JP2004169828A - シート材の止着体 - Google Patents
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Abstract
【課題】平板状取付体に対する装着力を軽減すると共に、所望の係合率及び係合強度を確保し、且つ平板状取付体に対する取付固定を強固なものにするシート材の止着体を提供する。
【解決手段】各種シート材を接合固定するシート材の止着体(1) が、幅方向の両端縁に沿って開口が相対して形成された略コ字状断面の嵌着溝部(2c)を有する取付体(2) の嵌着溝部(2c)に挿入される平板状嵌着縁部(4) と、嵌着縁部(4) の間の一表面に一体に起立する多数の係合素子(5) とを有している。止着体(1) の嵌着縁部(4) を取付体(2) の嵌着溝部(2c)に側面から嵌入させると、取付体(2) の嵌着溝部(2c)の内面に突設された押圧部(2b−1)よる押圧によって、前記嵌着縁部(4) の長さ方向に沿って断続的に形成された肉薄の凹陥面(4a−1)が変形して食込み状態となり、その弾力により前記嵌着溝部(2c)の内壁を押圧し、強固な固定がなされる。
【選択図】図1
【解決手段】各種シート材を接合固定するシート材の止着体(1) が、幅方向の両端縁に沿って開口が相対して形成された略コ字状断面の嵌着溝部(2c)を有する取付体(2) の嵌着溝部(2c)に挿入される平板状嵌着縁部(4) と、嵌着縁部(4) の間の一表面に一体に起立する多数の係合素子(5) とを有している。止着体(1) の嵌着縁部(4) を取付体(2) の嵌着溝部(2c)に側面から嵌入させると、取付体(2) の嵌着溝部(2c)の内面に突設された押圧部(2b−1)よる押圧によって、前記嵌着縁部(4) の長さ方向に沿って断続的に形成された肉薄の凹陥面(4a−1)が変形して食込み状態となり、その弾力により前記嵌着溝部(2c)の内壁を押圧し、強固な固定がなされる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種のシート材を取付部に止着するための止着体に関し、更に詳しくはカーテン、映写用スクリーン、暗幕、広告用吊幕等の各種の幕類を吊設部に吊設し、或いは各種壁紙、カーペット等の内装材を各種のパネルに固着するために使用される面接合可能な合成樹脂製係合素子を多数有する面ファスナー機能をもつ帯状の止着体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来も、例えば断面が略C字状をなすカーテンレールにカーテンを取り付けるにあたり、前記カーテンレールの長さ方向に多数のフック片等からなる合成樹脂製の雄係合素子が基部の表面から突出して平板状基部と一体に成形された帯状のカーテン用止着体を嵌挿固定し、カーテンの上端縁部に沿って添設された面ファスナーの雌係合片を前記雄係合素子を有するカーテン用止着体に係着させてカーテンをカーテンレールに止着させることが、例えば実用新案登録第2602598号公報により提案されている。かかる止着体は、例えば実用新案登録第2546430号公報にも開示されているように、カーテン用の使用に止まらず、各種壁紙、カーペット等の内装材を各種パネル(壁、床)に固着するため使用される。
【0003】
これらの公報に開示された止着体は、上記構成に加えて帯状止着体の巾方向の両側縁(耳部)に沿った一表面に断続的又は連続的に突出する突起からなる突起列を形成し、同突起列を、例えば幅方向の両端に沿って互いに向き合って開口する嵌着溝部を有する上記カーテンレールの同嵌着溝部に装着して、それらの突起列をカーテンレールの前記嵌着溝部の内壁面の一部をもって押圧又は相互に係着することにより、止着体をカーテンレールに強固に固定しようとするものである。
【0004】
【特許文献1】
実用新案登録第2602598号公報
【特許文献2】
実用新案登録第2546430号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかして、上記各特許文献1,2に開示された止着体によれば、突起列を介して止着体は平板状取付体の嵌着溝内壁により弾性的に把持されるため、強固な固定が実現できるものの、いずれも止着体の平板状基部の裏面がカーテンレールなど取付体の取付面に密接している。その結果、止着体の平板状基部の係合素子突設面は前記突起列の高さだけ前記嵌着溝部の高さよりも低くなり、前記平板状基部から突設する係合素子は取付体の上面に突出する部分が少なくなり、所要の係合率を確保するには、同係合素子の立上り部の高さを前記突起列の高さの分だけ高く設定しなければならなくなる。このことは、同一太さでは係合素子の立上り部が極めて撓みやすくなり、係合素子としての理想的な係合率が得にくくなることを意味する。係合素子の立上り部の高さを前記突起列の高さの分だけ高く設定すると、必然的に取付体の前記嵌着溝部の高さが高くなり、取付体自体がかなり厚手となってしまうことになる。
【0006】
また、一般に、この種の取付体は、金属材料から所定の断面形状を有する長尺の形材として押出しにより連続的に製造される。この場合、前記形材の断面寸法、特にその巾方向の両端縁に沿って形成される上記嵌着溝部間の距離は必ずしも一律ではない。一方、上記止着体は熱可塑性の合成樹脂材料が使われ、射出などによって連続的に成形するが、生産効率等を考慮すると金型等を変更することは必ずしも得策といえず、同一巾で且つ同一の形態をもつ止着体を大量に生産することが望ましい。
【0007】
しかして、上記各特許文献1,2に開示された止着体のように、その巾方向の端縁に沿って突起列を形成し、同止着体を相手方の取付体に装着するにあたって前記突起列を取付体の嵌着溝部に確実に嵌着しようとすれば、止着体の巾寸法を取付体の嵌着溝部間距離に適合させるため、多様の寸法を用意する必要がある。また、止着体を取付体に容易に装着できるようにするには、前記突起列の高さを嵌着溝部の開口高さより僅かに低く設定する必要があり、その精度が得られない場合には強固な装着が不可能となるか、或いは突起列を嵌着溝部に装着すること自体が不可能となる。また、止着体の嵌着縁部を取付体の嵌着溝部に側面から嵌入させるとき、前記突起列と干渉して極めて嵌入させにくいものとなる。
【0008】
本発明はかかる課題を解決すべくなされたものであり、更に詳しくは平板状取付体に対する装着力を軽減すると共に、所望の係合率及び係合強度を確保し、且つ平板状取付体に対する取付固定を強固なものにするシート材の止着体を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
本件請求項1に係る発明は、幅方向の両端縁に沿って開口が相対して形成された略コ字状断面の嵌着溝部を有する取付体の前記嵌着溝部に嵌装固定され、各種シート材を接合固定するシート材の止着体であって、前記止着体が、その幅方向の両端縁に前記嵌着溝部に挿入される平板状の嵌着縁部と、同嵌着縁部の間の一表面に一体に起立する多数の係合素子とを有し、前記嵌着縁部の少なくとも前記取付体の嵌着溝部の内面の一部による押圧領域に、押圧により変形のしやすい押圧変形部を有してなることを特徴とするシート材の止着体にある。
【0010】
本発明の最も好適な実施形態によれば、平板状取付体は、例えばカーテンを上下に開閉するカーテン装置に適用されるカーテンレールであり、長尺の平板状取付部の巾方向の両側縁に沿ってL字型の取付片が一体に延設され、同両側縁部は、それぞれ向かい合って断面が略C字状をなして止着体の嵌着溝部を構成する。かかる構成は従来の取付体と実質的に同じである。
【0011】
一方、前記シート材用止着体は、前記取付体とほぼ同一の長さと僅かに短い幅とを有し、その嵌着縁部は前記取付体の各嵌着溝部の溝深さ以上の寸法とその溝幅とほぼ等しい寸法を有している。前記止着体の嵌着縁部を除く一表面に多数の係合素子が起立して、接合面を形成している。このフック状係合素子は、通常の成形面ファスナーにおける係合素子形状であれば、フック状に限らずマッシュルーム状、或いは複葉状の湾曲部をもつ係合素子とすることも可能である。
【0012】
ところで、上記各特許文献1,2は、平板状取付体に対する一応の固設は可能ではあるが、取付体の巾寸法が変更された場合に、取付体の押圧部位又は係着部位と止着体の嵌着縁部の一部に形成された突起の形成部位とがずれることがあるためガタツキやすく、更には同取付体に装着された止着体の係合素子面と懸垂シート材の端縁に形成された相手方の係合素子面との間で所望の係合率及び係合強度が確保しにくい。
【0013】
そこで、本発明のシート材用止着体は、上記各特許文献1,2とは大きく異なり、特に上記特許文献2に開示された止着体のように突起列により止着体を平板状取付体の嵌着溝内壁に把持することを排除している。
【0014】
本発明の好適な一態様として、上記平板状基部の肉厚が、上記両嵌着縁部の巾寸法にほぼ等しく設定されると共に、上記嵌着縁部の形態が、前記平板状基部の係合素子を突設している領域の両縁から基部と同一平面上に延び、その嵌着縁部の少なくとも前記取付体の嵌着溝部の内面の一部による所要の幅をもつ押圧領域を有し、その押圧領域には押圧により変形のしやすい押圧変形部を有している。
つまり、前記嵌着縁部の表面上に突出することなく、その嵌着縁部の同一平面内の少なくとも一部に前記取付体の嵌着溝部内の一部による押圧にて変形しやすい押圧変形部を備えている。このとき、嵌着縁部の押圧変形部を押圧すべく、取付体の嵌着溝部内に押圧部を設けておくことが好ましい。
【0015】
かかる構成をもつ本発明の止着体を平板状取付体の嵌着溝部に装着固定するには、平板状止着体を前記嵌着溝部の装着面に向けて押し付けるようにすると、その嵌着縁部の押圧変形部が平板状取付体の嵌着溝部の押圧部により容易に弾性変形されて前記嵌着溝部の内部に嵌着される。この嵌着が完了したとき、前記押圧変形部が前記嵌着溝部の押圧部によってほぼV字断面に押圧変形して、前記押圧部が食込み状態となり、その弾性的な変形により嵌着溝部内における止着体の嵌着縁部の動きを封じる。従って、前記取付体に止着体が強固な固定がなされるとともに、嵌着縁部の前記押圧変形部と嵌着溝部の前記押圧部との対応位置関係を必ずしも厳密に設定する必要がない。
【0016】
こうして、止着体の嵌着縁部を取付体の嵌着溝部に嵌入させるとき、同嵌着縁部の表裏面は平行な平面上にあるから、従来のごとく止着体の突起列と取付体とが干渉することなく、小さな力をもって極めて容易に且つ速やかに嵌入させることができるようになる。また、前記平板状止着体は前記取付体の嵌着溝部の内壁面を弾性的に押圧して強固に固定されるため、容易に離脱することはない。
【0017】
しかも、前記押圧変形部が平板状取付体の、例えば上記押圧部によ弾性的に押圧変形して係着するため、嵌着縁部と嵌着溝部との間の隙間がなくなり、取付体の嵌着溝部の部分に、例えばシート材が引っ掛かることが防げる。また、平板状取付体に巾変更があったとしても、前記押圧部と平面上に形成された押圧変形部との間に自由度をもたせることができるため、前記平板状取付体の嵌着溝部と前記止着体の嵌着縁部との寸法精度を厳格に確保することなく、前記止着体の装着固定が保証できる。
【0018】
請求項2に係る発明は、前記押圧変形部が、前記嵌着縁部の長さ方向に沿って断続的に形成された肉薄の凹陥面を有していることを特徴としている。
前記嵌着縁部の平面に沿って並ぶ多数の凹陥面は、平板状基部が剛直である場合に同基部の延長部である嵌着縁部に対して適度の変形しやすさを付与すると共に、前記嵌着溝部の開口に容易に嵌入できるばかりでなく、成形時に前記平板状基部の巾方向に発生する湾曲形態を矯正する機能を有している。しかも、このような凹陥部を形成することにより、上記取付体の嵌着溝部の内面の一部により押圧されると、隣接する凹陥部間のリブ部を容易に変形させ得るようになり、取付体に対して止着体をしっかりと固定することができる。
【0019】
また、本発明にあっては上記構成を備えることにより、係合素子が形成された前記平板状基部の肉厚と前記嵌着縁部の肉厚とを等しく設定できると共に、同肉厚が前記取付体の嵌着溝部の溝巾とほぼ等しい合理的な厚さに設定できる。このため、平板状基部の上面を取付体の嵌着溝部の高さに近づけることを可能にし、同平板状基部から突出する係合素子の立上り部の高さを無用に高く設定することなく、その係合素子を確実に前記嵌着溝部の上方に突出させることができる。その結果、相手方の係合素子との係合が確実になされるばかりか、要求される強力な係合力が確保される。
【0020】
請求項3に係る発明は、前記嵌着縁部が2層以上からなり、少なくとも前記押圧変形部の表層部分が、長さ方向に沿って連続的又は断続的に配された軟質材により構成されていること特徴としている。
前記押圧変形部は、止着体の上記嵌着縁部の形態を格別に変更することなく、同嵌着縁部の表面に軟質材を縫着、接着等の適当な固着手段、或いは二色成形により添着できる。かかる構成により、前記止着体を前記取付体に装着すると、前記取付体の嵌着溝部の内壁面の一部が前記軟質材に食込み状態になり、同軟質材が前記嵌着溝部の内壁の一部を弾性的に挟圧支持する。このため、相手方の取付体と止着体とが相対的に変位することなく、その固定が強力に且つ確実になされる。なお、軟質材として、ゴムや樹脂材などの弾性や耐久性の良好な構成材料を通常の成形によって所望の断面形状を有する形態で使用できる。
【0021】
請求項4に係る発明は、前記凹陥面の底部が前記係合素子の起立面よりも低く設定されていることを特徴としている。
前記嵌着縁部の前記凹陥面の底部を前記係合素子の起立面より一段低く設定すると共に、その嵌着溝部の内部形状を前記押圧変形部を変形するに好適な形状としている。そのため、上記止着体と平板状取付体との固定が強固になされると共に、前記凹陥面が前記平板状基部より低くなる分だけ、同基部上面に突出する係合素子が、少なくとも前記平板状取付体の上面から上方に突出することになり、更に相手方の係合素子との係合を確実にする。
【0022】
請求項5に係る発明は、前記嵌着縁部が、最も外側に配された前記係合素子の形成部位まで延在し、各係合素子の起立面は前記嵌着縁部よりも低く設定されていることを特徴としている。
かかる構成により、上記止着体の平板状基部の必要最小限の剛性を確保するとともに、その幅方向の両端縁に形成された嵌着縁部に必要な剛性を同時に確保する。しかも、同時に嵌着縁部の押圧変形部が取付体の嵌着溝部の内面の一部による押圧時に容易に変形しやすい構造をも得やすくしている。例えば、嵌着縁部に請求項2における凹陥部を形成しても、嵌着縁部の全体の剛性が確保される。
【0023】
この場合、止着体の前記嵌着縁部の肉厚は従来の肉厚と変わらず、取付体の前記嵌着溝部の高さを変更することを必要としないため、既存の取付体をそのままの状態で使用することができるばかりでなく、その取付体自体も厚手になることはない。しかも、止着体の前記嵌着縁部の上面が前記平板状基部の上面より高くなる分だけ同一平面の場合に較べて相対的に高くなり、上記押圧変形部の変形量が大幅に増加する。その結果、止着体と平板状取付体との固定が強固になされると共に、その止着体の上面に突出する係合素子との係合を阻害することなく、相手方の平板状取付体に対して要求される強力な係合力が十分に確保される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明の代表的な実施形態である止着体とその取付体との主要部の構成を部分的に示す分解斜視図、図2は同止着体の装着操作と同止着体が取付体に装着されるときの状態を示す横断面図、図3は同装着完了後の横断面図である。
【0025】
これらの図において、符号1は本実施形態に係るシート材用止着体であり、符号2は同シート材用止着体1を嵌着する平板状取付体を示している。図示例によれば、前記平板状取付体2は、例えば図示せぬカーテンを上下に開閉するカーテン装置に適用されるカーテンレールであり、長尺の平板状取付部2aの巾方向の両側縁に沿ってL字型の取付片(かしめ体)2bが一体に延設され、同両側縁部はそれぞれ向かい合って断面がほぼC字状をなしており、止着体1の嵌着溝部2cを構成する。
【0026】
この嵌着溝部2cによって前記止着体1の端縁部が挿入されるに十分なスリット状嵌着空間(挿入開口)2dが形成される。前記取付片2bの突出端には、下方に向けて垂直に延びる押圧部(かしめ部)2b−1が平板状取付部2aの長さ方向に連続的に延設されている。同押圧部2b−1は少なくとも前記止着体1の端縁部の一部を押圧してかしめるためのものである。なお、勿論、直線的に延びる押圧部2b−1が平板状取付部2aの長手方向に断続的に延びていてもよい。
【0027】
一方、前記シート材用止着体1は、前記平板状取付体2と僅かに短い長さLと上記両嵌着溝部2cの底面間の距離に僅かに短い巾寸法Wと前記嵌着溝部2cの巾寸法にほぼ等しい肉厚Tとをもつ平板状基部3を有すると共に、同基部3の巾方向の両嵌着端縁部(以下、耳部という。)4を除く中央部の一表面には、同平板状基部3と一体に突出成形される多数のフック状係合素子5を有している。このフック状係合素子5は、前記平板状基部3から立ち上がる立上り部5aと、同立上り部5aから基部3の長手方向に延在すると共に、その先端を基部3に向けて湾曲する湾曲部5bとを有している。
【0028】
更に図示例によれば、前記立上り部5aの側面に所望の高さをもつ補強リブ5cを一体に付設している。勿論、このフック状係合素子5の形態は、図示例に限定されるものではなく、またフック状に代えてマッシュルーム状、或いは複葉状の湾曲部をもつ雄雌係合素子であってもよい。
【0029】
本発明は、上記止着体1の平板状基部3の耳部4が一平面上に延設巾方向に延設されていることに重要な意義をもつ。本実施形態にあっては、前記平板状基部3の肉厚Tが取付体2の上記嵌着溝部2cの巾寸法にほぼ等しく設定されると共に、前記耳部4の形態が本発明の重要な構成の一部をなすことになる。本発明にあっては、上記各特許文献に開示された技術のように耳部の表面上に突起列を突設するのではなく、前記耳部4の平面内にあって、同耳部4の少なくとも一部に前記取付体2の押圧部2b−1による押圧によって変形のしやすい押圧変形部を有している。
【0030】
図示例によれば、フック状係合素子5が突設されている側(以下、係合素子5の起立面という。)の上記耳部4の表面を平坦面とし、同耳部4の平面内にあって、その長さ方向に沿って格子状をなす凹陥部4aが多数形成されており、同凹陥部4aの内部には一平面上に断続的に多数の肉薄の凹陥面4a−1を有している。この凹陥部4aの間には多数のリブ部4bが間欠的に並列されており、同リブ部4bのリブ面4b−1は、耳部4の表面と同一平面上にあって全て同一の高さを有している。このリブ部4bは、本発明の重要な構成の一部をなす押圧変形部として構成される。
【0031】
前記凹陥面4a−1は、図示例のように装着固定後に上記止着体1が取付体2の長さ方向端縁から抜け出ることを防止するために前記耳部4の長さ方向の両端縁を除く中間部の一部に配してもよいが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば前記耳部4の長さ方向の両端縁に対応する部位に凹陥面4a−1を配することにより耳部4の一平面上を長さ方向にわたって連続した凹凸面4a,4bとしてもよい。この場合には、前記シート材用止着体1は、前記平板状取付体2とほぼ同一寸法の長さLを有する。
【0032】
図示例による耳部4の凹陥面4a−1は、前記係合素子5の起立面よりも低く設定されており、耳部4の巾寸法Sは、上記取付体2のC字状断面をもつ嵌着溝部2cの溝深さDよりも大きく設定されている。このように、前記凹陥面4a−1を平板状基部3の肉厚Tより小さく設定する場合には、平板状基部3の上面が高い位置、例えば図3に示すように平板状基部3の上面が前記取付体2の嵌着溝部2cの挿入開口2dの上端位置にほぼ等しくなり、平板状基部3から突出するフック状係合素子5の少なくとも係合部である湾曲部5bが取付体2の上面から上方に露出する。
【0033】
このため、例えばカーテンの上端縁に沿って添着された雌面ファスナーのループ状係合素子との係合が確実になされるようになるばかりでなく、前記フック状係合素子5の立上り部5aの高さを従来と同様の高さに設定できる。その結果、その剛性が確保され所要の係合強度を維持する。
【0034】
また、前記止着体1の耳部4を単なる平坦面とする場合には、成形後に耳部4が長さ方向に波打ち状態となりやすく、耳部4を取付体2の嵌着溝部2cに側面から嵌入させるとき、極めて嵌入しにくいものとなる。本実施形態では、前述のごとく耳部4の一表面を長さ方向にわたって一平面上に連続した凹凸面として形成しているため、前記波打ち形態をなくすことができるようになり、しかも止着体1の前記耳部4を取付体2の前記嵌着溝部2cに側面から嵌入させるとき、極めて容易に且つ円滑に嵌入することができるようになる。しかも、このような凹陥部4aを形成することにより、上記取付体2の嵌着溝部2cの内面の一部により押圧されると、前記リブ部4bを容易に変形させ得るようになり、取付体2に対して止着体1をしっかりと固定することができる。
【0035】
なお、止着体1を取付体2に装着するにあたって、複雑な断面形状を有する耳部4を取付体2の嵌着溝部2cに挿入しやすくするには、例えば前記耳部4の上端縁と下端縁の双方又はそのいずれか、スリット状の挿入開口2dの上端縁と下端縁の双方又はそのいずれかをテーパ面に形成することができる。
【0036】
上記構成は、前記平板状基部3の肉厚と耳部4の肉厚とをほぼ等しく設定できると共に、その肉厚が取付体2の嵌着溝部2cの溝巾とほぼ等しい合理的な厚さに設定できる。このため、平板状基部3の上面を取付体2の嵌着溝部2cの高さに近づけることを可能にし、平板状基部3から突出する雄係合素子5の立上り部5aの高さを無用に高く設定することなく、その湾曲部5bを確実に前記嵌着溝部2cの上方に突出させ得ることを意味し、その結果、相手方の雌係合素子との係合が確実になされるばかりか、要求される強力な係合力が確保される。
【0037】
かかる構成からなる止着体1を取付体2に装着するときは、図2の二点鎖線で示す状態で止着体1を取付体2の左右嵌着溝部2cの間の平板状取付部2aに上方から押し込むと、前記止着体1の耳部4が取付体2の嵌着溝部2cの押圧部2b−1により弾性変形されて前記嵌着溝部2cの内部に嵌着される。この嵌着が完了したとき、図3に示すように耳部4の上記リブ部4bが前記押圧部2b−1によってほぼV字断面に押圧変形して、同押圧部2b−1が食込み状態となり、前記リブ部4bの弾性的な変形によって前記耳部4が前記嵌着溝部2c内に不動状態に挟圧支持される。
【0038】
こうして、止着体1の耳部4を取付体2の嵌着溝部2cに嵌着させるとき、耳部4の表裏面は平行な平面上にあるため、従来のごとく止着体の突起列と取付体とが干渉することなく、小さな力をもって極めて容易に且つ速やかに嵌着させることができるようになる。また、前記耳部4は、前記嵌着溝部2cの内壁面を弾性的に押圧変形して強固に固定されるため、容易に離脱することがなく、しかも、耳部4の前記リブ部4bが前記押圧部2b−1を介して取付体2の前記挿入開口2dの上端縁に弾性的に係着しているため、耳部4と嵌着溝部2cとの間の隙間がなくなり、嵌着溝部2cの部分にシート材が引っ掛かることがなくなる。
【0039】
なお、図1に示す凹凸面の配列例では、平板状基部3の長手方向に隣り合う各凹陥面4a−1を幅方向に配置位置をずらして全体として千鳥状に配してもよく、かかる配置により止着体1は長手方向及び幅方向のいずれにも裂断しにくくなり、耐久性が大幅に増す。止着体1を長手方向及び幅方向に折り曲げやすくしようとする場合には、上記押圧部2b−1の突設位置を平板状基部3の幅方向に完全に一致させてもよい。また、前記凹陥面4a及びリブ部4bの大きさ及び形状は適宜決定できるものであることは勿論である。
【0040】
次に、図4〜図6を参照して上記実施形態における止着体の各種の変形例を説明する。なお、これらの図において上記実施形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。
【0041】
図4は上記実施形態の第1の変形例を示す。この変形例による前記止着体1の耳部4は平板状基部3の巾方向の両側縁に沿って設けられている点では上記実施形態と同様であるが、同耳部4は、前記平板状基部3と同一平面上に延設されておらず、同平板状基部3の端縁上面において段部3aを介して外方に延出させた形態で基部3と一体に成形される。この変形例によれば、平板状基部3の肉厚Tは止着体1の上記耳部4における肉厚T1よりも薄く設定されており、同耳部4の凹陥面4a−1は、前記基部3の肉厚より小さい寸法に設定されている。
【0042】
かかる構成により、止着体1の平板状基部3の必要最小限の剛性を確保すると共に、前記耳部4に必要な剛性を同時に確保する。しかも、同時に前記耳部4のリブ部4bが取付体1の内面の一部による押圧時に容易に変形しやすい構造をもっている。
【0043】
上記係合素子5の起立面(平板状基部3の上面)を前記耳部4より低く設定すると共に、相手方の取付体2の平板部と嵌着溝部2cとの上面間を前記耳部4の肉厚寸法にほぼ等しい高さを有する段部3aとし、その取付体2の嵌着溝部2cの内部形状は、前記耳部4を密嵌するに好適な形状をなしている。そのため、止着体1の前記耳部4の上面が前記平板状基部3の上面より高くなる分だけ同一平面の場合に較べて相対的に高くなるが、耳部4の上記リブ部4bの変形量を大幅に増大させることができる。
【0044】
このように、平板状基部3の肉厚Tを前記耳部4の肉厚T1より小さく設定する場合には、前記耳部4の上面が、図3に示す平板状基部3の上端位置にほぼ等しくなる寸法に設定することにより、大幅な設計変更を行うことなく、既存の相手方の取付体2を使用することができるようになり、例えばカーテンの上端縁に沿って添着された雌面ファスナーのループ状係合素子との係合が確実になされるようになるばかりでなく、前記凸面4b−1の高さが十分に取れる。このため、その変形量が確保され、相手方の取付体2の前記嵌着溝部2cの装着固定力が増加する。
【0045】
図5は上記実施形態の第2の変形例を示しており、同変形例によれば、上記肉薄の凹陥面4a−1及び凸面4b−1からなる押圧変形部に代えて、前記耳部4の上面に前記平板状取付体2の押圧部2b−1の押圧によって変形可能な軟質ゴム材6が縫着、接着等の適当な固着手段や二色成形により添着されている。同変形例によれば、前記止着体1の耳部4は、平板状基部3の巾方向の両側縁に沿って延設することができ、上記実施形態の平板状基部3の肉厚Tより小さく設定された基部3と同一平面上に前記耳部4が一体に成形されている。
【0046】
同耳部4の表面は、長さ方向に沿って連続的又は断続的に配された軟質ゴム材6により構成される。従って、前記耳部4は、上記第1変形例と同様に前記平板状基部3の端縁において同基部3の肉厚と同一高さの段部を介して巾方向に延在していることになる。かかる構成により、止着体1を取付体2に装着すると、前記軟質ゴム材6が取付体2の嵌着溝部2cの内壁を弾性的に挟圧支持するため、上記第1変形例と同様に止着体1が取付体2にしっかりと動きを止めて強固に装着される。なお、前記軟質材は、図示例に限定されるものではなく、例えば2層以上からなっていてもよく、その構成材料として、弾性や耐久性の良好な樹脂材などを通常の成形によって所望の断面形状を有する形態で使用できることは勿論である。
【0047】
図6は、前述の図1に示す実施形態の更なる第3の変形例を示しており、この第3の変形例にあっても、前記止着体1の耳部4は、平板状基部3の巾方向の両側縁に沿って延設されている。
【0048】
同変形例によれば、長尺の止着体1の巾方向の両側縁に沿って耳部4が一平面上に一体に延設され、耳部4の両側縁に沿って断続的に櫛刃状に切り欠かれた薄肉の凹溝面4a−2が形成されている。かかる構成により、上記各変形例と同様に止着体1としての機能を十分に発揮することができる。また、耳部4の全体が折れ曲がりやすくなり、前記取付体2の嵌着溝部2cに対する嵌入操作が更に容易となる。なお、前記凹溝面4a−2及びリブ面4b−1の大きさ及び形状は適宜決定できるものであり、図示例に限定されず、例えば単純な切欠きや長孔などであってもよい。
【0049】
この第3変形例にあっても、前記凹溝面4a−2は、剛直である場合の前記基部3に適度の変形しやすさを付与するばかりでなく、成形時に基部3の巾方向に発生する湾曲形態を矯正する機能を有しているが、基部3に適度の変形しやすさを付与するためであれば、巾方向に並ぶ多数の係合素子5の各列間の基部表面に巾方向に延びる図示せぬ凹溝を形成することもできる。
【0050】
この第3変形例による構成を備えた止着体1にあっても、図3に示す状態で前記取付体1にしっかりと強固に装着される。しかも、前記止着体1が取付体2に装着されると、その装着部である耳部4及び嵌着溝部2cの構成に基づいて、平板状基部3の上面と上記嵌着溝部2c内の上面とがほぼ同一平面内におかれ、フック状係合素子5の起端の全てが外部に露出するため、同係合素子5の係合率及び係合力は通常の成形面ファスナーと同等になり、その形態を敢えて変更する必要がない。
【0051】
本発明の上記実施形態及び各変形例にあって、止着体1の構成材料はポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の熱可塑性合成樹脂が使用でき、射出成形や押出成形によって連続的に成形される。一方、上記平板状取付体2はアルミ合金やステンレスなどの金属材料、或いは各種の硬質合成樹脂材料からなり、これらの材料を通常の押出しによって所望の断面形状を有する形材に成形される。
【0052】
いま、上述のごとく平板状取付体2に止着体1が装着固定されると、同止着体1の多数のフック状係合素子5からなる雄係合面に、図示せぬカーペット、壁紙或いはカーテン等のシート材の裏面端部に縫着、接着等の適当な固着手段により添着された、多数のループ状係合素子からなる雌係合面を有する面ファスナー片を押し付け、前記フック状係合素子5とループ状係合素子を係合させて接合固定する。ここで、前記雌係合面を構成する係合素子は必ずしもループ繊維であることを要せず、例えば各種のフック片、起毛織編物の起毛繊維、不織布その他、上記雄係合素子4に係脱可能な構造をもつ多様な雌係合素子が採用できる。
【0053】
以上の説明から明らかなごとく、本発明の止着体1は、前記取付体2の嵌着溝部2cの内壁面を弾性的に押圧して強固な装着固定がなされるようになり、しかも、その耳部4の表面を長さ方向にわたって一平面上に連続した凹凸面としているため、取付体2に対する止着体1の装着が極めて簡単な操作で且つ比較的に小さい操作力でなされる。また、前記耳部4により本発明の止着体1は、前記取付体2の巾変更に対しても自由度があるため、同止着体1の装着固定が常に強固になされるものである。
【0054】
更に本発明において、前記耳部4の長さ方向に沿って形成された押圧変形部を一平面内に設定している。このため、同基部3の表面から突出する係合素子5の立上り部5aの高さを敢えて高く設定することを要せず、同係合素子5の湾曲部5bが確実に取付体1の嵌着溝部2cから外部に突出するようにできるため、シート材に添着された相手方の係合素子を有する面ファスナーと確実に且つ強力に接合できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態である止着体とその取付体との主要部の構成を部分的に示す分解斜視図である。
【図2】同止着体の装着操作と同止着体が取付体に装着されるときの状態を示す横断面図である。
【図3】同装着完了後の横断面図である。
【図4】前記実施形態の第1変形例による止着体を示す要部横断面図である。
【図5】前記実施形態の第2変形例による止着体を示す要部横断面図である。
【図6】前記実施形態の第3変形例による止着体を部分的に示す斜視図である。
【符号の説明】
1 止着体
2 取付体
2a 平板状取付部
2b 取付片
2b−1 押圧部
2c 嵌着溝部
2d 開口
3 平板状基部
3a 段部
4 嵌着縁部(耳部)
4a 凹陥部
4a−1 凹陥面
4a−2 凹溝面
4b リブ部
4b−1 リブ面
5 (フック状)係合素子
5a 立上り部
5b 湾曲部
5c 補強リブ
6 軟質ゴム材
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種のシート材を取付部に止着するための止着体に関し、更に詳しくはカーテン、映写用スクリーン、暗幕、広告用吊幕等の各種の幕類を吊設部に吊設し、或いは各種壁紙、カーペット等の内装材を各種のパネルに固着するために使用される面接合可能な合成樹脂製係合素子を多数有する面ファスナー機能をもつ帯状の止着体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来も、例えば断面が略C字状をなすカーテンレールにカーテンを取り付けるにあたり、前記カーテンレールの長さ方向に多数のフック片等からなる合成樹脂製の雄係合素子が基部の表面から突出して平板状基部と一体に成形された帯状のカーテン用止着体を嵌挿固定し、カーテンの上端縁部に沿って添設された面ファスナーの雌係合片を前記雄係合素子を有するカーテン用止着体に係着させてカーテンをカーテンレールに止着させることが、例えば実用新案登録第2602598号公報により提案されている。かかる止着体は、例えば実用新案登録第2546430号公報にも開示されているように、カーテン用の使用に止まらず、各種壁紙、カーペット等の内装材を各種パネル(壁、床)に固着するため使用される。
【0003】
これらの公報に開示された止着体は、上記構成に加えて帯状止着体の巾方向の両側縁(耳部)に沿った一表面に断続的又は連続的に突出する突起からなる突起列を形成し、同突起列を、例えば幅方向の両端に沿って互いに向き合って開口する嵌着溝部を有する上記カーテンレールの同嵌着溝部に装着して、それらの突起列をカーテンレールの前記嵌着溝部の内壁面の一部をもって押圧又は相互に係着することにより、止着体をカーテンレールに強固に固定しようとするものである。
【0004】
【特許文献1】
実用新案登録第2602598号公報
【特許文献2】
実用新案登録第2546430号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかして、上記各特許文献1,2に開示された止着体によれば、突起列を介して止着体は平板状取付体の嵌着溝内壁により弾性的に把持されるため、強固な固定が実現できるものの、いずれも止着体の平板状基部の裏面がカーテンレールなど取付体の取付面に密接している。その結果、止着体の平板状基部の係合素子突設面は前記突起列の高さだけ前記嵌着溝部の高さよりも低くなり、前記平板状基部から突設する係合素子は取付体の上面に突出する部分が少なくなり、所要の係合率を確保するには、同係合素子の立上り部の高さを前記突起列の高さの分だけ高く設定しなければならなくなる。このことは、同一太さでは係合素子の立上り部が極めて撓みやすくなり、係合素子としての理想的な係合率が得にくくなることを意味する。係合素子の立上り部の高さを前記突起列の高さの分だけ高く設定すると、必然的に取付体の前記嵌着溝部の高さが高くなり、取付体自体がかなり厚手となってしまうことになる。
【0006】
また、一般に、この種の取付体は、金属材料から所定の断面形状を有する長尺の形材として押出しにより連続的に製造される。この場合、前記形材の断面寸法、特にその巾方向の両端縁に沿って形成される上記嵌着溝部間の距離は必ずしも一律ではない。一方、上記止着体は熱可塑性の合成樹脂材料が使われ、射出などによって連続的に成形するが、生産効率等を考慮すると金型等を変更することは必ずしも得策といえず、同一巾で且つ同一の形態をもつ止着体を大量に生産することが望ましい。
【0007】
しかして、上記各特許文献1,2に開示された止着体のように、その巾方向の端縁に沿って突起列を形成し、同止着体を相手方の取付体に装着するにあたって前記突起列を取付体の嵌着溝部に確実に嵌着しようとすれば、止着体の巾寸法を取付体の嵌着溝部間距離に適合させるため、多様の寸法を用意する必要がある。また、止着体を取付体に容易に装着できるようにするには、前記突起列の高さを嵌着溝部の開口高さより僅かに低く設定する必要があり、その精度が得られない場合には強固な装着が不可能となるか、或いは突起列を嵌着溝部に装着すること自体が不可能となる。また、止着体の嵌着縁部を取付体の嵌着溝部に側面から嵌入させるとき、前記突起列と干渉して極めて嵌入させにくいものとなる。
【0008】
本発明はかかる課題を解決すべくなされたものであり、更に詳しくは平板状取付体に対する装着力を軽減すると共に、所望の係合率及び係合強度を確保し、且つ平板状取付体に対する取付固定を強固なものにするシート材の止着体を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
本件請求項1に係る発明は、幅方向の両端縁に沿って開口が相対して形成された略コ字状断面の嵌着溝部を有する取付体の前記嵌着溝部に嵌装固定され、各種シート材を接合固定するシート材の止着体であって、前記止着体が、その幅方向の両端縁に前記嵌着溝部に挿入される平板状の嵌着縁部と、同嵌着縁部の間の一表面に一体に起立する多数の係合素子とを有し、前記嵌着縁部の少なくとも前記取付体の嵌着溝部の内面の一部による押圧領域に、押圧により変形のしやすい押圧変形部を有してなることを特徴とするシート材の止着体にある。
【0010】
本発明の最も好適な実施形態によれば、平板状取付体は、例えばカーテンを上下に開閉するカーテン装置に適用されるカーテンレールであり、長尺の平板状取付部の巾方向の両側縁に沿ってL字型の取付片が一体に延設され、同両側縁部は、それぞれ向かい合って断面が略C字状をなして止着体の嵌着溝部を構成する。かかる構成は従来の取付体と実質的に同じである。
【0011】
一方、前記シート材用止着体は、前記取付体とほぼ同一の長さと僅かに短い幅とを有し、その嵌着縁部は前記取付体の各嵌着溝部の溝深さ以上の寸法とその溝幅とほぼ等しい寸法を有している。前記止着体の嵌着縁部を除く一表面に多数の係合素子が起立して、接合面を形成している。このフック状係合素子は、通常の成形面ファスナーにおける係合素子形状であれば、フック状に限らずマッシュルーム状、或いは複葉状の湾曲部をもつ係合素子とすることも可能である。
【0012】
ところで、上記各特許文献1,2は、平板状取付体に対する一応の固設は可能ではあるが、取付体の巾寸法が変更された場合に、取付体の押圧部位又は係着部位と止着体の嵌着縁部の一部に形成された突起の形成部位とがずれることがあるためガタツキやすく、更には同取付体に装着された止着体の係合素子面と懸垂シート材の端縁に形成された相手方の係合素子面との間で所望の係合率及び係合強度が確保しにくい。
【0013】
そこで、本発明のシート材用止着体は、上記各特許文献1,2とは大きく異なり、特に上記特許文献2に開示された止着体のように突起列により止着体を平板状取付体の嵌着溝内壁に把持することを排除している。
【0014】
本発明の好適な一態様として、上記平板状基部の肉厚が、上記両嵌着縁部の巾寸法にほぼ等しく設定されると共に、上記嵌着縁部の形態が、前記平板状基部の係合素子を突設している領域の両縁から基部と同一平面上に延び、その嵌着縁部の少なくとも前記取付体の嵌着溝部の内面の一部による所要の幅をもつ押圧領域を有し、その押圧領域には押圧により変形のしやすい押圧変形部を有している。
つまり、前記嵌着縁部の表面上に突出することなく、その嵌着縁部の同一平面内の少なくとも一部に前記取付体の嵌着溝部内の一部による押圧にて変形しやすい押圧変形部を備えている。このとき、嵌着縁部の押圧変形部を押圧すべく、取付体の嵌着溝部内に押圧部を設けておくことが好ましい。
【0015】
かかる構成をもつ本発明の止着体を平板状取付体の嵌着溝部に装着固定するには、平板状止着体を前記嵌着溝部の装着面に向けて押し付けるようにすると、その嵌着縁部の押圧変形部が平板状取付体の嵌着溝部の押圧部により容易に弾性変形されて前記嵌着溝部の内部に嵌着される。この嵌着が完了したとき、前記押圧変形部が前記嵌着溝部の押圧部によってほぼV字断面に押圧変形して、前記押圧部が食込み状態となり、その弾性的な変形により嵌着溝部内における止着体の嵌着縁部の動きを封じる。従って、前記取付体に止着体が強固な固定がなされるとともに、嵌着縁部の前記押圧変形部と嵌着溝部の前記押圧部との対応位置関係を必ずしも厳密に設定する必要がない。
【0016】
こうして、止着体の嵌着縁部を取付体の嵌着溝部に嵌入させるとき、同嵌着縁部の表裏面は平行な平面上にあるから、従来のごとく止着体の突起列と取付体とが干渉することなく、小さな力をもって極めて容易に且つ速やかに嵌入させることができるようになる。また、前記平板状止着体は前記取付体の嵌着溝部の内壁面を弾性的に押圧して強固に固定されるため、容易に離脱することはない。
【0017】
しかも、前記押圧変形部が平板状取付体の、例えば上記押圧部によ弾性的に押圧変形して係着するため、嵌着縁部と嵌着溝部との間の隙間がなくなり、取付体の嵌着溝部の部分に、例えばシート材が引っ掛かることが防げる。また、平板状取付体に巾変更があったとしても、前記押圧部と平面上に形成された押圧変形部との間に自由度をもたせることができるため、前記平板状取付体の嵌着溝部と前記止着体の嵌着縁部との寸法精度を厳格に確保することなく、前記止着体の装着固定が保証できる。
【0018】
請求項2に係る発明は、前記押圧変形部が、前記嵌着縁部の長さ方向に沿って断続的に形成された肉薄の凹陥面を有していることを特徴としている。
前記嵌着縁部の平面に沿って並ぶ多数の凹陥面は、平板状基部が剛直である場合に同基部の延長部である嵌着縁部に対して適度の変形しやすさを付与すると共に、前記嵌着溝部の開口に容易に嵌入できるばかりでなく、成形時に前記平板状基部の巾方向に発生する湾曲形態を矯正する機能を有している。しかも、このような凹陥部を形成することにより、上記取付体の嵌着溝部の内面の一部により押圧されると、隣接する凹陥部間のリブ部を容易に変形させ得るようになり、取付体に対して止着体をしっかりと固定することができる。
【0019】
また、本発明にあっては上記構成を備えることにより、係合素子が形成された前記平板状基部の肉厚と前記嵌着縁部の肉厚とを等しく設定できると共に、同肉厚が前記取付体の嵌着溝部の溝巾とほぼ等しい合理的な厚さに設定できる。このため、平板状基部の上面を取付体の嵌着溝部の高さに近づけることを可能にし、同平板状基部から突出する係合素子の立上り部の高さを無用に高く設定することなく、その係合素子を確実に前記嵌着溝部の上方に突出させることができる。その結果、相手方の係合素子との係合が確実になされるばかりか、要求される強力な係合力が確保される。
【0020】
請求項3に係る発明は、前記嵌着縁部が2層以上からなり、少なくとも前記押圧変形部の表層部分が、長さ方向に沿って連続的又は断続的に配された軟質材により構成されていること特徴としている。
前記押圧変形部は、止着体の上記嵌着縁部の形態を格別に変更することなく、同嵌着縁部の表面に軟質材を縫着、接着等の適当な固着手段、或いは二色成形により添着できる。かかる構成により、前記止着体を前記取付体に装着すると、前記取付体の嵌着溝部の内壁面の一部が前記軟質材に食込み状態になり、同軟質材が前記嵌着溝部の内壁の一部を弾性的に挟圧支持する。このため、相手方の取付体と止着体とが相対的に変位することなく、その固定が強力に且つ確実になされる。なお、軟質材として、ゴムや樹脂材などの弾性や耐久性の良好な構成材料を通常の成形によって所望の断面形状を有する形態で使用できる。
【0021】
請求項4に係る発明は、前記凹陥面の底部が前記係合素子の起立面よりも低く設定されていることを特徴としている。
前記嵌着縁部の前記凹陥面の底部を前記係合素子の起立面より一段低く設定すると共に、その嵌着溝部の内部形状を前記押圧変形部を変形するに好適な形状としている。そのため、上記止着体と平板状取付体との固定が強固になされると共に、前記凹陥面が前記平板状基部より低くなる分だけ、同基部上面に突出する係合素子が、少なくとも前記平板状取付体の上面から上方に突出することになり、更に相手方の係合素子との係合を確実にする。
【0022】
請求項5に係る発明は、前記嵌着縁部が、最も外側に配された前記係合素子の形成部位まで延在し、各係合素子の起立面は前記嵌着縁部よりも低く設定されていることを特徴としている。
かかる構成により、上記止着体の平板状基部の必要最小限の剛性を確保するとともに、その幅方向の両端縁に形成された嵌着縁部に必要な剛性を同時に確保する。しかも、同時に嵌着縁部の押圧変形部が取付体の嵌着溝部の内面の一部による押圧時に容易に変形しやすい構造をも得やすくしている。例えば、嵌着縁部に請求項2における凹陥部を形成しても、嵌着縁部の全体の剛性が確保される。
【0023】
この場合、止着体の前記嵌着縁部の肉厚は従来の肉厚と変わらず、取付体の前記嵌着溝部の高さを変更することを必要としないため、既存の取付体をそのままの状態で使用することができるばかりでなく、その取付体自体も厚手になることはない。しかも、止着体の前記嵌着縁部の上面が前記平板状基部の上面より高くなる分だけ同一平面の場合に較べて相対的に高くなり、上記押圧変形部の変形量が大幅に増加する。その結果、止着体と平板状取付体との固定が強固になされると共に、その止着体の上面に突出する係合素子との係合を阻害することなく、相手方の平板状取付体に対して要求される強力な係合力が十分に確保される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明の代表的な実施形態である止着体とその取付体との主要部の構成を部分的に示す分解斜視図、図2は同止着体の装着操作と同止着体が取付体に装着されるときの状態を示す横断面図、図3は同装着完了後の横断面図である。
【0025】
これらの図において、符号1は本実施形態に係るシート材用止着体であり、符号2は同シート材用止着体1を嵌着する平板状取付体を示している。図示例によれば、前記平板状取付体2は、例えば図示せぬカーテンを上下に開閉するカーテン装置に適用されるカーテンレールであり、長尺の平板状取付部2aの巾方向の両側縁に沿ってL字型の取付片(かしめ体)2bが一体に延設され、同両側縁部はそれぞれ向かい合って断面がほぼC字状をなしており、止着体1の嵌着溝部2cを構成する。
【0026】
この嵌着溝部2cによって前記止着体1の端縁部が挿入されるに十分なスリット状嵌着空間(挿入開口)2dが形成される。前記取付片2bの突出端には、下方に向けて垂直に延びる押圧部(かしめ部)2b−1が平板状取付部2aの長さ方向に連続的に延設されている。同押圧部2b−1は少なくとも前記止着体1の端縁部の一部を押圧してかしめるためのものである。なお、勿論、直線的に延びる押圧部2b−1が平板状取付部2aの長手方向に断続的に延びていてもよい。
【0027】
一方、前記シート材用止着体1は、前記平板状取付体2と僅かに短い長さLと上記両嵌着溝部2cの底面間の距離に僅かに短い巾寸法Wと前記嵌着溝部2cの巾寸法にほぼ等しい肉厚Tとをもつ平板状基部3を有すると共に、同基部3の巾方向の両嵌着端縁部(以下、耳部という。)4を除く中央部の一表面には、同平板状基部3と一体に突出成形される多数のフック状係合素子5を有している。このフック状係合素子5は、前記平板状基部3から立ち上がる立上り部5aと、同立上り部5aから基部3の長手方向に延在すると共に、その先端を基部3に向けて湾曲する湾曲部5bとを有している。
【0028】
更に図示例によれば、前記立上り部5aの側面に所望の高さをもつ補強リブ5cを一体に付設している。勿論、このフック状係合素子5の形態は、図示例に限定されるものではなく、またフック状に代えてマッシュルーム状、或いは複葉状の湾曲部をもつ雄雌係合素子であってもよい。
【0029】
本発明は、上記止着体1の平板状基部3の耳部4が一平面上に延設巾方向に延設されていることに重要な意義をもつ。本実施形態にあっては、前記平板状基部3の肉厚Tが取付体2の上記嵌着溝部2cの巾寸法にほぼ等しく設定されると共に、前記耳部4の形態が本発明の重要な構成の一部をなすことになる。本発明にあっては、上記各特許文献に開示された技術のように耳部の表面上に突起列を突設するのではなく、前記耳部4の平面内にあって、同耳部4の少なくとも一部に前記取付体2の押圧部2b−1による押圧によって変形のしやすい押圧変形部を有している。
【0030】
図示例によれば、フック状係合素子5が突設されている側(以下、係合素子5の起立面という。)の上記耳部4の表面を平坦面とし、同耳部4の平面内にあって、その長さ方向に沿って格子状をなす凹陥部4aが多数形成されており、同凹陥部4aの内部には一平面上に断続的に多数の肉薄の凹陥面4a−1を有している。この凹陥部4aの間には多数のリブ部4bが間欠的に並列されており、同リブ部4bのリブ面4b−1は、耳部4の表面と同一平面上にあって全て同一の高さを有している。このリブ部4bは、本発明の重要な構成の一部をなす押圧変形部として構成される。
【0031】
前記凹陥面4a−1は、図示例のように装着固定後に上記止着体1が取付体2の長さ方向端縁から抜け出ることを防止するために前記耳部4の長さ方向の両端縁を除く中間部の一部に配してもよいが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば前記耳部4の長さ方向の両端縁に対応する部位に凹陥面4a−1を配することにより耳部4の一平面上を長さ方向にわたって連続した凹凸面4a,4bとしてもよい。この場合には、前記シート材用止着体1は、前記平板状取付体2とほぼ同一寸法の長さLを有する。
【0032】
図示例による耳部4の凹陥面4a−1は、前記係合素子5の起立面よりも低く設定されており、耳部4の巾寸法Sは、上記取付体2のC字状断面をもつ嵌着溝部2cの溝深さDよりも大きく設定されている。このように、前記凹陥面4a−1を平板状基部3の肉厚Tより小さく設定する場合には、平板状基部3の上面が高い位置、例えば図3に示すように平板状基部3の上面が前記取付体2の嵌着溝部2cの挿入開口2dの上端位置にほぼ等しくなり、平板状基部3から突出するフック状係合素子5の少なくとも係合部である湾曲部5bが取付体2の上面から上方に露出する。
【0033】
このため、例えばカーテンの上端縁に沿って添着された雌面ファスナーのループ状係合素子との係合が確実になされるようになるばかりでなく、前記フック状係合素子5の立上り部5aの高さを従来と同様の高さに設定できる。その結果、その剛性が確保され所要の係合強度を維持する。
【0034】
また、前記止着体1の耳部4を単なる平坦面とする場合には、成形後に耳部4が長さ方向に波打ち状態となりやすく、耳部4を取付体2の嵌着溝部2cに側面から嵌入させるとき、極めて嵌入しにくいものとなる。本実施形態では、前述のごとく耳部4の一表面を長さ方向にわたって一平面上に連続した凹凸面として形成しているため、前記波打ち形態をなくすことができるようになり、しかも止着体1の前記耳部4を取付体2の前記嵌着溝部2cに側面から嵌入させるとき、極めて容易に且つ円滑に嵌入することができるようになる。しかも、このような凹陥部4aを形成することにより、上記取付体2の嵌着溝部2cの内面の一部により押圧されると、前記リブ部4bを容易に変形させ得るようになり、取付体2に対して止着体1をしっかりと固定することができる。
【0035】
なお、止着体1を取付体2に装着するにあたって、複雑な断面形状を有する耳部4を取付体2の嵌着溝部2cに挿入しやすくするには、例えば前記耳部4の上端縁と下端縁の双方又はそのいずれか、スリット状の挿入開口2dの上端縁と下端縁の双方又はそのいずれかをテーパ面に形成することができる。
【0036】
上記構成は、前記平板状基部3の肉厚と耳部4の肉厚とをほぼ等しく設定できると共に、その肉厚が取付体2の嵌着溝部2cの溝巾とほぼ等しい合理的な厚さに設定できる。このため、平板状基部3の上面を取付体2の嵌着溝部2cの高さに近づけることを可能にし、平板状基部3から突出する雄係合素子5の立上り部5aの高さを無用に高く設定することなく、その湾曲部5bを確実に前記嵌着溝部2cの上方に突出させ得ることを意味し、その結果、相手方の雌係合素子との係合が確実になされるばかりか、要求される強力な係合力が確保される。
【0037】
かかる構成からなる止着体1を取付体2に装着するときは、図2の二点鎖線で示す状態で止着体1を取付体2の左右嵌着溝部2cの間の平板状取付部2aに上方から押し込むと、前記止着体1の耳部4が取付体2の嵌着溝部2cの押圧部2b−1により弾性変形されて前記嵌着溝部2cの内部に嵌着される。この嵌着が完了したとき、図3に示すように耳部4の上記リブ部4bが前記押圧部2b−1によってほぼV字断面に押圧変形して、同押圧部2b−1が食込み状態となり、前記リブ部4bの弾性的な変形によって前記耳部4が前記嵌着溝部2c内に不動状態に挟圧支持される。
【0038】
こうして、止着体1の耳部4を取付体2の嵌着溝部2cに嵌着させるとき、耳部4の表裏面は平行な平面上にあるため、従来のごとく止着体の突起列と取付体とが干渉することなく、小さな力をもって極めて容易に且つ速やかに嵌着させることができるようになる。また、前記耳部4は、前記嵌着溝部2cの内壁面を弾性的に押圧変形して強固に固定されるため、容易に離脱することがなく、しかも、耳部4の前記リブ部4bが前記押圧部2b−1を介して取付体2の前記挿入開口2dの上端縁に弾性的に係着しているため、耳部4と嵌着溝部2cとの間の隙間がなくなり、嵌着溝部2cの部分にシート材が引っ掛かることがなくなる。
【0039】
なお、図1に示す凹凸面の配列例では、平板状基部3の長手方向に隣り合う各凹陥面4a−1を幅方向に配置位置をずらして全体として千鳥状に配してもよく、かかる配置により止着体1は長手方向及び幅方向のいずれにも裂断しにくくなり、耐久性が大幅に増す。止着体1を長手方向及び幅方向に折り曲げやすくしようとする場合には、上記押圧部2b−1の突設位置を平板状基部3の幅方向に完全に一致させてもよい。また、前記凹陥面4a及びリブ部4bの大きさ及び形状は適宜決定できるものであることは勿論である。
【0040】
次に、図4〜図6を参照して上記実施形態における止着体の各種の変形例を説明する。なお、これらの図において上記実施形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。
【0041】
図4は上記実施形態の第1の変形例を示す。この変形例による前記止着体1の耳部4は平板状基部3の巾方向の両側縁に沿って設けられている点では上記実施形態と同様であるが、同耳部4は、前記平板状基部3と同一平面上に延設されておらず、同平板状基部3の端縁上面において段部3aを介して外方に延出させた形態で基部3と一体に成形される。この変形例によれば、平板状基部3の肉厚Tは止着体1の上記耳部4における肉厚T1よりも薄く設定されており、同耳部4の凹陥面4a−1は、前記基部3の肉厚より小さい寸法に設定されている。
【0042】
かかる構成により、止着体1の平板状基部3の必要最小限の剛性を確保すると共に、前記耳部4に必要な剛性を同時に確保する。しかも、同時に前記耳部4のリブ部4bが取付体1の内面の一部による押圧時に容易に変形しやすい構造をもっている。
【0043】
上記係合素子5の起立面(平板状基部3の上面)を前記耳部4より低く設定すると共に、相手方の取付体2の平板部と嵌着溝部2cとの上面間を前記耳部4の肉厚寸法にほぼ等しい高さを有する段部3aとし、その取付体2の嵌着溝部2cの内部形状は、前記耳部4を密嵌するに好適な形状をなしている。そのため、止着体1の前記耳部4の上面が前記平板状基部3の上面より高くなる分だけ同一平面の場合に較べて相対的に高くなるが、耳部4の上記リブ部4bの変形量を大幅に増大させることができる。
【0044】
このように、平板状基部3の肉厚Tを前記耳部4の肉厚T1より小さく設定する場合には、前記耳部4の上面が、図3に示す平板状基部3の上端位置にほぼ等しくなる寸法に設定することにより、大幅な設計変更を行うことなく、既存の相手方の取付体2を使用することができるようになり、例えばカーテンの上端縁に沿って添着された雌面ファスナーのループ状係合素子との係合が確実になされるようになるばかりでなく、前記凸面4b−1の高さが十分に取れる。このため、その変形量が確保され、相手方の取付体2の前記嵌着溝部2cの装着固定力が増加する。
【0045】
図5は上記実施形態の第2の変形例を示しており、同変形例によれば、上記肉薄の凹陥面4a−1及び凸面4b−1からなる押圧変形部に代えて、前記耳部4の上面に前記平板状取付体2の押圧部2b−1の押圧によって変形可能な軟質ゴム材6が縫着、接着等の適当な固着手段や二色成形により添着されている。同変形例によれば、前記止着体1の耳部4は、平板状基部3の巾方向の両側縁に沿って延設することができ、上記実施形態の平板状基部3の肉厚Tより小さく設定された基部3と同一平面上に前記耳部4が一体に成形されている。
【0046】
同耳部4の表面は、長さ方向に沿って連続的又は断続的に配された軟質ゴム材6により構成される。従って、前記耳部4は、上記第1変形例と同様に前記平板状基部3の端縁において同基部3の肉厚と同一高さの段部を介して巾方向に延在していることになる。かかる構成により、止着体1を取付体2に装着すると、前記軟質ゴム材6が取付体2の嵌着溝部2cの内壁を弾性的に挟圧支持するため、上記第1変形例と同様に止着体1が取付体2にしっかりと動きを止めて強固に装着される。なお、前記軟質材は、図示例に限定されるものではなく、例えば2層以上からなっていてもよく、その構成材料として、弾性や耐久性の良好な樹脂材などを通常の成形によって所望の断面形状を有する形態で使用できることは勿論である。
【0047】
図6は、前述の図1に示す実施形態の更なる第3の変形例を示しており、この第3の変形例にあっても、前記止着体1の耳部4は、平板状基部3の巾方向の両側縁に沿って延設されている。
【0048】
同変形例によれば、長尺の止着体1の巾方向の両側縁に沿って耳部4が一平面上に一体に延設され、耳部4の両側縁に沿って断続的に櫛刃状に切り欠かれた薄肉の凹溝面4a−2が形成されている。かかる構成により、上記各変形例と同様に止着体1としての機能を十分に発揮することができる。また、耳部4の全体が折れ曲がりやすくなり、前記取付体2の嵌着溝部2cに対する嵌入操作が更に容易となる。なお、前記凹溝面4a−2及びリブ面4b−1の大きさ及び形状は適宜決定できるものであり、図示例に限定されず、例えば単純な切欠きや長孔などであってもよい。
【0049】
この第3変形例にあっても、前記凹溝面4a−2は、剛直である場合の前記基部3に適度の変形しやすさを付与するばかりでなく、成形時に基部3の巾方向に発生する湾曲形態を矯正する機能を有しているが、基部3に適度の変形しやすさを付与するためであれば、巾方向に並ぶ多数の係合素子5の各列間の基部表面に巾方向に延びる図示せぬ凹溝を形成することもできる。
【0050】
この第3変形例による構成を備えた止着体1にあっても、図3に示す状態で前記取付体1にしっかりと強固に装着される。しかも、前記止着体1が取付体2に装着されると、その装着部である耳部4及び嵌着溝部2cの構成に基づいて、平板状基部3の上面と上記嵌着溝部2c内の上面とがほぼ同一平面内におかれ、フック状係合素子5の起端の全てが外部に露出するため、同係合素子5の係合率及び係合力は通常の成形面ファスナーと同等になり、その形態を敢えて変更する必要がない。
【0051】
本発明の上記実施形態及び各変形例にあって、止着体1の構成材料はポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の熱可塑性合成樹脂が使用でき、射出成形や押出成形によって連続的に成形される。一方、上記平板状取付体2はアルミ合金やステンレスなどの金属材料、或いは各種の硬質合成樹脂材料からなり、これらの材料を通常の押出しによって所望の断面形状を有する形材に成形される。
【0052】
いま、上述のごとく平板状取付体2に止着体1が装着固定されると、同止着体1の多数のフック状係合素子5からなる雄係合面に、図示せぬカーペット、壁紙或いはカーテン等のシート材の裏面端部に縫着、接着等の適当な固着手段により添着された、多数のループ状係合素子からなる雌係合面を有する面ファスナー片を押し付け、前記フック状係合素子5とループ状係合素子を係合させて接合固定する。ここで、前記雌係合面を構成する係合素子は必ずしもループ繊維であることを要せず、例えば各種のフック片、起毛織編物の起毛繊維、不織布その他、上記雄係合素子4に係脱可能な構造をもつ多様な雌係合素子が採用できる。
【0053】
以上の説明から明らかなごとく、本発明の止着体1は、前記取付体2の嵌着溝部2cの内壁面を弾性的に押圧して強固な装着固定がなされるようになり、しかも、その耳部4の表面を長さ方向にわたって一平面上に連続した凹凸面としているため、取付体2に対する止着体1の装着が極めて簡単な操作で且つ比較的に小さい操作力でなされる。また、前記耳部4により本発明の止着体1は、前記取付体2の巾変更に対しても自由度があるため、同止着体1の装着固定が常に強固になされるものである。
【0054】
更に本発明において、前記耳部4の長さ方向に沿って形成された押圧変形部を一平面内に設定している。このため、同基部3の表面から突出する係合素子5の立上り部5aの高さを敢えて高く設定することを要せず、同係合素子5の湾曲部5bが確実に取付体1の嵌着溝部2cから外部に突出するようにできるため、シート材に添着された相手方の係合素子を有する面ファスナーと確実に且つ強力に接合できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態である止着体とその取付体との主要部の構成を部分的に示す分解斜視図である。
【図2】同止着体の装着操作と同止着体が取付体に装着されるときの状態を示す横断面図である。
【図3】同装着完了後の横断面図である。
【図4】前記実施形態の第1変形例による止着体を示す要部横断面図である。
【図5】前記実施形態の第2変形例による止着体を示す要部横断面図である。
【図6】前記実施形態の第3変形例による止着体を部分的に示す斜視図である。
【符号の説明】
1 止着体
2 取付体
2a 平板状取付部
2b 取付片
2b−1 押圧部
2c 嵌着溝部
2d 開口
3 平板状基部
3a 段部
4 嵌着縁部(耳部)
4a 凹陥部
4a−1 凹陥面
4a−2 凹溝面
4b リブ部
4b−1 リブ面
5 (フック状)係合素子
5a 立上り部
5b 湾曲部
5c 補強リブ
6 軟質ゴム材
Claims (5)
- 幅方向の両端縁に沿って開口が相対して形成された略コ字状断面の嵌着溝部(2c)を有する取付体(2) の前記嵌着溝部(2c)に嵌装固定され、各種シート材を接合固定するシート材の止着体(1) であって、
前記止着体(1) が、その幅方向の両端縁に前記嵌着溝部(2c)に挿入される平板状の嵌着縁部(4) と、同嵌着縁部(4) の間の一表面に一体に起立する多数の係合素子(5) とを有し、
前記嵌着縁部(4) の少なくとも前記取付体(2) の嵌着溝部(2c)の内面の一部による押圧領域に、押圧により変形のしやすい押圧変形部を有してなる、
ことを特徴とするシート材の止着体。 - 前記押圧変形部が、前記嵌着縁部(4) の長さ方向に沿って断続的に形成された肉薄の凹陥面(4a−1)を有してなることを特徴とする請求項1記載の止着体。
- 前記凹陥面(4a−1)の底部が前記係合素子(5) の起立面よりも低く設定されてなることを特徴とする請求項1記載の止着体。
- 前記嵌着縁部(2) が2層以上からなり、
少なくとも前記押圧変形部の表層部分が、長さ方向に沿って連続的又は断続的に配された軟質材(6) により構成されてなることを特徴とする請求項1記載の止着体。 - 前記嵌着縁部(4) が最も外側に配された前記係合素子(5) の形成部位まで延在し、
各係合素子(5) の起立面は前記嵌着縁部(4) よりも低く設定されてなる、
ことを特徴とする請求項1記載の止着体。
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JP2009247533A (ja) * | 2008-04-04 | 2009-10-29 | Toyota Boshoku Corp | 車両用シートの連結装置 |
JP2010162339A (ja) * | 2009-01-19 | 2010-07-29 | Ykk Corp | クッション体金型に使用するための雄形面ファスナー部材とその製造方法 |
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-
2002
- 2002-11-20 JP JP2002336946A patent/JP2004169828A/ja active Pending
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US10292460B2 (en) | 2013-05-16 | 2019-05-21 | 3M Innovative Properties Company | Fastener member, fastener structure, and support member |
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