JP2004341611A - 保険者情報システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被保険者の健康管理情報を記憶する被保険者データベース101を有する統合データベースサーバ100と、前記被保険者データベース101から被保険者の健康管理情報を読み込み、被保険者の中から健康管理に介入が必要な介入対象に関する介入対象情報を決定するとともに、介入対象の健康増進を支援する介入支援情報を決定する介入決定支援装置200と、介入支援情報により介入対象が適用した実績を示す適用実績データと健康管理情報とを入力して、介入決定支援装置200が決定した介入支援情報を評価する実績評価装置300とを備えた。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、被保険者の健康増進を支援するための介入サービスを提供するとともに、被保険者に提供した介入サービスの評価を行なうシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
人の健康を管理する健康管理システムとして、個人の健康に関する情報を収集、分析し、健康増進のアドバイスを通信回線等を用いて提供する健康管理システムが提案されている。
例えば、特開2001−22837(特許文献1)では、個人の生活を改善するため、個人属性データ、生化学データ、生活習慣データ等を個人データベースに登録する。そして、当該データから生活習慣を改善するためのプログラムを割り付け、生活習慣の改善について具体的なアドバイスを行なう技術を開示している。
また、特開2002−157339(特許文献2)は、自治体が住民の健康管理を行なうシステムであるが、調査結果をデータサーバに蓄積するとともに、生活習慣病の発症度を定量化し、生活習慣改善指導を順序化してアドバイスを行なう技術を開示している。
【0003】
以上のような、生活習慣の改善について具体的なアドバイスを行った場合に、あるいは、さらに広く、アドバイスを含む健康増進のための介入サービスを提供した場合に、さらに個人だけでなく集団の健康管理を適切に行うためには、その提供した介入サービスが(アドバイスを含む)が適正なものであったかを評価し、その評価結果を介入サービスへフィードバックすることにより介入サービスを向上させる仕組みが望まれる。ここで「介入」とは、人の健康の維持、増進を支援するため、その人(個人あるいは集団)に働きかけることをいう。また、介入サービスと介入サービスの導入コストとの関係(提供サービスのコスト妥当性)を知りたい場合もあり、そのような場合、前記評価結果を用いて介入サービスのコスト妥当性を判断することが望まれる。また、介入サービスを提供した介入サービス提供会社のサービスの品質チェックや品質改善など、前記評価結果をその他の様々な用途に利用することも望まれる。
しかし、上記の従来の技術においては(例えば、特許文献1、特許文献2)提供した介入サービス自体が適正であったかどうかを評価する手段は開示されていない。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−22837号公報
【特許文献2】
特開2002−157339号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、健康増進のために提供する介入サービスが適正なものであるかどうかを評価し、評価結果をフィードバックして活用する情報システムの構築を目的とする。
また、本発明は、データベースによって医療についての保険者等における保健事業を統合して一括管理することにより、多種、多様な介入サービスをデータに基づき適正に評価する情報システムの構築を目的とする。
また、本発明は、健康増進のために提供する介入サービスの評価結果を活用することにより、介入サービスの計画、介入サービスの実施、介入サービスの評価、評価に基づく改善とういう、サイクル化した健康管理を提供する情報システムの構築を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の保険者情報システムは、
被保険者集団の健康管理情報の履歴を記憶する被保険者データベースを有するデータベースサーバと、
前記データベースサーバの被保険者データベースに記憶された被保険者集団の健康管理情報を読み込み、所定の基準に基づいて被保険者集団の中から健康管理に介入すべき介入対象を含む介入対象情報を決定し、介入対象の健康増進を支援するための介入支援情報を決定し、介入対象情報と介入支援情報とを出力する介入決定支援装置と、
前記介入決定支援装置が決定した介入支援情報により介入対象に健康増進のために適用した実績を示す適用実績データを入力し、前記被保険者データベースに記憶された被保険者集団の健康管理情報の履歴の中から、適用実績データが示す実績の適用前の健康管理情報と適用後の健康管理情報とを読み込み比較することにより、前記介入決定支援装置により決定された介入支援情報を評価し評価結果を出力する実績評価装置とを備えたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1を説明する。
実施の形態1、及び後述する実施の形態2の説明において、「被保険者集団」は、被保険者集団の特別な場合として個人も含むものとする。また、説明において被保険者集団に続く括弧の中に、特に個人を指す場合は「被保険者集団(個人)」とし、集団を指す場合は「被保険者集団(集団)」と記す。
図1は、実施の形態における統合保険者情報システム1000(保険者情報システムの一例)の構成を示す。統合保険者情報システム1000は、産業医10、会社20、医療機関30、介入サービス提供会社40(介入サービス提供機関の一例)、個人50(被保険者である。)及び健康保険組合60などの各種の事業、機関が接続する統合データベースサーバ100(データベースサーバの一例)を備え、統合保険者情報システム1000はこの統合データベースサーバ100を中心として、健康保険組合60(保険者の一例)に所属する被保険者集団の健康に関する情報を一括管理して、被保険者集団の健康増進を総合的に支援することを特徴とする。
【0008】
統合データベースサーバ100の備える被保険者データベース101は、健康保険組合60に所属する被保険者集団の健康に関する情報(後述する健康管理情報、健康度、レセプト情報等)を記憶し管理している。
介入決定支援装置200は、被保険者データベース101に記憶された被保険者集団の健康管理情報等を読み込んで、所定の基準に基づいて被保険者集団の中から、健康増進(健康管理の一例)として介入すべき介入対象(個人であっても集団であっても良い)についての情報を含む介入対象情報を決定し、さらに介入対象の健康増進を支援するために提供する介入サービス(複数であっても良い)についての情報を含む介入支援情報を決定する。
決定に際しては、被保険者データベース101に情報が記憶されている被保険者集団の時系列的な健康に関する実績情報に基づいて生成された統計的なモデルを用いて介入サービスの適用時と非適用時の将来の健康に関する予測結果、例えば、健診項目(健康管理情報の一例)や医療費や健康度についての予測結果を用いることもできる。
さらに、実績評価装置300は、介入決定支援装置200によりなされた介入対象とそれに対応する介入支援情報の決定により実施された介入サービスの実績情報を活用して適用された介入サービスの評価を、介入対象に介入サービスを適用した年月日の情報を含む適用実績データから介入サービスを適用した時期情報(年月日等)を取得し、その介入サービス適用前後の健康管理情報の実績を用いて比較することにより、介入対象に適用された介入サービスを評価し、評価結果を統合データベースサーバ100に出力する。
【0009】
同様にして、実績評価装置300は、介入決定支援装置200によって決定された介入対象情報と介入支援情報に基づいて適用された介入サービスの評価を、適用実績データから介入サービスを適用した時期情報(年月日等)を取得して、その介入サービス適用前後のレセプト情報(医療費に関する医療費データの一例)の実績を用いて比較することにより、介入対象に実施された介入サービスを評価し評価結果を統合データベースサーバ100に出力する。
【0010】
さらに、健康度生成装置500は、被保険者データベース101に記憶された被保険者集団の健康管理情報を読み込んで、所定の基準に基づいて被保険者集団の健康状態の程度を示す健康度を生成し、生成した健康度を被保険者データベース101に記憶する。介入決定支援装置200は、被保険者データベース101に記憶された被保険者集団の健康度を読み込んで、所定の基準に基づいて被保険者集団の中から、健康増進(健康管理の一例)として介入すべき介入対象(個人であっても集団であっても良い)についての情報を含む介入対象情報を決定し、さらに介入対象の健康増進を支援するために提供する介入サービス(複数であっても良い)についての情報を含む介入支援情報を決定する。
なお、ここで決定に際しては、被保険者データベース101に情報が記憶されている被保険者集団の時系列的な健康に関する健康度を含む実績情報に基づいて生成された統計的なモデルを用いて介入サービスの適用時と非適用時の将来の健康に関する予測結果(例えば、健診項目(健康管理情報の一例)や医療費や健康度についての予測結果)を得て、それに基づいて決定してもよい。
さらに、決定に際して、前述の、被保険者データベース101に情報が記憶されている被保険者集団の時系列的な健康に関する健康度を含む実績情報に基づいて生成された統計的なモデルを用いて介入サービスの適用時と非適用時の将来の健康に関する予測結果(例えば、健診項目(健康管理情報の一例)や医療費や健康度についての予測結果)に加えて、その予測結果における経済的換算価値を、実績評価装置300が健康度と経済的な換算価値についての関係を算出して生成した健康度換算価値対応情報(評価結果の一例)を用いて取得し、その結果に基づいて決定することもできる。
また、さらに決定に際して、介入決定支援装置200が記憶している介入サービスを介入対象に適用する場合の導入コスト(後述の導入費用と同じ)と、前記において取得した経済的換算価値とを比較して、比較した結果に基づいて決定することもできる。
続いて、実績評価装置300は、介入決定支援装置200により決定された介入対象情報とそれに対応する介入支援情報の決定により適用された介入サービスの評価を、適用実績データから介入サービスを適用した時期情報(年月日等)を取得して、その介入サービス適用前後の健康度の実績を用いて比較することにより、介入対象に実施された介入サービスを評価し評価結果を統合データベースサーバ100に出力する。
【0011】
また、介入決定支援装置200は図6に示す予測部203を備え、予測部203は、介入対象情報と介入支援情報についての予測を依頼されると、依頼された介入対象情報と介入支援情報(決定した介入対象情報と介入支援情報の一例)と、被保険者集団の時系列的な健康に関する実績情報に基づいて生成された統計的なモデルとを用いて介入サービスの適用時と非適用時の将来の予測(例えば、健診項目や医療費や健康度についての予測)を行い予測結果を出力する。
【0012】
また、課金装置700は、課金規則を記憶する課金規則部701を備え、実績評価装置300が健康度と経済的換算価値についての関係を算出して生成した健康度換算価値対応情報(評価結果の一例)等を入力し、入力した評価結果と課金規則とに基づいて、介入サービス提供会社40や個人50や健康保険組合60等に関する課金情報を生成する。
【0013】
また、特典付与装置800は、介入対象に対して所定の基準により健康増進のための個人50の自己負担の補助金(特典の一例)を与えるための特典規則を生成する。ここで、特典規則の生成の対象となる対象者は、被保険者集団の中から、健康保険組合60等からの介入対象候補の前提条件に基づいて介入対象候補選定装置400が抽出した介入対象候補や介入決定支援装置200が抽出し決定した介入対象情報に基づく。
なお、特典規則の生成に際しては、実績評価装置300が健康度と経済的換算価値(換算価値の一例)についての関係を算出して生成した健康度換算価値対応情報(評価結果の一例)を取得し、その結果に基づいて特典規則を決定してもよい。
さらに、特典規則の生成に際しては、特典規則の生成における対象者全体に対しての被保険者集団の健康度が第一の健康度から第二の健康度へ遷移する確率を示す健康度遷移確率の情報に基づいて、特典規則を決定してもよい。
【0014】
また、健康管理装置600は、統合データベースサーバ100を介して、介入決定支援装置200、実績評価装置300、介入対象候補選定装置400、健康度生成装置500、課金装置700、特典付与装置800、との間で必要な情報連携したり、表示装置70と連携することにより、健康増進に関わる産業医10、会社20、医療機関30、介入サービス提供会社40、個人50、及び健康保険組合60などにおける健康増進に関わるそれぞれの利用者(被保険者集団を含む)に適した入出力の機能を提供する。
機能の例として、特典付与装置800が生成した特典規則を含む情報を利用者に提供する。
また、別の機能として、介入決定支援装置200が介入対象の健康増進のため介入対象に適用することが可能なサービスを示す介入サービスを介入支援情報の一部に含めて介入支援情報を決定し、決定した介入支援情報に含まれる介入サービスに基づいて介入対象に介入サービスを適用する場合の適用効果を予測し、適用効果の予測と介入対象情報と介入支援情報とを出力し、これらの情報を利用者に提供する。
【0015】
以上のように、統合保険者情報システム1000は、健康増進のために提供する介入サービスの評価結果を活用することにより、介入サービスの計画、介入サービスの実施、介入サービスの評価、評価に基づく改善とういう、サイクル化した健康管理を提供する情報システムの機能を提供する。
【0016】
図1により、本実施の形態に係る統合保険者情報システム1000の構成を説明する。
統合保険者情報システム1000は、統合データベースサーバ100、介入決定支援装置200、実績評価装置300、介入対象候補選定装置400、健康度生成装置500、健康管理装置600、課金装置700、特典付与装置800、健診データサーバ11、人事データサーバ21、医療データサーバ31、レセプトデータサーバ61、顧客情報データサーバ41及び42、個人端末51、表示装置70の各装置を備えている。また、介入サービス統括装置900は、統合データベースサーバ100、介入決定支援装置200、実績評価装置300、介入対象候補選定装置400、健康度生成装置500、健康管理装置600、課金装置700、特典付与装置800、表示装置70を備えており、統合保険者情報システム1000に含まれる。
統合データベースサーバ100は、被保険者データベース101と介入サービス提供会社評価情報記憶部102、健康度医療費対応情報記憶部103、健康度換算価値対応情報記憶部104、企業健康度評価情報記憶部(図示していない)を備えている。
また、介入決定支援装置200は、介入サービス適用モデル201と介入サービス非適用モデル202とを備えている。また、介入対象候補選定装置400は、介入対象候補選定規則部401を備えている。健康度生成装置500は健康度生成規則部501を備えている。課金装置700は課金規則部701を備えている。特典付与装置800は特典規則部801を備えている。
統合データベースサーバ100には、介入決定支援装置200、実績評価装置300、介入対象候補選定装置400、健康度生成装置500、健康管理装置600、課金装置700、特典付与装置800が接続されている。
さらに、統合データベースサーバ100には、産業医10、会社20、医療機関30、介入サービス提供会社40、個人50、健康保険組合60の使用する各々のシステムが接続されている。なお、個人50とは、健康保険組合60(保険者の一例)に所属する被保険者集団の個人、及び個人で構成された集団を表す。
【0017】
産業医10の健診データサーバ11は、被保険者集団の健康診断のデータを健診情報として格納し、格納した健診情報等を統合データベースサーバ100へ送る。送られた健診情報等は、健康管理情報(後述する)の一部として被保険者データベース101に記憶される。なお、健診データサーバ11が統合データベースサーバ100へ送信する他に、統合データベースサーバ100が健診データサーバ11のデータをとりに行ってもよい。このデータのやりとりは、健診データサーバ11に限らず、統合データベースサーバ100と接続しているシステム、装置とも同様である。
【0018】
会社20の人事データサーバ21は、社員である被保険者集団の勤怠情報を格納し、格納した勤怠情報を統合データベースサーバ100へ送る。送られた勤怠情報は、被保険者データベース101に健康管理情報(後述する)の一部として記憶される。
【0019】
医療機関30は、被保険者集団に対して医療サービスを行い、その結果を医療データサーバ31に記憶する。また、医療機関30は医療データサーバ31を介して、健康保険組合60に保険の請求をする。保険の請求情報は診療報酬請求情報と呼ばれ、間接的(社団法人診療報酬支払基金等の機関を通じた場合)または直接的(医療機関が直接保険者に請求する場合)に健康保険組合60のような保険者に送られる。健康保険組合60におけるレセプトデータサーバ61は、医療機関から送られてきた診療報酬請求情報(レセプト情報)を格納し、格納したレセプト情報を統合データベースサーバ100へ送る。送られたレセプト情報は、被保険者データベース101に記憶される。
【0020】
介入サービス提供会社40の顧客情報データサーバ41、顧客情報データサーバ42は、介入サービスの適用実績データ(後述する)を格納し、格納した適用実績データを、統合データベースサーバ100へ送る。送られた適用実績データは、被保険者データベース101に記憶される。
【0021】
個人50における個人端末51は、個人の介入サービスを通じて得られる健康関連の情報を格納して統合データベースサーバ100へ送信し、被保険者データベース101が記憶する。
【0022】
統合データベースサーバ100は、産業医10、会社20、医療機関30、介入サービス提供会社40、個人50、健康保険組合60の各機関と通信または媒体等の手段により接続している。また、統合データベースサーバ100は、介入決定支援装置200、実績評価装置300、介入対象候補選定装置400、健康度生成装置500、健康管理装置600の各装置、課金装置700、特典付与装置800と接続している。統合データベースサーバ100は、これらの各機関、各装置からデータを受信して、被保険者データベース101、介入サービス提供会社評価情報記憶部102、健康度医療費対応情報記憶部103、健康度換算価値対応情報記憶部104、企業健康度評価情報記憶部(図示していない)にデータを記憶する。また、記憶したデータを各機関、各装置へ送信する。統合データベースサーバ100と、前記の各機関、及び各装置との間でやりとりする「個人に関するデータ」には、データIDが付与されている。ここで、「データID」とは、同一人に係るデータであることを識別するための識別子である。このデータIDにより、同一人に係るデータどうしを関連付けることが可能となる。例えば、同一人に関して、産業医10における健診情報と、会社20における勤怠情報とに、同じデータIDを付与することにより、データIDが同じである健診情報と勤怠情報とは同一人に係るデータであることがわかる。このように、やりとりする「個人に関するデータ」にデータIDを付与することで、同一人に係るデータを関連付けることができる。統合データベースサーバ100は、データIDによる関連付けがされた各種のデータを、被保険者データベース101に時系列に保存し、管理する。このデータIDは、個人名を秘匿したものを関連付けることとしても利用することができる。
【0023】
被保険者データベース101は、図2に示すように健康保険組合60に所属する被保険者集団の健康管理情報、集団管理情報、適用実績データ、レセプト情報、健康度、等を記憶している。
【0024】
「健康管理情報」とは、被保険者集団の健康に関する情報であり、図2に示すのは健康管理情報の一例である。図2に示す例のように、健康管理情報には、健診情報、生活習慣情報、健康モニタリング情報、勤怠人事情報、などがある。
【0025】
「健診情報(主に健康診断により得られる情報)」とは、例えば、身長、体重、視力、聴力、血圧、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、尿検査、心電図検査、などの検査値や、X線検査や心電図による医師の所見などの、健康診断結果の情報が挙げられる。
【0026】
「生活習慣情報」とは、主に、問診やアンケートにより得られる情報である。生活習慣情報とは、少なくともBMI(Body Mass Indexと呼ばれる肥満度や適正体重を示す数値指標であり、主として食事習慣に関わる数値指標である)、運動習慣、禁煙習慣、歯の手入れの習慣、ストレス(ストレス度)又はメンタル又は休養、に関する情報のいずれかを含む情報で、生活習慣に関わる情報である。また、さらに、これ以外に飲酒などの生活習慣の情報を追加してもよい。
【0027】
「健康モニタリング情報」とは、標準的な健康診断では収集されないが、追加的な問診、アンケート、介入サービスにより得られる健康に関する情報が該当し、例えば、健康診断よりも頻繁に収集した体重、血圧、体脂肪、血糖値、などのデータ、最大酸素摂取量、基礎体力、全身持久力、社会参加度などに関する情報がある。
【0028】
「勤怠情報」とは、職種、職制、残業時間、休暇、傷病休暇、など勤務に関連する情報である。
【0029】
「健康度」とは、被保険者集団の健康状態の程度を示す指標である。これについては、後述の健康度生成装置500で詳しく述べる。
【0030】
被保険者データベース101は、図2に示すように、集団管理情報を記憶する。「集団管理情報」とは、集団を構成する組織や集団の特性を示す情報である。
企業における集団管理情報の例として、次が挙げられる。
(1)組織情報である。企業名、事業所名、部課名などの組織が持つ健康増進に関する特性を示す情報である。例えば、意識レベルについての情報としては、社長以下管理者の健康増進の意識や、医療費増大危機意識や、悪い生活習慣へのリスク意識や、禁煙意識などが該当する。また、組織の就業状況を示す残業率、傷病休暇率、休暇取得率、就業日数、出張日数などの勤怠情報がある。また、営業か、デスクワークか、生産現場か、夜勤交替か、などの勤務形態に関する情報がある。また、組織業績や、責任度や、緊急性などの業務の性格を示す情報がある。
(2)集団抽出特性情報である。即ち、集団の抽出特性条件(例えば、年齢40歳以上、かつ、デスクワーク、かつ、喫煙者のような抽出条件)を示す情報である。
(3)集団所属メンバ情報である。例えば、メンバのID、氏名などである。
(4)集団への介入サービスに関する情報である。例えば、介入サービス種別(プロトコル(手順名)、提供主体、サービス名称、等)や、介入サービスへの参加回数、介入開始時期、介入日時、介入内容、介入回数、集団への介入結果、などがある。
【0031】
被保険者データベース101は、図2に示すように、レセプト情報を記憶する。「レセプト情報」とは、診療報酬請求書情報であり、医療機関からの診療報酬請求情報(保険区分情報、医療機関情報、傷病名、診療開始日、請求点(医療費請求情報)、投薬、処置、手術、詳細情報などを含む)である。
【0032】
被保険者データベース101は、図2に示すように、適用実績データを記憶する。「適用実績データ」とは、介入支援情報に含まれる介入サービスを、介入対象に適用した実績を示すデータである。例えば、介入サービスの種別(提供主体、介入サービスの名称、介入プロトコル(手順名)、等)や、介入サービスへの参加回数や、介入サービス適用の時期情報(年月日等)、介入サービスの適用時間や、介入サービスの内容や、介入サービスの回数や、介入対象者(個人または集団)への介入結果や満足度などを含む。
なお、ここでは、介入サービス名称とは、複数のプロトコルの集合の総称として定義する。
【0033】
被保険者データベース101は、図2に示すように、この他に、健康度、介入対象候補、介入効果予測、介入対象情報、介入支援情報、評価結果、課金情報、健康増進支援情報、特典情報、介入サービス標準プロトコル等を記憶する。これらについては、後述する。
【0034】
前記のように、「個人に関するデータ」にはデータIDが付されており、このデータIDにより、「個人に関するデータ」は互いに関連付けられている。前記のようにこれらの健診情報などのデータは、統合データベースサーバ100に対して、健診情報は健診データサーバ11が送信し、生活習慣情報は健診データサーバ11あるいは個人端末51が送信し、勤怠情報は人事データサーバ21が送信し、レセプト情報はレセプトデータサーバ61が送信し、適用実績データは顧客情報データサーバ41あるいは顧客情報データサーバ42が送信する。
【0035】
また、統合データベースサーバ100は、介入サービス提供会社40についての評価に関する情報を示す介入サービス提供会社評価情報を記憶する介入サービス提供会社評価情報記憶部102を備える。介入サービス提供会社評価情報の例として、介入サービス提供会社40の売上規模、人員規模、収益性、被保険者集団の満足度、介入サービスランク、などの情報がある。
【0036】
また、統合データベースサーバ100は、企業などの組織の健康度についての評価に関する情報を示す企業健康度評価情報を記憶する企業健康度評価情報記憶部(図示していない)を備える。企業健康度評価情報の例として、企業の集団の健康度、レセプト情報における企業の医療費、健康度の変化の傾向、健康に関連する個人情報保護・セキュリティ・品質管理・環境管理の状況(ISO(International Organization for Standardization)などの認定取得状況)などである。なお、統合保険者情報システムが持たない個人情報保護・セキュリティ・品質管理・環境管理の状況などの情報は、企業に設置された後述の図34における表示装置70から入力する。企業健康度評価情報は、後述する表示装置70により産業医10、会社20、健康保険組合60、個人50などに提供する。また、表示装置70を通じて一般社会(新聞社などのメディア)に公開することも可能である。
【0037】
健康度生成装置500は、被保険者データベース101に記憶された被保険者集団の健康管理情報等を読み込んで、所定の基準に基づいて被保険者集団の健康状態の程度を示す健康度を生成し、生成した健康度を被保険者データベース101に記憶する。即ち、被保険者データベース101から被保険者集団の健診情報、生活習慣情報、健康モニタリング情報、勤怠情報などの健康管理情報などを読み込み、健康度生成規則部501の記憶する健康度を生成する規則により、個人あるいは集団の健康度を生成する。
【0038】
「健康度」とは、被保険者データベース101に記憶されている被保険者集団の健康にかかわる情報を元に生成された数値で、健康の程度を示す指標である。健康度は、健診情報、生活習慣情報、健康モニタリング情報、勤怠情報、レセプト情報,適用実績データなどから、予め決められた規則(所定の基準の一例)によって健康の評価指標として生成される数値である。
規則によって、複数の健康度があってもよい。共通的な規則に加えて、保険者A(例えば、ある健康保険組合A)向け規則、生活習慣病重点規則、禁煙重視規則、などが有りうる。保険者の考え方によって規則を変更してもよい。健康度は、数値を想定しているが、表示に際しては、健康状態を指標できるものであればその表現を文字、記号化してもよい。また、集団の健康度は、例えば個人の健康度の総和を平均した値を集団の健康度として用いることができる。
【0039】
健康度生成装置500は、健康度を生成する規則を自由に定義する機能を有する。例えば、健康保険組合60などの保険者のニーズにあわせて定義する。
(1)健康度生成装置500は健康度を生成するために必要なデータ項目である情報源を選択できる機能を有する。情報源としては、健診情報項目やアンケートを行った場合のアンケート項目(食生活についてのアンケートや屋外活動についてのアンケートなど)、健康モニタリング項目(健診とは別に被保険者集団の健康状態をモニタリングした時の血圧値や運動量、食事摂取量など)などを選択することができる。図3は、健康度を生成する場合に用いるデータ項目を表示する表示画面を示している。例えば、産業医10などの健康管理の責任者は図3の表示画面を用いて健康度の計算に必要な項目を選択して、被保険者集団の健康度を生成するための計算式を定義する。図3において身長、体重、BMI、血圧値、血糖値などは、健康度を生成するために計算式で利用するデータ項目の候補を一覧表示したものである。これらのデータ項目に対して、K1、K2などの項目IDが付されている。(図3において、健診項目3501を選択すると、項目一覧3504に健診に関する項目が表示される。同様に、アンケート3502を選択するとアンケートに関連する項目(図4に例示されているA1、A2、A3、A4)が表示される。更にモニタ3503を選択すると健康モニタリング情報に関する項目が表示される。
(2)健康度生成装置500は、健康度を生成するのに用いるデータ項目のデータを、健康度を表す数値計算に利用できるように変換するために、カテゴライズする機能を有する。カテゴライズとは、例えば、BMIや血圧などのような連続値では、正常範囲があり、その範囲よりも上の数値でも下の数値でも健康度としての評価が低くなるように、BMIや血圧などの値を区分けして数値変換することを意味する。
例えば、図3における健康度を生成するデータ項目の一つであるBMIは連続値である。このBMIを例にカテゴライズの方式を示す。健康度生成装置500は、このBMIに対し、図5に示すように、所定の範囲に区分けして、区分けした範囲ごとに点数を割り付ける。この割り付けられた点数をBMIから得られる値として健康度の生成に使用する。アンケート項目A1、A2、A3、A4についてもそれぞれ、健康度の計算に用いるために数値変換するルールを予め定義する。例えば、“歯磨き習慣”では、歯磨き一日4回以上は5点、一日3回は3点、一日2回は2点、一日1回は1点、一日0回は0点、というような方式でアンケートを点数化することができる。アンケートの回答方式に応じた点数化を行い、点数化する。健康度生成装置500は、このように数値に数値変換された値を健康度の生成に使用する。
(3)健康度生成装置500は、選択されたデータ項目を利用して健康度を計算し生成する計算式定義機能を備える。図4は、健康度をKとして、計算で定義する場合の一例を示すものである。項目IDのK3、A1、A2、A3、A4を用いて健康度Kを計算式として定義入力することができる。データ項目IDにおいて、K3はBMI、A1は運動習慣、A2は禁煙(喫煙習慣の有無)、A3は歯磨き習慣、A4はストレス(ストレス度)(例えばアンケートによる結果)である。これらのデータ項目により定義された計算式を解釈・実行することにより、健康度Kを計算して生成する。この生成式は健康度生成規則部501が記憶している。
(4)健康度生成装置500は、健康度生成規則部501が記憶している、健康度の生成式を定義した定義情報に基づいて健康度を計算する。健康度生成規則部501は、複数の健康度の生成式を記憶し、使用する健康度の式を設定することができる。このように設定を可能とすることで、例えば、健康保険組合60の希望する健康度の生成式を用いることができ、目的に合わせた健康度を生成することが可能である。これらの生成式の設定入力等では、図34に示す表示装置70(後述する)を用いて入力してもよい。即ち、例えば産業医が産業医10に配置している表示装置70を用いて入力し、表示装置70を管理している健康管理装置600(後述する)を経由し、さらに統合データベースサーバ100を経由して健康度生成装置500が入力内容を得る。また別の方式として、健診データサーバ11の端末(図示していない)により入力して統合データベースサーバ100を経由して健康度生成装置500が入力内容を得るようにしてもよい。
【0040】
図6、図7、図8は、各種の健康度の生成式について具体例を示している。図6は、個人の健康度生成における計算式の例を示している。また、図7は各健康度の分類とその計算に必要な変数(データ項目)を示している。図8は集団の健康度生成における計算式の例を示している。図6、図7、図8において、L1、L2、A1、A2、C1、C2等自体が、一つの健康度をあらわしている。例えば、図6においてL1、A1はそれぞれが健康度であり、また、L1、A1の和として生成されるC1もまた、健康度である。また、図6は個人の健康度、図8は集団の健康度の計算例を示している。
健康度は、介入サービスの効果を計測する指標となるものである。人間の健康状態を表現するためのデータ項目として数百のデータ項目があるが、健康度を生成する生成式に数百の健康に関するデータ項目を取り込むことは、コストと時間がかかる。したがって、健康度を算出するために必要なデータ項目はなるべく少なく、かつ有効な指標である必要がある。図6、図7、図8に、その一例を示す。図7は、数多くの健康に関する情報のうち、限られたデータ項目のみを用いて健康度を生成する例を示す。
図7において、個人の健康度を表す場合に、大きく「健康指標」と「心身機能」で健康度を表すことを示している。さらに、「健康指標」としては健康状態(これを表す健康度はC1)と健康維持力(これを表す健康度はC2)があり、「心身機能」については、生活習慣病関連(これを表す健康度はL)と生活機能関連(これを表す健康度はA)があることを示している。更に「健康指標」と「心身機能」により区分された、それぞれの健康度にL1、L2、A1、A2定義されている。
ここで、健康度を算出するために必要なデータ項目として、健康度L1については肥満度、血圧、血糖値、血清総コレステロールの4データ項目、健康度L2についてはBMI、運動、禁煙、ストレス(ストレス度)、歯磨きについての習慣の5データ項目、健康度A1は最大酸素摂取量の1データ項目、健康度A2は週当たりの屋外活動の1データ項目により生成される。さらに、健康度C1は健康度L1と健康度A1の合計、健康度C2は健康度L2と健康度A2の合計、健康度L1は健康度L1と健康度L2の積、健康度Aは健康度A1と健康度A2の積、総合健康度Tは、健康度Lと健康度Aの和、となっており、それぞれの健康度に応じて、ここに示す必要なデータ項目だけを用いて健康度を容易に計算し定量化する手段を示している。
これにより、目的に応じて有効かつ低コストの健康度の生成を可能とする。
以上の健康度(L1、L2、A1、A2、C1、C2、L、A、T)により、健康を表す基本的な指標を有効で低コストに生成することを可能とする。なお、必要に応じて、L2に飲酒習慣の情報を追加したり、L1に尿酸値を加えるなどデータ項目を追加削減しても良い。
【0041】
以上の方式により、様々な健康度についての算出方式を容易に定義することができると同時に、どのような健康度の算出方式が妥当であるかという妥当性を評価する場合に、複数の算出方式による比較を迅速かつ容易に実施することもできる。例えば、健康度と医療費の過去の実績から将来の医療費を予測する場合を想定する。この場合、被保険者データベース101に蓄積された過去の健康度と医療費の実績情報を元にした統計処理において、どのような健康度の算出方式(生成式)を使うと最も医療費の実績を説明するのに適した統計処理を行うことができるかの比較を行う。この比較において、様々な算出方式(生成式)を、健康度生成装置の機能を用いて定義する。これにより得られる健康度を用いて、最も実績に近い健康度算出方式を用いた統計処理を、健康度と医療費の予測方式として妥当なものと判断することができる。従って、このようにして得られた健康度の算出方式を、医療費と健康度の予測で用いるときの健康度の算出方式として選択することができる。
また、健康保険組合60等の保険者のすべてが、同じ健診項目や生活習慣情報などの健康度の計算に用いるデータ項目の情報を収集することは、費用の問題などもあり期待できない。さらに、健康保険組合60等の保険者毎に健康度の評価の視点が異なることも考えられる。例えば、健康度の評価に際して、飲酒習慣を必須としたり、禁煙の健康度への寄与を大きくする場合などである。
このため、それぞれの保険者に適した健康度の算出方式を定義できる必要がある。
【0042】
本機能により、最もコストのかからず容易に健康度を目的に応じて定義することが可能である。さらに、複数の保険者に対して共通的に適用するための標準的な健康度算出式をみいだすために、上記と同様、様々な健康度の算出方式(生成式)を用いて健康度と医療費との関係を統計処理を用いて予測し、予測方式として妥当なものと判断できる健康度の算出方式(生成式)を決定することができる。なお、同様にして健康度と医療費以外に健康度と健診情報の項目、など時系列に蓄積している情報についても最適な健康度の算出方式(生成式)を見出すために本機能を適用可能である。
【0043】
健康度生成装置500は、健康度を生成する所定の時期ごとに被保険者データベース101から健康管理情報等を用いて健康度を算出する算出方式(生成式)で定義された情報を読み込んで健康度を生成し、生成した健康度を統合データベースサーバ100へ出力する。統合データベースサーバ100は、生成した健康度を前記データIDと共に被保険者データベース101に記憶する。このようにして被保険者データベース101は被保険者集団の健康度を履歴として時系列で蓄積していく。健康度の計算式が変更された場合には、蓄積されていた健康度を全て新しい計算結果に置き換えても良いし、蓄積されていた健康度とは別に、複数の計算式毎に対応した健康度を蓄積しても良い。被保険者データベース101に蓄積された健康度は、後述する介入決定支援装置200、実績評価装置300、介入対象候補選定装置400、健康管理装置600、課金装置700、特典付与装置800において利用される。
【0044】
介入対象候補選定装置400は、健康保険組合60などからの健康増進の依頼において、当該被保険者集団の全員に対して健康増進を行うという依頼ではなく、介入対象の前提条件がある場合に、その前提条件に合致した対象選定を行う。即ち、介入対象候補選定装置400は、健康度生成装置500が生成した健康度、健康管理情報、集団管理情報、レセプト情報、適用実績データなどの情報を用いて、自己の有する介入対象候補選定規則部401に記憶する所定の基準に基づき、介入決定支援装置200における介入支援情報の決定対象とする「介入対象候補」を選定する。
前提条件の例として「A事業所の1000人かつ40歳以上かつ営業職かつ健康度がK以下かつ健康度が毎年悪化傾向にあるために生活習慣病になる可能性の高い人、についての健康増進を図る」などの条件や、「健康保険組合60の健康度向上の対象として、被保険者集団の全員の中から、健康増進を優先する10%に当たる人数の対象者を見つけ出して健康増進を図る」などの条件がある。介入対象候補選定規則部401に記憶する所定の基準とは、例えば「Kが毎年悪化傾向」にあるという条件の場合に、どのような変化を悪化傾向と定義するかの規則である。また、別の例として、「健康度向上の対象として優先する上位10%」という条件の場合にどのような優先度で対象10%を絞り込むかの規則であり、「高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満の予備軍で、健康度が平均以下かつ悪化傾向にある対象者を全対象の10%まで選定する」などの規則がある。これらの規則を計算機プログラムなどの処理可能な形式で定義したものである。
次に、健康保険組合60などからの健康増進の依頼に際して、介入対象候補選定装置400が当該被保険者集団の全員の中から健康度を利用して介入対象候補を抽出する場合について説明する。介入対象候補選定装置400は、統合データベースサーバ100にアクセスし、被保険者データベース101から当該被保険者集団の全員の健康度等を読み込む。この時点で被保険者データベース101にある被保険者の健康度が記憶されていない場合は、統合データベースサーバ100は健康度生成装置500に、その被保険者集団の健康度の生成を依頼して結果を被保険者データベース101に格納する。続いて介入対象候補選定装置400は、健康度生成装置500が生成した健康度に基づいて、被保険者データベース101に健康管理情報が記憶されている被保険者集団の中から健康改善を必要とする対象者を抽出する。すなわち、健康度、あるいは、健康度の時系列変化から得られる健康度の変化という人の健康状態の指標によって、健康改善を必要とする被保険者集団を判断し、介入対象候補として抽出する。いかなる健康度、あるいは健康度の変化の被保険者集団を、いかなる人数、抽出するかについては、予め介入対象候補選定規則部401に記憶する所定の基準として設定できるものとする。
介入対象候補選定装置400は、健康度等と所定の基準を用いて介入対象候補を選定すると、これを統合データベースサーバ100へ送信する。統合データベースサーバ100は選定した介入対象候補を他のデータとデータIDにより関連付けて被保険者データベース101に「介入対象候補」として記憶し、管理する。
その後、介入決定支援装置200は、被保険者データベース101が記憶した「介入対象候補」を読み込んで、この介入対象候補に対して、介入対象と介入対象に対応する介入支援情報とを決定する。
【0045】
以上のように、介入対象候補選定装置400は、健康度生成装置500が生成した健康度やその時系列的な健康度の変化等を用いて介入対象となる候補を選定し、介入の計画を支援することができる。また、健康度の変化等を活用した介入対象の決定が可能である。さらに、健康度や健康度の変化の活用と同様に、健康管理情報、レセプト情報(例えば、請求点(医療費)、傷病名、診療開始日、投薬等の情報による抽出に使う。)、適用実績データ(例えば、過去に介入サービスの適用がなかったかの情報による抽出に使う。)、集団管理情報(例えば、残業率の高い職場の抽出に使う。)を活用した抽出規則の設定も可能である。
なお、被保険者データベース101の介入対象候補の内容は、介入対象の前提条件がない場合や介入対象候補選定装置400が無い構成の場合は、当該被保険者集団の全員が介入対象候補として記憶されているものとする。
【0046】
さらに、介入対象候補選定装置400は、介入対象候補選定規則部401に記憶する所定の基準に基づき、介入対象に介入サービスを適用した前後におけるレセプト情報を元にして、介入対象候補を抽出する。この機能は健康管理装置600(後述する)から統合データベースサーバ100を介して依頼され、抽出結果を健康管理装置600に返す。介入対象候補選定装置400は健康管理装置600からの依頼に基づき、介入決定支援装置200が決定した介入対象のうち介入サービスの適用を受けている介入対象について、診療により発行された診療報酬請求書に記録された診療報酬請求書情報(レセプト情報)を第1の診療報酬請求書情報として被保険者データベース101から入力し、被保険者データベース101が記憶する介入サービスの適用後の診療により発行された診療報酬請求書に記録された診療報酬請求書情報を第2の診療報酬請求書情報として入力し、第1の診療報酬請求書情報と第2の診療報酬請求書情報とを比較し、比較結果に基づいて介入サービスの適用を受けている介入対象が介入決定支援装置200の決定した介入支援情報に含まれる介入サービスの適用を適切に受けているかどうかを統計的に判断して、統計的に外れている可能性のある介入対象を抽出する。抽出した結果は、統合データベースサーバ100を介して抽出結果を健康管理装置600に返す。
【0047】
以下に介入決定支援装置200について説明する。介入決定支援装置200は介入対象情報と介入支援情報を決定する。
まず、図14、図20に示す介入決定支援装置200における介入対象情報決定部206は、被保険者データベース101の介入対象候補に記憶された集団に対して、介入ルール記憶部205に記憶する所定の基準に基づき、介入対象とする被保険者集団に関する「介入対象情報」を決定する。決定した介入対象情報は、被保険者データベース101に記憶される。
続いて、介入決定支援装置200における予測部203は、介入対象に介入サービスを適用した場合と適用しなかった場合の健康度、健康管理情報、レセプト情報などの将来の変化(効果の一例)を、過去のこれらの情報の変化の実績に基づいてモデル化した介入サービス適用モデル201と介入サービス非適用モデル202を用いて、予測する。
更に、介入決定支援装置200における介入支援情報決定部207は、介入対象に適用する介入サービスに関する情報である「介入支援情報」を決定する。決定において介入支援情報決定部207は、介入サービスの適用と介入サービス非適用による予測部203の予測結果を用いて、介入ルール記憶部205に記憶する所定の基準(後述する評価対象情報や判断基準情報)に基づき介入サービスを決定し、その結果を元に「介入支援情報」を決定する。決定した介入支援情報は、被保険者データベース101に記憶される。
ここで、「介入支援情報」には、介入対象の健康増進のため介入対象に適用することが可能なサービスを複数含んでいてもよい。複数ある場合は、介入サービスの適用における優先度を示す情報を付加しても良い。
【0048】
また、介入支援情報の決定において予測結果を使う場合の説明を行ったが、予測機能を用いないで、例えば過去の介入サービスの実績有無と実績の結果の比較に基づいて決定する規則を介入ルール記憶部205に所定の基準として記憶することで、介入支援情報を決定してもよい。
【0049】
なお、介入決定支援装置200の予測部203は、介入対象情報と介入支援情報についての予測を依頼されると、依頼された介入対象情報と介入支援情報(決定した介入対象情報と介入支援情報はその一例)と、被保険者集団の時系列的な健康に関する実績情報に基づいて生成された統計的なモデルとを用いて介入サービスの適用時と非適用時の将来の予測(例えば、健診項目や医療費や健康度についての予測)を行い予測結果を出力する。
本機能は、例えば、後述する健康管理装置600の健康増進マップの機能などからも利用される。
【0050】
介入対象情報決定部206が決定する「介入対象情報」と、介入支援情報決定部207が決定する「介入支援情報」について説明する。
「介入対象情報」とは、被保険者集団のうち介入を働きかける対象者についての情報であり、対象は個人でもよいし集団でもよい。
また、「介入支援情報」とは、介入対象に対して健康の維持、増進のために介入決定支援装置200が決定した介入サービスに関する情報である。例えば、健康増進のためにはどのような介入サービス提供会社40の運動プログラムや食事プログラムを受ければよいかといった、介入のサービスのメニューを含む情報がある。図9は、個人に関する介入対象情報と介入支援情報を示している。介入対象情報は、「日本太郎」という個人(被保険者集団の個人)の氏名、勤務会社である「○△株式会社」、配属先である「本社 A事業部 B部」、さらに、前述したデータIDである「ID=9010456」等を有している。介入支援情報は、介入サービスの提供主体である「Sサービス(株)」、介入サービスである「運動習慣促進サービス」、介入サービスの個々のプロトコルである「短期コース1」等を示している。また、図10は、集団に対しての介入支援情報、介入対象情報を示している。介入対象情報は、集団の人数[20名」、年齢構成等を有する。介入支援情報は個人の場合と同様である。
【0051】
介入対象情報決定部206による介入対象情報の決定について説明する。
介入決定支援装置200は、介入対象候補選定装置400が選定した介入対象候補を被保険者データベース101から入力して介入対象候補の中から実際に介入サービスを適用する介入対象に関する介入対象情報を決定する。即ち、介入対象候補の集団に対して、実際に例えば生活習慣病予防サービス等に関する介入サービスを受ける対象者を決定する。決定した介入対象情報は、被保険者データベース101に記憶される。
なお、介入対象候補選定装置400において前提条件による介入対象候補の選定を実施しない場合には、介入決定支援装置200は被保険者データベース101の介入対象候補に初期情報として記憶されている当該被保険者集団の全員を介入対象候補として、それに対応する介入対象情報を決定するように構成することもできる。
介入対象情報の決定は、介入ルール記憶部205に記憶されている所定の基準により決定する。
まず、健康度を用いて介入対象を抽出する例(介入対象候補選定装置400で説明した例と同じである)について説明する。介入決定支援装置200は、健康度生成装置500が生成した健康度に基づいて、被保険者データベース101に健康管理情報が記憶されている被保険者集団の中から健康改善を必要とする対象者を抽出する。すなわち、健康度、あるいは、健康度の時系列変化から得られる健康度の変化という人の健康状態の指標によって、健康改善を必要とする被保険者集団を判断し、介入対象として抽出する。いかなる健康度、あるいは健康度の変化の被保険者集団を、いかなる人数、抽出するかについては、予め介入決定支援装置200の介入ルール記憶部205に記憶する所定の基準として設定できるものとする。
続いて、血圧値(健康管理情報の一例)を用いて介入対象を抽出する例について説明する。介入決定支援装置200は、被保険者データベース101から血圧値に基づいて、被保険者集団の中から健康改善を必要とする対象者を抽出する。すなわち、血圧値及びその時系列変化から健康改善を必要とする被保険者集団を判断し、介入対象として抽出する。いかなる血圧値、あるいは血圧値の変化の被保険者集団を、いかなる人数、抽出するかについては、予め介入決定支援装置200の介入ルール記憶部205に記憶する所定の基準として設定できるものとする。
【0052】
更に、図14、図20に図示していないが、介入決定支援装置200は、介入対象候補選定装置400と同様に、健康管理情報に加えて、被保険者データベース101からレセプト情報や集団管理情報等も読み込んで、それに基づいて被保険者集団の中から介入サービスを適用する介入対象を抽出してもよい。
例えば、A事業所で血糖値が悪化傾向にあり、かつレセプト情報の傷病名の情報から糖尿病に関する医療費を支払っていない対象者を抽出する。どのような条件で抽出するかは、予め介入決定支援装置200の介入ルール記憶部205に記憶する所定の基準として設定できるものとする。
このように、介入決定支援装置200は、健康管理情報、健康度、レセプト情報、集団管理情報を用いて、様々な目的に応じて介入対象を抽出して介入対象情報を決定することができる。
【0053】
予測部203が行う予測機能について説明する。
介入決定支援装置200は、介入サービス適用モデル201、と介入サービス非適用モデル202とを備えている。予測部203は、これらのモデルを用いて、介入支援情報決定部207や他の装置(例えば健康管理装置600等)から予測の対象として指定された介入対象について、介入サービスを適用する場合の効果と、適用しない場合の効果を予測する。予測の対象となる介入サービスの種類についての情報は、介入ルール記憶部205に評価対象情報(図示していない。例えば、サービス1、サービス2、サービス3、サービス4が評価対象であることを示す情報)として記憶されており、指定がなければ評価対象情報にある全ての介入サービスについての予測をするし、指定があれば指定された介入サービス(例えばサービス4についての予測を指定された場合は、サービス4)に対して予測する。
「効果の予測」としては、例えば、健康度がどのように変化していくか、医療費がどのように変動するか、あるいは、健診結果としてどのような結果が得られるか等の介入サービスを適用する場合、しない場合のそれぞれにおける効果を予測する。
「介入サービス適用モデル201」は、被保険者データベース101に今まで履歴として記憶され管理されている「健康度」、「健康管理情報」、「レセプト情報」、「集団管理情報」、をもとに、介入対象に介入サービスを適用した場合の効果を予測するモデルであり、効果を予測するための複数の統計モデルから成る。一方、介入サービス非適用モデル202は、「健康度」、「健康管理情報」、「レセプト情報」、「集団管理情報」、をもとに、介入対象に介入サービスを適用しない場合の効果を予測するモデルであり、介入サービスを適用しない場合の効果を予測する複数の統計モデルから成る。
これらの統計モデルは過去の情報蓄積が多くなれば多くなるほど精度が向上するため、「健康度」、「健康管理情報」、「レセプト情報」、「集団管理情報」、を所定のモデル更新時期ごとに実績を取り込み、新しく取り込まれた「健康度」、「健康管理情報」、「レセプト情報」、「集団管理情報」を用いて、予測モデルを更新していく。なお、初期の統計モデルは、過去の情報蓄積がないため、例えば統計疫学的なデータなどを下に仮想的な統計モデルとして予測を開始し、情報蓄積に伴い統計モデルを更新していく。これにより、継続的に精度の高い予測統計モデルの作成を行う。なお、統計モデルとして、例えば、集団を変数(例えば、BMI、運動習慣、禁煙、歯磨き、ストレス(ストレス度)の各数値化された5つの変数)でクラスタリングし、それらのクラスタに属する集団について、過去の時系列の実績から将来を予測する手法が考えられる。ここでクラスタリングの変数については特に規定しない。また、本発明における、介入サービスの適用と非適用における予測可能な統計モデルは、精度の高いモデルであればその方式はどのようなものであっても良い。
次に、予測の例について説明する。
【0054】
例えば、介入決定支援装置200は、予測部203の機能により、現在なにも介入サービスを受けていない集団または個人に対して介入サービス(介入サービス提供会社A社の栄養指導プログラム等)を開始する場合と、このまま何も受けない場合とで、どのように健康度が変化するかを過去の実績にもとづいて予測することができる。
また、別の例として、実際に介入サービス提供会社A(例えば、スポーツジムの介入サービス提供会社40)により運動指導が行われている場合に、運動指導を継続する場合、中止する場合、及び運動指導を別の介入サービス提供会社Bの運動指導へ変更(例えば、水泳指導をエアロビクスへの指導に変更)する場合や、介入サービス提供会社Cの栄養指導に変更する場合のそれぞれの健康度の変化を実績に基づいた統計モデルにより予測する。
同様にして、健康度の変化の予測に加えて、医療費や健診情報や健康度換算価値対応情報も過去の実績に基づく統計モデルにより予測することが可能である。さらに、介入サービスの継続、中止、変更の場合の過去の実績の蓄積により、健康度、医療費、健診情報の変化も予測することも可能である。
また、集団管理情報の組織情報を用いることにより、例えば営業職と技術職との間での集団特性の違いなどを統計モデルに反映して予測してもよい。
【0055】
介入支援情報決定部207が行う予測機能を伴う決定機能について説明する。決定において介入支援情報決定部207は、介入サービスの適用と介入サービス非適用による予測部203の予測結果を用いて、介入ルール記憶部205に記憶する所定の基準に基づき介入サービスを決定し、その結果を元に「介入支援情報」決定する。決定した介入支援情報は、被保険者データベース101に記憶される。
【0056】
ここで、介入サービス決定の例について説明する。
まず、決定対象として評価すべき介入サービスとして、サービス1(即ちA社糖尿病予防プログラム)、サービス2(即ちB社糖尿病予防プログラム)があり、サービス1とサービス2の過去の適用実績に基づいた介入サービス適用モデルと介入サービス非適用モデルがそれぞれ生成されているとする。
また、予測にもとづく介入サービス決定に際しての判断として、判断基準1(介入サービスを適用したことによる集団の健康度の向上が高い介入サービスに決定する)及び判断基準2(健康度の向上時の経済的換算価値が高い介入サービスに決定する)及び判断基準3(介入サービスの経済的換算価値と導入コストの差で最も効果があるものに決定する)及び判断基準4(介入サービスを適用したことによる血糖値(健康管理情報の一例)向上が高い介入サービスに決定する)があるとする。なお、ここで経済的換算価値については、後述する実績評価装置300で生成され、健康度換算価値対応情報として、統合データベースサーバ100の健康度換算価値対応情報記憶部104に記憶されているものとする。
介入ルール記憶部205には、評価すべき介入サービスの評価対象情報(サービス1とサービス2が評価対象であることを示す情報)と、介入サービス決定に際しての判断基準としてどのような基準が使われるかが、判断基準として記憶されているものとする。
また、介入対象情報決定部において、介入対象情報Xが決定されているものとする。
【0057】
次に動作について説明する。
まず、介入支援情報決定部207は、介入ルール記憶部205から評価対象情報を読み込み評価する介入サービスがサービス1とサービス2であることを知り、それに基づいて、予測部203に対して、介入対象情報Xに対するサービス1及びサービス2による予測を依頼し、サービス1及びサービス2の適用と非適用における予測の結果を得る。
続いて、その結果について、介入ルール記憶部205に記憶されている判断基準情報に基づいて評価する。
判断基準を判断基準1としている場合は、介入サービスを適用したことによる集団の健康度の向上が高い方の介入サービスに決定する。例えばサービス1であれば介入対象情報Xの集団の健康度が10に、サービス2であれば健康度8になると予測される場合、サービス1を介入サービスとして決定する。
判断基準を判断基準2としている場合は、健康度の向上時の経済的換算価値が高い介入サービスに決定する。例えばサービス1であれば介入対象情報Xの集団の経済的換算価値が1000万円に、サービス2であれば経済的換算価値が2000万円になると予測される場合、サービス2を介入サービスとして決定する。判断基準を判断基準3としている場合は、介入サービスの経済的換算価値と導入費用の差で最も費用対効果があるものに決定する。例えば、サービス1であれば介入対象情報Xの集団の経済的換算価値が1000万円で導入費用が500万円に、サービス2であれば経済的換算価値が2000万円で導入費用1800万円になると予測される場合、サービス1では費用対効果が500万円、サービス2では費用対効果が200万円であるため、結果として介入サービス1を介入サービスとして決定する。なお、判断基準3の例の場合、導入費用についてのルールも介入ルール記憶部205に記憶しておくものとする。
判断基準を判断基準4としている場合は、介入サービスを適用したことによる集団の血糖値の有所見率の低下が多い方の介入サービスに決定してもよい。例えばサービス1であれば介入対象情報Xの集団の有所見率の低下が20%低下、サービス2であれば有所見率の低下が5%低下になると予測される場合、サービス1を介入サービスとして決定する。
以上のように、被保険者データベース101に情報が記憶されている被保険者集団の時系列的な健康に関する健康度を含む実績情報に基づいて生成された統計的なモデルを用いて介入サービスの適用時と非適用時の将来の健康に関する予測結果(例えば、健診項目(健康管理情報の一例)や医療費や健康度についての予測結果)に基づいて、介入対象情報Xに対する「介入支援情報」を決定することも、被保険者データベース101に情報が記憶されている被保険者集団の時系列的な健康に関する健康度を含む実績情報に基づいて生成された統計的なモデルを用いて介入サービスの適用時と非適用時の将来の健康に関する予測結果(例えば、健診項目(健康管理情報の一例)や医療費や健康度についての予測結果)に加えて、その予測結果における経済的換算価値を、実績評価装置300が健康度と経済的な換算価値についての関係を算出して生成した健康度換算価値対応情報(評価結果の一例)を用いて取得し、その結果に基づいて介入対象情報Xに対する「介入支援情報」を決定することも、介入決定支援装置200が記憶している介入サービスを介入対象に適用する場合の導入コスト(後述の導入費用と同じ)と、前記において取得した経済的換算価値とを比較して、比較した結果に基づいて決定することもできる。
このように決定した介入支援情報を統合データベースサーバ100に送信するとともに、統合データベースサーバ100は被保険者データベース101に介入支援情報として記憶する。
【0058】
以上のように、介入決定支援装置200は介入サービスの開始だけでなく、継続、中止、変更による健康度、換算価値、等における実績を蓄積することにより、これらについても予測し、介入サービスの導入費用とから、介入サービスの開始、継続、中止、変更についての決定を行う。即ち、介入対象に提供可能ないくつかの介入サービスの中から、どのような介入サービスを適用すればよいかを決定することが可能である。例えば、現在の運動を継続しても健康度が向上せず、一方、運動を別の栄養指導プログラムに変更すれば、健康度が向上し、医療費コストも将来減少するような予測が得られて、なおかつ介入サービス導入費用と換算価値と比較してコストメリットがあると判断できたときは、介入決定支援装置200は、別の栄養指導プログラムに変更することを決定することができる。
なお、これらの介入決定支援装置200が生成した情報は、産業医10や健康保険組合60や、介入サービス提供会社40や、介入対象の被保険者集団等に提供し、介入サービスのメニュー提供と共に介入サービスを実施した場合の効果の予測を示すことができる。また、介入決定支援装置200は、決定に際して、図36、図37などで示すような予測結果を表示して、人間により最終決定することもできる。更に決定に際して、介入サービスの評価情報(後述)を参照して決定することもできる。
【0059】
また、前記により得られた様々な介入サービス提供会社40の介入サービスの効果実績や予測や介入サービス間の比較分析(効果の高い介入サービス間の共通点や、効果の低い介入サービス間の共通点の分析など)に基づいて介入サービスをどのように提供すれば介入対象にとってより大きな効果が得られるかの検討を行うことができ、その検討結果に基づいて、図11に示すような、介入サービスの標準プロトコル(指示書)を健康管理装置600により作成することができる。そして、健康管理装置600で作成した介入サービス標準プロトコル(指示書)は、被保険者データベース101に記憶される。介入決定支援装置200で決定した介入サービスに基づいて、統合データベースサーバ100は、運動指導業者、栄養指導業者、スポーツジム、配膳業者などの介入サービス提供会社40に対して、その介入サービスに必要な介入サービス標準プロトコル(指示書)を提供してもよい。ここで、介入サービス標準プロトコル(指示書)の提供手順について説明する。まず、介入決定支援装置200は、決定した介入支援情報(介入サービス提供会社40やサービス名、プロトコル名、プロトコルのバージョン等)を統合データベースサーバ100に送信する。統合データベースサーバ100は被保険者データベース101に、送信された介入支援情報に対応する介入サービス標準プロトコルの内容を記憶しており、介入対象への介入サービス開始より前に介入サービス提供会社40は、顧客情報データサーバ41、顧客情報データサーバ42を用いて、介入サービス標準プロトコルを入手する。
【0060】
実績評価装置300は、介入決定支援装置200の行った介入対象情報の決定と、介入支援情報の決定とを評価する。
ここで評価とは、過去の実績にもとづいて介入サービスの適用における健康度や医療費や健診項目等に関する介入サービス毎の時系列的な差異を算出して提供することや、過去の実績にもとづいて介入サービスの適用における健康度の変化と医療費抑制効果との関係を算出したり、労働生産性も含めた健康度の変化の経済的換算価値との関係を算出したり、算出した医療費抑制効果を基にした介入サービス(または介入プロトコル)の評価点数を算出したり、介入サービス(又は介入プロトコル)や介入サービス提供会社40の評価結果を生成するとともに「格付け情報」として提供することなどである。
実績評価装置300による評価の詳細は後述する。
【0061】
以下に、図1と、図12のフローとを用いて、統合保険者情報システム1000において、健康保険組合60が介入サービス統括装置900に介入の依頼をする場合を想定し、依頼から介入サービス統括装置900の実績評価装置300が評価結果を出力するまでの過程を説明する。
S101において、健康保険組合60は、介入対象情報、介入支援情報の決定を、介入サービス統括装置900に依頼する。
S102において、介入サービス統括装置900は健康保険組合60からの依頼を受ける。介入サービス統括装置900が介入対象候補選定装置400を具備しているときは、依頼の前提条件による介入対象の抽出を介入対象候補選定装置400によって行い、そこで得られた選定対象について、介入決定支援装置200が介入対象情報と介入支援情報とを決定する。図1の例では具備しているが、介入対象候補選定装置400を具備していないときは、健康保険組合60からの依頼の対象集団に対して介入決定支援装置200が介入対象情報と介入支援情報を所定の基準に基づいて決定する。介入決定支援装置200は、介入対象情報と介入支援情報の決定に際しては、被保険者データベース101から健康管理情報、レセプト情報(医療費データの一例)、健康度、適用実績データ、集団管理情報等を読み込んで決定する。そして、介入決定支援装置200は、決定した介入対象に関する介入対象情報と介入支援情報とを、統合データベースサーバ100に送信する。なお、介入対象情報、介入支援情報にはデータIDが付与されている。
S103において、統合データベースサーバ100は、介入対象情報と介入支援情報を受信して、被保険者データベース101に記憶し管理する。そして、記憶した介入対象情報、介入支援情報とを健康保険組合60に送信する。健康保険組合60は、これにより、介入決定支援装置200に依頼した結果を知ることができる。なお、健康保険組合60の依頼や結果の受け取りについては、データベース間の送受信でなくても、後述する健康管理装置600の表示装置70を利用して行ってもよい。
S104において、健康保険組合60は依頼した結果(介入対象情報と介入支援情報)にもとづいて、介入サービス提供会社40に対して直接に介入サービスの提供を依頼することもできるし、あるいは介入サービス統括会社90(健康保険組合60から健康増進に関わる介入サービスの提供を一括して依頼(委託や請負の形式による)する、介入サービスの統括会社であり、実施の形態2で後述する)に対して介入サービス提供会社40への依頼を含めた健康増進のとりまとめを依頼することもできる。健康保険組合60からの依頼についての支払い方式(課金方式)は、後述する。
S105において、健康保険組合60、または介入サービス統括会社90(図示していない。後述する)から依頼を受けた介入サービス提供会社40は、統合データベースサーバ100の被保険者データベース101から「介入対象情報」と「介入支援情報」を読み込む。介入サービス提供会社40は、介入対象情報で示される介入対象に、介入支援情報の中に提示されている介入サービスを実施する。介入サービス提供会社40は、介入サービスの実施に伴い「適用実績データ」を統合データベースサーバ100へ送信する。「適用実績データ」とは、介入決定支援装置200が決定した介入支援情報により介入対象に健康増進のために適用した実績を示すものである。即ち、介入支援情報に含まれる介入サービスを、介入対象に適用した実績を示すデータである。例えば、介入サービスの種別(提供主体、介入サービスの名称、介入プロトコル(手順名)、等)や、介入サービスへの参加回数や、介入サービス適用の時期情報(年月日等)、介入サービスの適用時期や、介入サービスの内容や、介入サービスの回数や、介入対象者(個人または集団)あるいは集団への介入結果や、満足度などを含む。なお、ここでは、介入サービス名称とは、複数のプロトコルの集合の総称として定義する。
図13は適用実績データの例を示している。
介入サービス提供会社40がスポーツジムであれば、適用実績データとは、いつからいつの期間、いかなるスポーツジムが誰に(いかなる介入対象に)、どのような運動を適用したか等の項目を有する。栄養指導であれば、いつの期間、どの介入サービス提供会社40が、誰に、どのような栄養指導プロトコルを適用したか等の項目を有する。この適用実績データは、図1の顧客情報データサーバ41、顧客情報データサーバ42から統合データベースサーバ100へ送信される。統合データベースサーバ100は、適用実績データを受信して被保険者データベース101に記憶する。この「適用実績データ」にもデータIDが付与されており、他のデータと関連付けが可能である。
S106において、実績評価装置300は、被保険者データベース101が記憶している「健康度」、「適用実績データ」、「健康管理情報」、「レセプト情報」、「集団管理情報」等を読み込む。実績評価装置300は、「健康度」、「適用実績データ」と「健康管理情報」、「レセプト情報」(医療費データの一例)、「集団管理情報」を基にして、介入決定支援装置200によりなされた介入対象と介入支援情報との決定の評価を行う。即ち、実績評価装置300は、介入決定支援装置200により決定された介入対象情報とそれに対応する介入支援情報の決定により適用された介入サービスの評価を、介入対象に介入サービスを適用した年月日の情報を含む適用実績データから介入サービスを適用した時期情報(年月日等)を取得し、その介入サービス適用前後の健康度、健康管理情報、レセプト情報の実績を用いて比較することにより、介入対象に実施された介入サービスを評価し評価結果を統合データベースサーバ100に出力する。(評価の過程は後述する)。統合データベースサーバ100は、受信した評価結果を蓄積情報として、被保険者データベース101に記憶する。以上が評価までの過程である。なお、これらの評価は健康管理装置600及び図34に示す表示装置70においても参照することができる。統合データベースサーバ100へ送信された評価結果は、被保険者データベース101に記憶され、履歴として蓄積される。
以上では、健康保険組合60が介入サービス統括装置900に依頼を行ってから実績評価装置300による評価までの過程を述べた。以下では、実績評価装置300による評価の具体的な過程を説明する。
【0062】
まず、図14と図15を用いて実績評価装置300による評価の具体的な過程を説明する。図14は、図1の統合データベースサーバ100と介入決定支援装置200と実績評価装置300との関係を示す構成図である。図15は、実績評価装置300の動作のフローである。
介入サービスとして「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル(介入支援情報の一例)」という一つのプロトコルを適用した場合の評価を説明する。複数のプロトコルを適用する場合は、後述する。
「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」を提供した場合に、「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」を介入対象に適用した際の適用時期の前後における健康管理情報を比較することにより、「介入対象の決定」と「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」とを評価する場合を説明する。なお、「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」の「介入プロトコル」とは、介入サービスのうちのひとつの種類(例えば、生活習慣病改善サービスというのが介入サービスの名称である場合に、糖尿病予防は、その一部として、介入プロトコルと呼ぶこととする)を想定している。以下、図15のフローで説明する。
S201において、実績評価装置300は、被保険者データベース101から「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」に関する適用実績データを入力する。この適用実績データは、例えば図13に示す適用実績データの例のように、「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」を介入対象に適用開始した時を表す時期情報(年月日等)が含まれている。図16は、介入サービスを適用開始した時期と、健康管理情報や健康度との関係を示す。実績評価装置300が入力した適用実績データは、図16における介入サービス適用時期(T2)を時期情報として有する。
S202において、実績評価装置300の比較評価部301は、適用実績データの時期情報(T2)、即ち介入サービス適用時期(T2)を確認し、被保険者データベース101からT2前後の健康管理情報及び健康度を読み込む。すなわち、実績評価装置300は、図16における「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」の介入サービス適用時期T2に対して、その前のT1における健康管理情報及び健康度と、その後のT3における健康管理情報及び健康度とを読み込む。S203において、比較評価部301は、適用実績データの有する介入サービス適用の時期情報をもとに、「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」を適用する前におけるT1の健康管理情報または健康度と、適用した後におけるT3の健康管理情報または健康度とを比較し、健診情報(健康管理情報の一例)または健康度の改善度などを評価する。図17は、個人の場合の時間と健康度の関係を示す。横軸が時間軸であり、縦軸が健康度である。図17では、T1からT3に時間が経過するにつれて健康度が大きく(健康状態がよくなっていく)様子を示している。比較評価部301は、健康度K1と健康度K3の比較により、「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」の効果を評価する。また、図18は、集団の場合の時間と健康度を示す。図17と同様に、T2が介入サービスの適用時期である。比較評価部301は、図17と同様にT1における健康度L1とT3における健康度L3とを比較し、「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」の効果を評価する。
さらに、実績評価装置300はT1とT3における健康度の変化率も比較し介入サービスの効果を評価してもよい。すなわち、健診情報(健康管理情報の一例)の検査結果やその変化率による評価を行ってもよい。
【0063】
以上の場合においては、S202、S203では、健康度により比較評価したが、健康管理情報から血圧などの健診情報を抽出することで、横軸は時間軸として、縦軸を健康度に代えて血圧や医療費を使用することによって、上記のように統合データベースサーバ100に時系列に蓄積されている任意の項目を利用して評価することも可能である。このように、健診情報は、健康診断により得られる測定結果が主なものであるから、測定結果に基づく比較、評価が可能となる。実績評価装置300はT1とT3における健康管理情報の変化率も比較し介入プロトコルの効果を評価してもよい。即ち、健診情報(健康管理情報の一例)の検査結果値やその変化率による評価を行ってもよい。
【0064】
以上の場合においては、S203では、介入プロトコルが1つ(単数)の場合を想定していた。介入プロトコルが1つ(単数)の場合の他、以下のように複数の場合はその割り付け(介入対象と介入プロトコルの組み合わせが適性かどうか)を評価することが可能となる。例えば、「生活習慣病改善支援」という名称の介入サービスが、糖尿病予防、高血圧予防、高脂血症、肥満予防という4つのプロトコルで構成されていたとする。これら複数のプロトコルを生活習慣病対策の必要のある集団に対して適用した場合を想定する。即ち、介入決定支援装置200において介入支援情報として決定された介入サービスが生活習慣病改善支援であった場合である。この場合、生活習慣病改善支援という介入サービスの適用について、集団と個人についての健康度の変化から、個々の介入プロトコルの適用が適当であったかどうかを評価することが可能となる。例えば、介入サービス提供会社Aの生活習慣病改善支援と、介入サービス提供会社Bの生活習慣病改善支援との比較評価を行うことが可能となる。
【0065】
次に、図20と図21を用いて、介入サービスとして「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル(介入支援情報の一例)」を提供した場合について、実績評価装置300がレセプト情報による医療費(医療費データの一例)をもとに、「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」を評価する場合を説明する。
図19に示すように、実績評価装置300は、「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」の介入プロトコル適用時期前のT1における医療費と、後におけるT3における医療費とを比較することにより、「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」を評価する。
図20は、実績評価装置300が医療費データを比較する場合の、統合データベースサーバ100と介入決定支援装置200と実績評価装置300との関連を示す構成図である。前記に説明した図14に対して実績評価装置300が医療費データ比較評価部302を備え、被保険者データベース101からレセプト情報(医療費データの一例)を読み込んで、前記医療費データ比較評価部302が、レセプト情報(医療費データの一例)をもとに介入プロトコルを評価する点が特徴である。図20の動作について図21のフローを用いて説明する。
S301において、実績評価装置300は、評価の対象となる介入対象情報、介入支援情報(「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」の情報を含む)を入力する。
S302において、医療費データ比較評価部302は、被保険者データベース101から「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」に関する適用実績データを入力する。この適用実績データは、図13に示したように「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」を介入対象に適用開始した時を表す時期情報(年月日等)が含まれている。図19は、介入プロトコルを適用開始した時期と、医療費や健康度との関係を示す。実績評価装置300が入力した適用実績データは、図19における介入プロトコル適用時期(T2)を時期情報として有する。
S303において、医療費データ比較評価部302は、適用実績データの時期情報(T2)、即ち介入プロトコル適用時期(T2)を確認し、被保険者データベース101からT2前のT1及び、T2後のT3におけるレセプト情報(医療費データの一例)と健康度とを読み込む。
S304において、医療費データ比較評価部302は、介入支援情報に含まれる「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」を適用した時期情報とレセプト情報とにより、介入プロトコルが適用される前の医療費と、介入プロトコルが適用された後の医療費とを比較して、介入支援情報に基づいた適用した介入プロトコルを評価する。図22は、時期と医療費との関係を示す。横軸が時間軸であり、縦軸がレセプト情報による医療費を示す。T2が介入プロトコルを適用した時間であり、そのときの医療費はY2である。介入プロトコル適用前のT1での医療費はY1であり、介入プロトコル適用後のT3での医療費は、Y3である。実績評価装置300は、このY1とY3とを比較し、介入プロトコルを評価する。また、実績評価装置300はT1とT3における医療費の変化率も比較し介入プロトコルを評価する。図23は、時間と医療費の変化率を示す図である。横軸が時間軸であり図22と同じであるが、縦軸は図22の医療費の変化率を表している。実績評価装置300は、医療費の変化率、D1とD2についても比較する。
S305において、実績評価装置300は、評価結果を統合データベースサーバ100に送信し、統合データベースサーバ100は、この評価結果を被保険者データベース101に記憶し蓄積する。
【0066】
以上図16、図19を用いて適用前のT1と、適用後のT3におけるデータの読み込みについて説明したが、これはT1、T2、T3の3回のみ読み込みを行うことを意味するのではなく、T2前後の時系列データを読み込むことを意味する。
なお、レセプト情報は、診療報酬請求情報であり、請求点(医療費請求情報)、投薬、処置、手術、検査などの情報が含まれているため、これらの項目に基づく比較、評価もできる。また、被保険者集団が医療機関を受診したことにより発生するものであるため、例えば風邪における急性上気道炎のように、レセプト情報には健康増進の目的とする生活習慣病に対応しない病名についての診療行為(点数)も記載される。従って、これらについては、医療費を活用した評価の精度向上のために、前処理により、評価対象とする医療費(請求点)だけを分離抽出することを行ってもよい。本前処理の方式については、特に規定しない。
【0067】
前記においてはS304において、実績評価装置300は、S303で読み込んだ介入プロトコルの適用を受けていない非介入対象者の医療費及び健康度と、介入プロトコルを受けた対象者の医療費及び健康度とを比較し、それをもとに健康度と医療費抑制効果の関係を健康度医療費対応情報として算出し、その結果を統合データベースサーバ100に送信し、統合データベースサーバ100は健康度医療費対応情報記憶部103に蓄積する。
また、S304において、実績評価装置300は、S303で読み込んだ健康管理情報に含まれる勤怠情報(傷病休暇率等)についても介入プロトコルの適用を受けていない非介入対象者と介入プロトコルを受けた対象者とで比較し、その結果から労働生産性としての経済的価値を得る。この労働生産性に関する経済的価値と健康度医療費対応情報記憶部103に記憶されている健康度医療費対応情報とを用いて、健康度及び経済的換算価値の関係を健康度換算価値対応情報として算出し、その結果を統合データベースサーバ100に送信し、統合データベースサーバ100は健康度換算価値対応情報記憶部104に蓄積する。
なお、S304において、実績評価装置300の医療費による介入プロトコルの評価に際して、介入プロトコルの適用を受けていない非介入対象者の医療費と、介入プロトコルを受けた対象者とを比較し、それをもとに算出した医療費抑制効果を実績評価装置300が評価点数に変換して評価結果に含めてもよい。同様にして、医療費の変化率についても評価点数に変換して、評価結果に含めても良い。評価点数にする場合、医療費抑制効果であれば、例えば、医療費抑制効果の額が100万円以上を10点とし、0−10万円未満は1点、10万以上−20万円未満は2点、というように10万円単位の幅につき1点刻みで点数化するなどの方式がある。その結果を統合データベースサーバ100に送信し、統合データベースサーバ100は健康度医療費対応情報記憶部103に蓄積する。
【0068】
また、実績評価装置300は、後述する特典付与装置800が用いる健康度遷移確率情報を生成する。即ち、実績評価装置300は、被保険者集団における健康度が第一の健康度から第二の健康度へ遷移する確率を示す健康度遷移確率の情報を実績に基いて算出して健康度遷移確率情報(図示していない)として統合データベースサーバ100に格納する。
【0069】
介入支援情報の評価の一例として、介入サービスの評価の場合を説明する。
図24は、ある健康保険組合に所属する被保険者集団の集団Sをあらわしている。
介入支援情報を評価する場合に、実績評価装置300は、介入支援情報に基づく介入サービスを受けた介入対象(集団S1)と、統計的に同じクラスタに分類され介入サービスを受けていない集団S2の健康管理情報や健康度やレセプト情報を参照して、介入支援情報を評価する。例えば、集団S1は、実際に介入サービスとして「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」の適用を受けた集団である。集団S2は、この「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」の適用を受けておらず、かつ、集団S1と同じクラスタに分類される集団として、集団Sの中から抽出された集団であるとする。ここで、「同じクラスタ」とは、例えば、集団S1が喫煙者の集団であれば、集団S2も同様に喫煙者の集団であるような場合である。このように、「同じクラスタ」の集団同士について、介入サービスの適用を受けている集団と、適用を受けていない集団とを比較することで、介入サービスの適用の効果が明確となる。
なお、集団S2を抽出するクラスタの分析方式は既存の統計処理方式により行う。クラスタの分類方式は、変更が可能である。例えば、クラスタ分類のための変数として、BMI、運動習慣、禁煙、歯磨き、ストレス(ストレス度)の各数値化された5つの変数を使うことができる。
次に、集団S1に属する個人(以下A氏という)についての前記介入サービスの適用の評価について説明する。
【0070】
図25は、A氏についての、介入サービスを適用した前後の健康度の変化を示す図である。横軸が時間軸、縦軸が健康度を示す。図25では、「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」に従った介入サービスを適用(図25における介入適用時、以下、図30まで同様)の後では、A氏の健康度は上昇(健康状態が向上)しているので、介入サービスの効果があった可能性が高いと判断され、「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」は効果があったものと評価される。
【0071】
図26は、A氏についての、介入サービスを適用する前と、適用した後の健康度の変化、及び医療費の変化の様子を示す図である。横軸は時間軸であり、縦軸は健康度、あるいは医療費である。すなわち、健康度と、医療費とから、介入サービスの適用の効果を評価する。
【0072】
図27は、A氏についての、介入サービスを適用する前と、適用した後の健康度の変化、体重の変化、及び血糖値の変化の様子を示す図である。横軸は時間軸であり、縦軸は健康度、あるいは体重、あるいは血糖値である。すなわち、健康度と、健診情報に含まれる例えば体重、血糖値とから、介入サービスの適用の効果を評価する。
【0073】
図28は、A氏と集団S2とを、健康度について比較する場合を示す図である。横軸は時間軸、縦軸は健康度である。A氏と、A氏と同じクラスタに分類され介入サービスの適用を受けていない集団S2とを比較した場合、介入適用時以降では、A氏と集団S2との健康度の差が大きくなっている点から、A氏への介入サービスの適用の効果を評価する。図示してはいないが、この他、個人と集団の比較は、個人A氏が適用を受けておらず集団が適用を受けている場合と適用を受けていない場合の2とおり、また、個人のA氏が適用を受けており集団が適用を受けている場合の1とおりの合計3とおりの比較が考えられる。
このように、個人のA氏と集団S2(あるいは集団S1)との比較をすることにより、介入サービスが特定の個人だけに効果があるのか、集団ついて効果があるのかを評価することが可能である。
以上、介入サービス(介入プロトコルの集合として定義される)についての説明を行ったが、介入プロトコルの評価としても同様に、介入プロトコルの適用集団と非適用集団と個人との比較による評価が可能である。
【0074】
図29は、集団S1と集団S2とについて、健康度を比較した場合を示す図である。横軸は時間軸、縦軸は健康度である。集団S1と集団S2とは同じクラスタであるが、介入サービスの適用を受けているのは集団S1だけである。集団S2は受けていない。したがって、集団についての介入サービスの適用の有無による効果を、クラスタを考慮しない場合に比べて明確に評価することができる。
【0075】
図30は、同じ介入サービスについて異なるプロトコルである、介入プロトコルAを適用した場合、介入プロトコルBを適用した場合、及びこのような介入プロトコルを適用しない場合についての、健康度を比較する場合を示す図である。すなわち、栄養指導という介入サービスにおいて、サービス提供会社A社は介入プロトコルA「栄養3ヶ月支援コース介入プロトコル」を提供し、B社は介入プロトコルB「1ヶ月ダイエット介入プロトコル」を提供する場合を想定した場合、介入サービス「栄養指導」について、介入プロトコルAと介入プロトコルBとを提供した場合、また、介入サービスとして「栄養指導」を適用しなかった場合の3とおりの健康度の変化を示す。これらの比較は、それぞれ集団と個人に対して行うことができる。このように比較をすることで、集団または個人に対しての介入サービスの効果や介入プロトコルの効果を評価することが可能となる。
【0076】
集団への効果について、健康度を用いて、以下の様な評価も可能である。
集団1000人に介入サービスCと、介入サービスDを適用したときに、介入サービスCと、介入サービスDとの効果は以下の様に評価することも可能である。
介入サービスCでは、100人には効果があり、各人、健康度が2点上昇した。すなわち健康度は合計で200点上昇した。しかし、残り900人は健康度の変化がなかったとする。すなわち健康度は合計で200点上昇した。
一方で、介入サービスDでは500人にはそこそこの効果があり、健康度が各人1点上がった。しかし、残りの500人には健康度の変化がなかった。すなわち健康度は合計で500点上昇した。この場合、健康度の変化を1000人の集団の平均で比較した場合、健康度が500点上昇した介入サービスDの方がより効果があったと評価する。
【0077】
また、これらの健康度の評価と同様に、換算価値(後述)の評価も加えることができる。
上記の例において、介入サービスCにおいて健康度2点上昇の効果のあった100人についての経済的な換算価値(後述)の合計が過去の実績データの分析によれば1000万円と換算できるとし、介入サービスDにおいて、健康度1点上昇の効果のあった500人についての経済的な換算価値の合計が過去の実績データの分析によれば100万円と換算できるとすると、経済的な換算価値からの評価では、介入サービスCの方が介入サービスDより効果があったと評価できる。即ち、集団の健康度の平均点への効果の点では、介入サービスDが良いと評価できるが、集団の医療費への効果の点では、介入サービスCの方が良いと評価できる。このように、評価の視点によって、どのような介入サービスが良いかの評価は異なる。
【0078】
さらに、これらの健康度の評価と同様に、健康管理情報の評価を加えることができる。例えば、尿検査における尿酸値や血糖値検査における血糖値について、複数の介入サービス間における比較評価が可能である。
【0079】
また、実績評価装置300は、介入サービス提供会社40の提供する介入サービス(又は介入プロトコル)や介入サービス提供会社40(介入サービス提供機関の一例)の総合的な良否を複数の評価項目で評価を行う。評価項目とは、例えば、総合評価(推奨)、価格、達成効果、娯楽性、過去の適用実績、などを所定の基準により点数化したものである。また、介入サービス提供会社40の評価の例として、介入サービス提供会社の売上規模、人員規模、収益性、被保険者集団の満足度、介入サービスランク、などの情報がある。これらの介入サービス(又は介入プロトコル)や介入サービス提供会社40評価のために実績評価装置300は、前述の評価機能、即ち、過去の実績にもとづいて介入サービスの適用における健康度や医療費や健診項目等に関する介入サービス毎の時系列的な差異を算出して提供することや、過去の実績にもとづいて介入サービスの適用における健康度の変化と医療費抑制効果との関係を算出したり、労働生産性も含めた健康度の変化の経済的換算価値との関係を算出したり、算出した医療費抑制効果を基にした介入サービス(または介入プロトコル)の評価点数を算出して提供する機能、などによる評価機能の結果を、所定の基準により数値などに変換した第一の評価結果と、さらに評価内容のうち、評価者の入力が必要とされる評価項目(例えば、総合評価(推奨)、価格、娯楽性、など)を、産業医10、健康保険組合60、個人50、介入サービス統括会社90等における介入サービスや介入サービス提供会社40を評価する側にある表示装置70(後述する)を用いて入力させ、入力された情報を健康管理装置600(後述する)から統合データベースサーバ100を経由して実績評価装置300が取り込むことにより得られる第二の評価結果とから、実績評価装置300は、介入サービス(又は介入プロトコル)や介入サービス提供会社40のを評価結果として生成して統合データベースサーバ100に蓄積する。統合データベースサーバ100は、「評価の詳細情報」を介入サービス提供会社評価情報記憶部102に蓄積する。蓄積された「評価の詳細情報」は、健康管理装置600の被保険者向け介入サービス評価情報の表示や、課金装置700が「格付け情報」として利用される。
【0080】
以上、被保険者集団の健康管理情報の履歴を記憶する被保険者データベース101を有する統合データベースサーバ100から、介入決定支援装置200が健康管理情報を読み込んで所定の判断基準に基づいて被保険者集団の中から健康管理に介入すべき介入対象を決定し、さらに介入サービス適用モデル201と介入サービス非適用モデル202により介入支援情報を決定し、その介入対象と介入支援情報にもとづいて適用された介入サービス(又は介入プロトコル)について実績評価装置300が適用前後における健康管理情報を読み込んで比較することにより、介入決定支援装置200によりなされた介入対象の決定と介入支援情報の決定とを評価するようにしたので、その効果として、介入サービス(又は介入プロトコル)が適正であったかどうかを過去の実績情報に基づいて評価することができ、さらに、過去の実績情報に基づいて介入対象と介入サービス(又は介入プロトコル)の適用による被保険者集団の健康管理情報について予測をすることができ、さらに、その予測をもとに最適な介入サービス(または介入プロトコル)を複数の候補から決定することができるようになるため、保険者は、より客観的なデータをもとに介入サービス(又は介入プロトコル)を評価し決定することができると共に、介入対象と介入サービス(又は介入プロトコル)の決定、実績の蓄積、実績の評価というプロセスを繰り返すことができるので、よりよい健康増進を被保険者集団に対して提供することができる。
【0081】
また、上記において、健康管理情報にかえて医療費データ、即ち保険者が医療機関に支払う医療費に関する医療費データ(レセプト情報の一部)を用いることを可能にしたので、その効果として、医療費の視点から、保険者は、より客観的なデータをもとに介入サービス(又は介入プロトコル)を評価し決定することができると共に、介入対象と介入サービス(又は介入プロトコル)の決定、実績の蓄積、実績の評価というプロセスを繰り返すことができるので、よりよい健康増進を被保険者集団に対して提供することができる。
【0082】
また、上記において、健康度生成装置500が生成する被保険者集団の健康度を健康管理情報にかえて用いることを可能としたので、その効果として、健康度の視点から、保険者は、より客観的なデータをもとに介入サービス(又は介入プロトコル)を評価し決定することができると共に、介入対象と介入サービス(又は介入プロトコル)の決定、実績の蓄積、実績の評価というプロセスを繰り返すことができるので、よりよい健康増進を被保険者集団に対して提供することができる。
また、健康度生成装置は、健康度生成規則部501を用いて所定の基準に基づいて健康度を生成し、その基準を自由に定義できる機能を持たせたので、その効果として、それぞれの保険者の目的に適した健康度の算出方式を定義できる。
【0083】
次に、課金装置700について説明する。課金装置700は、介入サービス統括装置900を適用して事業を行うための報酬の請求支払いに必要な課金情報を生成する。例えば、介入サービス統括会社90(後述する)が健康保険組合60から被保険者集団の健康増進を依頼された場合を想定すると、課金装置700は、課金規則部701に予め記憶する課金規則とによって、「介入サービス提供会社40への報酬」、「健康保険組合60からの報酬」、「介入対象として決定され介入サービスの提供を受けた個人50への報酬」等に必要な課金情報を生成する。
【0084】
課金装置700は、介入サービスの適用において、どのような効果が期待できるかを介入決定支援装置200の予測部203の機能を利用して予測することにより、予測の価値に相当する基本報酬を決定し、さらに介入サービス実施後には実績評価装置300が出力した介入サービス提供会社40の提供する介入サービスの評価結果をもとにして、介入サービス提供会社40に支払う成功報酬を決定する。
報酬を決定のために、課金装置700は、課金規則を記憶する課金規則部701を備え、実績評価装置300が健康度と経済的換算価値についての関係を算出して生成した健康度換算価値対応情報(評価結果の一例)等を統合データベースサーバ100から入力し、入力した評価結果と課金規則とに基づいて基本報酬と成功報酬についての課金情報を生成する。なお、生成した課金情報は、課金装置700に記憶すると共に、統合データベースサーバ100に記憶する。
ここで、基本報酬と成功報酬は両方あっても良いし、いづれか一方でもよく、これらの課金の規則は課金規則部701に記憶されている。
また、「介入サービス提供会社40への報酬」、「健康保険組合60からの報酬」、「介入対象として決定され介入サービスの提供を受けた個人50への報酬」等についてどのように配分するかについても課金規則部701に記憶されており、それにもとづいて、各々の報酬を決定する。
図1においては、課金装置700は、実績評価装置300が介入サービス提供会社40対して評価した評価結果と課金規則部701に予め記憶する課金規則に基づいて課金情報を生成し、その情報をもとに介入サービス統括装置900が「費用A」を健康保険組合60に請求して受け取り、一方、報酬として「費用B」を介入サービス提供会社40に支払う場合を示している。
【0085】
健康保険組合が、健康増進のための介入サービスを導入(購入)する形態について二通りの例を示す。
形態の第一の例は、健康保険組合60から介入サービス提供会社40への成功報酬支払いの形態である。即ち、介入サービス提供会社40と、例えば健康保険組合60(保険者の一例)との間で、健康度K1(N人の集団で)から健康度K2(N人の母集団)に改善したときの介入サービス提供会社40がうける報酬を、基本報酬と必要に応じて成功報酬として報酬を付加して計算することが考えられる。
形態の第二の例は、健康保険組合60から介入サービス統括会社90への成功報酬支払いの形態である。即ち、健康保険組合等の保険者が直接介入サービス提供会社40との間で第一の例で示すような介入サービス調達の管理をするのは困難であることが想定されるので、これらの介入サービス事業者を一括して仲介する統括的なサービス事業者があってもよい。即ち、健康保険組合60から、健康増進に関わる依頼を介入サービス統括会社90が一括して請負い、介入サービス統括会社90から必要な介入サービスを介入サービス提供会社40に依頼する場合には、介入サービス統括会社90と、例えば健康保険組合(保険者の一例)60との間で、健康度K1(N人の集団で)から健康度K2(N人の母集団)に改善したときの介入サービス統括会社がうける報酬を、基本報酬と必要に応じて成功報酬を付加して計算することが考えられる。そして、さらに、介入サービス統括会社と介入サービス提供会社40の間で、同様に健康度の改善に基づいて介入サービス提供会社40がうける報酬を、基本報酬と必要に応じて成功報酬として報酬を付加して計算することが考えられる。尚、介入サービス統括会社90については実施の形態2において説明する。
以上、健康保険組合が、健康増進のための介入サービスを導入(購入)する形態について2つの例を示して説明したが、その形態における報酬は、健康増進に伴う経済的な換算価値に基づいて決定する。即ち、集団の健康度が改善すると、トータルの医療費負担が抑制されるとともに、トータルでの被保険者集団の労働生産性が向上する。したがって、健康度が改善し、集団全体の健康状態が改善された場合には、医療費の抑制分や労働生産性の向上分は経済的な換算価値を持つ。
報酬を決定する上で必要な経済的な換算価値は、統合データベースサーバ100に記憶されている健康度換算価値対応情報を課金装置700が読み込んで計算する。
【0086】
続いて、以下に図31、図32、図33を用いて、報酬を決定するための課金の手段について説明する。
図31は、課金の手段に関する一番目の例を示す図である。図31において、(イ)〜(ハ)のグラフうち中央の(ロ)は、健康保険組合60が介入サービス提供会社40または介入サービス統括会社90に支払う基本報酬を課金情報として課金装置700が算出する際の基準とする健康度のグラフである。また、(イ)のグラフは、基本報酬を設定する基準となる(ロ)のグラフ以上に健康度が上昇した場合を示している。(ハ)のグラフはこれとは逆に、基本報酬を設定する基準となる(ロ)のグラフと比べて健康度が上昇しない場合を示している。図31に示すように、介入対象の健康度がK1から(ロ)におけるK2に向上した場合の、医療費及び労働生産性向上の換算価値が、V2(K2−K1に相当する換算価値)であるとする。その場合、介入サービス提供会社40の提供する介入サービスの基本報酬はV2をもとに算出する。たとえば、換算価値V2を、前述の「形態の第一の例」では、その50%を被保険者集団に還元、20%を保険者(健康保険組合60等)、30%を介入サービス提供会社40に配分することが考えられる。また、前述の「形態の第二の例」では、その50%を被保険者集団に還元、20%を保険者(健康保険組合60等)、20%を介入サービス提供会社40、10%を介入サービス統括会社90に配分することが考えられる。
介入サービス提供会社40が提供した介入サービスによりK2よりも更に良い健康度K3が達成できたときには、(K3−K2)を基準にして上乗せ分を計算することができる。健康度の算出方式、換算価値の計算方式、成功報酬の計算方式は、全て保険者(健康保険組合60等)と介入サービス統括会社90や介入サービス提供会社40等との間で事前に合意の上契約する。現実にK2まで健康度が向上するかどうか分らないリスクが保険者(健康保険組合60等)、介入サービス統括会社90、介入サービス提供会社40などにもあるので、それぞれは過去の実績を勘案して、契約条件を決定してもよい。
もし、契約どおりK2まで健康度が向上できずK1’(K1<K1’<K2)に留まった場合は、K1’の健康度の効果に対する基本報酬を払い戻すことも想定される。
【0087】
図32と図33は、課金の手段に関する二番目の例である。
図32において、横軸は時間軸であり縦軸は健康度である。保険者(健康保険組合60等)との契約時t1において、介入対象情報と介入支援情報とで決定された介入対象者と介入サービスの提供において、その介入対象の健康度がK1であったときに、ある介入サービスを提供することにより、t2になった時の健康度が、最低K1’から最大K2の範囲に向上することを示している。即ちt1の契約時点では、t2の時点で、どの程度まで健康度を向上できるかの予想においてはK1’からK2の範囲で示される。
また、図32における健康度K1、K1’、K2に対する換算価値を示す図が図33である。図33において、健康度がK1からK2へ改善した場合、医療費及び労働生産性向上の換算価値が、MinV2(最小値)〜MaxV2(最大値)の幅を有すると予想されるとする。この場合、基本報酬はMinV2(最小値値)から算出し、成功報酬は(MaxV2−MinV2)を基準に保険者(健康保険組合60等)との間で合意の上決定することが考えられる。現実にMaxV2まで効果が出るか分らないリスクがあるので、それを勘案して契約条件を決定してもよい。ここでMaxV2、MinV2の値については、実績をベースに予測する。
もし、契約どおりK2まで健康度が向上できずK1’(K1<K1’<K2)に留まった場合は、健康度K1’の効果に対する基本報酬との差額を払い戻すことも想定される。
以上の、形態の第一の例、形態の第二の例、課金の手段に関する一番目の例、課金の手段に関する二番目の例、で説明した課金手段における、報酬の取り決め(いかなる統合データベースサーバ100などの情報を用い、いかなる計算方式を用い、課金情報を生成するか)については課金規則部701に予め課金規則として記憶している。課金装置700はこの課金規則に基づいて課金情報を生成する。
また、後述する「介入サービス提供会社40の評価の詳細情報」を、介入サービス提供会社40の「格付け情報」として活用して課金することが可能である。即ち、統合データベースサーバ100に蓄積されている「介入サービス提供会社40の評価の詳細情報」を「格付け情報」として課金装置700が読み込み、課金規則部701に、格付の高い介入サービス提供会社40の報酬は高く、格付の低い介入サービス提供会社40の報酬を低くするという課金規則を予め設定することにより、課金装置700は、介入サービス提供会社40の格付け情報を用いた課金情報を生成する。
【0088】
以上、統合データベースサーバ100、介入決定支援装置200、実績評価装置300に加えた課金装置700は、介入決定支援装置200の介入サービス(又はプロトコル)を介入対象に適用したときの予測と、適用後の実績評価装置300が出力した介入サービスの評価結果である健康度の変化の経済的換算価値や、介入サービス(又は介入プロトコル)や介入サービス提供会社40の良否の評価結果、などに基づいて合理的に課金できるので、その効果として、健康保険組合60などの保険者(健康保険組合60等)は健康増進の依頼に対する報酬支払を客観的な実績データをもとに合理的に決定することができるので、介入サービスの購入側(健康保険組合60など)も提供側(介入サービス提供会社40)も共に納得のいく健康増進を推進することができる。さらに、格付けによって報酬を調整することができ、介入サービス提供会社40はより格付を高くするために良質な介入サービス(又は介入プロトコル)を提供するように方向付けることができ、保険者(健康保険組合60等)はよりよい健康増進を被保険者集団に対して提供することができる。
【0089】
次に、図1に示している健康管理装置600について説明する。
健康管理装置600は、統合データベースサーバ100の記憶する情報に基づいて、健康増進に関わる管理機能を提供する。即ち、健康増進のスケジュールを管理する機能、健康増進における産業医10の診療・指示等の記録機能、介入サービス提供会社40のサービス状況提供機能、介入サービスの評価結果表示機能、介入サービス標準プロトコル(介入プロトコル定義の例)の作成機能、など健康増進に関わる産業医10、会社20、医療機関30、介入サービス提供会社40、個人50、及び健康保険組合60、及び介入サービス統括会社90が、それぞれの健康増進の実施のために活用する機能を提供する。健康管理装置600は、図34に示すように、産業医10、会社20、医療機関30、介入サービス提供会社40、個人50、及び健康保険組合60のそれぞれに備えられた表示装置70と接続している。そして、健康管理装置600は、表示装置70を介して、後述する「健康増進支援情報」を前記の産業医10〜健康保険組合60、及び介入サービス統括会社90等に設置した表示装置70との間で送受信することで、健康増進のスケジュールを管理する機能、健康増進における産業医10の診療・指示等の記録機能、介入サービス提供会社40のサービス状況提供機能、介入サービスの評価結果表示機能、介入サービス標準プロトコル(介入プロトコル定義の例)の作成機能、などを提供する。
【0090】
健康管理装置600は、健康増進に関わる管理機能を提供するために、統合データベースサーバ100を介して、介入決定支援装置200、実績評価装置300、介入対象候補選定装置400、健康度生成装置500、課金装置700、特典付与装置800、との間で必要な情報(これを「健康増進支援情報」と呼ぶ)の連携を行う。
具体的には、健康管理装置600は、健康増進支援情報を統合データベースサーバ100へ送信する。健康増進支援情報を受信した統合データベースサーバ100は、被保険者データベース101へ健康増進支援情報を記憶する。
統合データベースサーバ100は、この健康増進支援情報を、対応する介入対象(個人端末51)、当該介入対象へ介入サービスを提供する介入サービス提供会社40(顧客情報データサーバ41)、顧客情報データサーバ42)、及び当該介入対象を担当する産業医10(健診データサーバ11)等へ送信する。また送信でなくとも、必要に応じて前記の各々の端末またはサーバが統合データベースサーバ100に健康増進支援情報を取得しに来るようにしても良い。
また、逆に、介入対象(個人端末51)、当該介入対象へ介入サービスを提供する介入サービス提供会社40(顧客情報データサーバ41、顧客情報データサーバ42)、及び当該介入対象を担当する産業医10(健診データサーバ11)等から健康管理装置600に送信する場合は、それぞれの端末やサーバなどから、健康増進支援情報を統合データベースサーバ100へ送信する。健康増進支援情報を受信した統合データベースサーバ100は、被保険者データベース101へ健康増進支援情報を記憶する。統合データベースサーバ100は、この健康増進支援情報を、健康管理装置600に送信する。また送信でなくとも、必要に応じて健康管理装置600が統合データベースサーバ100に健康増進支援情報を取得しに来るようにしても良い。
更に、統合データベースサーバ100を介した送受信でなくとも、健康管理装置600と連携可能な表示装置70により情報共有を行ってもよい。
【0091】
以下に健康管理装置の連携の例をあげる。例えば、健康管理装置600が、ある介入対象へ介入サービスを適用した場合の健康度などの予測を表示する際における連携(健康管理装置600が情報を統合データベースサーバ100から受信する例)について説明する。この場合は、前記のように、介入決定支援装置200は介入サービス適用モデル201、介入サービス非適用モデル202により、介入サービスを適用する場合、適用しない場合の効果の予測を行う予測部203の機能を持っている。健康管理装置600は、統合データベースサーバ100を介して、効果予測を介入決定支援装置200に予測の依頼の条件として介入対象と介入サービスを指定して予測を依頼する。介入決定支援装置200は健康管理装置600からの依頼を受けると、予測部203は依頼に基づいて介入対象に介入サービスを適用する場合、適用しない場合との効果の予測を行う。介入決定支援装置200は、依頼の結果として介入対象、介入サービスを含む介入支援情報及び予測の結果とを統合データベースサーバ100を介して健康管理装置600へ送信する。健康管理装置600は、この情報を受信して活用する。
【0092】
また、健康管理装置600が、介入プロトコル定義を行う場合の統合データベースサーバ100や表示装置70との連携の例について説明する。この場合、健康管理装置600に接続された産業医の表示装置70を利用して、産業医10が介入プロトコルを作成し入力(入力の画面は図示しない)する。健康管理装置600は入力された介入プロトコル定義の入力情報を統合データベースサーバ100に送信し、そこでその情報が蓄積される。この介入プロトコルを介入サービス提供会社40が必要としたときに、統合データベースサーバ100に必要とする介入プロトコル定義情報を取りに行く。
【0093】
以上の二つの例のように、健康管理装置600は、健康増進に関わる管理機能を提供するために、統合データベースサーバ100を介して各装置と情報連携する。これらの情報を、「健康増進支援情報」と呼ぶ。
「健康増進支援情報」は健康管理装置600の入出力情報である。具体的には、「健康増進支援情報」は、「健康増進マップ」、「ヘルスケアカルテ」、「介入サービス評価マップ」、「介入サービス提供会社管理情報」、及び「被保険者向け介入サービス評価情報」などの機能における入出力情報である。
この健康増進支援情報により、例えば、産業医10などの健康増進の医師としての管理者が、介入対象(集団または個人)や介入サービス提供会社40等とのチームワークにより健康増進を効率的に実施するために必要な情報共有やアドバイスを行うことができる。
以下、「健康増進マップ」、「ヘルスケアカルテ」、「介入サービス評価マップ」、「介入サービス提供会社管理情報」、及び「被保険者向け介入サービス評価情報」の機能について、順に説明する。
【0094】
「健康増進マップ」とは、以下に示すような機能を備えた、被保険者向けの介入サービス評価の情報である。
健康増進マップの目的としては、
第1に、健康増進の介入プロトコル(又は介入サービス)を一覧表示することで予防サービスの質の保証、向上を支援することである。
第2に、介入プロトコル(又は介入サービス)の効率化や介入期間の短縮を支援することである。
第3に、介入プロトコル(又は介入サービス)を共有化することで、専門家(産業医10、保健師、介入サービス提供会社40の専門家など)と被保険者集団によるチーム予防を促進することである。
第4に、様々な介入プロトコル(又は介入サービス)との比較や、標準的な介入プロトコル(又は介入サービス)の検討や、それに基づく、介入サービス標準プロトコル(介入プロトコルの一例)の定義を可能とすることである。
第5に、被保険者集団の健康増進活動(介入サービスへの参画など)への参画を支援することである。
第6に、ヘルスケアの継続性を確保(健康と医療の連続性の確保、即ち(COC:Continuous of Care)の確保)することである。
【0095】
図35は、健康増進マップの主たる目的を達成するための過程を示す図である。すなわち、図35は、介入実績評価を個人、あるいは集団に対する健康増進マップに提示することにより、上記6つの目的の達成を図る過程を示している。個人または集団別に健康増進マップを活用して、介入の実施とフォロー、実績の取り込み、介入実績評価を行う。続いて、その評価結果にもとづいて、個人や集団の状況に応じた介入プロトコル(又は介入サービス)の改善をするサイクルがある。さらに、これらの介入プロトコル(又は介入サービス)の改善のサイクルをいろいろな個人や集団に対して繰り返すことにより、より標準的な健康管理の手法を開発することができる。図において、このサイクルを、「よりよい標準的介入プロトコル開発」と記載して示している。
図36は、健康増進マップを表示装置70に表示する場合の具体例を示している。
【0096】
以下、健康増進マップを個人に適用する場合と、集団に適用する場合についての説明を行う。
まず、最初に健康増進マップを個人に適用する場合を説明する。
被保険者集団(個人)の健康管理に参加する医師、保健師、栄養士、介入サービス担当者などが、被保険者集団(個人)の健康管理において、縦軸をカテゴリ(例えば、適正体重管理(BMI)、運動管理、禁煙、ストレス(ストレス度)、歯の手入れ、など)により区分して、過去の健康管理の実績(医師指導内容、健診実施内容、適用実績データなど)と、今後の予定とを、表示させて確認できる。さらに、産業医10等が健康管理の指示の入力(例えば、10月から禁煙指導を開始する、など)を行ったり、実績情報の詳細(健診を実施した、という実施の有無の情報だけでなく、どのような健診結果であったかを参照する機能)をリンクして対応する必要な情報を記憶している統合データベースサーバ100から抽出して表示することができる。同様に、介入に関する「適用実績データ」は、被保険者データベース101が記憶しており、統合データベースサーバ100から「適用実績データ」を取得して表示することができる。
健康増進マップの機能としては、予定を表示するとともに、被保険者集団(個人)の健康度や医療費などのシミュレーション情報を同時に表示できる。健康増進マップの有する機能は、被保険者集団(個人)と、被保険者集団(個人)の健康管理に参加するもの全員(医師、保健師、栄養士、介入サービス担当者など)が使用できることを想定している。ただし、個々には、利用者の職種や業種や個人ごとに、アクセス制限や、利用可能な機能範囲、参照、入力等の制限などを行うことは可能とする。
【0097】
次に図36を用いて個人に関する健康増進マップを説明する。図36は、横軸は、10月から7月までの時間軸になっており、縦軸のカテゴリは、医師指示、栄養、運動、禁煙、健診、モニタ、医療費、健康度、が選択されている様子を示している。カテゴリとして、このほかに、ストレス(ストレス度)やメンタルや休養など、健康増進において重要なカテゴリとなる任意の項目を選択することができる。同様に健診のカテゴリでは、健診情報に含まれる健診項目(血圧や血糖値など)を選択できる。このように、このカテゴリには、統合データベースサーバ100で管理されている健康管理情報、健康度、レセプト情報、等の項目から選択できる。また、健康増進マップの左部分、即ち現在時刻を表す太い縦線よりも左の領域は過去の実績を示し、太い線の右側の領域は将来の予定を示す。それぞれのカテゴリごとに、表の中に、丸印や三角印が表示されており、ここでは丸印は予定があること、三角印は実績があったこと、を示す記号としている。医師指示の三角印の部分を選択することにより実施内容(医師指示の内容)の詳細(例として“BMIを7月までに適正範囲内にするように推奨した”など)を表示させることができる。また、この表示画面から、現在時刻より右の将来領域を選択することにより、そのカテゴリの予定を設定することも可能である。例えば、禁煙のカテゴリの7月の予定として“禁煙1ヶ月目点検の実施”という予定を設定することができる。さらに、将来領域では、介入決定支援装置200の予測の機能との連携により得られる将来の健診情報(健康管理情報の一例)や医療費や健康度の予測結果を用いて、図に示すように実績と同時に重ね合わせて表示することができる。これらの情報を用いて産業医10等は、介入対象の医療費、健康度の傾向、集団への介入状況などを総合的に確認し、必要に応じて、実施予定や実績の詳細内容を確認することができる。
【0098】
続いて健康増進マップを集団に適用する場合を説明する。
健康増進マップは、被保険者集団(集団)にも有効に活用することができる。すなわち、健康増進マップでは、被保険者集団(集団)の健康管理に参加する医師、保健師、栄養士、介入サービス担当者などが、被保険者集団(集団)の健康管理において、過去の健康管理実績(医師指導、健診実施、適用実績データなど)と予定を、カテゴリ(例えば、適正体重管理、運動管理、禁煙、ストレス(ストレス度)、歯の手入れ、など)ごとに区分して、表示したり、健康管理の指示入力(例えば、10月から禁煙講習会を開始する、など)を行ったり、実績情報の詳細(禁煙講習会実施という情報だけでなく、どのような結果であったかを参照可能)をリンクして表示することができる。これらの機能は、集団を対象にしたこと以外は、個人への適用の場合と同様である。
次に図37を用いて、健康増進マップを集団に適用する場合を具体的に説明する。図において、介入サービスを集団に適用した場合の健康増進マップの表示例を示している。図37の健康増進マップにおける集団適用例では、予め条件により抽出された集団に対して、その集団を便宜的に表現するための集団名称を設定することができる。集団名称や集団名称とそれに属する個人のデータIDは、被保険者データベース101の集団管理情報により管理されている。図37では「糖尿病予備軍(A社介入)」が、選択された集団名称となっている。健康増進マップに表示したい集団名称を選択することで、図37の健康増進マップの左部分、即ち現在時刻を表す太い縦線よりも左の領域に、当該集団の過去の実績を示す時系列グラフが表示される。さらに、現在時刻を表す太い縦線よりも右の領域には介入サービスの提供予定や、介入決定支援装置200との連携により得られる将来の健診情報(健康管理情報の一例)や医療費や健康度の予測結果、を同時に表示することができる。これらの情報を用いて産業医等は、その集団の医療費、健康度の傾向、集団への介入状況などを総合的に確認し、必要に応じて、実施予定や実績の詳細内容を確認することができる。
【0099】
以上のように、健康増進マップにおいては、被保険者集団(個人及び集団)と、この者たちの健康管理を担当する関係者(医師、保健師、栄養士、介入サービス担当者、更に介入サービスを受ける被保険者集団の個人や集団も含んでよい)との間で、健康管理情報を健康増進マップとして統合的に共有することにより、より適切な健康管理を被保険者集団に対して実行することができる。また、様々な介入サービス提供会社40の介入サービスや介入プロトコルの違いを、健康増進マップを利用して総合的に比較、評価することができる。
なお、図11で示した介入サービス標準プロトコル定義には、介入プロトコル定義形式の一例を示しているが、このような文字列形式の介入プロトコル定義情報を健康増進マップの表中にグラフィカルに表現可能な機能を、健康管理装置600に付加することにより健康増進マップに表示してもよい(図示していない)。例えば、図11で示す介入サービス標準プロトコル定義におけるステップS1を健康増進マップの表の中に「もしZ1ならば」という判断の行為を医師指示のカテゴリに“予定”として丸印により表現することも可能である。また逆に、健康増進マップで表現されている表の内容を介入プロトコル定義形式の一例で示すような文字列形式に変換して表現することも可能である(図示していない)。
【0100】
次に、ヘルスケアカルテについて説明する。
「ヘルスケアカルテ」とは、被保険者集団(個人)に関する健康状態の医師による記録である。被保険者集団(個人)の健康管理を行う医師が、被保険者集団(個人)の診察や機器を活用したモニタリングを通じて、被保険者集団(個人)の健康管理の方針、介入サービスの要否、推奨する介入サービス内容、期間、結果などを記録するものであり、被保険者集団(個人)毎に管理される。当該被保険者集団(個人)に関連する関係者(保健師、栄養士、介入サービス事業者の担当者等)なども被保険者集団(個人)の了解があれば、このヘルスケアカルテを参照することができる。ヘルスケアカルテは、集団に関する記録としても活用ができる。例えば、被保険者集団(集団)に対する健康増進の集団アプローチ(運動キャンペーン、歯磨き指導、講習会など)を実施する場合の記録としてヘルスケアカルテを活用する。集団の健康管理において、健康管理を行う責任者が、事業所単位、職場単位など、任意に定義された被保険者集団(集団)ごとの、健康管理の方針、介入サービスの要否、推奨する介入サービス内容、期間、結果などをこのヘルスケアカルテに記録することにより集団の記録を管理できる。
ヘルスケアカルテは、被保険者集団(個人及びその集団)毎に管理される。当該被保険者集団に関連する関係者(保健師、栄養士、介入サービス事業者の担当者)や介入サービスを受けている被保険者集団なども、ヘルスケアカルテを参照することができる。このヘルスケアカルテを用いることで、被保険者集団の健康管理を担当する医師の健康管理指導情報を、ヘルスケアカルテとして、被保険者集団も含めて、関係者で共有することにより、適切な健康管理を実行することができる。
図38にヘルスケアカルテの一例を示す。図38は、ヘルスケアカルテを入力する画面の一例である。まず、ヘルスケアカルテ操作者名を入力するログイン設定部32に操作者がIDなどによりログインする。続いてヘルスケアカルテ入力対象(個人または集団)を入力する対象設定部39に、対象となる個人または集団を入力する。その結果、介入結果36に最新の介入結果が表示される。介入結果36に表示する内容は、メニュー内容(例)で示されるような健康管理情報や健康度等の統合データベースサーバ100に蓄積されている項目が対象となる。これらの介入結果について様々な形式のグラフや指導記録により参照しながら、記録入力35の領域に、ヘルスケアカルテの記録を入力する。ヘルスケアカルテの入力では、最初に入力のメニューを記録・指示メニュー33にある項目から選択する。例えば、運動指示を入力する場合は、メニューから運動指示を選択する。これにより、運動指示に関する記録を、記録入力35の領域に自由に文章や図を入力することができる。運動指示に関する入力を簡単にするために運動指示画面34の定型文種別を選択し、その種別に属する指示定型文を選択すると、選択された指示定型文が記録入力35に転記される。入力文の例は、図中に示した通りである。また、ログイン時に、その操作者のアクセス権限に基づいて参照・書き込みを制御するために、アクセス権限38で示す情報を健康管理装置600は持つ。
以上により作成されたヘルスケアカルテの情報は、健康管理装置600から統合データベースサーバ100に蓄積される。このとき、個人に対するヘルスケアカルテの入力情報は全て個人ごとに個人IDに関連づけて蓄積されている。また、集団に対するヘルスケアカルテの入力情報は、健康増進マップの集団適用例で説明した集団名称と同じ集団名称により関連付けて蓄積される。なお、集団名称とそれに属する個人IDは被保険者データベース101の集団管理情報により管理されている。
【0101】
次に、介入サービス評価マップについて説明する。図39に介入サービス評価マップの例を示す。「介入サービス評価マップ」とは、実績評価装置300の持つ「過去の実績に基づいて評価する機能」と、介入決定支援装置200の持つ「将来の健康度、健診情報、医療費等を予測をする機能」を健康管理装置600が利用して、介入サービス(介入プロトコルを含む)による実績と予測を表示装置70に表示するものである。
これにより、介入サービス評価マップは、介入サービス提供会社40から提供される介入サービス(介入プロトコルを含む)を被保険者集団に適用した時に、介入サービスの実績と予測を表示することができる。表示においては、図39に示すように、A社糖尿病予防プログラムやB社糖尿病予防プログラムなど、複数の介入サービス提供会社40の実績と予測を同時に表示してもよい。
また、異なる保険者(健康保険組合60等)に属する被保険者集団対して、同一の介入サービスを適用した場合(例えばA健康保険組合の被保険者集団XとB健康保険組合の被保険者集団Y)に、異なる保険者(健康保険組合60等)の間での効果の違いを表示することができる。例えば、A健康保険組合の被保険者集団Xへの禁煙プログラムによる介入結果と、B健康保険組合の被保険者集団Yへの同一の禁煙プログラムによる介入結果を、同時に表示することにより比較することができる。
また、評価結果を表示する場合、利用者の要求に基づいて、表示するグラフや表の項目を設定する。項目については、統合データベースサーバ100で管理されている項目であれば任意に選択可能とする。グラフの表現の仕方は、棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフ、相関図、など、目的に応じて選択可能とする。
さらに介入サービス評価マップの参照は、利用者の権限に応じて機能を予め制約することができる。例えば、被保険者集団(個人)も本マップを参照することができるが、他の人の個人IDを選択することを禁止することができる。介入サービス提供会社40に対しても、他社の入サービス実績を見ることができないようにすることも可能である。
【0102】
健康管理装置600が、介入サービス評価マップにおいて持つ具体的な表示機能を図39に示している。図39において、グラフの縦軸には「評価軸選定」を選択することにより、健康度や、健康管理情報(血圧値や血糖値やBMIなどの健診項目等)、レセプト情報等、から評価の対象としたい項目が設定される。グラフの横軸の時間軸は、「期間設定」の入力により、その期間に対応した時間軸が自動的に設定される。グラフに表示する対象を、「個人指定」、「介入サービス適用集団選択」、「非適用集団選択」の機能により設定する。「個人指定」の場合は、個人IDを指定する。「介入サービス適用集団選択」の場合は、介入サービス適用集団とそれに属する個人IDを特定することのできる、介入サービス種別や介入した集団名称、を指定する。「非適用集団選択」の場合は、前期「個人指定」や「介入サービス適用集団選択」において設定された個人または集団と同一クラスタに分類される集団を抽出し、抽出した集団の実績と予想を表示する。本機能を用いて、「個人指定」や「介入サービス適用集団選択」により様々なクラスタに属する個人や集団を任意に選択して、選択された対象での比較を行うことにより、どのようなクラスタの人に効果が高かったのかなどの分析に役立てることができる。
健康管理装置600は、上記の操作により設定された情報をもとに、必要な情報を実績評価装置300の持つ「過去の実績に基づく評価する機能」と、介入決定支援装置200の持つ「将来の健康度、健診情報、医療費等の予測をする機能」を必要時に利用して獲得し、その結果を表示装置70に表示する。その表示例が図39である。図39において、ひとつのグラフに、A社糖尿病予防プログラム適用集団と、B社糖尿病予防プログラム適用集団と、糖尿病予防プログラム非適用集団についての、介入開始前後の健康度の変化を表示している。これにより、非適用集団よりも適用集団の方が健康度が向上しており、さらにA社の方がB社よりも健康度が向上していることが推定できる。さらに、介入決定支援装置200の持つ「将来の健康度、健診情報、医療費等の予測をする機能」により、予測結果(図示していない)を表示することも可能である。
【0103】
健康管理装置600が、「介入サービス適用集団選択」、「非適用集団選択」のそれぞれを表示させる場合を例に統合データベースサーバ100や介入決定支援装置200との関係を説明する。
健康管理装置600において「介入サービス適用集団選択」により集団を選択し、「評価軸選定」で評価軸を選定すると、必要な過去の実績データを統合データベースサーバ100から取り込んで実績データ(第一の時系列データ)を表示する。
続いて「非適用集団選択」により「介入サービス適用集団選択」で設定された集団と同一クラスタに分類される介入サービス非適用集団を健康管理装置600が抽出し、抽出した集団についても前記と同様に必要な過去の実績データを統合データベースサーバ100から取り込んで実績データ(第二の時系列データ)を表示する。これにより、介入サービス適用集団とそれと同じクラスタの介入サービス非適用集団の過去の実績を同時に表示することができる。
さらに、これに予測の表示を付加する機能について説明する。健康管理装置600において「介入サービス適用集団選択」により集団を選択し、「評価軸選定」で評価軸を選定すると、健康管理装置600は、統合データベースサーバ100を経由して介入決定支援装置200に選択された集団と適用される介入サービスに関する依頼情報を送信して予測を依頼する。介入決定支援装置200の予測部203は、依頼された情報に基づいて、対応する集団の過去の実績(第一の時系列データ)を統合データベースサーバ100から取り込むと同時に介入サービス適用モデルを用いて予測を行い、その予測結果(第一の時系列データに続く予測)を統合データベースサーバ100を経由して健康管理装置600に送信する。
続いて「非適用集団選択」により「介入サービス適用集団選択」で設定された集団と同一クラスタに分類される介入サービス非適用集団を健康管理装置600が抽出し、抽出した集団についても前記と同様に、統合データベースサーバ100を経由して介入決定支援装置200に選択された集団に関する依頼情報を送信して予測を依頼する。介入決定支援装置200の予測部203は、依頼された情報に基づいて、対応する集団の過去の実績(第二の時系列データ)を統合データベースサーバ100から取り込むと同時に介入サービス非適用モデルを用いて予測を行い、その予測結果(第二の時系列データに続く予測)を統合データベースサーバ100を経由して健康管理装置600に送信する。
これにより、介入サービス適用集団とそれと同じクラスタの介入サービス非適用集団の予測を同時に表示することができる。
また「評価軸選定」での評価軸選定により、選択した被保険者集団(個人または集団)における健康度や、健康度の変化を経済的な価値に換算した換算価値や、医療費データや、被保険者集団の健康診断などで得られる健診情報(健康管理情報の一例)などを選択すると必要な情報を前述のように統合データベースサーバ100、介入決定支援装置200などから得る。
なお、ここでは健康管理装置600に同一クラスタの集団の抽出機能を持たせることを想定して説明したが、本機能を介入決定支援装置200により実現してもよい。
【0104】
以上のように、「同一のクラスタ」の集団同士について、介入サービスの適用を受けている集団と、適用を受けていない集団とを比較することで、介入サービスの適用の効果が明確となる。また、過去の実績と、予測とを表示するので、過去から未来にかけての介入サービスの効果を知ることが可能となる。
【0105】
図40は、介入サービス評価マップにおいて、介入サービスと医療費との関係を表示させる例を示している。
生活習慣病対策に関する介入サービスの適用によって、生活習慣病に関する医療費(例えば、特定の生活習慣病の治療に要する薬剤や検査の医療費)が変化することが想定される。特に介入サービスの提供先が有所見者(すでに健診結果から糖尿病と判断できた対象)である場合、悪化を予防するために医療機関で医療を受けている場合がある。しかしながら生活習慣病の場合、重要性が個人において認識されなければ医療機関の指示通りに服薬しないなどの事例は多い。介入サービスにおいてこのような医師からの指示に対する被保険者集団の遵守が不十分な対象者である場合、保健指導の介入サービスによって医療機関の指示通りに服薬するように働きかけることができる。これにより、保険者(健康保険組合60等)のレセプト情報(医療費の情報)から短期的な医療費の上昇が推測される半面、長期的には悪化防止による医療費抑制が期待される。
従って、表示装置70に表示される介入サービス評価マップの「評価軸選定」において、医療費(レセプト情報の内、請求点(医療費請求情報))を選択することにより、健康管理装置600は、被保険者集団の医療サービスの消費実績(即ち医療費)の予想結果を表示する。更に、介入サービスと特定の検査や薬剤の消費実績と予想を可能とするために、レセプト情報の中の請求点(医療費請求情報)から、注目する生活習慣病に関する検査や薬剤などに関する請求点(医療費請求情報)のみを抽出し、その抽出した請求点を評価軸選定で選択できる機能を健康管理装置600に付加することにより、介入サービスと特定の検査や薬剤の消費実績と予想を提供することが可能となる。
また、更に、特定の生活習慣病対象者における介入サービスと医療費(請求点総計でも、特定の検査や薬剤について抽出した請求点でも良い)の消費実績と予測とから、ある特定の生活習慣病対象者が、平均的な消費実績と予測から統計的に外れていることを検出する機能を健康管理装置600に付加することにより、服薬が指示通りなされていない可能性のある対象者の抽出が可能である。
ここで、健康管理装置600は、このような対象者の抽出を統合データベースサーバ100を介して、介入対象候補選定装置400に、依頼し、その結果を出力する。
以上に例示した被保険者集団の医療サービスの消費動向の実績と予想に関する情報は医療機関や製薬企業、研究機関への提供が可能である。
尚、表示装置70における介入サービス評価マップの参照は、利用者の権限に応じて機能を予め制約することができるのは、図39に示した介入サービス評価マップの場合と同様である。
【0106】
次に、介入サービス提供会社管理情報について説明する。図41は、健康管理装置600が表示装置70に表示する「介入サービス提供会社管理情報」の例を示している。「介入サービス提供会社管理情報」は、介入サービス提供会社40が提供する介入サービスや介入プロトコルの提供企業名、サービスやプロトコル名称、管理のためのID、など介入サービス提供会社40の介入サービスに関連する情報について、介入サービスの区分とともに管理している情報である。本情報は統合データベースサーバ100に記憶されいる。登録が必要になった場合は、図41の介入サービス提供会社管理情報で示す画面により介入サービス提供会社管理情報の登録を行う。また、登録された介入サービス提供会社管理情報は、統合データベースサーバ100に記憶される。
【0107】
次に、被保険者向け介入サービス評価情報提供について説明する。図42に被保険者向け介入サービス評価情報提供の例を示す。「被保険者向け介入サービス評価情報提供」とは、実績評価装置300の持つ「過去の実績に基づいて評価する機能」と介入対象候補選定装置400の持つ「介入対象候補を選定する機能」と、介入決定支援装置200の持つ「将来の健康度、健診情報、医療費等の予測をする機能、及び介入対象と介入支援情報を決定する機能」、後述する特典付与装置800の持つ「特典付与機能」、を健康管理装置600が利用して、被保険者集団に対して介入サービス(介入プロトコルを含む)についての評価情報や、被保険者集団の健康度や健康管理情報に関する情報、等を表示装置70を用いて提供するものである。
介入サービス評価情報提供の目的は、主として5つあり、
まず第一に、被保険者集団に対して、本人の健康度や健康管理情報の提供、更に、被保険者集団(個人)が集団においてどのような健康状態にあるかを示すことにより、被保険者(個人)に対する健康に関する現状認識を可能とすることである。
第二に、被保険者集団に対して介入決定支援装置200が決定した介入支援情報を提供して、推奨されている介入サービスの紹介と参画確定を可能とすることである。
第三に、介入支援情報に基づく効果についての過去の実績情報やそれに基づく予想、さらには介入プロトコルの実績・予想の比較情報を提供することにより、介入サービスの効果についての認識を可能とすることである。
第四に、被保険者集団に対して介入サービスの客観的な評価情報を提供して、介入サービスへの参画に際しての参考情報を提供することである。
第五に、介入サービスの参加にあたり、介入サービスを受けることによるポイント運用基準(後述する健康度向上の達成度合いに基づく自己負担軽減などに関する特典付与の運用情報)に関する情報を提供することにより、介入サービスへの参画を促進することである。
以下に図42被保険者に対する介入サービス評価情報提供の例を用いて、第一の目的についての機能から、第五の目的に関する機能について順に説明する。
【0108】
まず第一の目的に関する機能について説明する。
被保険者集団は、表示装置70を用いて当該被保険者集団のIDやパスワードなどを用いて、図42に示す「被保険者向け介入サービス評価情報提供における表示例」を示す表示画面6501にログインしている場合を想定する。被保険者集団(個人)が表示画面6501に示す画面から「個人A様の健康評価6502」を選択すると、個人Aの健康度、健康管理情報、集団における個人Aの統計的位置づけ(平均との差異、など)、被保険者集団(個人)と同じクラスタに分類される被保険者集団における統計的位置づけ(平均との差異、など)、等、被保険者集団に予め開示することが許されている情報について表示する。表示に際して健康管理装置600は、統合データベースサーバ100から必要な情報を読み込み、目的に応じたグラフ(棒グラフ、折れ線グラフ、レーダチャート、円グラフ、相関図、散布図など)を生成して表示(図示していない)する。
【0109】
次に、第二の目的に関する機能について説明する。
「お勧めメニュー検討6503」を選択することにより、次の画面に展開する。即ち、第二の目的のための介入支援情報の表示画面6504や、第三の目的のための適用集団S1と非適用集団S2の実績の表示画面6506、適用集団S1と非適用集団S2の予想の表示画面6507、及び介入プロトコルの比較の表示画面6508(A社栄養とB社栄養との比較、C社運動とC社栄養との比較など)、への画面展開を選択するための画面(図示していない)に展開する。ここで、介入支援情報の表示画面6504により、介入決定支援装置200で決定した介入支援情報を統合データベースサーバ100から読み込んで表示したり、被保険者集団(個人)の同意確認が必要な場合は介入サービスの確定を「介入確定6505」の選択により指示できる。確定したという情報は介入支援情報の一部として統合データベースサーバ100に蓄積される。
【0110】
続いて、第三の目的に関する機能について説明する。
適用集団S1と非適用集団S2の実績を示す表示画面6506により、個人Aと同一クラスタの集団に対する介入プロトコル(または介入サービス)適用による過去の実績と、個人Aと同一クラスタの非適用集団の過去の実績とを重ね合わせて表示する。
適用集団S1と非適用集団S2の予想を示す表示画面6507により、個人Aと同一クラスタの集団に対する介入プロトコル(または介入サービス)の予想と、個人Aと同一クラスタの非適用集団の予想とを重ね合わせて表示する。表示に際して健康管理装置600は、統合データベースサーバ100から必要な情報を読み込むと同時に介入決定支援装置200の予測部203の機能に予測を依頼して結果を得ることにより、必要な情報を得て表示する。
介入プロトコルの比較を示す表示画面6508(A社栄養とB社栄養との比較、C社運動とC社栄養との比較など)により、個人Aと同一クラスタの集団に対する複数の介入プロトコル(または複数の介入サービス)についての実績と予測を、個人Aと同一クラスタの非適用集団の予測とを重ね合わせて表示する。表示に際して健康管理装置600は、適用集団S1と非適用集団S2の予想の表示画面6507と同様に、統合データベースサーバ100から必要な情報を読み込むと同時に、介入決定支援装置200の予測部203の機能に予測を依頼して結果を得ることにより、必要な情報を得て表示する。
なお、上記において、個人Aと同一クラスタの集団の情報と、個人Aと同一クラスタの非適用集団の情報については、統合データベースサーバ100に記憶されている健康管理情報、健康度、レセプト情報などを健康管理装置600が読み込み統計モデルを用いて生成する。ここでクラスタリングの変数については特に規定しない。
【0111】
続いて、第四の目的に関する機能について説明する。図42における被保険者集団に対する介入サービス評価情報提供の例に示す画面において、「介入サービス評価情報6509」を選択すると、図43に示す被保険者向け介入サービス評価情報提供例の画面が表示される。本画面において、画面下部4701は、介入事業者、即ち介入サービス提供会社40と介入サービス区分(生活習慣ではBMI、運動、禁煙、歯磨き、ストレス(ストレス度)、飲酒などの区分である。また、生活習慣病では、糖尿病、高血圧、高脂血症などの区分である。)の関係を示す表である。表の中には、各介入事業者が介入サービス区分において提供する介入サービスの名称(または介入プロトコルの名称)と、その介入サービス(または介入プロトコル)のランク即ち、評価結果が表示されている。このランクは、例えば健康増進を管理する健康保険組合60や介入サービス統括会社90が決定した評価結果(総合評価(推奨)という一つの評価結果であっても、複数の評価結果であっても良い)を示すもので、例えば数字(大きければ良いなど)や星印(*のマーク、多ければ良いなど)によって表現することができる。このように画面下部4701は、介入事業者の提供する介入サービス(または介入プロトコル)名称とそのランクを一覧表示するものである。さらに、表中の介入サービス(または介入プロトコル)名称を選択することにより、評価画面が表示され、そこに選択した介入サービス(または介入プロトコル)についての「評価の詳細情報」を画面表示する。図43の例では、A社のBMIに関する名称がYYYYYでランクが5つ星と評価されている介入サービスを画面で選択した場合に、画面上部4702に示す表で示されるような、評価の詳細情報を画面表示する。画面上部4702に示すように評価項目としては、介入サービスの価格の評価、実績による達成効果の評価、効果が出るまでの標準的な実施期間の評価、娯楽性を取り入れた介入サービスかどうかの評価、介入を受けるにあたっての時間制約・拘束時間についての評価、介入をうけることに対する精神的ストレス(ストレス度)の評価、介入サービスにおける被保険者集団の継続支援、産業医や健康保険組合など健康増進推進者の支援などの様々なフォローアップ体制の評価、参加経験者の満足度調査の結果評価、介入サービスへの参加の容易性(機器の使い易さ、など)の評価、高齢者対応(機器の高齢者対応、など)の評価、などがある。なお、これらの評価内容のうち、産業医10、健康保険組合60、個人50、介入サービス統括会社90等における評価者の入力が必要とされる内容については、介入サービスや介入サービス提供会社40を評価する側にある表示装置70により入力され、入力された情報を健康管理装置600から統合データベースサーバ100を経由して実績評価装置300が取り込み、実績評価装置300は、実績評価装置300が行う介入サービス(または介入プロトコル)の評価と介入サービス提供会社40の評価の結果と合わせて、「評価の詳細情報」を生成して統合データベースサーバ100に蓄積する。また、健康管理装置600は、図43の画面表示に際し、統合データベースサーバ100から必要な情報を読み込んで表示する。
【0112】
最後に、第五の目的に関する機能について説明する。
図42において、「本サービスのポイント運営基準6510」を選択することにより、図44(a)に示す、特典付与装置800における規則例の情報を表示する。健康管理装置600は、統合データベースサーバ100からポイント運用基準に関する情報を読み込んで、表示装置70に表示する。尚、ポイント運営基準とは、健康度向上の達成度合いに基づく自己負担軽減などに関する特典付与の運用情報(例えば、特典付与の規則など)を被保険者集団向けに提供するもので、特典付与装置800の説明として後述する。
【0113】
以上、健康管理装置600が表示する「健康増進マップ」、「ヘルスケアカルテ」、「介入サービス評価マップ」、「介入サービス提供会社管理情報」、及び「被保険者向け介入サービス評価情報」について説明した。
健康管理装置600におけるこれらを表示する機能は、健康増進に関わる関係者(健康増進を推進する医師、保健師、栄養士、介入サービス提供会社40や、健康増進の主体である被保険者集団)により、各所に配置された表示装置70を介して予め決められたアクセス制限の元で利用することができる。
また、介入サービス提供会社40においても、自分以外の介入サービス提供会社40の介入サービスに関する情報を許された範囲内で収集することが可能であり、自社のサービス内容の改善に利用することができる。
また、介入サービス提供会社40は、介入対象についての依頼者からの指示情報を参照することができるので、効率的に介入サービスを提供することができる。
【0114】
特典付与装置800について説明する。
特典付与装置800は、被保険者集団に「所定の基準」により、健康を増進するための特典付与のための特典規則を生成する。「特典」とは、例えば、被保険者集団の健康改善のため、運動指導やスポーツジムの利用や、栄養指導や配膳業者の利用についての自己負担補助金の支給、あるいは、割引券や優遇ポイントを付与するような場合である。また、「所定の基準」とは、例えば、健康度の傾向からみて健康状態の良くない者であって健康改善の優先課題が運動不足にある者に対して、運動不足の改善のため運動指導の介入サービスを受けた場合に、自己負担補助金を支給したり、自己負担補助金に相当する割引券を支給するような場合である。また、支給に際して、健康度の変化からみて、健康状態が改善していると判断される被保険者集団に対して、報償の意味として、特典を与えることも考えられる。例えば、健康変化からみて健康度が向上した者へ、自己負担補助金支給を成功報酬として特典付与する場合である。
【0115】
また、健康増進に関する特典付与では、血圧や血糖値などの生体情報に関する健診情報の改善結果による特典付与が考えられる。しかし、生体情報の改善結果による特典付与では、努力して生活習慣を改善しても生体情報の改善につながるのには相当の期間がかかるため、生活習慣改善のサービスに参加するインセンティブとしては弱い。さらに、生活習慣病予防を目的とした健康増進においては、生体情報の改善結果だけではなく、BMI、運動、禁煙、歯の手入れ、ストレス(ストレス度)などに対する生活習慣改善の取り組みを特典付与に反映することが重要である。
【0116】
次に特典付与規則の例について説明する。図44(a)は、特典付与の規則例を表にしたものである。表において、行は現在の状態(健康度)を示し、列は目標の状態(健康度)を示す。表中の金額は、現在の状態から目標の状態に達成したときに自己負担補助金を成功報酬として特典付与する金額を示している。ここで、ある被保険者集団(被保険者A)が受ける介入サービス生活習慣病予防コースが年間金額5万円とした場合を想定する。被保険者集団(被保険者A)の健康度が所定の期間内(例えば1年)に、K1からK10になれば特典付与金4万円を被保険者集団(被保険者A)に特典付与することを表は示している。これにより、被保険者集団(被保険者A)が受ける介入サービスの自己負担は1万円(5万円−4万円)に抑えられることを示す。健康度がK10に達しなかった場合は、特典付与金を減らすように規則を設定するので、自己負担が増す。例えば、K1からK2の場合は、特典付与金は1万円なので、自己負担は4万円(5万円−1万円)に増額する。
被保険者集団には、このような特典付与規則を、図42被保険者に示す「被保険者に対する介入サービス評価情報提供の例」の表示画面において「本サービスのポイント運営基準6510」を選択することにより、図44(a)における特典付与装置800の規則例に示す情報を提供し、本規則に賛同する被保険者集団の参加希望者を募ることができる。希望者は、初期費用5万円の生活習慣病予防コースの加入手続きを行い介入サービスが開始され、健康度の達成度に応じて特典付与金が支給される。
【0117】
図44(a)では、特典付与規則の例について説明したが、次に、具体的な特典付与規則における特典付与金の算出手段について二つの例を説明をする。
まず第一の手段について説明する。図44(b)は、介入開始からの健康度の変化と、それに対する経済的な換算価値を示す図である。この図において、現在の健康度K2から健康度K7に向上したときの換算価値がV1、健康度K10まで向上したときの換算価値がV2であることを示している。ここでは、V1を10万円とする。このとき、V1(10万円)の1/N(例えば1/2の5万円)に相当する金額を、被保険者集団の目標達成に向けた介入サービスの特典付与金として付与し、残りの5万円は介入サービス提供会社40への報酬や健康保険組合の医療費抑制効果として充当するものとする。このように、特典付与装置800は、健康度の変化実績における換算価値V1に基づいて、その成功報酬としての特典付与金を合理的に決定する。即ち、換算価値V1の範囲内で、特典付与金を合理的に決定する。
【0118】
続いて、第二の手段について説明する。
第二の手段は、健康度の遷移確率に基づいて特典付与金を設定する手段である。第一の手段におけるの特典付与金の設定において、介入サービス・介入プロトコルを適用した集団の実績から、ある健康度から別の健康度への遷移発生の確率を元に特典付与金を設定する。これにより、「低い健康度」から「高い健康度」への遷移(例えばK1→K10)の遷移確率が低いことが実績から判明している場合に、その遷移に対する特典付与金を、換算価値V1の範囲内で特典付与金を決定する手段1による計算値よりも高く設定することができ、より強い意欲をわかせることができる。逆に、「低い健康度」から「低い健康度」への遷移(例えばK1→K2)の遷移確率が高い場合については、その遷移に対する特典付与金を、手段1による計算値よりも低く設定することができる。
なお、第一の手段においても、第二の手段においても、特典付与金は、集団全体として提供できる特典付与金総額(集団全体としての換算価値の中から特典付与金として投入できる金額)を超えないように合理的に設定する。例えば、健康度の向上による集団の換算価値総額に対して、20%を保険者(健康保険組合60等)、50%を被保険者集団、30%を介入サービス提供会社40などに配分するものと予め決定した場合、集団全体として被保険者集団に提供できる特典付与金総額を換算価値総額の50%に設定することが考えられる。
【0119】
特典付与装置800は、被保険者集団の健康度が改善された場合の過去の健康度の変化と医療費データの変化との関係を示す健康度医療費対応情報を統合データベースサーバ100から読み込み、これを用いて、健康度の変化を経済的な換算価値に換算して、その換算価値に基づいて健康度改善の成功報酬としての特典付与金の規則を生成する。
また、健康度の変化と労働生産性も加味した経済的な換算価値が記憶されている健康度換算価値対応情報を統合データベースサーバ100から読み込み、これを用いて、健康度の変化を経済的な換算価値としてもよい。
特典付与金の設定手段には前述した二通りの手段のうち遷移確率を利用する第二の手段においては、さらに、ある健康度から別の健康度への遷移発生の遷移確率を実績に基いて実績評価装置300が算出して統合データベースサーバ100に格納している健康度遷移確率情報(図示していない)を統合データベースサーバ100から読み込み、遷移確率に基いて特典付与金を設定する。
例えば、図44(a)では、K1からK10への特典付与金は4万円となっているが、K1からK10への健康度改善に特別のインセンティブをつけるために倍額の8万円とすることを想定する。このとき、介入サービス・介入プロトコルを適用した集団の実績から、K1からK10への遷移確率が集団全体に対して5%であったとすると、1000人の集団に対しては、50人該当することが予想され、
(8万円−4万円)×1000人×5%=200万円
の特典付与金総額の拡大に相当すると予想される。特典付与金は、集団全体として提供できる特典付与金総額(集団としての換算価値の中から特典付与金として投入できる金額)を超えないように合理的に設定する必要があるため、拡大分200万円を、他の健康度の遷移での特典付与金で減らすことにより全体の特典付与金総額の変動をなくすように設定する。例えば、K1からK2への遷移確率が集団全体に対して20%であったとすると、1000人の集団に対して200人が該当することが予想され、この遷移だけで拡大分200万円を相殺する場合は、特典付与金1万円を0円にすることで、
(0万円−1万円)×1000人×20%=−200万円
となり、相殺される。このように、望ましい遷移に対して特典付与金を高くし、望まれない遷移に対して特典付与金を低く設定し、全体として、特典付与金総額の変動をなくすように設定することが可能である。ここで、どの遷移の特典付与金をどのように高くしたり低くするかの条件を表示装置70を利用して予め定義してもよい。
なお、望ましい遷移に対して特典付与金による当該遷移確率への影響については、その実績を元に統計的手法を用いて把握することが可能である。また、図44(a)における健康度はK1からK10までの10段階としているが、特に10段階でなくとも適度な段階(例えば3段階、5段階など)であればよい。また、健康度を用いなくても、換算価値が算出できるものであれば健康管理情報の項目を使っても構わない。
【0120】
以上の特典付与金のための特典規則の生成においては、特典付与装置800が自動的に生成しても良いし、表示装置70を介して健康保険組合60や介入サービス統括会社90等の健康増進の管理者が、特典付与装置800が生成した値を参考にして、入力操作により変更を加えても良い。入力操作により特典付与金を変更する場合に、集団全体として提供できる特典付与金総額(集団としての換算価値の中から特典付与金として投入できる金額)を超えていないかの設定内容のチェック機能を特典付与装置800に付加してもよい。
また、特典付与金の対象者を健康度の傾向からみて良くない集団を優先的に対象とすることが考えられる。この場合、特典付与装置800は、健康度生成装置500が生成した健康度と健康度の変化との少なくともいづれかに基づいて被保険者データベース101に健康管理情報が記憶されている被保険者集団の中から、介入対象候補選定装置400に対して健康改善を必要とする対象者を抽出するように依頼し、その結果として抽出された対象者に対して、所定の基準により、特典付与のための特典規則を生成する。
このようにして特典付与装置800で生成された特典付与の規則は、統合データベースサーバ100に蓄積される。被保険者集団の達成度に応じて特典付与の規則が適用されて、課金装置700が「個人50への成功報酬支払い」の課金情報生成時に利用する。また、健康管理装置600は、表示装置70に表示された「被保険者向け介入サービス情報提供」の画面から「本サービスのポイント運営基準6510」が選択されると、統合データベースサーバ100から特典付与に関する情報を取得して、図44(a)に示す情報を表示する。
【0121】
以上の特典付与の説明では健康度を用いて行ったが、そのほかの健康管理情報を用いて「現在の状態」と「目標」の定義に適用してもよい。
また、特典付与の中立性や正当性を保つために必要に応じて産業医10等は表示装置70を活用して生活習慣の現状確認を行ってもよい。
【0122】
特典付与装置800により、実績に基く換算価値により特典付与金を設定できるため、健康保険組合60や介入サービス統括会社90などの健康管理者は、健康増進の効果に見合った特典付与金を生成することができる。また、被保険者集団においては、介入サービスへの参加に際して、希望者が費用の全額を支払わずにサービスへの加入ができると同時に、健康度の達成度合いに応じて被保険者集団の介入サービスを受ける時の自己負担を増減させることで達成意欲を大きくすることができる。即ち健康度達成に対する成功報酬であるため、目標達成の意欲が大きくなる。
【0123】
以上に本発明の実施の形態1についての説明を行った。
尚、図1において統合保険者情報システム1000は、統合データベースサーバ100、介入決定支援装置200、実績評価装置300、介入対象候補選定装置400、健康度生成装置500、健康管理装置600、課金装置700、特典付与装置800、表示装置70の各装置を備えているが、これらの装置の一部または全てを一つの装置をひとつの装置として実現してもよい。
【0124】
実施の形態2.
以上、実施の形態1に続いて、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、実施の形態1の統合保険者情報システム1000を具体的に適用した場合であり、ヘルスケアシステム例1とヘルスケアシステム例2について説明する。
【0125】
第一の適用例は、介入サービス統括会社90が情報の分析のみを行い介入サービス提供会社40の統括を実施しない例であり、図45にヘルスケアシステム例1を示す。
第二の適用例は、介入サービス統括会社90が情報の分析に加えて介入サービス提供会社40の統括を実施する場合であり、図46にヘルスケアシステム例2として示す。
ここで、「統括を実施する」とは、健康増進実施者91(後述)が被保険者集団等に対して行う健康増進についての介入サービスについて、介入サービス統括会社90が健康増進実施者91から一括して実施の依頼(依頼の形式としては委託形式や請負形式などがある)を受け、さらに介入サービス統括会社90が必要と判断される介入サービスを最適な介入サービス提供会社40に依頼(依頼の形式としては委託形式や請負形式などがある)することであり、介入サービス統括会社90は、介入サービス提供会社40への依頼の判断などを含めて健康増進の「統括」を行うことである。
【0126】
まず、第一の適用例としてヘルスケアシステム例1を説明する。図45を用いて、ヘルスケアシステムの第1の例であるヘルスケアシステム例1について説明する。
図45は、個人50、および、個人50が所属する組織の健康増進に関わる情報を分析することにより、個人50、および、組織の健康状態を評価するとともに、個人50や組織に対して健康増進するための介入サービスを実施するためのモデルを示す。また、ヘルスケアシステム例1では、企業における健康増進を想定しており、産業医10、会社20、健康保険組合60等の健康増進の責任部門が中心となり、健康保険組合60等に属する被保険者集団の健康を増進させることが主たる目的である。
ヘルスケアシステム例1には、介入サービス統括会社90、健康増進実施者91、個人50及びその集団、介入サービス提供会社40、医療機関30、システム運営者80の6者が存在する。
ヘルスケアシステム例1の健康増進実施者91として、図においては企業(又は会社)を想定しており、健康保険組合60(健康保険組合による健康増進)、会社20(会社の人事部門による健康増進)、産業医10(健康保険組合や人事部門に属する産業医による健康増進)等を想定しているが、健康増進実施者91として自治体(この場合の個人は住民)や学校(この場合の個人は学生)や事業者(会社も含む様々な事業者)でも同様である。これらの健康増進実施者91は、健康増進法第6条で定められた健康増進事業実施者でも同様である。健康増進実施者91は、効果のある介入サービスの適用により、健康増進実施者91の一例である健康保険組合や会社(企業)においては、医療費の増大の抑制、作業の効率化、労働生産性の向上等の恩恵を得ることができる。
なお、各健康増進実施者91は、ヘルスケアシステム例1の運用をするにあたり、個人50(個人)から個人情報の他目的利用(ただし、情報の利用は健康増進関連に限る)、および、介入サービスの実施について許諾を得る必要がある。その上で、健康増進実施者91は、第三者である介入サービス統括会社90に匿名化したデータ(個人を特定できないデータ)を送付するとともに、健康増進実施者91が健康増進を実施するために利用する運用支援情報の生成を依頼する。健康増進実施者91が介入サービス統括会社90に依頼する運用支援情報の例としては、介入サービスや介入プロトコルの実績に基づく将来予測、介入対象と介入対象への介入サービスや介入プロトコルの決定、介入サービスや介入プロトコルの実績の評価、健康度の向上についての換算価値の評価、介入サービス提供候補の選定、健康度の生成、健康増進に関連する組織や個人への情報提供、介入サービス提供会社40や健康増進実施者91や個人50等の間における課金情報の生成、特典付与の規則生成、などに関する情報で、多岐に亘る。
なお、ここで、個人情報の他目的利用について許諾を得られない個人情報については、統計情報としてのみ使用する。
健康増進実施者91は、介入サービス統括会社90から健康増進の対策として介入を推奨する介入対象(個人または集団)の情報と介入サービス(または介入プロトコル)の内容を介入支援情報として送信されてきた場合に、健康増進に関する具体的な実施対策を講じるために、介入対象に健康増進サービスを提供する。ここで、健康増進のための介入サービス(または介入プロトコル)を健康増進実施者91が自ら行っても良いが、介入サービス提供会社40に依頼することが考えられ、その際には介入対象(個人または集団)に関する情報を介入サービス提供会社40に提供する。
すなわち、介入サービス統括会社90は健康増進実施者91からの依頼に基づき、健康管理情報、レセプト情報(医療機関30から健康保険組合に送付される診療報酬請求の情報)、などの入手情報を元に健康増進実施者91が必要とする運用支援情報の生成を行う。その結果として、介入サービスや介入プロトコルの実績に基づく将来予測情報、介入を推奨する介入対象(個人または集団)の情報、介入サービス(または介入プロトコル)の内容を含む介入支援情報、組織の健康度の評価、個人の健康度の評価等を、健康増進実施者91に返送する。例えば、介入サービス統括会社90は、生活習慣に問題のある対象者や生活習慣病予備軍の有無を検討し、対象者がいると判断したときは、その対象者を匿名にて健康増進実施者91に報告する。
ここで、介入サービス統括会社90と健康増進実施者91の組織や担当者が部分的に一致する場合は、分析を行う担当組織、或いは担当者に対して契約等により守秘義務を科す必要がある。
介入サービス統括会社90は、健康増進実施者91からの分析依頼に対する対価が収入となる。
介入サービス統括会社90からの健康増進実施者91が必要とする運用支援情報をもとにして健康増進実施者91は、介入サービス提供会社40に介入サービスの依頼をする。健康増進実施者91から依頼を受ける介入サービス提供会社40は、健康増進実施者91より入手した介入対象の情報や介入支援情報に従い、個人50、および、個人50の集団に対して介入サービスを実施する。健康増進実施者91から介入サービス提供会社40が依頼を受ける場合の報酬として、介入対象の健康度の向上に相当する経済的換算価値を反映した課金方式を用いて、報酬を計算することもできる。
また、介入サービスには、運動指導、栄養指導、禁煙指導等が想定され、介入サービス提供会社40は、提供サービスの内容に応じて個人からも自己負担として費用を徴収する場合がある。ここで費用徴収に際して、個人の健康度の向上に対する成功報酬を特典付与金として付与し自己負担を軽減させる方式もある。また、介入サービスの一環として、運動ジムの斡旋や配膳業者の斡旋等を行い、これら企業からのキックバックも介入サービス統括会社90の収入源として想定できる。
また、健康保険の医療費抑制や作業効率の向上を明らかにすることによって、その削減額の所定割合を成果報酬とすることを想定できる。
システム運営者80は、健康増進実施者91、あるいは、介入サービス提供会社40から依頼を受け、健康管理情報、レセプト情報などの情報を元にした実績評価、介入を推奨する介入対象(個人または集団)の情報生成、介入サービス(または介入プロトコルル)の内容を含む介入支援情報の生成、健康度の生成と個人や集団の健康度の評価、課金情報の生成、被保険者集団への特典付与規則の生成、これらに必要な画面機能の提供、等を実施するシステムの運営を行う。ただし、システム運営者80は、健康増進実施者91、あるいは、介入サービス提供会社40と同一であってもかまわない。
なお、個人50及びその集団は、個人情報の他目的利用、および、介入サービスの提供を許諾した個人を想定する。また、ヘルスケアシステム例1における個人50の集団は、通常、健康増進実施者91(あるいはその一部)と一致すると想定しているため、組織も通常は許諾すると考えられる。個人は健康向上・維持に関する情報が安価(あるいは、無償)に入手できるとともに、介入サービスにより斡旋を受けた運動指導、運動ジム、栄養指導、配膳業者等の割引や健康保険組合等の特典付与による費用の一部負担が期待できる。
【0127】
以上、ヘルスケアシステムの例1の適用例では、介入サービス統括会社90に、統合データベースサーバ100、介入決定支援装置200、実績評価装置300、介入対象候補選定装置400、健康度生成装置500、健康管理装置600、課金装置700、特典付与装置800の各装置で構成される介入サービス統括装置900を適用し、健康増進実施者91の健診データサーバ11と人事データサーバ21とレセプトデータサーバ61、介入サービス提供会社40の顧客情報データサーバ41、個人50(個人と集団)の個人端末51との間で必要な連携をし、表示装置70を健康増進実施者91、個人50、介入サービス提供会社40、医療機関30に必要に応じて配置し、さらにシステム運営者80がこれらのシステムを運営することにより実現する統合保険者情報システム1000により解決可能である。
但し、匿名化についての機能は、実施の形態1で説明したデータIDを個人名と結び付けられないようにして匿名化するなど、適当な既存の方式を適用することにより解決する。
【0128】
次に、第二の適用例としてヘルスケアシステム例2を説明する。図46を用いて、ヘルスケアシステムの第2の例であるヘルスケアシステム例2について説明する。
第二の適用例は、介入サービス統括会社90が情報の分析に加えて介入サービス提供会社40の統括を実施する例である。第一の適用例との違いを中心に説明する。
図46は、個人50、および、個人50が所属する組織の健康増進に関わる情報を分析することにより、個人50、および、組織の健康状態を評価するとともに、個人50や組織に対して健康増進するための介入サービスを実施するためのモデルを示す。また、ヘルスケアシステム例1と同様にヘルスケアシステム例2においても、企業における健康増進を想定しており、産業医10、会社20、健康保険組合60等の健康増進の責任部門が中心となり、健康保険組合60等の被保険者の健康を増進させることが主たる目的である。図46において、ヘルスケアシステム例1との違いは、介入サービス統括会社90から介入サービス提供会社40に対して介入サービス実施の依頼(委託や請負の形式による)とその対価の支払いがなされる点である。
なお、ヘルスケアシステム例1と同様にヘルスケアシステム例2の健康増進実施者91として、図においては企業を想定して健康保険組合60、会社(人事)20、産業医10等を想定しているが、健康増進実施者91として自治体(この場合の個人は住民)や学校(この場合の個人は学生)などにも適用できることもヘルスケアシステム例1と同様である。
各健康増進実施者91は、ヘルスケアシステム例2の運用をするにあたり、個人50(個人)から個人情報の健康増進に関する利用、および、介入サービスの実施について許諾を得る必要がある。その上で、健康増進実施者91は、介入サービス統括会社90に健康増進実施者91の運用支援情報の生成を依頼すると同時に、その結果に基づいた各介入サービス提供会社40への介入サービス依頼(委託や請負の形式による)とその対価の支払いについても介入サービス統括会社90に一括して依頼し、健康増進実施者91はその対価を介入サービス統括会社90に支払う。
健康増進実施者91が介入サービス統括会社90にする依頼の内容の例としては、介入サービスや介入プロトコルの実績に基づく将来予測、介入対象と介入対象への介入サービスや介入プロトコルの決定、介入サービスや介入プロトコルの実績の評価、健康度の向上についての換算価値の評価、介入サービス提供候補の選定、健康度の生成、健康増進に関連する組織や個人への情報提供、介入サービス提供会社40や健康増進実施者91や個人50等の間における課金情報の生成、特典付与の規則生成、などのヘルスケアシステム例1と同様の依頼内容があり、それに加えて、健康増進実施者91は各介入サービス提供会社40に対する介入サービスの依頼(委託や請負の形式による)とその対価の支払いも含めて介入サービス統括会社90に依頼する。
なお、ここで、個人情報の他目的利用について許諾を得られない個人情報については、統計情報としてのみ使用する。
健康増進実施者91は、介入サービス統括会社90から健康増進の対策として介入を推奨する介入対象(個人または集団)の情報と介入サービス(または介入プロトコルル)の内容を介入支援情報として送信されてきた場合に、それを承認または修正指示をして、介入サービス統括会社90に対して介入サービスの実施を依頼する。
すなわち、介入サービス統括会社90は健康増進実施者91からの依頼に基づき、健康管理情報、レセプト情報、などの入手情報を元に分析や健康増進実施者91の運用支援情報の生成を行う。その結果として、介入サービスや介入プロトコルの実績に基づく将来予測情報、介入を推奨する介入対象(個人または集団)の情報、介入サービス(または介入プロトコル)の内容を含む介入支援情報、組織の健康度の評価、個人の健康度の評価等を、健康増進実施者91に返送する。さらに、決定した介入サービスについて健康増進実施者91の確認後に、各介入サービス提供会社40に介入サービスの実施を依頼する。
ここで、介入サービス統括会社90と健康増進実施者91の組織や担当者が部分的に一致する場合は、分析を行う担当組織、或いは担当者に対して契約等により守秘義務を科す必要がある。介入サービス統括会社90は、健康増進実施者91からの依頼に対する対価が収入となる。
介入サービス統括会社90からの健康増進実施者91の運用支援情報をもとにして健康増進実施者91は、さらに、介入サービス統括会社90に、介入サービス提供会社40へのサービス実施の依頼も含めて一括管理させる。健康増進実施者91から一括して依頼を受けた介入サービス統括会社90は運用支援情報に基づいて、各介入サービス提供会社40に介入サービスを依頼し、各介入サービス提供会社40が個人50、および、個人50の集団に対して介入サービスを実施する。
健康増進実施者91から、介入サービス統括会社90が依頼を受ける場合の報酬、及び、介入サービス統括会社90から各介入サービス提供会社40が依頼を受ける場合の報酬として、介入対象の健康度の向上に相当する経済的換算価値を反映した課金方式を用いて、報酬を計算することもできる。
また、介入サービスには、運動指導、栄養指導、禁煙指導等が想定され、介入サービス提供会社40は、提供サービスの内容に応じて個人からも自己負担として費用を徴収する場合がある。ここで費用徴収に際して、個人の健康度の向上に対する成功報酬を特典付与金として付与し自己負担を軽減させる方式もある。また、介入サービスの一環として、運動ジムの斡旋や配膳業者の斡旋等を行い、これら企業からのキックバックも介入サービス統括会社90の収入源として想定できる。
また、健康保険の医療費抑制、労働生産性の向上、作業効率の向上を明らかにすることによって、その換算価値に相当する額の所定割合を成果報酬とすることを想定できる。
以上の対価(報酬)の課金管理も一括して、介入サービス統括会社90が担うことができる。
システム運営者80は、介入サービス統括会社90から依頼を受け、健康管理情報、レセプト情報(医療機関30から健康保険組合に送付される診療報酬請求の情報)などの情報を元にした実績評価、介入を推奨する介入対象(個人または集団)の情報生成、介入サービス(または介入プロトコルル)の内容を含む介入支援情報の生成、健康度の生成と個人や集団の健康度の評価、課金情報の生成、被保険者集団への特典付与規則の生成、これらに必要な画面機能の提供、等を実施するシステムの運営を行う。ただし、システム運営者80は、健康増進実施者91、あるいは、介入サービス統括会社90と同一であってもかまわない。
なお、個人50及びその集団は、個人情報の他目的利用、および、介入サービスの提供を許諾した個人を想定する。
【0129】
以上、ヘルスケアシステムの例2の適用例では、介入サービス統括会社90に、統合データベースサーバ100、介入決定支援装置200、実績評価装置300、介入対象候補選定装置400、健康度生成装置500、健康管理装置600、課金装置700、特典付与装置800の各装置で構成される介入サービス統括装置900を適用し、健康増進実施者91の健診データサーバ11と人事データサーバ21とレセプトデータサーバ61、介入サービス提供会社40の顧客情報データサーバ41、個人50(個人と集団)の個人端末51との間で必要な連携をし、表示装置70を健康増進実施者91、個人50、介入サービス提供会社40、医療機関30に必要に応じて配置し、さらにシステム運営者80がこれらのシステムを運営することにより実現する統合保険者情報システム1000により解決可能である。
但し、匿名化についての機能は、実施の形態1で説明したデータIDを個人名と結び付けられないようにして匿名化するなど、適当な既存の方式を適用することにより解決する。
【0130】
以上のヘルスケアシステム例1とヘルスケアシステム例2においては、介入サービス統括会社90、健康増進実施者91、個人50及びその集団、介入サービス提供会社40、医療機関30、システム運営者80の6者が存在する。
ここで、介入サービス統括会社90は、複数の健康増進実施者91(企業、自治体、学校など)を同時に対象としたてもよく、より大きな集団に対して統合保険者情報システム1000を適用することが可能である。
また、さらに、健康増進実施者91として医療保険の機関や医療機関(病院など)による健康増進においても適用が可能である。
【0131】
【発明の効果】
本発明によれば、健康増進のために提供する介入サービスが適正なものであるかどうかを評価し、評価結果をフィードバックして活用する情報システムの構築を実現することができる。
また、本発明によれば、データベースサーバによって保険者等における保健事業を統合して一括管理することにより、多種、多様な介入サービスをデータに基づき適正に評価する情報システムの構築を実現することができる。
また、本発明によれば、被保険者集団の健康増進のために提供する介入サービスの評価結果を活用することにより、介入サービスの計画、介入サービスの実施、介入サービスの評価、評価に基づく改善とういう、サイクル化した健康管理を提供する情報システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】統合保険者情報システム1000を示す図である。
【図2】被保険者データベース101を示す図である。
【図3】健康度を生成する場合に用いるデータ項目を表示する表示画面を示す図である。
【図4】健康度Kを計算で定義する場合の一例を示す図である。
【図5】BMIを示す図である。
【図6】個人の健康度の生成における計算式の例を示す図である。
【図7】健康度の分類、及び健康度の計算に必要なデータを示す図である。
【図8】集団の健康度の生成における計算式の例を示す図である。
【図9】個人に関する介入対象情報と介入支援情報とを示す図である。
【図10】集団に関する介入対象情報と介入支援情報とを示す図である。
【図11】介入サービス標準プロトコルを示す図である。
【図12】介入サービス統括装置900が健康保険組合60の依頼を受けた場合の処理を示すフローである。
【図13】適用実績データの例を示す図である。
【図14】統合データベースサーバ100、介入決定支援装置200、及び実績評価装置300の関係を示す構成図である。
【図15】実績評価装置300の評価のフローを示す図である。
【図16】介入サービスの適用時期を示す図である。
【図17】個人についての健康度の変化を示す図である。
【図18】集団についての健康度の変化を示す図である。
【図19】介入プロトコルの適用時期を示す図である。
【図20】統合データベースサーバ100、介入決定支援装置200、及び実績評価装置300の関係を示す構成図である。
【図21】実績評価装置300の評価のフローを示す図である。
【図22】医療費の変化を示す図である。
【図23】医療費の変動率を示す図である。
【図24】ある健康保険組合に所属する被保険者集団Sを示す図である。
【図25】A氏の健康度の変化を示す図である。
【図26】A氏の健康度、医療費の変化を示す図である。
【図27】A氏の健康度、血糖値、体重の変化を示す図である。
【図28】A氏と集団S2の健康度の変化を示す図である。
【図29】集団S1と集団S2の健康度の変化を示す図である。
【図30】介入プロトコルA、介入プロトコルB、非適用の場合の健康度の変化を示す図である。
【図31】健康度の変化を示す図である。
【図32】契約時からの健康度の変化を示す図である。
【図33】換算価値の幅を示す図である。
【図34】表示装置70の配置を示す図である。
【図35】健康増進マップの目的を達成する過程を示す図である。
【図36】健康増進マップを示す図である。
【図37】健康増進マップにおける集団適用例を示す図である。
【図38】ヘルスケアカルテの一例を示す図である。
【図39】介入サービス評価マップの例を示す図である。
【図40】介入サービス評価マップの医療費への適用例を示す図である。
【図41】介入サービス提供会社管理情報の例を示す図である。
【図42】被保険者に対する介入サービス評価情報提供の例を示す図である。
【図43】被保険者向け介入サービス評価情報の表示画面の例を示す図である。
【図44】(a)及び(b)は、特典付与装置800における規則例を示す図である。
【図45】ヘルスケアシステム例1の構成を示す図である。
【図46】ヘルスケアシステム例2の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 産業医、11 健診データサーバ、20 会社、21 人事データサーバ、30 医療機関、31 医療データサーバ、40 介入サービス提供会社、41,42 顧客情報データサーバ、50 個人、51 個人端末、60 健康保険組合、61 レセプトデータサーバ、70 表示装置、80 システム運営者、90 介入サービス統括会社、91 健康増進実施者、100 統合データベースサーバ、101 被保険者データベース、102 介入サービス提供会社評価情報記憶部、103 健康度医療費対応情報記憶部、104 健康度換算価値対応情報記憶部、200 介入決定支援装置、201 介入サービス適用モデル、202 介入サービス非適用モデル、203 予測部、205 介入ルール記憶部、206 介入対象情報決定部、207 介入支援情報決定部、300 実績評価装置、302 医療費データ比較評価部、400 介入対象候補選定装置、401 介入対象候補選定規則部、500 健康度生成装置、501 健康度生成規則部、600 健康管理装置、700 課金装置、701 課金規則部、800 特典付与装置、801 特典規則部、900 介入サービス統括装置、1000 統合保険者情報システム。
Claims (25)
- 被保険者集団の健康管理情報の履歴を記憶する被保険者データベースを有するデータベースサーバと、
前記データベースサーバの被保険者データベースに記憶された被保険者集団の健康管理情報を読み込み、所定の基準に基づいて被保険者集団の中から健康管理に介入すべき介入対象を含む介入対象情報を決定し、介入対象の健康増進を支援するための介入支援情報を決定し、介入対象情報と介入支援情報とを出力する介入決定支援装置と、
前記介入決定支援装置が決定した介入支援情報により介入対象に健康増進のために適用した実績を示す適用実績データを入力し、前記被保険者データベースに記憶された被保険者集団の健康管理情報の履歴の中から、適用実績データが示す実績の適用前の健康管理情報と適用後の健康管理情報とを読み込み比較することにより、前記介入決定支援装置により決定された介入支援情報を評価し評価結果を出力する実績評価装置とを備えたことを特徴とする保険者情報システム。 - 保険者に属する被保険者集団の健康管理情報の履歴を記憶する被保険者データベースを有するデータベースサーバと、
前記データベースサーバの被保険者データベースに記憶された被保険者集団の健康管理情報を読み込み、所定の基準に基づいて被保険者集団の中から健康管理に介入すべき介入対象を含む介入対象情報を決定し、介入対象の健康増進を支援するための介入支援情報を決定し、介入対象情報と介入支援情報とを出力する介入決定支援装置と、
前記保険者が医療機関に支払う医療費に関する医療費データの履歴を入力し、前記介入決定支援装置により介入支援情報が介入対象に提供される前の医療費データと後の医療費データとを比較することにより、前記介入決定支援装置により決定された介入支援情報を評価し評価結果を出力する実績評価装置とを備えたことを特徴とする保険者情報システム。 - 被保険者集団の健康管理情報の履歴を記憶する被保険者データベースを有するデータベースサーバと、
前記データベースサーバの被保険者データベースに記憶された被保険者集団の健康管理情報を読み込み、所定の基準に基づいて被保険者集団の健康状態の程度を示す健康度を生成し、生成した健康度を前記データベースサーバへ出力して前記被保険者データベースに記憶させる健康度生成装置と、
前記データベースサーバの被保険者データベースに記憶された被保険者集団の健康度を読み込み、所定の基準に基づいて被保険者集団の中から健康管理に介入すべき介入対象を含む介入対象情報を決定し、介入対象の健康増進を支援するための介入支援情報を決定し、介入対象情報と介入支援情報とを出力する介入決定支援装置と、
前記介入決定支援装置が決定した介入支援情報により介入対象に健康増進のために適用した実績を示す適用実績データを入力し、前記被保険者データベースに記憶された被保険者集団の健康度の中から、適用実績データが示す実績の適用前の健康度と適用後の健康度とを読み込み比較することにより、前記介入決定支援装置により決定された介入支援情報を評価し評価結果を出力する実績評価装置とを備えたことを特徴とする保険者情報システム。 - 前記保険者情報システムは、さらに、
課金情報を生成するための課金規則を記憶する課金規則部と、
前記実績評価装置の出力する評価結果を入力し入力した評価結果と前記課金規則部の記憶する課金規則とに基づいて課金情報を生成する課金装置とを備えたことを特徴とする請求項1または2または3に記載の保険者情報システム。 - 前記介入決定支援装置は、
決定した介入対象情報と介入支援情報とを用いて、決定した介入対象情報に含まれる介入対象に介入支援情報を提供する場合の効果と提供しない場合の効果とを予測することを特徴とする請求項1または2または3記載の保険者情報システム。 - 前記データベースサーバの有する被保険者データベースに記憶される健康管理情報は、
人の適正体重の指標を示すBMI(Body Mass Index)と、運動習慣と、喫煙習慣と、歯みがき習慣と、ストレス度とを少なくとも含み、
前記健康度生成装置は、
健康管理情報に含まれるBMIと、運動習慣と、喫煙習慣と、歯みがき習慣と、ストレス度とのうち少なくとも2つを用いて、健康度を生成することを特徴とする請求項3記載の保険者情報システム。 - 前記データベースサーバの有する被保険者データベースに記憶される健康管理情報は、
人の肥満状態を示す肥満度と、血圧値と、血糖値と、血清総コレステロール値とを少なくとも含み、
前記健康度生成装置は、
健康管理情報に含まれる肥満度と、血圧値と、血糖値と、血清総コレステロール値とのうち少なくとも2つを用いて健康度を生成することを特徴とする請求項3記載の保険者情報システム。 - 前記データベースサーバの有する被保険者データベースに記憶される健康管理情報は、
人の最大酸素摂取量を少なくとも含み、
前記健康度生成装置は、
健康管理情報に含まれる最大酸素摂取量を少なくとも用いて健康度を生成することを特徴とする請求項3記載の保険者情報システム。 - 前記介入決定支援装置は、
前記被保険者データベースが記憶する健康度を用いて、決定した介入対象情報に含まれる介入対象に対して適用することが可能なサービスを示す介入サービスを前記介入対象に適用する場合の前記介入対象の健康度の変化を予測し、予測した健康度の変化に基づいて介入サービスを含む介入支援情報を決定し、介入対象情報と介入支援情報とを出力することを特徴とする請求項3記載の保険者情報システム。 - 前記データベースサーバは、
健康度の変化を経済的な価値に換算した換算価値を示す情報としての健康度換算価値対応情報を記憶し、
前記介入決定支援装置は、
前記データベースサーバの記憶する健康度換算価値対応情報を用いて、予測した介入対象の健康度の変化に対応する換算価値を取得し、取得した換算価値に基づいて介入サービスを含む介入支援情報を決定し、介入対象情報と介入支援情報とを出力することを特徴とする請求項9記載の保険者情報システム。 - 前記介入決定支援装置は、
介入サービスを介入対象に適用する場合の適用コストを記憶し、記憶する適用コストと取得した換算価値とを比較し、比較した結果に基づいて介入サービスを含む介入支援情報を決定し、介入対象情報と介入支援情報とを出力することを特徴とする請求項10記載の保険者情報システム。 - 前記保険者情報システムは、さらに、
前記健康度生成装置が生成した健康度を用いて前記介入決定支援装置が決定する介入対象情報に含まれる介入対象の候補を選定する介入対象候補選定装置を備え、
前記介入決定支援装置は、
前記介入対象候補選定装置が選定した介入対象の候補から介入対象を選び、選んだ介入対象を含む介入対象情報を決定することを特徴とする請求項3記載の保険者情報システム。 - 前記保険者情報システムは、さらに、
前記健康度生成装置が生成した健康度に基づいて前記被保険者データベースに健康管理情報が記憶されている被保険者集団の中から健康改善を必要とする対象者を抽出する介入対象候補選定装置と、
前記介入対象候補選定装置が抽出した対象者に所定の基準により健康増進のための特典を与える特典付与装置とを備えたことを特徴とする請求項3記載の保険者情報システム。 - 前記データベースサーバは、
被保険者集団に関する医療費データを記憶し、
前記実績評価装置は、
前記データベースサーバの記憶する被保険者集団に関する医療費データと被保険者データベースの記憶する健康度とを用いて、健康度の変化を経済的な価値に換算した換算価値を生成し、
前記特典付与装置は、
前記実績評価装置が生成した換算価値に基づいて、抽出した対象者に付与する特典を決定することを特徴とする請求項13記載の保険者情報システム。 - 前記データベースサーバは、
健康度が第1の健康度から第2の健康度へ遷移する確率を示す健康度遷移確率を記憶し、
前記特典付与装置は、
前記データベースサーバの記憶する健康度遷移確率に基づいて、抽出した対象者に付与する特典を決定することを特徴とする請求項13記載の保険者情報システム。 - 前記特典付与装置は、
抽出した対象者に与える特典を特典情報としてデータベースサーバへ出力し、
前記データベースサーバは、
特典付与装置が出力した特典情報を入力して被保険者データベースに記憶し、
前記保険者情報システムは、さらに、
前記データベースサーバの有する被保険者データベースに記憶された特典情報を読み込み、前記被保険者データベースに健康管理情報が記憶されている被保険者に特典情報を提供する健康管理装置を備えたことを特徴とする請求項13または14または15記載の保険者情報システム。 - 前記保険者情報システムは、さらに、
前記介入決定支援装置が出力した介入対象情報と介入支援情報とを用いて、介入対象に健康増進のための健康増進支援情報を提供する健康管理装置を備えたことを特徴とする請求項1または2または3記載の保険者情報システム。 - 前記介入決定支援装置は、
介入対象の健康増進のため介入対象に適用することが可能なサービスを示す介入サービスを介入支援情報の一部に含めて介入支援情報を決定し、決定した介入支援情報に含まれる介入サービスに基づいて介入対象に介入サービスを適用する場合の適用効果を予測し、適用効果の予測と介入対象情報と介入支援情報とを介入対象に提供するために出力し、
前記健康管理装置は、
前記介入決定支援装置が出力した適用効果の予測と介入対象情報と介入支援情報とを用いて、少なくとも適用効果の予測と介入支援情報とを含む健康増進支援情報を介入対象に提供することを特徴とする請求項17記載の保険者情報システム。 - 前記介入決定支援装置は、
介入支援情報に介入対象の健康増進のため介入対象に適用することが可能なサービスを示す介入サービスと、前記介入サービスを提供する介入サービス提供機関とを介入支援情報の一部に含めて介入支援情報を決定して出力し、
前記実績評価装置は、
介入支援情報に含まれる介入サービスと介入サービス提供機関とを評価して格付けし、介入サービスと介入サービス提供機関とについてのそれぞれの格付けを評価結果として出力することを特徴とする請求項1または2または3に記載の保険者情報システム。 - 前記保険者情報システムは、さらに、
前記実績評価装置が評価結果として出力した介入サービスと介入サービス提供機関とについてのそれぞれの格付けに基づいて、課金情報を生成する課金装置を備えたことを特徴とする請求項19記載の保険者情報システム。 - 前記介入決定支援装置は、
介入対象の健康増進のため介入対象に適用することが可能なサービスを示す介入サービスを介入支援情報の一部に含めて介入支援情報を決定することを特徴とする請求項1記載の保険者情報システム。 - 前記データベースサーバは、
被保険者集団のうち前記介入決定支援装置により介入対象として決定され介入サービスの適用を受けた介入対象について健康に関する所定のデータ項目から成る第1の時系列データと、被保険者集団のうち介入サービスの適用を受けた介入対象に対して所定の統計手法により同一のクラスタに分類され介入サービスの適用を受けていない被保険者集団について第1の時系列データと同じデータ項目から成る第2の時系列データとを記憶し、
前記介入決定支援装置は、
第1の時系列データと第2の時系列データとを前記データベースサーバから読み込み、読み込んだ第1の時系列データと第2の時系列データとに基づいて、第1の時系列データと第2の時系列データとが同じくするデータ項目について介入サービスの適用を受ける場合と適用を受けない場合とにおけるそれぞれのデータ変化を予測する予測部を備えたことを特徴とする請求項21記載の保険者情報システム。 - 前記保険者情報システムは、さらに、
第1の時系列データと、第2の時系列データと、前記予測部が予測した介入サービスの適用を受ける場合のデータ変化と、前記予測部が予測した介入サービスの適用を受けない場合のデータ変化との少なくともいずれかを表示する健康管理装置を備えたことを特徴とする請求項22記載の保険者情報システム。 - 第1の時系列データと第2の時系列データとが同じくするデータ項目は、被保険者集団の健康状態の程度を示す健康度と、健康度の変化を経済的な価値に換算した換算価値と、被保険者集団に関する医療費データと、被保険者集団についての健康診断により得られる健診情報とのうちいずれかであることを特徴とする請求項23記載の保険者情報システム。
- 前記データベースサーバは、
被保険者集団に関する医療費データを記憶し、
前記実績評価装置は、
前記データベースサーバの記憶する被保険者集団に関する医療費データと被保険者データベースの記憶する健康度とを用いて、健康度の変化を経済的な価値に換算した換算価値を生成し、
前記保険者情報システムは、さらに、
前記実績評価装置が生成した換算価値に基づいて、課金情報を生成する課金装置を備えたことを特徴とする請求項3記載の保険者情報システム。
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