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JP2004214690A - 半導体製造・検査装置用セラミック基板 - Google Patents

半導体製造・検査装置用セラミック基板 Download PDF

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JP2004214690A JP2004037071A JP2004037071A JP2004214690A JP 2004214690 A JP2004214690 A JP 2004214690A JP 2004037071 A JP2004037071 A JP 2004037071A JP 2004037071 A JP2004037071 A JP 2004037071A JP 2004214690 A JP2004214690 A JP 2004214690A
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Yasuji Hiramatsu
靖二 平松
Yasutaka Ito
康隆 伊藤
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Ibiden Co Ltd
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Ibiden Co Ltd
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Abstract

【課題】 隠蔽性を確保できるとともに、高温でも耐電圧を確保でき、また、気孔が大きくてもよいため破壊靱性値を改善したり、焼成条件を緩和することができる半導体製造・検査装置用セラミック基板を提供すること。
【解決手段】 セラミック基板の表面または内部に導電体が形成されてなるセラミック基板において、上記セラミック基板は、ラマンスペクトルで1550cm-1および1333cm-1付近にピークを有するカーボンを含有するセラミックからなり、上記セラミックの最大気孔の気孔径が50μm以下である半導体製造・検査装置用セラミック基板。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主に半導体産業において使用される静電チャック、ホットプレート(セラミックヒータ)、ウエハプローバなどの半導体製造・検査装置用セラミック基板に関する。
半導体は種々の産業において必要とされる極めて重要な製品であり、半導体チップは、例えば、シリコン単結晶を所定の厚さにスライスしてシリコンウエハを作製した後、このシリコンウエハに複数の集積回路等を形成することにより製造される。
この半導体チップの製造工程においては、例えば、静電チャック上に載置したシリコンウエハに、エッチング、CVD等の種々の処理を施して、導体回路や素子等を形成する。その際に、デポジション用ガス、エッチング用ガス等として腐食性のガスを使用するため、これらのガスによる腐食から静電電極層を保護する必要がある。そのため、静電電極層は、通常、セラミック誘電体膜等により被覆、保護されている。このセラミック誘電体膜は、静電チャックの動作中に、このセラミック誘電体膜が絶縁破壊することによるシリコンウエハと静電電極との短絡を防止するために、大きな耐電圧が要求される。
このセラミック誘電体膜を構成する材料として、従来より窒化物セラミックが使用されているが、この窒化物セラミックよりなる誘電体膜を充分な耐電圧を有するものとするためには、気孔中のガス等に起因する耐電圧の低下を防止するため、例えば特開平5−8140号公報にあるように、最大気孔の気孔径を5μm以下と極めて小さくする必要があるとされていた。
一方で、このような静電チャックには、特開平9−48668号公報にあるように、カーボンを添加して隠蔽性を確保する必要があった。しかし、カーボンには電気伝導性があるため、最大気孔の気孔径を5μm以下と極めて小さくしても結局耐電圧を確保できないという問題が新たに発生した。このような問題は、静電チャックに限らず、ウエハプローバ、ホットプレートにおいても発生する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、添加すべきカーボンを特開平9−48668号公報に記載するような結晶性のものではなく、非晶質性を付与することにより、最大気孔の気孔径が50μmであっても耐電圧を確保することができることを新たに見出した。
すなわち、本発明は、セラミック基板の表面または内部に導電体が形成されてなるセラミック基板において、上記セラミック基板は、ラマンスペクトルで1550cm−1および1333cm−1付近にピークを有するカーボンを含有するセラミックからなり、上記セラミックには気孔が存在しないか、または気孔が存在する場合は、その最大気孔の気孔径が50μm以下であることを特徴とする半導体製造・検査装置用セラミック基板である。
上記カーボン量は5〜5000ppmであることが望ましい。上記セラミックは、窒化物セラミック、酸化物セラミック、炭化物セラミックから選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。上記セラミック基板の直径は、200mm以上、その厚さは、25mm以下であることが望ましい。直径200mm未満の場合や厚さ25mmを超える場合は、反りが発生せず、この範囲で、本発明が最も有効だからである。
上記セラミック基板は、複数のリフターピン用貫通孔を有することが望ましい。貫通孔を有している場合、100〜700℃において、セラミックのヤング率が低下すると、加工ひずみが解放されて、反りが発生するからである。
上記セラミック基板は、100〜700℃で使用されることが望ましい。このような温度領域では、耐電圧が低下するからである。
本発明の半導体製造・検査装置用セラミック基板では、隠蔽性を確保できるとともに、高温でも耐電圧を確保できる。また、気孔が大きくてもよいため破壊靱性値を改善したり、焼成条件を緩和することができる。
本発明の半導体製造・検査装置用セラミック基板(以下、セラミック基板ともいう)は、ラマンスペクトルで1550cm−1および1333cm−1付近にピークを有するカーボンを含有するセラミックからなることが必要である。ラマンスペクトルで1550cm−1付近には結晶質部分に起因するピーク、1333cm−1付近には非晶質部分に起因するピークが出現する。ここでいう結晶質部分と非晶質部分とは、単に結晶質体と非晶質体とを混合した場合のみならず、結晶性が低下して非晶質化したものも含む。
また、「付近」という表現が使用されているが、これはレーザラマンのピークの出現位置に若干の誤差があるためで、1550cm−1および1333cm−1付近に出現するピークというのは、本来的に1550cm−1および1333cm−1に出現するピークの意味である。
本発明のセラミック基板では、ラマンスペクトルで1550cm−1および1333cm−1付近にピークを有するカーボンを含有するセラミックを使用しており、非晶質構造を有するため電気伝導性を低くでき、高温での体積抵抗率を確保し、最大気孔の気孔径が50μmまでなら、高温での耐電圧を確保することができる。
このように、気孔径の大きさに対する制限が従来に比べて緩和されているので、製造条件を厳しく設定する必要がなく、従来よりも安価に静電チャックを製造することができる。また、気孔を導入することで破壊靱性値を高くすることができる。
本発明のセラミック基板では、気孔が全く存在しないか、気孔が存在する場合はその最大気孔の気孔径は50μm以下である。
気孔が存在しない場合は、高温での耐電圧が特に高くなり、逆に気孔が存在する場合は、破壊靱性値が高くなる。このためどちらの設計にするかは、要求特性を考慮して決定すればよい。
気孔の存在によって破壊靱性値が高くなる理由は明確ではないが、クラックの伸展が気孔によって止められるからであると推定している。
本発明のセラミック基板では、最大気孔の気孔径が50μm以下であることが必要である。最大気孔の気孔径が50μmを超えると、100〜700℃、特に200℃以上での耐電圧特性を確保できなくなるからである。
最大気孔の気孔径は10μm以下が望ましい。100〜700℃、特に200℃以上での反り量が小さくなるからである。
気孔率や最大気孔の気孔径は、焼結時の加圧時間、圧力、温度、SiCやBNなどの添加物で調整する。SiCやBNは焼結を阻害するため、気孔を導入させることができる。
最大気孔の気孔径の測定は、試料を5個用意し、その表面を鏡面研磨し、2000から5000倍の倍率で表面を電子顕微鏡で10箇所撮影することにより行う。そして、撮影された写真で最大の気孔径を選び、50ショットの平均を最大気孔の気孔径とする。
上記セラミック基板中には、0.05〜10重量%の酸素、特に、0.1〜5重量%の酸素を含有してなることが望ましい。特に、0.1重量%未満では、耐電圧を確保することができない場合があり、逆に5重量%を超えると酸化物の高温耐電圧特性の低下により、耐電圧はやはり低下してしまう場合があるからである。
また、酸素量が5重量%を超えると熱伝導率が低下して昇温降温特性が低下する場合があるからである。上記セラミックに酸素を含有させるため、通常、セラミックの原料粉末を空気中または酸素中で加熱するか、原料粉末に金属酸化物を混合して焼成を行う。上記金属酸化物としては、例えば、イットリヤ(Y)、アルミナ(Al)、酸化ルビジウム(RbO)、酸化リチウム(LiO)、炭酸カルシウム(CaCO)等が挙げられる。
これらの金属酸化物の添加量は、セラミック100重量部に対して、1〜10重量部が好ましい。
気孔率は、アルキメデス法により測定する。焼結体を粉砕して有機溶媒中あるいは水銀中に粉砕物を入れて体積を測定し、粉砕物の重量と体積から真比重を求め、真比重と見かけの比重から気孔率を計算するのである。
ここで、カーボン材料のレーザラマンスペクトル分析について説明することにする。ラマンスペクトルとは、ラマン効果によって現れる散乱光のスペクトルをいい、このラマン効果とは、物質に一定の振動数の単色光を照射した際、散乱光にその照射した光とは別の波長の光が含まれることをいう。
カーボン材料に所定波長のレーザ光を照射するとラマン効果が発生し、レーザラマンスペクトルが観察されるが、このラマンスペクトルは、結晶振動等に関連して発生する光であるため、その材料の結晶性に依存した波長のスペクトルを検出することができる。
すなわち、結晶性のカーボン(グラファイト)では、1550cm−1付近にスペクトルが検出され、非晶質(アモルファス)のカーボンでは、1333cm−1付近でも、ピークが検出されるようになる。従って、1333cm−1付近でピークが検出されるようなカーボンは、結晶性の低いカーボンであるということができる。なお、ピークには、ハローと呼ばれるブロードなものも含む。
この結晶性の低いカーボンは、結晶性のカーボンと異なり、電気導電性が低いため、このようなカーボンが、例えば、セラミック誘電体膜中に含有されていても、セラミック誘電体膜の高温領域(例えば、500℃付近)における体積抵抗率の低下は抑制される。従って、セラミック誘電体膜が、50μm以下と大きな気孔を有していても、優れた耐電圧を有するものとなるのである。また、セラミック誘電体膜はカーボンを含有するために黒色化し、そのため、高輻射熱が得られるとともに、セラミック誘電体膜の下に存在する静電電極を隠蔽することができる。
カーボンの含有量は、5〜5000ppmが好ましい。カーボンの含有量が5ppm未満であると、輻射熱が低くなるとともに、静電電極を隠蔽することが困難となり、一方、カーボンの含有量が5000ppmを超えると、体積抵抗率の低下を抑制することが困難となる。カーボン含有量は望ましくは50〜2000ppmが好適である。
セラミック誘電体膜中のカーボンを非晶質とするためには、原料粉末と樹脂等と溶剤とを混合して成形体を製造する際に、加熱した場合においても結晶質となりにくい樹脂や炭水化物等を添加し、酸素の少ない雰囲気または非酸化性の雰囲気で成形体の脱脂を行えばよい。
本発明のセラミック基板は、半導体製造・検査用に使用でき、具体的には、静電チャック、ホットプレート(セラミックヒータ)、ウエハプローバなどに使用することができる。本発明のセラミック基板の厚さは、50mm以下、特に25mm以下が望ましい。
特にセラミック基板の厚さが25mmを超えると、セラミック基板の熱容量が大きくなり、特に、温度制御手段を設けて加熱、冷却すると、熱容量の大きさに起因して温度追従性が低下してしまう。また、本発明のセラミック基板が解決する気孔の存在に起因する反りの問題は、厚さが25mmを超えるような厚いセラミック基板では発生しにくいからである。特に5mm以下が最適である。なお、厚みは、1mm以上が望ましい。
本発明のセラミック基板の直径は200mm以上が望ましい。特に12インチ(300mm)以上であることが望ましい。次世代の半導体ウエハの主流となるからである。また、上記反りの問題は、直径が200mm以下のセラミック基板では発生しにくいからである。
本発明のセラミック基板を構成するセラミックは、窒化物セラミック、酸化物セラミック、炭化物セラミックから選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
上記窒化物セラミックとしては、金属窒化物セラミック、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等が挙げられる。上記酸化物セラミックとしては、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト等が挙げられる。上記炭化物セラミックとしては、例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化モリブデン等が挙げられる。
本発明においては、セラミック基板中に焼結助剤を含有することが望ましい。焼結助剤としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物を使用することができ、これらの焼結助剤のなかでは、特にCaO、Y、NaO、LiO、RbOが好ましい。また、アルミナを使用してもよい。これらの含有量としては、0.1〜20重量%が望ましい。
なお、本発明のセラミック基板では、半導体ウエハをセラミック基板のウエハ載置面に接触させた状態で載置するほか、半導体ウエハをリフターピンなどで支持し、図13に示すように、セラミック基板との間に一定の間隔を保って保持する場合もある。
図13は、本発明のセラミック基板の一例であるセラミックヒータを模式的に示す部分拡大断面図である。
図13では、貫通孔95にリフターピン96が挿通され、シリコンウエハ99を保持している。リフターピン96を上下することにより、搬送機からシリコンウエハ99を受け取ったり、シリコンウエハ99をセラミック基板91上に載置したり、シリコンウエハ99を支持したまま加熱したりすることができる。また、セラミック基板91の底面91aには、発熱体92が形成され、その発熱体92の表面には金属被覆層92aが設けられている。また、有底孔94が設けられているが、ここには熱電対を挿入する。シリコンウエハ99は、ウエハ加熱面91b側で加熱される。
本発明のセラミック基板は、半導体の製造や半導体の検査を行うための装置に用いられる半導体製造・検査装置用セラミック基板であり、具体的な装置としては、例えば、静電チャック、ウエハプローバ、ホットプレート、サセプタ等が挙げられる。
ホットプレート(セラミックヒータ)として使用される場合は、導電体は、発熱体であり、0.1〜100μm程度の金属層であってもよく、発熱線でもよい。また、静電チャックとして使用される場合は、導電体は静電電極であり、RF電極や発熱体が静電電極の下部であって、セラミック基板内に導電体として形成されていてもよい。さらにウエハプローバとして使用される場合は、表面に導電体としてチャックトップ導体層が形成されており、内部にはガード電極、グランド電極が導電体として形成されている。また、本発明のセラミック基板は、150℃以上、望ましくは200℃以上で使用されることが最適である。
以下、ホットプレート機能を備えた静電チャック、ウエハプローバを例にして本発明を説明する。図1は、本発明のセラミック基板の一実施形態である静電チャックを模式的に示した縦断面図であり、図2は、図1に示した静電チャックにおけるA−A線断面図であり、図3は、図1に示した静電チャックにおけるB−B線断面図である。
この静電チャック101では、平面視円形状のセラミック基板1の表面に、チャック正極静電層2とチャック負極静電層3とからなる静電電極層が形成され、この静電電極層を被覆するように、非晶質のカーボンを含有する窒化物セラミックからなるセラミック誘電体膜4が形成されている。また、静電チャック101上には、シリコンウエハ9が載置され、接地されている。
図2に示したように、チャック正極静電層2は、半円弧状部2aと櫛歯部2bとからなり、チャック負極静電層3も、同じく半円弧状部3aと櫛歯部3bとからなり、これらのチャック正極静電層2とチャック負極静電層3とは、櫛歯部2b、3bを交差するように対向して配置されており、このチャック正極静電層2およびチャック負極静電層3には、それぞれ直流電源の+側と−側とが接続され、直流電圧V が印加されるようになっている。なお、セラミック誘電体膜4は、カーボンを含有しているため、チャック正極静電層2とチャック負極静電層3とは隠蔽されている。
また、セラミック基板1の内部には、シリコンウエハ9の温度をコントロールするために、図3に示したような平面視同心円形状の抵抗発熱体5が設けられており、抵抗発熱体5の両端には、外部端子ピン6が接続、固定され、電圧Vが印加されるようになっている。
図1、2には示していないが、このセラミック基板1には、図3に示したように、測温素子を挿入するための有底孔11とシリコンウエハ9を支持して上下させるリフターピン(図示せず)を挿通するための貫通孔12が形成されている。なお、抵抗発熱体5は、セラミック基板の底面に形成されていてもよい。
この静電チャック101を機能させる際には、チャック正極静電層2とチャック負極静電層3とに直流電圧Vを印加する。これにより、シリコンウエハ9は、チャック正極静電層2とチャック負極静電層3との静電的な作用により、これらの電極にセラミック誘電体膜4を介して吸着され、固定されることとなる。このようにしてシリコンウエハ9を静電チャック101上に固定させた後、このシリコンウエハ9に、CVD等の種々の処理を施す。
本発明に係る静電チャックは、例えば、図1〜3に示したような構成を有するものである。以下において、上記静電チャックを構成する各部材、および、本発明に係る静電チャックの他の実施形態について、順次、詳細に説明していくことにする。
本発明の静電チャックで使用されるセラミック誘電体膜は、上記のように、ラマンスペクトルで1550cm−1および1333cm−1付近にピークを有する非晶質のカーボンを含有するセラミックからなり、最大気孔の気孔径が50μm以下である。また、その厚さは50〜1500μmであることが望ましい。
上記セラミックは、窒化物セラミック、酸化物セラミック、炭化物セラミックから選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。上記窒化物セラミックとしては、金属窒化物セラミック、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等が挙げられ、これらのなかでは、窒化アルミニウムが最も好適である。耐電圧が高く、熱伝導率も180W/m・Kと最も高いからである。上記酸化物セラミックとしては、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト等が挙げられる。上記炭化物セラミックとしては、例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化モリブデン等が挙げられる。
上記セラミックは、ラマンスペクトルで1550cm−1および1333cm−1付近にピークを有する非晶質が付与されたカーボンを含有している。この非晶質のカーボンは、結晶質のカーボンと異なり、電気伝導性が低い。このため、このような非晶質のカーボンを含んだセラミックは、高温領域においても体積抵抗率が低下せず、そのため従来のセラミックと比べて耐電圧が高くなる。
ピーク強度比:I(1550)/I(1355)は、100以下が望ましい。100を超えると単結晶に近くなるからである。
上記セラミック誘電体膜は、最大気孔の気孔径が50μm以下である。また、その厚さは、50〜1500μmであり、気孔率は5%以下であることが望ましい。
上記セラミック誘電体膜の厚さが50μm未満であると、膜厚が薄すぎるために充分な耐電圧が得られず、シリコンウエハを載置し、吸着した際にセラミック誘電体膜が絶縁破壊する場合があり、一方、上記セラミック誘電体膜の厚さが1500μmを超えると、シリコンウエハと静電電極との距離が遠くなるため、シリコンウエハを吸着する能力が低くなってしまう。セラミック誘電体膜の厚さは、100〜1500μmが好ましい。
また、上記気孔率が5%を超えると、気孔数が増え、また、気孔径が大きくなりすぎ、その結果、気孔同士が連通しやすくなる。このような構造のセラミック誘電体膜では、耐電圧が低下してしまう。さらに、最大気孔の気孔径が50μmを超えると、酸化物が粒子境界に存在していても、高温での耐電圧を確保できない。気孔率は、0.01〜3%が好ましく、最大気孔の気孔径は、0.1〜10μmが好ましい。
なお、本発明に係る静電チャックで、セラミック誘電体膜中にある程度が気孔が存在してもよいとしているのは、破壊靱性値を高くすることができるからであり、熱衝撃性を改善することができる。
セラミック基板上に形成される静電電極としては、例えば、金属または導電性セラミックの焼結体、金属箔等が挙げられる。金属焼結体としては、タングステン、モリブデンから選ばれる少なくとも1種からなるものが好ましい。金属箔も、金属焼結体と同じ材質からなることが望ましい。
これらの金属は比較的酸化しにくく、電極として充分な導電性を有するからである。また、導電性セラミックとしては、タングステン、モリブデンの炭化物から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
図8および図9は、他の静電チャックにおける静電電極を模式的に示した水平断面図であり、図8に示す静電チャック20では、セラミック基板1の内部に半円形状のチャック正極静電層22とチャック負極静電層23が形成されており、図9に示す静電チャックでは、セラミック基板1の内部に円を4分割した形状のチャック正極静電層32a、32bとチャック負極静電層33a、33bが形成されている。また、2枚の正極静電層22a、22bおよび2枚のチャック負極静電層33a、33bは、それぞれ交差するように形成されている。なお、円形等の電極が分割された形態の電極を形成する場合、その分割数は特に限定されず、5分割以上であってもよく、その形状も扇形に限定されない。
本発明に係る静電チャックで使用されるセラミック基板は、窒化物セラミック、酸化物セラミック、炭化物セラミックから選ばれる少なくとも1種からなるものであることが望ましい。
上記窒化物セラミックとしては、金属窒化物セラミック、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等が挙げられる。また、セラミック誘電体膜とセラミック基板とは同じ材料であることが望ましい。
窒化物セラミックは熱伝導率が高く、抵抗発熱体で発生した熱を良好に伝達することができるからである。また、セラミック誘電体膜とセラミック基板とが同じ材料である場合、同じ方法で作製したグリーンシートを積層し、同一条件で焼成することにより、容易に静電チャックを製造することができるからである。
また、窒化物セラミックの中では窒化アルミニウムが最も好適である。熱伝導率が180W/m・Kと最も高いからである。上記酸化物セラミックとしては、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト等が挙げられる。上記炭化物セラミックとしては、例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化モリブデン等が挙げられる。
本発明のセラミック基板を、セラミックヒータに使用する場合は、半導体ウエハと加熱面とを離間させることができる。離間距離は、50〜5000μmが望ましい。また、このように離間させる場合には、本発明は特に有効である。
セラミック基板の高温での反り量が小さく、半導体ウエハと加熱面との距離が均一となるからである。また、本発明では、体積抵抗率が450℃で1×10Ω・cmを超えることが望ましい。最大気孔径が50μmであっても、100〜700℃での耐電圧を確保することができるからである。
本発明に係る静電チャックでは、通常、図1に示したように、抵抗発熱体等の温度制御手段が設けられている。静電チャック上に載置したシリコンウエハの加熱等を行いながら、CVD処理等を行う必要があるからである。
上記温度制御手段としては、図3に示した抵抗発熱体5のほかに、ペルチェ素子(図6参照)が挙げられる。抵抗発熱体は、セラミック基板の内部に設けてもよく、セラミック基板の底面に設けてもよい。抵抗発熱体を設ける場合は、静電チャックを嵌め込む支持容器に、冷却手段としてエアー等の冷媒の吹きつけ口などを設けてもよい。
抵抗発熱体をセラミック基板の内部に設ける場合には、複数層設けてもよい。この場合は、各層のパターンは相互に補完するように形成されて、加熱面からみるとどこかの層にパターンが形成された状態が望ましい。例えば、互いに千鳥の配置になっている構造である。
抵抗発熱体としては、例えば、金属または導電性セラミックの焼結体、金属箔、金属線等が挙げられる。金属焼結体としては、タングステン、モリブデンから選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの金属は比較的酸化しにくく、発熱するに充分な抵抗値を有するからである。
また、導電性セラミックとしては、タングステン、モリブデンの炭化物から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。さらに、セラミック基板の底面に抵抗発熱体を形成する場合には、金属焼結体としては、貴金属(金、銀、パラジウム、白金)、ニッケルを使用することが望ましい。具体的には銀、銀−パラジウムなどを使用することができる。上記金属焼結体に使用される金属粒子は、球状、リン片状、もしくは球状とリン片状の混合物を使用することができる。
金属焼結体中には、金属酸化物を添加してもよい。上記金属酸化物を使用するのは、セラミック基板と金属粒子を密着させるためである。上記金属酸化物により、セラミック基板と金属粒子との密着性が改善される理由は明確ではないが、金属粒子の表面はわずかに酸化膜が形成されており、セラミック基板は、酸化物の場合は勿論、非酸化物セラミックである場合にも、その表面には酸化膜が形成されている。従って、この酸化膜が金属酸化物を介してセラミック基板表面で焼結して一体化し、金属粒子とセラミック基板とが密着するのではないかと考えられる。
上記金属酸化物としては、例えば、酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素(B)、アルミナ、イットリア、チタニアから選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの酸化物は、抵抗発熱体の抵抗値を大きくすることなく、金属粒子とセラミック基板との密着性を改善できるからである。
上記金属酸化物は、金属粒子100重量部に対して0.1重量部以上10重量部未満であることが望ましい。この範囲で金属酸化物を用いることにより、抵抗値が大きくなりすぎず、金属粒子とセラミック基板との密着性を改善することができるからである。
また、酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素(B)、アルミナ、イットリア、チタニアの割合は、金属酸化物の全量を100重量部とした場合に、酸化鉛が1〜10重量部、シリカが1〜30重量部、酸化ホウ素が5〜50重量部、酸化亜鉛が20〜70重量部、アルミナが1〜10重量部、イットリアが1〜50重量部、チタニアが1〜50重量部が好ましい。但し、これらの合計が100重量部を超えない範囲で調整されることが望ましい。これらの範囲が特にセラミック基板との密着性を改善できる範囲だからである。
抵抗発熱体をセラミック基板の底面に設ける場合は、抵抗発熱体15の表面は、金属層150で被覆されていることが望ましい(図4参照)。抵抗発熱体15は、金属粒子の焼結体であり、露出していると酸化しやすく、この酸化により抵抗値が変化してしまう。そこで、表面を金属層150で被覆することにより、酸化を防止することができるのである。
金属層150の厚さは、0.1〜10μmが望ましい。抵抗発熱体の抵抗値を変化させることなく、抵抗発熱体の酸化を防止することができる範囲だからである。被覆に使用される金属は、非酸化性の金属であればよい。具体的には、金、銀、パラジウム、白金、ニッケルから選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。なかでもニッケルがさらに好ましい。抵抗発熱体には電源と接続するための端子が必要であり、この端子は、半田を介して抵抗発熱体に取り付けるが、ニッケルは半田の熱拡散を防止するからである。接続端子しては、コバール製の端子ピンを使用することができる。
なお、抵抗発熱体をヒータ板内部に形成する場合は、抵抗発熱体表面が酸化されることがないため、被覆は不要である。抵抗発熱体をヒータ板内部に形成する場合、抵抗発熱体の表面の一部が露出していてもよい。
抵抗発熱体として使用する金属箔としては、ニッケル箔、ステンレス箔をエッチング等でパターン形成して抵抗発熱体としたものが望ましい。パターン化した金属箔は、樹脂フィルム等ではり合わせてもよい。金属線としては、例えば、タングステン線、モリブデン線等が挙げられる。
温度制御手段としてペルチェ素子を使用する場合は、電流の流れる方向を変えることにより発熱、冷却両方行うことができるため有利である。ペルチェ素子8は、図6に示すように、p型、n型の熱電素子81を直列に接続し、これをセラミック板82などに接合させることにより形成される。ペルチェ素子としては、例えば、シリコン・ゲルマニウム系、ビスマス・アンチモン系、鉛・テルル系材料等が挙げられる。
本発明に係る静電チャックとしては、例えば、図1に示すように、セラミック基板1とセラミック誘電体膜4との間にチャック正極静電層2とチャック負極静電層3とが設けられ、セラミック基板1の内部には抵抗発熱体5が設けられた構成の静電チャック101、図4に示すように、セラミック基板1とセラミック誘電体膜4との間にチャック正極静電層2とチャック負極静電層3とが設けられ、セラミック基板1の底面に抵抗発熱体15が設けられた構成の静電チャック201、図5に示すように、セラミック基板1とセラミック誘電体膜4との間にチャック正極静電層2とチャック負極静電層3とが設けられ、セラミック基板1の内部に抵抗発熱体である金属線7が埋設された構成の静電チャック301、図6に示すように、セラミック基板1とセラミック誘電体膜4との間にチャック正極静電層2とチャック負極静電層3とが設けられ、セラミック基板1の底面に熱電素子81とセラミック板82からなるペルチェ素子8が形成された構成の静電チャック401等が挙げられる。
本発明に係る静電チャックでは、図1〜6に示したように、セラミック基板1とセラミック誘電体膜4との間にチャック正極静電層2とチャック負極静電層3とが設けられ、セラミック基板1の内部に抵抗発熱体5や金属線7が形成されているため、これらと外部端子とを接続するための接続部(スルーホール)16、17が必要となる。
スルーホール16、17は、タングステンペースト、モリブデンペーストなどの高融点金属、タングステンカーバイド、モリブデンカーバイドなどの導電性セラミックを充填することにより形成される。
また、接続部(スルーホール)16、17の直径は、0.1〜10mmが望ましい。断線を防止しつつ、クラックや歪みを防止できるからである。このスルーホールを接続パッドとして外部端子ピン6、18を接続する(図7(d)参照)。
接続は、半田、ろう材により行う。ろう材としては銀ろう、パラジウムろう、アルミニウムろう、金ろうを使用する。金ろうとしては、Au−Ni合金が望ましい。Au−Ni合金は、タングステンとの密着性に優れるからである。
Au/Niの比率は、〔81.5〜82.5(重量%)〕/〔18.5〜17.5(重量%)〕が望ましい。Au−Ni層の厚さは、0.1〜50μmが望ましい。接続を確保するに充分な範囲だからである。また、10−6〜10−5Paの高真空で500〜1000℃の高温で使用するとAu−Cu合金では劣化するが、Au−Ni合金ではこのような劣化がなく有利である。また、Au−Ni合金中の不純物元素量は全量を100重量部とした場合に1重量部未満であることが望ましい。
本発明のセラミック基板では、必要に応じて、セラミック基板1の有底孔12に熱電対を埋め込んでおくことができる。熱電対により抵抗発熱体の温度を測定し、そのデータをもとに電圧、電流量を変えて、温度を制御することができるからである。熱電対の金属線の接合部位の大きさは、各金属線の素線径と同一か、もしくは、それよりも大きく、かつ、0.5mm以下がよい。このような構成によって、接合部分の熱容量が小さくなり、温度が正確に、また、迅速に電流値に変換されるのである。このため、温度制御性が向上して半導体ウエハの加熱面の温度分布が小さくなるのである。上記熱電対としては、例えば、JIS−C−1602(1980)に挙げられるように、K型、R型、B型、S型、E型、J型、T型熱電対が挙げられる。
図10は、以上のような構成の本発明の静電チャックを配設するための支持容器41を模式的に示した断面図である。支持容器41には、静電チャック101が断熱材45を介して嵌め込まれるようになっている。また、この支持容器11には、冷媒吹き出し口42が形成されており、冷媒注入口44から冷媒が吹き込まれ、冷媒吹き出し口42を通って吸引口43から外部に出ていくようになっており、この冷媒の作用により、静電チャック101を冷却することができるようになっている。
次に、本発明に係る静電チャックの製造方法の一例を図7に示した断面図に基づき説明する。
(1)初めに、非晶質カーボンを製造する。例えば、C、H、Oだけからなる炭化水素、好ましくは糖類(ショ糖やセルロース)を、空気中、300〜500℃で焼成することにより、純粋な非晶質カーボンを製造する。非晶質なカーボンは、ラマンスペクトルで1550cm−1および1333cm−1付近にピーク(1333cm−1ではハローになる場合もある)が出現する。なお、ラマンスペクトルで1550cm−1および1333cm−1付近にピークが出現するカーボンは、アクリル系バインダを熱分解させても得られる。例えば、アクリル系樹脂バインダ(三井化学製SA−545シリーズ 酸価0.5)やアクリル系樹脂バインダ(共栄社製 商品名KC−600シリーズ 酸価17)を使用することができる。
窒化物セラミックのセラミックの粉体を上記非晶質カーボン、バインダおよび溶剤と混合してグリーンシート50を得る。前述したセラミック粉体としては、例えば、窒化アルミニウムなどを使用することができ、必要に応じて、イットリアなどの焼結助剤などを加えてもよい。
なお、後述する静電電極層印刷体51が形成されたグリーンシートの上に積層する数枚または1枚のグリーンシート50′は、セラミック誘電体膜4となる層であるので、窒化物の粉末に非晶質のカーボン粉末を混合したものとする。通常、セラミック誘電体膜4の原料とセラミック基板1の原料とは、同じものを使用することが望ましい。これらは、一体として焼結することが多いため、焼成条件が同じになるからである。ただし、材料が異なる場合には、まず先にセラミック基板を製造しておき、その上に静電電極層を形成し、さらにその上にセラミック誘電体膜を形成することもできる。
また、バインダとしては、アクリル系バインダ、エチルセルロース、ブチルセロソルブ、ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種が望ましい。さらに、溶媒としては、α−テルピネオール、グリコールから選ばれる少なくとも1種が望ましい。これらを混合して得られるペーストをドクターブレード法でシート状に成形してグリーンシート50を作製する。
グリーンシート50に、必要に応じてシリコンウエハのリフターピンを挿通する貫通孔や熱電対を埋め込む凹部を設けておくことができる。貫通孔や凹部は、パンチングなどで形成することができる。グリーンシート50の厚さは、0.1〜5mm程度が好ましい。
次に、グリーンシート50に静電電極層や抵抗発熱体となる導体ペーストを印刷する。印刷は、グリーンシート50の収縮率を考慮して所望のアスペクト比が得られるように行い、これにより静電電極層印刷体51、抵抗発熱体層印刷体52を得る。印刷体は、導電性セラミック、金属粒子などを含む導体ペーストを印刷することにより形成する。
これらの導体ペースト中に含まれる導電性セラミック粒子としては、タングステンまたはモリブデンの炭化物が最適である。酸化しにくく、熱伝導率が低下しにくいからである。また、金属粒子としては、例えば、タングステン、モリブデン、白金、ニッケルなどを使用することができる。
導電性セラミック粒子、金属粒子の平均粒子径は0.1〜5μmが好ましい。これらの粒子は、大きすぎても小さすぎても導体用ペーストを印刷しにくいからである。
このようなペーストとしては、金属粒子または導電性セラミック粒子85〜97重量部、アクリル系、エチルセルロース、ブチルセロソルブおよびポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種のバインダ1.5〜10重量部、α−テルピネオール、グリコール、エチルアルコールおよびブタノールから選ばれる少なくとも1種の溶媒を1.5〜10重量部混合して調製した導体用ぺーストが最適である。さらに、パンチング等で形成した孔に、導体用ペーストを充填してスルーホール印刷体53、54を得る。
次に、図7(a)に示すように、印刷体51、52、53、54を有するグリーンシート50と、印刷体を有さないグリーンシート50′とを積層する。静電電極層印刷体51が形成されたグリーンシート上には、数枚または1枚のグリーンシート50′を積層する。抵抗発熱体形成側に印刷体を有さないグリーンシート30′を積層するのは、スルーホールの端面が露出して、抵抗発熱体形成の焼成の際に酸化してしまうことを防止するためである。もしスルーホールの端面が露出したまま、抵抗発熱体形成の焼成を行うのであれば、ニッケルなどの酸化しにくい金属をスパッタリングする必要があり、さらに好ましくは、Au−Niの金ろうで被覆してもよい。
(2)次に、図7(b)に示すように、積層体の加熱および加圧を行い、グリーンシートおよび導体ペーストを焼結させる。加熱温度は、1000〜2000℃、加圧は100〜200kg/cmが好ましく、これらの加熱および加圧は、不活性ガス雰囲気下で行う。不活性ガスとしては、アルゴン、窒素などを使用することができる。この工程で、スルーホール16、17、チャック正極静電層2、チャック負極静電層3、抵抗発熱体5等が形成される。
(3)次に、図7(c)に示すように、外部端子接続のための袋孔13、14を設ける。袋孔13、14の内壁は、その少なくともその一部が導電化され、導電化された内壁は、チャック正極静電層2、チャック負極静電層3、抵抗発熱体5等と接続されていることが望ましい。
(4)最後に、図7(d)に示すように、袋孔13、14に金ろうを介して外部端子6、18を設ける。さらに、必要に応じて、有底孔12を設け、その内部に熱電対を埋め込むことができる。
半田は銀−鉛、鉛−スズ、ビスマス−スズなどの合金を使用することができる。なお、半田層の厚さは、0.1〜50μmが望ましい。半田による接続を確保するに充分な範囲だからである。
なお、上記説明では静電チャック101(図1参照)を例にしたが、静電チャック201(図4参照)を製造する場合は、静電電極層を有するセラミック板を製造した後、このセラミック板の底面に導体ペーストを印刷、焼成し、抵抗発熱体15を形成し、この後、無電解メッキ等により金属層150を形成すればよい。また、静電チャック301(図5参照)を製造する場合は、セラミック粉末中に金属箔、金属線を静電電極や抵抗発熱体として埋め込み、焼結すればよい。さらに、静電チャック401(図6参照)を製造する場合は、静電電極層を有するセラミック板を製造した後、このセラミック板に溶射金属層を介してペルチェ素子を接合すればよい。
本発明のセラミック基板の表面および内部に導電体が配設され、上記内部の導電体が、ガード電極またはグランド電極のいずれか少なくとも一方である場合には、上記セラミック基板は、ウエハプローバとして機能する。
図14は、本発明に係るウエハプローバの一実施形態を模式的に示した断面図であり、図15は、図14に示したウエハプローバにおけるA−A線断面図である。
このウエハプローバ601では、平面視円形状のセラミック基板63の表面に平面視同心円形状の溝67が形成されるとともに、溝67の一部にシリコンウエハを吸引するための複数の吸引孔68が設けられており、溝67を含むセラミック基板63の大部分にシリコンウエハの電極と接続するためのチャックトップ導体層62が円形状に形成されている。
一方、セラミック基板63の底面には、シリコンウエハの温度をコントロールするために、図3に示したような平面視同心円形状の発熱体69が設けられており、発熱体69の両端には、外部端子ピン(図示せず)が接続、固定されている。
また、セラミック基板63の内部には、ストレイキャパシタやノイズを除去するために平面視格子形状のガード電極65とグランド電極66(図7参照)とが設けられている。ガード電極65とグランド電極66の材質は、静電電極と同様のものでよい。
上記チャックトップ導体層62の厚さは、1〜20μmが望ましい。1μm未満では抵抗値が高くなりすぎて電極として働かず、一方、20μmを超えると導体の持つ応力によって剥離しやすくなってしまうからである。
チャックトップ導体層62としては、例えば、銅、チタン、クロム、ニッケル、貴金属(金、銀、白金等)、タングステン、モリブデンなどの高融点金属から選ばれる少なくとも1種の金属を使用することができる。
このような構成のウエハプローバでは、その上に集積回路が形成されたシリコンウエハを載置した後、このシリコンウエハにテスタピンを持つプローブカードを押しつけ、加熱、冷却しながら電圧を印加して導通テストを行うことができる。なお、ウエハプローバを製造する場合には、例えば、静電チャックの場合と同様に、初めに抵抗発熱体が埋設されたセラミック基板を製造し、その後、セラミック基板の表面に溝を形成し、続いて、溝が形成された表面部分にスパッタリングおよびメッキ等を施して、金属層を形成すればよい。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)静電チャック(図1参照)の製造
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径:0.4μm)4重量部、アクリル系樹脂バインダ(三井化学製SA−545シリーズ 酸価0.5)11.5重量部、分散剤0.5重量部、および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合したペーストを用い、ドクターブレード法による成形を行って、厚さ0.47mmのグリーンシートを得た。
(2)次に、このグリーンシートを80℃で5時間乾燥させた後、パンチングにより直径1.8mm、3.0mm、5.0mmの半導体ウエハのリフターピンを挿通する貫通孔となる部分、外部端子と接続するためのスルーホールとなる部分を設けた。
(3)平均粒子径1μmのタングステンカーバイト粒子100重量部、アクリル系バインダ3.0重量部、α−テルピネオール溶媒3.5重量部および分散剤0.3重量部を混合して導体ペーストAを調製した。平均粒子径3μmのタングステン粒子100重量部、アクリル系バインダ1.9重量部、α−テルピネオール溶媒3.7重量部および分散剤0.2重量部を混合して導体ペーストBを調製した。この導体ペーストAをグリーンシートにスクリーン印刷で印刷し、導体ペースト層を形成した。印刷パターンは、同心円パターンとした。また、他のグリーンシートに図2に示した形状の静電電極パターンからなる導体ペースト層を形成した。
さらに、外部端子を接続するためのスルーホール用の貫通孔に導体ペーストBを充填した。上記処理の終わったグリーンシート50に、さらに、タングステンペーストを印刷しないグリーンシート50′を上側(加熱面)に34枚、下側に13枚積層し、その上に静電電極パターンからなる導体ペースト層を印刷したグリーンシート50を積層し、さらにその上にタングステンペーストを印刷していないグリーンシート50′を2枚積層し、これらを130℃、80kg/cmの圧力で圧着して積層体を形成した(図7(a))。
(4)次に、得られた積層体を窒素ガス中、600℃で5時間脱脂し、1890℃、圧力5〜150kg/cmで0.5〜3時間ホットプレスし(詳細は表1)、厚さ3mmの窒化アルミニウム板状体を得た。これを230mmの円板状に切り出し、内部に厚さ6μm、幅10mmの抵抗発熱体5および厚さ10μmのチャック正極静電層2、チャック負極静電層3を有する窒化アルミニウム製の板状体とした(図7(b))。
(5)次に、(4)で得られた板状体を、ダイヤモンド砥石で研磨した後、マスクを載置し、SiC等によるブラスト処理で表面に熱電対のための有底孔(直径:1.2mm、深さ:2.0mm)を設けた。
(6)さらに、スルーホールが形成されている部分をえぐり取って袋孔13、14とし(図7(c))、この袋孔13、14にNi−Auからなる金ろうを用い、700℃で加熱リフローしてコバール製の外部端子6、18を接続させた(図7(d))。なお、外部端子の接続は、タングステンの支持体が3点で支持する構造が望ましい。接続信頼性を確保することができるからである。
(7)次に、温度制御のための複数の熱電対を有底孔に埋め込み、抵抗発熱体を有する静電チャックの製造を完了した。このようにして製造した抵抗発熱体を有する静電チャックのセラミック誘電体膜4の気孔率、気孔径、耐電圧、破壊靱性値、吸着力、昇温特性、反り量、体積抵抗率を下記の方法により測定した。その結果を下記の表1および2に示した。また、レーザフラッシュ法で熱伝導率を測定したところ、180〜200W/m・kの値を示した。
(比較例1)
まず、窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径:0.4μm)4重量部、結晶性グラファイト(イビデン製 GC−102)0.1重量部、分散剤0.5重量部、および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合したペーストを用い、ドクターブレード法による成形を行って、厚さ0.47mmのグリーンシートとした。この後、実施例1と同様にして静電チャックを製造した。ただし、成形時の加圧時間、圧力は表1に示した通りである。このようにして製造した抵抗発熱体を有する静電チャックのセラミック誘電体膜4の気孔率、気孔径、耐電圧、破壊靱性値、吸着力、昇温特性、反り量、体積抵抗率を下記の方法により測定した。その結果を下記の表1および2に示した。
(比較例2)
焼結時に全く加圧しなかったほかは、実施例1と同様にして静電チャックを製造した。このようにして製造した抵抗発熱体を有する静電チャックのセラミック誘電体膜4の気孔率、気孔径、耐電圧、破壊靱性値、吸着力、昇温特性、反り量、体積抵抗率を下記の方法により測定した。その結果を下記の表1および2に示した。
(実施例2)静電チャック(図4参照)の製造
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径:0.4μm)4重量部、アクリル系樹脂バインダ(共栄社製 商品名KC−600シリーズ 酸価17)11.5重量部、分散剤0.5重量部、BNを0または3重量%(詳細は表3)および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合したペーストを用い、ドクターブレード法による成形を行って、厚さ0.47mmのグリーンシートを得た。
(2)次に、このグリーンシートを80℃で5時間乾燥させた後、パンチングにより直径1.8mm、3.0mm、5.0mmの半導体ウエハのリフターピンを挿通する貫通孔となる部分、外部端子と接続するためのスルーホールとなる部分を設けた。
(3)平均粒子径1μmのタングステンカーバイト粒子100重量部、アクリル系バインダ3.0重量部、α−テルピネオール溶媒3.5重量部および分散剤0.3重量部を混合して導体ペーストAを調製した。
平均粒子径3μmのタングステン粒子100重量部、アクリル系バインダ1.9重量部、α−テルピネオール溶媒3.7重量部および分散剤0.2重量部を混合して導体ペーストBを調製した。
この導体ペーストAをグリーンシートにスクリーン印刷で印刷し、図9に示した形状の静電電極パターンからなる導体ペースト層を形成した。
さらに、外部端子を接続するためのスルーホール用の貫通孔に導体ペーストBを充填した。上記処理の終わったグリーンシート50に、さらに、タングステンペーストを印刷しないグリーンシート50′を上側(加熱面)に1枚、下側に48枚積層し、これらを130℃、80kg/cmの圧力で圧着して積層体を形成した。
(4)次に、得られた積層体を窒素ガス中、600℃で5時間脱脂し、1890℃、圧力5〜150kg/cm(詳細は表3)で3時間ホットプレスし、厚さ3mmの窒化アルミニウム板状体を得た。これを230mmの円板状に切り出し、内部に厚さ15μmのチャック正極静電層2およびチャック負極静電層3を有する窒化アルミニウム製の板状体とした。
(5)上記(4)で得た板状体の底面にマスクを載置し、SiC等によるブラスト処理で表面に熱電対のための凹部(図示せず)等を設けた。
(6)次に、ウエハ載置面に対向する面(底面)に抵抗発熱体15を印刷した。印刷は導体ペーストを用いた。導体ペーストは、プリント配線板のスルーホール形成に使用されている徳力化学研究所製のソルベストPS603Dを使用した。この導体ペーストは、銀/鉛ペーストであり、酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素、アルミナからなる金属酸化物(それぞれの重量比率は、5/55/10/25/5)を銀100重量部に対して7.5重量部含むものであった。また、銀の形状は平均粒径4.5μmでリン片状のものであった。
(7)導体ペーストを印刷した板状体を780℃で加熱焼成して、導体ペースト中の銀、鉛を焼結させるとともにセラミック基板に焼き付けた。さらに硫酸ニッケル30g/l、ほう酸30g/l、塩化アンモニウム30g/lおよびロッシェル塩60g/lを含む水溶液からなる無電解ニッケルメッキ浴に板状体を浸漬して、銀の焼結体15の表面に厚さ1μm、ホウ素の含有量が1重量%以下のニッケル層150を析出させた。この後、板状体に、120℃で3時間アニーリング処理を施した。銀の焼結体からなる抵抗発熱体は、厚さが5μm、幅2.4mmであり、面積抵抗率が7.7mΩ/□であった。
(8)次に、セラミック基板にスルーホール16を露出させるための袋孔を設けた。この袋孔にNi−Au合金(Au81.5重量%、Ni18.4重量%、不純物0.1重量%)からなる金ろうを用い、970℃で加熱リフローしてコバール製の外部端子ピンを接続させた。また、抵抗発熱体に半田(スズ9/鉛1)を介してコバール製の外部端子ピンを形成した。
(9)次に、温度制御のための複数熱電対を凹部に埋め込み、静電チャック201を得た。このようにして製造した抵抗発熱体を有する静電チャックのセラミック誘電体膜4の気孔率、気孔径、耐電圧、破壊靱性値、吸着力、昇温特性、反り量、体積抵抗率を下記の方法により測定した。その結果を下記の表3および4に示した。
(10)次に、この静電チャック201を図10の断面形状を有するステンレス製の支持容器41にセラミックファイバー(イビデン社製 商品名 イビウール)からなる断熱材45を介して嵌め込んだ。この支持容器41は冷却ガスの冷媒吹き出し口42を有し、静電チャック201の温度調整を行うことができる。
この支持容器41に嵌め込まれた静電チャック201の抵抗発熱体15に通電を行って、温度を上げ、また、支持容器に冷媒を流して静電チャック201の温度を制御したが、極めて良好に温度を制御することができた。
(比較例3)
窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径:0.4μm)4重量部、結晶性グラファイト(イビデン製GP−202)0.1重量部、分散剤0.5重量部、BNを3重量%(詳細は表3)および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合したペーストを用い、ドクターブレード法による成形を行って、厚さ0.47mmのグリーンシートとした。この後、実施例2と同様にして静電チャックを製造した。ただし、成形時の圧力は表1に示した通りである。このようにして製造した抵抗発熱体を有する静電チャックのセラミック誘電体膜4の気孔率、気孔径、耐電圧、破壊靱性値、吸着力、昇温特性、反り量、体積抵抗率を下記の方法により測定した。その結果を下記の表3および4に示した。
(比較例4)
焼結時に全く加圧しなかったほかは、実施例2と同様にして静電チャックを製造した。このようにして製造した抵抗発熱体を有する静電チャックのセラミック誘電体膜4の気孔率、気孔径、耐電圧、破壊靱性値、吸着力、昇温特性、反り量、体積抵抗率を下記の方法により測定した。その結果を下記の表3および4に示した。
(実施例3)静電チャック301(図5)の製造
(1)厚さ10μmのタングステン箔を打抜き加工することにより図8に示した形状の電極2枚を形成した。この電極2枚とタングステン線を窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径0.4μm)4重量部とともに、アルミナ1.5重量%、アクリル系樹脂バインダ(共栄社製 商品名KC−600シリーズ 酸価17)11.5重量部を成形型中に入れて窒素ガス中で1890℃、圧力5〜150kg/cm(詳細は表5)で3時間ホットプレスし、厚さ3mmの窒化アルミニウム板状体を得た。これを直径230mmの円状に切り出して板状体とした。このとき、静電電極層の厚さは、10μmであった。
(2)この板状体に対し、実施例1の(5)〜(7)の工程を実施し、静電チャック301を得た。このようにして製造した抵抗発熱体を有する静電チャックのセラミック誘電体膜4の気孔率、気孔径、耐電圧、破壊靱性値、吸着力、昇温特性、反り量、体積抵抗率を下記の方法により測定した。その結果を下記の表5および6に示した。
(比較例5)
電極2枚とタングステン線を窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径0.4μm)4重量部とともに、アルミナ1.5重量%、結晶性グラファイト(イビデン製 GP−102)0.1重量部を成形型中に入れて窒素ガス中で1890℃、圧力150kgf/cm(詳細は表5)で3時間ホットプレスし、厚さ3mmの窒化アルミニウム板状体を得た。これを直径230mmの円状に切り出して板状体とした。この後、実施例1と同様にして静電チャックを製造した。ただし、成形時の圧力は表1に示した通りである。このようにして製造した抵抗発熱体を有する静電チャックのセラミック誘電体膜4の気孔率、気孔径、耐電圧、破壊靱性値、吸着力、昇温特性、反り量、体積抵抗率を下記の方法により測定した。その結果を下記の表5および6に示した。
(比較例6)
焼結時の加圧条件を表5に示したように設定したほかは、実施例1と同様にして静電チャックを製造した。このようにして製造した抵抗発熱体を有する静電チャックのセラミック誘電体膜4の気孔率、気孔径、耐電圧、破壊靱性値、吸着力、昇温特性、反り量、体積抵抗率を下記の方法により測定した。その結果を下記の表5および6に示した。
(実施例4および比較例7) 静電チャック401(図6)の製造
実施例2の(1)〜(5)の工程(表3の初段の条件)を実施した後、さらに底面にニッケルを溶射し、この後、鉛・テルル系のペルチェ素子を接合させることにより、静電チャック401を得た。このようにして製造した静電チャックは、降温特性に優れ、ペルチェ素子で冷却したところ450℃から100℃まで3分で降温した。また、電極の隠蔽性にも優れている。
(実施例5)
炭化ケイ素粉末(屋久島電工社製、平均粒径1.1μm)100重量部、アクリルバインダ(三井化学社製、SA−545シリーズ)11.5重量部、分散剤0.5重量部および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合したペーストを用い、ドクターブレード法による成形を行って、厚さ0.5mmのグリーンシートを得、さらに、導体ペーストと接触する部分にガラスペーストを塗布して積層したほかは、実施例1と同様にして静電チャックを製造した。耐電圧は、ウエハ載置面と導体(静電電極)との間で測定した。最大気孔径は20μmであった。
(比較例8)
炭化ケイ素粉末(屋久島電工社製、平均粒径1.1μm)100重量部、フェノール樹脂(分解して結晶性グラファイトに変性)11.5重量部、分散剤0.5重量部および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合したペーストを用い、ドクターブレード法による成形を行って、厚さ0.5mmのグリーンシートを得たほかは、実施例1と同様にして静電チャックを製造した。最大気孔径は22μmであった。実施例5で得た静電チャックと比較例8で得た静電チャックの450℃での耐電圧を測定したところ、実施例5では、1.0kV/mであったのに対して、比較例8では、0.01kV/mであった。
(実施例6および比較例9)
実施例1および比較例1の静電チャックの表面に、ドリル加工で凹部を形成し、この凹部にアルミナ製の支持ピンを形成し、ウエハと加熱面との距離を100μmに設定した。ついで、静電電極には印加せず、発熱体にのみ通電して加熱し、400℃まで昇温した。反り量が0または1μmでは、ウエハの表面温度差は3℃であったが、反り量が8μmの場合は、表面温度差が10℃となり、表面温度の均一性に乏しいものであった。
(試験例)
比較例1と同様の方法により,窒化アルミニウムを常温焼結し、厚さ30mmの静電チャックを製造した。また、比較例1と同様の方法により,窒化アルミニウムを常温焼結し、直径150mmの静電チャックを製造した。いずれの静電チャックも450℃に昇温した後の反り量は、1μm以下であった。つまり、厚さが25mmを超え、直径が200mm未満のセラミック基板では、反りの問題が発生しなかった。また、貫通孔を形成しない静電チャックを製造した場合も、450℃に昇温した後の反り量は、1μm以下であった。このように、本発明は、直径が200mm以上、厚さが25mm以下で貫通孔を有するセラミック基板において、特に効果を奏するものと考えられた。
評価方法
(1)レーザラマン分光分析
実施例1、2で得られた静電チャックのセラミック誘電体膜について、下記の測定条件によりレーザラマン分光分析を行った。その結果を図11(実施例1)、12(実施例2)、16(比較例1、2)に示した。
レーザーパワー:200mW、励起波長:514.5nm、スリット幅:1000μm、gate time:1、repeat time:4、温度:25.0℃
(2)セラミック誘電体膜の気孔率の測定
セラミック誘電体膜を切り出し、アルキメデス法により、気孔率を測定した。具体的には、切り出した試料を粉末に破砕して有機溶媒中に投入して体積を測定し、さらに予め測定した粉末の重量から真比重を測定し、これと見かけの比重から気孔率を計算した。
(3)セラミック誘電体膜の気孔径の測定
静電チャックを縦方向に数カ所切断し、切断部分の気孔について、顕微鏡でその長さを測定した。縦、横の長さが異なる場合には、最大値をとった。
(4)セラミック誘電体膜の耐電圧の評価
実施例、比較例1〜4で製造した静電チャックについて、静電チャック上に金属電極を載置し、静電電極層と電極との間に、電圧を印加し、絶縁破壊する電圧を測定した。
(5)破壊靱性値
ビッカーズ硬度計(明石製作所製 MVK−D型)により圧子を表面に圧入し、発生したクラック長さを測定し、これを下記の計算式に代入した。
破壊靱性値=0.026×E1/2×0.5×P1/2×a×C−3/2
Eはヤング率(3.18×1011Pa)、Pは押し込み荷重(98N)、aは圧痕対角線長さの半分(m)、Cはクラックの長さの平均の半分(m)である。
(6)吸着力
ロードセル(島津製作所製 オートグラフ AGS−50A)を使用して測定した。
(7)昇温特性
450℃まで昇温するために必要な時間を測定した。
(8)反り量
450℃まで昇温して150kgcmの荷重をかけた後、25℃まで冷却し、形状測定器(京セラ製 ナノウエイ)を用いて、反り量(試験前後の差)を測定した。
(9)体積抵抗率:焼結体を切削加工することにより、直径10mm、厚さ3mmの形状に切出し、三端子(主電極、対電極、ガード電極)を形成し、直流電圧を加え、1分間充電した後のデジタルエレクトロメーターに流れる電流(I)を読んで、試料の抵抗(R)を求め、抵抗(R)と試料の寸法から体積抵抗率(ρ)を下記の計算式(1)で計算した。
Figure 2004214690
上記計算式(1)において、tは試料の厚さである。また、Sは、下記の計算式(2)および(3)により与えられる。
Figure 2004214690
Figure 2004214690
なお、上記計算式(2)および(3)において、Dは主電極の直径、Dはガード電極の内径(直径)であり、本実施例においては、D=1.45cm、D=1.60cmである。
(10)炭素量
焼結体中のカーボン量の測定は、焼結体を粉砕し、これを500〜800℃で加熱して発生するCOガスを捕集することにより行った。
(11)酸素量
実施例にかかる焼結体と同条件で焼結させた試料をタングステン乳鉢で粉砕し、これの0.01gを採取して試料加熱温度2200℃、加熱時間30秒の条件で酸素・窒素同時分析装置(LECO社製 TC−136型)で測定した。
Figure 2004214690
Figure 2004214690
Figure 2004214690
Figure 2004214690
Figure 2004214690
Figure 2004214690
上記表から本発明にかかる静電チャックにおいては、高温での耐電圧が、気孔のある場合でも常温で12〜20kV/mm、450℃で1〜10kV/mmと優れている。また、高温での体積抵抗率も高く、1×10Ω・cm以上を確保することができ、昇温特性にも優れ、高温での反り量を極めて小さくすることができる。さらに、気孔が存在する場合は、3.5MPam1/2以上の高い破壊靱性値を確保することができる。さらに、最大気孔の気孔径を10μm以下にすることで高温での反り量をほぼ2μm以下と小さくすることができる。さらに、気孔を有さない場合は、耐電圧が非常に高くなり、また、高温での反りをほぼ完全になくすことができる。
(実施例7)ウエハプローバ601(図14参照)の製造
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)1000重量部、イットリア(平均粒径0.4μm)40重量部および、BN5重量部、アクリル系樹脂バインダ(三井化学製SA−545シリーズ 酸価0.5)115重量部、1−ブタノールおよびエタノールからなるアルコール530重量部を混合して得た混合組成物を、ドクターブレード法を用いて成形し、厚さ0.47mmのグリーンシートを得た。
(2)次に、このグリーンシートを80℃で5時間乾燥させた後、パンチングにて発熱体と外部端子ピンと接続するためのスルーホール用の貫通孔を設けた。
(3)平均粒子径1μmのタングステンカーバイド粒子100重量部、アクリル系バインダ3.0重量部、α−テルピネオール溶媒3.5重量および分散剤0.3重量部を混合して導体ペーストAとした。また、平均粒子径3μmのタングステン粒子100重量部、アクリル系バインダ1.9重量部、α−テルピネオール溶媒を3.7重量部、分散剤0.2重量部を混合して導体ペーストBとした。
次に、グリーンシートに、この導体ペーストAを用いたスクリーン印刷で、格子状のガード電極用印刷体、グランド電極用印刷体を印刷した。また、端子ピンと接続するためのスルーホール用の貫通孔に導体ペーストBを充填した。
さらに、印刷されたグリーンシートおよび印刷がされていないグリーンシートを50枚積層して130℃、80kg/cmの圧力で一体化することにより積層体を作製した。
(4)次に、この積層体を窒素ガス中で600℃で5時間脱脂し、1890℃、圧力150kg/cmで3時間ホットプレスし、厚さ3mmの窒化アルミニウム板状体を得た。得られた板状体を、直径300mmの円形状に切り出してセラミック製の板状体とした。スルーホール16の大きさは、直径0.2mm、深さ0.2mmであった。
また、ガード電極65、グランド電極66の厚さは10μm、ガード電極65の形成位置は、ウエハ載置面から1mm、グランド電極66の形成位置は、ウエハ載置面から1.2mmであった。また、ガード電極65およびグランド電極66の導体非形成領域66aの1辺の大きさは、0.5mmであった。
(5)上記(4)で得た板状体を、ダイアモンド砥石で研磨した後、マスクを載置し、SiC等によるブラスト処理で表面に熱電対のための凹部およびウエハ吸着用の溝47(幅0.5mm、深さ0.5mm)を設けた。
(6)さらに、ウエハ載置面に対向する面に発熱体69を形成するための層を印刷した。印刷は導体ペーストを用いた。導体ペーストは、プリント配線板のスルーホール形成に使用されている徳力化学研究所製のソルベストPS603Dを使用した。この導体ペーストは、銀/鉛ペーストであり、酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素、アルミナからなる金属酸化物(それぞれの重量比率は、5/55/10/25/5)を銀100重量部に対して7.5重量部含むものであった。また、銀の形状は平均粒径4.5μmでリン片状のものであった。
(7)導体ペーストを印刷したヒータ板を780℃で加熱焼成して、導体ペースト中の銀、鉛を焼結させるとともにセラミック基板63に焼き付けた。さらに硫酸ニッケル30g/l、ほう酸30g/l、塩化アンモニウム30g/lおよびロッシェル塩60g/lを含む水溶液からなる無電解ニッケルメッキ浴にヒータ板を浸漬して、銀の焼結体69の表面に厚さ1μm、ホウ素の含有量が1重量%以下のニッケル層(図示せず)を析出させた。この後、ヒータ板は、120℃で3時間アニーリング処理を施した。銀の焼結体からなる発熱体は、厚さが5μm、幅2.4mmであり、面積抵抗率が7.7mΩ/□であった。
(8)溝47が形成された面に、スパッタリング法により、順次、チタン層、モリブデン層、ニッケル層を形成した。スパッタリングのための装置は、日本真空技術株式会社製のSV−4540を使用した。スパッタリングの条件は気圧0.6Pa、温度100℃、電力200Wであり、スパッタリング時間は、30秒から1分の範囲内で、各金属によって調整した。得られた膜の厚さは、蛍光X線分析計の画像から、チタン層は0.3μm、モリブデン層は2μm、ニッケル層は1μmであった。
(9)硫酸ニッケル30g/l、ほう酸30g/l、塩化アンモニウム30g/lおよびロッシェル塩60g/lを含む水溶液からなる無電解ニッケルメッキ浴に、上記(8)で得られたセラミック板を浸漬し、スパッタリングにより形成された金属層の表面に厚さ7μm、ホウ素の含有量が1重量%以下のニッケル層を析出させ、120℃で3時間アニーリングした。発熱体表面は、電流を流さず、電解ニッケルメッキで被覆されない。
さらに、表面にシアン化金カリウム2g/l、塩化アンモニウム75g/l、クエン酸ナトリウム50g/lおよび次亜リン酸ナトリウム10g/lを含む無電解金メッキ液に、93℃の条件で1分間浸漬し、ニッケルメッキ層上に厚さ1μmの金メッキ層を形成した。
(10)溝67から裏面に抜ける空気吸引孔48をドリル加工により形成し、さらにスルーホール660を露出させるための袋孔(図示せず)を設けた。この袋孔にNi−Au合金(Au81.5重量%、Ni18.4重量%、不純物0.1重量%)からなる金ろうを用い、970℃で加熱リフローしてコバール製の外部端子ピンを接続させた。また、発熱体に半田(スズ90重量%/鉛10重量%)を介してコバール製の外部端子ピンを形成した。
(11)次に、温度制御のための複数熱電対を凹部に埋め込み、ウエハプローバヒータ601を得た。
セラミック基板は、最大気孔の気孔径が2μmで、気孔率が1%であった。また、セラミック基板の温度を200℃に上げたが、200V印加しても絶縁破壊は生じなかった。さらに、そり量も1μm以下で良好であった。さらに、セラミック基板が黒色であるため、チャックトップ導体層がメッキにより良好に形成されているか否かの目視検査がやりやすいという利点がある。
本発明に係る静電チャックの一例を模式的に示す断面図である。 図1に示した静電チャックのA−A線断面図である。 図1に示した静電チャックのB−B線断面図である。 本発明に係る静電チャックの一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る静電チャックの一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る静電チャックの一例を模式的に示す断面図である。 (a)〜(d)は、本発明の静電チャックの製造工程の一部を模式的に示す断面図である。 本発明に係る静電チャックを構成する静電電極の形状を模式的に示した水平断面図である。 本発明に係る静電チャックを構成する静電電極の形状を模式的に示した水平断面図である。 本発明に係る静電チャックを支持容器に嵌め込んだ状態を模式的に示した断面図である。 実施例1で得られた静電チャックを構成するセラミック誘電体膜のレーザラマン分光分析の結果を示すレーザラマンスペクトルである。 実施例2で得られた静電チャックを構成するセラミック誘電体膜のレーザラマン分光分析の結果を示すレーザラマンスペクトルである。 本発明に係るホットプレートを模式的に示した断面図である。 本発明に係るウエハプローバを模式的に示した断面図である。 本発明に係るウエハプローバのガード電極を模式的に示した断面図である。 比較例1、2で得られた静電チャックを構成するセラミック誘電体膜のレーザラマン分光分析の結果を示すレーザラマンスペクトルである。
符号の説明
101、201、301、401 静電チャック
1 セラミック基板
2、22、32a、32b チャック正極静電層
3、23、33a、33b チャック負極静電層
2a、3a 半円弧状部
2b、3b 櫛歯部
4 セラミック誘電体膜
5 抵抗発熱体
6、18 外部端子ピン
7 金属線
8 ペルチェ素子
9 シリコンウエハ
11 有底孔
12 貫通孔
13、14 袋孔
15 抵抗発熱体
150 金属層
16、17 スルーホール
41 支持容器
42 冷媒吹き出し口
43 吸入口
44 冷媒注入口
45 断熱材

Claims (6)

  1. セラミック基板の表面または内部に導電体が形成されてなるセラミック基板において、前記セラミック基板は、ラマンスペクトルで1550cm-1および1333cm-1付近にピークを有するカーボンを含有するセラミックからなり、前記セラミックの最大気孔の気孔径が50μm以下であることを特徴とする半導体製造・検査装置用セラミック基板。
  2. 前記カーボン量は、5〜5000ppmである請求項1に記載の半導体製造・検査装置用セラミック基板。
  3. 前記セラミックは、窒化物セラミック、酸化物セラミック、炭化物セラミックから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の半導体製造・検査装置用セラミック基板。
  4. その直径が200mm以上、その厚さが25mm以下である請求項1〜3のいずれか1に記載の半導体製造・検査装置用セラミック基板。
  5. 複数のリフターピン用貫通孔を有する請求項1〜4のいずれか1に記載の半導体製造・検査装置用セラミック基板。
  6. 100〜700℃で使用される請求項1〜5のいずれか1に記載の半導体製造・検査装置用セラミック基板。
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