。
【0029】
ここで、溶融ガラス要スターラーが白金を含む材料によって構成されていることとは、溶融ガラス用スターラーの一部が白金(Pt)であって、それ以外にロジウムやジルコニウム、オスミウム等の高融点成分を含有し、その材料の融点が少なくとも1000℃以上である構成材料となってことを意味している。
【0030】
そして、一部が白金を含むとは、すべてが白金によって構成されていてもよく、また白金を1〜2%程度しか含まない場合であっても差し支えないことを意味している。またその構成上、スターラーについての羽根、回転軸、支柱、翼ユニットといった特定部位にのみ白金が使用されている場合も可能であって、それぞれの部位の特定箇所、すなわち翼ユニットの支柱表面のみ、羽根の片面のみ等の限定的な利用であってもよい。
【0031】
さらに、白金以外の構成材料の構成成分について、特に限定するものではないが、溶融ガラスに対する十分な化学的耐久性を持ち、高温状態での使用時に十分な強度を実現できる材料であって、融点が充分に高い成分により構成されていれば問題はない。利用できるものとしては、例えばロジウム(Rh)、金(Au)、Pd、オスミウム(Os)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)等の金属、酸化物、炭化物、窒化物等がある。すなわち、白金以外の材料としては、ロジウム等の白金族系の金属、あるいはその合金以外に、ジルコニアなどの強度補強成分を添加した白金属類の金属、アルミナ、ジルコニア等の酸化物、窒化物、炭化物あるいは複数のセラミックス成分を混合したファインセラミックス、炭素粒子あるいは炭素繊維、金属添加炭素材料、繊維強化金属(FRM)、繊維強化炭素(FRC)、また傾斜機能材料等を構成部材として複数を選択することもでき、高温部位と低温部位について異材料を使用したり、耐蝕性の必要となる部位や高強度を特に必要とする部位で異材料を必要に応じて使い分けることも可能である。
【0032】
また、本発明の溶融ガラス用スターラーの羽根の形状について、上述に加えてさらに好ましい形状を限定するならば、羽根の軸方向の一端側の一部または全部と羽根の軸方向の他端側の一部または全部とが、羽根の軸方向長さの中央における回転軸中心に対しての回転位相とずれた角度を有していることが好ましいものである。そしてこの場合の位相のずれ角度については、5°から50°の範囲内であることが、好適である。
【0033】
この場合の位相ずれ角度について、5°より小さくなれば、撹拌時の摩擦抵抗が大きくなりすぎ、一方50°を越えれば、撹拌による混合力が低くなる傾向が認められることから、50°以下である方がよく、さらに好ましくは8°以上で45°以下とするべきである。
【0034】
また、本発明の溶融ガラス撹拌装置は、上述の溶融ガラス用スターラーと、該溶融ガラス用スターラーを収納する耐熱性容器からなる均質化槽とを具備し、溶融ガラス用スターラーの羽根の外端と溶融ガラス用スターラーを収納する均質化槽の内壁とのクリアランスが、回転軸を中心としたスターラーの回転直径より小さいことを特徴とする。
【0035】
ここで、溶融ガラス用スターラーの羽根の外端と溶融ガラス用スターラーを収納する均質化槽の内壁とのクリアランスが回転軸を中心としたスターラーの直径より小さいとは、溶融ガラス用スターラーの羽根の外端と溶融ガラスと溶融ガラス用スターラーとを収納する耐火性の均質化槽容器の内壁との間隔の寸法が大きくとも溶融ガラス用スターラーの回転時の回転軸を中心とした直径の大きさ以下の寸法であることを意味している。
【0036】
当然のことではあるが、溶融ガラス用スターラーの羽根の外端と溶融ガラス用スターラーを収納する耐熱性容器の内壁とのクリアランスが、スターラー直径より大きい場合でも、溶融ガラスの撹拌は可能である。しかし、このクリアランスが大きくなればなるほど、溶融ガラス用スターラーによって混合されて均質化される溶融ガラスの量は減少することとなる。よってこの溶融ガラス用スターラーの羽根の外端と溶融ガラス撹拌スターラーを収納する耐熱性の均質化槽容器の内壁とのクリアランスは、大きくとも溶融ガラス用スターラーの直径を越えないことが好ましい。より確実にスターラーによる混合操作を行って、溶融ガラスの均質度を向上させるためには、そのクリアランスは、回転時のスターラー直径の8割以下の寸法とする方がよい。
【0037】
また、本発明の溶融ガラスの均質化の方法は、溶融ガラス用スターラーを溶融ガラス中に浸漬して回転させることによりガラス溶融炉中の無機酸化物ガラスを撹拌する溶融ガラスの均質化方法において、前記溶融ガラス用スターラーは、その翼が回転軸に取り付けられた複数本の支柱と、該支柱を介して取り付けられた1枚の羽根によって一つの翼ユニットとして構成されており、該羽根が回転軸の支柱取り付け箇所の中心位置に対して回転方向に所定の位相ずれを生じさせた表面を具備するものであり、(該表面の抵抗係数が0.70〜0.05である)該溶融ガラス用スターラーを溶融ガラス中に浸漬して回転させることを特徴とするものである。
【0038】
ここで、溶融ガラス用スターラーは、その翼が回転軸に取り付けられた複数本の支柱と、該支柱を介して取り付けられた1枚の羽根によって一つの翼ユニットとして構成され、該羽根が回転軸の支柱取り付け箇所の中心位置に対して回転方向に所定の位相ずれを生じさせた表面を具備するものであり、(該表面の抵抗係数が0.70〜0.05である)該溶融ガラス用スターラーを溶融ガラス中に浸漬して回転させるとは、上述のように支柱の取り付け位置の中心に対して位相ずれを有する羽根に2本以上の支柱を介して接続した翼ユニットを回転軸に配設した溶融ガラス用スターラーであり、このスターラーを溶融ガラス中に浸漬しつつ回転軸を中心に回転することを意味しており、それによって溶融ガラス中に存在する不均質で、しかも異質なガラスを混合撹拌して均質化をおこなうことが可能となるものである。
【0039】
そして、溶融ガラス用スターラーの溶融ガラス中への浸漬の角度や浸漬の深さは、溶融条件に応じて適宜選択して設定すれば良いが、撹拌操作によって溶融ガラス用スターラーを収納している均質化槽内の耐熱性の炉床や炉壁等のスターラー周囲の構造部材に経時的な損傷等の発生することのない様に充分な注意が必要である。
【0040】
そして溶融ガラス用スターラーの回転速度についても特に限定されるものではないが、その回転操作については、溶融ガラスの温度やガラスの生産量、さらに問題となるガラスの均質度のレベルによって随時調節することが可能であって、種々の計測結果に見合った操作条件を採用することによって、最適な均質化を実現することができる。
【0041】
また、本発明の溶融ガラスの均質化の方法は、上述に加え耐火物製容器及び/または白金含有材質容器からなる溶融槽内で溶解した溶融ガラスを脱泡し、その後に該溶融ガラスを白金含有材質製の均質化槽内に流入させ、該均質化槽内で溶融ガラス用スターラーを回転させて撹拌することを特徴とする。
【0042】
ここで、耐火物製容器及び/または白金含有材質容器からなる溶融槽内で溶解した溶融ガラスを脱泡し、その後該溶融ガラスを白金含有材質製の均質化槽内に流入させ、該均質化槽内で溶融ガラス用スターラーを回転させて撹拌するとは、無機原料を加熱して溶融し、化学反応によって発生した泡等を放出させる操作を耐火物製容器及び/または白金含有材質容器から溶融槽内で行った後、溶融ガラスを白金を含む材質の容器によって構成される均質化槽内に流入させ、その槽内において溶融ガラス用スターラーを回転させて撹拌することによって、溶融ガラスの均質化を実現することを意味している。
【0043】
ここで、耐火物製容器及び/または白金含有材質容器は、高温状態の溶融ガラスを保持するに十分な耐火性と強度を有し、溶融するガラスに均質度の低下につながる異物やノット、脈理の発生原因となるような化学的な脆弱性が認められない様な材料で構成するものであるならば支障はない。また、耐火物製容器及び/または白金含有材質容器は1つである必要性はなく、2以上の容器を経た後に均質化槽中に流れ込む場合であってもよい。また耐火物製容器及び/または白金含有材質容器の形状は、回転体を収納するものであるため側面部は円筒形であることが一般的であるが、必要に応じて回転軸に対する断面形状が楕円形や多角形であってもよく、また容器底の形状についても半球形状や逆円錐形状等を採用することも可能である。
【0044】
本発明を適用するガラスは、無機酸化物のガラス組成物であれば、差し支えない。そして特に表示デバイスを構成する無アルカリガラス、高屈折率を必要とする光学ガラス等の溶融ガラスを光学的品位で均質化する方法として好適である。
【0045】
【作用】
以上のように本発明の溶融ガラス用スターラーは、回転軸に翼が取り付けられ溶融ガラス中で回転する溶融ガラス用スターラーにおいて、前記翼が回転軸に取り付けられた複数本の支柱と該支柱を介して取り付けられた1枚の羽根によって一つの翼ユニットとして構成されており、該羽根が回転軸の支柱取り付け箇所の中心位置に対して回転方向に所定の位相ずれを生じさせた表面を具備し、該表面の抵抗係数が0.70〜0.05であるため、スターラーを高温溶融ガラス中で使用することによってスターラー表面の剥離が原因となって発生する異物の量を最小限に抑制することが可能であり、かつ溶融ガラスを効率的に混合することが可能であって、均質なガラス製品の製造を長期間行うことが可能である。
【0046】
さらに、本発明の溶融ガラス用スターラーは、翼ユニットが2〜100個回転軸に取り付けられているため、溶融ガラスの材質やガラスの適応される用途に応じて最適な構造設計をおこなうことで、高い光学性能を有する各種の用途に利用される高機能ガラスの溶融を効率的におこなうことが可能であって、多くのガラス製品の均質性を格段に向上させることが可能となる優秀な機能を有するものである。
【0047】
また、本発明の溶融ガラス用スターラーは、前記羽根の表面の位相ずれが1°〜180°の範囲であるため、回転速度が高くなくとも高い撹拌効果を溶融ガラスにもたらすことができるものであって、ガラス製品の製造をエネルギー効率の高い状態で実現可能な溶融ガラス製造設備を構築し得るものである。
【0048】
さらに、本発明の溶融ガラス用スターラーは、複数の翼ユニットが回転軸に対して360°/n(n=2、3、4、6、8、10、12、18、20)の角度で配設されているため、均質操作のための駆動時においても回転軸の偏心を起こすことなく溶融ガラスの均質化をおこなうことができ、回転軸に過度な負荷が加わるようなことがないため、溶融ガラス用スターラーの長期的な耐用年数を充分に確保することが可能なものである。
【0049】
また、本発明の溶融ガラス用スターラーは、溶融ガラス用スターラーが白金を含む材料によって構成されているため、高温状態における溶融ガラスの粘度の高いガラス材質に対しても効果的な撹拌を行うことが可能であって、製品1つ当たりの容積が大きく、しかも高度な均質性を要求されるガラス製品の製造に重用できる性能を有するものである。
【0050】
また、本発明の溶融ガラス撹拌装置は、溶融ガラス用スターラーと、該溶融ガラス用スターラーを収納する耐熱性容器からなる均質化槽とを具備し、溶融ガラス用スターラーの羽根の外端と溶融ガラス用スターラーを収納する均質化槽の内壁とのクリアランスが、回転軸を中心としたスターラーの回転直径より小さいため、溶融ガラス用スターラーを収納した均質化槽内に流入した溶融ガラスについては、スターラーの回転半径内に流入できない溶融ガラス量を最小限に抑制しつつ、均質化を行うことで、均質化操作の確実性を向上させることが可能となるものである。
【0051】
また、本発明の溶融ガラスの均質化方法は、溶融ガラス用スターラーを溶融ガラス中に浸漬して回転させることによりガラス溶融炉中の無機酸化物ガラスを撹拌する溶融ガラスの均質化方法において、前記溶融ガラス用スターラーはその翼が回転軸に取り付けられた複数本の支柱と、該支柱を介して取り付けられた1枚の羽根によって一つの翼ユニットとして構成されており、該羽根が回転軸への支柱取り付け箇所の中心位置に対して回転方向に所定の位相ずれを生じさせた表面を具備するものであり、(該表面の抵抗係数が0.70〜0.05である)該溶融ガラス用スターラーを溶融ガラス中に浸漬して回転させるものであるため、溶融ガラス中の高粘性異質ガラスをスターラーの回転によってもたらされる融液の混合・分散運動に巻き込むことによって、高速に均質化することが可能であり、それでいて高粘性異質ガラスによるスターラーそのものの損傷を極力抑制する事ができるという長所を併せ持つ方法である。
【0052】
さらに、本発明の溶融ガラスの均質化方法は、上述に加え耐火物製容器及び/または白金含有材質容器からなる溶融槽で溶解した溶融ガラスを脱泡し、その後該溶融ガラスを白金含有材質製の均質化槽内に流入させ、該均質化槽内で溶融ガラス用スターラーを回転させて撹拌するものであるため、溶融ガラス中に存在する脈理、ノット等のガラスの光学特性や強度特性に影響を及ぼす欠陥の発生数を減らし、成形時における外観不良発生率を低減する高い性能を有するものである。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の溶融ガラス用スターラーと、これを用いた溶融ガラス撹拌装置及びこのスターラー等による溶融ガラスの均質化方法について、具体的な説明を行う。
【0054】
(実施例1)
図1に本発明の溶融ガラス用スターラー10とこのスターラー10を収納する耐火性の均質化槽の容器20を示す。溶融ガラスGは清澄槽(図示省略)で溶融ガラスG中の泡を除去された後に溶融ガラス供給管23を経て均質化槽の容器20内に流入し、この均質化槽内のほぼ中央位置に配設した白金(ロジウム15%を含有する合金)製の溶融ガラス用スターラー10を回転方向Kに回転させることによって混合され、均質化される。ここで、羽根13の外端と均質化槽の容器20の内側の側壁21との間のクリアランスはスターラー10の直径の20%である。そして、この溶融ガラス用スターラー10には、2本の支柱12を介して1枚の羽根13を有する翼ユニットを回転軸11に対して180°の位置に計4つ備えており、いずれの翼ユニットも溶接によって取付・配設されている。また均質化槽容器もスターラーと同様の材質で構成されている。
【0055】
図2には、溶融ガラス用スターラーを回転軸の先端方向から見た平面図を示す。このスターラー10の回転時の回転軸を中心とした直径Dに対して、溶融ガラス用スターラーの羽根の外端と均質化槽内壁との間のクリアランスLの比率は、17%であって、回転時の回転軸を中心としたスターラー直径Dより充分小さい値である。また、このスターラー10は、翼ユニットの羽根13の一部の表面が回転軸11への支柱取り付け箇所の中心位置に対して回転方向に位相ずれを生じさせる表面13aとなるように設計されており、その際の最大の回転位相ずれ角度αは24°である。
【0056】
この溶融ガラス用スターラー10を使用した場合を想定した溶融ガラスの流れ解析をシミュレーションによって行い、スターラー回転速度20rpm、ガラス流量400kg/hr、クリアランス15cm、回転時の温度1450℃の条件下において混合を実施した場合について、最大摩擦摩擦力を算出したところ、8KPa以下となることが確認できた。またこの羽根の抵抗係数は0.33であった。
【0057】
(実施例2)
次いで、実際の溶融ガラスを使用する場合の評価として、無アルカリガラスの製造設備を利用して、無アルカリガラスの均質化について本発明の溶融ガラス用スターラーの性能評価を実施した。表1に性能評価の結果と使用したスターラーのタイプを示す。また図3にこの調査に使用したスターラーの部分斜視図と軸方向からの平面図を示す。いずれのスターラーも白金−ロジウム15%の材質で、溶接によって組み立てたものである。図3でタイプ▲1▼のスターラーの部分斜視図は(A)、軸方向平面図は(B)である。このタイプ▲1▼のスターラーの特徴はV字状に曲げた羽根を2本の支柱を介して配設したことである。そしてタイプ▲2▼のスターラーの斜視図は(C)、軸方向平面図は(D)である。タイプ▲2▼のスターラーの特徴は3本の支柱によって1枚の羽根を保持し、高強度な構造を採用していることである。そしてタイプ▲3▼のスターラーの部分斜視図は(E)、軸方向平面図は(F)である。このタイプ▲3▼では、2本の板状の支柱で1枚の羽根を保持し、その羽根は平面板を溶接して羽根の側面を閉じたような形状とした点にある。いずれのタイプについても羽根の回転軸上の支柱取り付け位置に対する位相角度αを羽根の大きさや角度などを調節することによって変更できる。そしてこの角度について、それぞれのタイプのスターラーで表1に示したような角度を採用して、抵抗係数が本発明のスターラーの条件を満足できるようにしたものである。
【0058】
【表1】
【0059】
1400℃の温度で、それぞれのスターラーを24時間設置し、溶融ガラス用スターラーを25rpmで回転させた場合について、均質化槽から流出した溶融ガラス中に剥離によって溶融ガラス中に混入してくる白金異物の数を数え、スターラーとしての性能を比較した。その結果調査No.1〜9の各条件については、いずれも剥離する白金の数が非常に少なく、実使用に耐えるものであると判断できた。
【0060】
(比較例1)
一方、実施例2と同様のスターラー形状であって、しかも抵抗係数を大きくした場合と小さくした場合について、実施例2と同様の評価を実施した。その結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
調査No.10、No.12、No.13は、抵抗係数を0.7より大きくしたものであるが、剥離によって発生した白金異物が多数認められ、ガラスを実際に生産する設備として使用することは、困難なものであった。また調査No.11、No.14、No.15については、抵抗係数を0.05より低くしたものであるが、この場合には白金異物の発生は少なくなるものの、混合が充分行えないため、異質ガラスがそのまま均質化槽から流出し、脈理品位の劣悪なガラスとなることが確認できた。
【0063】
以上の調査結果から、本発明の溶融ガラス用スターラーを使用して溶融ガラスの撹拌による均質化操作を行うと、溶融ガラスの均質化を確実に行うことができるばかりでなく、スターラー自体の回転時に発生する剥離を原因とする異物の発生も低く抑制できることが判明した。
【0064】
【発明の効果】
上述のように本発明で開示した溶融ガラス用スターラーは、スターラーを高温溶融ガラス中で使用することによってスターラー表面の剥離が原因となって発生する異物の量を最小限に抑制し、かつ溶融ガラスを効率的に混合することができるので、均質なガラス製品の製造を長期間行うことが可能であるため、大量生産の必要となるガラス製品を途切れることなく潤沢に市場へ供給することを実現するものであって、しかもそれぞれのガラス製品の用途に応じた品質向上をもたらすことができるものである。
【0065】
さらに、本発明の溶融ガラス用スターラーは、溶融ガラスの材質や適応される用途に応じて最適な構造設計を行うことで、高い光学性能を有する各種の用途に利用される高機能性ガラスの溶融を効率的に行うことができ、多くのガラス製品の均質性を向上させることが可能となる優秀な機能を有するものであるため、非球面レンズや球レンズの様に微小光学部品に使用される高い均質性を必要とするガラス製品やフィルターや半導体素子を保護するカバーガラス用途のガラスを均質化する製造装置として特に好適なものである。
【0066】
また、本発明の溶融ガラス用スターラーは、低い回転速度で高い撹拌効果を溶融ガラスにもたらすことができるので、エネルギー効率の高い溶融ガラス製造設備を構築し得るものであるため、要求に応じて多種多様な製造設備を作り上げることによって、従来均質化が容易でないため製造が困難であったような高い粘性を有するガラス材質でも迅速な均質化を実現することで、容易に製造できるものである。
【0067】
さらに、本発明の溶融ガラス用スターラーは、均質操作のための駆動時においても回転軸の偏心を起こすことなく溶融ガラスの均質化をおこなうことができ、回転軸に過負荷が加わるようなこともなく、溶融ガラス用スターラーの長期的な耐用年数を充分に確保することが可能なものであるため、安定した品質のガラス製品を長期間生産し続けることができ、ガラス製品の生産原価を低下させて、高い機能を有する高品位ガラスを安価な価格で供給することを可能とするものである。
【0068】
また、本発明の溶融ガラス用スターラーは、高温状態における溶融ガラスの粘度が高いガラス材質に対しても効果的な撹拌が可能であり、容積が大きくて、しかも高度な均質性が要求されるガラス製品の製造に重用できる性能を有するので、液晶用板ガラス、FED用板ガラス、PDP用板ガラス等を含む高機能な表示デバイス用途に利用される板ガラスや大型の光学ガラス用途、さらに放射線遮蔽用ガラス、陰極線管用のファンネルガラス、フェースガラス等の製造を行う際に利用する溶融ガラス用スターラーとして好適なものである。
【0069】
さらに、本発明の溶融ガラス用スターラーは、溶融ガラス用スターラーを収納した均質化槽内に流入した溶融ガラスについては、スターラー回転半径内に流入できない溶融ガラス量を最小限に抑制しつつ均質化を行うことで、均質化操作の確実性を向上させることが可能となるものであるため、種々の産業分野におけるガラス製品の品質向上に大きく貢献し、ガラス製品の関与する産業自体をこれまで以上にいっそう興隆させるものである。
【0070】
そして、本発明の溶融ガラスの均質化方法は、溶融ガラス中の高粘性異質ガラスをスターラーの回転によってもたらされる融液の混合・分散運動に巻き込んで、高速に均質化することが可能であり、かつ高粘性異質ガラスによるスターラーそのものの損傷を極力抑制する事もできるという2つの長所を併せ持つ方法であるため、特に化学的耐久性の高い高歪点を有する多成分で構成されるガラス材質に関しての均質性の向上に大きく寄与するものである。
【0071】
また、本発明の溶融ガラスの均質化方法は、溶融ガラス中に存在する脈理、ノット等のガラスの光学特性や強度特性に影響を及ぼす欠陥の発生数を減らし、成形時における外観不良発生率を低減する高い性能を有するものであるため、ガラス製品の良品率を向上させるばかりでなく、成形装置等のメンテナンスや耐用年数を長寿命化させることが可能であって、製造設備の保守などに必要となる経費も削減することが可能となる卓越した均質化方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶融ガラス用スターラーの部分斜視図。
【図2】本発明の溶融ガラス用スターラーの軸方向からの平面図。
【図3】本発明の他の溶融ガラス用スターラー。(A)、(C)、(E)は部分斜視図を表し、(B)、(D)、(F)はそれぞれ(A)、(C)、(E)についての軸方向の平面図。
【図4】従来のスパイラル形状の羽根を有するスターラーの説明図。
【図5】従来のパドル形状の羽根を有するスターラーの説明図。
【図6】従来のヘリカルリボン形状の羽根を有するスターラーの説明図。
【符号の説明】
10 本発明の溶融ガラスの溶融ガラス用スターラー
11 溶融ガラス用スターラーの回転軸
12 溶融ガラス用スターラーの支柱
13 溶融ガラス用スラーラーの羽根
13a 羽根の表面
20 均質化槽容器
21 容器側壁
22 容器底
23 溶融ガラス
30、40、50 従来の溶融ガラス用スターラー
31、41、51 従来の溶融ガラス用スターラーの回転軸
32、42、52 従来の溶融ガラス用スターラーの羽根
G 溶融ガラス
K 回転方向
α 最大の回転位相ずれ角度
D スターラーの回転直径
L スターラーの羽根外端と均質化槽内壁とのクリアランス[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a stirrer for molten glass in a glass manufacturing industry, a stirrer for molten glass using the stirrer, and a method for homogenizing molten glass.
[0002]
[Prior art]
In the glass manufacturing industry, by heating and melting various glass raw materials such as inorganic oxides and inorganic salts, and forming the molten glass into a desired shape, the glass has a desired property and shape, and is used for various purposes. Manufacturing glass products. 2. Description of the Related Art In the glass manufacturing industry, a method of rotating a stirrer for molten glass immersed in molten glass in order to homogenize a glass product has been conventionally employed.
[0003]
Therefore, as such a stirrer for controlling the stirring operation, numerous shapes have been proposed. In addition, for a stirrer used in a severe situation where a fluid is a stirring operation of a molten glass having a low Reynolds number and a homogeneous mixing is performed under a high temperature environment of 800 ° C. or more, the use and requirements of the glass are required. Several typical shapes of stirrers have been employed so far, depending on the characteristics and the like. In the case of organic chemical industry, anchor wings are used in some cases.However, when using molten glass, there are cases where the durability of the materials constituting the surrounding containers such as refractories etc. at high temperatures will be affected. There are few adoption cases. As described above, the shape of the stirrer used for the molten glass tends to be limited, and if classified according to the typical stirrer blade shape, spiral blades, paddle blades, propeller blades, helical ribbon blades, and the like are known. Have been.
[0004]
For example, as a stirrer for molten glass having a spiral blade, there is one having a shape as shown in FIG. The molten glass stirrer 30 is obtained by winding a wing 32 having a spiral shape around a heat-resistant rotating shaft 31 and has a large contact area between the spiral wing 32 and the molten glass. ing. Then, for example, when the rotating shaft 31 is rotated clockwise, the spiral wings 32 generate a strong upward flow in the surrounding molten glass, and forcibly mix the surrounding molten glass dough. is there. Patent Document 1 discloses a stirrer in which two spiral blades are provided to further improve the stirring ability.
[0005]
Further, as shown in FIG. 5, Patent Literature 2 describes an example in which a stirrer having paddle blades has a multi-stage blade mounting portion with respect to a rotating shaft. As shown here, the stirrer 40 having the plurality of blades 42 arranged at regular intervals in the longitudinal direction of the rotating shaft 41 is frequently used especially when the refractive index is uniformly adjusted in the production of optical glass or the like. Have been. As the paddle blade, an inclined paddle blade in which the blade itself is inclined with respect to the rotation axis and is directly disposed on the rotation axis may be employed. The twisted paddle blades are twisted to form propeller blades.
[0006]
Further, a stirrer having a helical ribbon wing as disclosed in Patent Document 3 has a shape as shown in FIG. This stirrer uses a ribbon-like blade connected by a plurality of columns to perform agitation. FIG. 6 shows a double helical ribbon blade stirrer having two blades.
[0007]
[Patent Document 1]
JP-A-2003-034539 (page 2-7, FIG. 2)
[Patent Document 2]
JP-A-2002-253942 (pages 2-4, FIG. 1-2)
[Patent Document 3]
JP-A-11-27672 (pages 2-6, FIG. 14)
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
Thus, various stirring devices for homogenizing the molten glass have been used. However, with respect to the spiral blade described above, problems such as insufficiently mixed molten glass stagnating near the tip of the stirrer have been pointed out. For this reason, the tip shape of the stirrer has been further improved. In addition, paddle blades have a large mixing effect, but the stirrer blade tip is severely degraded with this, and when stirring molten glass with high viscosity, foreign matter generated by peeling of the stirrer blade tip is prevented. Other problems may arise. As described above, it is not only necessary to simply forcibly mix the glass, but also it is necessary to take measures to prevent an excessive load from being applied to the stirrer itself. Furthermore, with respect to the helical ribbon blade, it has been pointed out that, as a drawback, a donut-shaped region of insufficient mixing around the axis of the stirrer occurs in the molten glass. Are disclosed in series.
[0009]
As described above, the technology related to the stirrer for molten glass is still in the process of development, and further improvement is required in the future for molten glass that requires even higher homogeneity. I have. In view of such circumstances, the present inventors have been able to produce molten glass having a very high degree of homogeneity by pursuing the structure required for a stirrer for molten glass. Invented a stirrer for molten glass, a stirrer, and a homogenization method that enable efficient agitation without applying a large load to the blades without foreign matter generated from a stirrer, etc. It discloses a new technical content for realizing.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
That is, the molten glass stirrer of the present invention is a molten glass stirrer in which the wings are attached to a rotating shaft and rotates in the molten glass, wherein the wings are attached via a plurality of struts attached to the rotating shaft and the struts. A single wing unit constituted by one of the provided blades, the blade having a surface having a predetermined phase shift in a rotational direction with respect to a center position of a column mounting portion of a rotating shaft; Has a resistance coefficient of 0.70 to 0.05.
[0011]
Here, one blade attached around the rotation axis means that the wing is configured as one wing unit by a plurality of columns attached to the rotation axis and one blade attached via the column. Is not attached directly to the rotating shaft, but is attached by two or more columns. In the present case, the name of a structure composed of a combination of one blade and two or more columns is referred to as a wing unit. It means to do. The plurality of wing units attached to one rotation shaft need not necessarily have the same shape, and there is no problem even if a plurality of wing units having different shapes are provided. However, care must be taken so that the position of the center of gravity of the stirrer during rotation does not deviate from the rotation axis by disposing the wing units of different shapes.
[0012]
In addition, the portion referred to as a blade here does not necessarily need to be a thin plate-shaped structure, and may have a three-dimensional shape such as a columnar body or a sphere as necessary, or may have a thick and complicated surface shape. It is possible to adopt a structure that repeats a large number of simple shapes, and has a generic meaning as a part that is attached to a rotating shaft via a support and has a function of mixing molten glass. . The material constituting the blade is not particularly limited as long as it is a material having fire resistance to withstand high temperatures of 500 ° C. or more and chemical durability against molten glass. However, it is preferable that the weight is as light as possible. However, if the weight is a problem, a hollow structure can be used if necessary.
[0013]
Also, as for the strut, any material can be used in the same manner as the blade, provided that the blade is firmly fixed to the rotating shaft, is sufficiently resistant to the rotational movement of the stirrer, and is made of a material having high fire resistance. There is no hindrance. And, as for its shape, in the structure of the whole stirrer, the maximum local stress generating point that occurs during rotational movement while immersed in molten glass has sufficient durability, so that it is not damaged by overload There is no problem if the shape is appropriate. In addition, there are welding, casting, bolting, etc. for the method of fixing the support to the rotating shaft and the blade. However, no matter what kind of fixing method is used, it should be used if sufficient strength can be maintained. Is possible.
[0014]
Further, that the blade has a surface that causes a predetermined phase shift in the rotation direction with respect to the center position of the column mounting portion of the rotation shaft means that one blade constituting one wing unit and two or more blades With respect to the strut, a surface constituted by a surface having a rotation phase shifted when the stirrer is rotated about the rotation center with respect to the coordinate center position on the rotation axis of the attachment position on the rotation axis of the two or more struts is defined as one of the blades. Means to have in the department.
[0015]
Further, the resistance coefficient of the surface of the blade being 0.7 to 0.05 means that the resistance coefficient of the surface of the blade having the surface whose rotational phase is shifted is within the range of 0.7 to 0.05. It means there is.
[0016]
Here, the surface resistance coefficient is a measure of the magnitude of the frictional resistance of the blade surface due to the molten glass, and this value is inversely proportional to the square of the fluid density, blade area, and blade rotation speed, This coefficient is determined by the shape of the blade, that is, the inclination angle, the surface properties of the blade, and the like. And, as this value is larger, the frictional force received by the molten glass on the surface of the blade constituting the blade unit of the molten glass stirrer is increased, and as a result, the surface of the blade constituting the blade unit of the molten glass stirrer is over time. By deteriorating and peeling off, fragments of the blade surface released into the molten glass become foreign matters that impair the homogeneity in the molten glass. On the other hand, if this value is too small, the mixing ability of the blade for stirring the molten glass is reduced, and the function of mixing and homogenizing the inhomogeneous molten glass is reduced.As a result, the performance of the stirrer itself for stirring the molten glass is reduced. Let it.
[0017]
When the resistance coefficient of this surface exceeds 0.7, the above-described surface separation is caused, and the number of foreign substances in the molten glass due to blade fragments increases, so that the homogeneity of the molten glass decreases. Not preferred. In order to realize a state in which the number of foreign matters is further reduced and to obtain a molten glass having a higher degree of homogeneity, it is more preferable to set the upper limit to 0.6. On the other hand, if the resistance coefficient of the surface is smaller than 0.05, the stirring performance of the blades is reduced, so that even if a stirrer for molten glass is used, sufficient mixing of the molten glass cannot be performed. Therefore, the surface resistance coefficient is preferably at least 0.05 or more, and a surface resistance coefficient of 0.1 or more is required in order to ensure higher mixing performance.
[0018]
Moreover, the stirrer for molten glass of the present invention is characterized in that in addition to the above, 2 to 100 blade units are attached to the rotation shaft.
[0019]
Here, that 2 to 100 wing units are attached to the rotating shaft means that the number of wing units formed by the above-mentioned two or more columns and blades is 2 or more and 100 or less. I have.
[0020]
Even if the number of wing units is 1, it can be used if the rotation axis is robust, but the stirring effect is small and the position of the center of gravity of the stirrer will be off the rotation axis. It is preferred to have a number of wing units. The reason why the upper limit of the number of wing units is set to 100 is that if the number of wing units is increased, the structure of the stirrer for molten glass becomes more complicated, which may hinder maintenance. In addition, the structure of each wing unit needs to have a certain volume because it needs to exhibit a corresponding function in the molten glass, and the number of wing units increases even if attention is paid to the overall structure of the wing unit. As a result, the stirrer weight becomes heavier, and there is a problem that the stirring effect cannot be obtained in proportion to the energy required for rotating the heavy stirrer.
[0021]
Further, this wing unit can be arranged on one rotating shaft by various joining methods, but all the wing units arranged on one rotating shaft may have the same configuration. On the other hand, each wing unit may have a different configuration. That is, for example, in the case of a structure in which four wing units are welded to one rotation shaft, two opposing two wing units may have different shapes. The method of joining the wing unit to the rotating shaft is not limited to welding, and any method may be used as long as trouble does not occur over time.
[0022]
In addition, the stirrer for molten glass of the present invention is characterized in that, in addition to the above, the phase shift in the rotation direction with respect to the center position of the support shaft mounting point on the surface of the blade in the range of 1 ° to 180 °.
[0023]
Here, that the phase shift in the rotation direction with respect to the center position of the column mounting portion of the rotating shaft on the surface of the blade is in the range of 1 ° to 180 ° means that the blade of the blade of the wing unit disposed on the rotating shaft described above. It means that the magnitude of the phase angle deviation of the surface constituting a part is in the range of 1 ° to 180 ° in terms of the deviation angle with respect to the center of the column mounting position of the wing unit on the rotation axis. are doing.
[0024]
The magnitude of the phase shift angle in the rotation direction changes the flow direction of the molten glass acting in the circumferential direction of the rotation axis acting on the blades of the blade unit from the molten glass by rotation of the rotation axis to above or below the axis. The direction of flow of the molten glass is changed by rotation. If the angle is too small, the flow of the molten glass will be separated from the rear in the rotation direction of the blades of the blade unit of the stirrer. In other words, the laminar flow is turbulent and many vortices generated by the turbulent flow are likely to be generated in the area behind the edge of each blade, and as a result, the surface deterioration over time at the edge of the blade etc. Tend to progress rapidly. Therefore, the deviation of the rotation phase is preferably 1 ° or more, more preferably 5 ° or more. On the other hand, if this rotational phase shift is too large, the flows of the molten glass separated on the front side and the back side of the blade are separated along the rotation axis without being mixed and mixed. Since the exercise is performed in a united manner, it is difficult to obtain a sufficient mixing effect. The upper limit is 180 °, more preferably 170 °.
[0025]
In addition, in the stirrer for molten glass of the present invention, in addition to the above, a plurality of blade units are disposed at an angle of 360 ° / n (n = 2, 3, 4, 6, 8, 10, 12) with respect to the rotation axis. It is characterized by having been done.
[0026]
Here, the plurality of blade units are arranged at an angle of 360 ° / n (n = 2, 3, 4, 6, 8, 10, 12, 18, 20) with respect to the rotation axis, as described above. The relative positional relationship between the positions of the centers of gravity of any two wing units disposed around one rotation axis is 360 ° / n (n = 2, 3, 4, 6, 8, 10, 12, 18, 20).
[0027]
When any two wing units are selected, the angle formed by the two wing units deviates from the angle of 360 ° / n (n = 2, 3, 4, 6, 8, 10, 12, 18, 20). But it is possible to build a stirrer. However, in this case, even if the position of the center of gravity of the entire stirrer slightly deviates from the rotation axis, the eccentricity of the rotation axis of the stirrer is likely to occur during the rotation movement, that is, the rotational deviation is likely to occur. Therefore, there is a possibility that a phenomenon that effective mixing is difficult to be performed may occur. Also, when the position of the center of gravity deviates from the rotation axis in this way, when there is an inner wall of a homogenization tank container for holding the molten glass with a slight clearance around the outer end of the blade of the molten glass stirrer. Is not preferred because of the danger of physically damaging the vessel wall.
[0028]
The molten glass stirrer of the present invention is characterized in that, in addition to the above, the molten glass stirrer is made of a material containing platinum.
[0029]
Here, the fact that the molten glass required stirrer is made of a material containing platinum means that a part of the stirrer for molten glass is platinum (Pt), and in addition, high melting point components such as rhodium, zirconium, and osmium. And that the material has a melting point of at least 1000 ° C. or higher.
[0030]
The phrase "partially containing platinum" means that all may be composed of platinum, or that only about 1 to 2% of platinum may be contained. In addition, due to its configuration, it is also possible that platinum is used only in specific parts such as the blades, rotating shafts, columns, and wing units of the stirrer.Specific locations in each part, that is, only the surface of the wing unit columns, Limited use, such as only one side of the blade, may be used.
[0031]
Further, the constituent components of the constituent materials other than platinum are not particularly limited, but are materials having sufficient chemical durability to molten glass and capable of realizing sufficient strength when used in a high temperature state, and Is not a problem as long as it is composed of a sufficiently high component. Examples of usable materials include rhodium (Rh), gold (Au), Pd, osmium (Os), zirconium (Zr), iridium (Ir), silicon (Si), aluminum (Al), molybdenum (Mo), and nickel. There are metals such as (Ni), cobalt (Co), titanium (Ti), chromium (Cr), and iron (Fe), oxides, carbides, nitrides, and the like. That is, as a material other than platinum, in addition to a platinum group metal such as rhodium or an alloy thereof, a metal of a white metal to which a strength reinforcing component such as zirconia is added, an oxide such as alumina or zirconia, a nitride, Fine ceramics mixed with carbide or multiple ceramic components, carbon particles or carbon fiber, metal-added carbon material, fiber reinforced metal (FRM), fiber reinforced carbon (FRC), functionally graded material, etc. It is also possible to use different materials for the high-temperature portion and the low-temperature portion, and to use different materials as needed in portions requiring corrosion resistance or particularly requiring high strength.
[0032]
Further, regarding the shape of the blade of the molten glass stirrer of the present invention, if a more preferable shape is limited in addition to the above, a part or all of one end in the axial direction of the blade and the other end in the axial direction of the blade are provided. It is preferable that some or all of the blades have an angle deviated from the rotation phase at the center of the axial length of the blade with respect to the rotation axis center. The phase shift angle in this case is preferably in the range of 5 ° to 50 °.
[0033]
If the phase shift angle in this case is smaller than 5 °, the frictional resistance during stirring becomes too large, while if it exceeds 50 °, the mixing force due to stirring tends to be low. It is better, and more preferably, it should be not less than 8 ° and not more than 45 °.
[0034]
Further, the molten glass stirring device of the present invention includes the above-described stirrer for molten glass, and a homogenization tank including a heat-resistant container that stores the stirrer for molten glass, and the outer ends of the blades of the stirrer for molten glass. The clearance with the inner wall of the homogenization tank that houses the molten glass stirrer is smaller than the rotation diameter of the stirrer about the rotation axis.
[0035]
Here, that the clearance between the outer end of the blade of the molten glass stirrer and the inner wall of the homogenization tank that houses the molten glass stirrer is smaller than the diameter of the stirrer centered on the rotation axis is defined as the blade of the molten glass stirrer blade. Even if the distance between the outer end and the inner wall of the refractory homogenization tank container that accommodates the molten glass and the molten glass stirrer is large, the diameter is less than the diameter around the rotation axis when the molten glass stirrer rotates. Means the dimensions.
[0036]
Naturally, the molten glass can be stirred even if the clearance between the outer end of the blade of the molten glass stirrer and the inner wall of the heat-resistant container that houses the molten glass stirrer is larger than the diameter of the stirrer. However, the greater the clearance, the less the amount of molten glass mixed and homogenized by the molten glass stirrer. Therefore, it is preferable that the clearance between the outer end of the blade of the molten glass stirrer and the inner wall of the heat-resistant homogenization vessel housing the molten glass stirring stirrer does not exceed the diameter of the molten glass stirrer at most. In order to more surely perform the mixing operation with the stirrer and improve the homogeneity of the molten glass, it is preferable that the clearance is set to a size of 80% or less of the diameter of the stirrer at the time of rotation.
[0037]
Further, the method of homogenizing molten glass of the present invention is a method of homogenizing molten glass in which a stirrer for molten glass is immersed in molten glass and rotated to stir the inorganic oxide glass in the glass melting furnace. The molten glass stirrer is configured as a single wing unit by a plurality of columns, the blades of which are mounted on a rotation shaft, and one blade mounted via the column, and the blades are mounted on the rotation shaft. A surface having a predetermined phase shift in the rotational direction with respect to the center position of the support mounting portion of the molten glass (the resistance coefficient of the surface is 0.70 to 0.05). The stirrer is characterized by being immersed in molten glass and rotated.
[0038]
Here, the molten glass stirrer is configured as a single wing unit by a plurality of struts whose wings are attached to a rotating shaft and one blade attached via the strut, and the blades are A surface having a predetermined phase shift in the rotational direction with respect to the center position of the support mounting portion of the molten glass (the resistance coefficient of the surface is 0.70 to 0.05). To rotate the stirrer by immersing it in the molten glass means to dispose the wing unit connected to the blade having a phase shift with respect to the center of the mounting position of the column via two or more columns as described above. It is a stirrer for molten glass that is installed, meaning that this stirrer is rotated around a rotation axis while being immersed in the molten glass, and thereby, it is heterogeneous and present in the molten glass, and In which it is possible to perform homogenization by mixing and stirring the quality glass.
[0039]
The angle and depth of immersion of the molten glass stirrer into the molten glass may be appropriately selected and set according to the melting conditions. Sufficient attention must be paid to prevent the structural members around the stirrer such as the heat-resistant hearth and furnace walls in the gasification tank from being damaged over time.
[0040]
The rotation speed of the molten glass stirrer is not particularly limited, but the rotation operation is adjusted as needed according to the temperature of the molten glass, the production amount of the glass, and the level of homogeneity of the glass which is a problem. It is possible to realize the optimal homogenization by adopting the operation conditions suitable for various measurement results.
[0041]
Further, in addition to the above, the method of homogenizing molten glass according to the present invention includes defoaming the molten glass melted in a melting tank comprising a refractory container and / or a platinum-containing material container, and then removing the molten glass with platinum. It is characterized by flowing into a homogenization tank made of the contained material, and rotating and stirring the molten glass stirrer in the homogenization tank.
[0042]
Here, the melted glass melted in a melting tank composed of a refractory container and / or a platinum-containing material container is defoamed, and then the molten glass is flowed into a platinum-containing material homogenization tank, and the homogenization is performed. To rotate and stir the molten glass stirrer in the tank means to heat and melt the inorganic raw material and release the bubbles and the like generated by the chemical reaction from the refractory container and / or the platinum-containing material container to the melting tank. After that, the molten glass is flowed into a homogenization tank composed of a container made of a material containing platinum, and the molten glass is homogenized by rotating and stirring the molten glass stirrer in the tank. It means realizing.
[0043]
Here, the refractory container and / or the platinum-containing material container have sufficient fire resistance and strength to hold the molten glass in a high temperature state. There is no problem as long as the material is made of a material that does not exhibit chemical vulnerability that causes the occurrence of a problem. Further, it is not necessary that the number of the refractory container and / or the platinum-containing material container be one, and the refractory container and / or the platinum-containing material container may flow into the homogenization tank after passing through two or more containers. In addition, the shape of the refractory container and / or the platinum-containing material container generally accommodates the rotating body, so that the side portion is generally cylindrical. The shape may be elliptical or polygonal, and the shape of the container bottom may be hemispherical or inverted conical.
[0044]
The glass to which the present invention is applied may be any glass composition of an inorganic oxide. In particular, it is suitable as a method for homogenizing molten glass such as an alkali-free glass or an optical glass requiring a high refractive index to constitute a display device with an optical quality.
[0045]
[Action]
As described above, the stirrer for molten glass of the present invention is a stirrer for molten glass in which a blade is attached to a rotating shaft and rotates in molten glass. The blade is configured as one wing unit by one blade attached thereto, and the blade has a surface that causes a predetermined phase shift in the rotational direction with respect to the center position of the column mounting portion of the rotating shaft, Since the surface has a coefficient of resistance of 0.70 to 0.05, it is possible to minimize the amount of foreign matter generated due to the separation of the stirrer surface by using the stirrer in the high-temperature molten glass. It is possible, and it is possible to mix molten glass efficiently, and it is possible to produce a homogeneous glass product for a long period of time.
[0046]
Furthermore, since the molten glass stirrer of the present invention has 2 to 100 blade units attached to the rotation shaft, by performing an optimal structural design according to the material of the molten glass and the application to which the glass is applied, An excellent function that can efficiently melt high-performance glass used for various applications with high optical performance and significantly improve the homogeneity of many glass products Have
[0047]
Further, the stirrer for molten glass of the present invention can provide a high stirring effect to the molten glass even if the rotation speed is not high because the phase shift of the surface of the blade is in the range of 1 ° to 180 °. Thus, it is possible to construct a molten glass production facility capable of realizing production of glass products with high energy efficiency.
[0048]
Furthermore, in the molten glass stirrer of the present invention, the plurality of blade units are arranged at an angle of 360 ° / n (n = 2, 3, 4, 6, 8, 10, 12, 18, 20) with respect to the rotation axis. Because it is installed, the molten glass can be homogenized without causing eccentricity of the rotating shaft even during driving for homogenous operation, and there is no excessive load on the rotating shaft. It is possible to sufficiently secure the long-term useful life of the glass stirrer.
[0049]
Further, in the molten glass stirrer of the present invention, since the molten glass stirrer is made of a material containing platinum, effective stirring can be performed even on a glass material having a high viscosity in a molten glass at a high temperature. It is possible to have a large volume per product and a performance that can be applied to the production of glass products requiring a high degree of homogeneity.
[0050]
Further, the molten glass stirring apparatus of the present invention includes a molten glass stirrer, and a homogenization tank including a heat-resistant container that houses the molten glass stirrer. The clearance between the inner wall of the homogenizer and the inner wall of the homogenizer is smaller than the rotation diameter of the stirrer about the rotation axis. By performing homogenization while minimizing the amount of molten glass that cannot flow into the rotation radius, the reliability of the homogenization operation can be improved.
[0051]
Further, the molten glass homogenizing method of the present invention is a molten glass homogenizing method in which a stirrer for molten glass is immersed in molten glass and rotated to stir the inorganic oxide glass in a glass melting furnace. The molten glass stirrer is configured as a single wing unit by a plurality of struts whose wings are attached to a rotating shaft and one blade attached via the strut, and the wings are connected to the rotating shaft. A stirrer for molten glass having a surface having a predetermined phase shift in the rotational direction with respect to the center position of the support mounting point (the resistance coefficient of the surface is 0.70 to 0.05); Is immersed in the molten glass and rotated, so that the highly viscous foreign glass in the molten glass is wound around the mixing and dispersion motion of the melt caused by the rotation of the stirrer. By Mukoto, it is possible to homogenize at high speed, yet is a method that combines the advantages of the damage to the stirrer itself by high viscosity foreign glass can be minimized.
[0052]
Furthermore, in addition to the above, the molten glass homogenizing method of the present invention defoams the molten glass melted in a melting tank composed of a refractory container and / or a platinum-containing material container, and then removes the molten glass from a platinum-containing material. In this case, the stirrer for molten glass is rotated and stirred in the homogenization tank, so that the striae present in the molten glass, the optical properties and strength characteristics of the glass such as knots, etc. It has high performance to reduce the number of occurrences of influencing defects and reduce the appearance defect occurrence rate during molding.
[0053]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the molten glass stirrer of the present invention, a molten glass stirring device using the same, and a method of homogenizing the molten glass using the stirrer and the like will be specifically described.
[0054]
(Example 1)
FIG. 1 shows a stirrer 10 for molten glass of the present invention and a container 20 of a fire-resistant homogenizing tank for accommodating the stirrer 10. After the bubbles in the molten glass G are removed in a fining tank (not shown), the molten glass G flows into the container 20 of the homogenization tank via the molten glass supply pipe 23, and is located at a substantially central position in the homogenization tank. The molten glass stirrer 10 made of platinum (alloy containing 15% rhodium) is mixed and homogenized by rotating in a rotational direction K. Here, the clearance between the outer end of the blade 13 and the side wall 21 inside the container 20 of the homogenization tank is 20% of the diameter of the stirrer 10. The molten glass stirrer 10 includes a total of four wing units each having one blade 13 at two positions 180 ° with respect to the rotation axis 11 via two columns 12. The units are also mounted and arranged by welding. Further, the homogenizing tank vessel is made of the same material as the stirrer.
[0055]
FIG. 2 is a plan view of the molten glass stirrer viewed from the tip of the rotation shaft. The ratio of the clearance L between the outer end of the blade of the molten glass stirrer and the inner wall of the homogenization tank is 17% with respect to the diameter D about the rotation axis when the stirrer 10 rotates. The value is sufficiently smaller than the diameter D of the stirrer about the rotation axis at the time. Further, the stirrer 10 is designed such that a part of the surface of the blade 13 of the wing unit becomes a surface 13a which causes a phase shift in the rotation direction with respect to the center position of the support mounting point on the rotating shaft 11. In this case, the maximum rotational phase shift angle α is 24 °.
[0056]
The flow analysis of the molten glass assuming the use of the molten glass stirrer 10 is performed by simulation, and mixing is performed under the conditions of a stirrer rotation speed of 20 rpm, a glass flow rate of 400 kg / hr, a clearance of 15 cm, and a temperature of 1450 ° C. during rotation. When the maximum frictional frictional force was calculated in this case, it was confirmed that the maximum frictional force was 8 KPa or less. The resistance coefficient of this blade was 0.33.
[0057]
(Example 2)
Next, as an evaluation in the case of using the actual molten glass, the performance evaluation of the stirrer for molten glass of the present invention was carried out for homogenization of the alkali-free glass using an alkali-free glass manufacturing facility. Table 1 shows the results of the performance evaluation and the type of stirrer used. FIG. 3 shows a partial perspective view of the stirrer used in this investigation and a plan view from the axial direction. Each stirrer is made of a material of 15% platinum-rhodium and assembled by welding. In FIG. 3, a partial perspective view of the type (1) stirrer is (A), and an axial plan view is (B). The feature of this type (1) stirrer is that the blade bent in a V-shape is arranged via two columns. The perspective view of the type (2) stirrer is (C) and the plan view in the axial direction is (D). The feature of the type (2) stirrer is that a single blade is held by three columns and a high-strength structure is adopted. A partial perspective view of the type (3) stirrer is (E), and an axial plan view is (F). This type (3) is characterized in that one blade is held by two plate-like columns, and the blade is formed by welding a flat plate and closing the side surface of the blade. In any case, the phase angle α of the blade with respect to the column mounting position on the rotation axis can be changed by adjusting the size and angle of the blade. With respect to this angle, an angle as shown in Table 1 is adopted for each type of stirrer, so that the resistance coefficient can satisfy the condition of the stirrer of the present invention.
[0058]
[Table 1]
[0059]
In the case where each stirrer was installed at a temperature of 1400 ° C. for 24 hours and the stirrer for molten glass was rotated at 25 rpm, platinum foreign matter mixed into the molten glass by peeling into the molten glass flowing out of the homogenization tank. Were counted and the performance as a stirrer was compared. As a result, the survey No. Regarding each of the conditions 1 to 9, the number of peeled platinum was very small, and it was determined that the platinum could be used practically.
[0060]
(Comparative Example 1)
On the other hand, when the stirrer shape was the same as in Example 2, and the resistance coefficient was increased and decreased, the same evaluation as in Example 2 was performed. Table 2 shows the results.
[0061]
[Table 2]
[0062]
Survey No. 10, no. 12, No. In No. 13, the resistance coefficient was larger than 0.7, however, many platinum foreign matters generated by peeling were observed, and it was difficult to use the glass as equipment for actually producing glass. Investigation No. 11, No. 14, No. In the case of No. 15, the resistance coefficient was lower than 0.05. In this case, although the generation of platinum foreign matter was reduced, mixing was not sufficiently performed. It was confirmed that the glass was of poor quality.
[0063]
From the above investigation results, when performing the homogenization operation by stirring the molten glass using the molten glass stirrer of the present invention, not only can the homogenization of the molten glass be reliably performed, but also during rotation of the stirrer itself. It has been found that the generation of foreign matter due to the peeling can be suppressed to a low level.
[0064]
【The invention's effect】
As described above, the molten glass stirrer disclosed in the present invention minimizes the amount of foreign matter generated due to the separation of the stirrer surface by using the stirrer in the high-temperature molten glass, and the molten glass Can be efficiently mixed, and it is possible to manufacture homogeneous glass products for a long period of time, so that glass products that require mass production can be supplied to the market without interruption. It is possible to improve the quality according to the use of each glass product.
[0065]
Furthermore, the stirrer for molten glass of the present invention is capable of melting a high-performance glass used for various applications having high optical performance by performing an optimal structural design according to the material of the molten glass and the application to which the molten glass is applied. Can be performed efficiently, and it has excellent functions that can improve the homogeneity of many glass products. Therefore, it is used for micro optical components such as aspherical lenses and spherical lenses. It is particularly suitable as a manufacturing apparatus for homogenizing glass for use as a cover glass for protecting glass products, filters and semiconductor elements that require high homogeneity.
[0066]
In addition, the stirrer for molten glass of the present invention can provide a high stirring effect to the molten glass at a low rotation speed, so that it is possible to construct a molten glass production facility with high energy efficiency. By making a variety of manufacturing equipment, even a glass material having high viscosity, which has been difficult to manufacture because it has not been easy to homogenize, can be easily manufactured by realizing rapid homogenization.
[0067]
Furthermore, the stirrer for molten glass of the present invention can homogenize molten glass without causing eccentricity of the rotating shaft even during driving for homogenous operation, and can prevent overload from being applied to the rotating shaft. In addition, it is possible to ensure the long-term service life of the stirrer for molten glass, so that stable quality glass products can be continuously produced for a long period of time, reducing the production cost of glass products. Thus, it is possible to supply high-quality glass having high functions at a low price.
[0068]
Further, the stirrer for molten glass of the present invention is capable of effectively stirring even a glass material having a high viscosity of molten glass in a high temperature state, a glass having a large volume and a high degree of homogeneity is required. Since it has performance that can be used for product manufacturing, it can be used for high-performance display devices, including flat glass for liquid crystal, flat glass for FED, and flat glass for PDP, large optical glass, radiation shielding glass, and cathode ray. It is suitable as a stirrer for molten glass used when producing funnel glass and face glass for tubes.
[0069]
Furthermore, the molten glass stirrer of the present invention is capable of homogenizing molten glass that has flowed into the homogenization tank containing the molten glass stirrer while minimizing the amount of molten glass that cannot flow within the rotation radius of the stirrer. By doing so, it is possible to improve the certainty of the homogenization operation, so it greatly contributes to the improvement of the quality of glass products in various industrial fields, and the industry that involves glass products is more than ever It will make it even more prosperous.
[0070]
And the molten glass homogenization method of the present invention is capable of involving the high-viscosity foreign glass in the molten glass in the mixing / dispersion motion of the melt brought about by the rotation of the stirrer, and homogenizing it at high speed. In addition, it is a method that combines the two advantages of being able to minimize damage to the stirrer itself due to high-viscosity foreign glass, so it is particularly useful for glass materials composed of multiple components with high chemical durability and high strain points. This greatly contributes to the improvement of homogeneity.
[0071]
Further, the method for homogenizing molten glass of the present invention reduces the number of defects that affect the optical properties and strength properties of glass, such as striae, knots, and the like present in the molten glass, and reduces the appearance defect rate during molding. It has high performance to reduce the quality of glass products, not only to improve the yield rate of glass products, but also to extend the life of the maintenance and useful life of molding equipment, etc. It is an excellent homogenization method that can reduce the required costs.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a partial perspective view of a stirrer for molten glass of the present invention.
FIG. 2 is a plan view of the stirrer for molten glass of the present invention as viewed from the axial direction.
FIG. 3 shows another stirrer for molten glass of the present invention. (A), (C), and (E) are partial perspective views, and (B), (D), and (F) are axial plan views of (A), (C), and (E), respectively.
FIG. 4 is an explanatory view of a conventional stirrer having spiral blades.
FIG. 5 is an explanatory view of a conventional stirrer having paddle-shaped blades.
FIG. 6 is an explanatory diagram of a conventional stirrer having helical ribbon-shaped blades.
[Explanation of symbols]
10. Stirrer for molten glass of molten glass of the present invention
11 Rotary axis of stirrer for molten glass
12 Stirrer column for molten glass
13 Slurler blades for molten glass
13a Blade surface
20 Homogenization tank container
21 Container side wall
22 Container bottom
23 molten glass
30, 40, 50 Conventional stirrer for molten glass
31, 41, 51 Rotary shaft of conventional molten glass stirrer
32, 42, 52 Conventional stirrer blades for molten glass
G molten glass
K rotation direction
α Maximum rotational phase shift angle
D Rotating diameter of stirrer
L Clearance between outer edge of stirrer blade and inner wall of homogenization tank