JP2004011150A - 壁装材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビニル壁紙のように燃焼時に有害ガスの発生がなく、ソフトでボリューム感がありしかも型崩れが生じにくい凹凸模様を有し、エンボス加工性や施工性に優れ、特に施工時のタタミジワの発生しにくい壁装材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】コットン繊維と合成繊維からなる混抄紙(1)と、混抄紙の裏面に積層された乾式不織布(2)と、乾式不織布の裏面に積層された壁紙用裏打紙(3)とからなり、混抄紙の表面側にエンボス加工による凹凸模様(4)が形成されている壁装材。混抄紙、乾式不織布および壁紙用裏打紙を積層し、必要に応じて表面に撥水処理層や合成樹脂塗布層を形成した積層シートを、加熱されたエンボスロールとバックロールとの間を通して、エンボス加工を施すことにより製造できる。
【選択図】 図1
【解決手段】コットン繊維と合成繊維からなる混抄紙(1)と、混抄紙の裏面に積層された乾式不織布(2)と、乾式不織布の裏面に積層された壁紙用裏打紙(3)とからなり、混抄紙の表面側にエンボス加工による凹凸模様(4)が形成されている壁装材。混抄紙、乾式不織布および壁紙用裏打紙を積層し、必要に応じて表面に撥水処理層や合成樹脂塗布層を形成した積層シートを、加熱されたエンボスロールとバックロールとの間を通して、エンボス加工を施すことにより製造できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニル壁紙のように塩化ビニル樹脂を使用せず、無公害性のコットン繊維を表層材に用いた壁装材に関するものであり、さらに詳しくは、ソフトな風合いを持ち、ボリューム感があり、優れた加工性と施工性を備え、しかも型崩れが生じにくい凹凸模様を有する新規かつ改良された壁装材、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
住宅の壁面や天井に使用される壁紙等の壁装材としては、従来から塩化ビニル樹脂製のビニル壁紙が多く使用されている。ビニル壁紙は、価格が安く加工特性、耐水性、防汚性、施工性等に優れ、デザイン性の豊富さから優位性を保ってきたが、近年の環境問題からビニル壁紙の燃焼時に発生する塩化水素ガスやビニル化粧層中に含まれている可塑剤の居住空間への揮発が問題視されている。
【0003】
このため、塩化ビニル樹脂に代わる素材としてオレフィン系樹脂、紙、不織布など種々の非ハロゲン素材が検討されている。中でも紙や不織布を用いた壁紙は、ビニル壁紙と比較して風合いが自然で暖かみがあるため、それぞれの素材を生かした提案が数多く行われている。しかしながら、紙パルプを主材とする壁装材は凹凸模様の形成方法として互いに篏合する凸部を形成した雄ロールと凹部を形成した雌ロールとを組み合わせたエンボス装置が使用されるため、製品の表裏に凹凸模様が形成され施工しにくいという欠点がある。さらに、このエンボス装置で形成された凹凸模様は、施工時におけるローラー掛け等の僅かな圧力や水分の影響により型崩れが発生するという問題もあった。
【0004】
そこで前記の問題点を解決する方法として、表裏に形成された凹凸模様の裏側に壁紙用裏打紙を貼り合わせて平らにする工夫が行われたり、表面に保護フィルムを貼り合わせて型崩れや水分の影響を抑える方法が取られているが、壁紙用裏打紙の接着が甘く剥れやすいという欠点や、保護フィルムを貼り合わせるためコストが高く、しかも、型崩れが完全に抑えられないという問題を有している。
【0005】
紙パルプを主材とする壁装材であっても、ビニル壁紙の凹凸模様形成に使われる通常のエンボス装置を使用しうる技術が特開平9−31900号公報で提案されている。すなわちビニル壁紙に通常使われるエンボス装置は、表面に凹凸模様を刻設したエンボスロールと表面がフラットなバックロールとから構成されていて、予め加熱したビニル壁紙をこれらロールの間に通すことによって凹凸模様を形成させるものである。上記の特開平9−31900号公報の技術は、紙パルプ繊維とオレフィン繊維を含有したシートを予め加熱し、これを上記したビニル壁紙に使われる通常のエンボス装置により凹凸模様を形成させるものである。
【0006】
しかしながら、紙パルプ繊維とオレフィン繊維を含有したシートを用いる上記の壁装材においては、エンボス装置で形成された凹凸模様が型崩れしにくいという利点は有るものの、ボリューム感のある十分な凹凸模様を形成させた場合には凹凸模様が裏面にまで及んだり、これを防止するためシートを厚くすると、硬くて柔軟性に欠けるものとなる。
【0007】
また不織布を使用した壁装材として、例えば特開平10−96197号公報には壁紙用原紙の片面に塩素を含まない有機繊維からなるパンチング不織布を接着剤で接着した後、この不織布面に熱成形可能な温度に加熱されたエンボスロールを圧接して凹凸模様を形成する壁紙の製造方法が提案されている。この製造方法によって得られる壁紙は、風合いがソフトで暖かみがあり、ボリューム感に優れたものではあるが、乾式製法により長繊維が嵩高な状態で絡合されている不織布を使用しているため印刷加工性が劣り、安定した品質を確保する事が困難である。さらにこの公開公報には、不織布を多層構造とし、表面層を裏面層よりも緻密に形成することも提案されているが、この場合も乾式製法としての限界があり、しかも緻密にすればするほどコストがアップし実用性が乏しいものとなる。
【0008】
また特開2001−1698号公報には、裏打紙(裏層)と、その上に積層された乾式法による低密度の不織布(中層)と、さらにその上に積層される湿式法により得られた不織布または紙(表層)からなる三層構造の壁紙が提案されている。しかしながら、表層の不織布または紙は繊維としてパルプを主体として用いているため、硬く、伸縮性、柔軟性に欠けたものとなり易い。この傾向は表層が厚くなればなるほど大きくなるため、印刷性、エンボス性を考慮すると表層の密度を或る程度を高くし、厚みを薄くすることが必要となる。このためボリューム感のある壁紙を製造しようとする場合は、中層の乾式不織布を厚くせざるを得なくなり、表層と中層と裏層(裏打紙)を積層した三層構造の壁紙とした場合、伸縮性がなく薄い表層と裏層とが低密度で厚い不織布の中層の両面にサンドイッチ状に構成される結果、積層された各層の厚みの差、密度差、伸縮性の差が大きくなり、壁紙を折りたたんだ時に折り線に沿ってタタミジワが発生し易くなる。
【0009】
壁紙を施工する場合、ヨーロッパでは向こう糊といって施工糊を壁側に塗布して壁紙を張り付けるが、日本では壁紙の裏打紙に施工糊を塗布して壁に張り付ける施工方法がとられている。この違いは建物の下地材の相違からくることも考えられるが、日本の場合職人が施工するケースが大半であり、作業の効率化をはかるための施工方法とも言える。すなわち日本では、あらかじめ壁紙に施工糊を塗布したものを必要量用意しておき一斉に壁紙を張り付ける。施工糊が塗布された壁紙は、糊が乾かないように糊面同士を合わせた形で折りたたんで積み重ねられ、壁に張り付けられるまで放置される。この時、折りたたまれた部分のタタミジワが施工後も消えずに残っているとクレームとして扱われる。
【0010】
このように特開2001−1698号公報による発明は、表層における素材の選定とその構造上の問題から、中層に乾式不織布を用いてボリューム感のある壁紙を製造した場合、壁紙施工時にタタミジワが発生しやすいという問題を含んでいる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術における問題に着目してなされたもので、その課題とするところは、ビニル壁紙にみられるような燃焼時の有害ガス発生がなく、ソフトでボリューム感がありしかも型崩れが生じにくい凹凸模様を有し、エンボス加工性や印刷加工性、更には施工性、特にタタミジワ防止性に優れた壁装材およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、壁紙用裏打紙の上に乾式不織布の層を設け、さらにこの上に表皮層を設けた三層構造の壁装材における表皮層として、繊維の芯部分が中空で繊維自体にねじれの構造を持つコットン繊維を合成繊維とともに混抄して得られた嵩高でソフトな混抄紙を使用することで、上記目的を達成し得る壁装材が得られることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明による壁装材は、コットン繊維と合成繊維とからなる混抄紙と、前記混抄紙の裏面に積層された乾式不織布と、前記乾式不織布の裏面に積層された壁紙用裏打紙とからなり、前記混抄紙の表面側に前記混抄紙と前記乾式不織布とを一体化したエンボス加工による凹凸模様が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
上記の壁装材は、コットン繊維と合成繊維とからなる混抄紙を抄造する工程と、前記混抄紙の裏面に乾式不織布を積層する工程と、前記乾式不織布の裏面に壁紙用裏打紙を積層する工程と、前記混抄紙、乾式不織布及び壁紙用裏打紙からなる積層シートを、加熱されたエンボスロールとバックロールとの間隙を通して、前記混抄紙の表面側にエンボスロールを圧接することにより、前記混抄紙及び乾式不織布に凹凸加工を施す工程からなることを特徴とした壁装材の製造方法により製造することができる。
【0014】
【発明実施の形態】
図1は、本発明による壁装材の実施態様の断面図を模式的に示すものであり、コットン繊維と合成繊維からなる混抄紙1の裏面に乾式不織布2が積層され、乾式不織布2の裏面に壁紙用裏打紙3が積層され、混抄紙1の表面側にエンボス加工による凹凸模様4が形成されている。
【0015】
かような構成の本発明においては、裏打紙3の表面に形成する表層材を上層と下層とから構成し、上層(表皮層)としてコットン繊維に合成繊維を混抄した混抄紙1を使用するとともに、下層(中間層)として合成繊維を含んだ乾式不織布2を使用することにより、ソフトでボリューム感があり、しかも印刷加工性、エンボス加工性、施工性の良好な壁装材を得ることができる。
【0016】
本発明で用いられるコットン繊維は、製紙用に用いられるコットンリンター又は綿パルプと呼ばれる短繊維であり、平均繊維長1〜5mmのものが好ましく使用できる。コットン繊維の繊維長が長くなると抄紙機で抄造し難くなり、繊維長が短くなると混抄紙の強度が劣る傾向がある。
【0017】
コットン繊維と混抄する合成繊維としては、塩化ビニル系樹脂などのハロゲン系樹脂以外であれば、任意の合成繊維が選択可能であり、エンボス加工時に溶融する融点、或いはエンボス加工時に軟化して可塑性を発現する軟化点を有する熱可塑性合成繊維が好ましく使用できる。特に低融点の熱可塑性合成繊維を使用することにより、エンボス加工時に溶融して繊維間の結合力を高めたり、ヒートセット性を良好にし、凹凸模様の型崩れを起こしにくくすることができる。このような低融点の熱可塑性合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系繊維またはポリオレフィン合成パルプと称される親水性を有するパルプ状多分岐繊維、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)繊維、低融点ポリエチレンテレフタレート繊維およびこれらの混合物又は複合繊維が代表的なものとして挙げられ、融点が80〜160℃、特に110〜140℃のものを選定するのが好ましい。融点が80℃未満では加工時の作業性に影響し、160℃を超えると繊維間の融着とヒートセット性が困難となる傾向が見られる。
【0018】
合成繊維としては、低融点の熱可塑性合成繊維と高融点の熱可塑性合成繊維を貼り合わせたバイメタル構造、高融点の熱可塑性合成繊維を芯とし、低融点の熱可塑性合成繊維を鞘とする芯鞘構造等の複合繊維を使用することもできる。特に、芯鞘構造の複合繊維を用いる場合は、エンボス加工時に低融点の鞘部分が溶融しても、高融点の芯部分の繊維形態が残るので芯繊維の風合いを持たせることができる。芯鞘型複合繊維としては、例えば、芯部分に融点が255〜260℃である熱可塑性ポリエチレンテレフタレート繊維(以下、高融点ポリエステル繊維という)を有し、鞘部分として融点が125〜135℃である熱可塑性ポリエチレン繊維や、融点が約110〜160℃の範囲にある熱可塑性ポリエチレンテレフタレート繊維(以下、低融点ポリエステル繊維という)を有するもの、あるいは、芯部分に融点が165〜173℃である熱可塑性ポリプロピレン繊維を有し、鞘部分として融点が125〜135℃である熱可塑性ポリエチレン繊維や、融点が120〜130℃のEVA繊維等が挙げられる。
【0019】
これらの合成繊維の形態は、抄紙機で抄造できる範囲にあれば短繊維でも長繊維でも良いが、印刷適性を考慮すると0.6mm〜10mmの範囲で選定するのが望ましい。
【0020】
コットン繊維と合成繊維からなる混抄紙におけるコットン繊維と合成繊維の混合割合は、質量%比で50:50〜95:5であることが望ましい。合成繊維の混合割合が5質量%未満では、エンボス加工時に乾式不織布に含有された合成繊維との融着が不十分で、2層間での接着が甘く剥離しやすくなると共にエンボス加工性が低下し、形成された凹凸模様の型崩れも起こりやすくなる。一方、合成繊維の混合割合が50質量%を超えるとコットン繊維が少なくなるためエンボス加工時に潰れてボリューム感やソフトな風合いが損なわれ、更には混抄紙からなる表皮層が薄くなるため乾式不織布からなる中間層との厚み差が大きくなる結果、壁装材の施工時にタタミジワが発生し易くなる傾向がある。
【0021】
コットン繊維と合成繊維の混抄紙を抄造する際には、所定の割合で混合された原料繊維の水分散液に、従来から慣用されている抄造助剤、例えば、タルク、カオリン等の填料、サイズ剤、紙力増強剤、定着剤、内添バインダー、寸法安定化剤等を配合して紙料を調整し、抄紙機を用いて常法により抄紙する。
【0022】
本発明においては表層材の下層(中間層)として、乾式製法により製造された嵩高な乾式不織布が用いられる。この乾式不織布を構成する繊維としては、塩化ビニル系樹脂などのハロゲン系樹脂からなる合成繊維以外であれば種々のものを選ぶことができる。例えば、セルロース系繊維である木材パルプ、コットン、マニラ麻等の天然繊維やレーヨン等の再生繊維、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維等の合成繊維を混合、積層した乾式不織布が用いられるが、壁装材のボリューム感、エンボス加工性、型崩れ防止性(形態安定性)および上層(表皮層)の混抄紙との接着性を考慮すると、セルロース系繊維と合成繊維の混合繊維からなり、セルロース系繊維と合成繊維との混合割合が質量%比で90:10〜50:50のものが好ましく使用できる。また合成繊維としては、前述のコットン繊維と合成繊維とからなる混抄紙で用いたものと同様な熱可塑性合成繊維を用いることが好ましい。熱可塑性合成繊維が10%未満では、エンボス加工時に前記混抄紙中に混抄された合成繊維との融着が不十分で、2層間での剥離が甘く剥離しやすくなると共にエンボス加工性と形態安定性も低下し、50質量%を超えると壁装材の風合いとボリューム感が低下する傾向がみられる。
【0023】
乾式不織布のウェブ形態としては、ステープル繊維からなるパラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスレイウェブ、クリスクロスウェブなどのカードウェブ、長繊維からなるスパンボンドウェブ、短繊維からなるエアレイウェブなどの乾式繊維ウェブが挙げられる。次いで、ケミカルボンド、サーマルボンド、ニードルパンチ、水流交絡などを1または2以上組み合わせて繊維同士を結合させる。特に、ニードルパンチや水流交絡などの三次元交絡処理を施こすことにより、繊維同士が厚み方向にも配列することになり、前記混抄紙との積層一体化やエンボス模様付与に効果をもたらす。
【0024】
本発明の壁装材は、表皮層の混抄紙と中間層の乾式不織布とが積層された表層材の裏面に壁紙用裏打紙が積層された三層構造からなっている。ボリューム感のある壁装材は表層材を厚くすることで得られるため、混抄紙或いは乾式不織布の単一素材のみで厚みのある表層材とすればボリューム感をもたせることも可能である。しかしながら目標とするボリューム感を得るために、混抄紙のみからなる表層材を厚くした場合にはコストが高くつき、乾式不織布のみからなる表層材を厚くした場合には印刷適性が低下して実用性に欠けたものとなってしまう。そこで本発明においては、表層材を表皮層と中間層とから構成し、コットン繊維と合成繊維からなる湿式法で抄造されたソフトで比較的厚みのある混抄紙を表皮層として用いることにより優れた印刷適性をもたらすことができ、乾式法により低コストで得られる厚みのある乾式不織布を中間層として用いることにより十分なボリューム感を備えた表層材とすることができる。
【0025】
本発明の壁装材は、防火性能を考慮すると、壁装材全体の質量を250g/m2以下とすることが好ましい。壁装材の質量がこの値を超えると発熱量が増加して防火性能が低下する傾向がある。一方、壁紙用裏打紙の坪量は50〜120g/m2の範囲とすることが好ましい。裏打紙の坪量が50g/m2未満になると隠蔽性が悪くなると共に強度が低下し、120g/m2を超えると壁装材が硬くなり施工し難くなる。かような観点から、表層材の質量(壁装材全体の質量から裏打紙の坪量を差し引いたもの)は200g/m2以下とすることが望ましい。
【0026】
また、印刷適性、ボリューム感、強度、コストなどを考慮すると、表層材を構成する表皮層の混抄紙および中間層の乾式不織布の質量はいずれも40g〜100g/m2の範囲とすることが好ましい。表皮層の混抄紙の質量(坪量)が40g/m2未満となると、表皮層の所望の厚みが得られず、印刷適性や強度が低下する傾向があり、100g/m2を超えると、コストがアップするとともに、乾式不織布と積層した場合に表層材としての質量(坪量)が大きくなり防火性能の観点から好ましくない。一方、中間層の乾式不織布の質量(目付)が40g/m2未満となると、所望のボリューム感が得られ難くなり、100g/m2を超えると、混抄紙と積層した場合に表層材としての質量(坪量)が大きくなり防火性能も低下する傾向がある。
【0027】
さらに、本発明の壁装材を構成する表層材は、壁装材施工時のタタミジワを防止するために、表皮層の混抄紙と中間層の乾式不織布における厚みの差や伸縮性の差をできるだけ小さくすることが好ましく、そのため本発明においては、混抄紙と乾式不織布の厚み比を1:1.5〜1:3の範囲に設定することが好ましい。厚み比を混抄紙1に対して乾式不織布を1.5未満としても、タタミジワを防止できるが、所望のボリューム感をもたらすために乾式不織布を1.5以上とする。一方、厚み比が混抄紙1に対して乾式不織布が3を超えた場合には、混抄紙と乾式不織布の厚みの差が大きくなるため、両者のバランスが悪く一体感に欠けタタミジワが発生しやすくなる。混抄紙の具体的な厚みは、印刷適性、ボリューム感、強度、コストなどを考慮すると、2.94cN/cm2荷重において0.15〜0.30mmの範囲に設定することが好ましく、従って、乾式不織布の厚みは、0.225〜0.90mmの範囲とすることが好ましい。
【0028】
表層材の裏面に貼り付けられる壁紙用裏打紙は、壁紙等の壁装材として使用される場合の施工性やエンボス加工性を向上させる機能を有する。代表的な壁紙用裏打紙としては、普通紙、難燃紙、水酸化アルミニウム紙等があり、通常木材パルプを主体とした素材で構成されているが、ここで用いる紙は、難燃加工された紙であっても良いし、無機質系のもの、あるいは非木材パルプ系のものであっても良い。尚、壁紙用裏打紙は、施工性、特に施工用接着剤の塗布から壁装材を壁面に貼り付けるまでの時間(オープンタイム)を長くした原紙、すなわち、施工用接着剤が壁装材の内部に浸透することを防止し、接着剤の乾きを遅くするための加工を施したものを選定するのが好ましい。このような壁紙用裏打紙としては、アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂の水溶液、或は、スルファミン酸グアニジン等の水溶性難燃剤にワックスを添加した水溶液を塗布又は含浸したもの等が挙げられる。
【0029】
本発明の壁装材は、表皮層の混抄紙と中間層の乾式不織布と裏層の壁紙用裏打紙の三層を接着剤あるいはその他の方法により積層して一体化させる。その積層方法には、通常用いられる有害ガス発生のない水系接着剤、例えば澱粉系、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル系樹脂等のエマルジョンタイプの接着剤や、溶剤系接着剤、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等を用いて貼り合わせる方法や各層をホットメルト樹脂や溶解状態の薄膜状熱可塑性樹脂で接着させる方法等がある。また表皮層と中間層および中間層と裏層は、それぞれ別の工程で接着させても良いし、同じ工程で連続的に同時に接着させても良い。表皮層と中間層は、場合によっては水流によって交絡一体化させることも可能である。
【0030】
表皮層の表面側は、必要に応じて印刷による絵柄模様の形成、すなわち化粧加工が施される。化粧加工の方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等が挙げられ、これらの方法を1種又は複数組み合わせることもできる。尚、化粧加工を施す場合は、エンボス加工前でもエンボス加工後でも良いが、撥水処理を行う場合は、撥水処理前に行うことが好ましい。
【0031】
凹凸模様を形成するためのエンボス加工は、表面に凹凸模様が刻設されたエンボスロールと表面がフラットなゴムロール又はペーパーロール等のバックロールとの間に、混抄紙と乾式不織布と壁紙用裏打紙を貼り合わせた積層シートを通して、積層シートの混抄紙表面側にエンボスロールを圧接し、引き続いて冷却することにより行われる。ビニル壁紙のエンボス加工と異なる点は、ビニル壁紙のエンボス加工では、シート側を予め加熱溶融し、これに冷却されたエンボスロールを圧接させるのに対して、本発明においては、シート側を加熱することなく、あるいは、軟化しない程度に加熱しておき、これに加熱されたエンボスロールを圧接するところである。
【0032】
エンボス加工の条件、すなわちエンボスロールの表面温度、圧力及び加工速度は、混抄紙を構成している合成繊維の種類に応じて適宜設定することができる。エンボスロールの表面温度は、混抄紙を構成している低融点の熱可塑性合成繊維の融点より高く、高融点の熱可塑性合成繊維の軟化点より低く設定するのが普通であるが、高速加工を行う場合は、高融点の熱可塑性合成繊維の軟化点より高く設定することもでき、一般的には、135〜260℃の範囲に設定するのが好ましい。また、圧力は160〜1200N/cm、加工速度は、10〜60m/分の範囲が好ましく採用できる。
【0033】
本発明の壁装材の表面は、必要に応じて撥水処理を施したり、合成樹脂塗布層を形成したり、あるいは、合成樹脂塗布層を形成後撥水処理を施して防汚性、耐水性、耐湿摩擦性等を向上させることができる。
【0034】
これらの撥水処理あるいは合成樹脂塗布層の形成は、壁装材が使用される場所、すなわち汚れの種類、汚れの頻度に応じて適宜選定して施される。例えば、天井や寝室の壁のように汚れ難い場所については加工の必要は無いが、リビングの壁のように比較的汚れ易い場所については、撥水処理か合成樹脂塗布層の形成が必要となる。また洗面所や台所の壁のように非常に汚れ易い場所については、合成樹脂塗布層の形成と撥水処理加工が要求される。
【0035】
本発明の壁装材表面に撥水処理のみを行う場合は、凹凸模様形成前後、すなわちエンボス加工の前後2回に分けて行うのが好ましい。エンボス加工前の撥水処理(1回目の撥水処理)は、シリコン系あるいはフッ素系樹脂塗工液を塗布又は転写することによって行われるが、壁装材に撥水性を付与する作用の他に、エンボスロールの離型性を良好にする効果もある。この離型効果は、製品の品質を向上させるだけでなく、エンボス加工時の加工速度をアップさせるのにも有効である。
【0036】
エンボス加工後の撥水処理(2回目の撥水処理)は、エンボス加工前に行われた1回目の撥水処理の斑を補うもので、壁装材の表面に斑のない撥水効果を付与させるものである。2回目の撥水処理に用いる塗工液は、エンボスロールの離型性向上効果を考慮する必要は無く、撥水性能又は防水(防湿)性能を持つ樹脂のうちシリコン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ワックス等から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂から選定され、その塗布量は、乾燥質量で0.2〜20g/m2とするのが好ましく、0.5〜10g/m2とするのがさらに好ましい。0.2g/m2未満の塗布量では必要とする撥水効果が得られず、20g/m2を超えるとコストがアップし不経済となる。
【0037】
なお、撥水処理を行う場合、印刷による化粧加工は、1回目の撥水処理の前に行うことが望ましい。
【0038】
このように撥水処理は、壁装材の表面に防汚性能を付与するものであるが、1回目の撥水処理のみでは、エンボスロールとの接触により撥水層に裂目が生じ、十分な撥水効果が得られない可能性がある。また、2回目の撥水処理のみでは、エンボス模様の凹凸により、全体に十分な撥水層を形成することができない。そのため、上述のように、凹凸模様形成前と後に2回の撥水処理を行うことにより、裂目のない撥水層が形成できるので十分な撥水性能を得ることができる。
【0039】
本発明の壁装材において、コットン繊維と合成繊維とからなる混抄紙の表面に合成樹脂塗布層を形成させる場合は、印刷による化粧加工の前でも後でも良く、形成された合成樹脂塗布層は、壁装材の防汚性、耐水性および耐湿摩擦性を向上させる機能を有する。なお、合成樹脂塗布層の形成が、印刷による化粧加工の前に行われた場合は、印刷適性も向上させる働きがある。
【0040】
合成樹脂としては、アクリル酸エステル系樹脂、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・メチルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂等が使用でき、必要に応じてワックスや無機粉体、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、各種無機水和物等の吸熱脱水反応を伴うもの、または、艶消し剤としてのシリカ、または、通常製紙用に使用されている炭酸カルシウム、カオリンクレー、タルク等を混合してなるコンパウンドをこれらの樹脂に配合して使用することもできる。
【0041】
合成樹脂の塗布は、通常抄紙後、インライン又はオフラインで行われるが、オフラインで行う場合には、コットン繊維と合成繊維とからなる混抄紙の裏面に乾式不織布を積層した後でも、更に前記乾式不織布の裏面に壁紙用裏打紙を積層した三層構造の積層シートを形成した後でも良い。合成樹脂の塗布量は、乾燥質量で1g〜15g/m2とすることが好ましく、3g〜8g/m2がさらに好ましい。塗布量が1g/m2未満の場合は、所望の耐湿摩擦性の向上が達成できない場合もあり、20g/m2を超えると表面が硬くなるとともに不経済となり、コットン繊維のソフトな風合いを損ねる傾向も見られる。
【0042】
また本発明による壁装材は、合成樹脂塗布層と撥水処理を併用して壁装材の防汚性をさらに向上させることができる。この場合は、前述の撥水処理のみを行う場合とは異なり、エンボス加工による凹凸模様を形成する前に合成樹脂塗布層を形成し、撥水処理は合成樹脂塗布層形成後であれば凹凸模様の形成前あるいは凹凸模様形成後の何れか、または両方行っても良い。
【0043】
【実施例】
以下に、本発明を実施例を挙げて具体的に記述するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0044】
[実施例1]
平均繊維長2mmのコットン繊維70質量%、融点が135℃で平均繊維長0.9mmのポリオレフィン系合成パルプ(商品名「SWP、E−400」三井化学株式会社製)30質量%を均一に混合した水分散液に、紙抄造に必要な慣用的な抄造助剤を配合して紙料を調製し、抄紙機により、坪量50g/m2、厚み0.18mm(2.94cN/cm2荷重における厚み:以下同じ)、密度約0.28g/cm3の表皮層としての混抄紙を抄造した。
【0045】
一方、5.0デニールのレーヨンステープル70質量%、2.0デニールの芯鞘構造のポリエステルステープル(芯部分が融点255〜260℃の高融点ポリエステル繊維、鞘部分が融点110℃の低融点ポリエステル繊維)30質量%とから目付50g/m2、厚み0.45mm、密度約0.11g/cm3の中間層としての水流絡合乾式不織布を作製した。
【0046】
次に、この乾式不織布の表面に表皮層としての前記混抄紙を押出しラミネート機により溶解状態の厚み10μのポリエチレンシートで接着させて、厚み0.63mmの表層材を作製した。
【0047】
更に、この表層材の裏面に、壁紙用裏打紙として坪量85g/m2の普通紙をエチレン−酢酸ビニル・エマルジョン接着剤(商品名「ボンドSP800」コニシ株式会社製)を用いて貼り合わせて、厚み0.73mm、質量193g/m2の壁装材原料シートを得た。
【0048】
この壁装材原料シートを、深度0.6mmの石目模様が彫刻されたエンボスロールと表面がフラットなバックロールとの間を通して、エンボスロールの表面温度200℃、圧力(線圧)260N/cm、加工速度30m/分の条件でシートの表面側にエンボス加工を行い、図1に示す構成の厚み0.55mmの壁装材を得た。
【0049】
[実施例2]
実施例1における壁装材原料シートの表面に印刷を施した後、水性タイプのシリコン系撥水剤を乾燥質量で2g/m2になるように塗布、乾燥して1回目の撥水処理を施し、厚み0.73mm、質量195g/m2の壁装材原料シートを得た。
【0050】
この壁装材原料シートを、実施例1と同様にしてエンボス加工を行った後、さらに、シリコン系撥水剤を乾燥質量で2g/m2になるように塗布して2回目の撥水処理を施し、厚み0.55mmの壁装材を得た。
【0051】
[実施例3]
実施例1における壁装材原料シートの表面に印刷を施した後、水性タイプのスチレン−アクリル系樹脂塗料を乾燥質量で4g/m2になるように塗布、乾燥して合成樹脂塗布層を形成し、厚み0.73mm、質量197g/m2の壁装材原料シートを得た。
【0052】
この壁装材原料シートを、実施例1と同様にしてエンボス加工を行って、厚み0.55mmの壁装材を得た。
【0053】
[実施例4]
実施例1における壁装材原料シートの表面に、水性タイプのスチレン−アクリル系樹脂塗料を乾燥質量で4g/m2になるように塗布、乾燥して合成樹脂塗布層を形成した後、印刷による化粧加工を施し、厚み0.73mm、質量197g/m2の壁装材原料シートを得た。
【0054】
この壁装材原料シートを、実施例1と同様にしてエンボス加工を行って、厚み0.55mmの壁装材を得た。
【0055】
[実施例5]
実施例3で得られた壁装材原料シートに、実施例1と同様にしてエンボス加工を行った後、さらに、シリコン系撥水剤を乾燥質量で2g/m2になるように塗布して撥水処理を施し、厚み0.55mmの壁装材を得た。
【0056】
[比較例1]
平均繊維長2mmのコットン繊維70質量%、融点が135℃で平均繊維長0.9mmのポリオレフィン系合成パルプ(商品名「SWP、E−400」三井化学株式会社製)30質量%を均一に混合した水分散液に、紙抄造に必要な慣用的な抄造助剤を配合して紙料を調整し、抄紙機により、坪量30g/m2、厚み0.10mm、密度約0.30g/cの表皮層としての混抄紙を抄造した。
【0057】
次に、実施例1と同様にして、目付50g/m2、厚み0.45mm、密度約0.11g/cm3の中間層としての水流絡合乾式不織布を作製した後、この乾式不織布の表面に表皮層としての前記混抄紙を押出しラミネート機により溶解状態の厚さ10μのポリエチレンシートで接着させて、厚み0.55mmの表層材を作製した。この時表層材を構成する前記混抄紙と前記乾式不織布の厚み比は1:4.5であった。
【0058】
更に、この表層材の裏面に、実施例1と同様にして壁紙用裏打を貼り合わせて、厚み0.65mm、質量193g/m2の壁装材原料シートを得た後、実施例1と同様にしてエンボス加工を行って、厚み0.47mmの壁装材を得た。
【0059】
[比較例2]
実施例1における混抄紙を、コットン繊維100質量%からなる紙に変えた以外は、実施例1と同様にして、乾式不織布を貼り合わせて表層材を作製し、さらにこの表層材の裏面への壁紙用裏打紙の貼り合わせを行い、厚み0.73mm、質量193g/m2の壁装材原料シートを得た。
この壁装材原料シートに、実施例1と同様にしてエンボス加工を行い、厚み0.58mmの壁装材を得た。
【0060】
[比較例3]
実施例1における混抄紙を、融点が135℃で平均繊維長0.9mmのポリオレフィン系合成パルプ(商品名「SWP、E−400」)100質量%に変えた以外は、実施例1と同様にして、乾式不織布を貼り合わせて表層材を作製し、さらに、この表層材の裏面への壁紙用裏打紙の貼り合わせを行い、厚み0.55mm、質量193g/m2の壁装材原料シートを得た。
この壁装材原料シートに、実施例1と同様にしてエンボス加工を行い、厚み0.35mmの壁装材を得た。
【0061】
[比較例4]
実施例1における乾式不織布を、5.0デニールのレーヨンステープル100質量%からなる乾式不織布に変えた以外は、実施例1と同様にして表層材を作製し、裏面への壁紙用裏打紙の貼り合わせを行い、厚み0.73mm、質量193g/m2の壁装材原料シートを得た。
この壁装材原料シートに、実施例1と同様にしてエンボス加工を行い、厚み0.58mmの壁装材を得た。
【0062】
[比較例5]
実施例1における乾式不織布を、芯鞘構造のポリエステルステープル100質量%からなる乾式不織布に変えた以外は、実施例1と同様にして表層材を作製し、裏面への壁紙用裏打紙の貼り合わせを行い、厚み0.52mm、質量193g/m2の壁装材原料シートを得た。
この壁装材原料シートに、実施例1と同様にしてエンボス加工を行い、厚み0.30mmの壁装材を得た。
【0063】
[比較例6]
実施例1と同様にして、坪量40g/m2、厚み0.15mm、密度約0.28g/cm3の表皮層としての混抄紙を抄造した。
【0064】
次に、実施例1と同様にして、目付140g/m2、厚み0.88mm、密度約0.16g/cm3の中間層としての水流絡合乾式不織布を作製した後、この乾式不織布の表面に表皮層としての前記混抄紙を押出しラミネート機により溶解状態の厚さ10μのポリエチレンシートで接着させて、厚み1.03mm、質量180g/m2の表層材を作製した。この時表層材を構成する前記混抄紙と前記乾式不織布の厚み比は1:5.9であった。
【0065】
更に、この表層材の裏面に、実施例1と同様にして壁紙用裏打を貼り合わせて、厚み1.13mm、質量265g/m2の壁装材原料シートを得た後、実施例1と同様にしてエンボス加工を行って、厚さ0.63mmの壁装材を得た。
【0066】
前記実施例1〜5および比較例1〜6で得られた壁装材について、エンボス加工性、印刷加工性、ボリューム感、防火性、耐湿摩擦性、型崩れ性、撥水性、防汚性、風合い、接着性、タタミジワ防止性を以下の基準に従って評価した結果を表1に示す。
【0067】
〈エンボス加工性の評価〉
壁装材の表面に形成された凹凸模様を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
○:凹凸感に優れたエンボス模様が形成された。
△:エンボス模様は形成されたが凹凸感に乏しかった。
×:ほとんど凹凸がなく、凹凸感に乏しかった。
【0068】
〈印刷加工性の評価〉
壁装材原料シートの印刷状態を目視にて観察し、印刷適性及び印刷状態の安定性を標準サンプル(ビニル壁紙の印刷見本)と比較した。
○ :標準サンプルとほぼ同等。
○△:印刷適性は標準サンプルより僅かに劣る。
△ :標準サンプルより劣るが、使用できる。
× :標準サンプルより非常に劣り、使用できない。
【0069】
〈ボリューム感の評価〉
壁装材の凸部の厚みを測定し、エンボス加工前の厚みとの差(減少率)により判定した。
○:厚みの減少率が20%未満であった。
△:厚みの減少率が20%以上、35%未満であった。
×:厚みの減少率が35%以上であった。
【0070】
〈防火性の評価〉
壁装材をISO5560 part1に準拠したコーンカロリーメーターによる試験に従って準不燃の防火性能を評価した。
○:加熱開始後10分後の総発熱量が、8MJ/m2以下であった。
×:加熱開始後10分後の総発熱量が、8MJ/m2を超えていた。
【0071】
〈耐湿摩擦性の評価〉
壁装材をJISA6921(1998)の試験方法に基づき湿潤摩擦試験を行い、摩擦回数25回後の表面状態を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
○ :表面状態に特に変化は見られなかった。
○△:表面が僅かに削れたように見える。
△ :表面が削れて紙粉が発生した。
× :表面が削れて印刷層が取れてしまった。
【0072】
〈型崩れ性の評価〉
壁装材を水に30分間浸漬する。その後直ちに施工用ローラーにて壁装材表面を5往復ローラー掛けし、凹凸模様の変化を目視にて観察する。その結果を下記の基準に従って評価した。
○:凹凸模様に変化は見られなかった。
△:凹凸模様が潰れて形状が変化した。
×:凹凸模様が潰れてなくなってしまった。
【0073】
〈撥水性の評価〉
壁装材の表面に、染料で色をつけた水0.1ccをスポイトにてたらした後、水が浸透するまでの時間を測定し、その結果を下記の基準に従って評価した。
○ :水が浸透するまでの時間が10分以上。
○△:水が浸透するまでの時間が5分以上10分未満。
△ :水が浸透するまでの時間が1分以上5分未満。
× :水が浸透するまでの時間が1分以未満。
【0074】
〈防汚性の評価〉
ホコリ汚れを想定して作成した汚染物を壁装材表面に擦り付け、24時間放置後水を含ませた布で拭き取り、汚れの除去状態を目視にて観察する。その結果を下記の基準に従って評価した。
○ :汚れが残らない。
○△:殆ど汚れが残らない。
△ :やや汚れが残る。
× :かなり汚れが残る。
【0075】
〈風合いの評価〉
壁装材のソフト感及び表面タッチを下記の基準に従って評価した。
○ :壁装材自体がソフトで、表面タッチもさらっとしている。
○△:壁装材自体はソフトであるが、表面タッチががさついている。
△ :壁装材自体は硬いが、表面タッチはさらっとしている。
× :壁装材自体が硬く、表面タッチもがさついている。
【0076】
〈接着性の評価〉
壁装材の中間層(乾式不織布)と表皮層(混抄紙)との接着性を下記の操作によって確認した。
○:手で剥がしても剥がれない(接着性が強い)
△:手で剥がすと剥がれるが実用上問題は無い(やや接着性が劣る)
×:手で剥がすと簡単に剥がれる(接着性が劣る)
【0077】
〈タタミジワ防止性の評価〉
壁装材の裏面に水性の施工用接着剤を塗布し、接着剤が乾かないように接着剤塗布面同士を合わせながら折りたたみ15分間放置する。次に、この壁装材を石膏ボード下地の壁面に張り付け、24時間経過後のタタミジワの有無を観察する。
○:殆どタタミジワが残らない。
△:僅かにタタミジワが残る。
×:非常にタタミジワが目立つ。
【0078】
【表1】
【0079】
表1に示す如く、本発明の実施例1から実施例5の壁装材は、エンボス加工性、印刷加工性、ボリューム感、防火性、型崩れ性、風合い、接着性、タタミジワ防止性については、すべて優れていた。また、その他の機能性及び物性も、必要に応じて撥水処理または合成樹脂塗布層の形成、さらには合成樹脂塗布層の形成と撥水処理との組み合わせにより、優れた性能が得られることが実証された。例えば、耐湿摩擦性及び防汚性については実施例3、実施例4、実施例5、撥水性については実施例2、実施例3、実施例4、実施例5の壁装材で優れた結果が示されている。
【0080】
これに対して、実施例1の混抄紙に代えてコットン繊維のみからなる紙を用いた比較例2、および実施例1の乾式不織布に代えてレーヨンステープルのみからなる乾式不織布を用いた比較例4は、エンボス加工性、型崩れ性及び接着性が劣っていた。さらに、実施例1の混抄紙に代えて合成繊維のみからなる紙を用いた比較例3、および実施例1における乾式不織布に代えて合成繊維のみからなる乾式不織布を用いた比較例5は、ボリューム感の低下と風合いの悪さが見られた。
また、実施例1の混抄紙の坪量と厚みを落とし、それにより乾式不織布との厚み比が変わった比較例1、および乾式不織布の目付を高め、それにより混抄紙との厚み比が変わった比較例6は、タタミジワ防止性が劣っていた。
尚、タタミジワ防止性が僅かに劣っていた比較例3は、表皮層である混抄紙が合成繊維のみからなる紙であったためエンボス時に潰れて薄くなり、混抄紙と乾式不織布との厚みのバランスがくずれたためと考えられる。また、壁装材の質量が250g/m2を超えた比較例6は、準不燃の防火性能が不合格であった。
【0081】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の壁装材は、コットン繊維を含む混抄紙の表皮層と、嵩高な乾式不織布の中間層から構成される表層材を備えているため、ボリューム感があり、しかもコットン繊維の持つソフトな風合いをもたらすことができる。
【0082】
また、混抄紙および乾式不織布中に含有させる合成繊維として、エンボス加工時に溶融あるいは軟化する熱可塑性合成繊維を用いることにより、エンボス加工時に熱可塑性合成繊維が融着あるいは軟化して繊維間の結合力が高まるため、優れた凹凸模様が形成されるとともに、凹凸模様に型崩れ防止効果も付与することができる。
【0083】
また、混抄紙の表皮層と乾式不織布の中間層の質量を一定の範囲とすると共に、それらの厚み比を一定の範囲内に抑えることで、壁装材の施工時におけるタタミジワを防止することができる。
【0084】
さらに、必要に応じて撥水処理、合成樹脂塗布層の形成およびこれらの加工を組み合わせることにより、撥水性、耐湿摩擦性、防汚性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の壁装材の実施態様を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1:混抄紙
2:乾式不織布
3:壁紙用裏打紙
4:凹凸模様
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニル壁紙のように塩化ビニル樹脂を使用せず、無公害性のコットン繊維を表層材に用いた壁装材に関するものであり、さらに詳しくは、ソフトな風合いを持ち、ボリューム感があり、優れた加工性と施工性を備え、しかも型崩れが生じにくい凹凸模様を有する新規かつ改良された壁装材、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
住宅の壁面や天井に使用される壁紙等の壁装材としては、従来から塩化ビニル樹脂製のビニル壁紙が多く使用されている。ビニル壁紙は、価格が安く加工特性、耐水性、防汚性、施工性等に優れ、デザイン性の豊富さから優位性を保ってきたが、近年の環境問題からビニル壁紙の燃焼時に発生する塩化水素ガスやビニル化粧層中に含まれている可塑剤の居住空間への揮発が問題視されている。
【0003】
このため、塩化ビニル樹脂に代わる素材としてオレフィン系樹脂、紙、不織布など種々の非ハロゲン素材が検討されている。中でも紙や不織布を用いた壁紙は、ビニル壁紙と比較して風合いが自然で暖かみがあるため、それぞれの素材を生かした提案が数多く行われている。しかしながら、紙パルプを主材とする壁装材は凹凸模様の形成方法として互いに篏合する凸部を形成した雄ロールと凹部を形成した雌ロールとを組み合わせたエンボス装置が使用されるため、製品の表裏に凹凸模様が形成され施工しにくいという欠点がある。さらに、このエンボス装置で形成された凹凸模様は、施工時におけるローラー掛け等の僅かな圧力や水分の影響により型崩れが発生するという問題もあった。
【0004】
そこで前記の問題点を解決する方法として、表裏に形成された凹凸模様の裏側に壁紙用裏打紙を貼り合わせて平らにする工夫が行われたり、表面に保護フィルムを貼り合わせて型崩れや水分の影響を抑える方法が取られているが、壁紙用裏打紙の接着が甘く剥れやすいという欠点や、保護フィルムを貼り合わせるためコストが高く、しかも、型崩れが完全に抑えられないという問題を有している。
【0005】
紙パルプを主材とする壁装材であっても、ビニル壁紙の凹凸模様形成に使われる通常のエンボス装置を使用しうる技術が特開平9−31900号公報で提案されている。すなわちビニル壁紙に通常使われるエンボス装置は、表面に凹凸模様を刻設したエンボスロールと表面がフラットなバックロールとから構成されていて、予め加熱したビニル壁紙をこれらロールの間に通すことによって凹凸模様を形成させるものである。上記の特開平9−31900号公報の技術は、紙パルプ繊維とオレフィン繊維を含有したシートを予め加熱し、これを上記したビニル壁紙に使われる通常のエンボス装置により凹凸模様を形成させるものである。
【0006】
しかしながら、紙パルプ繊維とオレフィン繊維を含有したシートを用いる上記の壁装材においては、エンボス装置で形成された凹凸模様が型崩れしにくいという利点は有るものの、ボリューム感のある十分な凹凸模様を形成させた場合には凹凸模様が裏面にまで及んだり、これを防止するためシートを厚くすると、硬くて柔軟性に欠けるものとなる。
【0007】
また不織布を使用した壁装材として、例えば特開平10−96197号公報には壁紙用原紙の片面に塩素を含まない有機繊維からなるパンチング不織布を接着剤で接着した後、この不織布面に熱成形可能な温度に加熱されたエンボスロールを圧接して凹凸模様を形成する壁紙の製造方法が提案されている。この製造方法によって得られる壁紙は、風合いがソフトで暖かみがあり、ボリューム感に優れたものではあるが、乾式製法により長繊維が嵩高な状態で絡合されている不織布を使用しているため印刷加工性が劣り、安定した品質を確保する事が困難である。さらにこの公開公報には、不織布を多層構造とし、表面層を裏面層よりも緻密に形成することも提案されているが、この場合も乾式製法としての限界があり、しかも緻密にすればするほどコストがアップし実用性が乏しいものとなる。
【0008】
また特開2001−1698号公報には、裏打紙(裏層)と、その上に積層された乾式法による低密度の不織布(中層)と、さらにその上に積層される湿式法により得られた不織布または紙(表層)からなる三層構造の壁紙が提案されている。しかしながら、表層の不織布または紙は繊維としてパルプを主体として用いているため、硬く、伸縮性、柔軟性に欠けたものとなり易い。この傾向は表層が厚くなればなるほど大きくなるため、印刷性、エンボス性を考慮すると表層の密度を或る程度を高くし、厚みを薄くすることが必要となる。このためボリューム感のある壁紙を製造しようとする場合は、中層の乾式不織布を厚くせざるを得なくなり、表層と中層と裏層(裏打紙)を積層した三層構造の壁紙とした場合、伸縮性がなく薄い表層と裏層とが低密度で厚い不織布の中層の両面にサンドイッチ状に構成される結果、積層された各層の厚みの差、密度差、伸縮性の差が大きくなり、壁紙を折りたたんだ時に折り線に沿ってタタミジワが発生し易くなる。
【0009】
壁紙を施工する場合、ヨーロッパでは向こう糊といって施工糊を壁側に塗布して壁紙を張り付けるが、日本では壁紙の裏打紙に施工糊を塗布して壁に張り付ける施工方法がとられている。この違いは建物の下地材の相違からくることも考えられるが、日本の場合職人が施工するケースが大半であり、作業の効率化をはかるための施工方法とも言える。すなわち日本では、あらかじめ壁紙に施工糊を塗布したものを必要量用意しておき一斉に壁紙を張り付ける。施工糊が塗布された壁紙は、糊が乾かないように糊面同士を合わせた形で折りたたんで積み重ねられ、壁に張り付けられるまで放置される。この時、折りたたまれた部分のタタミジワが施工後も消えずに残っているとクレームとして扱われる。
【0010】
このように特開2001−1698号公報による発明は、表層における素材の選定とその構造上の問題から、中層に乾式不織布を用いてボリューム感のある壁紙を製造した場合、壁紙施工時にタタミジワが発生しやすいという問題を含んでいる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術における問題に着目してなされたもので、その課題とするところは、ビニル壁紙にみられるような燃焼時の有害ガス発生がなく、ソフトでボリューム感がありしかも型崩れが生じにくい凹凸模様を有し、エンボス加工性や印刷加工性、更には施工性、特にタタミジワ防止性に優れた壁装材およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、壁紙用裏打紙の上に乾式不織布の層を設け、さらにこの上に表皮層を設けた三層構造の壁装材における表皮層として、繊維の芯部分が中空で繊維自体にねじれの構造を持つコットン繊維を合成繊維とともに混抄して得られた嵩高でソフトな混抄紙を使用することで、上記目的を達成し得る壁装材が得られることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明による壁装材は、コットン繊維と合成繊維とからなる混抄紙と、前記混抄紙の裏面に積層された乾式不織布と、前記乾式不織布の裏面に積層された壁紙用裏打紙とからなり、前記混抄紙の表面側に前記混抄紙と前記乾式不織布とを一体化したエンボス加工による凹凸模様が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
上記の壁装材は、コットン繊維と合成繊維とからなる混抄紙を抄造する工程と、前記混抄紙の裏面に乾式不織布を積層する工程と、前記乾式不織布の裏面に壁紙用裏打紙を積層する工程と、前記混抄紙、乾式不織布及び壁紙用裏打紙からなる積層シートを、加熱されたエンボスロールとバックロールとの間隙を通して、前記混抄紙の表面側にエンボスロールを圧接することにより、前記混抄紙及び乾式不織布に凹凸加工を施す工程からなることを特徴とした壁装材の製造方法により製造することができる。
【0014】
【発明実施の形態】
図1は、本発明による壁装材の実施態様の断面図を模式的に示すものであり、コットン繊維と合成繊維からなる混抄紙1の裏面に乾式不織布2が積層され、乾式不織布2の裏面に壁紙用裏打紙3が積層され、混抄紙1の表面側にエンボス加工による凹凸模様4が形成されている。
【0015】
かような構成の本発明においては、裏打紙3の表面に形成する表層材を上層と下層とから構成し、上層(表皮層)としてコットン繊維に合成繊維を混抄した混抄紙1を使用するとともに、下層(中間層)として合成繊維を含んだ乾式不織布2を使用することにより、ソフトでボリューム感があり、しかも印刷加工性、エンボス加工性、施工性の良好な壁装材を得ることができる。
【0016】
本発明で用いられるコットン繊維は、製紙用に用いられるコットンリンター又は綿パルプと呼ばれる短繊維であり、平均繊維長1〜5mmのものが好ましく使用できる。コットン繊維の繊維長が長くなると抄紙機で抄造し難くなり、繊維長が短くなると混抄紙の強度が劣る傾向がある。
【0017】
コットン繊維と混抄する合成繊維としては、塩化ビニル系樹脂などのハロゲン系樹脂以外であれば、任意の合成繊維が選択可能であり、エンボス加工時に溶融する融点、或いはエンボス加工時に軟化して可塑性を発現する軟化点を有する熱可塑性合成繊維が好ましく使用できる。特に低融点の熱可塑性合成繊維を使用することにより、エンボス加工時に溶融して繊維間の結合力を高めたり、ヒートセット性を良好にし、凹凸模様の型崩れを起こしにくくすることができる。このような低融点の熱可塑性合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系繊維またはポリオレフィン合成パルプと称される親水性を有するパルプ状多分岐繊維、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)繊維、低融点ポリエチレンテレフタレート繊維およびこれらの混合物又は複合繊維が代表的なものとして挙げられ、融点が80〜160℃、特に110〜140℃のものを選定するのが好ましい。融点が80℃未満では加工時の作業性に影響し、160℃を超えると繊維間の融着とヒートセット性が困難となる傾向が見られる。
【0018】
合成繊維としては、低融点の熱可塑性合成繊維と高融点の熱可塑性合成繊維を貼り合わせたバイメタル構造、高融点の熱可塑性合成繊維を芯とし、低融点の熱可塑性合成繊維を鞘とする芯鞘構造等の複合繊維を使用することもできる。特に、芯鞘構造の複合繊維を用いる場合は、エンボス加工時に低融点の鞘部分が溶融しても、高融点の芯部分の繊維形態が残るので芯繊維の風合いを持たせることができる。芯鞘型複合繊維としては、例えば、芯部分に融点が255〜260℃である熱可塑性ポリエチレンテレフタレート繊維(以下、高融点ポリエステル繊維という)を有し、鞘部分として融点が125〜135℃である熱可塑性ポリエチレン繊維や、融点が約110〜160℃の範囲にある熱可塑性ポリエチレンテレフタレート繊維(以下、低融点ポリエステル繊維という)を有するもの、あるいは、芯部分に融点が165〜173℃である熱可塑性ポリプロピレン繊維を有し、鞘部分として融点が125〜135℃である熱可塑性ポリエチレン繊維や、融点が120〜130℃のEVA繊維等が挙げられる。
【0019】
これらの合成繊維の形態は、抄紙機で抄造できる範囲にあれば短繊維でも長繊維でも良いが、印刷適性を考慮すると0.6mm〜10mmの範囲で選定するのが望ましい。
【0020】
コットン繊維と合成繊維からなる混抄紙におけるコットン繊維と合成繊維の混合割合は、質量%比で50:50〜95:5であることが望ましい。合成繊維の混合割合が5質量%未満では、エンボス加工時に乾式不織布に含有された合成繊維との融着が不十分で、2層間での接着が甘く剥離しやすくなると共にエンボス加工性が低下し、形成された凹凸模様の型崩れも起こりやすくなる。一方、合成繊維の混合割合が50質量%を超えるとコットン繊維が少なくなるためエンボス加工時に潰れてボリューム感やソフトな風合いが損なわれ、更には混抄紙からなる表皮層が薄くなるため乾式不織布からなる中間層との厚み差が大きくなる結果、壁装材の施工時にタタミジワが発生し易くなる傾向がある。
【0021】
コットン繊維と合成繊維の混抄紙を抄造する際には、所定の割合で混合された原料繊維の水分散液に、従来から慣用されている抄造助剤、例えば、タルク、カオリン等の填料、サイズ剤、紙力増強剤、定着剤、内添バインダー、寸法安定化剤等を配合して紙料を調整し、抄紙機を用いて常法により抄紙する。
【0022】
本発明においては表層材の下層(中間層)として、乾式製法により製造された嵩高な乾式不織布が用いられる。この乾式不織布を構成する繊維としては、塩化ビニル系樹脂などのハロゲン系樹脂からなる合成繊維以外であれば種々のものを選ぶことができる。例えば、セルロース系繊維である木材パルプ、コットン、マニラ麻等の天然繊維やレーヨン等の再生繊維、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維等の合成繊維を混合、積層した乾式不織布が用いられるが、壁装材のボリューム感、エンボス加工性、型崩れ防止性(形態安定性)および上層(表皮層)の混抄紙との接着性を考慮すると、セルロース系繊維と合成繊維の混合繊維からなり、セルロース系繊維と合成繊維との混合割合が質量%比で90:10〜50:50のものが好ましく使用できる。また合成繊維としては、前述のコットン繊維と合成繊維とからなる混抄紙で用いたものと同様な熱可塑性合成繊維を用いることが好ましい。熱可塑性合成繊維が10%未満では、エンボス加工時に前記混抄紙中に混抄された合成繊維との融着が不十分で、2層間での剥離が甘く剥離しやすくなると共にエンボス加工性と形態安定性も低下し、50質量%を超えると壁装材の風合いとボリューム感が低下する傾向がみられる。
【0023】
乾式不織布のウェブ形態としては、ステープル繊維からなるパラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスレイウェブ、クリスクロスウェブなどのカードウェブ、長繊維からなるスパンボンドウェブ、短繊維からなるエアレイウェブなどの乾式繊維ウェブが挙げられる。次いで、ケミカルボンド、サーマルボンド、ニードルパンチ、水流交絡などを1または2以上組み合わせて繊維同士を結合させる。特に、ニードルパンチや水流交絡などの三次元交絡処理を施こすことにより、繊維同士が厚み方向にも配列することになり、前記混抄紙との積層一体化やエンボス模様付与に効果をもたらす。
【0024】
本発明の壁装材は、表皮層の混抄紙と中間層の乾式不織布とが積層された表層材の裏面に壁紙用裏打紙が積層された三層構造からなっている。ボリューム感のある壁装材は表層材を厚くすることで得られるため、混抄紙或いは乾式不織布の単一素材のみで厚みのある表層材とすればボリューム感をもたせることも可能である。しかしながら目標とするボリューム感を得るために、混抄紙のみからなる表層材を厚くした場合にはコストが高くつき、乾式不織布のみからなる表層材を厚くした場合には印刷適性が低下して実用性に欠けたものとなってしまう。そこで本発明においては、表層材を表皮層と中間層とから構成し、コットン繊維と合成繊維からなる湿式法で抄造されたソフトで比較的厚みのある混抄紙を表皮層として用いることにより優れた印刷適性をもたらすことができ、乾式法により低コストで得られる厚みのある乾式不織布を中間層として用いることにより十分なボリューム感を備えた表層材とすることができる。
【0025】
本発明の壁装材は、防火性能を考慮すると、壁装材全体の質量を250g/m2以下とすることが好ましい。壁装材の質量がこの値を超えると発熱量が増加して防火性能が低下する傾向がある。一方、壁紙用裏打紙の坪量は50〜120g/m2の範囲とすることが好ましい。裏打紙の坪量が50g/m2未満になると隠蔽性が悪くなると共に強度が低下し、120g/m2を超えると壁装材が硬くなり施工し難くなる。かような観点から、表層材の質量(壁装材全体の質量から裏打紙の坪量を差し引いたもの)は200g/m2以下とすることが望ましい。
【0026】
また、印刷適性、ボリューム感、強度、コストなどを考慮すると、表層材を構成する表皮層の混抄紙および中間層の乾式不織布の質量はいずれも40g〜100g/m2の範囲とすることが好ましい。表皮層の混抄紙の質量(坪量)が40g/m2未満となると、表皮層の所望の厚みが得られず、印刷適性や強度が低下する傾向があり、100g/m2を超えると、コストがアップするとともに、乾式不織布と積層した場合に表層材としての質量(坪量)が大きくなり防火性能の観点から好ましくない。一方、中間層の乾式不織布の質量(目付)が40g/m2未満となると、所望のボリューム感が得られ難くなり、100g/m2を超えると、混抄紙と積層した場合に表層材としての質量(坪量)が大きくなり防火性能も低下する傾向がある。
【0027】
さらに、本発明の壁装材を構成する表層材は、壁装材施工時のタタミジワを防止するために、表皮層の混抄紙と中間層の乾式不織布における厚みの差や伸縮性の差をできるだけ小さくすることが好ましく、そのため本発明においては、混抄紙と乾式不織布の厚み比を1:1.5〜1:3の範囲に設定することが好ましい。厚み比を混抄紙1に対して乾式不織布を1.5未満としても、タタミジワを防止できるが、所望のボリューム感をもたらすために乾式不織布を1.5以上とする。一方、厚み比が混抄紙1に対して乾式不織布が3を超えた場合には、混抄紙と乾式不織布の厚みの差が大きくなるため、両者のバランスが悪く一体感に欠けタタミジワが発生しやすくなる。混抄紙の具体的な厚みは、印刷適性、ボリューム感、強度、コストなどを考慮すると、2.94cN/cm2荷重において0.15〜0.30mmの範囲に設定することが好ましく、従って、乾式不織布の厚みは、0.225〜0.90mmの範囲とすることが好ましい。
【0028】
表層材の裏面に貼り付けられる壁紙用裏打紙は、壁紙等の壁装材として使用される場合の施工性やエンボス加工性を向上させる機能を有する。代表的な壁紙用裏打紙としては、普通紙、難燃紙、水酸化アルミニウム紙等があり、通常木材パルプを主体とした素材で構成されているが、ここで用いる紙は、難燃加工された紙であっても良いし、無機質系のもの、あるいは非木材パルプ系のものであっても良い。尚、壁紙用裏打紙は、施工性、特に施工用接着剤の塗布から壁装材を壁面に貼り付けるまでの時間(オープンタイム)を長くした原紙、すなわち、施工用接着剤が壁装材の内部に浸透することを防止し、接着剤の乾きを遅くするための加工を施したものを選定するのが好ましい。このような壁紙用裏打紙としては、アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂の水溶液、或は、スルファミン酸グアニジン等の水溶性難燃剤にワックスを添加した水溶液を塗布又は含浸したもの等が挙げられる。
【0029】
本発明の壁装材は、表皮層の混抄紙と中間層の乾式不織布と裏層の壁紙用裏打紙の三層を接着剤あるいはその他の方法により積層して一体化させる。その積層方法には、通常用いられる有害ガス発生のない水系接着剤、例えば澱粉系、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル系樹脂等のエマルジョンタイプの接着剤や、溶剤系接着剤、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等を用いて貼り合わせる方法や各層をホットメルト樹脂や溶解状態の薄膜状熱可塑性樹脂で接着させる方法等がある。また表皮層と中間層および中間層と裏層は、それぞれ別の工程で接着させても良いし、同じ工程で連続的に同時に接着させても良い。表皮層と中間層は、場合によっては水流によって交絡一体化させることも可能である。
【0030】
表皮層の表面側は、必要に応じて印刷による絵柄模様の形成、すなわち化粧加工が施される。化粧加工の方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等が挙げられ、これらの方法を1種又は複数組み合わせることもできる。尚、化粧加工を施す場合は、エンボス加工前でもエンボス加工後でも良いが、撥水処理を行う場合は、撥水処理前に行うことが好ましい。
【0031】
凹凸模様を形成するためのエンボス加工は、表面に凹凸模様が刻設されたエンボスロールと表面がフラットなゴムロール又はペーパーロール等のバックロールとの間に、混抄紙と乾式不織布と壁紙用裏打紙を貼り合わせた積層シートを通して、積層シートの混抄紙表面側にエンボスロールを圧接し、引き続いて冷却することにより行われる。ビニル壁紙のエンボス加工と異なる点は、ビニル壁紙のエンボス加工では、シート側を予め加熱溶融し、これに冷却されたエンボスロールを圧接させるのに対して、本発明においては、シート側を加熱することなく、あるいは、軟化しない程度に加熱しておき、これに加熱されたエンボスロールを圧接するところである。
【0032】
エンボス加工の条件、すなわちエンボスロールの表面温度、圧力及び加工速度は、混抄紙を構成している合成繊維の種類に応じて適宜設定することができる。エンボスロールの表面温度は、混抄紙を構成している低融点の熱可塑性合成繊維の融点より高く、高融点の熱可塑性合成繊維の軟化点より低く設定するのが普通であるが、高速加工を行う場合は、高融点の熱可塑性合成繊維の軟化点より高く設定することもでき、一般的には、135〜260℃の範囲に設定するのが好ましい。また、圧力は160〜1200N/cm、加工速度は、10〜60m/分の範囲が好ましく採用できる。
【0033】
本発明の壁装材の表面は、必要に応じて撥水処理を施したり、合成樹脂塗布層を形成したり、あるいは、合成樹脂塗布層を形成後撥水処理を施して防汚性、耐水性、耐湿摩擦性等を向上させることができる。
【0034】
これらの撥水処理あるいは合成樹脂塗布層の形成は、壁装材が使用される場所、すなわち汚れの種類、汚れの頻度に応じて適宜選定して施される。例えば、天井や寝室の壁のように汚れ難い場所については加工の必要は無いが、リビングの壁のように比較的汚れ易い場所については、撥水処理か合成樹脂塗布層の形成が必要となる。また洗面所や台所の壁のように非常に汚れ易い場所については、合成樹脂塗布層の形成と撥水処理加工が要求される。
【0035】
本発明の壁装材表面に撥水処理のみを行う場合は、凹凸模様形成前後、すなわちエンボス加工の前後2回に分けて行うのが好ましい。エンボス加工前の撥水処理(1回目の撥水処理)は、シリコン系あるいはフッ素系樹脂塗工液を塗布又は転写することによって行われるが、壁装材に撥水性を付与する作用の他に、エンボスロールの離型性を良好にする効果もある。この離型効果は、製品の品質を向上させるだけでなく、エンボス加工時の加工速度をアップさせるのにも有効である。
【0036】
エンボス加工後の撥水処理(2回目の撥水処理)は、エンボス加工前に行われた1回目の撥水処理の斑を補うもので、壁装材の表面に斑のない撥水効果を付与させるものである。2回目の撥水処理に用いる塗工液は、エンボスロールの離型性向上効果を考慮する必要は無く、撥水性能又は防水(防湿)性能を持つ樹脂のうちシリコン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ワックス等から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂から選定され、その塗布量は、乾燥質量で0.2〜20g/m2とするのが好ましく、0.5〜10g/m2とするのがさらに好ましい。0.2g/m2未満の塗布量では必要とする撥水効果が得られず、20g/m2を超えるとコストがアップし不経済となる。
【0037】
なお、撥水処理を行う場合、印刷による化粧加工は、1回目の撥水処理の前に行うことが望ましい。
【0038】
このように撥水処理は、壁装材の表面に防汚性能を付与するものであるが、1回目の撥水処理のみでは、エンボスロールとの接触により撥水層に裂目が生じ、十分な撥水効果が得られない可能性がある。また、2回目の撥水処理のみでは、エンボス模様の凹凸により、全体に十分な撥水層を形成することができない。そのため、上述のように、凹凸模様形成前と後に2回の撥水処理を行うことにより、裂目のない撥水層が形成できるので十分な撥水性能を得ることができる。
【0039】
本発明の壁装材において、コットン繊維と合成繊維とからなる混抄紙の表面に合成樹脂塗布層を形成させる場合は、印刷による化粧加工の前でも後でも良く、形成された合成樹脂塗布層は、壁装材の防汚性、耐水性および耐湿摩擦性を向上させる機能を有する。なお、合成樹脂塗布層の形成が、印刷による化粧加工の前に行われた場合は、印刷適性も向上させる働きがある。
【0040】
合成樹脂としては、アクリル酸エステル系樹脂、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・メチルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂等が使用でき、必要に応じてワックスや無機粉体、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、各種無機水和物等の吸熱脱水反応を伴うもの、または、艶消し剤としてのシリカ、または、通常製紙用に使用されている炭酸カルシウム、カオリンクレー、タルク等を混合してなるコンパウンドをこれらの樹脂に配合して使用することもできる。
【0041】
合成樹脂の塗布は、通常抄紙後、インライン又はオフラインで行われるが、オフラインで行う場合には、コットン繊維と合成繊維とからなる混抄紙の裏面に乾式不織布を積層した後でも、更に前記乾式不織布の裏面に壁紙用裏打紙を積層した三層構造の積層シートを形成した後でも良い。合成樹脂の塗布量は、乾燥質量で1g〜15g/m2とすることが好ましく、3g〜8g/m2がさらに好ましい。塗布量が1g/m2未満の場合は、所望の耐湿摩擦性の向上が達成できない場合もあり、20g/m2を超えると表面が硬くなるとともに不経済となり、コットン繊維のソフトな風合いを損ねる傾向も見られる。
【0042】
また本発明による壁装材は、合成樹脂塗布層と撥水処理を併用して壁装材の防汚性をさらに向上させることができる。この場合は、前述の撥水処理のみを行う場合とは異なり、エンボス加工による凹凸模様を形成する前に合成樹脂塗布層を形成し、撥水処理は合成樹脂塗布層形成後であれば凹凸模様の形成前あるいは凹凸模様形成後の何れか、または両方行っても良い。
【0043】
【実施例】
以下に、本発明を実施例を挙げて具体的に記述するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0044】
[実施例1]
平均繊維長2mmのコットン繊維70質量%、融点が135℃で平均繊維長0.9mmのポリオレフィン系合成パルプ(商品名「SWP、E−400」三井化学株式会社製)30質量%を均一に混合した水分散液に、紙抄造に必要な慣用的な抄造助剤を配合して紙料を調製し、抄紙機により、坪量50g/m2、厚み0.18mm(2.94cN/cm2荷重における厚み:以下同じ)、密度約0.28g/cm3の表皮層としての混抄紙を抄造した。
【0045】
一方、5.0デニールのレーヨンステープル70質量%、2.0デニールの芯鞘構造のポリエステルステープル(芯部分が融点255〜260℃の高融点ポリエステル繊維、鞘部分が融点110℃の低融点ポリエステル繊維)30質量%とから目付50g/m2、厚み0.45mm、密度約0.11g/cm3の中間層としての水流絡合乾式不織布を作製した。
【0046】
次に、この乾式不織布の表面に表皮層としての前記混抄紙を押出しラミネート機により溶解状態の厚み10μのポリエチレンシートで接着させて、厚み0.63mmの表層材を作製した。
【0047】
更に、この表層材の裏面に、壁紙用裏打紙として坪量85g/m2の普通紙をエチレン−酢酸ビニル・エマルジョン接着剤(商品名「ボンドSP800」コニシ株式会社製)を用いて貼り合わせて、厚み0.73mm、質量193g/m2の壁装材原料シートを得た。
【0048】
この壁装材原料シートを、深度0.6mmの石目模様が彫刻されたエンボスロールと表面がフラットなバックロールとの間を通して、エンボスロールの表面温度200℃、圧力(線圧)260N/cm、加工速度30m/分の条件でシートの表面側にエンボス加工を行い、図1に示す構成の厚み0.55mmの壁装材を得た。
【0049】
[実施例2]
実施例1における壁装材原料シートの表面に印刷を施した後、水性タイプのシリコン系撥水剤を乾燥質量で2g/m2になるように塗布、乾燥して1回目の撥水処理を施し、厚み0.73mm、質量195g/m2の壁装材原料シートを得た。
【0050】
この壁装材原料シートを、実施例1と同様にしてエンボス加工を行った後、さらに、シリコン系撥水剤を乾燥質量で2g/m2になるように塗布して2回目の撥水処理を施し、厚み0.55mmの壁装材を得た。
【0051】
[実施例3]
実施例1における壁装材原料シートの表面に印刷を施した後、水性タイプのスチレン−アクリル系樹脂塗料を乾燥質量で4g/m2になるように塗布、乾燥して合成樹脂塗布層を形成し、厚み0.73mm、質量197g/m2の壁装材原料シートを得た。
【0052】
この壁装材原料シートを、実施例1と同様にしてエンボス加工を行って、厚み0.55mmの壁装材を得た。
【0053】
[実施例4]
実施例1における壁装材原料シートの表面に、水性タイプのスチレン−アクリル系樹脂塗料を乾燥質量で4g/m2になるように塗布、乾燥して合成樹脂塗布層を形成した後、印刷による化粧加工を施し、厚み0.73mm、質量197g/m2の壁装材原料シートを得た。
【0054】
この壁装材原料シートを、実施例1と同様にしてエンボス加工を行って、厚み0.55mmの壁装材を得た。
【0055】
[実施例5]
実施例3で得られた壁装材原料シートに、実施例1と同様にしてエンボス加工を行った後、さらに、シリコン系撥水剤を乾燥質量で2g/m2になるように塗布して撥水処理を施し、厚み0.55mmの壁装材を得た。
【0056】
[比較例1]
平均繊維長2mmのコットン繊維70質量%、融点が135℃で平均繊維長0.9mmのポリオレフィン系合成パルプ(商品名「SWP、E−400」三井化学株式会社製)30質量%を均一に混合した水分散液に、紙抄造に必要な慣用的な抄造助剤を配合して紙料を調整し、抄紙機により、坪量30g/m2、厚み0.10mm、密度約0.30g/cの表皮層としての混抄紙を抄造した。
【0057】
次に、実施例1と同様にして、目付50g/m2、厚み0.45mm、密度約0.11g/cm3の中間層としての水流絡合乾式不織布を作製した後、この乾式不織布の表面に表皮層としての前記混抄紙を押出しラミネート機により溶解状態の厚さ10μのポリエチレンシートで接着させて、厚み0.55mmの表層材を作製した。この時表層材を構成する前記混抄紙と前記乾式不織布の厚み比は1:4.5であった。
【0058】
更に、この表層材の裏面に、実施例1と同様にして壁紙用裏打を貼り合わせて、厚み0.65mm、質量193g/m2の壁装材原料シートを得た後、実施例1と同様にしてエンボス加工を行って、厚み0.47mmの壁装材を得た。
【0059】
[比較例2]
実施例1における混抄紙を、コットン繊維100質量%からなる紙に変えた以外は、実施例1と同様にして、乾式不織布を貼り合わせて表層材を作製し、さらにこの表層材の裏面への壁紙用裏打紙の貼り合わせを行い、厚み0.73mm、質量193g/m2の壁装材原料シートを得た。
この壁装材原料シートに、実施例1と同様にしてエンボス加工を行い、厚み0.58mmの壁装材を得た。
【0060】
[比較例3]
実施例1における混抄紙を、融点が135℃で平均繊維長0.9mmのポリオレフィン系合成パルプ(商品名「SWP、E−400」)100質量%に変えた以外は、実施例1と同様にして、乾式不織布を貼り合わせて表層材を作製し、さらに、この表層材の裏面への壁紙用裏打紙の貼り合わせを行い、厚み0.55mm、質量193g/m2の壁装材原料シートを得た。
この壁装材原料シートに、実施例1と同様にしてエンボス加工を行い、厚み0.35mmの壁装材を得た。
【0061】
[比較例4]
実施例1における乾式不織布を、5.0デニールのレーヨンステープル100質量%からなる乾式不織布に変えた以外は、実施例1と同様にして表層材を作製し、裏面への壁紙用裏打紙の貼り合わせを行い、厚み0.73mm、質量193g/m2の壁装材原料シートを得た。
この壁装材原料シートに、実施例1と同様にしてエンボス加工を行い、厚み0.58mmの壁装材を得た。
【0062】
[比較例5]
実施例1における乾式不織布を、芯鞘構造のポリエステルステープル100質量%からなる乾式不織布に変えた以外は、実施例1と同様にして表層材を作製し、裏面への壁紙用裏打紙の貼り合わせを行い、厚み0.52mm、質量193g/m2の壁装材原料シートを得た。
この壁装材原料シートに、実施例1と同様にしてエンボス加工を行い、厚み0.30mmの壁装材を得た。
【0063】
[比較例6]
実施例1と同様にして、坪量40g/m2、厚み0.15mm、密度約0.28g/cm3の表皮層としての混抄紙を抄造した。
【0064】
次に、実施例1と同様にして、目付140g/m2、厚み0.88mm、密度約0.16g/cm3の中間層としての水流絡合乾式不織布を作製した後、この乾式不織布の表面に表皮層としての前記混抄紙を押出しラミネート機により溶解状態の厚さ10μのポリエチレンシートで接着させて、厚み1.03mm、質量180g/m2の表層材を作製した。この時表層材を構成する前記混抄紙と前記乾式不織布の厚み比は1:5.9であった。
【0065】
更に、この表層材の裏面に、実施例1と同様にして壁紙用裏打を貼り合わせて、厚み1.13mm、質量265g/m2の壁装材原料シートを得た後、実施例1と同様にしてエンボス加工を行って、厚さ0.63mmの壁装材を得た。
【0066】
前記実施例1〜5および比較例1〜6で得られた壁装材について、エンボス加工性、印刷加工性、ボリューム感、防火性、耐湿摩擦性、型崩れ性、撥水性、防汚性、風合い、接着性、タタミジワ防止性を以下の基準に従って評価した結果を表1に示す。
【0067】
〈エンボス加工性の評価〉
壁装材の表面に形成された凹凸模様を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
○:凹凸感に優れたエンボス模様が形成された。
△:エンボス模様は形成されたが凹凸感に乏しかった。
×:ほとんど凹凸がなく、凹凸感に乏しかった。
【0068】
〈印刷加工性の評価〉
壁装材原料シートの印刷状態を目視にて観察し、印刷適性及び印刷状態の安定性を標準サンプル(ビニル壁紙の印刷見本)と比較した。
○ :標準サンプルとほぼ同等。
○△:印刷適性は標準サンプルより僅かに劣る。
△ :標準サンプルより劣るが、使用できる。
× :標準サンプルより非常に劣り、使用できない。
【0069】
〈ボリューム感の評価〉
壁装材の凸部の厚みを測定し、エンボス加工前の厚みとの差(減少率)により判定した。
○:厚みの減少率が20%未満であった。
△:厚みの減少率が20%以上、35%未満であった。
×:厚みの減少率が35%以上であった。
【0070】
〈防火性の評価〉
壁装材をISO5560 part1に準拠したコーンカロリーメーターによる試験に従って準不燃の防火性能を評価した。
○:加熱開始後10分後の総発熱量が、8MJ/m2以下であった。
×:加熱開始後10分後の総発熱量が、8MJ/m2を超えていた。
【0071】
〈耐湿摩擦性の評価〉
壁装材をJISA6921(1998)の試験方法に基づき湿潤摩擦試験を行い、摩擦回数25回後の表面状態を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
○ :表面状態に特に変化は見られなかった。
○△:表面が僅かに削れたように見える。
△ :表面が削れて紙粉が発生した。
× :表面が削れて印刷層が取れてしまった。
【0072】
〈型崩れ性の評価〉
壁装材を水に30分間浸漬する。その後直ちに施工用ローラーにて壁装材表面を5往復ローラー掛けし、凹凸模様の変化を目視にて観察する。その結果を下記の基準に従って評価した。
○:凹凸模様に変化は見られなかった。
△:凹凸模様が潰れて形状が変化した。
×:凹凸模様が潰れてなくなってしまった。
【0073】
〈撥水性の評価〉
壁装材の表面に、染料で色をつけた水0.1ccをスポイトにてたらした後、水が浸透するまでの時間を測定し、その結果を下記の基準に従って評価した。
○ :水が浸透するまでの時間が10分以上。
○△:水が浸透するまでの時間が5分以上10分未満。
△ :水が浸透するまでの時間が1分以上5分未満。
× :水が浸透するまでの時間が1分以未満。
【0074】
〈防汚性の評価〉
ホコリ汚れを想定して作成した汚染物を壁装材表面に擦り付け、24時間放置後水を含ませた布で拭き取り、汚れの除去状態を目視にて観察する。その結果を下記の基準に従って評価した。
○ :汚れが残らない。
○△:殆ど汚れが残らない。
△ :やや汚れが残る。
× :かなり汚れが残る。
【0075】
〈風合いの評価〉
壁装材のソフト感及び表面タッチを下記の基準に従って評価した。
○ :壁装材自体がソフトで、表面タッチもさらっとしている。
○△:壁装材自体はソフトであるが、表面タッチががさついている。
△ :壁装材自体は硬いが、表面タッチはさらっとしている。
× :壁装材自体が硬く、表面タッチもがさついている。
【0076】
〈接着性の評価〉
壁装材の中間層(乾式不織布)と表皮層(混抄紙)との接着性を下記の操作によって確認した。
○:手で剥がしても剥がれない(接着性が強い)
△:手で剥がすと剥がれるが実用上問題は無い(やや接着性が劣る)
×:手で剥がすと簡単に剥がれる(接着性が劣る)
【0077】
〈タタミジワ防止性の評価〉
壁装材の裏面に水性の施工用接着剤を塗布し、接着剤が乾かないように接着剤塗布面同士を合わせながら折りたたみ15分間放置する。次に、この壁装材を石膏ボード下地の壁面に張り付け、24時間経過後のタタミジワの有無を観察する。
○:殆どタタミジワが残らない。
△:僅かにタタミジワが残る。
×:非常にタタミジワが目立つ。
【0078】
【表1】
【0079】
表1に示す如く、本発明の実施例1から実施例5の壁装材は、エンボス加工性、印刷加工性、ボリューム感、防火性、型崩れ性、風合い、接着性、タタミジワ防止性については、すべて優れていた。また、その他の機能性及び物性も、必要に応じて撥水処理または合成樹脂塗布層の形成、さらには合成樹脂塗布層の形成と撥水処理との組み合わせにより、優れた性能が得られることが実証された。例えば、耐湿摩擦性及び防汚性については実施例3、実施例4、実施例5、撥水性については実施例2、実施例3、実施例4、実施例5の壁装材で優れた結果が示されている。
【0080】
これに対して、実施例1の混抄紙に代えてコットン繊維のみからなる紙を用いた比較例2、および実施例1の乾式不織布に代えてレーヨンステープルのみからなる乾式不織布を用いた比較例4は、エンボス加工性、型崩れ性及び接着性が劣っていた。さらに、実施例1の混抄紙に代えて合成繊維のみからなる紙を用いた比較例3、および実施例1における乾式不織布に代えて合成繊維のみからなる乾式不織布を用いた比較例5は、ボリューム感の低下と風合いの悪さが見られた。
また、実施例1の混抄紙の坪量と厚みを落とし、それにより乾式不織布との厚み比が変わった比較例1、および乾式不織布の目付を高め、それにより混抄紙との厚み比が変わった比較例6は、タタミジワ防止性が劣っていた。
尚、タタミジワ防止性が僅かに劣っていた比較例3は、表皮層である混抄紙が合成繊維のみからなる紙であったためエンボス時に潰れて薄くなり、混抄紙と乾式不織布との厚みのバランスがくずれたためと考えられる。また、壁装材の質量が250g/m2を超えた比較例6は、準不燃の防火性能が不合格であった。
【0081】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の壁装材は、コットン繊維を含む混抄紙の表皮層と、嵩高な乾式不織布の中間層から構成される表層材を備えているため、ボリューム感があり、しかもコットン繊維の持つソフトな風合いをもたらすことができる。
【0082】
また、混抄紙および乾式不織布中に含有させる合成繊維として、エンボス加工時に溶融あるいは軟化する熱可塑性合成繊維を用いることにより、エンボス加工時に熱可塑性合成繊維が融着あるいは軟化して繊維間の結合力が高まるため、優れた凹凸模様が形成されるとともに、凹凸模様に型崩れ防止効果も付与することができる。
【0083】
また、混抄紙の表皮層と乾式不織布の中間層の質量を一定の範囲とすると共に、それらの厚み比を一定の範囲内に抑えることで、壁装材の施工時におけるタタミジワを防止することができる。
【0084】
さらに、必要に応じて撥水処理、合成樹脂塗布層の形成およびこれらの加工を組み合わせることにより、撥水性、耐湿摩擦性、防汚性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の壁装材の実施態様を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1:混抄紙
2:乾式不織布
3:壁紙用裏打紙
4:凹凸模様
Claims (13)
- コットン繊維と合成繊維とからなる混抄紙と、前記混抄紙の裏面に積層された乾式不織布と、前記乾式不織布の裏面に積層された壁紙用裏打紙とからなり、前記混抄紙の表面側に前記混抄紙と前記乾式不織布とを一体化したエンボス加工による凹凸模様が形成されていることを特徴とする壁装材。
- 前記混抄紙におけるコットン繊維と合成繊維との混合割合が質量%比で50:50〜95:5であり、前記乾式不織布はセルロース系繊維と合成繊維とからなり、セルロース系繊維と合成繊維との混合割合が質量%比で90:10〜50:50であることを特徴とする請求項1に記載の壁装材。
- 前記混抄紙および乾式不織布における合成繊維は、エンボス加工時に溶融する融点、或いは、エンボス加工時に軟化して可塑性を発現する軟化点を持つ熱可塑性合成繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の壁装材。
- 前記混抄紙および乾式不織布の各質量がいずれも40g〜100g/m2の範囲であり、それらの厚み比が1:1.5〜1:3の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の壁装材。
- 前記混抄紙の表面に印刷による化粧加工が施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の壁装材。
- 前記混抄紙の表面が撥水処理されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の壁装材。
- 前記混抄紙の表面に合成樹脂塗布層を形成し、前記合成樹脂塗布層の表面側に合成樹脂塗布層と混抄紙と乾式不織布とを一体化したエンボス加工による凹凸模様が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の壁装材。
- 前記合成樹脂塗布層の表面が撥水処理されていることを特徴とする請求項7に記載の壁装材。
- コットン繊維と合成繊維とからなる混抄紙を抄造する工程と、前記混抄紙の裏面に乾式不織布を積層する工程と、前記乾式不織布の裏面に壁紙用裏打紙を積層する工程と、前記混抄紙、乾式不織布及び壁紙用裏打紙からなる積層シートを、加熱されたエンボスロールとバックロールとの間隙を通して、前記混抄紙の表面側にエンボスロールを圧接することにより、前記混抄紙及び乾式不織布に凹凸加工を施す工程からなることを特徴とした壁装材の製造方法。
- 前記混抄紙の表面に印刷による化粧加工を施す工程をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の壁装材の製造方法。
- 前記混抄紙の表面を撥水処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項9または10に記載の壁装材の製造方法。
- 前記混抄紙の表面に合成樹脂塗布層を形成する工程をさらに含み、前記合成樹脂塗布層、混抄紙、乾式不織布及び壁紙用裏打紙からなる積層シートにエンボスロールによる凹凸加工を施すことを特徴とする請求項項9または10に記載の壁装材の製造方法。
- 前記合成樹脂塗布層の表面を撥水処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の壁装材の製造方法。
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