JP2004214418A - 圧粉磁芯とその合金粉末並びに製造方法 - Google Patents
圧粉磁芯とその合金粉末並びに製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004214418A JP2004214418A JP2002382440A JP2002382440A JP2004214418A JP 2004214418 A JP2004214418 A JP 2004214418A JP 2002382440 A JP2002382440 A JP 2002382440A JP 2002382440 A JP2002382440 A JP 2002382440A JP 2004214418 A JP2004214418 A JP 2004214418A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alloy powder
- alloy
- dust core
- magnetic
- powder
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 239000000843 powder Substances 0.000 title claims abstract description 54
- 229910045601 alloy Inorganic materials 0.000 title claims abstract description 40
- 239000000956 alloy Substances 0.000 title claims abstract description 40
- 239000000428 dust Substances 0.000 title claims abstract description 29
- 238000000034 method Methods 0.000 title claims abstract description 13
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 title claims abstract description 10
- 229910001004 magnetic alloy Inorganic materials 0.000 claims abstract description 26
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 claims abstract description 17
- 239000011810 insulating material Substances 0.000 claims abstract description 8
- 238000000748 compression moulding Methods 0.000 claims description 3
- 238000002425 crystallisation Methods 0.000 claims description 3
- 230000008025 crystallization Effects 0.000 claims description 3
- 238000004898 kneading Methods 0.000 claims 1
- 230000004907 flux Effects 0.000 abstract description 13
- 239000000203 mixture Substances 0.000 abstract description 10
- 239000000463 material Substances 0.000 abstract description 5
- 230000008569 process Effects 0.000 abstract description 2
- 239000002245 particle Substances 0.000 description 7
- 229920005989 resin Polymers 0.000 description 6
- 239000011347 resin Substances 0.000 description 6
- 239000011230 binding agent Substances 0.000 description 5
- 230000001590 oxidative effect Effects 0.000 description 5
- 229910000640 Fe alloy Inorganic materials 0.000 description 4
- 238000009689 gas atomisation Methods 0.000 description 4
- 238000000465 moulding Methods 0.000 description 4
- 230000006835 compression Effects 0.000 description 3
- 238000007906 compression Methods 0.000 description 3
- 229910000702 sendust Inorganic materials 0.000 description 3
- 238000000137 annealing Methods 0.000 description 2
- 239000003795 chemical substances by application Substances 0.000 description 2
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 2
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 2
- 239000000314 lubricant Substances 0.000 description 2
- 238000002844 melting Methods 0.000 description 2
- 230000008018 melting Effects 0.000 description 2
- 230000035699 permeability Effects 0.000 description 2
- 229920002050 silicone resin Polymers 0.000 description 2
- 229920000178 Acrylic resin Polymers 0.000 description 1
- 239000004925 Acrylic resin Substances 0.000 description 1
- 229910000838 Al alloy Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910018125 Al-Si Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910018520 Al—Si Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910000976 Electrical steel Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910017082 Fe-Si Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910017133 Fe—Si Inorganic materials 0.000 description 1
- BZHJMEDXRYGGRV-UHFFFAOYSA-N Vinyl chloride Chemical compound ClC=C BZHJMEDXRYGGRV-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 238000005266 casting Methods 0.000 description 1
- 230000008859 change Effects 0.000 description 1
- 230000000052 comparative effect Effects 0.000 description 1
- 239000013078 crystal Substances 0.000 description 1
- 238000001035 drying Methods 0.000 description 1
- 239000003822 epoxy resin Substances 0.000 description 1
- 125000001301 ethoxy group Chemical group [H]C([H])([H])C([H])([H])O* 0.000 description 1
- 238000011156 evaluation Methods 0.000 description 1
- 230000020169 heat generation Effects 0.000 description 1
- 230000006872 improvement Effects 0.000 description 1
- 239000012535 impurity Substances 0.000 description 1
- 239000011261 inert gas Substances 0.000 description 1
- 239000002184 metal Substances 0.000 description 1
- 238000005121 nitriding Methods 0.000 description 1
- 230000003647 oxidation Effects 0.000 description 1
- 238000007254 oxidation reaction Methods 0.000 description 1
- 239000005011 phenolic resin Substances 0.000 description 1
- 229920002037 poly(vinyl butyral) polymer Polymers 0.000 description 1
- 229920000647 polyepoxide Polymers 0.000 description 1
- 238000010298 pulverizing process Methods 0.000 description 1
- 239000002994 raw material Substances 0.000 description 1
- 229920006395 saturated elastomer Polymers 0.000 description 1
- 238000004513 sizing Methods 0.000 description 1
- 238000009692 water atomization Methods 0.000 description 1
- 229910000859 α-Fe Inorganic materials 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Abstract
【課題】材料組成的に安価に得られる磁性合金粉末を用い、トランスコア、チョークコイルあるいは磁気ヘッド等の用途で、Ni−Mo−Fe系磁性合金と同等以上の飽和磁束密度、直流重畳特性が得られる圧粉磁芯の提供。
【解決手段】例えばFe−6Si‐4Alなる組成の合金粉末に予め熱処理を施して結晶性を向上させて、公知の工程で圧粉磁芯を作製すると、従来の50Ni−Fe系や81Ni−2Mo−Fe系合金などのNi基合金を上回る飽和磁束密度、直流重畳特性が得られ、トランスコア等を安価に提供できる。
【選択図】 なし
【解決手段】例えばFe−6Si‐4Alなる組成の合金粉末に予め熱処理を施して結晶性を向上させて、公知の工程で圧粉磁芯を作製すると、従来の50Ni−Fe系や81Ni−2Mo−Fe系合金などのNi基合金を上回る飽和磁束密度、直流重畳特性が得られ、トランスコア等を安価に提供できる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、トランスコア、チョークコイルあるいは磁気ヘッド等に用いられる圧粉磁心の改良に関し、従来のNi−Mo−Fe系磁性合金と同等以上の飽和磁束密度、直流重畳特性を有するFe−Al−Si系圧粉磁心に関する。
【0002】
【従来の技術】
電源回路などに多用されるトランスコアや各種チョークコイルには、所謂けい素鋼板を用いた積層型磁心が使用されていたが、磁性合金粉末を絶縁性バインダーとともに混練成形して所要形状にして焼き固めることから、複雑形状を容易に実現でき、種々組成の磁性合金粉末を用いることで、目的の磁気特性を得易いことから、今日では圧粉磁心が多用されている。
【0003】
圧粉磁心は、所定の粒度範囲にある軟磁性合金粉末を用い、絶縁性バインダー樹脂などと混練することで、粉末粒子表面を樹脂で被覆し、この粉末を金型に充填して圧縮成形することで所定形状の成形体にし、この成形体に加熱処理を行い圧縮成形時の成形歪みを解放するとともに前記バインダ成分を硬化して製造する。
【0004】
また、圧粉磁心は従来のフェライト磁心に比較してコアロスが大きいが、飽和磁束密度、直流重畳特性は高い特徴がある。さらに、圧粉磁芯の透磁率や直流重畳特性は、その嵩密度との間に相関関係があり、通常、圧粉磁芯を高密度化すると、前記特性は向上することが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のNi−Mo−Fe軟磁性合金は、該合金自体の飽和磁束密度は低いが、粉末の圧粉時の相対密度が高いことで、結果として飽和磁束密度並びに直流重畳特性がよい圧粉磁心を製造することができる。しかし、該Ni−Mo−Fe系合金は、Niを多量に含有して原料コストを要することが問題である。
【0006】
一方、材料組成的に安価でかつ前記の飽和磁束密度並びに直流重畳特性にすぐれた材料として、Fe−Si合金が知られているが、コア損失が極めて大きく、例えばトランスコアとした際の発熱等の問題があり、トランスコア、チョークコイル等の用途に用いる圧粉磁心用の磁性合金としては実用的とは言い難い。
【0007】
この発明は、材料組成的に安価に得られる磁性合金粉末を用い、トランスコア、チョークコイルあるいは磁気ヘッド等の用途で、Ni−Mo−Fe系磁性合金と同等以上の飽和磁束密度、直流重畳特性が得られる圧粉磁芯とその合金粉末並びに製造方法の提供を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、組成的に安価に得られる従来のFe−Al−Si系磁性合金について、特に直流重畳特性との関係を種々検討した結果、Fe−6Si‐4Alなる組成の合金粉末に予め熱処理を施して結晶性を向上させて、圧粉磁芯を作製すると、得られる飽和磁束密度、直流重畳特性が従来の50Ni−Fe系や81Ni−2Mo−Fe系合金などのNi基合金を上回ることを知見し、この発明を完成した。
【0009】
すなわち、この発明は、Al 3.0wt%〜5.0wt%、Si 4.0wt%〜7.0wt%、残部Feを主成分とする合金粉末と絶縁材との混練物より圧縮成形された成形体を熱処理して得たことを特徴とする圧粉磁芯である。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明による圧粉磁芯用の軟磁性合金粉末は、Al 3.0wt%〜5.0wt%、Si 4.0wt%〜7.0wt%、残部Feを主成分とする。Al 3.0wt%未満、Si 4.0wt%未満ではコアロスが大きくなりまた目的の飽和磁束密度並びに直流重畳特性が得難くなり、Al 5.0wt%を超え、Si 7.0wt%を超えると合金粉末の圧縮時の密度が低下により透磁率が低下し好ましくない。残部のFe以外はできるだけ不純物の含有がないことが望ましいが、製造上不可避的な微量の成分の含有は認められる。
【0011】
この発明のAl 3.0wt%〜5.0wt%、Si 4.0wt%〜7.0wt%、残部Feを主成分とする合金は、通常の溶融、鋳込み、合金の機械的粉砕にて得る方法、またガスアトマイズ法、水アトマイズ法などで製造することができる。また、通常得られた際の結晶構造は磁性合金として理想的な構造ではないが、そのまま合金粉末として圧粉磁芯を製造しても、成形体の焼鈍工程を経ることで改善される可能性がある。しかし、圧粉磁芯の特性の向上を目的に、予め合金粉末に熱処理を施して結晶化を促進して軟磁性合金粉末となすことが望ましい。
【0012】
この発明の合金粉末に施す熱処理としては、雰囲気は非酸化性で、処理温度700℃〜1200℃の範囲に、30分以上保持することが望ましい。しかし、保持時間が3時間を超えても得られる効果が飽和し、生産性が悪化するため好ましくなく、好ましい保持時間は1時間〜3時間である。
【0013】
圧粉磁芯の製造方法の一例を説明すると、磁性合金粉末と絶縁材バインダーを混練し、乾燥、整粒後、必要に応じて潤滑剤を添加し、得られた粉末を金型に充填して所望形状に成形、得られた成形体は歪み取りのための熱処理を施され、さらに強度向上のために樹脂含浸を行う工程がある。なお、前記の各工程において、生産性の向上や熱処理の効率化のために省略、併合、順序変更などが適宜行われる。
【0014】
この発明による磁性合金は、溶融法で得られた鋳片を機械粉砕される場合、あるいはアトマイズ法等で得られた所要の粒度の合金粉末は、それぞれ平均粒度10μm〜100μmの合金粉末となすことが望ましい。
【0015】
この発明において絶縁材としては、合金粉末の結合材と兼ねることが望ましく、公知の絶縁性結着剤のいずれも採用でき、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニール樹脂、ブチラール樹脂、有機シリコーン樹脂、などがある。樹脂としては、後工程の熱処理時に磁性合金粉末へ拡散し難い性状のものが望ましい。
【0016】
この発明において、磁性合金粉末と絶縁材と混練して圧縮成形するが、かかる成形歪みを解放して磁気特性を向上させるための熱処理としては、700℃〜1200℃の範囲に比較的短時間、保持することが好ましい。この熱処理時の雰囲気は、金属の酸化防止のために非酸化性雰囲気が望ましい。非酸化性雰囲気は、真空中や不活性ガス中のいずれでもよい。また、成形体の硬化、焼鈍処理条件は、絶縁材の種類やその量等に応じて適宜選定される。
【0017】
熱処理後、絶縁性含浸剤で含浸することが好ましい。熱処理によって脆化した圧粉磁心の機械強度を向上させるためである。含浸剤としては、公知のエボキシ系樹脂、アクリル系樹脂などがある。
【0018】
【実施例】
実施例1
ガスアトマイズ法により6Si−4Al−balFe組成となるよう合金粉末(平均粒径30μm)を作製した。この合金粉末に、非酸化性雰囲気で温度800℃、1時間保持する熱処理を施した。比較のため、8.8Si‐5.8Al−Fe組成のセンダスト合金粉末(平均粒径30μm)をガスアトマイズ法により作製した。また、81Ni−2Mo−Fe組成の磁性合金粉末をガスアトマイズ法にて作製した。
【0019】
これら合金粉末におけるVSMによるB−H曲線を図1に示す。この発明の合金粉末は、従来のセンダスト合金粉末、Ni−Mo−Fe系合金粉末に比べ飽和磁束密度が高いことが確認された。
【0020】
これらの合金粉末と有機シリコーン樹脂を添加後混練し、乾燥整粒後に潤滑剤を添加し、外径17mm、内径9mmのリング成形体となるように金型に充填し、成型圧8〜18T/cm2にて圧縮成形した。次いで、窒索中で700℃×l時間の熱処理を行つた後、圧粉磁心のB−H評価を行った。各合金粉末より得られたコアのB−H曲線を図2に示す。
【0021】
また、成型圧13T/cm2で得られた100kHzでのμ’=60となる材料について、直流重畳特性の評価を行った。図3に直流重畳特性を示す。この発明では比較センダスト合金、Ni−Mo−Fe系合金に比べ特性の向上が認められ、飽和磁束密度との相関が確認できた。
【0022】
実施例2
6.5Si−3.5Al−balFe組成となるよう溶融合金を作製して鋳込み、得られた鋳片を機械的粉砕して平均粒度30μmの合金粉末を得た。この合金粉末に、非酸化性雰囲気で温度800℃、1時間保持する熱処理を施した。
【0023】
得られたこの発明の磁性合金粉末について、実施例1と同様にVSMによるB−H曲線を評価し、さらに、実施例1と同様方法で圧粉磁心を作製してコアのB−H評価を行ったところ、実施例1のこの発明合金と同様の特性が得られることを確認した。
【0024】
また、成型圧13T/cm2で得られた100kHzでのμ’=60となる圧粉磁心について、直流重畳特性の評価を行ったところ、Ni−Mo−Fe系合金と同等の性能を有することを確認した。
【0025】
【発明の効果】
この発明は、Al 3.0wt%〜5.0wt%、Si 4.0wt%〜7.0wt%、残部Feを主成分とする合金粉末と絶縁材との混練物より圧縮成形された成形体を熱処理して得ることで、Ni−Mo−Fe系磁性合金から得る圧粉磁心と同等以上の飽和磁束密度、直流重畳特性を有し、特にトランスコア、チョークコイルあるいは磁気ヘッド等の用途で、これら従来のNi基合金の代替として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】合金粉末におけるVSMによるB−H曲線を示すグラフである。
【図2】圧粉磁心におけるB−H曲線を示すグラフである。
【図3】直流重畳特性を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
この発明は、トランスコア、チョークコイルあるいは磁気ヘッド等に用いられる圧粉磁心の改良に関し、従来のNi−Mo−Fe系磁性合金と同等以上の飽和磁束密度、直流重畳特性を有するFe−Al−Si系圧粉磁心に関する。
【0002】
【従来の技術】
電源回路などに多用されるトランスコアや各種チョークコイルには、所謂けい素鋼板を用いた積層型磁心が使用されていたが、磁性合金粉末を絶縁性バインダーとともに混練成形して所要形状にして焼き固めることから、複雑形状を容易に実現でき、種々組成の磁性合金粉末を用いることで、目的の磁気特性を得易いことから、今日では圧粉磁心が多用されている。
【0003】
圧粉磁心は、所定の粒度範囲にある軟磁性合金粉末を用い、絶縁性バインダー樹脂などと混練することで、粉末粒子表面を樹脂で被覆し、この粉末を金型に充填して圧縮成形することで所定形状の成形体にし、この成形体に加熱処理を行い圧縮成形時の成形歪みを解放するとともに前記バインダ成分を硬化して製造する。
【0004】
また、圧粉磁心は従来のフェライト磁心に比較してコアロスが大きいが、飽和磁束密度、直流重畳特性は高い特徴がある。さらに、圧粉磁芯の透磁率や直流重畳特性は、その嵩密度との間に相関関係があり、通常、圧粉磁芯を高密度化すると、前記特性は向上することが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のNi−Mo−Fe軟磁性合金は、該合金自体の飽和磁束密度は低いが、粉末の圧粉時の相対密度が高いことで、結果として飽和磁束密度並びに直流重畳特性がよい圧粉磁心を製造することができる。しかし、該Ni−Mo−Fe系合金は、Niを多量に含有して原料コストを要することが問題である。
【0006】
一方、材料組成的に安価でかつ前記の飽和磁束密度並びに直流重畳特性にすぐれた材料として、Fe−Si合金が知られているが、コア損失が極めて大きく、例えばトランスコアとした際の発熱等の問題があり、トランスコア、チョークコイル等の用途に用いる圧粉磁心用の磁性合金としては実用的とは言い難い。
【0007】
この発明は、材料組成的に安価に得られる磁性合金粉末を用い、トランスコア、チョークコイルあるいは磁気ヘッド等の用途で、Ni−Mo−Fe系磁性合金と同等以上の飽和磁束密度、直流重畳特性が得られる圧粉磁芯とその合金粉末並びに製造方法の提供を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、組成的に安価に得られる従来のFe−Al−Si系磁性合金について、特に直流重畳特性との関係を種々検討した結果、Fe−6Si‐4Alなる組成の合金粉末に予め熱処理を施して結晶性を向上させて、圧粉磁芯を作製すると、得られる飽和磁束密度、直流重畳特性が従来の50Ni−Fe系や81Ni−2Mo−Fe系合金などのNi基合金を上回ることを知見し、この発明を完成した。
【0009】
すなわち、この発明は、Al 3.0wt%〜5.0wt%、Si 4.0wt%〜7.0wt%、残部Feを主成分とする合金粉末と絶縁材との混練物より圧縮成形された成形体を熱処理して得たことを特徴とする圧粉磁芯である。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明による圧粉磁芯用の軟磁性合金粉末は、Al 3.0wt%〜5.0wt%、Si 4.0wt%〜7.0wt%、残部Feを主成分とする。Al 3.0wt%未満、Si 4.0wt%未満ではコアロスが大きくなりまた目的の飽和磁束密度並びに直流重畳特性が得難くなり、Al 5.0wt%を超え、Si 7.0wt%を超えると合金粉末の圧縮時の密度が低下により透磁率が低下し好ましくない。残部のFe以外はできるだけ不純物の含有がないことが望ましいが、製造上不可避的な微量の成分の含有は認められる。
【0011】
この発明のAl 3.0wt%〜5.0wt%、Si 4.0wt%〜7.0wt%、残部Feを主成分とする合金は、通常の溶融、鋳込み、合金の機械的粉砕にて得る方法、またガスアトマイズ法、水アトマイズ法などで製造することができる。また、通常得られた際の結晶構造は磁性合金として理想的な構造ではないが、そのまま合金粉末として圧粉磁芯を製造しても、成形体の焼鈍工程を経ることで改善される可能性がある。しかし、圧粉磁芯の特性の向上を目的に、予め合金粉末に熱処理を施して結晶化を促進して軟磁性合金粉末となすことが望ましい。
【0012】
この発明の合金粉末に施す熱処理としては、雰囲気は非酸化性で、処理温度700℃〜1200℃の範囲に、30分以上保持することが望ましい。しかし、保持時間が3時間を超えても得られる効果が飽和し、生産性が悪化するため好ましくなく、好ましい保持時間は1時間〜3時間である。
【0013】
圧粉磁芯の製造方法の一例を説明すると、磁性合金粉末と絶縁材バインダーを混練し、乾燥、整粒後、必要に応じて潤滑剤を添加し、得られた粉末を金型に充填して所望形状に成形、得られた成形体は歪み取りのための熱処理を施され、さらに強度向上のために樹脂含浸を行う工程がある。なお、前記の各工程において、生産性の向上や熱処理の効率化のために省略、併合、順序変更などが適宜行われる。
【0014】
この発明による磁性合金は、溶融法で得られた鋳片を機械粉砕される場合、あるいはアトマイズ法等で得られた所要の粒度の合金粉末は、それぞれ平均粒度10μm〜100μmの合金粉末となすことが望ましい。
【0015】
この発明において絶縁材としては、合金粉末の結合材と兼ねることが望ましく、公知の絶縁性結着剤のいずれも採用でき、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニール樹脂、ブチラール樹脂、有機シリコーン樹脂、などがある。樹脂としては、後工程の熱処理時に磁性合金粉末へ拡散し難い性状のものが望ましい。
【0016】
この発明において、磁性合金粉末と絶縁材と混練して圧縮成形するが、かかる成形歪みを解放して磁気特性を向上させるための熱処理としては、700℃〜1200℃の範囲に比較的短時間、保持することが好ましい。この熱処理時の雰囲気は、金属の酸化防止のために非酸化性雰囲気が望ましい。非酸化性雰囲気は、真空中や不活性ガス中のいずれでもよい。また、成形体の硬化、焼鈍処理条件は、絶縁材の種類やその量等に応じて適宜選定される。
【0017】
熱処理後、絶縁性含浸剤で含浸することが好ましい。熱処理によって脆化した圧粉磁心の機械強度を向上させるためである。含浸剤としては、公知のエボキシ系樹脂、アクリル系樹脂などがある。
【0018】
【実施例】
実施例1
ガスアトマイズ法により6Si−4Al−balFe組成となるよう合金粉末(平均粒径30μm)を作製した。この合金粉末に、非酸化性雰囲気で温度800℃、1時間保持する熱処理を施した。比較のため、8.8Si‐5.8Al−Fe組成のセンダスト合金粉末(平均粒径30μm)をガスアトマイズ法により作製した。また、81Ni−2Mo−Fe組成の磁性合金粉末をガスアトマイズ法にて作製した。
【0019】
これら合金粉末におけるVSMによるB−H曲線を図1に示す。この発明の合金粉末は、従来のセンダスト合金粉末、Ni−Mo−Fe系合金粉末に比べ飽和磁束密度が高いことが確認された。
【0020】
これらの合金粉末と有機シリコーン樹脂を添加後混練し、乾燥整粒後に潤滑剤を添加し、外径17mm、内径9mmのリング成形体となるように金型に充填し、成型圧8〜18T/cm2にて圧縮成形した。次いで、窒索中で700℃×l時間の熱処理を行つた後、圧粉磁心のB−H評価を行った。各合金粉末より得られたコアのB−H曲線を図2に示す。
【0021】
また、成型圧13T/cm2で得られた100kHzでのμ’=60となる材料について、直流重畳特性の評価を行った。図3に直流重畳特性を示す。この発明では比較センダスト合金、Ni−Mo−Fe系合金に比べ特性の向上が認められ、飽和磁束密度との相関が確認できた。
【0022】
実施例2
6.5Si−3.5Al−balFe組成となるよう溶融合金を作製して鋳込み、得られた鋳片を機械的粉砕して平均粒度30μmの合金粉末を得た。この合金粉末に、非酸化性雰囲気で温度800℃、1時間保持する熱処理を施した。
【0023】
得られたこの発明の磁性合金粉末について、実施例1と同様にVSMによるB−H曲線を評価し、さらに、実施例1と同様方法で圧粉磁心を作製してコアのB−H評価を行ったところ、実施例1のこの発明合金と同様の特性が得られることを確認した。
【0024】
また、成型圧13T/cm2で得られた100kHzでのμ’=60となる圧粉磁心について、直流重畳特性の評価を行ったところ、Ni−Mo−Fe系合金と同等の性能を有することを確認した。
【0025】
【発明の効果】
この発明は、Al 3.0wt%〜5.0wt%、Si 4.0wt%〜7.0wt%、残部Feを主成分とする合金粉末と絶縁材との混練物より圧縮成形された成形体を熱処理して得ることで、Ni−Mo−Fe系磁性合金から得る圧粉磁心と同等以上の飽和磁束密度、直流重畳特性を有し、特にトランスコア、チョークコイルあるいは磁気ヘッド等の用途で、これら従来のNi基合金の代替として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】合金粉末におけるVSMによるB−H曲線を示すグラフである。
【図2】圧粉磁心におけるB−H曲線を示すグラフである。
【図3】直流重畳特性を示すグラフである。
Claims (6)
- Al 3.0wt%〜5.0wt%、Si 4.0wt%〜7.0wt%、残部Feを主成分とする合金粉末と絶縁材との混練物より圧縮成形された成形体を熱処理してなる圧粉磁芯。
- Al 3.0wt%〜5.0wt%、Si 4.0wt%〜7.0wt%、残部Feを主成分とする合金粉末に熱処理を施して結晶化を促進して得た軟磁性合金粉末からなる圧粉磁芯用の軟磁性合金粉末。
- 熱処理が、700℃〜1200℃、30分以上の処理である請求項2に記載の圧粉磁芯用の軟磁性合金粉末。
- Al 3.0wt%〜5.0wt%、Si 4.0wt%〜7.0wt%、残部Feを主成分とする合金粉末に熱処理を施して結晶化を促進した軟磁性合金粉末を用い、該軟磁性合金粉末と絶縁材とを混練して圧縮成形し、得られた成形体を焼鈍する圧粉磁芯の製造方法。
- 熱処理が、700℃〜1200℃、30分以上の処理である請求項4に記載の圧粉磁芯の製造方法。
- Al 3.0wt%〜5.0wt%、Si 4.0wt%〜7.0wt%、残部Feを主成分とする合金粉末からある軟磁性合金粉末と絶縁材とを混練して圧縮成形された成形体を熱処理する圧粉磁芯の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002382440A JP2004214418A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 圧粉磁芯とその合金粉末並びに製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002382440A JP2004214418A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 圧粉磁芯とその合金粉末並びに製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004214418A true JP2004214418A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=32817994
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002382440A Pending JP2004214418A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 圧粉磁芯とその合金粉末並びに製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004214418A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009147252A (ja) * | 2007-12-18 | 2009-07-02 | Panasonic Corp | 複合磁性材料およびその製造方法 |
JP2009206337A (ja) * | 2008-02-28 | 2009-09-10 | Hitachi Metals Ltd | Fe基軟磁性粉末、その製造方法、および圧粉磁心 |
US20130136933A1 (en) * | 2010-06-30 | 2013-05-30 | Panasonic Corporation | Composite magnetic material and process for production thereof |
JP2015026749A (ja) * | 2013-07-27 | 2015-02-05 | 株式会社豊田中央研究所 | 軟磁性粉末、圧粉磁心および軟磁性合金 |
JP2015088529A (ja) * | 2013-10-28 | 2015-05-07 | 株式会社豊田中央研究所 | 圧粉磁心、磁心用粉末およびそれらの製造方法 |
JP2020164981A (ja) * | 2019-03-28 | 2020-10-08 | 新東工業株式会社 | 軟磁性合金粉末、電子部品及びその製造方法 |
CN111745152A (zh) * | 2019-03-28 | 2020-10-09 | 新东工业株式会社 | 软磁性合金粉末、电子部件以及其制造方法 |
JP2022029569A (ja) * | 2020-08-05 | 2022-02-18 | 株式会社タムラ製作所 | 圧粉磁心及びその製造方法 |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002382440A patent/JP2004214418A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009147252A (ja) * | 2007-12-18 | 2009-07-02 | Panasonic Corp | 複合磁性材料およびその製造方法 |
JP2009206337A (ja) * | 2008-02-28 | 2009-09-10 | Hitachi Metals Ltd | Fe基軟磁性粉末、その製造方法、および圧粉磁心 |
US20130136933A1 (en) * | 2010-06-30 | 2013-05-30 | Panasonic Corporation | Composite magnetic material and process for production thereof |
US8999075B2 (en) * | 2010-06-30 | 2015-04-07 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Composite magnetic material and process for production |
JP2015026749A (ja) * | 2013-07-27 | 2015-02-05 | 株式会社豊田中央研究所 | 軟磁性粉末、圧粉磁心および軟磁性合金 |
JP2015088529A (ja) * | 2013-10-28 | 2015-05-07 | 株式会社豊田中央研究所 | 圧粉磁心、磁心用粉末およびそれらの製造方法 |
JP2020164981A (ja) * | 2019-03-28 | 2020-10-08 | 新東工業株式会社 | 軟磁性合金粉末、電子部品及びその製造方法 |
CN111745152A (zh) * | 2019-03-28 | 2020-10-09 | 新东工业株式会社 | 软磁性合金粉末、电子部件以及其制造方法 |
CN111745152B (zh) * | 2019-03-28 | 2024-03-12 | 新东工业株式会社 | 软磁性合金粉末、电子部件以及其制造方法 |
JP2022029569A (ja) * | 2020-08-05 | 2022-02-18 | 株式会社タムラ製作所 | 圧粉磁心及びその製造方法 |
JP7202333B2 (ja) | 2020-08-05 | 2023-01-11 | 株式会社タムラ製作所 | 圧粉磁心及びその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5412425B2 (ja) | 複合磁性材料およびその製造方法 | |
JP5501970B2 (ja) | 圧粉磁心及びその製造方法 | |
JP3580253B2 (ja) | 複合磁性体 | |
WO2011016207A1 (ja) | 複合磁性体及びその製造方法 | |
JP2008135674A (ja) | 軟磁性合金粉末、圧粉体及びインダクタンス素子 | |
JP2009302420A (ja) | 圧粉磁心及びその製造方法 | |
JP2008277775A (ja) | 圧粉磁心およびその製造方法 | |
JP2010272604A (ja) | 軟磁性粉末及びそれを用いた圧粉磁芯、インダクタ並びにその製造方法 | |
JP2011243830A (ja) | 圧粉磁芯及びその製造方法 | |
JP2008297606A (ja) | 圧粉磁心用金属粉末および圧粉磁心の製造方法 | |
WO2010109850A1 (ja) | 複合磁性材料 | |
JPH02290002A (ja) | Fe―Si系合金圧粉磁心およびその製造方法 | |
JP6314020B2 (ja) | ナノ結晶軟磁性合金粉末を用いた圧粉磁芯とその製造方法 | |
JP2007231330A (ja) | 圧粉磁心用金属粉末および圧粉磁心の製造方法 | |
JP2004214418A (ja) | 圧粉磁芯とその合金粉末並びに製造方法 | |
JP4166460B2 (ja) | 複合磁性材料およびそれを用いた磁性素子とその製造方法 | |
JP2009147252A (ja) | 複合磁性材料およびその製造方法 | |
JP2017034069A (ja) | 圧粉磁心 | |
JP2006100292A (ja) | 粉末磁性体コアの製造方法及びそれを用いてなる粉末磁性体コア | |
JP2005116820A (ja) | 圧粉磁心 | |
JP2004319652A (ja) | 磁心の製造方法およびその磁心 | |
JP2005142308A (ja) | 圧粉磁心 | |
JPH11260617A (ja) | 圧粉磁芯、その製造方法、および巻線部品 | |
JPH11329821A (ja) | 圧粉磁芯及びその製造方法 | |
JP2010185126A (ja) | 複合軟磁性材料とその製造方法 |