JP2004284606A - 流動食用パウチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のプラスチックフィルムからなる胴材の周縁をヒートシールし、下方周縁に内容物注出具が装着された流動食用パウチであって、
パウチ胴体から分岐した胴体を有し、パウチ胴体の上方ヒートシール部には吊り下げ手段が形成され、分岐した胴体に引き裂き可能な開口予定部が形成され、該胴体部は胴体分岐部より折り曲げ可能にされていることを特徴とする流動食用パウチ。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動食用パウチに関するものであって、より詳しくは、該パウチの使用前後に、パウチ内容物を希釈するためや、留置ラインを洗浄するための水補給用の開口部を別部材を用いることなくパウチ上方に形成し、かつ、上記開口が流動食投与時には、折りたたまれて閉蓋状態にされる流動食用パウチに関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平10−179691号公報
特許文献1は、経管経腸栄養剤用包装袋にかかるもので、内層にヒートシール性合成樹脂を有するフィルムの周縁部をヒートシールし、包装袋の一辺に注出用部材を装着し、その対向面に蓋部材を有する注入用部材を装着した構成が記載されている。
【0003】
【特許文献2】特開2000−7033号公報
特許文献2も、特許文献1と同一目的の栄養剤用包装袋に係るものであり、その特徴とするところは、可撓性を有するシート片により吊り下げ可能な容器本体の一方の縁部に被充填物を注入するための充填具が設けられ、他方の縁部に被充填物を注ぎ出すための注出具が設けられ、しかも、充填具の注入口が注出具の注出口よりも大きく形成されていることにある。
【0004】
【特許文献3】特開2000−6999号公報
特許文献3は、複数まとめて運搬する場合に安定性をよくし、容器本体に注出具と充填具とをそれぞれ設け、容器本体の一部を切除することなく被充填物を充填できる袋状容器であって、その特徴は、容器本体の一方の側延だけにガセットを設けていることにある。
【0005】
上記特許文献1ないし3にも記載されているように、経管経腸栄養剤等の流動食を内容物とするパウチには、フィルム周縁をヒートシールして、上方ヒートシール部には透孔などの吊り下げ手段が設けられ、下方には、内容物の注出口が形成されたものが一般に用いられている。このような流動食用パウチにおいては、流動食の投与前に内容物を希釈したり、使用後にパウチ内を含む留置ラインを洗浄するための水供給手段がパウチ上方にも設けられている。
その水供給手段としては、特許文献1、2、3の全てがパウチ上方に口径の大きい別部材である充填具を装着している。これ以外にも、パウチの上部を引き裂き可能に形成しておき、使用時にその部分を引き裂いて開口部とするなどの態様が採られている。
【0006】
【特許文献4】特開平11−79203号公報
特許文献4は、本発明の特徴である容器本体の上方部分を分岐するという類似の構成が記載されていることから特許文献4として挙げたものである。この容器の特徴は、パウチの頂部より下方の位置のパウチの側壁の少なくとも1箇所を外側に伸長させて分岐した少なくとも1つの小室を形成し、この分岐した小室をパウチの側壁に固定したことにある。この小室は、粉末成分が収納されており、パウチ本体にその溶解液が収納されているが、小室をパウチの側壁に固定したことにより、運搬中にでも粉末成分と溶解液が混合することがないという効果を奏するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、別部材のスパウトをパウチの一部に組み込むことは、製造工程が煩雑になるだけでなく、費用の点からも不経済であり、かつ、パウチ使用後の廃棄に際しても、分別作業に余計な時間が取られるという問題がある。
また、パウチの上方を引き裂いてそこを開口とする手段も、簡便であり、経済性にも優れているが、一旦引き裂いた後は、埃よけのために、開口部をクリップなどの封止具で止めるなどの方法を採らなければならない。
このように、簡単な構成でパウチに開口部を形成でき、かつ、開口部の封止を封止具を用いずに行なえる流動食用パウチは提案されていない。
【0008】
係る従来技術の現状に鑑みて、本願発明の目的は、別部材のスパウトを使用することなく、かつ、開封後の開口部をわざわざ封止具を用いて封止するような余計な手間をかけることなく、開口部の形成ならびに開口の封止をパウチ自体の構造で達成できる流動食用パウチを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、下記の要件からなることを特徴とする。
すなわち、本発明によれば、複数のプラスチックフィルムからなる胴材の周縁をヒートシールし、下方周縁に内容物注出具が装着された流動食用パウチであって、
パウチ胴体から分岐した胴体を有し、パウチ胴体の上方ヒートシール部には吊り下げ手段が形成され、分岐した胴体に引き裂き可能な開口予定部が形成され、該胴体部は胴体分岐部より折り曲げ可能にされていることを特徴とする流動食用パウチが提供される。
【0010】
また、本発明によれば、前記パウチの胴体を構成するプラスチックフィルムは、少なくとも1層のバリヤ層を有する積層フィルムである上記の流動食用パウチが提供される。
【0011】
また、本発明によれば、前記バリヤ層が無機酸化物または有機物からなる被膜層である上記流動食用パウチが提供される。
【0012】
また、本発明によれば、前記開口予定部が、レーザー照射によって形成されたものである上記流動食用パウチが提供される。
【0013】
また、本発明によれば、前記開口予定部には、2枚の引裂補助用テープが添接されている上記流動食用パウチが提供される。
【0014】
また、本発明によれば、前記分岐された胴体の上方周縁が階段状にヒートシールされており、開口予定部がヒートシール部の上段部分に形成されている上記流動食用パウチが提供される。
【0015】
また、本発明によれば、前記分岐した胴体の開口予定部のパウチ胴体側には、プラスチックの線状ファスナーが付設されている上記流動食用パウチが提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の流動食用パウチ1の一実施態様を示す斜視図であり、図2、図3は、他の実施態様を示す斜視図である。
【0017】
本発明の流動食用パウチ1の重要な特徴は、パウチ内容物の希釈や、使用後の留置ラインの洗浄のために用いられる水の供給手段として、別体のスパウトなどによって開口を設けることなく、簡単に手指で引き裂き可能な開口予定部を形成しておき、開口形成後は、開口部分が下方に折れ曲がり、開口部分からの埃の侵入が防止できるようにした点にある。
【0018】
その構成の特徴を図面を元に説明する。
本発明の流動食用パウチは、複数のプラスチックフィルムからなる胴材の周縁をヒートシールし、下方ヒートシール部12に内容物注出具13が装着されている流動食用パウチにおいて、パウチ胴体から分岐した胴体を有している。パウチ胴体の上方ヒートシール部15には透孔などの吊り下げ手段11が形成されており、分岐した胴体の胴体ヒートシール部16の下方に横方向へ引き裂き可能な開口14予定部が形成されている。
【0019】
また、上記分岐した開口予定部14が形成されている側の胴体19は胴体分岐部17より折り曲げ可能にされており、開口予定部14を引き裂くなどの手段で開口を形成した後は、胴体19が下方に折れ曲がることにより開口部が下向きになり、開口部分からパウチ1内に埃が入ることがない。また、パウチ胴体の少なくとも一方のサイドシール部25及び分岐した胴体のサイドシール部26には、胴体19が折れ曲がった時に対向する位置に、例えば、互いに切り込みを形成しておき、この切り込み同士を係合させるなどの等の係止部27を設けて分岐した胴体をパウチ胴体に係止させてもよい。
【0020】
流動食用パウチを構成するフィルム素材は、従来から一般に内層をヒートシール層とする積層フィルムが用いられており、本発明においても、これらの素材がなんら制限なく使用できるが、開口予定部を好適に形成するためには、図5に示すように、ヒートシール層(内層)a/バリヤ層(中間層)b/表面層(外層)cからなる積層フィルムを用いることが好ましく、中でも、内層がポリプロピレン、中間層がナイロン、外層がポリエチレンテレフタレートからなる積層フィルムを用いることが好ましい。この積層フィルムの層構成は、開口予定部の形成方法としてレーザーを照射してフィルムを引き裂き可能にする手段を採用した際に特に適している。開口予定部の形成方法としては、上記のレーザー照射の他に、刃物で直接積層フィルムに非貫通の溝を形成する方法や、砥粒面を形成した治具を積層フィルム表面に圧接する方法等を挙げることができる。
【0021】
つまり、開口予定部14は、フィルム胴体の当該部分が引き裂き可能にされていればよく、積層フィルムの外層部分に切れ目を入れておくだけでも充分に目的を達成することができるが、本発明者らの実験によれば、前記開口予定部にレーザーを照射すると、その吸収波長が中間層のナイロン層bおよび/または外層のポリエチレンテレフタレート層aだけにレーザー加工部を形成することができ、内層のポリプロピレン層cは無傷の状態を維持することができるため、使用前に裂孔部分から微細な異物が入り込むようなことが未然に防止できることが判明した。
また、外層に2枚の引裂補助用のテープ24を添接しておけば、引き裂き時に2枚のテープの間を引き裂くことによって簡単に開口を形成することができる。また、テープ間の距離は可及的に0に近い方が良い。
【0022】
さらに、上記開口形成後の封止をより確実にするために、前記パウチ内面の開口14予定部の下方にプラスチックの線状ファスナー23を付設することも好ましいことである。プラスチックの線状ファスナーは、自体公知のものであり、パウチ内の胴体の両面21、22に、それぞれ、雄状と雌状のファスナー部材を横方向にヒートシールにより溶着しておけば良い。
【0023】
開口予定部14の大きさは、水供給口が入る大きさであればよく、パウチの横方向全体に形成することは、必要以上の大きさになることであり、寧ろ避けるべきである。開口予定部14の大きさは、ヒートシール部の大きさや形状によって適宜調整できる。図2、3は、その例を示したものであり、分岐された胴体19の上方周縁16’が階段状にヒートシールされており、開口予定部がヒートシール部の上段部分に形成されている態様を示している。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、流動食用パウチにおいて、内容物の希釈や、患者への水補給、パウチの使用後の留置ラインの洗浄において、従来技術のように別部材の充填具を装着することなく、パウチ胴体から分岐した胴体を有し、パウチ胴体の上方ヒートシール部には吊り下げ手段を形成し、分岐した胴体に引き裂き可能な開口予定部を形成することにより、簡単な構成で、安価にしかも確実に上記作業を遂行でき、かつ、開口後も開口部から埃の侵入を防止できるという効果を奏し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流動食用パウチの一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の流動食用パウチの他の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の流動食用パウチのさらに他の一例を示す斜視図である。
【図4】パウチ内の開口予定部の下方にプラスチックファスナーを付設した状態を示す部分断面図である。
【図5】開口予定部に2枚の引裂補助用テープを添接した状態の部分断面図である。
【符号の説明】
1 流動食用パウチ
11 吊り下げ手段
12 下方ヒートシール部
13 注出具
14 開口予定部
15 上方ヒートシール部
16,16’ 分岐胴体のヒートシール部
17 分岐部
18 吊り下げ具
19 分岐胴体
20 内容物
21,22 パウチ胴体
23 プラスチックファスナー
24 テープ
25,26 サイドシール部
27 係止部
Claims (7)
- 複数のプラスチックフィルムからなる胴材の周縁をヒートシールし、下方周縁に内容物注出具が装着された流動食用パウチであって、
パウチ胴体から分岐した胴体を有し、パウチ胴体の上方ヒートシール部には吊り下げ手段が形成され、分岐した胴体に引き裂き可能な開口予定部が形成され、該胴体部は胴体分岐部より折り曲げ可能にされていることを特徴とする流動食用パウチ。 - 前記パウチの胴体を構成するプラスチックフィルムは、少なくとも1層のバリヤ層を有する積層フィルムである請求項1記載の流動食用パウチ。
- 前記バリヤ層が無機酸化物または有機物からなる被膜層である請求項2記載の流動食用パウチ。
- 前記開口予定部が、レーザー照射によって形成されたものである請求項1ないし3のいずれか1項記載の流動食用パウチ。
- 前記開口予定部には、2枚の引裂補助用テープが添接されている請求項1ないし4のいずれか1項記載の流動食用パウチ。
- 前記分岐された胴体の上方周縁が階段状にヒートシールされており、開口予定部がヒートシール部の上段部分に形成されている請求項1ないし5のいずれか1項記載の流動食用パウチ。
- 前記分岐した胴体の開口予定部のパウチ胴体側には、プラスチックの線状ファスナーが付設されている請求項1ないし6のいずれか1項記載の流動食用パウチ。
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