JP2004021043A - 現像剤担持体、現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】現像スリーブ650表面移動方向と直交する幅方向に延在し表面から外側に向けて開口したV字形状断面のV溝651が、表面移動方向の複数箇所に形成され、各V溝651の内壁面のうち表面移動方向上流側に位置する上流側斜面651Aと、V溝651の頂部651Cを通り且つ表面移動方向に垂直な仮想平面650Pとの間に形成される傾斜角度αが45°以上且つ60°以下である。この現像スリーブ650を用いて現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを構成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、FAXなどの画像形成装置並びに該画像形成装置に用いる現像剤担持体、現像装置及びプロセスカートリッジに関するものである。詳しくは、表面の移動方向と直交する幅方向に延在する断面がV字状の溝が、該表面の移動方向の複数箇所に形成された現像剤担持体並びに該現像剤担持体を備えた現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の現像剤担持体として、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を安定して搬送するために複数の凹部が分布するように形成された表面を有する現像スリーブが知られている。例えば上記凹部として、軸方向に沿って延びるV字状の断面を有する溝を、外周面の周方向の複数箇所に形成した現像スリーブが知られている(特開2000−321864号公報参照)。この溝が形成された現像スリーブを用いると、外周面に現像剤を安定して担持することができる。そして、外周面に担持されて現像剤規制部材による規制位置を通過する現像剤通過量を安定化させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、本発明者が上記従来のV字状の溝が形成された現像スリーブを長期にわたって使用して実験などを行なったところ、各溝の内壁面にトナーが固着する場合があることがわかった。特に、この溝内でのトナー固着は、低融点トナーを用いた場合に顕著に発生する。そして、この溝内のトナー固着を詳細に観察したところ、各溝の内壁面のうち現像スリーブ表面移動方向の上流側に位置する上流側斜面にトナーが固着していることがわかった。この観察結果により、次のような固着メカニズムが考えられる。トナーと磁性キャリアとを含む現像剤は現像スリーブの表面に引きつけられ、各溝の内部に現像剤が保持される。このように溝の内部に現像剤が保持された状態で現像スリーブが回転すると、溝内の現像剤に含まれるトナーが溝の上流側斜面に強く押しつけられて密着する。このようにトナーが溝の上流側斜面に強く押しつけられて密着する状態が継続することにより、トナーが溝内に次第に固着していくと考えられる。
このような溝内のトナー固着がひどくなると、溝に現像剤詰まりが発生し、溝本来の機能を発揮しなくなり、安定した現像剤搬送性を確保できなくなってしまう。
【0004】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものである。その目的は、現像剤搬送量の低下を抑制しつつ、低融点トナーを用いた場合でもV字状の溝内でのトナー固着に起因した現像剤詰まりを防止し、長期にわたって安定した現像剤搬送を行なうことができる現像剤担持体、現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーを含む現像剤を表面に担持して搬送する現像剤担持体であって、表面の移動方向と直交する幅方向に延在し該表面から外側に向けて開口したV字形状断面の溝が、該表面の移動方向の複数箇所に形成され、各溝の内壁面のうち該表面の移動方向上流側に位置する上流側斜面と、該溝の頂部を通り該表面の移動方向に垂直な仮想平面との間に形成される上流側傾斜角度が、45°以上且つ60°以下であることを特徴とするものである。
請求項1の現像剤担持体は、表面の移動方向と直交する幅方向に延在し表面から外側に向けて開口したV字形状断面の溝が、表面の移動方向の複数箇所に形成されている。この現像剤担持体の表面が移動するときに、溝内の現像剤は、溝の内壁面のうち該表面の移動方向上流側に位置する上流側斜面に対して押し付けられるような力を受ける。そして、この押し付け力は、溝の上流側斜面と、表面の移動方向に垂直な仮想平面との間に形成される傾斜角度によって変化する。
そこで、本発明者は上記溝の上流側斜面の傾斜角度を変化させて溝の内壁面へのトナー固着及び現像剤搬送性(現像剤の搬送量)を調べ、上記傾斜角度の好適範囲を見いだした。すなわち、上記傾斜角度を45°以上にすることにより、融点が100°C以下の低融点トナーを用いた場合でも、溝の内壁面へのトナー固着を回避し、溝内の現像剤詰まりを防止することができることがわかった。一方、上記傾斜角度を大きく設定しすぎると、溝によって現像剤を保持する機能が低下してしまうが、上記上流側斜面の傾斜角度を60°以下にすることにより、現像剤の搬送量の低下を抑制できることがわかった。
また、上記傾斜角度を45°以上且つ60°以下にすることで溝内の現像剤詰まりを防止しつつ現像剤の搬送量の低下を抑制することができるという効果は、他のパラメータの影響をほとんど受けずに得られた。例えば、上記溝の斜面の表面粗さ、現像剤担持体表面と現像剤規制部材との間隙の大きさ、現像剤規制部材に対向している部分での磁力、溝の上流側斜面と下流側斜面とがなす全体の開口角度等の影響を受けずに上記効果が得られた。具体的には、上記溝の斜面の10点平均表面粗さRzが5〜40μm、現像剤担持体表面と現像剤規制部材との間隙の大きさが0.3〜0.85mm、及び現像剤規制部材に対向している部分での現像剤担持体表面上の法線方向磁束密度が40〜70mT、上記溝全体の開口角度が60°〜120°の範囲で、上記効果を確認することができた。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の現像剤担持体において、各溝の内壁面の少なくとも上記上流側斜面の表面粗さが、10点平均表面粗さRzで20μm以上且つ40μm以下であることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1の現像剤担持体において、各溝の内壁面の少なくとも上記上流側斜面が、セラミックコートされていることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1の現像剤担持体において、各溝の内壁面の少なくとも上記上流側斜面が、ニッケルメッキ処理されていることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の現像剤担持体において、上記溝のピッチPが0.5mm以下であり、各溝の開口角度が60°以上且つ120°以下であり、各溝の深さが0.05mm以上且つ0.15mm以下であることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、トナーを含む現像剤を表面に担持して該表面が移動することにより像担持体に対向している現像領域に該現像剤を搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体の内部の配置され該現像像剤担持体表面に該現像剤を担持するための磁界を形成する磁界発生手段と、該現像剤担持体表面に対向するように配置され該現像剤担持体表面に担持されて該現像領域に搬送される現像剤の量を規制する現像剤規制部材とを備えた現像装置において、該現像剤担持体として、請求項1、2、3、4又は5の現像剤担持体を備えたことを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項6の現像装置において、上記磁性キャリアが、磁性体の芯材に対して樹脂コート膜を有するものであり、該樹脂コート膜が、アクリル等の熱可塑性樹脂とメラニン樹脂とを架橋させた樹脂成分に帯電調整剤を含有させたものであることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、像担持体と、該像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体上の潜像を現像する現像装置と、該像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、該現像装置が、請求項6又は7の現像装置であることを特徴とするものである。
請求項9の発明は、複数の像担持体と、各像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体上の潜像を互いに異なる色のトナーを用いて現像する複数の現像装置と、各像担持体上のトナー像を転写材に重ね合わせるように転写する転写手段とを備え、該転写材上にカラー画像を形成する画像形成装置において、該現像装置が、請求項6又は7の現像装置であることを特徴とするものである。
請求項10の発明は、像担持体と該像担持体上の潜像を現像する現像装置とを備え、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、該現像装置が、請求項6又は7の現像装置であることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、カラー画像を形成する画像形成装置としてのタンデム型カラー電子写真複写機(以下「複写機」という)に適用した実施形態について説明する。タンデム型の画像形成装置とは、複数の像担持体としての感光体が並べて備えられており、それぞれ個別に現像装置を備えている。そして、これらの感光体上にそれぞれ単色トナー画像を形成し、それらの単色トナー画像を転写して順次重ね合わせ記録材上に合成カラー画像を記録するものである。このタンデム型の画像形成装置は、1つの感光体を用いて複数回画像形成を繰り返して感光体上に合成フルカラー画像を形成する、1ドラム型の画像形成装置に比べて、プリントスピードの大幅な時間短縮が可能である。しかし、このようなタンデム型画像形成装置は、複数の画像形成部を有するため、装置が大型化してしまう。
【0008】
また、タンデム型の画像形成装置には、直接転写方式を採用するものと、間接転写方式を採用するものとがある。直接転写方式は、図23に示すように、各感光体1上の画像を転写装置2により、シート搬送ベルト3で搬送するシートsに順次転写するものである。一方、間接転写方式は、図24に示すように、各感光体1上の画像を1次転写装置2によりいったん中間転写ベルト4に順次転写して後、その中間転写ベルト4上の画像を2次転写装置5によりシートsに一括転写するものである。直接転写方式は、複数の感光体1を並べたタンデム型の画像形成装置Tの上流側に給紙装置6を、下流側に定着装置7を配置しなければならず、シート搬送方向にさらに大型化する欠点がある。また、できるだけ大型化しないように定着装置7をタンデム画像形成部Tに接近して配置すると、シートsがたわむ充分な余裕がない。このため、シートsの先端が定着装置7に進入するときの衝撃や定着装置7を通過するときのシート搬送速度差等で後端部に不良画像を生じる虞がある。一方、間接転写方式のものは、2次転写位置を比較的自由に設置することができる。そこで、図24に示すように、2次転写位置を感光体1と対向する1次転写位置から離れたた位置とし、給紙装置6および定着装置7を、タンデム画像形成部Tと重ねたレイアウトをとることができる。このように、タンデム画像形成部Tの上流側及び下流側(図24中では水平方向)に対して小型化できるという利点がある。また、シートsがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができるため、定着装置7を通過する際、画像に悪影響を及ぼす虞がない。このため、タンデム型の画像形成装置で間接転写方式のものが特に注目されてきている。
【0009】
以下、間接転写方式を採用したタンデム型画像形成装置である複写機について説明する。まず、本実施形態に係る複写機の全体的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る複写機の概略構成図である。この複写機は、複写装置本体100、この複写機本体を載せる給紙テーブル200、複写装置本体上に取り付けるスキャナ300、さらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)400から主に構成されている。
【0010】
複写装置本体100には、中央に、中間転写体として無端の中間転写ベルト10を設ける。図3は、中間転写ベルト10の構成図である。中間転写ベルト10は、図3に示すように、内側からベース層11、弾性層12、コート層13からなる。ベース層11は、例えばフッ素樹脂や帆布など伸びにくい材料で構成されている。弾性層12は、例えばフッ素系ゴムやアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムなどで構成されている。この弾性層12の表面は、例えばフッ素系樹脂をコーティングして平滑性のよいコート層13で覆ってある。
【0011】
この中間転写ベルト10は、支持部材としての第1の支持ローラ14,第2の支持ローラ15,第3の支持ローラ16に掛け回され、図中時計回り方向に回転搬送可能になっている。第2の支持ローラ15近傍には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。また、第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15との間に張り渡した中間転写ベルト10上には、その搬送方向に沿って、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアンの4つの画像形成手段18を横に並べられている。これら4つの画像形成手段18をによってタンデム画像形成部20を構成する。そのタンデム画像形成部20の上方には、図1に示すように、露光装置21を設ける。
【0012】
一方、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成部20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写ベルト10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写ベルト10上の画像をシートに転写する。
また、2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25が設けられている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
【0013】
上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
なお、このような2次転写装置22および定着装置25の下側に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
【0014】
さて、いまこの複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
【0015】
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動させる。コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0016】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14,15,16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0017】
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出す。そして、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写装置本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
【0018】
そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
【0019】
または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
【0020】
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。
ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0021】
次に、タンデム画像形成部20の個々の画像形成手段18について、詳しく説明する。
図4は、画像形成手段18の概略構成図である。画像形成手段18は、ドラム状の感光体40のまわりに、帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64などを備えている。感光体40は、図示例では、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材を塗布し、感光層を形成したドラム状であるが、無端ベルト状であってもよい。
図示省略するが、少なくとも感光体40を設け、画像形成手段18を構成する部分の全部または一部でプロセスカートリッジを形成し、複写機本体100に対して一括して着脱自在としてメンテナンス性を向上するようにしてもよい。
【0022】
画像形成手段18を構成する部分のうち、帯電装置60はローラ状であり、感光体40に接触して電圧を印加することによりその感光体40の帯電を行う。もちろん、非接触のスコロトロンチャージャで帯電を行うこともできる。
【0023】
図5は各色ごとに設けられた現像装置61の内部構成を示す概略構成図である。各色現像装置は、現像ローラ65、現像剤攪拌搬送部材としてのスクリュ68、現像剤規制部材としての現像ドクタ73、現像ケーシング70、現像カバー70a等により構成されている。各現像装置61は、磁性キャリア(磁性体)と非磁性トナーとを含む二成分現像剤(以下「現像剤」という。)を使用する。そして、その現像剤を攪拌しながら搬送して現像ローラ65に現像剤を供給付着させる攪拌部66と、その現像ローラ65に担持された現像剤のうちのトナーを感光体40に転移させて現像を行なう現像部67とで構成されている。攪拌部66は現像部67より低い位置に設定され、平行な2本のスクリュ68が配設されている。2本のスクリュ68の間は、両端部を除いて仕切り板69で仕切られている。また、現像ケース70にはトナー濃度センサ71が取り付けられている。
なお、図中の曲線Bnは、現像スリーブ650の表面上における法線方向の磁束密度の分布を表している。
【0024】
現像部67には、現像ケース70の開口を通して感光体40と対向するように現像ローラ65が設けられている。この現像ローラ65は、図6及び図7に示すように、磁界発生手段としてのマグネットローラ72と現像剤担持体としての現像スリーブ650から構成されている。マグネットローラ72は現像スリーブ650の内部に固定配置され、所定の角度位置に軸方向に延在する複数の磁極が形成されている。このマグネットローラ72の磁極によって現像スリーブ650上の現像剤が所定の場所を通過するときに磁力が作用し、現像スリーブ650が回転することによって現像剤が搬送される。マグネットローラ72の磁極配置と現像剤規制部材(現像ドクタ)により、現像剤搬送方向上流側に現像剤の滞留保持部を形成し、現像剤の現像剤の摩擦帯電を促進している。この剤規制部材の先端付近には磁性体が設置されており、現像ローラ対向磁力の方向性を均一化して、搬送量のバラツキを抑えている。
【0025】
マグネット72は、例えば、現像領域に対向する位置から現像スリーブ65の回転方向にP1〜P7の7磁極を有する。現像剤は、マグネット72により磁気ブラシを形成され、現像スリーブ65上に担持される。
そして、2成分現像剤を2本のスクリュ68で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給する。現像スリーブ65に供給された現像剤は、マグネット72により汲み上げて保持され、現像スリーブ65上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、現像スリーブ65の回転とともに、現像ドクタ73によって適正な量に穂切りされる。切り落とされた現像剤は、攪拌部66に戻される。
他方、現像スリーブ65上の現像剤のうちトナーは、現像スリーブ65に印加する現像バイアス電圧により感光体40に転移してその感光体40上の静電潜像を可視像化する。可視像化後、現像スリーブ65上に残った現像剤は、マグネット72の磁力がないところで現像スリーブ65から離れて攪拌部66に戻る。この繰り返しにより、攪拌部66内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサ71で検知して攪拌部66にトナーが補給される。
【0026】
1次転写装置62は、ローラ状であり、中間転写ベルト10を挟んで感光体40に押し当てて設ける。ローラ状に限らず、導電性のブラシ形状,非接触のコロナチャージャなどであってもよい。
【0027】
感光体クリーニング装置63は、先端を感光体40に押し当てて、例えばポリウレタンゴム製のクリーニングブレード75を備える。クリーニング性を高めるために外周を感光体40に接触ブラシを併用する。図4では外周を感光体40に接触導電性のファーブラシ76を矢印方向に回転自在に備える。また、ファーブラシ76にバイアスを印加する金属製電界ローラ77を矢示方向に回転自在に備え、その電界ローラ77にスクレーパ78の先端を押し当てる。さらに、除去したトナーを回収する回収スクリュ79を設ける。
【0028】
そして、感光体40に対してカウンタ方向に回転するファーブラシ76で、感光体40上の残留トナーを除去する。ファーブラシ76に付着したトナーは、ファーブラシ76に対してカウンタ方向に接触して回転するバイアスを印加された電界ローラ77に取り除かれる。電界ローラ77に付着されたトナーは、スクレーパ78でクリーニングされる。感光体クリーニング装置63で回収したトナーは、回収スクリュ79で感光体クリーニング装置63の片側に寄せ、トナーリサイクル装置80で現像装置61へと戻して再利用する。
除電装置64は、光を照射して感光体40の表面電位を初期化する。
【0029】
そして、感光体40の回転とともに、まず帯電装置60で感光体40の表面が一様に帯電される。次いでスキャナ300の読取り内容に応じて上述した露光装置21からレーザやLED等による書込み光Lが照射され、感光体40上に静電潜像が形成される。
【0030】
その後、現像装置61によりトナーを付着させて静電潜像が可視像化され、その可視像を1次転写装置62で中間転写ベルト10上に転写する。画像転写後の感光体40の表面は、感光体クリーニング装置63で残留トナーを除去して清掃し、除電装置64で除電して再度の画像形成に備える。
【0031】
図8は、図1に示す複写機の複写装置本体100の要部拡大図である。タンデム画像形成部20の各画像形成手段18やその構成要素の各感光体40等、および各感光体40に対向する各1次転写装置62の各符号の後に、それぞれブラックの場合はBKを、イエローの場合はYを、マゼンタの場合はMを、シアンの場合はCを付して示す。
なお、図8中符号74は、図2および図4では図示省略するが、各1次転写装置62間において、中間転写ベルト10のベース層側(内周面側)に接触して設ける導電性ローラである。この導電性ローラ74は、転写時に各1次転写装置62により印加するバイアスが、中抵抗のベース層を介して隣接する各画像形成手段18に流れ込むことを阻止するものである。
【0032】
また、図8に示すように、中間転写体クリーニング装置17は、クリーニング部材としてのファーブラシ90で構成され、このファーブラシ90には、不図示の電源から所定のバイアス電圧が印加されている。
【0033】
図9および図10はトナーリサイクル装置80を示す斜視図である。図9に示すように、感光体クリーニング装置63の回収スクリュ79には、一端に、ピン81を有するローラ部82を設ける。そして、そのローラ部82に、トナーリサイクル装置80のベルト状回収トナー搬送部材83の一側を掛け、その回収トナー搬送部材83の長孔84にピン81を入れる。回収トナー搬送部材83の外周には一定間隔置きに羽根85を設けてなり、その他側は、回転軸86のローラ部87に掛ける。
回収トナー搬送部材83は、回転軸86とともに、図10に示す搬送路ケース88内に入れる。搬送路ケース88は、カートリッジケース89と一体につくり、その現像装置61側の端部に、現像装置61の前述した2本のスクリュ68の1本を入れてなる。
そして、外部から駆動力を伝達して回収スクリュ79を回転するとともに、回収トナー搬送部材83を回転搬送し、感光体クリーニング装置63で回収したトナーを搬送路ケース88内を通して現像装置61へと搬送し、スクリュ68の回転で現像装置61内に入れる。その後、2本のスクリュ68ですでに現像装置61内にある現像剤とともに攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ650に供給して現像ドクタ73により穂切りして後、感光体40に転移してその感光体40上の潜像を現像する。
【0034】
ここで、上記現像装置61に用いられる2成分現像剤のトナー及び磁性キャリアについて説明する。トナーは、ポリエステル、ポリオ−ル、スチレンアクリル等の樹脂に帯電制御剤(CCA)、色剤を混合し、その周りにシリカ、酸化チタン等の物質を外添することでその帯電特性、流動性を高めている。添加剤の粒径は、通常、0.01〜1.5[μm]の範囲である。色剤は、カ−ボンブラック、フタロシアニンブル−、キナクリドン、カ−ミン等を上げることができる。帯電極性は、図示例では負帯電である。
トナーは、ワックス等を分散混合させた母体トナーに上記種類の添加剤を外添しているものも使用することができる。ここまでの説明で、トナーは、粉砕法で作成されたものであるが、重合法等で作成したものも使用可能である。一般に重合法、加熱法等で作成されたトナーは、形状係数を90%以上に形成することが可能で、さらに形状による添加剤の被覆率も極めて高くなる。
トナーの体積平均粒径の範囲は、3〜12μmが好適である。図示例では、6μmとし、1200dpi以上の高解像度の画像にも十分対応することが可能である。
【0035】
磁性キャリアは、金属または樹脂をコアとしてフェライト等の磁性材料を含有し、表層はシリコン樹脂等で被覆されたものである。磁性キャリアの粒径は、画質に寄与する粒状度を向上させるために小径化するのが好ましく、より具体的には20〜50μmの範囲が良好である。また、磁性キャリアの抵抗は、ダイナミック抵抗で104〜106Ωの範囲が最適である。ただし、測定方法は、磁石を内包したローラ(φ20;600RPM)に担持して、幅65mm、長さ1mmの面積の電極をギャップ0.9mmで当接させ、耐圧上限レベル(高抵抗シリコンコートキャリアでは400Vから鉄粉キャリアでは数V)の印加電圧を印加した時の測定値である。
【0036】
ここで、高画質化には、現像剤中の磁性キャリアの粒径を小粒化することで大きく向上することが好ましい。例えば、キャリア粒径が50μm以上では明度70〜90領域のハーフトーンドット画像で、粒状度0.3程度のところでも、35μm程度まで下げると、粒状度が0.1と3倍近くも向上してしまう。そのため、高画質化に小粒径キャリアの採用は不可欠となっている(図11参照)。
また、高画質を維持するためには、現像剤の汲み上げ量ρ(現像ドクタの通過剤量)の安定化と現像剤の劣化を抑えることが必要になる。現像剤の汲み上げ量ρ及び現像剤の劣化に対しては、現像ドクタ73に対向しているマグネットローラ72の磁極による磁力分布、現像スリーブ表面形状および現像剤表面形状により大きく影響される。現像スリーブ表面や現像剤コート層の経時使用での摩耗により、現像剤汲上げ量の低下変動が生じ、画質のボソツキ化を招いていた(図12参照)。
更に、従来より現像スリーブ650の表面は、幅方向(長手軸方向)にわたるスリーブ外周方向の複数箇所に幅方向に延在する溝(凹部)を有したものや、サンドブラスト処理が施されたものが採用されている。溝を有する現像スリーブを用いた場合、溝部と非溝部とで、現像領域において対向する感光体表面との距離が変わるため、現像電界の変化が生じる(図13、図14参照)。例えば、図14に示すように、溝の深さaが0.15mm以上の場合、感光体表面電位の変動に換算すると10V以上の現像電界の変動が発生してしまう。この現像電界の変化の影響を受けて現像が行なわれるため、溝650aに応じたピッチ画像が発生する(図13、図14参照)。そのため、サンドブラスト処理の採用が主流になっている。しかしながら、サンドブラスト処理を施した現像スリーブでは、経時使用に伴うブラスト表面粗さの低下や、現像剤コート層の摩耗による凹凸の減少により、現像剤汲上げ量の低下が生じてしまう(図12参照)。
また、前述の小粒径キャリアの採用による粒状度の向上を達成しても、経時における現像剤コート層の摩耗に伴う現像剤汲上げ量の低下が原因となる、ボソツキ画像で相殺されてしまう。これらの摩耗現象に伴う現像剤搬送性の低下は、本実施形態の高速タンデム型画像形成装置に用いる現像装置のように、現像スリーブ650の回転数が高くなるほど摩耗が促進されて顕著になる。そのため、今後の高速高画質機にとっては大きな技術課題となっている。
【0037】
そこで、本実施形態では、このような現像スリーブ表面の摩耗による現像剤の搬送性の変動を抑えるために、まず現像スリーブ650の表面形状を以下のように設定した。すなわち、現像スリーブ650の外径をa、溝650aの本数をn、感光体40の線速をVp、現像スリーブの線速をVsとした場合、次式を満たすようにした。
【数1】
画像上ピッチ=aπVp/nVs≦0.5(mm)
n≧aπVp/(0.5Vs)
【0038】
上記式を満たす溝650aの本数に規定することで、画像上での溝対応ピッチを0.5mm以下の目視で識別が困難なバンディング領域に持っていくことが可能となった(図15参照)。具体的な実施例では、現像スリーブ650の外径a=φ25mm、線速比Vs/Vp=2の場合、バンディングは識別できないレベルになるように溝650aの本数nを100本にしている。このとき、次式で表されるように上記数1の式を満たしている。
【数2】
(25×π)/(100×2)≒0.39<0.5(mm)
【0039】
その上、画像上で0.5mm以下の微少なバンディングピッチムラは、磁気ブラシ現像による現像ニップNdの幅(図7参照)によりぼかされるため、ピッチムラとして顕在化しにくい状況下にもある。このような溝本数を満たしつつ、0.1mm以下の溝深さとすることで現像電界の変化を抑え、かつV溝形状とすることで電界変動に勾配を設けて最大値をピンポイントとし、顕在化の軽減処置も効果があり必要となる。
上述の溝を有した現像スリーブを採用することで、サンドブラストで問題になっていた、現像剤コート層の摩耗による現像剤スリップに起因した現像剤汲み上量の低下を、溝による現像剤搬送性を向上させることで大きく改善することができた(図16参照)。
以上のように、現像剤コート層の摩耗による凹凸の低下による搬送性低下については改善できる。さらに、これに加えて現像剤のコート層の摩耗をなくすことで、理想とする現像剤汲み上げ量の変動がない超安定領域をもたらすことが可能となる。従来の現像剤中のキャリアは、硬いコート膜を徐々に削りながら長寿命を得るという思想の基で開発されていた。これに対し、本実施形態では、次の2つの効果をバランス良く得ることにより、長寿命すなわち膜削れとスペント化を無くしたものである(図17参照)。
▲1▼キャリアに弾力性を持たせることにより衝撃を吸収し削れを抑制するとともに、接着力の強いコート膜を用いることにより大粒子を保持する効果
▲2▼コート膜よりも大きい大粒子をキャリア表面に含有することにより、コート膜への衝撃を阻止し、スペント物をクリーニングする効果
【0040】
この磁性キャリアは、キャリアの芯剤となるフェライトにアクリル等の熱可塑性樹脂とメラミン樹脂とを架橋させた樹脂成分に、帯電調整剤を含有させるたものである。このコート膜削れの無いキャリアの現像剤と、規定本数の溝を有したV溝現像スリーブの採用により、今後将来に必要となる高速高画質を両立させた現像装置を達成させることができた(図18参照)。
【0041】
次に、本発明の特徴部に係る構成等について説明する。
図1に示すV溝651を有する現像スリーブ650に、低融点トナーを含む現像剤を担持して搬送する場合、各V溝651の内壁面のうち現像スリーブ表面移動方向(図中A方向)の上流側に位置する上流側斜面651Aにトナーが固着する場合があった。V溝651の内部に現像剤が保持された状態で現像スリーブが回転すると、V溝651内の現像剤に含まれるトナーが上流側斜面651Aに強く押しつけられて密着する。このトナーの密着状態が続くことにより、トナーがV溝651内に次第に固着していくと考えられる。そして、このV溝651内のトナー固着がひどくなると、V溝651内に現像剤詰まりが発生し、溝本来の機能を発揮しなくなり、安定した現像剤搬送性を確保できなくなってしまう。
【0042】
そこで、本実施形態では、現像スリーブ650の各V溝651の上流側斜面651Aと、V溝651の頂部651Cを通り現像スリーブ表面移動方向に垂直な仮想平面650Pとの間に形成される傾斜角度αを45°以上にしている(図1参照)。なお、仮想平面650Pは、現像スリーブ650が円筒状の部材である場合V溝651の頂部651Cと現像スリーブ650の中心軸650Cとを結ぶ仮想平面ということもできる。
図19は、上記V溝651の上流側斜面651Aの傾斜角度αとトナーの融点を変化させて実験を行なったときのトナー固着発生の有無を示すグラフである。この図19から、融点が100°C以下の低融点トナーを用いた場合、V溝651の上流側斜面651Aの傾斜角度αを45°以上にすれば、トナー固着の発生を回避できることがわかる。
【0043】
一方、上記現像スリーブ表面に形成されるV溝651の上流側斜面651Aの傾斜角度αが大きくなりすぎると、V溝651が現像剤を保持する機能が低下していき、現像剤の搬送量が少なくなってしまう。そこで、本実施形態では、所定の現像剤搬送量を確保するために、V溝651の上流側斜面651Aの傾斜角度αを60°以下にしている。
図20は、上記V溝651の上流側斜面651Aの傾斜角度αを変化させて実験を行なったときの現像剤搬送量を示すグラフである。この図20から、V溝651の上流側斜面651Aの傾斜角度αが45°以上且つ60°以下の範囲内で、現像剤の搬送量が最大となり、傾斜角度αが60°を超えると現像剤の搬送量が急激に低下していくことがわかる。
【0044】
図21は、各種条件下で、上記V溝651の上流側斜面651Aの傾斜角度αを変化させて実験を行なったときの溝詰まり性及び剤搬送性の傾向を示すグラフである。ここで、「溝詰まり性」は、各V溝651の内容積に対する、上流側斜面651Aに固着してV溝内に詰まっているトナーの体積の比率(%)に対応しており、その許容限界の値は10%である。また、上記「剤搬送性」は、V溝651が形成された現像スリーブ650の表面で搬送される現像剤の量(mg/cm2)に対応しており、その許容限界の値は40mg/cm2である。
また、図21のグラフは、次の条件下で得られたものである。
▲1▼現像スリーブ650の材質:アルミ
▲2▼V溝651の上流側斜面651Aの10点平均表面粗さRz:5〜40μm
▲3▼現像スリーブ650の表面と現像ドクタ73との間隙:0.3〜0.85mm
▲4▼現像ドクタ73に対向している部分での現像スリーブ表面上の法線方向磁束密度:40〜70mT
▲5▼V溝651の全体の開口角度(α+β):60°〜120°
【0045】
そして、図21に示す結果は、上記上流側斜面651Aの傾斜角度以外の上記▲1▼〜▲5▼に示すパラメータの数値範囲の条件下で得られたものである。この図21に示すように、上記上流側斜面651Aの傾斜角度を45°以上且つ60°以下にすることで溝内の現像剤詰まりを防止しつつ現像剤の搬送量の低下を抑制することができるという効果が、上記▲1▼〜▲5▼のパラメータの影響をほとんど受けずに得ることができた。
【0046】
なお、上記各V溝651の内壁面の少なくとも上流側斜面651Aの表面粗さは、10点平均表面粗さRzで20μm以上且つ40μm以下であることが好ましい。
図22は、V溝651の上流側斜面651Aの表面粗さRzを変化させたときの現像剤搬送量を測定した結果である。この図22から、上流側斜面651Aの表面粗さRzを20μm以上にすることにより、上流側斜面651Aの傾斜角度αが80°程度であっても現像剤搬送量の大きな低下が見られない。すなわち、傾斜角度αが60°に近い角度のときの現像剤搬送量に対する余裕度を高めることができる。また、上記上流側斜面651Aの表面粗さRzを40μmよりも大きくすると、サンドブラストなどの表面粗し加工によって現像スリーブの変形をもたらし、フレ精度の確保が困難となる。従って、上記上流側斜面651Aの表面粗さRzが40μm以下が好ましい。
【0047】
また、本実施形態において、現像スリーブ650のV溝以外の外周面650S(図1参照)は、感光体40の外周面と最近接する部分であり、現像ニップ部(現像領域)は現像剤とのパッキング状態での擦れが生じている。そのため、現像スリーブ650の外周面650Sは摩耗を招き易い。そこで、現像スリーブ650のV溝以外の外周面650S(図1参照)の表面粗さは、十点平均粗さRzで0.1μm且つ5μm以下に抑えることが好ましい。この場合、現像スリーブ650の外周面650Sの摩耗による経持における搬送性の変動を防ぐことができる。なお、現像スリーブ650のV溝651の内壁面651A、651Bは感光体40の外周面に対して角度を持っているため、パッキング状態での擦れは無く、表面の摩耗が発生しにくい。
【0048】
また、上記各V溝651の上流側斜面651Bはセラミックコートしたり、ニッケルメッキ処理したりしてもよい。この場合は、上流側斜面651Bのトナーに対する離型性が高まり、上流側斜面651Aの傾斜角度αが45°に近い角度のときのトナー固着防止に対する余裕度を高めることができる。
【0049】
以上、本実施形態によれば、現像スリーブ650のV溝651の上流側斜面651Aの傾斜角度αを上記所定範囲内にすることにより、現像剤搬送量の低下を抑制することができる。さらに、融点が100°以下の低融点トナーを用いた場合でもV溝651内でのトナー固着に起因した現像剤詰まりを防止し、長期にわたって安定した現像剤搬送を行なうことができる。
また、画像の粒状度を改善するためにトナーの小粒径・球形化が行なわれるとともに、トナーヘのオイル含有化が一般的になってきている。この場合、トナー中のオイル成分のしみ出しによって現像スリーブ表面との摩擦係数が変化し、現像剤搬送性の変動をもたらし易く、V溝651内への現像剤詰まりを誘発し易い。このようなトナーヘのオイル含有化が行なわれる場合でも、V溝651の上流側斜面651Aの傾斜角度αを上記所定範囲内にすることにより、V溝651内でのトナー固着に起因した現像剤詰まりを防止できる。そして、長期にわたって安定した現像剤搬送を行なうことができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、各V溝651の内壁面の少なくとも上流側斜面651Aの表面粗さは、10点平均表面粗さRzで20μm以上且つ40μm以下であることが好ましい。上流側斜面651Aの表面粗さRzを上記所定範囲にすることにより、V溝651の現像剤に対する保持能力を高め、傾斜角度αが60°に近い角度のときの現像剤搬送量に対する余裕度を高めることができる。
また、本実施形態によれば、各V溝651の内壁面の少なくとも上流側斜面651Aは、セラミックコートしたりニッケルメッキ処理したりするのが好ましい。この場合は、上記上流側斜面651Aの摩擦係数μを低下させてトナー固着を更に抑制することができるので、上流側斜面651Aの傾斜角度αが45°に近い角度のときのトナー固着防止に対する余裕度を高めることができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、視認されるバンディング画像の発生を防止するために上記V溝のピッチPは0.5mm以下が好ましい。
また、V溝651の現像剤詰まりをより確実に防止するために各V溝651の開口角度(α+β)は60°以上が好ましい。また、現像スリーブ651による現像剤搬送性が悪化しないように各V溝651の開口角度(α+β)は120°以下が好ましい。
さらに、現像剤搬送性が悪化せずに、しかも現像領域でV溝に対応した現像電界の変化を抑えるために、各V溝651の深さは0.05mm以上且つ0.15mm以下が好ましい。
【0052】
また、本実施形態で用いた磁性キャリアは、磁性体の芯材に対して樹脂コート膜を有するものであって、該樹脂コート膜が、アクリル等の熱可塑性樹脂とメラニン樹脂とを架橋させた樹脂成分に帯電調整剤を含有させたものである。この現像剤を用いることにより、衝撃を吸収して削れを抑制し、強い接着力により大粒子を保持できる効果と、コート膜への衝撃阻止およびスペント物のクリーニングという効果とをバランス良く得ることができる。従って、現像剤の長寿命すなわち膜削れとスペント化を防止できる。
【0053】
【発明の効果】
請求項1乃至10の発明によれば、現像剤担持体のV字形状断面の溝における上流側斜面の傾斜角度を60°以下にすることにより、現像剤の搬送量の低下を抑制できる。しかも、上記上流側斜面の傾斜角度を45°以上にすることにより、融点が100°C以下の低融点トナーを用いた場合でも、現像剤担持体のV字形状断面の溝内でのトナー固着を回避し、溝内の現像剤詰まりを防止できる。従って、現像剤搬送量の低下を抑制しつつ、低融点トナーを用いた場合でもV字状の溝内でのトナー固着に起因した現像剤詰まりを防止し、長期にわたって安定した現像剤搬送を行なうことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における現像スリーブのV溝部の部分断面図。
【図2】本実施形態に係る複写機の概略構成図。
【図3】中間転写ベルトの構成図。
【図4】画像形成手段の概略構成図。
【図5】現像装置の概略構成図。
【図6】現像ローラの断面図。
【図7】現像ローラ周辺の現像剤の様子を示す説明図。
【図8】複写装置本体の要部拡大図。
【図9】トナーリサイクル装置の要部拡大図。
【図10】トナーリサイクル装置の斜視図。
【図11】現像剤の磁性キャリアと画像の粒状度との関係を示すグラフ。
【図12】サンドブラストスリーブ上の剤汲み上げ量の変化を示すグラフ。
【図13】現像領域の拡大図。
【図14】現像領域における電界の変動を示すグラフ。
【図15】(a)および(b)は現像スリーブの断面図。
【図16】V溝スリーブ上の剤汲み上げ量の変化を示すグラフ。
【図17】磁性キャリアの説明図。
【図18】コート改良磁性キャリアを用いたときのV溝スリーブを有する現像スリーブ上の剤汲み上げ量の変化を示すグラフ。
【図19】V溝の上流側斜面の傾斜角度αとトナーの融点を変化させて実験を行なったときのトナー固着発生の有無を示すグラフ。
【図20】V溝の上流側斜面の傾斜角度αを変化させて実験を行なったときの現像剤搬送量を示すグラフ。
【図21】各種条件下でV溝の上流側斜面の傾斜角度αを変化させて実験を行なったときの溝の現像剤詰まりと現像剤搬送性を示すグラフ。
【図22】V溝の上流側斜面の表面粗さRzを変化させたときの現像剤搬送量を測定したグラフ。
【図23】中間転写タンデムプロセスを例示する概略図(直接転写方式)。
【図24】中間転写タンデムプロセスを例示する概略図(間接転写方式)。
【符号の説明】
10 中間転写ベルト
17 中間転写ベルトクリーニング装置
18Bk、18Y、18M、18C 画像形成ユニット
20 タンデム画像形成部
21 露光装置
22 2次転写装置
23 支持ローラ
24 2次転写ベルト
25 定着装置
29 テンションローラ
40Bk、40Y、40M、40C 感光体
42 給紙ローラ
60Bk、60Y、60M、60C 現像ユニット
61Bk、61Y、61M、61C 現像ユニット
62 一次転写装置(転写ローラ)
63Bk、63Y、63M、63C 感光体クリーニング装置
64 除電装置
65 現像ローラ
650 現像スリーブ
650C 現像スリーブの中心軸
650P V溝の頂部と現像スリーブの中心軸とを結ぶ仮想平面
650S 現像スリーブのV溝部以外の外周面
651 V溝
651A V溝の上流側斜面
651B V溝の下流側斜面
651C V溝の頂部
66 攪拌部
67 現像部
68 スクリュー
72 マグネットローラ
73 現像ドクタ
Claims (10)
- トナーを含む現像剤を表面に担持して搬送する現像剤担持体であって、
表面の移動方向と直交する幅方向に延在し該表面から外側に向けて開口したV字形状断面の溝が、該表面の移動方向の複数箇所に形成され、
各溝の内壁面のうち該表面の移動方向上流側に位置する上流側斜面と、該溝の頂部を通り且つ該表面の移動方向に垂直な仮想平面との間に形成される傾斜角度が、45°以上且つ60°以下であることを特徴とする現像剤担持体。 - 請求項1の現像剤担持体において、
各溝の内壁面の少なくとも上記上流側斜面の表面粗さが、10点平均表面粗さRzで20μm以上且つ40μm以下であることを特徴とする現像剤担持体。 - 請求項1の現像剤担持体において、
各溝の内壁面の少なくとも上記上流側斜面が、セラミックコートされていることを特徴とする現像剤担持体。 - 請求項1の現像剤担持体において、
各溝の内壁面の少なくとも上記上流側斜面が、ニッケルメッキ処理されていることを特徴とする現像剤担持体。 - 請求項1、2、3又は4の現像剤担持体において、
上記溝のピッチPが0.5mm以下であり、
各溝の開口角度が60°以上且つ120°以下であり、
各溝の深さが0.05mm以上且つ0.15mm以下であることを特徴とする現像剤担持体。 - トナーを含む現像剤を表面に担持して該表面が移動することにより像担持体に対向している現像領域に該現像剤を搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体の内部の配置され該現像像剤担持体表面に該現像剤を担持するための磁界を形成する磁界発生手段と、該現像剤担持体表面に対向するように配置され該現像剤担持体表面に担持されて該現像領域に搬送される現像剤の量を規制する現像剤規制部材とを備えた現像装置において、
該現像剤担持体として、請求項1、2、3、4又は5の現像剤担持体を備えたことを特徴とする現像装置。 - 請求項6の現像装置において、
上記磁性キャリアが、磁性体の芯材に対して樹脂コート膜を有するものであり、
該樹脂コート膜が、アクリル等の熱可塑性樹脂とメラニン樹脂とを架橋させた樹脂成分に帯電調整剤を含有させたものであることを特徴とする現像装置。 - 像担持体と、該像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体上の潜像を現像する現像装置と、該像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
該現像装置が、請求項6又は7の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。 - 複数の像担持体と、各像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体上の潜像を互いに異なる色のトナーを用いて現像する複数の現像装置と、各像担持体上のトナー像を転写材に重ね合わせるように転写する転写手段とを備え、該転写材上にカラー画像を形成する画像形成装置において、
該現像装置が、請求項6又は7の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体と該像担持体上の潜像を現像する現像装置とを備え、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
該現像装置が、請求項6又は7の現像装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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