JP2004349081A - 電源コンセントシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】トラッキング放電が発生したプラグを電源から遮断するトラッキング対応型の電源コンセントを複数設置する場合、部材を削減する。
【解決手段】最も電源4側に接続される親コンセント1と、親コンセント1を介して電源4に接続される子コンセント2とを有し、親コンセント1に、電極間に発生する放電を検知するセンサ6と、センサ6の情報を基にトラッキング放電を検出するトラッキング検出回路8と、トラッキング放電を検出したら電源コード3から電源コンセント1,2を遮断する1つの電路引き外し装置11とを設け、子コンセント2に、電極間に発生する放電を検知するセンサ6を設けた。双方の電源コンセント1,2を信号線12で接続し、子コンセント2のセンサ6が検出した放電情報を信号線12を介して親コンセント1のトラッキング検出回路8に入力した。
【選択図】 図1
【解決手段】最も電源4側に接続される親コンセント1と、親コンセント1を介して電源4に接続される子コンセント2とを有し、親コンセント1に、電極間に発生する放電を検知するセンサ6と、センサ6の情報を基にトラッキング放電を検出するトラッキング検出回路8と、トラッキング放電を検出したら電源コード3から電源コンセント1,2を遮断する1つの電路引き外し装置11とを設け、子コンセント2に、電極間に発生する放電を検知するセンサ6を設けた。双方の電源コンセント1,2を信号線12で接続し、子コンセント2のセンサ6が検出した放電情報を信号線12を介して親コンセント1のトラッキング検出回路8に入力した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接続プラグのトラッキング生成による火災の発生を防止する電源コンセントに関し、特にそのような電源コンセントを複数備えた電源コンセントシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
接続されたプラグの栓刃間の炭化による短絡路(トラッキング)生成による火災発生を防止する機能を備えた電源コンセントが提案されている。このような電源コンセントの中で、電極間にトラッキングの形成初期の段階の放電が発生した時点でコンセントの受刃を電路から遮断する機能を備えたものとして、特許文献1に示す構成のものがある。これは、受刃間の放電路に導電板を一対介在させると共に電路を遮断操作をするリレーを内蔵し、トラッキング生成初期の段階に発生する放電電流を導電板に流し、その電流によりリレーを動作させて受刃を電路から遮断する構成となっている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−180805号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述するように、特許文献1の電源コンセントは、トラッキング生成初期の段階に反応するし、放電が発生した電源コンセントのみ遮断できるので、トラッキング短絡に至る前に遮断動作し、他の正常な電源コンセントまで電路から遮断することがなく、好ましい動作をする。
しかし、電源コンセント個々に、例えばリレーから成る遮断手段を設けることになるので、電源コンセントは単体でも高価なものとなる。特に設置する住戸においては、電源コンセントは各部屋に複数箇所設けられるのが一般的であり、全ての電源コンセントをこのようなトラッキング対応型にしようとすると、大きなコスト増となってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上述する機能を有する電源コンセント、即ちトラッキング生成初期の段階の放電が発生したら、そのプラグを電源から遮断するトラッキング対応型の電源コンセントを複数設置する場合、部材を削減してコスト増を抑えた電源コンセントシステムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、電源側から、第1の電源コンセント、少なくとも1つの電源コンセントから成る第2の電源コンセント、の順に同一電路に設置して成る電源コンセントシステムであって、前記第1の電源コンセントに、該第1の電源コンセントに接続されたプラグの栓刃間に発生する放電を検知するセンサと、該センサが検知した情報を基にトラッキング放電を検出するトラッキング検出回路と、トラッキング放電を検出したら前記第1及び第2の電源コンセントを電路から遮断する1つの遮断手段とを備える一方、前記第2の電源コンセントには、該第2の電源コンセントに接続されたプラグの栓刃間に発生する放電を検知するセンサを備え、前記第1の電源コンセントと前記第2の電源コンセントとを信号線で接続して、第2の電源コンセントのセンサが検知した放電情報を前記信号線により前記第1の電源コンセントのトラッキング検出回路に入力し、トラッキング放電が検出されたら、前記遮断手段を動作させて第1及び第2双方の電源コンセントを電路から遮断することを特徴とする。
【0007】
この構成により、第1及び第2の電源コンセントの何れにトラッキング放電が発生しても、電源コンセントを電路から遮断できる。しかも、電源コンセントの設置数に対してトラッキング検出回路及び遮断手段を削減できる。従って、トラッキング放電に対して遮断する機能を有する複数の電源コンセントから成るシステムを少ない部材で実現でき、最小限のコスト増に抑えることができる。
【0008】
請求項2の発明は、電源側から、第1の電源コンセント、少なくとも1つの電源コンセントから成る第2の電源コンセント、の順に同一電路に設置して成る電源コンセントシステムであって、前記第1の電源コンセントに、該第1の電源コンセントに接続されたプラグの栓刃間に発生する放電を検知するセンサと、該センサが検知した情報を基にトラッキング放電を検出するトラッキング検出回路と、トラッキング放電を検出したら前記第1及び第2の電源コンセントを電路から遮断する1つの遮断手段とを備える一方、前記第2の電源コンセントには、該第2の電源コンセントに接続されたプラグの栓刃間に発生する放電を検知するセンサと、該センサが検知した情報を基にトラッキング放電を検出するトラッキング検出回路とを備え、前記第1の電源コンセントと前記第2の電源コンセントとを信号線で接続して、第2の電源コンセントのトラッキング放電検出信号を前記信号線により前記第1の電源コンセントの遮断手段に伝送し、前記第1或いは第2の電源コンセントにてトラッキング放電が検出されたら、前記遮断手を動作させて双方の電源コンセントを電路から遮断することを特徴とする。
【0009】
この構成により、第1及び第2の電源コンセントの何れにトラッキング放電が発生しても、電源コンセントを電路から遮断できる。しかも、電源コンセントの設置数に対して遮断手段を削減できる。従って、トラッキング放電に対して遮断する機能を有する複数の電源コンセントから成るシステムを少ない部材で実現できる。
尚、ここで言うトラッキング放電とは、トラッキング短絡による放電は勿論のこと、トラッキング生成初期の段階でプラグ電極間(栓刃間)に発生する放電も含むものであり、この放電が繰り返されることでトラッキングが形成されることになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る電源コンセントシステムの第1実施形態のブロック図であり、1は第1の電源コンセント(以下、親コンセントと称する。)、2は第2の電源コンセント(以下、子コンセントと称する。)である。親コンセント1は、電路の主要部をなす電源コード3の電源4に最も近い部位に設置され、子コンセント2は電源4からみて親コンセント1の先に接続され、親コンセント1を介して電源4に接続されている。
そして、5はプラグの栓刃(図示せず)を挟持してプラグを接続する1組の受刃、6はトラッキング放電を検知するセンサであり、親コンセント1には、トラッキング検出回路8、電路引き外し回路9と開閉器10からなる電路引き外し装置(遮断手段)11が設けられている。一方、子コンセント2には、センサ6が設けられ、12は親コンセント1と子コンセント2間に電源コード3に沿うように配設された信号線である。
【0011】
センサ6は金属片で形成され、トラッキング生成初期の段階で発生する火花放電(トラッキング放電)の火花が接触する位置に配置されている。こうして、火花がセンサ6に接触すると、センサ6とアースの間で電流が流れ、この電流を検出してトラッキング放電を検知するよう構成されている。
トラッキング検出回路8は、双方の電源コンセント1,2に設けたセンサ6,6からの電流検出信号を受けてトラッキング放電を検出する回路で、図2に示すような回路から構成されている。図2は、親コンセント1の回路図を示し、トラッキング検出回路8は、絶対値回路14、増幅回路15、微分回路16、比較回路17からなり、子コンセント2のセンサ6は信号線12を介して親コンセント1のセンサ6に並列に接続され、双方のセンサ6,6は、絶対値回路14に設けられた電流検出素子18を介してアースに接続されている。尚、19は各回路を駆動する電源回路である。
【0012】
このように構成された電源コンセントシステムは、次のように動作する。例えば、親コンセント1に接続されたプラグにトラッキング放電が発生したら、親コンセント1のセンサ6に電流が流れる。その電流を電流検出素子18が検出し、検出信号がトラッキング検出回路8に入力される。尚、電流検出素子18は抵抗素子で良く、電流を電圧値として検出すればよい。
そして、トラッキング検出回路8に入力された電流信号は、絶対値回路14で整流され、増幅回路15で増幅される。更に、微分回路16で平滑化された後比較回路17に入力される。比較回路17では、入力された電流信号を所定の設定値と比較し、入力信号が設定値を超えたらトラッキング放電発生と判断して信号が出力される。
この信号により電路引き外し装置11は動作し、電路を開放操作即ち開閉器10が開操作される。開閉器10は、電路の中の親コンセント1と子コンセント2との共通する部位に設置され、開閉器10の開動作により双方の電源コンセント1,2の受刃5,5が電源4から切り離される。尚、具体的には、親コンセント1の中に親子双方の電源コンセントに共通する電路を設け、その部位に開閉器10は設置されている。
【0013】
また、子コンセント2に接続されたプラグにトラッキング放電が発生したら、信号線12を介して電流検出素子18が子コンセント2のセンサ6に流れる電流を検出する。その検出した電流信号は絶対値回路14で整流され、以下親コンセントにおいてトラッキング放電が発生した場合と同様であり、最終的に開閉器10が開動作し、電源コンセント1,2が電源4から切り離される。
尚、比較回路17の設定値は、可変抵抗器20により容易に変更可能となっており、トラッキング放電の感度を最適値に設定可能となっている。
【0014】
このように、子コンセント2にはセンサ6を備えるだけで、親コンセント1と同様にトラッキング放電が発生した際に受刃5を電路から遮断できる。ところで、このような子コンセント2は1つの親コンセント1に対して1つに限定する理由はなく、複数の子コンセント2を電源に対して親コンセント1先に一列に電源コード3に接続することができ、そのように複数の電源コンセントが共通する電路に接続されている場合、最も電源に近い親コンセント(第1の電源コンセント)を除いてトラッキング検出回路及び遮断手段を設けることなく、何れの電源コンセントにトラッキング放電が発生しても電源コンセントを電路から遮断できる。従って、トラッキング放電に対して遮断する機能を有する複数のコンセントから成るシステムを少ない部材で実現でき、最小限のコスト増に抑えることができる。
【0015】
図3は、本発明に係る電源コンセントシステムの第2実施形態を示している。1aは親コンセント、2aは子コンセントであり、上記第1の実施形態との相違点は、子コンセント2aに、センサ6に加えてトラッキング検出回路8を設けた点である。尚、第1実施形態と同様の構成部材には同一の符号を付与し、説明を省略する。
子コンセント2aに設けられたトラッキング検出回路8は、親コンセント1aに設けられているトラッキング検出回路8と同様の回路であり、子コンセント2aのトラッキング検出回路8の出力信号が信号線12を介して親コンセント1aの電路引き外し回路9に入力される。
【0016】
このように、電路引き外し装置11のみ親コンセントに設け、トラッキング検出回路8を個々の電源コンセントに設けても良い。こうすることで、複数の電源コンセントが共通する電路に接続されている場合、最も電源に近い親コンセントを除いて遮断手段を設けることなく、何れの電源コンセントに接続されたプラグにトラッキング放電が発生しても電源コンセントを電路から遮断でき、トラッキング放電に対して遮断する機能を有する複数の電源コンセントから成るシステムを少ない部材で実現できる。
そして、個々の電源コンセントにトラッキング検出回路を設けることで、個々の電源コンセントで、トラッキング放電発生と判定する設定値を最適値に設定して、検出精度を上げることが可能となるし、信号線が長く線路抵抗が大きくなっても、トラッキング検出回路8の出力信号は、センサの放電検知信号の様に微小信号ではないので、確実に電路引き外し装置11を動作させることができる。
【0017】
尚、何れも親コンセント1に受刃5を1組、子コンセント2に受刃5を1組設けた例について説明しているが、各電源コンセントに受刃が複数組設けられている場合も同様であり、開閉器10は、親コンセント及び子コンセント双方を遮断する部位に設置し、センサのみ各受刃の組に対して設け、各電源コンセント毎に並列接続すればよい。
また、本発明の電源コンセントシステムは、壁面に設けられる壁面コンセントにおいて好適であるが、フロアコンセントや引掛シーリング等にも容易に適用できるものである。
【0018】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、何れの電源コンセントにトラッキング放電が発生しても、電源コンセントを電路から遮断できる。しかも、電源コンセントの設置数に対して少なくとも遮断手段を同数設ける必要がなく削減できる。従って、トラッキング放電に対して遮断する機能を有する複数の電源コンセントから成るシステムを少ない部材で実現でき、コスト増を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す電源コンセントシステムのブロック図である。
【図2】図1の第1の電源コンセントの回路図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す電源コンセントシステムのブロック図である。
【符号の説明】
1,1a・・親コンセント(第1の電源コンセント)、2,2a・・子コンセント(第2の電源コンセント)、3・・電源コード、4・・電源、5・・受刃、6・・センサ、8・・トラッキング検出回路、9・・電路引き外し回路、10・・開閉器、11・・電路引き外し装置(遮断手段)、12・・信号線。
【発明の属する技術分野】
本発明は、接続プラグのトラッキング生成による火災の発生を防止する電源コンセントに関し、特にそのような電源コンセントを複数備えた電源コンセントシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
接続されたプラグの栓刃間の炭化による短絡路(トラッキング)生成による火災発生を防止する機能を備えた電源コンセントが提案されている。このような電源コンセントの中で、電極間にトラッキングの形成初期の段階の放電が発生した時点でコンセントの受刃を電路から遮断する機能を備えたものとして、特許文献1に示す構成のものがある。これは、受刃間の放電路に導電板を一対介在させると共に電路を遮断操作をするリレーを内蔵し、トラッキング生成初期の段階に発生する放電電流を導電板に流し、その電流によりリレーを動作させて受刃を電路から遮断する構成となっている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−180805号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述するように、特許文献1の電源コンセントは、トラッキング生成初期の段階に反応するし、放電が発生した電源コンセントのみ遮断できるので、トラッキング短絡に至る前に遮断動作し、他の正常な電源コンセントまで電路から遮断することがなく、好ましい動作をする。
しかし、電源コンセント個々に、例えばリレーから成る遮断手段を設けることになるので、電源コンセントは単体でも高価なものとなる。特に設置する住戸においては、電源コンセントは各部屋に複数箇所設けられるのが一般的であり、全ての電源コンセントをこのようなトラッキング対応型にしようとすると、大きなコスト増となってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上述する機能を有する電源コンセント、即ちトラッキング生成初期の段階の放電が発生したら、そのプラグを電源から遮断するトラッキング対応型の電源コンセントを複数設置する場合、部材を削減してコスト増を抑えた電源コンセントシステムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、電源側から、第1の電源コンセント、少なくとも1つの電源コンセントから成る第2の電源コンセント、の順に同一電路に設置して成る電源コンセントシステムであって、前記第1の電源コンセントに、該第1の電源コンセントに接続されたプラグの栓刃間に発生する放電を検知するセンサと、該センサが検知した情報を基にトラッキング放電を検出するトラッキング検出回路と、トラッキング放電を検出したら前記第1及び第2の電源コンセントを電路から遮断する1つの遮断手段とを備える一方、前記第2の電源コンセントには、該第2の電源コンセントに接続されたプラグの栓刃間に発生する放電を検知するセンサを備え、前記第1の電源コンセントと前記第2の電源コンセントとを信号線で接続して、第2の電源コンセントのセンサが検知した放電情報を前記信号線により前記第1の電源コンセントのトラッキング検出回路に入力し、トラッキング放電が検出されたら、前記遮断手段を動作させて第1及び第2双方の電源コンセントを電路から遮断することを特徴とする。
【0007】
この構成により、第1及び第2の電源コンセントの何れにトラッキング放電が発生しても、電源コンセントを電路から遮断できる。しかも、電源コンセントの設置数に対してトラッキング検出回路及び遮断手段を削減できる。従って、トラッキング放電に対して遮断する機能を有する複数の電源コンセントから成るシステムを少ない部材で実現でき、最小限のコスト増に抑えることができる。
【0008】
請求項2の発明は、電源側から、第1の電源コンセント、少なくとも1つの電源コンセントから成る第2の電源コンセント、の順に同一電路に設置して成る電源コンセントシステムであって、前記第1の電源コンセントに、該第1の電源コンセントに接続されたプラグの栓刃間に発生する放電を検知するセンサと、該センサが検知した情報を基にトラッキング放電を検出するトラッキング検出回路と、トラッキング放電を検出したら前記第1及び第2の電源コンセントを電路から遮断する1つの遮断手段とを備える一方、前記第2の電源コンセントには、該第2の電源コンセントに接続されたプラグの栓刃間に発生する放電を検知するセンサと、該センサが検知した情報を基にトラッキング放電を検出するトラッキング検出回路とを備え、前記第1の電源コンセントと前記第2の電源コンセントとを信号線で接続して、第2の電源コンセントのトラッキング放電検出信号を前記信号線により前記第1の電源コンセントの遮断手段に伝送し、前記第1或いは第2の電源コンセントにてトラッキング放電が検出されたら、前記遮断手を動作させて双方の電源コンセントを電路から遮断することを特徴とする。
【0009】
この構成により、第1及び第2の電源コンセントの何れにトラッキング放電が発生しても、電源コンセントを電路から遮断できる。しかも、電源コンセントの設置数に対して遮断手段を削減できる。従って、トラッキング放電に対して遮断する機能を有する複数の電源コンセントから成るシステムを少ない部材で実現できる。
尚、ここで言うトラッキング放電とは、トラッキング短絡による放電は勿論のこと、トラッキング生成初期の段階でプラグ電極間(栓刃間)に発生する放電も含むものであり、この放電が繰り返されることでトラッキングが形成されることになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る電源コンセントシステムの第1実施形態のブロック図であり、1は第1の電源コンセント(以下、親コンセントと称する。)、2は第2の電源コンセント(以下、子コンセントと称する。)である。親コンセント1は、電路の主要部をなす電源コード3の電源4に最も近い部位に設置され、子コンセント2は電源4からみて親コンセント1の先に接続され、親コンセント1を介して電源4に接続されている。
そして、5はプラグの栓刃(図示せず)を挟持してプラグを接続する1組の受刃、6はトラッキング放電を検知するセンサであり、親コンセント1には、トラッキング検出回路8、電路引き外し回路9と開閉器10からなる電路引き外し装置(遮断手段)11が設けられている。一方、子コンセント2には、センサ6が設けられ、12は親コンセント1と子コンセント2間に電源コード3に沿うように配設された信号線である。
【0011】
センサ6は金属片で形成され、トラッキング生成初期の段階で発生する火花放電(トラッキング放電)の火花が接触する位置に配置されている。こうして、火花がセンサ6に接触すると、センサ6とアースの間で電流が流れ、この電流を検出してトラッキング放電を検知するよう構成されている。
トラッキング検出回路8は、双方の電源コンセント1,2に設けたセンサ6,6からの電流検出信号を受けてトラッキング放電を検出する回路で、図2に示すような回路から構成されている。図2は、親コンセント1の回路図を示し、トラッキング検出回路8は、絶対値回路14、増幅回路15、微分回路16、比較回路17からなり、子コンセント2のセンサ6は信号線12を介して親コンセント1のセンサ6に並列に接続され、双方のセンサ6,6は、絶対値回路14に設けられた電流検出素子18を介してアースに接続されている。尚、19は各回路を駆動する電源回路である。
【0012】
このように構成された電源コンセントシステムは、次のように動作する。例えば、親コンセント1に接続されたプラグにトラッキング放電が発生したら、親コンセント1のセンサ6に電流が流れる。その電流を電流検出素子18が検出し、検出信号がトラッキング検出回路8に入力される。尚、電流検出素子18は抵抗素子で良く、電流を電圧値として検出すればよい。
そして、トラッキング検出回路8に入力された電流信号は、絶対値回路14で整流され、増幅回路15で増幅される。更に、微分回路16で平滑化された後比較回路17に入力される。比較回路17では、入力された電流信号を所定の設定値と比較し、入力信号が設定値を超えたらトラッキング放電発生と判断して信号が出力される。
この信号により電路引き外し装置11は動作し、電路を開放操作即ち開閉器10が開操作される。開閉器10は、電路の中の親コンセント1と子コンセント2との共通する部位に設置され、開閉器10の開動作により双方の電源コンセント1,2の受刃5,5が電源4から切り離される。尚、具体的には、親コンセント1の中に親子双方の電源コンセントに共通する電路を設け、その部位に開閉器10は設置されている。
【0013】
また、子コンセント2に接続されたプラグにトラッキング放電が発生したら、信号線12を介して電流検出素子18が子コンセント2のセンサ6に流れる電流を検出する。その検出した電流信号は絶対値回路14で整流され、以下親コンセントにおいてトラッキング放電が発生した場合と同様であり、最終的に開閉器10が開動作し、電源コンセント1,2が電源4から切り離される。
尚、比較回路17の設定値は、可変抵抗器20により容易に変更可能となっており、トラッキング放電の感度を最適値に設定可能となっている。
【0014】
このように、子コンセント2にはセンサ6を備えるだけで、親コンセント1と同様にトラッキング放電が発生した際に受刃5を電路から遮断できる。ところで、このような子コンセント2は1つの親コンセント1に対して1つに限定する理由はなく、複数の子コンセント2を電源に対して親コンセント1先に一列に電源コード3に接続することができ、そのように複数の電源コンセントが共通する電路に接続されている場合、最も電源に近い親コンセント(第1の電源コンセント)を除いてトラッキング検出回路及び遮断手段を設けることなく、何れの電源コンセントにトラッキング放電が発生しても電源コンセントを電路から遮断できる。従って、トラッキング放電に対して遮断する機能を有する複数のコンセントから成るシステムを少ない部材で実現でき、最小限のコスト増に抑えることができる。
【0015】
図3は、本発明に係る電源コンセントシステムの第2実施形態を示している。1aは親コンセント、2aは子コンセントであり、上記第1の実施形態との相違点は、子コンセント2aに、センサ6に加えてトラッキング検出回路8を設けた点である。尚、第1実施形態と同様の構成部材には同一の符号を付与し、説明を省略する。
子コンセント2aに設けられたトラッキング検出回路8は、親コンセント1aに設けられているトラッキング検出回路8と同様の回路であり、子コンセント2aのトラッキング検出回路8の出力信号が信号線12を介して親コンセント1aの電路引き外し回路9に入力される。
【0016】
このように、電路引き外し装置11のみ親コンセントに設け、トラッキング検出回路8を個々の電源コンセントに設けても良い。こうすることで、複数の電源コンセントが共通する電路に接続されている場合、最も電源に近い親コンセントを除いて遮断手段を設けることなく、何れの電源コンセントに接続されたプラグにトラッキング放電が発生しても電源コンセントを電路から遮断でき、トラッキング放電に対して遮断する機能を有する複数の電源コンセントから成るシステムを少ない部材で実現できる。
そして、個々の電源コンセントにトラッキング検出回路を設けることで、個々の電源コンセントで、トラッキング放電発生と判定する設定値を最適値に設定して、検出精度を上げることが可能となるし、信号線が長く線路抵抗が大きくなっても、トラッキング検出回路8の出力信号は、センサの放電検知信号の様に微小信号ではないので、確実に電路引き外し装置11を動作させることができる。
【0017】
尚、何れも親コンセント1に受刃5を1組、子コンセント2に受刃5を1組設けた例について説明しているが、各電源コンセントに受刃が複数組設けられている場合も同様であり、開閉器10は、親コンセント及び子コンセント双方を遮断する部位に設置し、センサのみ各受刃の組に対して設け、各電源コンセント毎に並列接続すればよい。
また、本発明の電源コンセントシステムは、壁面に設けられる壁面コンセントにおいて好適であるが、フロアコンセントや引掛シーリング等にも容易に適用できるものである。
【0018】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、何れの電源コンセントにトラッキング放電が発生しても、電源コンセントを電路から遮断できる。しかも、電源コンセントの設置数に対して少なくとも遮断手段を同数設ける必要がなく削減できる。従って、トラッキング放電に対して遮断する機能を有する複数の電源コンセントから成るシステムを少ない部材で実現でき、コスト増を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す電源コンセントシステムのブロック図である。
【図2】図1の第1の電源コンセントの回路図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す電源コンセントシステムのブロック図である。
【符号の説明】
1,1a・・親コンセント(第1の電源コンセント)、2,2a・・子コンセント(第2の電源コンセント)、3・・電源コード、4・・電源、5・・受刃、6・・センサ、8・・トラッキング検出回路、9・・電路引き外し回路、10・・開閉器、11・・電路引き外し装置(遮断手段)、12・・信号線。
Claims (2)
- 電源側から、第1の電源コンセント、少なくとも1つの電源コンセントから成る第2の電源コンセント、の順に同一電路に設置して成る電源コンセントシステムであって、
前記第1の電源コンセントに、該第1の電源コンセントに接続されたプラグの栓刃間に発生する放電を検知するセンサと、該センサが検知した情報を基にトラッキング放電を検出するトラッキング検出回路と、トラッキング放電を検出したら前記第1及び第2の電源コンセントを電路から遮断する1つの遮断手段とを備える一方、前記第2の電源コンセントには、該第2の電源コンセントに接続されたプラグの栓刃間に発生する放電を検知するセンサを備え、
前記第1の電源コンセントと前記第2の電源コンセントとを信号線で接続して、第2の電源コンセントのセンサが検知した放電情報を前記信号線により前記第1の電源コンセントのトラッキング検出回路に入力し、
トラッキング放電が検出されたら、前記遮断手段を動作させて第1及び第2双方の電源コンセントを電路から遮断することを特徴とする電源コンセントシステム。 - 電源側から、第1の電源コンセント、少なくとも1つの電源コンセントから成る第2の電源コンセント、の順に同一電路に設置して成る電源コンセントシステムであって、
前記第1の電源コンセントに、該第1の電源コンセントに接続されたプラグの栓刃間に発生する放電を検知するセンサと、該センサが検知した情報を基にトラッキング放電を検出するトラッキング検出回路と、トラッキング放電を検出したら前記第1及び第2の電源コンセントを電路から遮断する1つの遮断手段とを備える一方、前記第2の電源コンセントには、該第2の電源コンセントに接続されたプラグの栓刃間に発生する放電を検知するセンサと、該センサが検知した情報を基にトラッキング放電を検出するトラッキング検出回路とを備え、
前記第1の電源コンセントと前記第2の電源コンセントとを信号線で接続して、第2の電源コンセントのトラッキング放電検出信号を前記信号線により前記第1の電源コンセントの遮断手段に伝送し、
前記第1或いは第2の電源コンセントにてトラッキング放電が検出されたら、前記遮断手段を動作させて双方の電源コンセントを電路から遮断することを特徴とする電源コンセントシステム。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007057524A (ja) * | 2005-07-29 | 2007-03-08 | Kawamura Electric Inc | 漏れ電流検出回路、電源コンセント装置、及び電源コード装置 |
JP2008016358A (ja) * | 2006-07-07 | 2008-01-24 | Kawamura Electric Inc | 配線器具 |
WO2009140171A2 (en) * | 2008-05-13 | 2009-11-19 | Unitron, L.P. | Receptacle with arc protection circuitry |
-
2003
- 2003-05-21 JP JP2003143994A patent/JP2004349081A/ja active Pending
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WO2009140171A3 (en) * | 2008-05-13 | 2010-04-01 | Unitron, L.P. | Receptacle with arc protection circuitry |
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