JP2004181427A - 水熱反応方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】水熱反応で生成する反応流体からエネルギーを回収して低有機物濃度の被処理液を効率よく濃縮でき、これにより低コストで効率よく水熱酸化反応を
行うことができる水熱反応方法および装置を得る。
【解決手段】被処理液を蒸気圧縮式の濃縮器2で濃縮し、濃縮液を水熱反応器7に供給するとともに、空気圧縮器8から圧縮空気を水熱反応器7に供給して水の超臨界または亜臨界状態で水熱酸化反応を行い、水熱反応器7から排出される反応流体を冷却器13で冷却して気液分離器14で気液分離し、分離する高圧ガスを濃縮器2の蒸気圧縮動力源としてタービン6に供給し、蒸気圧縮器5を駆動して濃縮器2で濃縮を継続する水熱反応方法および装置。
【選択図】 図1
行うことができる水熱反応方法および装置を得る。
【解決手段】被処理液を蒸気圧縮式の濃縮器2で濃縮し、濃縮液を水熱反応器7に供給するとともに、空気圧縮器8から圧縮空気を水熱反応器7に供給して水の超臨界または亜臨界状態で水熱酸化反応を行い、水熱反応器7から排出される反応流体を冷却器13で冷却して気液分離器14で気液分離し、分離する高圧ガスを濃縮器2の蒸気圧縮動力源としてタービン6に供給し、蒸気圧縮器5を駆動して濃縮器2で濃縮を継続する水熱反応方法および装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、被処理液を濃縮し、水の超臨界または亜臨界状態で有機物を酸化分解する水熱反応方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機性廃液などの有機物を含有する被処理液の処理方法として、水および酸化剤の存在下に水の超臨界または亜臨界状態で水熱酸化反応を行い、有機物を酸化分解する水熱反応がある。この水熱反応は有機排液を短時間で高レベルまで分解処理できるほか、高濃度の廃液についても短時間で効率よく処理を行うことが可能である。このような水熱反応では有機物濃度が高いほど発熱量が多いため、低濃度の有機物を含有する被処理液を処理する場合、被処理液を濃縮したのち水熱反応を行っている。
【0003】
被処理液を濃縮するためには、蒸発による濃縮法が広く採用されている。蒸発濃縮法としては、ボイラにより水蒸気を発生させ、この発生水蒸気で被処理液を濃縮する方法が一般的である(例えば特許文献1では、多段式蒸発缶を用いて濃縮を行っている)。しかし、このような方法で水蒸気を発生させるためには、加熱が必要である。水熱反応では水の超臨界または亜臨界状態で反応を行うため、高温の反応流体が生成するが、全体の発熱量は被処理液を濃縮するためには十分ではないので、熱回収を行う場合でも外部からの熱入力が必要となる。
【0004】
被処理液を濃縮するための他の蒸発濃縮法を検討した結果、蒸気圧縮式濃縮器により濃縮を行うと、水熱反応で生成する反応流体からエネルギーを回収して、効率よく被処理液を濃縮できることがわかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−77089号公報[0015]、[0017]、[0023]
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、水熱反応で生成する反応流体からエネルギーを回収して低有機物濃度の被処理液を効率よく濃縮でき、これにより低コストで効率よく水熱酸化反応を行うことができる水熱反応方法および装置を得ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の水熱反応方法および装置である。
(1) 被処理液を蒸気圧縮式濃縮器で濃縮する濃縮工程と、
濃縮された濃縮液を水熱反応器に供給する濃縮液供給工程と、
水熱反応器において水および酸化剤の存在下に、水の超臨界または亜臨界状態で水熱酸化反応を行い、有機物を酸化分解する水熱反応工程と、
水熱反応工程から排出される高圧ガスを濃縮器の蒸気圧縮動力源として供給する高圧ガス供給工程と
を含む水熱反応方法。
(2) 濃縮器が高圧ガスを動力源とするタービンにより蒸気を圧縮して加熱源とし、被処理液を濃縮するものである上記(1)記載の方法。
(3) 酸化剤として空気を加圧して用いる上記(1)または(2)記載の方法。
(4) 高圧ガスが水熱反応流体を冷却し気液分離して得られるものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 被処理液を濃縮する蒸気圧縮式濃縮器と、
濃縮された濃縮液を水熱反応装置に供給する濃縮液供給手段と、
水および酸化剤の存在下に、水の超臨界または亜臨界状態で水熱酸化反応を行い、有機物を酸化分解する水熱反応器と、
水熱反応器から排出される高圧ガスを濃縮器の蒸気圧縮動力源として供給する高圧ガス供給手段と
を含む水熱反応装置。
(6) 濃縮器が高圧ガスを動力源とするタービンにより蒸気を圧縮して加熱源とし、被処理液を濃縮するものである上記(5)記載の装置。
(7) 酸化剤として空気を加圧して水熱反応器に供給する圧縮機を有する上記(5)または(6)記載の装置。
(8) 高圧ガスが水熱反応流体を冷却し気液分離して得られるものである上記(5)ないし(7)のいずれかに記載の装置。
【0008】
本発明において処理の対象となる被処理液は、有機性廃液などの水熱酸化反応により無害の物質に変換できる有機物を含有する液であり、特に低濃度の有機物を含有する被処理液が処理対象として適している。このような被処理液としては、食品製造廃液、有機物を含有する産業廃液、下水、し尿、その他の有機物含有廃液などがあげられるが、これらに限定されない。被処理液の有機物濃度は、一般的には0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%が処理対象として適している。
【0009】
本発明では、このような被処理液を濃縮工程において、蒸気圧縮式濃縮器で濃縮する。濃縮液の有機物濃度は、一般的には2〜30重量%、好ましくは5〜20重量%が水熱反応に適している。蒸気圧縮式濃縮器は、加熱および/または減圧により水蒸気を発生させ、この発生水蒸気を圧縮して温度上昇させ、温度上昇した圧縮蒸気により被処理液を加熱して水蒸気を発生させ、この水蒸気をさらに圧縮して加熱を行い、被処理液を濃縮する方法である。この方法では圧縮機を駆動するための動力が必要であるが、本発明では後述の水熱反応で生成する反応流体から高圧ガスを回収して圧縮機を駆動することにより、低有機物濃度の被処理液を効率よく濃縮する。蒸気圧縮式濃縮器は、高圧ガスを動力源とするタービンにより蒸気を圧縮して加熱源とし、被処理液を濃縮するものが好ましい。
【0010】
本発明の濃縮液供給工程は、濃縮工程において蒸気圧縮式濃縮器で濃縮された濃縮液を水熱反応器に供給するように、濃縮液供給手段が構成される。水熱反応器は高温高圧に維持されるので、この濃縮液供給手段は濃縮液を加圧し、場合によっては加熱して水熱反応器に供給するように構成される。この場合、酸化剤として例えば空気を加圧して廃液とともに水熱反応器に供給するように構成することができる。
【0011】
水熱反応工程では濃縮液供給手段により供給された濃縮液を、水熱反応器において水および酸化剤の存在下に、水の超臨界または亜臨界状態で水熱酸化反応を行い、濃縮液に含まれる有機物の酸化分解を行う。水熱反応器は廃液を酸化剤の存在下に水の超臨界または亜臨界状態に維持して水熱酸化反応を行えるように構成される。ここで水熱酸化反応は、超臨界または亜臨界状態の高温高圧の水および酸化剤の存在下に濃縮液を酸化反応により酸化分解する反応である。超臨界状態とは374℃以上、22MPa以上の状態である。また亜臨界状態とは例えば374℃以上、2.5MPa以上22MPa未満あるいは374℃未満、22MPa以上の状態、あるいは374℃未満、22MPa未満であっても臨界点に近い高温高圧状態をいう。
【0012】
このような水熱酸化反応は濃縮液が酸化剤と混合した状態で水熱反応器において行われ、これらの混合物が反応器内部で水熱反応を受ける。酸化剤としては、空気、酸素、液体酸素、過酸化水素水、硝酸、亜硝酸、硝酸塩、亜硝酸塩等を用いることができるが、濃縮器の蒸気圧縮動力源として高圧ガスを回収するためには、空気を加圧して供給するのが好ましい。酸化剤は濃縮液と混合されて供給されてもよいし、供給口を二重管ノズルにして複層流として供給してもよい。また必要により触媒や中和剤等が添加される場合があるが、これらも濃縮液と混合して、あるいは別々に反応器に供給することができる。
【0013】
本発明で用いられる水熱反応器は超臨界または亜臨界状態で水熱反応を行うように、耐熱、耐圧材料により、実質的に垂直方向に配置した筒状反応器、管状反応器などの反応器で形成される。反応熱だけでは超臨界または亜臨界状態に達しない場合には外部加熱手段を設けることができる。筒状反応器の形状は円筒、だ円筒、多角筒のものを用いることができ、下端部はコーン状とすることができる。上記の水熱反応器としては、従来より水熱酸化反応に用いられているものをそのまま用いることができる。
【0014】
水熱反応器の材質は制限されないが、ハステロイ、インコネル、ステンレス等の耐食性の材質が好ましい。水熱反応器には耐腐食性ライナーを設けるのが好ましい。耐腐食性ライナーは特に限定されず、耐腐食性ライナーと圧力負荷壁との間に間隙が存在するような耐腐食性ライナーを用いることができる。
【0015】
水熱反応器には反応混合物を排出口から排出する前に冷却するための冷却手段を設けることができる。冷却手段は特に限定されないが、反応器内にクエンチ水を導入して冷却し、無機塩を溶解してその排出を促進することができる。また、反応器内に酸やアルカリを含む水を導入して冷却し、アルカリや酸の中和を行うことができる。固体の粘着性が著しい場合には、反応器の内壁に付着した固体を除去するための機械的除去装置を設けることができる。固体除去のための機械的除去装置は特に限定されないが、切欠窓部分を含む実質的に円筒状のスクレーパが好適である。
【0016】
水熱反応器から排出される反応流体中の固形物を分離する分離手段を設けることができる。特に、超臨界状態の反応流体中では無機塩類が溶解せずに固体として含まれているため、不溶化している無機物を分離することにより、処理水の再利用が容易になる。固形物分離手段は特に限定されず、水熱反応器から反応流体を導入する流入口および固体を除去した流体を排出する流出口を備えた容器と、容器内に配設されて前記反応流体に含まれている前記固体を除去し、排出する手段とを備えたものが使用できる。また水熱反応器から排出後の反応流体を冷却、減圧する工程で、固体分離や気液分離の手段を設けることもできる。
【0017】
本発明では水熱反応工程において、上記のような水熱反応器により超臨界または亜臨界状態で水熱反応を行う。水熱反応器による反応開始の手段は特に制限されない。通常、反応器は反応開始にあたって所定の反応温度付近に予熱される。予熱は加熱装置を反応器に設けるか、あるいは灯油などの加熱用燃料を水や酸化剤と共に導入して実施することができる。また、通常、反応器に水や酸化剤を供給し、通常設けられる圧力調整弁によって所定の圧力に加圧される。所定の温度、圧力に調整された後、被反応物である濃縮液を含む流体を供給して水熱反応を開始する。
【0018】
水熱反応によって有機物が分解され、反応熱が発生する。このとき水熱反応工程において、濃縮液中の有機物は酸化剤により酸化されて最終的に水と二酸化炭素に分解され、無機物は固体あるいは溶解状態または溶融状態で分離する。反応流体は上記の水熱反応により生成する水と二酸化炭素と無機物の他、濃縮液および酸化剤中の非反応成分、例えば濃縮液中の水、ならびに酸化剤として空気を用いる場合の窒素ガスなどが含まれる。
【0019】
水熱反応器を出た反応流体は、固体を分離することなく、あるいは分離した後、冷却して気液分離される。気液分離後、ガスは中間圧力に減圧し、その一部を高圧ガスとして濃縮工程の動力源に用いる。残りの気体は更に大気圧まで減圧後、系外に放出される。液体は有害物質等を含まないことを確認した後、系外に放流する。
【0020】
ここで分離する高圧ガスは、0.5〜2MPaの圧力を有するように冷却および減圧を行うのが好ましい。液分を分離した高圧ガスは、主として二酸化炭素と酸化剤中の非反応成分などが含まれる。例えば酸化剤として空気を用いる場合は、窒素ガスを主成分とし、これに二酸化炭素その他のガスなどが含まれる。
【0021】
上記により水熱反応工程から分離した高圧ガスは、高圧ガス供給工程において蒸気圧縮動力源として蒸気圧縮式濃縮器に供給するように、高圧ガス供給手段が構成される。蒸気圧縮式濃縮器が高圧ガスを動力源とするタービンにより蒸気を圧縮して加熱源とする構造の場合は、高圧ガスはタービンに供給して蒸気圧縮器の動力源とするように構成することができる。
【0022】
このように水熱反応工程から分離した高圧ガスを蒸気圧縮動力源として、蒸気圧縮式濃縮器を運転することにより、反応流体からエネルギーを回収して低有機物濃度の被処理液を効率よく濃縮できる。この場合、反応流体を冷却して液分を分離した後、減圧した高圧ガスは、一般的な蒸気圧縮式濃縮器の圧縮器の動力源として適した圧力を有しており、特に高圧ガスを動力源とするタービンにより駆動する場合、ならびに酸化剤として空気を加圧して用いる場合に適している。
【0023】
前述のように、反応流体から熱回収し被処理液を蒸発させて濃縮を行う場合は回収熱量が不足するが、高圧ガスを動力源として回収し、蒸気圧縮式濃縮器により被処理液の濃縮を行う場合は、回収エネルギーにより必要な濃縮を行うことができる。この場合、濃縮倍率を上げていくと濃縮に必要な動力は少しずつ増加するが、排出される高圧ガス量は濃縮倍率に反比例して減少する。一般的には濃縮倍率が約3倍以下の場合は回収エネルギーだけで十分濃縮に必要な動力をまかなうことができるが、3倍を超える場合は電力、水蒸気などの外部エネルギーを補給する必要が生じることがある。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、被処理液を蒸気圧縮式濃縮器で濃縮して水熱反応器に供給し、水熱酸化反応により有機物を酸化分解し、水熱反応工程から排出される高圧ガスを濃縮器の蒸気圧縮動力源として供給するようにしたので、水熱反応で生成する反応流体からエネルギーを回収して低有機物濃度の被処理液を効率よく濃縮でき、これにより低コストで効率よく水熱酸化反応を行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は実施形態の水熱反応装置のフロー図である。
【0026】
図1において、1は被処理液槽、2は濃縮器で蒸気圧縮式濃縮器からなり、加熱管3を囲むように加熱室4を有する。5は蒸気圧縮器でタービン6により駆動されるようになっている。7は水熱反応器、8は空気圧縮器、9は燃料槽、11は濃縮液槽、12は水槽、13は冷却器、14は気液分離器、15は調圧器、L1、L2・・・はライン、P1、P2・・・はポンプ、V1、V2・・・は減圧弁である。
【0027】
被処理液槽1から被処理液を供給するポンプP1を有するラインL1が濃縮器2に連絡している。濃縮器2の上部から蒸気を送るラインL2が蒸気圧縮器5に連絡し、蒸気圧縮器5から圧縮蒸気を送るラインL3が濃縮器2の加熱室4に連絡している。濃縮器2の加熱室4から凝縮液を送るラインL4が系外に連絡している。濃縮器2の下部から濃縮液を送るラインL5が濃縮液槽11に連絡している。空気圧縮器8、燃料槽9、濃縮液槽11からそれぞれ圧縮空気、燃料、濃縮液を送るラインL6、L7、L8が水熱反応器7の上部に連絡している。水槽12からクエンチ水を送るラインL9が水熱反応器7の下部に連絡している。
【0028】
水熱反応器7の下部から反応流体を送るライン11が冷却器13に連絡し、冷却器13からラインL12が気液分離器14に連絡している。冷却器13には冷却水路L13が連絡している。気液分離器14から減圧弁V1、V2を有する気体排出用のラインL14および減圧弁V3を有する液体排出用のラインL15が系外に連絡している。ラインL14の減圧弁V1、V2間から調圧器15を介して高圧ガス送るラインL16がタービン6に連絡している。タービン6から排ガスを送るラインL17が系外に連絡している。
【0029】
上記の水熱反応装置においては、被処理液槽1からポンプP1によりラインL1を通して被処理液を濃縮器2に供給して濃縮を行う。濃縮器2では加熱管3を通る被処理液から発生する蒸気がラインL2から蒸気圧縮器5に入って圧縮され、温度上昇した圧縮蒸気がラインL3から濃縮器2の加熱室4に入って、加熱管3を通る被処理液を加熱して蒸発させる操作が連続して行われる。加熱室4で凝縮した凝縮液は蒸留水としてラインL4から系外に取り出され、濃縮された濃縮液はラインL5から濃縮液槽11に送られる。
【0030】
濃縮液槽11の濃縮液は高圧ポンプP3によりラインL8から水熱反応器7に送り、ここで空気圧縮器8からラインL6を通して送られる酸化剤としての圧縮空気と混合し、混合流を水熱反応器7に下向流で供給して水熱反応を行う。このとき必要により燃料槽9からラインL7を通して燃料を水熱反応器7に供給する。水熱反応器7に供給される混合流は反応器7内で、水の超臨界または亜臨界状態における水熱酸化反応を受け、これにより有機物が酸化分解されて水と二酸化炭素が生成する。
【0031】
濃縮液中には塩が溶解しているが、超臨界状態では溶解せず、塩の状態で遊離している。また、亜臨界状態では一部溶解せずに遊離している場合もある。これらの状態で水槽12からラインL9を通してクエンチ水を供給すると、超臨界または亜臨界状態の水の一部が液状となり、未溶解の塩が溶解する。水熱反応器7の反応流体はラインL11から冷却器13に導入して冷却水路L13から供給する冷却水で冷却し、反応流体中の蒸気を液化させる。冷却水路L13に供給する冷却水として、被処理液槽1に供給する被処理液を用いると、水熱反応器7で発生した熱を回収できるので好ましい。
【0032】
冷却器13で液化した液分を含む反応流体はラインL12から気液分離器14に導入して気液分離し、ラインL14から減圧弁V1、V2を通して気体を排出し、ラインL15から減圧弁V3を通して固体を含む液分を排出する。固体を含む液分はさらに固液分離し、固体は有価物または汚泥として、また液体は処理水として系外に排出する。ここで分離する気体は、0.5〜2MPaの圧力の高圧ガスとなるように、減圧弁V1による減圧を行う
【0033】
このとき調圧器15を通してラインL16から高圧ガスをタービン6に供給してタービン6を回転させ、その回転力により蒸気圧縮器5を回転させて蒸気を圧縮し、排ガスはラインL17から系外に排出する。これにより高圧ガスからエネルギーを回収して濃縮器2を運転し、被処理液を濃縮することができる。濃縮器2の濃縮倍率は約3倍以下とすることにより、回収エネルギーだけで十分濃縮に必要な動力をまかなうことができる。濃縮倍率が3倍を超える場合には、モータで蒸気圧縮器5を回転させたり、外部から水蒸気を加熱室4に供給するなどの方法で必要に応じてエネルギーを補給することができる。
【0034】
上記の実施形態において、濃縮器2として加熱管3を囲むように加熱室4を有する蒸気圧縮式濃縮器を示したが、加熱の形式は他の形式のものでもよく、また蒸気圧縮器5および/またはタービン6は濃縮器2と一体化したものを用いてもよい。また水熱反応器7も筒形の反応器を有するものを示したが、チューブ式など他の形式の反応器を有するものを用いてもよい。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1
図1の処理装置において、蒸気圧縮式の濃縮器2は60t/dayの有機性廃液を2.5倍濃縮するのに約32kWの蒸気圧縮動力を消費する。一方、水熱反応器7では24t/dayの有機性廃液を水熱反応で処理すると、23.5MPa、50℃の高圧ガスが生成する。これを1MPaまで減圧して蒸気圧縮器5の動力源として利用すると、熱効率×機械効率=20%とすると、32kWの動力が得られる。実際にそれらの条件通りに各装置を運転したところ、外部から蒸発濃縮のためのエネルギーを供給しなくても、濃縮器2による蒸発濃縮が可能であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】1 被処理液槽
2 濃縮器
3 加熱管
4 加熱室
5 蒸気圧縮器
6 タービン
7 水熱反応器
8 空気圧縮器
9 燃料槽
11 濃縮液槽
12 水槽
13 冷却器
14 気液分離器
15 調圧器
【発明の属する技術分野】
この発明は、被処理液を濃縮し、水の超臨界または亜臨界状態で有機物を酸化分解する水熱反応方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機性廃液などの有機物を含有する被処理液の処理方法として、水および酸化剤の存在下に水の超臨界または亜臨界状態で水熱酸化反応を行い、有機物を酸化分解する水熱反応がある。この水熱反応は有機排液を短時間で高レベルまで分解処理できるほか、高濃度の廃液についても短時間で効率よく処理を行うことが可能である。このような水熱反応では有機物濃度が高いほど発熱量が多いため、低濃度の有機物を含有する被処理液を処理する場合、被処理液を濃縮したのち水熱反応を行っている。
【0003】
被処理液を濃縮するためには、蒸発による濃縮法が広く採用されている。蒸発濃縮法としては、ボイラにより水蒸気を発生させ、この発生水蒸気で被処理液を濃縮する方法が一般的である(例えば特許文献1では、多段式蒸発缶を用いて濃縮を行っている)。しかし、このような方法で水蒸気を発生させるためには、加熱が必要である。水熱反応では水の超臨界または亜臨界状態で反応を行うため、高温の反応流体が生成するが、全体の発熱量は被処理液を濃縮するためには十分ではないので、熱回収を行う場合でも外部からの熱入力が必要となる。
【0004】
被処理液を濃縮するための他の蒸発濃縮法を検討した結果、蒸気圧縮式濃縮器により濃縮を行うと、水熱反応で生成する反応流体からエネルギーを回収して、効率よく被処理液を濃縮できることがわかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−77089号公報[0015]、[0017]、[0023]
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、水熱反応で生成する反応流体からエネルギーを回収して低有機物濃度の被処理液を効率よく濃縮でき、これにより低コストで効率よく水熱酸化反応を行うことができる水熱反応方法および装置を得ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の水熱反応方法および装置である。
(1) 被処理液を蒸気圧縮式濃縮器で濃縮する濃縮工程と、
濃縮された濃縮液を水熱反応器に供給する濃縮液供給工程と、
水熱反応器において水および酸化剤の存在下に、水の超臨界または亜臨界状態で水熱酸化反応を行い、有機物を酸化分解する水熱反応工程と、
水熱反応工程から排出される高圧ガスを濃縮器の蒸気圧縮動力源として供給する高圧ガス供給工程と
を含む水熱反応方法。
(2) 濃縮器が高圧ガスを動力源とするタービンにより蒸気を圧縮して加熱源とし、被処理液を濃縮するものである上記(1)記載の方法。
(3) 酸化剤として空気を加圧して用いる上記(1)または(2)記載の方法。
(4) 高圧ガスが水熱反応流体を冷却し気液分離して得られるものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 被処理液を濃縮する蒸気圧縮式濃縮器と、
濃縮された濃縮液を水熱反応装置に供給する濃縮液供給手段と、
水および酸化剤の存在下に、水の超臨界または亜臨界状態で水熱酸化反応を行い、有機物を酸化分解する水熱反応器と、
水熱反応器から排出される高圧ガスを濃縮器の蒸気圧縮動力源として供給する高圧ガス供給手段と
を含む水熱反応装置。
(6) 濃縮器が高圧ガスを動力源とするタービンにより蒸気を圧縮して加熱源とし、被処理液を濃縮するものである上記(5)記載の装置。
(7) 酸化剤として空気を加圧して水熱反応器に供給する圧縮機を有する上記(5)または(6)記載の装置。
(8) 高圧ガスが水熱反応流体を冷却し気液分離して得られるものである上記(5)ないし(7)のいずれかに記載の装置。
【0008】
本発明において処理の対象となる被処理液は、有機性廃液などの水熱酸化反応により無害の物質に変換できる有機物を含有する液であり、特に低濃度の有機物を含有する被処理液が処理対象として適している。このような被処理液としては、食品製造廃液、有機物を含有する産業廃液、下水、し尿、その他の有機物含有廃液などがあげられるが、これらに限定されない。被処理液の有機物濃度は、一般的には0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%が処理対象として適している。
【0009】
本発明では、このような被処理液を濃縮工程において、蒸気圧縮式濃縮器で濃縮する。濃縮液の有機物濃度は、一般的には2〜30重量%、好ましくは5〜20重量%が水熱反応に適している。蒸気圧縮式濃縮器は、加熱および/または減圧により水蒸気を発生させ、この発生水蒸気を圧縮して温度上昇させ、温度上昇した圧縮蒸気により被処理液を加熱して水蒸気を発生させ、この水蒸気をさらに圧縮して加熱を行い、被処理液を濃縮する方法である。この方法では圧縮機を駆動するための動力が必要であるが、本発明では後述の水熱反応で生成する反応流体から高圧ガスを回収して圧縮機を駆動することにより、低有機物濃度の被処理液を効率よく濃縮する。蒸気圧縮式濃縮器は、高圧ガスを動力源とするタービンにより蒸気を圧縮して加熱源とし、被処理液を濃縮するものが好ましい。
【0010】
本発明の濃縮液供給工程は、濃縮工程において蒸気圧縮式濃縮器で濃縮された濃縮液を水熱反応器に供給するように、濃縮液供給手段が構成される。水熱反応器は高温高圧に維持されるので、この濃縮液供給手段は濃縮液を加圧し、場合によっては加熱して水熱反応器に供給するように構成される。この場合、酸化剤として例えば空気を加圧して廃液とともに水熱反応器に供給するように構成することができる。
【0011】
水熱反応工程では濃縮液供給手段により供給された濃縮液を、水熱反応器において水および酸化剤の存在下に、水の超臨界または亜臨界状態で水熱酸化反応を行い、濃縮液に含まれる有機物の酸化分解を行う。水熱反応器は廃液を酸化剤の存在下に水の超臨界または亜臨界状態に維持して水熱酸化反応を行えるように構成される。ここで水熱酸化反応は、超臨界または亜臨界状態の高温高圧の水および酸化剤の存在下に濃縮液を酸化反応により酸化分解する反応である。超臨界状態とは374℃以上、22MPa以上の状態である。また亜臨界状態とは例えば374℃以上、2.5MPa以上22MPa未満あるいは374℃未満、22MPa以上の状態、あるいは374℃未満、22MPa未満であっても臨界点に近い高温高圧状態をいう。
【0012】
このような水熱酸化反応は濃縮液が酸化剤と混合した状態で水熱反応器において行われ、これらの混合物が反応器内部で水熱反応を受ける。酸化剤としては、空気、酸素、液体酸素、過酸化水素水、硝酸、亜硝酸、硝酸塩、亜硝酸塩等を用いることができるが、濃縮器の蒸気圧縮動力源として高圧ガスを回収するためには、空気を加圧して供給するのが好ましい。酸化剤は濃縮液と混合されて供給されてもよいし、供給口を二重管ノズルにして複層流として供給してもよい。また必要により触媒や中和剤等が添加される場合があるが、これらも濃縮液と混合して、あるいは別々に反応器に供給することができる。
【0013】
本発明で用いられる水熱反応器は超臨界または亜臨界状態で水熱反応を行うように、耐熱、耐圧材料により、実質的に垂直方向に配置した筒状反応器、管状反応器などの反応器で形成される。反応熱だけでは超臨界または亜臨界状態に達しない場合には外部加熱手段を設けることができる。筒状反応器の形状は円筒、だ円筒、多角筒のものを用いることができ、下端部はコーン状とすることができる。上記の水熱反応器としては、従来より水熱酸化反応に用いられているものをそのまま用いることができる。
【0014】
水熱反応器の材質は制限されないが、ハステロイ、インコネル、ステンレス等の耐食性の材質が好ましい。水熱反応器には耐腐食性ライナーを設けるのが好ましい。耐腐食性ライナーは特に限定されず、耐腐食性ライナーと圧力負荷壁との間に間隙が存在するような耐腐食性ライナーを用いることができる。
【0015】
水熱反応器には反応混合物を排出口から排出する前に冷却するための冷却手段を設けることができる。冷却手段は特に限定されないが、反応器内にクエンチ水を導入して冷却し、無機塩を溶解してその排出を促進することができる。また、反応器内に酸やアルカリを含む水を導入して冷却し、アルカリや酸の中和を行うことができる。固体の粘着性が著しい場合には、反応器の内壁に付着した固体を除去するための機械的除去装置を設けることができる。固体除去のための機械的除去装置は特に限定されないが、切欠窓部分を含む実質的に円筒状のスクレーパが好適である。
【0016】
水熱反応器から排出される反応流体中の固形物を分離する分離手段を設けることができる。特に、超臨界状態の反応流体中では無機塩類が溶解せずに固体として含まれているため、不溶化している無機物を分離することにより、処理水の再利用が容易になる。固形物分離手段は特に限定されず、水熱反応器から反応流体を導入する流入口および固体を除去した流体を排出する流出口を備えた容器と、容器内に配設されて前記反応流体に含まれている前記固体を除去し、排出する手段とを備えたものが使用できる。また水熱反応器から排出後の反応流体を冷却、減圧する工程で、固体分離や気液分離の手段を設けることもできる。
【0017】
本発明では水熱反応工程において、上記のような水熱反応器により超臨界または亜臨界状態で水熱反応を行う。水熱反応器による反応開始の手段は特に制限されない。通常、反応器は反応開始にあたって所定の反応温度付近に予熱される。予熱は加熱装置を反応器に設けるか、あるいは灯油などの加熱用燃料を水や酸化剤と共に導入して実施することができる。また、通常、反応器に水や酸化剤を供給し、通常設けられる圧力調整弁によって所定の圧力に加圧される。所定の温度、圧力に調整された後、被反応物である濃縮液を含む流体を供給して水熱反応を開始する。
【0018】
水熱反応によって有機物が分解され、反応熱が発生する。このとき水熱反応工程において、濃縮液中の有機物は酸化剤により酸化されて最終的に水と二酸化炭素に分解され、無機物は固体あるいは溶解状態または溶融状態で分離する。反応流体は上記の水熱反応により生成する水と二酸化炭素と無機物の他、濃縮液および酸化剤中の非反応成分、例えば濃縮液中の水、ならびに酸化剤として空気を用いる場合の窒素ガスなどが含まれる。
【0019】
水熱反応器を出た反応流体は、固体を分離することなく、あるいは分離した後、冷却して気液分離される。気液分離後、ガスは中間圧力に減圧し、その一部を高圧ガスとして濃縮工程の動力源に用いる。残りの気体は更に大気圧まで減圧後、系外に放出される。液体は有害物質等を含まないことを確認した後、系外に放流する。
【0020】
ここで分離する高圧ガスは、0.5〜2MPaの圧力を有するように冷却および減圧を行うのが好ましい。液分を分離した高圧ガスは、主として二酸化炭素と酸化剤中の非反応成分などが含まれる。例えば酸化剤として空気を用いる場合は、窒素ガスを主成分とし、これに二酸化炭素その他のガスなどが含まれる。
【0021】
上記により水熱反応工程から分離した高圧ガスは、高圧ガス供給工程において蒸気圧縮動力源として蒸気圧縮式濃縮器に供給するように、高圧ガス供給手段が構成される。蒸気圧縮式濃縮器が高圧ガスを動力源とするタービンにより蒸気を圧縮して加熱源とする構造の場合は、高圧ガスはタービンに供給して蒸気圧縮器の動力源とするように構成することができる。
【0022】
このように水熱反応工程から分離した高圧ガスを蒸気圧縮動力源として、蒸気圧縮式濃縮器を運転することにより、反応流体からエネルギーを回収して低有機物濃度の被処理液を効率よく濃縮できる。この場合、反応流体を冷却して液分を分離した後、減圧した高圧ガスは、一般的な蒸気圧縮式濃縮器の圧縮器の動力源として適した圧力を有しており、特に高圧ガスを動力源とするタービンにより駆動する場合、ならびに酸化剤として空気を加圧して用いる場合に適している。
【0023】
前述のように、反応流体から熱回収し被処理液を蒸発させて濃縮を行う場合は回収熱量が不足するが、高圧ガスを動力源として回収し、蒸気圧縮式濃縮器により被処理液の濃縮を行う場合は、回収エネルギーにより必要な濃縮を行うことができる。この場合、濃縮倍率を上げていくと濃縮に必要な動力は少しずつ増加するが、排出される高圧ガス量は濃縮倍率に反比例して減少する。一般的には濃縮倍率が約3倍以下の場合は回収エネルギーだけで十分濃縮に必要な動力をまかなうことができるが、3倍を超える場合は電力、水蒸気などの外部エネルギーを補給する必要が生じることがある。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、被処理液を蒸気圧縮式濃縮器で濃縮して水熱反応器に供給し、水熱酸化反応により有機物を酸化分解し、水熱反応工程から排出される高圧ガスを濃縮器の蒸気圧縮動力源として供給するようにしたので、水熱反応で生成する反応流体からエネルギーを回収して低有機物濃度の被処理液を効率よく濃縮でき、これにより低コストで効率よく水熱酸化反応を行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は実施形態の水熱反応装置のフロー図である。
【0026】
図1において、1は被処理液槽、2は濃縮器で蒸気圧縮式濃縮器からなり、加熱管3を囲むように加熱室4を有する。5は蒸気圧縮器でタービン6により駆動されるようになっている。7は水熱反応器、8は空気圧縮器、9は燃料槽、11は濃縮液槽、12は水槽、13は冷却器、14は気液分離器、15は調圧器、L1、L2・・・はライン、P1、P2・・・はポンプ、V1、V2・・・は減圧弁である。
【0027】
被処理液槽1から被処理液を供給するポンプP1を有するラインL1が濃縮器2に連絡している。濃縮器2の上部から蒸気を送るラインL2が蒸気圧縮器5に連絡し、蒸気圧縮器5から圧縮蒸気を送るラインL3が濃縮器2の加熱室4に連絡している。濃縮器2の加熱室4から凝縮液を送るラインL4が系外に連絡している。濃縮器2の下部から濃縮液を送るラインL5が濃縮液槽11に連絡している。空気圧縮器8、燃料槽9、濃縮液槽11からそれぞれ圧縮空気、燃料、濃縮液を送るラインL6、L7、L8が水熱反応器7の上部に連絡している。水槽12からクエンチ水を送るラインL9が水熱反応器7の下部に連絡している。
【0028】
水熱反応器7の下部から反応流体を送るライン11が冷却器13に連絡し、冷却器13からラインL12が気液分離器14に連絡している。冷却器13には冷却水路L13が連絡している。気液分離器14から減圧弁V1、V2を有する気体排出用のラインL14および減圧弁V3を有する液体排出用のラインL15が系外に連絡している。ラインL14の減圧弁V1、V2間から調圧器15を介して高圧ガス送るラインL16がタービン6に連絡している。タービン6から排ガスを送るラインL17が系外に連絡している。
【0029】
上記の水熱反応装置においては、被処理液槽1からポンプP1によりラインL1を通して被処理液を濃縮器2に供給して濃縮を行う。濃縮器2では加熱管3を通る被処理液から発生する蒸気がラインL2から蒸気圧縮器5に入って圧縮され、温度上昇した圧縮蒸気がラインL3から濃縮器2の加熱室4に入って、加熱管3を通る被処理液を加熱して蒸発させる操作が連続して行われる。加熱室4で凝縮した凝縮液は蒸留水としてラインL4から系外に取り出され、濃縮された濃縮液はラインL5から濃縮液槽11に送られる。
【0030】
濃縮液槽11の濃縮液は高圧ポンプP3によりラインL8から水熱反応器7に送り、ここで空気圧縮器8からラインL6を通して送られる酸化剤としての圧縮空気と混合し、混合流を水熱反応器7に下向流で供給して水熱反応を行う。このとき必要により燃料槽9からラインL7を通して燃料を水熱反応器7に供給する。水熱反応器7に供給される混合流は反応器7内で、水の超臨界または亜臨界状態における水熱酸化反応を受け、これにより有機物が酸化分解されて水と二酸化炭素が生成する。
【0031】
濃縮液中には塩が溶解しているが、超臨界状態では溶解せず、塩の状態で遊離している。また、亜臨界状態では一部溶解せずに遊離している場合もある。これらの状態で水槽12からラインL9を通してクエンチ水を供給すると、超臨界または亜臨界状態の水の一部が液状となり、未溶解の塩が溶解する。水熱反応器7の反応流体はラインL11から冷却器13に導入して冷却水路L13から供給する冷却水で冷却し、反応流体中の蒸気を液化させる。冷却水路L13に供給する冷却水として、被処理液槽1に供給する被処理液を用いると、水熱反応器7で発生した熱を回収できるので好ましい。
【0032】
冷却器13で液化した液分を含む反応流体はラインL12から気液分離器14に導入して気液分離し、ラインL14から減圧弁V1、V2を通して気体を排出し、ラインL15から減圧弁V3を通して固体を含む液分を排出する。固体を含む液分はさらに固液分離し、固体は有価物または汚泥として、また液体は処理水として系外に排出する。ここで分離する気体は、0.5〜2MPaの圧力の高圧ガスとなるように、減圧弁V1による減圧を行う
【0033】
このとき調圧器15を通してラインL16から高圧ガスをタービン6に供給してタービン6を回転させ、その回転力により蒸気圧縮器5を回転させて蒸気を圧縮し、排ガスはラインL17から系外に排出する。これにより高圧ガスからエネルギーを回収して濃縮器2を運転し、被処理液を濃縮することができる。濃縮器2の濃縮倍率は約3倍以下とすることにより、回収エネルギーだけで十分濃縮に必要な動力をまかなうことができる。濃縮倍率が3倍を超える場合には、モータで蒸気圧縮器5を回転させたり、外部から水蒸気を加熱室4に供給するなどの方法で必要に応じてエネルギーを補給することができる。
【0034】
上記の実施形態において、濃縮器2として加熱管3を囲むように加熱室4を有する蒸気圧縮式濃縮器を示したが、加熱の形式は他の形式のものでもよく、また蒸気圧縮器5および/またはタービン6は濃縮器2と一体化したものを用いてもよい。また水熱反応器7も筒形の反応器を有するものを示したが、チューブ式など他の形式の反応器を有するものを用いてもよい。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1
図1の処理装置において、蒸気圧縮式の濃縮器2は60t/dayの有機性廃液を2.5倍濃縮するのに約32kWの蒸気圧縮動力を消費する。一方、水熱反応器7では24t/dayの有機性廃液を水熱反応で処理すると、23.5MPa、50℃の高圧ガスが生成する。これを1MPaまで減圧して蒸気圧縮器5の動力源として利用すると、熱効率×機械効率=20%とすると、32kWの動力が得られる。実際にそれらの条件通りに各装置を運転したところ、外部から蒸発濃縮のためのエネルギーを供給しなくても、濃縮器2による蒸発濃縮が可能であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】1 被処理液槽
2 濃縮器
3 加熱管
4 加熱室
5 蒸気圧縮器
6 タービン
7 水熱反応器
8 空気圧縮器
9 燃料槽
11 濃縮液槽
12 水槽
13 冷却器
14 気液分離器
15 調圧器
Claims (8)
- 被処理液を蒸気圧縮式濃縮器で濃縮する濃縮工程と、
濃縮された濃縮液を水熱反応器に供給する濃縮液供給工程と、
水熱反応器において水および酸化剤の存在下に、水の超臨界または亜臨界状態で水熱酸化反応を行い、有機物を酸化分解する水熱反応工程と、
水熱反応工程から排出される高圧ガスを濃縮器の蒸気圧縮動力源として供給する高圧ガス供給工程と
を含む水熱反応方法。 - 濃縮器が高圧ガスを動力源とするタービンにより蒸気を圧縮して加熱源とし、被処理液を濃縮するものである請求項1記載の方法。
- 酸化剤として空気を加圧して用いる請求項1または2記載の方法。
- 高圧ガスが水熱反応流体を冷却し気液分離して得られるものである請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 被処理液を濃縮する蒸気圧縮式濃縮器と、
濃縮された濃縮液を水熱反応装置に供給する濃縮液供給手段と、
水および酸化剤の存在下に、水の超臨界または亜臨界状態で水熱酸化反応を行い、有機物を酸化分解する水熱反応器と、
水熱反応器から排出される高圧ガスを濃縮器の蒸気圧縮動力源として供給する高圧ガス供給手段と
を含む水熱反応装置。 - 濃縮器が高圧ガスを動力源とするタービンにより蒸気を圧縮して加熱源とし、被処理液を濃縮するものである請求項5記載の装置。
- 酸化剤として空気を加圧して水熱反応器に供給する圧縮機を有する請求項5または6記載の装置。
- 高圧ガスが水熱反応流体を冷却し気液分離して得られるものである請求項5ないし7のいずれかに記載の装置。
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JP2015085280A (ja) * | 2013-10-31 | 2015-05-07 | 木村化工機株式会社 | 高温高圧反応処理装置 |
-
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