JP2004193040A - 自動車用灯火装置及び蛍光管光源 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車用灯火装置の配光を変更する際の応答性及び静粛性を向上することができる自動車用灯火装置及び蛍光管光源を提供することを目的とする。
【解決手段】陰極28をグランド(0v印加)し、制御電極32に所定の電圧を印加して、陽極26に0〜12v程度の電圧を印加することによってカーボンナノチューブ30の先端部から陽極26に向かって電子線Aが発生して、蛍光体34が励起されることによって可視光が発生する光源22に対して、光源22から放出される電子線に直交する方向の車幅方向に対向するように一対の電磁石38A、38Bを設ける。
【選択図】 図4
【解決手段】陰極28をグランド(0v印加)し、制御電極32に所定の電圧を印加して、陽極26に0〜12v程度の電圧を印加することによってカーボンナノチューブ30の先端部から陽極26に向かって電子線Aが発生して、蛍光体34が励起されることによって可視光が発生する光源22に対して、光源22から放出される電子線に直交する方向の車幅方向に対向するように一対の電磁石38A、38Bを設ける。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用灯火装置及び蛍光管光源にかかり、特に、ヘッドランプ等に代表される自動車用灯火装置及び蛍光管光源に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両には、夜間や暗闇等を走行する際の前方の視認性を向上させるために、ヘッドランプが配設されている。一般にヘッドランプは、車両の先端かつ左右に配設されており、車両前方の比較的広範囲を照射するようになっている。
【0003】
また、車両のヘッドランプ等の灯火装置に使用する光源は種々の光源が使用され、例えば、高温になったフィラメントの熱放射により発光する白熱電球、タングステンとハロゲンの化合・分解サイクルにより発光するハロゲンランプ、水銀アーク内で金属原子と沃素原子に解離し、金属原子が励起することによって発光するHID(High Intensity Discharge)ランプなどが使用されている。
【0004】
しかしながら、ヘッドランプは、固定されており、その配光も固定されており、車両の運転状態、例えば、車両が旋回する時や右左折する際には、配光範囲外である暗部を継続して目視する必要があり、旋回方向や右左折方向の視認性が低い。
【0005】
これを解決するために、ステアリングの操舵角度(以下、舵角という)や車速に応じて、ヘッドランプの配光を制御するヘッドランプの配光制御装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載の技術では、操舵角度と車速に応じてヘッドランプの配光を制御することが記載されている。特許文献1に記載の技術では、車両の停止、微速走行時には、ステアリング操作方向に偏寄させると共に下向きとしている。これによって、微速走行時に必要となる近距離の視認性を向上することができる。
【0006】
また、ヘッドランプ等の灯火装置の配光を可変する技術に類似して、加速減速時及び荷物の積載等による車両姿勢の変化に拘わらず、ヘッドランプの光軸の向き(照射範囲)を自動的に一定に保つ、レベリング機構なども提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−234383号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のヘッドランプの配光制御装置や上述のレベリング機構では、灯火装置の配光や照射範囲等を変更するために、モータ等のアクチュエータを使用しているため、応答時間が比較的長いと共に、アクチュエータの作動音が発生する、という問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、自動車用灯火装置の配光を変更する際の応答性及び静粛性を向上することができる自動車用灯火装置及び蛍光管光源を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、蛍光物質を電子線により励起して発光する蛍光管光源と、前記蛍光管光源の電子線に直交する方向に磁界を発生する磁界発生手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、蛍光管光源では、電子線を蛍光物質に射出することにより、蛍光物質が励起されて可視光が発生される。ここで、蛍光管光源より発生される光の光軸は、電子線の方向となる。また、電子線は、磁界によって曲げられるので、磁界を電子線に加えることによって、光軸を変更することが可能である。
【0012】
そこで、請求項1に記載の発明では、磁界発生手段によって蛍光管光源の電子線に直交する方向に磁界が発生される。これによって、灯火装置の光軸、すなわち、配光を変更することができる。そして、磁界によってリニアに電子線を曲げることができるので、応答性を向上することができる。また、このとき、アクチュエータを用いずに、磁界を発生するだけで、配光を変更することができるので、静粛性も向上することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記蛍光管光源は、自動車の進行方向に電子線を射出し、前記磁界発生手段は、自動車の車幅方向及び自動車の上下方向の少なくとも一方に磁界を発生することを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、蛍光管光源が、自動車の進行方向に電子線を射出することによって、蛍光管光源の光軸が車両の進行方向前方となり、ヘッドランプに当該蛍光管光源を適用することができる。
【0015】
そして、磁界発生手段が、自動車の車幅方向及び自動車の上下方向の少なくとも一方に磁界を発生することによって、蛍光管光源の光軸を自動車の上下方向及び自動車の車幅方向の少なくとも一方に変更することが可能となる。すなわち、磁界を自動車の車幅方向に発生した場合には、蛍光管光源の光軸を自動車の上下方向に曲げることが可能となり、磁界を自動車の上下方向に発生した場合には、蛍光管光源の光軸を自動車の車幅方向に曲げることが可能となる。
【0016】
なお、磁界発生手段は、請求項3に記載の発明のように、少なくとも一対の電磁石を用いて磁界を発生することが可能であり、また、同様に、請求項4に記載の発明のように、少なくとも一対の永久磁石を用いて磁界を発生することも可能である。また、2対の電磁石又は永久磁石を用いた場合には、蛍光管光源の光軸を3次元的に曲げることが可能となる。さらに、請求項5に記載の発明のように、一対の電磁石を移動手段によって移動可能とすることによっても3次元的に蛍光管光源の光軸を曲げることができる。例えば、電子線の周りを一対の電磁石が対向して回るように移動することによって、蛍光管光源の光軸を3次元的に曲げることが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明において、前記磁界発生手段によって発生する磁界の強度及び磁界の方向の少なくとも一方を制御する制御手段をさらに備えることを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明において、磁界の強度及び磁界の方向の少なくとも一方を制御する制御手段をさらに備えることによって、蛍光管光源の光軸の方向を制御することができる。すなわち、磁界の強度を制御することによって、蛍光管光源の光軸の曲がる角度を変更することが可能であり、磁界の方向を制御することによって、蛍光管光源の光軸の曲がる方向を制御することができるので、蛍光管光源の光軸を所望の方向に制御することができる。
【0019】
このとき、請求項7に記載の発明のように、制御手段が、自動車の車両姿勢変化に基づいて磁界を制御することによって、車両姿勢変化や荷物の積載等によるヘッドランプの光軸変化を抑制するレベリング装置に適用することが可能である。また、請求項8に記載の発明のように、制御手段が、自動車の旋回に基づいて磁界を制御することによって、右左折時等にヘッドランプの配光を変更する配光制御装置に適用することも可能である。
【0020】
なお、請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の発明における、蛍光管光源は、請求項9に記載の発明にように、カーボンナノチューブが敷設された陰極と、所定の電圧を印加するための制御電極と、陰極と制御電極間で発生する電子を加速して電子線を生成する陽極と、電子線により励起されて発光する蛍光体と、を有する高輝度光源、すなわち、カーボンナノチューブを用いて電子線を発生する高輝度光源を適用することが可能である。また、カーボンナノチューブの代わりにモリブデンを用いて電子線を発生する高輝度光源を適用することも可能である。
【0021】
請求項10に記載の発明は、カーボンナノチューブが敷設された陰極と、所定の電圧を印加するための制御電極と、前記陰極と前記制御電極間で発生する電子を加速して電子線を生成する陽極と、前記電子線により励起されて発光する蛍光体と、を有する蛍光管光源であって、前記陽極を異なる方向に複数配置することを特徴としている。
【0022】
請求項10に記載の発明によれば、カーボンナノチューブを用いて電子線を発生する蛍光管光源の陽極を、異なる方向に複数配置することによって、各陽極毎に電子線の加速方向が異なる方向となる。すなわち、陽極を選択的に使用することによって、蛍光管光源の光軸を変更することが可能となる。
【0023】
従って、使用する陽極を選択するだけで、蛍光管光源の光軸を変更可能であるので、応答性を向上することができる。また、このとき、アクチュエータを用いずに、使用する陽極を選択するだけなので、静粛性も向上することができる。
【0024】
また、複数の陽極を使用して発光する場合には、蛍光管光源の照射範囲を広げることも可能となる。
【0025】
なお、請求項11に記載の発明のように、通電制御手段をさらに備えることによって、複数の陽極のうち、使用する陽極を選択することが可能となり、これによって、蛍光管光源の光軸や照射範囲等を制御することができる。また、請求項12に記載の発明のようにに、請求項11又は請求項12に記載の蛍光管光源を自動車用灯火装置に適用するようにしてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。本実施の形態は、車両の加減速時のピッチングや荷物積載時の車両姿勢変化等によるヘッドランプの光軸の変化を一定に保つオートレベリング装置に本発明を適用したものである。
【0027】
図1に示すように、車両10は、車両10のフロントボディー10Aの上面部には、エンジンフード12が配置されており、このエンジンフード12は、後端部に設けられたヒンジによってボディーフレームに揺動可能に取り付けられている。フロントボディー10Aの前端部の車幅方向両端部には、フロントバンパ16が固定されている。このフロントバンパ16の上部、かつフロントボディー10Aの下部には、左右一対(車幅方向両端部)のヘッドランプ20が配設されている。なお、ヘッドランプ20はプロジェクタタイプが適用されるが、これに限るものではない。
【0028】
また、インストルメントパネル23には、スピードメータ24が配設されており、スピードメータ24には、車両10の走行速度(以下、車速という)vを検出する車速センサ46(図5参照)が取り付けられている。車速センサ46は、例えば、車輪14A、14B10Bの回転を検出するタイプのものや、トランスミッションのアウトプットシャフトの回転を検出するタイプのものを適用することが可能である。
【0029】
さらに、フロント車輪14A及びリヤ車輪14Bには、車高を検出するためのハイトコントロールセンサ44A、44B(図5参照)が設けられている。
【0030】
ここで、本実施の形態に係わるオートレベリング装置で用いるヘッドランプ20の光源22について説明する。なお、本実施の形態では、カーボンナノチューブを用いた蛍光管光源を用いる。
【0031】
図2に示すように、本発明の実施の形態に係わるヘッドランプ20に用いる光源22は、陽極26、陰極28の一対の電極を有している。一対の電極間の陰極28上には、カーボンナノチューブ(CNT)30が敷設されている。なお、カーボンナノチューブ30の代わりにモリブデンを陰極28上に敷設するようにしてもよい。
【0032】
一対の電極間には、制御電極32が設けられている。また、陽極26の陰極28とは反対側の面には、蛍光体34が設けられている。
【0033】
光源22は、上述の陽極26、カーボンナノチューブ30が敷設された陰極28、制御電極32、及び蛍光体34がガラス36によって真空密閉されている。
【0034】
このように構成された光源22は、陰極28をグランド(0v印加)し、制御電極32に所定の電圧を印加して、陽極26に0〜12v程度の電圧を印加することによってカーボンナノチューブ30の先端部から陽極26に向かって電子線Aが発生する。そして、該電子線によって蛍光体34が励起されることによって、可視光が発生するようになっている。
【0035】
ところで、このような電子線を放出する光源22は、図3に示すように、電子線に対して直交する方向に磁界を発生することによって、電子線が磁界によって曲げられる。そこで、本実施の形態に係わるヘッドランプ20のオートレベリング装置は、この現象を利用して、ヘッドランプ20の配光を制御するようになっている。
【0036】
すなわち、ヘッドランプ20には、図4に示すように、光源22から放出される電子線Aに対して直交する方向の車幅方向に対向するように一対の電磁石38A、38Bが設けられている。電磁石38A、38Bは陽極26と陰極28間に設けられ、該電磁石38A、38Bの作用によって光源22の光軸が制御されるようになっている。なお、電磁石38Aは、N極の磁石として作用し、電磁石38Bは、S極の磁石として作用する。
【0037】
このように、本実施の形態では、光源22に電磁石38A、38Bを車幅方向に対向するように配置することによって、車両10上下方向にヘッドランプ10の光軸を移動することができる。
【0038】
続いて、ヘッドランプ20のオートレベリング装置について図5を参照して説明する。図5には、ヘッドランプ20のオートレベリング装置40の概略構成が示されている。
【0039】
図5に示すように、オートレベリング装置40は、ヘッドランプレベリングコンピュータ42によって、ヘッドランプ20の配光が制御される。ヘッドランプレベリングコンピュータ42は、CPU、ROM、及びRAM等を含んだマイクロコンピュータで構成され、ROMには、ヘッドランプ20の配光を制御するためのプログラム等が記憶されている。
【0040】
ヘッドランプレベリングコンピュータ42には、ハイトコントロールセンサ44A、44B、車速センサ46、及びヘッドランプスイッチ48が接続されており、ハイトコントロールセンサ44A、44Bによって検出された車高の高低、車速センサ46によって検出された車両の走行速度、車内に設けられたヘッドランプ20を点灯するためのヘッドランプスイッチ48の操作信号が入力されるようになっている。
【0041】
また、ヘッドランプレベリングコンピュータ42には、ヘッドランプ20の配光を制御するための電磁石38A、38B(右側ヘッドランプ用)、39A、39B(左側ヘッドランプ用)が接続されており、ヘッドランプスイッチ48によってヘッドランプ20の点灯が指示されると、ヘッドランプレベリングコンピュータ42によって、電磁石38A、38B、39A、39Bへの通電が制御されることによって、ヘッドランプ02の配光が制御されるようになっている。
【0042】
ヘッドランプレベリングコンピュータ42は、車速センサ46から入力される車速信号と、ハイトコントロールセンサ44A、44Bから入力される車高変化検出信号に基づいて、車両姿勢のピッチ角変化を算出し、該変化量に応じて電磁石38A、38B、39A、39Bへの通電を制御することによって、ヘッドランプ20の配光をピッチ角と同じ角度分逆方向に制御するようになっている。
【0043】
続いて、上述のように構成されたヘッドランプ20のオートレベリング装置40の作用を図6のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
ヘッドランプスイッチ48によってヘッドランプ20の点灯が指示されると、ステップ100では、ヘッドランプ20が点灯される。すなわち、陰極28に0v、制御電極32に所定電圧(例えば400〜500V)、陽極に0〜12vをそれぞれ印加することによって、カーボンナノチューブ30の先端部から陽極26に向かって電子線が放出される。そして、この電子線によって蛍光体34が励起されて、可視光が発生することによって、ヘッドランプ20が点灯される。
【0045】
次にステップ102では、ヘッドランプレベリングコンピュータ42によって、車速センサ46から車速信号が取得され、ステップ104へ移行して、同様に、ハイトコントロールセンサ44A、44Bから車高変化検出信号が取得される。
【0046】
続いて、ステップ106では、取得された車速信号及び車高変化検出信号に基づいて、車両姿勢のピッチ角変化が算出される。例えば、図7(A)に示すように、車速の変化に応じて車高が基準位置に対して変化するので、車速に応じた車高の変化をピッチ角として算出する。
【0047】
次に、ステップ108では、ヘッドランプ20の配光(光軸)が、算出されたピッチ角分、逆方向に移動するように、電磁石38A、38B、39A、39Bに電流が印加される。
【0048】
すなわち、光源22の陰極28から射出される電子線Aは、図4に示すように、陽極26と陰極28間に設けられた電磁石38A、38B(39A、39B)により発生する磁界によって図4矢印B方向に曲げられる。これによってヘッドランプ20の光軸が変化する。このとき、ピッチ角に応じて電磁石38A、38B(39A、39B)に印加する電流の大きさを変えることによって、電磁石38A、38B(39A、39B)によって発生する磁界の大きさが変わるので、磁界によって曲げられる電子線の角度を制御することができ、ヘッドランプ20の配光制御を行うことができる。例えば、図7(A)に示す光軸の変化に対して逆方向に光軸が変化するように、電磁石38A、38B(39A、39B)による磁界を発生させることによって、図7(B)に示すように、光軸の変化を略一定に保つように制御することができる。
【0049】
そして、ステップ110では、ヘッドランプスイッチ48がオフされたか否か判定され、該判定が否定された場合には、上述のステップ102に戻って、ステップ110の判定が肯定されるまで、上述の処理が繰り返される。
【0050】
このように、本実施の形態では、アクチュエータを使用することになく、ヘッドランプ20の配光を制御することができるので、アクチュエータの作動音等がなく静粛性を向上することができる。
【0051】
また、電磁石38A、38B(39A、39B)に印加する電流値を制御して磁界の大きさを制御することによって、ヘッドランプ20の配光をリニアに制御することができ、アクチュエータによるヘッドランプ20の配光制御に比べて応答性を向上することができる。
【0052】
なお、上記の実施の形態では、車両10の上下方向にヘッドランプ20の光軸を移動するように配光を制御するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、ステアリング等に設けられた操舵角を検出する舵角センサをさらに備え、車速と舵角に応じてヘッドランプ20の光軸を車幅方向に移動するように配光を制御する配光制御装置にも適用可能である。この場合には、電磁石38A、38B(39A、39B)を車両10の上下方向に対向するように配置することによって、ヘッドランプ20の光軸を車幅方向に変化させることが可能である。
【0053】
続いて、上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0054】
上記の実施の形態では、車両10の上下方向に光軸を移動して配光を制御するようにしたが、変形例では、さらに車幅方向にも光軸を移動可能としたものである。
【0055】
すなわち、変形例では、図8に示すように、上記の実施の形態に係わる光源22のように、光源22の陰極28から射出される電子線に直交する方向の車幅方向に対向するように一対の電磁石38A、38Bが設けられていると共に、光源22の陰極28から射出される電子線Aに直交する方向の車両10上下方向に一対の電磁石37A、37Bが設けられている。すなわち、2対の電磁石38A、38B、37A、37Bによってヘッドランプ20の光軸を車幅方向及び車両10上下方向の少なくとも一方向に移動可能となり、3次元的にヘッドランプ20の光軸を移動することが可能となる。
【0056】
例えば、車速センサ46から得られる車速信号と、ハイトコントロールセンサ44A、44Bから得られる車高変化検出信号に基づいて、上述のように車両姿勢のピッチ角変化を算出し、該変化量に応じて電磁石38A、38Bへの通電を制御すると共に、車速センサ46から得られる車速信号と、ステアリングの操舵角を検出する舵角センサから得られる舵角に基づいて、ヘッドランプ20の光軸を車両10車幅方向に移動する移動量を算出し、該移動量に応じて電磁石37A、37Bへの通電を制御する。これによって、電磁石38A、38B及び電磁石37A、37Bで発生するそれぞれの磁界は、ベクトル和となり、光源22の陰極28より射出される電子線は、2対の電磁石38A、38B、37A、37Bによって発生する磁界のベクトル和によって曲げられ、ヘッドランプ20の配光を3次元的に制御することができる。
【0057】
また、このように3次元的に光軸を移動する他の方法としては、図9に示すように、一対の電磁石38A、38Bを電子線に直交するように配置して、アクチュエータ60によって光源の周りを回るようにしてもよい。すなわち、アクチュエータ60によって一対の電磁石38A、38Bを回転することによって、磁界の方向が変化し、これによって、電子線の曲がる方向も変化する。従って、このように構成しても、ヘッドランプ20の配光を3次元的に制御することができる。なお、この場合には、アクチュエータ60を用いるので、上記の変形例よりは静粛性は劣るが、車幅方向にヘッドランプ20の光軸を移動するアクチュエータと、車両10上下方向にヘッドランプ20の光軸を移動するアクチュエータの2つのアクチュエータを用いる場合に比べると、静粛性を向上することができる。
【0058】
なお、上記の実施の形態及び変形例では、電磁石を用いて磁界を発生するようにしたが、一対の永久磁石を用いることも可能である。この場合には、磁界強度を変化させるためには、アクチュエータ等を用いて一対の永久磁石間の距離を可変する必要がある。
【0059】
また、上記の実施の形態及び変形例では、光源の電子線に直交する方向に磁界を発生することによって、光源の光軸を変更するようにしたが、光源の陽極を複数異なる方向に設けるようにしてもよい。すなわち、図10に示すように、カーボンナノチューブ30が敷設された陰極28と制御電極32に対して、異なる方向に複数の陽極26A、26B、26Cを配置し、同様に、複数の陽極26A、26B、26Cに対応して蛍光体34A、34B、34Cを設ける。このように光源を構成することによって、電子を加速する陽極26A、26B、26Cを発光制御手段62によって選択すれば、電子線の方向が陽極毎に異なるので、光軸を変更することが可能である。なお、発光制御手段62が全ての陽極又は複数の陽極を選択した場合には、照射範囲を変更することも可能である。
【0060】
なお、上記の実施の形態及び変形例では、ヘッドランプ20を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、例えば、自動車の補助等やその他の灯火装置に適用することが可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、蛍光物質を電子線により励起して発光する蛍光管光源の電子線に直交する方向に磁界を発生することによって、当該磁界によって、電子線を曲げことができ、アクチュエータを用いることなく、自動車の灯火装置の光軸を変更することができるので、自動車用灯火装置の配光を変更する際の応答性及び静粛性を向上することができる、という効果がある。
【0062】
また、カーボンナノチューブが敷設された陰極と、所定の電圧を印加するための制御電極と、陰極と制御電極間で発生する電子を加速して電子線を生成する陽極と、電子線により励起されて発光する蛍光体と、を有する蛍光管光源において、陽極を異なる方向に複数配置し、陽極を選択的に使用することによって、アクチュエータを用いることなく、自動車の灯火装置の光軸を変更することが可能となるので、自動車用灯火装置の配光を変更する際の応答性及び静粛性を向上することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる車両を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプに使用する光源の基本構成を示す図である。
【図3】電子線が磁界によって曲がることを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプに使用する光源の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプのオートレベリング装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプのオートレベリング装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図7】オートレベリング装置の制御を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプの光源における変形例の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプの光源におけるその他の変形例の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプの光源におけるその他の変形例の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 車両
20 ヘッドランプ
22 光源
26 陽極
26A、26B、26C 陽極
28 陰極
30 カーボンナノチューブ
32 制御電極
36 ガラス
38A、38B、39A、39B 電磁石
42 ヘッドランプレベリングコンピュータ
44A、44B ハイトコントロールセンサ
46 車速センサ
60 アクチュエータ
62 発光制御手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用灯火装置及び蛍光管光源にかかり、特に、ヘッドランプ等に代表される自動車用灯火装置及び蛍光管光源に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両には、夜間や暗闇等を走行する際の前方の視認性を向上させるために、ヘッドランプが配設されている。一般にヘッドランプは、車両の先端かつ左右に配設されており、車両前方の比較的広範囲を照射するようになっている。
【0003】
また、車両のヘッドランプ等の灯火装置に使用する光源は種々の光源が使用され、例えば、高温になったフィラメントの熱放射により発光する白熱電球、タングステンとハロゲンの化合・分解サイクルにより発光するハロゲンランプ、水銀アーク内で金属原子と沃素原子に解離し、金属原子が励起することによって発光するHID(High Intensity Discharge)ランプなどが使用されている。
【0004】
しかしながら、ヘッドランプは、固定されており、その配光も固定されており、車両の運転状態、例えば、車両が旋回する時や右左折する際には、配光範囲外である暗部を継続して目視する必要があり、旋回方向や右左折方向の視認性が低い。
【0005】
これを解決するために、ステアリングの操舵角度(以下、舵角という)や車速に応じて、ヘッドランプの配光を制御するヘッドランプの配光制御装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載の技術では、操舵角度と車速に応じてヘッドランプの配光を制御することが記載されている。特許文献1に記載の技術では、車両の停止、微速走行時には、ステアリング操作方向に偏寄させると共に下向きとしている。これによって、微速走行時に必要となる近距離の視認性を向上することができる。
【0006】
また、ヘッドランプ等の灯火装置の配光を可変する技術に類似して、加速減速時及び荷物の積載等による車両姿勢の変化に拘わらず、ヘッドランプの光軸の向き(照射範囲)を自動的に一定に保つ、レベリング機構なども提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−234383号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のヘッドランプの配光制御装置や上述のレベリング機構では、灯火装置の配光や照射範囲等を変更するために、モータ等のアクチュエータを使用しているため、応答時間が比較的長いと共に、アクチュエータの作動音が発生する、という問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、自動車用灯火装置の配光を変更する際の応答性及び静粛性を向上することができる自動車用灯火装置及び蛍光管光源を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、蛍光物質を電子線により励起して発光する蛍光管光源と、前記蛍光管光源の電子線に直交する方向に磁界を発生する磁界発生手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、蛍光管光源では、電子線を蛍光物質に射出することにより、蛍光物質が励起されて可視光が発生される。ここで、蛍光管光源より発生される光の光軸は、電子線の方向となる。また、電子線は、磁界によって曲げられるので、磁界を電子線に加えることによって、光軸を変更することが可能である。
【0012】
そこで、請求項1に記載の発明では、磁界発生手段によって蛍光管光源の電子線に直交する方向に磁界が発生される。これによって、灯火装置の光軸、すなわち、配光を変更することができる。そして、磁界によってリニアに電子線を曲げることができるので、応答性を向上することができる。また、このとき、アクチュエータを用いずに、磁界を発生するだけで、配光を変更することができるので、静粛性も向上することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記蛍光管光源は、自動車の進行方向に電子線を射出し、前記磁界発生手段は、自動車の車幅方向及び自動車の上下方向の少なくとも一方に磁界を発生することを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、蛍光管光源が、自動車の進行方向に電子線を射出することによって、蛍光管光源の光軸が車両の進行方向前方となり、ヘッドランプに当該蛍光管光源を適用することができる。
【0015】
そして、磁界発生手段が、自動車の車幅方向及び自動車の上下方向の少なくとも一方に磁界を発生することによって、蛍光管光源の光軸を自動車の上下方向及び自動車の車幅方向の少なくとも一方に変更することが可能となる。すなわち、磁界を自動車の車幅方向に発生した場合には、蛍光管光源の光軸を自動車の上下方向に曲げることが可能となり、磁界を自動車の上下方向に発生した場合には、蛍光管光源の光軸を自動車の車幅方向に曲げることが可能となる。
【0016】
なお、磁界発生手段は、請求項3に記載の発明のように、少なくとも一対の電磁石を用いて磁界を発生することが可能であり、また、同様に、請求項4に記載の発明のように、少なくとも一対の永久磁石を用いて磁界を発生することも可能である。また、2対の電磁石又は永久磁石を用いた場合には、蛍光管光源の光軸を3次元的に曲げることが可能となる。さらに、請求項5に記載の発明のように、一対の電磁石を移動手段によって移動可能とすることによっても3次元的に蛍光管光源の光軸を曲げることができる。例えば、電子線の周りを一対の電磁石が対向して回るように移動することによって、蛍光管光源の光軸を3次元的に曲げることが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明において、前記磁界発生手段によって発生する磁界の強度及び磁界の方向の少なくとも一方を制御する制御手段をさらに備えることを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明において、磁界の強度及び磁界の方向の少なくとも一方を制御する制御手段をさらに備えることによって、蛍光管光源の光軸の方向を制御することができる。すなわち、磁界の強度を制御することによって、蛍光管光源の光軸の曲がる角度を変更することが可能であり、磁界の方向を制御することによって、蛍光管光源の光軸の曲がる方向を制御することができるので、蛍光管光源の光軸を所望の方向に制御することができる。
【0019】
このとき、請求項7に記載の発明のように、制御手段が、自動車の車両姿勢変化に基づいて磁界を制御することによって、車両姿勢変化や荷物の積載等によるヘッドランプの光軸変化を抑制するレベリング装置に適用することが可能である。また、請求項8に記載の発明のように、制御手段が、自動車の旋回に基づいて磁界を制御することによって、右左折時等にヘッドランプの配光を変更する配光制御装置に適用することも可能である。
【0020】
なお、請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の発明における、蛍光管光源は、請求項9に記載の発明にように、カーボンナノチューブが敷設された陰極と、所定の電圧を印加するための制御電極と、陰極と制御電極間で発生する電子を加速して電子線を生成する陽極と、電子線により励起されて発光する蛍光体と、を有する高輝度光源、すなわち、カーボンナノチューブを用いて電子線を発生する高輝度光源を適用することが可能である。また、カーボンナノチューブの代わりにモリブデンを用いて電子線を発生する高輝度光源を適用することも可能である。
【0021】
請求項10に記載の発明は、カーボンナノチューブが敷設された陰極と、所定の電圧を印加するための制御電極と、前記陰極と前記制御電極間で発生する電子を加速して電子線を生成する陽極と、前記電子線により励起されて発光する蛍光体と、を有する蛍光管光源であって、前記陽極を異なる方向に複数配置することを特徴としている。
【0022】
請求項10に記載の発明によれば、カーボンナノチューブを用いて電子線を発生する蛍光管光源の陽極を、異なる方向に複数配置することによって、各陽極毎に電子線の加速方向が異なる方向となる。すなわち、陽極を選択的に使用することによって、蛍光管光源の光軸を変更することが可能となる。
【0023】
従って、使用する陽極を選択するだけで、蛍光管光源の光軸を変更可能であるので、応答性を向上することができる。また、このとき、アクチュエータを用いずに、使用する陽極を選択するだけなので、静粛性も向上することができる。
【0024】
また、複数の陽極を使用して発光する場合には、蛍光管光源の照射範囲を広げることも可能となる。
【0025】
なお、請求項11に記載の発明のように、通電制御手段をさらに備えることによって、複数の陽極のうち、使用する陽極を選択することが可能となり、これによって、蛍光管光源の光軸や照射範囲等を制御することができる。また、請求項12に記載の発明のようにに、請求項11又は請求項12に記載の蛍光管光源を自動車用灯火装置に適用するようにしてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。本実施の形態は、車両の加減速時のピッチングや荷物積載時の車両姿勢変化等によるヘッドランプの光軸の変化を一定に保つオートレベリング装置に本発明を適用したものである。
【0027】
図1に示すように、車両10は、車両10のフロントボディー10Aの上面部には、エンジンフード12が配置されており、このエンジンフード12は、後端部に設けられたヒンジによってボディーフレームに揺動可能に取り付けられている。フロントボディー10Aの前端部の車幅方向両端部には、フロントバンパ16が固定されている。このフロントバンパ16の上部、かつフロントボディー10Aの下部には、左右一対(車幅方向両端部)のヘッドランプ20が配設されている。なお、ヘッドランプ20はプロジェクタタイプが適用されるが、これに限るものではない。
【0028】
また、インストルメントパネル23には、スピードメータ24が配設されており、スピードメータ24には、車両10の走行速度(以下、車速という)vを検出する車速センサ46(図5参照)が取り付けられている。車速センサ46は、例えば、車輪14A、14B10Bの回転を検出するタイプのものや、トランスミッションのアウトプットシャフトの回転を検出するタイプのものを適用することが可能である。
【0029】
さらに、フロント車輪14A及びリヤ車輪14Bには、車高を検出するためのハイトコントロールセンサ44A、44B(図5参照)が設けられている。
【0030】
ここで、本実施の形態に係わるオートレベリング装置で用いるヘッドランプ20の光源22について説明する。なお、本実施の形態では、カーボンナノチューブを用いた蛍光管光源を用いる。
【0031】
図2に示すように、本発明の実施の形態に係わるヘッドランプ20に用いる光源22は、陽極26、陰極28の一対の電極を有している。一対の電極間の陰極28上には、カーボンナノチューブ(CNT)30が敷設されている。なお、カーボンナノチューブ30の代わりにモリブデンを陰極28上に敷設するようにしてもよい。
【0032】
一対の電極間には、制御電極32が設けられている。また、陽極26の陰極28とは反対側の面には、蛍光体34が設けられている。
【0033】
光源22は、上述の陽極26、カーボンナノチューブ30が敷設された陰極28、制御電極32、及び蛍光体34がガラス36によって真空密閉されている。
【0034】
このように構成された光源22は、陰極28をグランド(0v印加)し、制御電極32に所定の電圧を印加して、陽極26に0〜12v程度の電圧を印加することによってカーボンナノチューブ30の先端部から陽極26に向かって電子線Aが発生する。そして、該電子線によって蛍光体34が励起されることによって、可視光が発生するようになっている。
【0035】
ところで、このような電子線を放出する光源22は、図3に示すように、電子線に対して直交する方向に磁界を発生することによって、電子線が磁界によって曲げられる。そこで、本実施の形態に係わるヘッドランプ20のオートレベリング装置は、この現象を利用して、ヘッドランプ20の配光を制御するようになっている。
【0036】
すなわち、ヘッドランプ20には、図4に示すように、光源22から放出される電子線Aに対して直交する方向の車幅方向に対向するように一対の電磁石38A、38Bが設けられている。電磁石38A、38Bは陽極26と陰極28間に設けられ、該電磁石38A、38Bの作用によって光源22の光軸が制御されるようになっている。なお、電磁石38Aは、N極の磁石として作用し、電磁石38Bは、S極の磁石として作用する。
【0037】
このように、本実施の形態では、光源22に電磁石38A、38Bを車幅方向に対向するように配置することによって、車両10上下方向にヘッドランプ10の光軸を移動することができる。
【0038】
続いて、ヘッドランプ20のオートレベリング装置について図5を参照して説明する。図5には、ヘッドランプ20のオートレベリング装置40の概略構成が示されている。
【0039】
図5に示すように、オートレベリング装置40は、ヘッドランプレベリングコンピュータ42によって、ヘッドランプ20の配光が制御される。ヘッドランプレベリングコンピュータ42は、CPU、ROM、及びRAM等を含んだマイクロコンピュータで構成され、ROMには、ヘッドランプ20の配光を制御するためのプログラム等が記憶されている。
【0040】
ヘッドランプレベリングコンピュータ42には、ハイトコントロールセンサ44A、44B、車速センサ46、及びヘッドランプスイッチ48が接続されており、ハイトコントロールセンサ44A、44Bによって検出された車高の高低、車速センサ46によって検出された車両の走行速度、車内に設けられたヘッドランプ20を点灯するためのヘッドランプスイッチ48の操作信号が入力されるようになっている。
【0041】
また、ヘッドランプレベリングコンピュータ42には、ヘッドランプ20の配光を制御するための電磁石38A、38B(右側ヘッドランプ用)、39A、39B(左側ヘッドランプ用)が接続されており、ヘッドランプスイッチ48によってヘッドランプ20の点灯が指示されると、ヘッドランプレベリングコンピュータ42によって、電磁石38A、38B、39A、39Bへの通電が制御されることによって、ヘッドランプ02の配光が制御されるようになっている。
【0042】
ヘッドランプレベリングコンピュータ42は、車速センサ46から入力される車速信号と、ハイトコントロールセンサ44A、44Bから入力される車高変化検出信号に基づいて、車両姿勢のピッチ角変化を算出し、該変化量に応じて電磁石38A、38B、39A、39Bへの通電を制御することによって、ヘッドランプ20の配光をピッチ角と同じ角度分逆方向に制御するようになっている。
【0043】
続いて、上述のように構成されたヘッドランプ20のオートレベリング装置40の作用を図6のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
ヘッドランプスイッチ48によってヘッドランプ20の点灯が指示されると、ステップ100では、ヘッドランプ20が点灯される。すなわち、陰極28に0v、制御電極32に所定電圧(例えば400〜500V)、陽極に0〜12vをそれぞれ印加することによって、カーボンナノチューブ30の先端部から陽極26に向かって電子線が放出される。そして、この電子線によって蛍光体34が励起されて、可視光が発生することによって、ヘッドランプ20が点灯される。
【0045】
次にステップ102では、ヘッドランプレベリングコンピュータ42によって、車速センサ46から車速信号が取得され、ステップ104へ移行して、同様に、ハイトコントロールセンサ44A、44Bから車高変化検出信号が取得される。
【0046】
続いて、ステップ106では、取得された車速信号及び車高変化検出信号に基づいて、車両姿勢のピッチ角変化が算出される。例えば、図7(A)に示すように、車速の変化に応じて車高が基準位置に対して変化するので、車速に応じた車高の変化をピッチ角として算出する。
【0047】
次に、ステップ108では、ヘッドランプ20の配光(光軸)が、算出されたピッチ角分、逆方向に移動するように、電磁石38A、38B、39A、39Bに電流が印加される。
【0048】
すなわち、光源22の陰極28から射出される電子線Aは、図4に示すように、陽極26と陰極28間に設けられた電磁石38A、38B(39A、39B)により発生する磁界によって図4矢印B方向に曲げられる。これによってヘッドランプ20の光軸が変化する。このとき、ピッチ角に応じて電磁石38A、38B(39A、39B)に印加する電流の大きさを変えることによって、電磁石38A、38B(39A、39B)によって発生する磁界の大きさが変わるので、磁界によって曲げられる電子線の角度を制御することができ、ヘッドランプ20の配光制御を行うことができる。例えば、図7(A)に示す光軸の変化に対して逆方向に光軸が変化するように、電磁石38A、38B(39A、39B)による磁界を発生させることによって、図7(B)に示すように、光軸の変化を略一定に保つように制御することができる。
【0049】
そして、ステップ110では、ヘッドランプスイッチ48がオフされたか否か判定され、該判定が否定された場合には、上述のステップ102に戻って、ステップ110の判定が肯定されるまで、上述の処理が繰り返される。
【0050】
このように、本実施の形態では、アクチュエータを使用することになく、ヘッドランプ20の配光を制御することができるので、アクチュエータの作動音等がなく静粛性を向上することができる。
【0051】
また、電磁石38A、38B(39A、39B)に印加する電流値を制御して磁界の大きさを制御することによって、ヘッドランプ20の配光をリニアに制御することができ、アクチュエータによるヘッドランプ20の配光制御に比べて応答性を向上することができる。
【0052】
なお、上記の実施の形態では、車両10の上下方向にヘッドランプ20の光軸を移動するように配光を制御するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、ステアリング等に設けられた操舵角を検出する舵角センサをさらに備え、車速と舵角に応じてヘッドランプ20の光軸を車幅方向に移動するように配光を制御する配光制御装置にも適用可能である。この場合には、電磁石38A、38B(39A、39B)を車両10の上下方向に対向するように配置することによって、ヘッドランプ20の光軸を車幅方向に変化させることが可能である。
【0053】
続いて、上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0054】
上記の実施の形態では、車両10の上下方向に光軸を移動して配光を制御するようにしたが、変形例では、さらに車幅方向にも光軸を移動可能としたものである。
【0055】
すなわち、変形例では、図8に示すように、上記の実施の形態に係わる光源22のように、光源22の陰極28から射出される電子線に直交する方向の車幅方向に対向するように一対の電磁石38A、38Bが設けられていると共に、光源22の陰極28から射出される電子線Aに直交する方向の車両10上下方向に一対の電磁石37A、37Bが設けられている。すなわち、2対の電磁石38A、38B、37A、37Bによってヘッドランプ20の光軸を車幅方向及び車両10上下方向の少なくとも一方向に移動可能となり、3次元的にヘッドランプ20の光軸を移動することが可能となる。
【0056】
例えば、車速センサ46から得られる車速信号と、ハイトコントロールセンサ44A、44Bから得られる車高変化検出信号に基づいて、上述のように車両姿勢のピッチ角変化を算出し、該変化量に応じて電磁石38A、38Bへの通電を制御すると共に、車速センサ46から得られる車速信号と、ステアリングの操舵角を検出する舵角センサから得られる舵角に基づいて、ヘッドランプ20の光軸を車両10車幅方向に移動する移動量を算出し、該移動量に応じて電磁石37A、37Bへの通電を制御する。これによって、電磁石38A、38B及び電磁石37A、37Bで発生するそれぞれの磁界は、ベクトル和となり、光源22の陰極28より射出される電子線は、2対の電磁石38A、38B、37A、37Bによって発生する磁界のベクトル和によって曲げられ、ヘッドランプ20の配光を3次元的に制御することができる。
【0057】
また、このように3次元的に光軸を移動する他の方法としては、図9に示すように、一対の電磁石38A、38Bを電子線に直交するように配置して、アクチュエータ60によって光源の周りを回るようにしてもよい。すなわち、アクチュエータ60によって一対の電磁石38A、38Bを回転することによって、磁界の方向が変化し、これによって、電子線の曲がる方向も変化する。従って、このように構成しても、ヘッドランプ20の配光を3次元的に制御することができる。なお、この場合には、アクチュエータ60を用いるので、上記の変形例よりは静粛性は劣るが、車幅方向にヘッドランプ20の光軸を移動するアクチュエータと、車両10上下方向にヘッドランプ20の光軸を移動するアクチュエータの2つのアクチュエータを用いる場合に比べると、静粛性を向上することができる。
【0058】
なお、上記の実施の形態及び変形例では、電磁石を用いて磁界を発生するようにしたが、一対の永久磁石を用いることも可能である。この場合には、磁界強度を変化させるためには、アクチュエータ等を用いて一対の永久磁石間の距離を可変する必要がある。
【0059】
また、上記の実施の形態及び変形例では、光源の電子線に直交する方向に磁界を発生することによって、光源の光軸を変更するようにしたが、光源の陽極を複数異なる方向に設けるようにしてもよい。すなわち、図10に示すように、カーボンナノチューブ30が敷設された陰極28と制御電極32に対して、異なる方向に複数の陽極26A、26B、26Cを配置し、同様に、複数の陽極26A、26B、26Cに対応して蛍光体34A、34B、34Cを設ける。このように光源を構成することによって、電子を加速する陽極26A、26B、26Cを発光制御手段62によって選択すれば、電子線の方向が陽極毎に異なるので、光軸を変更することが可能である。なお、発光制御手段62が全ての陽極又は複数の陽極を選択した場合には、照射範囲を変更することも可能である。
【0060】
なお、上記の実施の形態及び変形例では、ヘッドランプ20を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、例えば、自動車の補助等やその他の灯火装置に適用することが可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、蛍光物質を電子線により励起して発光する蛍光管光源の電子線に直交する方向に磁界を発生することによって、当該磁界によって、電子線を曲げことができ、アクチュエータを用いることなく、自動車の灯火装置の光軸を変更することができるので、自動車用灯火装置の配光を変更する際の応答性及び静粛性を向上することができる、という効果がある。
【0062】
また、カーボンナノチューブが敷設された陰極と、所定の電圧を印加するための制御電極と、陰極と制御電極間で発生する電子を加速して電子線を生成する陽極と、電子線により励起されて発光する蛍光体と、を有する蛍光管光源において、陽極を異なる方向に複数配置し、陽極を選択的に使用することによって、アクチュエータを用いることなく、自動車の灯火装置の光軸を変更することが可能となるので、自動車用灯火装置の配光を変更する際の応答性及び静粛性を向上することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる車両を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプに使用する光源の基本構成を示す図である。
【図3】電子線が磁界によって曲がることを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプに使用する光源の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプのオートレベリング装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプのオートレベリング装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図7】オートレベリング装置の制御を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプの光源における変形例の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプの光源におけるその他の変形例の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係わるヘッドランプの光源におけるその他の変形例の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 車両
20 ヘッドランプ
22 光源
26 陽極
26A、26B、26C 陽極
28 陰極
30 カーボンナノチューブ
32 制御電極
36 ガラス
38A、38B、39A、39B 電磁石
42 ヘッドランプレベリングコンピュータ
44A、44B ハイトコントロールセンサ
46 車速センサ
60 アクチュエータ
62 発光制御手段
Claims (12)
- 蛍光物質を電子線により励起して発光する蛍光管光源と、
前記蛍光管光源の電子線に直交する方向に磁界を発生する磁界発生手段と、
を備えた自動車用灯火装置。 - 前記蛍光管光源は、自動車の進行方向に電子線を射出し、前記磁界発生手段は、自動車の車幅方向及び自動車の上下方向の少なくとも一方に磁界を発生することを特徴とする請求項1に記載の自動車用灯火装置。
- 前記磁界発生手段は、少なくとも一対の電磁石を用いて磁界を発生することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車用灯火装置。
- 前記磁界発生手段は、少なくとも一対の永久磁石を用いて磁界を発生することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車用灯火装置。
- 前記磁界発生手段は、一対の電磁石と、該一対の電磁石を移動する移動手段と、からなることを特徴としている請求項1又は請求項2に記載の自動車用灯火装置。
- 前記磁界発生手段によって発生する磁界の強度及び磁界の方向の少なくとも一方を制御する制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の自動車用灯火装置。
- 前記制御手段は、自動車の車両姿勢変化に基づいて前記制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の自動車用灯火装置。
- 前記制御手段は、自動車の旋回に基づいて前記制御を行うことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の自動車用灯火装置。
- 前記蛍光管光源は、カーボンナノチューブが敷設された陰極と、所定の電圧を印加するための制御電極と、前記陰極と前記制御電極間で発生する電子を加速して電子線を生成する陽極と、前記電子線により励起されて発光する蛍光体と、を有する高輝度光源からなることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の自動車用灯火装置。
- カーボンナノチューブが敷設された陰極と、所定の電圧を印加するための制御電極と、前記陰極と前記制御電極間で発生する電子を加速して電子線を生成する陽極と、前記電子線により励起されて発光する蛍光体と、を有する蛍光管光源であって、
前記陽極を異なる方向に複数配置することを特徴とする蛍光管光源。 - 複数の前記陽極への通電を制御する通電制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の蛍光管光源。
- 請求項10又は請求項11に記載の蛍光管光源を備えた自動車用灯火装置。
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CN110626255B (zh) * | 2019-10-22 | 2023-06-30 | 广西科技大学鹿山学院 | 磁动式车灯随动装置及其控制方法 |
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