JP2004352832A - 粒度分布の狭いポリマービーズ - Google Patents
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Abstract
【課題】分散重合にて粒度分布の狭いポリマービーズを提供する。
【解決手段】分子内に親水性骨格(a)と疎水性骨格(b)と反応性官能基(c)を有するマクロモノマー(A)と、ビニル系モノマー(B)を必須単位とする分散重合により得られるポリマービーズ(I)であって、該マクロモノマー(A)の重量平均分子量Mwが2,000〜100,000、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.00〜1.10であり、該ポリマービーズ(I)の体積平均粒子径Dが1〜20μm、かつ下記式(1)で定義される粒子径の変動係数(CV)が1〜7%であることを特徴とするポリマービーズ。
変動係数(CV)=粒子の粒子径の標準偏差/粒子の粒子径(1)
【選択図】なし
【解決手段】分子内に親水性骨格(a)と疎水性骨格(b)と反応性官能基(c)を有するマクロモノマー(A)と、ビニル系モノマー(B)を必須単位とする分散重合により得られるポリマービーズ(I)であって、該マクロモノマー(A)の重量平均分子量Mwが2,000〜100,000、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.00〜1.10であり、該ポリマービーズ(I)の体積平均粒子径Dが1〜20μm、かつ下記式(1)で定義される粒子径の変動係数(CV)が1〜7%であることを特徴とするポリマービーズ。
変動係数(CV)=粒子の粒子径の標準偏差/粒子の粒子径(1)
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒度分布が狭いことを特徴とする、1〜20ミクロンのポリマービーズに関するものである。さらに詳しくは、特定の化学構造、分子量および分子量分布を有するビニル系マクロモノマーをビニル系モノマーを分散共重合させることによって得られるポリマービーズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1〜20ミクロン前後でしかも粒径分布が狭いポリマービーズは、塗料用充填剤、電子写真用トナー、カラム用充填剤および液晶ディスプレイ用スペーサー等に有用であり、産業的に広く利用されている。このようなミクロンオーダーのポリマービーズの製造法として、分散重合等が知られており、特に得られるポリマービーズの粒子の粒度分布を狭めるために、マクロモノマーを用いる方法が有用であることは公知である(例えば特許文献)。
【0003】
【特許文献】
特開平5−306315号公報
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】
しかしながら、これらのマクロモノマーを使用しても、ポリマービーズの粒子径の範囲は制御できても、粒子の粒度分布をうまく狭く制御することは非常に困難であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、重量平均分子量Mwが2,000〜100,000、かつ分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.00〜1.10であって、さらに分子内に親水性骨格(a)を有するマクロモノマー(A)と、共重合性のビニル系モノマー(B)を分散重合させることにより、得られるポリマービーズの体積平均粒子径Dが1〜20μmであり、かつ下記式(1)で定義される粒子の変動係数が1〜7%という狭い粒度分布を有することを要旨とする。
変動係数=粒子の体積平均粒子径の標準偏差σ/体積平均粒子径D (1)
【0006】
本発明におけるマクロモノマー(A)は、親水性骨格(a)と疎水性骨格(b)と反応性官能基(c)からなっており、重量平均分子量Mwが2,000〜100,000、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.00〜1.10である必要がある。
【0007】
このマクロモノマー(A)中の親水性骨格(a)としては、ノニオン性基、アニオン性基、カチオン性基が挙げられる。
本発明のマクロモノマー(A)におけるノニオン性基としては、水酸基、イミノ基、第1〜3級アミノ基、スルホアミド基およびオキシエチレン鎖などが使用できる。
アニオン性基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、ケイ酸基、およびこれらの金属塩、アミン塩、4級アンモニウム塩が使用できる。
カチオン性基としては、第1〜3級アミン塩および4級アンモニウム塩などが使用できる。
これらの親水性骨格(a)のうち、分散安定性の観点からノニオン性基が好ましく、さらに好ましくはオキシエチレン鎖が好ましい。
【0008】
マクロモノマー(A)分子内中の親水性骨格(a)の含有量は、ポリマービーズの安定性に影響を及ぼすため、通常5〜90重量%、好ましくは7〜80重量%、特に好ましくは、10〜70重量%である。マクロモノマー(A)中の親水性骨格(a)の含有量が5重量%未満ではポリマービーズ製造時の分散安定性が悪くなり、90重量%を超えるとポリマービーズの粒子径が小さくなりすぎるという問題がある。
また、ポリマービーズ(I)中の親水性骨格(a)の含有量は、通常0.01〜80重量%、好ましくは、0.05〜70重量%である。0.01重量%未満ではポリマービーズ製造時の分散安定性が悪くなり、80重量%を超えるとポリマービーズの粒子径が小さくなりすぎる。
【0009】
マクロモノマー(A)が有する疎水性骨格(b)としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリジエン等の炭化水素骨格;ポリビニルピリジン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセテート、ハロゲン化ビニルポリマー等の疎水性ポリビニルポリマー;炭素数3〜8のアルキレンオキサイド由来のポリアルキレンオキサイド、ポリアセタール;ポリジメチルシロキサン;ポリオキサゾリン骨格等が挙げられる。
ポリオレフィン骨格としては、例えば、ポリエチレン鎖、ポリイソプロピレン鎖等が挙げられる。ポリジエン骨格としては、例えば、ポリブタジエン鎖およびポリポリペンタジエン等が挙げられる。
ポリアクリレート骨格としては、例えば、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート骨格等が挙げられ、ポリメタクリレート骨格としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート骨格等が挙げられる。
ハロゲン化ビニルポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル等が挙げられる。
ポリアルキレンオキサイド骨格を形成するアルキレンオキサイドとしては、プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−および2,3−ブタジエンオキサイド、テトロヒドロフラン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド等、およびこれらの併用が挙げられる。
これら疎水性骨格(b)中で、入手のし易さおよび分散安定性の観点から、ポリスチレン、ポリアルキレンオキサイドが好ましい。
【0010】
マクロマー(A)分子内中の疎水性骨格(b)の含有量は、ポリマービーズの安定性に影響を及ぼすことから、通常10〜95重量%、好ましくは15〜90重量%、特に好ましくは、20〜80重量%である。ビニル基含有マクロモノマー(A)中の親水性骨格(a)の含有量が10重量%未満ではポリマービーズの粒子径が小さくなりすぎる問題があり、95重量%を超えるとポリマービーズの分散安定性が悪くなるという問題がある。
【0011】
マクロマー(A)分子内中の親水性骨格(a)/疎水性骨格(b)の含有量の重量比は、通常1/99〜90/10、好ましくは5/95〜85/15、特に好ましくは、10/90〜80/20である。比率が1/99未満ではポリマービーズ製造時の分散安定性が悪くなり、90/10を超えるとポリマービーズの粒子径が小さくなりすぎるという問題がある。
【0012】
本発明のマクロマー(A)中の反応性官能基(c)としては、通常のラジカル重合性を有する有機基が挙げられ、例えば、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、プロペニル基、アリル基、ビニルエステル基、ビニルエーテル基、プロペニルエーテル基、プロペニルエステル基、アリルエーテル基、アリルエステル基等が挙げられる。
【0013】
次に、親水性骨格(a)、疎水性骨格(b)及び反応性官能基(c)の分子内における結合関係について説明する。
親水性骨格(a)、疎水性骨格(b)及び反応性官能基(c)は、分子内に少なくとも1単位それぞれ独立に存在する。
【0014】
分子内の(a)、(b)、(c)の配列順序や結合関係としては、通常のブロックポリマーであれば特に限定されないが、分散安定性の観点から、(a)−(b)−(c)の位置関係であることが好ましい。疎水性骨格(b)のそばに反応性官能基(c)が付いているものが好ましく、親水性骨格(a)の側に反応性官能基(c)が付いているものや、ランダム共重合体は好ましくない。
【0015】
本発明のマクロモノマー(A)の具体例としては、例えば、非特許文献に記載された公知の化合物が挙げられる。
【非特許文献】
Adv.Poly.Sci、142巻、129頁(1998年発行)
【0016】
本発明のマクロモノマー(A)の重量平均分子量は、通常2,000〜100,000、好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜50,000である。重量平均分子量がこの範囲からはずれると、分散安定性が低下するという問題がある。
【0017】
本発明のマクロモノマー(A)の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、通常1.00〜1.10であり、好ましくは1.00〜1.05、特に好ましくは、1.00〜1.03である。分子量分布が1.10を超えると、得られるポリマービーズの変動係数(CV)が大きくなり、粒度分布が狭くできないという問題がある。
変動係数(CV)=粒子の体積平均粒子径の標準偏差σ/体積平均粒子径D
【0018】
なお、本発明のマクロモノマーの重量平均、数平均分子量分布および分子量分布はゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。
【0019】
本発明のマクロモノマーの製造方法は、公知の方法が使用できる。例えば、具体的には、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、およびラジカル重合による方法等が挙げられる。
【0020】
リビングカチオン重合による方法としては、公知の方法が利用できる。
リビングカチオン重合に使用する触媒としては、ハロゲン化金属およびプロトン酸からなる公知のカチオン重合性触媒が利用できる。ハロゲン化金属としては、TiCl4、AlCl3、SnCl4、BF3、FeCl3、AlEt2Cl、AlEtCl2、TiBr4、AlBr3およびFeBr3等が挙げられる。プロトン酸としては、HCl、HBr、H2SO4、CH3COOH、CCl3COOH、CF3COOH、HIおよびCH3CO3H等が挙げられる。
【0021】
重合の際、触媒のハロゲン化金属およびプロトン酸の添加量は、目的のマクロモノマーの分子量により異なるが、マクロモノマーの製造に使用できるモノマー1モルに対して、ハロゲン化金属の使用量は、通常0.005〜0.25モル、プロトン酸の使用量は、通常0.001〜0.05モルである。
【0022】
反応に使用する重合溶媒としては、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン等の公知の溶媒が使用できる。
重合におけるモノマー濃度としては、通常2〜30重量%であり、5〜20重量%が好ましい。重合温度は、通常−100〜25℃、好ましくは−80〜0℃である。
【0023】
本発明のマクロモノマー(A)の親水性骨格(a)の導入に使用できるモノマーとしては、エチレンオキサイド、ビニルアルコール、メタクリル酸、アクリル酸等が使用できる。
【0024】
リビングアニオン重合による方法としては、公知の方法が利用できる。リビングアニオン重合に使用できる触媒としては、ブチルリチウム、ナトリウムエトキシド、および 等の公知の触媒が使用できる。
アニオン重合に使用する重合溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルおよびジエチレングリコールジメチルエーテル等の公知の溶媒が使用できる。
【0025】
ラジカル重合による方法としては、公知の方法が利用できる。
ラジカル重合に使用する重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤が使用できる。ラジカル重合開始剤としては、過酸化物及びアゾ化合物等が用いられる。
過酸化物としては、公知のものが使用でき、具体的には、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキサイド及びジクミルパーオキシド等が挙げられる。
アゾ化合物としては、公知のものが使用でき、具体的には、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及び1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられる
【0026】
本発明はこれら製造法に関して限定するものではないが、これら製造方法の中で、分子量分布の狭いマクロモノマーが得られる点で、リビングカチオン重合およびリビングアニオン重合による方法が好ましい。
ラジカル重合による方法では、通常は分子量分布が広くなるため、この場合は本発明の分子量分布が狭いマクロモノマーを得るために、ラジカル重合後にゲルパーミネーションクロマトグラフィー等で精製する必要がある。
【0027】
本発明におけるビニル系モノマー(B)とは、ビニル基を有し、上述のマクロモノマー(A)と共重合性があり、分散重合できるモノマーであり、通常、分子量が44〜1000のものである。
具体的にはアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル;スチレン、αーメチルスチレン;塩化ビニル、フッ素化ビニル、臭化ビニル;アクリルアミド、アクリルアルデヒド、アクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルピリジン等が挙げられる。
【0028】
得られる粒子の耐水性の観点から、ビニル系モノマー(B)として、好ましい化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ素化ビニルおよび臭化ビニルが挙げられる。さらに好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、スチレン、塩化ビニルおよびフッ素化ビニルが挙げられ、特に好ましいものとしては、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、スチレン、およびフッ素化ビニルが挙げられる。
【0029】
本発明のポリマービーズは、親水性骨格(a)を必須成分としているマクロモノマー(A)とビニル系モノマー(B)以外に、用途に合わせてポリマービーズの分子量、親水性を調整するために、さらに、親水性骨格(a)を全く含まない疎水性のマクロモノマー(A’)を必要により併用しても差し支えない。
この疎水性のマクロモノマー(A’)とは、上述した疎水性骨格(b)と反応性骨格(c)からのみ成る化合物である。
【0030】
本発明におけるポリマービーズは、分散重合法によって製造される。
分散重合に使用する溶媒としては、水、アルコール、ケトン等の公知の親水性溶媒が使用できる。具体的にはアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール及びブタノール等が挙げられる。これら溶媒は単独で使用してもよいが、混合して使用することもできる。
【0031】
分散重合に使用する重合開始剤としては、マクロモノマー(A)の製造方法の説明で既に例示した過酸化物及びアゾ化合物のラジカル重合開始剤が使用できる
。
【0032】
次に、分散重合の具体的な重合条件について説明する。
マクロモノマー(A)/ビニル系モノマー(B)のモル比は、通常0.01/100〜10/100の範囲であり、0.01/100未満では、分散安定性に問題があり、10/100を超えると、重合によって得られるポリマービーズ(I)の粒子径が小さくなりすぎる問題がある。
【0033】
分散重合において、ビニル系モノマー(B)の濃度は、重合系に対して通常0.01〜10.0モル/lであり、好ましくは、0.5〜5.0モル/lである。ビニル系モノマー(B)の濃度が0.01モル/l未満では、重合によって得られるポリマービーズ(I)の粒子径が小さくなりすぎる問題があり、10.0モル/lを超えると重合時の分散安定性に問題がある。
【0034】
重合温度は、使用する開始剤や溶媒によって異なるが、反応の制御の容易さから25〜100℃であることが好ましい。
【0035】
開始剤は、溶剤に希釈して重合系に滴下するが、この際の開始剤の濃度は、通常0.01〜1モル%であり、好ましくは、0.05〜0.5モル%である。開始剤濃度が0.01モル%未満では重合時の分散安定性に問題があり、1モル%を超えると、重合によって得られるポリマービーズ(I)の粒子径が小さくなりすぎる問題がある。
【0036】
本発明におけるポリマービーズ(I)中の(A)/(B)の重量比は、通常、80/20〜0.01/99.99であり、好ましくは60/40〜5/95、さらに好ましくは40/60〜10/90である。ポリマービーズ(I)中の(A)/(B)の重量比が80/20を超えると、重合によって得られるポリマービーズ(I)の粒子径が小さくなりすぎる問題があり、0.01/99.99未満の場合は、重合時の分散安定性に問題がある。
【0037】
本発明におけるポリマービーズ(I)は、体積平均粒子径Dが1〜20μm、かつ後述の式で定義される粒子径の変動係数(CV)が1〜7%であることを特徴とする。
【0038】
ポリマービーズの体積平均粒子径Dの測定には、市販の光散乱式の粒径分布測定装置(例えば、堀場製作所社製のLA−700、LB−500等)が使用できる。
【0039】
粒子径の変動係数(CV)は、走査型電子顕微鏡により写真を撮影し、この画像の250個の粒子のそれぞれの粒径について画像解析装置を用いて測定される値であり、下記式によって計算で求められる。
変動係数(CV)=粒子の粒子径の標準偏差(σ)/粒子の粒子径(Dn)
粒子の粒子径の標準偏差(σ)=Σ(Di−Dn)/(n−1)×Dn
Di=個々の粒子の粒子径、n=250
【0040】
本発明のポリマービーズは、塗料用充填剤、電子写真用トナー、カラム用充填剤、液晶ディスプレイ用スペーサー等に有用であり、産業的に広く利用できる。
特に、液晶セルの電極間スペーサーとしては通常3〜10μmの粒径で、さらに厳しい変動係数1〜5%の粒度分布のものがよく用いられ、本発明のポリマービーズを用いると液晶セルのセルギャップを均一に保つことができる。また、これまで必要だった分球工程を簡略化することができるという利点がある。
【0041】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に注記しない場合は、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0042】
製造例1
以下の操作は全て乾燥窒素雰囲気下にて行った。
60mlの重合用試験管に、塩化メチレン30ml、ブロモメタン1.2ml、エチレンオキサイド6g仕込み、混合した後、−20℃まで冷却した。これに予め−20℃に冷却しておいた1.0mol/Lの四塩化スズ塩化メチレン溶液を2.5ml入れて反応を開始した。−20℃で6時間重合させた後、−20℃に冷却しておいたスチレンオキサイドを6g追加し、さらに12時間重合させた。その後、アリルトリメチルシラン3.5ml加え、25℃で1時間反応させた。この反応液をトルエンで希釈した後、順次、希塩酸、水、水酸化ナトリウム水溶液、水で洗浄した後、溶媒を減圧乾燥器で除去して、本発明のマクロモノマー(A1)を得た。得られたマクロモノマーについて、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)で数平均分子量と重量平均分子用をそれぞれ測定した。その結果、数平均分子量は4390、重量平均分子量は4570、分子量分布は1.04であった。
【0043】
実施例1
60ml試験管に、製造例1で製造したマクロモノマー(A1)を0.30g、スチレンモノマー3.00g、メタノール24g、アゾビスイソブチロニトリルを0.06g仕込み、65℃で8時間反応させた。反応液を一部取り、光散乱式の粒径分布測定装置(堀場製作所社製のLA−700)にて平均体積粒子径を測定した結果、粒子径は3.25μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)観察用に、反応液を一部取り、真空乾燥器にて、60℃、で真空下12時間乾燥させた試料をSEMにて観察し、変動係数を求めた結果、変動係数は3.6%であった。
【0044】
比較例1
反応温度を20℃にした以外は、製造例1と同様にして比較用のマクロモノマーを得た。この数平均分子量は3710、重量平均分子量は7570、分子量分布は2.04であった。このマクロモノマーを実施例1と同様にしてスチレンモノマーと反応させた結果、得られたポリマービーズの体積平均粒子径は3.60μm、変動係数は9.5%であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明のポリマービーズは、粒子径の調整だけでなく、従来の製造方法では困難であった粒子の粒度分布を極めて狭くすることができる。
そのため、塗料用充填剤、電子写真用トナー、カラム用充填剤などの用途はもちろん、さらに粒子径と粒度分布が厳しく要求される液晶ディスプレイ用スペーサーにも極めて有用であり、これまで必要だった分球工程を簡略化することができるという利点がある。
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒度分布が狭いことを特徴とする、1〜20ミクロンのポリマービーズに関するものである。さらに詳しくは、特定の化学構造、分子量および分子量分布を有するビニル系マクロモノマーをビニル系モノマーを分散共重合させることによって得られるポリマービーズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1〜20ミクロン前後でしかも粒径分布が狭いポリマービーズは、塗料用充填剤、電子写真用トナー、カラム用充填剤および液晶ディスプレイ用スペーサー等に有用であり、産業的に広く利用されている。このようなミクロンオーダーのポリマービーズの製造法として、分散重合等が知られており、特に得られるポリマービーズの粒子の粒度分布を狭めるために、マクロモノマーを用いる方法が有用であることは公知である(例えば特許文献)。
【0003】
【特許文献】
特開平5−306315号公報
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】
しかしながら、これらのマクロモノマーを使用しても、ポリマービーズの粒子径の範囲は制御できても、粒子の粒度分布をうまく狭く制御することは非常に困難であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、重量平均分子量Mwが2,000〜100,000、かつ分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.00〜1.10であって、さらに分子内に親水性骨格(a)を有するマクロモノマー(A)と、共重合性のビニル系モノマー(B)を分散重合させることにより、得られるポリマービーズの体積平均粒子径Dが1〜20μmであり、かつ下記式(1)で定義される粒子の変動係数が1〜7%という狭い粒度分布を有することを要旨とする。
変動係数=粒子の体積平均粒子径の標準偏差σ/体積平均粒子径D (1)
【0006】
本発明におけるマクロモノマー(A)は、親水性骨格(a)と疎水性骨格(b)と反応性官能基(c)からなっており、重量平均分子量Mwが2,000〜100,000、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.00〜1.10である必要がある。
【0007】
このマクロモノマー(A)中の親水性骨格(a)としては、ノニオン性基、アニオン性基、カチオン性基が挙げられる。
本発明のマクロモノマー(A)におけるノニオン性基としては、水酸基、イミノ基、第1〜3級アミノ基、スルホアミド基およびオキシエチレン鎖などが使用できる。
アニオン性基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、ケイ酸基、およびこれらの金属塩、アミン塩、4級アンモニウム塩が使用できる。
カチオン性基としては、第1〜3級アミン塩および4級アンモニウム塩などが使用できる。
これらの親水性骨格(a)のうち、分散安定性の観点からノニオン性基が好ましく、さらに好ましくはオキシエチレン鎖が好ましい。
【0008】
マクロモノマー(A)分子内中の親水性骨格(a)の含有量は、ポリマービーズの安定性に影響を及ぼすため、通常5〜90重量%、好ましくは7〜80重量%、特に好ましくは、10〜70重量%である。マクロモノマー(A)中の親水性骨格(a)の含有量が5重量%未満ではポリマービーズ製造時の分散安定性が悪くなり、90重量%を超えるとポリマービーズの粒子径が小さくなりすぎるという問題がある。
また、ポリマービーズ(I)中の親水性骨格(a)の含有量は、通常0.01〜80重量%、好ましくは、0.05〜70重量%である。0.01重量%未満ではポリマービーズ製造時の分散安定性が悪くなり、80重量%を超えるとポリマービーズの粒子径が小さくなりすぎる。
【0009】
マクロモノマー(A)が有する疎水性骨格(b)としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリジエン等の炭化水素骨格;ポリビニルピリジン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセテート、ハロゲン化ビニルポリマー等の疎水性ポリビニルポリマー;炭素数3〜8のアルキレンオキサイド由来のポリアルキレンオキサイド、ポリアセタール;ポリジメチルシロキサン;ポリオキサゾリン骨格等が挙げられる。
ポリオレフィン骨格としては、例えば、ポリエチレン鎖、ポリイソプロピレン鎖等が挙げられる。ポリジエン骨格としては、例えば、ポリブタジエン鎖およびポリポリペンタジエン等が挙げられる。
ポリアクリレート骨格としては、例えば、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート骨格等が挙げられ、ポリメタクリレート骨格としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート骨格等が挙げられる。
ハロゲン化ビニルポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル等が挙げられる。
ポリアルキレンオキサイド骨格を形成するアルキレンオキサイドとしては、プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−および2,3−ブタジエンオキサイド、テトロヒドロフラン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド等、およびこれらの併用が挙げられる。
これら疎水性骨格(b)中で、入手のし易さおよび分散安定性の観点から、ポリスチレン、ポリアルキレンオキサイドが好ましい。
【0010】
マクロマー(A)分子内中の疎水性骨格(b)の含有量は、ポリマービーズの安定性に影響を及ぼすことから、通常10〜95重量%、好ましくは15〜90重量%、特に好ましくは、20〜80重量%である。ビニル基含有マクロモノマー(A)中の親水性骨格(a)の含有量が10重量%未満ではポリマービーズの粒子径が小さくなりすぎる問題があり、95重量%を超えるとポリマービーズの分散安定性が悪くなるという問題がある。
【0011】
マクロマー(A)分子内中の親水性骨格(a)/疎水性骨格(b)の含有量の重量比は、通常1/99〜90/10、好ましくは5/95〜85/15、特に好ましくは、10/90〜80/20である。比率が1/99未満ではポリマービーズ製造時の分散安定性が悪くなり、90/10を超えるとポリマービーズの粒子径が小さくなりすぎるという問題がある。
【0012】
本発明のマクロマー(A)中の反応性官能基(c)としては、通常のラジカル重合性を有する有機基が挙げられ、例えば、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、プロペニル基、アリル基、ビニルエステル基、ビニルエーテル基、プロペニルエーテル基、プロペニルエステル基、アリルエーテル基、アリルエステル基等が挙げられる。
【0013】
次に、親水性骨格(a)、疎水性骨格(b)及び反応性官能基(c)の分子内における結合関係について説明する。
親水性骨格(a)、疎水性骨格(b)及び反応性官能基(c)は、分子内に少なくとも1単位それぞれ独立に存在する。
【0014】
分子内の(a)、(b)、(c)の配列順序や結合関係としては、通常のブロックポリマーであれば特に限定されないが、分散安定性の観点から、(a)−(b)−(c)の位置関係であることが好ましい。疎水性骨格(b)のそばに反応性官能基(c)が付いているものが好ましく、親水性骨格(a)の側に反応性官能基(c)が付いているものや、ランダム共重合体は好ましくない。
【0015】
本発明のマクロモノマー(A)の具体例としては、例えば、非特許文献に記載された公知の化合物が挙げられる。
【非特許文献】
Adv.Poly.Sci、142巻、129頁(1998年発行)
【0016】
本発明のマクロモノマー(A)の重量平均分子量は、通常2,000〜100,000、好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜50,000である。重量平均分子量がこの範囲からはずれると、分散安定性が低下するという問題がある。
【0017】
本発明のマクロモノマー(A)の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、通常1.00〜1.10であり、好ましくは1.00〜1.05、特に好ましくは、1.00〜1.03である。分子量分布が1.10を超えると、得られるポリマービーズの変動係数(CV)が大きくなり、粒度分布が狭くできないという問題がある。
変動係数(CV)=粒子の体積平均粒子径の標準偏差σ/体積平均粒子径D
【0018】
なお、本発明のマクロモノマーの重量平均、数平均分子量分布および分子量分布はゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。
【0019】
本発明のマクロモノマーの製造方法は、公知の方法が使用できる。例えば、具体的には、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、およびラジカル重合による方法等が挙げられる。
【0020】
リビングカチオン重合による方法としては、公知の方法が利用できる。
リビングカチオン重合に使用する触媒としては、ハロゲン化金属およびプロトン酸からなる公知のカチオン重合性触媒が利用できる。ハロゲン化金属としては、TiCl4、AlCl3、SnCl4、BF3、FeCl3、AlEt2Cl、AlEtCl2、TiBr4、AlBr3およびFeBr3等が挙げられる。プロトン酸としては、HCl、HBr、H2SO4、CH3COOH、CCl3COOH、CF3COOH、HIおよびCH3CO3H等が挙げられる。
【0021】
重合の際、触媒のハロゲン化金属およびプロトン酸の添加量は、目的のマクロモノマーの分子量により異なるが、マクロモノマーの製造に使用できるモノマー1モルに対して、ハロゲン化金属の使用量は、通常0.005〜0.25モル、プロトン酸の使用量は、通常0.001〜0.05モルである。
【0022】
反応に使用する重合溶媒としては、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン等の公知の溶媒が使用できる。
重合におけるモノマー濃度としては、通常2〜30重量%であり、5〜20重量%が好ましい。重合温度は、通常−100〜25℃、好ましくは−80〜0℃である。
【0023】
本発明のマクロモノマー(A)の親水性骨格(a)の導入に使用できるモノマーとしては、エチレンオキサイド、ビニルアルコール、メタクリル酸、アクリル酸等が使用できる。
【0024】
リビングアニオン重合による方法としては、公知の方法が利用できる。リビングアニオン重合に使用できる触媒としては、ブチルリチウム、ナトリウムエトキシド、および 等の公知の触媒が使用できる。
アニオン重合に使用する重合溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルおよびジエチレングリコールジメチルエーテル等の公知の溶媒が使用できる。
【0025】
ラジカル重合による方法としては、公知の方法が利用できる。
ラジカル重合に使用する重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤が使用できる。ラジカル重合開始剤としては、過酸化物及びアゾ化合物等が用いられる。
過酸化物としては、公知のものが使用でき、具体的には、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキサイド及びジクミルパーオキシド等が挙げられる。
アゾ化合物としては、公知のものが使用でき、具体的には、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及び1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられる
【0026】
本発明はこれら製造法に関して限定するものではないが、これら製造方法の中で、分子量分布の狭いマクロモノマーが得られる点で、リビングカチオン重合およびリビングアニオン重合による方法が好ましい。
ラジカル重合による方法では、通常は分子量分布が広くなるため、この場合は本発明の分子量分布が狭いマクロモノマーを得るために、ラジカル重合後にゲルパーミネーションクロマトグラフィー等で精製する必要がある。
【0027】
本発明におけるビニル系モノマー(B)とは、ビニル基を有し、上述のマクロモノマー(A)と共重合性があり、分散重合できるモノマーであり、通常、分子量が44〜1000のものである。
具体的にはアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル;スチレン、αーメチルスチレン;塩化ビニル、フッ素化ビニル、臭化ビニル;アクリルアミド、アクリルアルデヒド、アクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルピリジン等が挙げられる。
【0028】
得られる粒子の耐水性の観点から、ビニル系モノマー(B)として、好ましい化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ素化ビニルおよび臭化ビニルが挙げられる。さらに好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、スチレン、塩化ビニルおよびフッ素化ビニルが挙げられ、特に好ましいものとしては、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、スチレン、およびフッ素化ビニルが挙げられる。
【0029】
本発明のポリマービーズは、親水性骨格(a)を必須成分としているマクロモノマー(A)とビニル系モノマー(B)以外に、用途に合わせてポリマービーズの分子量、親水性を調整するために、さらに、親水性骨格(a)を全く含まない疎水性のマクロモノマー(A’)を必要により併用しても差し支えない。
この疎水性のマクロモノマー(A’)とは、上述した疎水性骨格(b)と反応性骨格(c)からのみ成る化合物である。
【0030】
本発明におけるポリマービーズは、分散重合法によって製造される。
分散重合に使用する溶媒としては、水、アルコール、ケトン等の公知の親水性溶媒が使用できる。具体的にはアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール及びブタノール等が挙げられる。これら溶媒は単独で使用してもよいが、混合して使用することもできる。
【0031】
分散重合に使用する重合開始剤としては、マクロモノマー(A)の製造方法の説明で既に例示した過酸化物及びアゾ化合物のラジカル重合開始剤が使用できる
。
【0032】
次に、分散重合の具体的な重合条件について説明する。
マクロモノマー(A)/ビニル系モノマー(B)のモル比は、通常0.01/100〜10/100の範囲であり、0.01/100未満では、分散安定性に問題があり、10/100を超えると、重合によって得られるポリマービーズ(I)の粒子径が小さくなりすぎる問題がある。
【0033】
分散重合において、ビニル系モノマー(B)の濃度は、重合系に対して通常0.01〜10.0モル/lであり、好ましくは、0.5〜5.0モル/lである。ビニル系モノマー(B)の濃度が0.01モル/l未満では、重合によって得られるポリマービーズ(I)の粒子径が小さくなりすぎる問題があり、10.0モル/lを超えると重合時の分散安定性に問題がある。
【0034】
重合温度は、使用する開始剤や溶媒によって異なるが、反応の制御の容易さから25〜100℃であることが好ましい。
【0035】
開始剤は、溶剤に希釈して重合系に滴下するが、この際の開始剤の濃度は、通常0.01〜1モル%であり、好ましくは、0.05〜0.5モル%である。開始剤濃度が0.01モル%未満では重合時の分散安定性に問題があり、1モル%を超えると、重合によって得られるポリマービーズ(I)の粒子径が小さくなりすぎる問題がある。
【0036】
本発明におけるポリマービーズ(I)中の(A)/(B)の重量比は、通常、80/20〜0.01/99.99であり、好ましくは60/40〜5/95、さらに好ましくは40/60〜10/90である。ポリマービーズ(I)中の(A)/(B)の重量比が80/20を超えると、重合によって得られるポリマービーズ(I)の粒子径が小さくなりすぎる問題があり、0.01/99.99未満の場合は、重合時の分散安定性に問題がある。
【0037】
本発明におけるポリマービーズ(I)は、体積平均粒子径Dが1〜20μm、かつ後述の式で定義される粒子径の変動係数(CV)が1〜7%であることを特徴とする。
【0038】
ポリマービーズの体積平均粒子径Dの測定には、市販の光散乱式の粒径分布測定装置(例えば、堀場製作所社製のLA−700、LB−500等)が使用できる。
【0039】
粒子径の変動係数(CV)は、走査型電子顕微鏡により写真を撮影し、この画像の250個の粒子のそれぞれの粒径について画像解析装置を用いて測定される値であり、下記式によって計算で求められる。
変動係数(CV)=粒子の粒子径の標準偏差(σ)/粒子の粒子径(Dn)
粒子の粒子径の標準偏差(σ)=Σ(Di−Dn)/(n−1)×Dn
Di=個々の粒子の粒子径、n=250
【0040】
本発明のポリマービーズは、塗料用充填剤、電子写真用トナー、カラム用充填剤、液晶ディスプレイ用スペーサー等に有用であり、産業的に広く利用できる。
特に、液晶セルの電極間スペーサーとしては通常3〜10μmの粒径で、さらに厳しい変動係数1〜5%の粒度分布のものがよく用いられ、本発明のポリマービーズを用いると液晶セルのセルギャップを均一に保つことができる。また、これまで必要だった分球工程を簡略化することができるという利点がある。
【0041】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に注記しない場合は、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0042】
製造例1
以下の操作は全て乾燥窒素雰囲気下にて行った。
60mlの重合用試験管に、塩化メチレン30ml、ブロモメタン1.2ml、エチレンオキサイド6g仕込み、混合した後、−20℃まで冷却した。これに予め−20℃に冷却しておいた1.0mol/Lの四塩化スズ塩化メチレン溶液を2.5ml入れて反応を開始した。−20℃で6時間重合させた後、−20℃に冷却しておいたスチレンオキサイドを6g追加し、さらに12時間重合させた。その後、アリルトリメチルシラン3.5ml加え、25℃で1時間反応させた。この反応液をトルエンで希釈した後、順次、希塩酸、水、水酸化ナトリウム水溶液、水で洗浄した後、溶媒を減圧乾燥器で除去して、本発明のマクロモノマー(A1)を得た。得られたマクロモノマーについて、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)で数平均分子量と重量平均分子用をそれぞれ測定した。その結果、数平均分子量は4390、重量平均分子量は4570、分子量分布は1.04であった。
【0043】
実施例1
60ml試験管に、製造例1で製造したマクロモノマー(A1)を0.30g、スチレンモノマー3.00g、メタノール24g、アゾビスイソブチロニトリルを0.06g仕込み、65℃で8時間反応させた。反応液を一部取り、光散乱式の粒径分布測定装置(堀場製作所社製のLA−700)にて平均体積粒子径を測定した結果、粒子径は3.25μmであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)観察用に、反応液を一部取り、真空乾燥器にて、60℃、で真空下12時間乾燥させた試料をSEMにて観察し、変動係数を求めた結果、変動係数は3.6%であった。
【0044】
比較例1
反応温度を20℃にした以外は、製造例1と同様にして比較用のマクロモノマーを得た。この数平均分子量は3710、重量平均分子量は7570、分子量分布は2.04であった。このマクロモノマーを実施例1と同様にしてスチレンモノマーと反応させた結果、得られたポリマービーズの体積平均粒子径は3.60μm、変動係数は9.5%であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明のポリマービーズは、粒子径の調整だけでなく、従来の製造方法では困難であった粒子の粒度分布を極めて狭くすることができる。
そのため、塗料用充填剤、電子写真用トナー、カラム用充填剤などの用途はもちろん、さらに粒子径と粒度分布が厳しく要求される液晶ディスプレイ用スペーサーにも極めて有用であり、これまで必要だった分球工程を簡略化することができるという利点がある。
Claims (6)
- 分子内に親水性骨格(a)と疎水性骨格(b)と反応性官能基(c)を有するマクロモノマー(A)と、ビニル系モノマー(B)を必須単位とする分散重合により得られるポリマービーズ(I)であって、該マクロモノマー(A)の重量平均分子量Mwが2,000〜100,000、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.00〜1.10であり、該ポリマービーズ(I)の体積平均粒子径Dが1〜20μm、かつ下記式(1)で定義される粒子径の変動係数(CV)が1〜7%であることを特徴とするポリマービーズ。
変動係数(CV)=粒子の粒子径の標準偏差/粒子の粒子径 (1) - 親水性骨格(a)がポリオキシエチレン鎖である請求項1記載のポリマービーズ。
- マクロモノマー(A)中の親水性骨格(a)が5〜90重量%である請求項1または2記載のポリマービーズ。
- (A)/(B)の重量比が80/20〜1/99である請求項1〜3いずれか記載のポリマービーズ。
- 請求項1〜4いずれか記載のポリマービーズ(I)からなる液晶ディスプレイ用スペーサー。
- ポリマービーズ(I)の平均粒径が3〜10μm、かつその変動係数が1〜5%である請求項5記載の液晶ディスプレイ用スペーサー。
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