【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明基材フィルム上にハードコート層を積層した、優れた耐擦傷性、表面硬度を有するハードコートフィルムの切断方法に関する。さらに、本発明は上記のハードコート層を有するハードコートフィルムが物品表面上に積層されているハードコート処理物品に関する。
なお、本発明において切断とは、所望の形状に裁断する場合も含む。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチック製品が、加工性、軽量化の観点でガラス製品と置き換わりつつあるが、これらプラスチック製品の表面は傷つきやすいため、耐擦傷性を付与する目的でハードコートフィルムを貼合して用いる場合が多い。また、従来のガラス製品に対しても、飛散防止のためにプラスチックフィルムを貼合する場合が増えているが、フィルム表面の硬度不足のため、その表面にハードコート層を形成することが広く行われている。
【0003】
従来のハードコートフィルムは、通常、熱硬化性樹脂、あるいは紫外線硬化性樹脂などの活性エネルギー線重合性樹脂をプラスチック基材フィルム上に直接、或いは1μm程度またはそれ以下のプライマー層を介して、3〜10μm程度の薄い塗膜を形成して製造している。
【0004】
ハードコート層の硬度を上げるために、該層の樹脂形成成分を多官能性アクリル酸エステル系モノマーとし、これにアルミナ、シリカ、酸化チタンなどの粉末状無機充填剤および重合開始剤を含有する被覆用組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、アルコキシシランなどで表面処理したシリカもしくはアルミナからなる無機質の装填材料を含む光重合性組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。さらに架橋有機微粒子を充填することも近年検討されている。
【0005】
一方、ハードコート層の表面弾性率を大きくしたり、ハードコート層の厚みを通常の3μmから10μmよりも厚くしたりすることが硬度増加に有効であることが知られている。特にハードコート層に無機、有機の充填剤を含有した層を厚くすることで、ハードコートフィルムの硬度をさらに向上できる。この場合には厚くすることによりハードコート層の割れや剥がれが生じやすくなるという問題があるが、多官能アクリレートとエポキシペンダントポリマーからなる活性エネルギー線硬化性組成物を用いることにより、ハードコートの膜厚を厚くし、硬度を大きくすることが可能になっている。
【0006】
ところで、ハードコートフィルムなどのプラスチックフィルムは、製造後、所望の形状に裁断されたり、または切断されたりして使用される。プラスチックフィルムの切断には、回転軸に固定された片凌ぎ状の環状の薄刃を、相対する回転軸に固定された環状の厚刃の軸方向へ押し当てて切断するゲーベル方式や相対する平行回転軸のそれぞれに固定された環状の厚刃を互いに噛み合わせて切断するギャング方式(例えば、特許文献3参照)、回転丸刃を受け刃ローラ上に押し付けて切断するスコアカット方式(例えば、非特許文献1参照)のスリッターや平らな刃受け部材に刃を押し付けて切断するトムソン刃(例えば、特許文献4参照)、カッター刃などが使用される。
【0007】
また、プラスチックフィルムをスムーズに切断するために、フィルムを軟化点付近まで加熱し切断する方法が提案されている(例えば、特許文献5、特許文献6参照)。
【0008】
【特許文献1】
特許第1815116号明細書
【特許文献2】
特許第1416240号明細書
【特許文献3】
特公昭61−4636号公報
【非特許文献1】
向井英夫著,「スリッター・リワインダーの技術読本」,(株)加工技術研究会,1998年
【特許文献4】
特公平6−73838号公報
【特許文献5】
特開平7−116995号公報
【特許文献6】
特開2000−143265号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハードコートフィルムの場合は、ハードコート層の表面弾性率を大きくしたり、ハードコート層の厚みを大きくするなど、これらの方法により、フィルムの硬度や表面の耐擦傷性は改良される半面、脆性は悪化し、切断時にクラックが入ったり、欠けが生じたりすることがある。例えば、ゲーベル方式のスリッターで所望の幅に裁断したり、トムソン刃で所望の形に打ち抜いたりする場合、切断面にクラックや欠けが発生することがあった。
また、プラスチックフィルムを軟化点付近まで加熱すると、フィルムが軟化するのでスムーズに切断が行えるが、フィルムの変形を伴う温度まで加熱することになり、製品の性能、形態に悪影響を及ぼすので好ましくない。
【0010】
したがって、本発明の目的は、透明基材フィルムの少なくとも片面に、鉛筆硬度が4H以上、好ましくは5H以上のハードコート層、さらには所望により反射防止層、防汚層などの機能性層を有するハードコートフィルムを、切断面におけるクラックや欠けの発生量を少なくして切断する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記方法で所望の形状に切断したハードコートフィルムが物品表面上に積層されたハードコート処理物品を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記構成のハードコートフィルムの切断方法、並びにハードコート処理物品とその製造方法が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
1.透明基材フィルムの少なくとも片面に少なくとも一層のハードコート層を有するハードコートフィルムを、透明基材フィルムのガラス転移温度近傍まで加熱しながら切断することを特徴とするハードコートフィルムの切断方法。
2.ハードコート層の表面弾性率が4.5GPa以上であることを特徴とする上記1に記載の切断方法。
3.ハードコート層の表面弾性率とハードコート層厚みの三乗の積が40KPa・mm3以上700KPa・mm3以下であることを特徴とする上記1または2に記載の切断方法。
4.ハードコート層の厚みが、ハードコートフィルム総厚の5%以上であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の切断方法。
5.ハードコート層が、活性エネルギー線の照射により硬化した硬化性組成物からなる層であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の切断方法。
6.硬化性組成物が、硬化物のI/O値が0.1〜0.85である硬化性樹脂を主体とすることを特徴とする1〜5のいずれかに記載の切断方法。
7.硬化性組成物の硬化物の体積収縮率が、0〜15%であることを特徴とする1〜6のいずれかに記載の切断方法。
8.60%RHでのハードコートフィルムのカール値(カール値=1/R(Rは曲率半径(m))が、マイナス15からプラス15の範囲にあることを特徴とする1〜7のいずれかに記載の切断方法。
9.ハードコートフィルムが機能層を有することを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の切断方法。
10.機能層が、反射防止性、導電性、光吸収・遮蔽性、選択波長吸収性、熱線吸収性、及び防汚性のいずれかの機能を有する層であることを特徴とする上記9に記載の切断方法。
【0012】
11.上記1〜10のいずれかに記載の切断方法で切断されたハードコートフィルムが表面上に粘着材を介して積層されていることを特徴とするハードコート処理物品。
12.上記1〜10のいずれかに記載の切断方法で切断されたハードコートフィルムが粘着材を介して表面上に積層したハードコート処理物品を、所望形状に加熱しながら切断することを特徴とするハードコート処理物品の製造方法。
【0013】
本発明は、ハードコートフィルムを、透明基材フィルムのガラス転移温度近傍まで加熱して、切断することを特徴とする。
本発明の切断の対象となるハードコートフィルムは、後述するように、表面硬度、特に鉛筆硬度が向上しているが、脆性破壊し易いため、切断時にクラックやエッジの欠けの発生が多く生じてしまい易いが、透明基材フィルムのガラス転移温度近傍まで加熱して切断することにより、クラックや欠けの発生量を少なくして切断することができる。
また、一般に、プラスチックフィルムのガラス転移温度は、軟化点より低く、ガラス転移温度近傍まで加熱しても、フィルムは軟化せず十分固体状態を維持しているので、フィルムの変形を生ずることなく、切断することができる。
【0014】
なお、本発明において、表面弾性率は微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ製:フィッシャースコープH100VP−HCU)を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から求められる弾性率である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、ガラス転移温度近傍の「近傍」とは、ガラス転移温度を挟んで上下20℃前後、好ましくは上下10℃前後の温度範囲を意味する。したがって、切断時の加熱温度は、例えば、ガラス転移温度が80℃のポリエチレンテレフタレートフィルムを基材とする場合、60℃から100℃が好ましく、70℃から90℃がさらに好ましい。温度が100℃を超えると、ポリエチレンテレフタレートフィルムとハードコート層の間で剥離が発生し易くなる。また、ポリエチレンナフタレートフィルム(熱膨張係数1.3×10−5/℃、ガラス転移温度122℃)が基材の場合は、100〜140℃が好ましく、110℃から130℃がさらに好ましい。温度が140℃を超えると、カールなどフィルムの変形が発生し易くなる。
加熱手段としては、例えば、プレートヒーター、赤外線ヒーター、遠赤外線ヒーター、熱風ヒーター、加熱ローラー、レーザー等を用いることができ、なかでも熱風ヒーターが取り扱い易い点で好ましい。
【0016】
この加熱によってベースフィルム(基材フィルム)の温度が上昇し、ベース破断強度が低下する。破断強度が低下するため、ベースフイルムは変形が小さい段階で切断が進行し、それによって積層されているハードコート層のひずみが小さくて済むため、クラックが抑制される。ベース破断強度の低下はガラス転移温度Tgを境に低下率は小さくなるため、加熱はTg近傍が好ましい。
【0017】
切断は、ハードコートフィルムを搬送させながら、切断部手前に加熱手段を配置してハードコートフィルムを加熱し、例えば、通常のゲーベル刃スリッターなどを利用して行うことができる。ゲーベル刃の上刃の刃先の角度は30°以上90℃以下が好ましく、下刃の刃先角は90°が好ましい。かみ合わせ量は0.3mmから1.5mmが好ましい。ハードコートフィルムの搬送速度は1m/分から100m/分が好ましく、さらに5m/分から40m/分が好ましい。
また、ハードコートフィルムを受け刃部材上に固定し、受け刃部材を加熱手段で加熱しながらトムソン刃で所望の形状に打ち抜いたり、X−Yプロッターのプロッター先端にカッター刃および加熱手段をセットし、加熱しながら所望の形状に裁断(打ち抜いたり)することもできる。
【0018】
切断後、基材フィルムのガラス転移温度以上の温度状態で長く維持することは基材フィルムの変形をもたらしたり、基材フィルムの結晶化度が変化したりすることなどがあり、自然冷却でもよいが、速やかに冷却することが好ましい。冷却は、冷却ロールを通したり、エアを吹き付けたりして行うことができる。
【0019】
本発明に用いられる透明基材フィルムに用いられるプラスチック素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースなどのアセチルセルロース類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン類;シンジオタクチックポリスチレンなどのポリスチレン類;例えばノルボルネン骨格などの環状構造を有する環状オレフィン系樹脂(例えば、ゼオノア、ゼオネックス:日本ゼオン(株)製、アートン:JSR(株)製など);その他、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンなどが好ましく挙げられる。
透明基材フィルムの厚みは、20〜500μmが好ましく、薄すぎると強度が弱く、厚いと剛性が大きくなり過ぎる。80〜200μmがより好ましい。ここで、20〜500μmとは、「20μm以上500μm以下」を意味する。本明細書において、「から」「〜」で表す数値範囲は、同様の内容を意味する。
透明基材フィルムにおいて、「透明」とは、光透過率が400nm〜780nmの波長範囲において80%以上、より好ましくは90%以上であることを意味する。
また、本発明で言う「フィルム」とは、長さや幅に対して厚さが薄い、いわゆる一般に言うフィルムのみならず、厚みがある程度増したシート、あるいはパネル状の形態をもつものも含めたものを意味し、フィルム以外のシート状、パネル状の基材にハードコート層を適用することも当然可能である。
【0020】
本発明のハードコートフィルムにおいて、透明基材フィルムの変形を少なくするためには、基材フィルムの弾性率を大きくすることが有効であるが、もう一方で、ハードコート層の変形を少なくし、基材フィルムへの応力を少なくするために、ハードコート層の剛直性(曲げ剛性)を大きくすることが有効であり、ハードコート層の剛直性に関係する「(ハードコート層の表面弾性率)×(膜厚の三乗)」を特定の範囲にすることが有効である。
ハードコート層の曲げ剛性が小さいと、ハードコート層自身が変形し易く、製品品質検査の一種である鉛筆硬度試験の際の荷重が基材フィルムにかかってしまい、基材フィルムの変形を生じさせてしまう。ハードコート層の曲げ剛性を大きくすることにより、鉛筆硬度試験の荷重による変形が少なくなり、基材フィルムの変形を抑えることができる。曲げ剛性を大きくすることが好ましいが、ハードコートフィルムをロールで取り扱うためには、フィルムは一定の曲げ剛性以下であることも必要であるので、「(ハードコート層の表面弾性率)×(膜厚の三乗)」が40KPa・mm3〜700KPa・mm3であることが好ましく、100KPa・mm3〜400KPa・mm3であることが特に好ましい。
【0021】
また、十分な鉛筆硬度と耐傷性のあるハードコートフィルムを得るためには、ハードコート層自身の硬度がある程度大きい方がよく、ハードコート層の表面弾性率は4.5GPa程度以上が好ましい。表面弾性率が4.5GPa未満のハードコート層では、十分な鉛筆硬度及び耐傷性が得られない。
一方、硬度を高めるには表面弾性率を大きくすることが有効であるが、反面、脆性が悪化するので、ハードコート層表面の硬度と脆性のバランスを良好に維持する観点から、表面弾性率は好ましくは10.0GPa以下、より好ましくは9.0GPa以下である。
【0022】
本発明のハードコート層の厚みは、ハードコートフィルムの層厚の5%以上が好ましく、具体的には10μm以上が好ましく、さらに20μm以上が好ましい。厚みを厚くすると鉛筆硬度は向上するが、フィルムを曲げることが難しくなり、さらに曲げによる割れが発生しやすくなることから、60μm以下が好ましく、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは10〜60μmであり、特に好ましくは20〜60μmであり、最も好ましくは20〜50μmである。
ハードコート層は、透明基材フィルムの片面あるいは両面に設けられ、ハードコートフィルムに1層のみ存在しても、さらに2層以上存在してもよい。
【0023】
ハードコート層は、活性エネルギー線照射により反応する多官能性の重合基や架橋基を有する化合物を含有する硬化性組成物を硬化することにより形成される。これら多官能性の重合基や架橋基を有する化合物については詳しく後述する。
該硬化性組成物は、硬化時に体積収縮が起こり、膜厚を厚くするとカールが大きくなるという問題を有している。カールを小さくするためには、硬化時の収縮が小さいことが好ましく、硬化前後の体積収縮率は、好ましくは0〜15%、より好ましくは0〜13%、特に好ましくは0〜11%である。
硬化による体積収縮率は、硬化性組成物の硬化前後の密度変化から求めることができ、具体的には、マイクロメトリック社製MULTIVOLUME PYCNOMETERで測定(25℃)した密度を下記数式Aから求めた値である。
数式A:体積収縮率=〔1−(硬化前密度/硬化後密度)〕×100(%)
【0024】
ハードコート層を形成するための硬化性組成物の硬化時の体積収縮率を小さくすることにより、ハードコート層を透明フィルムに積層したハードコートフィルムのカールを小さくすることが可能になる。実用上、25℃60%RHでのハードコートフィルムのカール値は、マイナス15からプラス15の範囲にあることが好ましい。また、ハードコートの膜厚に対するカール値の値(カール値をハードコートの膜厚(μm)で割った値(絶対値))が小さくなることが好ましく、0.45(1/m・μm)以下が好ましく、さらに0.35以下の値となることが好ましい。ここでカール値は下記数式Bで求められる値である。
数式B;カール値=1/R(Rはカールの曲率半径(m))
なお、カール値の符号「プラス」「マイナス」は、フィルムのカールする方向を意味する。すなわち、「プラス」は基材フィルムに対してハードコート層の塗布面側が凹になるようにカールしていることを意味し、「マイナス」は塗布面側が凸になるようにカールしていることを意味する。
【0025】
また、ハードコート層は、吸湿量により体積が膨張・収縮する。25℃10%RHと25℃80%RHのカール値の差(絶対値)が24以下であることが好ましい。カール変化を抑えるには、活性エネルギー線照射による硬化後の硬化性組成物の親水性は小さい方が好ましく、親水性に関係する硬化性組成物のI/O値が0.1〜0.85であることが好ましい。さらに好ましくは0.25〜0.8、最も好ましくは0.35〜0.75である。I/O値が0.85を越えると、硬化と共に生成した重合体の親水性が高くなり、ハードコート層の体積膨張や硬度が湿度の影響を大きく受けるようになり、高い表面硬度を持ちつつ、カール特性の良好なハードコートフィルムが得られない。I/O値が小さくなりすぎると吸湿膨張が小さく常湿でのカールが大きい。
【0026】
上記I/O値は、藤田穆“系統的有機定性分析”風間書房(1970)、甲田善生“有機概念図”三共出版(1984)などに記載の方法によって求めた「無機性(I)/有機性(O)」値である。I/O値は有機化合物の色々な物理化学的な性状を予測するための1手段として用いられる。有機性は炭素数の大小の比較で、無機性は炭素同数の炭化水素の沸点の比較で大小が得られる。例えば、(−CH2−)(実際はC)1個は有機性値20と決め、無機性は水酸基(−OH)が沸点へ及ぼす影響力から、その無機性値を100と決めたものである。この水酸基(−OH)の無機性値100を基準にして他の置換基(無機性基)の値を求めたものが“無機性基表”として示されている。ハードコート層を形成する硬化性組成物に活性エネルギー線を照射し硬化した後の組成から、上記の無機性値と有機性値の比を採った値をI/O値として用いた。即ち、活性エネルギー線照射により硬化した硬化性組成物のI/O値は、活性エネルギー線の照射により硬化と共に生成した重合体の繰り返し単位ごとのI/O値に、各繰り返し単位の質量分率を掛けて、合計した値である。活性エネルギー線照射により硬化した硬化性組成物のI/O値を0.1〜0.85とするには、硬化前の硬化性組成物の組成を適切に設定することにより可能である。例えば、硬化組成物中の−OH、−COOR、−NH2、>CO、などの基を少なくすることによりI/O値は0.1〜0.85に制御できる。
【0027】
さらに、硬化性組成物のI/O値を上記の範囲に維持することにより、ハードコート層の吸湿率を低減することが可能となる。本発明のハードコート層の25℃、60%RHにおける吸湿率を、乾燥時のハードコート層に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、最も好ましくは2質量%以下とすることができる。
【0028】
本発明に用いるハードコート層を形成するための硬化性組成物には、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線重合性樹脂などの公知の硬化性樹脂を用いることができる。
上記熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。また、シリケートのゾルゲル反応を利用した熱硬化性樹脂を用いることもできる。
上記活性エネルギー線重合性樹脂は、反応の制御のしやすさの点で極めて好ましく用いられる。以下、硬化性樹脂として活性エネルギー線重合性樹脂を用いた場合について主として説明する。
【0029】
本発明において硬化性組成物には、活性エネルギー線により硬化する樹脂の他に、後出の無機あるいは有機微粒子、重合開始剤、その他の添加剤を含有してもよい。
【0030】
活性エネルギー線によって架橋された重合性樹脂主体とするハードコート層は、(a)重合基あるいは架橋反応基を有する多官能モノマー、(b)重合基あるいは架橋反応基を側鎖に有するオリゴマー、及び(c)重合基あるいは架橋反応基を側鎖に有するポリマーから選択される少なくともいずれか(以下「重合性樹脂」と称する)と、重合開始剤とを含む硬化性樹脂組成物の塗布液を、透明基材フィルム上に塗布し、重合性樹脂を重合させることにより形成することができる。
【0031】
上記重合基としては、ラジカル重合性二重結合を有する基や開環重合性の環状エーテル基が好ましい。
ラジカル重合性二重結合を有する基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基などを挙げることができ、反応性の観点よりアクリロイル基、メタアクリロイル基が好ましく用いられる。
重合性二重結合を含有する多官能モノマーの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのグリコール系の(メタ)アクリレート、n−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3,5−シクロヘキサントリオールトリ(メタ)アクリレート、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸とグリコール(エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、など)やトリオール(グリセリン、トリメチロールプロパン、など)の反応によるポリエステル系ポリオールのオリゴマーと(メタ)アクリレートの反応物などのポリオールポリアクリレート類、ビスフェノールAとグリシジル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールとグリシジル(メタ)アクリレートの反応物などのエポキシアクリレート類、ポリイソシアネートとポリオールの縮合生成物からなるポリイソシアネートポリウレタン系オリゴマーとヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート類などを挙げることができる。
【0032】
また、開環重合性の環状エーテル基を有する化合物しては、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類などが挙げられ、特にエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、オキサゾリン誘導体が好ましい。
【0033】
これらの開環重合性環状エーテル化合物は、上記のような環状構造を2個以上好ましくは3個以上同一分子内に有する化合物が好ましい。例えば3官能グリシジルエーテルとしてはトリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなど、4官能以上のグリシジルエーテルとしてはソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、3官能以上のオキセタン類としてはOX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。
【0034】
表面弾性率の調整、硬化収縮を低減、密着性改良などのため、必要に応じて単官能のモノマーを多官能モノマーに添加することも可能である。単官能のモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸のアルキルエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの極性基含有のアクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、スチレン、ビニルアセテート、無水マレイン酸などの既存のモノマーが挙げられる。
【0035】
一方、同一分子内に1個もしくは2個の開環重合性基を有する化合物も必要に応じて併用することができ、好ましい化合物としては単官能または2官能のグリシジルエーテル類、単官能または2官能の脂環式エポキシ類、単官能または2官能のオキセタン類が挙げられ、種々の市販もしくは公知の化合物を使用することができる。
【0036】
また、同様に、少なくとも2個以上のラジカル重合性基を含有するオリゴマーあるいはポリマーを多官能モノマーに添加することも可能である。ラジカル重合性基を含有するオリゴマーあるいはポリマーとしては、(メタ)アクリロイル基、アリル基などの重合性基をペンダント基に有するオリゴマー・ポリマーがあり、例としては、水酸基を有するオリゴマー・ポリマーと(メタ)アクリル酸から合成されるエステル誘導体、カルボン酸を有するオリゴマー・ポリマーと水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなど)やアリルアルコールなどから合成されるエステル誘導体、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ開環重合体オリゴマー、ポリマー、クロルエチル基を有するオリゴマー、ポリマーの脱塩酸反応により合成されるアクリロイル基を導入した重合体などが挙げられる。
【0037】
また、同一分子内に3個以上の開環重合性基を有する化合物として、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーを含有していることが特に好ましい。
一般式(1)
【0038】
【化1】
【0039】
上記一般式(1)の式中のR1は、水素原子もしくは炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、好ましくは水素原子もしくはメチル基である。
L1は、単結合もしくは二価の連結基であり、好ましくは単結合、−O−、アルキレン基、アリーレン基および*側で主鎖に連結する*−COO−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−である。
P1は、開環重合性基を含む一価の基であり、好ましいP1としては、エポキシ環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、ラクトン環、カーボネート環、オキサゾリン環などのイミノエーテル環などを含む一価の基が挙げられ、この中でも特に好ましくはエポキシ環、オキセタン環、オキサゾリン環を含む一価の基である。
【0040】
上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、対応するモノマーを重合させて合成することが簡便で好ましい。この場合の重合反応としてはラジカル重合が最も簡便で好ましい。具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート、ポリメチルグリシジルメタクリレート、ポリエポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ポリ−3−エチル−3−オキセタニルメチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0041】
上記の重合性二重結合基を含有する多官能モノマー、オリゴマー、あるいはポリマーと多官能環状構造含有化合物とを混合して用いることもできる。
【0042】
単官能のモノマー、少なくとも2個以上の重合性二重結合を含有するオリゴマーあるいはポリマー、または開環重合性の環状エーテル化合物を、重合性二重結合を含有する多官能モノマーと共に用いる場合、その使用量は該多官能モノマーに対して50質量%以下が好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。単官能のモノマー、少なくとも2個以上の重合性二重結合を含有するオリゴマーあるいはポリマー、または開環重合性の環状エーテル化合物の割合が多くなり過ぎると所望の硬度が得られなくなる。
【0043】
ハードコート層に、無機あるいは有機微粒子を添加することもでき、ハードコート層の表面弾性率を調節したり、硬化収縮率を小さくすることによりハードコートフィルムのカールを減少することができる。
【0044】
上記微粒子としては、無機酸化物や内部架橋のポリマー樹脂粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては硬度が高いものが好ましく、モース硬度が6以上の無機酸化物粒子が好ましい。例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などが含まれる。
【0045】
有機微粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ナイロンなどの樹脂粒子などがあり、それらの中でポリメタクリル酸メチル(ジビニルベンゼン共重合体)、ポリシロキサン、ポリスチレン、メラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂、またこれら複合体からなる粒子が好ましい。さらに、2官能以上の重合基を有するモノマーとの共重合による内部架橋のポリマー樹脂微粒子が好ましい。
【0046】
これらの微粒子の平均粒子径は、1nm以上400nm以下、より好ましくは5nm以上200nm以下、さらに好ましくは10nm以上100nm以下である。1nm未満では分散が難しく凝集粒子ができ、400nmを超えるとヘイズが大きくなり、どちらも透明性を落としてしまい好ましくない。
【0047】
これらの微粒子の使用量は、ハードコート層の全量の5ないし80質量%であることがより好ましく、10ないし50質量%であることがさらに好ましい。
【0048】
一般に無機微粒子は活性エネルギー線重合性樹脂との親和性が悪いため、単に両者を混合するだけでは界面が破壊しやすく、かつハードコート層が割れやすく、耐傷性を改善することは困難である。無機微粒子と活性エネルギー線重合性樹脂との親和性を改良するため、無機微粒子表面を有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することができる。
表面修飾剤は、一方で無機微粒子と結合を形成し、他方で活性エネルギー線重合性樹脂と高い親和性を有することが好ましい。無機微粒子の表面と結合を生成し得る化合物としては、シリコン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウムなどの金属アルコキシド化合物や、リン酸エステル、ホスホン酸基、硫酸エステル、スルホン酸基、カルボン酸基などを有するアニオン性化合物が好ましい。また活性エネルギー線重合性樹脂とは化学的に結合させることが好ましく、末端にビニル性重合基などを導入したものが好適である。例えば、エチレン性不飽和基を重合性基および架橋性基として有するモノマーから活性エネルギー線重合性樹脂を合成する場合は、金属アルコキシド化合物またはアニオン性化合物の末端に重合性二重結合や開環重合性環状エーテル基を有していることが好ましい。
【0049】
本発明で透明基材フィルムに用いられるプラスチックフィルムは、それ自身の耐熱性が低いので、熱硬化性樹脂を加熱により硬化させてハードコート層を形成する場合は、できるだけ低温で硬化させることが好ましい。その場合の加熱温度は、140℃以下、より好ましくは100℃以下である。
一方、活性エネルギー線の照射による硬化でハードコート層を形成する方法は、低温で架橋反応が進行する場合が多く、好ましい。
【0050】
ハードコート層に活性エネルギー線重合性樹脂を使用する場合、活性エネルギー線としては、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが挙げられるが、紫外線が好ましい。活性エネルギー線として紫外線を用い、かつ紫外線によりラジカルもしくはカチオンを発生する重合開始剤を用いて硬化させる方法が特に好ましい。また紫外線を照射した後、加熱することにより、さらに硬化を進行させることができる場合があり好ましく用いることができる。この場合、加熱温度は140℃以下とすることが好ましい。
【0051】
光ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、およびチオキサントンなどが含まれる。光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントンなどが含まれる。
【0052】
カチオンを発生させる光酸発生剤として、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩やスルホン酸のニトロベンジルエステルなど化合物が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている化合物など種々の公知の光酸発生剤が使用できる。この中で特に好ましくはジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェートなどのスルホニウム塩もしくはジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートであり、対イオンとしてはPF6 −、SbF6 −、AsF6 −、BF4 −B(C6F5)4 −などが好ましい。
【0053】
重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1ないし15質量部の範囲で使用することが好ましく、1ないし10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。
【0054】
本発明においては、活性エネルギー線硬化性樹脂として、重合性二重結合を含有する多官能のモノマー、オリゴマー、あるいはポリマーと、多官能開環重合性環状エーテル化合物とを組み合わせ、重合開始剤として、ラジカルを発生させる光ラジカル開始剤とカチオンを発生させる光酸発生剤とを組み合わせることも好ましい方法である。また、上記方法において、重合開始剤として、光照射によりラジカルとカチオンの両方を発生する重合開始剤を単独で用いてもよい。
【0055】
活性エネルギー線重合性樹脂を含有する硬化性樹脂組成物の塗布液は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類などの有機溶剤に、上記の多官能モノマーと重合開始剤を主体に溶解して作製する。乾燥工程を略するためには無溶剤にすることも可能である。
【0056】
本発明のハードコートフィルムの作製は、基材フィルム上に上記塗布液をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤーバー法、エクストルージョン法、ブレード法、ダイコート法などの公知の薄膜形成方法で形成、乾燥後、活性エネルギー線を照射して作製することができる。
【0057】
さらに、透明基材フィルムとハードコート層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられる。更に、一層以上の下塗り層を設けることができる。下塗り層の素材としては塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステルなどの共重合体或いはラテックス、低分子量ポリエステル、ゼラチンなどの水溶性ポリマーなどが挙げられる。下塗り層中に酸化錫、ITOや酸化亜鉛などの金属酸化物やイオン性の有機化合物を導電性物質として添加することもできる。
【0058】
ハードコート層は、単層でも可能であるが、2層以上の構成も可能である。多層構成のものは順次表面弾性率の異なる層を積層して作成することもできる。多層構成の場合、層の弾性率や硬化収縮率、I/O値、吸湿率はそれぞれの層の特性の厚みで補正した値として求めることができる。
【0059】
これらの作成したハードコート層の上には、反射防止層、防汚性層などの機能を有する薄膜を設けることができる。機能層としては、他にも、導電層(帯電防止層、電磁波シールド層)、光吸収層(紫外線、赤外線、近赤外線吸収層)、選択波長吸収層、熱線吸収層などを積層して組み合わせることができ、高硬度の機能性ハードコートフィルムとして供される。
これらの機能性薄膜は、公知の機能性材料の溶液を塗布する湿式法や、スパッターや蒸着などの真空成膜する乾式法により作成することができる。
【0060】
ハードコートフィルムは、所望により上記機能性層を組み合わせたハードコートフィルムとなし、本発明の方法で所望形状に切断した後、プラスチックシート、ショウウインドウ、窓ガラスなどに粘着剤を介して積層し、プラスチックシートの表面の傷つき防止のための保護フィルム、ショウウインドウや窓ガラスの破損時のガラス小片の飛散防止のための保護フィルムとして使用することができる。
また、LCD、PDP、FEDやELなどのFPD(フラットパネルディスプレイ)やCRT、タッチパネルなどの画像表示装置の保護フィルムとして使用することができる。
また、例えばプラスチックシートなどのシート状物品にハードコートフィルムを積層して得られた積層体を本発明の方法により切断して、切断面に発生するクラックや欠けの少ない所望形状のハードコート処理物品を得ることができる。
【0061】
本発明の切断方法の対象であるハードコートフィルムの概略断面図が図1及び図2に示す。詳しい説明は省略するが、当業者は容易に理解することができるであろう。なお、図2に示されるハードコートフィルムは、低屈折率層3aと高屈折率層3bとからなる反射防止層(機能性層)が最外層に設けられている。
図3は、図2に示されるハードコートフィルムがプラスチックシート基材6に積層されたハードコートフィルム処理物品の概略断面図である。
【0062】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0063】
(ハードコートフィルムの作成)
表面をコロナ処理した、厚さ125μmのPETフィルム(2軸延伸ポリエステルテレフタレートフィルム、ガラス転移温度80℃)上に、ガラス転移温度37℃のスチレン・ブタジエンコポリマーからなるラテックス(LX407C5,日本ゼオン(株)製)と酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物(FS−10D、石原産業(株)製)を質量比で5:5の割合で混合したものを、乾燥後の膜厚が0.2μmになるように塗布し、帯電防止性下塗り層を形成した。この帯電防止製下塗り層上に、表1に記載の硬化性樹脂をメチルエチルケトン(MEK)に溶解、重合開始剤を添加し、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した硬化性組成物をマイクログラビア方式で所定の厚さになるようにハードコート層を塗布(ハードコートの層厚は硬化性組成物の溶解濃度とマイクログラビアのメッシュ間隔で調整)、100℃で乾燥後、750mJ/cm2の照度の紫外線を照射し、ハードコートフィルムを作製した。
【0064】
なお、重合開始剤は、ラジカル重合性硬化組成物の場合は、イルガキュア184(チバガイギー社製)を3質量%、カチオン重合性組成物の場合は、ロードシル2074(ローディア社製)を4質量%、両者の硬化組成物の混合の場合はそれぞれの重合開始剤を混合して用いた。
【0065】
表1中のポリグリシジルメタクリレート*はメチルエチルケトン(MEK)中に溶解したグリシジルメタクリレートを、重合開始剤を滴下しながら80℃で2時間反応させ、得られた反応溶液をヘキサンに滴下し、沈殿物を減圧乾燥して得た。なお、質量平均分子量(GPCで測定、ポリスチレン換算)は15,000である。
アルミナ分散物**は、メチルイソブチルケトン234部、アロニックスM−5300(カルボン酸基含有メタクリレート;東亞合成(株)製)36部、微粒子アルミナ(AKP−G015;住友化学工業(株)製)180部の混合物を、1mmΦのジルコニアビーズをメディアに用いて、セラミックコートしたサンドミルで分散し、表面処理したアルミナ微粒子分散物であり、表1中の質量は固形分の質量である。
【0066】
作製したハードコートフィルムの表面弾性率と鉛筆硬度を以下の方法により求めた。値は表1に示す。
表面弾性率は、微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ製:フィッシャースコープH100VP−HCU)を用い、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から求めた。
鉛筆硬度は、作製したハードコートフィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で5時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、9.8Nの荷重にて傷・凹みが認められない鉛筆の硬度の値として求めた。
【0067】
(防汚性反射防止層の形成)
(1)高屈折率層塗布液(a−1)の調製
二酸化チタン微粒子(TTO−55B、石原産業(株)製)30.0質量部、アニオン性モノマー(M−5300、東亜合成(株)製)4.5質量部、およびシクロヘキサノン65.2質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、質量平均径55nmの二酸化チタン分散液を調製した。前記二酸化チタン分散物とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)とを、モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アニオン性モノマーの合計量)と二酸化チタンとの体積比が60/40、光重合開始剤と光増感剤との質量比が3/1、そして、光重合開始剤と光増感剤の合計量とモノマーの合計量との質量比が6/100になるようにメチルエチルケトンに添加・混合し、高屈折率層塗布液を調整した。屈折率は1.80であった。
【0068】
(2)低屈折率層塗布液(a−2)の調製
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA、日本化薬(株)製)6g、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)0.5g、メガファック531A(C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCH=CH2、大日本インキ化学工業(株)製)0.9g、およびメチルエチルケトン200gを混合、攪拌して、低屈折率層の塗布液を調製した。屈折率は1.52であった。
【0069】
(3)防汚性反射防止層付ハードコートフィルムの形成
上記で得られたハードコートフィルムのハードコート層上に、(a−1)の高屈折率層塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥膜厚が90nmになるように塗布、乾燥、紫外線照射し、さらに、高屈折率層の上に(a−2)の低屈折率層塗布液を乾燥膜厚が85nmになるように塗布、乾燥、紫外線照射し反射防止層を形成した反射防止層付ハードコートフィルムを得た。
【0070】
(反射防止付ハードコートフィルムの切断)
上記で作製した反射防止層付ハードコートフィルムを搬送速度6m/minで搬送し、切断部直前で熱風ヒーターによりハードコートフィルムを加熱した。このときの切断部直前における透明基材フィルムの温度を表1中の「ウェッブ温度」として示した。切断は刃先角(上刃角)30°、85°、かみ合わせ量0.4mmのゲーベル方式のスリッターを用いて行った。このとき、刃自体は冷却を行わずに行った。切断後、自然冷却で十分冷却されるまで搬送させてから巻き取った。
【0071】
切断したそれぞれの反射防止付ハードコートフィルムは加熱による寸法精度の変化はほとんどなく、のフィルム幅寸法精度で±0.3mm以下であった。
また、このフィルムの裁断面を顕微鏡で観察し、発生したクラックの長さ測定した。その結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1から、以下のことが明らかである。
鉛筆硬度の大きなハードコート層を有する反射防止付ハードコートフィルムの裁断時に発生するクラックの長さは、通常の温度で裁断した場合より、熱風ヒーターを用いて加熱しながら裁断し自然冷却した場合の方が小さい。
特に弾性率が4.5GPa以上で、膜厚が20μm以上のハードコート層を有するハードコートフィルムの裁断時に発生するクラックを小さくすることに非常に有効である。
【0074】
【発明の効果】
本発明の方法により、透明基材フィルムの少なくとも片面に、鉛筆硬度が4H以上、好ましくは5H以上のハードコート層、さらには所望により反射防止層、防汚層などの機能性層を有するハードコートフィルムを、切断面におけるクラックや欠けの発生量を少なく切断することができる。
本発明の方法で切断されたハードコートフィルムは、切断面におけるクラックや欠けが少ないので、取り扱い時のハードコート層の割れ防止や防塵性に優れ、所望により反射防止層、紫外線・赤外線吸収層、選択波長吸収層、導電層(帯電防止層、電磁波シールド層)、防汚層などの機能性層を付与することができるので、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、電界放射型ディスプレイ(FED)、携帯電話などのディスプレイや家電製品などのタッチパネル、ガラス、プラスチック板などの保護フィルムに好適である。
また、本発明のハードコートフィルム積層物品は、上記方法で所望の形状に切断したハードコートフィルムが物品表面上に積層されており、該ハードコートフィルムの裁断面におけるクラックや欠けが少なく優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハードコートフィルムの一実施態様を示す概略断面図である。
【図2】本発明の機能性薄膜層付きハードコートフィルムの一実施態様を示す概略断面図である。
【図3】図2に示されるハードコートフィルムがプラスチックシート基材に積層されたハードコートフィルム積層物品の概略断面図である。
【符号の説明】
1 透明基材フィルム
2 ハードコート層
3a 高屈折率層
3b 低屈折率層
4 帯電防止層付き下塗り層
5 粘着材層
6 プラスチックシート基材[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for cutting a hard coat film having excellent scratch resistance and surface hardness in which a hard coat layer is laminated on a transparent substrate film. Furthermore, the present invention relates to a hard coat treated article in which a hard coat film having the above hard coat layer is laminated on the article surface.
In the present invention, the cutting includes the case of cutting into a desired shape.
[0002]
[Prior art]
In recent years, plastic products have been replaced with glass products from the viewpoint of processability and weight reduction, but the surface of these plastic products is easily damaged, so when a hard coat film is used for the purpose of imparting scratch resistance. There are many. In addition, plastic films are increasingly being bonded to conventional glass products to prevent scattering, but due to insufficient hardness of the film surface, it is widely used to form a hard coat layer on the surface. It has been broken.
[0003]
Conventional hard coat films usually have an active energy ray polymerizable resin such as a thermosetting resin or an ultraviolet curable resin directly on a plastic substrate film or via a primer layer of about 1 μm or less. It is manufactured by forming a thin coating film of about 10 μm.
[0004]
In order to increase the hardness of the hard coat layer, the resin-forming component of the layer is a polyfunctional acrylate monomer, and this contains a powdery inorganic filler such as alumina, silica, titanium oxide and a polymerization initiator. A composition for use is disclosed (for example, see Patent Document 1). In addition, a photopolymerizable composition containing an inorganic charge material composed of silica or alumina surface-treated with alkoxysilane or the like is disclosed (for example, see Patent Document 2). Further, filling with crosslinked organic fine particles has been recently studied.
[0005]
On the other hand, it is known that increasing the surface elastic modulus of the hard coat layer or increasing the thickness of the hard coat layer from the usual 3 μm to 10 μm is effective for increasing the hardness. In particular, by increasing the thickness of the hard coat layer containing an inorganic or organic filler, the hardness of the hard coat film can be further improved. In this case, there is a problem that the hard coat layer is easily cracked or peeled off by increasing the thickness, but by using an active energy ray-curable composition comprising a polyfunctional acrylate and an epoxy pendant polymer, a hard coat film is formed. It is possible to increase the thickness and increase the hardness.
[0006]
By the way, a plastic film such as a hard coat film is used after being cut into a desired shape or cut. For the cutting of plastic film, a gobbel system that cuts by pressing the one-sided annular thin blade fixed to the rotating shaft against the axial direction of the annular thick blade fixed to the opposing rotating shaft, or the opposite parallel rotation A gang method (for example, refer to Patent Document 3) in which annular thick blades fixed to each of the shafts are engaged with each other and cut, and a score cut method (for example, non-patent) in which a rotating round blade is pressed onto a blade roller and cut. A Thomson blade (see, for example, Patent Document 4), a cutter blade, or the like that presses and cuts a blade against a slitter or a flat blade receiving member of Document 1).
[0007]
Moreover, in order to cut | disconnect a plastic film smoothly, the method of heating and cut | disconnecting a film to the softening point vicinity is proposed (for example, refer patent document 5 and patent document 6).
[0008]
[Patent Document 1]
Japanese Patent No. 1815116
[Patent Document 2]
Japanese Patent No. 1416240
[Patent Document 3]
Japanese Examined Patent Publication No. 61-4636
[Non-Patent Document 1]
Hideo Mukai, “Technical Reader of Slitter / Rewinder”, Processing Technology Research Group, 1998
[Patent Document 4]
Japanese Patent Publication No. 6-73838
[Patent Document 5]
Japanese Patent Laid-Open No. 7-116995
[Patent Document 6]
JP 2000-143265 A
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the case of a hard coat film, the hardness of the film and the scratch resistance of the surface are improved by these methods, such as increasing the surface elastic modulus of the hard coat layer or increasing the thickness of the hard coat layer. The brittleness deteriorates, and cracking or chipping may occur during cutting. For example, when cutting to a desired width with a Gobel type slitter or punching into a desired shape with a Thomson blade, cracks or chips may occur on the cut surface.
Further, when the plastic film is heated up to the vicinity of the softening point, the film is softened, so that the film can be cut smoothly. However, since the film is heated to a temperature accompanied by the deformation of the film, it adversely affects the performance and form of the product.
[0010]
Therefore, an object of the present invention is to have a hard coat layer having a pencil hardness of 4H or more, preferably 5H or more, and further a functional layer such as an antireflection layer or an antifouling layer on at least one side of the transparent substrate film. An object of the present invention is to provide a method for cutting a hard coat film while reducing the generation of cracks and chips on the cut surface.
Another object of the present invention is to provide a hard coat treated article in which a hard coat film cut into a desired shape by the above method is laminated on the article surface.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
According to the present invention, a method for cutting a hard coat film having the following constitution, a hard coat treated article, and a method for producing the same are provided, and the above object of the present invention is achieved.
1. A method for cutting a hard coat film, comprising cutting a hard coat film having at least one hard coat layer on at least one side of the transparent base film while heating it to near the glass transition temperature of the transparent base film.
2. 2. The cutting method according to 1 above, wherein the hard coat layer has a surface elastic modulus of 4.5 GPa or more.
3. The product of the surface modulus of the hard coat layer and the cube of the hard coat layer thickness is 40 KPa · mm3700 KPa · mm33. The cutting method according to 1 or 2 above, wherein:
4). 4. The cutting method according to any one of 1 to 3, wherein the thickness of the hard coat layer is 5% or more of the total thickness of the hard coat film.
5). 5. The cutting method according to any one of 1 to 4, wherein the hard coat layer is a layer made of a curable composition cured by irradiation with active energy rays.
6). 6. The cutting method according to any one of 1 to 5, wherein the curable composition mainly comprises a curable resin having an I / O value of the cured product of 0.1 to 0.85.
7). The cutting method according to any one of 1 to 6, wherein the volume shrinkage of the cured product of the curable composition is 0 to 15%.
8. Curling value of hard coat film at 60% RH (curl value = 1 / R (R is radius of curvature (m)) is in the range of minus 15 to plus 15; The cutting method of crab.
9. 9. The cutting method according to any one of 1 to 8 above, wherein the hard coat film has a functional layer.
10. 10. The layer according to 9 above, wherein the functional layer is a layer having any one of functions of antireflection, conductivity, light absorption / shielding, selective wavelength absorption, heat ray absorption, and antifouling. Cutting method.
[0012]
11. A hard coat treated article, wherein the hard coat film cut by the cutting method according to any one of 1 to 10 above is laminated on the surface via an adhesive material.
12 The hard coat | court article which the hard coat film cut | disconnected by the cutting method in any one of said 1-10 laminated | stacked on the surface through the adhesive material is cut | disconnected, heating to a desired shape, A method for producing a coated article.
[0013]
The present invention is characterized in that the hard coat film is heated to near the glass transition temperature of the transparent substrate film and cut.
As will be described later, the hard coat film to be cut of the present invention has improved surface hardness, particularly pencil hardness, but since it easily breaks brittlely, many cracks and chipped edges occur during cutting. Although it is easy to end up, it can cut | disconnect by reducing the generation amount of a crack or a chip | tip by heating to the glass transition temperature vicinity of a transparent base film, and cut | disconnecting.
In general, the glass transition temperature of the plastic film is lower than the softening point, and even when heated to the vicinity of the glass transition temperature, the film does not soften and maintains a solid state sufficiently, without causing deformation of the film, Can be cut.
[0014]
In the present invention, the surface elastic modulus is a value determined using a micro surface hardness tester (manufactured by Fisher Instruments: Fisherscope H100VP-HCU). Specifically, using a diamond pyramid indenter (tip-to-face angle: 136 °), the indentation depth is measured under an appropriate test load within a range where the indentation depth does not exceed 1 μm. This is the elastic modulus obtained from the change in load and displacement over time.
[0015]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
In the present invention, “near” near the glass transition temperature means a temperature range around 20 ° C. above and below, preferably around 10 ° C. above and below the glass transition temperature. Therefore, for example, when a polyethylene terephthalate film having a glass transition temperature of 80 ° C. is used as the base material, the heating temperature at the time of cutting is preferably 60 ° C. to 100 ° C., more preferably 70 ° C. to 90 ° C. When the temperature exceeds 100 ° C., peeling tends to occur between the polyethylene terephthalate film and the hard coat layer. In addition, polyethylene naphthalate film (thermal expansion coefficient 1.3 × 10-5/ ° C, glass transition temperature 122 ° C) is preferably 100 to 140 ° C, more preferably 110 ° C to 130 ° C. When the temperature exceeds 140 ° C., deformation of the film such as curling tends to occur.
As the heating means, for example, a plate heater, an infrared heater, a far-infrared heater, a hot air heater, a heating roller, a laser, or the like can be used. Among them, the hot air heater is preferable because it is easy to handle.
[0016]
This heating raises the temperature of the base film (base film) and lowers the base breaking strength. Since the breaking strength is lowered, the base film is cut at a stage where deformation is small, and thereby the strain of the laminated hard coat layer can be reduced, so that cracks are suppressed. Since the decrease rate of the base breaking strength decreases with the glass transition temperature Tg as a boundary, the heating is preferably near Tg.
[0017]
The cutting can be performed using a normal Gobel blade slitter, for example, by heating the hard coat film by disposing a heating means in front of the cutting portion while conveying the hard coat film. The angle of the blade edge of the upper blade of the Gobel blade is preferably 30 ° to 90 ° C., and the blade angle of the lower blade is preferably 90 °. The amount of meshing is preferably from 0.3 mm to 1.5 mm. The conveyance speed of the hard coat film is preferably 1 m / min to 100 m / min, and more preferably 5 m / min to 40 m / min.
In addition, the hard coat film is fixed on the receiving blade member, and the receiving blade member is punched into a desired shape with a Thomson blade while being heated by the heating means, or the cutter blade and the heating means are set at the tip of the plotter of the XY plotter. Further, it can be cut (punched) into a desired shape while heating.
[0018]
After cutting, maintaining the substrate film at a temperature higher than the glass transition temperature for a long time may cause deformation of the substrate film or change the crystallinity of the substrate film, and may be naturally cooled. However, it is preferable to cool quickly. Cooling can be performed by passing a cooling roll or blowing air.
[0019]
Examples of the plastic material used for the transparent substrate film used in the present invention include polyesters such as polyethylene terephthalate and polyethylene naphthalate; acetyl celluloses such as triacetyl cellulose and diacetyl cellulose; polyolefins such as polyethylene, polypropylene and polymethylpentene. Polystyrenes such as syndiotactic polystyrene; for example, cyclic olefin resins having a cyclic structure such as norbornene skeleton (for example, Zeonoa, Zeonex: manufactured by Nippon Zeon Co., Ltd., Arton: manufactured by JSR Co., etc.); Preferred examples include polycarbonate, polysulfone, polyethersulfone, polyarylate, polyetherimide, polymethyl methacrylate and polyether ketone.
The thickness of the transparent substrate film is preferably 20 to 500 μm. If it is too thin, the strength is weak, and if it is thick, the rigidity becomes too large. 80-200 micrometers is more preferable. Here, 20 to 500 μm means “20 μm or more and 500 μm or less”. In the present specification, numerical ranges represented by “to” and “to” mean the same contents.
In the transparent substrate film, “transparent” means that the light transmittance is 80% or more, more preferably 90% or more in the wavelength range of 400 nm to 780 nm.
In addition, the “film” referred to in the present invention includes not only a so-called general film that is thin relative to the length and width, but also includes a sheet having a thickness increased to some extent or a panel-like form. It is naturally possible to apply a hard coat layer to a sheet-like or panel-like substrate other than a film.
[0020]
In the hard coat film of the present invention, in order to reduce the deformation of the transparent base film, it is effective to increase the elastic modulus of the base film, but on the other hand, the deformation of the hard coat layer is reduced, In order to reduce the stress on the base film, it is effective to increase the rigidity (bending rigidity) of the hard coat layer, which is related to the rigidity of the hard coat layer ((surface elasticity of the hard coat layer) It is effective to set “x (thickness of film thickness)” to a specific range.
If the bending rigidity of the hard coat layer is small, the hard coat layer itself is easily deformed, and the load during the pencil hardness test, which is a kind of product quality inspection, is applied to the base film, causing deformation of the base film. End up. By increasing the bending rigidity of the hard coat layer, deformation due to the load of the pencil hardness test is reduced, and deformation of the base film can be suppressed. Although it is preferable to increase the bending rigidity, in order to handle the hard coat film with a roll, it is also necessary that the film has a certain bending rigidity or less. Therefore, “(surface elasticity of the hard coat layer) × (film” Thickness cubed) "is 40KPa · mm3~ 700KPa · mm3Preferably, 100 KPa · mm3~ 400KPa · mm3It is particularly preferred that
[0021]
Further, in order to obtain a hard coat film having sufficient pencil hardness and scratch resistance, it is better that the hardness of the hard coat layer itself is somewhat large, and the surface elastic modulus of the hard coat layer is preferably about 4.5 GPa or more. In a hard coat layer having a surface elastic modulus of less than 4.5 GPa, sufficient pencil hardness and scratch resistance cannot be obtained.
On the other hand, increasing the surface elastic modulus is effective for increasing the hardness, but on the other hand, since the brittleness deteriorates, from the viewpoint of maintaining a good balance between the hardness and brittleness of the hard coat layer surface, the surface elastic modulus is Preferably it is 10.0 GPa or less, More preferably, it is 9.0 GPa or less.
[0022]
The thickness of the hard coat layer of the present invention is preferably 5% or more of the layer thickness of the hard coat film, specifically preferably 10 μm or more, and more preferably 20 μm or more. When the thickness is increased, the pencil hardness is improved, but it is difficult to bend the film, and cracks due to bending are more likely to occur. Therefore, the thickness is preferably 60 μm or less, more preferably 50 μm or less, and even more preferably 10 to 60 μm. Especially preferably, it is 20-60 micrometers, Most preferably, it is 20-50 micrometers.
The hard coat layer is provided on one side or both sides of the transparent base film, and only one layer may be present on the hard coat film, or two or more layers may be further present.
[0023]
A hard-coat layer is formed by hardening | curing the curable composition containing the compound which has a polyfunctional polymeric group and crosslinking group which react by active energy ray irradiation. The compounds having these polyfunctional polymerizable groups and crosslinking groups will be described later in detail.
The curable composition has a problem that volume shrinkage occurs at the time of curing, and curling increases when the film thickness is increased. In order to reduce the curl, it is preferable that the shrinkage during curing is small, and the volume shrinkage ratio before and after curing is preferably 0 to 15%, more preferably 0 to 13%, and particularly preferably 0 to 11%. .
The volumetric shrinkage due to curing can be determined from the density change before and after curing of the curable composition. Specifically, the density measured by MULTIVOLUME PYCNOMETER (25 ° C.) manufactured by Micrometric Co. It is.
Formula A: Volume shrinkage = [1- (density before curing / density after curing)] × 100 (%)
[0024]
By reducing the volume shrinkage ratio at the time of curing of the curable composition for forming the hard coat layer, it is possible to reduce the curl of the hard coat film in which the hard coat layer is laminated on the transparent film. Practically, the curl value of the hard coat film at 25 ° C. and 60% RH is preferably in the range of minus 15 to plus 15. The curl value relative to the hard coat film thickness (the value obtained by dividing the curl value by the hard coat film thickness (μm) (absolute value)) is preferably small, 0.45 (1 / m · μm). The following is preferable, and it is more preferable that the value is 0.35 or less. Here, the curl value is a value obtained by the following mathematical formula B.
Formula B; curl value = 1 / R (R is the radius of curvature of the curl (m))
The signs “plus” and “minus” of the curl value mean the direction in which the film curls. That is, “plus” means curling so that the coated surface side of the hard coat layer becomes concave with respect to the base film, and “minus” means curling so that the coated surface side becomes convex. Means.
[0025]
Further, the volume of the hard coat layer expands and contracts depending on the amount of moisture absorption. The difference (absolute value) in curl between 25 ° C. 10% RH and 25 ° C. 80% RH is preferably 24 or less. In order to suppress the curl change, it is preferable that the curable composition after curing by irradiation with active energy rays has a lower hydrophilicity, and the I / O value of the curable composition related to hydrophilicity is 0.1 to 0.85. It is preferable that More preferably, it is 0.25 to 0.8, and most preferably 0.35 to 0.75. When the I / O value exceeds 0.85, the hydrophilicity of the polymer produced with curing increases, and the volume expansion and hardness of the hard coat layer are greatly affected by humidity, while having a high surface hardness. , A hard coat film with good curl characteristics cannot be obtained. If the I / O value is too small, the hygroscopic expansion is small and the curl at normal humidity is large.
[0026]
The above I / O values were determined by the method described in Satoshi Fujita “Systematic Organic Qualitative Analysis” Kazama Shobo (1970), Yoshio Koda “Organic Conceptual Diagram” Sankyo Publishing (1984), etc. “Inorganic (I) / Organic” Property (O) "value. The I / O value is used as a means for predicting various physicochemical properties of organic compounds. The organicity can be obtained by comparing the number of carbon atoms, and the inorganic material can be obtained by comparing the boiling points of hydrocarbons having the same number of carbon atoms. For example, (-CH2-) (Actually C) one is determined to have an organic value of 20, and inorganic is determined to have an inorganic value of 100 from the influence of hydroxyl groups (-OH) on the boiling point. What calculated | required the value of the other substituent (inorganic group) on the basis of the inorganic value 100 of this hydroxyl group (-OH) is shown as "inorganic group table". A value obtained by taking the ratio between the inorganic value and the organic value from the composition after irradiating and curing the active energy ray to the curable composition forming the hard coat layer was used as the I / O value. That is, the I / O value of the curable composition cured by irradiation with active energy rays is the mass fraction of each repeating unit to the I / O value for each repeating unit of the polymer produced along with curing by irradiation with active energy rays. It is the total value. In order to set the I / O value of the curable composition cured by active energy ray irradiation to 0.1 to 0.85, it is possible to appropriately set the composition of the curable composition before curing. For example, —OH, —COOR, —NH in the cured composition2By reducing the number of groups such as> CO, the I / O value can be controlled to 0.1 to 0.85.
[0027]
Furthermore, by maintaining the I / O value of the curable composition in the above range, the moisture absorption rate of the hard coat layer can be reduced. The moisture absorption rate at 25 ° C. and 60% RH of the hard coat layer of the present invention is preferably 3% by mass or less, more preferably 2.5% by mass or less, and most preferably 2% by mass with respect to the hard coat layer at the time of drying. % Or less.
[0028]
As the curable composition for forming the hard coat layer used in the present invention, a known curable resin such as a thermosetting resin or an active energy ray polymerizable resin can be used.
Examples of the thermosetting resin include melamine resin, urethane resin, and epoxy resin. Further, a thermosetting resin utilizing a silicate sol-gel reaction can also be used.
The active energy ray polymerizable resin is very preferably used from the viewpoint of easy control of the reaction. Hereinafter, the case where an active energy ray polymerizable resin is used as the curable resin will be mainly described.
[0029]
In the present invention, the curable composition may contain the following inorganic or organic fine particles, a polymerization initiator, and other additives in addition to the resin curable by active energy rays.
[0030]
The hard coat layer mainly composed of a polymerizable resin crosslinked by active energy rays includes (a) a polyfunctional monomer having a polymerized group or a crosslinkable reactive group, (b) an oligomer having a polymerized group or a crosslinkable reactive group in the side chain, and (C) A coating solution of a curable resin composition containing at least one selected from polymers having a polymer group or a cross-linking reaction group in a side chain (hereinafter referred to as “polymerizable resin”) and a polymerization initiator, It can form by apply | coating on a transparent base film and polymerizing polymerizable resin.
[0031]
The polymer group is preferably a group having a radical polymerizable double bond or a ring-opening polymerizable cyclic ether group.
Examples of the group having a radical polymerizable double bond include an acryloyl group, a methacryloyl group, a vinyl group, and an allyl group, and an acryloyl group and a methacryloyl group are preferably used from the viewpoint of reactivity.
Specific examples of the polyfunctional monomer containing a polymerizable double bond include glycol-based (meth) acrylates such as ethylene glycol di (meth) acrylate and diethylene glycol di (meth) acrylate, and n-hexanediol di (meth) acrylate. , Trimethylolpropane tri (meth) acrylate, ditrimethylolpropane tri (meth) acrylate, ditrimethylolpropane tetra (meth) acrylate, pentaerythritol tri (meth) acrylate, pentaerythritol tetra (meth) acrylate, dipentaerythritol penta (meth) ) Acrylate, dipentaerythritol hexa (meth) acrylate, 1,4-cyclohexanediol di (meth) acrylate, 1,3,5-cyclohexanetriol tri ( ) Polyester polyols by reaction of acrylate, adipic acid, sebacic acid, phthalic acid, isophthalic acid, terephthalic acid and glycol (ethylene glycol, polyethylene glycol, propylene glycol, etc.) and triol (glycerin, trimethylolpropane, etc.) Polyol polyacrylates such as the reaction product of oligomer and (meth) acrylate, epoxy acrylates such as the reaction product of bisphenol A and glycidyl (meth) acrylate, reaction product of hexanediol and glycidyl (meth) acrylate, condensation product of polyisocyanate and polyol A urethane acrylate obtained by reaction of a polyisocyanate polyurethane-based oligomer comprising a hydroxyl group-containing acrylate such as hydroxyethyl (meth) acrylate And the like can be given over door class.
[0032]
Examples of the compound having a ring-opening polymerizable cyclic ether group include cyclic imino ethers such as an epoxy derivative, an oxetane derivative, a tetrahydrofuran derivative, and an oxazoline derivative, and an epoxy derivative, an oxetane derivative, and an oxazoline derivative are particularly preferable. .
[0033]
These ring-opening polymerizable cyclic ether compounds are preferably compounds having 2 or more, preferably 3 or more of the above cyclic structures in the same molecule. For example, trimethylol ethane triglycidyl ether, trimethylol propane triglycidyl ether, glycerol triglycidyl ether, triglycidyl trishydroxyethyl isocyanurate, etc. as trifunctional glycidyl ether, sorbitol tetraglycidyl ether, pentaerythritol as tetrafunctional or higher glycidyl ether Tetraglycyl ether, polyglycidyl ether of cresol novolac resin, polyglycidyl ether of phenol novolac resin, epolide GT-301, epolide GT-401, EHPE (manufactured by Daicel Chemical Industries, Ltd.), polycyclohexyl of phenol novolac resin OX-SQ, PNOX-1 as tri- or higher functional oxetanes such as epoxy methyl ether 09 (manufactured by Toagosei Co., Ltd.), and the like.
[0034]
A monofunctional monomer can be added to the polyfunctional monomer as necessary to adjust the surface elastic modulus, reduce cure shrinkage, and improve adhesion. Monofunctional monomers include polar groups such as alkyl esters of acrylic acid such as methyl (meth) acrylate and butyl (meth) acrylate, hydroxyethyl (meth) acrylate, dimethylaminoethyl (meth) acrylate, and glycidyl (meth) acrylate. Examples thereof include existing monomers such as acrylic acid esters, acrylamides such as (meth) acrylamide and N-methylol (meth) acrylamide, N-vinylpyrrolidone, styrene, vinyl acetate, and maleic anhydride.
[0035]
On the other hand, a compound having one or two ring-opening polymerizable groups in the same molecule can be used in combination as required. Preferred compounds are monofunctional or bifunctional glycidyl ethers, monofunctional or bifunctional. Alicyclic epoxies, monofunctional or bifunctional oxetanes, and various commercially available or known compounds can be used.
[0036]
Similarly, an oligomer or polymer containing at least two radically polymerizable groups can be added to the polyfunctional monomer. Examples of the oligomer or polymer containing a radically polymerizable group include an oligomer / polymer having a polymerizable group such as a (meth) acryloyl group or an allyl group as a pendant group. ) Ester derivatives synthesized from acrylic acid, oligomers / polymers containing carboxylic acid and hydroxyl-containing (meth) acrylic acid esters (such as hydroxyethyl (meth) acrylate) or allyl alcohol, glycidyl (meth) Examples thereof include epoxy ring-opening polymer oligomers such as acrylates, polymers, oligomers having a chloroethyl group, and polymers having an acryloyl group synthesized by dehydrochlorination of the polymer.
[0037]
Moreover, it is particularly preferable that the compound having three or more ring-opening polymerizable groups in the same molecule contains a crosslinkable polymer containing a repeating unit represented by the following general formula (1).
General formula (1)
[0038]
[Chemical 1]
[0039]
R in the general formula (1)1Represents a hydrogen atom or an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, preferably a hydrogen atom or a methyl group.
L1Is a single bond or a divalent linking group, preferably a single bond, —O—, an alkylene group, an arylene group and * —COO—, * —CONH—, * —OCO— linked to the main chain on the * side. , * -NHCO-.
P1Is a monovalent group containing a ring-opening polymerizable group and is preferably P1And monovalent groups including an imino ether ring such as an epoxy ring, an oxetane ring, a tetrahydrofuran ring, a lactone ring, a carbonate ring, and an oxazoline ring. Among these, an epoxy ring, an oxetane ring, and an oxazoline ring are particularly preferable. Including monovalent group.
[0040]
The crosslinkable polymer containing the repeating unit represented by the general formula (1) is preferably synthesized simply by polymerizing a corresponding monomer. In this case, radical polymerization is the simplest and preferable as the polymerization reaction. Specific examples include polyglycidyl methacrylate, polymethyl glycidyl methacrylate, polyepoxycyclohexylmethyl methacrylate, poly-3-ethyl-3-oxetanylmethyl methacrylate, and the like.
[0041]
A polyfunctional monomer, oligomer, or polymer containing the polymerizable double bond group described above and a polyfunctional cyclic structure-containing compound may be used in combination.
[0042]
Use of a monofunctional monomer, an oligomer or polymer containing at least two polymerizable double bonds, or a ring-opening polymerizable cyclic ether compound together with a polyfunctional monomer containing a polymerizable double bond The amount is preferably 50% by mass or less, more preferably 35% by mass or less based on the polyfunctional monomer. If the proportion of the monofunctional monomer, the oligomer or polymer containing at least two polymerizable double bonds, or the ring-opening polymerizable cyclic ether compound is too high, the desired hardness cannot be obtained.
[0043]
Inorganic or organic fine particles can also be added to the hard coat layer, and curling of the hard coat film can be reduced by adjusting the surface elastic modulus of the hard coat layer or reducing the curing shrinkage rate.
[0044]
Examples of the fine particles include inorganic oxides and internally crosslinked polymer resin particles. As the inorganic oxide particles, those having a high hardness are preferable, and inorganic oxide particles having a Mohs hardness of 6 or more are preferable. For example, silicon dioxide particles, titanium dioxide particles, zirconium oxide particles, aluminum oxide particles and the like are included.
[0045]
Examples of the organic fine particles include resin particles such as acrylic resin, polystyrene, polysiloxane, melamine resin, benzoguanamine resin, polytetrafluoroethylene, cellulose acetate, polycarbonate, and nylon. Among them, polymethyl methacrylate (divinyl) Benzene copolymer), polysiloxane, polystyrene, melamine resin, benzoguanamine resin, and particles made of these complexes are preferred. Furthermore, internally cross-linked polymer resin fine particles by copolymerization with a monomer having a bifunctional or higher functional group are preferred.
[0046]
The average particle size of these fine particles is 1 nm to 400 nm, more preferably 5 nm to 200 nm, and still more preferably 10 nm to 100 nm. If it is less than 1 nm, it is difficult to disperse and aggregated particles are formed, and if it exceeds 400 nm, haze increases, both of which are unfavorable because the transparency is lowered.
[0047]
The amount of these fine particles used is more preferably 5 to 80% by mass of the total amount of the hard coat layer, and further preferably 10 to 50% by mass.
[0048]
In general, inorganic fine particles have poor affinity with the active energy ray-polymerizable resin. Therefore, simply mixing them makes it easy to break the interface and the hard coat layer to break, making it difficult to improve scratch resistance. In order to improve the affinity between the inorganic fine particles and the active energy ray polymerizable resin, the surface of the inorganic fine particles can be treated with a surface modifier containing an organic segment.
The surface modifier preferably forms a bond with inorganic fine particles on the one hand and has a high affinity with the active energy ray polymerizable resin on the other hand. Examples of the compound capable of forming a bond with the surface of the inorganic fine particle include metal alkoxide compounds such as silicon, aluminum, titanium, and zirconium, and anions having a phosphate ester, a phosphonate group, a sulfate ester, a sulfonate group, a carboxylic acid group, and the like. Are preferred. The active energy ray polymerizable resin is preferably chemically bonded, and a resin having a vinyl polymer group or the like introduced at the terminal is suitable. For example, when synthesizing an active energy ray polymerizable resin from a monomer having an ethylenically unsaturated group as a polymerizable group and a crosslinkable group, a polymerizable double bond or ring-opening polymerization is performed at the end of the metal alkoxide compound or anionic compound. It preferably has a cyclic ether group.
[0049]
Since the plastic film used for the transparent substrate film in the present invention has low heat resistance itself, when a hard coat layer is formed by curing a thermosetting resin by heating, it is preferably cured at as low a temperature as possible. . In this case, the heating temperature is 140 ° C. or lower, more preferably 100 ° C. or lower.
On the other hand, the method of forming a hard coat layer by curing by irradiation with active energy rays is preferable because the crosslinking reaction often proceeds at a low temperature.
[0050]
When an active energy ray polymerizable resin is used for the hard coat layer, examples of the active energy rays include radiation, gamma rays, alpha rays, electron rays, ultraviolet rays, and the like, and ultraviolet rays are preferred. A method of curing using ultraviolet rays as active energy rays and using a polymerization initiator that generates radicals or cations by ultraviolet rays is particularly preferred. Further, it may be preferably used because it may be further cured by heating after irradiation with ultraviolet rays. In this case, the heating temperature is preferably 140 ° C. or lower.
[0051]
Examples of the photo radical polymerization initiator include acetophenones, benzophenones, Michler's ketone, benzoylbenzoate, benzoins, α-acyloxime ester, tetramethylthiuram monosulfide, and thioxanthone. In addition to the photopolymerization initiator, a photosensitizer may be used. Examples of the photosensitizer include n-butylamine, triethylamine, triethanolamine, tri-n-butylphosphine, and thioxanthone.
[0052]
Examples of photoacid generators that generate cations include compounds such as triarylsulfonium salts, diaryliodonium salts, and nitrobenzyl esters of sulfonic acids, published by “Organic Materials for Imaging”, published by Banshin Publishing Co., Ltd. ( Various known photoacid generators such as the compounds described in 1997) can be used. Of these, a sulfonium salt such as diphenyl-4-thiophenoxyphenylsulfonium hexafluorophosphate or diphenyliodonium hexafluorophosphate is particularly preferred, and PF is used as the counter ion.6 −, SbF6 −, AsF6 −, BF4 −B (C6F5)4 −Etc. are preferable.
[0053]
The polymerization initiator is preferably used in the range of 0.1 to 15 parts by mass, more preferably in the range of 1 to 10 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the polyfunctional monomer.
[0054]
In the present invention, as an active energy ray-curable resin, a polyfunctional monomer, oligomer or polymer containing a polymerizable double bond and a polyfunctional ring-opening polymerizable cyclic ether compound are combined, and as a polymerization initiator, It is also a preferred method to combine a photoradical initiator that generates radicals with a photoacid generator that generates cations. Moreover, in the said method, you may use individually the polymerization initiator which generate | occur | produces both a radical and a cation by light irradiation as a polymerization initiator.
[0055]
The coating solution of the curable resin composition containing the active energy ray polymerizable resin is applied to an organic solvent such as ketones such as methyl ethyl ketone and methyl isobutyl ketone, alcohols such as ethyl alcohol and isopropyl alcohol, and esters such as ethyl acetate. The above-mentioned polyfunctional monomer and a polymerization initiator are mainly dissolved and produced. In order to omit the drying step, it is possible to use no solvent.
[0056]
The production of the hard coat film of the present invention includes the dipping method, the spinner method, the spray method, the roll coater method, the gravure method, the wire bar method, the extrusion method, the blade method, the die coating method and the like on the base film. After forming and drying by a known thin film forming method, it can be produced by irradiation with active energy rays.
[0057]
Furthermore, for the purpose of improving the adhesion between the transparent substrate film and the hard coat layer, a surface treatment can be applied to one side or both sides by an oxidation method or an unevenness method, if desired. Examples of the oxidation method include corona discharge treatment, glow discharge treatment, plasma treatment, chromic acid treatment (wet), flame treatment, hot air treatment, ozone / ultraviolet irradiation treatment, and the like. Furthermore, one or more undercoat layers can be provided. Examples of the material for the undercoat layer include copolymers such as vinyl chloride, vinylidene chloride, butadiene, (meth) acrylic acid ester, and vinyl ester, or water-soluble polymers such as latex, low molecular weight polyester, and gelatin. A metal oxide such as tin oxide, ITO or zinc oxide, or an ionic organic compound can be added as a conductive substance in the undercoat layer.
[0058]
The hard coat layer can be a single layer, but can also be composed of two or more layers. A multilayer structure can be formed by sequentially laminating layers having different surface elastic moduli. In the case of a multilayer structure, the elastic modulus, cure shrinkage rate, I / O value, and moisture absorption rate of a layer can be obtained as values corrected by the thickness of the characteristics of each layer.
[0059]
A thin film having functions such as an antireflection layer and an antifouling layer can be provided on the prepared hard coat layer. In addition, as a functional layer, a conductive layer (antistatic layer, electromagnetic wave shielding layer), light absorption layer (ultraviolet ray, infrared ray, near infrared ray absorption layer), selective wavelength absorption layer, heat ray absorption layer, etc. are laminated and combined. And is provided as a functional hard coat film with high hardness.
These functional thin films can be prepared by a wet method in which a solution of a known functional material is applied, or a dry method in which a vacuum film formation such as sputtering or vapor deposition is performed.
[0060]
Hard coat film is a hard coat film that combines the above functional layers as desired, cut into a desired shape by the method of the present invention, and then laminated on a plastic sheet, a show window, a window glass, etc. via an adhesive, It can be used as a protective film for preventing scratches on the surface of a plastic sheet and a protective film for preventing scattering of glass pieces when a show window or window glass is damaged.
Further, it can be used as a protective film for image display devices such as LCD, PDP, FED, EL, and other FPD (flat panel display), CRT, and touch panel.
Also, for example, a laminate obtained by laminating a hard coat film on a sheet-like article such as a plastic sheet is cut by the method of the present invention, and a hard coat treated article having a desired shape with few cracks and chips generated on the cut surface Can be obtained.
[0061]
A schematic cross-sectional view of a hard coat film that is the subject of the cutting method of the present invention is shown in FIGS. Although a detailed description is omitted, those skilled in the art can easily understand. The hard coat film shown in FIG. 2 has an antireflection layer (functional layer) composed of a low refractive index layer 3a and a high refractive index layer 3b as the outermost layer.
FIG. 3 is a schematic cross-sectional view of a hard coat film processed article in which the hard coat film shown in FIG. 2 is laminated on a plastic sheet substrate 6.
[0062]
【Example】
EXAMPLES The present invention will be further described below with reference to examples, but the present invention is not limited thereto.
[0063]
(Creation of hard coat film)
Latex (LX407C5, Nippon Zeon Co., Ltd.) consisting of a styrene-butadiene copolymer with a glass transition temperature of 37 ° C on a PET film (biaxially stretched polyester terephthalate film, glass transition temperature 80 ° C) with a corona treatment on the surface. ) And tin oxide / antimony oxide composite oxide (FS-10D, manufactured by Ishihara Sangyo Co., Ltd.) in a mass ratio of 5: 5 so that the film thickness after drying is 0.2 μm. To form an antistatic undercoat layer. On this antistatic undercoat layer, a curable composition described in Table 1 was dissolved in methyl ethyl ketone (MEK), a polymerization initiator was added, and the curable composition filtered through a polypropylene filter having a pore size of 1 μm was microgravure. A hard coat layer is applied to a predetermined thickness (the hard coat layer thickness is adjusted by the dissolution concentration of the curable composition and the microgravure mesh interval), dried at 100 ° C., and 750 mJ / cm2A hard coat film was produced by irradiating with ultraviolet rays having an illuminance of.
[0064]
The polymerization initiator is 3% by mass of Irgacure 184 (manufactured by Ciba Geigy) in the case of a radical polymerizable curable composition, and 4% by mass of Rhodosyl 2074 (manufactured by Rhodia) in the case of a cationic polymerizable composition. In the case of mixing both curable compositions, the respective polymerization initiators were mixed and used.
[0065]
Polyglycidyl methacrylate in Table 1*Was obtained by reacting glycidyl methacrylate dissolved in methyl ethyl ketone (MEK) at 80 ° C. for 2 hours while dropping a polymerization initiator, dropping the obtained reaction solution into hexane, and drying the precipitate under reduced pressure. The mass average molecular weight (measured by GPC, converted to polystyrene) is 15,000.
Alumina dispersion**Is a mixture of 234 parts of methyl isobutyl ketone, 36 parts of Aronix M-5300 (carboxylic acid group-containing methacrylate; manufactured by Toagosei Co., Ltd.), 180 parts of fine particle alumina (AKP-G015; manufactured by Sumitomo Chemical Co., Ltd.), A 1 mmφ zirconia bead is used as a medium, and is a surface-treated alumina fine particle dispersion dispersed with a ceramic-coated sand mill. The mass in Table 1 is the mass of solid content.
[0066]
The surface elastic modulus and pencil hardness of the prepared hard coat film were determined by the following method. Values are shown in Table 1.
The surface elastic modulus was measured by using a micro surface hardness tester (manufactured by Fisher Instruments Co., Ltd .: Fisherscope H100VP-HCU), using a diamond pyramid indenter (tip-to-face angle: 136 °), and an indentation depth of 1 μm The indentation depth under an appropriate test load was measured within a range not exceeding, and was determined from changes in load and displacement at the time of unloading.
Pencil hardness is specified by JIS-K-5400 using a test pencil specified by JIS-S-6006 after the prepared hard coat film is conditioned at a temperature of 25 ° C. and a relative humidity of 60% for 5 hours. According to the pencil hardness evaluation method, the hardness value of the pencil with no scratches or dents observed at a load of 9.8 N was obtained.
[0067]
(Formation of antifouling antireflection layer)
(1) Preparation of high refractive index layer coating solution (a-1)
30.0 parts by mass of titanium dioxide fine particles (TTO-55B, manufactured by Ishihara Sangyo Co., Ltd.), 4.5 parts by mass of an anionic monomer (M-5300, manufactured by Toa Gosei Co., Ltd.), and 65.2 parts by mass of cyclohexanone Then, the mixture was dispersed by a sand grinder mill to prepare a titanium dioxide dispersion having a mass average diameter of 55 nm. The titanium dioxide dispersion and dipentaerythritol hexaacrylate (DPHA, manufactured by Nippon Kayaku Co., Ltd.), photopolymerization initiator (Irgacure 907, manufactured by Ciba Geigy), photosensitizer (Kayacure DETX, Nippon Kayaku Co., Ltd.) The volume ratio of the total amount of monomer (dipentaerythritol hexaacrylate, total amount of anionic monomer) to titanium dioxide is 60/40, and the mass ratio of photopolymerization initiator to photosensitizer is 3 / 1, and added to and mixed with methyl ethyl ketone so that the mass ratio of the total amount of photopolymerization initiator and photosensitizer to the total amount of monomer was 6/100, and the coating solution for high refractive index layer was prepared. . The refractive index was 1.80.
[0068]
(2) Preparation of low refractive index layer coating solution (a-2)
Pentaerythritol tetraacrylate (PETA, Nippon Kayaku Co., Ltd.) 6g, photopolymerization initiator (Irgacure 907, Ciba Geigy) 0.5g, MegaFuck 531A (C8F17SO2N (C3H7) CH2CH2OCOCH = CH2Dainippon Ink & Chemicals, Inc.) 0.9 g and methyl ethyl ketone 200 g were mixed and stirred to prepare a coating solution for the low refractive index layer. The refractive index was 1.52.
[0069]
(3) Formation of hard coat film with antifouling antireflection layer
On the hard coat layer of the hard coat film obtained above, the high refractive index layer coating solution of (a-1) was applied using a wire bar so that the dry film thickness was 90 nm, dried, and irradiated with ultraviolet rays. Furthermore, the antireflective layer-equipped hardware in which the low refractive index layer coating solution (a-2) is applied on the high refractive index layer so that the dry film thickness is 85 nm, dried, and irradiated with ultraviolet rays to form an antireflective layer. A coated film was obtained.
[0070]
(Cutting hard coat film with anti-reflection)
The hard coat film with an antireflection layer prepared above was transported at a transport speed of 6 m / min, and the hard coat film was heated with a hot air heater immediately before the cutting part. The temperature of the transparent substrate film immediately before the cut portion at this time is shown as “web temperature” in Table 1. Cutting was performed using a Gobel type slitter having a blade edge angle (upper blade angle) of 30 °, 85 °, and an engagement amount of 0.4 mm. At this time, the blade itself was performed without cooling. After cutting, it was conveyed until it was sufficiently cooled by natural cooling and then wound up.
[0071]
Each of the cut anti-reflection hard coat films had almost no change in dimensional accuracy due to heating, and the film width dimensional accuracy was ± 0.3 mm or less.
Moreover, the cut surface of this film was observed with the microscope, and the length of the generated crack was measured. The results are shown in Table 1.
[0072]
[Table 1]
[0073]
From Table 1, the following is clear.
The length of the cracks that occur when cutting an anti-reflective hard coat film having a hard coat layer with a large pencil hardness is more than when it is naturally cooled by cutting with a hot air heater than when cutting at normal temperature. Is smaller.
In particular, it is very effective in reducing cracks that occur when cutting a hard coat film having a hard coat layer having an elastic modulus of 4.5 GPa or more and a film thickness of 20 μm or more.
[0074]
【The invention's effect】
According to the method of the present invention, a hard coat layer having a hard coat layer having a pencil hardness of 4H or more, preferably 5H or more, and further having a functional layer such as an antireflection layer or an antifouling layer on at least one surface of the transparent substrate film. The film can be cut with less generation of cracks and chips on the cut surface.
Since the hard coat film cut by the method of the present invention has few cracks and chips on the cut surface, it is excellent in prevention of cracking and dust resistance of the hard coat layer during handling, and if desired, an antireflection layer, an ultraviolet / infrared absorbing layer, Functional layers such as selective wavelength absorption layer, conductive layer (antistatic layer, electromagnetic wave shielding layer) and antifouling layer can be added, so plasma display panel (PDP), liquid crystal display device (LCD), electroluminescence display (ELD), cathode ray tube display (CRT), field emission display (FED), suitable for a protective film such as a display such as a mobile phone, a touch panel such as home appliances, glass, a plastic plate.
Further, the hard coat film laminated article of the present invention is excellent in that the hard coat film cut into a desired shape by the above method is laminated on the article surface, and there are few cracks and chips in the cut surface of the hard coat film. .
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic cross-sectional view showing one embodiment of a hard coat film of the present invention.
FIG. 2 is a schematic sectional view showing one embodiment of a hard coat film with a functional thin film layer of the present invention.
FIG. 3 is a schematic cross-sectional view of a hard coat film laminated article in which the hard coat film shown in FIG. 2 is laminated on a plastic sheet substrate.
[Explanation of symbols]
1 Transparent substrate film
2 Hard coat layer
3a High refractive index layer
3b Low refractive index layer
4 Undercoat layer with antistatic layer
5 Adhesive layer
6 Plastic sheet base material