JP2004088661A - 直交マルチキャリア信号伝送方式の周波数オフセット推定方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】周波数オフセット推定装置30のサンプル遅延部31では、送信側から受信した信号をベースバンドへダウンコンバートしてサンプリングすることにより得られた直列ベースバンド信号のサンプル値を、送信側で各サブキャリアを櫛形に選択することにより送信された同期用シンボルに現れる複数の繰り返し波形の周期間隔だけ遅延させる。複素乗算部32では、サンプル遅延部31からの遅延サンプル値131と直列ベースバンド信号122のサンプル値との複素乗算値を算出し、周波数オフセット算出部34で、その複素乗算値に含まれる位相回転成分から周波数オフセットを推定する。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交マルチキャリア信号伝送方式の周波数オフセット推定方法および装置に関し、特に互いに直交するよう配置された複数のサブキャリアにデータを多重して所定のシンボル単位で伝送する直交マルチキャリア信号伝送方式において、受信側で受信した信号から送信側との間で発生したサブキャリアの周波数オフセットを推定する直交マルチキャリア信号伝送方式の周波数オフセット推定方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、伝送する情報量の増加に伴って、通信帯域を有効利用するための広帯域伝送方式の研究が急速に進みつつある。この広帯域伝送方式の1つとして、互いに直交するよう配置された複数のサブキャリアにデータを多重して、シンボルと呼ばれる予め決められた単位毎に伝送する直交マルチキャリア信号伝送方式が注目されている。例えば、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、地上波デジタルテレビ放送、無線LANあるいはデジタル家電では、直交マルチキャリア信号伝送方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)伝送方式が採用されており、携帯電話システムでは、MC−CDMA(MalutiCarrier−Code Division Multiple Access)伝送方式の採用が検討されている。
【0003】
図15に示すように、この直交マルチキャリア信号伝送方式の各サブキャリア200は、sin(x)/xという関数で表されるデジタル変調信号と同じ電力スペクトルを有している。各サブキャリアのうちそのキャリア周波数が最も低いサブキャリアをfcとし、サブキャリア間隔をf0、さらにサブキャリア総数をN(Nは2以上の整数)とした場合、この電力スペクトルは、パルス幅=1/f0の矩形パルスと、周波数fc+kf0(kは0〜N−1の整数)の正弦波信号との積で表される。
各サブキャリア200の電力スペクトルは、各サブキャリアの周波数fc+kf0を中心として両側に広がった形をなしており、そのキャリア周波数から離れるにつれて1/(fc+kf0)の間隔で振動しながら小さくなっている。
【0004】
直交マルチキャリア信号伝送方式では、図16に示すように、隣接するサブキャリア200の電力スペクトルがゼロとなる位置すなわちf0間隔で各サブキャリアが重ねて配置されている。これにより、サブキャリア相互間の干渉が抑制され、全体として1つの電力スペクトル210が得られる。
したがって、規定の周波数帯域内に多くのサブキャリアを配置でき、並列して伝送できる情報量を増加させることができるとともに、周波数資源を有効利用できる。
【0005】
このような直交マルチキャリア信号伝送方式では、送信装置と受信装置との間で各サブキャリア周波数を精度良く一致させておく必要がある。しかし、これら伝送装置で用いる局部発振周波数の精度や温度変化、あるいは送信/受信装置の移動に伴うドップラー効果などの影響により、図17に示すように、送信側での変調に用いたサブキャリア200の周波数fc+kf0に周波数オフセットΔfが生じ、受信側で受信した信号のサブキャリア201の周波数が元のfc+kf0からΔf分だけずれてしまう。このような周波数オフセットが生じた場合、サブキャリア間の直交性がくずれ、ダウンコンバートして得られたデータシンボルにサブキャリア間干渉(ICI:InterChannel Interference)が発生し、受信信号の復調に大きな影響を与える。
したがって、伝送装置では受信信号から上記周波数オフセットを検出して復調に用いるサブキャリア周波数を調整する制御すなわち周波数同期制御を行う必要がある。
【0006】
従来、このような周波数同期制御について、多くの場合、周波数オフセットの推定を2段階に分けて処理している。すなわち、サブキャリア間隔より大きな周波数オフセットを調整する第1段階と、サブキャリア間隔より小さな周波数オフセットを調整する第2段階とからなる。このように異なる周波数オフセット推定方法を用いて2段階に分けて処理する理由はいくつか存在するが、代表的には、所望の精度が得られる周波数オフセット推定方法では、サブキャリア間隔より大きな周波数オフセットを正確に検出できない、あるいは回路構成や処理時間の観点から、サブキャリア間隔より大きな周波数オフセットの検出にはデメリットが大きいからである。
【0007】
上記第1段階で用いられる周波数オフセット推定方法としては、例えば、受信側伝送装置において、受信した同期用シンボルをダウンコンバートした後、高速フーリエ変換して得られた周波数領域の並列ベクトル信号について周波数を比較するものや、特定サブキャリアのみに挿入したCWシンボルの受信電力スペクトルについて、他のサブキャリア周波数における電力の大小を比較するもの(例えば、特開2001−136148号公報など参照)がある。
【0008】
また、上記第2段階で用いられる周波数オフセット推定方法としては、例えば、送信側伝送装置から所定の同期用シンボルを送信し、受信側伝送装置において受信した同期用シンボルと特定の基準シンボルとの相関値を求め、その相関値に含まれる位相成分に基づき周波数オフセットを推定するものが提案されている。この基準シンボルとして、受信側で生成したものを用いるもの(例えば、特開2000−236322号公報など参照)や、受信した同期用シンボルに含まれる同一波形パタンを基準シンボルとして用いるもの(例えば、特表2002−511710号公報、特開2002−26858号公報など参照)がある。
これらを適時組み合わせることにより、周波数オフセットがサブキャリア間隔より大きな場合にも対応できる構成となっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の周波数同期制御では、1つの周波数オフセット推定方法でサブキャリア間隔の前後にわたる範囲の周波数オフセットを推定できないことから、サブキャリア間隔を境として異なる2つの周波数オフセット推定方法を用いなければならないという問題点があった。
このことから、例えば所望の周波数同期を得るのに多くの同期用シンボルが必要となるため、所望データ通信のためのシンボルとは異なる同期用シンボルを多く送信する必要があり、データ通信効率が低下するという問題点があった。
【0010】
すなわち、第1段階で用いられる最も簡素な周波数オフセット推定方法の1つである前述の周波数比較方式を適用しても、最低1つの同期用シンボルが必要であり、実際には精度などの面から複数の同期用シンボルが必要となる。また、第2段階では相関操作のため最低1つの同期用シンボルが必要となるとともに、多くの場合、遅延波の影響などを排除して高精度で周波数オフセットを検出するために平均化処理を行うことから、複数の同期用シンボルが必要となる。
したがって、従来の周波数同期制御では最低でも2つの同期用シンボルが必要となるが、実際には精度などの面から3つ以上の同期用シンボルが必要となり、これら同期用シンボル分だけ実際のデータ通信の効率を低下させる原因となる。
【0011】
また、移動体通信で直交マルチキャリア信号伝送方式が用いられる場合には、携帯端末の移動に伴い周波数オフセット量が変化して周波数同期が外れることもある。このような場合には周波数同期制御が必要となるが、従来のように多くの同期用シンボルが必要となる場合には、その期間だけ通話音声が途切れることにもなり、通信品質低下の原因となる。
【0012】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、サブキャリア間隔を境として異なる周波数オフセット推定方法を必要とすることなく、サブキャリア間隔より広い範囲の周波数オフセットが生じている場合でも、精度よくその周波数オフセットを推定できる直交マルチキャリア信号伝送方式の周波数オフセット推定方法および装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明にかかる周波数オフセット推定方法は、互いに直交するよう配置された複数のサブキャリアに所望のデータを多重して所定のシンボル単位で伝送する直交マルチキャリア信号伝送方式で、送信側からの信号に基づき受信側で送信側との間で生じる各サブキャリアの周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定方法であって、送信側で、各サブキャリアのうち等しい間隔で選択された複数のサブキャリアを用いて同期用シンボルを送信し、受信側で、送信側から受信した信号をベースバンドへダウンコンバートしてサンプリングすることにより直列ベースバンド信号を生成し、この直列ベースバンド信号の各サンプル値のうちから、同期用シンボルに現れる繰り返し波形の繰り返し周期間隔で2つの周波数同期用サンプル値を選択し、選択された2つの周波数同期用サンプル値の複素乗算値を算出し、得られた複素乗算値に含まれる位相回転成分から周波数オフセットを推定するようにしたものである。
【0014】
2つの周波数同期用サンプル値を選択する際、直列ベースバンド信号の各サンプル値のうちから、2つの周波数同期用サンプル値を順次選択し、順次選択された2つの周波数同期用サンプル値の複素乗算値を順次算出し、得られた複素乗算値を平均化することにより平均複素乗算値を算出し、その平均複素乗算値に含まれる位相回転成分から周波数オフセットを推定するようにしてもよい。
【0015】
各複素乗算値を平均化する周波数同期用サンプル値については、直列ベースバンド信号の各サンプル値のうちから所定間隔で2つの処理タイミング判定用サンプル値を順次選択し、順次選択された2つの処理タイミング判定用サンプル値の振幅差を順次算出して絶対値化処理し、得られた絶対値振幅差の変化に基づき周波数オフセットの推定に適切な期間の基準となる処理タイミングを検出し、各複素乗算値を平均化する際、検出された処理タイミングに基づき選択した複素乗算値を平均化するようにしてもよい。
【0016】
振幅差を算出する際、選択された2つの処理タイミング判定用サンプル値ごとにそれぞれ絶対値化処理した後に両者の振幅差を算出するようにしてもよい。
絶対値振幅差を算出する際、絶対値化処理により得られた各絶対値振幅差を順次移動平均し、この移動平均された絶対値振幅差の変化に基づき処理タイミングを検出するようにしてもよい。
【0017】
2つの処理タイミング判定用サンプル値を選択する際、直列ベースバンド信号の各サンプル値のうちから、所定間隔として、所望のデータが変調されている有効シンボル期間の間隔で、2つの処理タイミング判定用サンプル値を選択するようにしてもよく、あるいは、直列ベースバンド信号の各サンプル値のうちから、所定間隔として、同期用シンボルに現れる繰り返し波形の繰り返し周期間隔で、2つの処理タイミング判定用サンプル値を選択するようにしてもよい。
【0018】
さらに、2つの処理タイミング判定用サンプル値を選択する際、直列ベースバンド信号の各サンプル値のうちから、所定間隔として同期用シンボルに現れる繰り返し波形の繰り返し周期間隔で、2つの処理タイミング判定用サンプル値を選択し、絶対値振幅差を算出する際、絶対値化処理により得られた各絶対値振幅差を順次移動平均して移動平均値を求め、これら移動平均値のうちから最小値を選択し、最小値を示す移動平均値の算出に用いた処理タイミング判定用サンプル値に対応する期間に基づき処理タイミングを検出するようにしてもよい。
【0019】
また、本発明にかかる周波数オフセット推定装置は、互いに直交するよう配置された複数のサブキャリアにデータを多重して所定のシンボル単位で伝送する直交マルチキャリア信号伝送方式で、送信側からの信号に基づき受信側で送信側との間で生じる各サブキャリアの周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定装置であって、送信側から受信した信号をベースバンドへダウンコンバートしてサンプリングすることにより得られた直列ベースバンド信号のサンプル値を、送信側で各サブキャリアのうち等しい間隔で選択された複数のサブキャリアを用いて送信された同期用シンボルに現れる複数の繰り返し波形の繰り返し周期間隔だけ遅延させるサンプル遅延部と、このサンプル遅延部からの遅延サンプル値と直列ベースバンド信号のサンプル値との複素乗算値を算出する複素乗算部と、この複素乗算部からの複素乗算値に含まれる位相回転成分から周波数オフセットを推定する周波数オフセット算出部とを備えるものである。
【0020】
このとき、複素乗算部からの複素乗算値を平均化することにより平均複素乗算値を算出する平均化処理部を備え、サンプル遅延部で、直列ベースバンド信号の各サンプル値を順次遅延させて出力し、複素乗算部で、サンプル遅延部からの遅延サンプル値と直列ベースバンド信号のサンプル値との複素乗算値を順次算出し、周波数オフセット算出部で、複素乗算値に代えて平均化処理部からの平均複素乗算値に含まれる位相回転成分から周波数オフセットを推定するようにしてもよい。
【0021】
周波数オフセットの推定に適切な期間の基準となる処理タイミングを検出するための構成として、直列ベースバンド信号のサンプル値を所定期間だけ遅延させるシンボル遅延部と、このシンボル遅延部からの遅延サンプル値と直列ベースバンド信号のサンプル値との振幅差を算出する振幅差算出部と、この振幅差算出部からの振幅差を絶対値化処理する絶対値化処理部と、この絶対値化処理部からの絶対値振幅差の変化に基づき周波数オフセットの推定に適切な期間の基準となる処理タイミングを検出する処理タイミング判定部をさらに備え、平均化処理部で、処理タイミング判定部で検出された処理タイミングに基づき選択した複素乗算値を平均化するようにしてもよい。
【0022】
この際、振幅差算出部で、振幅差を算出する際、直列ベースバンド信号の各サンプル値に代えてそのサンプル値を絶対値化処理したサンプル値を用いるとともに、サンプル遅延部からの遅延サンプル値に代えてその遅延サンプル値を絶対値化処理したサンプル値を用いるようにしてもよい。
また、絶対値化処理部からの絶対値振幅差を移動平均する移動平均処理部をさらに備え、処理タイミング判定部で、移動平均処理部で移動平均された絶対値振幅差の変化に基づき処理タイミングを検出するようにしてもよい。
【0023】
シンボル遅延部では、直列ベースバンド信号のサンプル値を、所定期間として、所望のデータが変調されている有効シンボル期間だけ遅延させるようにしてもよい。
あるいは、シンボル遅延部で、直列ベースバンド信号のサンプル値を、所定期間として、同期用シンボルに現れる繰り返し波形の繰り返し周期間隔の期間だけ遅延させるようにしてもよい。
【0024】
さらに、シンボル遅延部で、直列ベースバンド信号のサンプル値を、所定期間として、同期用シンボルに現れる繰り返し波形の繰り返し周期間隔の期間だけ遅延させ、絶対値化処理部からの絶対値振幅差を順次移動平均して移動平均値を求める移動平均処理部をさらに備え、処理タイミング判定部で、これら移動平均値のうちから最小値を選択し、最小値を示す移動平均値の算出に用いたサンプル値に対応する期間に基づき処理タイミングを検出するようにしてもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して、本発明にかかる第1の実施の形態について説明する。
【0026】
[送信装置]
まず、図1を参照して、直交マルチキャリア信号伝送方式で用いられる一般的な送信装置について説明する。図1は直交マルチキャリア信号伝送方式で用いられる一般的な送信装置の構成を示すブロック図である。
この送信装置1には、S/P(シリアル/パラレル)変換部10、サブキャリア変調部11、逆フーリエ変換処理部(以下、IFFT処理部という)12、P/S(パラレル/シリアル)変換部13、RF変調部14および局部発振器15が設けられている。
【0027】
S/P変換部10は、送信データシンボルを示すデジタルデータ列からなる直列入力データ110を入力とし、この信号をシリアル/パラレル変換して所定ビット幅の並列入力データ111を出力する。
サブキャリア変調部11は、並列入力データ111を入力とし、これら信号を例えばQPSK変調方式などの所定の変調方式により複素信号成分へ変換して、直交マルチキャリア信号伝送方式で用いる各サブキャリアへマッピングし、並列ベクトル信号112として出力する。これら並列ベクトル信号112の各サブキャリアは、前述の図15に示した電力スペクトルを有する。
【0028】
IFFT処理部12は、並列ベクトル信号112を入力とし、これら周波数領域における信号を逆高速フーリエ変換処理することにより、時間領域における並列ベースバンド信号113として出力する。したがって、この並列ベースバンド信号113は、前述の図15に示した電力スペクトルを有する並列ベクトル信号112が、図16に示したように、周波数領域において所定周波数間隔f0ごとに等間隔で配置された形となる。
P/S変換部13は、並列ベースバンド信号113と、その一部からなるガードインターバル信号114とを入力とし、これら信号をパラレル/シリアル変換してデジタルデータからなる直列ベースバンド信号115を出力する。
【0029】
ガードインターバルとは、時間領域において、所望のOFDMシンボルの後端部分をコピーしてそのOFDMシンボルの先頭に複写した領域のことを指す。直交マルチキャリア信号伝送方式では、マルチパスによる遅延が大きくなると、ガードインターバルを設けていない場合には、直前OFDMシンボルの遅延波が当該OFDMシンボルの先頭部分に不要シンボルとして混入するため、この状態でFFT処理をした場合、サブキャリア間の直交性が保たれなくなって伝送誤りの原因となる。
したがって、遅延波に対して十分な期間のガードインターバルを設けることにより、実際にFFT処理する範囲すなわち有効OFDMシンボル期間への遅延波の影響がなくなり、良好な復調信号が得られる。
【0030】
RF変調部14は、直列ベースバンド信号115を入力とし、この信号をD/A変換した後に局部発振器15からの局部発振周波数(fC)116に基づきRF変調して、前述の図16に示したような電力スペクトル210をなすアナログの送信OFDM信号117を出力する。
【0031】
[受信装置]
次に、図2を参照して、直交マルチキャリア信号伝送方式で用いられる一般的な受信装置について説明する。図2は直交マルチキャリア信号伝送方式で用いられる一般的な受信装置の構成を示すブロック図である。
この受信装置2には、RF復調部20、局部発振器21、S/P(シリアル/パラレル)変換部22、シンボル同期タイミング検出部23、周波数オフセット推定装置30、高速フーリエ変換処理部(以下、FFT処理部という)24、サブキャリア復調部25およびP/S(パラレル/シリアル)変換部26が設けられている。
【0032】
RF復調部20は、アナログの受信OFDM信号120を入力とし、この信号を局部発振器21からの局部発振周波数(fC’)121に基づきRF復調した後にサンプリングしてA/D変換し、デジタルデータ列からなる直列ベースバンド信号122を出力する。
シンボル同期タイミング検出部23は、直列ベースバンド信号122を入力とし、この信号からガードインターバル部分を除く所望のOFDMシンボル期間に対応するタイミング検出し、そのタイミングを示すシンボル同期信号123を出力する。
周波数オフセット推定装置30は、直列ベースバンド信号122を入力とし、この信号からサブキャリアの周波数オフセットを推定し、周波数オフセット情報(Δf)130として出力する。本実施の形態にかかる周波数オフセット推定装置は、この周波数オフセット推定装置30として適用される。
【0033】
S/P変換部22は、直列ベースバンド信号122を入力とし、この信号からシンボル同期信号123に基づきガードインターバルを除いた所望のOFDMシンボルをシリアル/パラレル変換して、時間領域における並列ベースバンド信号124として出力する。この並列ベースバンド信号124も前述の図16のような電力スペクトルとなる。
FFT処理部24は、並列ベースバンド信号124を入力として、これら時間領域における信号を高速フーリエ変換処理し、各サブキャリアに対応した周波数領域において、前述した図15のような電力スペクトルをそれぞれ有する並列ベクトル信号125を出力する。このとき、FFT処理部24では、周波数オフセット情報130に基づきサブキャリア周波数を補正する。
【0034】
サブキャリア復調部25は、並列ベクトル信号125を入力とし、これら信号をそれぞれのサブキャリア周波数で復調し、得られた複素信号成分を、例えばQPSK変調方式などの所定の変調方式に基づき復調し、並列出力データ126として出力する。
P/S変換部26は、並列出力データ126を入力とし、これら信号をパラレル/シリアル変換してデジタルデータ列からなる直列出力データ127を出力する。
【0035】
[周波数オフセット推定の原理]
次に、図3および図4を参照して、本実施の形態にかかる周波数オフセット推定装置における周波数オフセット推定の原理について説明する。図3は、本実施の形態にかかる周波数オフセット推定装置で用いられるサブキャリアの配置を示す説明図である。図4は、図3のサブキャリア配置で得られる同期用シンボルの波形例である。
本実施の形態にかかる周波数オフセット推定装置では、1つの同期用シンボル内に形成された同一の波形をなす2つの繰り返し波形について、両者の複素乗算値に含まれる位相回転成分から周波数オフセットを推定することを周波数同期の原理としている。
【0036】
直交マルチキャリア伝送方式では、前述の図16に示したように、隣接するサブキャリア200の電力スペクトルがゼロとなる位置すなわちf0間隔で各サブキャリアが重ねて配置されている。
本実施の形態にかかる周波数オフセット推定では、周波数オフセットの推定に用いる同期用シンボルを送信する際、送信装置1において、P/S変換部13で用いる各サブキャリアのうち、等しい間隔で櫛形に選択された複数のサブキャリアを同期用サブキャリアとして用いる。
【0037】
このような同期用サブキャリアを用いた場合、有効OFDMシンボル内に複数の繰り返し波形が形成された同期用シンボルが得られる。
例えば図3に示すように、隣接するサブキャリアとの間隔をf0とすると、サブキャリア200をd(dは2以上の整数)個間隔で選択した場合、その周波数間隔がdf0の櫛形のサブキャリア配置となる。このとき、ガードインターバル信号114(図1参照)を除くすべての並列ベースバンド信号113に対応するサブキャリアの総数をN(Nは2×d以上の整数)とすると、N/dを越えない最大の整数個のサブキャリアが同期用サブキャリアとして選択されることになる。
【0038】
この同期用サブキャリアの選択方法については、並列ベースバンド信号113として所望のサブキャリアのみ有効となるビットデータパターンをP/S変換部13へ入力することにより同期用サブキャリアを選択してもよい。
なお、各実施の形態の説明では、理解を容易とするため、同期用サブキャリアのサブキャリア間隔dとしてサブキャリア総数Nの約数のいずれかを選択した場合を例として説明する。なお、この場合、同期用サブキャリアとしてはN/d(整数)個のサブキャリアが選択されることになる。
【0039】
このような櫛形のサブキャリア配置を用いた場合、受信装置2の直列ベースバンド信号122では、図4に示すように、ガードインターバル期間を除く有効OFDMシンボル期間Ts内に、d個の繰り返し波形220が現れる。
このとき、受信装置2のRF復調部20において、有効OFDMシンボル期間Tsをサブキャリア総数Nでサンプリングした場合、1つの繰り返し波形220から得られるサンプル値の数、すなわちサンプリング間隔で正規化された繰り返し波形220の幅はN/dとなる。
【0040】
周波数同期では、信号伝送の途中で様々な原因によって生じた受信信号における周波数のズレすなわち周波数オフセットを推定し補正することを目的としている。
一般に、送信信号s(k)に対して周波数オフセットΔfが生じた信号を受信した場合、その受信信号r(k)は、数1のように示される。ただし、kはサンプリング変数であり、有効OFDMシンボル期間において、k=0〜N−1(kは整数)の範囲をとる。なお、exp()は、自然対数eを底とする指数関数を示す。
【0041】
【数1】
【0042】
この数1において、指数関数項exp(j2πΔfk)が位相回転成分に相当する。ここで、サブキャリア間隔f0(d=1)で正規化した周波数オフセットをΔfnとした場合、周波数オフセットΔfは、FFT処理の大きさすなわちサブキャリア総数Nを用いて、数2のように表される。
【0043】
【数2】
【0044】
ここで、前述のようにして得られた繰り返し波形220のうち、2つの隣接する繰り返し波形220に属する信号サンプルから得られる複素乗算値について考察する。
前述したように、1つの繰り返し波形220の幅は、サンプリング間隔で正規化した場合N/dとなる。したがって、2つの隣接する繰り返し波形220において、同一サンプリング位置kにおけるそれぞれの信号サンプルは、一方の信号サンプルからN/dだけ先に受信した信号サンプルとなり、それぞれ数3で表される。
【0045】
【数3】
【0046】
これら2つの信号サンプルについて、一方の複素共役を用いて複素乗算値を求めた場合、その複素乗算値rp(k)は、数4のように表される。なお、s*()はs()の複素共役を示す。
【0047】
【数4】
【0048】
ここで、ノイズの影響を無視した場合、繰り返し波形220はN/dサンプルごとに周期を持つ信号であることから、s(k)とs(k−N/d)は同じ成分の信号といえる。したがって、上記数4は、さらに数5のように表される。
【0049】
【数5】
【0050】
この数5において、|s(k)|2は実数値となり位相回転成分は含まれないことから、これを無視して(1と見なして)、数5の偏角すなわち指数関数項exp(j2πΔfn/d)に着目すれば、数6を用いて周波数オフセットΔfnを推定できる。
【0051】
【数6】
【0052】
周波数オフセットΔfnはプラス側およびマイナス側の両方に生じる可能性がある。数5において、Δfn/d=1/2となるような場合、数6において、位相がプラス側にπだけ回転したのか、マイナス側にπだけ回転したのか区別できない。したがって、位相回転が一意に求められる条件として|Δfn|<d/2が与えられる。この条件は、周波数オフセットΔfnが同期用サブキャリア間隔dの半分未満であることを示している。このため、予想される周波数オフセット幅とサブキャリア間隔から、上記条件が十分成立するよう、同期用サブキャリア間隔dを選択する必要がある。
【0053】
なお、サブキャリア間隔f0(d=1)で正規化した周波数オフセットΔfnのうち、サブキャリア間隔f0の整数倍の周波数オフセットをΔfiとし、サブキャリア間隔の小数倍すなわち±1/2以下の周波数オフセットをΔffとした場合、Δfnは数7のように表される。また、数7において、Δfn≧1である場合、複素乗算値rp(k)は、数8のようになる。
【0054】
【数7】
【0055】
【数8】
【0056】
したがって、上記条件|Δfn|<d/2を満たせば、サブキャリア間隔f0を越える大きさの周波数オフセットが生じた場合でも、Δfiすなわちサブキャリア間隔f0を越える部分と、Δffすなわちサブキャリア間隔f0に満たない部分の両方を、数6で推定できることがわかる。
【0057】
[周波数オフセット推定装置]
次に、図5を参照して、受信装置2に適用される周波数オフセット推定装置30の構成例および動作について説明する。図5は本実施の形態にかかる周波数オフセット推定装置30の構成を示すブロック図である。
この周波数オフセット推定装置30には、サンプル遅延部31、複素乗算部32、平均化処理部33、周波数オフセット算出部34および処理タイミング判定部40が設けられており、これら各部の動作により、前述した周波数オフセット推定の原理に基づき周波数オフセットが推定される。
【0058】
サンプル遅延部31は、RF復調部20からの直列ベースバンド信号122を入力とし、この信号の各サンプル値をN/d個だけ遅延させ、遅延サンプル値131として出力する。
複素乗算部32は、直列ベースバンド信号122のサンプル値と遅延サンプル値131とを、前述した数4に基づき複素乗算し、複素乗算値132(rp(k))を出力する。
【0059】
処理タイミング判定部40は、直列ベースバンド信号122に基づいて、その直列ベースバンド信号122のうち直前シンボルの遅延広がりの影響が少ない期間を検出し、周波数オフセットの推定に適切な期間を示すタイミング信号140を出力する。
平均化処理部33は、複素乗算値132を入力とし、この値を処理タイミング判定部40からのタイミング信号140に基づいて平均化し、複素乗算平均値133を出力する。
周波数オフセット算出部34は、複素乗算平均値133を入力とし、この値を用いて前述した数6に基づき周波数オフセット情報130(Δf)を推定して出力する。
【0060】
したがって、複素乗算部32では、サンプル値ごとに複素乗算値132が算出出力され、平均化処理部33ではタイミング信号140に基づいて、同期用シンボルのうち例えば有効OFDMシンボル期間にわたって複素乗算値132が平均化され、同期用シンボルごとに1つの複素乗算平均値133が出力される。これにより、周波数オフセット算出部34では、同期用シンボルごとに1つの周波数オフセット情報130が推定されて出力される。
【0061】
ここで、平均化処理部33の作用について説明する。通常、受信信号にはホワイトノイズと呼ばれる、ノイズレベルが周波数に関係なくほぼ一定で発生するノイズが混入する。
複素乗算部32では、直列ベースバンド信号122の各サンプル値をそのまま用いて複素乗算値132を算出しているため、たまたま偏ったレベルのノイズがサンプル値に混入し、算出した複素乗算値132が本来の値から外れる場合もある。このとき、前述したホワイトノイズの性質から、各複素乗算値132を平均化することにより、個々のサンプル値に混入したホワイトノイズの影響も平均化され、結果としてノイズレベルを低減できる。
【0062】
このように、本実施の形態では、櫛形に選択した同期用サブキャリアで生成される同期用シンボルを受信し、その受信信号をサンプリングして得られた直列ベースバンド信号の各サンプリング値のうち、当該同期用シンボルに現れる複数の繰り返し波形の繰り返し周期間隔を有する2つのサンプル値について、これら2つのサンプル値の複素乗算値を算出し、その複素乗算値に含まれる位相回転成分から周波数オフセットを推定するようにしたので、従来のように、サブキャリア間隔を境として異なる周波数オフセット推定方法を用いる必要とすることなく、サブキャリア間隔より広い範囲の周波数オフセットが生じている場合でも、同期用サブキャリア間隔を適切に選択することにより、実際には1つの同期用シンボルだけで精度よくその周波数オフセットを推定できる。
【0063】
また、各複素乗算値を平均化し、得られた複素乗算平均値に含まれる位相回転成分から周波数オフセットを推定するようにしたので、受信信号に混入しているホワイトノイズ成分を低減でき、さらに精度よく周波数オフセットを推定できる。
また、処理タイミング判定部40を設けて、直列ベースバンド信号122から直前シンボルの遅延広がりの影響が少ない期間、例えば遅延広がりの範囲を考慮して設けられたガードインターバルを除く有効OFDMシンボルの期間を検出し、その期間に得られた複素乗算値を平均化するようにしたので、直前シンボルの遅延広がりの影響を抑制でき、さらに精度よく周波数オフセットを推定できる。
【0064】
以上では、平均化処理部33において、複素乗算部32からの複素乗算値を同期用シンボル分にわたって平均化する場合を例として説明したが、この平均化処理期間についてはこれに限定されるものではなく、平均化処理期間の時間位置と長さについて任意に選択してもよい。
同期用シンボルの一部期間に、ガードインターバルを越えた遅延波が含まれる可能性があると予想できる場合もある。このような場合には、その遅延波の影響の少ない期間を選んで平均化処理期間を設定すればよい。例えば、同期用シンボルのうちその半分の期間に直前シンボルの影響があるような場合、同期用シンボルの後半部分に平均化処理期間を設定して、その期間に算出された複素乗算値のみを平均化することにより、遅延波の影響を抑制でき、精度よく周波数オフセットを推定できる。
【0065】
次に、図面を参照して、本発明にかかる第2の実施の形態として、周波数オフセット推定装置30で用いられる処理タイミング判定部40について説明する。
【0066】
[第1の処理タイミング判定の原理]
まず、受信装置2の周波数オフセット推定装置30で処理タイミング判定部40として用いられる第1の処理タイミング判定の原理について説明する。
第1の処理タイミング判定では、周波数オフセット推定に適切な期間を示す基準すなわち処理タイミングとして、受信信号から有効OFDMシンボル期間のタイミングを検出している。前述したように、同期用シンボルの有効OFDMシンボル期間に現れる繰り返し波形を用いて周波数オフセットの推定を行う場合、有効OFDMシンボル期間のタイミングが取れていないと、演算処理されるサンプル値の中に前後のシンボル成分が含まれる可能性が高くなり、周波数オフセットの推定精度が劣化する原因となる。
【0067】
直交マルチキャリア信号伝送方式では、1つの受信OFDMシンボル内に同様の信号成分が、ガードインターバルとその複写元であるシンボル後端部とに2回現れる。ここで、直前シンボルの遅延広がりがガードインターバル期間に収まるようにガードインターバル期間の長さが設定されていることから、ガードインターバル最後端部では遅延の影響がほとんどなくなって上記2つの信号成分がほぼ等しくなり、シンボルの最先頭部で上記2つの信号成分は全く異なるものとなる。
本実施の形態では、上記の2点に着目し、これら2つの信号成分の振幅差の変化を監視することにより、有効OFDMシンボルのシンボル開始位置を処理タイミングとして検出している。
【0068】
一般に、送信装置1からOFDMシンボルs(k)が送信された際、受信装置2で受信される希望波(OFDMシンボル)sd(k)、時間τだけ遅れて受信される遅延波su(k)、およびサンプル時間kのときの受信信号r(k)は、数9のようになる。ここで、cd(k),cu(k)はそれぞれ希望波sd(k)、遅延波su(k)に対する伝送路特性であり、遅延広がりτはガードインターバル期間より短いものとする。また、n(k)はガウス雑音である。
【0069】
【数9】
【0070】
この受信信号r(k)と、これをシンボル期間Tsだけ遅延させた信号r(k−Ts)との差分、すなわち振幅差rdif(k)は、数10となる。但し、ndif(k)は、ガウス雑音の振幅差を示す。
【0071】
【数10】
【0072】
ここで、ガードインターバルの信号成分とOFDM信号の後半部分(ガードインターバルのコピー元)との信号成分とが等しいことから、数11が成立する。この場合のTgはガードインターバル期間長であり、l(Lの小文字)は整数である。
【0073】
【数11】
【0074】
したがって、数10の振幅差rdif(k)は、数12のように表すことができる。
【0075】
【数12】
【0076】
ここで、簡略化のためl=0とし、最大ドップラ周波数はシンボル周期の周波数に比べて十分小さいとすると、{cd(k−Ts)−cd(k)}および{cu(k−Ts)−cu(k)}の平均値はゼロに近似することができ、ガウス雑音n(k)の平均値さらにはガウス雑音の振幅差ndif(k)の平均値もゼロにすることができる。
したがって、減算結果rdif(k)は、上記のように遅延広がりτ以上からガードインターバル期間Tg以内の範囲であれば、1つ前のシンボルの遅延波が及ばない範囲であることからゼロに近似できる。
【0077】
このようにして算出したrdif(k)について絶対値化処理を行うことにより複素成分を除去した後に二乗すると、1つ前のシンボルの遅延波の最大遅延広がりがτであることから、これらL(Lは1〜Tg−τの整数)サンプルを単位とした移動平均値ravg(k)は、数13のようになる。
【0078】
【数13】
【0079】
この移動平均値ravg(k)は、τ以上から(Tg−L+1)以内の範囲で小さい値となり、(Tg−L+2)以上の範囲では平均化により小さい値が存在しなくなるため大きな値へ変化する。
したがって、数14に示すように、移動平均値ravg(k)を1つ前のravg(k−1)で除算して除算値rdiv(k)を得ることにより、上記変化点がrdiv(k)のピークとして現れる。
【0080】
【数14】
【0081】
通常、直前シンボルの遅延広がりがガードインターバル期間に収まるようにガードインターバル期間の長さが設定されているため、ガードインターバル最後端部では遅延広がりの影響がほとんどなくなって、有効OFDMシンボル期間Tsだけ遅延させた信号成分とほぼ等しくなる。そして、シンボルの最先頭部では有効OFDMシンボル期間Tsだけ遅延させた信号成分と全く異なるものとなることから、移動平均値がシンボルの切り替わり時点、すなわちシンボル開始位置で大きく変化することになり、その変化を上記除算値などを用いて検出することにより、適切な処理タイミングが検出される。
【0082】
[第1の処理タイミング判定部]
次に、図6および図7を参照して、周波数オフセット推定装置30に適用される処理タイミング判定部40の構成例および動作について説明する。図6は第1の処理タイミング判定部40の構成例を示すブロック図である。図7は第1の処理タイミング判定の動作を示すタイミングチャートである。
この処理タイミング判定部40には、シンボル遅延部41、振幅差算出部42、絶対値化処理部43、二乗化乗算部44、移動平均処理部45、タイミング検出部60が設けられており、これら各部の動作により、適切な処理タイミングが検出される。
【0083】
シンボル遅延部41は、RF復調部20からの直列ベースバンド信号122を入力とし、この信号の各サンプル値を有効OFDMシンボル期間Tsだけ遅延させ、シンボル遅延信号141として出力する。これにより、シンボル遅延信号141側のガードインターバルGI(A)と、直列ベースバンド信号122側のコピー元gi(A)とのタイミングが同期する。
振幅差算出部42は、前述した数12に基づき、直列ベースバンド信号122のサンプル値とシンボル遅延信号141のサンプル値との振幅差rdif(k)を算出出力する。
絶対値化処理部43は、上記振幅差を入力とし、その振幅差の複素成分を除去する絶対値化処理を行い、その結果を絶対値振幅差として出力する。
【0084】
二乗化乗算部44は、上記絶対値振幅差を入力とし、その絶対値振幅差を二乗化し、その結果を二乗化振幅差として出力する。なお、この二乗化乗算部44は、必ずしも必須要件ではないが、これを設けることにより処理タイミングの検出精度を高めることができる。
移動平均処理部45は、前述した数13に基づき、上記絶対値振幅差または二乗化振幅差を入力とし、これら値についてLサンプルを単位として移動平均し、得られた移動平均値ravg(k)を移動平均値142として出力する。
【0085】
したがって、図7に示すように、シンボル遅延信号141のGI(A)の後端期間には、直前シンボルからの遅延波の影響がほとんどないことから、このGI(A)と直列ベースバンド信号122のgi(A)との絶対値振幅差を移動平均して得られた移動平均値142は減少し、次のシンボルのGI(B)の開始位置で急激に増加する。
【0086】
タイミング検出部60には、データ遅延部61、除算部62およびピーク検出部63が設けられており、これらが動作して移動平均処理部45からの移動平均値142の変化を検出することにより、処理タイミングを検出している。
データ遅延部61は、上記移動平均値ravg(k)を入力とし、その値を1データ(1値)分遅延させ、移動平均値ravg(k−1)を出力する。
除算部62は、前述した数14に基づき、移動平均処理部45からの移動平均値ravg(k)と、データ遅延部61からの遅延移動平均値ravg(k−1)との比を求め、除算値rdiv(k)として出力する。
【0087】
ピーク検出部63は、上記除算値rdiv(k)を入力とし、この値を1OFDMシンボル分にわたって検査することによりそのピークを検出し、そのタイミングを既知のガードインターバルの時間長Tgだけシフトさせるタイミング調整を行う。そして、調整後のタイミングすなわち有効OFDMシンボルの先頭位置を、周波数オフセット推定処理の適切な処理タイミングとしてタイミング信号140で出力する。なお、ピーク検出部63では、ピーク検出タイミングでタイミング信号140を出力し、平均化処理部33でタイミング調整を行うようにしてもよい。また、タイミング調整幅については、Tgに限定されるものではなく、ガードインターバル期間Tgから有効OFDMシンボル期間TSの範囲で任意の調整幅を選択できる。
なお、タイミング検出部60の構成は、上記構成例に限定されるものではなく、移動平均値142の変化から処理タイミングを検出するものであれば、他の構成でもよい。
【0088】
このように、直列ベースバンド信号122と、この直列ベースバンド信号122を所定期間、ここでは有効OFDMシンボル期間だけ遅延させたシンボル遅延信号141との振幅差を求め、これを絶対値化処理して移動平均値を算出し、得られた移動平均値の変化に応じて周波数オフセット推定処理に適切な処理タイミングを検出するようにしたので、ガードインターバルの後端部を利用して処理タイミングを検出することができ、マルチパスに起因するシンボル間干渉の影響を抑止して、高い精度で周波数オフセット推定に適切な処理タイミングを検出できる。
さらに、受信信号の振幅差を利用しているため、従来のように受信信号の相関操作を行うものと比較して、回路構成を大幅に削減できるとともに処理時間を短縮できる。
【0089】
また、上記処理タイミング判定部40では、ガードインターバルを利用していることから、1つのシンボルで周波数オフセット推定に適切な処理タイミングを検出できるとともに、シンボル同期用の特別なシンボルを必要とせず、例えば上記周波数オフセットの推定で用いる同期用シンボルを用いてもよく、データ通信用シンボルも利用できる。
したがって、周波数オフセットの推定に用いる同期用シンボルの直前に位置するデータ通信用シンボルを利用して処理タイミングの検出を行うことにより、結果として最低1つのシンボルすなわち同期用シンボルを挿入するだけで高精度な周波数同期を得ることができる。また、データ通信用シンボルを用いれば、本来のデータ通信の通信効率を低下させることなく処理タイミングの検出を行うことができ、高い通信品質が得られる。
【0090】
さらに、周波数オフセット推定用の同期用シンボルを利用して処理タイミングの検出を行う際、例えば受信装置2のRF復調部20の出力段に設けたバッファで直列ベースバンド信号122の各サンプル値を保持している場合には、先に処理タイミングを検出した後、その処理タイミングに対応する期間のサンプル値をバッファから再度読み出して周波数オフセットを推定することができる。
したがって、送信側からの1つの同期用シンボルで、処理タイミング判定と周波数オフセットの推定とを実行することができることから、異なるシンボルで処理タイミング判定と周波数オフセット推定とを行う場合と比較して、精度よくタイミングを一致させることができるとともに、所望のデータ通信に用いるシンボル以外の余分な同期シンボルを最小限にすることができ、従来のように多くの同期用シンボルを必要とするものと比較して高い通信効率が得られる。
【0091】
次に、図面を参照して、本発明にかかる第3の実施の形態として、オフセット推定装置30の処理タイミング判定部40に代えて用いられる他の処理タイミング判定部40Aについて説明する。
【0092】
[第2の処理タイミング判定の原理]
受信装置2の周波数オフセット推定装置30で処理タイミング判定部40Aとして用いられる第2の処理タイミング判定の原理について説明する。
前述した第1の処理タイミング判定では、直列ベースバンド信号122のガードインターバルとそのコピー元との振幅差に基づき処理タイミングを検出する場合について説明したが、本実施の形態にかかる処理タイミング判定では、同期用シンボル内に現れる繰り返し波形に着目し、隣接する繰り返し波形間の振幅差に基づき、周波数オフセット推定に適切な処理タイミングとして、有効OFDMシンボル期間のタイミングを検出する場合を例として説明する。
【0093】
周波数オフセットΔfnを厳密に考慮して、直列ベースバンド信号122とこれを繰り返し波形長N/d分だけ遅延させた遅延信号との振幅差rdif(k)をそのまま算出した場合、数15のようになり、遅延信号の干渉がない期間でも、振幅差がゼロに近似しなくなる。
【0094】
【数15】
【0095】
これを回避するためには、受信信号に含まれる周波数オフセットの影響を打ち消す必要がある。ここで、直列ベースバンド信号122の絶対値化処理を行うと、数16のようになり、複素成分すなわち周波数オフセット成分を打ち消すことができる。なお、このような絶対値化処理を行うと信号に含まれる位相情報も消失してしまうが、処理タイミングの検出には差し支えない。
【0096】
【数16】
【0097】
したがって、このようにして絶対値化処理を行った直列ベースバンド信号122と、絶対値化処理を行った遅延信号との振幅差を求めることにより、周波数オフセットの影響がない振幅差が得られる。
これ以降、前述した第1の処理タイミング判定と同様の処理を行うことにより、周波数オフセットが存在する場合でも、精度よく処理タイミングを検出できる。
【0098】
[第2の処理タイミング判定部]
次に、図8および図9を参照して、周波数オフセット推定装置30に適用される処理タイミング判定部40Aの構成例および動作について説明する。図8は第2の処理タイミング判定部40Aの構成例を示すブロック図である。図9は第2の処理タイミング判定の動作を示すタイミングチャートである。
この処理タイミング判定部40Aは、図6の処理タイミング判定部40と比較して、シンボル遅延部41に代えてサンプル遅延部51が設けられているとともに、絶対値化処理部52,53が追加されており、このほかについては、処理タイミング判定部40とほぼ同様の構成を有している。
【0099】
サンプル遅延部51は、直列ベースバンド信号122を繰り返し波形長N/dだけ遅延させ、サンプル遅延信号151として出力する。
絶対値化処理部52は、直列ベースバンド信号122を絶対値化処理した後、振幅差算出部54へ出力する。
絶対値化処理部53は、サンプル遅延部51からのサンプル遅延信号151を絶対値化処理した後、振幅差算出部54へ出力する。
振幅差算出部54では、絶対値化処理部52で絶対値化処理された直列ベースバンド信号122と、絶対値化処理部53で絶対値化処理されたサンプル遅延信号151との振幅差を算出する。
【0100】
この後、図6の絶対値化処理部43〜タイミング検出部60と同様に処理が、絶対値化処理部55〜タイミング検出部60で行われる。
したがって、移動平均処理部57で順次算出される移動平均値152は、図9に示すように、有効OFDMシンボル期間内で小さい値を示し、直列ベースバンド信号122が次の受信シンボルのガードインターバルGI(B)へ移行した時点で急激に大きくなり、そのピークに応じてガードインターバルの開始位置が検出され、これがタイミング調整されて有効OFDMシンボルの先頭位置が、周波数オフセット推定処理に適切な処理タイミングとしてタイミング信号140で出力される。なお、ピーク検出部63では、ピーク検出タイミングでタイミング信号140を出力し、平均化処理部33でタイミング調整を行うようにしてもよい。また、タイミング調整幅については、Tgに限定されるものではなく、ガードインターバル期間Tgから有効OFDMシンボル期間TSの範囲で任意の調整幅を選択できる。なお、前述と同様に、二乗化乗算部56は省略してもよい。
【0101】
このように、直列ベースバンド信号122と、直列ベースバンド信号122を所定期間、ここでは繰り返し波形長だけ遅延させたサンプル遅延信号151との振幅差を求め、これを絶対値化処理して移動平均値を算出し、得られた移動平均値の変化に応じて周波数オフセット推定処理に適切な処理タイミングを検出するようにしたので、ガードインターバルを利用しないで処理タイミングを検出することができ、マルチパスに起因するシンボル間干渉の影響を抑止して、高い精度で処理タイミングを検出できる。
さらに、受信信号の振幅差を利用しているため、従来のように受信信号の相関操作を行うものと比較して、回路構成を削減できるとともに処理時間を短縮できる。
【0102】
また、絶対値化処理部52,53を設け、直列ベースバンド信号122の各サンプル値およびサンプル遅延部51からのサンプル遅延信号151の各サンプル値をそれぞれ絶対値化処理した後、振幅差算出部54へ入力するようにしたので、周波数オフセットの影響がない振幅差が得られるため、周波数オフセットが存在する場合でも、マルチパスに起因するシンボル間干渉の影響を抑止して、高精度で処理タイミング判定を行うことができる。
【0103】
また、本実施の形態では、周波数オフセット推定用の同期用シンボルを利用して処理タイミング判定を行っているため、例えば受信装置2のRF復調部20の出力段に設けたバッファで直列ベースバンド信号122の各サンプル値を保持している場合には、先に処理タイミングを検出した後、その検出により得られた期間のサンプル値をバッファから再度読み出して周波数オフセットを推定することができる。
したがって、送信側からの1つの同期用シンボルで、処理タイミングの検出と周波数オフセットの推定とを実行することができることから、異なるシンボルで処理タイミング判定と周波数オフセット推定とを行う場合と比較して、精度よくタイミングを一致させることができるとともに、所望のデータ通信に用いるシンボル以外の余分な同期シンボルを最小限にする削減でき、従来のように多くの同期用シンボルを必要とするものと比較して高い通信効率が得られる。
【0104】
次に、図面を参照して、本発明にかかる第4の実施の形態として、オフセット推定装置30の処理タイミング判定部40に代えて用いられる他の処理タイミング判定部40Bについて説明する。
【0105】
[第3の処理タイミング判定の原理]
受信装置2の周波数オフセット推定装置30で処理タイミング判定部40Bとして用いられる第3の処理タイミング判定の原理について説明する。
前述した第2の処理タイミング判定では、同期用シンボル内に現れる繰り返し波形に着目し、隣接する繰り返し波形間の振幅差に基づき、周波数オフセット推定に適切な処理タイミングとして、有効OFDMシンボル期間を処理タイミングとして検出する場合について説明したが、本実施の形態では、有効OFDMシンボルの期間に捕らわれず、有効OFDMシンボル期間内で周波数オフセット推定に適切な処理タイミングを検出する場合について説明する。
【0106】
前述した第2の処理タイミング判定では、同期用シンボル内の2つの繰り返し波形に属するサンプリング値から得られた振幅差を絶対値化し、その移動平均を逐次算出して変化を監視することにより、処理タイミングを検出している。
ここで、上記振幅差は、繰り返し波形内の同一時間位置のサンプル値の振幅差であることから、直前シンボルの遅延広がりなどの影響が少ないほど小さい値を示すことになる。本実施の形態では、この点に着目し、この振幅差を絶対値化した値の大きさにより、直前シンボルの遅延広がりなどの影響が少ない期間を検出し、周波数オフセット推定に適切な処理タイミングを検出するようにしたものである。
【0107】
[第3の処理タイミング判定部]
次に、図10および図11を参照して、周波数オフセット推定装置30に適用される処理タイミング判定部40Bの構成例および動作について説明する。図10は第3の処理タイミング判定部40Bの構成例を示すブロック図である。図11は第3の処理タイミング判定の動作を示すタイミングチャートである。
この処理タイミング判定部40Bは、図8の処理タイミング判定部40Aと比較して、タイミング検出部60に代えて期間判定部78が設けられており、このほかについては、処理タイミング判定部40Aとほぼ同様の構成を有している。
【0108】
サンプル遅延部71は、直列ベースバンド信号122を繰り返し波形長N/dだけ遅延させ、サンプル遅延信号171として出力する。
絶対値化処理部72は、直列ベースバンド信号122を絶対値化処理した後、振幅差算出部74へ出力する。
絶対値化処理部73は、サンプル遅延部71からのサンプル遅延信号171を絶対値化処理した後、振幅差算出部74へ出力する。
振幅差算出部74では、絶対値化処理部72で絶対値化処理された直列ベースバンド信号122と、絶対値化処理部73で絶対値化処理されたサンプル遅延信号171との振幅差を算出する。
【0109】
この後、絶対値化処理部75で振幅差算出部74からの振幅差の絶対値を算出し、これを二乗化乗算部76で二乗化する。移動平均処理部77では、二乗化された振幅差の移動平均値172を順次求めて出力する。
期間判定部78では、このようにして順次求めた複数の移動平均値172のうち、最小値を示すものを選択し、その移動平均値172を求めた元の直列ベースバンド信号122のサンプル値に対応する期間を周波数オフセット推定に適切な処理タイミングとして検出し、その期間を示すタイミング信号140を出力する。
これにより、図11に示すように、有効OFDMシンボル期間内で求められた任意の移動平均値172のうちから最小値が選択され、例えばその移動平均値172の算出期間の先頭でタイミング信号140が出力される。
【0110】
平均処理部77で移動平均値172を求める際の振幅差(サンプル値)数については、周波数オフセットの推定に用いる直列ベースバンド信号122のサンプル値の数より大きく、有効OFDMシンボル期間分のサンプル数より小さい数とすることにより、個々の周波数オフセット推定で用いる複数のサンプル値ごとに、直前シンボルの遅延広がりなどの影響が少ないかどうかを判定できる。また、移動平均値172を求める移動間隔は、1サンプル値以上であって、周波数オフセットの推定に用いるサンプル値より小さい間隔であればよい。なお、前述と同様に、二乗化乗算部76は省略してもよい。
【0111】
このように、直列ベースバンド信号122と、直列ベースバンド信号122を繰り返し波形長だけ遅延させたサンプル遅延信号151とをそれぞれ絶対値化処理した後に振幅差を求め、これを絶対値化処理して移動平均値を順次算出し、得られた移動平均値のうち最小値を示す移動平均値に対応する期間を、周波数オフセット推定に適切な処理タイミングとして検出するようにしたので、マルチパスに起因するシンボル間干渉の影響を抑止して、高い精度で周波数オフセット推定に適切な処理タイミングを検出できる。
さらに、受信信号の振幅差を利用しているため、従来のように受信信号の相関操作を行うものと比較して、回路構成を削減できるとともに処理時間を短縮できる。
【0112】
また、絶対値化処理部72,73を設け、直列ベースバンド信号122の各サンプル値およびサンプル遅延部71からのサンプル遅延信号171の各サンプル値をそれぞれ絶対値化処理した後、振幅差算出部74へ入力するようにしたので、周波数オフセットの影響がない振幅差が得られるため、周波数オフセットが存在する場合でも、マルチパスに起因するシンボル間干渉の影響を抑止して、高精度で処理タイミング判定を行うことができる。
【0113】
また、本実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、周波数オフセット推定用の同期用シンボルを利用して処理タイミング判定を行っているため、例えば受信装置2のRF復調部20の出力段に設けたバッファで直列ベースバンド信号122の各サンプル値を保持している場合には、先に処理タイミングを検出した後、その処理タイミングに応じた期間のサンプル値をバッファから再度読み出して周波数オフセットを推定することができる。
したがって、送信側からの1つの同期用シンボルで、処理タイミングの検出と周波数オフセットの推定とを実行することができることから、異なるシンボルで処理タイミング判定と周波数オフセット推定とを行う場合と比較して、精度よくタイミングを一致させることができるとともに、所望のデータ通信に用いるシンボル以外の余分な同期シンボルを最小限にする削減でき、従来のように多くの同期用シンボルを必要とするものと比較して高い通信効率が得られる。
【0114】
以上で説明した前述の第2の実施の形態(図6参照)では、直列ベースバンド信号122のサンプル値およびシンボル遅延部41からの遅延サンプル値141については、そのまま振幅差算出部42に入力する場合を例として説明したが、第3および第4の実施の形態(図7,10参照)で説明したように、絶対値化処理部を設けて、直列ベースバンド信号122のサンプル値およびシンボル遅延部41からの遅延サンプル値141を絶対値化処理した後に振幅差算出部42に入力するようにしてもよい。これにより、第3および第4の実施の形態と同様に、周波数オフセットの影響がない振幅差が得られるため、周波数オフセットが存在する場合でも、マルチパスに起因するシンボル間干渉の影響を抑止して、高精度でシンボル同期を行うことができる。
【0115】
また、以上で説明した第2〜第4の実施の形態では、図5に示したように、処理タイミング判定部40(40A,40B)が周波数オフセット推定装置30内に設けられている場合を例として説明したが、これら処理タイミング判定部40(40A,40B)が受信装置2のうち周波数オフセット推定装置30の外部に設けられている場合でも、前述と同様の作用効果が得られる。
また、第3および第4の実施の形態では、処理タイミング判定部40A,40Bのうち、直列ベースバンド信号122を繰り返し波形長分だけ遅延させるサンプル遅延部51,71について、周波数オフセット推定装置30のサンプル遅延部31を兼用してもよい。
【0116】
なお、以上の第1、第3および第4の実施の形態では、同期用サブキャリアで用いる各サブキャリアの間隔dとして、サブキャリア総数Nの約数を用いた場合を例として説明したが、この間隔dとしては、サブキャリア総数Nの約数を用いるほうが望ましい場合もあるが、必ずしも約数を用いる必要はない。
例えば、サブキャリア総数N=512のときに、サブキャリアをNの約数の1つである間隔d=8で選択した場合、同期用サブキャリアとしてN/d=64(512/8)個のサブキャリアが選択され、同期用シンボルには、d=8個の繰り返し波形が現れる。
【0117】
これに対して、Nの約数ではない間隔d=9でサブキャリアを選択した場合、同期用サブキャリアとしてN/dを越えない整数個ここでは56個のサブキャリアが選択され、同期用シンボルには、d=9を越えない最大の整数個ここでは8個の繰り返し波形が完全な形で現れ、最後の繰り返し波形は、他の繰り返し波形より短く途中で切れた不完全な波形となる。但し、このような不完全な波形を含む場合でも、他の完全な形の繰り返し波形で周波数オフセットを推定できることから、前述した周波数オフセット推定処理を同様にして行うことができる。
【0118】
一般的に表現すれば、間隔dとしてサブキャリア総数Nの約数を用いなかった場合、サブキャリア数はN/dを越えない最大の整数すなわち[N/d]([]はガウス記号)と表され、同期用シンボルに現れる繰り返し波形のうち完全な形の繰り返し波形の数はd−1個となり、繰り返し波形幅すなわちサンプル遅延部31,51,71での遅延幅は[N/d]となる。
したがって、これらパラメータを、前述した間隔dとしてサブキャリア総数Nの約数を用いた場合のパラメータと置換することにより、前述と同様の周波数オフセット推定処理および処理タイミング判定処理を実施することができ、同様の作用効果が得られる。
【0119】
なお、間隔dとしてサブキャリア総数Nの約数を用いなかった場合、有効OFDMシンボルの最後端に上記のような不完全な波形が現れる。したがって、有効OFDMシンボルの後端部をガードインターバルとして用いた場合、ガードインターバルの最後端に繰り返し波形の途中部分が位置することになり、ガードインターバルと有効OFDMシンボルとの連続性が得られず、ガードインターバルと有効OFDMシンボルとの接続部分が繰り返し波形の境目と一致しない。
このため、処理タイミングに多少の誤差が生じて、有効OFDMシンボルの開始位置を示す処理タイミングがガードインターバル側へずれた場合には、上記のようにガードインターバルと有効OFDMシンボルとの連続性が得られていないことから、ガードインターバル部分を含む周波数オフセット推定では、所望のオフセット値が得られず、周波数同期性能の低下要因となる。
【0120】
一方、間隔dとしてサブキャリア総数Nの約数を用いた場合、上記のような不完全な波形は現れない。したがって、有効OFDMシンボルの後端部をガードインターバルとして用いた場合、ガードインターバルの最後端に繰り返し波形の最後端が位置することになり、ガードインターバルと有効OFDMシンボルとの連続性が得られ、ガードインターバルと有効OFDMシンボルとの接続部分が繰り返し波形の境目と一致する。
このため、処理タイミングに多少の誤差が生じて、有効OFDMシンボルの開始位置を示す処理タイミングがガードインターバル側へずれた場合でも、上記のようにガードインターバルと有効OFDMシンボルとの連続性が得られていることから、そのずれた処理タイミングを繰り返し波形の先頭と見なして周波数オフセットの推定処理を実行でき、安定した周波数同期制御を実現できる。
【0121】
[シミュレーション結果]
次に、図12〜図14を参照して、本方式による、送信装置1と、周波数オフセット推定装置30および処理タイミング判定部40Aを用いた受信装置2との間でデータ通信を行った場合のシミュレーション結果について説明する。図12は、シミュレーションから得られたBER(ビットエラーレート)特性を示すグラフである。図13は、シミュレーションで用いた各パラメータを示している。図14は、シミュレーションの平均推定誤差特性を示すグラフである。なお、このシミュレーションでは、周波数オフセット量として、サブキャリア間隔f0(d=1)で正規化した周波数オフセットΔfnを用いている。
【0122】
図12のBER特性は、正規化周波数オフセットΔfnで示される周波数オフセットの変化により、送受信装置間でどの程度ビットエラーが発生するかを調べた結果を示すものである。
ここでは、Δfnが0.1,0.2,0.3,1.0の場合について、本方式を用いた場合と用いなかった場合のBER特性がそれぞれ示されている。
なお、横軸は、1ビット当たりの信号エネルギーEbと、ノイズの片側パワースペクトル密度Noの比を示している。これは、受信信号の信号対雑音比(SN比)をシンボル当たりの情報ビット数で割った値に等しく、この値が大いほどノイズの少ない良好なデータ通信状態であることを示している。縦軸は、送受信されたデータのビット誤り率である。
【0123】
特性300は周波数オフセットのない理想的な完全同期状態でのBER特性、特性301は周波数オフセットがΔfn=0.1の状態でのBER特性、特性302は周波数オフセットがΔfn=0.2の状態でのBER特性、特性303は周波数オフセットがΔfn=0.3の状態でのBER特性、特性304は周波数オフセットがΔfn=1.0の状態でのBER特性をそれぞれ示している。これら特性301〜304は、周波数オフセットの補正を行っていない。
【0124】
特性305は周波数オフセットがΔfn=0.1,0.2,0.3,1.0の状態で本発明を適用した場合のBER特性であり、いずれの状態でもほぼ同一のBER特性が得られた。
この図12によれば、本方式のBER特性305は、正規化周波数オフセットΔfnの値にかかわらず、周波数オフセットのない完全同期状態でのBER特性300とほぼ同様の特性を示しており、周波数オフセットが生じている状態でも、周波数オフセット推定装置30でその周波数オフセット分が完全に補正されていることがわかる。
【0125】
図14の平均推定誤差特性は、Δfnで示される正規化周波数オフセットが変化した場合、本方式によりどの程度の推定精度が得られるかを調べた結果を示すものである。
ここでは、周波数オフセットとしてΔfnが0.1,0.2,0.3,1.0の場合について、本方式を用いた場合の平均推定誤差特性がそれぞれ示されている。
【0126】
なお、図14において、横軸は図12と同じく、1ビット当たりの信号エネルギーEbと、片側パワースペクトル密度Noの比を示している。縦軸は、送受信されたデータの平均推定誤差すなわち推定精度である。ここでは、本方式で推定された周波数オフセット推定量と実際の周波数オフセット量との差の絶対値をサブキャリア間隔f0で正規化することにより、各周波数オフセット推定量ごとに正規化推定誤差を求め、これを試行回数10000回分平均することにより平均推定誤差を算出している。
一般に、BER特性上では、正規化推定誤差が0.01以内という条件になれば、完全同期とほぼ同様の特性が得られることが知られている。したがって、本方式によれば、図14から、Eb/Noが10dB以上であれば、上記条件を満たすことになり、完全同期とほぼ同様の特性が得られることがわかる。
【0127】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、送信側から受信した信号をベースバンドへダウンコンバートしてサンプリングすることにより直列ベースバンド信号を生成し、この直列ベースバンド信号の各サンプル値のうちから、送信側で各サブキャリアを櫛形に選択することにより送信された同期用シンボルに現れる複数の繰り返し波形の周期間隔で2つの周波数同期用サンプル値を選択し、選択された2つの周波数同期用サンプル値の複素乗算値を算出し、得られた複素乗算値に含まれる位相回転成分から周波数オフセットを推定するようにしたので、従来のように、サブキャリア間隔を境として異なる周波数オフセット推定方法を用いる必要とすることなく、サブキャリア間隔より広い範囲の周波数オフセットが生じている場合でも、同期用サブキャリア間隔を適切に選択することにより、実際には1つの同期用シンボルだけで精度よくその周波数オフセットを推定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】直交マルチキャリア信号伝送方式で用いられる一般的な送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】直交マルチキャリア信号伝送方式で用いられる一般的な受信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態にかかる周波数オフセット推定装置で用いられるサブキャリアの配置を示す説明図である。
【図4】図3のサブキャリア配置で得られる同期用シンボルの波形例である。
【図5】本発明の第1の実施の形態にかかる周波数オフセット推定装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態にかかる第1の処理タイミング判定部の構成例を示すブロック図である。
【図7】第1の処理タイミング判定の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態にかかる第2の処理タイミング判定部の構成例を示すブロック図である。
【図9】第2の処理タイミング判定の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第4の実施の形態にかかる第3の処理タイミング判定部の構成例を示すブロック図である。
【図11】第3の処理タイミング判定の動作を示すタイミングチャートである。
【図12】シミュレーションのBER特性を示すグラフである。
【図13】シミュレーションで用いた各パラメータである。
【図14】シミュレーションの平均推定誤差特性を示すグラフである。
【図15】直交マルチキャリア信号伝送方式のサブキャリアの電力スペクトルである。
【図16】直交マルチキャリア信号伝送方式のサブキャリア配置を示す説明図である。
【図17】サブキャリアの周波数オフセットを示す説明図である。
【符号の説明】
1…送信装置、10…S/P変換部、11…サブキャリア変調部、12…IFFT処理部、13…P/S変換部、14…RF変調部、15…局部発信器、2…受信装置、20…RF復調部、21…局部発振器、22…S/P変換部、23…シンボル同期タイミング検出部、24…FFT処理部、25…サブキャリア復調部、26…P/S変換部、30…周波数オフセット推定装置、31…サンプル遅延部、32…複素乗算部、33…平均化処理部、34…周波数オフセット算出部、40,40A,40B…処理タイミング判定部、41…シンボル遅延部、42,54,74…振幅差算出部、43,52,53,55,72,73,75…絶対値化処理部、44,56,76…二乗化乗算部、45,57,77…移動平均処理部、51,71…サンプル遅延部、60…タイミング検出部、61…データ遅延部、62…除算部、63…ピーク検出部、78…期間判定部、110…直列入力データ、111…並列入力データ、112…並列ベクトル信号、113…並列ベースバンド信号、114…ガードインターバル信号、115…直列ベースバンド信号、116…局部発振周波数、117…送信OFDM信号、120…受信OFDM信号、121…局部発振周波数、122…直列ベースバンド信号、123…シンボル同期信号、124…並列ベースバンド信号、125…並列ベクトル信号、126…並列出力データ、127…直列出力データ、130…周波数オフセット情報、131…遅延サンプル値、132…複素乗算値、133…複素乗算平均値、140…タイミング信号、141…シンボル遅延信号、142,152,172…移動平均値、151,171…サンプル遅延信号、200…サブキャリア、210…電力スペクトル、220…繰り返し波形。
Claims (16)
- 互いに直交するよう配置された複数のサブキャリアに所望のデータを多重して所定のシンボル単位で伝送する直交マルチキャリア信号伝送方式で、送信側からの信号に基づき受信側で送信側との間で生じる各サブキャリアの周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定方法であって、
送信側で、
前記各サブキャリアのうち等しい間隔で選択された複数のサブキャリアを用いて同期用シンボルを送信し、
受信側で、
送信側から受信した信号をベースバンドへダウンコンバートしてサンプリングすることにより直列ベースバンド信号を生成し、
この直列ベースバンド信号の各サンプル値のうちから、前記同期用シンボルに現れる繰り返し波形の繰り返し周期間隔で2つの周波数同期用サンプル値を選択し、
選択された2つの周波数同期用サンプル値の複素乗算値を算出し、
得られた複素乗算値に含まれる位相回転成分から周波数オフセットを推定することを特徴とする周波数オフセット推定方法。 - 請求項1に記載の周波数オフセット推定方法において、
前記2つの周波数同期用サンプル値を選択する際、前記直列ベースバンド信号の各サンプル値のうちから、前記2つの周波数同期用サンプル値を順次選択し、
順次選択された前記2つの周波数同期用サンプル値の複素乗算値を順次算出し、
得られた前記複素乗算値を平均化することにより平均複素乗算値を算出し、
その平均複素乗算値に含まれる位相回転成分から周波数オフセットを推定することを特徴とする周波数オフセット推定方法。 - 請求項2に記載の周波数オフセット推定方法において、
前記直列ベースバンド信号の各サンプル値のうちから所定間隔で2つの処理タイミング判定用サンプル値を順次選択し、
順次選択された2つの処理タイミング判定用サンプル値の振幅差を順次算出して絶対値化処理し、
得られた絶対値振幅差の変化に基づき前記周波数オフセットの推定に適切な期間の基準となる処理タイミングを検出し、
前記各複素乗算値を平均化する際、検出された前記処理タイミングに基づき選択した複素乗算値を平均化することを特徴とする周波数オフセット推定方法。 - 請求項3に記載の周波数オフセット推定方法において、
前記振幅差を算出する際、前記選択された2つの処理タイミング判定用サンプル値ごとにそれぞれ絶対値化処理した後に両者の振幅差を算出することを特徴とする周波数オフセット推定方法。 - 請求項3または4に記載の周波数オフセット推定方法において、
前記絶対値振幅差を算出する際、前記絶対値化処理により得られた各絶対値振幅差を順次移動平均し、
この移動平均された絶対値振幅差の変化に基づき前記処理タイミングを検出することを特徴とする周波数オフセット推定方法。 - 請求項3に記載の周波数オフセット推定方法において、
前記2つの処理タイミング判定用サンプル値を選択する際、前記直列ベースバンド信号の各サンプル値のうちから、前記所定間隔として、所望のデータが変調されている有効シンボル期間の間隔で、前記2つの処理タイミング判定用サンプル値を選択することを特徴とする周波数オフセット推定方法。 - 請求項3に記載の周波数オフセット推定方法において、
前記2つの処理タイミング判定用サンプル値を選択する際、前記直列ベースバンド信号の各サンプル値のうちから、前記所定間隔として、前記同期用シンボルに現れる繰り返し波形の繰り返し周期間隔で、前記2つの処理タイミング判定用サンプル値を選択することを特徴とする周波数オフセット推定方法。 - 請求項3に記載の周波数オフセット推定方法において、
前記2つの処理タイミング判定用サンプル値を選択する際、前記直列ベースバンド信号の各サンプル値のうちから、前記所定間隔として前記同期用シンボルに現れる繰り返し波形の繰り返し周期間隔で、前記2つの処理タイミング判定用サンプル値を選択し、
前記絶対値振幅差を算出する際、前記絶対値化処理により得られた各絶対値振幅差を順次移動平均して移動平均値を求め、
これら移動平均値のうちから最小値を選択し、
前記最小値を示す移動平均値の算出に用いた処理タイミング判定用サンプル値に対応する期間に基づき前記処理タイミングを検出することを特徴とする周波数オフセット推定方法。 - 互いに直交するよう配置された複数のサブキャリアにデータを多重して所定のシンボル単位で伝送する直交マルチキャリア信号伝送方式で、送信側からの信号に基づき受信側で送信側との間で生じる前記各サブキャリアの周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定装置であって、
送信側から受信した信号をベースバンドへダウンコンバートしてサンプリングすることにより得られた直列ベースバンド信号のサンプル値を、送信側で前記各サブキャリアのうち等しい間隔で選択された複数のサブキャリアを用いて送信された同期用シンボルに現れる複数の繰り返し波形の繰り返し周期間隔だけ遅延させるサンプル遅延部と、
このサンプル遅延部からの遅延サンプル値と前記直列ベースバンド信号のサンプル値との複素乗算値を算出する複素乗算部と、
この複素乗算部からの複素乗算値に含まれる位相回転成分から周波数オフセットを推定する周波数オフセット算出部とを備えることを特徴とする周波数オフセット推定装置。 - 請求項9に記載の周波数オフセット推定装置において、
前記複素乗算部からの複素乗算値を平均化することにより平均複素乗算値を算出する平均化処理部を備え、
前記サンプル遅延部は、前記直列ベースバンド信号の各サンプル値を順次遅延させて出力し、
前記複素乗算部は、前記サンプル遅延部からの遅延サンプル値と前記直列ベースバンド信号のサンプル値との複素乗算値を順次算出し、
前記周波数オフセット算出部は、前記複素乗算値に代えて前記平均化処理部からの平均複素乗算値に含まれる位相回転成分から周波数オフセットを推定することを特徴とする周波数オフセット推定装置。 - 請求項10に記載の周波数オフセット推定装置において、
前記直列ベースバンド信号のサンプル値を所定期間だけ遅延させるシンボル遅延部と、
このシンボル遅延部からの遅延サンプル値と前記直列ベースバンド信号のサンプル値との振幅差を算出する振幅差算出部と、
この振幅差算出部からの振幅差を絶対値化処理する絶対値化処理部と、
この絶対値化処理部からの絶対値振幅差の変化に基づき前記周波数オフセットの推定に適切な期間の基準となる処理タイミングを検出する処理タイミング判定部をさらに備え、
前記平均化処理部は、前記処理タイミング判定部で検出された処理タイミングに基づき選択した複素乗算値を平均化することを特徴とする周波数オフセット推定装置。 - 請求項11に記載の周波数オフセット推定装置において、
前記振幅差算出部は、前記振幅差を算出する際、前記直列ベースバンド信号の各サンプル値に代えてそのサンプル値を絶対値化処理したサンプル値を用いるとともに、前記サンプル遅延部からの遅延サンプル値に代えてその遅延サンプル値を絶対値化処理したサンプル値を用いることを特徴とする周波数オフセット推定装置。 - 請求項11または12に記載の周波数オフセット推定装置において、
前記絶対値化処理部からの絶対値振幅差を移動平均する移動平均処理部をさらに備え、
前記処理タイミング判定部は、前記移動平均処理部で移動平均された絶対値振幅差の変化に基づき前記処理タイミングを検出することを特徴とする周波数オフセット推定装置。 - 請求項11に記載の周波数オフセット推定装置において、
前記シンボル遅延部は、前記直列ベースバンド信号のサンプル値を、前記所定期間として、所望のデータが変調されている有効シンボル期間だけ遅延させることを特徴とする周波数オフセット推定装置。 - 請求項11に記載の周波数オフセット推定装置において、
前記シンボル遅延部は、前記直列ベースバンド信号のサンプル値を、前記所定期間として、前記同期用シンボルに現れる繰り返し波形の繰り返し周期間隔の期間だけ遅延させることを特徴とする周波数オフセット推定装置。 - 請求項11に記載の周波数オフセット推定装置において、
前記シンボル遅延部は、前記直列ベースバンド信号のサンプル値を、前記所定期間として、前記同期用シンボルに現れる繰り返し波形の繰り返し周期間隔の期間だけ遅延させ、
前記絶対値化処理部からの絶対値振幅差を順次移動平均して移動平均値を求める移動平均処理部をさらに備え、
前記処理タイミング判定部は、これら移動平均値のうちから最小値を選択し、前記最小値を示す移動平均値の算出に用いたサンプル値に対応する期間に基づき前記処理タイミングを検出することを特徴とする周波数オフセット推定装置。
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