JP2004169254A - ポリエステル系紙からなる糸状物 - Google Patents
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Abstract
【課題】衣料、インテリア用品、寝装品、アウトドア等の分野に用いるのに適したリサイクル性、吸水性、保温性、耐久性に優れた布帛の製造を可能にするポリエステル紙からなる糸状物を提供することを目的とする。
【解決手段】坪量が7〜50g/m2で、その幅が2〜50mmのテープ状ポリエステル系細幅紙からなり、該細幅紙が10〜300回/mの範囲の撚り数により加撚されて撚り糸に中空部が形成されていることを特徴とするポリエステル系紙からなる糸状物である。
【選択図】 なし
【解決手段】坪量が7〜50g/m2で、その幅が2〜50mmのテープ状ポリエステル系細幅紙からなり、該細幅紙が10〜300回/mの範囲の撚り数により加撚されて撚り糸に中空部が形成されていることを特徴とするポリエステル系紙からなる糸状物である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル系紙からなる糸状物に関し、さらに詳しくは、衣料、インテリア用品、寝装品、アウトドア等の分野に用いるのに適したリサイクル性、吸水性、保温性、耐久性に優れた布帛の製造を可能にするポリエステル系紙からなる糸状物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、和紙を細長い短冊状に切り、撚って紙糸にして、得られた紙糸を製織した紙布は、古くは鎌倉時代より紙衣として使用されている。しかしながら、紙糸の製造に想像以上に手間がかかるため、一般に普及することはなかった。
【0003】
また、こうぞ、みつまたおよびマニラ麻等の原料を使用した機械漉和紙製の紙糸が、約20年程前から製造されている。ところが、この紙糸は、伸びがなく、織機で紙糸を製織する際に糸切れが頻繁に起こるため、手織りでないと製織するのは困難である。また、手織りで得られた紙布は、洗濯時の耐水性が悪く、数回洗濯すると破れてしまうという問題点がある。
【0004】
その改良として、特開平8−60473号公報には、耐水処理されたパルプ製テープをらせん甘撚りしたものを使用することが提案されている。しかしながら、素材がパルプであるため、布帛等の実用品として使用するには、耐久性、耐水性、ドレープ性が不十分であると言う問題が尚残っており、使用分野が制限されているのが実情である
【0005】
一方、特開2001−73242には、芳香族ポリアミド紙からなる耐熱性、難燃性に優れた紙糸が提案されている。しかしながら、芳香族ポリアミドは、加撚した後その撚りを熱固定する事が難しいため製織や製編上の問題があるほか、耐熱性、難燃性には優れるが、原料が高価であるために、消防服や高炉作業服等の特殊用途で使用するには適しているものの、染色性、風合い、ドレープ性も劣るため一般衣料用途に使用することは難しく、リサイクル性にも欠ける等の問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−60473号公報
【特許文献2】
特開2001−73242
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のかかる問題点を解決し、衣料、インテリア用品、寝装品、アウトドア等の分野に用いるのに適したリサイクル性、吸水性、保温性、耐久性に優れた布帛の製造を可能にするポリエステル紙からなる糸状物を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術が有する前記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、ポリエステル系紙からなる糸状物を用いて編織成された編織物からなる布帛は、耐水性、耐洗濯性に優れているため、耐久性に優れているとともに、染色性・リサイクル性に優れ、該糸状物に形成される中空部や糸状物を構成する素材(紙)の構造により水蒸気の移動も可能になるため吸水性に富み、通気性や透湿性も良好であるために衣服に使用した場合には快適な着用性を発現し、インテリア、寝装品、アウトドア用品に用いた場合には実用性に優れていることを見出し、本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、坪量が7〜50g/m2で、その幅が2〜50mmのテープ状ポリエステル系細幅紙からなり、該細幅紙が10〜300回/mの範囲の撚り数により加撚されて撚り糸に中空部が形成されていることを特徴とするポリエステル系紙からなる糸状物にある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明に使用するポリエステル系紙には公知のポリエステル紙を使用することができるが、好ましくは、繊度が0.1〜3デニール、繊維長が5〜35mmのポリエステル系ステープル繊維95〜50重量%とポリエステル系バインダー繊維5〜50重量%とで構成されているか、繊度が0.1〜3デニール、繊維長が5〜35mmのポリエステル系ステープル繊維95〜50重量%とポリエステル系未延伸糸5〜50重量%とで構成され、そのポリエステル繊維の少なくとも一部が相互またはポリエステル系ステープル繊維と熱融着しているポリエステル系紙からなる糸状物が例示される。
【0012】
ここで用いるポリエステル系ステープル繊維とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、或いはエチレンテレフタレート単位および/またはブチレンテレフタレート単位を主たる構成単位とし、これに少量の他の共重合単位を含有させたコポリエステルであるのが好ましく用いられ、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0013】
コポリエステルを用いる場合は、コポリエステル中における他の共重合単位の割合が10モル%以下であるのが好ましく、他の共重合単位の例としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、5−アルカリ金属スルホイソフタル酸などの芳香族カルボン酸;シュウ酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族カルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能性カルボン酸;またはそれらのエステル形成性成分に由来するカルボン酸単位;ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどから誘導される単位を挙げることができる。そして、コポリエステルは前記した共重合単位の1種または2種以上を含んでいることができる。
【0014】
本発明にあっては、紙用ポリエステル系ステープル繊維に用いるポリエステルの粘度や分子量などは特に制限されないが、一般に、ウベローデ型粘度計を用いて、フェノールとテトラクロロエタン等量混合溶液中、30℃で測定したときに、その極限粘度[η]が0.40〜0.80g/dlのポリエステルを使用するのが、得られるポリエステル紙の強力、地合い、均一性などの点から好ましい。
【0015】
該ポリエステル繊維の繊度は0.1〜3デニールとすることが好ましく、特に0.3〜2デニールがより好ましい。0.1デニール未満では抄紙性があまり好ましくなく、3デニールを越えると得られた糸状物がごわごわした感蝕になって、風合いがあまり好ましくなくなる。
【0016】
該ポリエステル系ステープル繊維の繊維長は、得られた紙の強力を高め、また可能な限りポリエステル未延伸糸またはバインダー繊維を減らして不織布をソフトな風合いにするためには長い方が好ましいが、余り長くしすぎると抄紙性が悪化するため、5〜35mmの繊維長が好ましい。
【0017】
また、通常は抄紙性を高いレベルに維持するために捲縮を付与していないストレートの繊維を用いるが、嵩高とするためには適度に捲縮を付与してもよい。
【0018】
ポリエステル系紙を構成するポリエステル系ステープル繊維は、紙全重量に対して50〜95重量%の割合で使用するのが好ましい。50重量%未満では得られた紙の強力が低下し、風合いがごわごわし、嵩性が小さくなる。95重量%を越えると、接着成分であるポリエステル未延伸糸またはバインダー繊維の量が少なくなるため接着強力が低下するのであまり好ましくない。
【0019】
本発明でいうバインダー成分とは、抄紙後に施す80〜170℃の熱処理によって融着する成分であり、ポリエチレンテレフタレートを紡糸してそのまま5〜35mmの繊維長にカットしたポリエステル未延伸糸、または80〜170℃の熱処理によって接着効果を発現する成分のポリマーとこれらのポリマーより融点が20℃以上高いポリエステル系ポリマーとのサイドバイサイド型(バイメタル型)またはシースコア型(芯鞘型)複合繊維を用いるのが好ましい。
【0020】
抄紙後に施す80〜170℃の熱処理によって融着し、接着効果を発現する成分のポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリペンテン−1等のポリオレフィン系重合体及びこれらのランダムもしくはブロック共重合体、あるいは、さらにメタクリル酸、アクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも1種以上を共重合したポリオレフィン系重合体をあげることができる。また、テレフタル酸及びイソフタル酸及び/又はこれらのエステル形成性誘導体とエチレングリコール又は1,4−ブタンジオールとをエステル化又はエステル交換反応せしめて得られる低融点共重合ポリエステルもあげることができる。接着性の面からは、低融点共重合ポリエステルを用いることがより好ましい。
【0021】
これらのポリエステル未延伸糸またはポリエステル系バインダー繊維は、繊度8デニール以下、繊維長5〜35mmとすることが好ましい。
【0022】
本発明におけるポリエステル未延伸糸またはポリエステル系バインダー繊維は、不織布全重量に対して5〜50重量%の割合で使用することが好ましい。
【0023】
また、ポリエステル系ステープル繊維及び/又はポリエステル未延伸糸またはポリエステル系バインダー繊維の表面には、抄紙性向上及び接着性向上の目的で親水性の油剤が付与されていることが好ましい。
【0024】
親水性油剤としては公知のものを使用できるが、ポリアルキレングリコール及び/又はそのモノエーテルを共重合せしめた水分散性共重合ポリエステルが、バインダー繊維に吸水性能を付与すると共に、熱接着性能を向上することができるため、より好ましい。
【0025】
また、ポリエステル系ステープル繊維及び/またはポリエステル系バインダー繊維の全体またはその一部にアルカリによる表面減量加工がなされておれば、得られる紙糸の風合いが良くなり、吸水性も向上するためにより好ましい。
【0026】
アルカリ処理は通常に行われる方法で良く、糸の状態、紙の状態、紙糸の状態いずれの工程でも行うことは可能であるが、作業性及び性能の点から、紙糸の状態で行うのが好ましい。
【0027】
本発明の湿式不織布を製造する装置としては、長網式抄紙機、短網式抄紙機、円網式抄紙機等の通常タイプの抄紙機や、ロートホーマー、ベスティホーマーなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
このようにして得られるポリエステル系紙の坪量(目付)は、3〜50g/m2の範囲にあることが必要である。該坪量が7g/m2未満であるとポリエステル系紙から得られる糸状物の強力が弱く糸切れが発生し易くなり、また、坪量が50g/m2を超えると糸状物の剛性が大となって硬くなり取り扱いにくくなり好ましくない。
【0029】
得られた不織布を例えばヤンキードライヤーで加熱乾燥し、同時に接着処理が行われる。更に不織布の強力を望む場合、カレンダー加工やエンボス加工による熱圧着を施してもよい。ただ、過度のカレンダー加工は、不織布の剛軟度を高め、風合いを粗硬とするので、注意を要する。
【0030】
本発明においては、ポリエステル系紙をテープ状細幅紙として使用するが、その幅は2〜50mmの範囲にする必要があり、さらに、好ましくは3〜30mmの範囲がよい。テープ状細幅紙の幅が2mm未満では、幅が短すぎるため、撚りを掛けるときに紙の強力が低くなり過ぎて糸切れを起こしやすく、得られた紙糸自身の強力も低く、更には中心部に空間を形成することも難しいので、吸水性、保水性も劣るようになるため好ましくない。一方、幅が50mmを越えると、撚りを掛ける作業性が悪くなり好ましくない。
【0031】
ポリエステル系紙の厚みを薄くして細幅紙の幅を広くすると、柔らかな糸状物となり、糸状物の強力が大となって、編織に適するようになる。例えば、坪量が10g/m2で幅が10mmのポリエステル系紙からなる糸状物の強力の方が、坪量が50g/m2で幅が2mmのポリエステル系紙からなる糸状物の強力より大となり、柔らかで、編織工程に適したものとなる。
【0032】
また、ポリエステル系紙をテープ状細幅紙とするには、湿式抄造の段階で所定の幅を有する細幅紙としても良いが、作業を効率よく行うためには、広幅のポリエステル系紙を取扱いがよい程度のロールに巻き取り、スリッターを使用して所定の幅にセットした回転刃をロールに押し付けて、テープ状に裁断加工する方法が好ましい。
【0033】
このようにして得た細幅紙を加撚して撚り糸を形成して糸状物を得るが、該糸状物には中空部が形成されていることが重要である。該中空部はストローのように糸状物のほぼ中央に形成されているが、これは前記のようにして得た細幅紙にらせん状の撚りを施すことにより得られる。
【0034】
らせん状に撚りを施す方法は、特に限定はされないが、作業の効率が高く、安定した品質を得るためには紙紐製造機を使用して行うものがよい。
【0035】
また、らせん状の撚りを得るための撚り数は、糸状物を布帛にした際の肌触りや水分の透湿性、吸排出性及び通気性、糸強力の観点から、10〜300回/mの撚り数で加撚することが必要である。撚り数が10回/m未満では該糸状物の強力が低くなりすぎ、また良好な中空部が形成されず、吸水性が低下するため好ましくない。他方、撚り数が300回/mを越えると、中空部がほとんど無くなり、吸水性が低下し、糸状物が堅くなりすぎて好ましくない。
【0036】
このようにして得られる糸状物は、従来のように天然木材表皮や天然木材パルプから得た紙に比べてより剛性の高いポリエステル系紙から形成されるので、加撚して糸状物とした後も解撚し易く、撚りのバランスが崩れ易いので、撚糸加工する際に同時に加熱して熱固定する工程を組合わせて行うものがよいが、糸状物とした後にチーズ状等に巻き取り、熱固定する方法でもよい。
【0037】
熱固定する際の温度は、100℃以上、好ましくは130℃以上の温度で行うものがよい。また、該糸状物の染色は、通常のポリエステル糸を染色する公知の方法により任意の色に染色することができる。
【0038】
また、本発明の糸状物を用いて作成される編織物には、該糸状物のほかに他の繊維、例えば、従来から公知のポリエステル繊維からなる糸や、綿、ナイロン、ウール等からなる糸を使用して混編又は混織してもよい。
【0039】
このように本発明の糸状物からなる編織物は、糸状物単独で、若しくは、必要に応じて他の繊維と共に手編みや手織りの方法により得ることも出来るが、作業効率が高く、安定した品質が得られる編み機や織機を用いてもよい。
【0040】
編み機や織機を用いて編織成する場合には、作業中の糸切れを防止し、また該糸状物に平滑性や伸びを付与するために、該糸状物を湿らせたり、糸状物に平滑剤を付与したりして用いるものが好ましい。
【0041】
〈作用〉
このようにして得られる糸状物は、ポリエステル系紙からなるテープ状の細幅紙に撚りを付与することにより、らせん状に撚り加工された形態をしているため、糸状物の中心には中空部が形成され、該糸状物の外側壁は紙構造から来る繊維間空隙が多数存在するものであるために、飽和水分率が3.0%以上と高くなり、さらに、通気性、肌触りが良好で、衣服に用いた場合には快適な着用特性を得ることが可能となる。
【0042】
また、インテリア用品、寝装品、アウトドア等の分野に用いるのに適したリサイクル性、吸水性、保温性、耐久性に優れた布帛の製造を可能にするポリエステル紙からなる糸状物を得ることができる。
【0043】
【発明の効果】
このような特長を有する糸状物を使用して作成される編織物は、水分の透湿性や吸排出性、通気性にも優れているので、一般衣料用布帛として好適に使用される。
【0044】
また、インテリア用品、寝装品、アウトドア等の分野にも用いるのが可能である。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。実施例で用いた測定値は下記の測定法によった。
【0046】
(1)坪量:JISP−8124に準拠する方法により測定した。
【0047】
(2)紙幅:1mm単位で表示された物差しを使用して測定した。
【0048】
(3)撚り:1cm当たりの撚り回数を測定し、100倍し撚り数とする。
【0049】
(4)引張強力:定速伸長型引張試験機を用い、JISC−2111の7に準拠する方法で測定した。本発明の糸状物では、1.0N/本以上の強力を得ることが目標である。
【0050】
(5)飽和水分率:JISL−1013に準拠する方法で以下のように測定した。
抄紙し、撚糸して得られた紙糸を温度:110℃の雰囲気中で絶乾した後、温度:20℃、且つ、相対湿度:100RH%の雰囲気中において72時間調整し、該繊維中に含まれる水分率を求めて絶乾状態の該繊維重量に対する割合を算出し、これを百分率(%)で表わした。
【0051】
(6)洗濯耐久性:JIS L−0844 A法に準じて洗濯を20回繰り返し、その後、紙糸の引張強力を測定し、次式により強力保持率を算出した。
強力保持率(%)=洗濯後強力(N)÷初期強力(N)X100
【0052】
(7)製織性:シャットル式織機を用いて製織する場合における経糸と緯糸の切断回数及び織欠点(特に、撚り戻しによるスナールやビリ、緯糸ゆるみ等)の発生率(良品歩留率=織物品質)で判定した。最低でも量産時における稼働率が80%以上、良品歩留率が80%以上になると推定される製織性を有するものを:○で、その値に達しないと推定されるものを:×で表示した。
【0053】
(8)布帛風合い:得られた布帛を5人の評定者が風合いを5点法で判定した。非常に風合いが柔らかいものを5、非常に硬いものを1とした。
【0054】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレートステープル繊維(繊度1.5デニール、繊維長10mm、捲縮数ゼロ)と、バインダーとして熱融着温度が約120℃であるテレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/ジエチレングリコール共重合ポリエステルを鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維(繊度1.5デニール、繊維長5mm、捲縮数ゼロ)とを、70:30の割合で混合して、通常の円網抄紙機を用いて目付が約20g/m2になるように抄紙し、ヤンキードライヤーにより乾燥(バインダー繊維による熱融着)を行った。
【0055】
次に、得られたポリエステル系紙を5mm間隔の回転刃がセットされたスリッターで切断し、120本のポリエステル系紙からなるテープ状の細幅紙を得た。該細幅紙に紙紐製造機で1m当たり120回の撚りを施し、続いて温度:160℃であるヒーター中を通して撚り戻りが起こり難くなるように熱セットを行って、ポリエステル紙が中空部を有する撚り糸に形成された糸状物を得た。この糸状物の引張強度、飽和水分率及び洗濯耐久性を示す強力保持率は、表1に示した通りであった。
【0056】
次いで、該ポリエステル紙からなる糸状物を経糸及び緯糸に用いて、打ち込み本数が、経糸×緯糸=30×28本/インチになるように織成し、目付:約270g/m2、織幅:80cm、長さ:50mのポリエステル織物を得た。該織物の製織性も表1に示した。得られた織物は水分の吸湿性も良好で通気性に富んでいるものであった。
【0057】
[実施例2〜6、比較例1〜6]
実施例1で使用した紙糸に代えて、表1に示した条件で得られた紙糸を用いた結果、請求項の範囲内のものは結果が良好であり、範囲外のものは良い結果が得られなかった。比較例1は坪量が過小の場合、比較例2は坪量が過大の場合、比較例3は紙幅が過小の場合である。
【0058】
【表1】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル系紙からなる糸状物に関し、さらに詳しくは、衣料、インテリア用品、寝装品、アウトドア等の分野に用いるのに適したリサイクル性、吸水性、保温性、耐久性に優れた布帛の製造を可能にするポリエステル系紙からなる糸状物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、和紙を細長い短冊状に切り、撚って紙糸にして、得られた紙糸を製織した紙布は、古くは鎌倉時代より紙衣として使用されている。しかしながら、紙糸の製造に想像以上に手間がかかるため、一般に普及することはなかった。
【0003】
また、こうぞ、みつまたおよびマニラ麻等の原料を使用した機械漉和紙製の紙糸が、約20年程前から製造されている。ところが、この紙糸は、伸びがなく、織機で紙糸を製織する際に糸切れが頻繁に起こるため、手織りでないと製織するのは困難である。また、手織りで得られた紙布は、洗濯時の耐水性が悪く、数回洗濯すると破れてしまうという問題点がある。
【0004】
その改良として、特開平8−60473号公報には、耐水処理されたパルプ製テープをらせん甘撚りしたものを使用することが提案されている。しかしながら、素材がパルプであるため、布帛等の実用品として使用するには、耐久性、耐水性、ドレープ性が不十分であると言う問題が尚残っており、使用分野が制限されているのが実情である
【0005】
一方、特開2001−73242には、芳香族ポリアミド紙からなる耐熱性、難燃性に優れた紙糸が提案されている。しかしながら、芳香族ポリアミドは、加撚した後その撚りを熱固定する事が難しいため製織や製編上の問題があるほか、耐熱性、難燃性には優れるが、原料が高価であるために、消防服や高炉作業服等の特殊用途で使用するには適しているものの、染色性、風合い、ドレープ性も劣るため一般衣料用途に使用することは難しく、リサイクル性にも欠ける等の問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−60473号公報
【特許文献2】
特開2001−73242
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のかかる問題点を解決し、衣料、インテリア用品、寝装品、アウトドア等の分野に用いるのに適したリサイクル性、吸水性、保温性、耐久性に優れた布帛の製造を可能にするポリエステル紙からなる糸状物を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術が有する前記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、ポリエステル系紙からなる糸状物を用いて編織成された編織物からなる布帛は、耐水性、耐洗濯性に優れているため、耐久性に優れているとともに、染色性・リサイクル性に優れ、該糸状物に形成される中空部や糸状物を構成する素材(紙)の構造により水蒸気の移動も可能になるため吸水性に富み、通気性や透湿性も良好であるために衣服に使用した場合には快適な着用性を発現し、インテリア、寝装品、アウトドア用品に用いた場合には実用性に優れていることを見出し、本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、坪量が7〜50g/m2で、その幅が2〜50mmのテープ状ポリエステル系細幅紙からなり、該細幅紙が10〜300回/mの範囲の撚り数により加撚されて撚り糸に中空部が形成されていることを特徴とするポリエステル系紙からなる糸状物にある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明に使用するポリエステル系紙には公知のポリエステル紙を使用することができるが、好ましくは、繊度が0.1〜3デニール、繊維長が5〜35mmのポリエステル系ステープル繊維95〜50重量%とポリエステル系バインダー繊維5〜50重量%とで構成されているか、繊度が0.1〜3デニール、繊維長が5〜35mmのポリエステル系ステープル繊維95〜50重量%とポリエステル系未延伸糸5〜50重量%とで構成され、そのポリエステル繊維の少なくとも一部が相互またはポリエステル系ステープル繊維と熱融着しているポリエステル系紙からなる糸状物が例示される。
【0012】
ここで用いるポリエステル系ステープル繊維とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、或いはエチレンテレフタレート単位および/またはブチレンテレフタレート単位を主たる構成単位とし、これに少量の他の共重合単位を含有させたコポリエステルであるのが好ましく用いられ、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0013】
コポリエステルを用いる場合は、コポリエステル中における他の共重合単位の割合が10モル%以下であるのが好ましく、他の共重合単位の例としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、5−アルカリ金属スルホイソフタル酸などの芳香族カルボン酸;シュウ酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族カルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能性カルボン酸;またはそれらのエステル形成性成分に由来するカルボン酸単位;ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどから誘導される単位を挙げることができる。そして、コポリエステルは前記した共重合単位の1種または2種以上を含んでいることができる。
【0014】
本発明にあっては、紙用ポリエステル系ステープル繊維に用いるポリエステルの粘度や分子量などは特に制限されないが、一般に、ウベローデ型粘度計を用いて、フェノールとテトラクロロエタン等量混合溶液中、30℃で測定したときに、その極限粘度[η]が0.40〜0.80g/dlのポリエステルを使用するのが、得られるポリエステル紙の強力、地合い、均一性などの点から好ましい。
【0015】
該ポリエステル繊維の繊度は0.1〜3デニールとすることが好ましく、特に0.3〜2デニールがより好ましい。0.1デニール未満では抄紙性があまり好ましくなく、3デニールを越えると得られた糸状物がごわごわした感蝕になって、風合いがあまり好ましくなくなる。
【0016】
該ポリエステル系ステープル繊維の繊維長は、得られた紙の強力を高め、また可能な限りポリエステル未延伸糸またはバインダー繊維を減らして不織布をソフトな風合いにするためには長い方が好ましいが、余り長くしすぎると抄紙性が悪化するため、5〜35mmの繊維長が好ましい。
【0017】
また、通常は抄紙性を高いレベルに維持するために捲縮を付与していないストレートの繊維を用いるが、嵩高とするためには適度に捲縮を付与してもよい。
【0018】
ポリエステル系紙を構成するポリエステル系ステープル繊維は、紙全重量に対して50〜95重量%の割合で使用するのが好ましい。50重量%未満では得られた紙の強力が低下し、風合いがごわごわし、嵩性が小さくなる。95重量%を越えると、接着成分であるポリエステル未延伸糸またはバインダー繊維の量が少なくなるため接着強力が低下するのであまり好ましくない。
【0019】
本発明でいうバインダー成分とは、抄紙後に施す80〜170℃の熱処理によって融着する成分であり、ポリエチレンテレフタレートを紡糸してそのまま5〜35mmの繊維長にカットしたポリエステル未延伸糸、または80〜170℃の熱処理によって接着効果を発現する成分のポリマーとこれらのポリマーより融点が20℃以上高いポリエステル系ポリマーとのサイドバイサイド型(バイメタル型)またはシースコア型(芯鞘型)複合繊維を用いるのが好ましい。
【0020】
抄紙後に施す80〜170℃の熱処理によって融着し、接着効果を発現する成分のポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリペンテン−1等のポリオレフィン系重合体及びこれらのランダムもしくはブロック共重合体、あるいは、さらにメタクリル酸、アクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも1種以上を共重合したポリオレフィン系重合体をあげることができる。また、テレフタル酸及びイソフタル酸及び/又はこれらのエステル形成性誘導体とエチレングリコール又は1,4−ブタンジオールとをエステル化又はエステル交換反応せしめて得られる低融点共重合ポリエステルもあげることができる。接着性の面からは、低融点共重合ポリエステルを用いることがより好ましい。
【0021】
これらのポリエステル未延伸糸またはポリエステル系バインダー繊維は、繊度8デニール以下、繊維長5〜35mmとすることが好ましい。
【0022】
本発明におけるポリエステル未延伸糸またはポリエステル系バインダー繊維は、不織布全重量に対して5〜50重量%の割合で使用することが好ましい。
【0023】
また、ポリエステル系ステープル繊維及び/又はポリエステル未延伸糸またはポリエステル系バインダー繊維の表面には、抄紙性向上及び接着性向上の目的で親水性の油剤が付与されていることが好ましい。
【0024】
親水性油剤としては公知のものを使用できるが、ポリアルキレングリコール及び/又はそのモノエーテルを共重合せしめた水分散性共重合ポリエステルが、バインダー繊維に吸水性能を付与すると共に、熱接着性能を向上することができるため、より好ましい。
【0025】
また、ポリエステル系ステープル繊維及び/またはポリエステル系バインダー繊維の全体またはその一部にアルカリによる表面減量加工がなされておれば、得られる紙糸の風合いが良くなり、吸水性も向上するためにより好ましい。
【0026】
アルカリ処理は通常に行われる方法で良く、糸の状態、紙の状態、紙糸の状態いずれの工程でも行うことは可能であるが、作業性及び性能の点から、紙糸の状態で行うのが好ましい。
【0027】
本発明の湿式不織布を製造する装置としては、長網式抄紙機、短網式抄紙機、円網式抄紙機等の通常タイプの抄紙機や、ロートホーマー、ベスティホーマーなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
このようにして得られるポリエステル系紙の坪量(目付)は、3〜50g/m2の範囲にあることが必要である。該坪量が7g/m2未満であるとポリエステル系紙から得られる糸状物の強力が弱く糸切れが発生し易くなり、また、坪量が50g/m2を超えると糸状物の剛性が大となって硬くなり取り扱いにくくなり好ましくない。
【0029】
得られた不織布を例えばヤンキードライヤーで加熱乾燥し、同時に接着処理が行われる。更に不織布の強力を望む場合、カレンダー加工やエンボス加工による熱圧着を施してもよい。ただ、過度のカレンダー加工は、不織布の剛軟度を高め、風合いを粗硬とするので、注意を要する。
【0030】
本発明においては、ポリエステル系紙をテープ状細幅紙として使用するが、その幅は2〜50mmの範囲にする必要があり、さらに、好ましくは3〜30mmの範囲がよい。テープ状細幅紙の幅が2mm未満では、幅が短すぎるため、撚りを掛けるときに紙の強力が低くなり過ぎて糸切れを起こしやすく、得られた紙糸自身の強力も低く、更には中心部に空間を形成することも難しいので、吸水性、保水性も劣るようになるため好ましくない。一方、幅が50mmを越えると、撚りを掛ける作業性が悪くなり好ましくない。
【0031】
ポリエステル系紙の厚みを薄くして細幅紙の幅を広くすると、柔らかな糸状物となり、糸状物の強力が大となって、編織に適するようになる。例えば、坪量が10g/m2で幅が10mmのポリエステル系紙からなる糸状物の強力の方が、坪量が50g/m2で幅が2mmのポリエステル系紙からなる糸状物の強力より大となり、柔らかで、編織工程に適したものとなる。
【0032】
また、ポリエステル系紙をテープ状細幅紙とするには、湿式抄造の段階で所定の幅を有する細幅紙としても良いが、作業を効率よく行うためには、広幅のポリエステル系紙を取扱いがよい程度のロールに巻き取り、スリッターを使用して所定の幅にセットした回転刃をロールに押し付けて、テープ状に裁断加工する方法が好ましい。
【0033】
このようにして得た細幅紙を加撚して撚り糸を形成して糸状物を得るが、該糸状物には中空部が形成されていることが重要である。該中空部はストローのように糸状物のほぼ中央に形成されているが、これは前記のようにして得た細幅紙にらせん状の撚りを施すことにより得られる。
【0034】
らせん状に撚りを施す方法は、特に限定はされないが、作業の効率が高く、安定した品質を得るためには紙紐製造機を使用して行うものがよい。
【0035】
また、らせん状の撚りを得るための撚り数は、糸状物を布帛にした際の肌触りや水分の透湿性、吸排出性及び通気性、糸強力の観点から、10〜300回/mの撚り数で加撚することが必要である。撚り数が10回/m未満では該糸状物の強力が低くなりすぎ、また良好な中空部が形成されず、吸水性が低下するため好ましくない。他方、撚り数が300回/mを越えると、中空部がほとんど無くなり、吸水性が低下し、糸状物が堅くなりすぎて好ましくない。
【0036】
このようにして得られる糸状物は、従来のように天然木材表皮や天然木材パルプから得た紙に比べてより剛性の高いポリエステル系紙から形成されるので、加撚して糸状物とした後も解撚し易く、撚りのバランスが崩れ易いので、撚糸加工する際に同時に加熱して熱固定する工程を組合わせて行うものがよいが、糸状物とした後にチーズ状等に巻き取り、熱固定する方法でもよい。
【0037】
熱固定する際の温度は、100℃以上、好ましくは130℃以上の温度で行うものがよい。また、該糸状物の染色は、通常のポリエステル糸を染色する公知の方法により任意の色に染色することができる。
【0038】
また、本発明の糸状物を用いて作成される編織物には、該糸状物のほかに他の繊維、例えば、従来から公知のポリエステル繊維からなる糸や、綿、ナイロン、ウール等からなる糸を使用して混編又は混織してもよい。
【0039】
このように本発明の糸状物からなる編織物は、糸状物単独で、若しくは、必要に応じて他の繊維と共に手編みや手織りの方法により得ることも出来るが、作業効率が高く、安定した品質が得られる編み機や織機を用いてもよい。
【0040】
編み機や織機を用いて編織成する場合には、作業中の糸切れを防止し、また該糸状物に平滑性や伸びを付与するために、該糸状物を湿らせたり、糸状物に平滑剤を付与したりして用いるものが好ましい。
【0041】
〈作用〉
このようにして得られる糸状物は、ポリエステル系紙からなるテープ状の細幅紙に撚りを付与することにより、らせん状に撚り加工された形態をしているため、糸状物の中心には中空部が形成され、該糸状物の外側壁は紙構造から来る繊維間空隙が多数存在するものであるために、飽和水分率が3.0%以上と高くなり、さらに、通気性、肌触りが良好で、衣服に用いた場合には快適な着用特性を得ることが可能となる。
【0042】
また、インテリア用品、寝装品、アウトドア等の分野に用いるのに適したリサイクル性、吸水性、保温性、耐久性に優れた布帛の製造を可能にするポリエステル紙からなる糸状物を得ることができる。
【0043】
【発明の効果】
このような特長を有する糸状物を使用して作成される編織物は、水分の透湿性や吸排出性、通気性にも優れているので、一般衣料用布帛として好適に使用される。
【0044】
また、インテリア用品、寝装品、アウトドア等の分野にも用いるのが可能である。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。実施例で用いた測定値は下記の測定法によった。
【0046】
(1)坪量:JISP−8124に準拠する方法により測定した。
【0047】
(2)紙幅:1mm単位で表示された物差しを使用して測定した。
【0048】
(3)撚り:1cm当たりの撚り回数を測定し、100倍し撚り数とする。
【0049】
(4)引張強力:定速伸長型引張試験機を用い、JISC−2111の7に準拠する方法で測定した。本発明の糸状物では、1.0N/本以上の強力を得ることが目標である。
【0050】
(5)飽和水分率:JISL−1013に準拠する方法で以下のように測定した。
抄紙し、撚糸して得られた紙糸を温度:110℃の雰囲気中で絶乾した後、温度:20℃、且つ、相対湿度:100RH%の雰囲気中において72時間調整し、該繊維中に含まれる水分率を求めて絶乾状態の該繊維重量に対する割合を算出し、これを百分率(%)で表わした。
【0051】
(6)洗濯耐久性:JIS L−0844 A法に準じて洗濯を20回繰り返し、その後、紙糸の引張強力を測定し、次式により強力保持率を算出した。
強力保持率(%)=洗濯後強力(N)÷初期強力(N)X100
【0052】
(7)製織性:シャットル式織機を用いて製織する場合における経糸と緯糸の切断回数及び織欠点(特に、撚り戻しによるスナールやビリ、緯糸ゆるみ等)の発生率(良品歩留率=織物品質)で判定した。最低でも量産時における稼働率が80%以上、良品歩留率が80%以上になると推定される製織性を有するものを:○で、その値に達しないと推定されるものを:×で表示した。
【0053】
(8)布帛風合い:得られた布帛を5人の評定者が風合いを5点法で判定した。非常に風合いが柔らかいものを5、非常に硬いものを1とした。
【0054】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレートステープル繊維(繊度1.5デニール、繊維長10mm、捲縮数ゼロ)と、バインダーとして熱融着温度が約120℃であるテレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/ジエチレングリコール共重合ポリエステルを鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維(繊度1.5デニール、繊維長5mm、捲縮数ゼロ)とを、70:30の割合で混合して、通常の円網抄紙機を用いて目付が約20g/m2になるように抄紙し、ヤンキードライヤーにより乾燥(バインダー繊維による熱融着)を行った。
【0055】
次に、得られたポリエステル系紙を5mm間隔の回転刃がセットされたスリッターで切断し、120本のポリエステル系紙からなるテープ状の細幅紙を得た。該細幅紙に紙紐製造機で1m当たり120回の撚りを施し、続いて温度:160℃であるヒーター中を通して撚り戻りが起こり難くなるように熱セットを行って、ポリエステル紙が中空部を有する撚り糸に形成された糸状物を得た。この糸状物の引張強度、飽和水分率及び洗濯耐久性を示す強力保持率は、表1に示した通りであった。
【0056】
次いで、該ポリエステル紙からなる糸状物を経糸及び緯糸に用いて、打ち込み本数が、経糸×緯糸=30×28本/インチになるように織成し、目付:約270g/m2、織幅:80cm、長さ:50mのポリエステル織物を得た。該織物の製織性も表1に示した。得られた織物は水分の吸湿性も良好で通気性に富んでいるものであった。
【0057】
[実施例2〜6、比較例1〜6]
実施例1で使用した紙糸に代えて、表1に示した条件で得られた紙糸を用いた結果、請求項の範囲内のものは結果が良好であり、範囲外のものは良い結果が得られなかった。比較例1は坪量が過小の場合、比較例2は坪量が過大の場合、比較例3は紙幅が過小の場合である。
【0058】
【表1】
Claims (6)
- 坪量が7〜50g/m2で、その幅が2〜50mmのテープ状ポリエステル系細幅紙からなり、該細幅紙が10〜300回/mの範囲の撚り数により加撚されて撚り糸に中空部が形成されていることを特徴とするポリエステル系紙からなる糸状物。
- ポリエステル系紙が、繊度が0.1〜3デニール、繊維長が5〜35mmのポリエステル系ステープル繊維95〜50重量%とポリエステル系バインダー繊維5〜50重量%とで構成され、そのバインダー繊維の少なくとも一部が相互にまたはポリエステル系ステープル繊維と熱融着していることを特徴とする請求項1記載のポリエステル系紙からなる糸状物。
- ポリエステル系紙が、繊度が0.1〜3デニール、繊維長が5〜35mmのポリエステル系ステープル繊維95〜50重量%とポリエステル系未延伸糸5〜50重量%とで構成され、そのポリエステル未延伸糸の少なくとも一部が相互にまたはポリエステル系ステープル繊維と熱融着していることを特徴とする請求項1記載のポリエステル系紙からなる糸状物。
- ポリエステル系バインダー繊維が繊度8デニール以下、繊維長5〜35mmの複合繊維であって、該複合繊維の少なくとも一部が80〜220℃の熱処理により融着する成分からなっていることを特徴とする請求項2記載のポリエステル系紙からなる糸状物
- ポリエステル系繊維の全体またはその一部が親水性を付与されていることを特徴とする請求項1記載のポリエステル系紙からなる糸状物。
- ポリエステル系繊維全体またはその一部にアルカリによる表面減量加工がなされていることを特徴とする請求項1記載のポリエステル系紙からなる糸状物。
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JP2016141899A (ja) * | 2015-01-30 | 2016-08-08 | 大建工業株式会社 | 筒撚り撚糸、筒撚り撚糸の製造方法、畳表、及び畳表の製造方法 |
-
2002
- 2002-11-18 JP JP2002371119A patent/JP2004169254A/ja active Pending
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