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JP2004039751A - 光起電力素子 - Google Patents

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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

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Abstract

【課題】切断面すなわち側面での再結合損失を低減することでエネルギー変換効率の向上を図った光起電力素子を提供する。
【解決手段】半導体基板10と、その半導体基板の裏面に形成され半導体基板のキャリア濃度よりも高いキャリア濃度を有するp型半導体層14及びn型半導体層12と、そのp型半導体層14及びn型半導体層12にそれぞれ接続された正電極24及び負電極22と、を備えた裏面電極型の光起電力素子において、半導体基板10の側面にショットキー障壁となる金属膜52及び54を形成し、電子又は正孔が側面すなわち切断面へ移動するのを防止する。また、裏面電極型に代えて表裏面電極型としてもよい。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池等の、光エネルギーを電力に変換する光起電力(photovoltaic)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる光起電力素子のエネルギー変換効率を高めるためには、表面側や裏面側における界面の欠陥を減少させることにより、光吸収によって生成されたキャリアが界面での再結合により消滅するのを防止することが肝要である。
【0003】
そのため、従来、かかる光起電力素子の表面及び裏面に欠陥を低減するための表面保護膜(パッシベーション膜)を形成することが知られている(例えば、特開平2001−284616号公報参照)。パッシベーション(passivation)は、水素や酸化膜等を用いて未結合手(ダングリングボンド(dangling bond))を不活性化させる、すなわち化学的に安定にする技術である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光起電力素子をダイサーやへき開で素子サイズに切り出したときに形成される切断面(光起電力素子の側面)は、図1に示されるように、結晶内の元素の結合が分断された状態にある。この未結合手は、活性であるため、外部から欠陥となる不純物元素を取り込み、また、キャリアをトラップする欠陥を形成することとなる。なお、図1は、Si基板による光起電力素子の場合を例示する。
【0005】
かかる切断面については、従来、特に表面処理が施されていない。そのため、切断面近傍を流れるキャリアの再結合が促進され、結果として光起電力素子による発電量が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、切断面(側面)での再結合損失を低減することでエネルギー変換効率の向上を図った光起電力素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第一の面によれば、半導体基板と、前記半導体基板の裏面に形成され、前記半導体基板のキャリア濃度よりも高いキャリア濃度を有するp型半導体層及びn型半導体層と、前記p型半導体層及びn型半導体層にそれぞれ接続された正電極及び負電極と、を備えた裏面電極型の光起電力素子において、前記半導体基板の側面にショットキー障壁となる金属膜が形成されていることを特徴とする光起電力素子が提供される。
【0008】
また、本発明の第二の面によれば、半導体基板と、前記半導体基板の表面及び裏面のそれぞれ一方及び他方の面に形成され、前記半導体基板のキャリア濃度よりも高いキャリア濃度を有するp型半導体層及びn型半導体層と、前記p型半導体層及びn型半導体層にそれぞれ接続された正電極及び負電極と、を備えた表裏面電極型の光起電力素子において、前記半導体基板の側面にショットキー障壁となる金属膜が形成されていることを特徴とする光起電力素子が提供される。
【0009】
上述の如く構成された、本発明の第一及び第二の面による光起電力素子においては、ショットキー障壁により電子又は正孔のどちらか一方が側面すなわち切断面へ移動するのが防止される。そのため、電子と正孔とが対になることで発生する再結合が低減され、光起電力素子のエネルギー変換効率が向上する。
【0010】
また、光が表面に対し斜め方向に入射したとき、光起電力素子の内部を透過して側面まで到達した光が金属膜により反射される。すなわち、光閉じ込め効果がある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図2は、本発明の第一実施形態に係る光起電力素子の断面図である。p型(又はn型)半導体基板10の裏面には、拡散法を用いて、n型半導体層12とp型半導体層14とがそれぞれ交互に形成されている。キャリアを収集するために、これらのn型半導体層12及びp型半導体層14のキャリア濃度は、p型(又はn型)半導体基板10のキャリア濃度よりも高い。
【0013】
また、半導体基板10の表面には、基板10のキャリア濃度よりも高いキャリア濃度を有するn型(又はp型)半導体層16が形成されている。この半導体層16により、表面近傍で発生したキャリアが欠陥の多い表面側に移動する割合が大きく減少する。
【0014】
また、半導体基板10の裏面側には、n型半導体層12に接続される負(−)電極22とp型半導体層14に接続される正(+)電極24とが設けられ、裏面電極型構造を実現している。
【0015】
また、半導体基板10の表面側には、界面の欠陥を減少させて界面でのキャリアの消滅を減少させるべく表面保護膜(パッシベーション膜)32が設けられている。同様に、半導体基板10の裏面側においては、半導体層12及び14と電極22及び24とがそれぞれ接続する部分以外の部分に表面保護膜(パッシベーション膜)34が設けられている。さらに、半導体基板10の表面側においては、表面保護膜32の上に反射防止膜40が設けられている。
【0016】
図2の光起電力素子では、表面側から入射した光が半導体基板10において吸収され、電子と正孔とが生成される。生成された電子は、n型半導体層12の領域へと拡散していき負(−)電極22に集められる一方、生成された正孔は、p型半導体層14へと拡散していき正(+)電極24に集められる。かくして、光の吸収によって生成された電子と正孔とが分離され、光起電力が生ずることとなる。
【0017】
ところで、前述のように、素子サイズに切り出したときの切断面となる側面については、従来、特に表面処理が施されていなかったため、切断面近傍を流れるキャリアの再結合が促進され、結果として発電量が低下するという問題があった。
【0018】
そこで、図2の光起電力素子では、その側面にショットキー障壁となる金属膜52及び54が形成されている。すなわち、金属膜52及び54は、ショットキー障壁となるように、半導体層の仕事関数をφs、金属膜の仕事関数をφmとすると、n型層ではφs<φm、p型層ではφs>φmの条件を満たす金属膜である。
【0019】
このようにその側面にショットキー障壁となる金属膜52及び54を有する図2の光起電力素子では、ショットキー障壁により電子又は正孔のどちらか一方が側面すなわち切断面へ移動するのが防止される。そのため、電子と正孔とが対になることで発生する再結合が低減され、光起電力素子のエネルギー変換効率が向上する。また、光が表面に対し斜め方向に入射したとき、光起電力素子の内部を透過し、側面まで到達した光が金属膜52及び54により反射される。すなわち、光閉じ込め効果がある。
【0020】
ここで、図2に示される光起電力素子の具体的構造について説明すると、例えば、半導体基板10は、キャリア濃度1×1016cm−3、厚さ150μmを有するp型Si基板である。
【0021】
また、n型半導体層12は、キャリア濃度1×1019cm−3、拡散深さ1μmを有するn型Si層である。同様に、p型半導体層14は、キャリア濃度1×1019cm−3、拡散深さ1μmを有するp型Si層である。n型半導体層16は、キャリア濃度1×1018cm−3、拡散深さ0.5μmを有するn型Si層である。
【0022】
また、負(−)電極22は、膜厚2μmを有するAl電極である。同様に、正(+)電極24は、膜厚2μmを有するAl電極である。
【0023】
また、表面保護膜(パッシベーション膜)32は、膜厚が5nmのSiNxであり、表面保護膜34は、膜厚が0.1μmのSiNxである。反射防止膜40は、それぞれ膜厚110nm及び50nmを有するMgF/ZnSの2層膜である。また、ショットキー障壁を形成する金属膜52及び54は、膜厚1μmのCuである。
【0024】
なお、半導体基板10としては、Si基板に代えて、Ge、SiGe、SiC、CSiGe等の基板を用いることができる。
【0025】
図3は、本発明の第二実施形態に係る光起電力素子の断面図である。図3においては、図2における要素と同一の要素に同一の符号が付されることにより、その説明が省略される。
【0026】
図2の構造に対する図3の構造の相違点について説明すると、図2の光起電力素子は、裏面側にのみ電極を有する裏面電極型であるのに対し、図3の光起電力素子は、n型半導体層12及び負(−)電極22を表面側に有することで表裏面電極型を構成している。
【0027】
そのため、側面に設けられる、ショットキー障壁となる金属膜52及び54は、pn接合を短絡することがないように形成されている。なお、図3に示される光起電力素子の作用効果は、前述した図2に示される光起電力素子の作用効果と同一である。
【0028】
ここで、図3に示される光起電力素子の具体的構造について説明すると、例えば、半導体基板10は、キャリア濃度1×1017cm−3、厚さ300μmを有するp型Si基板である。
【0029】
また、n型半導体層12は、キャリア濃度3×1018cm−3、拡散深さ0.2μmを有するn型Si層である。同様に、p型半導体層14は、キャリア濃度1×1019cm−3、拡散深さ1μmを有するp型Si層である。
【0030】
また、負(−)電極22は、膜厚2μmを有するAl電極である。同様に、正(+)電極24は、膜厚2μmを有するAl電極である。
【0031】
また、表面保護膜(パッシベーション膜)32は、膜厚が5nmのSiOであり、表面保護膜34は、膜厚が0.1μmのSiOである。反射防止膜40は、それぞれ膜厚110nm及び50nmを有するMgF/ZnSの2層膜である。また、ショットキー障壁を形成する金属膜52及び54は、膜厚1μmのCuである。
【0032】
なお、半導体基板10としては、Si基板に代えて、Ge、SiGe、SiC、CSiGe、GaAs、GaP、InP等の基板を用いることができる。図3では、素子上部からn−p−p型層としているが、p−n−n型層の順であってもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光起電力素子の側面すなわち切断面にショットキー障壁となる金属膜が形成されることで、電子又は正孔のどちらか一方が側面すなわち切断面へ移動するのが防止され、その結果、電子と正孔との再結合が低減されて光起電力素子のエネルギー変換効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】Si基板による光起電力素子の切断面の様子を示す図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る光起電力素子の断面図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係る光起電力素子の断面図である。
【符号の説明】
10…p型(又はn型)半導体基板
12…n型半導体層
14…p型半導体層
16…n型(又はp型)半導体層
22…負(−)電極
24…正(+)電極
32…表面保護膜(パッシベーション膜)
34…表面保護膜(パッシベーション膜)
40…反射防止膜
52…金属膜
54…金属膜

Claims (2)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板の裏面に形成され、前記半導体基板のキャリア濃度よりも高いキャリア濃度を有するp型半導体層及びn型半導体層と、
    前記p型半導体層及びn型半導体層にそれぞれ接続された正電極及び負電極と、
    を備えた裏面電極型の光起電力素子において、
    前記半導体基板の側面にショットキー障壁となる金属膜が形成されていることを特徴とする光起電力素子。
  2. 半導体基板と、
    前記半導体基板の表面及び裏面のそれぞれ一方及び他方の面に形成され、前記半導体基板のキャリア濃度よりも高いキャリア濃度を有するp型半導体層及びn型半導体層と、
    前記p型半導体層及びn型半導体層にそれぞれ接続された正電極及び負電極と、
    を備えた表裏面電極型の光起電力素子において、
    前記半導体基板の側面にショットキー障壁となる金属膜が形成されていることを特徴とする光起電力素子。
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