JP2004277544A - 変性ポリオレフィン溶液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】α−オレフィンを重合してポリオレフィンとし、これを変性剤により変性して変性ポリオレフィンの溶液を製造する一連の工程で、ポリマーロス、溶媒ロスを減らし、さらに工程数を少なくすることができ、生産性・経済性に優れた変性ポリオレフィン溶液の製造方法を提供する。
【解決手段】α−オレフィンを重合して得られたポリオレフィンを変性剤で変性して変性ポリオレフィン溶液を製造する方法において、α−オレフィンを重合触媒の存在下、液相で重合してポリオレフィンを溶液又はスラリー状態のポリマーとして得る工程、得られたポリマーを、変性剤と反応させてポリオレフィンを変性する工程を含み、ポリマーを単離、回収せず、実質的に乾燥しないことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】α−オレフィンを重合して得られたポリオレフィンを変性剤で変性して変性ポリオレフィン溶液を製造する方法において、α−オレフィンを重合触媒の存在下、液相で重合してポリオレフィンを溶液又はスラリー状態のポリマーとして得る工程、得られたポリマーを、変性剤と反応させてポリオレフィンを変性する工程を含み、ポリマーを単離、回収せず、実質的に乾燥しないことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変性ポリオレフィン溶液の製造方法に関し、更に詳しくは、α−オレフィンを重合してポリオレフィンとし、これを変性剤により変性して変性ポリオレフィン溶液を製造する一連の工程で、ポリマーロス、溶媒ロスを減らし、さらに工程数を少なくすることができ、生産性・経済性を向上しうる変性ポリオレフィン溶液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンは、機械的物性、成型性、衛生性等に優れているため、広い分野で使用されているが、結晶性が高く無極性であることから、他の基材、例えばスチレン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂などの極性を有する樹脂と親和性がないだけでなく、金属表面やガラス、無機フィラーなどとも親和性が殆どない。
このため、ポリオレフィン系樹脂を塗装したり接着するために、例えば、成形物の表面をプラズマ処理やガス処理により活性化する方法、ポリオレフィンを塩素化してプライマーとして用いる方法、ポリオレフィンや塩素化ポリオレフィンを不飽和ジカルボン酸等の極性化合物で変性し、親和性が付与されたプライマーを用いる方法等が提案されている。
ところが、塩素化ポリオレフィンは、一般に塩素化率が高くなるほどポリオレフィンに対する付着性や耐溶剤性が低下する。一方、塩素含有率が低くなると溶液状態が低下し、保存中に増粘、ゲル化し、また低温で保存すると流動性が低下して作業性に問題が生じる。溶液濃度を低くすれば低温流動性は改善されるものの、溶液濃度が低いと顔料分散性が低下し、輸送コストが増加するなどの問題が生じる。また、最近、素材が高剛性化するに伴い、従来の塩素化ポリオレフィンでは強い接着性が得られず、プライマーの付着性が不十分になっている。
【0003】
また、官能基を有するモノマーを用いてポリオレフィンを変性する場合には、溶媒の存在下または無溶媒でラジカル反応開始剤を使用して反応させる方法が知られている。
すなわち、変性反応の方法として、溶液状態で反応させる方法(特許文献1参照)の他に、スラリー状態で反応させる方法(例えば、特許文献2参照)や、溶融状態で反応させる方法(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
これらの方法では、溶融状態で押出機に供給し反応させる方法が操作上簡便であるため広く工業的に用いられている。しかしながら、溶融状態における反応は、一般に変性効率が低く、ポリオレフィンの分子量が著しく低下するだけでなく、得られた生成物が着色してしまうことが多い。例えば、溶融混練グラフト法で製造された無水マレイン酸変性ポリオレフィンは、褐色、茶色あるいは黄色に変色することが多い。
また、処理温度が高いため、低沸点モノマーで変性する場合にはモノマーの揮散が著しく変性が困難である。さらに、得られた変性ポリオレフィンは、通常、溶媒に溶かした状態で使用されることから、変性ポリオレフィンを再び溶媒に溶解する工程が必要となる。
【0004】
これに対して、溶媒の存在下で変性を行なえば、溶融混練による変性に関する問題点は大きく低減される。溶媒の存在下、ポリオレフィンを変性する方法としては、ポリオレフィンとモノマーを溶媒に溶解させ、しかる後に少量の溶媒に溶解した触媒を系に加えて反応を行う方法(特許文献1参照)、ハロゲン化炭化水素系溶媒にポリオレフィンを溶解した後、モノマーとラジカル反応開始剤を添加する方法(特許文献4参照)などが提案されている。
【0005】
ポリオレフィンは、通常、オレフィンモノマーを液相均一系または固液不均一系等の状態で重合し、得られたポリオレフィンを固体状態で析出することにより触媒成分等を分離除去している。
しかしながら、ポリオレフィンが非晶質であると、粘着性なため、輸送に適した粉末またはペレットの形態に成形するのが容易ではない。非晶質ポリオレフィンは、一般に溶融状態で大型容器の中に入れて移送するか、又は剥離剤をコーティングした紙容器の中に包装されたブロックとして移送するか、非粘着性物質でコーティングした小さいスラットとして移送されるが、いずれの作業性も悪い。
【0006】
【特許文献1】
特公昭44−15422号(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特公昭43−18144号(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特公昭43−27421号(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開昭48−28092号(特許請求の範囲)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記のような状況に鑑み、α−オレフィンを重合してポリオレフィンとし、これを変性剤により変性して変性ポリオレフィン溶液を製造する一連の工程で、ポリマーロス、溶媒ロスを減らし、さらに工程数を少なくすることができ、生産性・経済性を向上しうる変性ポリオレフィン溶液の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、α−オレフィンを溶媒の存在下、液相で重合し、得られたポリオレフィンを溶媒に溶けた状態に維持した溶液に変性剤を添加して変性を行い、各単位操作工程中及び各単位操作工程間で一貫して、ポリオレフィンを実質的に乾燥することなしに変性ポリオレフィン溶液を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、α−オレフィンを重合触媒の存在下、液相で重合してポリオレフィンを溶液又はスラリー状態のポリマーとして得る工程と、溶液又はスラリー状態のポリマーを変性剤と反応させてポリオレフィンを変性する工程を含み、ポリマーを乾燥しないことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、ポリオレフィンを変性する工程の前又は後に、触媒成分を除去する工程をさらに含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法が提供される。
【0011】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、ポリオレフィンを変性する工程の後に、変性ポリオレフィン溶液又はスラリーから未反応の変性剤及び変性剤の誘導体を除去する工程を含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法が提供される。
【0012】
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1〜3の発明において、いずれかの工程の後に、溶液又はスラリーの濃度を調整する工程をさらに含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の好ましい実施態様としては、次のものが包含される。
(1)本発明の第1の発明において、重合触媒が、均一系金属錯体触媒であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(2)本発明の第1の発明において、重合触媒が、バナジウム錯体と有機アルミニウム化合物であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(3)本発明の第1の発明において、重合触媒が、メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(4)本発明の第1の発明において、α−オレフィンを重合する工程が、連続式、回分式又はそれらを組み合わせた方式で行われることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(5)本発明の第1の発明において、α−オレフィンを重合する工程が、管型、槽型又はそれらを組み合わせた反応器を用いて行われることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(6)本発明の第1の発明において、α−オレフィンを重合する工程は、管型連続反応器を用いて行ない、原料、触媒(及び助触媒)の少なくともいずれかを複数の箇所から分割して投入することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(7)本発明の第1の発明において、重合停止剤を添加して重合を停止し、未反応モノマーを除去する工程を、さらに含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(8)本発明の第1の発明において、ポリオレフィンを変性する工程で、ラジカル反応開始剤を必要により連鎖移動調節剤及び/又は酸化防止剤とともに添加することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(9)本発明の第1の発明において、ポリオレフィンを変性する工程は、α−オレフィンを重合する工程と同じ反応器を用いて行なうことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(10)本発明の第1の発明において、ポリオレフィンを変性する工程は、α−オレフィンを重合する工程と同じ溶媒を用いて行なうことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(11)本発明の第1の発明において、ポリオレフィンを変性する工程で、変性剤及び/又はラジカル反応開始剤を2回以上に分けて添加することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(12)本発明の第1の発明において、ポリオレフィンを変性する工程で、変性剤を溶媒に溶解し、又は加熱溶融してから添加することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(13)本発明の第2の発明において、触媒成分を除去する工程で、予め触媒成分を不溶化することを含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(14)本発明の第2の発明において、触媒成分を除去する工程で、水酸基を有する化合物を添加して触媒成分を不溶化することを含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(15)本発明の第2の発明において、触媒成分を除去する工程で、水酸基を有する化合物及びアルカリ成分を添加して触媒成分を不溶化することを含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(16)上記(14)及び(15)において、水酸基を有する化合物が重合停止剤と同一であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(17)上記(14)〜(16)において、水酸基を有する化合物がアルコールであることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(18)本発明の第2の発明において、触媒成分を除去する工程で、吸着剤を添加することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(19)本発明の第2の発明及び上記(13)〜(18)において、触媒成分を除去する工程で、触媒成分を濾過及び/又は遠心分離によって除去することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(20)本発明の第2の発明及び上記(19)において、触媒成分を除去する工程で、濾過助剤を使用することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(21)上記(20)において、濾過助剤として、微小繊維状セルロース、アスベスト、セライト、パーライト、珪藻土、白土、シリカ、アルミナから選ばれた1種又は2種以上を使用することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(22)本発明の第3の発明において、反応溶液を室温以下に冷却することにより、未反応の変性剤及び/又は変性剤の誘導体を析出させ、析出した物質を濾過、遠心分離又はデカンテーションによって除去することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(23)本発明の第3の発明において、未反応の変性剤及び/又は変性剤の誘導体を、反応溶媒よりも高い極性を有する溶媒によって抽出除去することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(24)本発明の第4の発明において、溶液又はスラリーの濃度を調整して、粘度(20℃)を2〜2000cPとすることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(25)本発明の第1の発明において、ポリオレフィンの重量平均分子量が2000〜600,000であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(26)本発明の第1乃至第4の発明において、ポリオレフィンのラセミダイアド分率(13C−NMRで測定)が0.12〜0.88であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(27)本発明の第1乃至第4の発明において、ポリオレフィンのラセミダイアド分率(13C−NMRで測定)が0.51〜0.88であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(28)本発明の第1乃至第4の発明において、ポリオレフィンのラセミダイアド分率(13C−NMRで測定)が0.54〜0.84であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(29)本発明の第1乃至第4の発明において、ポリオレフィンの結晶融解熱量が20J/g以下、かつ沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分が70重量%以下のポリオレフィンであることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の変性ポリオレフィン溶液の製造方法について、各項目毎に詳細に説明する。
【0015】
1.プロセスの工程フロー概要
先ず、本発明による一連の工程フローの基本を図1の工程図を用いて概略説明する。
【0016】
本発明の方法は、α−オレフィンを重合触媒の存在下、液相で重合し、ポリオレフィン溶液あるいはスラリーを得る工程(i)、及びポリオレフィンを変性する工程(ii)とを含み、ポリオレフィンを乾燥せずに変性ポリオレフィン溶液を製造する方法である。
【0017】
そして、この方法には、ポリオレフィンを変性する工程の前又は後に、触媒成分を除去する工程(iii)、ポリオレフィンを変性する工程の後に未反応の変性剤及び変性剤の誘導体を除去する工程(iv)、上記(i)〜(iv)のいずれかの工程の後にポリマー溶液又はスラリーの濃度を調整する工程(v)をそれぞれ任意に付加することができる。
【0018】
本発明は、各単位操作工程中及び各単位操作工程間で、ポリオレフィン及び/又は変性ポリオレフィンが常に溶媒に溶けた溶液状態もしくは懸濁したスラリー状態に維持され(以下、溶液といえばスラリー状態も含まれるものとする)、固体としてポリマーが単離・回収されないことを特徴としている。
【0019】
2.プロセスの詳細
本発明の方法は、α−オレフィン(a)を原料とし、反応溶媒(b)と重合触媒(c)の存在下、反応器(d)を用いて、特定の重合条件(e)で反応し、重合停止剤(f)を添加して重合を停止し、ポリオレフィン(PO1)を製造する。
次に、このポリオレフィン溶液に、変性剤(g)とラジカル反応開始剤(h)を添加して反応させ、変性ポリオレフィン(PO2)溶液を製造する。ポリオレフィンを変性する工程の前又は後に、触媒成分を除去することもできる。
変性ポリオレフィン(PO2)溶液は、未反応の変性剤、副生物、溶媒などを除去し、精製される。その間に、溶媒を除去したり添加することにより、溶液の濃度や粘度が適宜調節される。
なお、ポリオレフィン(PO1)、変性ポリオレフィン(PO2)は、以下単にポリマーと称する場合がある。
【0020】
(i)重合工程
(a)α−オレフィン
原料となるα−オレフィンとしては、炭素数2〜8のオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられ、ホモポリマーの原料としては、特にプロピレンが好ましい。
また、コポリマーの原料としては、特にエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンから選択される2種以上が好ましい。
【0021】
(b)反応溶媒
反応溶媒は、重合反応に対して不活性で、かつ重合時に液状である溶媒を用いるのが望ましい。また、大気圧下、室温で液状を保つ溶媒がより好ましい。なお、以下の説明で単に溶媒といえば反応溶媒を指すものとする。
具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の飽和脂肪族炭化水素、アルキル化シクロペンタン、シクロヘキサン、アルキル化シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンセン、プロピルベンセン等の芳香族炭化水素、或いはTHF及びそれらの2種類以上の混合物等が挙げられる。
【0022】
(c)重合触媒
重合触媒としては、オレフィンを重合できるものであれば特に制限されない。但し、その中でも均一系金属錯体触媒が好ましく使用される。
均一系金属錯体触媒は、有機金属化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒であるか、酸素、窒素等のヘテロ原子を含む有機化合物と遷移金属からなる金属錯体であり、例えば、
▲1▼バナジウム錯体と有機アルミニウム化合物からなる触媒、
▲2▼チタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を1つとアルコキシ基あるいはアルキルアミノ基の少なくとも1つを有する化合物と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒、
▲3▼チタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を2つとハロゲンまたはアルキル基を有する錯体と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒、
▲4▼ニッケル、パラジウム等のジイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒、
▲5▼チタン、ジルコニウム、ハフニウム等のフェノキシイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒、
▲6▼チタン等のピロールイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒が挙げられる。
▲7▼Ti、Zr、Hfのアルコキシ錯体及び/又はTi、Zr、Hfのアルキルアミノ錯体とアルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒、が挙げられる。
【0023】
上記▲1▼のバナジウム錯体と有機アルミニウム化合物からなる触媒において、バナジウム錯体としては、例えば、Makromol.Chem.180、57−64(1979)に記載されている触媒が挙げられ、具体的には、VOCl3、VCl4、V(アセチルアセトナート)3、V(2−メチル−1,3−ブタンジオナト)3、V(1,3−ブタンジオナト)3、VO(アセチルアセトナート)2、VOCl2(アセチルアセトナート)、VOCl(アセチルアセトナート)2、VO(OR)3、等が挙げられる。その他、アルキルイミド、或いはアリールイミドなどの配位子を有する一般式(1)及び(2)のようなバナジウム化合物も挙げられる。
【0024】
有機アルミニウム化合物としては、例えばジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムハライド類;メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類が挙げられる。
一般式(1)
【0025】
【化1】
【0026】
(式中、XはF、Cl、Br、Iまたは炭素数1〜3のアルキル基;R1〜R3は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
一般式(2)
【0027】
【化2】
【0028】
(式中、XはF、Cl、Br、Iまたは炭素数1〜3のアルキル基;Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0029】
上記成分の使用量は、オレフィン1モル当り、バナジウム錯体が1×10−5〜0.1モル、好ましくは1×10−4〜5×10−2モルであり、有機アルミニウム化合物が1×10−4〜0.1モル、好ましくは5×10−3〜0.05モルである。
【0030】
また、▲1▼の触媒には、必要に応じて電子供与体を添加することもでき、電子供与体としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸、マロン酸、有機酸もしくは無機酸のエステル類、モノエーテル、ジエーテルもしくはポリエーテル等の含酸素電子供与体や、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与体を挙げることができる。電子供与体の使用量は、バナジウム錯体1モルに対して0.01〜20モルである。
【0031】
重合反応は、−100〜90℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは−50〜50℃で1〜50時間行われる。
【0032】
前記▲2▼の触媒において、チタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を1つとアルコキシ基あるいはアルキルアミノ基の少なくとも1つ有する化合物としては、一般式(3)〜(5)に示すような化合物が挙げられる。
【0033】
例えば、一般式(3)で表される化合物としては、CpTi(OMe)3、CpTi(OEt)3、CpTi(O・iPr)3、CpTi(O・tBu)3、CpTi(OC6H5)3、CpTi(2−Me−OC6H4)3、CpTi(2−Et−OC6H4)3、CpTi(2−Pr−OC6H4)3、CpTi(2−tBu−OC6H4)3、CpTi(2,6−Me2−OC6H3)3、CpTi(2,6−Et2−OC6H3)3、CpTi(2,6−iPr2−OC6H3)3、CpTi(2,6−tBu2−OC6H3)3、CpTi(2−Me−6−tBu−OC6H3)3、CpTi(3−Me−6−tBu−OC6H3)3、CpTi(OMe)Cl2、CpTi(OMe)2Cl、CpTi(OC6H5)Cl2、CpTi(OC6H5)2Cl、CpTi(OMe)(OC6H5)Cl、等が挙げられる。
また、一般式(4)で表される化合物としては、(Me2C)Cp(C6H4)OTiCl2、((C6H5)2C)Cp(C6H4)OTiCl2、(Me2C)Cp(3−Me−C6H3)OTiCl2、(Me2C)Cp(5−Me−C6H3)OTiCl2、(Me2C)Cp(3−tBu−C6H3)OTiCl2、(Me2C)Cp(3,5−Me2−C6H2)OTiCl2、(Me2C)Cp(3,5−tBu2−C6H2)OTiCl2、(Me2C)Cp(3−Me−5−tBu−C6H2)OTiCl2、(Me2C)Cp(3−tBu−5−Me−C6H2)OTiCl2、等が挙げられる。
【0034】
一般式(5)で表される化合物としては、MeNSiMe2(Flu)TiCl2、tBuNSiMe2(Flu)TiCl2、C6H5NSiMe2(Flu)TiCl2、tBuNSi(C6H5)2(Flu)TiCl2、tBuNSiMe2(Flu)TiMe2、等が挙げられる。
上記の一般式(3)〜(5)の具体例において、TiをZr、Hfに代えた化合物も具体例として挙げることができる。
【0035】
一般式(3)〜(5)
【化3】
【0036】
一般式(3)〜(5)中、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムのいずれかを、X、Y、Zは、F、Cl、Br、若しくはIから選択されるハロゲン、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、そのアルコキシ基、置換基を有しても良い炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、そのアルコキシ基;R1〜R3は、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、置換基を有しても良い炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を示す。R1〜R3及びX、Y、Zは、それぞれ同時に同じであっても、異なっていても良い。
【0037】
アルミノキサン類としては、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、及びこれらアルミノキサン中の未反応アルミニウム化合物を除去・精製した乾燥アルミノキサン等が挙げられる。なお、アルミノキサン類の代りにトリフェニルボラン、トリスペンタフルオロフェニルボラン、トリフェニルメチルトリスペンタフルオロボレート等のホウ素化合物、さらにジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジオクチルアルミニウムクロリド等の有機アルミニウム化合物を用いることもできる。
【0038】
チタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を1つとアルコキシ基あるいはアルキルアミノ基を少なくとも1つ有する化合物の使用量は、モノマー使用量1モル当り、1×10−8〜0.1モル、好ましくは1×10−7〜5×10−2モルであり、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物が1×10−8〜0.1モル、好ましくは1×10−7〜0.05モルである。
【0039】
重合反応は、−100〜90℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは−50〜50℃で1〜50時間行われる。
【0040】
前記▲3▼のチタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を2つとハロゲンまたはアルキル基を有する錯体と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒において、該錯体は、2つのシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体が架橋されていなくても架橋されていてもよい。
【0041】
非架橋性メタロセン化合物としては、例えば、一般式(6)で示される化合物が挙げられ、具体的には、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジエチル、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド等が挙げられる。
その他、例えば、(C5H5)2Zr(C6H5)2、(C5H4−i−C3H7)2ZrCl2、(C5H4−t−C4H9)2ZrCl2、(C5H4−t−C4H9)2ZrBr2、(C5H4−t−C4H9)2ZrI2、(C5H4−t−C4H9)2ZrF2、(C5H4−t−C4H9)2Zr(CH3)2、(C5H4−t−C4H9)2Zr(C6H5)2、[C5H4−CH(CH3)(C6H5)]2ZrCl2、及びこれらのZrをTi又はHfに代えた化合物等を挙げることができる。
【0042】
架橋メタロセン化合物としては、例えば、エチレン(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(インデニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(インデニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、Me2Si(C5H4)2ZrCl2、Me2Si(C5H4)2ZrBr2、Me2Si(C5H4)2ZrI2、Me2Si(C5H4)2ZrF2、Me2Si(C5H4)2ZrMe2、Me2Si(C5H4)2Zr(C6H5)2、Me2Si(C5Me4)2ZrCl2、Me2Si(C5Me4)2ZrBr2、Me2Si(C5Me4)2ZrI2、Me2Si(C5Me4)2ZrF2、Me2Si(C5Me4)2ZrMe2、Me2Si(C5Me4)2Zr(C6H5)2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2ZrCl2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2ZrBr2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2ZrI2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2ZrF2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2ZrMe2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2Zr(C6H5)2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2ZrCl2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2ZrBr2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2ZrI2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2ZrF2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2ZrMe2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2Zr(C6H5)2、Me2Si(C5H4)2TiCl2、Me2Si(C5H4)2TiBr2、Me2Si(C5H4)2TiI2、Me2Si(C5H4)2TiF2、Me2Si(C5H4)2TiMe2、Me2Si(C5H4)2Ti(C6H5)2、Me2Si(C5Me4)2TiCl2、Me2Si(C5Me4)2TiBr2、Me2Si(C5Me4)2TiI2、Me2Si(C5Me4)2TiF2、Me2Si(C5Me4)2TiMe2、Me2Si(C5Me4)2Ti(C6H5)2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2TiCl2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2TiBr2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2TiI2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2TiF2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2TiMe2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2Ti(C6H5)2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2TiCl2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2TiBr2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2TiI2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2TiF2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2TiMe2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2Ti(C6H5)2、Me2Si(C5H4)2HfCl2、Me2Si(C5H4)2HfBr2、Me2Si(C5H4)2HfI2、Me2Si(C5H4)2HfF2、Me2Si(C5H4)2HfMe2、Me2Si(C5H4)2Hf(C6H5)2、Me2Si(C5Me4)2HfCl2、Me2Si(C5Me4)2HfBr2、Me2Si(C5Me4)2HfI2、Me2Si(C5Me4)2HfF2、Me2Si(C5Me4)2HfMe2、Me2Si(C5Me4)2Hf(C6H5)2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2HfCl2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2HfBr2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2HfI2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2HfF2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2HfMe2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2Hf(C6H5)2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2HfCl2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2HfBr2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2HfI2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2HfF2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2HfMe2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2Hf(C6H5)2、Me2Si(C5H4)FluTiCl2、Me2Si(C5H4)FluTiBr2、Me2Si(C5H4)FluTiI2、Me2Si(C5H4)FluTiF2、Me2Si(C5H4)FluZrCl2、Me2Si(C5H4)FluZrBr2、Me2Si(C5H4)FluZrI2、Me2Si(C5H4)FluZrF2、Me2Si(C5H4)FluHfCl2、Me2Si(C5H4)FluHfBr2、Me2Si(C5H4)FluHfI2、Me2Si(C5H4)FluHfF2、Me2Si(C5H4)FluHfMe2、Me2Si(C5H4)FluHf(C6H5)2、Ph2C(C5H4)FluTiCl2、Ph2C(C5H4)FluTiBr2、Ph2C(C5H4)FluTiI2、Ph2C(C5H4)FluTiF2、Ph2C(C5H4)FluZrCl2、Ph2C(C5H4)FluZrBr2、Ph2C(C5H4)FluZrI2、Ph2C(C5H4)FluZrF2、Ph2C(C5H4)FluHfCl2、Ph2C(C5H4)FluHfBr2、Ph2C(C5H4)FluHfI2、Ph2C(C5H4)FluHfF2、Ph2C(C5H4)FluHfMe2、Ph2C(C5H4)FluHf(C6H5)2、Ph2C(C5Me4)FluTiCl2、Ph2C(C5Me4)FluTiBr2、Ph2C(C5Me4)FluTiI2、Ph2C(C5Me4)FluTiF2、Ph2C(C5Me4)FluZrCl2、Ph2C(C5Me4)FluZrBr2、Ph2C(C5Me4)FluZrI2、Ph2C(C5Me4)FluZrF2、Ph2C(C5Me4)FluHfCl2、Ph2C(C5Me4)FluHfBr2、Ph2C(C5Me4)FluHfI2、Ph2C(C5Me4)FluHfF2、Ph2C(C5Me4)FluHfMe2、Ph2C(C5Me4)FluHf(C6H5)2が挙げられる。
【0043】
また、2架橋性メタロセンとしては、一般式(7)で示され、J.Am.Chem.Soc.、Vol.121、No.3、565(1999)に記載されている化合物が挙げられ、具体的には、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3)2ZrCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3)(η6―C5H2−3−CH3)ZrCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3){η6―C5H2−3−CH(CH3)2}ZrCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3){η5―C5H−3,5−(CH(CH3)2}2ZrCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H2−4−CH3){η5―C5H−3,5−(CH(CH3)2)2}ZrCl2、(1,2−Me2Si)2{η5―C6H5−4−CH(CH3)3}{η5―C5H−3,5−(CH(CH3)2)2}ZrCl2、(1,2−Me2Si)2{η5―C5H2−4−Si(CH3)3}{η5―C5H−3,5−(CH(CH3)2)2}ZrCl2、(1,2−(C6H5)2Si)2{η5―C5H2−4−Si(CH3)3}{η5―C5H−3,5−(CH(CH3)2)2}ZrCl2、(1,2−Me2Si)2{η5―C5H2−4−Si(CH3)3}{η5―C5H−3,5−(CH(CH3)2)2}Zr(CH3)2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3)2HfCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3)(η5―C5H2−3−CH3)HfCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3)2TiCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3)(η5―C5H2−3−CH3)TiCl2、等が挙げられる。
【0044】
一般式(6)
【化4】
【0045】
一般式(7)
【化5】
【0046】
一般式(6)、(7)中、Xは、ハロゲン、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、炭素数8〜10の芳香族炭化水素基を示す。Mは、Ti、Zr、Hfのいずれかの金属である。R1〜R3は、同時に同じであっても、異なっていても良い。一般式(7)中、R1〜R3は、それぞれH若しくは炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。
【0047】
また、アルミノキサン類、並びにホウ素化合物単独あるいは有機アルミニウム化合物と組み合わせたものが使用できるが、これらは、▲2▼で記載したものを用いることができる。
上記成分の使用量は、モノマー使用量1モル当り、メタロセン化合物が5.0×10−7〜5.0×10−3モル、好ましくは1.0×10−6〜1.0×10−4モルであり、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物が1.0×10−5〜5.0モル、好ましくは1.0×10−3〜0.1モルである。
【0048】
重合反応は、−100〜90℃の温度で0.1〜100時間、好ましくは−50〜50℃で1〜50時間行われる。
【0049】
前記▲4▼のニッケル、パラジウム等のジイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒において、ニッケル、パラジウム等のジイミン錯体としては、例えば、一般式(8)〜(11)で表される化合物などが挙げられる。
アルミノキサン類としては、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられる。
【0050】
一般式(8)〜(11)
【化6】
【0051】
一般式(8)〜(11)中、XはClまたはメチル(Me)基;Rは、メチル(Me)基またはイソプロピル(iPr)基を示し、同時に同じであっても異なっていても良い。
【0052】
ニッケル、パラジウム等のジイミン錯体の使用量は、モノマー使用量1モル当り、1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−6〜5×10−2モルであり、アルミノキサン類が1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−4〜0.05モルである。
【0053】
重合反応は、−100〜90℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは−50〜50℃で1〜50時間行われる。
【0054】
前記▲5▼のチタン、ジルコニウム、ハフニウム等のフェノキシイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒において、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等のフェノキシイミン錯体としては、例えば、一般式(12)に示すような化合物などが挙げられる。
アルミノキサン類としては、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられる。
【0055】
一般式(12)
【化7】
【0056】
一般式(12)中、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムのいずれかを、R、R’はそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基で、XはF、Cl、Br、I又は炭素数1〜8のアルコキシ基を示す。
【0057】
チタン、ジルコニウム、ハフニウム等のフェノキシイミン錯体の使用量は、モノマー使用量1モル当り、1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−6〜5×10−2モルであり、アルミノキサン類が1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−4〜0.05モルである。
【0058】
重合反応は、0〜200℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは50〜150℃で1〜50時間行われる。
【0059】
前記▲6▼のチタン等のピロールイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒において、チタン等のピロールイミン錯体としては、例えば、一般式(13)に示すような化合物などが挙げられる。
アルミノキサン類としては、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられる。
【0060】
一般式(13)
【化8】
【0061】
一般式(13)中、XはF、Cl、Br、I又は炭素数1〜8のアルコキシ基;Rはフェニル基又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。
【0062】
チタン等のピロールイミン錯体の使用量は、モノマー使用量1モル当り、1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−6〜5×10−2モルであり、アルミノキサン類が1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−4〜0.05モルである。
【0063】
重合反応は、0〜200℃で0.5〜100時間、好ましくは50〜150℃で1〜50時間行われる。
【0064】
前記▲7▼の触媒において、Ti、Zr、Hfのアルコキシ錯体及び/又はTi、Zr、Hfのアルキルアミノ錯体とアルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒としては、例えばM(OR)aX4−a、M(NR2)aX4−a、M(acac)2X2が挙げられる(MはTi、Zr、Hf、aは2〜4の整数、Xは、F、Cl、Br、I、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、acacはアセチルアセトン配位子、メチルブタンジオン配位子、ブタンジオン配位子、ベンゾイルアセトン配位子、ベンゾイルトリフルオロアセトン配位子、ジベンゾイルメタン配位子、フロイルアセトン配位子、トリフルオロアセチルアセトン配位子、3−フェニルアセチルアセトン配位子、2,4−ヘキサンジオン配位子、トリフルオロジメチル−2,4−ヘキサンジオン配位子等を表わす。)。
【0065】
具体的な化合物としては、Ti(OC2H5)4、Ti(O−n−C3H7)4、Ti(O−i−C3H7)4、Ti(O−n−C4H9)4、Ti(O−i−C4H9)4、Ti(O−s−C4H9)4、Ti(O−t−C4H9)4、Ti(O−cycloC5H9)4、Ti(OC5H11)4、Ti(OC6H5)4、Ti(O−cycloC6H11)4、Ti(OC6H13)4、Ti(OC2H5)2Cl2、Ti(O−i−C3H7)2Cl2、Ti(O−n−C3H7)2Br2、Ti(O−n−C4H9)2Cl2、Ti(O−i−C4H9)2Br2、Ti(O−s−C4H9)2I2、Ti(OC5H11)2Cl2、Ti(O−cycloC6H11)2F2、Ti[N(C2H5)]4、Ti[N(n−C3H7)]4、Ti[N(i−C3H7)]4、Ti[N(n−C4H9)]4、Ti[N(i−C4H9)]4、Ti[N(s−C4H9)]4、Ti[N(t−C4H9)]4、Ti[N(cycloC5H9)]4、Ti[N(C5H11)]4、Ti[N(C6H5)]4、Ti[N(cycloC6H11)]4、Ti[N(C6H13)]4、Ti[N(C2H5)2]2Cl2、Ti[N(n−C3H7)2]2Cl2、Ti[N(i−C3H7)2]2Br2、Ti[N(s−C4H9)2]2Cl2、Ti[N(n−C4H9)2]2Br2、Ti[N(t−C4H9)2]2I2、Ti[N(C5H11)2]2F2、Ti[N(C5H11)2]2Cl2、Ti(アセチルアセトナト)2Cl2、Ti(メチルブタンジオナト)2Cl2、Ti(ブタンジオナト)2Cl2、Ti(ベンゾイルアセトナト)2Br2、Ti(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)2F2、Ti(ジベンゾイルメタナト)2I2、Ti(フロイルアセトナト)2Br2、Ti(トリフルオロアセチルアセトナト)2Br2、Ti(2,4−ヘキサンジオナト)2Cl2、Zr(OC2H5)4、Zr(O−n−C3H7)4、Zr(O−i−C3H7)4、Zr(O−n−C4H9)4、Zr(O−i−C4H9)4、Zr(O−s−C4H9)4、Zr(O−t−C4H9)4、Zr(O−cycloC5H9)4、Zr(OC5H11)4、Zr(OC6H5)4、Zr(O−cycloC6H11)4、Zr(OC6H13)4、Zr(OC2H5)2Cl2、Zr(O−i−C3H7)2Cl2、Zr(O−n−C3H7)2Br2、Zr(O−n−C4H9)2Cl2、Zr(O−i−C4H9)2Br2、Zr(O−s−C4H9)2I2、Zr(OC5H11)2Cl2、Zr(O−cycloC6H11)2F2、Zr[N(C2H5)]4、Zr[N(n−C3H7)]4、Zr[N(i−C3H7)]4、Zr[N(n−C4H9)]4、Zr[N(i−C4H9)]4、Zr[N(s−C4H9)]4、Zr[N(t−C4H9)]4、Zr[N(cycloC5H9)]4、Zr[N(C5H11)]4、Zr[N(C6H5)]4、Zr[N(cycloC6H11)]4、Zr[N(C6H13)]4、Zr[N(C2H5)2]2Cl2、Zr[N(n−C3H7)2]2Cl2、Zr[N(i−C3H7)2]2Br2、Zr[N(s−C4H9)2]2Cl2、Zr[N(n−C4H9)2]2Br2、Zr[N(t−C4H9)2]2I2、Zr[N(C5H11)2]2F2、Zr[N(C5H11)2]2Cl2、Zr(アセチルアセトナト)2Cl2、Zr(メチルブタンジオナト)2Cl2、Zr(ブタンジオナト)2Cl2、Zr(ベンゾイルアセトナト)2Br2、Zr(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)2F2、Zr(ジベンゾイルメタナト)2I2、Zr(フロイルアセトナト)2Br2、Zr(トリフルオロアセチルアセトナト)2Br2、Zr(2,4−ヘキサンジオナト)2Cl2、Hf(OC2H5)4、Hf(O−n−C3H7)4、Hf(O−i−C3H7)4、Hf(O−n−C4H9)4、Hf(O−i−C4H9)4、Hf(O−s−C4H9)4、Hf(O−t−C4H9)4、Hf(O−cycloC5H9)4、Hf(OC5H11)4、Hf(OC6H5)4、Hf(O−cycloC6H11)4、Hf(OC6H13)4、Hf(OC2H5)2Cl2、Hf(O−i−C3H7)2Cl2、Hf(O−n−C3H7)2Br2、Hf(O−n−C4H9)2Cl2、Hf(O−i−C4H9)2Br2、Hf(O−s−C4H9)2I2、Hf(OC5H11)2Cl2、Hf(O−cycloC6H11)2F2、Hf[N(C2H5)]4、Hf[N(n−C3H7)]4、Hf[N(i−C3H7)]4、Hf[N(n−C4H9)]4、Hf[N(i−C4H9)]4、Hf[N(s−C4H9)]4、Hf[N(t−C4H9)]4、Hf[N(cycloC5H9)]4、Hf[N(C5H11)]4、Hf[N(C6H5)]4、Hf[N(cycloC6H11)]4、Hf[N(C6H13)]4、Hf[N(C2H5)2]2Cl2、Hf[N(n−C3H7)2]2Cl2、Hf[N(i−C3H7)2]2Br2、Hf[N(s−C4H9)2]2Cl2、Hf[N(n−C4H9)2]2Br2、Hf[N(t−C4H9)2]2I2、Hf[N(C5H11)2]2F2、Hf[N(C5H11)2]2Cl2、Hf(アセチルアセトナト)2Cl2、Hf(メチルブタンジオナト)2Cl2、Hf(ブタンジオナト)2Cl2、Hf(ベンゾイルアセトナト)2Br2、Hf(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)2F2、Hf(ジベンゾイルメタナト)2I2、Hf(フロイルアセトナト)2Br2、Hf(トリフルオロアセチルアセトナト)2Br2、Hf(2,4−ヘキサンジオナト)2Cl2、等が挙げられる。
【0066】
アルミノキサン類、ホウ素化合物、有機アルミニウム化合物としては、前記▲2▼に例示したものを用いることができる。
上記成分の使用量は、モノマー使用量1モル当り、金属錯体が1×10−5〜0.5モル、好ましくは1×10−4〜0.1モルであり、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物が1×10−6〜0.5モル、好ましくは1×10−5〜0.1モルである。
【0067】
重合反応は、−100〜100℃の温度で0.5〜50時間、好ましくは−80〜80℃で1〜30時間行われる。
【0068】
本発明において、例えば、上記の重合触媒を用いてポリオレフィン溶液を製造するには、好ましくは▲1▼〜▲3▼、特に好ましくは▲1▼の触媒を用いることができる。▲1▼〜▲7▼の触媒を用いる場合、分子量調節剤として、水素、ジエチル亜鉛、Si−H結合含有化合物を添加することができる。また、▲1▼〜▲7▼の触媒は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の担体に担持して用いることができる。
【0069】
(d)反応器
重合反応は、連続式、回分式及びそれらを組み合わせた方式のいずれでも行うことができる。したがって、反応器は管型、槽型の何れでもよい。反応を多段で行う際には、それらを適宜組み合わせて使用してもよい。
管型反応器は、管の一方の末端からフィードして他方の末端から抜き出す形式でも、管がループ状に繋がった構造を持つ形式でも良い。
【0070】
管型連続式反応器を用いる場合は、その反応器の一部又は全部にスタティックミキサーを使用することができる。スタティックミキサーを使用すれば、反応器内の混合状態を改善し、反応管半径方向の組成分布及び熱分布を均一化することができる。スタティックミキサーは、反応管全体に使用しても、反応管の一部分に使用しても良く、反応管の一部分に使用する場合は、反応器入口近傍、中間部分、出口近傍の何れの場所に設置してもよい。
重合触媒及び/又は有機アルミニウム化合物などの助触媒は、予め反応溶媒に希釈してから反応器に投入でき、これらの少なくとも1種又は2種以上を管型連続式反応器内の複数の個所から分割投入することが好ましい。
【0071】
一方、槽型反応器を使用する場合、反応器内の混合状態を改善し槽内の組成分布及び熱分布を極力均一化するため、槽内の円周方向のみならず上下方向の流れも良好となるような構造を有する攪拌翼を用いて攪拌を行うことが望ましい。そのためには、最大上昇流速度係数が翼先端速度の15%以上となるような攪拌方式を選択することが好ましい。
また、外部循環式ポンプを用いて攪拌し、反応溶液を循環し、必要に応じて反応器外部でも反応熱を除去してもよい。反応器内に重合反応開始後から触媒成分などを連続的又は間歇的に分割投入することが好ましい。
【0072】
反応温度が極力変化しないように制御するため、前記管型又は槽型反応器がジャケット型構造を有し、ジャケット内に熱媒を流通して反応熱を除去することにより反応温度制御を行う形式であることが好ましい。
使用する熱媒は、運転操作中に低温析出が生じないよう融点が反応温度より20℃以上低いことが望ましく、熱除去効率が良好となるよう比熱が25℃で1000J/kg/K以上、熱伝導度が25℃で0.05W/mK以上であることが望ましい。
また、熱媒の粘度が高いと熱媒循環エネルギーが多く必要となり、かつ熱媒が移動する際の摩擦熱が高まることから、動粘度が20℃で1cSt以下、−50℃で5cSt以下であることが好ましく、20℃で0.5cSt以下、−50℃で10cSt以下であることがより好ましい。また、作業性の観点から大気圧下での沸点が40℃以上であることが好ましい。
【0073】
(e)重合条件
重合では、反応温度、原料オレフィンのモノマー濃度、及び触媒濃度の条件が反応活性、生成するポリオレフィンの分子量及び分子量分布に大きく影響を与える。これら重合条件は、どの触媒を用いるかによって異なり、前記▲1▼〜▲7▼の重合触媒の箇所で説明した通りである。
反応器内の温度分布及び各成分濃度分布は、反応器内の攪拌状態を常に良好に保つ事により、重合反応中において一様に保つことが望ましい。重合反応開始後の反応器内の温度分布は、10℃以内、好ましくは5℃以内であり、特に2℃以内に保つことが好ましい。
また、重合は発熱反応であることから、反応温度を意図的に制御しないと、回分式では経時的に、管型連続式では流路方向の下流側に進むにつれ液温が増加する。反応温度が意図しない範囲まで変化すると、反応活性や生成するポリオレフィンの分子量及び分子量分布に大きく影響を与える。また、反応温度が急激に上昇すると反応が暴走する恐れもある。従って、回分式では経時的な温度変化が、管型連続式では流路方向の各所で温度差を10℃以内、好ましくは5℃以内、特に2℃以内に保つことが好ましい。
【0074】
反応原料であるオレフィン濃度は、反応の進行とともに低下するので、オレフィンを重合開始後から連続的又は間歇的に分割投入することが好ましい。この操作は、反応温度の一定化と生成物であるポリオレフィンの物性を詳細に制御するのに有益である。
有機アルミニウム化合物及びその他の触媒成分は、反応の進行とともに変質し活性が低下する。そこで、それらの少なくとも1種以上を重合開始後から連続的又は間歇的に分割投入することが好ましい。この操作も、反応温度の一定化と生成物であるポリオレフィンの物性を詳細に制御するのに有益である。
【0075】
(f)重合停止剤
重合反応は、重合停止剤を添加して停止させることができる。重合停止剤としては、へテロ原子を含む炭素数1〜10の化合物、例えばアルコール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、アミン、アミド、イソシアネート、スルホン酸、チオール、りん酸等の誘導体を用いることが出来る。活性水素を有する化合物が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類がより好ましい。
重合停止剤は、さらに重合が継続しないように触媒成分を失活させ、かつ反応溶液中に存在するポリオレフィンを析出させないような量を添加する。
重合停止剤の投入に当たっては、反応溶液を良く攪拌して、多量の反応溶液全体と重合停止剤を短時間に混合せしめることにより、部分的に重合停止剤が高濃度の状態で反応溶液に接触して、反応溶液中に存在するポリオレフィンを析出させないよう注意する。
また、重合停止剤を原液で投入すると、重合停止剤が高濃度の状態で反応溶液に接触するため、予め重合停止剤を反応溶媒で希釈しておくことが望ましい。希釈割合に特に制約は無いが、例えば重合停止剤と溶媒の重量比を5:1乃至1:10の範囲とする。
重合停止剤は、重合反応器に直接添加してもよいが、重合反応溶液を反応器から抜き出した後に添加してもよい。但し、異なった反応条件でポリオレフィンが生成することを極力避けるため、重合反応終了後、反応溶液の温度が重合反応終了時より5℃以上、好ましくは3℃以上、上昇又は低下する前に、反応溶液中に存在するポリオレフィンを析出させない量の重合停止剤を添加する。
未反応のα−オレフィンは、重合反応の停止後、反応器内圧力を低下し、及び/又は反応溶液温度を上昇させることにより、揮発させて除去する。未反応α−オレフィンが後段の触媒成分の析出分離操作時に揮発すると、操作性・作業性を悪化させることがある。
また、後段の触媒成分の不溶化及び除去操作時の作業性を向上させる目的で、重合停止後に反応溶液の粘度を20℃で2〜2000cP、好ましくは10〜1000cP、特に好ましくは30〜500cPになるよう、溶媒を除去もしくは添加して調製することが好ましい。
【0076】
本発明の方法では、後述する触媒成分の除去を行わずに、引き続き、得られたポリオレフィン溶液に変性剤、ラジカル反応開始剤を添加して変性ポリオレフィン溶液を製造することも可能である。
【0077】
(PO1)ポリオレフィン
上記によって、炭素数が2〜8のα−オレフィンの1種又は2種以上が重合し、ポリオレフィン(PO1)が生成する。
【0078】
すなわち、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、さらにこれらを1つのセグメントとするブロック共重合体などを得ることができる。なお、エチレンあるいはブテンの含量は10モル%未満が好ましい。
重量平均分子量(Mw)は、2,000〜600,000であり、特に5,000〜400,000が好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は1.01〜3.0であり、好ましくは1.01〜2.0、特に1.01〜1.5が好ましい。
このポリオレフィンは、溶媒に溶解した溶液状態又はスラリー状態で存在しており、13C−NMRで測定したラセミダイアド分率[r]は、0.12〜0.88である。好ましくは0.51〜0.88であり、より好ましくは0.54〜0.84である。
【0079】
尚、本発明で規定したラセミダイアド分率[r]は、当業者に周知の方法、即ち13C−NMRで測定した立体規則性の構造に起因するピーク強度の積分値から得ることができる。
また、このポリオレフィンは、結晶融解熱量が20J/g以下、沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分が70重量%以下のポリオレフィンである。
【0080】
(ii)変性工程
変性反応は、連続式、回分式及びそれらを組み合わせた方式のいずれで行ってもよく、したがって、反応器は前記重合反応と同じく、管型、槽型の何れを用いてもよい。管型連続式反応器では、変性剤又はラジカル反応開始剤の少なくとも1種を反応器内の複数の個所から分割投入できる。
【0081】
ラジカル変性反応を2段以上の槽型連続式反応器を用いて行い、各段の少なくとも一部に下記で詳述する変性剤又はラジカル反応開始剤の少なくとも1種を追加できる。槽型回分式反応器を用いて行う場合は、反応装置内にラジカル変性反応開始後から連続的又は間歇的に分割投入することができる。
変性反応は多段で行っても良く、その際には各反応器及び反応形式を適宜組み合わせて使用する。
【0082】
変性反応は、0〜200℃、好ましくは50〜180℃の温度範囲で行う。0℃未満では反応速度が遅く、一方、200℃を超えるとポリオレフィンの分子鎖が切断されるので好ましくない。変性反応の反応温度は、変性反応中に同一温度で維持してもよいし変化させてもよい。
また、反応時間は1分以上、好ましくは5分〜10時間、特に好ましくは10分〜5時間である。反応時間が長いほど、ポリオレフィンへの変性剤の導入量が向上する。
変性反応は、大気圧で行ってもよいが、その場合、変性剤、ラジカル反応開始剤、及び/又は反応溶媒の沸点が反応温度に近いと、槽型反応器を用いる場合には反応器上部に凝縮器を設置する必要が生じる、また管型反応器を用いる場合には、反応器内部で反応溶液成分の一部が部分的に気化して気泡を発生し、反応効率及び伝熱効率を低下させる。
変性剤の沸点が反応温度より低い場合、大気圧では反応を行う事が出来ない為、反応温度の上限が反応溶液成分の沸点で制限されてしまう。また、変性剤が昇華性を示す場合、槽型反応器を用いると、凝縮器があっても変性剤が反応系外に揮散してしまう問題が生じる。従って、変性反応は、大気圧より高い圧力で行うことが好ましい。
【0083】
変性剤を2種類以上使用する場合、複数の変性剤を同時に反応溶液に添加しても、別々に添加してもよい。例えば、相対的に変性反応速度の遅い変性剤を変性反応の初期に添加し、ある程度反応を進行させた後に変性反応速度の速い変性剤を添加すること、あるいは、変性反応条件下で比較的安定でポリオレフィンヘの変性以外の反応が起こりにくい変性剤を、変性反応開始の段階で全量一度に添加し、変性反応条件下では比較的不安定でポリオレフィンヘの変性以外の反応を起こして消費され易い変性剤を、その後、連続的に又は逐次的に分割して投入することもできる。
また、反応溶液を変性反応温度まで昇温する前に、どちらか一方の変性剤のみを添加しておき、所定の温度になってから他方の変性剤を添加してもよいし、反応溶液を変性反応温度まで昇温した後に、両方を同時又は逐次的に添加してもよい。
ラジカル反応開始剤は、変性剤と同様にその必要量の全量を一度に添加しても、複数回に分割して添加してもよい。変性反応に回分式反応器を用いる場合には、変性剤及びラジカル反応開始剤の両方を連続的に投入しても、どちらか一方を連続的に投入し、他方を必要量の全量を一度に添加するか複数回に分割して投入しても良い。
変性反応に最適なポリマー濃度は、使用する変性剤や変性温度、目的とする変性率等によって異なる。そのため必要であれば、重合停止剤や水酸基を有する化合物の除去操作と同時に、又は除去操作終了後に、引き続き溶媒を留去し、ポリオレフィン反応溶液を濃縮する操作を行ってもよい。
【0084】
変性反応を行う際に、変性剤の重合度を調節するために、必要であれば連鎖移動調節剤を添加してもよい。連鎖移動調節剤を添加すると、変性剤の重合度が低下するとともに鎖長を均一化することが出来る。
連鎖移動調節剤としては、反応条件下において該変性剤の重合度を制御できる化合物であれば制限されないが、代表例としてはt−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、ビス−2−アミノジフェニルスルフィド等のジスルフィド類などが挙げられる。
【0085】
一方、高温で変性反応を行う際に、ポリオレフィンの分解反応を抑制するために、必要であれば酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤は、反応条件下でラジカル補足剤及び/又は過酸化物分解剤として作用し、変性反応時にポリオレフィンが熱酸化して劣化することを防止する。
酸化防止剤としては、反応条件下においてポリオレフィンの分解反応を抑制できる化合物であれば制限はない。しかし、ポリオレフィン溶液中にチタン及び/又はバナジウムのイオン及び/又は化合物が含まれる場合に、フェノール性水酸基を有する酸化防止剤を使用すると、キノン化合物のごとき発色団を形成し、変性ポリオレフィン溶液が着色する可能性があるので注意が必要である。
好適な酸化防止剤の代表例としては、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルフォスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン等のフォスファイト類、ジステアリルチオジプロピオネート等のチオエーテル類などが挙げられる。
【0086】
(g)変性剤
ポリオレフィン溶液に添加する変性剤としては、下記の一般式(A)、(B)で示される化合物、ジカルボン酸及びジカルボン酸無水物から選ばれた1種又は2種以上が用いられる。
【0087】
一般式(A)
【化9】
【0088】
一般式(A)中、R1はH又はC1〜10のアルキル基;R2はOR4、Cl、Br、F若しくはIから選択されるハロゲン、NR1 2又はR5−NR1 2基;R3はH、又は−COR2基である。ここで、R4はH、又はハロゲンを有しうるC1〜10のアルキル基;C1〜10のアルキル置換基を有しうる芳香族基;−(CH2)a−O−P(O)(OR1)2、又は−(CH2)a−O−P(O)(O−)(O−(CH2)b−N+R1 3(a及びbは夫々1〜5の整数);Li、Na、又はKから選択されるアルカリ金属M;C5〜10の脂環式炭化水素;グリシジル基;R5−COCR1=CH2;R5OR1;R5Si(OR1)3、或いはR5―NCOを示し、また、R5はC1〜10のアルキレン基若しくは−[(CH2)q−O−]r−であり、q及びrは夫々1〜5の整数を示す。
【0089】
一般式(B)
【化10】
【0090】
一般式(B)中、R6はH、若しくはC1〜10のアルキル基、又はCl、Br、F若しくはIから選択されるハロゲン;R7はAr−X’、OCO−R6、CHO、COR6、CN、ピリジル基、ピロリドニル基、Si(OR1)3、C1〜10のハロゲン化アルキル、ハロゲン、OR6、OSO3M或いはNH−CO−R6である。ここで、X’はR6、OH、COOH、NH2、CN、NO2、C1〜10のハロゲン化アルキル、CH=CH2、又はOCO−R6のいずれか、R1はH、又はC1〜10のアルキル基、Mは前記のアルカリ金属である。
【0091】
一般式(A)で表される化合物として、(メタ)アクリル酸の他に、(メタ)アクリル酸の誘導体として、例えば、次のようなものが挙げられる。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、トリフェニルメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、トリフェニルメチルメタクリレートなどのアルキルエステル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジルエステル;アクリル酸ナトリウム塩、アクリル酸カリウム塩、アクリル酸リチウム塩、メタクリル酸ナトリウム塩、メタクリル酸カリウム塩、メタクリル酸リチウム塩などの(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩;アクリル酸クロリド、アクリル酸ブロミド、α−クロロ−メチルアクリレート、メタクリル酸クロリド、メタクリル酸ブロミド、α−クロロ−メチルメタクリレートなど(メタ)アクリル酸のハロゲン化物;アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N一ジイソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリル酸誘導体;エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−へキサンジオールジメタクリレート、などのジ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレートなどのOH基又はアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸誘導体;2−イソシアナートエチルメタクリレート、2−イソシアナートエチルアクリレートなどのイソシアナート基含有(メタ)アクリル酸誘導体;エチレングリコールメタクリレートホスフェート、2−メタクリロイロキシエチルホスホリルコリン、等のP含有(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。さらに、他のP含有(メタ)アクリル酸誘導体としては、CH2=C(CH3)CO−O−CH2−CH2(CH2Cl)−O−PO(OH)2、CH2=C(CH3)CO−O−CH2−CH2−O−PO(OH)−O−NH3(CH2CH2OH)、なども挙げられる。
本発明において、一般式(A)で表される化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのアルキルエステル、グリシジルエステル、及びOH基又はアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸誘導体が好ましい。
【0092】
また、一般式(B)で表される化合物としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル化合物;塩化ビニル、臭化ビニル、ふっ化ビニル、よう化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、ビニルスルホン酸カリウム塩、ビニルスルホン酸リチウム塩、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ビニルピリジン、N−ビニルピリジン、ビニルピロリドン、アクロレイン、メチルビニルケトン、イソブチルビニルケトン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルアセトアミド、N−ビニルアセトアミド、アリルクロリドなどのビニル化合物;スチレン、ヒドロキシスチレン、アミノスチレン、ジビニルベンゼン、ビニル安息香酸、シアノスチレン、ニトロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アセトキシスチレン、p−ジメチルアミノメチルスチレンなどのスチレン誘導体。
本発明において、一般式(B)の化合物としては、スチレン誘導体が特に好ましい。
【0093】
また、ジカルボン酸としては、マレイン酸、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、ビニルマレイン酸、アリルコハク酸など不飽和脂肪族ジカルボン酸、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジエチルなどの不飽和脂肪族ジカルボン酸エステル等の誘導体、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロテレフタル酸などのシクロアルケンジカルボン酸及びそれらの誘導体を用いることができる。さらに、ジカルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸等のジカルボン酸無水物を用いることができる。
【0094】
また、例えば、変性剤として無水マレイン酸を用いる場合、無水マレイン酸は融点が60℃と低く、かつ昇華性なので、ホッパーを使って無水マレイン酸を固体で投入するようなプロセスを組むと、ホッパー周りで無水マレイン酸が固着し反応器への投入が困難となる場合がある。従って、無水マレイン酸は、予め溶媒に溶解するか又は加熱溶融して液状としたものを反応器に添加することが好ましい。
さらに、固体状の無水マレイン酸、加熱溶融して液状化した無水マレイン酸、無水マレイン酸を溶媒に溶解した溶液を相対温度が50%以下の状態で保存した後に、反応器に添加することが好ましい。
【0095】
(h)ラジカル反応開始剤
ラジカル反応開始剤としては、アゾ系化合物や有機過酸化物が用いられる。一般にラジカル重合における反応開始剤として用いられているものは何れも使用することが出来る。
【0096】
しかしながら、高温になるほどラジカル反応開始剤の半減期が短くなる為、低温で半減期が短いラジカル反応開始剤を高温変性反応に用いると、反応系内のラジカルが直ぐに消失してしまい変性効率が低下する。また、高温でも半減期の長いラジカル反応開始剤を低温変性反応に用いると、反応系内にラジカルがなかなか生成せず変性効率が低下する。
従って、変性反応を行う温度によりラジカル反応開始剤を適宜選択する事が好ましい。ラジカル反応開始剤の選択に当たっては、変性反応温度における半減期が0.5〜60分の範囲にあることが好ましく、2〜30分の範囲にあることがより好ましい。
ラジカル反応開始剤は、1種類のみを使用しても2種類以上を使用しても良い。2種類以上を使用する場合、複数のラジカル反応開始剤を同時に反応溶液に添加しても別々に添加してもよい。例えば、半減期の長いラジカル反応開始剤を変性反応開始の段階で全量を一度に添加し、その後半減期の短いラジカル反応開始剤を連続的に又は逐次的に分割して投入してもよい。
ラジカル反応開始剤の添加量は、ポリオレフィンに対して、0.05〜50wt%が好ましく、0.1〜30wt%がより好ましく、さらには1〜10wt%が特に好ましい。0.05wt%未満では変性効率が低く、未反応のまま反応系に残存する変性剤量が多くなり、変性後に変性ポリオレフィン溶液の精製を行わない場合に、接着性や接着強度の耐久性が低下する原因となり、変性後に変性ポリオレフィン溶液の精製を行う場合には、精製工程の経済性が悪化する。50wt%を超えると、ポリオレフィンの変性度が低下するとともに、変性反応条件下でポリオレフィンの分子量低下を促進する。
【0097】
ラジカル反応開始剤の好適な代表例としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、1,1−ビス−第三級−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン等のパーオキシエステル、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等のジフェニルブタン類、t−ブチルパーオキシエチルヘキサノエートがあげられる。
【0098】
また、触媒成分の除去は後述するが、変性前に触媒成分を除去したポリオレフィン反応溶液には、重合停止剤が含まれ、場合によっては水酸基を有する化合物が含まれている。これらの化合物は、変性工程で使用する変性剤と反応してしまい、ポリオレフィンの変性効率を下げる場合がある。従って、変性工程前に重合停止剤や水酸基を有する化合物を蒸留等によりポリオレフィン反応溶液から除去しておくことが好ましい。
【0099】
変性反応終了後の反応溶液は、必要に応じて溶媒を添加し、あるいは常圧又は減圧で溶媒を留去し、変性ポリオレフィン濃度を調節してもよい。
また、反応溶液に、反応溶媒より低極性な溶媒を添加し、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸、及び/又はフマル酸等の未反応の固体状変性剤及び/又は該変性剤誘導体を析出させ、析出物を固液分離で除去することができる。
【0100】
(PO2)変性ポリオレフィン
上記の変性反応によって、前記ポリオレフィン(PO1)を、前記変性剤ユニットで変性した変性ポリオレフィン(PO2)を製造することができる。すなわち、種々の用途に有用な機能性が高い変性ポリオレフィンの溶液を、効率良く簡便なプロセスで経済的に製造することができる。
【0101】
本発明により製造された変性ポリオレフィンは、変性剤がポリオレフィン主鎖に対してグラフト結合している。
本発明において、ポリオレフィンへの変性剤の導入量、すなわち変性量は、ポリオレフィン1分子鎖当り、変性剤モノマーが0.5〜100個、好ましくは1〜50個導入されている。
【0102】
(iii)触媒の除去工程
ポリオレフィンを含む反応溶液から触媒成分を除去する工程には、(a)触媒を不溶化する工程と、(b)不溶化した触媒を除去する工程がある。(a)触媒の不溶化工程には、水酸基を有する化合物を添加し、触媒成分のみを不溶化させる方法、又は吸着剤に吸着させる方法のいずれかが採用される。
【0103】
(a)触媒の不溶化
触媒は、ポリオレフィン反応溶液に水酸基を有する化合物を添加すれば、多価金属イオンの形で存在する触媒金属成分が不溶化して析出するので、ポリオレフィンを析出させないで固液分離により分離除去できる。
【0104】
本発明で用いる水酸基を有する化合物としては、例えば、水、アルコール、多価アルコール、カルボン酸から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。これら水酸基を有する化合物の中でも、重合停止剤と同一の化合物を選択することが好ましい。これは同一化合物を用いることにより、溶媒貯蔵タンクや溶媒精製用蒸留設備が共用でき、プロセスの簡略化に繋がるからである。
【0105】
上記アルコールとしては、炭素数1〜10の脂肪族アルコールが好ましく、より好ましくは炭素数1〜6の脂肪族アルコールであり、さらに好ましくは炭素数1〜4の脂肪族アルコールであり、特に好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロパノール及びブタノールである。アルコールは、重合反応において触媒を失活させる反応停止剤としても用いられるが、反応溶液中に添加することで触媒を不溶化させることができる。
【0106】
また、多価アルコールとしては、炭素数1〜5のグリコールが好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられ、3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、エリトリトール、ペンタエリトリトール等が挙げられる。
【0107】
さらに、上記カルボン酸としては、脂肪族モノカルボン酸、多価カルボン酸が挙げられ、具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等が挙げられる。
【0108】
水酸基を有する化合物の添加量は、水酸基を有する化合物の種類、触媒の種類、反応溶媒の種類、反応溶液中に存在するポリオレフィンの濃度等によって変える必要があり、反応溶液中のポリオレフィンが析出しない量であって、反応溶液が2層に分離しない量が好ましい。
好ましくは反応溶液中のベンゼン、トルエン、キシレン等の溶媒量に対して、1〜100重量%、より好ましくは3〜25重量%、特に好ましくは4〜15重量%である。水酸基を有する化合物の添加量が上記範囲未満であると触媒成分の析出が十分でなく、上記範囲を超えるとポリオレフィンが析出するようになり好ましくない。
【0109】
触媒の不溶化においては、水酸基を有する化合物の他に、必要に応じて、ポリオレフィン反応溶液へアルカリ成分を添加することができる。アルカリ成分を添加すれば、重合触媒の成分中にハロゲンが含まれる場合に、そのハロゲンを除去することができる。
アルカリ成分としては、金属アルコラート、アルカリ金属水酸化物等を挙げることができる。具体的な化合物としては、例えば、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、カリウムメトキサイド、カリウムエトキサイド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。これらの化合物は、メタノールやエタノールの溶液として反応溶液に添加される。
【0110】
このアルカリ成分の添加は、ポリオレフィン反応溶液へ上記水酸基を有する化合物を添加する前であっても良いが、水酸基を有する化合物を添加する後又は同時が好ましく、アルカリ成分と水酸基を有する化合物とを同時に添加するのが特に好ましい。アルカリ成分の添加量は、ポリオレフィン反応溶液のpHが5以上になれば特に制限はない。添加量の上限は、反応溶液がpH9になるような量であり、好ましくは反応溶液がpH8になるような量であり、より好ましくは反応溶液がpH7になるような量である。
【0111】
水酸基を有する化合物を添加して、触媒成分を不溶化・沈殿し析出させるには、以下の条件にするのが好ましい。
添加・混合時間は、1分以上が好ましく、より好ましくは3分以上、特に好ましくは5分以上である。混合時間が1分未満では、触媒成分を不溶化することができない。
混合温度は、用いる水酸基を有する化合物の種類にもよるが、室温〜120℃、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜80℃である。混合温度が室温未満では触媒成分を不溶化・析出する反応が極めて遅く、120℃を超えると触媒成分の不溶化反応が十分に進行しない。例えば、水酸基を有する化合物としてメタノールを用いた場合は、55℃以上になると蒸発が激しく、沈殿の生成が十分に進行しない。
【0112】
一方、ポリオレフィン反応溶液に吸着剤を接触させる方法は、ポリオレフィンを析出させないで、多価金属イオンの形で存在する触媒成分を吸着剤に吸着し、固液分離により分離除去する方法であり、固液分離操作の少なくとも一部を濾過法及び/又は遠心分離法を用いて行うことができる。
【0113】
吸着剤としては、高分子凝集剤、イオン交換樹脂、キレート樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0114】
上記高分子凝集剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性の高分子凝集剤のいずれも使用できる。
アニオン性高分子凝集剤としては、アルギン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、アクリルアミドとアクリル酸ソーダ共重合物、ポリアクリルアミド部分加水分解物等が挙げられる。
カチオン性高分子凝集剤としては、水溶性アニリン樹脂塩酸塩、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、キトサン、ヘキサメチレンジアミン、エピクロロヒドリン重縮合物、ポリビニルイミダゾリン、ポリアルキルアミノアクリレート、ポリアルキルアミノメタクリレート、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物等が挙げられる。
ノニオン性高分子凝集剤としては、ポリアルキルアミド、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
【0115】
高分子凝集剤は、粘度が1000cp以下の水溶液の状態でポリオレフィン反応溶液に添加して用いるのが好ましい。その際の水溶液の濃度は、0.01〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2重量%、特に好ましくは0.1〜1重量%である。
【0116】
高分子凝集剤とポリオレフィン溶液とは、高分子凝集剤をポリオレフィン溶液へ添加し、攪拌して接触させる。高分子凝集剤の添加量は、重合触媒の種類、反応溶媒の種類、反応溶液中に存在するポリオレフィンの濃度等によって異なるが、ポリオレフィン反応溶液に対して、上記水溶液として、0.2〜40体積%が好ましく、より好ましくは0.5〜20体積%、特に好ましくは0.5〜10体積%である。高分子凝集剤の水溶液添加量が上記範囲未満であると、触媒成分の吸着が十分でなく、上記範囲を超えるとポリオレフィンが析出するようになり好ましくない。
【0117】
上記イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、両性イオン交換樹脂が挙げられるが、本発明においては、陽イオン交換樹脂が好ましく、特に強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。強酸性陽イオン交換樹脂は、ポリスチレン母体構造にスルホン酸基を結合させたものであって、ポリオレフィン溶液中に存在する触媒金属多価イオンを吸着しやすい。
【0118】
イオン交換樹脂とポリオレフィン溶液とは、イオン交換樹脂をポリオレフィン溶液へ添加し攪拌して接触させる。イオン交換樹脂のポリオレフィン溶液への添加量は、重合触媒の種類、反応溶媒の種類、反応溶液中に存在するポリオレフィンの濃度等によって異なるが、ポリオレフィン溶液に対して、0.2〜40体積%が好ましく、より好ましくは0.5〜35体積%、特に好ましくは0.5〜25体積%である。イオン交換樹脂の添加量が上記範囲未満であると、触媒金属成分の吸着が十分でなく、上記範囲を超えても吸着効果は向上せず、不経済である。
【0119】
上記キレート樹脂は、遷移金属、アルカリ土類金属などの金属イオンとキレートを形成する樹脂で、溶液中の重金属を選択的に吸着除去できる樹脂である。本発明においては、主にポリスチレン母体構造にイミノジ酢酸基、ポリアミン基を結合させたキレート樹脂を用いるのが好ましい。
【0120】
キレート樹脂とポリオレフィン溶液とは、キレート樹脂をポリオレフィン溶液へ添加し攪拌して接触させる。キレート樹脂のポリオレフィン溶液への添加量は、重合触媒の種類、反応溶媒の種類、反応溶液中に存在するポリオレフィンの濃度等によって異なるが、ポリオレフィン溶液に対して、0.2〜40体積%が好ましく、より好ましくは0.5〜20体積%、特に好ましくは0.5〜15体積%である。キレート樹脂の添加量が上記範囲未満であると、触媒成分の吸着が十分でなく、上記範囲を超えても吸着効果は向上せず、不経済である。
【0121】
吸着剤としては、上記の他に、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸架橋ビーズ等を挙げることができる。
【0122】
吸着剤を添加する際、必要に応じて、ポリオレフィン溶液へ界面活性剤を添加することができる。特に、水溶液で添加する吸着剤(例えば、高分子凝集剤)を添加する際に界面活性剤を加えると、反応溶液との混合が促進され、その結果速やかに触媒成分を吸着することができる。
【0123】
上記界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、ノニルフェノール系、アルキルフェノール系、高級アルコール系、ポリアルキレングリコール系(EO/PO系)、脂肪酸エステル系、アルキロールアミド系、アルキルアミドEO付加体、アルキルアミンEO/PO付加体、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0124】
界面活性剤の添加量は、ポリオレフィン溶液に対して、0.001〜1体積%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.8体積%であり、特に好ましくは0.05〜0.5体積%である。界面活性剤の添加量が上記範囲未満では吸着剤含有水溶液とポリオレフィン溶液との混合を促進できず、上記範囲を超えると最終製品に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0125】
ポリオレフィン溶液へは吸着剤とともにアルカリ成分を添加できる。アルカリ成分の添加は、吸着剤を添加した後でも良いが、アルカリ成分を先に添加するのが好ましい。アルカリ成分の添加量は、ポリオレフィン溶液のpHが5以上になる量であれば特に制限はない。添加量の上限は、反応溶液がpH9になる量であり、好ましくは反応溶液がpH8になる量であり、より好ましくは反応溶液がpH7になる量である。
【0126】
吸着剤をポリオレフィン溶液へ添加し、溶液を攪拌して触媒成分を吸着させる場合は、以下の条件にするのが好ましい。
吸着剤の添加温度は、0〜70℃が好ましく、より好ましくは5〜60℃、特に好ましくは10〜50℃である。また、攪拌・混合時の温度は、用いる吸着剤の種類にもよるが、0〜60℃、好ましくは5〜50℃、より好ましくは10〜40℃である。混合時の温度が0℃未満では触媒成分の吸着反応が極めて遅く、60℃を超えると触媒成分が充分に吸着されない。さらに、攪拌混合時間は、攪拌速度にもよるが、1分〜5時間が好ましく、より好ましくは5分〜2時間、特に好ましくは10分〜1時間である。攪拌・混合時間が1分未満では吸着が進行せず、長すぎると一旦吸着した金属イオンが脱離する恐れがある。
【0127】
吸着剤として、イオン交換樹脂、キレート樹脂、ポリアクリル酸架橋ビーズ等を用いる場合は、上記吸着条件に記載したような攪拌混合処理を行うことなく、カラムに充填したイオン交換樹脂、キレート樹脂、ポリアクリル酸架橋ビーズ等に直接、ポリオレフィン溶液を流通させて触媒成分を吸着させ、ポリオレフィン溶液を精製処理することができる。カラムを流通させる時の温度は、0〜70℃が好ましく、より好ましくは5〜60℃、特に好ましくは10〜50℃である、また、流通時間は、空間速度にして0.01〜5h−1が好ましく、より好ましくは0.1〜4h−1であり、特に好ましくは0.5〜3h−1である。
【0128】
なお、触媒成分の不溶化は、用いる触媒によっては、例えば前記▲1▼〜▲7▼の触媒を担体に担持して使用した場合は、溶液に溶解せずに不溶化しているので省略することができる。
【0129】
(b)触媒成分の除去
本発明においては、上記のような条件で触媒成分を不溶化した後、これを反応溶液から除去する。除去方法は、特に限定されず、液体と固体を分離する濾過方法、遠心分離法、デカンテーション法等の各種の分離方法を用いることができる。
【0130】
上記濾過方法としては、加圧濾過法、減圧濾過法、遠心濾過法のいずれの濾過方法も用いることができ、2種類以上の方法を組み合わせてもよい。濾材としては、濾紙、濾布、メンブランフィルター、焼結金属等を用いることができる。濾布の素材は、反応溶液との接触により溶解したり、大きく膨潤したり、強度が大きく低下したりしないものであれば、特に制限は無い。通常、綿製やポリエステル製のものを用いることが出来る。
また、濾過温度は、室温〜80℃、好ましくは30〜75℃、より好ましくは40〜70℃である。濾過温度が室温以下では、反応溶液の粘度が高く、濾過効率が悪い。温度を高くすると溶液の粘度が低くなり、濾過速度が向上する。加圧下においては、反応溶媒の沸点以上でも濾過することができる。また、濾過圧力は、濾過器、濾紙などの性状によるが、濾過の具合を見ながら、徐々に加圧していく方法が好ましい。例えば、濾紙を用いた濾過方法であれば、最終的には最高圧が400kPaG以下、好ましくは300kPaG以下となる条件が好ましい。
【0131】
さらに、濾過処理を促進させるために濾過助剤を用いることができる。濾過助剤としては、特に制限はないが、例えば、珪藻土、セルロース、アスベスト、セライト、パーライト、珪藻土、白土、シリカ、又はアルミナから選ばれた1種以上を用いることができ、セルロースであれば、例えば微小繊維状セルロースを用いることができる。濾過助剤の添加量は、ポリオレフィン溶液に対し、0〜25重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜15重量%である。
【0132】
濾過法にあっては、濾過助剤を濾過開始前に濾布上にプレコートしておくと、濾布が早期に目詰まりすることを防止出来る。プレコート層の厚みは、濾布上に濾過助剤がほぼ均一な厚みに分散される量以上で、濾過速度を低下させない厚み以下であれば特に制限は無いが、好ましくは0.5〜30mm、より好ましくは1.5〜10mmの範囲で行う。
プレコート操作は、溶媒に濾過助剤を添加し、均一に懸濁させた懸濁液を調製し、濾過器の下流側を閉止して、濾液が濾過器から出ないような状態で懸濁液を徐々に濾過器に投入するか、懸濁液を濾過器に投入し、濾過器内で攪拌を行った後に濾過を行うことにより、濾過助剤が濾布上に均一な厚みに分散されるようにする。また、プレコート操作を行った場合、反応溶液を投入する際に濾布上の一部の面に急激な衝突をするような形式を採ると、プレコート層が局部的に剥がれてプレコート層の効果が著しく低下することから、プレコート層が局部的に剥がれる事が生じないよう、設備面及び/又は作業面での注意を必要とする。
濾布上の堆積物を掻き取り操作等で連続的に除去しない場合、濾過操作の進行とともに濾布上への堆積量が徐々に増加し、濾過速度が徐々に低下する。このような場合、濾過助剤を反応溶液に予め添加し、均一に混合した後に濾過器に投入して、濾過操作を行うと、濾過速度の低下を抑制する事が出来る。
【0133】
上記遠心分離法は、遠心力により分離する方法であれば特に制限はないが、例えば、1000G以上、好ましくは3000G以上、より好ましくは5000G以上の遠心力を与える方法を用いる。遠心時間は、遠心力にもよるが、例えば、1分〜3時間、好ましくは5分〜2時間、より好ましくは10分〜1.5時間である。遠心分離の温度は、ポリオレフィン反応溶液の溶媒の沸点以下であれば特に制限はないが、0〜70℃、好ましくは5〜60℃、より好ましくは10〜50℃である。
【0134】
上記デカンテーション法は、ポリオレフィン溶液中に沈降した触媒成分を反応溶液から静置分離する方法であって、触媒成分が完全に沈降するまで静置した後、ポリオレフィン溶液の上澄み液のみを流出して回収する方法である。なお、上澄み液側にコロイド状の沈殿物等が存在する恐れがある場合は、上澄み液を更に濾過方法、遠心分離法等で処理することにより完全に沈殿物を除去するのが好ましい。
【0135】
(iv)未反応変性剤及び変性剤誘導体の除去
前記(ii)の変性工程で得られた変性ポリオレフィン溶液は、未反応の変性剤や変性剤誘導体を含むことがあるので、適宜精製することが好ましい。ここで変性剤誘導体とは、主に変性剤のオリゴマーやポリマーをいう。
【0136】
未反応変性剤及び変性剤誘導体は、本発明で製造される変性ポリオレフィンより高極性の化合物である。従って、より高極性の溶媒を用いることにより、変性ポリオレフィンを析出させることなく、未反応変性剤及び/又は該変性剤誘導体を容易に抽出除去できる場合もある。
【0137】
抽出除去に用いる溶媒は、反応溶媒への溶解度が低い化合物でなければならない。抽出溶媒は、反応溶媒100gへの溶解度が20℃で30g以下であることが好ましく、10g以下であることがより好ましい。また、本発明で製造される変性ポリオレフィンが抽出溶媒中に易溶な場合、抽出操作により変性ポリオレフィンも除去されてしまうため、抽出溶媒は、変性ポリオレフィンへの溶解度が低い化合物でなければならない。
抽出溶媒は、反応溶媒100gへの変性ポリオレフィンの溶解度が20℃で5g以下であることが好ましく、2g以下であることがより好ましい。好適な抽出溶媒は、反応溶媒の種類によって異なるが、代表例は、N−メチルピロリドン、水等である。
抽出操作を行う際に、変性ポリオレフィン溶液に対する抽出溶媒の量が多すぎると、変性反応終了後の反応溶液に溶解している変性ポリオレフィンの一部が析出する恐れがある。この場合、反応溶媒に溶解したまま回収される変性ポリオレフィンの量が低下してしまう。また、析出した変性ポリオレフィンは、粘着性の高い水飴状であることから抽出操作を行う装置内の壁面等に付着し、操作性・作業性を著しく低下させる。従って、抽出溶媒と変性反応終了後の反応溶液との比が高くなりすぎないようにする。
抽出操作を行う際、エマルジョンやフォーミングの発生を抑制するため、2−プロパノール等のエマルジョンブレーカーの役割を果たす化合物を少量添加してもよい。
【0138】
変性ポリオレフィン溶液に残留している未反応の変性剤及び変性剤誘導体は、溶液を減圧下で加温し、蒸発又は昇華させることにより分離除去することもできる。
変性剤に無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の固体状変性剤を用いた場合、変性反応後の反応溶液の組成によっては、反応溶液の温度を反応温度から室温又は室温以下の温度に低下するのみで、未反応固体状変性剤及び/又は該変性剤誘導体が析出する場合がある。このような場合は、析出した未反応固体状変性剤及び/又は該変性剤誘導体を、デカンテーション法や濾過法、遠心分離法などにより固液分離し除去することができる。
【0139】
変性剤に無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の固体状変性剤を用いた場合、変性反応後の反応溶液に、反応溶媒よりもさらに極性の低い溶媒を添加すると、未反応の固体状変性剤及び/又は変性剤誘導体が析出する。従って、これらは反応溶媒より低極性の溶媒を用いることにより、変性ポリオレフィンを析出させることなく、デカンテーション法や濾過法、遠心分離法などにより固液分離することもできる。
この場合、低極性溶媒は、反応溶媒と極性の差が大きく、かつ変性ポリオレフィンが易溶な化合物であることが望ましい。反応溶媒としてトルエン又はキシレン等の芳香族溶媒を用いた場合、該低極性溶媒の代表例は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素である。
【0140】
(v)溶液の濃度調整工程
この工程は、ポリオレフィン溶液及び/又は変性ポリオレフィン溶液から溶媒を除去するか、溶媒を添加することによりポリオレフィン溶液及び/又は変性ポリオレフィン溶液の濃度を調整して取り扱いやすくする工程であり、図1に示すとおり適宜行うことが好ましい。
【0141】
ポリオレフィン溶液から溶媒を除去して濃縮することは、重合反応器から溶液を取り出して、触媒成分を不溶化し、あるいは更に固液分離装置へ移送する際に必要となりうる。また、変性ポリオレフィン溶液から溶媒を除去して濃縮することは、変性反応器から溶液を取り出して精製し、製品として貯槽へ移送する際、あるいは更に変性反応するため別の反応器へ移送する際も必要となりうる。具体的には、溶液を減圧下で加温し、溶媒を蒸発させる手段が採用される。これにより、移送量が削減され省エネルギーが図れるとともに、溶液の純度を高めることも可能となる。
ポリオレフィン溶液に溶媒を添加して希釈することは、触媒成分の固液分離装置から変性用の反応器へ移送する際に必要となりうる。また、変性ポリオレフィン溶液に溶媒を添加して希釈することは、製品貯槽から溶液を取り出して、乳化組成物を製造する際、あるいは別の反応器へ供給して更に変性反応を行う際にも必要となりうる。希釈に用いる溶媒は、重合時あるいは変性時と通常同じものを添加するが、別のものを添加することもありうる。
濃縮する場合、希釈する場合のいずれでも、溶液の濃度を調整して、ポリマー溶液の粘度(20℃)が2〜2000cP、好ましくは10〜1500cP、特に好ましくは30〜1000cPとする。
【0142】
3.変性ポリオレフィン溶液を製造する方法の具体例
次に、変性ポリオレフィン溶液を製造するプロセスを図2で、得られた変性ポリオレフィン溶液を精製するプロセスを図3で具体的に説明する。
【0143】
図2の(2−1)は、変性反応終了後の反応溶液に未反応変性剤及び/又は該変性剤誘導体が含まれていない場合、又は反応溶液に未反応変性剤及び/又は該変性剤誘導体が少量含まれていても問題が生じず、精製工程が不要な場合についての工程フロー例である。
このプロセスは、反応槽(A)と固液分離設備(B)からなる最もシンプルな構成である。
【0144】
反応槽(A)にて、反応溶媒(低極性溶媒)の存在下、均一系金属錯体触媒を用いてα−オレフィンの重合反応を行い、重合停止剤を添加して重合を停止する。次に、未反応α−オレフィンを揮発させることにより除去し、ポリオレフィン溶液の温度を所定温度に調整し、必要に応じて低極性溶媒をさらに添加して希釈する。
そして、水酸基を有する化合物とアルカリ成分を添加して金属成分とハロゲン成分を不溶化するか、又は吸着剤を添加して触媒の金属成分を吸着せしめるなどの操作を行い、ポリマーが全て溶媒に溶けているスラリー溶液を得る。
その後、濾過器及び/又は遠心分離機を備えた固液分離設備(B)にスラリー溶液を全量移送し、固液分離を行う。濾液又は遠心分離後の上澄み液は、反応槽(A)に戻される。その後、反応槽(A)内で重合停止剤や水酸基を有する化合物を揮発させることにより除去し、必要に応じて低極性溶媒を揮発させることにより溶液中のポリオレフィン濃度を調整し、液温を所定温度に調整する。
最後に、変性剤とラジカル反応開始剤を添加し、必要に応じてさらに連鎖移動調整剤及び/又は酸化防止剤を添加して変性反応を行い、変性ポリオレフィン溶液を得る。
【0145】
図2の(2−2)は、上記(2−1)の改良型であり、反応槽(A1)、固液分離設備(B)、反応槽(A2)からなるプロセスである。
反応槽(A1)にて、低極性溶媒の存在下で均一系金属錯体触媒を用いてα−オレフィンの重合反応を行なう。重合停止剤を添加して重合を停止し、未反応α−オレフィンを揮発させることにより除去し、液温を所定温度に調整し、必要に応じて低極性溶媒を添加して希釈する。
次に、水酸基を有する化合物とアルカリ成分を添加して、触媒の金属成分とハロゲン成分を不溶化するか、又は吸着剤を添加して金属成分を吸着せしめるなどの操作を行い、ポリマーが全て溶媒に溶けているスラリー溶液を得る。
その後、濾過器及び/又は遠心分離機を備えた固液分離設備(B)にスラリー溶液を移送し、固液分離を行う。濾液又は遠心分離後の上澄み液は、順次反応槽(A2)に移送する。その後、反応槽(A2)内で重合停止剤や水酸基を有する化合物を揮発させることにより除去する。
最後に、必要に応じて低極性溶媒を揮発させることにより溶液中のポリオレフィン濃度を調整し、液温を所定温度に調整し、変性剤とラジカル反応開始剤を添加し、必要に応じてさらに連鎖移動調整剤及び/又は酸化防止剤を添加して変性反応を行い、変性ポリオレフィン溶液を得る。
【0146】
図2の(2−3)も上記(2−1)の改良型であって、反応槽(A1)、触媒成分析出槽(G)、固液分離設備(B)、反応槽(A2)からなるプロセスを示したものである。
反応槽(A1)にて、低極性溶媒の存在下で均一系金属錯体触媒を用いたα−オレフィンの重合反応を行い、重合停止剤を添加して重合を停止する。
その後、触媒成分析出槽(G)に移送し、未反応α−オレフインを揮発させて除去し、必要に応じて低極性溶媒を添加して希釈し、液温を所定温度に調整し、水酸基を有する化合物とアルカリ成分を添加して、触媒の金属成分とハロゲン成分を不溶化するか、又は吸着剤を添加して金属成分を吸着せしめるなどの操作を行い、ポリマーが全て溶媒に溶けているスラリー溶液を得る。その後、濾過器及び/又は遠心分離機を備えた固液分離設備(B)に得られたスラリー溶液を移送し、固液分離を行う。
一方、得られた濾液又は遠心分離後の上澄み液は、反応槽(A2)に移送される。その後、反応槽(A2)内で必要に応じて重合停止剤や水酸基を有する化合物を揮発させることにより除去し、必要に応じて低極性溶媒を揮発させることにより除去して、溶液中のポリオレフィン濃度を調整する。
最後に、液温を所定温度に調整し、変性剤とラジカル反応開始剤を添加し、必要に応じてさらに連鎖移動調整剤及び/又は酸化防止剤を添加して変性反応を行い、変性ポリオレフィン溶液を得る。
【0147】
本発明の変性ポリオレフィン溶液の製造方法では、上記のプロセスを行った後に、変性反応後の反応溶液中に存在しうる未反応の変性剤及び/又は該変性剤誘導体の少なくとも一部を除去する工程を含ませることもできる。
図3の(3−1)〜(3−3)は、この反応溶液を精製する工程のフロー例を簡略に示した図である。この精製工程は、図2に示された工程で製造された変性ポリオレフィンの未精製溶液をスタートとして用いることを前提としている。
【0148】
図3の(3−1)は、冷却槽(F)と固液分離設備(B)からなるプロセスを示したものであり、変性剤に無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の固体状変性剤を用いた場合に好ましく適用される。
このプロセスは、変性ポリオレフィンの未精製溶液を冷却槽(F)に移送して、攪拌しながら冷却し、固体状変性剤及び/又はその誘導品を析出させ、得られた固液混合液を濾過器及び/又は遠心分離機などの固液分離設備(B)を用いて固液分離し、精製された変性ポリオレフィン溶液を得るものである。
【0149】
また、図3の(3−2)は、析出槽(H)、固液分離設備(B)、及び濃縮槽又は蒸留塔(E)からなるプロセスを示している。
上記と同様に、変性剤に無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の固体状変性剤を用いた場合、変性ポリオレフィンの未精製溶液を析出槽(H)に移送し、必要に応じて反応に用いた溶媒を留去して、溶液を濃縮し、該反応溶媒より低極性で変性ポリオレフィンには易溶であるが固体状変性剤の溶解度は低い析出用溶媒を攪拌しながら添加し、必要に応じて冷却し、固体状変性剤及び/又はその誘導品を析出させる。
次に、得られた固液混合液を濾過器及び/又は遠心分離機などの固液分離設備(B)を用いて固液分離する。得られた濾液又は遠心分離後の上澄み液を濃縮槽又は蒸留塔(E)に移送し、変性ポリオレフィンが所定の濃度になるまで濃縮することにより、精製された変性ポリオレフィン溶液を得る。
【0150】
また、図3の(3−3)は、抽出槽(H’)、分離槽(B)、及び濃縮槽又は蒸留塔(E)からなるプロセスである。
変性ポリオレフィンの未精製溶液は、必要に応じて反応に用いた溶媒を留去して、溶液を濃縮するか反応溶媒で希釈してから抽出槽(H’)に移送し、抽出溶媒を加えて攪拌する。この溶液を分離槽(B)に移送して、変性ポリオレフィンを含む反応溶媒相と変性剤及び/又はその誘導品を含む抽出溶媒相に静置分離する。
次に、反応溶媒相は、濃縮槽又は蒸留塔(E)に移送し、抽出溶媒を蒸留分離除去し、必要に応じて反応溶媒を蒸留・分離除去して濃縮するか反応溶媒で希釈して変性ポリオレフィン濃度を調整することにより、精製された変性ポリオレフィン溶液を得る。
【0151】
4.変性ポリオレフィン溶液の他の製造例
本発明における変性ポリオレフィン溶液の製造方法には、(i)の重合工程において得られるポリオレフィンを特定の触媒、特定の条件下で末端修飾剤と反応させる方法も含まれる。
【0152】
この重合工程(i)のα−オレフィンの重合において、前述した▲1▼の触媒、すなわちバナジウム錯体と有機アルミニウム化合物からなる特定の触媒を用い、先に記載した条件下で反応を行うと、リビング重合が進行する。そこに末端修飾剤を添加すると、ポリマーの末端に修飾剤が結合したポリオレフィンが得られる。この末端修飾剤は、前記した一般式(A)、(B)と同じ化合物の他、下記一般式(C)及び(D)で示される活性水素を含有する化合物を用いることができる。
【0153】
H2C=C(R1)COY・・・(C)
[式中、R1はHまたはC1−10のアルキル基;YはHまたは活性水素を有する置換基である。]
【0154】
H2C=C(R1)R2−Z・・・(D)
[式中、R1はHまたはC1−10のアルキル基;R2はアルキル基置換基を有しうる芳香族基;Yは活性水素を有する置換基である。]
【0155】
一般式(C)で表される化合物としては、例えば、アクリル酸、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、アクリル酸−2−アミノエチル、3−アクリロイロキシプロパンスルホン酸、メタクリル酸、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル、メタアクリル酸−2−アミノエチル、アクロレイン、イタコン酸が挙げられる。
このほか、2−(2−アクリロイロキシエトキシ)エタノール、2−(2−(2−(2−アクリロイロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル−1−アミン、2−(2−(2−アクリロイロキシエトキシ)エトキシ)プロパン−1−チオール、2−(2−(2−アクリロイロキシエトキシ)エトキシ)プロパン−1−スルホン酸、4−(2−(2−(2−アクリロイロキシエトキシ)エトキシ)エトキシブタン−1−リン酸エステル、4−(2−(2−(4−イソプロペニルフェニル)エトキシ)エトキシ)ブタン−1−チオールなども例示できる。
【0156】
一般式(D)で表される化合物としては、例えば、4−ビニル安息香酸、4−ヒドロキシスチレン、4−アミノスチレン、p−スチレンスルホン酸、4−ビニルフェニルメルカプタン、4−イソプロペニルフェノール、3−(2−(4−ビニルフェニル)エトキシ)プロパノール、3−(2−(2−(2−(4−ビニルフェニル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパン−1−アミン、3−(2−(2−(4−ビニルフェニル)エトキシ)エトキシ)プロパン−1−チオール、3−(2−(2−(4−ビニルフェニル)エトキシ)エトキシ)プロパン−1−スルホン酸、3−(2−(2−(4−イソプロペニルフェニル)エトキシ)エトキシ)プロパン−1−チオールなどが挙げられる。
【0157】
上記末端修飾剤のうち活性水素をもつものは、予め錯化剤、例えば有機アルミニウム化合物で錯化させておくことが好ましい。
有機アルミニウム化合物は、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ビス(2,6−ジ−tBu−フェノキシ)メチルアルミニウム等が挙げられる。
その他、ジエチル亜鉛、トリメチルシリルクロリド、tBu−ジメチルシリルクロリド、トリイソプロピルシリルクロリド、メチルリチウム、ブチルリチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド等の錯化剤を用いることができる。
錯化剤と活性水素を有する末端修飾剤とのモル比は、末端修飾剤が保有する水素の数によって決定される。保有する活性水素の数は、置換基が例えばOHやCOOH、NH(CH3)であれば1、NH2やPO3H2であれば2である。錯化剤と末端修飾剤とのモル比は、該活性水素数の0.3倍以上、好ましくは1.01〜10倍、さらに好ましくは1.1〜3倍とする。
錯化反応は、反応溶媒として、不活性で液状の溶媒を用いるのが望ましく、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素;シクロプロパン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が用いられる。
錯化反応は、−100〜100℃の温度で0.5〜50時間、好ましくは−90〜50℃で1〜30時間、さらに好ましくは−80〜30℃で1〜15時間行うことができる。
【0158】
末端に導入される修飾剤は、ポリマー1分子鎖当り、末端修飾剤が0.5〜50個、好ましくは1〜30個である。
【0159】
次に、ポリオレフィンを末端修飾させてから変性させる方法の具体例を図2で説明すると、(2−1)に示したプロセスでは、反応槽(A)にて低極性溶媒の存在下で、上記特定の均一系金属錯体触媒▲1▼を用いたα−オレフィンの重合反応を行い、引き続き末端修飾剤を添加して末端修飾反応を行なう。
【0160】
その後、重合停止剤を添加して重合を停止し、未反応α−オレフィンを揮発させることにより除去し、必要に応じて低極性溶媒を添加して希釈し、液温を所定温度に調整し、水酸基を有する化合物とアルカリ成分を添加して、金属成分とハロゲン成分を不溶化するか、又は吸着剤を添加して金属成分を吸着せしめるなどの操作を行い、末端修飾ポリオレフィン溶液を得る。
その後、濾過器及び/又は遠心分離機からなる固液分離設備(B)に得られた溶液を全量移送し、固液分離を行う。
得られた濾液又は遠心分離後の上澄み液は、反応槽(A)に戻す。その後、反応槽(A)内で必要に応じて重合停止剤や水酸基を有する化合物を揮発させることにより除去し、必要に応じて低極性溶媒を揮発させて除去することにより、溶液中の末端修飾ポリオレフィンの濃度を調整し、末端修飾ポリオレフィン溶液を得る。
【0161】
図2の(2−3)で他の例を説明すると、反応槽(A1)にて低極性溶媒の存在下で、前記特定の均一系金属錯体触媒▲1▼を用いたα−オレフィンの重合反応を行い、引き続き、末端修飾剤を添加して末端修飾反応を行い、重合停止剤を添加して重合を停止する。
その後、触媒成分析出槽(G)に移送し、未反応α−オレフィンを揮発させることにより除去し、必要に応じて該低極性溶媒を添加して希釈し、液温を所定温度に調整し、水酸基を有する化合物とアルカリ成分を添加して金属成分とハロゲン成分を不溶化するか、又は吸着剤を添加して金属成分を吸着せしめるなどの操作を行い、末端修飾ポリオレフィン溶液を得る。その後、濾過器及び/又は遠心分離機からなる固液分離設備(B)に得られた溶液を移送し、固液分離を行う。得られた濾液又は遠心分離後の上澄み液は、濃縮槽又は蒸留塔(E)に移送する。その後、反応槽(A2)内で必要に応じて重合停止剤や水酸基を有する化合物を揮発させて除去し、必要に応じて低極性溶媒を揮発させて除去し末端修飾ポリオレフィン濃度を調整し、末端修飾ポリオレフィン溶液を変性工程に付す。
【0162】
さらに、図2の(2−4)は、反応槽(A1)、反応槽(A2)、触媒成分析出槽(G)、固液分離設備(B)、濃縮槽(E)からなるプロセスを示したものである。
反応槽(A1)にて低極性溶媒の存在下で、前記均一系金属錯体触媒▲1▼を用いたα−オレフィンの重合反応を行ない、引き続き、末端修飾剤で末端修飾反応を行う。重合停止後、反応溶液を反応槽(A2)に移送し、変性剤を添加して末端修飾ポリオレフィンの変性反応を行なう。
その後、触媒成分析出槽(G)に移送し、必要に応じて低極性溶媒を添加して希釈し、所定温度に調整し、水酸基を有する化合物とアルカリ成分を添加して金属成分とハロゲン成分を不溶化するか、又は吸着剤を添加して金属成分を吸着せしめるなどの操作を行い、変性ポリオレフィン溶液を得る。
その後、濾過器及び/又は遠心分離機からなる固液分離設備(B)に得られた溶液を移送し、固液分離を行う。得られた濾液又は遠心分離後の上澄み液は、濃縮槽又は蒸留塔(E)に移送する。
その後、濃縮槽又は蒸留塔(E)内で、必要に応じて重合停止剤や水酸基を有する化合物を揮発させることにより除去し、必要に応じて該低極性溶媒を揮発させて除去することにより、溶液中の変性ポリオレフィン濃度を調整し、変性ポリオレフィン溶液を得る。
【0163】
以上に説明したとおり、本発明は、末端修飾ポリオレフィンを、(i)の重合工程で得られるポリオレフィンとして読み替え、(ii)の変性工程に付することも含まれる。
【0164】
末端修飾反応は、オレフィン重合とは別の反応器に移して行うことも可能であるが、好ましくはオレフィン重合反応と同一の反応器を用いて行う。
【0165】
5.水性化変性ポリオレフィン溶液
本発明で製造した変性ポリオレフィン溶液は、これに塩基性物質及び界面活性剤を添加し、更に水を添加し、必要に応じて乳化処理を行い、溶媒を水に置換することにより、変性ポリオレフィンを析出させることなく、水性化することが出来る。
【0166】
6.変性ポリオレフィン溶液の固形化
本発明で得られた変性ポリオレフィン溶液は、固形化変性ポリオレフィンとすることが出来る。即ち、ポリマー溶液を加熱して溶媒とポリマーを分離する方法、熱風中に噴霧する方法、延伸薄膜蒸発器を使用する方法、ドラム乾燥法、ベント付き押出乾燥機を用いる方法、ポリマー溶液を多量の貧溶媒に添加してポリマーを凝集沈殿せしめる方法などで乾燥することにより、変性ポリマーを固体として単離、回収することが出来る。
【0167】
【実施例】
次に、実施例を用いて本発明をさらに説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0168】
分析方法
1.分子量の測定
ポリマーの分子量は、Waters社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)モデル150を用いて測定した。その測定条件は、溶媒を0−ジクロルベンゼン、測定温度を135℃、溶媒流速を1.0ml/分とした。カラムは、東ソー社製の単分散ポリスチレン標準試料を用い、ポリスチレンの検量線を求め、これによりユニバーサル法でポリオレフィンの分子量を測定した。
【0169】
2.ポリマーの構造決定
ポリマーの構造は、日本電子社製のフーリエ変換型NMRスペクトロメーターGS400を用い、400MHz、30℃、パルス間隔15秒の条件で1H−NMRスペクトルを測定し、決定した。試料は、重クロロホルムに溶解して調製した。13C−NMRスペクトルは、Varian社製のXL−200型を用い、50MHz、120℃、パルス幅8.2μS、π/3、パルス間隔4秒、積算回数5,000回の条件で測定した。試料は、トリクロロベンゼンとベンセン(2:1)の混合溶媒に溶解して調整した。
【0170】
3.結晶融解熱量の測定
結晶融解熱量は、示差走査型熱量計によるポリマーの完全溶融状態の比熱曲線を低温側に直接外挿して得られる直線をべースラインとして計算される値で示した。その測定は、示差走査型熱量計としてPerkin Elmer社製、system7を用い、サンプル量を約10mg、測定雰囲気を窒素雰囲気とした。温度、熱量校正は、インジウムを使用して行った。
また、加熱プログラムは次の通りである。すなわち、サンプルを10℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、230℃で5分間放置後、10℃/分の降温速度で−50℃まで冷却し、−50℃で5分間放置する。その後10℃/分の昇温速度で−50℃から230℃まで測定を行った。
結晶融解熱量は、80〜175℃の範囲で直線ベースラインを設定し、溶融曲線とベースラインとで囲まれる部分の面積から総熱量を算出し、試料重量で除して求めた。
【0171】
4.沸騰n−へプタン不溶分量の測定
沸騰n−ヘプタン不溶分量は、細かく粉砕した試料約3gを円筒濾紙に入れ、180mlのn−ヘプタンを用い、ソックスレー抽出器で5時間抽出し、抽出残分を真空乾燥機で恒量になるまで乾燥して、その重量を求めることにより測定した。
【0172】
5.ポリオレフィンヘの変性剤導入量(変性剤の数/ポリオレフィン1分子)の測定
官能基導入量は、フィルム状にしたポリマーの赤外吸収スペクトル(IR)吸収による吸収ピークの解析により測定した。IR測定には日本電子社製のFT/IR−470を用いた。
【0173】
(実施例1)
プロピレンの重合
窒素で十分に置換した2Lの撹拌機付きオートクレーブに、180mlのトルエンを入れ、−60℃に保った。同温度で2mol/lのAl(C2H5)1.5Cl1.5を2.5ml添加した。その後、攪拌しながらプロピレンを8.3mol導入した。さらに0.1mol/lのVOCl3のトルエン溶液2mlを加え、9時間反応を行った。その後、少量のメタノールを添加して触媒を失活させることにより、重合を停止した。
ここで、分析用として反応溶液約10mlを分取し、1Lのメタノール中に攪拌しながら反応溶液を入れてポリマーを析出させ、得られた固体状ポリマーをメタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥した。このポリマーのGPC測定を行った結果、GPC曲線は単峰性であり、重量平均分子量(Mw)は38,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。また、13C−NMRで測定したプロピレン連鎖のラセミダイアド分率[r]は、0.84であった。結晶融解熱量は0J/g、沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分は0%であった。
ヒドロキシエチルアクリレートによる変性
上記で得られたポリマー溶液を95℃に昇温した後に、ヒドロキシエチルアクリレートを64g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを16g加えて、4時間攪拌した。その後、室温まで冷却することにより、ヒドロキシエチルアクリレートで変性されたポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、放冷後に多量のメタノールに注ぐことで完全に固化し、メタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥することで得られたポリマーをIR測定したところ、1730cm−1付近にエステルに由来する吸収ピークが観測された。その吸収強度から、ポリプロピレンヘの変性剤の導入量を求めたところ、30個/鎖であることが分かった。
【0174】
(実施例2)
プロピレンの重合
窒素で十分に置換した2Lの撹拌機付きステンレス製オートクレーブに、トルエンを250mlと、1mmol/lのジオクチルアルミニウムクロライドのトルエン溶液を40ml、1mmol/lのトリスペンタフルオロフェニルボランのトルエン溶液を4ml入れ、プロピレンを8.3mol導入し、窒素で圧力を500kPaGに調整し、攪拌しながら60℃に加熱した後、1mmol/lのイソプロピリデン(シクロペンタジエニル・フルオレニル)ジメチルジルコニウム(Me2C(Cp,Flu)ZrMe2)のトルエン溶液1mlを加え、重合を開始した。2時間重合後、攪拌しながらエタノールを徐々に添加し、触媒を失活させた。次に圧力を徐々に常圧まで下げ、さらに100℃まで昇温することにより、未反応プロピレン、エタノール、触媒由来の揮発性成分を留去した。
得られたスラリー状の反応溶液の一部を実施例1と同様に処理し、得られた固体状のポリマーをGPCで分析したところ、重量平均分子量(Mw)は90,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。また13C−NMRで測定したプロピレン連鎖のラセミダイアド分率[r]は、0.94であった。結晶融解熱量は20J/g以下であった。
無水マレイン酸による変性
上記で得られたスラリー状反応液を窒素により加圧して、圧力を800kPaGに維持しつつ、攪拌しながら170℃まで昇温した。170℃に到達した後に、無水マレイン酸0.5gをトルエン(10ml)に溶かした溶液と、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシへキサン(0.025g)をトルエン(1ml)に溶かした溶液とを30分毎に5回加えた。最後の添加を終了した後に、170℃で2時間攪拌を継続し、その後、攪拌しつつ室温まで冷却した。得られたスラリー状反応液を濾過して、固体状ポリマー(4.5g)を得た。また、得られたポリマーをIR測定したところ、1780cm−1と1860cm−1付近にジカルボン酸無水物に由来する吸収ピークが観測された。その吸収強度から、ポリプロピレンヘの変性剤の導入量を求めたところ、1.6個/鎖であることが分かった。
【0175】
(実施例3)
プロピレンの重合
窒素で十分に置換した50Lの撹拌機付きオートクレーブに、トルエンを25L入れ、21℃に保った。同温度で2mol/lのエチルアルミニウムセスキクロライドのトルエン溶液750mlを加えた。次に、1mol/lのテトラブトキシチタンのトルエン溶液を125ml加え、攪拌しながらプロピレンを導入した。プロピレンの圧力は重合中、常時3気圧になるようにセットした。プロピレンの導入をもって重合開始とした。重合は8時間行った。その後、メタノールを0.2L添加して、重合を停止させ、その後、未反応プロピレンを気化させ、25kgの反応溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、組成を分析したところ、反応溶液のPP含有量は3.4重量%、チタン含有量は240重量ppm、アルミニウム含有量は3275重量ppmであった。
触媒成分の除去
上記反応溶液16.5Kgに、高分子凝集剤として三洋化成株式会社製サンフロックN−500の0.5%水溶液を535mlと、界面活性剤としてアデカ株式会社製プルロニックを41ml加え、30分間激しく攪拌した。攪拌後、室温下にてこの溶液を5000Gの遠心力で1時間遠心分離を行った。遠心分離後、無色透明の上層と沈降した高分子凝集剤に分かれ、無色透明の上澄み液として、精製されたポリマー溶液15.7kgが得られた。
この上澄み液のチタン及びアルミニウム含有量を蛍光X線分析により定量したところ、それぞれ4重量ppm、7重量ppmであった。また、この上澄み液を実施例1と同様に処理して得た固体状ポリマーをGPCで分析したところ、GPC曲線は単峰性であり、重量平均分子量(Mw)は25,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。また13C−NMRで測定したプロピレン連鎖のラセミダイアド分率[r]は、0.32であった。沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分は50重量%以下であった。
メチルメタクリレートによる変性
上記で得られた精製ポリマー溶液15.0kgを、窒素で十分に置換した30Lの撹拌機付きオートクレーブに入れ、60℃に昇温し、メチルメタクリレート280g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート14gを加えて、3時間攪拌した。その後、室温まで冷却することにより、メチルメタクリレートで変性されたポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、放冷後に多量のメタノールに注ぐことで完全に固化し、メタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥することで得られたポリマーをIR測定したところ、1730cm−1付近にエステルに由来する吸収ピークが観測された。その吸収強度から、ポリプロピレンヘの変性剤の導入量を求めたところ、7個/鎖であった。
【0176】
(実施例4)
プロピレンの重合及び反応溶液の希釈
窒素で十分に置換した400Lのジャケットクーラー及び撹拌機付きSUS製反応釜に、トルエンを90Lと、12molのAl(C2H5)1.5Cl1.5のトルエン溶液を入れ、−60℃に冷却した。次にプロピレン(210L)を加えてトルエンに液化溶解した。内温が−60℃に安定したところで0.14molのバナジウムトリスアセトナトのトルエン溶液を加え、重合を開始した。重合開始後、30分毎に、0.14molのバナジウムトリスアセトナトのトルエン溶液を加え、総量として0.56molのバナジウムトリスアセトナトのトルエン溶液を添加し、−60℃で2時間反応させた。
その後、トルエンで4倍に希釈したメタノールを10L添加して、重合を停止した。次いで、系を徐々に昇温して未反応のプロピレンをパージし、トルエンを50L加えて希釈し、ポリマー溶液を抜き出した。
触媒成分の除去
上記で得られたポリマー溶液140Kgとトルエン(60kg)を、500Lのジャケットヒーター及び撹拌機付きSUS製反応釜に投入し、攪拌しながら50℃に加温し、ナトリウムメトキシドの28重量%メタノール溶液5.8kgとメタノール8.5kgを混合した液を添加した。50℃における当該溶液の粘度は60cPであった。50℃で1時間攪拌した後、60℃に加温し、昭和化学工業製ラジオライト#700を13.5kg加えて攪拌し、均一なスラリーとした。
ジャケットヒーター付き水平濾過板加圧濾過器に、保留粒子径1μmの濾布をセットし、3mm厚のラジオライト#700プレコート層を形成し、60℃に加温した後、このスラリー液を投入した。濾過器を密閉後、濾過器内を窒素で50kPaGに加圧し、濾過を開始した。濾過開始後、初期の濾液は白濁していたが、その後無色透明になったことから、白濁液を再び濾過器に投入することにより、無色透明の濾液を精製品として回収した。濾過器内圧力を200kPaGまで徐々に増加しつつ濾過を継続することにより、約3時間で濾過器に投入した全てのポリマー液の濾過を終了した。その後、トルエン(20kg)を濾過器に投入し、濾布上に捕捉された残さ中に含まれるポリマー液を洗い流すことにより、濾液として全量で210kgの精製されたポリマー溶液を得た。
この精製されたポリマー溶液の一部を分取し、分析したところ、ポリマー含有率は7.5重量%、アルミニウム、バナジウム、塩素の含有率は、いずれも10ppm未満であった。また、GPC曲線は単峰性であり、重量平均分子量(Mw)は130,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。また13C−NMRで測定したプロピレン連鎖のラセミダイアド分率[r]は、0.80であった。結晶融解熱量は20J/g以下であった。
濃縮及びアクリル酸による変性
上記で得られたポリマー溶液200Kgを、500Lのジャケットヒーター及び撹拌機付きSUS製反応釜に投入し、窒素で30kPaGに加圧した後、攪拌しながら徐々に昇温することにより、メタノール及びトルエンの一部を留去した。留出回収液が97kgに到達した時点で留去を停止し、110℃まで降温した。
液温が110℃に到達した後、ポリマー溶液を攪拌しつつ、アクリル酸15gと、90g/lのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートのトルエン溶液10mlを20分毎に合計10回添加した。その後、2時間攪拌を継続した後、室温まで冷却することにより、アクリル酸で変性されたポリマー溶液100kgを得た。ポリマー含有率は15重量%、溶液の粘度は850cPであった。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、放冷後に多量のメタノールに注ぐことでポリマーを完全に固化し、メタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥することで得られたポリマーをIR測定したところ、1720cm−1付近にカルボン酸に由来する吸収ピークが観測された。その吸収強度から、ポリプロピレンヘの変性剤の導入量を求めたところ、9個/鎖であることが分かった。
【0177】
(実施例5)
濃縮及びフマル酸による変性
実施例4と同様の操作(プロピレンの重合、希釈及び触媒成分の除去)を2回行い、ポリマー含有率が7.5重量%の精製ポリマー溶液を合計420kg得た。このポリマー溶液300Kgを、500Lのジャケットヒーター及び撹拌機付きSUS製反応釜に投入し、窒素で30kPaGに加圧した後、攪拌しながら徐々に昇温することにより、メタノール及びトルエンの一部を留去した。留出回収液が197kgに到達した時点で留去を停止し、100℃まで降温した。攪拌を停止し、圧力を常圧に戻して、フマル酸を16kg投入し、窒素を導入して圧力を600kPaに調整した後、攪拌しながら150℃まで昇温した。温度が150℃で安定した後、90g/lのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートのトルエン溶液1Lを30分毎に合計5回添加し、最後の添加を終了後に、さらに150℃で3時間攪拌を継続した。
反応液の精製
上記の操作を終了後、低速で攪拌を継続しつつ10℃まで反応液を冷却した。液温が10℃に到達した後、圧力を30kPaに調整した後、さらに2時間低速で攪拌を継続した。本操作により、未反応フマル酸のほぼ全量及びフマル酸誘導体(主にオリゴマー)の少なくとも一部がスラリー状で析出した。得られたスラリーに昭和化学工業製ラジオライト#700を8kg加えて攪拌し、均一なスラリーとした。
ジャケットヒーター付き水平濾過板加圧濾過器に、保留粒子径1μmの濾布をセットし、3mm厚のラジオライト#700プレコート層を形成し、10℃に調整した後、このスラリー液を投入した。濾過器を密閉後、濾過器内を窒素で50kPaGに加圧し、濾過を開始した。濾過開始後、初期の濾液は若干白濁していたが、その後無色透明になったことから、白濁液を再び濾過器に投入することにより、無色透明の濾液を精製品として回収した。濾過器内圧力を400kPaGまで徐々に増加しつつ濾過を継続することにより、約6時間で濾過器に投入した全てのポリマー液の濾過を終了した。濾液として全量で96kgの精製ポリマー溶液を得た。この溶液中のポリマー含有率は21重量%であった。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、放冷後に多量のメタノールに注ぐことで完全に固化し、メタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥することで得られたポリマーをIR測定したところ、1715cm−1付近にカルボン酸に由来する吸収ピークが観測された。その吸収強度から、ポリプロピレンヘの変性剤の導入量を求めたところ、2.2個/鎖であることが分かった。
【0178】
(実施例6)
活性水素含有末端修飾剤の有機アルミニウム化合物による錯化
十分に窒素置換した20Lの撹拌機付きフラスコに、トルエンを7L入れ、9molのAl(i−C4H9)2Clを導入した。−78℃に冷却し、ヒドロキシエチルメタクリレート(4.5mol)を2時間かけて滴下した。滴下中は反応系を−78℃に保った。滴下終了後、撹拌しながら、反応系を室温までゆっくりと昇温した。
プロピレンの重合
窒素で十分に置換した200Lのジャケットクーラー及び撹拌機付きSUS製反応釜に、トルエン(45L)と9molのAl(i−C4H9)2Clのトルエン溶液を入れ、攪拌しながら−60℃に冷却した。同温度でプロピレンを105L加えて、トルエンに液化溶解した。次に、0.9molの1,3−ジオキソランのトルエン溶液、ならびに0.75molのバナジウムトリス−2−メチル−1,3−ブタンジナオトのトルエン溶液を加えて、重合を開始した。−60℃で1時間プロピレンの重合を行った後、以下の末端修飾反応を行った。
ヒドロキシエチルメタクリレートの有機アルミニウム錯化物との反応
上記の−60℃に冷却されたプロピレン重合系に、先に調製したヒドロキシエチルメタクリレートの有機アルミニウム錯化物を添加して、末端修飾反応を行った。8時間反応させた後、トルエンで4倍に希釈した3Lのメタノールを添加して、重合を停止した。系を徐々に昇温して、未反応プロピレンをパージした。プロピレンのパージに伴い反応溶液が濃縮されるため、希釈用トルエンを25L加えて、1時間攪拌した後、ポリマー溶液72kgを抜き出した。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、放冷後に多量のメタノールに注ぐことで完全に固化し、メタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥することで得られたポリマーをIR測定したところ、1740cm−1付近にブロードなヒドロキシ基の吸収に基づくピークが観測された。また、GPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は17,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.2であった。沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分は50重量%以下であった。また、13C−NMRで測定したプロピレン連鎖のラセミダイアド分率[r]は、0.83であった。さらに、1H−NMRの測定を行ったところ、プロピレンの連鎖に起因するピーク(δ=0.7〜1.7ppm)以外に、下記の化学シフト値のピークが観測された。
【0179】
【化11】
【0180】
プロピレン連鎖に基づくシグナルの強度と上記のaの強度比、ならびに数平均分子量を用いて計算した結果、ポリプロピレンの末端に1.1個の上記ユニットが結合していることが確認された。
触媒成分の除去
上記反応溶液70Kgに、高分子凝集剤として三洋化成株式会社製サンフロックN−500の0.5%水溶液を2.3Lと、界面活性剤としてアデカ株式会社製プルロニックを180ml加え、30分間激しく攪拌した。攪拌後、室温下にてこの溶液を遠心分離し、無色透明の上澄み液として、精製されたポリマー溶液65kgを得た。
グリシジルメタクリレートによる変性
上記で得られた精製ポリマー溶液65Kgと、トルエン(20kg)を200Lのジャケットヒーター及び撹拌機付きSUS製反応釜に投入し、窒素で30kPaGに加圧した後、攪拌しながら徐々に昇温することにより、残留水分及びトルエンの一部を留去した。留出回収液が20kgに到達した時点で留去を停止し、93℃にした。
ポリマー溶液の温度が93℃で安定した後、グリシジルメタクリレートを4kgと、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを3g添加した。その後、2時間攪拌を継続してから、室温まで冷却することにより、グリシジルメタクリレートで変性されたポリマー溶液69kgを得た。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、放冷後に多量のメタノールに注ぐことで完全に固化し、メタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥することにより得られたポリマーをIR測定したところ、カルボニル基の伸縮振動による1740cm−1のピークが、グリシジルメタクリレートを反応させる前と比較して増大していることが観測された。
【0181】
【化12】
【0182】
さらに、1H−NMR測定を行ったところ、プロピレンのプロトンに由来するピーク(δ=0.7〜1.7ppm)ならびに、上記ヒドロキシエチルメタクリレート由来のピークとともに、グリシジルメタクリレートに起因するピーク(ピークd〜f)が新たに観測された。
これらNMR、IR分析の結果から、グリシジルメタクリレートがポリプロピレン鎖に導入されていることが確認された。ポリプロピレン部のプロトンとeのピークの強度比、ならびにGPCにより測定された数平均分子量より算出したグリシジルメタクリレートのユニット数は4であった。
【0183】
以上の結果から、実施例1〜6によれば、プロピレンの重合から変性剤による変性までの一連のプロセスにおいて、いずれの工程でもポリマーを乾燥しないため、容易に所望のポリマー溶液を得ることができることが分かる。
【0184】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリマーを固体として単離・回収することなく変性ポリオレフィン溶液を製造するので、ポリマーロスが少なく、溶媒の完全分離除去やポリマーの溶解を行わないことから、簡略で低コストなプロセスとすることができる。また、反応溶媒と製品溶媒とを等しくできることから、使用する溶媒種を減らせるだけでなく設備コストの低減等の利点があり、廃液量が低減することになり環境負荷の低減にもつながる。
さらに、得られた変性ポリオレフィン溶液、又はこれから溶媒を除去してポリオレフィンを固形化したものは、塗料、表面改質剤、プライマー、コーティング剤、インク、接着剤、相溶化剤及びそれらの中間原料として使用することが出来ることから、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により変性ポリオレフィン溶液を製造する場合の代表的な工程を示す概略図である。
【図2】本発明により変性ポリオレフィン溶液を製造する場合の具体的な説明図である。
【図3】本発明の方法で得られた変性ポリオレフィン溶液を精製する場合の説明図である。
【符号の説明】
(i) 重合工程
(ii) 変性工程
(iii) 触媒の除去工程
(a) 触媒の不溶化
(b) 触媒の除去
(iv) 未反応変性剤及び変性剤誘導体の除去工程
(v) 溶液の濃度調整工程
A、A1、A2 反応槽(反応器)
B 固液分離設備(分離槽)
E 濃縮槽(蒸留塔)
F 冷却槽
G 触媒成分析出槽
H、H’ 未反応変性剤等の析出槽、抽出槽
【発明の属する技術分野】
本発明は、変性ポリオレフィン溶液の製造方法に関し、更に詳しくは、α−オレフィンを重合してポリオレフィンとし、これを変性剤により変性して変性ポリオレフィン溶液を製造する一連の工程で、ポリマーロス、溶媒ロスを減らし、さらに工程数を少なくすることができ、生産性・経済性を向上しうる変性ポリオレフィン溶液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンは、機械的物性、成型性、衛生性等に優れているため、広い分野で使用されているが、結晶性が高く無極性であることから、他の基材、例えばスチレン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂などの極性を有する樹脂と親和性がないだけでなく、金属表面やガラス、無機フィラーなどとも親和性が殆どない。
このため、ポリオレフィン系樹脂を塗装したり接着するために、例えば、成形物の表面をプラズマ処理やガス処理により活性化する方法、ポリオレフィンを塩素化してプライマーとして用いる方法、ポリオレフィンや塩素化ポリオレフィンを不飽和ジカルボン酸等の極性化合物で変性し、親和性が付与されたプライマーを用いる方法等が提案されている。
ところが、塩素化ポリオレフィンは、一般に塩素化率が高くなるほどポリオレフィンに対する付着性や耐溶剤性が低下する。一方、塩素含有率が低くなると溶液状態が低下し、保存中に増粘、ゲル化し、また低温で保存すると流動性が低下して作業性に問題が生じる。溶液濃度を低くすれば低温流動性は改善されるものの、溶液濃度が低いと顔料分散性が低下し、輸送コストが増加するなどの問題が生じる。また、最近、素材が高剛性化するに伴い、従来の塩素化ポリオレフィンでは強い接着性が得られず、プライマーの付着性が不十分になっている。
【0003】
また、官能基を有するモノマーを用いてポリオレフィンを変性する場合には、溶媒の存在下または無溶媒でラジカル反応開始剤を使用して反応させる方法が知られている。
すなわち、変性反応の方法として、溶液状態で反応させる方法(特許文献1参照)の他に、スラリー状態で反応させる方法(例えば、特許文献2参照)や、溶融状態で反応させる方法(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
これらの方法では、溶融状態で押出機に供給し反応させる方法が操作上簡便であるため広く工業的に用いられている。しかしながら、溶融状態における反応は、一般に変性効率が低く、ポリオレフィンの分子量が著しく低下するだけでなく、得られた生成物が着色してしまうことが多い。例えば、溶融混練グラフト法で製造された無水マレイン酸変性ポリオレフィンは、褐色、茶色あるいは黄色に変色することが多い。
また、処理温度が高いため、低沸点モノマーで変性する場合にはモノマーの揮散が著しく変性が困難である。さらに、得られた変性ポリオレフィンは、通常、溶媒に溶かした状態で使用されることから、変性ポリオレフィンを再び溶媒に溶解する工程が必要となる。
【0004】
これに対して、溶媒の存在下で変性を行なえば、溶融混練による変性に関する問題点は大きく低減される。溶媒の存在下、ポリオレフィンを変性する方法としては、ポリオレフィンとモノマーを溶媒に溶解させ、しかる後に少量の溶媒に溶解した触媒を系に加えて反応を行う方法(特許文献1参照)、ハロゲン化炭化水素系溶媒にポリオレフィンを溶解した後、モノマーとラジカル反応開始剤を添加する方法(特許文献4参照)などが提案されている。
【0005】
ポリオレフィンは、通常、オレフィンモノマーを液相均一系または固液不均一系等の状態で重合し、得られたポリオレフィンを固体状態で析出することにより触媒成分等を分離除去している。
しかしながら、ポリオレフィンが非晶質であると、粘着性なため、輸送に適した粉末またはペレットの形態に成形するのが容易ではない。非晶質ポリオレフィンは、一般に溶融状態で大型容器の中に入れて移送するか、又は剥離剤をコーティングした紙容器の中に包装されたブロックとして移送するか、非粘着性物質でコーティングした小さいスラットとして移送されるが、いずれの作業性も悪い。
【0006】
【特許文献1】
特公昭44−15422号(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特公昭43−18144号(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特公昭43−27421号(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開昭48−28092号(特許請求の範囲)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記のような状況に鑑み、α−オレフィンを重合してポリオレフィンとし、これを変性剤により変性して変性ポリオレフィン溶液を製造する一連の工程で、ポリマーロス、溶媒ロスを減らし、さらに工程数を少なくすることができ、生産性・経済性を向上しうる変性ポリオレフィン溶液の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、α−オレフィンを溶媒の存在下、液相で重合し、得られたポリオレフィンを溶媒に溶けた状態に維持した溶液に変性剤を添加して変性を行い、各単位操作工程中及び各単位操作工程間で一貫して、ポリオレフィンを実質的に乾燥することなしに変性ポリオレフィン溶液を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、α−オレフィンを重合触媒の存在下、液相で重合してポリオレフィンを溶液又はスラリー状態のポリマーとして得る工程と、溶液又はスラリー状態のポリマーを変性剤と反応させてポリオレフィンを変性する工程を含み、ポリマーを乾燥しないことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、ポリオレフィンを変性する工程の前又は後に、触媒成分を除去する工程をさらに含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法が提供される。
【0011】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、ポリオレフィンを変性する工程の後に、変性ポリオレフィン溶液又はスラリーから未反応の変性剤及び変性剤の誘導体を除去する工程を含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法が提供される。
【0012】
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1〜3の発明において、いずれかの工程の後に、溶液又はスラリーの濃度を調整する工程をさらに含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の好ましい実施態様としては、次のものが包含される。
(1)本発明の第1の発明において、重合触媒が、均一系金属錯体触媒であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(2)本発明の第1の発明において、重合触媒が、バナジウム錯体と有機アルミニウム化合物であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(3)本発明の第1の発明において、重合触媒が、メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(4)本発明の第1の発明において、α−オレフィンを重合する工程が、連続式、回分式又はそれらを組み合わせた方式で行われることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(5)本発明の第1の発明において、α−オレフィンを重合する工程が、管型、槽型又はそれらを組み合わせた反応器を用いて行われることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(6)本発明の第1の発明において、α−オレフィンを重合する工程は、管型連続反応器を用いて行ない、原料、触媒(及び助触媒)の少なくともいずれかを複数の箇所から分割して投入することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(7)本発明の第1の発明において、重合停止剤を添加して重合を停止し、未反応モノマーを除去する工程を、さらに含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(8)本発明の第1の発明において、ポリオレフィンを変性する工程で、ラジカル反応開始剤を必要により連鎖移動調節剤及び/又は酸化防止剤とともに添加することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(9)本発明の第1の発明において、ポリオレフィンを変性する工程は、α−オレフィンを重合する工程と同じ反応器を用いて行なうことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(10)本発明の第1の発明において、ポリオレフィンを変性する工程は、α−オレフィンを重合する工程と同じ溶媒を用いて行なうことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(11)本発明の第1の発明において、ポリオレフィンを変性する工程で、変性剤及び/又はラジカル反応開始剤を2回以上に分けて添加することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(12)本発明の第1の発明において、ポリオレフィンを変性する工程で、変性剤を溶媒に溶解し、又は加熱溶融してから添加することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(13)本発明の第2の発明において、触媒成分を除去する工程で、予め触媒成分を不溶化することを含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(14)本発明の第2の発明において、触媒成分を除去する工程で、水酸基を有する化合物を添加して触媒成分を不溶化することを含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(15)本発明の第2の発明において、触媒成分を除去する工程で、水酸基を有する化合物及びアルカリ成分を添加して触媒成分を不溶化することを含むことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(16)上記(14)及び(15)において、水酸基を有する化合物が重合停止剤と同一であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(17)上記(14)〜(16)において、水酸基を有する化合物がアルコールであることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(18)本発明の第2の発明において、触媒成分を除去する工程で、吸着剤を添加することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(19)本発明の第2の発明及び上記(13)〜(18)において、触媒成分を除去する工程で、触媒成分を濾過及び/又は遠心分離によって除去することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(20)本発明の第2の発明及び上記(19)において、触媒成分を除去する工程で、濾過助剤を使用することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(21)上記(20)において、濾過助剤として、微小繊維状セルロース、アスベスト、セライト、パーライト、珪藻土、白土、シリカ、アルミナから選ばれた1種又は2種以上を使用することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(22)本発明の第3の発明において、反応溶液を室温以下に冷却することにより、未反応の変性剤及び/又は変性剤の誘導体を析出させ、析出した物質を濾過、遠心分離又はデカンテーションによって除去することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(23)本発明の第3の発明において、未反応の変性剤及び/又は変性剤の誘導体を、反応溶媒よりも高い極性を有する溶媒によって抽出除去することを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(24)本発明の第4の発明において、溶液又はスラリーの濃度を調整して、粘度(20℃)を2〜2000cPとすることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(25)本発明の第1の発明において、ポリオレフィンの重量平均分子量が2000〜600,000であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(26)本発明の第1乃至第4の発明において、ポリオレフィンのラセミダイアド分率(13C−NMRで測定)が0.12〜0.88であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(27)本発明の第1乃至第4の発明において、ポリオレフィンのラセミダイアド分率(13C−NMRで測定)が0.51〜0.88であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(28)本発明の第1乃至第4の発明において、ポリオレフィンのラセミダイアド分率(13C−NMRで測定)が0.54〜0.84であることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
(29)本発明の第1乃至第4の発明において、ポリオレフィンの結晶融解熱量が20J/g以下、かつ沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分が70重量%以下のポリオレフィンであることを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の変性ポリオレフィン溶液の製造方法について、各項目毎に詳細に説明する。
【0015】
1.プロセスの工程フロー概要
先ず、本発明による一連の工程フローの基本を図1の工程図を用いて概略説明する。
【0016】
本発明の方法は、α−オレフィンを重合触媒の存在下、液相で重合し、ポリオレフィン溶液あるいはスラリーを得る工程(i)、及びポリオレフィンを変性する工程(ii)とを含み、ポリオレフィンを乾燥せずに変性ポリオレフィン溶液を製造する方法である。
【0017】
そして、この方法には、ポリオレフィンを変性する工程の前又は後に、触媒成分を除去する工程(iii)、ポリオレフィンを変性する工程の後に未反応の変性剤及び変性剤の誘導体を除去する工程(iv)、上記(i)〜(iv)のいずれかの工程の後にポリマー溶液又はスラリーの濃度を調整する工程(v)をそれぞれ任意に付加することができる。
【0018】
本発明は、各単位操作工程中及び各単位操作工程間で、ポリオレフィン及び/又は変性ポリオレフィンが常に溶媒に溶けた溶液状態もしくは懸濁したスラリー状態に維持され(以下、溶液といえばスラリー状態も含まれるものとする)、固体としてポリマーが単離・回収されないことを特徴としている。
【0019】
2.プロセスの詳細
本発明の方法は、α−オレフィン(a)を原料とし、反応溶媒(b)と重合触媒(c)の存在下、反応器(d)を用いて、特定の重合条件(e)で反応し、重合停止剤(f)を添加して重合を停止し、ポリオレフィン(PO1)を製造する。
次に、このポリオレフィン溶液に、変性剤(g)とラジカル反応開始剤(h)を添加して反応させ、変性ポリオレフィン(PO2)溶液を製造する。ポリオレフィンを変性する工程の前又は後に、触媒成分を除去することもできる。
変性ポリオレフィン(PO2)溶液は、未反応の変性剤、副生物、溶媒などを除去し、精製される。その間に、溶媒を除去したり添加することにより、溶液の濃度や粘度が適宜調節される。
なお、ポリオレフィン(PO1)、変性ポリオレフィン(PO2)は、以下単にポリマーと称する場合がある。
【0020】
(i)重合工程
(a)α−オレフィン
原料となるα−オレフィンとしては、炭素数2〜8のオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられ、ホモポリマーの原料としては、特にプロピレンが好ましい。
また、コポリマーの原料としては、特にエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンから選択される2種以上が好ましい。
【0021】
(b)反応溶媒
反応溶媒は、重合反応に対して不活性で、かつ重合時に液状である溶媒を用いるのが望ましい。また、大気圧下、室温で液状を保つ溶媒がより好ましい。なお、以下の説明で単に溶媒といえば反応溶媒を指すものとする。
具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の飽和脂肪族炭化水素、アルキル化シクロペンタン、シクロヘキサン、アルキル化シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンセン、プロピルベンセン等の芳香族炭化水素、或いはTHF及びそれらの2種類以上の混合物等が挙げられる。
【0022】
(c)重合触媒
重合触媒としては、オレフィンを重合できるものであれば特に制限されない。但し、その中でも均一系金属錯体触媒が好ましく使用される。
均一系金属錯体触媒は、有機金属化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒であるか、酸素、窒素等のヘテロ原子を含む有機化合物と遷移金属からなる金属錯体であり、例えば、
▲1▼バナジウム錯体と有機アルミニウム化合物からなる触媒、
▲2▼チタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を1つとアルコキシ基あるいはアルキルアミノ基の少なくとも1つを有する化合物と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒、
▲3▼チタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を2つとハロゲンまたはアルキル基を有する錯体と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒、
▲4▼ニッケル、パラジウム等のジイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒、
▲5▼チタン、ジルコニウム、ハフニウム等のフェノキシイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒、
▲6▼チタン等のピロールイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒が挙げられる。
▲7▼Ti、Zr、Hfのアルコキシ錯体及び/又はTi、Zr、Hfのアルキルアミノ錯体とアルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒、が挙げられる。
【0023】
上記▲1▼のバナジウム錯体と有機アルミニウム化合物からなる触媒において、バナジウム錯体としては、例えば、Makromol.Chem.180、57−64(1979)に記載されている触媒が挙げられ、具体的には、VOCl3、VCl4、V(アセチルアセトナート)3、V(2−メチル−1,3−ブタンジオナト)3、V(1,3−ブタンジオナト)3、VO(アセチルアセトナート)2、VOCl2(アセチルアセトナート)、VOCl(アセチルアセトナート)2、VO(OR)3、等が挙げられる。その他、アルキルイミド、或いはアリールイミドなどの配位子を有する一般式(1)及び(2)のようなバナジウム化合物も挙げられる。
【0024】
有機アルミニウム化合物としては、例えばジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムハライド類;メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類が挙げられる。
一般式(1)
【0025】
【化1】
【0026】
(式中、XはF、Cl、Br、Iまたは炭素数1〜3のアルキル基;R1〜R3は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
一般式(2)
【0027】
【化2】
【0028】
(式中、XはF、Cl、Br、Iまたは炭素数1〜3のアルキル基;Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0029】
上記成分の使用量は、オレフィン1モル当り、バナジウム錯体が1×10−5〜0.1モル、好ましくは1×10−4〜5×10−2モルであり、有機アルミニウム化合物が1×10−4〜0.1モル、好ましくは5×10−3〜0.05モルである。
【0030】
また、▲1▼の触媒には、必要に応じて電子供与体を添加することもでき、電子供与体としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸、マロン酸、有機酸もしくは無機酸のエステル類、モノエーテル、ジエーテルもしくはポリエーテル等の含酸素電子供与体や、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与体を挙げることができる。電子供与体の使用量は、バナジウム錯体1モルに対して0.01〜20モルである。
【0031】
重合反応は、−100〜90℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは−50〜50℃で1〜50時間行われる。
【0032】
前記▲2▼の触媒において、チタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を1つとアルコキシ基あるいはアルキルアミノ基の少なくとも1つ有する化合物としては、一般式(3)〜(5)に示すような化合物が挙げられる。
【0033】
例えば、一般式(3)で表される化合物としては、CpTi(OMe)3、CpTi(OEt)3、CpTi(O・iPr)3、CpTi(O・tBu)3、CpTi(OC6H5)3、CpTi(2−Me−OC6H4)3、CpTi(2−Et−OC6H4)3、CpTi(2−Pr−OC6H4)3、CpTi(2−tBu−OC6H4)3、CpTi(2,6−Me2−OC6H3)3、CpTi(2,6−Et2−OC6H3)3、CpTi(2,6−iPr2−OC6H3)3、CpTi(2,6−tBu2−OC6H3)3、CpTi(2−Me−6−tBu−OC6H3)3、CpTi(3−Me−6−tBu−OC6H3)3、CpTi(OMe)Cl2、CpTi(OMe)2Cl、CpTi(OC6H5)Cl2、CpTi(OC6H5)2Cl、CpTi(OMe)(OC6H5)Cl、等が挙げられる。
また、一般式(4)で表される化合物としては、(Me2C)Cp(C6H4)OTiCl2、((C6H5)2C)Cp(C6H4)OTiCl2、(Me2C)Cp(3−Me−C6H3)OTiCl2、(Me2C)Cp(5−Me−C6H3)OTiCl2、(Me2C)Cp(3−tBu−C6H3)OTiCl2、(Me2C)Cp(3,5−Me2−C6H2)OTiCl2、(Me2C)Cp(3,5−tBu2−C6H2)OTiCl2、(Me2C)Cp(3−Me−5−tBu−C6H2)OTiCl2、(Me2C)Cp(3−tBu−5−Me−C6H2)OTiCl2、等が挙げられる。
【0034】
一般式(5)で表される化合物としては、MeNSiMe2(Flu)TiCl2、tBuNSiMe2(Flu)TiCl2、C6H5NSiMe2(Flu)TiCl2、tBuNSi(C6H5)2(Flu)TiCl2、tBuNSiMe2(Flu)TiMe2、等が挙げられる。
上記の一般式(3)〜(5)の具体例において、TiをZr、Hfに代えた化合物も具体例として挙げることができる。
【0035】
一般式(3)〜(5)
【化3】
【0036】
一般式(3)〜(5)中、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムのいずれかを、X、Y、Zは、F、Cl、Br、若しくはIから選択されるハロゲン、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、そのアルコキシ基、置換基を有しても良い炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、そのアルコキシ基;R1〜R3は、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、置換基を有しても良い炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を示す。R1〜R3及びX、Y、Zは、それぞれ同時に同じであっても、異なっていても良い。
【0037】
アルミノキサン類としては、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、及びこれらアルミノキサン中の未反応アルミニウム化合物を除去・精製した乾燥アルミノキサン等が挙げられる。なお、アルミノキサン類の代りにトリフェニルボラン、トリスペンタフルオロフェニルボラン、トリフェニルメチルトリスペンタフルオロボレート等のホウ素化合物、さらにジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジオクチルアルミニウムクロリド等の有機アルミニウム化合物を用いることもできる。
【0038】
チタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を1つとアルコキシ基あるいはアルキルアミノ基を少なくとも1つ有する化合物の使用量は、モノマー使用量1モル当り、1×10−8〜0.1モル、好ましくは1×10−7〜5×10−2モルであり、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物が1×10−8〜0.1モル、好ましくは1×10−7〜0.05モルである。
【0039】
重合反応は、−100〜90℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは−50〜50℃で1〜50時間行われる。
【0040】
前記▲3▼のチタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を2つとハロゲンまたはアルキル基を有する錯体と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒において、該錯体は、2つのシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体が架橋されていなくても架橋されていてもよい。
【0041】
非架橋性メタロセン化合物としては、例えば、一般式(6)で示される化合物が挙げられ、具体的には、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジエチル、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド等が挙げられる。
その他、例えば、(C5H5)2Zr(C6H5)2、(C5H4−i−C3H7)2ZrCl2、(C5H4−t−C4H9)2ZrCl2、(C5H4−t−C4H9)2ZrBr2、(C5H4−t−C4H9)2ZrI2、(C5H4−t−C4H9)2ZrF2、(C5H4−t−C4H9)2Zr(CH3)2、(C5H4−t−C4H9)2Zr(C6H5)2、[C5H4−CH(CH3)(C6H5)]2ZrCl2、及びこれらのZrをTi又はHfに代えた化合物等を挙げることができる。
【0042】
架橋メタロセン化合物としては、例えば、エチレン(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(インデニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(インデニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、Me2Si(C5H4)2ZrCl2、Me2Si(C5H4)2ZrBr2、Me2Si(C5H4)2ZrI2、Me2Si(C5H4)2ZrF2、Me2Si(C5H4)2ZrMe2、Me2Si(C5H4)2Zr(C6H5)2、Me2Si(C5Me4)2ZrCl2、Me2Si(C5Me4)2ZrBr2、Me2Si(C5Me4)2ZrI2、Me2Si(C5Me4)2ZrF2、Me2Si(C5Me4)2ZrMe2、Me2Si(C5Me4)2Zr(C6H5)2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2ZrCl2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2ZrBr2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2ZrI2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2ZrF2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2ZrMe2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2Zr(C6H5)2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2ZrCl2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2ZrBr2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2ZrI2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2ZrF2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2ZrMe2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2Zr(C6H5)2、Me2Si(C5H4)2TiCl2、Me2Si(C5H4)2TiBr2、Me2Si(C5H4)2TiI2、Me2Si(C5H4)2TiF2、Me2Si(C5H4)2TiMe2、Me2Si(C5H4)2Ti(C6H5)2、Me2Si(C5Me4)2TiCl2、Me2Si(C5Me4)2TiBr2、Me2Si(C5Me4)2TiI2、Me2Si(C5Me4)2TiF2、Me2Si(C5Me4)2TiMe2、Me2Si(C5Me4)2Ti(C6H5)2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2TiCl2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2TiBr2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2TiI2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2TiF2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2TiMe2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2Ti(C6H5)2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2TiCl2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2TiBr2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2TiI2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2TiF2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2TiMe2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2Ti(C6H5)2、Me2Si(C5H4)2HfCl2、Me2Si(C5H4)2HfBr2、Me2Si(C5H4)2HfI2、Me2Si(C5H4)2HfF2、Me2Si(C5H4)2HfMe2、Me2Si(C5H4)2Hf(C6H5)2、Me2Si(C5Me4)2HfCl2、Me2Si(C5Me4)2HfBr2、Me2Si(C5Me4)2HfI2、Me2Si(C5Me4)2HfF2、Me2Si(C5Me4)2HfMe2、Me2Si(C5Me4)2Hf(C6H5)2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2HfCl2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2HfBr2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2HfI2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2HfF2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2HfMe2、Me2Si(C5H3−i−C3H7)2Hf(C6H5)2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2HfCl2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2HfBr2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2HfI2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2HfF2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2HfMe2、Me2Si(C5H3−t−C4H9)2Hf(C6H5)2、Me2Si(C5H4)FluTiCl2、Me2Si(C5H4)FluTiBr2、Me2Si(C5H4)FluTiI2、Me2Si(C5H4)FluTiF2、Me2Si(C5H4)FluZrCl2、Me2Si(C5H4)FluZrBr2、Me2Si(C5H4)FluZrI2、Me2Si(C5H4)FluZrF2、Me2Si(C5H4)FluHfCl2、Me2Si(C5H4)FluHfBr2、Me2Si(C5H4)FluHfI2、Me2Si(C5H4)FluHfF2、Me2Si(C5H4)FluHfMe2、Me2Si(C5H4)FluHf(C6H5)2、Ph2C(C5H4)FluTiCl2、Ph2C(C5H4)FluTiBr2、Ph2C(C5H4)FluTiI2、Ph2C(C5H4)FluTiF2、Ph2C(C5H4)FluZrCl2、Ph2C(C5H4)FluZrBr2、Ph2C(C5H4)FluZrI2、Ph2C(C5H4)FluZrF2、Ph2C(C5H4)FluHfCl2、Ph2C(C5H4)FluHfBr2、Ph2C(C5H4)FluHfI2、Ph2C(C5H4)FluHfF2、Ph2C(C5H4)FluHfMe2、Ph2C(C5H4)FluHf(C6H5)2、Ph2C(C5Me4)FluTiCl2、Ph2C(C5Me4)FluTiBr2、Ph2C(C5Me4)FluTiI2、Ph2C(C5Me4)FluTiF2、Ph2C(C5Me4)FluZrCl2、Ph2C(C5Me4)FluZrBr2、Ph2C(C5Me4)FluZrI2、Ph2C(C5Me4)FluZrF2、Ph2C(C5Me4)FluHfCl2、Ph2C(C5Me4)FluHfBr2、Ph2C(C5Me4)FluHfI2、Ph2C(C5Me4)FluHfF2、Ph2C(C5Me4)FluHfMe2、Ph2C(C5Me4)FluHf(C6H5)2が挙げられる。
【0043】
また、2架橋性メタロセンとしては、一般式(7)で示され、J.Am.Chem.Soc.、Vol.121、No.3、565(1999)に記載されている化合物が挙げられ、具体的には、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3)2ZrCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3)(η6―C5H2−3−CH3)ZrCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3){η6―C5H2−3−CH(CH3)2}ZrCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3){η5―C5H−3,5−(CH(CH3)2}2ZrCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H2−4−CH3){η5―C5H−3,5−(CH(CH3)2)2}ZrCl2、(1,2−Me2Si)2{η5―C6H5−4−CH(CH3)3}{η5―C5H−3,5−(CH(CH3)2)2}ZrCl2、(1,2−Me2Si)2{η5―C5H2−4−Si(CH3)3}{η5―C5H−3,5−(CH(CH3)2)2}ZrCl2、(1,2−(C6H5)2Si)2{η5―C5H2−4−Si(CH3)3}{η5―C5H−3,5−(CH(CH3)2)2}ZrCl2、(1,2−Me2Si)2{η5―C5H2−4−Si(CH3)3}{η5―C5H−3,5−(CH(CH3)2)2}Zr(CH3)2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3)2HfCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3)(η5―C5H2−3−CH3)HfCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3)2TiCl2、(1,2−Me2Si)2(η5―C5H3)(η5―C5H2−3−CH3)TiCl2、等が挙げられる。
【0044】
一般式(6)
【化4】
【0045】
一般式(7)
【化5】
【0046】
一般式(6)、(7)中、Xは、ハロゲン、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、炭素数8〜10の芳香族炭化水素基を示す。Mは、Ti、Zr、Hfのいずれかの金属である。R1〜R3は、同時に同じであっても、異なっていても良い。一般式(7)中、R1〜R3は、それぞれH若しくは炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。
【0047】
また、アルミノキサン類、並びにホウ素化合物単独あるいは有機アルミニウム化合物と組み合わせたものが使用できるが、これらは、▲2▼で記載したものを用いることができる。
上記成分の使用量は、モノマー使用量1モル当り、メタロセン化合物が5.0×10−7〜5.0×10−3モル、好ましくは1.0×10−6〜1.0×10−4モルであり、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物が1.0×10−5〜5.0モル、好ましくは1.0×10−3〜0.1モルである。
【0048】
重合反応は、−100〜90℃の温度で0.1〜100時間、好ましくは−50〜50℃で1〜50時間行われる。
【0049】
前記▲4▼のニッケル、パラジウム等のジイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒において、ニッケル、パラジウム等のジイミン錯体としては、例えば、一般式(8)〜(11)で表される化合物などが挙げられる。
アルミノキサン類としては、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられる。
【0050】
一般式(8)〜(11)
【化6】
【0051】
一般式(8)〜(11)中、XはClまたはメチル(Me)基;Rは、メチル(Me)基またはイソプロピル(iPr)基を示し、同時に同じであっても異なっていても良い。
【0052】
ニッケル、パラジウム等のジイミン錯体の使用量は、モノマー使用量1モル当り、1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−6〜5×10−2モルであり、アルミノキサン類が1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−4〜0.05モルである。
【0053】
重合反応は、−100〜90℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは−50〜50℃で1〜50時間行われる。
【0054】
前記▲5▼のチタン、ジルコニウム、ハフニウム等のフェノキシイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒において、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等のフェノキシイミン錯体としては、例えば、一般式(12)に示すような化合物などが挙げられる。
アルミノキサン類としては、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられる。
【0055】
一般式(12)
【化7】
【0056】
一般式(12)中、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムのいずれかを、R、R’はそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基で、XはF、Cl、Br、I又は炭素数1〜8のアルコキシ基を示す。
【0057】
チタン、ジルコニウム、ハフニウム等のフェノキシイミン錯体の使用量は、モノマー使用量1モル当り、1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−6〜5×10−2モルであり、アルミノキサン類が1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−4〜0.05モルである。
【0058】
重合反応は、0〜200℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは50〜150℃で1〜50時間行われる。
【0059】
前記▲6▼のチタン等のピロールイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒において、チタン等のピロールイミン錯体としては、例えば、一般式(13)に示すような化合物などが挙げられる。
アルミノキサン類としては、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられる。
【0060】
一般式(13)
【化8】
【0061】
一般式(13)中、XはF、Cl、Br、I又は炭素数1〜8のアルコキシ基;Rはフェニル基又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。
【0062】
チタン等のピロールイミン錯体の使用量は、モノマー使用量1モル当り、1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−6〜5×10−2モルであり、アルミノキサン類が1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−4〜0.05モルである。
【0063】
重合反応は、0〜200℃で0.5〜100時間、好ましくは50〜150℃で1〜50時間行われる。
【0064】
前記▲7▼の触媒において、Ti、Zr、Hfのアルコキシ錯体及び/又はTi、Zr、Hfのアルキルアミノ錯体とアルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒としては、例えばM(OR)aX4−a、M(NR2)aX4−a、M(acac)2X2が挙げられる(MはTi、Zr、Hf、aは2〜4の整数、Xは、F、Cl、Br、I、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、acacはアセチルアセトン配位子、メチルブタンジオン配位子、ブタンジオン配位子、ベンゾイルアセトン配位子、ベンゾイルトリフルオロアセトン配位子、ジベンゾイルメタン配位子、フロイルアセトン配位子、トリフルオロアセチルアセトン配位子、3−フェニルアセチルアセトン配位子、2,4−ヘキサンジオン配位子、トリフルオロジメチル−2,4−ヘキサンジオン配位子等を表わす。)。
【0065】
具体的な化合物としては、Ti(OC2H5)4、Ti(O−n−C3H7)4、Ti(O−i−C3H7)4、Ti(O−n−C4H9)4、Ti(O−i−C4H9)4、Ti(O−s−C4H9)4、Ti(O−t−C4H9)4、Ti(O−cycloC5H9)4、Ti(OC5H11)4、Ti(OC6H5)4、Ti(O−cycloC6H11)4、Ti(OC6H13)4、Ti(OC2H5)2Cl2、Ti(O−i−C3H7)2Cl2、Ti(O−n−C3H7)2Br2、Ti(O−n−C4H9)2Cl2、Ti(O−i−C4H9)2Br2、Ti(O−s−C4H9)2I2、Ti(OC5H11)2Cl2、Ti(O−cycloC6H11)2F2、Ti[N(C2H5)]4、Ti[N(n−C3H7)]4、Ti[N(i−C3H7)]4、Ti[N(n−C4H9)]4、Ti[N(i−C4H9)]4、Ti[N(s−C4H9)]4、Ti[N(t−C4H9)]4、Ti[N(cycloC5H9)]4、Ti[N(C5H11)]4、Ti[N(C6H5)]4、Ti[N(cycloC6H11)]4、Ti[N(C6H13)]4、Ti[N(C2H5)2]2Cl2、Ti[N(n−C3H7)2]2Cl2、Ti[N(i−C3H7)2]2Br2、Ti[N(s−C4H9)2]2Cl2、Ti[N(n−C4H9)2]2Br2、Ti[N(t−C4H9)2]2I2、Ti[N(C5H11)2]2F2、Ti[N(C5H11)2]2Cl2、Ti(アセチルアセトナト)2Cl2、Ti(メチルブタンジオナト)2Cl2、Ti(ブタンジオナト)2Cl2、Ti(ベンゾイルアセトナト)2Br2、Ti(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)2F2、Ti(ジベンゾイルメタナト)2I2、Ti(フロイルアセトナト)2Br2、Ti(トリフルオロアセチルアセトナト)2Br2、Ti(2,4−ヘキサンジオナト)2Cl2、Zr(OC2H5)4、Zr(O−n−C3H7)4、Zr(O−i−C3H7)4、Zr(O−n−C4H9)4、Zr(O−i−C4H9)4、Zr(O−s−C4H9)4、Zr(O−t−C4H9)4、Zr(O−cycloC5H9)4、Zr(OC5H11)4、Zr(OC6H5)4、Zr(O−cycloC6H11)4、Zr(OC6H13)4、Zr(OC2H5)2Cl2、Zr(O−i−C3H7)2Cl2、Zr(O−n−C3H7)2Br2、Zr(O−n−C4H9)2Cl2、Zr(O−i−C4H9)2Br2、Zr(O−s−C4H9)2I2、Zr(OC5H11)2Cl2、Zr(O−cycloC6H11)2F2、Zr[N(C2H5)]4、Zr[N(n−C3H7)]4、Zr[N(i−C3H7)]4、Zr[N(n−C4H9)]4、Zr[N(i−C4H9)]4、Zr[N(s−C4H9)]4、Zr[N(t−C4H9)]4、Zr[N(cycloC5H9)]4、Zr[N(C5H11)]4、Zr[N(C6H5)]4、Zr[N(cycloC6H11)]4、Zr[N(C6H13)]4、Zr[N(C2H5)2]2Cl2、Zr[N(n−C3H7)2]2Cl2、Zr[N(i−C3H7)2]2Br2、Zr[N(s−C4H9)2]2Cl2、Zr[N(n−C4H9)2]2Br2、Zr[N(t−C4H9)2]2I2、Zr[N(C5H11)2]2F2、Zr[N(C5H11)2]2Cl2、Zr(アセチルアセトナト)2Cl2、Zr(メチルブタンジオナト)2Cl2、Zr(ブタンジオナト)2Cl2、Zr(ベンゾイルアセトナト)2Br2、Zr(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)2F2、Zr(ジベンゾイルメタナト)2I2、Zr(フロイルアセトナト)2Br2、Zr(トリフルオロアセチルアセトナト)2Br2、Zr(2,4−ヘキサンジオナト)2Cl2、Hf(OC2H5)4、Hf(O−n−C3H7)4、Hf(O−i−C3H7)4、Hf(O−n−C4H9)4、Hf(O−i−C4H9)4、Hf(O−s−C4H9)4、Hf(O−t−C4H9)4、Hf(O−cycloC5H9)4、Hf(OC5H11)4、Hf(OC6H5)4、Hf(O−cycloC6H11)4、Hf(OC6H13)4、Hf(OC2H5)2Cl2、Hf(O−i−C3H7)2Cl2、Hf(O−n−C3H7)2Br2、Hf(O−n−C4H9)2Cl2、Hf(O−i−C4H9)2Br2、Hf(O−s−C4H9)2I2、Hf(OC5H11)2Cl2、Hf(O−cycloC6H11)2F2、Hf[N(C2H5)]4、Hf[N(n−C3H7)]4、Hf[N(i−C3H7)]4、Hf[N(n−C4H9)]4、Hf[N(i−C4H9)]4、Hf[N(s−C4H9)]4、Hf[N(t−C4H9)]4、Hf[N(cycloC5H9)]4、Hf[N(C5H11)]4、Hf[N(C6H5)]4、Hf[N(cycloC6H11)]4、Hf[N(C6H13)]4、Hf[N(C2H5)2]2Cl2、Hf[N(n−C3H7)2]2Cl2、Hf[N(i−C3H7)2]2Br2、Hf[N(s−C4H9)2]2Cl2、Hf[N(n−C4H9)2]2Br2、Hf[N(t−C4H9)2]2I2、Hf[N(C5H11)2]2F2、Hf[N(C5H11)2]2Cl2、Hf(アセチルアセトナト)2Cl2、Hf(メチルブタンジオナト)2Cl2、Hf(ブタンジオナト)2Cl2、Hf(ベンゾイルアセトナト)2Br2、Hf(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)2F2、Hf(ジベンゾイルメタナト)2I2、Hf(フロイルアセトナト)2Br2、Hf(トリフルオロアセチルアセトナト)2Br2、Hf(2,4−ヘキサンジオナト)2Cl2、等が挙げられる。
【0066】
アルミノキサン類、ホウ素化合物、有機アルミニウム化合物としては、前記▲2▼に例示したものを用いることができる。
上記成分の使用量は、モノマー使用量1モル当り、金属錯体が1×10−5〜0.5モル、好ましくは1×10−4〜0.1モルであり、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物が1×10−6〜0.5モル、好ましくは1×10−5〜0.1モルである。
【0067】
重合反応は、−100〜100℃の温度で0.5〜50時間、好ましくは−80〜80℃で1〜30時間行われる。
【0068】
本発明において、例えば、上記の重合触媒を用いてポリオレフィン溶液を製造するには、好ましくは▲1▼〜▲3▼、特に好ましくは▲1▼の触媒を用いることができる。▲1▼〜▲7▼の触媒を用いる場合、分子量調節剤として、水素、ジエチル亜鉛、Si−H結合含有化合物を添加することができる。また、▲1▼〜▲7▼の触媒は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の担体に担持して用いることができる。
【0069】
(d)反応器
重合反応は、連続式、回分式及びそれらを組み合わせた方式のいずれでも行うことができる。したがって、反応器は管型、槽型の何れでもよい。反応を多段で行う際には、それらを適宜組み合わせて使用してもよい。
管型反応器は、管の一方の末端からフィードして他方の末端から抜き出す形式でも、管がループ状に繋がった構造を持つ形式でも良い。
【0070】
管型連続式反応器を用いる場合は、その反応器の一部又は全部にスタティックミキサーを使用することができる。スタティックミキサーを使用すれば、反応器内の混合状態を改善し、反応管半径方向の組成分布及び熱分布を均一化することができる。スタティックミキサーは、反応管全体に使用しても、反応管の一部分に使用しても良く、反応管の一部分に使用する場合は、反応器入口近傍、中間部分、出口近傍の何れの場所に設置してもよい。
重合触媒及び/又は有機アルミニウム化合物などの助触媒は、予め反応溶媒に希釈してから反応器に投入でき、これらの少なくとも1種又は2種以上を管型連続式反応器内の複数の個所から分割投入することが好ましい。
【0071】
一方、槽型反応器を使用する場合、反応器内の混合状態を改善し槽内の組成分布及び熱分布を極力均一化するため、槽内の円周方向のみならず上下方向の流れも良好となるような構造を有する攪拌翼を用いて攪拌を行うことが望ましい。そのためには、最大上昇流速度係数が翼先端速度の15%以上となるような攪拌方式を選択することが好ましい。
また、外部循環式ポンプを用いて攪拌し、反応溶液を循環し、必要に応じて反応器外部でも反応熱を除去してもよい。反応器内に重合反応開始後から触媒成分などを連続的又は間歇的に分割投入することが好ましい。
【0072】
反応温度が極力変化しないように制御するため、前記管型又は槽型反応器がジャケット型構造を有し、ジャケット内に熱媒を流通して反応熱を除去することにより反応温度制御を行う形式であることが好ましい。
使用する熱媒は、運転操作中に低温析出が生じないよう融点が反応温度より20℃以上低いことが望ましく、熱除去効率が良好となるよう比熱が25℃で1000J/kg/K以上、熱伝導度が25℃で0.05W/mK以上であることが望ましい。
また、熱媒の粘度が高いと熱媒循環エネルギーが多く必要となり、かつ熱媒が移動する際の摩擦熱が高まることから、動粘度が20℃で1cSt以下、−50℃で5cSt以下であることが好ましく、20℃で0.5cSt以下、−50℃で10cSt以下であることがより好ましい。また、作業性の観点から大気圧下での沸点が40℃以上であることが好ましい。
【0073】
(e)重合条件
重合では、反応温度、原料オレフィンのモノマー濃度、及び触媒濃度の条件が反応活性、生成するポリオレフィンの分子量及び分子量分布に大きく影響を与える。これら重合条件は、どの触媒を用いるかによって異なり、前記▲1▼〜▲7▼の重合触媒の箇所で説明した通りである。
反応器内の温度分布及び各成分濃度分布は、反応器内の攪拌状態を常に良好に保つ事により、重合反応中において一様に保つことが望ましい。重合反応開始後の反応器内の温度分布は、10℃以内、好ましくは5℃以内であり、特に2℃以内に保つことが好ましい。
また、重合は発熱反応であることから、反応温度を意図的に制御しないと、回分式では経時的に、管型連続式では流路方向の下流側に進むにつれ液温が増加する。反応温度が意図しない範囲まで変化すると、反応活性や生成するポリオレフィンの分子量及び分子量分布に大きく影響を与える。また、反応温度が急激に上昇すると反応が暴走する恐れもある。従って、回分式では経時的な温度変化が、管型連続式では流路方向の各所で温度差を10℃以内、好ましくは5℃以内、特に2℃以内に保つことが好ましい。
【0074】
反応原料であるオレフィン濃度は、反応の進行とともに低下するので、オレフィンを重合開始後から連続的又は間歇的に分割投入することが好ましい。この操作は、反応温度の一定化と生成物であるポリオレフィンの物性を詳細に制御するのに有益である。
有機アルミニウム化合物及びその他の触媒成分は、反応の進行とともに変質し活性が低下する。そこで、それらの少なくとも1種以上を重合開始後から連続的又は間歇的に分割投入することが好ましい。この操作も、反応温度の一定化と生成物であるポリオレフィンの物性を詳細に制御するのに有益である。
【0075】
(f)重合停止剤
重合反応は、重合停止剤を添加して停止させることができる。重合停止剤としては、へテロ原子を含む炭素数1〜10の化合物、例えばアルコール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、アミン、アミド、イソシアネート、スルホン酸、チオール、りん酸等の誘導体を用いることが出来る。活性水素を有する化合物が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類がより好ましい。
重合停止剤は、さらに重合が継続しないように触媒成分を失活させ、かつ反応溶液中に存在するポリオレフィンを析出させないような量を添加する。
重合停止剤の投入に当たっては、反応溶液を良く攪拌して、多量の反応溶液全体と重合停止剤を短時間に混合せしめることにより、部分的に重合停止剤が高濃度の状態で反応溶液に接触して、反応溶液中に存在するポリオレフィンを析出させないよう注意する。
また、重合停止剤を原液で投入すると、重合停止剤が高濃度の状態で反応溶液に接触するため、予め重合停止剤を反応溶媒で希釈しておくことが望ましい。希釈割合に特に制約は無いが、例えば重合停止剤と溶媒の重量比を5:1乃至1:10の範囲とする。
重合停止剤は、重合反応器に直接添加してもよいが、重合反応溶液を反応器から抜き出した後に添加してもよい。但し、異なった反応条件でポリオレフィンが生成することを極力避けるため、重合反応終了後、反応溶液の温度が重合反応終了時より5℃以上、好ましくは3℃以上、上昇又は低下する前に、反応溶液中に存在するポリオレフィンを析出させない量の重合停止剤を添加する。
未反応のα−オレフィンは、重合反応の停止後、反応器内圧力を低下し、及び/又は反応溶液温度を上昇させることにより、揮発させて除去する。未反応α−オレフィンが後段の触媒成分の析出分離操作時に揮発すると、操作性・作業性を悪化させることがある。
また、後段の触媒成分の不溶化及び除去操作時の作業性を向上させる目的で、重合停止後に反応溶液の粘度を20℃で2〜2000cP、好ましくは10〜1000cP、特に好ましくは30〜500cPになるよう、溶媒を除去もしくは添加して調製することが好ましい。
【0076】
本発明の方法では、後述する触媒成分の除去を行わずに、引き続き、得られたポリオレフィン溶液に変性剤、ラジカル反応開始剤を添加して変性ポリオレフィン溶液を製造することも可能である。
【0077】
(PO1)ポリオレフィン
上記によって、炭素数が2〜8のα−オレフィンの1種又は2種以上が重合し、ポリオレフィン(PO1)が生成する。
【0078】
すなわち、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、さらにこれらを1つのセグメントとするブロック共重合体などを得ることができる。なお、エチレンあるいはブテンの含量は10モル%未満が好ましい。
重量平均分子量(Mw)は、2,000〜600,000であり、特に5,000〜400,000が好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は1.01〜3.0であり、好ましくは1.01〜2.0、特に1.01〜1.5が好ましい。
このポリオレフィンは、溶媒に溶解した溶液状態又はスラリー状態で存在しており、13C−NMRで測定したラセミダイアド分率[r]は、0.12〜0.88である。好ましくは0.51〜0.88であり、より好ましくは0.54〜0.84である。
【0079】
尚、本発明で規定したラセミダイアド分率[r]は、当業者に周知の方法、即ち13C−NMRで測定した立体規則性の構造に起因するピーク強度の積分値から得ることができる。
また、このポリオレフィンは、結晶融解熱量が20J/g以下、沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分が70重量%以下のポリオレフィンである。
【0080】
(ii)変性工程
変性反応は、連続式、回分式及びそれらを組み合わせた方式のいずれで行ってもよく、したがって、反応器は前記重合反応と同じく、管型、槽型の何れを用いてもよい。管型連続式反応器では、変性剤又はラジカル反応開始剤の少なくとも1種を反応器内の複数の個所から分割投入できる。
【0081】
ラジカル変性反応を2段以上の槽型連続式反応器を用いて行い、各段の少なくとも一部に下記で詳述する変性剤又はラジカル反応開始剤の少なくとも1種を追加できる。槽型回分式反応器を用いて行う場合は、反応装置内にラジカル変性反応開始後から連続的又は間歇的に分割投入することができる。
変性反応は多段で行っても良く、その際には各反応器及び反応形式を適宜組み合わせて使用する。
【0082】
変性反応は、0〜200℃、好ましくは50〜180℃の温度範囲で行う。0℃未満では反応速度が遅く、一方、200℃を超えるとポリオレフィンの分子鎖が切断されるので好ましくない。変性反応の反応温度は、変性反応中に同一温度で維持してもよいし変化させてもよい。
また、反応時間は1分以上、好ましくは5分〜10時間、特に好ましくは10分〜5時間である。反応時間が長いほど、ポリオレフィンへの変性剤の導入量が向上する。
変性反応は、大気圧で行ってもよいが、その場合、変性剤、ラジカル反応開始剤、及び/又は反応溶媒の沸点が反応温度に近いと、槽型反応器を用いる場合には反応器上部に凝縮器を設置する必要が生じる、また管型反応器を用いる場合には、反応器内部で反応溶液成分の一部が部分的に気化して気泡を発生し、反応効率及び伝熱効率を低下させる。
変性剤の沸点が反応温度より低い場合、大気圧では反応を行う事が出来ない為、反応温度の上限が反応溶液成分の沸点で制限されてしまう。また、変性剤が昇華性を示す場合、槽型反応器を用いると、凝縮器があっても変性剤が反応系外に揮散してしまう問題が生じる。従って、変性反応は、大気圧より高い圧力で行うことが好ましい。
【0083】
変性剤を2種類以上使用する場合、複数の変性剤を同時に反応溶液に添加しても、別々に添加してもよい。例えば、相対的に変性反応速度の遅い変性剤を変性反応の初期に添加し、ある程度反応を進行させた後に変性反応速度の速い変性剤を添加すること、あるいは、変性反応条件下で比較的安定でポリオレフィンヘの変性以外の反応が起こりにくい変性剤を、変性反応開始の段階で全量一度に添加し、変性反応条件下では比較的不安定でポリオレフィンヘの変性以外の反応を起こして消費され易い変性剤を、その後、連続的に又は逐次的に分割して投入することもできる。
また、反応溶液を変性反応温度まで昇温する前に、どちらか一方の変性剤のみを添加しておき、所定の温度になってから他方の変性剤を添加してもよいし、反応溶液を変性反応温度まで昇温した後に、両方を同時又は逐次的に添加してもよい。
ラジカル反応開始剤は、変性剤と同様にその必要量の全量を一度に添加しても、複数回に分割して添加してもよい。変性反応に回分式反応器を用いる場合には、変性剤及びラジカル反応開始剤の両方を連続的に投入しても、どちらか一方を連続的に投入し、他方を必要量の全量を一度に添加するか複数回に分割して投入しても良い。
変性反応に最適なポリマー濃度は、使用する変性剤や変性温度、目的とする変性率等によって異なる。そのため必要であれば、重合停止剤や水酸基を有する化合物の除去操作と同時に、又は除去操作終了後に、引き続き溶媒を留去し、ポリオレフィン反応溶液を濃縮する操作を行ってもよい。
【0084】
変性反応を行う際に、変性剤の重合度を調節するために、必要であれば連鎖移動調節剤を添加してもよい。連鎖移動調節剤を添加すると、変性剤の重合度が低下するとともに鎖長を均一化することが出来る。
連鎖移動調節剤としては、反応条件下において該変性剤の重合度を制御できる化合物であれば制限されないが、代表例としてはt−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、ビス−2−アミノジフェニルスルフィド等のジスルフィド類などが挙げられる。
【0085】
一方、高温で変性反応を行う際に、ポリオレフィンの分解反応を抑制するために、必要であれば酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤は、反応条件下でラジカル補足剤及び/又は過酸化物分解剤として作用し、変性反応時にポリオレフィンが熱酸化して劣化することを防止する。
酸化防止剤としては、反応条件下においてポリオレフィンの分解反応を抑制できる化合物であれば制限はない。しかし、ポリオレフィン溶液中にチタン及び/又はバナジウムのイオン及び/又は化合物が含まれる場合に、フェノール性水酸基を有する酸化防止剤を使用すると、キノン化合物のごとき発色団を形成し、変性ポリオレフィン溶液が着色する可能性があるので注意が必要である。
好適な酸化防止剤の代表例としては、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルフォスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン等のフォスファイト類、ジステアリルチオジプロピオネート等のチオエーテル類などが挙げられる。
【0086】
(g)変性剤
ポリオレフィン溶液に添加する変性剤としては、下記の一般式(A)、(B)で示される化合物、ジカルボン酸及びジカルボン酸無水物から選ばれた1種又は2種以上が用いられる。
【0087】
一般式(A)
【化9】
【0088】
一般式(A)中、R1はH又はC1〜10のアルキル基;R2はOR4、Cl、Br、F若しくはIから選択されるハロゲン、NR1 2又はR5−NR1 2基;R3はH、又は−COR2基である。ここで、R4はH、又はハロゲンを有しうるC1〜10のアルキル基;C1〜10のアルキル置換基を有しうる芳香族基;−(CH2)a−O−P(O)(OR1)2、又は−(CH2)a−O−P(O)(O−)(O−(CH2)b−N+R1 3(a及びbは夫々1〜5の整数);Li、Na、又はKから選択されるアルカリ金属M;C5〜10の脂環式炭化水素;グリシジル基;R5−COCR1=CH2;R5OR1;R5Si(OR1)3、或いはR5―NCOを示し、また、R5はC1〜10のアルキレン基若しくは−[(CH2)q−O−]r−であり、q及びrは夫々1〜5の整数を示す。
【0089】
一般式(B)
【化10】
【0090】
一般式(B)中、R6はH、若しくはC1〜10のアルキル基、又はCl、Br、F若しくはIから選択されるハロゲン;R7はAr−X’、OCO−R6、CHO、COR6、CN、ピリジル基、ピロリドニル基、Si(OR1)3、C1〜10のハロゲン化アルキル、ハロゲン、OR6、OSO3M或いはNH−CO−R6である。ここで、X’はR6、OH、COOH、NH2、CN、NO2、C1〜10のハロゲン化アルキル、CH=CH2、又はOCO−R6のいずれか、R1はH、又はC1〜10のアルキル基、Mは前記のアルカリ金属である。
【0091】
一般式(A)で表される化合物として、(メタ)アクリル酸の他に、(メタ)アクリル酸の誘導体として、例えば、次のようなものが挙げられる。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、トリフェニルメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、トリフェニルメチルメタクリレートなどのアルキルエステル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジルエステル;アクリル酸ナトリウム塩、アクリル酸カリウム塩、アクリル酸リチウム塩、メタクリル酸ナトリウム塩、メタクリル酸カリウム塩、メタクリル酸リチウム塩などの(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩;アクリル酸クロリド、アクリル酸ブロミド、α−クロロ−メチルアクリレート、メタクリル酸クロリド、メタクリル酸ブロミド、α−クロロ−メチルメタクリレートなど(メタ)アクリル酸のハロゲン化物;アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N一ジイソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリル酸誘導体;エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−へキサンジオールジメタクリレート、などのジ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレートなどのOH基又はアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸誘導体;2−イソシアナートエチルメタクリレート、2−イソシアナートエチルアクリレートなどのイソシアナート基含有(メタ)アクリル酸誘導体;エチレングリコールメタクリレートホスフェート、2−メタクリロイロキシエチルホスホリルコリン、等のP含有(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。さらに、他のP含有(メタ)アクリル酸誘導体としては、CH2=C(CH3)CO−O−CH2−CH2(CH2Cl)−O−PO(OH)2、CH2=C(CH3)CO−O−CH2−CH2−O−PO(OH)−O−NH3(CH2CH2OH)、なども挙げられる。
本発明において、一般式(A)で表される化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのアルキルエステル、グリシジルエステル、及びOH基又はアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸誘導体が好ましい。
【0092】
また、一般式(B)で表される化合物としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル化合物;塩化ビニル、臭化ビニル、ふっ化ビニル、よう化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、ビニルスルホン酸カリウム塩、ビニルスルホン酸リチウム塩、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ビニルピリジン、N−ビニルピリジン、ビニルピロリドン、アクロレイン、メチルビニルケトン、イソブチルビニルケトン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルアセトアミド、N−ビニルアセトアミド、アリルクロリドなどのビニル化合物;スチレン、ヒドロキシスチレン、アミノスチレン、ジビニルベンゼン、ビニル安息香酸、シアノスチレン、ニトロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アセトキシスチレン、p−ジメチルアミノメチルスチレンなどのスチレン誘導体。
本発明において、一般式(B)の化合物としては、スチレン誘導体が特に好ましい。
【0093】
また、ジカルボン酸としては、マレイン酸、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、ビニルマレイン酸、アリルコハク酸など不飽和脂肪族ジカルボン酸、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジエチルなどの不飽和脂肪族ジカルボン酸エステル等の誘導体、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロテレフタル酸などのシクロアルケンジカルボン酸及びそれらの誘導体を用いることができる。さらに、ジカルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸等のジカルボン酸無水物を用いることができる。
【0094】
また、例えば、変性剤として無水マレイン酸を用いる場合、無水マレイン酸は融点が60℃と低く、かつ昇華性なので、ホッパーを使って無水マレイン酸を固体で投入するようなプロセスを組むと、ホッパー周りで無水マレイン酸が固着し反応器への投入が困難となる場合がある。従って、無水マレイン酸は、予め溶媒に溶解するか又は加熱溶融して液状としたものを反応器に添加することが好ましい。
さらに、固体状の無水マレイン酸、加熱溶融して液状化した無水マレイン酸、無水マレイン酸を溶媒に溶解した溶液を相対温度が50%以下の状態で保存した後に、反応器に添加することが好ましい。
【0095】
(h)ラジカル反応開始剤
ラジカル反応開始剤としては、アゾ系化合物や有機過酸化物が用いられる。一般にラジカル重合における反応開始剤として用いられているものは何れも使用することが出来る。
【0096】
しかしながら、高温になるほどラジカル反応開始剤の半減期が短くなる為、低温で半減期が短いラジカル反応開始剤を高温変性反応に用いると、反応系内のラジカルが直ぐに消失してしまい変性効率が低下する。また、高温でも半減期の長いラジカル反応開始剤を低温変性反応に用いると、反応系内にラジカルがなかなか生成せず変性効率が低下する。
従って、変性反応を行う温度によりラジカル反応開始剤を適宜選択する事が好ましい。ラジカル反応開始剤の選択に当たっては、変性反応温度における半減期が0.5〜60分の範囲にあることが好ましく、2〜30分の範囲にあることがより好ましい。
ラジカル反応開始剤は、1種類のみを使用しても2種類以上を使用しても良い。2種類以上を使用する場合、複数のラジカル反応開始剤を同時に反応溶液に添加しても別々に添加してもよい。例えば、半減期の長いラジカル反応開始剤を変性反応開始の段階で全量を一度に添加し、その後半減期の短いラジカル反応開始剤を連続的に又は逐次的に分割して投入してもよい。
ラジカル反応開始剤の添加量は、ポリオレフィンに対して、0.05〜50wt%が好ましく、0.1〜30wt%がより好ましく、さらには1〜10wt%が特に好ましい。0.05wt%未満では変性効率が低く、未反応のまま反応系に残存する変性剤量が多くなり、変性後に変性ポリオレフィン溶液の精製を行わない場合に、接着性や接着強度の耐久性が低下する原因となり、変性後に変性ポリオレフィン溶液の精製を行う場合には、精製工程の経済性が悪化する。50wt%を超えると、ポリオレフィンの変性度が低下するとともに、変性反応条件下でポリオレフィンの分子量低下を促進する。
【0097】
ラジカル反応開始剤の好適な代表例としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、1,1−ビス−第三級−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン等のパーオキシエステル、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等のジフェニルブタン類、t−ブチルパーオキシエチルヘキサノエートがあげられる。
【0098】
また、触媒成分の除去は後述するが、変性前に触媒成分を除去したポリオレフィン反応溶液には、重合停止剤が含まれ、場合によっては水酸基を有する化合物が含まれている。これらの化合物は、変性工程で使用する変性剤と反応してしまい、ポリオレフィンの変性効率を下げる場合がある。従って、変性工程前に重合停止剤や水酸基を有する化合物を蒸留等によりポリオレフィン反応溶液から除去しておくことが好ましい。
【0099】
変性反応終了後の反応溶液は、必要に応じて溶媒を添加し、あるいは常圧又は減圧で溶媒を留去し、変性ポリオレフィン濃度を調節してもよい。
また、反応溶液に、反応溶媒より低極性な溶媒を添加し、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸、及び/又はフマル酸等の未反応の固体状変性剤及び/又は該変性剤誘導体を析出させ、析出物を固液分離で除去することができる。
【0100】
(PO2)変性ポリオレフィン
上記の変性反応によって、前記ポリオレフィン(PO1)を、前記変性剤ユニットで変性した変性ポリオレフィン(PO2)を製造することができる。すなわち、種々の用途に有用な機能性が高い変性ポリオレフィンの溶液を、効率良く簡便なプロセスで経済的に製造することができる。
【0101】
本発明により製造された変性ポリオレフィンは、変性剤がポリオレフィン主鎖に対してグラフト結合している。
本発明において、ポリオレフィンへの変性剤の導入量、すなわち変性量は、ポリオレフィン1分子鎖当り、変性剤モノマーが0.5〜100個、好ましくは1〜50個導入されている。
【0102】
(iii)触媒の除去工程
ポリオレフィンを含む反応溶液から触媒成分を除去する工程には、(a)触媒を不溶化する工程と、(b)不溶化した触媒を除去する工程がある。(a)触媒の不溶化工程には、水酸基を有する化合物を添加し、触媒成分のみを不溶化させる方法、又は吸着剤に吸着させる方法のいずれかが採用される。
【0103】
(a)触媒の不溶化
触媒は、ポリオレフィン反応溶液に水酸基を有する化合物を添加すれば、多価金属イオンの形で存在する触媒金属成分が不溶化して析出するので、ポリオレフィンを析出させないで固液分離により分離除去できる。
【0104】
本発明で用いる水酸基を有する化合物としては、例えば、水、アルコール、多価アルコール、カルボン酸から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。これら水酸基を有する化合物の中でも、重合停止剤と同一の化合物を選択することが好ましい。これは同一化合物を用いることにより、溶媒貯蔵タンクや溶媒精製用蒸留設備が共用でき、プロセスの簡略化に繋がるからである。
【0105】
上記アルコールとしては、炭素数1〜10の脂肪族アルコールが好ましく、より好ましくは炭素数1〜6の脂肪族アルコールであり、さらに好ましくは炭素数1〜4の脂肪族アルコールであり、特に好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロパノール及びブタノールである。アルコールは、重合反応において触媒を失活させる反応停止剤としても用いられるが、反応溶液中に添加することで触媒を不溶化させることができる。
【0106】
また、多価アルコールとしては、炭素数1〜5のグリコールが好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられ、3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、エリトリトール、ペンタエリトリトール等が挙げられる。
【0107】
さらに、上記カルボン酸としては、脂肪族モノカルボン酸、多価カルボン酸が挙げられ、具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等が挙げられる。
【0108】
水酸基を有する化合物の添加量は、水酸基を有する化合物の種類、触媒の種類、反応溶媒の種類、反応溶液中に存在するポリオレフィンの濃度等によって変える必要があり、反応溶液中のポリオレフィンが析出しない量であって、反応溶液が2層に分離しない量が好ましい。
好ましくは反応溶液中のベンゼン、トルエン、キシレン等の溶媒量に対して、1〜100重量%、より好ましくは3〜25重量%、特に好ましくは4〜15重量%である。水酸基を有する化合物の添加量が上記範囲未満であると触媒成分の析出が十分でなく、上記範囲を超えるとポリオレフィンが析出するようになり好ましくない。
【0109】
触媒の不溶化においては、水酸基を有する化合物の他に、必要に応じて、ポリオレフィン反応溶液へアルカリ成分を添加することができる。アルカリ成分を添加すれば、重合触媒の成分中にハロゲンが含まれる場合に、そのハロゲンを除去することができる。
アルカリ成分としては、金属アルコラート、アルカリ金属水酸化物等を挙げることができる。具体的な化合物としては、例えば、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、カリウムメトキサイド、カリウムエトキサイド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。これらの化合物は、メタノールやエタノールの溶液として反応溶液に添加される。
【0110】
このアルカリ成分の添加は、ポリオレフィン反応溶液へ上記水酸基を有する化合物を添加する前であっても良いが、水酸基を有する化合物を添加する後又は同時が好ましく、アルカリ成分と水酸基を有する化合物とを同時に添加するのが特に好ましい。アルカリ成分の添加量は、ポリオレフィン反応溶液のpHが5以上になれば特に制限はない。添加量の上限は、反応溶液がpH9になるような量であり、好ましくは反応溶液がpH8になるような量であり、より好ましくは反応溶液がpH7になるような量である。
【0111】
水酸基を有する化合物を添加して、触媒成分を不溶化・沈殿し析出させるには、以下の条件にするのが好ましい。
添加・混合時間は、1分以上が好ましく、より好ましくは3分以上、特に好ましくは5分以上である。混合時間が1分未満では、触媒成分を不溶化することができない。
混合温度は、用いる水酸基を有する化合物の種類にもよるが、室温〜120℃、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜80℃である。混合温度が室温未満では触媒成分を不溶化・析出する反応が極めて遅く、120℃を超えると触媒成分の不溶化反応が十分に進行しない。例えば、水酸基を有する化合物としてメタノールを用いた場合は、55℃以上になると蒸発が激しく、沈殿の生成が十分に進行しない。
【0112】
一方、ポリオレフィン反応溶液に吸着剤を接触させる方法は、ポリオレフィンを析出させないで、多価金属イオンの形で存在する触媒成分を吸着剤に吸着し、固液分離により分離除去する方法であり、固液分離操作の少なくとも一部を濾過法及び/又は遠心分離法を用いて行うことができる。
【0113】
吸着剤としては、高分子凝集剤、イオン交換樹脂、キレート樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0114】
上記高分子凝集剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性の高分子凝集剤のいずれも使用できる。
アニオン性高分子凝集剤としては、アルギン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、アクリルアミドとアクリル酸ソーダ共重合物、ポリアクリルアミド部分加水分解物等が挙げられる。
カチオン性高分子凝集剤としては、水溶性アニリン樹脂塩酸塩、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、キトサン、ヘキサメチレンジアミン、エピクロロヒドリン重縮合物、ポリビニルイミダゾリン、ポリアルキルアミノアクリレート、ポリアルキルアミノメタクリレート、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物等が挙げられる。
ノニオン性高分子凝集剤としては、ポリアルキルアミド、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
【0115】
高分子凝集剤は、粘度が1000cp以下の水溶液の状態でポリオレフィン反応溶液に添加して用いるのが好ましい。その際の水溶液の濃度は、0.01〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2重量%、特に好ましくは0.1〜1重量%である。
【0116】
高分子凝集剤とポリオレフィン溶液とは、高分子凝集剤をポリオレフィン溶液へ添加し、攪拌して接触させる。高分子凝集剤の添加量は、重合触媒の種類、反応溶媒の種類、反応溶液中に存在するポリオレフィンの濃度等によって異なるが、ポリオレフィン反応溶液に対して、上記水溶液として、0.2〜40体積%が好ましく、より好ましくは0.5〜20体積%、特に好ましくは0.5〜10体積%である。高分子凝集剤の水溶液添加量が上記範囲未満であると、触媒成分の吸着が十分でなく、上記範囲を超えるとポリオレフィンが析出するようになり好ましくない。
【0117】
上記イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、両性イオン交換樹脂が挙げられるが、本発明においては、陽イオン交換樹脂が好ましく、特に強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。強酸性陽イオン交換樹脂は、ポリスチレン母体構造にスルホン酸基を結合させたものであって、ポリオレフィン溶液中に存在する触媒金属多価イオンを吸着しやすい。
【0118】
イオン交換樹脂とポリオレフィン溶液とは、イオン交換樹脂をポリオレフィン溶液へ添加し攪拌して接触させる。イオン交換樹脂のポリオレフィン溶液への添加量は、重合触媒の種類、反応溶媒の種類、反応溶液中に存在するポリオレフィンの濃度等によって異なるが、ポリオレフィン溶液に対して、0.2〜40体積%が好ましく、より好ましくは0.5〜35体積%、特に好ましくは0.5〜25体積%である。イオン交換樹脂の添加量が上記範囲未満であると、触媒金属成分の吸着が十分でなく、上記範囲を超えても吸着効果は向上せず、不経済である。
【0119】
上記キレート樹脂は、遷移金属、アルカリ土類金属などの金属イオンとキレートを形成する樹脂で、溶液中の重金属を選択的に吸着除去できる樹脂である。本発明においては、主にポリスチレン母体構造にイミノジ酢酸基、ポリアミン基を結合させたキレート樹脂を用いるのが好ましい。
【0120】
キレート樹脂とポリオレフィン溶液とは、キレート樹脂をポリオレフィン溶液へ添加し攪拌して接触させる。キレート樹脂のポリオレフィン溶液への添加量は、重合触媒の種類、反応溶媒の種類、反応溶液中に存在するポリオレフィンの濃度等によって異なるが、ポリオレフィン溶液に対して、0.2〜40体積%が好ましく、より好ましくは0.5〜20体積%、特に好ましくは0.5〜15体積%である。キレート樹脂の添加量が上記範囲未満であると、触媒成分の吸着が十分でなく、上記範囲を超えても吸着効果は向上せず、不経済である。
【0121】
吸着剤としては、上記の他に、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸架橋ビーズ等を挙げることができる。
【0122】
吸着剤を添加する際、必要に応じて、ポリオレフィン溶液へ界面活性剤を添加することができる。特に、水溶液で添加する吸着剤(例えば、高分子凝集剤)を添加する際に界面活性剤を加えると、反応溶液との混合が促進され、その結果速やかに触媒成分を吸着することができる。
【0123】
上記界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、ノニルフェノール系、アルキルフェノール系、高級アルコール系、ポリアルキレングリコール系(EO/PO系)、脂肪酸エステル系、アルキロールアミド系、アルキルアミドEO付加体、アルキルアミンEO/PO付加体、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0124】
界面活性剤の添加量は、ポリオレフィン溶液に対して、0.001〜1体積%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.8体積%であり、特に好ましくは0.05〜0.5体積%である。界面活性剤の添加量が上記範囲未満では吸着剤含有水溶液とポリオレフィン溶液との混合を促進できず、上記範囲を超えると最終製品に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0125】
ポリオレフィン溶液へは吸着剤とともにアルカリ成分を添加できる。アルカリ成分の添加は、吸着剤を添加した後でも良いが、アルカリ成分を先に添加するのが好ましい。アルカリ成分の添加量は、ポリオレフィン溶液のpHが5以上になる量であれば特に制限はない。添加量の上限は、反応溶液がpH9になる量であり、好ましくは反応溶液がpH8になる量であり、より好ましくは反応溶液がpH7になる量である。
【0126】
吸着剤をポリオレフィン溶液へ添加し、溶液を攪拌して触媒成分を吸着させる場合は、以下の条件にするのが好ましい。
吸着剤の添加温度は、0〜70℃が好ましく、より好ましくは5〜60℃、特に好ましくは10〜50℃である。また、攪拌・混合時の温度は、用いる吸着剤の種類にもよるが、0〜60℃、好ましくは5〜50℃、より好ましくは10〜40℃である。混合時の温度が0℃未満では触媒成分の吸着反応が極めて遅く、60℃を超えると触媒成分が充分に吸着されない。さらに、攪拌混合時間は、攪拌速度にもよるが、1分〜5時間が好ましく、より好ましくは5分〜2時間、特に好ましくは10分〜1時間である。攪拌・混合時間が1分未満では吸着が進行せず、長すぎると一旦吸着した金属イオンが脱離する恐れがある。
【0127】
吸着剤として、イオン交換樹脂、キレート樹脂、ポリアクリル酸架橋ビーズ等を用いる場合は、上記吸着条件に記載したような攪拌混合処理を行うことなく、カラムに充填したイオン交換樹脂、キレート樹脂、ポリアクリル酸架橋ビーズ等に直接、ポリオレフィン溶液を流通させて触媒成分を吸着させ、ポリオレフィン溶液を精製処理することができる。カラムを流通させる時の温度は、0〜70℃が好ましく、より好ましくは5〜60℃、特に好ましくは10〜50℃である、また、流通時間は、空間速度にして0.01〜5h−1が好ましく、より好ましくは0.1〜4h−1であり、特に好ましくは0.5〜3h−1である。
【0128】
なお、触媒成分の不溶化は、用いる触媒によっては、例えば前記▲1▼〜▲7▼の触媒を担体に担持して使用した場合は、溶液に溶解せずに不溶化しているので省略することができる。
【0129】
(b)触媒成分の除去
本発明においては、上記のような条件で触媒成分を不溶化した後、これを反応溶液から除去する。除去方法は、特に限定されず、液体と固体を分離する濾過方法、遠心分離法、デカンテーション法等の各種の分離方法を用いることができる。
【0130】
上記濾過方法としては、加圧濾過法、減圧濾過法、遠心濾過法のいずれの濾過方法も用いることができ、2種類以上の方法を組み合わせてもよい。濾材としては、濾紙、濾布、メンブランフィルター、焼結金属等を用いることができる。濾布の素材は、反応溶液との接触により溶解したり、大きく膨潤したり、強度が大きく低下したりしないものであれば、特に制限は無い。通常、綿製やポリエステル製のものを用いることが出来る。
また、濾過温度は、室温〜80℃、好ましくは30〜75℃、より好ましくは40〜70℃である。濾過温度が室温以下では、反応溶液の粘度が高く、濾過効率が悪い。温度を高くすると溶液の粘度が低くなり、濾過速度が向上する。加圧下においては、反応溶媒の沸点以上でも濾過することができる。また、濾過圧力は、濾過器、濾紙などの性状によるが、濾過の具合を見ながら、徐々に加圧していく方法が好ましい。例えば、濾紙を用いた濾過方法であれば、最終的には最高圧が400kPaG以下、好ましくは300kPaG以下となる条件が好ましい。
【0131】
さらに、濾過処理を促進させるために濾過助剤を用いることができる。濾過助剤としては、特に制限はないが、例えば、珪藻土、セルロース、アスベスト、セライト、パーライト、珪藻土、白土、シリカ、又はアルミナから選ばれた1種以上を用いることができ、セルロースであれば、例えば微小繊維状セルロースを用いることができる。濾過助剤の添加量は、ポリオレフィン溶液に対し、0〜25重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜15重量%である。
【0132】
濾過法にあっては、濾過助剤を濾過開始前に濾布上にプレコートしておくと、濾布が早期に目詰まりすることを防止出来る。プレコート層の厚みは、濾布上に濾過助剤がほぼ均一な厚みに分散される量以上で、濾過速度を低下させない厚み以下であれば特に制限は無いが、好ましくは0.5〜30mm、より好ましくは1.5〜10mmの範囲で行う。
プレコート操作は、溶媒に濾過助剤を添加し、均一に懸濁させた懸濁液を調製し、濾過器の下流側を閉止して、濾液が濾過器から出ないような状態で懸濁液を徐々に濾過器に投入するか、懸濁液を濾過器に投入し、濾過器内で攪拌を行った後に濾過を行うことにより、濾過助剤が濾布上に均一な厚みに分散されるようにする。また、プレコート操作を行った場合、反応溶液を投入する際に濾布上の一部の面に急激な衝突をするような形式を採ると、プレコート層が局部的に剥がれてプレコート層の効果が著しく低下することから、プレコート層が局部的に剥がれる事が生じないよう、設備面及び/又は作業面での注意を必要とする。
濾布上の堆積物を掻き取り操作等で連続的に除去しない場合、濾過操作の進行とともに濾布上への堆積量が徐々に増加し、濾過速度が徐々に低下する。このような場合、濾過助剤を反応溶液に予め添加し、均一に混合した後に濾過器に投入して、濾過操作を行うと、濾過速度の低下を抑制する事が出来る。
【0133】
上記遠心分離法は、遠心力により分離する方法であれば特に制限はないが、例えば、1000G以上、好ましくは3000G以上、より好ましくは5000G以上の遠心力を与える方法を用いる。遠心時間は、遠心力にもよるが、例えば、1分〜3時間、好ましくは5分〜2時間、より好ましくは10分〜1.5時間である。遠心分離の温度は、ポリオレフィン反応溶液の溶媒の沸点以下であれば特に制限はないが、0〜70℃、好ましくは5〜60℃、より好ましくは10〜50℃である。
【0134】
上記デカンテーション法は、ポリオレフィン溶液中に沈降した触媒成分を反応溶液から静置分離する方法であって、触媒成分が完全に沈降するまで静置した後、ポリオレフィン溶液の上澄み液のみを流出して回収する方法である。なお、上澄み液側にコロイド状の沈殿物等が存在する恐れがある場合は、上澄み液を更に濾過方法、遠心分離法等で処理することにより完全に沈殿物を除去するのが好ましい。
【0135】
(iv)未反応変性剤及び変性剤誘導体の除去
前記(ii)の変性工程で得られた変性ポリオレフィン溶液は、未反応の変性剤や変性剤誘導体を含むことがあるので、適宜精製することが好ましい。ここで変性剤誘導体とは、主に変性剤のオリゴマーやポリマーをいう。
【0136】
未反応変性剤及び変性剤誘導体は、本発明で製造される変性ポリオレフィンより高極性の化合物である。従って、より高極性の溶媒を用いることにより、変性ポリオレフィンを析出させることなく、未反応変性剤及び/又は該変性剤誘導体を容易に抽出除去できる場合もある。
【0137】
抽出除去に用いる溶媒は、反応溶媒への溶解度が低い化合物でなければならない。抽出溶媒は、反応溶媒100gへの溶解度が20℃で30g以下であることが好ましく、10g以下であることがより好ましい。また、本発明で製造される変性ポリオレフィンが抽出溶媒中に易溶な場合、抽出操作により変性ポリオレフィンも除去されてしまうため、抽出溶媒は、変性ポリオレフィンへの溶解度が低い化合物でなければならない。
抽出溶媒は、反応溶媒100gへの変性ポリオレフィンの溶解度が20℃で5g以下であることが好ましく、2g以下であることがより好ましい。好適な抽出溶媒は、反応溶媒の種類によって異なるが、代表例は、N−メチルピロリドン、水等である。
抽出操作を行う際に、変性ポリオレフィン溶液に対する抽出溶媒の量が多すぎると、変性反応終了後の反応溶液に溶解している変性ポリオレフィンの一部が析出する恐れがある。この場合、反応溶媒に溶解したまま回収される変性ポリオレフィンの量が低下してしまう。また、析出した変性ポリオレフィンは、粘着性の高い水飴状であることから抽出操作を行う装置内の壁面等に付着し、操作性・作業性を著しく低下させる。従って、抽出溶媒と変性反応終了後の反応溶液との比が高くなりすぎないようにする。
抽出操作を行う際、エマルジョンやフォーミングの発生を抑制するため、2−プロパノール等のエマルジョンブレーカーの役割を果たす化合物を少量添加してもよい。
【0138】
変性ポリオレフィン溶液に残留している未反応の変性剤及び変性剤誘導体は、溶液を減圧下で加温し、蒸発又は昇華させることにより分離除去することもできる。
変性剤に無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の固体状変性剤を用いた場合、変性反応後の反応溶液の組成によっては、反応溶液の温度を反応温度から室温又は室温以下の温度に低下するのみで、未反応固体状変性剤及び/又は該変性剤誘導体が析出する場合がある。このような場合は、析出した未反応固体状変性剤及び/又は該変性剤誘導体を、デカンテーション法や濾過法、遠心分離法などにより固液分離し除去することができる。
【0139】
変性剤に無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の固体状変性剤を用いた場合、変性反応後の反応溶液に、反応溶媒よりもさらに極性の低い溶媒を添加すると、未反応の固体状変性剤及び/又は変性剤誘導体が析出する。従って、これらは反応溶媒より低極性の溶媒を用いることにより、変性ポリオレフィンを析出させることなく、デカンテーション法や濾過法、遠心分離法などにより固液分離することもできる。
この場合、低極性溶媒は、反応溶媒と極性の差が大きく、かつ変性ポリオレフィンが易溶な化合物であることが望ましい。反応溶媒としてトルエン又はキシレン等の芳香族溶媒を用いた場合、該低極性溶媒の代表例は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素である。
【0140】
(v)溶液の濃度調整工程
この工程は、ポリオレフィン溶液及び/又は変性ポリオレフィン溶液から溶媒を除去するか、溶媒を添加することによりポリオレフィン溶液及び/又は変性ポリオレフィン溶液の濃度を調整して取り扱いやすくする工程であり、図1に示すとおり適宜行うことが好ましい。
【0141】
ポリオレフィン溶液から溶媒を除去して濃縮することは、重合反応器から溶液を取り出して、触媒成分を不溶化し、あるいは更に固液分離装置へ移送する際に必要となりうる。また、変性ポリオレフィン溶液から溶媒を除去して濃縮することは、変性反応器から溶液を取り出して精製し、製品として貯槽へ移送する際、あるいは更に変性反応するため別の反応器へ移送する際も必要となりうる。具体的には、溶液を減圧下で加温し、溶媒を蒸発させる手段が採用される。これにより、移送量が削減され省エネルギーが図れるとともに、溶液の純度を高めることも可能となる。
ポリオレフィン溶液に溶媒を添加して希釈することは、触媒成分の固液分離装置から変性用の反応器へ移送する際に必要となりうる。また、変性ポリオレフィン溶液に溶媒を添加して希釈することは、製品貯槽から溶液を取り出して、乳化組成物を製造する際、あるいは別の反応器へ供給して更に変性反応を行う際にも必要となりうる。希釈に用いる溶媒は、重合時あるいは変性時と通常同じものを添加するが、別のものを添加することもありうる。
濃縮する場合、希釈する場合のいずれでも、溶液の濃度を調整して、ポリマー溶液の粘度(20℃)が2〜2000cP、好ましくは10〜1500cP、特に好ましくは30〜1000cPとする。
【0142】
3.変性ポリオレフィン溶液を製造する方法の具体例
次に、変性ポリオレフィン溶液を製造するプロセスを図2で、得られた変性ポリオレフィン溶液を精製するプロセスを図3で具体的に説明する。
【0143】
図2の(2−1)は、変性反応終了後の反応溶液に未反応変性剤及び/又は該変性剤誘導体が含まれていない場合、又は反応溶液に未反応変性剤及び/又は該変性剤誘導体が少量含まれていても問題が生じず、精製工程が不要な場合についての工程フロー例である。
このプロセスは、反応槽(A)と固液分離設備(B)からなる最もシンプルな構成である。
【0144】
反応槽(A)にて、反応溶媒(低極性溶媒)の存在下、均一系金属錯体触媒を用いてα−オレフィンの重合反応を行い、重合停止剤を添加して重合を停止する。次に、未反応α−オレフィンを揮発させることにより除去し、ポリオレフィン溶液の温度を所定温度に調整し、必要に応じて低極性溶媒をさらに添加して希釈する。
そして、水酸基を有する化合物とアルカリ成分を添加して金属成分とハロゲン成分を不溶化するか、又は吸着剤を添加して触媒の金属成分を吸着せしめるなどの操作を行い、ポリマーが全て溶媒に溶けているスラリー溶液を得る。
その後、濾過器及び/又は遠心分離機を備えた固液分離設備(B)にスラリー溶液を全量移送し、固液分離を行う。濾液又は遠心分離後の上澄み液は、反応槽(A)に戻される。その後、反応槽(A)内で重合停止剤や水酸基を有する化合物を揮発させることにより除去し、必要に応じて低極性溶媒を揮発させることにより溶液中のポリオレフィン濃度を調整し、液温を所定温度に調整する。
最後に、変性剤とラジカル反応開始剤を添加し、必要に応じてさらに連鎖移動調整剤及び/又は酸化防止剤を添加して変性反応を行い、変性ポリオレフィン溶液を得る。
【0145】
図2の(2−2)は、上記(2−1)の改良型であり、反応槽(A1)、固液分離設備(B)、反応槽(A2)からなるプロセスである。
反応槽(A1)にて、低極性溶媒の存在下で均一系金属錯体触媒を用いてα−オレフィンの重合反応を行なう。重合停止剤を添加して重合を停止し、未反応α−オレフィンを揮発させることにより除去し、液温を所定温度に調整し、必要に応じて低極性溶媒を添加して希釈する。
次に、水酸基を有する化合物とアルカリ成分を添加して、触媒の金属成分とハロゲン成分を不溶化するか、又は吸着剤を添加して金属成分を吸着せしめるなどの操作を行い、ポリマーが全て溶媒に溶けているスラリー溶液を得る。
その後、濾過器及び/又は遠心分離機を備えた固液分離設備(B)にスラリー溶液を移送し、固液分離を行う。濾液又は遠心分離後の上澄み液は、順次反応槽(A2)に移送する。その後、反応槽(A2)内で重合停止剤や水酸基を有する化合物を揮発させることにより除去する。
最後に、必要に応じて低極性溶媒を揮発させることにより溶液中のポリオレフィン濃度を調整し、液温を所定温度に調整し、変性剤とラジカル反応開始剤を添加し、必要に応じてさらに連鎖移動調整剤及び/又は酸化防止剤を添加して変性反応を行い、変性ポリオレフィン溶液を得る。
【0146】
図2の(2−3)も上記(2−1)の改良型であって、反応槽(A1)、触媒成分析出槽(G)、固液分離設備(B)、反応槽(A2)からなるプロセスを示したものである。
反応槽(A1)にて、低極性溶媒の存在下で均一系金属錯体触媒を用いたα−オレフィンの重合反応を行い、重合停止剤を添加して重合を停止する。
その後、触媒成分析出槽(G)に移送し、未反応α−オレフインを揮発させて除去し、必要に応じて低極性溶媒を添加して希釈し、液温を所定温度に調整し、水酸基を有する化合物とアルカリ成分を添加して、触媒の金属成分とハロゲン成分を不溶化するか、又は吸着剤を添加して金属成分を吸着せしめるなどの操作を行い、ポリマーが全て溶媒に溶けているスラリー溶液を得る。その後、濾過器及び/又は遠心分離機を備えた固液分離設備(B)に得られたスラリー溶液を移送し、固液分離を行う。
一方、得られた濾液又は遠心分離後の上澄み液は、反応槽(A2)に移送される。その後、反応槽(A2)内で必要に応じて重合停止剤や水酸基を有する化合物を揮発させることにより除去し、必要に応じて低極性溶媒を揮発させることにより除去して、溶液中のポリオレフィン濃度を調整する。
最後に、液温を所定温度に調整し、変性剤とラジカル反応開始剤を添加し、必要に応じてさらに連鎖移動調整剤及び/又は酸化防止剤を添加して変性反応を行い、変性ポリオレフィン溶液を得る。
【0147】
本発明の変性ポリオレフィン溶液の製造方法では、上記のプロセスを行った後に、変性反応後の反応溶液中に存在しうる未反応の変性剤及び/又は該変性剤誘導体の少なくとも一部を除去する工程を含ませることもできる。
図3の(3−1)〜(3−3)は、この反応溶液を精製する工程のフロー例を簡略に示した図である。この精製工程は、図2に示された工程で製造された変性ポリオレフィンの未精製溶液をスタートとして用いることを前提としている。
【0148】
図3の(3−1)は、冷却槽(F)と固液分離設備(B)からなるプロセスを示したものであり、変性剤に無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の固体状変性剤を用いた場合に好ましく適用される。
このプロセスは、変性ポリオレフィンの未精製溶液を冷却槽(F)に移送して、攪拌しながら冷却し、固体状変性剤及び/又はその誘導品を析出させ、得られた固液混合液を濾過器及び/又は遠心分離機などの固液分離設備(B)を用いて固液分離し、精製された変性ポリオレフィン溶液を得るものである。
【0149】
また、図3の(3−2)は、析出槽(H)、固液分離設備(B)、及び濃縮槽又は蒸留塔(E)からなるプロセスを示している。
上記と同様に、変性剤に無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の固体状変性剤を用いた場合、変性ポリオレフィンの未精製溶液を析出槽(H)に移送し、必要に応じて反応に用いた溶媒を留去して、溶液を濃縮し、該反応溶媒より低極性で変性ポリオレフィンには易溶であるが固体状変性剤の溶解度は低い析出用溶媒を攪拌しながら添加し、必要に応じて冷却し、固体状変性剤及び/又はその誘導品を析出させる。
次に、得られた固液混合液を濾過器及び/又は遠心分離機などの固液分離設備(B)を用いて固液分離する。得られた濾液又は遠心分離後の上澄み液を濃縮槽又は蒸留塔(E)に移送し、変性ポリオレフィンが所定の濃度になるまで濃縮することにより、精製された変性ポリオレフィン溶液を得る。
【0150】
また、図3の(3−3)は、抽出槽(H’)、分離槽(B)、及び濃縮槽又は蒸留塔(E)からなるプロセスである。
変性ポリオレフィンの未精製溶液は、必要に応じて反応に用いた溶媒を留去して、溶液を濃縮するか反応溶媒で希釈してから抽出槽(H’)に移送し、抽出溶媒を加えて攪拌する。この溶液を分離槽(B)に移送して、変性ポリオレフィンを含む反応溶媒相と変性剤及び/又はその誘導品を含む抽出溶媒相に静置分離する。
次に、反応溶媒相は、濃縮槽又は蒸留塔(E)に移送し、抽出溶媒を蒸留分離除去し、必要に応じて反応溶媒を蒸留・分離除去して濃縮するか反応溶媒で希釈して変性ポリオレフィン濃度を調整することにより、精製された変性ポリオレフィン溶液を得る。
【0151】
4.変性ポリオレフィン溶液の他の製造例
本発明における変性ポリオレフィン溶液の製造方法には、(i)の重合工程において得られるポリオレフィンを特定の触媒、特定の条件下で末端修飾剤と反応させる方法も含まれる。
【0152】
この重合工程(i)のα−オレフィンの重合において、前述した▲1▼の触媒、すなわちバナジウム錯体と有機アルミニウム化合物からなる特定の触媒を用い、先に記載した条件下で反応を行うと、リビング重合が進行する。そこに末端修飾剤を添加すると、ポリマーの末端に修飾剤が結合したポリオレフィンが得られる。この末端修飾剤は、前記した一般式(A)、(B)と同じ化合物の他、下記一般式(C)及び(D)で示される活性水素を含有する化合物を用いることができる。
【0153】
H2C=C(R1)COY・・・(C)
[式中、R1はHまたはC1−10のアルキル基;YはHまたは活性水素を有する置換基である。]
【0154】
H2C=C(R1)R2−Z・・・(D)
[式中、R1はHまたはC1−10のアルキル基;R2はアルキル基置換基を有しうる芳香族基;Yは活性水素を有する置換基である。]
【0155】
一般式(C)で表される化合物としては、例えば、アクリル酸、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、アクリル酸−2−アミノエチル、3−アクリロイロキシプロパンスルホン酸、メタクリル酸、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル、メタアクリル酸−2−アミノエチル、アクロレイン、イタコン酸が挙げられる。
このほか、2−(2−アクリロイロキシエトキシ)エタノール、2−(2−(2−(2−アクリロイロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル−1−アミン、2−(2−(2−アクリロイロキシエトキシ)エトキシ)プロパン−1−チオール、2−(2−(2−アクリロイロキシエトキシ)エトキシ)プロパン−1−スルホン酸、4−(2−(2−(2−アクリロイロキシエトキシ)エトキシ)エトキシブタン−1−リン酸エステル、4−(2−(2−(4−イソプロペニルフェニル)エトキシ)エトキシ)ブタン−1−チオールなども例示できる。
【0156】
一般式(D)で表される化合物としては、例えば、4−ビニル安息香酸、4−ヒドロキシスチレン、4−アミノスチレン、p−スチレンスルホン酸、4−ビニルフェニルメルカプタン、4−イソプロペニルフェノール、3−(2−(4−ビニルフェニル)エトキシ)プロパノール、3−(2−(2−(2−(4−ビニルフェニル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパン−1−アミン、3−(2−(2−(4−ビニルフェニル)エトキシ)エトキシ)プロパン−1−チオール、3−(2−(2−(4−ビニルフェニル)エトキシ)エトキシ)プロパン−1−スルホン酸、3−(2−(2−(4−イソプロペニルフェニル)エトキシ)エトキシ)プロパン−1−チオールなどが挙げられる。
【0157】
上記末端修飾剤のうち活性水素をもつものは、予め錯化剤、例えば有機アルミニウム化合物で錯化させておくことが好ましい。
有機アルミニウム化合物は、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ビス(2,6−ジ−tBu−フェノキシ)メチルアルミニウム等が挙げられる。
その他、ジエチル亜鉛、トリメチルシリルクロリド、tBu−ジメチルシリルクロリド、トリイソプロピルシリルクロリド、メチルリチウム、ブチルリチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド等の錯化剤を用いることができる。
錯化剤と活性水素を有する末端修飾剤とのモル比は、末端修飾剤が保有する水素の数によって決定される。保有する活性水素の数は、置換基が例えばOHやCOOH、NH(CH3)であれば1、NH2やPO3H2であれば2である。錯化剤と末端修飾剤とのモル比は、該活性水素数の0.3倍以上、好ましくは1.01〜10倍、さらに好ましくは1.1〜3倍とする。
錯化反応は、反応溶媒として、不活性で液状の溶媒を用いるのが望ましく、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素;シクロプロパン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が用いられる。
錯化反応は、−100〜100℃の温度で0.5〜50時間、好ましくは−90〜50℃で1〜30時間、さらに好ましくは−80〜30℃で1〜15時間行うことができる。
【0158】
末端に導入される修飾剤は、ポリマー1分子鎖当り、末端修飾剤が0.5〜50個、好ましくは1〜30個である。
【0159】
次に、ポリオレフィンを末端修飾させてから変性させる方法の具体例を図2で説明すると、(2−1)に示したプロセスでは、反応槽(A)にて低極性溶媒の存在下で、上記特定の均一系金属錯体触媒▲1▼を用いたα−オレフィンの重合反応を行い、引き続き末端修飾剤を添加して末端修飾反応を行なう。
【0160】
その後、重合停止剤を添加して重合を停止し、未反応α−オレフィンを揮発させることにより除去し、必要に応じて低極性溶媒を添加して希釈し、液温を所定温度に調整し、水酸基を有する化合物とアルカリ成分を添加して、金属成分とハロゲン成分を不溶化するか、又は吸着剤を添加して金属成分を吸着せしめるなどの操作を行い、末端修飾ポリオレフィン溶液を得る。
その後、濾過器及び/又は遠心分離機からなる固液分離設備(B)に得られた溶液を全量移送し、固液分離を行う。
得られた濾液又は遠心分離後の上澄み液は、反応槽(A)に戻す。その後、反応槽(A)内で必要に応じて重合停止剤や水酸基を有する化合物を揮発させることにより除去し、必要に応じて低極性溶媒を揮発させて除去することにより、溶液中の末端修飾ポリオレフィンの濃度を調整し、末端修飾ポリオレフィン溶液を得る。
【0161】
図2の(2−3)で他の例を説明すると、反応槽(A1)にて低極性溶媒の存在下で、前記特定の均一系金属錯体触媒▲1▼を用いたα−オレフィンの重合反応を行い、引き続き、末端修飾剤を添加して末端修飾反応を行い、重合停止剤を添加して重合を停止する。
その後、触媒成分析出槽(G)に移送し、未反応α−オレフィンを揮発させることにより除去し、必要に応じて該低極性溶媒を添加して希釈し、液温を所定温度に調整し、水酸基を有する化合物とアルカリ成分を添加して金属成分とハロゲン成分を不溶化するか、又は吸着剤を添加して金属成分を吸着せしめるなどの操作を行い、末端修飾ポリオレフィン溶液を得る。その後、濾過器及び/又は遠心分離機からなる固液分離設備(B)に得られた溶液を移送し、固液分離を行う。得られた濾液又は遠心分離後の上澄み液は、濃縮槽又は蒸留塔(E)に移送する。その後、反応槽(A2)内で必要に応じて重合停止剤や水酸基を有する化合物を揮発させて除去し、必要に応じて低極性溶媒を揮発させて除去し末端修飾ポリオレフィン濃度を調整し、末端修飾ポリオレフィン溶液を変性工程に付す。
【0162】
さらに、図2の(2−4)は、反応槽(A1)、反応槽(A2)、触媒成分析出槽(G)、固液分離設備(B)、濃縮槽(E)からなるプロセスを示したものである。
反応槽(A1)にて低極性溶媒の存在下で、前記均一系金属錯体触媒▲1▼を用いたα−オレフィンの重合反応を行ない、引き続き、末端修飾剤で末端修飾反応を行う。重合停止後、反応溶液を反応槽(A2)に移送し、変性剤を添加して末端修飾ポリオレフィンの変性反応を行なう。
その後、触媒成分析出槽(G)に移送し、必要に応じて低極性溶媒を添加して希釈し、所定温度に調整し、水酸基を有する化合物とアルカリ成分を添加して金属成分とハロゲン成分を不溶化するか、又は吸着剤を添加して金属成分を吸着せしめるなどの操作を行い、変性ポリオレフィン溶液を得る。
その後、濾過器及び/又は遠心分離機からなる固液分離設備(B)に得られた溶液を移送し、固液分離を行う。得られた濾液又は遠心分離後の上澄み液は、濃縮槽又は蒸留塔(E)に移送する。
その後、濃縮槽又は蒸留塔(E)内で、必要に応じて重合停止剤や水酸基を有する化合物を揮発させることにより除去し、必要に応じて該低極性溶媒を揮発させて除去することにより、溶液中の変性ポリオレフィン濃度を調整し、変性ポリオレフィン溶液を得る。
【0163】
以上に説明したとおり、本発明は、末端修飾ポリオレフィンを、(i)の重合工程で得られるポリオレフィンとして読み替え、(ii)の変性工程に付することも含まれる。
【0164】
末端修飾反応は、オレフィン重合とは別の反応器に移して行うことも可能であるが、好ましくはオレフィン重合反応と同一の反応器を用いて行う。
【0165】
5.水性化変性ポリオレフィン溶液
本発明で製造した変性ポリオレフィン溶液は、これに塩基性物質及び界面活性剤を添加し、更に水を添加し、必要に応じて乳化処理を行い、溶媒を水に置換することにより、変性ポリオレフィンを析出させることなく、水性化することが出来る。
【0166】
6.変性ポリオレフィン溶液の固形化
本発明で得られた変性ポリオレフィン溶液は、固形化変性ポリオレフィンとすることが出来る。即ち、ポリマー溶液を加熱して溶媒とポリマーを分離する方法、熱風中に噴霧する方法、延伸薄膜蒸発器を使用する方法、ドラム乾燥法、ベント付き押出乾燥機を用いる方法、ポリマー溶液を多量の貧溶媒に添加してポリマーを凝集沈殿せしめる方法などで乾燥することにより、変性ポリマーを固体として単離、回収することが出来る。
【0167】
【実施例】
次に、実施例を用いて本発明をさらに説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0168】
分析方法
1.分子量の測定
ポリマーの分子量は、Waters社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)モデル150を用いて測定した。その測定条件は、溶媒を0−ジクロルベンゼン、測定温度を135℃、溶媒流速を1.0ml/分とした。カラムは、東ソー社製の単分散ポリスチレン標準試料を用い、ポリスチレンの検量線を求め、これによりユニバーサル法でポリオレフィンの分子量を測定した。
【0169】
2.ポリマーの構造決定
ポリマーの構造は、日本電子社製のフーリエ変換型NMRスペクトロメーターGS400を用い、400MHz、30℃、パルス間隔15秒の条件で1H−NMRスペクトルを測定し、決定した。試料は、重クロロホルムに溶解して調製した。13C−NMRスペクトルは、Varian社製のXL−200型を用い、50MHz、120℃、パルス幅8.2μS、π/3、パルス間隔4秒、積算回数5,000回の条件で測定した。試料は、トリクロロベンゼンとベンセン(2:1)の混合溶媒に溶解して調整した。
【0170】
3.結晶融解熱量の測定
結晶融解熱量は、示差走査型熱量計によるポリマーの完全溶融状態の比熱曲線を低温側に直接外挿して得られる直線をべースラインとして計算される値で示した。その測定は、示差走査型熱量計としてPerkin Elmer社製、system7を用い、サンプル量を約10mg、測定雰囲気を窒素雰囲気とした。温度、熱量校正は、インジウムを使用して行った。
また、加熱プログラムは次の通りである。すなわち、サンプルを10℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、230℃で5分間放置後、10℃/分の降温速度で−50℃まで冷却し、−50℃で5分間放置する。その後10℃/分の昇温速度で−50℃から230℃まで測定を行った。
結晶融解熱量は、80〜175℃の範囲で直線ベースラインを設定し、溶融曲線とベースラインとで囲まれる部分の面積から総熱量を算出し、試料重量で除して求めた。
【0171】
4.沸騰n−へプタン不溶分量の測定
沸騰n−ヘプタン不溶分量は、細かく粉砕した試料約3gを円筒濾紙に入れ、180mlのn−ヘプタンを用い、ソックスレー抽出器で5時間抽出し、抽出残分を真空乾燥機で恒量になるまで乾燥して、その重量を求めることにより測定した。
【0172】
5.ポリオレフィンヘの変性剤導入量(変性剤の数/ポリオレフィン1分子)の測定
官能基導入量は、フィルム状にしたポリマーの赤外吸収スペクトル(IR)吸収による吸収ピークの解析により測定した。IR測定には日本電子社製のFT/IR−470を用いた。
【0173】
(実施例1)
プロピレンの重合
窒素で十分に置換した2Lの撹拌機付きオートクレーブに、180mlのトルエンを入れ、−60℃に保った。同温度で2mol/lのAl(C2H5)1.5Cl1.5を2.5ml添加した。その後、攪拌しながらプロピレンを8.3mol導入した。さらに0.1mol/lのVOCl3のトルエン溶液2mlを加え、9時間反応を行った。その後、少量のメタノールを添加して触媒を失活させることにより、重合を停止した。
ここで、分析用として反応溶液約10mlを分取し、1Lのメタノール中に攪拌しながら反応溶液を入れてポリマーを析出させ、得られた固体状ポリマーをメタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥した。このポリマーのGPC測定を行った結果、GPC曲線は単峰性であり、重量平均分子量(Mw)は38,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。また、13C−NMRで測定したプロピレン連鎖のラセミダイアド分率[r]は、0.84であった。結晶融解熱量は0J/g、沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分は0%であった。
ヒドロキシエチルアクリレートによる変性
上記で得られたポリマー溶液を95℃に昇温した後に、ヒドロキシエチルアクリレートを64g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを16g加えて、4時間攪拌した。その後、室温まで冷却することにより、ヒドロキシエチルアクリレートで変性されたポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、放冷後に多量のメタノールに注ぐことで完全に固化し、メタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥することで得られたポリマーをIR測定したところ、1730cm−1付近にエステルに由来する吸収ピークが観測された。その吸収強度から、ポリプロピレンヘの変性剤の導入量を求めたところ、30個/鎖であることが分かった。
【0174】
(実施例2)
プロピレンの重合
窒素で十分に置換した2Lの撹拌機付きステンレス製オートクレーブに、トルエンを250mlと、1mmol/lのジオクチルアルミニウムクロライドのトルエン溶液を40ml、1mmol/lのトリスペンタフルオロフェニルボランのトルエン溶液を4ml入れ、プロピレンを8.3mol導入し、窒素で圧力を500kPaGに調整し、攪拌しながら60℃に加熱した後、1mmol/lのイソプロピリデン(シクロペンタジエニル・フルオレニル)ジメチルジルコニウム(Me2C(Cp,Flu)ZrMe2)のトルエン溶液1mlを加え、重合を開始した。2時間重合後、攪拌しながらエタノールを徐々に添加し、触媒を失活させた。次に圧力を徐々に常圧まで下げ、さらに100℃まで昇温することにより、未反応プロピレン、エタノール、触媒由来の揮発性成分を留去した。
得られたスラリー状の反応溶液の一部を実施例1と同様に処理し、得られた固体状のポリマーをGPCで分析したところ、重量平均分子量(Mw)は90,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。また13C−NMRで測定したプロピレン連鎖のラセミダイアド分率[r]は、0.94であった。結晶融解熱量は20J/g以下であった。
無水マレイン酸による変性
上記で得られたスラリー状反応液を窒素により加圧して、圧力を800kPaGに維持しつつ、攪拌しながら170℃まで昇温した。170℃に到達した後に、無水マレイン酸0.5gをトルエン(10ml)に溶かした溶液と、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシへキサン(0.025g)をトルエン(1ml)に溶かした溶液とを30分毎に5回加えた。最後の添加を終了した後に、170℃で2時間攪拌を継続し、その後、攪拌しつつ室温まで冷却した。得られたスラリー状反応液を濾過して、固体状ポリマー(4.5g)を得た。また、得られたポリマーをIR測定したところ、1780cm−1と1860cm−1付近にジカルボン酸無水物に由来する吸収ピークが観測された。その吸収強度から、ポリプロピレンヘの変性剤の導入量を求めたところ、1.6個/鎖であることが分かった。
【0175】
(実施例3)
プロピレンの重合
窒素で十分に置換した50Lの撹拌機付きオートクレーブに、トルエンを25L入れ、21℃に保った。同温度で2mol/lのエチルアルミニウムセスキクロライドのトルエン溶液750mlを加えた。次に、1mol/lのテトラブトキシチタンのトルエン溶液を125ml加え、攪拌しながらプロピレンを導入した。プロピレンの圧力は重合中、常時3気圧になるようにセットした。プロピレンの導入をもって重合開始とした。重合は8時間行った。その後、メタノールを0.2L添加して、重合を停止させ、その後、未反応プロピレンを気化させ、25kgの反応溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、組成を分析したところ、反応溶液のPP含有量は3.4重量%、チタン含有量は240重量ppm、アルミニウム含有量は3275重量ppmであった。
触媒成分の除去
上記反応溶液16.5Kgに、高分子凝集剤として三洋化成株式会社製サンフロックN−500の0.5%水溶液を535mlと、界面活性剤としてアデカ株式会社製プルロニックを41ml加え、30分間激しく攪拌した。攪拌後、室温下にてこの溶液を5000Gの遠心力で1時間遠心分離を行った。遠心分離後、無色透明の上層と沈降した高分子凝集剤に分かれ、無色透明の上澄み液として、精製されたポリマー溶液15.7kgが得られた。
この上澄み液のチタン及びアルミニウム含有量を蛍光X線分析により定量したところ、それぞれ4重量ppm、7重量ppmであった。また、この上澄み液を実施例1と同様に処理して得た固体状ポリマーをGPCで分析したところ、GPC曲線は単峰性であり、重量平均分子量(Mw)は25,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。また13C−NMRで測定したプロピレン連鎖のラセミダイアド分率[r]は、0.32であった。沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分は50重量%以下であった。
メチルメタクリレートによる変性
上記で得られた精製ポリマー溶液15.0kgを、窒素で十分に置換した30Lの撹拌機付きオートクレーブに入れ、60℃に昇温し、メチルメタクリレート280g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート14gを加えて、3時間攪拌した。その後、室温まで冷却することにより、メチルメタクリレートで変性されたポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、放冷後に多量のメタノールに注ぐことで完全に固化し、メタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥することで得られたポリマーをIR測定したところ、1730cm−1付近にエステルに由来する吸収ピークが観測された。その吸収強度から、ポリプロピレンヘの変性剤の導入量を求めたところ、7個/鎖であった。
【0176】
(実施例4)
プロピレンの重合及び反応溶液の希釈
窒素で十分に置換した400Lのジャケットクーラー及び撹拌機付きSUS製反応釜に、トルエンを90Lと、12molのAl(C2H5)1.5Cl1.5のトルエン溶液を入れ、−60℃に冷却した。次にプロピレン(210L)を加えてトルエンに液化溶解した。内温が−60℃に安定したところで0.14molのバナジウムトリスアセトナトのトルエン溶液を加え、重合を開始した。重合開始後、30分毎に、0.14molのバナジウムトリスアセトナトのトルエン溶液を加え、総量として0.56molのバナジウムトリスアセトナトのトルエン溶液を添加し、−60℃で2時間反応させた。
その後、トルエンで4倍に希釈したメタノールを10L添加して、重合を停止した。次いで、系を徐々に昇温して未反応のプロピレンをパージし、トルエンを50L加えて希釈し、ポリマー溶液を抜き出した。
触媒成分の除去
上記で得られたポリマー溶液140Kgとトルエン(60kg)を、500Lのジャケットヒーター及び撹拌機付きSUS製反応釜に投入し、攪拌しながら50℃に加温し、ナトリウムメトキシドの28重量%メタノール溶液5.8kgとメタノール8.5kgを混合した液を添加した。50℃における当該溶液の粘度は60cPであった。50℃で1時間攪拌した後、60℃に加温し、昭和化学工業製ラジオライト#700を13.5kg加えて攪拌し、均一なスラリーとした。
ジャケットヒーター付き水平濾過板加圧濾過器に、保留粒子径1μmの濾布をセットし、3mm厚のラジオライト#700プレコート層を形成し、60℃に加温した後、このスラリー液を投入した。濾過器を密閉後、濾過器内を窒素で50kPaGに加圧し、濾過を開始した。濾過開始後、初期の濾液は白濁していたが、その後無色透明になったことから、白濁液を再び濾過器に投入することにより、無色透明の濾液を精製品として回収した。濾過器内圧力を200kPaGまで徐々に増加しつつ濾過を継続することにより、約3時間で濾過器に投入した全てのポリマー液の濾過を終了した。その後、トルエン(20kg)を濾過器に投入し、濾布上に捕捉された残さ中に含まれるポリマー液を洗い流すことにより、濾液として全量で210kgの精製されたポリマー溶液を得た。
この精製されたポリマー溶液の一部を分取し、分析したところ、ポリマー含有率は7.5重量%、アルミニウム、バナジウム、塩素の含有率は、いずれも10ppm未満であった。また、GPC曲線は単峰性であり、重量平均分子量(Mw)は130,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。また13C−NMRで測定したプロピレン連鎖のラセミダイアド分率[r]は、0.80であった。結晶融解熱量は20J/g以下であった。
濃縮及びアクリル酸による変性
上記で得られたポリマー溶液200Kgを、500Lのジャケットヒーター及び撹拌機付きSUS製反応釜に投入し、窒素で30kPaGに加圧した後、攪拌しながら徐々に昇温することにより、メタノール及びトルエンの一部を留去した。留出回収液が97kgに到達した時点で留去を停止し、110℃まで降温した。
液温が110℃に到達した後、ポリマー溶液を攪拌しつつ、アクリル酸15gと、90g/lのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートのトルエン溶液10mlを20分毎に合計10回添加した。その後、2時間攪拌を継続した後、室温まで冷却することにより、アクリル酸で変性されたポリマー溶液100kgを得た。ポリマー含有率は15重量%、溶液の粘度は850cPであった。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、放冷後に多量のメタノールに注ぐことでポリマーを完全に固化し、メタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥することで得られたポリマーをIR測定したところ、1720cm−1付近にカルボン酸に由来する吸収ピークが観測された。その吸収強度から、ポリプロピレンヘの変性剤の導入量を求めたところ、9個/鎖であることが分かった。
【0177】
(実施例5)
濃縮及びフマル酸による変性
実施例4と同様の操作(プロピレンの重合、希釈及び触媒成分の除去)を2回行い、ポリマー含有率が7.5重量%の精製ポリマー溶液を合計420kg得た。このポリマー溶液300Kgを、500Lのジャケットヒーター及び撹拌機付きSUS製反応釜に投入し、窒素で30kPaGに加圧した後、攪拌しながら徐々に昇温することにより、メタノール及びトルエンの一部を留去した。留出回収液が197kgに到達した時点で留去を停止し、100℃まで降温した。攪拌を停止し、圧力を常圧に戻して、フマル酸を16kg投入し、窒素を導入して圧力を600kPaに調整した後、攪拌しながら150℃まで昇温した。温度が150℃で安定した後、90g/lのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートのトルエン溶液1Lを30分毎に合計5回添加し、最後の添加を終了後に、さらに150℃で3時間攪拌を継続した。
反応液の精製
上記の操作を終了後、低速で攪拌を継続しつつ10℃まで反応液を冷却した。液温が10℃に到達した後、圧力を30kPaに調整した後、さらに2時間低速で攪拌を継続した。本操作により、未反応フマル酸のほぼ全量及びフマル酸誘導体(主にオリゴマー)の少なくとも一部がスラリー状で析出した。得られたスラリーに昭和化学工業製ラジオライト#700を8kg加えて攪拌し、均一なスラリーとした。
ジャケットヒーター付き水平濾過板加圧濾過器に、保留粒子径1μmの濾布をセットし、3mm厚のラジオライト#700プレコート層を形成し、10℃に調整した後、このスラリー液を投入した。濾過器を密閉後、濾過器内を窒素で50kPaGに加圧し、濾過を開始した。濾過開始後、初期の濾液は若干白濁していたが、その後無色透明になったことから、白濁液を再び濾過器に投入することにより、無色透明の濾液を精製品として回収した。濾過器内圧力を400kPaGまで徐々に増加しつつ濾過を継続することにより、約6時間で濾過器に投入した全てのポリマー液の濾過を終了した。濾液として全量で96kgの精製ポリマー溶液を得た。この溶液中のポリマー含有率は21重量%であった。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、放冷後に多量のメタノールに注ぐことで完全に固化し、メタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥することで得られたポリマーをIR測定したところ、1715cm−1付近にカルボン酸に由来する吸収ピークが観測された。その吸収強度から、ポリプロピレンヘの変性剤の導入量を求めたところ、2.2個/鎖であることが分かった。
【0178】
(実施例6)
活性水素含有末端修飾剤の有機アルミニウム化合物による錯化
十分に窒素置換した20Lの撹拌機付きフラスコに、トルエンを7L入れ、9molのAl(i−C4H9)2Clを導入した。−78℃に冷却し、ヒドロキシエチルメタクリレート(4.5mol)を2時間かけて滴下した。滴下中は反応系を−78℃に保った。滴下終了後、撹拌しながら、反応系を室温までゆっくりと昇温した。
プロピレンの重合
窒素で十分に置換した200Lのジャケットクーラー及び撹拌機付きSUS製反応釜に、トルエン(45L)と9molのAl(i−C4H9)2Clのトルエン溶液を入れ、攪拌しながら−60℃に冷却した。同温度でプロピレンを105L加えて、トルエンに液化溶解した。次に、0.9molの1,3−ジオキソランのトルエン溶液、ならびに0.75molのバナジウムトリス−2−メチル−1,3−ブタンジナオトのトルエン溶液を加えて、重合を開始した。−60℃で1時間プロピレンの重合を行った後、以下の末端修飾反応を行った。
ヒドロキシエチルメタクリレートの有機アルミニウム錯化物との反応
上記の−60℃に冷却されたプロピレン重合系に、先に調製したヒドロキシエチルメタクリレートの有機アルミニウム錯化物を添加して、末端修飾反応を行った。8時間反応させた後、トルエンで4倍に希釈した3Lのメタノールを添加して、重合を停止した。系を徐々に昇温して、未反応プロピレンをパージした。プロピレンのパージに伴い反応溶液が濃縮されるため、希釈用トルエンを25L加えて、1時間攪拌した後、ポリマー溶液72kgを抜き出した。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、放冷後に多量のメタノールに注ぐことで完全に固化し、メタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥することで得られたポリマーをIR測定したところ、1740cm−1付近にブロードなヒドロキシ基の吸収に基づくピークが観測された。また、GPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は17,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.2であった。沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分は50重量%以下であった。また、13C−NMRで測定したプロピレン連鎖のラセミダイアド分率[r]は、0.83であった。さらに、1H−NMRの測定を行ったところ、プロピレンの連鎖に起因するピーク(δ=0.7〜1.7ppm)以外に、下記の化学シフト値のピークが観測された。
【0179】
【化11】
【0180】
プロピレン連鎖に基づくシグナルの強度と上記のaの強度比、ならびに数平均分子量を用いて計算した結果、ポリプロピレンの末端に1.1個の上記ユニットが結合していることが確認された。
触媒成分の除去
上記反応溶液70Kgに、高分子凝集剤として三洋化成株式会社製サンフロックN−500の0.5%水溶液を2.3Lと、界面活性剤としてアデカ株式会社製プルロニックを180ml加え、30分間激しく攪拌した。攪拌後、室温下にてこの溶液を遠心分離し、無色透明の上澄み液として、精製されたポリマー溶液65kgを得た。
グリシジルメタクリレートによる変性
上記で得られた精製ポリマー溶液65Kgと、トルエン(20kg)を200Lのジャケットヒーター及び撹拌機付きSUS製反応釜に投入し、窒素で30kPaGに加圧した後、攪拌しながら徐々に昇温することにより、残留水分及びトルエンの一部を留去した。留出回収液が20kgに到達した時点で留去を停止し、93℃にした。
ポリマー溶液の温度が93℃で安定した後、グリシジルメタクリレートを4kgと、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを3g添加した。その後、2時間攪拌を継続してから、室温まで冷却することにより、グリシジルメタクリレートで変性されたポリマー溶液69kgを得た。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、放冷後に多量のメタノールに注ぐことで完全に固化し、メタノールで5回洗浄し、室温で減圧乾燥することにより得られたポリマーをIR測定したところ、カルボニル基の伸縮振動による1740cm−1のピークが、グリシジルメタクリレートを反応させる前と比較して増大していることが観測された。
【0181】
【化12】
【0182】
さらに、1H−NMR測定を行ったところ、プロピレンのプロトンに由来するピーク(δ=0.7〜1.7ppm)ならびに、上記ヒドロキシエチルメタクリレート由来のピークとともに、グリシジルメタクリレートに起因するピーク(ピークd〜f)が新たに観測された。
これらNMR、IR分析の結果から、グリシジルメタクリレートがポリプロピレン鎖に導入されていることが確認された。ポリプロピレン部のプロトンとeのピークの強度比、ならびにGPCにより測定された数平均分子量より算出したグリシジルメタクリレートのユニット数は4であった。
【0183】
以上の結果から、実施例1〜6によれば、プロピレンの重合から変性剤による変性までの一連のプロセスにおいて、いずれの工程でもポリマーを乾燥しないため、容易に所望のポリマー溶液を得ることができることが分かる。
【0184】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリマーを固体として単離・回収することなく変性ポリオレフィン溶液を製造するので、ポリマーロスが少なく、溶媒の完全分離除去やポリマーの溶解を行わないことから、簡略で低コストなプロセスとすることができる。また、反応溶媒と製品溶媒とを等しくできることから、使用する溶媒種を減らせるだけでなく設備コストの低減等の利点があり、廃液量が低減することになり環境負荷の低減にもつながる。
さらに、得られた変性ポリオレフィン溶液、又はこれから溶媒を除去してポリオレフィンを固形化したものは、塗料、表面改質剤、プライマー、コーティング剤、インク、接着剤、相溶化剤及びそれらの中間原料として使用することが出来ることから、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により変性ポリオレフィン溶液を製造する場合の代表的な工程を示す概略図である。
【図2】本発明により変性ポリオレフィン溶液を製造する場合の具体的な説明図である。
【図3】本発明の方法で得られた変性ポリオレフィン溶液を精製する場合の説明図である。
【符号の説明】
(i) 重合工程
(ii) 変性工程
(iii) 触媒の除去工程
(a) 触媒の不溶化
(b) 触媒の除去
(iv) 未反応変性剤及び変性剤誘導体の除去工程
(v) 溶液の濃度調整工程
A、A1、A2 反応槽(反応器)
B 固液分離設備(分離槽)
E 濃縮槽(蒸留塔)
F 冷却槽
G 触媒成分析出槽
H、H’ 未反応変性剤等の析出槽、抽出槽
Claims (4)
- α−オレフィンを重合触媒の存在下、液相で重合してポリオレフィンを溶液又はスラリー状態のポリマーとして得る工程と、溶液又はスラリー状態のポリマーを変性する工程を含み、ポリマーを乾燥しないことを特徴とする変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
- ポリオレフィンを変性する工程の前又は後に、触媒成分を除去する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
- ポリオレフィンを変性する工程の後に、得られた変性ポリオレフィン溶液又はスラリーから未反応の変性剤及び変性剤の誘導体を除去する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
- いずれかの工程の後に、溶液又はスラリーの濃度を調整する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の変性ポリオレフィン溶液の製造方法。
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