JP2004098755A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空調ケース1内にエバポレータ10が配設され、エバポレータ10に接続された膨張弁11が空調ケース1の外側に形成された膨張弁収納室5に収納される。膨張弁収納室5と空調ケース1内を仕切る隔壁部18に水抜き孔6が穿設され、空調ケース1の側壁部9内側に、水抜き孔6を通して膨張弁収納室5から空調ケース1内に入った水を、流下させるための水抜き溝7が形成される。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置に関し、特に空調ケース内のエバポレータに接続された膨張弁を収納した膨張弁収納室に溜まった結露による水を、良好に排出し得る車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用空調装置で使用される冷凍サイクルは、コンデンサで凝縮され液化された冷媒が、レシーバーを通して膨張弁に送られ、高温・高圧の液冷媒が、膨張弁において小孔を通して噴射され、急激に膨張して低温・低圧の霧状となった冷媒がエバポレータに送られ、霧状冷媒がそこでさらに多量に気化することにより、気化熱を奪い、エバポレータを冷却する。このようなエバポレータは、通常、空気通路を有した空調ケース内に配設される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−129246号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような車両用空調装置の冷凍サイクルで使用される膨張弁は、エバポレータに接続された状態で、空調ケースの外側の膨張弁収納室に収納される場合がある。
【0005】
この膨張弁収納室は、膨張弁を収納した状態で、上からカバーで覆われるが、膨張弁からは霧状に気化した冷媒がエバポレータに向けて噴出され、膨張弁自体も冷却されて低温となるため、膨張弁の外面が露点温度以下に低下すると、そこに結露が発生し、結露による水滴が膨張弁収納室内に溜まり易いという問題があった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、空調ケースに設けた膨張弁収納室に溜まった水を良好に排出することができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の車両用空調装置は、空調ケース内にエバポレータが配設され、エバポレータに接続された膨張弁が空調ケースの外側に形成された膨張弁収納室に収納されてなる車両用空調装置において、膨張弁収納室と空調ケース内を仕切る隔壁部に水抜き孔が穿設され、空調ケースの側壁部内側に、水抜き孔を通して膨張弁収納室から空調ケース内に入った水を、流下させるための水抜き溝が形成されたことを特徴とする。
【0008】
ここで、上記水抜き溝は、断面V字状の溝として空調ケースの底部に向けて側壁部内側に形成することができる。
【0009】
【作用】
上記構成の車両用空調装置では、冷凍サイクルが作動すると、コンプレッサの駆動により、コンデンサで凝縮され液化された冷媒が、レシーバーを通して膨張弁に送られ、高温・高圧の液冷媒が、膨張弁において小孔を通して噴射され、急激に膨張して低温・低圧の霧状となった冷媒がエバポレータに送られ、霧状冷媒がそこでさらに多量に気化することにより、気化熱を奪い、エバポレータを冷却する。
【0010】
またこのとき、膨張弁から霧状に気化した冷媒がエバポレータに向けて噴出され、膨張弁自体も冷却されて低温となるため、膨張弁の外面が露点温度以下に低下すると、そこに結露が発生し、結露による水滴が膨張弁収納室内に溜まる。しかし、膨張弁収納室に溜まった水は、空調装置がオフされ空調ケース内の送風が停止したときには、膨張弁収納室と空調ケース内を仕切る隔壁部に穿設した水抜き孔を通って、空調ケース内に入り、空調ケースの側壁部内側の水抜き溝を流下して空調ケースの底部に流される。これにより、空調ケースの底部に設けた排水構造、例えばその底部に接続したドレインホースを通して、空調ケース外に排出することができる。
【0011】
膨張弁収納室のカバーなどに外側と連通する排水孔を穿設して内部に溜まった水を排水する構造では、その排水孔から空調ケースの空気を逃がすことになるため、空調ケースのシール性を悪化させる虞があるが、本発明では、膨張弁収納室のカバーや外壁に水抜き孔を穿設せずに、空調ケースの隔壁部に水抜き孔を穿設し、空調ケース内に底部に水を送り、空調ケースの底部のドレインホースなどを通して、空調の非作動時に排水を行なうようにしている。したがって、空調ケースのシール性を損なうことなく、膨張弁収納室の結露による水を良好に排水することができる。
【0012】
また、請求項2のように、水抜き溝を、断面V字状の溝として空調ケースの底部に向けて側壁部内側に形成する構造とすれば、膨張弁収納室から水抜き孔を通して空調ケースに入った水を、その表面張力による停留作用を生じさせずに、良好にケースの底部に流下させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は車両用空調装置におけるエバポレータ10とヒータコア12を設けた熱交換部の側面図を示している。
【0014】
1は熱交換部の外殻を形成する合成樹脂製の空調ケースであり、空調ケース1内には、空気通路が形成され、その空気通路の上流部に、エバポレータ10が配設される。エバポレータ10の空気吸込み側には、図示しないブロワを備えた吸込み部が、車室内の内気又は外気を吸い込むように連通して接続される。
【0015】
空調ケース1内の空気通路の上流部と下流部の間に、エアミックスドア13が配設され、その下流側近傍にヒータコア12が配設される。エアミックスドア13は、ヒータコア12を通過する空気量とヒータコア12を迂回する空気量を調節して、車室内に吹出す吹出し空気温度を調整するもので、空調温度調整レバーの操作に連動してサーボモータ等によりその角度を調整される。ヒータコア12は、タンクと多数のチューブを有した加熱用熱交換器であり、その内部にエンジンの冷却水(温水)を流して空気を加温するように構成される。
【0016】
空調ケース1内におけるエアミックスドア13の下流側には、車室のデフロスタに接続されるデフロスタ吹出し口15、乗員の頭部に向けて空気を吹き出すためのフエイス吹出し口16、及び乗員の足元に向けて空気を吹き出すためのフット吹出し口17が設けられる。
【0017】
エバポレータ12は、上部タンクと下部タンクの間に、多数のチューブを並設し、それらのチューブ内にインナーフィンを配設すると共に、各チューブ間にアウターフィンを配設して構成される。上部タンクの側部にジョイントブロックが設けられ、ジョイントブロックを介して膨張弁11が、低温・低圧の霧状の冷媒をエバポレータ12に供給するように接続される。
【0018】
膨張弁11は、ダイヤフラムを設けたダイヤフレム室と、ダイヤフラムに感温棒を介して接続されるニードル弁と、を有し、ダイヤフラム室には冷媒ガスが封入される。この膨張弁11は、エバポレータ12の出力側の冷媒温度を感温棒で検知し、レシーバーから送られる高温・高圧の冷媒量を、エバポレータ12の出力側の冷媒温度に応じて調整しながら、低温・低圧の霧状の冷媒を、ニードル弁の小孔から噴出して、エバポレータ12に供給する構造であり、エバポレータ12の入力側と出力側の両方に、ジョイントブロックを介して接続される。
【0019】
このような膨張弁11は、図1に示すように、空調ケース1の外側に設けられた箱型の膨張弁収納室5内に収納される。膨張弁収納室5は、空調ケース1の外側に隔壁部18を介して箱型に形成され、収納された膨張弁11を覆うようにカバー8が被せられる。さらに、図2に示すように、その膨張弁収納室5内の底部(最下位部)に位置する空調ケース1との間の隔壁部18に、水抜き孔6が、膨張弁収納室5内に溜まった水を空調ケース1内に入れるように穿設される。
【0020】
また、空調ケース1の側壁部9には、水抜き孔6を通して導入された水を、空調ケース1の底部のドレイン孔19に良好に導くように、水抜き溝7が側壁部9の内側に縦に形成される。この水抜き溝7は、断面V字状に形成され、水滴を良好に下方底部のトレイン孔19に流すようにしている。図3に示すように、断面V字状の水抜き溝7の深さは約0.5mm、水抜き溝7の開口角度は約60度に設定され、水に作用する表面張力を小さくして水滴を流しやすくしている。
【0021】
このように構成される車両用空調装置では、冷凍サイクルが作動すると、図示しないコンプレッサの駆動により、気化した冷媒が圧縮され、コンデンサで凝縮され液化された冷媒が、レシーバーを通して膨張弁11に送られる。膨張弁11は、レシーバーから送られる高温・高圧の冷媒量を、ニードル弁の小孔から噴出して低温・低圧の霧状の冷媒として、エバポレータ12に供給するが、そのとき、エバポレータ12の出力側の冷媒温度が感温棒で検知され、その温度に応じてニードル弁が開閉作動することにより、エバポレータ12の出力側の冷媒温度に応じてニードル弁の開度が調整され、霧状の冷媒の噴出量が調整される。
【0022】
高温・高圧の液冷媒が、膨張弁11において小孔を通して噴射されると、急激に膨張して低温・低圧の霧状となり、霧状冷媒がそこからさらにエバポレータ12内で送られ、そこで多量に気化することにより、気化熱を奪い、エバポレータを冷却する。
【0023】
一方、図示しないブロワを駆動して車室又は外気を吸入する空気吸入部から送られた空気は、空調ケース1内に送風されて、エバポレータ12を通過し、冷凍サイクルが作動する間、エバポレータ12を通過した空気はそこで冷却され、エアミックスドア13を通り、フエイス吹出し口16等から車室内に送風される。
【0024】
冷凍サイクルの作動時、膨張弁11から霧状に気化した冷媒がエバポレータ10に向けて噴出され、膨張弁11自体も冷却されて低温となる。このため、膨張弁11の外面温度が露点温度以下に低下すると、そこに結露が発生し、結露による水滴が膨張弁収納室5内に溜まる状態となる。
【0025】
しかし、膨張弁収納室5に溜まった水は、空調装置の停止時つまりブロワの停止時に空調ケース1内の空気圧力が大気圧に戻った際、膨張弁収納室11と空調ケース1内を仕切る隔壁部18に穿設した水抜き孔6を通って、空調ケース1内に入り、空調ケース1の側壁部9内側の水抜き溝7を流下して、空調ケース1の底部に流される。これにより、空調ケース1の底部に設けたドレイン孔19からドレインホースを通して、水は空調ケース1外に良好に排出される。
【0026】
膨張弁収納室のカバー8などに、外側と連通する排水孔を穿設して内部に溜まった水を排水する構造では、その排水孔から空調ケース1の空気を逃がすことになるため、空調ケース1のシール性を悪化させる虞があるが、膨張弁収納室5のカバー8や外壁に水抜き孔を穿設せずに、空調ケース1の隔壁部18に水抜き孔6を穿設し、空調ケース1内に底部に水を送り、空調ケース1の底部のドレインホースを通して、空調の非作動時に排水を行なうから、空調ケース1のシール性を損なうことなく、膨張弁収納室5の結露による水を良好に排水することができる。
【0027】
また、水抜き溝7が、断面V字状の溝として空調ケース1の底部に向けて側壁部9の内側に形成されるから、膨張弁収納室5から水抜き孔6を通して空調ケース1に入った水を、その表面張力による停留作用を生じさせずに、良好にケースの底部に流下させることができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の車両用空調装置によれば、膨張弁収納室と空調ケース内を仕切る隔壁部に水抜き孔を穿設し、空調ケースの側壁部内側に、水抜き孔を通して膨張弁収納室から空調ケース内に入った水を、流下させるための水抜き溝を形成したから、空調ケースのシール性を損なうことなく、空調ケースの外側に設けた膨張弁収納室内から、結露による水を良好に排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両用空調装置の側面図である。
【図2】図1のII−II拡大断面図である。
【図3】図2のIII−III拡大断面図である。
【符号の説明】
1−空調ケース
5−膨張弁収納室
6−水抜き孔
7−水抜き溝
9−側壁部
10−エバポレータ
11−膨張弁
Claims (2)
- 空調ケース内にエバポレータが配設され、該エバポレータに接続された膨張弁が該空調ケースの外側に形成された膨張弁収納室に収納されてなる車両用空調装置において、
該膨張弁収納室と該空調ケース内を仕切る隔壁部に水抜き孔が穿設され、該空調ケースの側壁部内側に、該水抜き孔を通して該膨張弁収納室から該空調ケース内に入った水を、流下させるための水抜き溝が形成されたことを特徴とする車両用空調装置。 - 前記水抜き溝が、断面V字状の溝として該空調ケースの底部に向けて該側壁部内側に形成されたことを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
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