JP2004150755A - 灰溶融炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐火レンガの延命化を図ることができるようにする。
【解決手段】鉄皮12と該鉄皮12内側の耐火レンガ層18との層間に熱伝導率の高い炭化けい素系材料によるスタンプ材19を介装して炉壁8aを形成する。耐火レンガ層18を、内張耐火レンガ20と熱伝導率の高い炭化けい素系材料製の外張耐火レンガ21とからなる2層構造とする。鉄皮12、スタンプ材19、外張耐火レンガ21層、内張耐火レンガ20層の各層間には絶縁シート22を介在させる。炉体内にて灰の溶融処理時における耐火レンガ20,21の熱膨張はスタンプ材19により吸収させる。同時に、鉄皮12外面の水冷効果を、熱伝導率の高いスタンプ材19、外張耐火レンガ21を介し内張耐火レンガ20へ伝達させることにより、内張耐火レンガ20の冷却効率を高めて損耗を抑制させる。
【選択図】 図1
【解決手段】鉄皮12と該鉄皮12内側の耐火レンガ層18との層間に熱伝導率の高い炭化けい素系材料によるスタンプ材19を介装して炉壁8aを形成する。耐火レンガ層18を、内張耐火レンガ20と熱伝導率の高い炭化けい素系材料製の外張耐火レンガ21とからなる2層構造とする。鉄皮12、スタンプ材19、外張耐火レンガ21層、内張耐火レンガ20層の各層間には絶縁シート22を介在させる。炉体内にて灰の溶融処理時における耐火レンガ20,21の熱膨張はスタンプ材19により吸収させる。同時に、鉄皮12外面の水冷効果を、熱伝導率の高いスタンプ材19、外張耐火レンガ21を介し内張耐火レンガ20へ伝達させることにより、内張耐火レンガ20の冷却効率を高めて損耗を抑制させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般廃棄物や産業廃棄物の焼却灰や飛灰を炉内に投入して直流電流抵抗によるジュール熱やプラズマアークにより加熱溶融させるようにしてある電気式又はプラズマ式の灰溶融炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物の焼却灰や飛灰等に含まれるダイオキシン類の分解という観点、及び、上記焼却灰や飛灰等の減容化、資源化を図るという観点から、灰溶融炉による灰溶融処理が広く普及している。
【0003】
この種の灰溶融炉のうち、たとえば、電気式(直流電気抵抗式)のものは、図2にその一例の概略を示す如く、炉蓋2の中心部をスライド自在に貫通させて下端部を炉体1内の溶融スラグ3内に挿入するようにした主電極4と、炉底に設けた炉底電極5との間に、溶融スラグ3を通して電流を流すことにより、頂部の灰投入口6より炉体1内に投入された焼却灰や飛灰等の灰7を、順次ジュール熱により1400℃〜1450℃程度まで加熱して溶融させ、流動状態となる溶融スラグ3を炉壁8の所要高さ位置に設けた図示しない出滓口より流出させて回収するようにしてあり、炉体1内で発生した溶融排ガス9は炉体1上部の排ガス管10を通して外部へ取り出すようにしてある。
【0004】
又、上記灰7に混入していた金属類は、灰7の溶融処理と同時に溶融させると共に、溶融スラグ3と比重分離させて炉底に溶融メタル11の層を形成させるようにしてあり、この溶融メタル11は、灰7の連続溶融処理に伴って増加することから、炉体1の下部側壁部に設けた図示しない出銑口を、所要の頻度で開口させることにより、炉体1外へ取り出すことができるようにしてある。
【0005】
上記灰溶融炉の炉壁8は、炉体1内における灰7の溶融処理時に作用する1400℃以上の高温に耐えることができるようにするために、全体を耐火レンガ13で構成すると共に、その外周側を鉄皮12で覆った構成、すなわち、外殻となる鉄皮12の内側に耐火レンガ13の層を内張りして設けた構成としてある。更に、上記耐火レンガ13は、灰溶融処理時に上記のような高温が作用すると熱膨張するようになるが、この耐火レンガ13の層の熱膨張が、直接鉄皮12に対して外周方向への大きな荷重として作用すると、該鉄皮12の破壊につながる虞が生じることから、上記鉄皮12と耐火レンガ13層との層間には、空気層を備えたクッションボード(図示せず)を介装して、灰溶融処理時における上記耐火レンガ13層の外側への熱膨張を、上記クッションボードにて吸収させることができるようにしてある。
【0006】
更に又、上記耐火レンガ13も高温に長時間曝されると次第に溶損するようになる。そのため従来は、灰溶融炉の炉壁8の鉄皮12の外周面に図示しない水冷ジャケットを設けたり、あるいは、図2に示す如く、上記炉壁8の鉄皮12の外周側に、該鉄皮12に向かう多数の散水口14aを備えた環状の散水管14を上下方向多段に設置して、冷却水槽15より給水管16を介し該各散水管14へ導いた冷却水17を、各散水管14の散水口より鉄皮12の外周面へ向けて散水することにより、鉄皮12の水冷を介して耐火レンガ13層の間接冷却を図り、これにより耐火レンガ13の温度を下げて該耐火レンガ13の内側に溶融スラグ3を付着させて保護させることにより耐火レンガ13の延命化を図るようにすることが従来行われてきている(たとえば、特許文献1参照)。
【0007】
なお、上記電気式の灰溶融炉では、主電極4と炉底電極5の間の溶融スラグ3に電流を流して灰7の溶融処理を行わせるものであるため、上記耐火レンガ13としては、電気伝導性のないマグネシア−クロム系材料製のものが広く一般に使用されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−2539号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の灰溶融炉においては、炉壁8を構成する鉄皮12と耐火レンガ13層との層間に介装してあるクッションボードが空気層を備えており、この空気層が断熱性を発揮してしまうため、鉄皮12の水冷効果の影響が耐火レンガ13層まで及び難く、このため耐火レンガ13層の冷却効率をあまり高くすることができず、耐火レンガ13層の内表面が高温となって、耐火レンガ13の溶損を助長するというのが実状である。
【0010】
又、プラスチック等の廃棄物を焼却炉にて燃焼させるときに発生する酸性ガス、たとえば、HClは、通常、上記焼却炉の燃焼排ガス中に塩基性物質を吹き込むことにより塩を形成させ、該塩を集塵装置にて飛灰と一緒に回収するようにしているため、上記灰溶融炉に投入される灰7には塩が含まれており、この塩は、灰7の溶融処理に伴って溶融され、溶融塩として比重差分離されて溶融スラグ3の表面に浮くようになり、その後、該溶融塩は積み重ねられた耐火レンガ13同士の隙間や耐火レンガ13の気孔に徐々に浸透する。この耐火レンガ13同士の隙間や耐火レンガ13の気孔に浸透した溶融塩が、耐火レンガ13層を通過して鉄皮12に達するようになると、耐火レンガ13に浸透した溶融塩を通して鉄皮12に電流が流れ、このため灰7の溶融処理の効率が悪化するという問題が生じ、更に、鉄皮12が上記溶融塩により電食するという問題も生じる。
【0011】
そこで、本発明は、鉄皮の水冷効果を耐火レンガ層に効率よく伝達して冷却効率を高めることにより耐火レンガの延命化を図ることができ、更に、炉体内の溶融塩が耐火レンガ層に浸透して鉄皮に達する虞を低減できる灰溶融炉を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、鉄皮と該鉄皮の内側に設ける耐火レンガ層との層間に、熱伝導率の高いスタンプ材を介装した構造の炉壁を備えてなる構成とする。
【0013】
灰の溶融処理時に炉内側から作用する高温により耐火レンガ層が熱膨張すると、該耐火レンガ層の熱膨張はスタンプ材が変形することにより吸収され、鉄皮に対して大きな荷重として作用することはない。又、鉄皮の外周面側を水冷すると、該鉄皮の冷却効果が、耐火レンガ層へ上記熱伝導率の高いスタンプ材を介して効率よく伝達されるようになるため、該耐火レンガ層の冷却効率が高められ、耐火レンガ層の温度は低下させられる。
【0014】
又、スタンプ材を炭化けい素系材料製とした構成とすることにより、熱伝導率が高く且つ灰の溶融処理時に作用する高温条件に耐え得るスタンプ材を容易に調製できる。
【0015】
更に、耐火レンガ層を内外方向に2層とすると共に、外側レンガ層を、熱伝導率の高い外張耐火レンガにて形成した構成とすることにより、耐火レンガ層の炉内側の冷却効率を更に向上させることができる。
【0016】
更に又、外張耐火レンガの素材を炭化けい素系材料とした構成とすることにより、熱伝導率が高く且つ灰の溶融処理時に作用する高温条件に耐え得る外張耐火レンガを容易に調製できる。
【0017】
更に又、外張耐火レンガにて形成してなる外側レンガ層における上下方向所要間隔位置に、周方向の全周に亘り絶縁材製耐火レンガを介在させた構成とすることにより、外側レンガ層を上下方向に絶縁構造とすることができるため、万一、炉内側から耐火レンガ層に浸透する溶融塩が上記外側レンガ層に達したとしても、該外側レンガ層を上下方向に電流が通過して炉底電極へ流れる虞を未然に防止できる。
【0018】
更に又、炉壁における内外方向の層間に、絶縁シートを介在させるようにした構成とすることにより、炉内側から耐火レンガ層に浸透する溶融塩が鉄皮に達する虞を防止でき、鉄皮に電流が流れることに伴う灰の溶融処理効率の悪化や、溶融塩による鉄皮の電食を未然に防止することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は本発明の灰溶融炉の実施の一形態を示すもので、図2に示したものと同様に、炉蓋2を貫通して下端部を炉体1内の溶融スラグ3に没入させた主電極4と炉底電極5を備えてなる構成とし、更に、炉体1の外殻となる鉄皮12の外側に、図示しない水冷ジャケットや散水管を備えて、上記鉄皮12の外面を水冷できるようにしてある灰溶融炉において、炉体1の炉壁を、外殻としての鉄皮12の内側に耐火レンガ層18を備え、更に、上記鉄皮12と耐火レンガ層18との層間に熱伝導率の高いスタンプ材、たとえば、炭化けい素系材料製のスタンプ材19を介装して形成してなる炉壁8aとする。
【0021】
更に、上記炉壁8aは、上記耐火レンガ層18を、内周側の内張耐火レンガ20の層(内側レンガ層)と、外周側の外張耐火レンガ21の層(外側レンガ層)とからなる内外2層とすると共に、上記外張耐火レンガ21を、熱伝導率の高い炭化けい素系材料製の耐火レンガとしてなる構成とする。なお、上記内張耐火レンガ20は、従来使用されている耐火レンガ13と同様のマグネシア−クロム系レンガとしてある。
【0022】
更に又、上記炉壁8aにおける鉄皮12とスタンプ材19、該スタンプ材19と上記耐火レンガ層18の外張耐火レンガ21層、該外張耐火レンガ21層と上記内張耐火レンガ20層の各層間に、たとえば、雲母により1〜2mm厚に製造してなる絶縁シート22をそれぞれ介在させる。
【0023】
更に又、上記外張耐火レンガ21の層を形成する上下方向多段に積み重ねられた耐火レンガ21の上下方向所要間隔位置に、たとえば、内張耐火レンガ20と同様のマグネシア−クロム系の絶縁性を備えた耐火レンガ23を、周方向の全周に亘り挟み込んだ構成とする。
【0024】
上記炉壁8aを備えてなる本発明の灰溶融炉に灰7を投入してその溶融処理を行うと、灰7の溶融処理時に作用する熱により耐火レンガ層18の各耐火レンガ20,21が膨張させられるが、この耐火レンガ層18の各耐火レンガ20,21の膨張は、上記耐火レンガ層18の外周側に配されたスタンプ材19により吸収されるため、上記膨張する耐火レンガ層18より鉄皮12に外向きの大きな荷重が作用することはない。
【0025】
この際、鉄皮12の外面を水冷すると、該鉄皮12は低温とされ、この鉄皮12の水冷効果が、熱伝導率の高い炭化けい素系材料製のスタンプ材19を介して耐火レンガ層18へ効率よく伝達される。
【0026】
更に、上記耐火レンガ層18は、内外2層からなる構成とし、且つ外層側となる外張耐火レンガ21を、熱伝導率の高い炭化けい素系材料製としてあるため、上記スタンプ材19を介して耐火レンガ層18へ伝達される鉄皮12の水冷効果は、外周側の外張耐火レンガ21の層を介して内周側の内張耐火レンガ20の層へ伝達され、これにより、内張耐火レンガ20の層は更に効率よく冷却される。この内張耐火レンガ20の層が冷却されることに伴って、該内張耐火レンガ20に接する炉内の溶融スラグ3が冷却されるため、上記内張耐火レンガ20の炉内側面には、溶融スラグ3が固化してなる固化物の層が形成されるようになる。
【0027】
又、炉体1内における灰7の溶融処理時には、灰7に混入していた塩が溶融されて溶融塩が形成され、この溶融塩が、炉内側から内張側耐火レンガ20の層へ徐々に浸透するが、上記内張耐火レンガ20の層と外張耐火レンガ21の層の層間には、絶縁シート22が設けてあるため、上記溶融塩が内張耐火レンガ20の層から外張耐火レンガ21の層へ移行することが阻害される。
【0028】
上記内張耐火レンガ20の層と外張耐火レンガ21の層の層間に介在させた絶縁シート22が、灰溶融炉の長時間の運用により万一、絶縁性が低下して上記外張耐火レンガ21の層に対して溶融塩の浸透が始まるようになったとしても、上記外張耐火レンガ21の層よりも外周側となる該外張耐火レンガ21層とスタンプ材19との層間、及び、スタンプ材19と鉄皮12との層間の2層にそれぞれ絶縁シート22を介在させて設けてあるため、これら各層の絶縁シート22により溶融塩が鉄皮12に達することは未然に防止される。
【0029】
上記において、外張耐火レンガ21は電気伝導性のある炭化けい素系材料にて製造されているが、該外張耐火レンガ21の層には、上下方向所要間隔位置に、絶縁用耐火レンガ23が全周に亘り挟持させてあるため、上述したように内張耐火レンガ20との間に挟みこまれた絶縁シート22を通過して、たとえ溶融塩が外張耐火レンガ21の層に達したとしても、該外張耐火レンガ21の層にて炉底電極5の方へ上から下へと流れる電流は、上記絶縁用耐火レンガ23にて阻止される。
【0030】
このように、上記本発明の灰溶融炉によれば、灰溶融処理時における耐火レンガ20,21の層18の熱膨張をスタンプ材19により吸収させることができると共に、鉄皮12に対する水冷効果を、上記スタンプ材19を介し効率よく且つ確実に上記耐火レンガ層18に伝えることができる。更に、該耐火レンガ層18を内外2層とし且つ外層を熱伝導率のよい炭化けい素系材料製の外張耐火レンガ21としてあるため、溶融スラグ3と接触する内張耐火レンガ20を更に効率よく冷却することができる。これにより、上記内張耐火レンガ20の炉内側面に溶融スラグ3を冷却してなる固化物の層を形成することが可能になるため、上記耐火レンガ20,21の溶損を抑制して該耐火レンガ20,21の延命化を図ることができる。
【0031】
又、上記内張耐火レンガ20、外張耐火レンガ21、スタンプ材19、鉄皮12の各層間に絶縁シート22をそれぞれ介装して、絶縁シート22を多層に設けてあるため、灰溶融時に炉内にて溶融される塩が鉄皮12に達することを防止でき、このため該鉄皮12を電流が流れてしまうことによる灰7の溶融効率の低下や、鉄皮12の電食が発生する虞を未然に防止できる。
【0032】
更に、溶融塩が内張耐火レンガ20を浸透した後、該内張耐火レンガ20と外張耐火レンガ21の間に配してある絶縁シート22の損傷、消耗等による絶縁性の低下に伴い炭化けい素系材料製として電気伝導性を備えた外張耐火レンガ21に達したとしても、上下方向に多段に配してある絶縁用耐火レンガ23により上下方向に電流が流通してしまうことを防止でき、このことによっても灰7の溶融処理の効率が低下する虞を防止できる。
【0033】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、スタンプ材19としては、良好な熱伝導性を有し且つ灰7の溶融処理時における耐火レンガ層18の膨張を吸収でき、更に、灰溶融処理時に炉壁8aに作用し得る温度に対する耐熱性を備えていれば、炭化けい素系以外の素材のものを用いてもよいこと、外張耐火レンガ21としては、良好な熱伝導性を有し且つ灰溶融処理時に炉壁8aに作用し得る温度に耐えることができれば、炭化けい素系以外の素材のものを用いることも可能なこと、絶縁シート22としては、雲母製のものを示したが、電気絶縁性を有し且つ灰溶融処理時に炉壁8aに作用し得る温度に対する耐熱性を備えていれば、他の素材のものを採用してもよいこと、上記炉壁8a構造は、炉蓋2の中央部を貫通させて下端を炉体上部に配置した主電極4と、炉底電極5との間にてプラズマアークを発生させて該アークを熱源として灰7を溶融させる形式のプラズマ式灰溶融炉にも適用できること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の灰溶融炉によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1) 鉄皮と該鉄皮の内側に設ける耐火レンガ層との層間に、熱伝導率の高いスタンプ材を介装した構造の炉壁を備えてなる構成としてあるので、炉体内における灰の溶融処理時における耐火レンガの熱膨張をスタンプ材により吸収させることができて鉄皮に上記膨張力による多大な荷重がかかる虞を防止できると同時に、鉄皮の外面を水冷することによる水冷効果を上記スタンプ材を介し耐火レンガへ効率よく伝達できるため、耐火レンガの冷却効率を高めることができて、該耐火レンガの延命化を図ることができる。
(2) スタンプ材を炭化けい素系材料製とした構成とすることにより、熱伝導率が高く且つ灰の溶融処理時に作用する高温条件に耐え得るスタンプ材を容易に調製できる。
(3) 耐火レンガ層を内外方向に2層とすると共に、外側レンガ層を、熱伝導率の高い外張耐火レンガにて形成した構成とすることにより、耐火レンガ層の炉内側の冷却効率を更に向上させることができる。
(4) 外張耐火レンガの素材を炭化けい素系材料とした構成とすることにより、熱伝導率が高く且つ灰の溶融処理時に作用する高温条件に耐え得る外張耐火レンガを容易に調製できる。
(5) 外張耐火レンガにて形成してなる外側レンガ層における上下方向所要間隔位置に、周方向の全周に亘り絶縁材製耐火レンガを介在させた構成とすることにより、外側レンガ層を上下方向に絶縁構造とすることができるため、万一、炉内側から耐火レンガ層に浸透する溶融塩が上記外側レンガ層に達したとしても、該外側レンガ層を上下方向に電流が通過して炉底電極へ流れる虞を未然に防止できる。
(6) 炉壁における内外方向の層間に、絶縁シートを介在させるようにした構成とすることにより、炉内側から耐火レンガ層に浸透する溶融塩が鉄皮に達する虞を防止でき、鉄皮に電流が流れることに伴う灰の溶融処理効率の悪化や、溶融塩による鉄皮の電食を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の灰溶融炉の実施の一形態として、要部となる炉壁部分を示す切断側面図である。
【図2】灰溶融炉の一例の概略を示す切断側面図である。
【符号の説明】
8a 炉壁
12 鉄皮
18 耐火レンガ層
19 スタンプ材
20 内張耐火レンガ
21 外張耐火レンガ
22 絶縁シート
23 絶縁用耐火レンガ(絶縁材製耐火レンガ)
【発明の属する技術分野】
本発明は一般廃棄物や産業廃棄物の焼却灰や飛灰を炉内に投入して直流電流抵抗によるジュール熱やプラズマアークにより加熱溶融させるようにしてある電気式又はプラズマ式の灰溶融炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物の焼却灰や飛灰等に含まれるダイオキシン類の分解という観点、及び、上記焼却灰や飛灰等の減容化、資源化を図るという観点から、灰溶融炉による灰溶融処理が広く普及している。
【0003】
この種の灰溶融炉のうち、たとえば、電気式(直流電気抵抗式)のものは、図2にその一例の概略を示す如く、炉蓋2の中心部をスライド自在に貫通させて下端部を炉体1内の溶融スラグ3内に挿入するようにした主電極4と、炉底に設けた炉底電極5との間に、溶融スラグ3を通して電流を流すことにより、頂部の灰投入口6より炉体1内に投入された焼却灰や飛灰等の灰7を、順次ジュール熱により1400℃〜1450℃程度まで加熱して溶融させ、流動状態となる溶融スラグ3を炉壁8の所要高さ位置に設けた図示しない出滓口より流出させて回収するようにしてあり、炉体1内で発生した溶融排ガス9は炉体1上部の排ガス管10を通して外部へ取り出すようにしてある。
【0004】
又、上記灰7に混入していた金属類は、灰7の溶融処理と同時に溶融させると共に、溶融スラグ3と比重分離させて炉底に溶融メタル11の層を形成させるようにしてあり、この溶融メタル11は、灰7の連続溶融処理に伴って増加することから、炉体1の下部側壁部に設けた図示しない出銑口を、所要の頻度で開口させることにより、炉体1外へ取り出すことができるようにしてある。
【0005】
上記灰溶融炉の炉壁8は、炉体1内における灰7の溶融処理時に作用する1400℃以上の高温に耐えることができるようにするために、全体を耐火レンガ13で構成すると共に、その外周側を鉄皮12で覆った構成、すなわち、外殻となる鉄皮12の内側に耐火レンガ13の層を内張りして設けた構成としてある。更に、上記耐火レンガ13は、灰溶融処理時に上記のような高温が作用すると熱膨張するようになるが、この耐火レンガ13の層の熱膨張が、直接鉄皮12に対して外周方向への大きな荷重として作用すると、該鉄皮12の破壊につながる虞が生じることから、上記鉄皮12と耐火レンガ13層との層間には、空気層を備えたクッションボード(図示せず)を介装して、灰溶融処理時における上記耐火レンガ13層の外側への熱膨張を、上記クッションボードにて吸収させることができるようにしてある。
【0006】
更に又、上記耐火レンガ13も高温に長時間曝されると次第に溶損するようになる。そのため従来は、灰溶融炉の炉壁8の鉄皮12の外周面に図示しない水冷ジャケットを設けたり、あるいは、図2に示す如く、上記炉壁8の鉄皮12の外周側に、該鉄皮12に向かう多数の散水口14aを備えた環状の散水管14を上下方向多段に設置して、冷却水槽15より給水管16を介し該各散水管14へ導いた冷却水17を、各散水管14の散水口より鉄皮12の外周面へ向けて散水することにより、鉄皮12の水冷を介して耐火レンガ13層の間接冷却を図り、これにより耐火レンガ13の温度を下げて該耐火レンガ13の内側に溶融スラグ3を付着させて保護させることにより耐火レンガ13の延命化を図るようにすることが従来行われてきている(たとえば、特許文献1参照)。
【0007】
なお、上記電気式の灰溶融炉では、主電極4と炉底電極5の間の溶融スラグ3に電流を流して灰7の溶融処理を行わせるものであるため、上記耐火レンガ13としては、電気伝導性のないマグネシア−クロム系材料製のものが広く一般に使用されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−2539号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の灰溶融炉においては、炉壁8を構成する鉄皮12と耐火レンガ13層との層間に介装してあるクッションボードが空気層を備えており、この空気層が断熱性を発揮してしまうため、鉄皮12の水冷効果の影響が耐火レンガ13層まで及び難く、このため耐火レンガ13層の冷却効率をあまり高くすることができず、耐火レンガ13層の内表面が高温となって、耐火レンガ13の溶損を助長するというのが実状である。
【0010】
又、プラスチック等の廃棄物を焼却炉にて燃焼させるときに発生する酸性ガス、たとえば、HClは、通常、上記焼却炉の燃焼排ガス中に塩基性物質を吹き込むことにより塩を形成させ、該塩を集塵装置にて飛灰と一緒に回収するようにしているため、上記灰溶融炉に投入される灰7には塩が含まれており、この塩は、灰7の溶融処理に伴って溶融され、溶融塩として比重差分離されて溶融スラグ3の表面に浮くようになり、その後、該溶融塩は積み重ねられた耐火レンガ13同士の隙間や耐火レンガ13の気孔に徐々に浸透する。この耐火レンガ13同士の隙間や耐火レンガ13の気孔に浸透した溶融塩が、耐火レンガ13層を通過して鉄皮12に達するようになると、耐火レンガ13に浸透した溶融塩を通して鉄皮12に電流が流れ、このため灰7の溶融処理の効率が悪化するという問題が生じ、更に、鉄皮12が上記溶融塩により電食するという問題も生じる。
【0011】
そこで、本発明は、鉄皮の水冷効果を耐火レンガ層に効率よく伝達して冷却効率を高めることにより耐火レンガの延命化を図ることができ、更に、炉体内の溶融塩が耐火レンガ層に浸透して鉄皮に達する虞を低減できる灰溶融炉を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、鉄皮と該鉄皮の内側に設ける耐火レンガ層との層間に、熱伝導率の高いスタンプ材を介装した構造の炉壁を備えてなる構成とする。
【0013】
灰の溶融処理時に炉内側から作用する高温により耐火レンガ層が熱膨張すると、該耐火レンガ層の熱膨張はスタンプ材が変形することにより吸収され、鉄皮に対して大きな荷重として作用することはない。又、鉄皮の外周面側を水冷すると、該鉄皮の冷却効果が、耐火レンガ層へ上記熱伝導率の高いスタンプ材を介して効率よく伝達されるようになるため、該耐火レンガ層の冷却効率が高められ、耐火レンガ層の温度は低下させられる。
【0014】
又、スタンプ材を炭化けい素系材料製とした構成とすることにより、熱伝導率が高く且つ灰の溶融処理時に作用する高温条件に耐え得るスタンプ材を容易に調製できる。
【0015】
更に、耐火レンガ層を内外方向に2層とすると共に、外側レンガ層を、熱伝導率の高い外張耐火レンガにて形成した構成とすることにより、耐火レンガ層の炉内側の冷却効率を更に向上させることができる。
【0016】
更に又、外張耐火レンガの素材を炭化けい素系材料とした構成とすることにより、熱伝導率が高く且つ灰の溶融処理時に作用する高温条件に耐え得る外張耐火レンガを容易に調製できる。
【0017】
更に又、外張耐火レンガにて形成してなる外側レンガ層における上下方向所要間隔位置に、周方向の全周に亘り絶縁材製耐火レンガを介在させた構成とすることにより、外側レンガ層を上下方向に絶縁構造とすることができるため、万一、炉内側から耐火レンガ層に浸透する溶融塩が上記外側レンガ層に達したとしても、該外側レンガ層を上下方向に電流が通過して炉底電極へ流れる虞を未然に防止できる。
【0018】
更に又、炉壁における内外方向の層間に、絶縁シートを介在させるようにした構成とすることにより、炉内側から耐火レンガ層に浸透する溶融塩が鉄皮に達する虞を防止でき、鉄皮に電流が流れることに伴う灰の溶融処理効率の悪化や、溶融塩による鉄皮の電食を未然に防止することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は本発明の灰溶融炉の実施の一形態を示すもので、図2に示したものと同様に、炉蓋2を貫通して下端部を炉体1内の溶融スラグ3に没入させた主電極4と炉底電極5を備えてなる構成とし、更に、炉体1の外殻となる鉄皮12の外側に、図示しない水冷ジャケットや散水管を備えて、上記鉄皮12の外面を水冷できるようにしてある灰溶融炉において、炉体1の炉壁を、外殻としての鉄皮12の内側に耐火レンガ層18を備え、更に、上記鉄皮12と耐火レンガ層18との層間に熱伝導率の高いスタンプ材、たとえば、炭化けい素系材料製のスタンプ材19を介装して形成してなる炉壁8aとする。
【0021】
更に、上記炉壁8aは、上記耐火レンガ層18を、内周側の内張耐火レンガ20の層(内側レンガ層)と、外周側の外張耐火レンガ21の層(外側レンガ層)とからなる内外2層とすると共に、上記外張耐火レンガ21を、熱伝導率の高い炭化けい素系材料製の耐火レンガとしてなる構成とする。なお、上記内張耐火レンガ20は、従来使用されている耐火レンガ13と同様のマグネシア−クロム系レンガとしてある。
【0022】
更に又、上記炉壁8aにおける鉄皮12とスタンプ材19、該スタンプ材19と上記耐火レンガ層18の外張耐火レンガ21層、該外張耐火レンガ21層と上記内張耐火レンガ20層の各層間に、たとえば、雲母により1〜2mm厚に製造してなる絶縁シート22をそれぞれ介在させる。
【0023】
更に又、上記外張耐火レンガ21の層を形成する上下方向多段に積み重ねられた耐火レンガ21の上下方向所要間隔位置に、たとえば、内張耐火レンガ20と同様のマグネシア−クロム系の絶縁性を備えた耐火レンガ23を、周方向の全周に亘り挟み込んだ構成とする。
【0024】
上記炉壁8aを備えてなる本発明の灰溶融炉に灰7を投入してその溶融処理を行うと、灰7の溶融処理時に作用する熱により耐火レンガ層18の各耐火レンガ20,21が膨張させられるが、この耐火レンガ層18の各耐火レンガ20,21の膨張は、上記耐火レンガ層18の外周側に配されたスタンプ材19により吸収されるため、上記膨張する耐火レンガ層18より鉄皮12に外向きの大きな荷重が作用することはない。
【0025】
この際、鉄皮12の外面を水冷すると、該鉄皮12は低温とされ、この鉄皮12の水冷効果が、熱伝導率の高い炭化けい素系材料製のスタンプ材19を介して耐火レンガ層18へ効率よく伝達される。
【0026】
更に、上記耐火レンガ層18は、内外2層からなる構成とし、且つ外層側となる外張耐火レンガ21を、熱伝導率の高い炭化けい素系材料製としてあるため、上記スタンプ材19を介して耐火レンガ層18へ伝達される鉄皮12の水冷効果は、外周側の外張耐火レンガ21の層を介して内周側の内張耐火レンガ20の層へ伝達され、これにより、内張耐火レンガ20の層は更に効率よく冷却される。この内張耐火レンガ20の層が冷却されることに伴って、該内張耐火レンガ20に接する炉内の溶融スラグ3が冷却されるため、上記内張耐火レンガ20の炉内側面には、溶融スラグ3が固化してなる固化物の層が形成されるようになる。
【0027】
又、炉体1内における灰7の溶融処理時には、灰7に混入していた塩が溶融されて溶融塩が形成され、この溶融塩が、炉内側から内張側耐火レンガ20の層へ徐々に浸透するが、上記内張耐火レンガ20の層と外張耐火レンガ21の層の層間には、絶縁シート22が設けてあるため、上記溶融塩が内張耐火レンガ20の層から外張耐火レンガ21の層へ移行することが阻害される。
【0028】
上記内張耐火レンガ20の層と外張耐火レンガ21の層の層間に介在させた絶縁シート22が、灰溶融炉の長時間の運用により万一、絶縁性が低下して上記外張耐火レンガ21の層に対して溶融塩の浸透が始まるようになったとしても、上記外張耐火レンガ21の層よりも外周側となる該外張耐火レンガ21層とスタンプ材19との層間、及び、スタンプ材19と鉄皮12との層間の2層にそれぞれ絶縁シート22を介在させて設けてあるため、これら各層の絶縁シート22により溶融塩が鉄皮12に達することは未然に防止される。
【0029】
上記において、外張耐火レンガ21は電気伝導性のある炭化けい素系材料にて製造されているが、該外張耐火レンガ21の層には、上下方向所要間隔位置に、絶縁用耐火レンガ23が全周に亘り挟持させてあるため、上述したように内張耐火レンガ20との間に挟みこまれた絶縁シート22を通過して、たとえ溶融塩が外張耐火レンガ21の層に達したとしても、該外張耐火レンガ21の層にて炉底電極5の方へ上から下へと流れる電流は、上記絶縁用耐火レンガ23にて阻止される。
【0030】
このように、上記本発明の灰溶融炉によれば、灰溶融処理時における耐火レンガ20,21の層18の熱膨張をスタンプ材19により吸収させることができると共に、鉄皮12に対する水冷効果を、上記スタンプ材19を介し効率よく且つ確実に上記耐火レンガ層18に伝えることができる。更に、該耐火レンガ層18を内外2層とし且つ外層を熱伝導率のよい炭化けい素系材料製の外張耐火レンガ21としてあるため、溶融スラグ3と接触する内張耐火レンガ20を更に効率よく冷却することができる。これにより、上記内張耐火レンガ20の炉内側面に溶融スラグ3を冷却してなる固化物の層を形成することが可能になるため、上記耐火レンガ20,21の溶損を抑制して該耐火レンガ20,21の延命化を図ることができる。
【0031】
又、上記内張耐火レンガ20、外張耐火レンガ21、スタンプ材19、鉄皮12の各層間に絶縁シート22をそれぞれ介装して、絶縁シート22を多層に設けてあるため、灰溶融時に炉内にて溶融される塩が鉄皮12に達することを防止でき、このため該鉄皮12を電流が流れてしまうことによる灰7の溶融効率の低下や、鉄皮12の電食が発生する虞を未然に防止できる。
【0032】
更に、溶融塩が内張耐火レンガ20を浸透した後、該内張耐火レンガ20と外張耐火レンガ21の間に配してある絶縁シート22の損傷、消耗等による絶縁性の低下に伴い炭化けい素系材料製として電気伝導性を備えた外張耐火レンガ21に達したとしても、上下方向に多段に配してある絶縁用耐火レンガ23により上下方向に電流が流通してしまうことを防止でき、このことによっても灰7の溶融処理の効率が低下する虞を防止できる。
【0033】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、スタンプ材19としては、良好な熱伝導性を有し且つ灰7の溶融処理時における耐火レンガ層18の膨張を吸収でき、更に、灰溶融処理時に炉壁8aに作用し得る温度に対する耐熱性を備えていれば、炭化けい素系以外の素材のものを用いてもよいこと、外張耐火レンガ21としては、良好な熱伝導性を有し且つ灰溶融処理時に炉壁8aに作用し得る温度に耐えることができれば、炭化けい素系以外の素材のものを用いることも可能なこと、絶縁シート22としては、雲母製のものを示したが、電気絶縁性を有し且つ灰溶融処理時に炉壁8aに作用し得る温度に対する耐熱性を備えていれば、他の素材のものを採用してもよいこと、上記炉壁8a構造は、炉蓋2の中央部を貫通させて下端を炉体上部に配置した主電極4と、炉底電極5との間にてプラズマアークを発生させて該アークを熱源として灰7を溶融させる形式のプラズマ式灰溶融炉にも適用できること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の灰溶融炉によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1) 鉄皮と該鉄皮の内側に設ける耐火レンガ層との層間に、熱伝導率の高いスタンプ材を介装した構造の炉壁を備えてなる構成としてあるので、炉体内における灰の溶融処理時における耐火レンガの熱膨張をスタンプ材により吸収させることができて鉄皮に上記膨張力による多大な荷重がかかる虞を防止できると同時に、鉄皮の外面を水冷することによる水冷効果を上記スタンプ材を介し耐火レンガへ効率よく伝達できるため、耐火レンガの冷却効率を高めることができて、該耐火レンガの延命化を図ることができる。
(2) スタンプ材を炭化けい素系材料製とした構成とすることにより、熱伝導率が高く且つ灰の溶融処理時に作用する高温条件に耐え得るスタンプ材を容易に調製できる。
(3) 耐火レンガ層を内外方向に2層とすると共に、外側レンガ層を、熱伝導率の高い外張耐火レンガにて形成した構成とすることにより、耐火レンガ層の炉内側の冷却効率を更に向上させることができる。
(4) 外張耐火レンガの素材を炭化けい素系材料とした構成とすることにより、熱伝導率が高く且つ灰の溶融処理時に作用する高温条件に耐え得る外張耐火レンガを容易に調製できる。
(5) 外張耐火レンガにて形成してなる外側レンガ層における上下方向所要間隔位置に、周方向の全周に亘り絶縁材製耐火レンガを介在させた構成とすることにより、外側レンガ層を上下方向に絶縁構造とすることができるため、万一、炉内側から耐火レンガ層に浸透する溶融塩が上記外側レンガ層に達したとしても、該外側レンガ層を上下方向に電流が通過して炉底電極へ流れる虞を未然に防止できる。
(6) 炉壁における内外方向の層間に、絶縁シートを介在させるようにした構成とすることにより、炉内側から耐火レンガ層に浸透する溶融塩が鉄皮に達する虞を防止でき、鉄皮に電流が流れることに伴う灰の溶融処理効率の悪化や、溶融塩による鉄皮の電食を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の灰溶融炉の実施の一形態として、要部となる炉壁部分を示す切断側面図である。
【図2】灰溶融炉の一例の概略を示す切断側面図である。
【符号の説明】
8a 炉壁
12 鉄皮
18 耐火レンガ層
19 スタンプ材
20 内張耐火レンガ
21 外張耐火レンガ
22 絶縁シート
23 絶縁用耐火レンガ(絶縁材製耐火レンガ)
Claims (6)
- 鉄皮と該鉄皮の内側に設ける耐火レンガ層との層間に、熱伝導率の高いスタンプ材を介装した構造の炉壁を備えてなる構成を有することを特徴とする灰溶融炉。
- スタンプ材を炭化けい素系材料製とした請求項1記載の灰溶融炉。
- 耐火レンガ層を内外方向に2層とすると共に、外側レンガ層を、熱伝導率の高い外張耐火レンガにて形成した請求項1又は2記載の灰溶融炉。
- 外張耐火レンガの素材を炭化けい素系材料とした請求項3記載の灰溶融炉。
- 外張耐火レンガにて形成してなる外側レンガ層における上下方向所要間隔位置に、周方向の全周に亘り絶縁材製耐火レンガを介在させた請求項3又は4記載の灰溶融炉。
- 炉壁における内外方向の層間に、絶縁シートを介在させるようにした請求項1、2、3、4又は5記載の灰溶融炉。
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CN110056882A (zh) * | 2019-04-14 | 2019-07-26 | 山西熔融环保科技有限公司 | 一种基于蓄热式燃烧的熔融盐垃圾处理系统及方法 |
FR3100727A1 (fr) * | 2019-09-13 | 2021-03-19 | Hervé BUREAU | Garnissage réfractaire pour revêtement interne d’une carcasse métallique externe d’un four de fonderie |
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2002
- 2002-10-31 JP JP2002318243A patent/JP2004150755A/ja active Pending
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