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JP2004272212A - 感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた感光性画像形成材料及び感光性画像形成材 - Google Patents

感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた感光性画像形成材料及び感光性画像形成材 Download PDF

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JP2004272212A JP2003412134A JP2003412134A JP2004272212A JP 2004272212 A JP2004272212 A JP 2004272212A JP 2003412134 A JP2003412134 A JP 2003412134A JP 2003412134 A JP2003412134 A JP 2003412134A JP 2004272212 A JP2004272212 A JP 2004272212A
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Abstract

【課題】溶媒に対する溶解性が良好で、黄灯下でのセーフライト性に優れ、青紫色領域で高感度且つ解像性の高い感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】増感剤と、露光された時にこの増感剤との相互作用により、ラジカル、酸及び塩基のうちの少なくとも一種を生成する活性化合物とを含有する感光性樹脂組成物。増感剤は下記一般式[I]で表される化合物を含む。
【化27】
Figure 2004272212

(一般式[I]中、R1〜R9は、それぞれ独立して水素原子又は任意の置換基を表す。但し、R1〜R9のうち隣り合う置換基同士、R1とR9、及びR5とR6、のうちの1又は2以上の組み合せでそれぞれ互いに結合して、置換基を有していても良い環を形成していても良い。)

Description

本発明は、青紫色レーザー光による露光、及び現像処理によってレジスト画像形成可能な感光性樹脂組成物と、この感光性樹脂組成物を用いた感光性画像形成材料及び感光性画像形成材に係り、特に、青紫色レーザー光を用いた直接描画による、プリント配線基板、プラズマディスプレイ用配線板、液晶ディスプレイ用配線板、大規模集積回路、薄型トランジスタ、半導体パッケージ等の微細電子回路の形成に有用な感光性樹脂組成物と、この感光性樹脂組成物を用いた感光性画像形成材料及び感光性画像形成材に関する。
従来より、プリント配線基板、プラズマディスプレイ用配線板、液晶ディスプレイ用配線板、大規模集積回路、薄型トランジスタ、半導体パッケージ等の微細電子回路の形成には、例えば、被加工基板上に感光性レジスト材層を有し、必要に応じてその上に保護層を設けた画像形成材を用い、その感光性レジスト材層を、マスクフィルムを通して紫外線照射して露光した後、マスクフィルムを剥離し、更に保護層を有する場合にはその保護層を剥離し、露光部と非露光部の現像液に対する溶解性の差を利用して現像することによりパターン層を形成し、このパターン層をマスクとして被加工基板をエッチング加工等することにより、被加工基板に回路パターンを形成するリソグラフィー法が広く用いられている。
更に、近年、露光光源にレーザー光を用いることにより、マスクフィルムを用いずに、コンピューター等のデジタル情報から直接画像を形成するレーザー直接描画法が、生産性のみならず、解像性や位置精度等の向上も図れることから注目されるに到り、それに伴い、リソグラフィー法においてもレーザー光の利用が盛んに研究されている。
レーザー光には、紫外から赤外領域までの種々の光源が知られているが、画像露光に利用できるレーザー光としては、出力、安定性、感光能力、及びコスト等の点から、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、YAGレーザー、及び半導体レーザー等の可視から赤外領域の光を発するものが有力視されており、例えば、波長488nmのアルゴンイオンレーザー、波長532nmのFD−YAGレーザーを用いたリソグラフィー法は既に実用化に到っている。このような技術的な要求のもと、可視光で画像形成可能な感光性樹脂組成物が研究されており、例えば特開2002−258478号公報には樹脂、光酸発生剤及び増感剤を含有する感光性樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、特開2002−258478号公報等で提案される感光性樹脂組成物は、可視レーザー光を用いた画像形成に適した感光性樹脂組成物であるため、黄色灯下でのセーフライト性に劣り、赤色灯照明のような暗室環境下での作業が必要であるという制約がある。
これに対して、近年のレーザー技術の著しい進歩により、黄色灯照明のような明室環境下での作業が可能な、青紫色領域で安定的に発振できる半導体レーザーが利用できるようになった。しかし、その出力が他の可視領域のレーザー光に比べて低いこともあって、感光性レジスト材の感度が必ずしも十分とは言えず、直接描画法においてはもとより、リソグラフィー法においても実用化できるレベルには達していないのが現状である。
このようなことから、青紫色領域で高感度且つ解像性の高い感光性樹脂組成物が求められている。
一方、従来から半導体集積回路製造に用いられている化学増幅型感光性樹脂組成物は、高解像力であるとの特長は有するものの、紫外、遠紫外に感光する組成であって、青紫色領域には吸収を有さないため、青紫色レーザーによる画像形成は不可能である。また、青紫色領域に吸収を有する色素を含有する感光性樹脂組成物としては、例えばPolymer Engineering and Science(1983) Vol.23 No.18 P.1022 に示されているように、クマリン系の光重合系が公知であるが、このものは波長480nm程度に吸収を持つため、波長350〜450nmのバイオレットレーザーに対しては感度が悪く、また、黄灯下でのセーフライト性に劣る。
特開昭59−208541号公報では、ベンゼン環と縮合した含窒素6員環構造を有する増感色素とエチレン性不飽和化合物とを含有する光重合性組成物が開示されているが、この増感色素は、青紫色領域の光による露光に対して感度を有するものの、溶媒に対する溶解性が低いので、例えば光重合性組成物を支持体に塗布する際の溶媒が限定されたり、溶解性が低いために塗布時に増感色素が結晶化し、均一な塗膜が得られないという問題がある。
特開2002−258478号公報 特開昭59−208541号公報 Polymer Engineering and Science(1983) Vol.23 No.18 P.1022
本発明は上記従来の問題点を解決し、溶媒に対する溶解性が良好で、黄色灯下でのセーフライト性に優れ、青紫色領域での感度及び解像性に優れた感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の感光性樹脂組成物は、増感剤と、露光された時に該増感剤との相互作用により、ラジカル、酸及び塩基のうちの少なくともいずれか一種を生成する活性化合物とを含有する感光性樹脂組成物において、該増感剤が下記一般式[I]で表される化合物を含むことを特徴とする。
Figure 2004272212
(一般式[I]中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立して水素原子又は任意の置換基を表す。但し、R1〜R9のうち隣り合う置換基同士、R1とR9、及びR5とR6、のうちの1又は2以上の組み合せでそれぞれ互いに結合して、置換基を有していても良い環を形成していても良い。)
本発明では、上記一般式[I]で表される特定の増感色素と、この増感色素の光吸収エネルギーにより化学変化を起こし、ラジカル、酸及び塩基のうちの少なくとも一種を生成する活性化合物とを併用することにより、この活性化合物が機能し得ない特定波長領域でも高感度の感光性を示す感光性樹脂組成物を提供する。
本発明の感光性画像形成材料は、仮支持フィルム上に、このような本発明の感光性樹脂組成物の層が形成されてなることを特徴とする。
本発明の感光性画像形成材は、被加工基板上に、このような本発明の感光性画像形成材料がその感光性樹脂組成物層側で積層されてなることを特徴とする。
本発明によれば、溶媒に対する溶解性が良好で、黄灯下でのセーフライト性に優れ、青紫色領域で高感度且つ解像性の高い感光性樹脂組成物と、この感光性樹脂組成物を用いた感光性画像形成材料及び感光性画像形成材が提供される。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明の感光性樹脂組成物に含まれる増感剤について説明する。
本発明で用いる増感剤は、前記一般式[I]で表される化合物を含み、好ましくは320〜450nmの波長の光を吸収し、波長405nmでのモル吸光係数(ε)が100以上100000以下で、青紫色領域の波長の光を効率良く吸収すると共に、後述の活性化合物との相互作用により、活性化合物からラジカル、酸及び塩基のうちの少なくとも一種を発生させる機能を有する光吸収色素である。
該増感剤として、更に好ましくは、前記一般式[I]においてR7が下記一般式[II]で表される置換基である化合物である。
Figure 2004272212
(一般式[II]中、R10は水素原子又は任意の置換基を表し、Xは2価の任意の原子又は置換基を表す。但し、R6とR10、又は、R8とR10が互いに結合して、置換基を有していても良い環を形成していても良い。)
該増感剤としては、更に好ましくは、下記一般式[III]〜[VII]のいずれかで表される化合物である。
Figure 2004272212
(一般式[III]〜[VII]中、R1〜R9は前記一般式[I]におけると同義である。Yは酸素原子又はN−R16基を表し、R10〜R16は、それぞれ独立して水素原子又は任意の置換基を表す。但し、R6とR10、R8とR10、R10とR11、R8とR12、R11とR12、R10とR13、R8とR13、R10とR14、R10とR15、の組み合せでそれぞれ互いに結合して、置換基を有していても良い環を形成していても良い。)
また、前記一般式[I]において、R2及び/又はR3は水素原子ではなく、任意の置換基であることが好ましい。
前記一般式[I]〜[VII]において、R1〜R16で表される置換基としては次のようなものが例示される。
水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-へプチル基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の炭素数3〜18のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数3〜18のシクロアルケニル基;2-チエニル基、2-ピリジル基、フリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、ピロリジニル基、テトラヒドロチオフェンジオキサイド基等の飽和もしくは不飽和の複素環基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等の炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアシル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルコキシ基;プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基等の炭素数3〜18の直鎖又は分岐のアルケニルオキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキルチオ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシル基;ホルミル基;スルホン酸基;カルボキシル基;−OCOR31で表されるアシルオキシ基;−NR3233で表されるアミノ基;−NHCOR34で表されるアシルアミノ基;−NHCOOR35で表されるカーバメート基;−NHSOOR36で表されるスルホンアミド基;−COOR37で表されるカルボン酸エステル基;−CONR3839で表されるカルバモイル基;−SOONR4041で表されるスルファモイル基;−SO2OR42で表されるスルホン酸エステル基;SO243で表されるスルホニル基等が挙げられる。
一化合物中に含まれるR1〜R16は同一の基であっても各々異なる基であっても良い。
なお、前記R31〜R43は、水素原子又は任意の置換基を表し、このうち任意の置換基としては、具体的には、R1〜R16の具体例として例示されたアルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;シクロアルケニル基;複素環基;アリール基;アラルキル基;アシル基;アルコキシ基;アルケニルオキシ基;アルキルチオ基;シアノ基の他、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数2〜18のカルボン酸エステル基等が挙げられる。
前記一般式[I]、[III]〜[VII]において、窒素原子上の置換基であるR1、R16としては、好ましくは、それぞれ独立に水素原子;炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;炭素数3〜18のシクロアルキル基;炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;炭素数3〜18のシクロアルケニル基;飽和もしくは不飽和の複素環基;炭素数6〜18のアリール基;炭素数7〜20のアラルキル基;炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアシル基;ヒドロキシル基;スルホニル基が挙げられ、より好ましくは、水素原子、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基が挙げられる。
また、前記一般式[I]、[III]〜[VII]において、含窒素5員環上の置換基であるR2〜R5としては、好ましくは、それぞれ独立に水素原子;炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;炭素数3〜18のシクロアルキル基;炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;炭素数3〜18のシクロアルケニル基が挙げられる。これらのうち、特に、R2及び/又はR3は水素原子ではなく、任意の置換基、例えば、アルキル基、シクロアルキル基であることが好ましい。
また、前記一般式[I]、[III]〜[VII]において、ベンゼン環上の置換基であるR6、R9としては、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子;炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;炭素数3〜18のシクロアルキル基;炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;炭素数3〜18のシクロアルケニル基;飽和もしくは不飽和の複素環基;炭素数6〜18のアリール基;炭素数7〜20のアラルキル基;炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアシル基;炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルコキシ基;炭素数3〜18の直鎖又は分岐のアルケニルオキシ基;炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキルチオ基;ハロゲン原子;ニトロ基;ヒドロキシル基;スルホン酸基;カルボキシル基;アシルオキシ基;アミノ基;アシルアミノ基;カーバメート基;スルホンアミド基;カルボン酸エステル基;カルバモイル基;スルファモイル基;スルホン酸エステル基;スルホニル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基が挙げられる。
また、前記一般式[I]におけるベンゼン環上の置換基であるR7、前記一般式[I]、[III]〜[V]におけるベンゼン環上の置換基であるR8として好ましくは、それぞれ独立して、水素原子;炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;炭素数3〜18のシクロアルキル基;炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;炭素数3〜18のシクロアルケニル基;飽和もしくは不飽和の複素環基;炭素数6〜18のアリール基;炭素数7〜20のアラルキル基;炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアシル基;炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルコキシ基;炭素数3〜18の直鎖又は分岐のアルケニルオキシ基;炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキルチオ基;ハロゲン原子;ニトロ基;ヒドロキシル基;アミノ基;アシルアミノ基;前記一般式[II]で表される基が挙げられ、特に、R8としては水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アシルアミノ基が好ましく、また、R7は、前記一般式[II]で表される置換基が好ましい。この前記一般式[II]におけるXとしては、酸素原子;硫黄原子;炭素数1以上18以下の置換もしくは非置換のメチレン基;置換もしくは非置換のイミノ基等、より好ましくは酸素原子、置換もしくは非置換のメチレン基、置換もしくは非置換のイミノ基が挙げられる。
前述のR1〜R16の置換基として前述した置換基のうち、一般式[II]におけるR10の好ましい置環基は、下記表の通りであり、また、R10のより好ましい置環基は、前記一般式[III]〜[VII]においてそれぞれ異なり、下記表の通りである(なお、下記表中、好ましい置換基に○印を付してあり、特に好ましい置換基に◎印を付してある。)。
Figure 2004272212
また、R1〜R16の置換基として前述した置換基のうち、前記一般式[IV]〜[VI]におけるR11〜R14の好ましい置換基は、それぞれ独立して、下記表の通りである(なお、下記表中、好ましい置換基に○印を付してあり、特に好ましい置換基に◎印を付してある。)。
Figure 2004272212
前記一般式[VI]において、Yとして好ましくは、酸素原子;アミノ基;炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキルアミノ基;炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアシルアミノ基、より好ましくはアミノ基、アルキルアミノ基が挙げられる。
また、前記一般式[VII]において、R15として好ましくは、前記一般式[VII]のR10として好ましい置換基として表1に示したものが挙げられる。
前記一般式[I]においてR1〜R9の互いに隣り合う置換基同士(互いに隣り合う原子に置換した置換基同士)、R1とR9、及びR5とR6、の1又は2以上の組み合せで、互いに結合して、置換基を有していても良い環を形成していても良い。以下に、このような環を形成する場合について例示する。ただし、以下において、形成された環上の置換基は省略されている。
Figure 2004272212
Figure 2004272212
Figure 2004272212
Figure 2004272212
なお、R1〜R16、R31〜R43で表される基として例示されたアルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基は、更に置換されていても良い。また、前述の如くR1〜R9のうち隣接する2つ、R1とR9、R5とR6、R6とR10、R8とR10、R10とR11、R8とR12、R11とR12、R10とR13、R8とR13、R10とR14、R10とR15が結合して形成した環も置換基を有していても良い。この場合の置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;アリルオキシ基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜12のアリール基(これらは置換基で更に置換されていても良い。);フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;アリルオキシ基、ビニルオキシ基等の炭素数2〜12のアルケニルオキシ基;アセチル基、プロピオニル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシル基;テトラヒドロフリル基;アミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等の炭素数1〜10のアルキルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n-プロピルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n-プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n-ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
前記一般式[I]で表される化合物の分子量としては、好ましくは2,000以下、更に好ましくは1,000以下であり、通常200以上である。
前記一般式[I]で表される化合物のうち、好ましい化合物である前記一般式[III]〜[VII]で表される化合物の具体的な例としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2004272212
Figure 2004272212
Figure 2004272212
Figure 2004272212
Figure 2004272212
本発明において、増感剤としては、前記一般式[I]で表される化合物の1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、増感剤としては、前記一般式[I]で表される化合物以外の公知の増感剤を併用しても良く、前記一般式[I]で表される化合物以外の増感剤を併用する場合、本発明の効果を確実に得る上で、増感剤中の前記一般式[I]で表される化合物の含有量は1重量%以上、特に10重量%以上であることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、このような増感剤と、露光されたときにこの増感剤との相互作用により、ラジカル、酸及び塩基のうちの少なくともいずれか一種を生成する活性化合物とを含有するものであり、その感光組成自体は、化学増幅型及び光重合型、また、ネガ型及びポジ型のいずれであっても良い。
化学増幅型ネガ型感光性樹脂組成物としては、上記増感剤と、活性化合物としての酸発生剤と、アルカリ可溶性である塗膜形成樹脂及び酸性条件下でアルカリ可溶性樹脂に作用する架橋剤を含有するものが挙げられる。
化学増幅型ポジ型感光性樹脂組成物としては、上記増感剤と、活性化合物としての酸発生剤と、塗膜形成性樹脂として酸分解性基含有重合体を含むものが挙げられる。
また、光重合型感光性樹脂組成物としては、上記増感剤と、活性化合物としての光重合開始剤と、エチレン性不飽和化合物を含むものが挙げられる。
以下に本発明の感光性樹脂組成物の増感剤以外の含有成分及び組成について説明する。
[化学増幅型ネガ型及びポジ型感光性樹脂組成物の活性化合物としての酸発生剤]
化学増幅型感光性樹脂組成物の酸発生剤としては、活性光線を受けたときに酸を発生させる化合物であって、レジスト組成物として公知の酸発生剤であれば特に限定されないが、露光光源の波長では酸を発生しないものをさす。例としては、ハロゲン置換アルカン、ハロメチル化s−トリアジン誘導体等のハロゲン含有化合物類、オニウム塩類、及びスルホン化合物類等が好ましいものとして挙げられ、中でも、本発明においては、光照射により、スルホン酸を発生させるスルホン化合物が特に好ましい。
酸発生剤のうち、ハロゲン含有化合物類の中でハロゲン置換アルカンとしては、具体的には、ジクロロメタン、トリクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン等が挙げられる。
また、ハロメチル化s−トリアジン誘導体としては、具体的には、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられ、中でも、ビス(トリハロメチル)−s−トリアジンが好ましく、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が特に好ましい。
また、酸発生剤のうち、オニウム塩類としては、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド等のアンモニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ジシクロヘキシルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジシクロヘキシルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジシクロヘキシルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジシクロヘキシルヨードニウムカンファースルホネート等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリシクロヘキシルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリシクロヘキシルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリシクロヘキシルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリシクロヘキシルスルホニウムカンファースルホネート等のスルホニウム塩等が挙げられる。
また、酸発生剤のうち、スルホン化合物類としては、具体的には、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)メタン、ビス(p−メトキシフェニルスルホニル)メタン、ビス(α−ナフチルスルホニル)メタン、ビス(β−ナフチルスルホニル)メタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタン、ビス(t−ブチルスルホニル)メタン、フェニルスルホニル(シクロヘキシルスルホニル)メタン等のビス(スルホニル)メタン化合物、フェニルカルボニル(フェニルスルホニル)メタン、ナフチルカルボニル(フェニルスルホニル)メタン、フェニルカルボニル(ナフチルスルホニル)メタン、シクロヘキシルカルボニル(フェニルスルホニル)メタン、t−ブチルカルボニル(フェニルスルホニル)メタン、フェニルカルボニル(シクロヘキシルスルホニル)メタン、フェニルカルボニル(t−ブチルカルボニル)メタン等のカルボニル(スルホニル)メタン化合物、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(α−ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(β−ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(スルホニル)ジアゾメタン化合物、フェニルカルボニル(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ナフチルカルボニル(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルカルボニル(ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルカルボニル(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、t−ブチルカルボニル(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルカルボニル(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルカルボニル(t−ブチルカルボニル)ジアゾメタン等のカルボニル(スルホニル)ジアゾメタン化合物、下記一般式(A)及び(B)で表されるものが特に挙げられる。
Figure 2004272212
上記一般式(A)及び(B)において、Ra,Rd及びReで表される置換基としては、次のようなものが例示される。水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘプチル基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の炭素数3〜18のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数3〜18のシクロアルケニル基;2−チエニル基、2−ピリジル基、フリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、ピロリジニル基、テトラヒドロチオフェンジオキサイド基等の飽和もしくは不飽和の複素環基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等の炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアシル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルコキシ基;プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基等の炭素数3〜18の直鎖又は分岐のアルケニルオキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキルチオ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシル基;ホルミル基;スルホン酸基;カルボキシル基;−OCOR’で表されるアシルオキシ基;−NR’R''で表されるアミノ基;−NHCOR’で表されるアシルアミノ基;−NHCOOR’で表されるカーバメート基;−NHSOOR’で表されるスルホンアミド基;−COOR’で表されるカルボン酸エステル基;−CONR’R''で表されるカルバモイル基;−SOONR’R''で表されるスルファモイル基;−SOOR’で表されるスルホン酸エステル基等が挙げられる(R’,R''はアルキル基である。)。
また、RdとReは環を形成していても良く、その環は更に他の環と縮合していても良い。他の環としては、飽和又は不飽和の炭化水素環又は複素環等が挙げられる。
前記一般式(A)において、Rbは任意の置換基であり、水素原子、置換されても良い直鎖、分岐又は環状のアルキル基、置換されても良い直鎖、分岐又は環状のアルケニル基、置換されても良いアリール基、置換されても良いアラルキル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシロキシ基等が挙げられ、好ましくはシアノ基、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、アシル基が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していても良い。特に好ましくはシアノ基、アルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
前記一般式(A)及び(B)におけるRc及びRfは任意の置換基であり、それぞれ置換されても良い直鎖、分岐又は環状のアルキル基、置換されても良い直鎖、分岐又は環状のアルケニル基、置換されても良いアリール基、置換されても良いアラルキル基、又は置換されていても良いカンファー基を表す。また、これらの置換基内の水素原子はフッ素原子で置き換えられていても良い。また、Rc及びRfで示される基に含まれるアルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基は、更に置換されていても良い。
Rb,Rc,Rf、及びRdとReで形成される環が置換基を有する場合、置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;アリルオキシ基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜12のアリール基(これらは置換基で更に置換されていても良い);フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数2〜12のアルケニルオキシ基;アセチル基、プロピオニル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシル基;テトラヒドロフリル基;アミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等の炭素数1〜10のアルキルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。また、これらの置換基内の水素原子はフッ素原子で置き換えられていても良い。
一般式(B)で表されるスルホン化合物のうち、特に、RdとReが環を形成している場合の具体的な例としては下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2004272212
Figure 2004272212
Figure 2004272212
なお、露光光源の波長では酸を発生しない酸発生剤とは、例えば光源が青紫色レーザーの場合、酸発生剤の2.0mmol/dmアセトニトリル溶液5mlに波長405nmのレーザーを250mJ照射した際に酸を発生しないようなものを言う。ここで、酸の検出には、指示薬としてCVL(クリスタルバイオレットラクトン){3,3−ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−6−(ジメチルアミノ)−1(3H)イソベンゾフラノン}を用い、レーザー照射後にCVL2.0mmol/dmアセトニトリル溶液を等量加え、波長610nmの吸収が0.01以下であれば酸を発生していないものとする。
[化学増幅型ネガ型感光性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性樹脂及び架橋剤]
化学増幅型ネガ型感光性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性樹脂としては、現像時に未露光部がアルカリ可溶性となり、アルカリ現像液に溶出するものであれば良く特に限定されないが、通常、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール類、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸樹脂並びに、アクリル酸、ビニルアルコール又はビニルフェノールを単量体単位として含む重合体、或いはこれらの誘導体などが用いられる。これらのうち、特に、フェノール性水酸基を有する重合単位を含有するものが好ましく、ノボラック樹脂又はポリビニルフェノール類が好ましい。
ノボラック樹脂としては、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、レゾルシン、ピロガロール、ビスフェノール、ビスフェノール−A、トリスフェノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール等の芳香族炭化水素類の少なくとも1種を、酸性触媒下、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類及び、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類から選ばれた少なくとも1種のアルデヒド類又はケトン類と重縮合させたものが挙げられる。なお、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドの代わりに、それぞれパラホルムアルデヒド及びパラアルデヒドを使用しても良い。
ノボラック樹脂としては、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す。)測定によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「GPC測定による重量平均分子量Mw」と記す。)が1,000〜15,000、好ましくは1,500〜10,000のものが用いられる。
ノボラック樹脂としては、より好ましくは、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、及び3,5−キシレノール、レゾルシンから選ばれる少なくとも1種のフェノール類をホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類の中から選ばれる少なくとも1種と重縮合したノボラック樹脂が挙げられる。中でも、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レゾルシンの混合割合がモル比で70〜100:0〜30:0〜20:0〜20:0〜20のフェノール類とアルデヒド類との重縮合物であるノボラック樹脂が好ましい。ここでアルデヒド類の中でも、特にホルムアルデヒドが好ましい。
ポリビニルフェノール類としては、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピレンなどのヒドロキシスチレン類の単独又は2種以上の重合体が挙げられる。ヒドロキシスチレン類は芳香環に塩素、臭素、ヨウ素、フッ素等のハロゲン或いは炭素数1〜4のアルキル基等の置換基で置換されていても良く、従ってポリビニルフェノール類としては、芳香環にハロゲン又は炭素数1〜4のアルキル基の置換基を有していても良いポリビニルフェノールが挙げられる。
ポリビニルフェノール類は、通常、置換基を有していても良いヒドロキシスチレン類を単独で又は2種以上をラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤の存在下で重合することにより得られる。かかるポリビニルフェノール類は、樹脂の吸光度を下げるために一部水素添加を行なったものでも良い。また、t−ブトキシカルボニル基、ピラニル基、フラニル基などでポリビニルフェノール類の一部のOH基を保護した樹脂でも良い。
ポリビニルフェノール類としては、GPC測定による重量平均分子量Mwが、1,000〜100,000、好ましくは1,500〜50,000のものが用いられる。
ポリビニルフェノール類としては、より好ましくは、芳香環が炭素数1〜4のアルキル基で置換されていても良いポリビニルフェノールが挙げられ、未置換のポリビニルフェノールが特に好ましい。
このようなアルカリ可溶性樹脂の分子量が、上記範囲よりも小さいとレジストとしての十分な塗膜が得られず、上記範囲よりも大きいと未露光部分のアルカリ現像液に対する溶解性が小さくなり、レジストパターンが得られない傾向にある。上述のアルカリ可溶性樹脂のうち、特に、未置換のポリビニルフェノール及びノボラック樹脂が好ましい。
架橋剤としては、酸性条件下でアルカリ可溶性樹脂と架橋反応する化合物であれば良く特に限定されないが、例として、メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリルもしくは尿素にホルマリンを作用させた化合物又はそれらのアルキル変性化合物、エポキシ化合物、レゾール化合物等が挙げられる。
具体的には、三井サイアナミド社のサイメル(登録商標)300、301、303、350、736、738、370、771、325、327、703、701、266、267、285、232、235、238、1141、272、254、202、1156、1158、三和ケミカル社のニカラック(登録商標)E−2151、MW−100LM、MX−750LMを、メラミンにホルマリンを作用させた化合物又はそのアルキル変性物の例として挙げられる。
また、サイメル(登録商標)1123、1125、1128は、ベンゾグアナミンにホルマリンを作用させた化合物又はそのアルキル変性物の例として挙げることができる。サイメル(登録商標)1170、1171、1174、1172、ニカラック(登録商標)MX−270は、グリコールウリルにホルマリンを作用させた化合物又はそのアルキル変性物の例として挙げることができる。尿素にホルマリンを作用させた化合物又はそのアルキル変性物の例としては、三井サイアミド社のUFR(登録商標)65、300、ニカラック(登録商標)MX−290を挙げることができる。
エポキシ化合物の例としては、ノボラックエポキシ樹脂(東都化成社製、YDP N−638、701、702、703、704等)、アミンエポキシ樹脂(東都化成社製、YH−434等)、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート825、826、827、828、1001、1002、1003、1055、1004、1007、1009、1010等)、ソルビトール(ポリ)グリシジルエーテル、(ポリ)グリセロール(ポリ)グリシジルエーテル、ペンタエリスリトール(ポリ)グリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエーテル、アジピン酸グリシジルエーテル、フタル酸グリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリシジルフタルイミド、(ポリ)エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
この中で特に好ましい化合物として、分子中に−N(CH2OR)2基(式中、Rはアルキル基又は水素原子を示す)を有する化合物が挙げられ、とりわけ、尿素或いはメラミンに、ホルマリンを作用させた化合物又はそのアルキル変性物が好ましい。
[化学増幅型ネガ型感光性樹脂組成物の組成]
化学増幅型ネガ型感光性樹脂組成物においては、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、架橋剤を通常1〜80重量部、好ましくは5〜60重量部、酸発生剤を通常0.001〜30重量部、好ましくは0.005〜10重量部、増感剤を0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部用いる。酸発生剤に対する架橋剤の割合は通常0.05〜30000重量部、好ましくは0.5〜10000重量部、酸発生剤に対する増感剤の割合は通常0.001〜30000重量部、好ましくは0.01〜4000重量部である。
架橋剤の量が上記の範囲よりも少ないと、十分な架橋効果が得られず、レジストパターンが不良となる傾向にある。一方、架橋剤の量がこの範囲よりも多いと、レジストの塗布特性が低下する傾向がある。また、増感剤の量が、この範囲よりも少ないと感度が低くなる傾向がある。増感剤の量がこの範囲よりも多いと、増感剤によるレジスト膜の透明性の低下により、レジストパターンが逆台形になり解像力の低下を引き起こす傾向がある。
[化学増幅型ポジ型感光性樹脂組成物における酸分解性基含有重合体]
化学増幅型ポジ型感光性樹脂組成物を構成する酸分解性基含有重合体は、感光性樹脂組成物が活性光線の照射を受けたときに、活性化合物としての酸発生剤が生成する酸によって分解し、重合体自体にアルカリ可溶性を付与するような酸分解性基を含有する重合体であれば良く特に限定されるものではない。
その酸分解性基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜15のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、ジメトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、1−メトキシエトキシ基、1−エトキシエトキシ基、1−プロポキシエトキシ基、1−t−ブトキシエトキシ基、1−シクロヘキシルオキシエトキシ基、1−エトキシプロポキシ基等の炭素数2〜15のアルコキシアルコキシ基、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基等の2〜15のアルコキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシメトキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシメトキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシメトキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシメトキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシメトキシ基等の炭素数2〜15のアルコキシカルボニルオキシアルコキシ基等、少なくとも末端にアルコキシ基を有する基が挙げられる。
なお、上記酸分解性基を含有する重合体としては、例えば、ノボラック樹脂、レゾール樹脂等のフェノール樹脂、及びポリビニルフェノール樹脂等のフェノール性水酸基含有樹脂のフェノール性水酸基の少なくとも一部をエーテル化或いはエステル化して前記酸分解性基を導入した樹脂が好ましいものとして挙げられる。中でも、本発明においては、ポリビニルフェノール樹脂又はノボラック樹脂に前記酸分解性基を導入した樹脂が好ましく、ポリビニルフェノール樹脂に前記酸分解性基を導入した樹脂が特に好ましい。
ここで、ノボラック樹脂は、前述の如く、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、フロログルシノール、4,4’−ビフェニルジオール、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン等のフェノール類の少なくとも1種を、酸触媒下、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類(なお、ホルムアルデヒドに代えてパラホルムアルデヒドを、アセトアルデヒドに代えてパラアルデヒドを、用いても良い。)、又は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、の少なくとも1種と重縮合させた樹脂であり、また、レゾール樹脂は、ノボラック樹脂の重縮合における酸触媒に代えてアルカリ触媒を用いる以外は同様にして重縮合させた樹脂である。
これらのノボラック樹脂及びレゾール樹脂は、GPC測定による重量平均分子量Mwが1,000〜15,000のものが好ましく、1,500〜10,000のものが特に好ましい。
また、ポリビニルフェノール樹脂は、例えば、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、トリヒドロキシスチレン、テトラヒドロキシスチレン、ペンタヒドロキシスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピレン等のヒドロキシスチレン類(なお、これらは、ベンゼン環に塩素、臭素、ヨウ素、フッ素等のハロゲン原子、或いは炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していても良い。)の単独又は2種以上を、ラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤の存在下で重合させた樹脂である。これらのポリビニルフェノール樹脂は、GPC測定による重量平均分子量Mwが1,000〜100,000のものが好ましく、1,500〜50,000のものが特に好ましい。
また、前記酸分解性基を含有する重合体として、例えば、カルボキシル基含有ビニル系樹脂のカルボキシル基の少なくとも一部をエステル化して前記酸分解性基を導入した樹脂も好ましいものとして挙げることができる。そのカルボキシル基含有ビニル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル等のビニル化合物との共重合体等が挙げられ、これらのカルボキシル基含有ビニル系樹脂は、GPC測定による重量平均分子量Mwが1,000〜300,000であるものが好ましい(なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又は/及びメタクリル」を意味するものとする。「(メタ)アクリロ」「(メタ)アクリレート」についても同様である。)。
[化学増幅型ポジ型感光性樹脂組成物の組成]
上述した化学増幅型ポジ型感光性樹脂組成物においては、酸分解性基含有重合体100重量部に対して、活性化合物としての酸発生剤を通常0.001〜30重量部、好ましくは0.005〜10重量部、増感剤を0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部用いる。酸発生剤に対する増感剤の割合は通常0.001〜30000重量部、好ましくは0.01〜4000重量部である。
増感剤の量が、この範囲よりも少ないと感度が低くなる傾向があり、増感剤の量がこの範囲よりも多いと、増感剤によるレジスト膜の透明性の低下により、レジストパターンが逆台形になり解像力の低下を引き起こす傾向がある。
[光重合型感光性樹脂組成物における活性化合物としての光重合開始剤]
光重合型感光性樹脂組成物を構成する活性化合物としての光重合開始剤は、前記増感剤等との共存下で光照射されたときに、増感剤の光励起エネルギーを受け取って活性ラジカルを発生し、後述のエチレン性不飽和化合物を重合に到らしめるラジカル発生剤であって、例えば、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、チタノセン系化合物、ハロゲン化炭化水素誘導体、ジアリールヨードニウム塩、有機硼素酸塩、及び有機過酸化物等が挙げられる。中でも、感光性樹脂組成物としての感度、基板に対する密着性、及び保存安定性等の面から、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、有機硼素酸塩及びチタノセン系化合物が好ましく、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物が特に好ましい。
そのヘキサアリールビイミダゾール系化合物としては、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−メチルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−フルオロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジブロモフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−ヨードフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o−クロロ−p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロナフチル)ビイミダゾール等が挙げられる。中でも、ヘキサフェニルビイミダゾール化合物が好ましく、そのイミダゾール環上の2,2’−位に結合したベンゼン環のo−位がハロゲン原子で置換されたものが更に好ましく、そのイミダゾール環上の4,4’,5,5’−位に結合したベンゼン環が無置換、又は、ハロゲン原子或いはアルコキシカルボニル基で置換されたものが特に好ましい。なお、これらのヘキサアリールビイミダゾール系化合物は、例えば、Bull.Chem.Soc.Japan;33,565(1960)、J.Org.Chem.;36,2262(1971) 等に開示されている方法により合成されるビイミダゾール系化合物と併用して用いられても良い。
なお、感光性樹脂組成物における光重合開始剤として従来知られているヘキサアリールビイミダゾール系化合物は、融点が190℃以上、例えば196〜202℃程度であり、且つ、波長1.54ÅのX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)9.925°に最大回折ピークを有するものであるが、本発明におけるヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、塗布溶媒に対する溶解性、及び感光性樹脂組成物中での分散安定性等の面から、融点が180℃以下、更には175℃以下であり、且つ、波長1.54ÅのX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)21.16°に最大回折ピークを有するものであるのが最適であり、その最適なヘキサアリールビイミダゾール系化合物としては、例えば、2.2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール等が挙げられ、中でも、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−メトキシフェニル)ビイミダゾールが特に好ましい。
また、そのチタノセン系化合物としては、具体的には、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4−ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1−ピロリル)フェニル〕等が挙げられる。中でも、ジシクロペンタジエニル構造とビフェニル構造を有するチタノセン化合物が好ましく、ビフェニル環のo−位がハロゲン原子で置換されたものが特に好ましい。
また、その有機硼素酸塩としては、例えば、有機硼素アンモニウム錯体、有機硼素ホスホニウム錯体、有機硼素スルホニウム錯体或いは有機硼素オキソスルホニウム錯体、有機硼素ヨードニウム錯体、有機硼素遷移金属配位錯体等が挙げられ、その有機硼素アニオンとしては、例えば、n−ブチル−トリフェニル硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−メトキシフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−フルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(m−フルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(3−フルオロ−4−メチルフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,6−ジフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−クロロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,6−ジフルオロ−3−ピロリルフェニル)−硼素アニオン等のアルキル−トリフェニル硼素アニオンが好ましく、また、対カチオンとしては、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン等のオニウム化合物が好ましく、テトラアルキルアンモニウム等の有機アンモニウムカチオンが特に好ましい。
[光重合型感光性樹脂組成物におけるエチレン性不飽和化合物]
光重合型感光性樹脂組成物を構成するエチレン性不飽和化合物は、感光性樹脂組成物が活性光線の照射を受けたときに、上述の光重合開始剤を含む光重合開始系の作用により付加重合し、場合により架橋、硬化するようなラジカル重合性のエチレン性不飽和結合を分子内に少なくとも1個有する化合物である。
このようなエチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を分子内に1個有する化合物、具体的には、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸、及びそのアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン等が挙げられるが、重合性、架橋性、及びそれに伴う露光部と非露光部の現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であるものが好ましく、また、その不飽和結合が(メタ)アクリロイルオキシ基に由来するアクリレート化合物が特に好ましい。
エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、代表的には、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類、及び、(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
上記エステル類としては、具体的には、前記の如き不飽和カルボン酸と、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(付加数2〜14)、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(付加数2〜14)、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ノナメチレングリコール、トリメチロールエタン、テトラメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、及びそれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物との反応物、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールプロピレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート等、及び同様のクロトネート、イソクロトネート、マレエート、イタコネート、シトラコネート等が挙げられる。
更に、そのエステル類として、前記の如き不飽和カルボン酸と、ヒドロキノン、レゾルシン、ピロガロール、ビスフェノールF、ビスフェノールA等の芳香族ポリヒドロキシ化合物或いはそれらのエチレンオキサイド付加物やグリシジル基含有化合物付加物との反応物、具体的には、ヒドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAビス[オキシエチレン(メタ)アクリレート]、ビスフェノールAビス[トリオキシエチレン(メタ)アクリレート]、ビスフェノールAビス[ペンタオキシエチレン(メタ)アクリレート]、ビスフェノールAビス[ヘキサオキシエチレン(メタ)アクリレート]、ビスフェノールAビス[グリシジルエーテル(メタ)アクリレート]等;前記の如き不飽和カルボン酸と、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の複素環式ポリヒドロキシ化合物との反応物、具体的には、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸とポリヒドロキシ化合物との反応物、具体的には、(メタ)アクリル酸とフタル酸とエチレングリコールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とマレイン酸とジエチレングリコールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とテレフタル酸とペンタエリスリトールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とアジピン酸とブタンジオールとグリセリンとの縮合物等が挙げられる。
また、その(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するホスフェート化合物であれば特に限定されないが、中でも、下記一般式(Ia)又は(Ib)で表されるものが好ましい。
Figure 2004272212
(一般式(Ia)及び(Ib)中、R21は水素原子又はメチル基を示し、nは1〜25の整数、mは1、2、又は3である。)
ここで、nは1〜10、特に1〜4であることが好ましく、このような(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類の具体例としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチレングリコールホスフェート等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いられても混合物として用いられても良い。
また、そのウレタン(メタ)アクリレート類としては、具体的には、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、リジンメチルエステルトリイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、1,6,11−ウンデカトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族ポリイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等の芳香族ポリイソシアネート、イソシアヌレート等の複素環式ポリイソシアネート、等のポリイソシアネート化合物との反応物等が挙げられる。
中でも、ウレタン(メタ)アクリレート類としては、1分子中に4個以上のウレタン結合〔−NH−CO−O−〕及び4個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が好ましく、該化合物は、例えば、ペンタエリスリトール、ポリグリセリン等の1分子中に4個以上の水酸基を有する化合物に、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物を反応させて得られた化合物(i−1);或いは、エチレングリコール等の1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物に、旭化成工業社製「デュラネート24A−100」、同「デュラネート22A−75PX」、同「デュラネート21S−75E」、同「デュラネート18H−70B」等のビウレットタイプ、同「デュラネートP−301−75E」、同「デュラネートE−402−90T」、同「デュラネートE−405−80T」等のアダクトタイプ等の1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する化合物を反応させて得られた化合物(i−2);或いは、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等を重合若しくは共重合させて得られた化合物(i−3)等の、1分子中に4個以上、好ましくは6個以上のイソシアネート基を有する化合物(i)等、具体的には、旭化成工業社製「デュラネートME20−100」と、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の、1分子中に1個以上の水酸基及び2個以上、好ましくは3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii)とを、反応させることにより得ることができる。
ここで、前記化合物(i)の分子量は500〜200,000であることが好ましく、1,000〜150,000であることが特に好ましい。また、前記のようなウレタン(メタ)アクリレート類の分子量は600〜150,000であることが好ましい。また、このウレタン(メタ)アクリレート類としては、ウレタン結合を6個以上有するものが好ましく、8個以上有するものが特に好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基を6個以上有するものが好ましく、8個以上有するものが特に好ましい。
なお、このようなウレタン(メタ)アクリレート類は、例えば、前記化合物(i)と前記化合物(ii)とを、トルエンや酢酸エチル等の有機溶媒中で、前者のイソシアネート基と後者の水酸基とのモル比を1/10〜10/1の割合として、必要に応じてジラウリン酸n−ブチル錫等の触媒を用いて、10〜150℃で5分〜3時間程度反応させる方法により製造することができる。
このようなウレタン(メタ)アクリレート類としては、下記一般式(II)で表されるものが特に好ましい。
Figure 2004272212
(一般式(II)中、R22はアルキレンオキシ基又はアリーレンオキシ基の繰り返し構造を有し、且つR23と結合し得るオキシ基を4〜20個有する基を示し、R23及びR24は各々独立して炭素数が1〜10のアルキレン基を示し、R25は(メタ)アクリロイルオキシ基を1〜10個有する有機残基を示し、R22、R23、R24、及びR25は置換基を有していてもよく、xは4〜20の整数、yは0〜15の整数、zは1〜15の整数である。)
ここで、一般式(II)中のR22のアルキレンオキシ基の繰り返し構造としては、例えば、プロピレントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール等に由来するものが、また、アリーレンオキシ基の繰り返し構造としては、例えば、ピロガロール、1,3,5−ベンゼントリオール等に由来するものが、それぞれ挙げられる。また、R23及びR24のアルキレン基の炭素数は、各々独立して1〜5であることが好ましく、また、R25における(メタ)アクリロイルオキシ基は1〜7個であることが好ましい。また、xは4〜15、yは1〜10、zは1〜10であることが、それぞれ好ましい。
更に、R22としては下記式(なお、式中、kは2〜10の整数である。)で表されるものが、また、R23及びR24としては各々独立して、ジメチレン基、モノメチルジメチレン基、又は、トリメチレン基であることが、また、R25としては下記式で表されるものが、それぞれ特に好ましい。
Figure 2004272212
また、そのエポキシ(メタ)アクリレート類としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、又は前記の如きヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、(ポリ)エチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)テトラメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ペンタメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ネオペンチルグリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ヘキサメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ソルビトールポリグリシジルエーテル等の脂肪族ポリエポキシ化合物、フェノールノボラックポリエポキシ化合物、ブロム化フェノールノボラックポリエポキシ化合物、(o−,m−,p−)クレゾールノボラックポリエポキシ化合物、ビスフェノールAポリエポキシ化合物、ビスフェノールFポリエポキシ化合物等の芳香族ポリエポキシ化合物、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の複素環式ポリエポキシ化合物、等のポリエポキシ化合物との反応物等が挙げられる。
また、その他のエチレン性不飽和化合物として、前記以外に、例えば、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、フタル酸ジアリル等のアリルエステル類、ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物類等が挙げられる。
以上のエチレン性不飽和化合物は、それぞれ単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
特に、エチレン性不飽和化合物としては、エステル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、又は、ウレタン(メタ)アクリレート類が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、又は、ウレタン(メタ)アクリレート類が特に好ましい。エチレン性不飽和化合物全体に対して、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類としてはその占める割合が1〜60重量%であることが好ましく、2〜40重量%であることが特に好ましく、また、ウレタン(メタ)アクリレート類としてはその占める割合が0.5〜50重量%であることが好ましく、2〜40重量%であることが特に好ましい。
[光重合型ネガ型感光性樹脂組成物の組成]
光重合型ネガ型感光性樹脂組成物におけるエチレン性不飽和化合物、増感剤、及び活性化合物としての光重合開始剤の各含有割合は、エチレン性不飽和化合物100重量部に対して、増感剤は、通常0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部で、光重合開始剤は通常1〜60重量部、好ましくは5〜40重量部である。
このネガ型感光性樹脂組成物は、増感剤、エチレン性不飽和化合物及び光重合開始剤以外に、基板上への感光性レジスト材層としての形成性、及び現像性等の向上を目的として、更に、高分子結合材成分を含有するものが好ましい。その高分子結合材としては、アルカリ現像性等の面から、カルボキシル基含有樹脂が好ましく、本発明においては、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び(メタ)アクリル酸の各単量体に由来する構成繰返し単位を有する共重合体が特に好ましい。また、その共重合体として、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び(メタ)アクリル酸の各単量体に由来する構成繰返し単位が、各々、3〜30モル%、10〜70モル%、及び10〜60モル%であるのが好ましく、各々、5〜25モル%、20〜60モル%、及び15〜55モル%の割合であるのが特に好ましい。
ここで、前記共重合体におけるスチレン系単量体としては、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等のα−置換アルキルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン等の核置換アルキルスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン等の核置換ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、ジブロモスチレン等の核置換ハロゲン化スチレン等が挙げられ、また、アクリル酸エステル系単量体としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸の、好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキルエステル、及び、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル等の置換アルキルエステル等が挙げられる。
なお、本発明における前記共重合体としては、前記スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び(メタ)アクリル酸の各単量体に由来する構成繰返し単位の外に、更に、例えば、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸や、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸誘導体、及び、酢酸ビニル、塩化ビニル等のビニル化合物等の共重合可能な他単量体に由来する構成繰返し単位を含有していてもよく、これらの他単量体に由来する構成繰返し単位の含有量は、共重合体全体の10モル%以下であるのが好ましい。
また、これら共重合体は、酸価が30〜250mg−KOH/g、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜300,000であることが好ましい。
また、そのカルボキシル基含有樹脂として、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するものも好適であり、具体的には、例えば、カルボキシル基含有重合体に、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジルイソクロトネート、クロトニルグリシジルエーテル、イタコン酸モノアルキルモノグリシジルエステル、フマル酸モノアルキルモノグリシジルエステル、マレイン酸モノアルキルモノグリシジルエステル等の脂肪族エポキシ基含有不飽和化合物、又は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルメチル(メタ)アクリレート、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕オキシメチル(メタ)アクリレート等の脂環式エポキシ基含有不飽和化合物を、カルボキシル基含有重合体の有するカルボキシル基の5〜90モル%、好ましくは30〜70モル%程度を反応させて得られた反応生成物、及び、アリル(メタ)アクリレート、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレート、クロトニル(メタ)アクリレート、メタリル(メタ)アクリレート、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド等の2種以上の不飽和基を有する化合物、又は、ビニル(メタ)アクリレート、1−クロロビニル(メタ)アクリレート、2−フェニルビニル(メタ)アクリレート、1−プロペニル(メタ)アクリレート、ビニルクロトネート、ビニル(メタ)アクリルアミド等の2種以上の不飽和基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸、又は更に不飽和カルボン酸エステルとを、前者の不飽和基を有する化合物の全体に占める割合を10〜90モル%、好ましくは30〜80モル%程度となるように共重合させて得られた反応生成物等が挙げられる。
更に、そのカルボキシル基含有樹脂として、エポキシ樹脂のα,β−不飽和モノカルボン酸付加体に、多価カルボン酸若しくはその無水物が付加された、不飽和基及びカルボキシル基含有エポキシ樹脂も挙げられる。
本発明において、この不飽和基及びカルボキシル基含有エポキシ樹脂は、具体的には、エポキシ樹脂のエポキシ基にα,β−不飽和モノカルボン酸のカルボキシル基が開環付加されて形成されたエステル結合(−COO−)を介してエチレン性不飽和結合が付加されていると共に、その際生じた水酸基に多価カルボン酸若しくはその無水物のカルボキシル基が反応して形成されたエステル結合を介して残存するカルボキシル基が付加されたものである。
ここで、そのエポキシ樹脂としては、具体的には、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールSエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂等が挙げられ、中で、フェノールノボラックエポキシ樹脂、又はクレゾールノボラックエポキシ樹脂が特に好ましい。また、そのα,β−不飽和モノカルボン酸としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられ、中で、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。また、その多価カルボン酸若しくはその無水物としては、具体的には、例えば、琥珀酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、及びそれらの無水物等が挙げられ、中で、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、又はヘキサヒドロフタル酸無水物が好ましく、テトラヒドロフタル酸無水物が特に好ましい。
以上の不飽和基及びカルボキシル基含有エポキシ樹脂中で、本発明においては、光重合性組成物としての感度、解像性、及び基板に対する密着性等の面から、エポキシ樹脂がフェノールノボラックエポキシ樹脂、又はクレゾールノボラックエポキシ樹脂であり、α,β−不飽和モノカルボン酸が(メタ)アクリル酸であり、多価カルボン酸若しくはその無水物がテトラヒドロフタル酸無水物であるものが特に好ましい。また、酸価が20〜200mg−KOH/gであるものが好ましく、30〜180mg−KOH/gであるのが更に好ましい。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量が2,000〜200,000であるものが好ましく、3,000〜150,000であるのが更に好ましい。
以上の本発明における不飽和基及びカルボキシル基含有エポキシ樹脂の構成繰返し単位の具体例を以下に示す。
Figure 2004272212
また、本発明における前記ネガ型感光性樹脂組成物は、光重合開始能力等の向上を目的として、更に、水素供与性化合物を含有することが好ましく、その水素供与性化合物としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン、エチレングリコールジチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等のメルカプト基含有化合物類、ヘキサンジチオール、トリメチロールプロパントリスチオグリコネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等の多官能チオール化合物類、N,N−ジアルキルアミノ安息香酸エステル、N−フェニルグリシン、又はそのアンモニウムやナトリウム塩等の塩、その双極イオン化合物等の誘導体、フェニルアラニン、又はそのアンモニウムやナトリウム塩等の塩、その双極イオン化合物等の誘導体等の芳香族環を有するアミノ酸又はその誘導体類等が挙げられる。中でも、本発明においては、メルカプト基含有化合物類、及び、N−フェニルグリシン、又はそのアンモニウムやナトリウム塩等の塩、その双極イオン化合物等の誘導体が好ましい。
ネガ型感光性樹脂組成物におけるこのような水素供与性化合物の含有割合は、前記エチレン性不飽和化合物100重量部に対して0.05〜20重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部であることが更に好ましい。
また、本発明における前記ネガ型感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物としての保存安定性等の向上を目的として、アミン化合物を含有することが好ましく、そのアミン化合物としては、脂肪族、脂環式、又は芳香族アミンのいずれでも良く、また、モノアミンに限定されず、ジアミン、トリアミン等のポリアミンであっても良く、また、第1アミン、第2アミン、第3アミンのいずれであっても良いが、pKbが7以下であるものが好ましい。
そのアミン化合物としては、具体的には、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、アミルアミン、ジアミルアミン、トリアミルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、トリベンジルアミン等の、水酸基又はフェニル基で置換されていても良い脂肪族アミンが挙げられる。中でも、本発明においては、トリベンジルアミンが好ましい。
ネガ型感光性樹脂組成物におけるこのようなアミン化合物の含有割合は、前記エチレン性不飽和化合物100重量部に対して0.05〜20重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部であることが更に好ましい。
また、本発明におけるネガ型感光性樹脂組成物は、基板上への感光性レジスト材層形成時の塗布性、及び感光性レジスト材層の現像性等の向上を目的として、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性、及びフッ素系等の界面活性剤を含有することが好ましく、このような界面活性剤としては、具体的には、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ペンタエリスリット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンペンタエリスリット脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類等が、また、アニオン性界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩類等が、また、カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩類、イミダゾリン誘導体類、アミン塩類等が、また、両性界面活性剤としては、ベタイン型化合物類、イミダゾリウム塩類、イミダゾリン類、アミノ酸類等が、それぞれ挙げられる。
ネガ型感光性樹脂組成物におけるこのような界面活性剤の含有割合は、前記エチレン性不飽和化合物100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、1〜5重量部であることが更に好ましい。
更に、本発明におけるネガ型感光性樹脂組成物は、基板との接着性改善のためにシランカップリング剤を含有していても良い。シランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−〔N−(2−アミノエチル)アミノ〕プロピルトリメトキシシラン、3−〔N−(2−アミノエチル)アミノ〕プロピルトリエトキシシラン、3−〔N−(2−アミノエチル)アミノ〕プロピルメチルジメトキシシラン、3−〔N−(2−アミノエチル)アミノ〕プロピルメチルジエトキシシラン、3−(N−アリル−N−グリシジルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリル−N−グリシジルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(N−フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−フェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン等、及び、N−グリシジル−N,N−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アミン、N−グリシジル−N,N−ビス〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕アミン、N−グリシジル−N,N−ビス〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕アミン、N−グリシジル−N,N−ビス〔3−(メチルジエトキシシリル)プロピル〕アミンなどのシラン化合物が挙げられる。
ネガ型感光性樹脂組成物におけるこのようなシランカップリング剤の含有割合は、前記エチレン性不飽和化合物100重量部に対して20重量部以下であることが好ましく、0.1〜10重量部であることが更に好ましい。
更に、本発明の感光性樹脂組成物は、後述する露光後の膜に耐熱性や耐薬品性等を付与することを目的として、エポキシ基含有化合物を含有していてもよく、そのエポキシ基含有化合物としては、所謂エポキシ樹脂の繰返し単位を構成する、ポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル化合物、ポリカルボン酸化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエステル化合物、及び、ポリアミン化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルアミン化合物等の、低分子量物から高分子量物にわたる化合物が挙げられる。
これらのポリグリシジルエーテル化合物として、具体的には、例えば、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル型エポキシ、ビス(4−ヒドロキシフェニル)のジグリシジルエーテル型エポキシ、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)のジグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ、テトラメチルビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ、エチレンオキシド付加ビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシ等が挙げられ、これらのポリグリシジルエーテル化合物には、残存するヒドロキシル基に酸無水物や2価の酸化合物を反応させカルボキシル基を導入することもできる。また、ポリグリシジルエステル化合物として、具体的には、例えば、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル型エポキシ、フタル酸のジグリシジルエステル型エポキシ等が、また、ポリグリシジルアミン化合物として、具体的には、例えば、ビス(4−アミノフェニル)メタンのジグリシジルアミン型エポキシ、イソシアヌル酸のトリグリシジルアミン型エポキシ等が、それぞれ挙げられる。
また、同様の目的のものとして、例えば特開平2−182378号公報に記載されているような、例えばピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸又はその誘導体と例えば3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等のジアミンとがアミド結合を形成して得られ、酸官能基又はエチレン性不飽和結合を有するポリイミド前駆体、及びそれを熱重合させて得られるポリイミド等も挙げられ、更に、各種添加剤、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等の熱重合防止剤を、感光性樹脂組成物の全量に対して2重量%以下、有機又は無機の染顔料からなる着色剤を同じく20重量%以下、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤を同じく40重量%以下、三級アミンやチオール等の感度特性改善剤を同じく10重量%以下、色素前駆体を同じく30重量%以下、の割合で含有していてもよい。
なお、上述した各タイプの本発明の感光性樹脂組成物は、その性能を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば染料、顔料、塗布性改良剤、現像改良剤、密着性改良剤等を含有することも可能である。
本発明の感光性樹脂組成物は、通常溶媒に溶解して感光性レジスト層の形成に使用されるが、この場合用いられる溶媒としては前述の感光性樹脂組成物の各成分に対して十分な溶解度を持ち、良好な塗膜性を与える溶媒であれば特に制限はなく、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコール系溶媒、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、2−メチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、ヘプタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコールなどのアルコール系溶媒、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶媒、メチルフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリドン等の高極性溶媒、或いはこれらの混合溶媒、更には芳香族炭化水素を添加した混合溶媒等が挙げられる。溶媒の使用割合は、感光性樹脂組成物中の固形分の総量に対し、重量比として1〜20倍の範囲であることが好ましい。
以上の各成分から構成される本発明の感光性樹脂組成物は、320〜450nmの波長域に分光感度の極大ピークを有するのが好ましく、390〜430nmの波長域に分光感度の極大ピークを有するのが更に好ましい。分光感度の極大ピークを前記範囲未満の波長域に有する場合には、感光性樹脂組成物として波長320〜450nmのレーザー光に対する感度が劣る傾向となり、一方、前記範囲超過の波長域に有する場合には、黄色灯下でのセーフライト性が劣る傾向となる。
なお、本発明において、分光感度の極大ピークとは、例えば、「フォトポリマー・テクノロジー」(山岡亜夫著、昭和63年日刊工業新聞社発行、第262頁)等に詳述されているように、基板表面に感光性樹脂組成物層を形成した感光性画像形成材試料を、分光感度測定装置を用い、キセノンランプ又はタングステンランプ等の光源から分光した光を、横軸方向に露光波長が直線的に、縦軸方向に露光強度が対数的に変化するように設定して照射して露光した後、現像処理することにより、各露光波長の感度に応じた画像が得られ、その画像高さから画像形成可能な露光エネルギーを算出し、横軸に波長、縦軸にその露光エネルギーの逆数をプロットすることにより得られる分光感度曲線における極大ピークを指す。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、波長410nmにおける画像形成可能な最小露光量〔S410 〕が50mJ/cm2 以下であることが好ましく、30mJ/cm2 以下であることが更に好ましく、20mJ/cm2 以下であることが特に好ましい。この最小露光量〔S410 〕が前記範囲超過では、レーザー光源の露光強度にもよるが、露光時間が長くなって実用性が低下する傾向となる。なお、この最小露光量〔S410 〕の下限は小さい程好ましいが、通常1mJ/cm2 以上である。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、前記〔S410〕の波長450nmにおける画像形成可能な最小露光量〔S450〕(mJ/cm2)に対する比〔S410〕/〔S450〕が0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることが更に好ましい。この比〔S410〕/〔S450〕が前記範囲超過では、青紫色レーザー感光性と黄色灯下でのセーフライト性を両立させることが困難な傾向となる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、波長450nm超過650nm以下の各波長における画像形成可能な最小露光量〔S450-650 〕(mJ/cm2 )の波長450nmにおける画像形成可能な最小露光量〔S450 〕(mJ/cm2 )に対する比〔S450-650 〕/〔S450 〕が1超過であることが好ましい。この比〔S450-650 〕/〔S450 〕が前記範囲以下では、青紫色レーザー感光性と黄色灯下でのセーフライト性を両立させることが困難な傾向となる。
なお、前記波長410nmにおける画像形成可能な最小露光量〔S410〕、波長450nmにおける画像形成可能な最小露光量〔S450〕、及び、波長450nm超過650nm以下の各波長における画像形成可能な最小露光量〔S450-650〕は、前述した分光感度測定装置を用いての分光感度の極大ピークの測定において、得られる画像高さから算出される画像形成可能な露光エネルギーとして求められ、その際の、現像液の種類、現像温度、現像時間等の現像条件を変化させて決定される最適現像条件で画像を形成し得る最小露光量を意味し、その最適現像条件としては、通常、pH11〜14のアルカリ現像液に温度25℃で0.5〜3分浸漬する条件が採られる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、上記と同様にして10μmの線幅の画像を現出させることが可能な最小露出量を露光感度とした場合、乾燥膜厚10μmに形成した感光性樹脂組成物層の露光感度(S1)に対する乾燥膜厚20μmに形成した感光性樹脂組成物層の露光感度(S2)の比(S2/S1)が、5以下、特に3以下であることが好ましい。露光感度の比(S2/S1)がこの範囲であることにより、膜厚変動による感度変化が小さくなり、被加工基板上に段差がある場合においても良好な画像形成が可能となる。
本発明の感光性樹脂組成物の再現し得る最小線幅(μm)は、画像形成材の感光性レジスト層の膜厚によって変動する。即ち、前記膜厚を変えて、最小線幅を求めることにより膜厚(μm)/線幅(μm)の最大値を得る。このようにして求めた値は、好ましくは1以上であり、更に好ましくは1.2以上である。この数値は高いほど好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、通常、導電性被加工基板上に感光性レジスト層を形成する工程、該感光性レジスト層を活性線により露光する工程、次いでアルカリ現像液で現像する工程を経ることによって画像形成される。そして、得られたレジストパターン層をマスクとしてエッチング加工、メッキ加工等することにより、その表面に回路パターンが形成される。
ここで導電性被加工基板としては、銅、アルミニウム、金、銀、クロム、亜鉛、錫、鉛、ニッケル等の金属板;エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂等の樹脂、紙、ガラス、及び、アルミナ、シリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機物、又は、ガラス布基材エポキシ樹脂、ガラス不織布基材エポキシ樹脂、紙基材エポキシ樹脂、紙基材フェノール樹脂等の複合材料等からなり、その厚さが0.02〜10mm程度の絶縁性支持体表面に、前記金属或いは酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウムドープ酸化錫(ITO)等の金属酸化物等の金属箔を加熱、圧着ラミネートするか、金属をスパッタリング、蒸着、メッキする等の方法により、その厚さが1〜100μm程度の導電層を形成した金属張積層板;シリコンウエハ上に電子回路素子及び/又は絶縁層が形成された上に銅、アルミニウム、金などの金属層が形成されたウエハ;ガラス基板の上にITO膜が形成された基板などが用いられる。これらのうち好ましくは金属張積層板及びウエハが用いられる。
このような被加工基板上に感光性レジスト層を形成する際の感光性樹脂組成物の塗布方法としては、従来公知の方法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布、スクリーン塗布、及びカーテン塗布等を用いることができる。その際の塗布量は、乾燥膜厚として、通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜70μm、より好ましくは5〜70μmの範囲の感光性レジスト層が形成されるような量である。特に、被加工基板上に本発明の感光性樹脂組成物層が積層された本発明の感光性画像形成材においては、エッチングレジスト或いはメッキレジストとしての使用の点から、感光性樹脂組成物層の厚みは、乾燥膜厚として10μm以上であることが好ましく、また、感度等の面から、膜厚の上限は100μm程度であることが好ましい。なお、その際の乾燥温度としては、例えば、30〜150℃程度、好ましくは40〜110℃程度、乾燥時間としては、例えば、5秒〜60分間程度、好ましくは10秒〜30分間程度の条件が採用される。
本発明の感光性樹脂組成物が光重合型ネガ型の場合、前記各成分を適当な溶媒に溶解或いは分散させた塗布液として、仮支持フィルム上に塗布して乾燥させ、必要に応じて形成された感光性樹脂組成物層表面を被覆フィルムで覆うことにより、所謂ドライフィルムレジスト材等としての、感光性画像形成材料とされ、その画像形成材料の感光性樹脂組成物層側を、被覆フィルムで覆われている場合にはその被覆フィルムを剥離して、被加工基板上に積層することにより、又は、前記各成分を適当な溶媒に溶解或いは分散させた塗布液として、被加工基板上に直接に塗布し乾燥させることにより、被加工基板上に本発明の感光性樹脂組成物の層が形成された感光性画像形成材とされ、その画像形成材の感光性樹脂組成物層を、波長390〜430nmのレーザー光により走査露光し、現像処理してネガ画像を現出させる画像形成方法としての使用形態に好適に用いられる。
そのドライフィルムレジスト材等としての画像形成材料として用いられる場合における仮支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の従来公知のフィルムが用いられる。その際、それらのフィルムが画像形成材料の作製時に必要な耐溶媒性や耐熱性等を有しているものであるときは、それらの仮支持フィルム上に直接に感光性樹脂組成物塗布液を塗布し、乾燥させて本発明の画像形成材料を作製することができ、また、それらのフィルムが耐溶媒性や耐熱性等の低いものであっても、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルムや離型フィルム等の離型性を有するフィルム上に先ず感光性樹脂組成物層を形成した後、その層上に耐溶媒性や耐熱性等の低い仮支持フィルムを積層し、しかる後、離型性を有するフィルムを剥離することにより、本発明の画像形成材料を作製することもできる。
塗布に用いる溶媒及び塗布方法は前記と同様である。
ドライフィルムレジスト材等としての画像形成材料として用いられる場合には、その画像形成材料が被加工基板に積層されるまでの間、形成された感光性樹脂組成物層表面を被覆フィルムで覆うことが好ましく、その被覆フィルムとしてはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等の従来公知のフィルムが用いられる。
また、このような画像形成材料の感光性樹脂組成物層側を、被覆フィルムで覆われている場合にはその被覆フィルムを剥離して、被加工基板上に加熱、加圧等して積層することにより形成される本発明の感光性画像形成材、又は、前述の如く、本発明の感光性樹脂組成物の塗布液を直接塗布、乾燥して、感光性樹脂組成物層を形成した被加工基板は、その上に形成された感光性樹脂組成物層をレーザー光により走査露光し現像処理することによって現出されたネガ画像をレジストとして、エッチング加工或いはメッキ加工等することにより、その表面に回路や電極等のパターンが形成される。
露光には、通常波長320〜450nmの光を用いる。この光は、単色光でもブロードな光でも良い。例えば高圧水銀灯の波長366nm、436nmの光等を用いることができるが、出力、安定性、感光能力、及びコスト等の点から、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、YAGレーザー、及び半導体レーザー等の青紫色から赤外領域の光を発するもののうち、特に、波長域390〜430nmの青紫色領域のレーザー光を発生する光源が好ましい。露光光源としては、特に限定されるものではないが、具体的には、波長405nmの光を発振する窒化インジウムガリウム半導体レーザー等が挙げられる。また、波長320nm以下のDeepUV光で露光する事も可能である。
露光後、加熱(PEB)を行う場合、ホットプレート又はオーブンを用い、90〜140℃、1分〜30分程度の条件が好適に使用される。ホットプレートの代わりにオーブンを用いた場合は通常ホットプレートを使用した場合より長い加熱時間が必要とされる。
現像に用いる現像液としては水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第二級アミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン等の第3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロキシド等の第4級アンモニウム塩の水溶液よりなるアルカリ現像液が好適に使用される。現像液には必要に応じて、アルコール、界面活性剤等を添加して使用することもある。
なお、現像は、通常、上記現像液に感光性レジスト層を形成した画像形成材を浸漬するか、画像形成材の感光性レジスト層に前記現像液をスプレー法、パドル法等により接触させる公知の現像法により、好ましくは10〜50℃程度、更に好ましくは15〜45℃程度の温度で、5秒〜10分程度の時間で行われる。
なお、本発明において、光重合性の前記ネガ型画像形成材にあっては、前述の如くして前記被加工基板上に形成された本発明の感光性樹脂組成物からなる青紫色レーザー感光性レジスト層上に、光重合性感光性樹脂組成物の酸素による重合禁止作用を防止するための酸素遮断層、或いは、分光感度の極大ピークの波長領域を調整するための光透過性調整層等の保護層が形成されていても良い。
その酸素遮断層を構成するものとしては、水、又は、水とアルコールやテトラヒドロフラン等の水混和性有機溶媒との混合溶媒に可溶の水溶性高分子や、ポリエチレンテレフタレート等の水不溶性高分子であって、具体的には、ポリビニルアルコール、及びその部分アセタール化物、4級アンモニウム塩等によるそのカチオン変性物、スルホン酸ナトリウム等によるそのアニオン変性物等の誘導体、ポリピニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
それらの中で、酸素遮断性等の面から、ポリビニルアルコール及びその誘導体が好ましく、また、感光性レジスト層との密着性等の面から、ポリビニルピロリドンやビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等のビニルピロリドン系重合体が好ましく、本発明に係る酸素遮断層としては、特にポリビニルアルコール或いはその誘導体100重量部に対して、ポリビニルピロリドン系重合体を、好ましくは1〜20重量部、更に好ましくは3〜15重量部混合した混合物として用いるのが好ましい。
また、酸素遮断層としては、保存性付与等の面から、琥珀酸等の有機酸やエチレンジアミンテトラ酢酸等の有機酸塩等を含有するものが好ましく、更に、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性等の界面活性剤、消泡剤、色素、可塑剤、pH調整剤等を含有していても良く、酸素遮断層中のこれらの合計の含有割合は、10重量%以下であるのが好ましく、5重量%以下であるのが更に好ましい。
前記酸素遮断層は、水又は水と水混和性有機溶媒との混合溶媒の溶液として、前述の感光性レジスト層と同様の塗布法によって形成され、その塗布量は、乾燥膜厚として、1〜10g/m2 の範囲とするのが好ましく、1.5〜7g/m2 の範囲とするのが更に好ましい。
また、光透過性調整層を構成するものとしては、高分子結合材に、例えば、クマリン系色素等の可視領域の光吸収色素を含有させたものが挙げられるが、その際の高分子結合材を前記酸素遮断層に挙げたポリビニルアルコール或いはその誘導体やポリビニルピロリドン系重合体とすることにより、酸素遮断能と光透過性調整能とを有する保護層とすることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、用いた増感剤、得られた感光性樹脂組成物及び感光性画像形成材の各評価は、以下の方法に従った。
<吸光度>
ガラス基板上に形成した乾燥膜厚10μmの感光性レジスト層について、分光光度計(島津製作所社製「UV−3100PC」)を用いて波長405nmにおける吸光度を測定し、その測定値を膜厚で除することにより、1μm当たりの吸光度を算出した。
<分光感度の極大ピーク>
画像形成材を50×60mmの大きさに切り出したサンプルを、回折分光照射装置(ナルミ社製「RM−23」)を用い、キセノンランプ(ウシオ電機社製「UI−501C」)を光源として320〜650nmの波長域で分光した光を、横軸方向に露光波長が直線的に、縦軸方向に露光強度が対数的に変化するように設定して10秒間照射して露光し、次いで、各例に記載の現像条件で現像処理することにより、各露光波長の感度に応じた画像を得、その画像高さから画像形成可能な露光エネルギーを算出し、横軸に波長、縦軸にその露光エネルギーの逆数をプロットすることにより得られる分光感度曲線における極大ピークを読み取った。
<〔S410〕/〔S450〕,〔S450-650〕/〔S450〕>
上記<分光感度の極大ピーク>に記載の方法と同様にして320〜650nmの波長域で波長を変化させて露光し、現像処理したときの、波長410nmにおける画像形成可能な最小露光量〔S410〕(mJ/cm)と波長450nmにおける画像形成可能な最小露光量〔S450〕(mJ/cm)、及び波長450nm超過650nm以下の各波長における画像形成可能な最小露光量〔S450-650〕(mJ/cm)をそれぞれ求め、その比〔S410〕/〔S450〕、及び〔S450-650〕/〔S450〕を算出し、以下の基準で評価した。
<〔S410 〕/〔S450 〕の評価基準>
A:〔S410 〕/〔S450 〕が0.03以下。
B:〔S410 〕/〔S450 〕が0.03超過0.05以下。
C:〔S410 〕/〔S450 〕が0.05超過0.1以下。
D:〔S410 〕/〔S450 〕が0.1超過。
<〔S450-650〕/〔S450〕の評価基準>
A:〔S450-650〕/〔S450〕が10超過。
B:〔S450-650〕/〔S450〕が5超過10以下。
C:〔S450-650〕/〔S450〕が1超過5以下。
D:〔S450-650〕/〔S450〕が1以下。
<露光感度>
画像形成材の感光性レジスト層を、中心波長405nm、レーザー出力5mWのレーザー光源(日亜化学工業社製「NLHV500C」)を用いて、像面照度2μW、ビームスポット径2.5μmで、ビーム走査間隔及び走査速度を変えながら走査露光し、次いで、各例に記載の現像条件で現像処理して画像を現出させ、その際得られた画像について、10μmの線幅が再現するのに要する最小露光量を求め、露光感度とした。この露光感度として、感光性レジスト層の膜厚10μmのときの露光感度(S1)と感光性レジスト層の膜厚20μmのときの露光感度(S2)とを測定し、その比(S2/S1)を算出した。
<解像性>
得られたレジスト画像について、表1に記載の膜厚における再現し得る線幅及びパターン形状を観察し、更に、解像性の目安として、「膜厚(μm)/再現し得る線幅(μm)」の値を算出した。
<黄色灯下でのセーフライト性>
画像形成材を黄色灯照明(約470nm以下の波長の光を遮断した条件)下に、1分間、2分間、5分間、10分間、20分間、30分間放置した後、前記と同様にして、走査露光及び現像処理を行い、前記に比して画像に変化が生じるまでの放置時間を求め、以下の基準で評価した。
A:放置時間が20分以上
B:放置時間が10分以上20分未満
C:放置時間が1分以上10分未満
D:放置時間が1分未満
<感光性樹脂組成物塗布液の保存安定性>
感光性樹脂組成物塗布液を25℃で7日間、暗所にて保管した後、レジスト画像を形成し、該レジスト画像について結晶状析出物の有無を走査型電子顕微鏡で観察し、以下の基準で評価した。
A:析出物は全く認められず、保存前後での感度、画像に変化なし。
B:析出物は認められないが、保存後の感度が僅かに低下。
C:微量の析出物が認められ、保存後の感度が低下。
<感光液溶媒に対する増感剤の溶解性>
増感剤1重量部、ポリ−p−ヒドロキシスチレン(GPC測定による重量平均分子量Mw5,000)100重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート290重量部に加え、25℃で30分間マグネチックスターラーで攪拌した後、溶液中の未溶解増感剤量を目視で判定した。
A:増感剤は完全に溶解している。
B:増感剤の10%以下が未溶解で懸濁している。
C:増感剤の半分以上が未溶解で、増感剤が容器の底に沈殿している。
なお、以下の実施例で増感剤として用いた構造式(D−1)〜(D−3)で表される化合物は、前記一般式[VI]で表される化合物に包含されるものである。
(化学増幅ネガ型レジストの例)
実施例1
ポリ−p−ヒドロキシスチレン(GPC測定による重量平均分子量Mw5,000)100重量部、ヘキサメトキシメチルメラミン50重量部、増感剤として下記構造式(D−1)で表される化合物(モル吸光係数/405nm=4,300)1重量部、酸発生剤として下記構造式(S−1)で表される化合物6重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート290重量部溶解し、化学増幅ネガ型感光性樹脂組成物溶液とした。
Figure 2004272212
この化学増幅ネガ型感光性樹脂組成物溶液を、ガラス基板上に乾燥膜厚が10μm又は20μmとなる量でスピンコートし、90℃で10分間乾燥させて感光性レジスト層を形成することにより、感光性画像形成材を作製した。
得られた感光性画像形成材の感光性レジスト層を、前記露光感度の評価方法に記載した条件で走査露光した後、100℃で10分間オーブン中での後加熱処理を施し、次いで現像液として水酸化カリウム0.5重量%水溶液を用いて20℃で60秒間浸漬して現像処理を行った。
用いた増感剤、得られた感光性樹脂組成物及び感光性画像形成材の評価結果を表3に示した。
比較例1
増感剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして膜厚10μmの感光性レジスト層を有する画像形成材を作製し、走査露光して現像処理を行ったところ、露光部は全て現像液に溶解し、画像が形成されなかった。
実施例2,3、比較例2
増感剤として上記構造式(D−1)で表される化合物の代わりに、表3に示す通り、下記構造式(D−2)〜(D−4)で表される化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を得、得られた感光性樹脂組成物溶液を用いて実施例1と同様にして感光性画像形成材を作製し、各評価結果を表3に示した。
Figure 2004272212
(光重合型レジストの例)
実施例4
下記配合成分を、メチルエチルケトン/イソプロパノール(重量比8/2)の混合溶媒100重量部に加えて、室温で攪拌して調液した塗布液を、仮支持フィルムとしてのポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み19μm)上に、アプリケーターを用いて乾燥膜厚が10μm、20μm又は25μmとなる量で塗布し、90℃のオーブンで5分間乾燥させ、形成された感光性樹脂組成物層上に、被覆フィルムとしてのポリエチレンフィルム(厚み25μm)を積層し、1日放置することにより、ドライフィルムレジスト材を作製した。
<配合成分>
エチレン性不飽和化合物
共栄化学社製ライトエステル9EG(下記構造式(A−1)の化合物):15重量部
共栄化学社製ライトエステルBP−6EM(下記構造式(A−2)の化合物)
:30重量部
増感剤
前記構造式(D−1)の化合物:0.3重量部
光重合開始剤
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイ
ミダゾール(融点172℃、波長1.54ÅのX線回折スペクトルにおいてブラッグ
角(2θ±0.2゜)21.16゜に最大回折ピークを有するもの):12重量部
アルカリ可溶性樹脂
スチレン/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリ
ル酸共重合体(モル比10/50/20/20、酸価129KOH・mg/g、重量
平均分子量68,000):55重量部
添加剤
N−フェニルグリシンの双極イオン化合物:0.2重量部
ロイコクリスタルバイオレット:0.4重量部
9−フェニルアクリジン:0.2重量部
Figure 2004272212
別に、厚み35μmの銅箔を貼り合わせたポリイミド樹脂の銅張積層基板(厚み1.5mm、大きさ250mm×200mm)の銅箔表面を、住友スリーエム社製「スコッチブライトSF」を用いてバフロール研磨した後水洗し、空気流で乾燥させて整面し、次いで、これをオーブンで60℃に予熱した後、その銅張積層板の銅箔上に、前記で得られたドライフィルムレジスト材を、そのポリエチレンフィルムを剥離しながらその剥離面で、ハンド式ロールラミネーターを用いて、ロール温度100℃、ロール圧0.3MPa、ラミネート速度1.5m/分でラミネートすることにより、銅張積層基板上に感光性レジスト層が形成された感光性画像形成材を作製した。
得られた感光性画像形成材の感光性レジスト層を、前記露光感度の評価方法に記載した条件で走査露光した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、次いで、30℃の炭酸ナトリウム1重量%水溶液を現像液として0.15MPaとなるように吹き付けてスプレー現像処理を行うことにより、表面にレジスト画像が形成された被加工基板を得た。
用いた増感剤、得られた感光性樹脂組成物及び感光性画像形成材の評価結果を表3に示した。
比較例3
増感剤を用いなかったこと以外は、実施例4と同様にして膜厚10μmの感光性レジスト層を有する画像形成材を作製し、走査露光して現像処理を行ったところ、露光部は全て現像液に溶解し、画像が形成されなかった。
比較例4
増感剤として前記構造式(D−1)で表される化合物の代わりに前記構造式(D−4)で表される化合物を用いたこと以外は、実施例4と同様にして画像形成材を作製し、各評価結果を表3に示した。
Figure 2004272212
表3より、本発明の感光性樹脂組成物は、溶媒に対する溶解性が良好で、黄灯下でのセーフライト性に優れ、青紫色領域で高感度且つ解像性の高い感光性樹脂組成物であることがわかる。
本発明の感光性樹脂組成物並びにこの感光性樹脂組成物を用いた感光性画像形成材料及び感光性画像形成材は、青紫色レーザー光を用いた直接描画による、プリント配線基板、プラズマディスプレイ用配線板、液晶ディスプレイ用配線板、大規模集積回路、薄型トランジスタ、半導体パッケージ等の微細電子回路の形成に工業的に極めて有用である。

Claims (11)

  1. 増感剤と、
    露光された時に該増感剤との相互作用により、ラジカル、酸及び塩基のうちの少なくともいずれか一種を生成する活性化合物と
    を含有する感光性樹脂組成物において、
    該増感剤が下記一般式[I]で表される化合物を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
    Figure 2004272212
    (一般式[I]中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立して水素原子又は任意の置換基を表す。但し、R1〜R9のうち隣り合う置換基同士、R1とR9、及びR5とR6、のうちの1又は2以上の組み合せでそれぞれ互いに結合して、置換基を有していても良い環を形成していても良い。)
  2. 請求項1において、前記増感剤の波長405nmでのモル吸光係数(ε)が100以上100000以下であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2において、前記一般式[I]において、R7が下記一般式[II]で表される置環基であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
    Figure 2004272212
    (一般式[II]中、R10は水素原子又は任意の置換基を表し、Xは2価の任意の原子又は置換基を表す。但し、R6とR10、又は、R8とR10が互いに結合して、置換基を有していても良い環を形成していても良い。)
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記一般式[I]で表される化合物が下記一般式[III]〜[VII]で表される化合物のいずれかであることを特徴とする感光性樹脂組成物。
    Figure 2004272212
    (一般式[III]〜[VII]中、R1〜R9は前記一般式[I]におけると同義である。Yは酸素原子又はN−R16基を表し、R10〜R16は、それぞれ独立して水素原子又は任意の置換基を表す。但し、R6とR10、R8とR10、R10とR11、R8とR12、R11とR12、R10とR13、R8とR13、R10とR14、R10とR15、の組み合せでそれぞれ互いに結合して、置換基を有していても良い環を形成していても良い。)
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記一般式[I]におけるR2及び/又はR3が任意の置換基であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、アルカリ可溶性樹脂及び架橋剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1ないし5のいずれか1項において、酸分解性基含有重合体を含有するポジ型感光性樹脂組成物であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1ないし5のいずれか1項において、エチレン性不飽和化合物を含有するネガ型感光性樹脂組成物であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  9. 仮支持フィルム上に、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の層が形成されてなることを特徴とする感光性画像形成材料。
  10. 被加工基板上に、請求項9に記載の感光性画像形成材料が該感光性樹脂組成物層側が該基板側となるように積層されてなることを特徴とする感光性画像形成材。
  11. 被加工基板上に積層された感光性樹脂組成物層の厚さが、10μm以上であることを特徴とする請求項10に記載の感光性画像形成材。
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