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JP2004107762A - 蒸発源及びこれを用いた薄膜形成装置 - Google Patents

蒸発源及びこれを用いた薄膜形成装置 Download PDF

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根岸 敏夫
Hiroshi Kikuchi
菊地 博
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Abstract

【課題】均一な膜厚分布で長寿命の有機薄膜を形成可能な薄膜形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の薄膜形成装置は、基板に対して薄膜を形成するための真空槽内に、3つの細長の蒸発源3が平行に配設されている。各蒸発源3a、3b、3cには、細長の長方形形状の蒸発口33a、33b、33cが形成されている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、有機LED素子の発光層に用いられる有機薄膜を蒸着によって形成するための薄膜形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、フルカラーフラットパネルディスプレイ用の素子として、有機LED素子が注目されている。有機LED素子は、蛍光性有機化合物を電気的に励起して発光させる自発光型素子で、高輝度、高視野角、面発光、薄型で多色発光が可能であり、しかも数Vという低電圧の直流印加で発光する全固体素子で、かつ低温においてもその特性の変化が少ないという特徴を有している。
【0003】
図5は、従来の有機LED素子を作成するための真空蒸着装置の概略構成図である。
図5に示すように、この有機薄膜形成装置101にあっては、真空槽102の下部に一対の蒸発源103a、103bが配設されるとともに、この蒸発源103の上方に成膜対象物である基板104が配置されている。そして、蒸発源104から蒸発される有機材料の蒸気を、マスク105を介して基板104に蒸着させることによって所定パターンの有機薄膜を形成するようになっている(例えば特開平11−124667号公報参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−124667号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、マスクのピッチのファイン化に伴い、従来の技術では均一な膜厚分布を得ることが困難で、このため、画素の発光にむらが生ずるとともに、膜厚の薄い領域において電流が流れ過ぎることによって素子の劣化を引き起こし、これにより有機LED素子の寿命が制限されるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、均一な膜厚分布で長寿命の有機薄膜を形成可能な薄膜形成装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、所定の蒸発材料を収容可能な蒸発容器を有し、前記蒸発材料の蒸気が通過する細長形状の蒸発口が設けられていることを特徴とする蒸発源である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記蒸発容器が、前記蒸発口と同方向に延びる細長形状に形成されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2のいずれか一方記載の蒸発源を、所定の間隔をおいて複数個ほぼ平行に配列してなることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、所定の成膜対象物に対して薄膜を形成するための真空槽を有し、前記請求項1乃至3のいずれか1項記載の蒸発源が前記真空槽内に配設されていることを特徴とする薄膜形成装置である。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記蒸発源が、前記成膜対象物に対して相対的に移動するように構成されていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記蒸発源の前記成膜対象物に対する移動方向が、当該蒸発口の幅方向であることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項5又は6のいずれか1項記載の発明において、請求項3記載の複数個の蒸発源を備え、各蒸発源が一体的に移動するように構成されていることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項4乃至7のいずれか1項記載の発明において、前記成膜対象物と前記蒸発源との間の空間を仕切る仕切り部とを有し、前記仕切り部に、前記成膜対象物の蒸着領域を制限するためのアパーチャーが設けられ、該アパーチャーが、前記成膜対象物に対して相対的に移動するように構成されていることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記蒸発源が、前記アパーチャーとともに移動するように構成されていることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項8又は9のいずれか1項記載の発明において、前記アパーチャーの開口形状が細長形状であり、該アパーチャーが、前記蒸発源の蒸発口とほぼ平行に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の蒸発源にあっては、蒸発源に蒸発材料の蒸気が通過する細長形状の蒸発口が設けられていることから、例えば真空槽内において、成膜対象物に対して蒸発源を相対的に移動させることにより膜厚分布の均一化を図ることが可能になる。
【0009】
その結果、本発明によれば、有機LED素子の画素の発光むらを防止することができるとともに、長寿命化を図ることができる。
【0010】
また、本発明においては、蒸発源の蒸発容器を蒸発口と同方向に延びる細長形状に形成すれば、省スペースを図ることが可能になる。
【0011】
そして、このような蒸発源を所定の間隔をおいて複数個ほぼ平行に配列すれば、特に有機LED素子用の有機薄膜を形成するためのホスト材料及びドーパント材料用の蒸発源として好適なものとなる。
【0012】
本発明の薄膜形成装置によれば、上述した蒸発源が真空槽内に配設されていることから、均一な膜厚分布の成膜が可能になる。
【0013】
特に、蒸発源の蒸発口を細長形状とし、成膜対象物に対して蒸発源を幅方向に移動させるようにすることにより、より大型の成膜対象物に対して均一な膜厚分布の蒸着を行うことが可能になる。
【0014】
また、上記蒸発源を所定の間隔をおいて複数個ほぼ平行に配列するように構成すれば、特に有機LED素子用の有機薄膜を形成するためのホスト材料及びドーパント材料を用い場合に好適な薄膜形成装置が得られる。
【0015】
さらに、成膜対象物と蒸発源との間の空間を仕切る仕切り部に成膜対象物の蒸着領域を制限するためのアパーチャーを設けるようにすれば、、このアパーチャーから均一に流出する蒸着材料の蒸気が成膜対象物の表面に蒸着するようになるため、より膜厚分布の均一化を図ることが可能になる。
【0016】
この場合には、蒸発源とマスクの間の空間において、アパーチャー以外の部分は仕切り部によって仕切られているため、蒸発源からの熱がマスクに伝わりにくく、これによりマスクの変形に起因する蒸着領域のずれを防止することが可能になる。
【0017】
さらにまた、蒸発源をアパーチャーとともに移動させることにより、蒸発源とアパーチャーとの相対的な位置関係を調整することができ、これにより成膜対象物に対して斜め方向から入射する蒸着成分をカットすることができるため、より膜厚分布の均一化を図ることが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る薄膜形成装置の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る薄膜形成装置の好ましい実施の形態の正面側断面図、図2(a)は、同薄膜形成装置の側面側断面図、図2(b)は、同実施の形態の仕切り部の平面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態の薄膜形成装置1は、図示しない真空排気系に接続された真空槽2を有し、この真空槽2の下方には蒸発源3が配設されている。
【0020】
本実施の形態の場合、蒸発源3は、例えば3個の蒸発源3a、3b、3cから構成されている。
【0021】
各蒸発源3a、3b、3cは、それぞれ容器(蒸発容器)30を有し、これら容器30内に所定の有機蒸着材料40が収容されるようになっている。
【0022】
一方、真空槽2の上部には、基板ホルダー4が設けられ、この基板ホルダー4に、蒸着膜を形成すべき基板(成膜対象物)5が固定されている。そして、基板5の下方近傍にはマスク6が設けられている。
【0023】
本実施の形態の場合、マスク6には、基板5上に所定の薄膜を蒸着するための複数の素子パターン60が形成されている。
【0024】
図3(a)(b)に示すように、本実施の形態の場合、各蒸発源3a、3b、3cの容器30a、30b、30cは、それぞれ細長の長方体形状に形成され、各容器30a、30b、30cの上方近傍に設けたヒータ31、32によって有機蒸着材料40を加熱するように構成されている。
【0025】
ここで、上側のヒータ31a、31b、31cにはそれぞれ蒸発口33a、33b、33cが設けられ、これらの蒸発口33a、33b、33cを蒸発材料40a、40b、40cの蒸気が通過して基板5に向かうようになっている。
【0026】
本実施の形態の場合、各蒸発口33a、33b、33cは、細長の長方形形状に形成されている。
【0027】
この場合、各蒸発口33a、33b、33cの幅及び長さは特に限定されるものではないが、膜厚を均一にする観点からは、幅を各容器30a、30b、30cの幅より小さくし、長さを基板5の幅よりとすることが好ましく、より好ましい値は、幅が各容器30a、30b、30cの幅の1/5以上3/5以下、長さが基板5の幅の1.1以上1.5倍以下である。
【0028】
また、蒸発口33a、33b、33cの縦横比も特に限定されるものではないが、膜厚を均一にする観点からは、1:10以上とすることが好ましく、より好ましくは、1:20以上1:50以下である。
【0029】
なお、本実施の形態の場合は、各蒸発源3a、3b、3cが、その長手方向に関して平行となるように配設されている。
【0030】
そして、例えば3つの蒸発源蒸発源3a、3b、3cのうち、中央の蒸発源3aには、有機LEDを作成するためのホスト材料(例えばAlq)が収容され、他方、この蒸発源3aの両側に位置する蒸発源3b、3cには、ドーパント材料(例えばDCJTB、ルブレン)が収容されるようになっている。
【0031】
なお、各蒸発源3a、3b、3cの間には、コンタミネーションを防止するための仕切り部材34、35が配設されている。
【0032】
さらに、本実施の形態においては、真空槽2内における基板5と蒸発源3との間の空間を仕切る仕切り部7が設けられている。
【0033】
ここで、仕切り部7は、例えばアルミニウム(Al)等の材料からなるもので、上述した蒸発源3の上側部分を覆うように、所定の大きさの例えば長方体箱型形状に形成されている。
【0034】
また、この仕切り部7は、図示しない冷却水等を循環させることによって冷却するように構成されている。
【0035】
そして、図1及び図2(a)(b)に示すように、蒸発源3の鉛直上方で、仕切り部7の上部の中央部分に、細長いスリット形状のアパーチャー70が設けられている。
【0036】
図2(a)及び図4に示すように、このアパーチャー70は、各蒸発源3a、3b、3cの蒸発口33a、33b、33cとほぼ平行に設けられている。
【0037】
そして、アパーチャー70は、その長さが成膜対象となる基板5の幅より長くなるようにX方向の長さが設定されている。
【0038】
また、アパーチャー70の幅は、膜厚の均一の観点から、蒸発源3と基板5との間の距離より小さくすることが好ましく、より好ましくは、蒸発源3と基板5との間の距離の1/3以上2/3以下である。
【0039】
図1に示すように、本実施の形態においては、蒸発源3と仕切り部7が、例えば図示しないボールねじを用いて、共に同一方向に同期して移動するように構成されている。
【0040】
この場合、蒸発源3及び仕切り部7が移動する方向は、各蒸発源3a、3b、3c及びアパーチャー70の幅方向である。
【0041】
また、蒸発源3及び仕切り部7の移動範囲は、図1の2点鎖線で示すホームポジションからアパーチャー70が基板5の全面を横切るまでの範囲であり、例えば、成膜時には、この範囲を蒸発源3及び仕切り部7を1回往復させるようにする。
【0042】
ここで、図1の矢印は、仕切り部7のアパーチャー70の中心軸線の移動範囲を示すものである。
【0043】
なお、真空槽2内の基板5の近傍には、成膜速度を測定するための膜厚モニター(図示せず)が設けられている。
【0044】
以上述べたように本実施の形態によれば、各蒸発源3a、3b、3cに蒸発材料40a、40b、40cの蒸気が通過する細長形状の蒸発口33a、33b、33cが設けられていることから、基板5に対して蒸発源3a、3b、3cを相対的に移動させることにより膜厚分布の均一化を図ることが可能になる。
【0045】
その結果、本実施の形態によれば、有機LED素子の画素の発光むらを防止することができるとともに、長寿命化を図ることができる。
【0046】
さらに、本実施の形態においては、細長形状の蒸発容器蒸発源30a、30b、30cを有する蒸発源3a、3b、3cが所定の間隔をおいて複数個平行に配列されていることから、有機LED素子の有機薄膜用のホスト材料及びドーパント材料を用いる小型の薄膜形成装置1が得られる。
【0047】
さらにまた、本実施の形態によれば、基板5と蒸発源3との間の空間を仕切る仕切り部7に基板5の蒸着領域を制限するためのアパーチャー70が設けられており、このアパーチャー70から均一に流出する蒸着材料40の蒸気が基板5の表面に蒸着するようになるため、より膜厚分布の均一化を図ることができる。
【0048】
また、真空槽2内の蒸発源3とマスク6の間の空間において、アパーチャー70以外の部分は仕切り部7によって仕切られているため、蒸発源3からの熱がマスク6に伝わりにくく、これによりマスク6の変形に起因する蒸着領域のずれを防止することができる。
【0049】
さらに、本実施の形態においては、細長形状のアパーチャー70を幅方向に移動させることにより、大型の基板5を用いて複数のパターンの成膜を行う場合であっても、基板5の各蒸着領域について確実に膜厚分布の均一化を図ることができる。
【0050】
さらにまた、本実施の形態においては、蒸発源3をアパーチャー70とともに移動させることにより、蒸発源3とアパーチャー70との位置関係を固定して基板5に対し斜め方向から入射する蒸着成分をカットすることができるため、より膜厚分布の均一化を図ることができる。
【0051】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上述の実施の形態においては、蒸発源及び仕切り部を移動させてアパーチャーを移動させるようにしたが、本発明はこれに限られず、基板側を移動させるようにすることも可能である。
【0052】
また、上述の実施の形態においては、3個の蒸発源を平行に配設するようにしたが、2個又は4個以上の蒸発源を平行に配設することもでき、1個の蒸発源を配設することもできる。
【0053】
さらに、蒸発源の蒸発口の形状については、長方形形状のみならず、楕円形状とすることも可能である。
【0054】
さらにまた、アパーチャーの形状についても、細長形状のみならず、楕円形状、円形状、四角形状等にすることも可能である。ただし、膜厚分布を向上させる観点からは、上記実施の形態のように細長形状に形成することが好ましい。
【0055】
加えて、本発明は有機LED素子の有機薄膜を形成するための装置に限られず、種々の蒸着装置に適用することができる。ただし、本発明は有機材料を用いて有機LED素子の有機薄膜を形成する場合に特に有効なものである。
【0056】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、均一な膜厚分布の有機薄膜を形成しうるとともに、蒸発源からの熱の影響を防止しうる薄膜形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜形成装置の好ましい実施の形態の正面側断面図
【図2】(a):同薄膜形成装置の側面側断面図
(b):同実施の形態の仕切り部の平面図
【図3】(a):本実施の形態の蒸発源の構成を示す平面図
(b):同蒸発源の構成を示す正面断面図
【図4】蒸発源及びアパーチャーとマスクとの位置関係を示す説明図である。
【図5】従来の有機LED素子を作成するための真空蒸着装置の概略構成図
【符号の説明】
1…薄膜形成装置 2…真空槽2  3(3a、3b、3c)…蒸発源  5…基板(成膜対象物) 6…マスク 7…仕切り部 30(30a、30b、30c)…容器(蒸発容器)33(33a、33b、33c)…蒸発口 40(40a、40b、40c)…有機蒸発材料 70…アパーチャー

Claims (10)

  1. 所定の蒸発材料を収容可能な蒸発容器を有し、
    前記蒸発材料の蒸気が通過する細長形状の蒸発口が設けられていることを特徴とする蒸発源。
  2. 前記蒸発容器が、前記蒸発口と同方向に延びる細長形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の蒸発源。
  3. 請求項1又は2のいずれか一方記載の蒸発源を、所定の間隔をおいて複数個ほぼ平行に配列してなることを特徴とする蒸発源。
  4. 所定の成膜対象物に対して薄膜を形成するための真空槽を有し、 前記請求項1乃至3のいずれか1項記載の蒸発源が前記真空槽内に配設されていることを特徴とする薄膜形成装置。
  5. 前記蒸発源が、前記成膜対象物に対して相対的に移動するように構成されていることを特徴とする請求項4記載の薄膜形成装置。
  6. 前記蒸発源の前記成膜対象物に対する移動方向が、当該蒸発口の幅方向であることを特徴とする請求項5記載の薄膜形成装置。
  7. 請求項3記載の複数個の蒸発源を備え、各蒸発源が一体的に移動するように構成されていることを特徴とする請求項5又は6のいずれか1項記載の薄膜形成装置。
  8. 前記成膜対象物と前記蒸発源との間の空間を仕切る仕切り部とを有し、
    前記仕切り部に、前記成膜対象物の蒸着領域を制限するためのアパーチャーが設けられ、
    該アパーチャーが、前記成膜対象物に対して相対的に移動するように構成されていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項記載の薄膜形成装置。
  9. 前記蒸発源が、前記アパーチャーとともに移動するように構成されていることを特徴とする請求項8記載の薄膜形成装置。
  10. 前記アパーチャーの開口形状が細長形状であり、
    該アパーチャーが、前記蒸発源の蒸発口とほぼ平行に設けられていることを特徴とする請求項8又は9のいずれか1項記載の薄膜形成装置。
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