JP2004296487A - トランジスタの製造方法、トランジスタ、電気光学基板、電気光学装置、電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐圧が高く、ゲート電極同士の短絡が確実に防止されたトランジスタを簡素なプロセスで製造できるようにする。
【解決手段】まず、SIMOX手法を用いて半導体基板206の内部に絶縁層207,208を形成し、この半導体基板206を絶縁基板10Aに貼り合わせる。次に、半導体基板206を、絶縁層207,208を含む表層部を除いて絶縁基板10Aから分離(剥離)することで、絶縁層207により絶縁された半導体膜206c,206dの積層膜を形成する。そして、一方の半導体膜206cをパターニングして能動層となる半導体膜を形成するとともに、他方の半導体膜206dをパターニングしてゲート電極を形成する。
【選択図】 図5
【解決手段】まず、SIMOX手法を用いて半導体基板206の内部に絶縁層207,208を形成し、この半導体基板206を絶縁基板10Aに貼り合わせる。次に、半導体基板206を、絶縁層207,208を含む表層部を除いて絶縁基板10Aから分離(剥離)することで、絶縁層207により絶縁された半導体膜206c,206dの積層膜を形成する。そして、一方の半導体膜206cをパターニングして能動層となる半導体膜を形成するとともに、他方の半導体膜206dをパターニングしてゲート電極を形成する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランジスタの製造方法、トランジスタ、電気光学基板、電気光学装置、電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶装置等の表示装置の分野では、各画素に薄膜トランジスタを設けたアクティブマトリクス型のものが多用されている。中でも、単結晶シリコンにより能動層を形成したトランジスタは、高集積化が可能なことから、プロジェクタのライトバルブ等に適用されている。
このような薄膜トランジスタを形成する方法として、従来、特許文献1のような方法が知られている。この方法では、まず、SOI技術を用いて絶縁基板上に単結晶シリコン膜を形成し、これをパターニングして能動層となる半導体膜を形成する。次に、この半導体膜を熱酸化してゲート絶縁膜を形成し、この上にドープトポリシリコンを成膜する。そして、このポリシリコン膜をパターニングしてゲート電極を形成する。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−61276号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のようにポリシリコンを成膜/パターニングしてゲート電極を形成する場合、基板の裏面にもポリシリコンが成膜されてしまい、光透過率の低下要因となる。このため、基板裏面のポリシリコンを除去するためのフォトプロセスが必要となり、製造工程が煩雑となる。
また、ポリシリコンをパターニングする際に、図14に示すように、半導体膜F1の側部にドープトポリシリコンKが一部残渣として堆積し、高電位線と低電位線のゲート電極F3同士が短絡して周辺駆動回路の正常動作を阻害する虞がある。
さらに、熱酸化によりゲート絶縁膜F2を形成する場合、図14に示すように、半導体膜F1の端面上部Eが熱酸化処理時の応力集中等により鋭角形状をなし、この鋭角となった部分のゲート絶縁膜F2の膜厚が薄くなる結果、トランジスタの耐圧が低下するという課題もあった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み創案されたもので、耐圧が高く、ゲート電極同士の短絡が確実に防止されたトランジスタを簡素なプロセスで製造できるようにしたトランジスタの製造方法及びこの製造方法により製造されたトランジスタ並びにこのトランジスタを備えた電気光学装置、投射型表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のトランジスタの製造方法は、半導体基板からなる第1の基板の内部に絶縁層を形成する工程と、上記第1の基板を第2の基板に貼り合わせる工程と、上記第2の基板に貼り合わされた上記第1の基板のうち、上記第2の基板と反対側の表層部を分離することにより、上記第2の基板上に上記絶縁層により互いに絶縁された半導体の積層膜を形成する工程と、上記半導体の積層膜における最上層の半導体膜をパターニングしてゲート電極を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
【0007】
上述したように、従来の製造方法では、第1の基板と第2の基板との貼り合わせ及び分離の工程により第2の基板上に第1の基板の表層部の半導体を転写し、その後、この半導体膜を熱酸化してゲート絶縁膜を形成し、更に、このゲート絶縁膜の上にゲート電極となる半導体膜を成膜していた。これに対して、本製造方法では、上記貼り合わせ及び分離の工程の前に、予め第1の基板の内部にSIMOX(Separation by Implantation of OXygen)等の手法を用いて(即ち、イオン打ち込みにより)絶縁層を形成し、その後、貼り合わせ及び分離の工程により、この絶縁層を含む第1の基板の表層部(即ち、上記絶縁層と、上記絶縁層に対して貼り合わせ面側の第1の半導体膜と、上記絶縁層に対して貼り合わせ面と反対側の第2の半導体膜)を第2の基板に転写している。これにより、第2の基板の上には、上記絶縁層により互いに絶縁された第1の半導体膜と第2の半導体膜との積層膜が形成され、この積層膜の内、最上層の半導体膜(第2の半導体膜)がパターニングされてゲート電極となる。
【0008】
すなわち、本製造方法では、イオン打ち込みにより第1の基板の内部にゲート絶縁膜となる絶縁層を形成し、この絶縁層により上下の層に絶縁分離された半導体の積層膜を第2の基板に転写することで、トランジスタの能動層となる半導体膜とゲート電極とを同時に形成している。このように本製造方法では、成膜によらずにゲート電極を形成できるため、基板裏面にポリシリコンが成膜されたり、ポリシリコンの残渣によりゲート電極同士が短絡したりする等の問題は生じない。また、本製造方法では、イオン打ち込み等により均一な膜厚のゲート絶縁膜を形成できるため、熱酸化によりゲート絶縁膜を形成する従来の方法に比べて、トランジスタの耐圧を高めることができる。
【0009】
なお、一般にSIMOX手法とは、シリコン基板の内部に酸素イオンを注入し熱処理することで基板内部に埋め込みシリコン酸化膜を形成する手法をいうが、本明細書では、酸素イオンの他に窒素イオン等、シリコンと結合して絶縁層を形成するイオンを注入し熱処理することで基板内部に絶縁層を形成する手法としてSIMOX手法を定義する。
【0010】
ところで、上述の方法では、所望の膜厚のゲート電極を得るために、第2の半導体膜をCMP(化学的機械研磨)法により薄膜化することができるが、基板面内におけるゲート電極の膜厚均一性を高めるために、第1の基板においてゲート絶縁膜となる上記絶縁層よりも下層側の位置に、イオン打ち込み等により、もう一層絶縁層を形成してもよい。すなわち、本製造方法は、例えば半導体基板からなる第1の基板に異なる深さで2回のイオン打ち込みを行なう等して、上記第1の基板の内部に複数の絶縁層を形成する工程と、上記第1の基板を第2の基板に貼り合わせる工程と、上記第2の基板に貼り合わされた上記第1の基板のうち、上記第2の基板と反対側の表層部を分離することにより、上記第2の基板上に上記各絶縁層により互いに絶縁された半導体の積層膜を形成する工程と、上記半導体の積層膜における最上層の半導体膜をパターニングしてゲート電極を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本製造方法では、第1の基板の内部に2層の絶縁膜(以下、これらを区別するために、貼り合わせ面に近い位置から順に、第1の絶縁層、第2の絶縁層という)が形成され、その後、貼り合わせ及び分離の工程により、これらの絶縁層を含む第1の基板の表層部(即ち、第1の絶縁層に対して貼り合わせ面側の第1の半導体膜と、第1の絶縁層と、2層の絶縁層に挟まれた第2の半導体膜と、第2の絶縁層と、第2の絶縁層に対して貼り合わせ面と反対側の第3の半導体膜)を第2の基板に転写している。これにより、第2の基板の上には、上記2層の絶縁層により互いに絶縁された第1〜第3の半導体の積層膜が形成され、この積層膜の内、第2の半導体膜がパターニングされてゲート電極となる。
【0012】
このように本製造方法では、イオン打ち込みにより平坦性の高い2層の絶縁層を形成し、これらの絶縁層に挟まれた第2の半導体膜をパターニングしてゲート電極を形成しているため、CMP法等の機械的方法を用いて平坦化する場合に比べて、基板面内における膜厚均一性を格段に高めることができる。なお、第3の半導体膜はエッチングにより除去されるが、この際、選択比の高いエッチング液を用いることで、第2の絶縁層がエッチストッパとして機能し、第2の半導体膜の膜厚均一性を確実に担保することができる。
【0013】
なお、上述の各方法では、上記第1の基板を上記第2の基板に貼り合わせる工程の前に、上記半導体の積層膜のうちチャネルが形成される層にイオンを注入する工程を設けてもよい。
また、上記第1の基板を上記第2の基板に貼り合わせる工程の前に、上記半導体の積層膜のうち上記ゲート電極が形成される層にイオンを注入する工程を設けてもよい。なお、このゲート電極へのドープは上記貼り合わせ工程の後でもよい。
【0014】
本発明のトランジスタは、上述の方法により製造されたことを特徴とする。また、本発明の電気光学基板は、このトランジスタを備えたことを特徴とする。また、本発明の電気光学装置は、上述の電気光学基板を備えたことを特徴とする。さらに、本発明の電子機器は、上述の電気光学装置を備えたことを特徴とする。これにより、これらのデバイスの信頼性を高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
[電気光学装置用基板および電気光学装置]
図1は、本発明の電気光学装置の一例である液晶パネルの全体構成を説明するための平面図であり、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素とともに対向基板の側から見た状態を示した平面図である。また、図2は、図1のA−A’断面図である。
【0016】
図1,図2に示す液晶パネルは、一対の基板間に液晶が封入されたものであり、一方の基板をなす薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTと略記する)アレイ基板10と、これに対向配置された他方の基板をなす対向基板20とを備えている。
図1は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素とともに対向基板20の側から見た状態を示している。図1に示すように、TFTアレイ基板10の上には、シール材51がその縁に沿って設けられており、その内側には、シール材51に並行して額縁としての遮光膜53が設けられている。また、図1において、符号52は、表示領域を示している。表示領域52は、額縁としての遮光膜53の内側の領域であり、液晶パネルの表示に使用する領域である。また、符号54は、表示領域の外側の領域である非表示領域を示している。
【0017】
非表示領域54には、データ線駆動回路101および外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられ、走査線駆動回路104がこの一辺に隣接する2辺に沿って設けられ、プリチャージ回路103が残る一辺に沿って設けられている。さらに、データ線駆動回路101、プリチャージ回路103、走査線駆動回路104と外部回路接続端子102との間をつなぐための複数の配線105が設けられている。
また、対向基板20のコーナー部に対応する位置には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための導通材106が設けられている。そして、シール材51とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材51によりTFTアレイ基板10に固着されている。
【0018】
また、図2に示すように、TFTアレイ基板10は、石英などの光透過性の絶縁基板からなる基板本体10Aと、その液晶層50側表面上に形成され、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電性膜からなる画素電極9aと、表示領域に設けられた画素スイッチング用TFT(スイッチング素子)30と、ポリイミド膜等の有機膜から形成され、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16とを主体として構成されている。
【0019】
他方、対向基板20は、石英からなる基板本体20Aと、その液晶層50側表面上に形成された対向電極21と、配向膜22と、金属などからなり、各画素部の開口領域以外の領域に設けられた遮光膜23、および、遮光膜23と同じかあるいは異なる材料からなる額縁としての遮光膜53とを主体として構成されている。
このように構成され、画素電極9aと対向電極21とが対向するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が形成されている。
【0020】
また、図2に示すように、TFTアレイ基板10の基板本体10Aの液晶層50側表面上において、各画素スイッチング用TFT30に対応する位置には、第1遮光膜11aが設けられている。また、第1遮光膜11aと複数の画素スイッチング用TFT30との間には、第1層間絶縁膜12が設けられている。第1層間絶縁膜12は、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的に絶縁するために設けられるものである。
【0021】
図2に示すように、画素スイッチング用TFT30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体膜1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体膜1aとを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6a、半導体膜1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体膜1aの高濃度ソース領域(ソース領域)1d並びに高濃度ドレイン領域1e(ドレイン領域)を備えている。
また、この液晶パネルにおいては、半導体膜1aは単結晶シリコンからなり、SOI(Silicon On Insulator)技術により絶縁基板10A上に形成されている。このように、トランジスタの能動層となる半導体膜1aに単結晶シリコンを用いることで、トランジスタの高性能化及び高集積化を図ることができる。
【0022】
また、図2に示すように、走査線3a、ゲート絶縁膜2及び第1層間絶縁膜12の上には、画素スイッチング用TFT30の高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5及び画素スイッチング用TFT30の高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が各々形成された第2層間絶縁膜4が形成されている。さらに、データ線6a及び第2層間絶縁膜4の上には、画素スイッチング用TFT30の高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8が形成された第3層間絶縁膜7が形成されている。また、画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁膜7の上面に設けられている。
【0023】
[電気光学装置の製造方法]
次に、本発明の電気光学装置の製造方法の一例として、図1,図2に示した液晶パネルを製造する方法を、図3〜図10を参照して説明する。
まず、図3(a)に示すように、単結晶シリコン基板206の表面に、熱酸化により酸化膜206bを形成する。なお、単結晶シリコン基板206には、予め水素イオン(H+)が打ち込まれており、水素イオンが注入された部分(図3(a)の点線で示す位置)において表層部の半導体が基板から剥離し易くなっている。水素イオンは例えば加速電圧100keV、ドーズ量10×1016/cm2にて注入されている。
【0024】
次に、図3(b),図3(c)に示すように、画素スイッチング用TFT30の半導体膜1aに対応する位置(即ち、能動層の形成される位置)に酸素(O−)又は窒素イオン(N−)211,212を注入し(各イオン211,212の注入位置をそれぞれ207′,208′で示す)、熱処理により単結晶シリコン基板206の内部に埋め込み絶縁層(第1の絶縁層)207,絶縁層(第2の絶縁層)208を形成する(図3(d)参照)。
【0025】
絶縁層207と酸化膜206bとに挟まれた領域の半導体膜(第1の半導体膜)206cは最終的にTFT30の能動層を構成する半導体膜1aとなるため、トランジスタの光リーク耐性を高めるために、基板206における絶縁層207の形成位置(即ち、イオン211の打ち込みの深さ)は30nm以上100nm以下(例えば55nm)であることが好ましい。また、絶縁層207,208に挟まれた領域の半導体膜(第2の半導体膜)206dは最終的にゲート電極3aとなるため、絶縁層208の形成位置(即ち、イオン212の打ち込みの深さ)は絶縁層207の形成位置よりも350nm程度深い位置とすることが好ましい。さらに、絶縁層207は最終的にゲート絶縁膜2となるため、絶縁層207の膜厚は30nm以上80nm以下(例えば60nm)であることが好ましい。
【0026】
このような層構造を実現するためのイオン打ち込み条件としては、例えばイオン211の加速度を10keV以上50keV以下(例えば25keV)とし、注入量を1×1017keV〜9×1018keV(好ましくは1.8×1018keV)とすることが好ましい。また、イオン212の加速度を150keV以上250keV以下(例えば220keV)とし、注入量を1×1017keV〜9×1018keV(好ましくは1.8×1018keV)とすることが好ましい。なお、打ち込むイオン211,212は、酸素イオンや窒素イオンに限らず、シリコンと結合して絶縁層を形成するものであればよい。
次に、図3(e)に示すように、能動層となる半導体膜206cにB(ボロン)等のIII族元素のドーパント213を低濃度で例えば、Bイオンを約20keV〜120keV(好ましくは85keV)の加速度で1×1010/cm2〜9×1012/cm2(好ましくは1×1012/cm2のドーズ量にて)ドープ(チャネルドープ)する。
【0027】
一方、図4(a)に示すように、TFTアレイ基板10の基板本体となる石英基板10Aを用意し、この基板10Aの表面に、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPbのうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド等を、スパッタリング法、CVD法、電子ビーム加熱蒸着法などにより、例えば150〜200nmの膜厚に堆積することにより、遮光層11を形成する。
次に、基板本体10Aの表面上の全面にフォトレジストを形成し、最終的に形成する第1遮光膜11aのパターンを有するフォトマスクを用いてフォトレジストを露光する。その後、フォトレジストを現像することにより、図4(b)に示すように、最終的に形成する第1遮光膜11aのパターンを有するフォトレジスト301を形成する。
【0028】
次に、フォトレジスト301をマスクとして遮光層11のエッチングを行い、その後、フォトレジスト301を剥離することにより、基板本体10Aの表面上において、画素スイッチング用TFT30の形成領域に、図2に示すような所定のパターンの第1遮光膜11aを形成する(図4(c)参照)。なお、第1遮光膜11aの膜厚は、例えば150〜200nmとする。
【0029】
次に、図4(d)に示すように、遮光膜11aを形成した基板本体10Aの表面に、スパッタリング法、CVD法などにより、第1層間絶縁膜12を形成する。第1層間絶縁膜12の材料としては、酸化シリコンや、NSG(ノンドープトシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)などの高絶縁性ガラス等を例示することができる。このとき、遮光膜11aの形成された領域には、第1層間絶縁膜12の表面に凸部12aが形成されるため、図4(e)に示すように、第1層間絶縁膜12の表面をCMP(化学的機械研磨)法等の方法を用いて研磨し平坦化する。第1層間絶縁膜12の膜厚は例えば400nm〜1000nm、より好ましくは800nm程度とする。
【0030】
次に、図5(a)に示すように、単結晶シリコン基板206の酸化膜206bを介して、基板本体10Aと単結晶シリコン基板206とを貼り合わせる。この貼り合わせ工程は、例えば300℃で2時間熱処理することにより2枚の基板10A,206を直接貼り合わせる方法を採用することができる。なお、図5(a)では、図4(e)の基板本体10Aの一部を取り出して異なる尺度で示している。
【0031】
なお、貼り合わせ強度をさらに高めるためには、熱処理温度を上げて450℃程度にする必要があるが、石英などからなる基板本体10Aの熱膨張係数と単結晶シリコン基板206の熱膨張係数とには大きな差があるため、このまま加熱すると単結晶シリコン層にクラックなどの欠陥が発生し、製造されるTFTアレイ基板10の品質が劣化する恐れがある。クラックなどの欠陥の発生を抑制するためには、一度300℃にて貼り合わせのための熱処理を行った単結晶シリコン基板206を、ウエットエッチングまたはCMPによって100〜150μm程度まで薄くし、その後、さらに高温の熱処理を行うことが望ましい。例えば、80℃のKOH水溶液を用いて単結晶シリコン基板206の厚さが150μmとなるようにエッチングし、その後、基板本体10Aとの貼り合わせを行い、さらに450℃にて再び熱処理することにより貼り合わせ強度を高めることが望ましい。
【0032】
次に、図5(b)に示すように、貼り合わせた単結晶シリコン基板206の貼り合わせ面側の酸化膜206bと、埋め込み絶縁層207,208及びこれらの絶縁層を介して積層された半導体膜206c、206dとを残したまま、単結晶シリコン基板206を基板本体10Aから剥離(分離)するための熱処理を行なう。
この基板の剥離現象は、単結晶シリコン基板206中に導入された水素イオンによって、単結晶シリコン基板206の表面近傍のある層でシリコンの結合が分断されるために生じるものである。ここでの熱処理は、例えば、貼り合わせた2枚の基板を毎分20℃の昇温速度にて600℃まで加熱することにより行なうことができる。この熱処理によって、貼り合わせた単結晶シリコン基板206が基板本体10Aと分離し、基板本体10Aの表面上には埋め込み絶縁層206cにより絶縁された単結晶シリコンからなる半導体膜206c、206dの積層膜が形成される。
【0033】
次に、図5(c)に示すように、絶縁層208の上に残存するシリコンを選択比の高いエッチング液を用いて除去する。この際、絶縁層208がエッチストッパとして機能し、選択比によって絶縁層208が露出した時点でエッチングが止まる。
次に、図6(a)に示すように、ゲート電極3aとなる半導体膜206dにリン(P)を熱拡散し、半導体膜206dを導電化する。
次に、図6(b)に示すように、レジストマスクを用いたフォトリソグラフィ工程、エッチング工程により、図2に示すような形状の走査線3a(ゲート電極)を形成する。そして、更に、図6(c)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程により、半導体膜206c,絶縁層207をパターニングし、図2に示すような形状の半導体膜1a,ゲート絶縁膜2を形成する。
【0034】
次に、図7(a)に示すように、半導体膜1aに画素スイッチング用TFT30にLDD領域を形成するために、走査線3a(ゲート電極)を拡散マスクとして、PなどのV族元素のドーパント60を低濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、6×1012/cm2のドーズ量にて)ドープし、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを形成する。
【0035】
続いて、図7(b)に示すように、半導体膜1aに画素スイッチング用TFT30に高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成するために、走査線3aよりも幅の広いレジスト304を走査線3a上に形成した後、同じくPなどのV族元素のドーパント305を高濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、4×1015/cm2のドーズ量にて)ドープする。以上により、LDD構造の薄膜トランジスタ(半導体装置)30が製造される。
【0036】
次に、図7(c)に示すように、走査線3aを覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第2層間絶縁膜4を形成する。第2層間絶縁膜4の膜厚は、約500〜1500nmが好ましく、更に800nmがより好ましい。
この後、チャネル領域1a′,高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを活性化するために約850℃のアニール処理を20分程度行う。
【0037】
次に、図8(a)に示すように、データ線に対するコンタクトホール5を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより或いはウエットエッチングにより形成する。
次に、図8(b)に示すように、第2層間絶縁膜4の上に、スパッタ処理等により、遮光性のAl等の低抵抗金属や金属シリサイド等を、金属膜6として、約100〜700nmの厚さ、好ましくは約350nmに堆積する。
さらに、図8(c)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、データ線6aを形成する。
【0038】
次に、図9(a)に示すように、データ線6a上を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第3層間絶縁膜7を形成する。第3層間絶縁膜7の膜厚は、約500〜1500nmが好ましく、更に800nmがより好ましい。
【0039】
次に、図9(b)に示すように、画素スイッチング用TFT30において、画素電極9aと高濃度ドレイン領域1eとを電気的に接続するためのコンタクトホール8を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチング或いはウエットエッチングにより形成する。
次に、図10(a)に示すように、第3層間絶縁膜7の上に、スパッタ処理等により、ITO等の透明導電性薄膜9を、約50〜200nmの厚さに堆積し、続いて、図10(b)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、画素電極9aを形成する。なお、本実施形態の液晶装置が反射型液晶装置である場合には、Al等の反射率の高い不透明な材料から画素電極9aを形成してもよい。
【0040】
そして、画素電極9aの上にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように、且つ所定方向にラビング処理を施すこと等により、配向膜16を形成する。
以上のようにして、TFTアレイ基板(電気光学装置用基板)10が製造される。
【0041】
次に、対向基板20の製造方法及びTFTアレイ基板10と対向基板20とから液晶パネルを製造する方法について説明する。
図2に示した対向基板20については、基板本体20Aとしてガラス基板等の光透過性基板を用意し、基板本体20Aの表面上に、遮光膜23及び周辺見切りとしての遮光膜53を形成する。遮光膜23及び周辺見切りとしての遮光膜53は、例えばCr、Ni、Alなどの金属材料をスパッタリングした後、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程を経て形成される。なお、これらの遮光膜23、53は、上記の金属材料の他、カーボンやTiなどをフォトレジストに分散させた樹脂ブラックなどの材料から形成してもよい。
【0042】
その後、基板本体20Aの表面上の全面にスパッタリング法などにより、ITO等の透明導電性薄膜を、約50〜200nmの厚さに堆積することにより、対向電極21を形成する。更に、対向電極21の表面上の全面にポリイミドなどの配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように、且つ所定方向にラビング処理を施すこと等により、配向膜22を形成する。以上のようにして、対向基板20が製造される。
【0043】
そして、上述のように製造されたTFTアレイ基板10と対向基板20とを、配向膜16及び22が互いに対向するようにシール材51により貼り合わせ、真空吸引法などの方法により、両基板間の空間に、例えば複数種類のネマティック液晶を混合してなる液晶を吸引して、所定の厚みを有する液晶層50を形成する。以上により、上記構造の液晶パネルが製造される。
そして、最後に、対向基板20の投射光が入射する側およびTFTアレイ基板10の出射光が出射する側に各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(VerticallyAligned)モード、PDLC(Polymer Dipersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光手段などが所定の方向で配置される。
【0044】
上述したように、本実施形態では、基板10A,206の貼り合わせ及び分離の工程の前に、SIMOX手法を用いて予め半導体基板206の内部にゲート絶縁膜となる埋め込み絶縁層207を形成し、この絶縁層207により互いに絶縁された半導体の積層膜を基板10Aに転写することで、TFT30の能動層となる半導体膜206cとゲート電極となる半導体膜206dとを基板10A上に同時に形成している。このため、ポリシリコンの成膜により別途ゲート電極を形成したり、基板10Aの裏面に回り込んで成膜されたポリシリコンを除去したりする工程を省略でき、製造工程を大幅に簡略化できる。勿論、ポリシリコンの残渣によりゲート電極同士が短絡したりすることがないため、従来よりも信頼性の高いトランジスタを製造することができる。
【0045】
また、本実施形態では、イオン打ち込みにより膜厚の均一なゲート絶縁膜を形成できるため、熱酸化によりゲート絶縁膜を形成する従来の方法に比べて、トランジスタの耐圧を高めることができる。
さらに、本実施形態では、イオン打ち込みにより平坦性の高い埋め込み絶縁層207,208を形成し、これらの絶縁層207,208に挟まれた半導体膜206dをパターニングしてゲート電極3aを形成しているため、膜厚均一性の極めて高いゲート電極3aが得られる。また、半導体膜206dの上に絶縁層208が配置されることで、絶縁層208の上に残存するシリコンをエッチング除去する際に、この絶縁層208がエッチストッパとして機能し半導体膜206dを保護するため、半導体膜206dの膜厚均一性を確実に担保することができる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、図11,図12を参照しながら本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と同様の部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
本実施形態は、上記第1実施形態における電気光学基板の製造方法において、図3(c)のイオン注入工程を省略したものである。すなわち、本実施形態では、図11(a)に示すように、まず、単結晶シリコン基板206の表面に、熱酸化により酸化膜206bを形成し、続いて、図11(b)に示すように、画素スイッチング用TFT30の半導体膜1aに対応する位置(即ち、能動層の形成される位置)に酸素(O−)又は窒素イオン(N−)211を注入する(イオン211の注入位置を207′で示す)。そして、図11(c)に示すように、熱処理により、単結晶シリコン基板206の内部に埋め込み絶縁層207を形成する。
【0048】
次に、図11(d)に示すように、能動層となる半導体膜206cにB(ボロン)等のIII族元素のドーパント213を低濃度で例えば、Bイオンを約20keV〜120keV(好ましくは85keV)の加速度で1×1010/cm2〜9×1012/cm2(好ましくは1×1012/cm2のドーズ量にて)ドープ(チャネルドープ)する。
そして、図12(a)に示すように、遮光膜11a及び第1層間絶縁膜12の形成された基板本体10Aと、チャネルドープを行なった単結晶シリコン基板206とを貼り合わせる。
【0049】
次に、図12(b)に示すように、埋め込み絶縁層207の上に一部単結晶シリコンを残したまま、単結晶シリコン基板206を基板本体10Aから剥離(分離)するための熱処理を行なう。
そして、CMP法等の方法を用いて絶縁層207上のシリコンを薄膜化し、半導体膜206dを得る。この半導体膜206dは最終的にゲート電極3aとなるため、その膜厚は200nm以上500nm(例えば350nm)であることが好ましい。
以後の工程は、図6〜図10に示したものと同様である。なお、本実施形態では、半導体膜206d(即ち、ゲート電極3a)の上に絶縁層208は形成されないが、以後の工程に支障を生じることはない。
【0050】
したがって、本実施形態でも、信頼性の高いトランジスタを製造することができる。また、本実施形態では、エッチストッパとなる絶縁層208を形成せず、CMP法により半導体膜206dを薄膜化及び平坦化しているため、基板面内におけるゲート電極3aの膜厚均一性は上記第1実施形態に方法に比べて若干劣るものの、製造工程を簡略化することができる。
【0051】
[投射型表示装置]
次に、本発明の電子機器の一例として、上述の電気光学装置を備えた投射型表示装置の例について説明する。
図13は、本発明の投射型表示装置の一例を示した概略構成図である。図13において、投射型表示装置1100は、上述した液晶パネル(電気光学装置)を3個用意し、夫々RGB用の液晶装置962R、962Gおよび962Bとして用いた投射型表示装置の光学系の概略構成図を示す。本例の投射型表示装置の光学系には、光源装置(光源)920と、均一照明光学系923が採用されている。そして、投射型表示装置は、この均一照明光学系923から出射される光束Wを赤(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離手段としての色分離光学系924と、各色光束R、G、Bを変調する変調手段としての3つのライトバルブ925R、925G、925Bと、変調された後の色光束を再合成する色合成手段としての色合成プリズム910と、合成された光束を投射面100の表面に拡大投射する投射光学系としての投射レンズユニット906を備えている。また、青色光束Bを対応するライトバルブ925Bに導く導光系927をも備えている。
【0052】
均一照明光学系923は、2つのレンズ板921、922と反射ミラー931を備えており、反射ミラー931を挟んで2つのレンズ板921、922が直交する状態に配置されている。均一照明光学系923の2つのレンズ板921、922は、それぞれマトリクス状に配置された複数の矩形レンズを備えている。光源装置920から出射された光束は、第1のレンズ板921の矩形レンズによって複数の部分光束に分割される。そして、これらの部分光束は、第2のレンズ板922の矩形レンズによって3つのライトバルブ925R、925G、925B付近で重畳される。したがって、均一照明光学系923を用いることにより、光源装置920が出射光束の断面内で不均一な照度分布を有している場合でも、3つのライトバルブ925R、925G、925Bを均一な照明光で照明することが可能となる。
【0053】
各色分離光学系924は、青緑反射ダイクロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、光束Wに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射され、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。赤色光束Rはこのミラー941を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束Rの出射部944から色合成プリズム910の側に出射される。
次に、緑反射ダイクロイックミラー942において、青緑反射ダイクロイックミラー941において反射された青色、緑色光束B、Gのうち、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束Gの出射部945から色合成光学系の側に出射される。緑反射ダイクロイックミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束Bの出射部946から導光系927の側に出射される。本例では、均一照明光学素子の光束Wの出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離がほぼ等しくなるように設定されている。
【0054】
色分離光学系924の赤色、緑色光束R、Gの出射部944、945の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952が配置されている。したがって、各出射部から出射した赤色、緑色光束R、Gは、これらの集光レンズ951、952に入射して平行化される。
このように平行化された赤色、緑色光束R、Gは、ライトバルブ925R、925Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらの液晶装置は、図示しない駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応するライトバルブ925Bに導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。なお、本例のライトバルブ925R、925G、925Bは、それぞれさらに入射側偏光手段960R、960G、960Bと、出射側偏光手段961R、961G、961Bと、これらの間に配置された液晶パネル962R、962G、962Bとからなる液晶ライトバルブである。
【0055】
導光系927は、青色光束Bの出射部946の出射側に配置した集光レンズ954と、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの反射ミラーの間に配置した中間レンズ973と、ライトバルブ925Bの手前側に配置した集光レンズ953とから構成されている。集光レンズ946から出射された青色光束Bは、導光系927を介して液晶装置962Bに導かれて変調される。各色光束の光路長、すなわち、光束Wの出射部から各液晶装置962R、962G、962Bまでの距離は青色光束Bが最も長くなり、したがって、青色光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導光系927を介在させることにより、光量損失を抑制することができる。
各ライトバルブ925R、925G、925Bを通って変調された各色光束R、G、Bは、色合成プリズム910に入射され、ここで合成される。そして、この色合成プリズム910によって合成された光が投射レンズユニット906を介して所定の位置にある投射面100の表面に拡大投射されるようになっている。
【0056】
このような投射型表示装置は、ライトバルブとして本発明の実施形態の液晶パネル(電気光学装置)962R、962G、962Bを備えているため、信頼性の高い投射型表示装置を実現できる。
【0057】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上記実施形態では、画素部のTFT30を製造する方法について説明したが、周辺駆動回路部を構成するトランジスタの製造方法に上記方法を適用することも可能である。この場合、各トランジスタの要求性能の違いに応じて、能動層となる半導体膜1aの膜厚を変えることが好ましい。具体的には、周辺駆動回路部を構成するトランジスタでは、能動層厚を100nm以上300nm以下とすることが好ましい。能動層厚を100nm以上とすることで、十分な耐電圧性能が得られる。一方、能動層厚が300nmよりも厚いと、能動層の電気抵抗が小さくなりすぎてしまい、トランジスタの電気特性が低下する虞がある。なお、画素部と周辺駆動回路部とで能動層厚を変える場合には、半導体基板206におけるそれぞれのトランジスタの形成領域に、異なる深さでイオン211を打ち込めばよい。この際、イオン212もそれに応じて異なる深さに打ち込むようにする。
【0058】
また、上記第1実施形態では、図5(c)において、絶縁層208の上に残存するシリコンをエッチングにより除去したが、CMP法等の機械的な方法を用いて除去することも勿論可能である。
また、上記実施形態では、チャネルドープを基板貼り合わせ工程の前に行なったが、この工程は基板貼り合わせ工程の後でもよい。同様に、ゲート電極となる半導体膜へのイオンドープを貼り合わせ工程の後に行なっているが、これを基板貼り合わせ工程の前に行なうことも可能である。
また、基板10Aは必ずしも絶縁材料である必要はなく、半導体や導電材料からなる基板を用いてもよい。
さらに、上記実施形態では、電気光学装置の例として透過型液晶装置を説明したが、これ以外にも、反射型の液晶装置やエレクトロルミネッセンス表示装置等、種々の装置に対して本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気光学装置の一例である液晶パネルの全体構成を説明するための平面図であり、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素とともに対向基板の側から見た状態を示した平面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】図1のB−B’断面図である。
【図4】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図5】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図6】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図7】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図8】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図9】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図10】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図12】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図13】本発明の投射型表示装置の一例を示した概略構成図である。
【図14】従来方法により製造したトランジスタの要部を示す図である。
【符号の説明】
1a…半導体膜、1a′…チャネル領域、2…ゲート絶縁膜、3a…ゲート電極、10A…石英基板(第2の基板)、30…薄膜トランジスタ、101,103,104…周辺駆動回路、206…単結晶シリコン基板(第1の基板)、207,208…埋め込み絶縁層、962R,962G,962B…液晶パネル(電気光学装置)
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランジスタの製造方法、トランジスタ、電気光学基板、電気光学装置、電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶装置等の表示装置の分野では、各画素に薄膜トランジスタを設けたアクティブマトリクス型のものが多用されている。中でも、単結晶シリコンにより能動層を形成したトランジスタは、高集積化が可能なことから、プロジェクタのライトバルブ等に適用されている。
このような薄膜トランジスタを形成する方法として、従来、特許文献1のような方法が知られている。この方法では、まず、SOI技術を用いて絶縁基板上に単結晶シリコン膜を形成し、これをパターニングして能動層となる半導体膜を形成する。次に、この半導体膜を熱酸化してゲート絶縁膜を形成し、この上にドープトポリシリコンを成膜する。そして、このポリシリコン膜をパターニングしてゲート電極を形成する。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−61276号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のようにポリシリコンを成膜/パターニングしてゲート電極を形成する場合、基板の裏面にもポリシリコンが成膜されてしまい、光透過率の低下要因となる。このため、基板裏面のポリシリコンを除去するためのフォトプロセスが必要となり、製造工程が煩雑となる。
また、ポリシリコンをパターニングする際に、図14に示すように、半導体膜F1の側部にドープトポリシリコンKが一部残渣として堆積し、高電位線と低電位線のゲート電極F3同士が短絡して周辺駆動回路の正常動作を阻害する虞がある。
さらに、熱酸化によりゲート絶縁膜F2を形成する場合、図14に示すように、半導体膜F1の端面上部Eが熱酸化処理時の応力集中等により鋭角形状をなし、この鋭角となった部分のゲート絶縁膜F2の膜厚が薄くなる結果、トランジスタの耐圧が低下するという課題もあった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み創案されたもので、耐圧が高く、ゲート電極同士の短絡が確実に防止されたトランジスタを簡素なプロセスで製造できるようにしたトランジスタの製造方法及びこの製造方法により製造されたトランジスタ並びにこのトランジスタを備えた電気光学装置、投射型表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のトランジスタの製造方法は、半導体基板からなる第1の基板の内部に絶縁層を形成する工程と、上記第1の基板を第2の基板に貼り合わせる工程と、上記第2の基板に貼り合わされた上記第1の基板のうち、上記第2の基板と反対側の表層部を分離することにより、上記第2の基板上に上記絶縁層により互いに絶縁された半導体の積層膜を形成する工程と、上記半導体の積層膜における最上層の半導体膜をパターニングしてゲート電極を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
【0007】
上述したように、従来の製造方法では、第1の基板と第2の基板との貼り合わせ及び分離の工程により第2の基板上に第1の基板の表層部の半導体を転写し、その後、この半導体膜を熱酸化してゲート絶縁膜を形成し、更に、このゲート絶縁膜の上にゲート電極となる半導体膜を成膜していた。これに対して、本製造方法では、上記貼り合わせ及び分離の工程の前に、予め第1の基板の内部にSIMOX(Separation by Implantation of OXygen)等の手法を用いて(即ち、イオン打ち込みにより)絶縁層を形成し、その後、貼り合わせ及び分離の工程により、この絶縁層を含む第1の基板の表層部(即ち、上記絶縁層と、上記絶縁層に対して貼り合わせ面側の第1の半導体膜と、上記絶縁層に対して貼り合わせ面と反対側の第2の半導体膜)を第2の基板に転写している。これにより、第2の基板の上には、上記絶縁層により互いに絶縁された第1の半導体膜と第2の半導体膜との積層膜が形成され、この積層膜の内、最上層の半導体膜(第2の半導体膜)がパターニングされてゲート電極となる。
【0008】
すなわち、本製造方法では、イオン打ち込みにより第1の基板の内部にゲート絶縁膜となる絶縁層を形成し、この絶縁層により上下の層に絶縁分離された半導体の積層膜を第2の基板に転写することで、トランジスタの能動層となる半導体膜とゲート電極とを同時に形成している。このように本製造方法では、成膜によらずにゲート電極を形成できるため、基板裏面にポリシリコンが成膜されたり、ポリシリコンの残渣によりゲート電極同士が短絡したりする等の問題は生じない。また、本製造方法では、イオン打ち込み等により均一な膜厚のゲート絶縁膜を形成できるため、熱酸化によりゲート絶縁膜を形成する従来の方法に比べて、トランジスタの耐圧を高めることができる。
【0009】
なお、一般にSIMOX手法とは、シリコン基板の内部に酸素イオンを注入し熱処理することで基板内部に埋め込みシリコン酸化膜を形成する手法をいうが、本明細書では、酸素イオンの他に窒素イオン等、シリコンと結合して絶縁層を形成するイオンを注入し熱処理することで基板内部に絶縁層を形成する手法としてSIMOX手法を定義する。
【0010】
ところで、上述の方法では、所望の膜厚のゲート電極を得るために、第2の半導体膜をCMP(化学的機械研磨)法により薄膜化することができるが、基板面内におけるゲート電極の膜厚均一性を高めるために、第1の基板においてゲート絶縁膜となる上記絶縁層よりも下層側の位置に、イオン打ち込み等により、もう一層絶縁層を形成してもよい。すなわち、本製造方法は、例えば半導体基板からなる第1の基板に異なる深さで2回のイオン打ち込みを行なう等して、上記第1の基板の内部に複数の絶縁層を形成する工程と、上記第1の基板を第2の基板に貼り合わせる工程と、上記第2の基板に貼り合わされた上記第1の基板のうち、上記第2の基板と反対側の表層部を分離することにより、上記第2の基板上に上記各絶縁層により互いに絶縁された半導体の積層膜を形成する工程と、上記半導体の積層膜における最上層の半導体膜をパターニングしてゲート電極を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本製造方法では、第1の基板の内部に2層の絶縁膜(以下、これらを区別するために、貼り合わせ面に近い位置から順に、第1の絶縁層、第2の絶縁層という)が形成され、その後、貼り合わせ及び分離の工程により、これらの絶縁層を含む第1の基板の表層部(即ち、第1の絶縁層に対して貼り合わせ面側の第1の半導体膜と、第1の絶縁層と、2層の絶縁層に挟まれた第2の半導体膜と、第2の絶縁層と、第2の絶縁層に対して貼り合わせ面と反対側の第3の半導体膜)を第2の基板に転写している。これにより、第2の基板の上には、上記2層の絶縁層により互いに絶縁された第1〜第3の半導体の積層膜が形成され、この積層膜の内、第2の半導体膜がパターニングされてゲート電極となる。
【0012】
このように本製造方法では、イオン打ち込みにより平坦性の高い2層の絶縁層を形成し、これらの絶縁層に挟まれた第2の半導体膜をパターニングしてゲート電極を形成しているため、CMP法等の機械的方法を用いて平坦化する場合に比べて、基板面内における膜厚均一性を格段に高めることができる。なお、第3の半導体膜はエッチングにより除去されるが、この際、選択比の高いエッチング液を用いることで、第2の絶縁層がエッチストッパとして機能し、第2の半導体膜の膜厚均一性を確実に担保することができる。
【0013】
なお、上述の各方法では、上記第1の基板を上記第2の基板に貼り合わせる工程の前に、上記半導体の積層膜のうちチャネルが形成される層にイオンを注入する工程を設けてもよい。
また、上記第1の基板を上記第2の基板に貼り合わせる工程の前に、上記半導体の積層膜のうち上記ゲート電極が形成される層にイオンを注入する工程を設けてもよい。なお、このゲート電極へのドープは上記貼り合わせ工程の後でもよい。
【0014】
本発明のトランジスタは、上述の方法により製造されたことを特徴とする。また、本発明の電気光学基板は、このトランジスタを備えたことを特徴とする。また、本発明の電気光学装置は、上述の電気光学基板を備えたことを特徴とする。さらに、本発明の電子機器は、上述の電気光学装置を備えたことを特徴とする。これにより、これらのデバイスの信頼性を高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
[電気光学装置用基板および電気光学装置]
図1は、本発明の電気光学装置の一例である液晶パネルの全体構成を説明するための平面図であり、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素とともに対向基板の側から見た状態を示した平面図である。また、図2は、図1のA−A’断面図である。
【0016】
図1,図2に示す液晶パネルは、一対の基板間に液晶が封入されたものであり、一方の基板をなす薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTと略記する)アレイ基板10と、これに対向配置された他方の基板をなす対向基板20とを備えている。
図1は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素とともに対向基板20の側から見た状態を示している。図1に示すように、TFTアレイ基板10の上には、シール材51がその縁に沿って設けられており、その内側には、シール材51に並行して額縁としての遮光膜53が設けられている。また、図1において、符号52は、表示領域を示している。表示領域52は、額縁としての遮光膜53の内側の領域であり、液晶パネルの表示に使用する領域である。また、符号54は、表示領域の外側の領域である非表示領域を示している。
【0017】
非表示領域54には、データ線駆動回路101および外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられ、走査線駆動回路104がこの一辺に隣接する2辺に沿って設けられ、プリチャージ回路103が残る一辺に沿って設けられている。さらに、データ線駆動回路101、プリチャージ回路103、走査線駆動回路104と外部回路接続端子102との間をつなぐための複数の配線105が設けられている。
また、対向基板20のコーナー部に対応する位置には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための導通材106が設けられている。そして、シール材51とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材51によりTFTアレイ基板10に固着されている。
【0018】
また、図2に示すように、TFTアレイ基板10は、石英などの光透過性の絶縁基板からなる基板本体10Aと、その液晶層50側表面上に形成され、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電性膜からなる画素電極9aと、表示領域に設けられた画素スイッチング用TFT(スイッチング素子)30と、ポリイミド膜等の有機膜から形成され、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16とを主体として構成されている。
【0019】
他方、対向基板20は、石英からなる基板本体20Aと、その液晶層50側表面上に形成された対向電極21と、配向膜22と、金属などからなり、各画素部の開口領域以外の領域に設けられた遮光膜23、および、遮光膜23と同じかあるいは異なる材料からなる額縁としての遮光膜53とを主体として構成されている。
このように構成され、画素電極9aと対向電極21とが対向するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が形成されている。
【0020】
また、図2に示すように、TFTアレイ基板10の基板本体10Aの液晶層50側表面上において、各画素スイッチング用TFT30に対応する位置には、第1遮光膜11aが設けられている。また、第1遮光膜11aと複数の画素スイッチング用TFT30との間には、第1層間絶縁膜12が設けられている。第1層間絶縁膜12は、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的に絶縁するために設けられるものである。
【0021】
図2に示すように、画素スイッチング用TFT30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体膜1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体膜1aとを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6a、半導体膜1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体膜1aの高濃度ソース領域(ソース領域)1d並びに高濃度ドレイン領域1e(ドレイン領域)を備えている。
また、この液晶パネルにおいては、半導体膜1aは単結晶シリコンからなり、SOI(Silicon On Insulator)技術により絶縁基板10A上に形成されている。このように、トランジスタの能動層となる半導体膜1aに単結晶シリコンを用いることで、トランジスタの高性能化及び高集積化を図ることができる。
【0022】
また、図2に示すように、走査線3a、ゲート絶縁膜2及び第1層間絶縁膜12の上には、画素スイッチング用TFT30の高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5及び画素スイッチング用TFT30の高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が各々形成された第2層間絶縁膜4が形成されている。さらに、データ線6a及び第2層間絶縁膜4の上には、画素スイッチング用TFT30の高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8が形成された第3層間絶縁膜7が形成されている。また、画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁膜7の上面に設けられている。
【0023】
[電気光学装置の製造方法]
次に、本発明の電気光学装置の製造方法の一例として、図1,図2に示した液晶パネルを製造する方法を、図3〜図10を参照して説明する。
まず、図3(a)に示すように、単結晶シリコン基板206の表面に、熱酸化により酸化膜206bを形成する。なお、単結晶シリコン基板206には、予め水素イオン(H+)が打ち込まれており、水素イオンが注入された部分(図3(a)の点線で示す位置)において表層部の半導体が基板から剥離し易くなっている。水素イオンは例えば加速電圧100keV、ドーズ量10×1016/cm2にて注入されている。
【0024】
次に、図3(b),図3(c)に示すように、画素スイッチング用TFT30の半導体膜1aに対応する位置(即ち、能動層の形成される位置)に酸素(O−)又は窒素イオン(N−)211,212を注入し(各イオン211,212の注入位置をそれぞれ207′,208′で示す)、熱処理により単結晶シリコン基板206の内部に埋め込み絶縁層(第1の絶縁層)207,絶縁層(第2の絶縁層)208を形成する(図3(d)参照)。
【0025】
絶縁層207と酸化膜206bとに挟まれた領域の半導体膜(第1の半導体膜)206cは最終的にTFT30の能動層を構成する半導体膜1aとなるため、トランジスタの光リーク耐性を高めるために、基板206における絶縁層207の形成位置(即ち、イオン211の打ち込みの深さ)は30nm以上100nm以下(例えば55nm)であることが好ましい。また、絶縁層207,208に挟まれた領域の半導体膜(第2の半導体膜)206dは最終的にゲート電極3aとなるため、絶縁層208の形成位置(即ち、イオン212の打ち込みの深さ)は絶縁層207の形成位置よりも350nm程度深い位置とすることが好ましい。さらに、絶縁層207は最終的にゲート絶縁膜2となるため、絶縁層207の膜厚は30nm以上80nm以下(例えば60nm)であることが好ましい。
【0026】
このような層構造を実現するためのイオン打ち込み条件としては、例えばイオン211の加速度を10keV以上50keV以下(例えば25keV)とし、注入量を1×1017keV〜9×1018keV(好ましくは1.8×1018keV)とすることが好ましい。また、イオン212の加速度を150keV以上250keV以下(例えば220keV)とし、注入量を1×1017keV〜9×1018keV(好ましくは1.8×1018keV)とすることが好ましい。なお、打ち込むイオン211,212は、酸素イオンや窒素イオンに限らず、シリコンと結合して絶縁層を形成するものであればよい。
次に、図3(e)に示すように、能動層となる半導体膜206cにB(ボロン)等のIII族元素のドーパント213を低濃度で例えば、Bイオンを約20keV〜120keV(好ましくは85keV)の加速度で1×1010/cm2〜9×1012/cm2(好ましくは1×1012/cm2のドーズ量にて)ドープ(チャネルドープ)する。
【0027】
一方、図4(a)に示すように、TFTアレイ基板10の基板本体となる石英基板10Aを用意し、この基板10Aの表面に、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPbのうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド等を、スパッタリング法、CVD法、電子ビーム加熱蒸着法などにより、例えば150〜200nmの膜厚に堆積することにより、遮光層11を形成する。
次に、基板本体10Aの表面上の全面にフォトレジストを形成し、最終的に形成する第1遮光膜11aのパターンを有するフォトマスクを用いてフォトレジストを露光する。その後、フォトレジストを現像することにより、図4(b)に示すように、最終的に形成する第1遮光膜11aのパターンを有するフォトレジスト301を形成する。
【0028】
次に、フォトレジスト301をマスクとして遮光層11のエッチングを行い、その後、フォトレジスト301を剥離することにより、基板本体10Aの表面上において、画素スイッチング用TFT30の形成領域に、図2に示すような所定のパターンの第1遮光膜11aを形成する(図4(c)参照)。なお、第1遮光膜11aの膜厚は、例えば150〜200nmとする。
【0029】
次に、図4(d)に示すように、遮光膜11aを形成した基板本体10Aの表面に、スパッタリング法、CVD法などにより、第1層間絶縁膜12を形成する。第1層間絶縁膜12の材料としては、酸化シリコンや、NSG(ノンドープトシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)などの高絶縁性ガラス等を例示することができる。このとき、遮光膜11aの形成された領域には、第1層間絶縁膜12の表面に凸部12aが形成されるため、図4(e)に示すように、第1層間絶縁膜12の表面をCMP(化学的機械研磨)法等の方法を用いて研磨し平坦化する。第1層間絶縁膜12の膜厚は例えば400nm〜1000nm、より好ましくは800nm程度とする。
【0030】
次に、図5(a)に示すように、単結晶シリコン基板206の酸化膜206bを介して、基板本体10Aと単結晶シリコン基板206とを貼り合わせる。この貼り合わせ工程は、例えば300℃で2時間熱処理することにより2枚の基板10A,206を直接貼り合わせる方法を採用することができる。なお、図5(a)では、図4(e)の基板本体10Aの一部を取り出して異なる尺度で示している。
【0031】
なお、貼り合わせ強度をさらに高めるためには、熱処理温度を上げて450℃程度にする必要があるが、石英などからなる基板本体10Aの熱膨張係数と単結晶シリコン基板206の熱膨張係数とには大きな差があるため、このまま加熱すると単結晶シリコン層にクラックなどの欠陥が発生し、製造されるTFTアレイ基板10の品質が劣化する恐れがある。クラックなどの欠陥の発生を抑制するためには、一度300℃にて貼り合わせのための熱処理を行った単結晶シリコン基板206を、ウエットエッチングまたはCMPによって100〜150μm程度まで薄くし、その後、さらに高温の熱処理を行うことが望ましい。例えば、80℃のKOH水溶液を用いて単結晶シリコン基板206の厚さが150μmとなるようにエッチングし、その後、基板本体10Aとの貼り合わせを行い、さらに450℃にて再び熱処理することにより貼り合わせ強度を高めることが望ましい。
【0032】
次に、図5(b)に示すように、貼り合わせた単結晶シリコン基板206の貼り合わせ面側の酸化膜206bと、埋め込み絶縁層207,208及びこれらの絶縁層を介して積層された半導体膜206c、206dとを残したまま、単結晶シリコン基板206を基板本体10Aから剥離(分離)するための熱処理を行なう。
この基板の剥離現象は、単結晶シリコン基板206中に導入された水素イオンによって、単結晶シリコン基板206の表面近傍のある層でシリコンの結合が分断されるために生じるものである。ここでの熱処理は、例えば、貼り合わせた2枚の基板を毎分20℃の昇温速度にて600℃まで加熱することにより行なうことができる。この熱処理によって、貼り合わせた単結晶シリコン基板206が基板本体10Aと分離し、基板本体10Aの表面上には埋め込み絶縁層206cにより絶縁された単結晶シリコンからなる半導体膜206c、206dの積層膜が形成される。
【0033】
次に、図5(c)に示すように、絶縁層208の上に残存するシリコンを選択比の高いエッチング液を用いて除去する。この際、絶縁層208がエッチストッパとして機能し、選択比によって絶縁層208が露出した時点でエッチングが止まる。
次に、図6(a)に示すように、ゲート電極3aとなる半導体膜206dにリン(P)を熱拡散し、半導体膜206dを導電化する。
次に、図6(b)に示すように、レジストマスクを用いたフォトリソグラフィ工程、エッチング工程により、図2に示すような形状の走査線3a(ゲート電極)を形成する。そして、更に、図6(c)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程により、半導体膜206c,絶縁層207をパターニングし、図2に示すような形状の半導体膜1a,ゲート絶縁膜2を形成する。
【0034】
次に、図7(a)に示すように、半導体膜1aに画素スイッチング用TFT30にLDD領域を形成するために、走査線3a(ゲート電極)を拡散マスクとして、PなどのV族元素のドーパント60を低濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、6×1012/cm2のドーズ量にて)ドープし、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを形成する。
【0035】
続いて、図7(b)に示すように、半導体膜1aに画素スイッチング用TFT30に高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成するために、走査線3aよりも幅の広いレジスト304を走査線3a上に形成した後、同じくPなどのV族元素のドーパント305を高濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、4×1015/cm2のドーズ量にて)ドープする。以上により、LDD構造の薄膜トランジスタ(半導体装置)30が製造される。
【0036】
次に、図7(c)に示すように、走査線3aを覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第2層間絶縁膜4を形成する。第2層間絶縁膜4の膜厚は、約500〜1500nmが好ましく、更に800nmがより好ましい。
この後、チャネル領域1a′,高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを活性化するために約850℃のアニール処理を20分程度行う。
【0037】
次に、図8(a)に示すように、データ線に対するコンタクトホール5を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより或いはウエットエッチングにより形成する。
次に、図8(b)に示すように、第2層間絶縁膜4の上に、スパッタ処理等により、遮光性のAl等の低抵抗金属や金属シリサイド等を、金属膜6として、約100〜700nmの厚さ、好ましくは約350nmに堆積する。
さらに、図8(c)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、データ線6aを形成する。
【0038】
次に、図9(a)に示すように、データ線6a上を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第3層間絶縁膜7を形成する。第3層間絶縁膜7の膜厚は、約500〜1500nmが好ましく、更に800nmがより好ましい。
【0039】
次に、図9(b)に示すように、画素スイッチング用TFT30において、画素電極9aと高濃度ドレイン領域1eとを電気的に接続するためのコンタクトホール8を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチング或いはウエットエッチングにより形成する。
次に、図10(a)に示すように、第3層間絶縁膜7の上に、スパッタ処理等により、ITO等の透明導電性薄膜9を、約50〜200nmの厚さに堆積し、続いて、図10(b)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、画素電極9aを形成する。なお、本実施形態の液晶装置が反射型液晶装置である場合には、Al等の反射率の高い不透明な材料から画素電極9aを形成してもよい。
【0040】
そして、画素電極9aの上にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように、且つ所定方向にラビング処理を施すこと等により、配向膜16を形成する。
以上のようにして、TFTアレイ基板(電気光学装置用基板)10が製造される。
【0041】
次に、対向基板20の製造方法及びTFTアレイ基板10と対向基板20とから液晶パネルを製造する方法について説明する。
図2に示した対向基板20については、基板本体20Aとしてガラス基板等の光透過性基板を用意し、基板本体20Aの表面上に、遮光膜23及び周辺見切りとしての遮光膜53を形成する。遮光膜23及び周辺見切りとしての遮光膜53は、例えばCr、Ni、Alなどの金属材料をスパッタリングした後、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程を経て形成される。なお、これらの遮光膜23、53は、上記の金属材料の他、カーボンやTiなどをフォトレジストに分散させた樹脂ブラックなどの材料から形成してもよい。
【0042】
その後、基板本体20Aの表面上の全面にスパッタリング法などにより、ITO等の透明導電性薄膜を、約50〜200nmの厚さに堆積することにより、対向電極21を形成する。更に、対向電極21の表面上の全面にポリイミドなどの配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように、且つ所定方向にラビング処理を施すこと等により、配向膜22を形成する。以上のようにして、対向基板20が製造される。
【0043】
そして、上述のように製造されたTFTアレイ基板10と対向基板20とを、配向膜16及び22が互いに対向するようにシール材51により貼り合わせ、真空吸引法などの方法により、両基板間の空間に、例えば複数種類のネマティック液晶を混合してなる液晶を吸引して、所定の厚みを有する液晶層50を形成する。以上により、上記構造の液晶パネルが製造される。
そして、最後に、対向基板20の投射光が入射する側およびTFTアレイ基板10の出射光が出射する側に各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(VerticallyAligned)モード、PDLC(Polymer Dipersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光手段などが所定の方向で配置される。
【0044】
上述したように、本実施形態では、基板10A,206の貼り合わせ及び分離の工程の前に、SIMOX手法を用いて予め半導体基板206の内部にゲート絶縁膜となる埋め込み絶縁層207を形成し、この絶縁層207により互いに絶縁された半導体の積層膜を基板10Aに転写することで、TFT30の能動層となる半導体膜206cとゲート電極となる半導体膜206dとを基板10A上に同時に形成している。このため、ポリシリコンの成膜により別途ゲート電極を形成したり、基板10Aの裏面に回り込んで成膜されたポリシリコンを除去したりする工程を省略でき、製造工程を大幅に簡略化できる。勿論、ポリシリコンの残渣によりゲート電極同士が短絡したりすることがないため、従来よりも信頼性の高いトランジスタを製造することができる。
【0045】
また、本実施形態では、イオン打ち込みにより膜厚の均一なゲート絶縁膜を形成できるため、熱酸化によりゲート絶縁膜を形成する従来の方法に比べて、トランジスタの耐圧を高めることができる。
さらに、本実施形態では、イオン打ち込みにより平坦性の高い埋め込み絶縁層207,208を形成し、これらの絶縁層207,208に挟まれた半導体膜206dをパターニングしてゲート電極3aを形成しているため、膜厚均一性の極めて高いゲート電極3aが得られる。また、半導体膜206dの上に絶縁層208が配置されることで、絶縁層208の上に残存するシリコンをエッチング除去する際に、この絶縁層208がエッチストッパとして機能し半導体膜206dを保護するため、半導体膜206dの膜厚均一性を確実に担保することができる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、図11,図12を参照しながら本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と同様の部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
本実施形態は、上記第1実施形態における電気光学基板の製造方法において、図3(c)のイオン注入工程を省略したものである。すなわち、本実施形態では、図11(a)に示すように、まず、単結晶シリコン基板206の表面に、熱酸化により酸化膜206bを形成し、続いて、図11(b)に示すように、画素スイッチング用TFT30の半導体膜1aに対応する位置(即ち、能動層の形成される位置)に酸素(O−)又は窒素イオン(N−)211を注入する(イオン211の注入位置を207′で示す)。そして、図11(c)に示すように、熱処理により、単結晶シリコン基板206の内部に埋め込み絶縁層207を形成する。
【0048】
次に、図11(d)に示すように、能動層となる半導体膜206cにB(ボロン)等のIII族元素のドーパント213を低濃度で例えば、Bイオンを約20keV〜120keV(好ましくは85keV)の加速度で1×1010/cm2〜9×1012/cm2(好ましくは1×1012/cm2のドーズ量にて)ドープ(チャネルドープ)する。
そして、図12(a)に示すように、遮光膜11a及び第1層間絶縁膜12の形成された基板本体10Aと、チャネルドープを行なった単結晶シリコン基板206とを貼り合わせる。
【0049】
次に、図12(b)に示すように、埋め込み絶縁層207の上に一部単結晶シリコンを残したまま、単結晶シリコン基板206を基板本体10Aから剥離(分離)するための熱処理を行なう。
そして、CMP法等の方法を用いて絶縁層207上のシリコンを薄膜化し、半導体膜206dを得る。この半導体膜206dは最終的にゲート電極3aとなるため、その膜厚は200nm以上500nm(例えば350nm)であることが好ましい。
以後の工程は、図6〜図10に示したものと同様である。なお、本実施形態では、半導体膜206d(即ち、ゲート電極3a)の上に絶縁層208は形成されないが、以後の工程に支障を生じることはない。
【0050】
したがって、本実施形態でも、信頼性の高いトランジスタを製造することができる。また、本実施形態では、エッチストッパとなる絶縁層208を形成せず、CMP法により半導体膜206dを薄膜化及び平坦化しているため、基板面内におけるゲート電極3aの膜厚均一性は上記第1実施形態に方法に比べて若干劣るものの、製造工程を簡略化することができる。
【0051】
[投射型表示装置]
次に、本発明の電子機器の一例として、上述の電気光学装置を備えた投射型表示装置の例について説明する。
図13は、本発明の投射型表示装置の一例を示した概略構成図である。図13において、投射型表示装置1100は、上述した液晶パネル(電気光学装置)を3個用意し、夫々RGB用の液晶装置962R、962Gおよび962Bとして用いた投射型表示装置の光学系の概略構成図を示す。本例の投射型表示装置の光学系には、光源装置(光源)920と、均一照明光学系923が採用されている。そして、投射型表示装置は、この均一照明光学系923から出射される光束Wを赤(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離手段としての色分離光学系924と、各色光束R、G、Bを変調する変調手段としての3つのライトバルブ925R、925G、925Bと、変調された後の色光束を再合成する色合成手段としての色合成プリズム910と、合成された光束を投射面100の表面に拡大投射する投射光学系としての投射レンズユニット906を備えている。また、青色光束Bを対応するライトバルブ925Bに導く導光系927をも備えている。
【0052】
均一照明光学系923は、2つのレンズ板921、922と反射ミラー931を備えており、反射ミラー931を挟んで2つのレンズ板921、922が直交する状態に配置されている。均一照明光学系923の2つのレンズ板921、922は、それぞれマトリクス状に配置された複数の矩形レンズを備えている。光源装置920から出射された光束は、第1のレンズ板921の矩形レンズによって複数の部分光束に分割される。そして、これらの部分光束は、第2のレンズ板922の矩形レンズによって3つのライトバルブ925R、925G、925B付近で重畳される。したがって、均一照明光学系923を用いることにより、光源装置920が出射光束の断面内で不均一な照度分布を有している場合でも、3つのライトバルブ925R、925G、925Bを均一な照明光で照明することが可能となる。
【0053】
各色分離光学系924は、青緑反射ダイクロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、光束Wに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射され、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。赤色光束Rはこのミラー941を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束Rの出射部944から色合成プリズム910の側に出射される。
次に、緑反射ダイクロイックミラー942において、青緑反射ダイクロイックミラー941において反射された青色、緑色光束B、Gのうち、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束Gの出射部945から色合成光学系の側に出射される。緑反射ダイクロイックミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束Bの出射部946から導光系927の側に出射される。本例では、均一照明光学素子の光束Wの出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離がほぼ等しくなるように設定されている。
【0054】
色分離光学系924の赤色、緑色光束R、Gの出射部944、945の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952が配置されている。したがって、各出射部から出射した赤色、緑色光束R、Gは、これらの集光レンズ951、952に入射して平行化される。
このように平行化された赤色、緑色光束R、Gは、ライトバルブ925R、925Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらの液晶装置は、図示しない駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応するライトバルブ925Bに導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。なお、本例のライトバルブ925R、925G、925Bは、それぞれさらに入射側偏光手段960R、960G、960Bと、出射側偏光手段961R、961G、961Bと、これらの間に配置された液晶パネル962R、962G、962Bとからなる液晶ライトバルブである。
【0055】
導光系927は、青色光束Bの出射部946の出射側に配置した集光レンズ954と、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの反射ミラーの間に配置した中間レンズ973と、ライトバルブ925Bの手前側に配置した集光レンズ953とから構成されている。集光レンズ946から出射された青色光束Bは、導光系927を介して液晶装置962Bに導かれて変調される。各色光束の光路長、すなわち、光束Wの出射部から各液晶装置962R、962G、962Bまでの距離は青色光束Bが最も長くなり、したがって、青色光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導光系927を介在させることにより、光量損失を抑制することができる。
各ライトバルブ925R、925G、925Bを通って変調された各色光束R、G、Bは、色合成プリズム910に入射され、ここで合成される。そして、この色合成プリズム910によって合成された光が投射レンズユニット906を介して所定の位置にある投射面100の表面に拡大投射されるようになっている。
【0056】
このような投射型表示装置は、ライトバルブとして本発明の実施形態の液晶パネル(電気光学装置)962R、962G、962Bを備えているため、信頼性の高い投射型表示装置を実現できる。
【0057】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上記実施形態では、画素部のTFT30を製造する方法について説明したが、周辺駆動回路部を構成するトランジスタの製造方法に上記方法を適用することも可能である。この場合、各トランジスタの要求性能の違いに応じて、能動層となる半導体膜1aの膜厚を変えることが好ましい。具体的には、周辺駆動回路部を構成するトランジスタでは、能動層厚を100nm以上300nm以下とすることが好ましい。能動層厚を100nm以上とすることで、十分な耐電圧性能が得られる。一方、能動層厚が300nmよりも厚いと、能動層の電気抵抗が小さくなりすぎてしまい、トランジスタの電気特性が低下する虞がある。なお、画素部と周辺駆動回路部とで能動層厚を変える場合には、半導体基板206におけるそれぞれのトランジスタの形成領域に、異なる深さでイオン211を打ち込めばよい。この際、イオン212もそれに応じて異なる深さに打ち込むようにする。
【0058】
また、上記第1実施形態では、図5(c)において、絶縁層208の上に残存するシリコンをエッチングにより除去したが、CMP法等の機械的な方法を用いて除去することも勿論可能である。
また、上記実施形態では、チャネルドープを基板貼り合わせ工程の前に行なったが、この工程は基板貼り合わせ工程の後でもよい。同様に、ゲート電極となる半導体膜へのイオンドープを貼り合わせ工程の後に行なっているが、これを基板貼り合わせ工程の前に行なうことも可能である。
また、基板10Aは必ずしも絶縁材料である必要はなく、半導体や導電材料からなる基板を用いてもよい。
さらに、上記実施形態では、電気光学装置の例として透過型液晶装置を説明したが、これ以外にも、反射型の液晶装置やエレクトロルミネッセンス表示装置等、種々の装置に対して本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気光学装置の一例である液晶パネルの全体構成を説明するための平面図であり、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素とともに対向基板の側から見た状態を示した平面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】図1のB−B’断面図である。
【図4】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図5】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図6】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図7】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図8】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図9】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図10】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図12】同、電気光学装置の製造方法を示す工程図である。
【図13】本発明の投射型表示装置の一例を示した概略構成図である。
【図14】従来方法により製造したトランジスタの要部を示す図である。
【符号の説明】
1a…半導体膜、1a′…チャネル領域、2…ゲート絶縁膜、3a…ゲート電極、10A…石英基板(第2の基板)、30…薄膜トランジスタ、101,103,104…周辺駆動回路、206…単結晶シリコン基板(第1の基板)、207,208…埋め込み絶縁層、962R,962G,962B…液晶パネル(電気光学装置)
Claims (9)
- 半導体基板からなる第1の基板の内部に絶縁層を形成する工程と、
上記第1の基板を第2の基板に貼り合わせる工程と、
上記第2の基板に貼り合わされた上記第1の基板のうち、上記第2の基板と反対側の表層部を分離することにより、上記第2の基板上に上記絶縁層により互いに絶縁された半導体の積層膜を形成する工程と、
上記半導体の積層膜における最上層の半導体膜をパターニングしてゲート電極を形成する工程とを備えたことを特徴とする、トランジスタの製造方法。 - 半導体基板からなる第1の基板の内部に複数の絶縁層を形成する工程と、
上記第1の基板を第2の基板に貼り合わせる工程と、
上記第2の基板に貼り合わされた上記第1の基板のうち、上記第2の基板と反対側の表層部を分離することにより、上記第2の基板上に上記各絶縁層により互いに絶縁された半導体の積層膜を形成する工程と、
上記半導体の積層膜における最上層の半導体膜をパターニングしてゲート電極を形成する工程とを備えたことを特徴とする、トランジスタの製造方法。 - 上記第1の基板を上記第2の基板に貼り合わせる工程の前に、上記半導体の積層膜のうちチャネルが形成される層にイオンを注入する工程を有することを特徴とする、請求項1又は2記載のトランジスタの製造方法。
- 上記第1の基板を上記第2の基板に貼り合わせる工程の前に、上記半導体の積層膜のうち上記ゲート電極が形成される層にイオンを注入する工程を有することを特徴とする、請求項1乃至3記載のトランジスタの製造方法。
- 上記第1の基板を上記第2の基板に貼り合わせる工程の後に、上記半導体の積層膜のうち上記ゲート電極が形成される層にイオンを注入する工程を有することを特徴とする、請求項1乃至3記載のトランジスタの製造方法。
- 請求項1乃至5記載のトランジスタの製造方法により製造されたことを特徴とするトランジスタ。
- 請求項6記載のトランジスタを備えたことを特徴とする、電気光学基板。
- 請求項7記載の電気光学基板を備えたことを特徴とする、電気光学装置。
- 請求項8記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする、電子機器。
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JP2003082962A JP2004296487A (ja) | 2003-03-25 | 2003-03-25 | トランジスタの製造方法、トランジスタ、電気光学基板、電気光学装置、電子機器 |
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JP2006210898A (ja) * | 2004-12-28 | 2006-08-10 | Shin Etsu Chem Co Ltd | Soiウエーハの製造方法及びsoiウェーハ |
JP2006210899A (ja) * | 2004-12-28 | 2006-08-10 | Shin Etsu Chem Co Ltd | Soiウエーハの製造方法及びsoiウェーハ |
JP2006261591A (ja) * | 2005-03-18 | 2006-09-28 | Fujitsu Ltd | 絶縁ゲート型半導体装置の製造方法 |
-
2003
- 2003-03-25 JP JP2003082962A patent/JP2004296487A/ja active Pending
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