JP2004237996A - カバーテープ及びこれを用いた包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】部品収納用の凹部が複数個連設されているキャリアテープの上面を封止するためのカバーテープであって、該カバーテープは、基材と接着層を有し、該接着層は、ガラス転移点(Tg)が0℃以下であるホモポリマーを形成するモノマーを5〜90重量%の割合で添加したモノマー混合物を重合して得られたアクリル系樹脂からなることを特徴とするカバーテープとする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種部品を収納するキャリアテープの蓋材として用いられるカバーテープ、特には、キャリアテープに対して、優れた接着性等を備えたカバーテープ、及びこれを用いた包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子部品、電気部品、精密機器部品等の各種部品を、保管、搬送、あるいは回路基板等へ装着する際に、それらの部品を包装するための材料として、キャリアテープ及びカバーテープが用いられている。キャリアテープは、収納すべき部品の形状に合わせて、エンボス部、すなわち、部品収納用の凹部をテープの長手方向に沿って、一定間隔で複数個連設したものであり、部品はこれらのエンボス部に収納して、保管、搬送等される。キャリアテープに部品を収納することにより、部品の保管、輸送、装着等に際して、部品の汚染が防止され、また、部品の自動取り出しが可能となる。
従来、キャリアテープとしては、シート成形が容易なスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A−PET)、ポリカーボネート、アクリル系樹脂等からなるプラスチックシートが主に用いられている。
【0003】
一方、カバーテープは、キャリアテープの蓋材としての機能を有するものであり、部品をキャリアテープに収納した後に、キャリアテープの上面に重ねて熱シール又は粘着剤を用いてシールされる。カバーテープでキャリアテープをシールすることにより、キャリアテープから部品の脱落が防止され、また、外部の汚染から保護される。このカバーテープは、収納された部品を取り出す際に、キャリアテープから剥離される。例えば、カバーテープに収納された電子部品は、電子機器の製造工程において、自動剥離装置によってカバーテープが剥離された後、自動取出し機によって自動的に取り出され、その後、電子回路基板に取り付けられる。
【0004】
現在、上市されているカバーテープは、基材と接着層から構成されたものが多く、該接着層がキャリアテープと接着することによって、キャリアテープを密封する。カバーテープの形成方法としては、通常、押出ラミネーション、ドライラミネーション、あるいは接着剤を基材にコーティングする方法が利用されている。 例えば、ポリエステル等からなる二軸延伸樹脂層、熱可逆架橋性樹脂組成物からなる中間層、及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等からなるヒートシール層で構成されたカバーテープが報告されている(特許文献1参照)。
【0005】
従来、カバーテープの基材には、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等が主に用いられており、特に二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた二層又は三層構造のフィルムが用いられている。このような多層構造のフィルムの上に接着層が設けられて、カバーテープが形成されている。
【0006】
また、カバーテープの接着層としては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル系樹脂のいずれか又はこれらを組み合わせた樹脂、スチレンと共役ジエン化合物とのブロック共重合樹脂等が使用されている(特許文献2参照)。
【0007】
キャリアテープに収納された部品は、搬送時における振動やカバーテープ剥離時に発生する静電気によって破損する場合がある。そのため、静電気対策が必要なカバーテープに対しては、基材又は接着層の表面に、帯電防止剤、導電剤が塗布されたり、接着層を形成する接着剤に帯電防止剤、導電剤が配合される。例えば、樹脂製基材フィルム上に帯電防止層を設けた透明導電性カバーテープが報告されている(特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−315847号公報
【特許文献2】
特開2001−348561号公報
【特許文献3】
特開2000−280411号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の材料からなるカバーテープは、ポリスチレン系樹脂あるいはポリ塩化ビニル系樹脂からなるキャリアテープには良好に接着するものの、その他の樹脂からなるキャリアテープに対しては、必ずしも十分な接着性が得られず、中には、接着が困難な場合もあった。例えば、カバーテープの接着層として、スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を使用したものは、キャリアテープの基材や導電処理剤の種類によって、使用できないケースも多い。特に、近年、導電処理等の表面処理をした各種キャリアテープが開発されるに伴い、カバーテープとの接着性が不十分なキャリアテープが増加している。
【0010】
すなわち、ある特定の樹脂からなる接着層を有するカバーテープが、あらゆる素材からなるキャリアテープに接着し、且つ良好な剥離強度を得ることは非常に困難であった。そのため、キャリアテープの材質に応じて、カバーテープを選定する必要があり、例えば、部品の収納工程において、材質が異なるキャリアテープを使用する工程に変更した場合は、カバーテープもそれに適したものに変更する必要があった。
【0011】
カバーテープをキャリアテープから剥離する際の強度である剥離強度(ピールオフ強度)が低すぎると、カバーテープをシールしたキャリアテープ(部品包装体)を移送する時に、カバーテープが剥がれ、内容物が脱落するという問題が生じる。逆に剥離強度が強すぎたり、極端に不均一であると、カバーテープを剥離する際に、キャリアテープが振動して、部品が装着される直前に、収納ポケットから飛び出す(ジャンピングトラブル) という問題が生じる。
従来のカバーテープは、その剥離強度が、シール温度、シール圧力等のシール条件に大きく依存しているため、シール条件のバラツキによる剥離強度の暴れが大きく、常に適正な剥離強度に制御することは困難であった。そのため、仮にカバーテープが接着しても、上記したように、内容物の脱落やジャンピングトラブルといった問題を生じることがあった。
【0012】
従来のカバーテープは、使用あるいは保管される環境によって、剥離強度が上昇したり、ブロッキングすることがある。ここで、ブロッキングとは、カバーテープ同士が接触した状態で圧力を受けると、カバーテープ同士が粘着してしまう現象であり、カバーテープをリールに巻いて保管しておく時に、リールの巻き芯部で発生しやすく、輸送中の外気温の上昇によっても発生しやすくなる。そこで、カバーテープの接着層には、一定以上のガラス転移点(Tg)を有した接着剤を使用することにより、剥離強度の上昇やブロッキングを防止している。
しかしながら、最近では、電子部品の高速実装化が行われるに伴い、上記したカバーテープとは逆の低温シール性を有するカバーテープが求められてきている。低温シール性を達成するためには、ガラス転移点(Tg)の低い樹脂を選定するのが一般的な考えではあるが、ガラス転移点(Tg)を低くすることは、上記した剥離強度の上昇及びブロッキングにつながる。かかる問題を解消する方法として、接着層にフィラー(例えば、導電剤、金属フィラー)を添加して、見かけのガラス転移点(Tg)を上昇させる方法もあるが、フィラーを添加した場合、カバーテープの透明性が失われるという問題が生じた。
【0013】
そこで、本発明は、従来の素材からなる全てのキャリアテープに対して良好な接着性を有し、シール条件による剥離強度のバラツキが少なく、現在の高速実装に対応すべく、低温シール性に優れたカバーテープ及びこれを用いた包装体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のカバーテープは、部品収納用の凹部が複数個連設されているキャリアテープの上面を封止するためのカバーテープであって、該カバーテープは、基材と接着層を有し、該接着層は、ガラス転移点(Tg)が0℃以下であるホモポリマーを形成するモノマーを5〜90重量%の割合で添加したモノマー混合物を重合して得られたアクリル系樹脂からなることを特徴とするカバーテープである。
本発明の包装体は、本発明のカバーテープを、部品収納用の凹部が複数個連設されているキャリアテープに熱シールしてなる包装体である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図1を用いて本発明を詳しく説明する。図1は、本発明のカバーテープの1例を示した概略断面説明図であり、基材1、中間層2、剥離層3、接着層4を、この順に積層した構造を有するカバーテープ5の態様を例示したものである。本発明のカバーテープを構成する層のうち、基材1及び接着層4は必須であるが、中間層2及び剥離層3は必要に応じて設ければよく、本発明のカバーテープでは必須の構成ではない。
【0016】
基材1は、カバーテープに剛性、耐熱性等を付与するため、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等からなる二軸延伸フィルムで構成する。内容物の視認性を確保する点で、透明性のあるものが好ましい。
基材の厚さは、適宜決定すればよいが、通常は、9〜50μmとする。厚さが9μmより薄いと剛性が不十分となる場合があり、50μmより厚いと剛性が強すぎて、キャリアテープへの熱シールが不安定となる場合がある。
【0017】
基材に帯電防止性能を付与するため、界面活性剤、導電性酸化物、カーボン、金属粒子、導電性高分子等の導電性付与剤を、基材表面に塗布、あるいは基材の中に練り込むことができる。導電性付与剤の塗布は、エアナイフ法、カーテンコート法、グラビアコート法等の方法で行うことができる。
また、基材の面のうち、中間層側の面には、アンカーコート剤を塗布する前に、予めコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の表面処理を施して、中間層への接着力を向上させることができる。
【0018】
中間層2は、基材と接着層の間、剥離層を設けた場合は、基材と剥離層の間に形成される層であり、キャリアテープへの密着性を良くして、カバーテープの接着強度を高めるためのクッション機能、及び切断防止機能を有する。
中間層の材質には、ポリエチレン系樹脂、特に、高圧法低密度ポリエチレン(HPLD)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を使用する。基材との密着性を考慮すると、MFR(メルトフローレート)の大きい材質が望ましく、理想的には8.0〜10.0g/10分が適している。
また、良好なクッション機能を得る点では、中間層の材質の密度は、0.92g/cm3以下であることが好ましい。
【0019】
中間層を基材に積層するには、基材の片面に、イソシアネート系、ウレタン系、ポリエステル系等のアンカーコート剤を、グラビアコーティング等の方法により塗布した後、押出ラミネーション法、ドライラミネーション法、熱ラミネーション法等の方法により、上記材料のフィルムをラミネートすればよい。中間層の厚さは、適宜決定すればよいが、通常、10〜100μmである。
また、中間層を形成した後に基材がカールするのを防止したり、基材への密着性を向上させるために、エチレンが主成分であるアルファ・オレフィン・コポリマー(例えば、タフマー(商品名):三井住友ポリオレフィン社製:密度0.86g/cm3〜0.90g/cm3)やエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等を、中間層のポリエチレン系樹脂に任意の割合で添加してもよい。
さらに、剥離層を積層する側の中間層の表面には、剥離層との接着性を向上させるため、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の表面処理を施してもよい。
【0020】
剥離層3は、中間層と接着層の間に形成され、中間層と接着層を接着させ、また、中間層と接着層間の接着力、カバーテープの剥離強度を調節する機能を有する。キャリアテープにシールしたカバーテープを剥離する場合、剥離層と接着層の間、あるいは、剥離層内部で剥離を生じさせることができる。いずれの剥離を生じさせるかは、剥離層の材質や構成モノマーの組成比、熱シール条件等を変えて剥離強度を制御することにより選択できる。
剥離層は、ダイレクトグラビアコート法、グラビアコート法、コンマコート法等の公知の方法を用いて中間層上に形成することができる。剥離層の厚さは、適宜決定すればよいが、安定剥離性を考慮すれば、通常、0.1〜2.0μmとする。
【0021】
剥離層の材質には、中間層と接着層の両方に接着することができる樹脂、すなわち、ポリエステル、ポリエステルとアクリル酸エステルの共重合樹脂、ポリエステルとアクリル系樹脂のブレンド物、ポリウレタンとアクリル酸エステルの共重合樹脂、又はポリウレタンとアクリル系樹脂のブレンド物を使用し、特には、ポリエステルとアクリル酸エステルの共重合樹脂、ポリエステルとアクリル系樹脂のブレンド物が好ましい。ポリエステルとアクリル酸エステルの共重合樹脂、ポリエステルとアクリル系樹脂のブレンド物は、そのポリエステル成分が中間層との接着機能を有し、接着層との接着にはアクリル成分が機能するため、中間層と接着層のいずれに対しても良好な接着強度が得られるからである。ポリエステルとアクリル酸エステルの共重合樹脂の場合、更にポリエステルを適当量添加することによって、中間層及び接着層への接着強度を自在に調節することができる。
【0022】
剥離層を構成する前記ポリエステルは,単一の重合物であるポリエステル単体を意味し、例えば、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコールの共縮合物、2,6−ナフタレンジカルボン酸とトリメチレングリコールの共重合物等を例示することができる。
剥離層を構成する前記ポリエステルとアクリル酸エステルの共重合樹脂、又はポリエステルとアクリル系樹脂のブレンド物におけるアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸オクチル等が例示され、剥離層を構成する前記アクリル系樹脂としては、例えば、上記アクリル酸エステルを主体として、これらとメタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル等との共重合物、アクリルアミド、酢酸ビニル、アクリル酸等の共重合物等が例示される。ポリエステルは、前記と同様である。
剥離層を構成する前記ポリウレタンとアクリル酸エステルの共重合樹脂、又はポリウレタンとアクリル系樹脂のブレンド物におけるポリウレタンとしては、ジイソシアネートと2官能以上のポリエステル又はポリエーテルを反応させたもの、ジイソシアネートと2官能以上のポリカーボネートジオールを反応させたもの等が例示される。アクリル酸エステル、アクリル系樹脂は、前記と同様である。
【0023】
なお、中間層との接着力を向上させるために、剥離層に架橋処理を施してもよい。例えば、剥離層の材質として、水酸機等の官能基をもったポリエステルを用い、これに架橋剤であるイソシアネート化合物、エポキシ化合物等を添加して、該官能基と反応させることにより、ポリエステルを架橋させることができる。
【0024】
剥離層の材質が、ポリエステル単体の場合、そのガラス転移点(Tg)は0℃以下であることが望ましい。ガラス転移点(Tg)が0℃よりも高いと、キャリアテープにシールしたカバーテープを剥離する際、剥離の挙動が周囲の温度によって極端に変わり、剥離強度の温度依存性が高くなる可能性がある。ポリエステルとアクリル酸エステルの共重合樹脂、ポリエステルとアクリル系樹脂のブレンド物において使用されるポリエステルについても、同様の理由から、ガラス転移点(Tg)は0℃以下であることが望ましい。
【0025】
ポリエステルとアクリル酸エステルの共重合樹脂は、ポリエステル:アクリル酸エステルの配合比(重量部比、以下同様)が1:1〜6:1の間にあるものが望ましい。1:1よりポリエステルが少ないと、中間層への接着が困難となり、また、カバーテープの剥離強度及び剥離強度のバラツキが大きくなる傾向があり、一方、6:1よりもアクリル酸エステルが少ないと、共重合樹脂として非常に不安定となる。ポリエステルとアクリル系樹脂のブレンド物を用いる場合も、同様の理由から、ポリエステル:アクリル系樹脂の配合比が1:1〜6:1の間にあるものが望ましい。
また、ポリウレタンとアクリル酸エステルの共重合樹脂、及びポリウレタンとアクリル系樹脂のブレンド物の場合も、同様の理由から、ポリウレタン:アクリル酸エステル、及びポリウレタン:アクリル系樹脂の配合比は、1:1〜6:1の範囲が望ましい。
【0026】
接着層4は、透明性を有するアクリル系樹脂の接着剤で形成される。このアクリル系樹脂は、その生成に使用される2種以上のモノマーのうち、少なくとも1種のモノマーは、そのホモポリマーのガラス転移点(Tg)が0℃以下であり、かつ、全モノマーに対する該モノマーの組成割合が5〜90重量%の範囲にあるものを用いる。このようなアクリル系樹脂で形成した接着層を設けることにより、従来からある全てのキャリアテープに対して良好な接着性を得ることが可能となる。特に、カバーテープは、50℃で環境試験を行うため、アクリル系樹脂のガラス転移点(Tg)を50℃以上に設定する必要があることから、上記モノマーの組成割合は、5〜50重量%とするのが望ましい。
ホモポリマーのガラス転移点(Tg)が0℃以下である上記モノマーとしては、2−エチルヘキシルメタクリレート(2−EHMA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)等が挙げられる。
接着層は、ダイレクトグラビアコート法、グラビアコート法、コンマコート法等の公知の方法を用いて形成することができる。
なお、本発明において規定したガラス転移点(Tg)の値は、JIS K7121のプラスチックの転移温度測定方法である熱流束示差走査熱量測定方法により求める。
【0027】
接着層を形成する接着剤の接着力(剥離強度)は、キャリアテープに熱シールした後、剥離する際に、シール幅1mm当たり10〜120gf、特に20〜70gfであることが好ましい。接着層の接着力が10gf以下では、キャリアテープにカバーテープを熱シールした後、包装体の搬送時に、カバーテープが剥がれて、収納部品が脱落する虞がある。また、接着層の接着力が120gfを超えると、実装時にキャリアテープからカバーテープを剥離した際、キャリアテープが振動して、収納部品が飛び出すトラブルが起き易い。
【0028】
接着層中には、帯電防止処理を行うため、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン等の導電性微粉末を、アクリル系樹脂100重量部に対し、101重量部以上、均一分散させることも可能である。その際、塗工された接着層の表面抵抗率は、1013Ω/□以下であり、特に106〜109Ω/□の範囲が好ましい。接着層の表面抵抗率が1013Ω/□より大きいと、帯電防止効果が十分には得られず、また、106Ω/□より低いと、導電性微粉末の分散性が悪くなり、接着層の透明性が極端に低下する場合がある。
【0029】
また、アクリル系樹脂に導電性微粉末を分散させる代わりに、π電子共役系導電性高分子を接着層中に溶解混合させることも可能である。π電子共役系導電性高分子としては、具体的には、ピロール、アニリン、チオフェン等の有機導電体の高分子が挙げられる。これらの高分子は、分子構造中に共役二重結合を有しており、導電機構がイオン導電ではないため、湿度の変化に対して安定した導電性を得ることができ、また、導電性微粉末の場合とは異なり、接着層が不透明になることはない。
【0030】
さらに、帯電防止処理として、前記π電子共役系導電性高分子等を含有した塗料を、カバーテープの任意の部分に塗布して、帯電防止層を設けることも可能である。帯電防止層を設けることによって、搬送時の振動により、電子部品がキャリアテープ内面、あるいはカバーテープ接着面と接触し、その際の摩擦により発生する静電気、及びカバーテープをキャリアテープから剥離する際に発生する静電気のスパークにより、電子部品が破壊、劣化を起こすといった静電気障害の発生を、より有効に防止することができる。
【0031】
本発明のカバーテープは、部品収納用の凹部が複数個連設されているキャリアテープに熱シールして、包装体とし、各種部品を保管、搬送等される。キャリアテープの素材としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、非晶性ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ABS樹脂、及びこれらの表面処理品が挙げられる。
【0032】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に限定されるものではない。
【0033】
(実施例1〜5、比較例1〜4)
アンカーコート剤であるD−202(三井武田ケミカル社製、商品名)を、膜厚0.1μmとなるように塗布した厚さ16μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材上に、中間層として、ミラソン10P(三井住友ポリオレフィン社製、商品名)(PE)を、乾燥後、30μmの厚さとなるように、押出ラミネーション法にて積層して、PET/PEからなる基材を形成した。また、中間層(PE)表面の濡れ性を向上させるため、コロナ放電処理を施した。
次に、コロナ放電処理を施した中間層の面上に、AD−335AE/CAT−10L(東洋モートン社製、商品名)を、乾燥後、1μmの厚さとなるように、ダイレクトグラビアコート法により塗布して、剥離層を形成した。
次に、粘着剤のベースとなるアクリルモノマーとして、2−エチルヘキシルメタクリレート(2−EHMA)を用い、これにメタクリル酸メチル(MMA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHM)、メタクリル酸ブチル(BMA)、メタクリル酸(MA)を、それぞれ表1に示した比率(重量%)で添加してなる各種モノマー混合物を重合して得られたアクリル系樹脂の溶液を、乾燥後、5μmの厚さとなるように、グラビアコート法を用いて、剥離層上に塗布して接着層を形成した。
こうして得られたカバーテープの各種キャリアテープ基材に対する接着性、及びブロッキング性を、以下の基準で評価した。
【0034】
(接着性の評価)
ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A−PET)、ポリプロピレン(PP)及び各種表面処理品(カーボンを分散した熱可塑性樹脂塗料)からなるキャリアテープ基材に対して、全て接着する場合を○、それ以外は×とした。
(耐ブロッキング性の評価)
カバーテープを10枚重ね、温度30℃、湿度80%の環境で、300gf/cm2の荷重を加え、その状態で72時間保持した。その後、カバーテープ同士が全く付着しておらず、ブロッキングが無い場合を○、ブロッキングが有る場合を×とした。
【0035】
【表1】
【0036】
表1に示した結果から、2−EHMA(ホモポリマーのTg:−10℃)が5〜56重量%のモノマー混合物で得られたアクリル系樹脂の接着層をもつカバーテープが(実施例1〜5)、良好な接着性、耐ブロッキング性を示していることが確認できた。
【0037】
(実施例6〜8)
次に、表1に示したアクリル系樹脂の中から、実施例2に示したMMA/2−EHMA(70/30)組成物を接着層として、カバーテープの接着力を制御する剥離層を構成する樹脂組成物を変更し、各々の場合における剥離強度、及び剥離強度の暴れを測定した。
[剥離層がポリエステルからなる場合]
実施例1で使用した中間層を積層した基材の中間層の面上に、ポリエステルを膜厚1g/m2(塗布量換算)となるように塗布して剥離層を形成し、その剥離層の上に膜厚約4g/m2(塗布量換算)になるように、実施例2に示したMMA/2−EHMA(70/30)組成物を、グラビアリバース法にて塗布して接着層を形成して、カバーテープを作製し、このカバーテープの140℃での剥離強度、及び剥離強度の暴れを測定した。
実施例6、7、8で用いたポリエステルは、それぞれ(BX1001、東洋紡績社製、バイロン(登録商標))、(GK180、東洋紡績社製、バイロン(登録商標))、(GK140、東洋紡績社製、バイロン(登録商標))である。
140℃での剥離強度は、キャリアテープとして、サーモシートEC(電気化学工業社製、商品名)を使用し、これに上記カバーテープを熱シールして、180℃剥離、剥離速度300mm/分の条件で測定した。剥離強度の単位は、g/mmである。剥離強度の暴れは、平均最大強度と平均最小強度との差を計算して求めた。
なお、カバーテープの熱シールは、テーピング機(VN3200、バンガードシステムズ社製、商品名)を用いて、シール温度140℃、シール圧力0.3MPa、シール時間0.4秒×2、こて幅0.5mmの条件で行った。
【0038】
【表2】
【0039】
(評価)
表2の結果からわかるように、剥離層を構成するポリエステルのガラス転移点(Tg)が20℃である実施例8は、剥離強度、剥離強度の暴れのいずれにおいても、実施例6、7に比べて劣る結果が得られた。
【0040】
(実施例9〜16)
[剥離層がポリエステルとアクリル酸エステルの共重合樹脂、ポリウレタンとアクリル酸エステルの共重合樹脂からなる場合]
次に、剥離層を、表3に示した組成(重量部比)からなるポリエステルとアクリル酸エステルの共重合樹脂(実施例10〜13)、及びポリウレタンとアクリル酸エステルの共重合樹脂(実施例14〜17)で形成した以外は、実施例6〜8と同様にして、カバーテープを作製し、140℃での剥離強度、及び剥離強度の暴れを測定した。また、剥離層の塗液の安定性については、常温(25℃)×24時間放置で増粘していなければ○、増粘していれば×として評価した。
なお、実施例10〜13で用いたポリエステルとアクリル酸エステルの共重合樹脂は、ポリエステルとして、(UE3600、ユニチカ社製、商品名)を用い、これにアクリル酸エステルとして、アクリル酸ブチルを共重合したものである。
また、実施例14〜17で用いたポリウレタンとアクリル酸エステルの共重合樹脂は、ポリウレタンとして、(ニッポラン2324、日本ポリウレタン社製、商品名)を用い、これにアクリル酸エステルとして、アクリル酸エチルを共重合したものである。
【0041】
【表3】
【0042】
(評価)
表3の結果からわかるように、剥離層がポリエステルとアクリル酸エステルの共重合樹脂からなる場合、実施例9は、剥離強度及び剥離強度の暴れにおいて、実施例10、11よりも劣る結果が得られた。また、剥離層がポリウレタンとアクリル酸エステルの共重合樹脂からなる場合、実施例13は、剥離強度及び剥離強度の暴れにおいて、実施例14、15よりも劣る結果が得られた。実施例12、16では、剥離層の塗液の安定性の点で、他の実施例よりも劣る結果が得られた。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の素材からなる全てのキャリアテープに対して良好な接着性を有し、シール条件による剥離強度のバラツキが少なく、低温シール性に優れているカバーテープを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカバーテープの1例を示した概略断面説明図である。
【符号の説明】
1…基材
2…中間層
3…剥離層
4…接着層
5…カバーテープ
Claims (5)
- 部品収納用の凹部が複数個連設されているキャリアテープの上面を封止するためのカバーテープであって、該カバーテープは、基材と接着層を有し、該接着層は、ガラス転移点(Tg)が0℃以下であるホモポリマーを形成するモノマーを5〜90重量%の割合で添加したモノマー混合物を重合して得られたアクリル系樹脂からなることを特徴とするカバーテープ。
- 基材と接着層の間にポリエチレン系樹脂からなる中間層を有する請求項1に記載のカバーテープ。
- 中間層と接着層の間に、該接着層と剥離可能な剥離層を有し、該剥離層は、ポリエステル、ポリエステルとアクリル酸エステルの共重合樹脂、ポリエステルとアクリル系樹脂のブレンド物、ポリウレタンとアクリル酸エステルの共重合樹脂、又はポリウレタンとアクリル系樹脂のブレンド物からなる請求項2記載のカバーテープ。
- 基材及び接着層に帯電防止性能が付与されている請求項1〜3のいずれか1項記載のカバーテープ。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のカバーテープを、部品収納用の凹部が複数個連設されているキャリアテープに熱シールしてなる包装体。
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