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JP2004176868A - ディスクブレーキ - Google Patents

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JP2004176868A
JP2004176868A JP2002346394A JP2002346394A JP2004176868A JP 2004176868 A JP2004176868 A JP 2004176868A JP 2002346394 A JP2002346394 A JP 2002346394A JP 2002346394 A JP2002346394 A JP 2002346394A JP 2004176868 A JP2004176868 A JP 2004176868A
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disk
guide portion
disc brake
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Yoshiyuki Kato
嘉幸 加藤
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Advics Co Ltd
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Abstract

【課題】一対の摩擦パッドが径方向に差がない状態で相互に離反しやすいディスクブレーキを提案する。
【解決手段】ディスクDに押圧される一対の摩擦パッド4と、一対の摩擦パッド4をバネ力によって互いに離反させる戻しスプリング5とを備えるディスクブレーキ1であって、戻しスプリング5は、ディスクDの外周側方においてディスクDを軸方向に跨ぐ跨ぎ部50と、跨ぎ部50からディスクDの軸中心側へ延出し、摩擦パッド4の径方向中央寄り位置まで延出するつなぎ部51を有する。そしてつなぎ部51の先端部には、摩擦パッド4の径方向中央寄り位置に係止する係止部52を有する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディスクブレーキに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスクブレーキは、一般にディスクに押圧される一対の摩擦パッドと、一対の摩擦パッドをバネ力によって互いに離反させる戻しスプリングを備える(例えば、特許文献1)。
特許文献1によると戻しスプリングは、ばね線材を曲げ加工して形成される。そして戻しスプリングは、ディスクの外周より外方においてディスクを軸方向に跨ぐ跨ぎ部と、摩擦パッドに係止する係止部を有する。
そして係止部は、摩擦パッドの径方向外周端面に穿孔された係止穴に差し込まれ、摩擦パッドの外周端面に係止されていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−175523号公報(第3図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そのため摩擦パッドの径方向外周端側が、戻しスプリングによって付勢されやすく、その反面、径方向内周端側が付勢されにくい構造であった。そして内周端側が、外周端側に比べて戻り距離が短くなることで、摩擦パッドがディスクに対して十分に戻ることができず、鳴きの原因になることもあった。
そこで本発明は、一対の摩擦パッドが径方向に差がない状態で相互に離反しやすいディスクブレーキを提案することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明は、上記各請求項に記載の通りの構成を備えるディスクブレーキであることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、戻しスプリングは、ディスクの外周より外方においてディスクを軸方向に跨ぐ跨ぎ部と、跨ぎ部からディスクの軸中心側へ延出し、摩擦パッドの径方向中央寄り位置まで延出するつなぎ部を有する。そしてつなぎ部の先端部には、摩擦パッドの径方向中央寄り位置に係止する係止部を有する。
【0006】
すなわち戻しスプリングは、摩擦パッドの径方向中央寄り位置に係止する。そして摩擦パッドは、戻しスプリングによって径方向中央寄り位置が付勢される。
したがって戻しスプリングによる摩擦パッドの戻り距離は、径方向によって差が生じにくい。すなわち摩擦パッドの径方向の外周端部の戻り距離と、径方向の内周端部の戻り距離がほぼ同じになる。そのため一対の摩擦パッドは、径方向に斜めになることなく相互に並行して離反し、ディスクから離反しやすい。
【0007】
請求項2に記載の発明によれば、戻しスプリングのつなぎ部は、摩擦パッドの周方向端部に沿って、周方向端部とマウンティングの間の隙間を通り、摩擦パッドの径方向中央寄り位置まで延出する。
すなわちつなぎ部は、摩擦パッドとマウンティングの間の隙間を通過する。
したがってつなぎ部は、既存の隙間を利用して摩擦パッドの径方向中央寄り位置まで延出する。そのためディスクブレーキは、つなぎ部を径方向に通過させるための特別な構造を必要とせず、容易な構成で構成される。
【0008】
請求項3に記載の発明によると、摩擦パッドは、マウンティングに対してディスク軸方向にスライド可能に支持されるガイド部を周方向端部の径方向中央寄り位置に備える。そして戻しスプリングの係止部が、そのガイド部に係止される。
すなわち摩擦パッドは、径方向中央寄り位置にガイド部を備え、そのガイド部に戻しスプリングの係止部が係止される。
したがって摩擦パッドは、ガイド部を介して径方向中央寄り位置が付勢される。また係止部は、ガイド部を利用して係止する。そのためディスクブレーキは、係止部を係止させるための特別な構造を必要とせず、容易な構成で構成される。
【0009】
請求項4に記載の発明によれば、摩擦パッドは、摩擦材を裏面から支持する裏板を備え、ガイド部が裏板の周方向端部に周方向端部から周方向外方へ向けて突設される。そして戻しスプリングのつなぎ部は、ガイド部とディスクの間を径方向に延出してガイド部に当接する押圧部を有し、押圧部がガイド部を戻し方向に押圧する。
すなわちつなぎ部は、ガイド部を押圧する押圧部を有する。そして押圧部は、径方向に延出し、径方向所定長さに渡ってガイド部に当接する。またガイド部は、摩擦パッドの径方向中央寄り位置に設けられている(請求項3参照)。
したがって摩擦パッドは、ガイド部が押圧され、径方向中央寄り位置が押圧される。またガイド部は、押圧部によって径方向所定長さに渡って押圧され、摩擦パッドが径方向中央寄りの径方向所定長さに渡って押圧される。
そのため摩擦パッドの戻り距離は、径方向によって差が生じにくい。かくして一対の摩擦パッドは、径方向に斜めになることなく相互に並行して離反し、ディスクから離反しやすい。
【0010】
請求項5に記載の発明によれば、摩擦パッドは、摩擦材を裏面から支持する裏板を備え、ガイド部が裏板の周方向端部に周方向端部から周方向外方へ向けて突設される。そして戻しスプリングの係止部は、ガイド部の径方向内周端部の形状に倣って折り返してガイド部の径方向内周端部に係止する。
すなわち係止部が、ガイド部の径方向内周端部に折り返し状に係止する。したがって戻しスプリングは、容易な構造で抜け止めされる。
また係止部は、ガイド部の径方向内周端部に倣う。そのため係止部は、安定良く摩擦パッドに係止する。
【0011】
請求項6に記載の発明によれば、戻しスプリングの跨ぎ部は、バネ力を調整するために、環状に巻かれた環状部、あるいは複数回折り返して形成されたヒダ部を有する。そして環状部あるいはヒダ部によって跨ぎ部が、ディスク軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。
すなわち戻しスプリングは、環状部あるいはヒダ部によってバネ長を調整でき、バネ力を調整することができる。そして環状部あるいはヒダ部は、跨ぎ部に設けられ、跨ぎ部をディスク軸方向に弾性変形しやすい構造にしている。
【0012】
そのため次のような効果を有する。例えば係止部の弾性変形量が少なくなり、係止部が摩擦パッドに対して安定良く係止する。あるいは跨ぎ部がディスク軸方向に弾性変形することで、つなぎ部が、ディスクに対して径方向に斜めになることなく並行して移動しやすい。そしてつなぎ部が請求項4の記載の発明のように押圧部を有する場合は、摩擦パッドが径方向に斜めになることなく並行して離反し、ディスクから離反しやすい。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1を図1〜4にしたがって説明する。
ディスクブレーキ1は、図1に示すようにディスクDに押圧される一対の摩擦パッド4と、摩擦パッド4をディスクDへ押圧するシリンダ30(図3参照)を備えるキャリパ3と、キャリパ3を支持するマウンティング2を備える。またディスクブレーキ1は、一対の摩擦パッド4をバネ力によって互いを離反させる戻しスプリング5を周方向両端側(図1の左右両端側)に各一つ備える。
【0014】
マウンティング2は、車両側に固定的に取付けられ、キャリパ3と摩擦パッド4をスライド可能に支持する。
マウンティング2は、図2に示すように摩擦パッド4をスライド可能に支持する案内部20を備え、案内部20は、摩擦パッド4をディスクDの軸方向(紙面垂直方向)に案内する。
案内部20は、摩擦パッド4側の面(周方向内側面)から周方向外側に向けて凹状に形成されている。そして案内部20は、ディスクDの軸方向(紙面垂直方向)に所定長さに渡って形成されている。また案内部20は、摩擦パッド4の周方向Rの両端部に設けられ、摩擦パッド4の周方向両端部をスライド可能に支持する。
【0015】
キャリパ3は、図3に示すように摩擦パッド4をディスクD側に押圧するシリンダ30を有する。またキャリパ3は、図1に示すようにスライドピンなどを備えるスライド部材10を介してマウンティング2にスライド可能に取付けられ、ディスクD軸方向にスライド可能に支持される。
【0016】
摩擦パッド4は、図3に示すようにディスクDに押圧されて摩擦力を生ずる摩擦材40と、摩擦材40の裏面を支持する裏板41を備える。
裏板41は、図2に示すように周方向Rの両端部のそれぞれにガイド部42(耳部)を有する。このガイド部42は、裏板41の周方向端部に周方向端部から周方向外方へ突設されている。そしてガイド部42は、マウンティング2の案内部20に差し込まれてマウンティング2に支持される。またガイド部42は、案内部20によってディスクD軸方向に案内される。
【0017】
ガイド部42は、裏板41の周方向端部の径方向Nの中央寄り位置に設けられている。なおここにいう中央寄り位置とは、厳密な中央位置に限定されず、実質的な中央寄りの位置をいい、径方向外周端部と径方向内周端部を避けた位置をいう。
またガイド部42は、裏板41の周方向端部の径方向中心位置を含む径方向所定長さ部分から突出している。
またガイド部42と案内部20の間には、図2に示すように金属板から形成されたサポート部材21が設けられている。このサポート部材21は、ガイド部42の形状に倣った形状を備える。そしてサポート部材21は、摩擦パッド4がマウンティング2に対して直接当接することを防止し、錆による摩擦パッド4とマウンティング2との固着等を防止する。
【0018】
戻しスプリング5は、線状のバネ材から形成されている(図4参照)。
また戻しスプリング5は、図3に示すようにディスクDの外周より外方においてディスクDを軸方向に跨ぐ跨ぎ部50と、跨ぎ部50からディスクDの軸中心側へ延出するつなぎ部51と、摩擦パッド4に係止する係止部52を有する。
跨ぎ部50は、ディスクDの外周端から外周より外方へ膨らむアーチ形状を有し、ディスクDに当りにくい構造になっている。また跨ぎ部50は、中心部において角部(曲率が小さいものも含む)を有する。したがって跨ぎ部50は、その角部近傍において弾性変形しやすい。
【0019】
つなぎ部51は、図2に示すようにディスクDの外周端側からディスクD軸中心側に向けて延出し、摩擦パッド4の径方向中央寄り位置まで延出する。またつなぎ部51は、摩擦パッド4の周方向端部に沿って、その周方向端部とマウンティング2の間の隙間11を通って、摩擦パッド4の径方向中央寄り位置まで延出する。すなわちつなぎ部51は、隙間11を利用して径方向に延出している。
またつなぎ部51は、図4に示すように摩擦パッド4に形成されたガイド部42(耳部)とディスクDの間を径方向に延出する。そしてつなぎ部51は、ガイド部42のディスクD側の面に当接する押圧部51aを有し、押圧部51aは、径方向に延出する。
【0020】
したがって押圧部51aは、戻しスプリング5のバネ力によってガイド部42を戻し方向(離反方向)に押圧する。また押圧部51aは、径方向に延出するため、ガイド部42を径方向所定長さに渡って押圧する。
かくして摩擦パッド4は、戻しスプリング5のバネ力によってガイド部42が押圧され、径方向中央寄り位置が押圧される。またガイド部42は、押圧部51aによって径方向所定長さに渡って押圧され、摩擦パッド4が径方向中央寄りの径方向所定長さに渡って押圧される。
そのため摩擦パッド4の戻り距離は、径方向によって差が生じにくい。かくして一対の摩擦パッド4は、径方向に斜めになることなく相互に並行して離反し、ディスクDから離反しやすい。
【0021】
係止部52は、図4に示すようにつなぎ部51の先端部からディスクD外側に折り返し状に延出する。
すなわち係止部52は、つなぎ部51先端からディスクD軸方向へ延出する抜止部52aと、抜止部52aから折返して延出する折返し部52bを有する。
抜止部52aは、ガイド部42の径方向内周端部に沿う。したがって抜止部52aは、戻しスプリング5が抜ける方向(径方向)に移動することを防止する。
またガイド部42は、図2に示すように抜止部52aがガイド部42から突出することを防止するために径方向内周端部に溝42aを有する。したがって抜止部52aは、溝42aに差し込まれることでガイド部42から突出せず、摩擦パッド4のスライドを妨害しない。
【0022】
折返し部52bは、ガイド部42の裏側面(ディスクD対向面の裏側面)に沿う。したがって戻しスプリング5は、ガイド部42に対して安定よく係止する。
また抜止部52aは、図2に示すようにガイド部42の径方向内周端部とサポート部材21の間に配設されている。したがって抜止部52aは、サポート部材21によってディスク軸中心側へ落ち込むことが防止され、戻しスプリング5の落ち込みを防止する。
【0023】
以上のようにしてディスクブレーキ1が形成される。
すなわち戻しスプリング5は、摩擦パッド4の径方向中央寄り位置に係止する。そして摩擦パッド4は、戻しスプリング5によって径方向中央寄り位置が付勢される。
したがって戻しスプリング5による摩擦パッド4の戻り距離は、径方向によって差が生じにくい。すなわち摩擦パッド4の径方向の外周端部と、径方向の内周端部の戻り距離がほぼ同じになる。そのため一対の摩擦パッド4は、径方向に斜めになることなく相互に並行して離反し、ディスクから離反しやすい。
【0024】
また摩擦パッド4は、径方向中央寄り位置にガイド部42を備え、そのガイド部42に戻しスプリング5の係止部52が係止される。
したがって摩擦パッド4は、ガイド部42を介して径方向中央寄り位置が付勢される。また係止部52は、ガイド部42を利用して係止する。そのためディスクブレーキ1は、係止部52を係止させるための特別な構造を必要とせず、容易な構成で構成される。
また戻しスプリング5のつなぎ部51は、摩擦パッド4とマウンティング2の間の隙間11を通過する。したがってつなぎ部51は、既存の隙間11を利用して摩擦パッド4の径方向中央寄り位置まで延出する。そのためディスクブレーキ1は、つなぎ部51を径方向に通過させるための特別な構造を必要とせず、容易な構成で構成される。
【0025】
また係止部52は、ガイド部42の径方向内周端部に折り返し状に係止する。したがって戻しスプリング5は、容易な構造で抜け止めされる。
また係止部52は、ガイド部42の径方向内周端部に倣う。そのため係止部52は、安定良く摩擦パッド4に係止する。
また跨ぎ部50は、その中央部に角部を有する。そして戻しスプリング5が弾性変形する際には、その角部近傍に応力が集中しやすく、跨ぎ部50が弾性変形しやすい。そのため、係止部52の弾性変形量が少なくなり、係止部52が摩擦パッド4に対して安定良く係止する。
また跨ぎ部50は、角部によってディスク軸方向に弾性変形しやすい。そのためつなぎ部51は、ディスクDに対して径方向に斜めになることなく並行して移動しやすい。そしてつなぎ部51の押圧部51aが摩擦パッド4を径方向に斜めにすることなく押圧しやすい。
【0026】
(実施の形態2)
実施の形態2を図5にしたがって説明する。実施の形態2は、実施の形態1とほぼ同様に構成されるが、戻しスプリングの構造が一部異なる。
すなわち実施の形態2にかかる戻しスプリング5は、跨ぎ部50とつなぎ部51と係止部52を有する。そして跨ぎ部50が、環状に巻かれた環状部50aを有する。
環状部50aは、跨ぎ部50の中央寄りに設けられている。また環状部50aは、弾性変形されることで環状部50aの径が変化する構造である。そして環状部50aは、径の変化によって跨ぎ部50の延出方向、すなわちディスク軸方向の長さを変化させる。
【0027】
また環状部50aは、戻しスプリング5のバネ長を長くする(調整する)。そのため環状部50aによって戻しスプリング5のバネ力を調整することができる。そして環状部50aは、跨ぎ部50に設けられ、跨ぎ部50をディスク軸方向に弾性変形しやすい構造にしている。
そのため係止部52の弾性変形量が少なくなり、係止部52が摩擦パッド4に対して安定良く係止する。また跨ぎ部50がディスク軸方向に弾性変形することで、つなぎ部51が、ディスクDに対して径方向に斜めになることなく並行して移動しやすい。そしてつなぎ部51の押圧部51aが摩擦パッド4を径方向に斜めにすることなく押圧し、摩擦パッド4が径方向に斜めになることなく並行して離反し、ディスクDから離反しやすい。
なお環状部50aにおける巻数は、一重であっても複数であってもよく、その巻数によってバネ力を調整することができる。
【0028】
(実施の形態3)
実施の形態3を図6にしたがって説明する。実施の形態3は、実施の形態1とほぼ同様に構成されるが、戻しスプリングの構造が一部異なる。
すなわち実施の形態3にかかる戻しスプリング5は、跨ぎ部50とつなぎ部51と係止部52を有する。そして跨ぎ部50が、環状に巻かれた環状部50bを複数(例えば二つ)有する。
環状部50bは、跨ぎ部50の延出方向に並んで設けられている。これら環状部50bは、弾性変形されることで環状部50bの径がそれぞれ変化する構造である。そして環状部50bは、径の変化によって跨ぎ部50の延出方向、すなわちディスク軸方向の長さを変化させる。
なお環状部50bにおける巻数は、一重であっても複数であってもよく、その巻数によってバネ力を調整することができる。
したがって実施の形態3は、実施の形態2と同様の作用効果、あるいはそれ以上の作用効果を有する。
【0029】
(実施の形態4)
実施の形態4を図7,8にしたがって説明する。実施の形態4は、実施の形態1とほぼ同様に構成されており、図4に示す戻しスプリング5に代えて図7に示す戻しスプリング6を有する形態である。
実施の形態4にかかる戻しスプリング6は、図7に示すように板状のバネ材から形成され、跨ぎ部60とつなぎ部61を有する。また戻しスプリング6は、摩擦パッド4の径方向内周端部に係止する係止部62と、径方向外周端部に係止する係止部63を有する。
【0030】
跨ぎ部60は、ディスクDの外周より外方においてディスクDを軸方向に跨ぐ。また跨ぎ部60には、図7に示すように複数回折り返して形成されたヒダ部60aが設けられている。
ヒダ部60aは、跨ぎ部60の中央寄りに設けられている。またヒダ部60aは、弾性変形されることで折返し角度が変化する構造である。そしてヒダ部60aは、折返し角度の変化によって跨ぎ部60の延出方向、すなわちディスク軸方向の長さを変化させる。
【0031】
つなぎ部61は、図8に示すように跨ぎ部60からディスクDの軸中心側へ延出し、摩擦パッド4の径方向中央寄り位置まで延出する。またつなぎ部61は、図7に示すようにガイド部42のディスクD側の面に当接する押圧部61aを有し、押圧部61aは、ガイド部42に面接する。
係止部62は、図7に示すようにつなぎ部61の先端に設けられている。そして係止部62は、ガイド部42の径方向内側端に折り返し状に係止する。
【0032】
一方、係止部63は、つなぎ部61の中央寄りに設けられている。この係止部63は、つなぎ部61からガイド部42の面に沿ってディスクDの軸方向に張出す張出部63aと、張出部63aの径方向外周端部(上端部)からガイド部42の径方向外周端部に向けて延出し径方向外周端部を覆う覆い部63bと、覆い部63bからガイド部42の裏側面に沿って延出する掛止部63cを有する。
したがって係止部63は、ガイド部42の径方向外側端に倣って係止する。
【0033】
そして戻しスプリング6は、摩擦パッド4に対して径方向Nへの移動が規制される。すなわち係止部62によって抜ける方向への移動が規制され、係止部63によって落ち込む方向への移動が規制される。
またガイド部42には、図8に示すように係止部62が差し込まれる溝42aと、係止部63が差し込まれる溝42bが設けられている。したがって係止部62,63は、溝42a,42bに差し込まれることでガイド部42から突出せず、摩擦パッド4のスライドを妨害しない。
【0034】
以上のようにして戻しスプリング6が形成される。
すなわち戻しスプリング6は、ヒダ部60aによってバネ長を調整できる。そのため戻しスプリング6は、ヒダ部60aによってバネ力を調整することができる。そしてヒダ部60aは、跨ぎ部60に設けられ、跨ぎ部60をディスク軸方向に弾性変形しやすい構造にしている。
そのため係止部62の弾性変形量が少なくなり、係止部62が摩擦パッド4に対して安定良く係止する。また跨ぎ部60がディスク軸方向に弾性変形することで、つなぎ部61が、ディスクDに対して径方向に斜めになることなく並行して移動しやすい。そしてつなぎ部61の押圧部61aは、摩擦パッド4を径方向に斜めにすることなく押圧し、摩擦パッド4は、径方向に斜めになることなく並行して離反し、ディスクDから離反しやすい。
【0035】
なおヒダ部60aは、図7に示すように三つの山を有した五つの折返し点を備える形態でもよいが、山を二つ備え、折返し点を三つ備える形態、あるいは山を四つ以上備え、折り返し点を七つ以上備える形態であってもよい。そしてその折返し数を調整することで跨ぎ部60のバネ力を調整することができる。
また張出部63aは、押圧部61aとともにガイド部42に対して面接する。したがって張出部63aは、押圧部61aとともにガイド部42を押圧する。したがって摩擦パッド4は、張出部63aと押圧部61aによって押圧されて安定よく離反される。
【0036】
(実施の形態5)
実施の形態5を図9〜11にしたがって説明する。実施の形態5は、実施の形態1とほぼ同様に構成されており、図4などに示す戻しスプリング5に代えて図9に示す戻しスプリング7を有する形態である。
実施の形態5にかかる戻しスプリング7は、図9に示すように線状のバネ材から形成され、跨ぎ部70とつなぎ部71と係止部72を有する。
【0037】
跨ぎ部70は、図10に示すように摩擦パッド4の外周端部とキャリパ3との間に形成された隙間12を通って、摩擦パッド4の周方向中央寄りまで延出する周方向延出部70aと、周方向延出部70aの先端からディスクD軸方向に延出してディスクD外周より外方においてディスクDを軸方向に跨ぐ軸方向延出部70bを備える。
軸方向延出部70bは、図10に示すようにディスクDから外周より外方(図面手前側)に立ち上がり、図11に示すキャリパ3の開口窓31に配設されている。
つなぎ部71と係止部72は、実施の形態1のつなぎ部51と係止部52と同様に形成される(図4参照)。そのためここでは、これらの説明を割愛する。
【0038】
以上のようにして戻しスプリング7が形成される。
すなわち戻しスプリング7は、跨ぎ部70の周方向延出部70aの延出長さによってバネ長を調整できる。そのため戻しスプリング7は、周方向延出部70aによってバネ力を調整することができる。そして周方向延出部70aは、跨ぎ部70に設けられ、跨ぎ部70を弾性変形しやすい構造にしている。
そのため係止部72の弾性変形量が少なくなり、係止部72が摩擦パッド4に対して安定良く係止する。また跨ぎ部70がディスク軸方向に弾性変形することで、つなぎ部71が、ディスクDに対して径方向に斜めになることなく並行して移動しやすい。そしてつなぎ部71は、摩擦パッド4を径方向に斜めにすることなく押圧し、摩擦パッド4は、径方向に斜めになることなく並行して離反し、ディスクDから離反しやすい。
【0039】
(他の実施の形態)
上記の実施の形態1〜5は、摩擦パッドのガイド部が、摩擦パッドの周方向端部に突設されていた。そしてマウンティングの案内部は、凹状に形成されていた。しかし次の形態であってもよい。
すなわちガイド部が凹状に形成され、案内部がガイド部の形状に応じて突状に形成される。そして凹状に形成されたガイド部に戻しスプリングの係止部が係止される形態であってもよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明に係るディスクブレーキによれば、一対の摩擦パッドが径方向に差がない状態で相互に離反しやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスクブレーキの上面図である。
【図2】図1のA−A線断面矢視図である。
【図3】図1のB−B線断面矢視図である。
【図4】戻しスプリングの正面図(側面図)である。
【図5】実施の形態2にかかる戻しスプリングの正面図である。
【図6】実施の形態3にかかる戻しスプリングの正面図である。
【図7】実施の形態4にかかる戻しスプリングの斜視図である。
【図8】実施の形態4にかかるディスクブレーキの図2に相当する断面図である。
【図9】実施の形態5にかかる戻しスプリングの斜視図である。
【図10】実施の形態5にかかるディスクブレーキの図2に相当する断面図である。
【図11】実施の形態5にかかるディスクブレーキの一部上面図である。
【符号の説明】
1…ディスクブレーキ
2…マウンティング
3…キャリパ
4…摩擦パッド
5,6,7…戻しスプリング
11…隙間
20…案内部
40…摩擦材
41…裏板
42…ガイド部
50,60,70…跨ぎ部
51,61,71…つなぎ部
51a,61a…押圧部
52,62,63,72…係止部

Claims (6)

  1. ディスクに押圧される一対の摩擦パッドと、前記一対の摩擦パッドをバネ力によって互いに離反させる戻しスプリングとを備えるディスクブレーキであって、
    前記戻しスプリングは、前記ディスクの外周より外方において前記ディスクを軸方向に跨ぐ跨ぎ部と、前記跨ぎ部から前記ディスクの軸中心側へ延出し、前記摩擦パッドの径方向中央寄り位置まで延出するつなぎ部を有し、そのつなぎ部の先端部には、前記摩擦パッドの径方向中央寄り位置に係止する係止部を有することを特徴とするディスクブレーキ。
  2. 請求項1に記載のディスクブレーキであって、
    戻しスプリングのつなぎ部は、摩擦パッドの周方向端部に沿って、前記周方向端部とマウンティングの間の隙間を通り、前記摩擦パッドの径方向中央寄り位置まで延出することを特徴とするディスクブレーキ。
  3. 請求項1または2に記載のディスクブレーキであって、
    摩擦パッドは、マウンティングに対してディスク軸方向にスライド可能に支持されるガイド部を周方向端部の径方向中央寄り位置に備え、
    戻しスプリングの係止部が、前記ガイド部に係止されることを特徴とするディスクブレーキ。
  4. 請求項3に記載のディスクブレーキであって、
    摩擦パッドは、摩擦材を裏面から支持する裏板を備え、ガイド部が前記裏板の周方向端部に周方向端部から周方向外方へ向けて突設され、
    戻しスプリングのつなぎ部は、前記ガイド部とディスクの間を径方向に延出して前記ガイド部に当接する押圧部を有し、前記押圧部が前記ガイド部を戻し方向に押圧することを特徴とするディスクブレーキ。
  5. 請求項3に記載のディスクブレーキであって、
    摩擦パッドは、摩擦材を裏面から支持する裏板を備え、ガイド部が前記裏板の周方向端部に周方向端部から周方向外方へ向けて突設され、
    戻しスプリングの係止部は、前記ガイド部の径方向内周端部の形状に倣って折り返し、前記ガイド部の径方向内周端部に係止することを特徴とするディスクブレーキ。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のディスクブレーキであって、
    戻しスプリングの跨ぎ部は、バネ力を調整するために、環状に巻かれた環状部、あるいは複数回折り返されて形成されたヒダ部を有し、前記環状部あるいは前記ヒダ部によって前記跨ぎ部が、ディスク軸方向に弾性変形しやすい構造になっていることを特徴とするディスクブレーキ。
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