JP2004260013A - 光電変換装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工工程の精度的簡易化が図れ、かつ横方向リークが防止できる集積化構造および製法を実現すること。
【解決手段】複数の半導体素子が、導電性材料110によって隣接する半導体素子間で直列接続された集積化構造を有しており、これら複数の半導体素子は、裏電極104から表電極102まで分離する第1の分離溝105によって互いに分離されており、これら複数の半導体素子は、それぞれ、裏電極104から半導体多層膜103まで分離する第2の分離溝106によって第1の領域と第2の領域に分離されており、これら複数の半導体素子の隣接する素子間の直列接続は、一方の半導体素子の第1の領域内における裏電極104と、一方の半導体素子と隣接する他方の半導体素子の第2の領域内における表電極102とが、導電性材料110によって接続されることで実現されている。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の半導体素子が、導電性材料110によって隣接する半導体素子間で直列接続された集積化構造を有しており、これら複数の半導体素子は、裏電極104から表電極102まで分離する第1の分離溝105によって互いに分離されており、これら複数の半導体素子は、それぞれ、裏電極104から半導体多層膜103まで分離する第2の分離溝106によって第1の領域と第2の領域に分離されており、これら複数の半導体素子の隣接する素子間の直列接続は、一方の半導体素子の第1の領域内における裏電極104と、一方の半導体素子と隣接する他方の半導体素子の第2の領域内における表電極102とが、導電性材料110によって接続されることで実現されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽電池に代表される光電変換装置の集積化構造及びその製法に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
透光性基板上に形成した透明導電膜を表電極に用いるスーパーストレート型薄膜太陽電池においては、透明導電膜の直列抵抗成分の影響をできるだけ小さくするために、低電流密度・高電圧の特性が得られる集積化構造を用いるのが一般的である。これをプロセスとともに図2に示す。ここで図中、201は透光性基板、202は表電極、203は第1の分離溝、204は半導体多層膜、205は接続溝、206は裏電極、207は第2の分離溝である。従来の集積化構造は、表電極を分離する第1の分離溝、裏電極を分離する第2の分離溝、隣り合う素子との直列接続を可能とする接続溝から成っている。
【0003】
ここで本発明との関係で特徴となる部分を予め述べておくと、従来の集積化構造では光発電領域を形成する半導体多層膜の各層が接続溝側壁にまで延長しており、該接続溝に存在する金属などの導電性接続材料と接していることが特徴的である。これは回路的には半導体各層が該接続溝と電気的につながった裏面電極と短絡状態にあることを示しているが、実際には半導体素子が発電する光電流の大きさに比べて、該半導体各層を横方向リークパスとするリーク電流は、該半導体各層の抵抗が充分に大きいために無視することができる程度に小さく、従来の集積化構造で特に致命的な問題は生じていなかった。
【0004】
ところで、発明当初の集積化構造は、図2にその工程を示すように、透光性基板201上に、透明導電膜たる表電極202の形成、そのパターニング加工(第1の分離溝203の形成)、続いて半導体多層膜204の形成、そのパターニング加工(接続溝205の形成)、続いて裏電極206の形成、そのパターニング加工(第2の分離溝207の形成)、の順で形成されていた。このときパターニング加工技術としてはレーザースクライブ技術やマスクエッチング技術が用いられていた。
【0005】
しかしながら、膜形成の度にパターニング加工を行う該プロセスでは、パターニング加工工程の度に洗浄工程が必要となるので工程が複雑・煩雑になるだけでなく、パターニング加工時に発生する異物が洗浄工程で除去しきれなかったり、洗浄工程そのもので残渣物などが付着することによって半導体多層膜縦方向(層厚方向)のリークが発生しやすく歩留まりが低下しやすいという問題があった。
【0006】
そこでこれらの問題を解決するために、表電極/半導体多層膜/裏電極を形成後に(素子構造形成後に)パターニング加工するという素子・加工分離プロセスが開発された(特許文献1,2を参照)。このプロセスを図3に示す。ここで図中、301は透光性基板、302は表電極、303は半導体多層膜、304は裏電極、305は第1の分離溝、306は接続溝、307は絶縁物、308は導電性材料、309は第2の分離溝である。本プロセスでは素子化工程とパターニング加工工程とが分離されているので、前記した膜形成の度の洗浄工程が不要となると同時に、加工に起因した異物や洗浄に起因した残渣物などが膜中に取り込まれる恐れを解消することができるようになった。
【0007】
しかしながら、これらの先行技術においても接続溝側壁に光発電領域を形成する半導体層が接している構造には違いはなかった(前記特許文献2においては、接続溝を介しての裏電極と半導体層との短絡回路は形成されていないが、以下に述べるように、多接合型とした場合の短絡問題を回避できる構造とはなっていない)。また分離溝を形成する際のレーザー加工の深さ調節が非常に難しいことも課題であった(例えば、裏電極だけを分離して直下の半導体層は分離させない、絶縁コート層だけを分離して直下の裏電極は分離させない、など)。
【0008】
ところで薄膜太陽電池の高効率化のためには、従来一般的であったシングル接合型に代わってタンデム型などの多接合型の太陽電池構造とすることが非常に有力である。しかしながら多接合型太陽電池の集積化においてはシングル接合型の場合にはなかった課題が新たに発生する。それは多接合型においては、逆接合部が不可避的に発生することに起因する。
【0009】
例えばアモルファスシリコン素子をトップセルとし、微結晶シリコン素子をボトムセルとしたa−Si:H(pin)/μc−Si:H(pin)構成を半導体多層膜としたタンデム型の薄膜Si太陽電池を例にとって説明すると、逆接合部はa−Si:H(n)とμc−Si:H(p)とが接触する領域に発生する。ところでこの逆接合部においてはその接合特性はトンネル接合特性であることが要求される(ここで「トンネル接合特性」とは、本来のトンネル接合の特性だけでなく、トンネル接合が示す特性に準じた接合特性を有する接合も含めた接合の特性と定義する:実際には純粋なトンネル接合ではなくとも、品質の悪い(つまり再結合が生じやすい)接合であれば充分である場合があるからである)。つまり太陽電池として問題なく使える電圧範囲において該逆接合は良好なオーミック性と同等な接合特性を示す必要があるのである(さもなければ該逆接合部でキャリアの再結合が不充分となり(該逆接合部で電流の流れが律速され)素子特性が低下してしまうからである)。
【0010】
なお該逆接合部の材料の組み合わせとしては、前記したa−Si:H(n)/μc−Si:H(p)以外にも、a−Si:H(n)/a−Si:H(p)、μc−Si:H(n)/μc−Si:H(p)、μc−Si:H(n)/a−Si:H(p)などの組み合わせがありえ、製膜条件を調節することによってそのいずれも実現可能である。なお上記とは逆順のnip型を用いた場合についても上述した議論の本質には変わりがない。
【0011】
さてこのトンネル接合特性を有した逆接合部であるが、この部分はトンネル接合特性を実現するために非常に高い不純物濃度(通常1×1018/cm3以上)となっている。従ってキャリア濃度も非常に高くなっている。そのため逆接合部の接合面方向(層厚方向を縦方向とした場合の横方向)には非常に電流が流れやすい状態となっている。つまりタンデム型(を含む多接合型)においては、従来の集積化構造をそのまま採用すると、該逆接合部が接続溝までつながる形となるので該逆接合部が横方向リークパスとして働き、表電極と該逆接合部、および裏電極と該逆接合部が短絡してしまう(つまりトップセル、およびボトムセルがそれぞれ短絡状態となってしまう)問題が発生するのである。この問題状況を図4及び図5に示す。図4及び図5に示された集積化構造を有した光電変換装置は、図2及び図3における半導体多層膜を第1の半導体接合層と第2の半導体接合層とで構成した場合の例である。ここで204a及び303aはトップセルたる第1の半導体接合層、204b及び303bはボトムセルたる第2の半導体接合層を示し、他の符号は図2及び図3と同じである。問題の逆接合部は第1の半導体接合層204a(303a)と第2の半導体接合層204b(303b)の間に形成される。
【0012】
この問題は、例えばトップセルとボトムセル間に逆接合を形成する代わりに薄い金属層や透明導電膜層を導電性中間層として介在させてトップセルとボトムセルとをオーミックコンタクトさせる場合でも同様に生じる。この場合は、薄い金属層、あるいは透明導電膜層が横方向のリークパスとなるからである。
【0013】
この問題については、例えば接続溝壁面を接続溝形成中に酸化する方法が従来から知られている(特許文献3を参照)。しかしながらこの方法では酸化膜などの絶縁膜を別途形成する方法に比べて信頼性の高いリーク防止は非常に難しく、また中間層に金属酸化物などの透明導電膜を用いる場合には対象物が既に酸化物であるのでその高抵抗化は非常に困難であり、より信頼性の高い完全なリーク防止対策が必要とされていた(なお前記特許文献3における集積化プロセスは従来型のもので素子・加工分離型ではない)。
【0014】
なお、素子・加工分離型のその他の先行出願として、例えば、特許文献4,5,6が挙げられるが、いずれも基板とは反対方向からの膜面から光入射させるサブストレート型についてのものであり、また前記特許文献4における直列接続構造は必ずしも信頼性の高いものではなくまた精度的に容易なものでもなく、前記特許文献5,6では接続溝と光発電領域を形成する半導体層とは電気的な分離がなされていない。
【0015】
〔特許文献1〕
特公平5−82993号公報
〔特許文献2〕
特開平3−250771号公報
〔特許文献3〕
特公平7−114292号公報
〔特許文献4〕
特開平9−266320号公報
〔特許文献5〕
特開2000−252508号公報
〔特許文献6〕
特開2001−7359号公報
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、素子・加工分離プロセスのメリットを生かしつつ、パターニング工程の精度的簡易化が図れ(従って低コスト化が図れ)、かつ半導体多層膜中に逆接合部や導電性中間層が存在しても横方向リークが防止できる光電変換装置の集積化構造および製法を実現するものである。
【0017】
すなわち本発明の光電変換装置は、透光性基板上に、表電極、少なくとも1つ以上の半導体接合を有する半導体多層膜、裏電極がこの順で形成された複数の半導体素子が、導電性材料によって隣接する半導体素子間で直列接続された集積化構造を有した光電変換装置において、前記複数の半導体素子は、裏電極から表電極まで分離する第1の分離溝によって互いに分離されており、前記複数の半導体素子は、それぞれ、裏電極から半導体多層膜まで分離する第2の分離溝によって第1の領域と第2の領域に分離されており、前記複数の半導体素子の隣接する素子間の直列接続は、一方の半導体素子の前記第1の領域内における裏電極と、前記一方の半導体素子と隣接する他方の半導体素子の第2の領域内における表電極とが、導電性材料によって接続されることで実現されていることを特徴とする。
【0018】
また、前記半導体素子は絶縁膜によって覆われており、前記一方の半導体素子の裏電極と前記他方の半導体素子の表電極との前記導電性材料による接続は、前記一方の半導体素子の前記第1の領域内における前記絶縁膜に形成された第1の接続口と、前記一方の半導体素子と隣接する他方の半導体素子の第2の領域内に設けられ、前記絶縁膜、前記裏電極及び前記半導体多層膜を貫通して前記表電極に達する接続溝によって形成された第2の接続口を介して実現されており、前記第1の分離溝及び前記第2の分離溝は、前記絶縁膜で覆われていることを特徴とする。
【0019】
また、前記半導体膜中に半導体接合層が複数あり、且つ少なくとも1つの半導体接合層間に金属層もしくは透明導電層が介在していることを特徴とする。
【0020】
また、前記金属層は、シリコンを含有した合金材料から成ることを特徴とする。
【0021】
また、前記透明導電層は、インジウム酸化物、インジウム−スズ酸化物、スズ酸化物、及び亜鉛酸化物のうちの少なくとも1種を含む金属酸化物から成ることを特徴とする。
【0022】
また、前記絶縁膜は、シリコン酸化物、シリコン炭化物、及びシリコン窒化物のうち少なくとも1種を含む材料から成ることを特徴とする。
【0023】
また、前記絶縁膜は、金属酸化物及び金属窒化物のうち少なくともいずれかを含む材料からなっていることを特徴とする。
【0024】
また、前記絶縁膜は、ダイヤモンド及びダイヤモンドライクカーボンのうち少なくともいずれかを含む材料から成ることを特徴とする。
【0025】
また、前記絶縁膜は樹脂材料から成ることを特徴とする。
【0026】
また、前記導電性材料は、金属膜、金属線、金属箔、及び導電性ペーストのうち少なくとも1種であることを特徴とする。
【0027】
本発明の製造方法は、透光性基板上に、表電極、少なくとも1つ以上の半導体接合を有した半導体多層膜、及び裏電極を順次積層して第1の積層体を形成する第1の工程と、第1の分離溝によって前記第1の積層体を複数の素子に分離する第2の工程と、第2の分離溝によって前記複数の素子それぞれを構成する表電極、半導体多層膜及び裏電極のうち、半導体多層膜と裏電極とからなる積層体部分を少なくとも接続領域と発電領域の2つの領域に分離する第3の工程と、少なくとも前記裏電極、前記第1の分離溝及び前記第2の分離溝が存在する領域が覆われるように絶縁膜を積層形成する第4の工程と、前記発電領域に絶縁膜を貫通して裏電極に到達する第1の接続口を形成する第5の工程と、前記接続領域に対して前記表電極に到達する接続溝からなる第2の接続口を形成する第6の工程と、分離された一方の素子における前記第1の接続口に位置した裏電極と、前記第1の分離溝によって分離された前記一方の素子と隣接する他方の素子における前記第2の接続口に位置した表電極とを導電性材料によって電気的に接続させ、この接続構造をさらに隣接する素子に対しても順次繰り返すことで、前記複数の素子を直列に接続させる第7の工程からなることを特徴とする。
【0028】
また、前記第1分離溝及び前記第2分離の少なくとも一方が、レーザースクライブ法もしくはエッチング法で形成されることを特徴とする。
【0029】
また、前記第1接続口は、マスクパターニング法もしくはレーザースクライブ法により形成されることを特徴とする。
【0030】
また、前記第7の工程は、金属膜形成方法と、マスクパターニング法もしくはエッチング法とを組み合わせて行うことを特徴とする。
【0031】
また、前記第7の工程の導電性材料として、金属膜、金属線、金属箔、及び導電ペーストのうち少なくとも1種を用いることを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光電変換装置の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0033】
<光電変換装置の構成>
図1は、タンデム型の薄膜Si(シリコン)太陽電池素子に対して本発明を適用した一例をそのプロセスとともに示したものである。ここで図中の、101は透光性基板、102は表電極、103は半導体多層膜、103aは第1の半導体接合層、103bは第2の半導体接合層、104は裏電極、105は第1の分離溝、106は第2の分離溝、107は絶縁膜、108は第1の接続口、109は接続口ならびに第2の接続口、110は導電性材料、111は第3の分離溝である。
【0034】
本発明の光電変換装置は、図1(e)に示すように、透光性基板101上に、表電極102、少なくとも1つ以上の半導体接合(103a、103b)を有する半導体多層膜103、裏電極104がこの順で形成された複数の半導体素子が、導電性材料110によって隣接する半導体素子間で直列接続された集積化構造を有しており、これら複数の半導体素子は、裏電極104から表電極102まで分離する第1の分離溝105によって互いに分離されており、これら複数の半導体素子は、それぞれ、裏電極104から半導体多層膜103まで分離する第2の分離溝106によって第1の領域と第2の領域に分離されており、これら複数の半導体素子の隣接する素子間の直列接続は、一方の半導体素子の第1の領域内における裏電極104と、一方の半導体素子と隣接する他方の半導体素子の第2の領域内における表電極102とが、導電性材料110によって接続されることで実現されている。
【0035】
さらに、半導体素子は絶縁膜107によって覆われており、一方の半導体素子の裏電極104と他方の半導体素子の表電極102との導電性材料110による接続は、一方の半導体素子の第1の領域内における絶縁膜107に形成された第1の接続口108と、一方の半導体素子と隣接する他方の半導体素子の第2の領域内に設けられ、絶縁膜107、裏電極104及び半導体多層膜103を貫通して表電極102に達する接続溝によって形成された第2の接続口109を介して実現されており、第1の分離溝105及び第2の分離溝106は、絶縁膜107で覆われている。
【0036】
<光電変換装置の製造方法>
このように構成された光電変換装置は以下の工程により製造される。すなわち、透光性基板101上に、表電極102、少なくとも1つ以上の半導体接合を有した半導体多層膜103、及び裏電極104を順次積層して第1の積層体を形成する第1の工程と、第1の分離溝によって第1の積層体を複数の素子に分離する第2の工程と、第2の分離溝によって複数の素子それぞれを構成する表電極102、半導体多層膜103及び裏電極104のうち、半導体多層膜103と裏電極104とからなる積層体部分を少なくとも接続領域と発電領域の2つの領域に分離する第3の工程と、少なくとも裏電極104、第1の分離溝105及び第2の分離溝106が存在する領域が覆われるように絶縁膜107を積層形成する第4の工程と、前記発電領域に絶縁膜107を貫通して裏電極104に到達する第1の接続口108を形成する第5の工程と、前記接続領域に対して表電極102に到達する接続溝からなる第2の接続口109を形成する第6の工程と、分離された一方の素子における前記第1の接続口109に位置した裏電極104と、第1の分離溝105によって分離された一方の素子と隣接する他方の素子における第2の接続口109に位置した表電極102とを導電性材料110によって電気的に接続させ、この接続構造をさらに隣接する素子に対しても順次繰り返すことで、複数の素子を直列に接続させる第7の工程からなる。
【0037】
次に、本発明の具体的な製造方法について説明する。
【0038】
<素子形成(図1(a)を参照)>
まず透光性基板101を用意する。ここで透光性基板101としては、ガラス、プラスチック、樹脂などを材料とした板材あるいはフィルム材を用いることができる。
【0039】
次に、透光性基板101上に表電極102を形成する。表電極102としては、公知の酸化物透明導電膜を用いることができる。具体的には、スズ酸化物であるSnO2、インジウム−スズ酸化物であるITO、亜鉛酸化物であるZnOなど材料を用いることができる。なお、該透明導電膜は、後に該膜上にSi膜を形成するときに、SiH4とH2を使用することに起因した活性水素ガス雰囲気に曝されることになるので、耐還元性に優れるZnO膜を少なくとも最終表面として形成するのが望ましい。製膜方法としては、CVD法、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、スプレー法、及びゾルゲル法など公知の技術を用いることができる。該透明導電膜の膜厚は、反射防止効果と低抵抗化を考慮して60〜600nm程度の範囲で調節する。低抵抗化の目安としてはシート抵抗を約10Ω/□程度以下とするのが望ましい。
【0040】
次に、半導体多層膜103を形成する。半導体多層膜103は第1の半導体接合層103aと第2の半導体接合層103bからなる。
【0041】
まず、前記表電極102上に第1の半導体接合層103aを形成する。半導体接合層103aは、p型層、i型層、n型層が順次積層されたpin接合からなる(不図示)。製法としては公知のPECVD法やCat−CVD法の他に、本発明者らが既に特願2000−130858号、特願2001−293031号、および特願2002−38686号などにおいて開示しているCat−PECVD法を用いることができる。
【0042】
ここで、p型層については、水素化アモルファスシリコン膜や微結晶シリコン相を含む結晶質シリコン膜を用いることができる。膜厚は前記材料に応じて2〜100nm程度の範囲で調節する。ドーピング元素濃度については1×1018〜1×1021/cm3程度として、実質的にはp+型とする。なお製膜時に用いるSiH4、H2およびドーピング用ガスであるB2H6などのガスに加えてCH4などのC(炭素)を含むガスを適量混合すればSixC1−x膜が得られ、光吸収ロスの少ない窓層形成に非常に有効であるとともに、開放電圧向上のための暗電流成分低減にも有効である。また、C以外にもO(酸素)を含むガスやN(窒素)を含むガスを適量混合させることでも同様な効果を得ることができる。
【0043】
また、光活性層であるi型層については、水素化アモルファスシリコン膜を用い、膜厚は0.1〜0.5μm程度の範囲で調節する。実際にはノンドープ膜はわずかにn型特性を示すのが通例であるので、この場合はp型化ドープ元素をわずかに含ませて実質的にi型となるように調整することができる。なお、内部電界強度分布の微調整を目的に、n−型あるいはp−型とする場合もある。
【0044】
また、n型層については、水素化アモルファスシリコン膜や微結晶シリコン相を含む結晶質シリコン膜を用いることができる。膜厚は材料に応じて2〜100nm程度の範囲で調節する。ドーピング元素濃度については1×1018〜1021/cm3程度として、実質的にはn+型とする。なお製膜時に用いるSiH4、H2、およびドーピング用ガスであるPH3などのガスに加えてCH4などのC(炭素)を含むガスを適量混合すればSixC1−x膜が得られ、光吸収ロスの少ない膜形成ができるとともに、開放電圧向上のための暗電流成分の低減にも有効である。また、C以外にもO(酸素)を含むガスやN(窒素)を含むガスを適量混合させることでも同様な効果を得ることができる。
【0045】
また、接合特性をより改善するために、前記p型層と光活性層との間や光活性層とn型層との間に実質的にi型の非単結晶Si層や非単結晶SixC1−x層を挿入してもよい。このときの挿入層の厚さは0.5〜50nm程度とする。
【0046】
ここで、第1の半導体接合層103aと次に述べる第2の半導体接合層103bとの接合部において良好なトンネル接合特性を実現するためには(つまりオーミックコンタクト的な電気的接続特性を実現するためには)、前記第1の半導体接合層103aに含まれるn型層と後記第2の半導体接合層103bに含まれるp型層において、少なくとも両者が接する部分では結晶化率を高めておくことが望ましい。
【0047】
また、第1の半導体接合層103aと第2の半導体接合層103bの間のオーミックコンタクト的な電気的接続特性を実現させるためには、透明導電膜や薄い金属層あるいは薄いシリサイド層(シリコンと金属の合金層)を導電性中間層として挿入する方法も用いることができる。ここで透明導電膜としては、スズ酸化物であるSnO2、インジウム−スズ酸化物であるITO、亜鉛酸化物であるZnOなどを用いることができる。ここで透明導電膜を用いる場合は、該透明導電膜の存在によって光学的効果(反射及び透過特性)をも導入することができるので高効率化の点で非常に優れている。すなわち、該透明導電膜厚を調整することによって、短波長光は該透明導電膜で反射させて第1の半導体接合層103aに優先的に再入射させ、また長波長光は反射防止効果と同じ原理によって第2の半導体接合層103bに優先的に閉じ込めることができ、光エネルギーのより効率的な光電変換が可能となるのである。またシリサイド層を用いる場合は、第1の半導体接合層103aと第2の半導体接合層103bの間のオーミックコンタクトをより確実かつ簡便に歩留まりよく実現できる効果を期待できる。
【0048】
次に、前記第1の半導体接合層103a上に、第2の半導体接合層103bを形成する。半導体接合層103bは、p型層、i型層、n型層が順次積層されたpin接合からなる(不図示)。製法としては公知のPECVD法やCat−CVD法の他に、本発明者らが既に特願2000−130858号、特願2001−293031号、および特願2002−38686号などにおいて開示しているCat−PECVD法を用いることができる。
【0049】
ここで、p型層については、水素化アモルファスシリコン膜や微結晶シリコン相を含む結晶質シリコン膜を用いることができる。膜厚は材料に応じて2〜100nm程度の範囲で調節する。ドーピング元素濃度については1×1018〜11021/cm3程度として、実質的にはp+型とする。なお、製膜時に用いるSiH4、H2、およびドーピング用ガスであるB2H6などのガスに加えてCH4などのC(炭素)を含むガスを適量混合すればSixC1−x膜が得られ、光吸収ロスの少ない窓層形成に非常に有効であるとともに、開放電圧向上のための暗電流成分低減にも有効である。また、C以外にもO(酸素)を含むガスやN(窒素)を含むガスを適量混合させることでも同様な効果を得ることができる。
【0050】
また、光活性層であるi型層については、微結晶シリコン膜に代表される結晶質シリコン膜を用い、膜厚は1〜3μm程度の範囲で調節する。実際にはノンドープ膜はわずかにn型特性を示すのが通例であるので、この場合はp型化ドープ元素をわずかに含ませて実質的にi型となるように調整することができる。なお、内部電界強度分布の微調整を目的に、n−型あるいはp−型とする場合もある。このとき、膜構造としては、結晶面のうち(110)面が優先的に成長した結果として生ずる(110)面配向の柱状結晶粒の集合体として製膜後の表面形状が光閉じ込めに適した自生的な凹凸構造となるようにするのが望ましい。
【0051】
また、n型層については、水素化アモルファスシリコン膜や微結晶シリコン相を含む結晶質シリコン膜を用いることができる。膜厚は材料に応じて2〜100nm程度の範囲で調節する。ドーピング元素濃度については1×1018〜1021/cm3程度として、実質的にはn+型とする。なお製膜時に用いるSiH4、H2、およびドーピング用ガスであるPH3などのガスに加えてCH4などのC(炭素)を含むガスを適量混合すればSixC1−x膜が得られ、光吸収ロスの少ない膜形成ができるとともに、開放電圧向上のための暗電流成分の低減にも有効である。また、C以外にもO(酸素)を含むガスやN(窒素)を含むガスを適量混合させることでも同様な効果を得ることができる。
【0052】
なお、接合特性をより改善するために前記p型層と光活性層の間や光活性層とn型層の間に実質的にi型の非単結晶Si層を挿入してもよい。このときの挿入層の厚さは0.5〜50nm程度とする。
【0053】
次に、裏電極104として、金属膜を形成する。この金属膜材料としては、導電特性および光反射特性に優れるAl(アルミニウム)、Ag(銀)などを用いるのが望ましい。製膜方法としては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、スクリーン印刷法などの公知の技術を使用できる。このとき膜厚は、0.1μm程度以上とする。なお、該裏電極104は、半導体層に接する面側から透明導電膜/金属膜の順に積層された構造とすることがより好ましい。このように半導体層と金属膜の間に透明導電膜を挿入することによって、金属膜成分が半導体層中に拡散して素子特性を劣化させる現象を抑えることができる。また該透明導電膜形成表面に適当な凹凸構造をもたせれば光が有効に散乱されるようになるので太陽電池の効率向上に有効な光閉じ込め効果を増進させることができる。ここで該透明導電膜材料としては、上述したようにSnO2、ITO、ZnOなどを用いることができ、製膜方法としては、CVD法、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、スプレー法、およびゾルゲル法など公知の技術を用いることができる。
【0054】
以上、図1(a)の工程では、表電極102形成から裏電極104形成までの間に何らの膜加工もなされないので、加工に伴うゴミの発生、洗浄にともなう洗浄不良や残渣付着の恐れが全く無い素子形成が可能となり、高い素子特性と、高い素子歩留まりを実現することができる。
【0055】
<第1分離溝及び第2分離溝の形成(図1(b)を参照)>
図1(a)で素子形成まで終えた後、第1の分離溝と第2の分離溝を形成するが、第1の分離溝形成と第2の分離溝形成の順序に拘る必要はない。
【0056】
第1の分離溝は、裏電極104、半導体多層膜103、表電極102を貫通し、透光性基板101が露出するようにレーザー加工法で形成する。このときレーザーとしては、例えばYAGの基本波(波長1.06μm)を用い、パワーは堆積膜の厚さによって調節する。例えば表電極102としてSnO2を500nm、半導体多層膜103として前記したSi系膜を層厚2〜3μm程度、裏電極104としてAgを0.2μmとした場合、レーザーパワーは加工点において2〜4W程度の範囲で調節すればよい。なお加工幅については50〜100μm程度にする。またレーザー照射方向はガラス面側とし、ガラス面側が重力的に上側になるようにして、レーザー加工時に発生するアブレーション屑がデバイス表面に付着しにくくすることが望ましい(これは以下に述べるいずれのレーザー加工工程においても適用されることが望ましい)。以上によって透光性基板上に複数の電気的に分離された素子領域が形成される。
【0057】
第2の分離溝も基本的には第1の分離溝と同様の工程となるが、表電極102が露出された状態で貫通穴深さを止めるために、用いるレーザー波長は第2高調波(0.53μm)とし、パワーは0.1〜0.5W程度の範囲で調節する。こうすることで表電極102は残しつつ、半導体多層膜103及び裏電極104を優先的・選択的に除去することができる。以上によって前記それぞれの素子領域は第1の領域と第2の領域に分離分割される。
【0058】
ここで、第2の分離溝は半導体多層膜を完全に除去する条件範囲で行えるので、従来例のように半導体多層膜の途中で止めるようなレーザー加工条件調整を行う必要がなく、歩留まりのよい加工工程とすることができる。
【0059】
また、この第2の分離溝106が半導体多層膜を完全に除去することによって、後に述べる接続溝/第2の接続口に形成される導電性材料110と光発電領域の半導体多層膜とは完全に絶縁分離されることになるので、従来技術の課題の部分で述べたような、半導体多層膜中に逆接合部あるいは導電性中間層が存在しそれが接続溝の導電材料と接触することによってリークが発生するという問題は完全に回避することができる。
【0060】
なお、前記第1の分離溝と第2の分離溝形成には、エッチング法を用いることもできるが、簡便かつ低コスト加工作業を実現できるレーザー加工工程を用いる方が望ましい。
【0061】
<絶縁膜形成及び第1の接続口形成(図1(c)を参照)>
図1(b)まで終えた後、絶縁膜107形成と第1の接続口108の形成を行う。
【0062】
絶縁膜107としては、シリコン酸化物である酸化シリコン膜、シリコン窒化物である窒化シリコン膜、シリコン炭化物である炭化シリコンの他に、酸化チタン膜、窒化チタン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化タンタル、などの金属の酸化物や窒化物、またダイヤモンドやダイヤモンドライクカーボンといった炭素膜といった無機絶縁膜や、樹脂などの有機絶縁膜を用いることができる。特に、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜を該絶縁膜に用いた場合は、単なる機械的保護膜としてだけでなく、電気的パッシベーション効果をも期待することができる。また、金属の酸化物や窒化物を該絶縁膜に用いた場合は、特に耐食性に優れた絶縁保護膜を形成することができる。またダイヤモンドやダイヤモンドライクカーボンを該絶縁膜に用いた場合は特に耐熱性に優れた絶縁保護膜を形成することができる。ここで無機絶縁膜の製法としては、スパッタ法、熱CVD法、PECVD法、反応性蒸着法、反応性イオンプレーティング法などを用いることができる。有機絶縁膜の製法としては、プリント法、スプレーコート法などを用いることができる。
【0063】
第1の接続口108は、前記絶縁膜107形成前に所定のパターンのマスクを接続口形成位置に設置しておいて、前記絶縁膜107形成後にマスクを除去することで形成することもできるし、該マスク無しに前記絶縁膜107を形成した後に、追加工によって形成することもできる。追加工法としてはレーザー加工法の他にメカニカルスクライブ法、ウエットあるいはドライエッチング法などを用いることができるが、その加工深さに非常な精度を要するので、前者のマスクパターニング法で行うことが望ましい。
【0064】
本発明の利点のひとつとして、該マスクの位置合わせにそれほどの精度を要しないということが挙げられる。つまり第1の接続口108は該接続口108から裏電極104が露出していればよいのであって、該接続口108の横方向の位置ズレ許容範囲は裏電極104の幅(5〜20mm程度)程度にあるからである(前記したレーザー加工位置については10μmオーダーの位置精度が要求されるのに対して、該マスク位置合わせ位置についてはmmオーダーの位置精度があればよいのである)。
【0065】
以上によって該工程の低コスト化を実現することができる。
【0066】
<接続溝/第2の接続口形成(図1(d)を参照)>
図1(c)まで終えた後、接続溝/第2の接続口109を形成する。
【0067】
接続溝/第2の接続口109は、絶縁膜107が無機絶縁膜である場合は、基本的には前記第2の分離溝106形成条件とほぼ同一条件で形成でき、絶縁膜の厚さに応じてレーザーパワーを調整すればよい。必要であれば低パワーの基本波で絶縁膜を優先して溝加工した後に、第2高調波で残りの膜を除去してもよい。ここで接続溝/第2の接続口109は、表電極102が露出すればその機能を果たしうるのであって、必ずしも連続した溝状である必要はなく、複数の貫通穴で構成してももちろんよい。
【0068】
<導電性材料による直列接続形成及び第3の分離溝形成(図1(e)を参照)>図1(d)まで終えた後、導電性材料110による直列接続形成と第3の分離溝111の形成を行う。
【0069】
導電性材料110としては、金属膜、金属線や金属箔、導電性樹脂、などを用いることができる。
【0070】
金属膜を用いる場合は、Ag、Al、Cu(銅)、などの抵抗率の低い材料を用いることが望ましい。製法としてはスパッタ法、MOCVD法、蒸着法、イオンプレーティング法などの公知の技術を用いることができる。ここで第3の分離溝111は、該金属膜を形成する前に所定の位置にマスクを設置しておき、該金属膜形成後に除去すれば形成することができる。また該金属膜と表電極102あるいは裏電極104との接着強度を高めるためには、該金属膜と表電極102あるいは裏電極104との間に接着強化層を挿入することができる。該接着強化層としては、例えばTi、Cr、Niなどを含んだ金属材料や、SnO2、ITO、ZnOといった導電性酸化物材料などを用いることができ、製法としてはスパッタ法、MOCVD法、蒸着法、イオンプレーティング法などの公知の技術を用いることができる。
【0071】
ここで本発明の利点のひとつとして、該マスクの幅サイズ、位置精度の許容範囲が広いということが挙げられる。つまり前記金属膜を分離する第3の分離溝111の幅サイズと位置は、接続溝/第2の接続口と第1の接続口の間のいずれかの位置で形成すればよく、第1の接続口108の位置を裏電極104内で適当に工夫すれば、第3の分離溝111の幅サイズと位置ズレの許容範囲はmmオーダーにできるのである。
【0072】
金属線や金属箔を用いる場合は、半田材や導電ペースト材を介在物にして第1の接続口に露出した裏電極104と第2の接続口に露出した表電極102とを電気的に接続する。
【0073】
導電性樹脂を用いる場合は、スクリーン印刷法を用いて所定のパターンに形成すれば、第3の分離溝111も同時に形成することができる。
【0074】
以上によって該工程の低コスト化を実現することができる。
【0075】
以上、本発明によれば、光電変換装置の集積化構造の形成において、高い特性、高い歩留まり、及び低コスト化を実現することができる。
【0076】
<一般化>
ここでは本発明の実施形態をタンデム型薄膜Si太陽電池を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の目的を逸脱しない限り任意の形態とすることができる。
【0077】
すなわち、本発明は、2つの半導体接合層からなり逆接合部あるいは中間導電層がひとつ存在するタンデム型に限定されることなく、逆接合部あるいは中間導電層が2つ以上存在する多接合型の太陽電池にも適用できる。
【0078】
また、本発明は、Si系半導体に限定されることなく、化合物系や有機物系の半導体を用いた場合にも適用できる。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、光電変換装置の集積化にあたり、素子・加工分離工程を用いるので、加工工程で発生する異物や洗浄工程で発生する付着物が膜中に混入されることがなく、膜縦方向リークが防止される。
【0080】
また、接続溝と光電変換部分の半導体多層膜とは電気的に完全に分離されているので、該半導体多層膜中に逆接合や導電性中間層が存在しても、これらに起因した横方向リークが防止される。
【0081】
またマスクパターニング加工工程に要求される精度を緩くすることができるので、低コスト化工程を実現することができる。
【0082】
特に、請求項3、4、5によれば、より確実・簡便・高歩留まりなオーミックコンタクトの形成や、より効率的な光エネルギーの分配による高効率化を実現することができる。
【0083】
また、請求項6のうちシリコン酸化物あるいはシリコン窒化物によれば、電気的パッシベーション効果をも期待できる非常に優れた絶縁保護膜を形成することができる。
【0084】
また、請求項7によれば、特に耐食性に優れた絶縁保護膜を形成することができる。
【0085】
また、請求項8によれば、耐熱性に優れた絶縁保護膜を形成することができる。
【0086】
また、請求項10のうち金属膜や導電ペーストによれば、非常に簡便かつ低コストに直列接続を実現することができる。
【0087】
また、請求項12のうちレーザースクライブ法によれば、非常に簡便かつ低コストに加工作業を行うことができる。
【0088】
また、請求項13のうちマスクパターニング法によれば、より簡便かつ低コストな工程とすることができる。
【0089】
また、請求項14のうちマスクパターニング法を用いれば、より簡便かつ低コストな工程とすることができる。
【0090】
さらに、請求項15のうち金属膜あるいは導電ペーストによれば、非常に簡便かつ低コストに直列接続を実現することができる。
【0091】
以上により、光電変換装置の集積化構造において、高い特性、高い歩留まり、低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)はそれぞれ本発明に係る光電変換装置の集積化構造とその製造工程を説明する断面図である。太陽電池の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)はそれぞれ従来の光電変換装置の集積化構造とその製造工程を説明する断面図である。
【図3】(a)〜(d)はそれぞれ従来の光電変換装置の集積化構造とその製造工程を説明する断面図である。
【図4】従来のタンデム型素子に従来の集積化構造を適用した一例を説明する断面図である。
【図5】従来のタンデム型素子に従来の集積化構造を適用した他の例を説明する断面図である。
【符号の説明】
101:透光性基板
102:表電極
103:半導体多層膜
103a:第1の半導体接合層
103b:第2の半導体接合層
104:裏電極
105:第1の分離溝
106:第2の分離溝
107:絶縁膜
108:第1の接続口
109:接続溝/第2の接続口
110:導電性材料
111:第3の分離溝
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽電池に代表される光電変換装置の集積化構造及びその製法に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
透光性基板上に形成した透明導電膜を表電極に用いるスーパーストレート型薄膜太陽電池においては、透明導電膜の直列抵抗成分の影響をできるだけ小さくするために、低電流密度・高電圧の特性が得られる集積化構造を用いるのが一般的である。これをプロセスとともに図2に示す。ここで図中、201は透光性基板、202は表電極、203は第1の分離溝、204は半導体多層膜、205は接続溝、206は裏電極、207は第2の分離溝である。従来の集積化構造は、表電極を分離する第1の分離溝、裏電極を分離する第2の分離溝、隣り合う素子との直列接続を可能とする接続溝から成っている。
【0003】
ここで本発明との関係で特徴となる部分を予め述べておくと、従来の集積化構造では光発電領域を形成する半導体多層膜の各層が接続溝側壁にまで延長しており、該接続溝に存在する金属などの導電性接続材料と接していることが特徴的である。これは回路的には半導体各層が該接続溝と電気的につながった裏面電極と短絡状態にあることを示しているが、実際には半導体素子が発電する光電流の大きさに比べて、該半導体各層を横方向リークパスとするリーク電流は、該半導体各層の抵抗が充分に大きいために無視することができる程度に小さく、従来の集積化構造で特に致命的な問題は生じていなかった。
【0004】
ところで、発明当初の集積化構造は、図2にその工程を示すように、透光性基板201上に、透明導電膜たる表電極202の形成、そのパターニング加工(第1の分離溝203の形成)、続いて半導体多層膜204の形成、そのパターニング加工(接続溝205の形成)、続いて裏電極206の形成、そのパターニング加工(第2の分離溝207の形成)、の順で形成されていた。このときパターニング加工技術としてはレーザースクライブ技術やマスクエッチング技術が用いられていた。
【0005】
しかしながら、膜形成の度にパターニング加工を行う該プロセスでは、パターニング加工工程の度に洗浄工程が必要となるので工程が複雑・煩雑になるだけでなく、パターニング加工時に発生する異物が洗浄工程で除去しきれなかったり、洗浄工程そのもので残渣物などが付着することによって半導体多層膜縦方向(層厚方向)のリークが発生しやすく歩留まりが低下しやすいという問題があった。
【0006】
そこでこれらの問題を解決するために、表電極/半導体多層膜/裏電極を形成後に(素子構造形成後に)パターニング加工するという素子・加工分離プロセスが開発された(特許文献1,2を参照)。このプロセスを図3に示す。ここで図中、301は透光性基板、302は表電極、303は半導体多層膜、304は裏電極、305は第1の分離溝、306は接続溝、307は絶縁物、308は導電性材料、309は第2の分離溝である。本プロセスでは素子化工程とパターニング加工工程とが分離されているので、前記した膜形成の度の洗浄工程が不要となると同時に、加工に起因した異物や洗浄に起因した残渣物などが膜中に取り込まれる恐れを解消することができるようになった。
【0007】
しかしながら、これらの先行技術においても接続溝側壁に光発電領域を形成する半導体層が接している構造には違いはなかった(前記特許文献2においては、接続溝を介しての裏電極と半導体層との短絡回路は形成されていないが、以下に述べるように、多接合型とした場合の短絡問題を回避できる構造とはなっていない)。また分離溝を形成する際のレーザー加工の深さ調節が非常に難しいことも課題であった(例えば、裏電極だけを分離して直下の半導体層は分離させない、絶縁コート層だけを分離して直下の裏電極は分離させない、など)。
【0008】
ところで薄膜太陽電池の高効率化のためには、従来一般的であったシングル接合型に代わってタンデム型などの多接合型の太陽電池構造とすることが非常に有力である。しかしながら多接合型太陽電池の集積化においてはシングル接合型の場合にはなかった課題が新たに発生する。それは多接合型においては、逆接合部が不可避的に発生することに起因する。
【0009】
例えばアモルファスシリコン素子をトップセルとし、微結晶シリコン素子をボトムセルとしたa−Si:H(pin)/μc−Si:H(pin)構成を半導体多層膜としたタンデム型の薄膜Si太陽電池を例にとって説明すると、逆接合部はa−Si:H(n)とμc−Si:H(p)とが接触する領域に発生する。ところでこの逆接合部においてはその接合特性はトンネル接合特性であることが要求される(ここで「トンネル接合特性」とは、本来のトンネル接合の特性だけでなく、トンネル接合が示す特性に準じた接合特性を有する接合も含めた接合の特性と定義する:実際には純粋なトンネル接合ではなくとも、品質の悪い(つまり再結合が生じやすい)接合であれば充分である場合があるからである)。つまり太陽電池として問題なく使える電圧範囲において該逆接合は良好なオーミック性と同等な接合特性を示す必要があるのである(さもなければ該逆接合部でキャリアの再結合が不充分となり(該逆接合部で電流の流れが律速され)素子特性が低下してしまうからである)。
【0010】
なお該逆接合部の材料の組み合わせとしては、前記したa−Si:H(n)/μc−Si:H(p)以外にも、a−Si:H(n)/a−Si:H(p)、μc−Si:H(n)/μc−Si:H(p)、μc−Si:H(n)/a−Si:H(p)などの組み合わせがありえ、製膜条件を調節することによってそのいずれも実現可能である。なお上記とは逆順のnip型を用いた場合についても上述した議論の本質には変わりがない。
【0011】
さてこのトンネル接合特性を有した逆接合部であるが、この部分はトンネル接合特性を実現するために非常に高い不純物濃度(通常1×1018/cm3以上)となっている。従ってキャリア濃度も非常に高くなっている。そのため逆接合部の接合面方向(層厚方向を縦方向とした場合の横方向)には非常に電流が流れやすい状態となっている。つまりタンデム型(を含む多接合型)においては、従来の集積化構造をそのまま採用すると、該逆接合部が接続溝までつながる形となるので該逆接合部が横方向リークパスとして働き、表電極と該逆接合部、および裏電極と該逆接合部が短絡してしまう(つまりトップセル、およびボトムセルがそれぞれ短絡状態となってしまう)問題が発生するのである。この問題状況を図4及び図5に示す。図4及び図5に示された集積化構造を有した光電変換装置は、図2及び図3における半導体多層膜を第1の半導体接合層と第2の半導体接合層とで構成した場合の例である。ここで204a及び303aはトップセルたる第1の半導体接合層、204b及び303bはボトムセルたる第2の半導体接合層を示し、他の符号は図2及び図3と同じである。問題の逆接合部は第1の半導体接合層204a(303a)と第2の半導体接合層204b(303b)の間に形成される。
【0012】
この問題は、例えばトップセルとボトムセル間に逆接合を形成する代わりに薄い金属層や透明導電膜層を導電性中間層として介在させてトップセルとボトムセルとをオーミックコンタクトさせる場合でも同様に生じる。この場合は、薄い金属層、あるいは透明導電膜層が横方向のリークパスとなるからである。
【0013】
この問題については、例えば接続溝壁面を接続溝形成中に酸化する方法が従来から知られている(特許文献3を参照)。しかしながらこの方法では酸化膜などの絶縁膜を別途形成する方法に比べて信頼性の高いリーク防止は非常に難しく、また中間層に金属酸化物などの透明導電膜を用いる場合には対象物が既に酸化物であるのでその高抵抗化は非常に困難であり、より信頼性の高い完全なリーク防止対策が必要とされていた(なお前記特許文献3における集積化プロセスは従来型のもので素子・加工分離型ではない)。
【0014】
なお、素子・加工分離型のその他の先行出願として、例えば、特許文献4,5,6が挙げられるが、いずれも基板とは反対方向からの膜面から光入射させるサブストレート型についてのものであり、また前記特許文献4における直列接続構造は必ずしも信頼性の高いものではなくまた精度的に容易なものでもなく、前記特許文献5,6では接続溝と光発電領域を形成する半導体層とは電気的な分離がなされていない。
【0015】
〔特許文献1〕
特公平5−82993号公報
〔特許文献2〕
特開平3−250771号公報
〔特許文献3〕
特公平7−114292号公報
〔特許文献4〕
特開平9−266320号公報
〔特許文献5〕
特開2000−252508号公報
〔特許文献6〕
特開2001−7359号公報
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、素子・加工分離プロセスのメリットを生かしつつ、パターニング工程の精度的簡易化が図れ(従って低コスト化が図れ)、かつ半導体多層膜中に逆接合部や導電性中間層が存在しても横方向リークが防止できる光電変換装置の集積化構造および製法を実現するものである。
【0017】
すなわち本発明の光電変換装置は、透光性基板上に、表電極、少なくとも1つ以上の半導体接合を有する半導体多層膜、裏電極がこの順で形成された複数の半導体素子が、導電性材料によって隣接する半導体素子間で直列接続された集積化構造を有した光電変換装置において、前記複数の半導体素子は、裏電極から表電極まで分離する第1の分離溝によって互いに分離されており、前記複数の半導体素子は、それぞれ、裏電極から半導体多層膜まで分離する第2の分離溝によって第1の領域と第2の領域に分離されており、前記複数の半導体素子の隣接する素子間の直列接続は、一方の半導体素子の前記第1の領域内における裏電極と、前記一方の半導体素子と隣接する他方の半導体素子の第2の領域内における表電極とが、導電性材料によって接続されることで実現されていることを特徴とする。
【0018】
また、前記半導体素子は絶縁膜によって覆われており、前記一方の半導体素子の裏電極と前記他方の半導体素子の表電極との前記導電性材料による接続は、前記一方の半導体素子の前記第1の領域内における前記絶縁膜に形成された第1の接続口と、前記一方の半導体素子と隣接する他方の半導体素子の第2の領域内に設けられ、前記絶縁膜、前記裏電極及び前記半導体多層膜を貫通して前記表電極に達する接続溝によって形成された第2の接続口を介して実現されており、前記第1の分離溝及び前記第2の分離溝は、前記絶縁膜で覆われていることを特徴とする。
【0019】
また、前記半導体膜中に半導体接合層が複数あり、且つ少なくとも1つの半導体接合層間に金属層もしくは透明導電層が介在していることを特徴とする。
【0020】
また、前記金属層は、シリコンを含有した合金材料から成ることを特徴とする。
【0021】
また、前記透明導電層は、インジウム酸化物、インジウム−スズ酸化物、スズ酸化物、及び亜鉛酸化物のうちの少なくとも1種を含む金属酸化物から成ることを特徴とする。
【0022】
また、前記絶縁膜は、シリコン酸化物、シリコン炭化物、及びシリコン窒化物のうち少なくとも1種を含む材料から成ることを特徴とする。
【0023】
また、前記絶縁膜は、金属酸化物及び金属窒化物のうち少なくともいずれかを含む材料からなっていることを特徴とする。
【0024】
また、前記絶縁膜は、ダイヤモンド及びダイヤモンドライクカーボンのうち少なくともいずれかを含む材料から成ることを特徴とする。
【0025】
また、前記絶縁膜は樹脂材料から成ることを特徴とする。
【0026】
また、前記導電性材料は、金属膜、金属線、金属箔、及び導電性ペーストのうち少なくとも1種であることを特徴とする。
【0027】
本発明の製造方法は、透光性基板上に、表電極、少なくとも1つ以上の半導体接合を有した半導体多層膜、及び裏電極を順次積層して第1の積層体を形成する第1の工程と、第1の分離溝によって前記第1の積層体を複数の素子に分離する第2の工程と、第2の分離溝によって前記複数の素子それぞれを構成する表電極、半導体多層膜及び裏電極のうち、半導体多層膜と裏電極とからなる積層体部分を少なくとも接続領域と発電領域の2つの領域に分離する第3の工程と、少なくとも前記裏電極、前記第1の分離溝及び前記第2の分離溝が存在する領域が覆われるように絶縁膜を積層形成する第4の工程と、前記発電領域に絶縁膜を貫通して裏電極に到達する第1の接続口を形成する第5の工程と、前記接続領域に対して前記表電極に到達する接続溝からなる第2の接続口を形成する第6の工程と、分離された一方の素子における前記第1の接続口に位置した裏電極と、前記第1の分離溝によって分離された前記一方の素子と隣接する他方の素子における前記第2の接続口に位置した表電極とを導電性材料によって電気的に接続させ、この接続構造をさらに隣接する素子に対しても順次繰り返すことで、前記複数の素子を直列に接続させる第7の工程からなることを特徴とする。
【0028】
また、前記第1分離溝及び前記第2分離の少なくとも一方が、レーザースクライブ法もしくはエッチング法で形成されることを特徴とする。
【0029】
また、前記第1接続口は、マスクパターニング法もしくはレーザースクライブ法により形成されることを特徴とする。
【0030】
また、前記第7の工程は、金属膜形成方法と、マスクパターニング法もしくはエッチング法とを組み合わせて行うことを特徴とする。
【0031】
また、前記第7の工程の導電性材料として、金属膜、金属線、金属箔、及び導電ペーストのうち少なくとも1種を用いることを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光電変換装置の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0033】
<光電変換装置の構成>
図1は、タンデム型の薄膜Si(シリコン)太陽電池素子に対して本発明を適用した一例をそのプロセスとともに示したものである。ここで図中の、101は透光性基板、102は表電極、103は半導体多層膜、103aは第1の半導体接合層、103bは第2の半導体接合層、104は裏電極、105は第1の分離溝、106は第2の分離溝、107は絶縁膜、108は第1の接続口、109は接続口ならびに第2の接続口、110は導電性材料、111は第3の分離溝である。
【0034】
本発明の光電変換装置は、図1(e)に示すように、透光性基板101上に、表電極102、少なくとも1つ以上の半導体接合(103a、103b)を有する半導体多層膜103、裏電極104がこの順で形成された複数の半導体素子が、導電性材料110によって隣接する半導体素子間で直列接続された集積化構造を有しており、これら複数の半導体素子は、裏電極104から表電極102まで分離する第1の分離溝105によって互いに分離されており、これら複数の半導体素子は、それぞれ、裏電極104から半導体多層膜103まで分離する第2の分離溝106によって第1の領域と第2の領域に分離されており、これら複数の半導体素子の隣接する素子間の直列接続は、一方の半導体素子の第1の領域内における裏電極104と、一方の半導体素子と隣接する他方の半導体素子の第2の領域内における表電極102とが、導電性材料110によって接続されることで実現されている。
【0035】
さらに、半導体素子は絶縁膜107によって覆われており、一方の半導体素子の裏電極104と他方の半導体素子の表電極102との導電性材料110による接続は、一方の半導体素子の第1の領域内における絶縁膜107に形成された第1の接続口108と、一方の半導体素子と隣接する他方の半導体素子の第2の領域内に設けられ、絶縁膜107、裏電極104及び半導体多層膜103を貫通して表電極102に達する接続溝によって形成された第2の接続口109を介して実現されており、第1の分離溝105及び第2の分離溝106は、絶縁膜107で覆われている。
【0036】
<光電変換装置の製造方法>
このように構成された光電変換装置は以下の工程により製造される。すなわち、透光性基板101上に、表電極102、少なくとも1つ以上の半導体接合を有した半導体多層膜103、及び裏電極104を順次積層して第1の積層体を形成する第1の工程と、第1の分離溝によって第1の積層体を複数の素子に分離する第2の工程と、第2の分離溝によって複数の素子それぞれを構成する表電極102、半導体多層膜103及び裏電極104のうち、半導体多層膜103と裏電極104とからなる積層体部分を少なくとも接続領域と発電領域の2つの領域に分離する第3の工程と、少なくとも裏電極104、第1の分離溝105及び第2の分離溝106が存在する領域が覆われるように絶縁膜107を積層形成する第4の工程と、前記発電領域に絶縁膜107を貫通して裏電極104に到達する第1の接続口108を形成する第5の工程と、前記接続領域に対して表電極102に到達する接続溝からなる第2の接続口109を形成する第6の工程と、分離された一方の素子における前記第1の接続口109に位置した裏電極104と、第1の分離溝105によって分離された一方の素子と隣接する他方の素子における第2の接続口109に位置した表電極102とを導電性材料110によって電気的に接続させ、この接続構造をさらに隣接する素子に対しても順次繰り返すことで、複数の素子を直列に接続させる第7の工程からなる。
【0037】
次に、本発明の具体的な製造方法について説明する。
【0038】
<素子形成(図1(a)を参照)>
まず透光性基板101を用意する。ここで透光性基板101としては、ガラス、プラスチック、樹脂などを材料とした板材あるいはフィルム材を用いることができる。
【0039】
次に、透光性基板101上に表電極102を形成する。表電極102としては、公知の酸化物透明導電膜を用いることができる。具体的には、スズ酸化物であるSnO2、インジウム−スズ酸化物であるITO、亜鉛酸化物であるZnOなど材料を用いることができる。なお、該透明導電膜は、後に該膜上にSi膜を形成するときに、SiH4とH2を使用することに起因した活性水素ガス雰囲気に曝されることになるので、耐還元性に優れるZnO膜を少なくとも最終表面として形成するのが望ましい。製膜方法としては、CVD法、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、スプレー法、及びゾルゲル法など公知の技術を用いることができる。該透明導電膜の膜厚は、反射防止効果と低抵抗化を考慮して60〜600nm程度の範囲で調節する。低抵抗化の目安としてはシート抵抗を約10Ω/□程度以下とするのが望ましい。
【0040】
次に、半導体多層膜103を形成する。半導体多層膜103は第1の半導体接合層103aと第2の半導体接合層103bからなる。
【0041】
まず、前記表電極102上に第1の半導体接合層103aを形成する。半導体接合層103aは、p型層、i型層、n型層が順次積層されたpin接合からなる(不図示)。製法としては公知のPECVD法やCat−CVD法の他に、本発明者らが既に特願2000−130858号、特願2001−293031号、および特願2002−38686号などにおいて開示しているCat−PECVD法を用いることができる。
【0042】
ここで、p型層については、水素化アモルファスシリコン膜や微結晶シリコン相を含む結晶質シリコン膜を用いることができる。膜厚は前記材料に応じて2〜100nm程度の範囲で調節する。ドーピング元素濃度については1×1018〜1×1021/cm3程度として、実質的にはp+型とする。なお製膜時に用いるSiH4、H2およびドーピング用ガスであるB2H6などのガスに加えてCH4などのC(炭素)を含むガスを適量混合すればSixC1−x膜が得られ、光吸収ロスの少ない窓層形成に非常に有効であるとともに、開放電圧向上のための暗電流成分低減にも有効である。また、C以外にもO(酸素)を含むガスやN(窒素)を含むガスを適量混合させることでも同様な効果を得ることができる。
【0043】
また、光活性層であるi型層については、水素化アモルファスシリコン膜を用い、膜厚は0.1〜0.5μm程度の範囲で調節する。実際にはノンドープ膜はわずかにn型特性を示すのが通例であるので、この場合はp型化ドープ元素をわずかに含ませて実質的にi型となるように調整することができる。なお、内部電界強度分布の微調整を目的に、n−型あるいはp−型とする場合もある。
【0044】
また、n型層については、水素化アモルファスシリコン膜や微結晶シリコン相を含む結晶質シリコン膜を用いることができる。膜厚は材料に応じて2〜100nm程度の範囲で調節する。ドーピング元素濃度については1×1018〜1021/cm3程度として、実質的にはn+型とする。なお製膜時に用いるSiH4、H2、およびドーピング用ガスであるPH3などのガスに加えてCH4などのC(炭素)を含むガスを適量混合すればSixC1−x膜が得られ、光吸収ロスの少ない膜形成ができるとともに、開放電圧向上のための暗電流成分の低減にも有効である。また、C以外にもO(酸素)を含むガスやN(窒素)を含むガスを適量混合させることでも同様な効果を得ることができる。
【0045】
また、接合特性をより改善するために、前記p型層と光活性層との間や光活性層とn型層との間に実質的にi型の非単結晶Si層や非単結晶SixC1−x層を挿入してもよい。このときの挿入層の厚さは0.5〜50nm程度とする。
【0046】
ここで、第1の半導体接合層103aと次に述べる第2の半導体接合層103bとの接合部において良好なトンネル接合特性を実現するためには(つまりオーミックコンタクト的な電気的接続特性を実現するためには)、前記第1の半導体接合層103aに含まれるn型層と後記第2の半導体接合層103bに含まれるp型層において、少なくとも両者が接する部分では結晶化率を高めておくことが望ましい。
【0047】
また、第1の半導体接合層103aと第2の半導体接合層103bの間のオーミックコンタクト的な電気的接続特性を実現させるためには、透明導電膜や薄い金属層あるいは薄いシリサイド層(シリコンと金属の合金層)を導電性中間層として挿入する方法も用いることができる。ここで透明導電膜としては、スズ酸化物であるSnO2、インジウム−スズ酸化物であるITO、亜鉛酸化物であるZnOなどを用いることができる。ここで透明導電膜を用いる場合は、該透明導電膜の存在によって光学的効果(反射及び透過特性)をも導入することができるので高効率化の点で非常に優れている。すなわち、該透明導電膜厚を調整することによって、短波長光は該透明導電膜で反射させて第1の半導体接合層103aに優先的に再入射させ、また長波長光は反射防止効果と同じ原理によって第2の半導体接合層103bに優先的に閉じ込めることができ、光エネルギーのより効率的な光電変換が可能となるのである。またシリサイド層を用いる場合は、第1の半導体接合層103aと第2の半導体接合層103bの間のオーミックコンタクトをより確実かつ簡便に歩留まりよく実現できる効果を期待できる。
【0048】
次に、前記第1の半導体接合層103a上に、第2の半導体接合層103bを形成する。半導体接合層103bは、p型層、i型層、n型層が順次積層されたpin接合からなる(不図示)。製法としては公知のPECVD法やCat−CVD法の他に、本発明者らが既に特願2000−130858号、特願2001−293031号、および特願2002−38686号などにおいて開示しているCat−PECVD法を用いることができる。
【0049】
ここで、p型層については、水素化アモルファスシリコン膜や微結晶シリコン相を含む結晶質シリコン膜を用いることができる。膜厚は材料に応じて2〜100nm程度の範囲で調節する。ドーピング元素濃度については1×1018〜11021/cm3程度として、実質的にはp+型とする。なお、製膜時に用いるSiH4、H2、およびドーピング用ガスであるB2H6などのガスに加えてCH4などのC(炭素)を含むガスを適量混合すればSixC1−x膜が得られ、光吸収ロスの少ない窓層形成に非常に有効であるとともに、開放電圧向上のための暗電流成分低減にも有効である。また、C以外にもO(酸素)を含むガスやN(窒素)を含むガスを適量混合させることでも同様な効果を得ることができる。
【0050】
また、光活性層であるi型層については、微結晶シリコン膜に代表される結晶質シリコン膜を用い、膜厚は1〜3μm程度の範囲で調節する。実際にはノンドープ膜はわずかにn型特性を示すのが通例であるので、この場合はp型化ドープ元素をわずかに含ませて実質的にi型となるように調整することができる。なお、内部電界強度分布の微調整を目的に、n−型あるいはp−型とする場合もある。このとき、膜構造としては、結晶面のうち(110)面が優先的に成長した結果として生ずる(110)面配向の柱状結晶粒の集合体として製膜後の表面形状が光閉じ込めに適した自生的な凹凸構造となるようにするのが望ましい。
【0051】
また、n型層については、水素化アモルファスシリコン膜や微結晶シリコン相を含む結晶質シリコン膜を用いることができる。膜厚は材料に応じて2〜100nm程度の範囲で調節する。ドーピング元素濃度については1×1018〜1021/cm3程度として、実質的にはn+型とする。なお製膜時に用いるSiH4、H2、およびドーピング用ガスであるPH3などのガスに加えてCH4などのC(炭素)を含むガスを適量混合すればSixC1−x膜が得られ、光吸収ロスの少ない膜形成ができるとともに、開放電圧向上のための暗電流成分の低減にも有効である。また、C以外にもO(酸素)を含むガスやN(窒素)を含むガスを適量混合させることでも同様な効果を得ることができる。
【0052】
なお、接合特性をより改善するために前記p型層と光活性層の間や光活性層とn型層の間に実質的にi型の非単結晶Si層を挿入してもよい。このときの挿入層の厚さは0.5〜50nm程度とする。
【0053】
次に、裏電極104として、金属膜を形成する。この金属膜材料としては、導電特性および光反射特性に優れるAl(アルミニウム)、Ag(銀)などを用いるのが望ましい。製膜方法としては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、スクリーン印刷法などの公知の技術を使用できる。このとき膜厚は、0.1μm程度以上とする。なお、該裏電極104は、半導体層に接する面側から透明導電膜/金属膜の順に積層された構造とすることがより好ましい。このように半導体層と金属膜の間に透明導電膜を挿入することによって、金属膜成分が半導体層中に拡散して素子特性を劣化させる現象を抑えることができる。また該透明導電膜形成表面に適当な凹凸構造をもたせれば光が有効に散乱されるようになるので太陽電池の効率向上に有効な光閉じ込め効果を増進させることができる。ここで該透明導電膜材料としては、上述したようにSnO2、ITO、ZnOなどを用いることができ、製膜方法としては、CVD法、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、スプレー法、およびゾルゲル法など公知の技術を用いることができる。
【0054】
以上、図1(a)の工程では、表電極102形成から裏電極104形成までの間に何らの膜加工もなされないので、加工に伴うゴミの発生、洗浄にともなう洗浄不良や残渣付着の恐れが全く無い素子形成が可能となり、高い素子特性と、高い素子歩留まりを実現することができる。
【0055】
<第1分離溝及び第2分離溝の形成(図1(b)を参照)>
図1(a)で素子形成まで終えた後、第1の分離溝と第2の分離溝を形成するが、第1の分離溝形成と第2の分離溝形成の順序に拘る必要はない。
【0056】
第1の分離溝は、裏電極104、半導体多層膜103、表電極102を貫通し、透光性基板101が露出するようにレーザー加工法で形成する。このときレーザーとしては、例えばYAGの基本波(波長1.06μm)を用い、パワーは堆積膜の厚さによって調節する。例えば表電極102としてSnO2を500nm、半導体多層膜103として前記したSi系膜を層厚2〜3μm程度、裏電極104としてAgを0.2μmとした場合、レーザーパワーは加工点において2〜4W程度の範囲で調節すればよい。なお加工幅については50〜100μm程度にする。またレーザー照射方向はガラス面側とし、ガラス面側が重力的に上側になるようにして、レーザー加工時に発生するアブレーション屑がデバイス表面に付着しにくくすることが望ましい(これは以下に述べるいずれのレーザー加工工程においても適用されることが望ましい)。以上によって透光性基板上に複数の電気的に分離された素子領域が形成される。
【0057】
第2の分離溝も基本的には第1の分離溝と同様の工程となるが、表電極102が露出された状態で貫通穴深さを止めるために、用いるレーザー波長は第2高調波(0.53μm)とし、パワーは0.1〜0.5W程度の範囲で調節する。こうすることで表電極102は残しつつ、半導体多層膜103及び裏電極104を優先的・選択的に除去することができる。以上によって前記それぞれの素子領域は第1の領域と第2の領域に分離分割される。
【0058】
ここで、第2の分離溝は半導体多層膜を完全に除去する条件範囲で行えるので、従来例のように半導体多層膜の途中で止めるようなレーザー加工条件調整を行う必要がなく、歩留まりのよい加工工程とすることができる。
【0059】
また、この第2の分離溝106が半導体多層膜を完全に除去することによって、後に述べる接続溝/第2の接続口に形成される導電性材料110と光発電領域の半導体多層膜とは完全に絶縁分離されることになるので、従来技術の課題の部分で述べたような、半導体多層膜中に逆接合部あるいは導電性中間層が存在しそれが接続溝の導電材料と接触することによってリークが発生するという問題は完全に回避することができる。
【0060】
なお、前記第1の分離溝と第2の分離溝形成には、エッチング法を用いることもできるが、簡便かつ低コスト加工作業を実現できるレーザー加工工程を用いる方が望ましい。
【0061】
<絶縁膜形成及び第1の接続口形成(図1(c)を参照)>
図1(b)まで終えた後、絶縁膜107形成と第1の接続口108の形成を行う。
【0062】
絶縁膜107としては、シリコン酸化物である酸化シリコン膜、シリコン窒化物である窒化シリコン膜、シリコン炭化物である炭化シリコンの他に、酸化チタン膜、窒化チタン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化タンタル、などの金属の酸化物や窒化物、またダイヤモンドやダイヤモンドライクカーボンといった炭素膜といった無機絶縁膜や、樹脂などの有機絶縁膜を用いることができる。特に、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜を該絶縁膜に用いた場合は、単なる機械的保護膜としてだけでなく、電気的パッシベーション効果をも期待することができる。また、金属の酸化物や窒化物を該絶縁膜に用いた場合は、特に耐食性に優れた絶縁保護膜を形成することができる。またダイヤモンドやダイヤモンドライクカーボンを該絶縁膜に用いた場合は特に耐熱性に優れた絶縁保護膜を形成することができる。ここで無機絶縁膜の製法としては、スパッタ法、熱CVD法、PECVD法、反応性蒸着法、反応性イオンプレーティング法などを用いることができる。有機絶縁膜の製法としては、プリント法、スプレーコート法などを用いることができる。
【0063】
第1の接続口108は、前記絶縁膜107形成前に所定のパターンのマスクを接続口形成位置に設置しておいて、前記絶縁膜107形成後にマスクを除去することで形成することもできるし、該マスク無しに前記絶縁膜107を形成した後に、追加工によって形成することもできる。追加工法としてはレーザー加工法の他にメカニカルスクライブ法、ウエットあるいはドライエッチング法などを用いることができるが、その加工深さに非常な精度を要するので、前者のマスクパターニング法で行うことが望ましい。
【0064】
本発明の利点のひとつとして、該マスクの位置合わせにそれほどの精度を要しないということが挙げられる。つまり第1の接続口108は該接続口108から裏電極104が露出していればよいのであって、該接続口108の横方向の位置ズレ許容範囲は裏電極104の幅(5〜20mm程度)程度にあるからである(前記したレーザー加工位置については10μmオーダーの位置精度が要求されるのに対して、該マスク位置合わせ位置についてはmmオーダーの位置精度があればよいのである)。
【0065】
以上によって該工程の低コスト化を実現することができる。
【0066】
<接続溝/第2の接続口形成(図1(d)を参照)>
図1(c)まで終えた後、接続溝/第2の接続口109を形成する。
【0067】
接続溝/第2の接続口109は、絶縁膜107が無機絶縁膜である場合は、基本的には前記第2の分離溝106形成条件とほぼ同一条件で形成でき、絶縁膜の厚さに応じてレーザーパワーを調整すればよい。必要であれば低パワーの基本波で絶縁膜を優先して溝加工した後に、第2高調波で残りの膜を除去してもよい。ここで接続溝/第2の接続口109は、表電極102が露出すればその機能を果たしうるのであって、必ずしも連続した溝状である必要はなく、複数の貫通穴で構成してももちろんよい。
【0068】
<導電性材料による直列接続形成及び第3の分離溝形成(図1(e)を参照)>図1(d)まで終えた後、導電性材料110による直列接続形成と第3の分離溝111の形成を行う。
【0069】
導電性材料110としては、金属膜、金属線や金属箔、導電性樹脂、などを用いることができる。
【0070】
金属膜を用いる場合は、Ag、Al、Cu(銅)、などの抵抗率の低い材料を用いることが望ましい。製法としてはスパッタ法、MOCVD法、蒸着法、イオンプレーティング法などの公知の技術を用いることができる。ここで第3の分離溝111は、該金属膜を形成する前に所定の位置にマスクを設置しておき、該金属膜形成後に除去すれば形成することができる。また該金属膜と表電極102あるいは裏電極104との接着強度を高めるためには、該金属膜と表電極102あるいは裏電極104との間に接着強化層を挿入することができる。該接着強化層としては、例えばTi、Cr、Niなどを含んだ金属材料や、SnO2、ITO、ZnOといった導電性酸化物材料などを用いることができ、製法としてはスパッタ法、MOCVD法、蒸着法、イオンプレーティング法などの公知の技術を用いることができる。
【0071】
ここで本発明の利点のひとつとして、該マスクの幅サイズ、位置精度の許容範囲が広いということが挙げられる。つまり前記金属膜を分離する第3の分離溝111の幅サイズと位置は、接続溝/第2の接続口と第1の接続口の間のいずれかの位置で形成すればよく、第1の接続口108の位置を裏電極104内で適当に工夫すれば、第3の分離溝111の幅サイズと位置ズレの許容範囲はmmオーダーにできるのである。
【0072】
金属線や金属箔を用いる場合は、半田材や導電ペースト材を介在物にして第1の接続口に露出した裏電極104と第2の接続口に露出した表電極102とを電気的に接続する。
【0073】
導電性樹脂を用いる場合は、スクリーン印刷法を用いて所定のパターンに形成すれば、第3の分離溝111も同時に形成することができる。
【0074】
以上によって該工程の低コスト化を実現することができる。
【0075】
以上、本発明によれば、光電変換装置の集積化構造の形成において、高い特性、高い歩留まり、及び低コスト化を実現することができる。
【0076】
<一般化>
ここでは本発明の実施形態をタンデム型薄膜Si太陽電池を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の目的を逸脱しない限り任意の形態とすることができる。
【0077】
すなわち、本発明は、2つの半導体接合層からなり逆接合部あるいは中間導電層がひとつ存在するタンデム型に限定されることなく、逆接合部あるいは中間導電層が2つ以上存在する多接合型の太陽電池にも適用できる。
【0078】
また、本発明は、Si系半導体に限定されることなく、化合物系や有機物系の半導体を用いた場合にも適用できる。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、光電変換装置の集積化にあたり、素子・加工分離工程を用いるので、加工工程で発生する異物や洗浄工程で発生する付着物が膜中に混入されることがなく、膜縦方向リークが防止される。
【0080】
また、接続溝と光電変換部分の半導体多層膜とは電気的に完全に分離されているので、該半導体多層膜中に逆接合や導電性中間層が存在しても、これらに起因した横方向リークが防止される。
【0081】
またマスクパターニング加工工程に要求される精度を緩くすることができるので、低コスト化工程を実現することができる。
【0082】
特に、請求項3、4、5によれば、より確実・簡便・高歩留まりなオーミックコンタクトの形成や、より効率的な光エネルギーの分配による高効率化を実現することができる。
【0083】
また、請求項6のうちシリコン酸化物あるいはシリコン窒化物によれば、電気的パッシベーション効果をも期待できる非常に優れた絶縁保護膜を形成することができる。
【0084】
また、請求項7によれば、特に耐食性に優れた絶縁保護膜を形成することができる。
【0085】
また、請求項8によれば、耐熱性に優れた絶縁保護膜を形成することができる。
【0086】
また、請求項10のうち金属膜や導電ペーストによれば、非常に簡便かつ低コストに直列接続を実現することができる。
【0087】
また、請求項12のうちレーザースクライブ法によれば、非常に簡便かつ低コストに加工作業を行うことができる。
【0088】
また、請求項13のうちマスクパターニング法によれば、より簡便かつ低コストな工程とすることができる。
【0089】
また、請求項14のうちマスクパターニング法を用いれば、より簡便かつ低コストな工程とすることができる。
【0090】
さらに、請求項15のうち金属膜あるいは導電ペーストによれば、非常に簡便かつ低コストに直列接続を実現することができる。
【0091】
以上により、光電変換装置の集積化構造において、高い特性、高い歩留まり、低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)はそれぞれ本発明に係る光電変換装置の集積化構造とその製造工程を説明する断面図である。太陽電池の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)はそれぞれ従来の光電変換装置の集積化構造とその製造工程を説明する断面図である。
【図3】(a)〜(d)はそれぞれ従来の光電変換装置の集積化構造とその製造工程を説明する断面図である。
【図4】従来のタンデム型素子に従来の集積化構造を適用した一例を説明する断面図である。
【図5】従来のタンデム型素子に従来の集積化構造を適用した他の例を説明する断面図である。
【符号の説明】
101:透光性基板
102:表電極
103:半導体多層膜
103a:第1の半導体接合層
103b:第2の半導体接合層
104:裏電極
105:第1の分離溝
106:第2の分離溝
107:絶縁膜
108:第1の接続口
109:接続溝/第2の接続口
110:導電性材料
111:第3の分離溝
Claims (15)
- 透光性基板上に、表電極、少なくとも1つ以上の半導体接合を有する半導体多層膜、裏電極がこの順で形成された複数の半導体素子が、導電性材料によって隣接する半導体素子間で直列接続された集積化構造を有した光電変換装置において、前記複数の半導体素子は、裏電極から表電極まで分離する第1の分離溝によって互いに分離されており、前記複数の半導体素子のそれぞれは、裏電極から半導体多層膜まで分離する第2の分離溝によって第1の領域と第2の領域に分離されており、前記複数の半導体素子の隣接する素子間の直列接続は、一方の半導体素子の前記第1の領域内における裏電極と、前記一方の半導体素子と隣接する他方の半導体素子の第2の領域内における表電極とが、導電性材料によって接続されることで実現されていることを特徴とする光電変換装置。
- 前記半導体素子は絶縁膜によって覆われており、前記一方の半導体素子の裏電極と前記他方の半導体素子の表電極との前記導電性材料による接続は、前記一方の半導体素子の前記第1の領域内における前記絶縁膜に形成された第1の接続口と、前記一方の半導体素子と隣接する他方の半導体素子の第2の領域内に設けられ、前記絶縁膜、前記裏電極及び前記半導体多層膜を貫通して前記表電極に達する接続溝によって形成された第2の接続口を介して実現されており、前記第1の分離溝及び前記第2の分離溝は、前記絶縁膜で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
- 前記半導体膜中に半導体接合層が複数あり、且つ少なくとも1つの半導体接合層間に金属層もしくは透明導電層が介在していることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
- 前記金属層は、シリコンを含有した合金材料から成ることを特徴とする請求項3に記載の光電変換装置。
- 前記透明導電層は、インジウム酸化物、インジウム−スズ酸化物、スズ酸化物、及び亜鉛酸化物のうちの少なくとも1種を含む金属酸化物から成ることを特徴とする請求項3に記載の光電変換装置。
- 前記絶縁膜は、シリコン酸化物、シリコン炭化物、及びシリコン窒化物のうち少なくとも1種を含む材料から成ることを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
- 前記絶縁膜は、金属酸化物及び金属窒化物のうち少なくともいずれかを含む材料からなっていることを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
- 前記絶縁膜は、ダイヤモンド及びダイヤモンドライクカーボンのうち少なくともいずれかを含む材料から成ることを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
- 前記絶縁膜は樹脂材料から成ることを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
- 前記導電性材料は、金属膜、金属線、金属箔、及び導電性ペーストのうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換装置。
- 透光性基板上に、表電極、少なくとも1つ以上の半導体接合を有した半導体多層膜、及び裏電極を順次積層して第1の積層体を形成する第1の工程と、第1の分離溝によって前記第1の積層体を複数の素子に分離する第2の工程と、第2の分離溝によって前記複数の素子それぞれを構成する表電極、半導体多層膜及び裏電極のうち、半導体多層膜と裏電極とからなる積層体部分を少なくとも接続領域と発電領域の2つの領域に分離する第3の工程と、少なくとも前記裏電極、前記第1の分離溝及び前記第2の分離溝が存在する領域が覆われるように絶縁膜を積層形成する第4の工程と、前記発電領域に絶縁膜を貫通して裏電極に到達する第1の接続口を形成する第5の工程と、前記接続領域に対して前記表電極に到達する接続溝からなる第2の接続口を形成する第6の工程と、分離された一方の素子における前記第1の接続口に位置した裏電極と、前記第1の分離溝によって分離された前記一方の素子と隣接する他方の素子における前記第2の接続口に位置した表電極とを導電性材料によって電気的に接続させ、この接続構造をさらに隣接する素子に対しても順次繰り返すことで、前記複数の素子を直列に接続させる第7の工程からなることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
- 前記第1分離溝及び前記第2分離の少なくとも一方が、レーザースクライブ法もしくはエッチング法で形成されることを特徴とする請求項11に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記第1接続口は、マスクパターニング法もしくはレーザースクライブ法により形成されることを特徴とする請求項11に記載の集積化構造を有した光電変換装置の製造方法。
- 前記第7の工程は、金属膜形成方法と、マスクパターニング法もしくはエッチング法とを組み合わせて行うことを特徴とする請求項11に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記第7の工程の導電性材料として、金属膜、金属線、金属箔、及び導電ペーストのうち少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項11に記載の光電変換装置の製造方法。
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