JP2004050360A - エンドミル - Google Patents
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Abstract
【目的】コーナ部の強度を高めるとともに、被削面の粗さを適切に保ち、工具寿命の長い高送りエンドミルを提供することにある。
【構成】回転軌跡が略1/4球状を呈する切れ刃を有する複数の切れ刃を有する超硬合金製高送りエンドミルにおいて、前記略1/4球状を形成する各切れ刃を、エンドミルの底刃側より、第1切れ刃、第2切れ刃とし、外周切れ刃との繋ぎ部を第3切れ刃としたとき、該第2切れ刃は略1/4球状となる半径のコーナRで設け、前記第1切れ刃を略直線状に設け、前記第2切れ刃及び底刃とをR繋ぎとし、前記第3切れ刃は、第2切れ刃と同等又は小さなRとし及び前記第1切れ刃は略直線状としたことを特徴とする超硬合金製エンドミルである。
【選択図】 なし
【構成】回転軌跡が略1/4球状を呈する切れ刃を有する複数の切れ刃を有する超硬合金製高送りエンドミルにおいて、前記略1/4球状を形成する各切れ刃を、エンドミルの底刃側より、第1切れ刃、第2切れ刃とし、外周切れ刃との繋ぎ部を第3切れ刃としたとき、該第2切れ刃は略1/4球状となる半径のコーナRで設け、前記第1切れ刃を略直線状に設け、前記第2切れ刃及び底刃とをR繋ぎとし、前記第3切れ刃は、第2切れ刃と同等又は小さなRとし及び前記第1切れ刃は略直線状としたことを特徴とする超硬合金製エンドミルである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本願発明は、高送りに適する超硬合金製のエンドミルに関する。
【0002】
【従来の技術】
被削材の肩削り加工や溝加工に使用される切削工具として、通常のスクエアエンドミルのコーナー部にアールを設けたラジアスエンドミルが良く知られている。このラジアスエンドミルの外周刃と底刃とが交差するコーナ部は、切削速度が高くて大きな切削荷重がかかり、また切削中の切削熱が集中し易いこともあって、最も頻繁に摩耗や欠損が生じ易い部位であり、かかるコーナ部において両切刃が鋭利な角度に交差したままであると、一層摩耗や欠損が助長されて工具寿命が著しく短縮されてしまうことになる。
【0003】
金型等の等高線深彫り加工には、従来よりボールエンドミルが一般に使用されていたが、高能率切削の要求が強くなり、上記ボールエンドミルに代えてエンドミルが使用されてきている。エンドミルは、ボールエンドミルに比較して切れ刃が被削材と接触する長さが短く、又、ボールエンドミルでは工具先端部が工具軸心上になるため切削速度が得られないのに対し、エンドミルでは十分な切削速度が得られるため、切削抵抗が小さく、切れ味が良好であり、高能率切削に適している。更に、エンドミルについては、その使用目的等に応じて多数の改善がなされており、例えば、特開平7−246508号公報には、コーナアール刃を補強した例が、又、特開平11−216609号公報には、切削性を向上させた例が開示されている。一方、金型等の加工では、コーナ部の加工や、深彫り加工等の工具突き出し量が大きい加工等があり、切削中にビビリ振動が発生しやすいため、一般にNCプログラム上処理しやすい送り速度を下げる方法が採られている。送り速度を下げる方法では、加工能率が下がるだけでなく、ビビリ振動を抑制する効果が少なく、1刃送り量が比例して下がるため、切れ刃と被削材の接触回数が多くなり、摩耗進行が早くなる。また、ビビリ振動抑制効果の高い、切削速度を下げる方法があるが、これだけでは、送り速度が比例的に下がり、何れにしても加工能率が下がるため、最近では、高能率切削を行う手段として、切削速度は下げるが、送り速度は上げる、即ち、1刃送り量を極端に上げる高送り切削が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、このような事情を鑑みてなされたものであって、1刃送り量を極端に上げると、コーナアール刃に切削負荷が集中し、コーナアール刃の強度が切削負荷に耐えきれず、欠損により寿命に至るという課題があった。更に、荒加工のように送り量が大きい加工において、高送り切削を行うと、被削面粗さが低下し、荒加工後に再度中仕上げに準するような加工が必要となるケースも生じている。
【0005】
【本発明の目的】
上記のように、本発明の目的とするところは、コーナ部の強度を高めるとともに、被削面の粗さを適切に保ち、工具寿命の長い高送りエンドミルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決してかかる目的を達するため、本発明は、回転軌跡が略1/4球状を呈する切れ刃を有する複数の切れ刃を有する超硬合金製高送りエンドミルにおいて、前記略1/4球状を形成する各切れ刃を、エンドミルの底刃側より、第1切れ刃、第2切れ刃とし、外周切れ刃との繋ぎ部を第3切れ刃としたとき、該第2切れ刃は略1/4球状となる半径のコーナRで設け、前記第1切れ刃を略直線状に設け、前記第2切れ刃及び底刃とをR繋ぎとし、前記第3切れ刃は、第2切れ刃と同等又は小さなRとし及び前記第1切れ刃は略直線状としたことを特徴とする超硬合金製エンドミルである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明により、第1切れ刃の欠損を抑制し、高能率切削が可能になるとともに、被削面の粗さが向上する。第1切れ刃を略直線状とすることにより、コーナRよりも、底刃との繋ぐ位置を回転中心側に設けることが出来、そのため、よりコーナー角を小さく設定することが出来、耐チッピング性も向上する。しかし、直線部の繋ぎ部を滑らかに結ばないと、切れ刃部でのチッピングを生じやすくなり、耐チッビング性が劣化する。更に、第3切れ刃は、第2切れ刃よりも同等か、更に小さなコーナRとする事により、切削抵抗を軽減する。尚、本願発明では、コーナR部全体では、略1/4球状となるように設けるが、第2切れ刃のコーナRは刃径の0.1〜0.30倍とする事により、高送りに適した形状とすることができる。すなわち、コーナRが刃径の0.1倍より小さいと、切れ刃接触長さを長くすることが出来ず、耐チッピング性を向上出来ず、コーナRが刃径の0.30倍を越えると、底刃側との繋ぎ部が回転中心に近づきすぎて、切削速度が遅くなるため、コーナRは刃径の0.1〜0.30倍の範囲とした。
【0008】
次に、第1切れ刃のコーナー角を2度〜15度、軸方向の長さで、コーナR全体の25%以下としたのは、第1切れ刃を直線状、且つ、コーナー角を設けることにより、高送り時の被削面の粗さも改善される。特に、高送り時のカッターマークは、高送りゆえに目立ちやすく、また、更に被削面の品位の向上を図るケースでは、前記第1切れ刃の複数の直線状切れ刃中に、少なくとも1つにワイパー刃を設けても良い。特に、切削負荷が集中する第2切れ刃部分の切削性を保つことができ、刃先強度と耐チッピング性を向上させることができる。更に、前記第1切れ刃は、コーナR全体の25%以下とした理由は、直線状の第1切れ刃から第2切れ刃との繋ぎ部は、25%を越えると、相対的にコーナー角が大きくなりすぎ、第1切れ刃がチッピングしやすくなるため、25%以下とした。更に、好ましくは15%以下である。更に、前記第1切れ刃と底刃との繋ぎ位置は、刃径の0.5〜0.90倍の位置とし、第1切れ刃の長さを長くしすぎないように切れ刃長さを調整する。
【0009】
また、被切削面をより良く、例えば、通常の加工程度まで、荒加工で行い、以下の行程を省略するような場合には、前記第1切れ刃の直線状切れ刃を複数組合わせ、その切れ刃中の少なくとも1つにワイパー刃を設けても良い。第1切れ刃を直線状とし、コーナー角を設けることにより、計算上のカプスハイトは小さくなるが、更にワイパー刃を設けることにより、被切削面の粗さを改善することができる。尚、ワイパー刃としては、公知の形状で良く、回転中心の垂線と平行又は角度をつけて、1刃又は1回転当りの送り量、すなわち、0.1〜0.4mm程度の長さを設ければ良い。
【0010】
次に、第3切れ刃に付いて、第3切れ刃は、第2切れ刃と同等又は小さなRで設けるが、その理由は、第3切れ刃は切削速度が速くて大きな切削荷重がかかり、また、切削中の切削熱が集中し易いこともあって、最も頻繁に摩耗が生じ易い部位であり、切削抵抗を減少しなければならないためである。第3切れ刃のコーナRは、前記第2切れ刃のコーナRの50%以上、より好ましくは、70〜90%の範囲である。また、TiAlN等の硬質皮膜やCr系の潤滑皮膜を施すことにより、長寿命化が計れることは言うまでもない。以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
【0011】
【実施例】
(実施例1)
本発明例1として、超微粒子超硬合金を使用し、刃径10mm、コーナアール半径2mm(刃径の20%)、4枚刃で、TiAlNコーティングを施したものを製作した。本発明例1のコーナーアール刃は、第1切れ刃:直線状で、軸方向高さ0.2mm、第2切れ刃、第3切れ刃:2mm(刃径の20%)とした。
尚、比較のため、比較例2として、本発明例1と同仕様で、第2切れ刃のコーナRで第1切れ刃を製作したエンドミルも用いた。切削諸元は、被削材にHRC40のプリハードン鋼を用い、長さ200mm、幅15mm、深さ10mm、側壁の片角3度の溝状の加工を、回転数4000回転、テーブル送り2560mm/min、1刃当りの送り量0.16mm/刃、エンドミル軸方向ピッチ0.6mmで、工具突き出し長さを35mmとし、エアブローで等高線加工を行い、エンドミル損傷状態を観察した。
【0012】
その結果、本発明例1の損傷状態は、通常摩耗で摩耗幅は僅かであり、加工面も良好であり、更には溝形状の加工が完了した後の溝底面の面粗さは、平均粗さRaで0.7μmで有った。これに対し、比較例2の損傷状態は、本発明例1と同様、通常摩耗で摩耗幅は僅かであったが、加工面にはうねりが観察され、溝形状の加工が完了した後の溝底面の面粗さは、平均粗さRaで2.5μmで有った。
【0013】
更に、本発明例1、比較例2を用いて、1刃当りの送り量を0.20mm/刃(テーブル送り量F=3200mm/min)、同0.25mm/刃(テーブル送り量F=4000mm/min)の条件で切削を行った。その結果、本発明例1の損傷状態は、通常摩耗で摩耗幅は僅かであり、加工面も良好であり、更には溝形状の加工が完了した後の溝底面の面粗さは、F=3200での平均粗さRaは0.9μmで、F=4000での平均粗さRaは1.1μmで有った。
これに対し、比較例2の損傷状態は、本発明例1と同様、通常摩耗で摩耗幅は僅かであったが、加工面にはうねりが観察され、溝形状の加工が完了した後の溝底面の面粗さは、F=3200での平均粗さRaは2.5μmで、F=4000での平均粗さRaは3.0μmで有った。
【0014】
(実施例2)
本発明例及び比較例3〜8として、本発明例1又は比較例2のエンドミルと同仕様で、コーナーRの大きさを、比較例3として0.5mm(刃径の0.05倍、コーナRは一定。)、本発明例4として1.0mm(刃径の0.10倍、第1切れ刃のコーナRは、第2切れ刃の2倍。以下、同様。)、本発明例5として1.5mm(刃径の0.15倍)、本発明例6として2.5mm(刃径の0.25倍)、本発明例7として3.0mm(刃径の0.30倍)、比較例8として3.5mm(刃径の0.35倍、コーナRは一定。)のエンドミルを製作し、実施例1と同様の切削諸元で評価を行った。
その結果、本発明例4〜7は、1形状の加工ができ、当初の加工形状も得られた。特に、本発明例1及び本発明例4、5はビビリ振動が非常に小さく、切削状態も安定しており、エンドミル損傷状態は、通常摩耗で摩耗幅は僅かであり、加工面も良好で、平均粗さRaは0.7μm〜0.9μmで有った。本発明例6では、チッピングや欠損は認められなかったものの、ビビリ振動及び切削音がやや大きくなり、本発明例7で僅かに微小チッピングが認められた。比較例3は、第2切れ刃のコーナRが小さく、切れ刃接触長さが短いため、使用初期に欠損し、比較例8は、ビビリ振動及び切削音が大きくなり、微小チッピングが認められた。そのため、平均粗さRaは2.9μm〜3.2μmと大きな値となった。
【0015】
(実施例3)
本発明例9〜14、比較例15として、本発明例1のエンドミルと同仕様で、第1切れ刃と第2切れ刃の繋ぎ部を、エンドミルの底刃からの軸方向長さで10%(0.2mm)一定として、底刃との繋ぐ位置を本発明例9として、刃径の0.80倍(8mm)とし、、本発明例10として同0.75倍(7.5mm)、本発明例12として同0.70倍(7.0)、本発明例13として同0.60倍%(6.0mm)、本発明例14として同0.50倍%(5.0mm)、比較例15として同0.3倍(3.0mm)製作し、実施例1と同様の切削諸元で評価を行った。
その結果、本発明例9〜14は、1形状の加工ができ、当初の加工形状も得られた。特に、本発明例9〜本発明例12はビビリ振動が非常に小さく、切削状態も安定しており、エンドミル損傷状態は、通常摩耗で摩耗幅は僅かであり、加工面も良好で、平均粗さRaは0.6μm〜0.9μmの値となった。底刃との繋ぎ部が回転中心に近く、第1切れ刃が長い比較例15では、切れ刃接触長さが長くなりすぎ、ビビリ振動及び切削音が大きくなり、微小チッピングが認められた。そのため、平均粗さRaは2.9μmと大きな値となった。
【0016】
【発明の効果】
以上の結果から、本願発明を適用することにより、金型等の等高線深彫り加工等に使用し、荒加工のように切り込み量が大きい加工においても、コーナアール刃の欠損を抑制し、1刃送りの大きい高能率切削が可能であるエンドミルを提供できた。
【産業上の利用分野】
本願発明は、高送りに適する超硬合金製のエンドミルに関する。
【0002】
【従来の技術】
被削材の肩削り加工や溝加工に使用される切削工具として、通常のスクエアエンドミルのコーナー部にアールを設けたラジアスエンドミルが良く知られている。このラジアスエンドミルの外周刃と底刃とが交差するコーナ部は、切削速度が高くて大きな切削荷重がかかり、また切削中の切削熱が集中し易いこともあって、最も頻繁に摩耗や欠損が生じ易い部位であり、かかるコーナ部において両切刃が鋭利な角度に交差したままであると、一層摩耗や欠損が助長されて工具寿命が著しく短縮されてしまうことになる。
【0003】
金型等の等高線深彫り加工には、従来よりボールエンドミルが一般に使用されていたが、高能率切削の要求が強くなり、上記ボールエンドミルに代えてエンドミルが使用されてきている。エンドミルは、ボールエンドミルに比較して切れ刃が被削材と接触する長さが短く、又、ボールエンドミルでは工具先端部が工具軸心上になるため切削速度が得られないのに対し、エンドミルでは十分な切削速度が得られるため、切削抵抗が小さく、切れ味が良好であり、高能率切削に適している。更に、エンドミルについては、その使用目的等に応じて多数の改善がなされており、例えば、特開平7−246508号公報には、コーナアール刃を補強した例が、又、特開平11−216609号公報には、切削性を向上させた例が開示されている。一方、金型等の加工では、コーナ部の加工や、深彫り加工等の工具突き出し量が大きい加工等があり、切削中にビビリ振動が発生しやすいため、一般にNCプログラム上処理しやすい送り速度を下げる方法が採られている。送り速度を下げる方法では、加工能率が下がるだけでなく、ビビリ振動を抑制する効果が少なく、1刃送り量が比例して下がるため、切れ刃と被削材の接触回数が多くなり、摩耗進行が早くなる。また、ビビリ振動抑制効果の高い、切削速度を下げる方法があるが、これだけでは、送り速度が比例的に下がり、何れにしても加工能率が下がるため、最近では、高能率切削を行う手段として、切削速度は下げるが、送り速度は上げる、即ち、1刃送り量を極端に上げる高送り切削が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、このような事情を鑑みてなされたものであって、1刃送り量を極端に上げると、コーナアール刃に切削負荷が集中し、コーナアール刃の強度が切削負荷に耐えきれず、欠損により寿命に至るという課題があった。更に、荒加工のように送り量が大きい加工において、高送り切削を行うと、被削面粗さが低下し、荒加工後に再度中仕上げに準するような加工が必要となるケースも生じている。
【0005】
【本発明の目的】
上記のように、本発明の目的とするところは、コーナ部の強度を高めるとともに、被削面の粗さを適切に保ち、工具寿命の長い高送りエンドミルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決してかかる目的を達するため、本発明は、回転軌跡が略1/4球状を呈する切れ刃を有する複数の切れ刃を有する超硬合金製高送りエンドミルにおいて、前記略1/4球状を形成する各切れ刃を、エンドミルの底刃側より、第1切れ刃、第2切れ刃とし、外周切れ刃との繋ぎ部を第3切れ刃としたとき、該第2切れ刃は略1/4球状となる半径のコーナRで設け、前記第1切れ刃を略直線状に設け、前記第2切れ刃及び底刃とをR繋ぎとし、前記第3切れ刃は、第2切れ刃と同等又は小さなRとし及び前記第1切れ刃は略直線状としたことを特徴とする超硬合金製エンドミルである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明により、第1切れ刃の欠損を抑制し、高能率切削が可能になるとともに、被削面の粗さが向上する。第1切れ刃を略直線状とすることにより、コーナRよりも、底刃との繋ぐ位置を回転中心側に設けることが出来、そのため、よりコーナー角を小さく設定することが出来、耐チッピング性も向上する。しかし、直線部の繋ぎ部を滑らかに結ばないと、切れ刃部でのチッピングを生じやすくなり、耐チッビング性が劣化する。更に、第3切れ刃は、第2切れ刃よりも同等か、更に小さなコーナRとする事により、切削抵抗を軽減する。尚、本願発明では、コーナR部全体では、略1/4球状となるように設けるが、第2切れ刃のコーナRは刃径の0.1〜0.30倍とする事により、高送りに適した形状とすることができる。すなわち、コーナRが刃径の0.1倍より小さいと、切れ刃接触長さを長くすることが出来ず、耐チッピング性を向上出来ず、コーナRが刃径の0.30倍を越えると、底刃側との繋ぎ部が回転中心に近づきすぎて、切削速度が遅くなるため、コーナRは刃径の0.1〜0.30倍の範囲とした。
【0008】
次に、第1切れ刃のコーナー角を2度〜15度、軸方向の長さで、コーナR全体の25%以下としたのは、第1切れ刃を直線状、且つ、コーナー角を設けることにより、高送り時の被削面の粗さも改善される。特に、高送り時のカッターマークは、高送りゆえに目立ちやすく、また、更に被削面の品位の向上を図るケースでは、前記第1切れ刃の複数の直線状切れ刃中に、少なくとも1つにワイパー刃を設けても良い。特に、切削負荷が集中する第2切れ刃部分の切削性を保つことができ、刃先強度と耐チッピング性を向上させることができる。更に、前記第1切れ刃は、コーナR全体の25%以下とした理由は、直線状の第1切れ刃から第2切れ刃との繋ぎ部は、25%を越えると、相対的にコーナー角が大きくなりすぎ、第1切れ刃がチッピングしやすくなるため、25%以下とした。更に、好ましくは15%以下である。更に、前記第1切れ刃と底刃との繋ぎ位置は、刃径の0.5〜0.90倍の位置とし、第1切れ刃の長さを長くしすぎないように切れ刃長さを調整する。
【0009】
また、被切削面をより良く、例えば、通常の加工程度まで、荒加工で行い、以下の行程を省略するような場合には、前記第1切れ刃の直線状切れ刃を複数組合わせ、その切れ刃中の少なくとも1つにワイパー刃を設けても良い。第1切れ刃を直線状とし、コーナー角を設けることにより、計算上のカプスハイトは小さくなるが、更にワイパー刃を設けることにより、被切削面の粗さを改善することができる。尚、ワイパー刃としては、公知の形状で良く、回転中心の垂線と平行又は角度をつけて、1刃又は1回転当りの送り量、すなわち、0.1〜0.4mm程度の長さを設ければ良い。
【0010】
次に、第3切れ刃に付いて、第3切れ刃は、第2切れ刃と同等又は小さなRで設けるが、その理由は、第3切れ刃は切削速度が速くて大きな切削荷重がかかり、また、切削中の切削熱が集中し易いこともあって、最も頻繁に摩耗が生じ易い部位であり、切削抵抗を減少しなければならないためである。第3切れ刃のコーナRは、前記第2切れ刃のコーナRの50%以上、より好ましくは、70〜90%の範囲である。また、TiAlN等の硬質皮膜やCr系の潤滑皮膜を施すことにより、長寿命化が計れることは言うまでもない。以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
【0011】
【実施例】
(実施例1)
本発明例1として、超微粒子超硬合金を使用し、刃径10mm、コーナアール半径2mm(刃径の20%)、4枚刃で、TiAlNコーティングを施したものを製作した。本発明例1のコーナーアール刃は、第1切れ刃:直線状で、軸方向高さ0.2mm、第2切れ刃、第3切れ刃:2mm(刃径の20%)とした。
尚、比較のため、比較例2として、本発明例1と同仕様で、第2切れ刃のコーナRで第1切れ刃を製作したエンドミルも用いた。切削諸元は、被削材にHRC40のプリハードン鋼を用い、長さ200mm、幅15mm、深さ10mm、側壁の片角3度の溝状の加工を、回転数4000回転、テーブル送り2560mm/min、1刃当りの送り量0.16mm/刃、エンドミル軸方向ピッチ0.6mmで、工具突き出し長さを35mmとし、エアブローで等高線加工を行い、エンドミル損傷状態を観察した。
【0012】
その結果、本発明例1の損傷状態は、通常摩耗で摩耗幅は僅かであり、加工面も良好であり、更には溝形状の加工が完了した後の溝底面の面粗さは、平均粗さRaで0.7μmで有った。これに対し、比較例2の損傷状態は、本発明例1と同様、通常摩耗で摩耗幅は僅かであったが、加工面にはうねりが観察され、溝形状の加工が完了した後の溝底面の面粗さは、平均粗さRaで2.5μmで有った。
【0013】
更に、本発明例1、比較例2を用いて、1刃当りの送り量を0.20mm/刃(テーブル送り量F=3200mm/min)、同0.25mm/刃(テーブル送り量F=4000mm/min)の条件で切削を行った。その結果、本発明例1の損傷状態は、通常摩耗で摩耗幅は僅かであり、加工面も良好であり、更には溝形状の加工が完了した後の溝底面の面粗さは、F=3200での平均粗さRaは0.9μmで、F=4000での平均粗さRaは1.1μmで有った。
これに対し、比較例2の損傷状態は、本発明例1と同様、通常摩耗で摩耗幅は僅かであったが、加工面にはうねりが観察され、溝形状の加工が完了した後の溝底面の面粗さは、F=3200での平均粗さRaは2.5μmで、F=4000での平均粗さRaは3.0μmで有った。
【0014】
(実施例2)
本発明例及び比較例3〜8として、本発明例1又は比較例2のエンドミルと同仕様で、コーナーRの大きさを、比較例3として0.5mm(刃径の0.05倍、コーナRは一定。)、本発明例4として1.0mm(刃径の0.10倍、第1切れ刃のコーナRは、第2切れ刃の2倍。以下、同様。)、本発明例5として1.5mm(刃径の0.15倍)、本発明例6として2.5mm(刃径の0.25倍)、本発明例7として3.0mm(刃径の0.30倍)、比較例8として3.5mm(刃径の0.35倍、コーナRは一定。)のエンドミルを製作し、実施例1と同様の切削諸元で評価を行った。
その結果、本発明例4〜7は、1形状の加工ができ、当初の加工形状も得られた。特に、本発明例1及び本発明例4、5はビビリ振動が非常に小さく、切削状態も安定しており、エンドミル損傷状態は、通常摩耗で摩耗幅は僅かであり、加工面も良好で、平均粗さRaは0.7μm〜0.9μmで有った。本発明例6では、チッピングや欠損は認められなかったものの、ビビリ振動及び切削音がやや大きくなり、本発明例7で僅かに微小チッピングが認められた。比較例3は、第2切れ刃のコーナRが小さく、切れ刃接触長さが短いため、使用初期に欠損し、比較例8は、ビビリ振動及び切削音が大きくなり、微小チッピングが認められた。そのため、平均粗さRaは2.9μm〜3.2μmと大きな値となった。
【0015】
(実施例3)
本発明例9〜14、比較例15として、本発明例1のエンドミルと同仕様で、第1切れ刃と第2切れ刃の繋ぎ部を、エンドミルの底刃からの軸方向長さで10%(0.2mm)一定として、底刃との繋ぐ位置を本発明例9として、刃径の0.80倍(8mm)とし、、本発明例10として同0.75倍(7.5mm)、本発明例12として同0.70倍(7.0)、本発明例13として同0.60倍%(6.0mm)、本発明例14として同0.50倍%(5.0mm)、比較例15として同0.3倍(3.0mm)製作し、実施例1と同様の切削諸元で評価を行った。
その結果、本発明例9〜14は、1形状の加工ができ、当初の加工形状も得られた。特に、本発明例9〜本発明例12はビビリ振動が非常に小さく、切削状態も安定しており、エンドミル損傷状態は、通常摩耗で摩耗幅は僅かであり、加工面も良好で、平均粗さRaは0.6μm〜0.9μmの値となった。底刃との繋ぎ部が回転中心に近く、第1切れ刃が長い比較例15では、切れ刃接触長さが長くなりすぎ、ビビリ振動及び切削音が大きくなり、微小チッピングが認められた。そのため、平均粗さRaは2.9μmと大きな値となった。
【0016】
【発明の効果】
以上の結果から、本願発明を適用することにより、金型等の等高線深彫り加工等に使用し、荒加工のように切り込み量が大きい加工においても、コーナアール刃の欠損を抑制し、1刃送りの大きい高能率切削が可能であるエンドミルを提供できた。
Claims (7)
- 回転軌跡が略1/4球状を呈する切れ刃を有する複数の切れ刃を有する超硬合金製高送りエンドミルにおいて、前記略1/4球状を形成する各切れ刃を、エンドミルの底刃側より、第1切れ刃、第2切れ刃とし、外周切れ刃との繋ぎ部を第3切れ刃としたとき、該第2切れ刃は略1/4球状となる半径のコーナRで設け、前記第1切れ刃を略直線状に設け、前記第2切れ刃及び底刃とをR繋ぎとし、前記第3切れ刃は、第2切れ刃と同等又は小さなRとし及び前記第1切れ刃は略直線状としたことを特徴とする超硬合金製エンドミル。
- 請求項1記載の超硬合金製高送りエンドミルにおいて、前記第2切れ刃のコーナRが刃径の0.1〜0.30倍としたことを特徴とする超硬合金製高送りエンドミル。
- 請求項1記載の超硬合金製高送りエンドミルにおいて、前記第1切れ刃のコーナー角を2度〜15度、軸方向の長さで、コーナR全体の25%以下としたことを特徴とする超硬合金製高送りエンドミル。
- 請求項1記載の超硬合金製高送りエンドミルにおいて、前記第1切れ刃と底刃との繋ぎ位置を刃径の0.5〜0.90倍の位置にしたことを特徴とする超硬合金製高送りエンドミル。
- 請求項4記載の超硬合金製高送りエンドミルにおいて、前記第1切れ刃を複数の直線の組合わせとしたことを特徴とする超硬合金製高送りエンドミル。
- 請求項5記載の超硬合金製高送りエンドミルにおいて、前記第1切れ刃の複数の直線の組合わせのうち、その1つをワイパー刃としたことを特徴とする超硬合金製高送りエンドミル。
- 請求項6記載の超硬合金製高送りエンドミルにおいて、前記ワイパー刃は、0.1〜0.4mmとしたことを特徴とする超硬合金製高送りエンドミル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002212071A JP2004050360A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | エンドミル |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002212071A JP2004050360A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | エンドミル |
Publications (1)
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JP2004050360A true JP2004050360A (ja) | 2004-02-19 |
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ID=31935106
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002212071A Pending JP2004050360A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | エンドミル |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004050360A (ja) |
-
2002
- 2002-07-22 JP JP2002212071A patent/JP2004050360A/ja active Pending
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