JP2004045856A - ポジ型レジスト組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】PED安定性及びプロファイルに優れたポジ型レジスト組成物を提供すること。
【解決手段】(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、(B)単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂、及び(C)下記(CA)及び(CB)から選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物、
(CA)少なくとも1つの(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物、及び、少なくとも1つの(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物、
(CB)少なくとも2種の(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物、
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、(B)単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂、及び(C)下記(CA)及び(CB)から選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物、
(CA)少なくとも1つの(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物、及び、少なくとも1つの(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物、
(CB)少なくとも2種の(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物、
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにその他のフォトファブリケーション工程に使用されるポジ型感光性組成物に関するものである。さらに詳しくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の遠紫外線等を露光光源とする場合に好適なポジ型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化学増幅系ポジ型レジスト組成物は、遠紫外光等の放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させ、パターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
【0003】
KrFエキシマレーザーを露光光源とする場合には、主として248nm領域での吸収の小さい、ポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とする樹脂を主成分に使用するため、高感度、高解像度で、且つ良好なパターンを形成し、従来のナフトキノンジアジド/ノボラック樹脂系に比べて良好な系となっている。
【0004】
しかしながら、更なる短波長の光源、例えばArFエキシマレーザー(193nm)を露光光源として使用する場合は、芳香族基を有する化合物が本質的に193nm領域に大きな吸収を示すため、上記化学増幅系でも十分ではなかった。
また、193nm波長領域に吸収の小さいポリマーとして、ポリ(メタ)アクリレートの利用がJ.Vac.Sci.Technol.,B9,3357(1991). に記載されているが、このポリマーは一般に半導体製造工程で行われるドライエッチングに対する耐性が、芳香族基を有する従来のフェノール樹脂に比べ低いという問題があった。
【0005】
また、近年、半導体チップの微細化の流れ、及び高スループットへ向けて、露光によるエラーを減らすことが重要となってきている。これまでのレジストでは、PED(Post Exposure Delay)安定性が悪く、その結果歩留まりが著しく低下していた。また、そのレジストプロファイルがあまり良好でないため、歩留まりの悪化につながっていた。ここで、PED安定性とは、露光後、後加熱を実施するまでの時間によってパターン寸法が変動してしまうことである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、PED安定性及びプロファイルに優れたポジ型レジスト組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記構成のポジ型レジスト組成物であり、これにより本発明の上記目的が達成される。
【0008】
(1)(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
(B)単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂、及び
(C)下記(CA)及び(CB)から選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物、
(CA)少なくとも1つの(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物、及び、少なくとも1つの(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物、
(CB)少なくとも2種の(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物、
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【0009】
以下に、好ましい態様を記載する。
(2)更に、(D)フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤を含有する前記(1)に記載のポジ型レジスト組成物。
(3)更に、(F)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解性を増大させる基を有し、分子量3000以下の溶解阻止低分子化合物を含有する前記(1)又は(2)に記載のポジ型レジスト組成物。
(4)更に、(E)水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を含有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
(5)220nm以下の波長の遠紫外光による露光用組成物であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に使用する化合物について詳細に説明する。
【0011】
≪(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物≫
本発明の組成物には、成分(A)として活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有する。
そのような光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0012】
たとえば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、イミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物を挙げることができる。
【0013】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許発明第3914407号明細書、特開昭63−26653号公報、特開昭55−164824号公報、特開昭62−69263号公報、特開昭63−146038号公報、特開昭63−163452号公報、特開昭62−153853号公報、特開昭63−146029号公報等に記載の化合物を用いることができる。
【0014】
さらに米国特許第3,779,778号明細書、欧州特許第126,712号明細書等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0015】
上記活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものについて以下に説明する。
【0016】
(1)下記の一般式(PAG1)で表されるヨードニウム塩、又は一般式(PAG2)で表されるスルホニウム塩。
【0017】
【化1】
【0018】
ここで式Ar1、Ar2は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒロドキシ基、メルカプト基及びハロゲン原子が挙げられる。
【0019】
R203、R204、R205は各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。好ましくは、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜8のアルキル基及びそれらの置換誘導体である。
好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒロドキシ基及びハロゲン原子であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、カルボキシル基、アルコシキカルボニル基である。
【0020】
Z−は対アニオンを示し、例えばBF4 −、AsF6 −、PF6 −、SbF6 −、SiF6 2−、ClO4 −、CF3SO3 −等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸アニオン等の縮合多核芳香族スルホン酸アニオン、アントラキノンスルホン酸アニオン、スルホン酸基含有染料等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0021】
またR203、R204、R205のうちの2つ及びAr1、Ar2はそれぞれの単結合又は置換基を介して結合してもよい。
【0022】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】
一般式(PAG1)、(PAG2)で示される上記オニウム塩は公知であり、例えば米国特許第2,807,648号明細書及び同4,247,473号明細書、特開昭53−101331号公報等に記載の方法により合成することができる。
【0027】
(2)下記一般式(PAG3)で表されるジスルホン誘導体又は一般式(PAG4)で表されるイミノスルホネート誘導体。
【0028】
【化5】
【0029】
式中、Ar3、Ar4は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。
R206は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
【化6】
【0031】
【化7】
【0032】
(3)下記一般式(PAG5)で表されるジアゾジスルホン誘導体。
【0033】
【化8】
【0034】
ここでRは、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基、あるいは置換していてもよいアリール基を表す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
【化9】
【0036】
また、上記化合物の他に、下記一般式(PAG6)で表される化合物も本発明の成分(A)の酸発生剤として有効に用いられる。
【0037】
【化10】
式(PAG6)中、
R1〜R5は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基又はアリール基を表し、R1〜R5のうち少なくとも2つ以上が結合して環構造を形成してもよい。
R6及びR7は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はアリール基を表す。
Y1及びY2は、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む芳香族基を表し、Y1とY2とが結合して環を形成してもよい。
Y3は、単結合または2価の連結基を表す。
X−は、非求核性アニオンを表す。
但し、R1からR5の少なくとも1つとY1又はY2の少なくとも一つが結合して環を形成するか、若しくは、R1からR5の少なくとも1つとR6又はR7の少なくとも1つが結合して環を形成する。
尚、R1からR7のいずれか、若しくは、Y1又はY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、式(PAG6)の構造を2つ以上有していてもよい。
【0038】
R1〜R7のアルキル基は、置換あるいは無置換のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
R1〜R5のアルコキシ基及びアルキルオキシカルボニル基におけるアルコキシ基は、置換あるいは無置換のアルコキシ基であり、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基であり、無置換のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
R1〜R7、Y1、Y2のアリール基は、置換あるいは無置換のアリール基であり、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
R1〜R5のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0039】
Y1及びY2のアルキル基は、置換あるいは無置換のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基である。無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができる。
【0040】
Y1及びY2のアラルキル基は、置換あるいは無置換のアラルキル基であり、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。
【0041】
ヘテロ原子を含む芳香族基とは、例えば炭素数6〜14のアリール基等の芳香族基に、ヘテロ原子、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を有する基を表す。
Y1及びY2のヘテロ原子を含む芳香族基としては、置換あるいは無置換のヘテロ原子を含む芳香族基であり、無置換のものとしては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、インドール等の複素環式芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0042】
Y1とY2とは結合して、式(PAG6)中のS+とともに、環を形成してもよい。
この場合、Y1とY2とが結合して形成する基としては、例えば、炭素数4〜10のアルキレン基、好ましくはブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、特に好ましくはブチレン基、ペンチレン基を挙げることができる。
また、Y1とY2と結合して、式(PAG6)中のS+とともに形成した環の中に、ヘテロ原子を含んでいても良い。
【0043】
上記のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アラルキル基の各々は、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)等で置換されていてもよい。更にアリール基、アラルキル基については、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5)で置換されていてもよい。
また、アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。
【0044】
Y3は、単結合または2価の連結基を表し、2価の連結基としては、置換していてもよいアルキレン基、アルケニレン基、−O−、−S−、−CO−、−CONR−(Rは、水素、アルキル基、アシル基である。)、及びこれらのうち2つ以上を含んでもよい連結基が好ましい。
【0045】
X−の非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
スルホン酸アニオンとしては、例えば、アルキルスルホン酸アニオン、アリールスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
カルボン酸アニオンとしては、例えば、アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
【0046】
アルキルスルホン酸アニオンにおけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができる。
アリールスルホン酸アニオンにおけるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0047】
上記アルキルスルホン酸アニオン及びアリールスルホン酸アニオンにおけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0048】
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、弗素原子、沃素原子等を挙げることができる。
アルキル基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜15のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
アルキルチオ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜15のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ウンデシルチオ基、ドデシルチオ基、トリデシルチオ基、テトラデシルチオ基、ペンタデシルチオ基、ヘキサデシルチオ基、ヘプタデシルチオ基、オクタデシルチオ基、ノナデシルチオ基、エイコシルチオ基等を挙げることができる。尚、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基は、更にハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されていてもよい。
【0049】
アルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基としては、アルキルスルホン酸アニオンにおけるアルキル基と同様のものを挙げることができる。
アリールカルボン酸アニオンにおけるアリール基としては、アリールスルホン酸アニオンにおけるアリール基と同様のものを挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0050】
上記アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、アリール基及びアラルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリールスルホン酸アニオンにおけると同様のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0051】
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
【0052】
尚、本発明の式(PAG6)において、R1からR5の少なくとも1つとY1又はY2の少なくとも一つが結合して環が形成されるか、若しくは、R1からR5の少なくとも1つとR6又はR7の少なくとも1つが結合して環が形成されている。式(PAG6)に示す化合物は、環を形成することにより、立体構造が固定され、光分解能が向上する。
また、R1からR7のいずれか、若しくは、Y1又はY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、式(PAG6)の構造を2つ以上有していてもよい。
【0053】
さらに式(PAG6)の化合物は、下記一般式(PAG6A)又は(PAG6B)であるのが好ましい。
【0054】
【化11】
【0055】
式(PAG6A)中、R1〜R4、R7、Y1、Y2及びX−は、上記式(PAG6)中のものと同様であり、Yは、単結合又は2価の連結基を表す。
式(PAG6B)中、R1〜R4、R6、R7、Y1及びX−は、上記式(PAG6)中のものと同様であり、Yは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0056】
Yは、単結合又は2価の連結基を表し、2価の連結基としては、置換していてもよいアルキレン基、アルケニレン基、−O−、−S−、−CO−、−CONR−(Rは、水素、アルキル基、アシル基である。)、及びこれらのうち2つ以上を含んでもよい連結基が好ましい。
式(PAG6A)中、Yとしてはアルキレン基又は酸素原子を含むアルキレン基、硫黄原子を含むアルキレン基が好ましく、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、−CH2−O−、−CH2−S−が好ましく、最も好ましくはエチレン基、−CH2−O−、−CH2−S−のように6員環を形成する連結基である。6員環を形成することによりカルボニル平面とC−S+シグマ結合がより垂直に近くなり、軌道相互作用により光分解効率が向上する。
【0057】
式(PAG6A)に示す化合物は、対応するα−ハロ環状ケトンとスルフィド化合物を反応させる方法、或いは対応する環状ケトンをシリルエノールエーテルに変換した後、スルホキシドと反応させることにより得ることができる。式(IB)に示す化合物は、アルールアルキルスルフィドにα−又はβ−ハロゲン化ハライドを反応させることにより得ることができる。
【0058】
以下に、上記式(PAG6)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
【化12】
【0060】
【化13】
【0061】
【化14】
【0062】
上記一般式(PAG6)で表される酸発生剤の具体例において、(PAG6A−1)〜(PAG6A−30)及び(PAG6B−1)〜(PAG6B−12)がより好ましい。
【0063】
上記式(PAG6)の化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0064】
(A)成分の化合物の本発明のポジ型レジスト組成物中の含量は、組成物の固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%である。
【0065】
本発明に使用される(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【0066】
【化15】
【0067】
【化16】
【0068】
≪(B)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂(「酸分解性樹脂」ともいう)≫
【0069】
本発明の(B)酸分解性樹脂としては、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂であれば、何れでもよいが、一般式(pI)〜一般式(pVI)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位及び一般式(II−AB)で示される繰り返し単位の群から選択される少なくとも1種を含有する樹脂であることが好ましい。
【0070】
【化17】
【0071】
(式中、R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは脂環式炭化水素基を表す。
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
R22〜R25は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0072】
【化18】
【0073】
式(II−AB)中:
R11’,R12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Z’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0074】
また、上記一般式(II−AB)は、下記一般式(II−A)又は一般式(II−B)であることが更に好ましい。
【0075】
【化19】
【0076】
式(II−A)、(II−B)中:
R13’〜R16’は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOH、−COOR5、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A’−R17’、又は置換基を有していてもよいアルキル基あるいは環状炭化水素基を表す。
ここで、R5は、置換基を有していてもよい、アルキル基、環状炭化水素基又は下記の−Y基を表す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
A’は単結合又は2価の連結基を表す。
また、Rl3’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。nは0又は1を表す。
R17’は、−COOH、−COOR5、−CN、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、−CO−NH−R6、−CO−NH−SO2−R6又は下記の−Y基を表す。
R6は、置換基を有していてもよい、アルキル基又は環状炭化水素基を表す。
−Y基;
【0077】
【化20】
【0078】
(−Y基中、R21’〜R30’は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。a,bは1又は2を表す。)
【0079】
一般式(pI)〜(pVI)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、上記アルキル基の更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0080】
R11〜R25における脂環式炭化水素基あるいはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
以下に、脂環式炭化水素基のうち、脂環式部分の構造例を示す。
【0081】
【化21】
【0082】
【化22】
【0083】
【化23】
【0084】
本発明においては、上記脂環式部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基である。
【0085】
これらの脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基よりなる群から選択された置換基を表す。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。上記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0086】
上記樹脂における一般式(pI)〜(pVI)で示される構造は、アルカリ可溶性基の保護に使用することができる。アルカリ可溶性基としては、この技術分野において公知の種々の基が挙げられる。
具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、フェノール基、チオール基などが挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基である。
上記樹脂における一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基としては、好ましくは下記一般式(pVII)〜(pXI)で表される基が挙げられる。
【0087】
【化24】
【0088】
ここで、R11〜R25ならびにZは、それぞれ前記定義に同じである。
上記樹脂において、一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(pA)で示される繰り返し単位が好ましい。
【0089】
【化25】
【0090】
ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子又は1〜4個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。複数のRは、各々同じでも異なっていてもよい。
Aは、単結合、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、又はウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。
Raは、上記式(pI)〜(pVI)のいずれかの基を表す。
【0091】
以下、一般式(pA)で示される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を示す。
【0092】
【化26】
【0093】
【化27】
【0094】
上記一般式(II−AB)において、R11’、R12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Z’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0095】
上記R11’、R12’におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
上記R11’、R12’、R21’〜R30’におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0096】
上記のアルキル基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができ、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
【0097】
上記Z’の脂環式構造を形成するための原子団は、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素の繰り返し単位を樹脂に形成する原子団であり、中でも有橋式の脂環式炭化水素の繰り返し単位を形成する有橋式脂環式構造を形成するための原子団が好ましい。
形成される脂環式炭化水素の骨格としては、下記構造で示すもの等が挙げられる。
【0098】
【化28】
【0099】
【化29】
【0100】
好ましい有橋式の脂環式炭化水素の骨格としては、上記構造のうち、(5)、(6)、(7)、(9)、(10)、(13)、(14)、(15)、(23)、(28)、(36)、(37)、(42)、(47)が挙げられる。
【0101】
上記脂環式炭化水素の骨格には置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、上記一般式(II−A)あるいは(II−B)中のR13’〜R16’を挙げることができる。
上記有橋式の脂環式炭化水素を有する繰り返し単位の中でも、上記一般式(II−A)あるいは(II−B)で表される繰り返し単位が更に好ましい。
【0102】
上記一般式(II−A)あるいは(II−B)において、R13’〜R16’は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOH、−COOR5 、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A’−R17’、又は置換基を有していてもよいアルキル基あるいは環状炭化水素基を表す。
R5は、置換基を有していてもよい、アルキル基、環状炭化水素基又は前記の−Y基を表す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
A’は、単結合または2価の連結基を表す。
また、Rl3’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。nは0又は1を表す。
R17’は、−COOH、−COOR5 、−CN、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、−CO−NH−R6 、−CO−NH−SO2 −R6又は下記の−Y基を表す。
R6は、置換基を有していてもよい、アルキル基又は環状炭化水素基を表す。
前記−Y基において、R21’〜R30’は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、a、bは1又は2を表す。
【0103】
本発明に係わる樹脂において、酸分解性基は、上記−C(=O)−X−A’−R17’に含まれてもよいし、一般式(II−AB)のZ’の置換基として含まれてもよい。
酸分解性基の構造としては、−C(=O)−X1−R0 で表される。
式中、R0 としては、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、3−オキソアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリルエステル基、3−オキソシクロヘキシルエステル基、2−メチル−2−アダマンチル基、メバロニックラクトン残基等を挙げることができる。X1は、上記Xと同義である。
【0104】
上記R13’〜R16’におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0105】
上記R5、R6、R13’〜R16’におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0106】
上記R5、R6、R13’〜R16’における環状炭化水素基としては、例えば環状アルキル基、有橋式炭化水素であり、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基等を挙げることができる。
上記R13’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して形成する環としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の炭素数5〜12の環が挙げられる。
【0107】
上記R17’におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0108】
上記アルキル基、環状炭化水素基、アルコキシ基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基、アルキル基、環状炭化水素基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものが挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
また、アルキル基、環状炭化水素基は、上記で挙げたものが挙げられる。
【0109】
上記A’の2価の連結基としては、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせが挙げられる。
上記A’におけるアルキレン基、置換アルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Ra )(Rb )〕r −
式中、Ra 、Rb は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。rは1〜10の整数を表す。
【0110】
本発明に係る樹脂においては、酸の作用により分解する基は、前記一般式(pI)〜一般式(pVI)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、及び後記共重合成分の繰り返し単位のうち少なくとも1種の繰り返し単位に含有することができる。
【0111】
上記一般式(II−A)あるいは一般式(II−B)におけるR13’〜R16’の各種置換基は、上記一般式(II−AB)における脂環式構造を形成するための原子団ないし有橋式脂環式構造を形成するための原子団Zの置換基ともなるものである。
【0112】
上記一般式(II−A)あるいは一般式(II−B)で表される繰り返し単位の具体例として次の[II−1]〜[II−103]が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0113】
【化30】
【0114】
【化31】
【0115】
【化32】
【0116】
【化33】
【0117】
【化34】
【0118】
【化35】
【0119】
本発明の酸分解性樹脂は、更に下記一般式(IV)で表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を含有することができる。
【0120】
【化36】
【0121】
一般式(IV)中、R1aは、水素原子又はメチル基を表す。
W1は、単結合、アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。
Ra1,Rb1,Rc1,Rd1,Re1は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。m,nは各々独立に0〜3の整数を表し、m+nは、2以上6以下である。
【0122】
Ra1〜Re1の炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0123】
一般式(IV)において、W1のアルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Rf)(Rg)〕r1−
上記式中、Rf、Rgは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。r1は1〜10の整数である。
【0124】
上記アルキル基における更なる置換基としては、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アセチルアミド基、アルコキシカルボニル基、アシル基が挙げられる。
ここでアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の低級アルキル基を挙げることができる。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。置換アルコキシ基の置換基としては、アルコキシ基等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のものを挙げることができる。アシルオキシ基としては、アセトキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0125】
以下、一般式(IV)で示される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0126】
【化37】
【0127】
【化38】
【0128】
上記一般式(IV)の具体例において、露光マージンがより良好になるという点から(IV−17)〜(IV−36)が好ましい。
更に一般式(IV)の構造としては、エッジラフネスが良好になるという点からアクリレート構造を有するものが好ましい。
【0129】
また、下記一般式(V−1)〜(V−4)のいずれかで表される基を有する繰り返し単位を含有しても良い。
【0130】
【化39】
【0131】
一般式(V−1)〜(V−4)において、R1b〜R5bは、各々独立に水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基又はアルケニル基を表す。R1b〜R5bの内の2つは、結合して環を形成してもよい。
【0132】
一般式(V−1)〜(V−4)において、R1b〜R5bにおけるアルキル基としては、直鎖状、分岐状のアルキル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。
直鎖状、分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜12個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。
R1b〜R5bにおけるシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜8個のものが好ましい。
R1b〜R5bにおけるアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜6個のものが好ましい。
また、R1b〜R5bの内の2つが結合して形成する環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環等の3〜8員環が挙げられる。
なお、一般式(V−1)〜(V−4)におけるR1b〜R5bは、環状骨格を構成している炭素原子のいずれに連結していてもよい。
【0133】
また、上記アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基が有してもよい好ましい置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0134】
一般式(V−1)〜(V−4)で表される基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13’〜R16’のうち少なくとも1つが上記一般式(V−1)〜(V−4)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(V−1)〜(V−4)で表される基を表す)、又は下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0135】
【化40】
【0136】
一般式(AI)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4の置換もしくは非置換のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、前記一般式(V−1)〜(V−4)におけるR1bとしてのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基として先に例示したものが挙げられる。
Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0は水素原子が好ましい。
A’は、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
B2は、一般式(V−1)〜(V−4)のうちのいずれかで示される基を表す。A’において、該組み合わせた2価の基としては、例えば下記式のものが挙げられる。
【0137】
【化41】
【0138】
上記式において、Rab、Rbbは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げることができる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。r1は1〜10の整数、好ましくは1〜4の整数を表す。mは1〜3の整数、好ましくは1又は2を表す。
【0139】
以下に、一般式(AI)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0140】
【化42】
【0141】
【化43】
【0142】
また、本発明の酸分解性樹脂は、更に下記一般式(VI)で表される繰り返し単位を含有することができる。
【0143】
【化44】
【0144】
一般式(VI)において、A6は単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。
R6aは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。
【0145】
一般式(VI)において、A6のアルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Rnf)(Rng)〕r−
上記式中、Rnf、Rngは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。rは1〜10の整数である。
一般式(VI)において、A6のシクロアルキレン基としては、炭素数3から10個のものが挙げられ、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基等を挙げることができる。
【0146】
Z6を含む有橋式脂環式環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜5)、アシル基(例えば、ホルミル基、ベンゾイル基)、アシロキシ基(例えば、プロピルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4)、カルボキシル基、水酸基、アルキルスルホニルスルファモイル基(−CONHSO2CH3等)が挙げられる。尚、置換基としてのアルキル基は、更に水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)等で置換されていてもよい。
【0147】
一般式(VI)において、A6に結合しているエステル基の酸素原子は、Z6を含む有橋式脂環式環構造を構成する炭素原子のいずれの位置で結合してもよい。
【0148】
以下に、一般式(VI)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0149】
【化45】
【0150】
更に、下記一般式(VII)で表される基を有する繰り返し単位を含有してもよい。
【0151】
【化46】
【0152】
一般式(VII)中、R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基を表す。
【0153】
一般式(VII)で表される基は、好ましくはジヒドロキシ体、モノヒドロキシ体であり、より好ましくはジヒドロキシ体である。
【0154】
一般式(VII)で表される基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13’〜R16’のうち少なくとも1つが上記一般式(VII)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(V−1)〜(V−4)で表される基を表す)、又は下記一般式(AII)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0155】
【化47】
【0156】
一般式(AII)中、R1cは、水素原子又はメチル基を表す。
R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基を表す。
【0157】
以下に、一般式(AII)で表される構造を有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0158】
【化48】
【0159】
更に、下記一般式(VIII)で表される基を有する繰り返し単位を含有してもよい。
【0160】
【化49】
【0161】
一般式(VIII)中:
Z2は、−O−又は−N(R41)−を表す。ここでR41は、水素原子、水酸基、アルキル基、ハロアルキル基、又は−OSO2−R42を表す。R42は、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。
【0162】
上記一般式(VIII)に於いて、Z2は、−O−又は−N(R41)−を表す。ここでR41は、水素原子、水酸基、アルキル基、ハロアルキル基、又は−OSO2−R42を表す。R42は、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。
【0163】
上記R41及びR42におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
上記R41及びR42 におけるハロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ナノフルオロブチル基、ペンタデカフルオロオクチル基、トリクロロメチル基等を挙げることができる。上記R42 におけるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0164】
R41及びR42としてのアルキル基及びハロアルキル基、R42としてのシクロアルキル基又は樟脳残基は置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッソ素原子、沃素原子)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜5、例えば、ホルミル基、アセチル基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜5、例えばアセトキシ基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14、例えばフェニル基)等を挙げることができる。
【0165】
上記一般式(VIII)で表される繰り返し単位の具体例として次の[I’−1]〜[I’−7]が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0166】
【化50】
【0167】
【化51】
【0168】
(B)成分である酸分解性樹脂は、上記の繰り返し単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し単位を含有することができる。
【0169】
このような繰り返し単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、酸分解性樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0170】
具体的には、以下の単量体を挙げることができる。
アクリル酸エステル類(好ましくはアルキル基の炭素数が1〜10のアルキルアクリレート):
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等。
【0171】
メタクリル酸エステル類(好ましくはアルキル基の炭素数が1〜10のアルキルメタアクリレート):
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等。
【0172】
アクリルアミド類:
アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基等がある。)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等がある)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミド等。
【0173】
メタクリルアミド類:
メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、シクロヘキシル基等がある)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としてはエチル基、プロピル基、ブチル基等がある)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等。
【0174】
アリル化合物:
アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等)、アリルオキシエタノール等。
【0175】
ビニルエーテル類:
アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等。
【0176】
ビニルエステル類:
ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート等。
【0177】
イタコン酸ジアルキル類:
イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等。
フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類;ジブチルフマレート等。
【0178】
その他クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等。
【0179】
その他にも、上記種々の繰り返し単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
【0180】
酸分解性樹脂において、各繰り返し単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
【0181】
本発明の酸分解性樹脂の好ましい態様としては、以下のものが挙げられる。
(1) 上記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位を含有するもの(側鎖型)
(2) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位を含有するもの(主鎖型)
但し、(2)においては例えば、更に以下のものが挙げられる。
(3) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、無水マレイン酸誘導体及び(メタ)アクリレート構造を有するもの(ハイブリッド型)
【0182】
酸分解性樹脂中、一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中30〜70モル%が好ましく、より好ましくは35〜65モル%、更に好ましくは40〜60モル%である。
酸分解性樹脂中、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは15〜55モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
【0183】
また、上記更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し単位の樹脂中の含有量も、所望のレジストの性能に応じて適宜設定することができるが、一般的に、上記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位と上記一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の合計した総モル数に対して99モル%以下が好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
本発明の組成物がArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から樹脂は芳香族基を有さないことが好ましい。
【0184】
本発明に用いる(B)酸分解性樹脂は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、これを必要に応じ反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような本発明の組成物を溶解する溶媒に溶解させ均一とした後、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。
反応の濃度は20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。反応温度は10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。
【0185】
上記具体例で表される繰り返し構造単位は、各々1種で使用してもよいし、複数を混合して用いてもよい。
また、本発明において、(B)樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0186】
本発明に係る(B)樹脂の質量平均分子量Mwは、GPC法によりポリスチレン換算値として、1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜20,000である。質量平均分子量が1,000未満では耐熱性やドライエッチング耐性の劣化が見られるため余り好ましくなく、200,000を越えると現像性が劣化したり、粘度が極めて高くなるため製膜性が劣化するなど余り好ましくない結果を生じる。
分子量分布は1〜10であり、好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜4の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状、及びレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
【0187】
本発明のポジ型レジスト組成物において、本発明に係わる全ての樹脂の組成物全体中の配合量は、全レジスト固形分中40〜99.99質量%が好ましく、より好ましくは50〜99.97質量%である。
【0188】
≪(C)塩基性化合物≫
本発明のポジ型レジスト組成物における(C)成分は、下記(CA)及び(CB)から選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物である。
(CA)少なくとも1つの(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物、及び、少なくとも1つの(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物。
(CB)少なくとも2種の(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物。
以下、本発明において用いられる(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物及び(C2)イオン性含窒素塩基性化合物について詳しく説明する。
【0189】
(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物
非イオン性含窒素塩基性化合物(C1)としては、有機アミン、塩基性のアンモニウム塩、塩基性のスルホニウム塩などが用いられ、昇華やレジスト性能を劣化させないものであればよい。
これらの含窒素塩基性化合物の中でも、有機アミンが画像性能が優れる点で好ましい。例えば特開昭63−149640号公報、特開平5−249662号公報、特開平5−127369号公報、特開平5−289322号公報、特開平5−249683号公報、特開平5−289340号公報、特開平5−232706号公報、特開平5−257282号公報、特開平6−242605号公報、特開平6−242606号公報、特開平6−266100号公報、特開平6−266110号公報、特開平6−317902号公報、特開平7−120929号公報、特開平7−146558号公報、特開平7−319163号公報、特開平7−508840号公報、特開平7−333844号公報、特開平7−219217号公報、特開平7−92678号公報、 特開平7−28247号公報、特開平8−22120号公報、特開平8−110638号公報、特開平8−123030号公報、特開平9−274312号公報、特開平9−166871号公報、特開平9−292708号公報、特開平9−325496号公報、特表平7−508840号公報、米国特許第5525453号明細書、同第5629134号明細書、同第5667938号明細書等に記載の塩基性化合物を用いることができる。
【0190】
非イオン性含窒素塩基性化合物(C1)は、具体的には下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。
【0191】
【化52】
【0192】
ここで、R250 、R251及びR252は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20個のアルキル基、炭素数1〜20個のアミノアルキル基、炭素数1〜20個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。
R253、R254、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜10個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物か、又は脂肪族3級アミンである。
【0193】
含窒素塩基性化合物(C1)としては、好ましくは、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン類、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、アニリン類、ヒドロキシアルキルアニリン類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、2,4,6−トリメチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウムp−トルエンスルホナート、及びテトラブチルアンモニウムラクテート、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−i−オクチルアミン、トリス(エチルヘキシル)アミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン等が挙げられる。
これらの中でも、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリス(エチルヘキシル)アミン、トリドデシルアミン、N,N−ジ−ヒドロキシエチルアニリン、N−ヒドロキシエチル−N−エチルアニリン等の有機アミンが好ましい。
上記非イオン性含窒素塩基性化合物(C1)は、単独であるいは2種以上で用いられる。
【0194】
(C2)イオン性含窒素塩基性化合物
イオン性含窒素塩基性化合物(C2)としては、例えば下記一般式(IX)で表される4級アンモニウム塩化合物などのアンモニウム塩化合物が挙げられる。
【0195】
【化53】
【0196】
上記一般式(IX)中、R1、R2、R3、R4は、アルキル基、アラルキル基、アリール基、酸素含有アルキル基を表す。
X−は、有機カウンターアニオンを表す。
【0197】
また、X−の有機カウンターアニオンとしては、例えば、OH−、R5SO3 −、R6COO−等が挙げられる。
R5、R6は、アルキル基、アラルキル基、アリール基、酸素含有アルキル基を表す。
【0198】
R1〜R6のアルキル基は、置換あるいは無置換のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基である。無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができる。
【0199】
R1〜R6のアラルキル基は、置換あるいは無置換のアラルキル基であり、好ましくは炭素数7〜18のアラルキル基であり、無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。
R1〜R6のアリール基は、置換あるいは無置換のアリール基であり、好ましくは炭素数6〜18のアリール基であり、無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0200】
R1〜R6の酸素含有アルキル基は、置換あるいは無置換の酸素含有アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜18の酸素含有アルキル基である。
無置換の酸素含有アルキル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、i−ヘキシルオキシ基、t−ヘキシルオキシ基、n−ヘプタオキシ基、i−ヘプタオキシ基、t−ヘプタオキシ基、n−ペンタオキシ基、i−ペンタオキシ基、t−ペンタオキシ基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基、プロポキシペンチル基、ブトキシメチル基、ブトキシエチル基、ブトキシプロピル基、ブトキシブチル基、メトキシメトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、メトキシプロポキシメチル基、エトキシエトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、エトキシプロポキシメチル基、エトキシプロポキシプロピル基、メトキシメトキシメトキシメチル基、メトキシエトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエトキシエトキシエチル基などが挙げられる。
その中でも、エトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエトキシエチル基、メトキシエチル基、メトキシエトキシエトキシエチル基が好ましい。
【0201】
上記の更なる置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)等で置換されていてもよい。更にアリール基、アラルキル基については、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5)で置換されていてもよい。
また、アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。
【0202】
アンモニウム塩化合物(C2)の具体例としては、下記に示す化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
具体的には、アンモニウムヒドロキシド、アンモニウムトリフレート、アンモニウムペンタフレート、アンモニウムヘプタフレート、アンモニウムノナフレート、アンモニウムウンデカフレート、アンモニウムトリデカフレート、アンモニウムペンタデカフレート、アンモニウムメチルカルボキシレート、アンモニウムエチルカルボキシレート、アンモニウムプロピルカルボキシレート、アンモニウムブチルカルボキシレート、アンモニウムヘプチルカルボキシレート、アンモニウムヘキシルカルボキシレート、アンモニウムオクチルカルボキシレート、アンモニウムノニルカルボキシレート、アンモニウムデシルカルボキシレート、アンモニウムウンデシルカルボキシレート、アンモニウムドデカデシルカルボキシレート、アンモニウムトリデシルカルボキシレート、アンモニウムテトラデシルカルボキシレート、アンモニウムペンタデシルカルボキシレート、アンモニウムヘキサデシルカルボキシレート、アンモニウムヘプタデシルカルボキシレート、アンモニウムオクタデシルカルボキシレート等が挙げられる。
【0203】
上記で言う、アンモニウムとしては、具体的には、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘプチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリオクチルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、ジデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラキスデシルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、トリドデシルメチルアンモニウムヒドロキシド、ミリスチルメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジテトラデシルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクタデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクタデシルアンモニウムヒドロキシド、ジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−クロロエチル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ブロモエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(3−ブロモプロピル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(3−ブロモプロピル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、グリシジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、(R)−(+)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(S)−(−)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−アミノエチル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサメトニウムヒドロキシド、デカメトニウムヒドロキシド、1−アゾニアプロペランヒドロキシド、ペトロニウムヒドロキシド、2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリニウムヒドロキシド、3−エチル−2−メチル−2−チアゾリニウムヒドロキシドを挙げることができる。
【0204】
即ち、上記でアンモニウムヒドロキシドとしては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘプチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリオクチルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、ジデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラキスデシルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、トリドデシルメチルアンモニウムヒドロキシド、ミリスチルメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジテトラデシルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクタデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクタデシルアンモニウムヒドロキシド、ジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−クロロエチル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ブロモエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(3−ブロモプロピル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(3−ブロモプロピル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、グリシジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、(R)−(+)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(S)−(−)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−アミノエチル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサメトニウムヒドロキシド、デカメトニウムヒドロキシド、1−アゾニアプロペランヒドロキシド、ペトロニウムヒドロキシド、2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリニウムヒドロキシド、3−エチル−2−メチル−2−チアゾリニウムヒドロキシドを挙げることができる。
同様に、各アンモニウム化合物に前述のアンモニウムを組み合わせることで、具体的な化合物を挙げることが出来る。
上記イオン性含窒素塩基性化合物(C2)は、単独であるいは2種以上で用いられる。特に、(C)成分に非イオン性含窒素塩基性化合物(C1)が含まれない場合には、イオン性含窒素塩基性化合物(C2)を少なくとも2種用いることで本発明の効果が達成される。
【0205】
また、本発明の(C)成分が、(CB)少なくとも2種の(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる場合、そのうちの少なくとも1つがアンモニウムヒドロキシドであることが好ましい。
【0206】
これら(C)成分は、単独であるいは2種以上で用いられる。
(C)成分の使用量は、ポジ型レジスト組成物の固形分を基準として、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。0.001質量%以上とすることで、(C)成分の添加の効果が得られ、また、10質量%以下とすることで、感度の低下や非露光部の現像性の悪化を抑制することができる。また、(C)成分として用いる(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物及び/又は(C2)イオン性含窒素塩基性化合物の使用量も、組成物の固形分を基準として、各々通常0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。
【0207】
≪(D)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、少なくとも上記成分(A)〜(C)を含有するが、更に(D)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物が上記(D)界面活性剤とを含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
これらの(D)界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同 5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0208】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0209】
(D)界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0210】
≪(E)有機溶剤≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤に溶解して用いる。
使用し得る有機溶剤としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
【0211】
本発明においては、有機溶剤として構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用することが好ましい。これによりレジスト液保存時のパーティクル発生を軽減することができる。
水酸基を含有する溶剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル等を挙げることができ、これらの内でプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルが特に好ましい。
水酸基を含有しない溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができ、これらの内で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
【0212】
≪(F)酸分解性溶解阻止化合物≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、更に(F)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解性を増大させる基を有し、分子量3000以下、好ましくは100以上3000以下の溶解阻止低分子化合物(以下、「(F)酸分解性溶解阻止化合物」ともいう)を含有することが好ましい。
特に220nm以下の透過性を低下させないため、Proceeding of SPIE, 2724,355 (1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が(F)酸分解性溶解阻止化合物として好ましい。酸分解性基、脂環式構造としては、上記酸分解性樹脂のところで説明したものと同様のものが挙げられる。
(F)酸分解性溶解阻止化合物の添加量は、ポジ型レジスト組成物の全組成物の固形分に対し、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
以下に(F)酸分解性溶解阻止化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0213】
【化54】
【0214】
≪(G)アルカリ可溶性樹脂≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、更に、酸分解性基を含有していない、(G)水に不溶でアルカリ現像液に可溶な樹脂を含有することができ、これにより感度が向上する。
本発明においては、分子量1000〜20000程度のノボラック樹脂類、分子量3000〜50000程度のポリヒドロキシスチレン誘導体をこのような樹脂として用いることができるが、これらは250nm以下の光に対して吸収が大きいため、一部水素添加して用いるか、又は全樹脂量の30質量%以下の量で使用するのが好ましい。
また、カルボキシル基をアルカリ可溶性基として含有する樹脂も用いることができる。カルボキシル基を含有する樹脂中にはドライエッチング耐性向上のために単環、又は多環の脂環炭化水素基を有していることが好ましい。具体的には酸分解性を示さない脂環式炭化水素構造を有するメタクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合体あるいは末端にカルボキシル基を有する脂環炭化水素基の(メタ)アクリル酸エステルの樹脂などを挙げることができる。
【0215】
≪その他の添加剤≫
本発明のポジ型レジスト組成物には、必要に応じてさらに染料、可塑剤、上記(D)成分以外の界面活性剤、ハレーション防止剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を含有させることができる。
【0216】
本発明で使用できる現像液に対する溶解促進性化合物は、フェノール性OH基を2個以上、又はカルボキシ基を1個以上有する分子量1,000以下の低分子化合物である。カルボキシ基を有する場合は上記と同じ理由で脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。
これら溶解促進性化合物の好ましい添加量は、(B)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂に対して2〜50質量%であり、さらに好ましくは5〜30質量%である。50質量%を越えた添加量では、現像残渣が悪化し、また現像時にパターンが変形するという新たな欠点が発生して好ましくない。
【0217】
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号公報、特開平2−28531号公報、米国特許第4916210号明細書、欧州特許第219294号明細書等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成することができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0218】
本発明においては、上記(D)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を加えることもできる。
具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0219】
好適なハレーション防止剤としては、照射する放射線を効率よく吸収する化合物が好ましく、フルオレン、9−フルオレノン、ベンゾフェノンのような置換ベンゼン類;アントラセン、アントラセン−9−メタノール、アントラセン−9−カルボキシエチル、フェナントレン、ペリレン、アジレンのような多環式芳香族化合物などが挙げられる。なかでも、多環式芳香族化合物が特に好ましい。これらのハレーション防止剤は基板からの反射光を低減し、レジスト膜内の多重反射の影響を少なくさせることで、定在波改良の効果を発現する。
【0220】
また露光による酸発生率を向上させるために、光増感剤を添加することができる。好適な光増感剤として、ベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、ピレン、フェノチアジン、ベンジル、ベンゾフラビン、アセトフェノン、フェナントレン、ベンゾキノン、アントラキノン、1,2−ナフトキノン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの光増感剤は前記ハレーション防止剤としても使用可能である。
【0221】
さらに本発明のレジスト組成物は、メタル等の金属不純物やクロルイオンなどの不純物成分を100ppb以下に低減しておくことが好ましい。これらの不純物が多く存在すると、半導体デバイスを製造する上で動作不良、欠陥、収率低下を招いたりするので好ましくない。
尚、本発明のレジスト組成物は、如何なる露光源のための組成物であってもよいが、特には220nm以下の波長の遠紫外光による露光用の組成物であるのが好ましい。
【0222】
≪使用方法≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、次のように所定の支持体上に塗布して用いる。
すなわち、上記ポジ型レジスト組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布する。
塗布後、所定のマスクを通して露光し、ベークを行い現像する。このようにすると、良好なレジストパターンを得ることができる。ここで露光光としては、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の波長の遠紫外線である。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等が挙げられる。
【0223】
現像工程では、現像液を次のように用いる。ポジ型レジスト組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
さらに、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0224】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0225】
<樹脂の合成例>
合成例(1) 樹脂(1)の合成(側鎖型)
2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート、ブチロラクトンメタクリレートを55/45の割合で仕込みメチルエチルケトン/テトラヒドロフラン=5/5に溶解し、固形分濃度20%の溶液100mLを調製した。この溶液に和光純薬製V−65を2mol%加え、これを窒素雰囲気下、4時間かけて60℃に加熱したメチルエチルケトン10mLに滴下した。滴下終了後、反応液を4時間加熱、再度V−65を1mol%添加し、4時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、蒸留水/ISOプロピルアルコール=1/1の混合溶媒3Lに晶析、析出した白色粉体である樹脂(1)を回収した。
C13NMRから求めたポリマー組成比は46/54であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量Mwは10700であった。
【0226】
上記合成例(1)と同様の操作で樹脂(2)〜(12)を合成した。
以下に上記樹脂(2)〜(12)の組成比、分子量を示す。(繰り返し単位1、2、3、4は構造式の左からの順番である。)
【0227】
【表1】
【0228】
また、以下に上記樹脂(1)〜(12)の構造を示す。
【0229】
【化55】
【0230】
【化56】
【0231】
【化57】
【0232】
合成例(2) 樹脂(13)の合成(主鎖型)
ノルボルネンカルボン酸tブチルエステル、ノルボルネンカルボン酸ブチロラクトンエステルと無水マレイン酸(モル比40/10/50)およびTHF(固形分60質量%)をセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下60℃で加熱した。反応温度が安定したところで和光純薬社製ラジカル開始剤V−601を2mol%加え反応を開始させた。12時間加熱した。得られた反応混合物をテトラヒドロフランで2倍に稀釈した後、ヘキサン/イソプロピルアルコール=1/1の混合溶液に投入し白色粉体を析出させた。析出した粉体を濾過取り出しし、乾燥、目的物である樹脂(13)を得た。
得られた樹脂(13)のGPCによる分子量分析を試みたところ、ポリスチレン換算で8300(質量平均)であった。また、NMRスペクトルより樹脂(1)のノルボルネンカルボン酸tブチルエステル/ノルボルネンカルボン酸ブチロラクトンエステル/無水マレイン酸繰り返し単位のモル比は42/8/50であることを確認した。
【0233】
合成例(2)と同様の方法で以下、樹脂(14)〜(17)を合成した。
以下に上記樹脂(14)〜(17)の組成比、分子量を示す。(脂環オレフィン単位1、2、3は構造式の左からの順番である。)
【0234】
【表2】
【0235】
また、以下に上記樹脂(13)〜(17)の構造を示す。
【0236】
【化58】
【0237】
合成例(3) 樹脂(18)の合成(ハイブリッド型)
ノルボルネン、無水マレイン酸、tブチルアクリレート、2−メチルシクロヘキシル−2−プロピルアクリレートをモル比で35/35/20/10で反応容器に仕込み、テトラヒドロフランに溶解し、固形分60%の溶液を調製した。これを窒素気流下65℃で加熱した。反応温度が安定したところで和光純薬社製ラジカル開始剤V−601を1mol%加え反応を開始させた。8時間加熱した後、反応混合物をテトラヒドロフランで2倍に稀釈した後、反応混合液の5倍容量のヘキサンに投入し白色粉体を析出させた。析出した粉体を濾過取り出しし、これをメチルエチルケトンに溶解し、5倍容量のヘキサン/t−ブチルメチルエーテル=1/1混合溶媒に再沈し、析出した白色粉体を濾取、乾燥、目的物である樹脂(18)を得た。
得られた樹脂(18)のGPCによる分子量分析を試みたところ、ポリスチレン換算で12100(質量平均)であった。また、NMRスペクトルより樹脂(1)の組成は本発明のノルボルネン/無水マレイン酸/tブチルアクリレート/2−メチルシクロヘキシル−2−プロピルアクリレートをモル比で32/39/19/10であった。
【0238】
合成例(3)と同様の方法で以下、樹脂(19)〜(24)を合成した。
以下に上記樹脂(19)〜(24)の組成比、分子量を示す。
【0239】
【表3】
【0240】
また、以下に上記樹脂(18)〜(24)の構造を示す。
【0241】
【化59】
【0242】
合成例(4) 樹脂(25)の合成(ハイブリッド型)
ノルボルネンカルボン酸tブチルエステル、無水マレイン酸、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、ノルボルネンラクトンアクリレートをモル比で20/20/35/25で反応容器に仕込み、メチルエチルケトン/テトラヒドロフラン=1/1溶媒に溶解し、固形分60%の溶液を調製した。これを窒素気流下65℃で加熱した。反応温度が安定したところで和光純薬社製ラジカル開始剤V−601を3mol%加え反応を開始させた。12時間加熱した後、反応混合物を5倍量のヘキサンに投入し白色粉体を析出させた。析出した粉体を再度メチルエチルケトン/テトラヒドロフラン=1/1溶媒に溶解させ5倍量のヘキサン/メチルtBuエ−テルに投入し白色粉体を析出させ、濾過取り出した。この作業を再度繰り返し、乾燥、目的物である樹脂(25)を得た。
得られた樹脂(25)のGPCによる分子量分析(RI分析)を試みたところ、ポリスチレン換算で11600(質量平均)、残留モノマーの量は0.4%であった。また、NMRスペクトルより樹脂(25)の組成は本発明のノルボルネン/無水マレイン酸/2−メチル−2−アダマンチルアクリレート/ノルボルネンラクトンアクリレートをモル比で18/23/34/25であった。
【0243】
合成例(4)と同様の方法で以下、樹脂(26)〜(31)を合成した。
以下に上記樹脂(26)〜(31)の組成比、分子量を示す。
【0244】
【表4】
【0245】
また、以下に上記樹脂(25)〜(31)の構造を示す。
【0246】
【化60】
【0247】
【化61】
【0248】
【化62】
【0249】
【化63】
【0250】
【化64】
【0251】
実施例1〜31及び比較例1〜4
(ポジ型レジスト組成物の調製と評価)
上記合成例で合成した表5〜6に示す樹脂をそれぞれ1.03g、
光酸発生剤(表中に記載)、
本発明の(C)成分(表中に記載)、及び
界面活性剤 全体の100ppm
を表5〜6に示すように配合し、それぞれ固形分が11質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル(=7/3)に溶解した後、0.1μmのミクロフィルターで濾過し、実施例1〜31と比較例1〜4のポジ型レジスト組成物を調製した。
【0252】
【表5】
【0253】
【表6】
【0254】
(C)成分における(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物としては、
C1−1: 1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン
C1−2: 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン
C1−3: 4−ジメチルアミノピリジン
C1−4: トリフェニルイミダゾール
C1−5: ジイソプロピルアニリン
C1−6: トリブチルアミン
C1−7: トリオクチルアミン
C1−8: トリドデシルアミン
C1−9: N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン
C1−10:2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン
を表す。
【0255】
(C)成分における(C2)イオン性含窒素塩基性化合物としては、
C2−1: テトラメチルアンモニウム ヒドロキシド
C2−2: テトラブチルアンモニウム ヒドロキシド
C2−3: テトラヘキシルアンモニウム ヒドロキシド
C2−4: 1,6−ビス(テトラメチルアンモニウム)ヘキサン ジヒドロキシド
を表す。
【0256】
界面活性剤としては、
W−1: メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2: メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコーン系)
W−3: ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
W−4: トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
W−5: メガファックF−475(大日本インキ化学工業(株)製)
W−6: C6F13基を有するアクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレートと(ポリ(オキシエチレン))メタクリレートとの共重合体、
W−7: C6F13基を有するアクリレートと(ポリ(エチレンオキシとプロピレンオキシとエチレンオキシとのブロック))アクリレート、
を表す。
【0257】
(評価試験)
初めにBrewer Science社製ARC−25をスピンコーターを利用してシリコンウエハー上に30nm塗布、乾燥した後、その上に得られたポジ型フォトレジスト組成物溶液をスピンコータを利用して塗布し、115℃で90秒間乾燥、約0.4μmのポジ型フォトレジスト膜を作成し、それにArFエキシマレーザー(193nm)により露光した。
露光後の加熱処理を115℃で90秒間行い、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像、蒸留水でリンスし、レジストパターンプロファイルを得た。
これらについて、以下のようにPED安定性、プロファイルを評価した。これらの評価結果を表7に示す。
【0258】
〔PED安定性〕:0.13μmのラインパターンを再現する露光量でPED後(露光後23℃で60分間放置)の線幅が変動する変動率を下記式により評価し、得られた値をPED安定性として評価した。
PED安定性(%)= │(露光後経時したパターン(0.13μm)の線幅)−(露光後直ちに加熱処理した際の線幅)│/(0.13μm)×100
【0259】
〔プロファイル〕
マスクにおける0.16μmのラインパターンを再現する最小露光量により得られた0.16μmラインパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡により観察した。矩形状のものを○とし、テーパー形状のものを×で示した。ややテーパー状のものを△で示した。
【0260】
【表7】
【0261】
表7の結果から明らかなように、本発明のポジ型レジスト組成物は、PED安定性及びプロファイルにおいて優れていることが判る。
【0262】
【発明の効果】
本発明は、PED安定性及びプロファイルの良好なポジ型レジスト組成物を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにその他のフォトファブリケーション工程に使用されるポジ型感光性組成物に関するものである。さらに詳しくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の遠紫外線等を露光光源とする場合に好適なポジ型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化学増幅系ポジ型レジスト組成物は、遠紫外光等の放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させ、パターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
【0003】
KrFエキシマレーザーを露光光源とする場合には、主として248nm領域での吸収の小さい、ポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とする樹脂を主成分に使用するため、高感度、高解像度で、且つ良好なパターンを形成し、従来のナフトキノンジアジド/ノボラック樹脂系に比べて良好な系となっている。
【0004】
しかしながら、更なる短波長の光源、例えばArFエキシマレーザー(193nm)を露光光源として使用する場合は、芳香族基を有する化合物が本質的に193nm領域に大きな吸収を示すため、上記化学増幅系でも十分ではなかった。
また、193nm波長領域に吸収の小さいポリマーとして、ポリ(メタ)アクリレートの利用がJ.Vac.Sci.Technol.,B9,3357(1991). に記載されているが、このポリマーは一般に半導体製造工程で行われるドライエッチングに対する耐性が、芳香族基を有する従来のフェノール樹脂に比べ低いという問題があった。
【0005】
また、近年、半導体チップの微細化の流れ、及び高スループットへ向けて、露光によるエラーを減らすことが重要となってきている。これまでのレジストでは、PED(Post Exposure Delay)安定性が悪く、その結果歩留まりが著しく低下していた。また、そのレジストプロファイルがあまり良好でないため、歩留まりの悪化につながっていた。ここで、PED安定性とは、露光後、後加熱を実施するまでの時間によってパターン寸法が変動してしまうことである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、PED安定性及びプロファイルに優れたポジ型レジスト組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記構成のポジ型レジスト組成物であり、これにより本発明の上記目的が達成される。
【0008】
(1)(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
(B)単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂、及び
(C)下記(CA)及び(CB)から選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物、
(CA)少なくとも1つの(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物、及び、少なくとも1つの(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物、
(CB)少なくとも2種の(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物、
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【0009】
以下に、好ましい態様を記載する。
(2)更に、(D)フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤を含有する前記(1)に記載のポジ型レジスト組成物。
(3)更に、(F)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解性を増大させる基を有し、分子量3000以下の溶解阻止低分子化合物を含有する前記(1)又は(2)に記載のポジ型レジスト組成物。
(4)更に、(E)水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を含有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
(5)220nm以下の波長の遠紫外光による露光用組成物であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に使用する化合物について詳細に説明する。
【0011】
≪(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物≫
本発明の組成物には、成分(A)として活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有する。
そのような光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0012】
たとえば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、イミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物を挙げることができる。
【0013】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許発明第3914407号明細書、特開昭63−26653号公報、特開昭55−164824号公報、特開昭62−69263号公報、特開昭63−146038号公報、特開昭63−163452号公報、特開昭62−153853号公報、特開昭63−146029号公報等に記載の化合物を用いることができる。
【0014】
さらに米国特許第3,779,778号明細書、欧州特許第126,712号明細書等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0015】
上記活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものについて以下に説明する。
【0016】
(1)下記の一般式(PAG1)で表されるヨードニウム塩、又は一般式(PAG2)で表されるスルホニウム塩。
【0017】
【化1】
【0018】
ここで式Ar1、Ar2は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒロドキシ基、メルカプト基及びハロゲン原子が挙げられる。
【0019】
R203、R204、R205は各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。好ましくは、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜8のアルキル基及びそれらの置換誘導体である。
好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒロドキシ基及びハロゲン原子であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、カルボキシル基、アルコシキカルボニル基である。
【0020】
Z−は対アニオンを示し、例えばBF4 −、AsF6 −、PF6 −、SbF6 −、SiF6 2−、ClO4 −、CF3SO3 −等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸アニオン等の縮合多核芳香族スルホン酸アニオン、アントラキノンスルホン酸アニオン、スルホン酸基含有染料等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0021】
またR203、R204、R205のうちの2つ及びAr1、Ar2はそれぞれの単結合又は置換基を介して結合してもよい。
【0022】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】
一般式(PAG1)、(PAG2)で示される上記オニウム塩は公知であり、例えば米国特許第2,807,648号明細書及び同4,247,473号明細書、特開昭53−101331号公報等に記載の方法により合成することができる。
【0027】
(2)下記一般式(PAG3)で表されるジスルホン誘導体又は一般式(PAG4)で表されるイミノスルホネート誘導体。
【0028】
【化5】
【0029】
式中、Ar3、Ar4は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。
R206は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
【化6】
【0031】
【化7】
【0032】
(3)下記一般式(PAG5)で表されるジアゾジスルホン誘導体。
【0033】
【化8】
【0034】
ここでRは、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基、あるいは置換していてもよいアリール基を表す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
【化9】
【0036】
また、上記化合物の他に、下記一般式(PAG6)で表される化合物も本発明の成分(A)の酸発生剤として有効に用いられる。
【0037】
【化10】
式(PAG6)中、
R1〜R5は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基又はアリール基を表し、R1〜R5のうち少なくとも2つ以上が結合して環構造を形成してもよい。
R6及びR7は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はアリール基を表す。
Y1及びY2は、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む芳香族基を表し、Y1とY2とが結合して環を形成してもよい。
Y3は、単結合または2価の連結基を表す。
X−は、非求核性アニオンを表す。
但し、R1からR5の少なくとも1つとY1又はY2の少なくとも一つが結合して環を形成するか、若しくは、R1からR5の少なくとも1つとR6又はR7の少なくとも1つが結合して環を形成する。
尚、R1からR7のいずれか、若しくは、Y1又はY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、式(PAG6)の構造を2つ以上有していてもよい。
【0038】
R1〜R7のアルキル基は、置換あるいは無置換のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
R1〜R5のアルコキシ基及びアルキルオキシカルボニル基におけるアルコキシ基は、置換あるいは無置換のアルコキシ基であり、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基であり、無置換のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
R1〜R7、Y1、Y2のアリール基は、置換あるいは無置換のアリール基であり、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
R1〜R5のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0039】
Y1及びY2のアルキル基は、置換あるいは無置換のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基である。無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができる。
【0040】
Y1及びY2のアラルキル基は、置換あるいは無置換のアラルキル基であり、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。
【0041】
ヘテロ原子を含む芳香族基とは、例えば炭素数6〜14のアリール基等の芳香族基に、ヘテロ原子、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を有する基を表す。
Y1及びY2のヘテロ原子を含む芳香族基としては、置換あるいは無置換のヘテロ原子を含む芳香族基であり、無置換のものとしては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、インドール等の複素環式芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0042】
Y1とY2とは結合して、式(PAG6)中のS+とともに、環を形成してもよい。
この場合、Y1とY2とが結合して形成する基としては、例えば、炭素数4〜10のアルキレン基、好ましくはブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、特に好ましくはブチレン基、ペンチレン基を挙げることができる。
また、Y1とY2と結合して、式(PAG6)中のS+とともに形成した環の中に、ヘテロ原子を含んでいても良い。
【0043】
上記のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アラルキル基の各々は、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)等で置換されていてもよい。更にアリール基、アラルキル基については、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5)で置換されていてもよい。
また、アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。
【0044】
Y3は、単結合または2価の連結基を表し、2価の連結基としては、置換していてもよいアルキレン基、アルケニレン基、−O−、−S−、−CO−、−CONR−(Rは、水素、アルキル基、アシル基である。)、及びこれらのうち2つ以上を含んでもよい連結基が好ましい。
【0045】
X−の非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
スルホン酸アニオンとしては、例えば、アルキルスルホン酸アニオン、アリールスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
カルボン酸アニオンとしては、例えば、アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
【0046】
アルキルスルホン酸アニオンにおけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができる。
アリールスルホン酸アニオンにおけるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0047】
上記アルキルスルホン酸アニオン及びアリールスルホン酸アニオンにおけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0048】
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、弗素原子、沃素原子等を挙げることができる。
アルキル基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜15のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
アルキルチオ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜15のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ウンデシルチオ基、ドデシルチオ基、トリデシルチオ基、テトラデシルチオ基、ペンタデシルチオ基、ヘキサデシルチオ基、ヘプタデシルチオ基、オクタデシルチオ基、ノナデシルチオ基、エイコシルチオ基等を挙げることができる。尚、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基は、更にハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されていてもよい。
【0049】
アルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基としては、アルキルスルホン酸アニオンにおけるアルキル基と同様のものを挙げることができる。
アリールカルボン酸アニオンにおけるアリール基としては、アリールスルホン酸アニオンにおけるアリール基と同様のものを挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0050】
上記アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、アリール基及びアラルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリールスルホン酸アニオンにおけると同様のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0051】
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
【0052】
尚、本発明の式(PAG6)において、R1からR5の少なくとも1つとY1又はY2の少なくとも一つが結合して環が形成されるか、若しくは、R1からR5の少なくとも1つとR6又はR7の少なくとも1つが結合して環が形成されている。式(PAG6)に示す化合物は、環を形成することにより、立体構造が固定され、光分解能が向上する。
また、R1からR7のいずれか、若しくは、Y1又はY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、式(PAG6)の構造を2つ以上有していてもよい。
【0053】
さらに式(PAG6)の化合物は、下記一般式(PAG6A)又は(PAG6B)であるのが好ましい。
【0054】
【化11】
【0055】
式(PAG6A)中、R1〜R4、R7、Y1、Y2及びX−は、上記式(PAG6)中のものと同様であり、Yは、単結合又は2価の連結基を表す。
式(PAG6B)中、R1〜R4、R6、R7、Y1及びX−は、上記式(PAG6)中のものと同様であり、Yは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0056】
Yは、単結合又は2価の連結基を表し、2価の連結基としては、置換していてもよいアルキレン基、アルケニレン基、−O−、−S−、−CO−、−CONR−(Rは、水素、アルキル基、アシル基である。)、及びこれらのうち2つ以上を含んでもよい連結基が好ましい。
式(PAG6A)中、Yとしてはアルキレン基又は酸素原子を含むアルキレン基、硫黄原子を含むアルキレン基が好ましく、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、−CH2−O−、−CH2−S−が好ましく、最も好ましくはエチレン基、−CH2−O−、−CH2−S−のように6員環を形成する連結基である。6員環を形成することによりカルボニル平面とC−S+シグマ結合がより垂直に近くなり、軌道相互作用により光分解効率が向上する。
【0057】
式(PAG6A)に示す化合物は、対応するα−ハロ環状ケトンとスルフィド化合物を反応させる方法、或いは対応する環状ケトンをシリルエノールエーテルに変換した後、スルホキシドと反応させることにより得ることができる。式(IB)に示す化合物は、アルールアルキルスルフィドにα−又はβ−ハロゲン化ハライドを反応させることにより得ることができる。
【0058】
以下に、上記式(PAG6)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
【化12】
【0060】
【化13】
【0061】
【化14】
【0062】
上記一般式(PAG6)で表される酸発生剤の具体例において、(PAG6A−1)〜(PAG6A−30)及び(PAG6B−1)〜(PAG6B−12)がより好ましい。
【0063】
上記式(PAG6)の化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0064】
(A)成分の化合物の本発明のポジ型レジスト組成物中の含量は、組成物の固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%である。
【0065】
本発明に使用される(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【0066】
【化15】
【0067】
【化16】
【0068】
≪(B)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂(「酸分解性樹脂」ともいう)≫
【0069】
本発明の(B)酸分解性樹脂としては、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂であれば、何れでもよいが、一般式(pI)〜一般式(pVI)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位及び一般式(II−AB)で示される繰り返し単位の群から選択される少なくとも1種を含有する樹脂であることが好ましい。
【0070】
【化17】
【0071】
(式中、R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは脂環式炭化水素基を表す。
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
R22〜R25は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0072】
【化18】
【0073】
式(II−AB)中:
R11’,R12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Z’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0074】
また、上記一般式(II−AB)は、下記一般式(II−A)又は一般式(II−B)であることが更に好ましい。
【0075】
【化19】
【0076】
式(II−A)、(II−B)中:
R13’〜R16’は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOH、−COOR5、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A’−R17’、又は置換基を有していてもよいアルキル基あるいは環状炭化水素基を表す。
ここで、R5は、置換基を有していてもよい、アルキル基、環状炭化水素基又は下記の−Y基を表す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
A’は単結合又は2価の連結基を表す。
また、Rl3’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。nは0又は1を表す。
R17’は、−COOH、−COOR5、−CN、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、−CO−NH−R6、−CO−NH−SO2−R6又は下記の−Y基を表す。
R6は、置換基を有していてもよい、アルキル基又は環状炭化水素基を表す。
−Y基;
【0077】
【化20】
【0078】
(−Y基中、R21’〜R30’は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。a,bは1又は2を表す。)
【0079】
一般式(pI)〜(pVI)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、上記アルキル基の更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0080】
R11〜R25における脂環式炭化水素基あるいはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
以下に、脂環式炭化水素基のうち、脂環式部分の構造例を示す。
【0081】
【化21】
【0082】
【化22】
【0083】
【化23】
【0084】
本発明においては、上記脂環式部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基である。
【0085】
これらの脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基よりなる群から選択された置換基を表す。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。上記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0086】
上記樹脂における一般式(pI)〜(pVI)で示される構造は、アルカリ可溶性基の保護に使用することができる。アルカリ可溶性基としては、この技術分野において公知の種々の基が挙げられる。
具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、フェノール基、チオール基などが挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基である。
上記樹脂における一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基としては、好ましくは下記一般式(pVII)〜(pXI)で表される基が挙げられる。
【0087】
【化24】
【0088】
ここで、R11〜R25ならびにZは、それぞれ前記定義に同じである。
上記樹脂において、一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(pA)で示される繰り返し単位が好ましい。
【0089】
【化25】
【0090】
ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子又は1〜4個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。複数のRは、各々同じでも異なっていてもよい。
Aは、単結合、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、又はウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。
Raは、上記式(pI)〜(pVI)のいずれかの基を表す。
【0091】
以下、一般式(pA)で示される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を示す。
【0092】
【化26】
【0093】
【化27】
【0094】
上記一般式(II−AB)において、R11’、R12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Z’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0095】
上記R11’、R12’におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
上記R11’、R12’、R21’〜R30’におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0096】
上記のアルキル基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができ、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
【0097】
上記Z’の脂環式構造を形成するための原子団は、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素の繰り返し単位を樹脂に形成する原子団であり、中でも有橋式の脂環式炭化水素の繰り返し単位を形成する有橋式脂環式構造を形成するための原子団が好ましい。
形成される脂環式炭化水素の骨格としては、下記構造で示すもの等が挙げられる。
【0098】
【化28】
【0099】
【化29】
【0100】
好ましい有橋式の脂環式炭化水素の骨格としては、上記構造のうち、(5)、(6)、(7)、(9)、(10)、(13)、(14)、(15)、(23)、(28)、(36)、(37)、(42)、(47)が挙げられる。
【0101】
上記脂環式炭化水素の骨格には置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、上記一般式(II−A)あるいは(II−B)中のR13’〜R16’を挙げることができる。
上記有橋式の脂環式炭化水素を有する繰り返し単位の中でも、上記一般式(II−A)あるいは(II−B)で表される繰り返し単位が更に好ましい。
【0102】
上記一般式(II−A)あるいは(II−B)において、R13’〜R16’は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOH、−COOR5 、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A’−R17’、又は置換基を有していてもよいアルキル基あるいは環状炭化水素基を表す。
R5は、置換基を有していてもよい、アルキル基、環状炭化水素基又は前記の−Y基を表す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
A’は、単結合または2価の連結基を表す。
また、Rl3’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。nは0又は1を表す。
R17’は、−COOH、−COOR5 、−CN、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、−CO−NH−R6 、−CO−NH−SO2 −R6又は下記の−Y基を表す。
R6は、置換基を有していてもよい、アルキル基又は環状炭化水素基を表す。
前記−Y基において、R21’〜R30’は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、a、bは1又は2を表す。
【0103】
本発明に係わる樹脂において、酸分解性基は、上記−C(=O)−X−A’−R17’に含まれてもよいし、一般式(II−AB)のZ’の置換基として含まれてもよい。
酸分解性基の構造としては、−C(=O)−X1−R0 で表される。
式中、R0 としては、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、3−オキソアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリルエステル基、3−オキソシクロヘキシルエステル基、2−メチル−2−アダマンチル基、メバロニックラクトン残基等を挙げることができる。X1は、上記Xと同義である。
【0104】
上記R13’〜R16’におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0105】
上記R5、R6、R13’〜R16’におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0106】
上記R5、R6、R13’〜R16’における環状炭化水素基としては、例えば環状アルキル基、有橋式炭化水素であり、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基等を挙げることができる。
上記R13’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して形成する環としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の炭素数5〜12の環が挙げられる。
【0107】
上記R17’におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0108】
上記アルキル基、環状炭化水素基、アルコキシ基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基、アルキル基、環状炭化水素基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものが挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
また、アルキル基、環状炭化水素基は、上記で挙げたものが挙げられる。
【0109】
上記A’の2価の連結基としては、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせが挙げられる。
上記A’におけるアルキレン基、置換アルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Ra )(Rb )〕r −
式中、Ra 、Rb は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。rは1〜10の整数を表す。
【0110】
本発明に係る樹脂においては、酸の作用により分解する基は、前記一般式(pI)〜一般式(pVI)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、及び後記共重合成分の繰り返し単位のうち少なくとも1種の繰り返し単位に含有することができる。
【0111】
上記一般式(II−A)あるいは一般式(II−B)におけるR13’〜R16’の各種置換基は、上記一般式(II−AB)における脂環式構造を形成するための原子団ないし有橋式脂環式構造を形成するための原子団Zの置換基ともなるものである。
【0112】
上記一般式(II−A)あるいは一般式(II−B)で表される繰り返し単位の具体例として次の[II−1]〜[II−103]が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0113】
【化30】
【0114】
【化31】
【0115】
【化32】
【0116】
【化33】
【0117】
【化34】
【0118】
【化35】
【0119】
本発明の酸分解性樹脂は、更に下記一般式(IV)で表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を含有することができる。
【0120】
【化36】
【0121】
一般式(IV)中、R1aは、水素原子又はメチル基を表す。
W1は、単結合、アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。
Ra1,Rb1,Rc1,Rd1,Re1は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。m,nは各々独立に0〜3の整数を表し、m+nは、2以上6以下である。
【0122】
Ra1〜Re1の炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0123】
一般式(IV)において、W1のアルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Rf)(Rg)〕r1−
上記式中、Rf、Rgは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。r1は1〜10の整数である。
【0124】
上記アルキル基における更なる置換基としては、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アセチルアミド基、アルコキシカルボニル基、アシル基が挙げられる。
ここでアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の低級アルキル基を挙げることができる。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。置換アルコキシ基の置換基としては、アルコキシ基等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のものを挙げることができる。アシルオキシ基としては、アセトキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0125】
以下、一般式(IV)で示される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0126】
【化37】
【0127】
【化38】
【0128】
上記一般式(IV)の具体例において、露光マージンがより良好になるという点から(IV−17)〜(IV−36)が好ましい。
更に一般式(IV)の構造としては、エッジラフネスが良好になるという点からアクリレート構造を有するものが好ましい。
【0129】
また、下記一般式(V−1)〜(V−4)のいずれかで表される基を有する繰り返し単位を含有しても良い。
【0130】
【化39】
【0131】
一般式(V−1)〜(V−4)において、R1b〜R5bは、各々独立に水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基又はアルケニル基を表す。R1b〜R5bの内の2つは、結合して環を形成してもよい。
【0132】
一般式(V−1)〜(V−4)において、R1b〜R5bにおけるアルキル基としては、直鎖状、分岐状のアルキル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。
直鎖状、分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜12個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。
R1b〜R5bにおけるシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜8個のものが好ましい。
R1b〜R5bにおけるアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜6個のものが好ましい。
また、R1b〜R5bの内の2つが結合して形成する環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環等の3〜8員環が挙げられる。
なお、一般式(V−1)〜(V−4)におけるR1b〜R5bは、環状骨格を構成している炭素原子のいずれに連結していてもよい。
【0133】
また、上記アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基が有してもよい好ましい置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0134】
一般式(V−1)〜(V−4)で表される基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13’〜R16’のうち少なくとも1つが上記一般式(V−1)〜(V−4)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(V−1)〜(V−4)で表される基を表す)、又は下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0135】
【化40】
【0136】
一般式(AI)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4の置換もしくは非置換のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、前記一般式(V−1)〜(V−4)におけるR1bとしてのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基として先に例示したものが挙げられる。
Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0は水素原子が好ましい。
A’は、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
B2は、一般式(V−1)〜(V−4)のうちのいずれかで示される基を表す。A’において、該組み合わせた2価の基としては、例えば下記式のものが挙げられる。
【0137】
【化41】
【0138】
上記式において、Rab、Rbbは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げることができる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。r1は1〜10の整数、好ましくは1〜4の整数を表す。mは1〜3の整数、好ましくは1又は2を表す。
【0139】
以下に、一般式(AI)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0140】
【化42】
【0141】
【化43】
【0142】
また、本発明の酸分解性樹脂は、更に下記一般式(VI)で表される繰り返し単位を含有することができる。
【0143】
【化44】
【0144】
一般式(VI)において、A6は単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。
R6aは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。
【0145】
一般式(VI)において、A6のアルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Rnf)(Rng)〕r−
上記式中、Rnf、Rngは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。rは1〜10の整数である。
一般式(VI)において、A6のシクロアルキレン基としては、炭素数3から10個のものが挙げられ、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基等を挙げることができる。
【0146】
Z6を含む有橋式脂環式環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜5)、アシル基(例えば、ホルミル基、ベンゾイル基)、アシロキシ基(例えば、プロピルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4)、カルボキシル基、水酸基、アルキルスルホニルスルファモイル基(−CONHSO2CH3等)が挙げられる。尚、置換基としてのアルキル基は、更に水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)等で置換されていてもよい。
【0147】
一般式(VI)において、A6に結合しているエステル基の酸素原子は、Z6を含む有橋式脂環式環構造を構成する炭素原子のいずれの位置で結合してもよい。
【0148】
以下に、一般式(VI)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0149】
【化45】
【0150】
更に、下記一般式(VII)で表される基を有する繰り返し単位を含有してもよい。
【0151】
【化46】
【0152】
一般式(VII)中、R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基を表す。
【0153】
一般式(VII)で表される基は、好ましくはジヒドロキシ体、モノヒドロキシ体であり、より好ましくはジヒドロキシ体である。
【0154】
一般式(VII)で表される基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13’〜R16’のうち少なくとも1つが上記一般式(VII)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(V−1)〜(V−4)で表される基を表す)、又は下記一般式(AII)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0155】
【化47】
【0156】
一般式(AII)中、R1cは、水素原子又はメチル基を表す。
R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基を表す。
【0157】
以下に、一般式(AII)で表される構造を有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0158】
【化48】
【0159】
更に、下記一般式(VIII)で表される基を有する繰り返し単位を含有してもよい。
【0160】
【化49】
【0161】
一般式(VIII)中:
Z2は、−O−又は−N(R41)−を表す。ここでR41は、水素原子、水酸基、アルキル基、ハロアルキル基、又は−OSO2−R42を表す。R42は、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。
【0162】
上記一般式(VIII)に於いて、Z2は、−O−又は−N(R41)−を表す。ここでR41は、水素原子、水酸基、アルキル基、ハロアルキル基、又は−OSO2−R42を表す。R42は、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。
【0163】
上記R41及びR42におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
上記R41及びR42 におけるハロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ナノフルオロブチル基、ペンタデカフルオロオクチル基、トリクロロメチル基等を挙げることができる。上記R42 におけるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0164】
R41及びR42としてのアルキル基及びハロアルキル基、R42としてのシクロアルキル基又は樟脳残基は置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッソ素原子、沃素原子)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜5、例えば、ホルミル基、アセチル基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜5、例えばアセトキシ基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14、例えばフェニル基)等を挙げることができる。
【0165】
上記一般式(VIII)で表される繰り返し単位の具体例として次の[I’−1]〜[I’−7]が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0166】
【化50】
【0167】
【化51】
【0168】
(B)成分である酸分解性樹脂は、上記の繰り返し単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し単位を含有することができる。
【0169】
このような繰り返し単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、酸分解性樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0170】
具体的には、以下の単量体を挙げることができる。
アクリル酸エステル類(好ましくはアルキル基の炭素数が1〜10のアルキルアクリレート):
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等。
【0171】
メタクリル酸エステル類(好ましくはアルキル基の炭素数が1〜10のアルキルメタアクリレート):
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等。
【0172】
アクリルアミド類:
アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基等がある。)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等がある)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミド等。
【0173】
メタクリルアミド類:
メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、シクロヘキシル基等がある)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としてはエチル基、プロピル基、ブチル基等がある)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等。
【0174】
アリル化合物:
アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等)、アリルオキシエタノール等。
【0175】
ビニルエーテル類:
アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等。
【0176】
ビニルエステル類:
ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート等。
【0177】
イタコン酸ジアルキル類:
イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等。
フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類;ジブチルフマレート等。
【0178】
その他クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等。
【0179】
その他にも、上記種々の繰り返し単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
【0180】
酸分解性樹脂において、各繰り返し単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
【0181】
本発明の酸分解性樹脂の好ましい態様としては、以下のものが挙げられる。
(1) 上記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位を含有するもの(側鎖型)
(2) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位を含有するもの(主鎖型)
但し、(2)においては例えば、更に以下のものが挙げられる。
(3) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、無水マレイン酸誘導体及び(メタ)アクリレート構造を有するもの(ハイブリッド型)
【0182】
酸分解性樹脂中、一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中30〜70モル%が好ましく、より好ましくは35〜65モル%、更に好ましくは40〜60モル%である。
酸分解性樹脂中、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは15〜55モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
【0183】
また、上記更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し単位の樹脂中の含有量も、所望のレジストの性能に応じて適宜設定することができるが、一般的に、上記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位と上記一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の合計した総モル数に対して99モル%以下が好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
本発明の組成物がArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から樹脂は芳香族基を有さないことが好ましい。
【0184】
本発明に用いる(B)酸分解性樹脂は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、これを必要に応じ反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような本発明の組成物を溶解する溶媒に溶解させ均一とした後、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。
反応の濃度は20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。反応温度は10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。
【0185】
上記具体例で表される繰り返し構造単位は、各々1種で使用してもよいし、複数を混合して用いてもよい。
また、本発明において、(B)樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0186】
本発明に係る(B)樹脂の質量平均分子量Mwは、GPC法によりポリスチレン換算値として、1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜20,000である。質量平均分子量が1,000未満では耐熱性やドライエッチング耐性の劣化が見られるため余り好ましくなく、200,000を越えると現像性が劣化したり、粘度が極めて高くなるため製膜性が劣化するなど余り好ましくない結果を生じる。
分子量分布は1〜10であり、好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜4の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状、及びレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
【0187】
本発明のポジ型レジスト組成物において、本発明に係わる全ての樹脂の組成物全体中の配合量は、全レジスト固形分中40〜99.99質量%が好ましく、より好ましくは50〜99.97質量%である。
【0188】
≪(C)塩基性化合物≫
本発明のポジ型レジスト組成物における(C)成分は、下記(CA)及び(CB)から選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物である。
(CA)少なくとも1つの(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物、及び、少なくとも1つの(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物。
(CB)少なくとも2種の(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物。
以下、本発明において用いられる(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物及び(C2)イオン性含窒素塩基性化合物について詳しく説明する。
【0189】
(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物
非イオン性含窒素塩基性化合物(C1)としては、有機アミン、塩基性のアンモニウム塩、塩基性のスルホニウム塩などが用いられ、昇華やレジスト性能を劣化させないものであればよい。
これらの含窒素塩基性化合物の中でも、有機アミンが画像性能が優れる点で好ましい。例えば特開昭63−149640号公報、特開平5−249662号公報、特開平5−127369号公報、特開平5−289322号公報、特開平5−249683号公報、特開平5−289340号公報、特開平5−232706号公報、特開平5−257282号公報、特開平6−242605号公報、特開平6−242606号公報、特開平6−266100号公報、特開平6−266110号公報、特開平6−317902号公報、特開平7−120929号公報、特開平7−146558号公報、特開平7−319163号公報、特開平7−508840号公報、特開平7−333844号公報、特開平7−219217号公報、特開平7−92678号公報、 特開平7−28247号公報、特開平8−22120号公報、特開平8−110638号公報、特開平8−123030号公報、特開平9−274312号公報、特開平9−166871号公報、特開平9−292708号公報、特開平9−325496号公報、特表平7−508840号公報、米国特許第5525453号明細書、同第5629134号明細書、同第5667938号明細書等に記載の塩基性化合物を用いることができる。
【0190】
非イオン性含窒素塩基性化合物(C1)は、具体的には下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。
【0191】
【化52】
【0192】
ここで、R250 、R251及びR252は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20個のアルキル基、炭素数1〜20個のアミノアルキル基、炭素数1〜20個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。
R253、R254、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜10個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物か、又は脂肪族3級アミンである。
【0193】
含窒素塩基性化合物(C1)としては、好ましくは、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン類、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、アニリン類、ヒドロキシアルキルアニリン類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、2,4,6−トリメチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウムp−トルエンスルホナート、及びテトラブチルアンモニウムラクテート、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−i−オクチルアミン、トリス(エチルヘキシル)アミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン等が挙げられる。
これらの中でも、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリス(エチルヘキシル)アミン、トリドデシルアミン、N,N−ジ−ヒドロキシエチルアニリン、N−ヒドロキシエチル−N−エチルアニリン等の有機アミンが好ましい。
上記非イオン性含窒素塩基性化合物(C1)は、単独であるいは2種以上で用いられる。
【0194】
(C2)イオン性含窒素塩基性化合物
イオン性含窒素塩基性化合物(C2)としては、例えば下記一般式(IX)で表される4級アンモニウム塩化合物などのアンモニウム塩化合物が挙げられる。
【0195】
【化53】
【0196】
上記一般式(IX)中、R1、R2、R3、R4は、アルキル基、アラルキル基、アリール基、酸素含有アルキル基を表す。
X−は、有機カウンターアニオンを表す。
【0197】
また、X−の有機カウンターアニオンとしては、例えば、OH−、R5SO3 −、R6COO−等が挙げられる。
R5、R6は、アルキル基、アラルキル基、アリール基、酸素含有アルキル基を表す。
【0198】
R1〜R6のアルキル基は、置換あるいは無置換のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基である。無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができる。
【0199】
R1〜R6のアラルキル基は、置換あるいは無置換のアラルキル基であり、好ましくは炭素数7〜18のアラルキル基であり、無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。
R1〜R6のアリール基は、置換あるいは無置換のアリール基であり、好ましくは炭素数6〜18のアリール基であり、無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0200】
R1〜R6の酸素含有アルキル基は、置換あるいは無置換の酸素含有アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜18の酸素含有アルキル基である。
無置換の酸素含有アルキル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、i−ヘキシルオキシ基、t−ヘキシルオキシ基、n−ヘプタオキシ基、i−ヘプタオキシ基、t−ヘプタオキシ基、n−ペンタオキシ基、i−ペンタオキシ基、t−ペンタオキシ基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基、プロポキシペンチル基、ブトキシメチル基、ブトキシエチル基、ブトキシプロピル基、ブトキシブチル基、メトキシメトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、メトキシプロポキシメチル基、エトキシエトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、エトキシプロポキシメチル基、エトキシプロポキシプロピル基、メトキシメトキシメトキシメチル基、メトキシエトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエトキシエトキシエチル基などが挙げられる。
その中でも、エトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエトキシエチル基、メトキシエチル基、メトキシエトキシエトキシエチル基が好ましい。
【0201】
上記の更なる置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)等で置換されていてもよい。更にアリール基、アラルキル基については、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5)で置換されていてもよい。
また、アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。
【0202】
アンモニウム塩化合物(C2)の具体例としては、下記に示す化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
具体的には、アンモニウムヒドロキシド、アンモニウムトリフレート、アンモニウムペンタフレート、アンモニウムヘプタフレート、アンモニウムノナフレート、アンモニウムウンデカフレート、アンモニウムトリデカフレート、アンモニウムペンタデカフレート、アンモニウムメチルカルボキシレート、アンモニウムエチルカルボキシレート、アンモニウムプロピルカルボキシレート、アンモニウムブチルカルボキシレート、アンモニウムヘプチルカルボキシレート、アンモニウムヘキシルカルボキシレート、アンモニウムオクチルカルボキシレート、アンモニウムノニルカルボキシレート、アンモニウムデシルカルボキシレート、アンモニウムウンデシルカルボキシレート、アンモニウムドデカデシルカルボキシレート、アンモニウムトリデシルカルボキシレート、アンモニウムテトラデシルカルボキシレート、アンモニウムペンタデシルカルボキシレート、アンモニウムヘキサデシルカルボキシレート、アンモニウムヘプタデシルカルボキシレート、アンモニウムオクタデシルカルボキシレート等が挙げられる。
【0203】
上記で言う、アンモニウムとしては、具体的には、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘプチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリオクチルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、ジデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラキスデシルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、トリドデシルメチルアンモニウムヒドロキシド、ミリスチルメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジテトラデシルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクタデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクタデシルアンモニウムヒドロキシド、ジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−クロロエチル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ブロモエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(3−ブロモプロピル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(3−ブロモプロピル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、グリシジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、(R)−(+)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(S)−(−)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−アミノエチル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサメトニウムヒドロキシド、デカメトニウムヒドロキシド、1−アゾニアプロペランヒドロキシド、ペトロニウムヒドロキシド、2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリニウムヒドロキシド、3−エチル−2−メチル−2−チアゾリニウムヒドロキシドを挙げることができる。
【0204】
即ち、上記でアンモニウムヒドロキシドとしては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘプチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリオクチルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、ジデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラキスデシルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、トリドデシルメチルアンモニウムヒドロキシド、ミリスチルメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジテトラデシルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクタデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクタデシルアンモニウムヒドロキシド、ジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−クロロエチル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ブロモエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(3−ブロモプロピル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(3−ブロモプロピル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、グリシジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、(R)−(+)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(S)−(−)−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−アミノエチル)−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサメトニウムヒドロキシド、デカメトニウムヒドロキシド、1−アゾニアプロペランヒドロキシド、ペトロニウムヒドロキシド、2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリニウムヒドロキシド、3−エチル−2−メチル−2−チアゾリニウムヒドロキシドを挙げることができる。
同様に、各アンモニウム化合物に前述のアンモニウムを組み合わせることで、具体的な化合物を挙げることが出来る。
上記イオン性含窒素塩基性化合物(C2)は、単独であるいは2種以上で用いられる。特に、(C)成分に非イオン性含窒素塩基性化合物(C1)が含まれない場合には、イオン性含窒素塩基性化合物(C2)を少なくとも2種用いることで本発明の効果が達成される。
【0205】
また、本発明の(C)成分が、(CB)少なくとも2種の(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる場合、そのうちの少なくとも1つがアンモニウムヒドロキシドであることが好ましい。
【0206】
これら(C)成分は、単独であるいは2種以上で用いられる。
(C)成分の使用量は、ポジ型レジスト組成物の固形分を基準として、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。0.001質量%以上とすることで、(C)成分の添加の効果が得られ、また、10質量%以下とすることで、感度の低下や非露光部の現像性の悪化を抑制することができる。また、(C)成分として用いる(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物及び/又は(C2)イオン性含窒素塩基性化合物の使用量も、組成物の固形分を基準として、各々通常0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。
【0207】
≪(D)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、少なくとも上記成分(A)〜(C)を含有するが、更に(D)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物が上記(D)界面活性剤とを含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
これらの(D)界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同 5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0208】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0209】
(D)界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0210】
≪(E)有機溶剤≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤に溶解して用いる。
使用し得る有機溶剤としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
【0211】
本発明においては、有機溶剤として構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用することが好ましい。これによりレジスト液保存時のパーティクル発生を軽減することができる。
水酸基を含有する溶剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル等を挙げることができ、これらの内でプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルが特に好ましい。
水酸基を含有しない溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができ、これらの内で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
【0212】
≪(F)酸分解性溶解阻止化合物≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、更に(F)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解性を増大させる基を有し、分子量3000以下、好ましくは100以上3000以下の溶解阻止低分子化合物(以下、「(F)酸分解性溶解阻止化合物」ともいう)を含有することが好ましい。
特に220nm以下の透過性を低下させないため、Proceeding of SPIE, 2724,355 (1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が(F)酸分解性溶解阻止化合物として好ましい。酸分解性基、脂環式構造としては、上記酸分解性樹脂のところで説明したものと同様のものが挙げられる。
(F)酸分解性溶解阻止化合物の添加量は、ポジ型レジスト組成物の全組成物の固形分に対し、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
以下に(F)酸分解性溶解阻止化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0213】
【化54】
【0214】
≪(G)アルカリ可溶性樹脂≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、更に、酸分解性基を含有していない、(G)水に不溶でアルカリ現像液に可溶な樹脂を含有することができ、これにより感度が向上する。
本発明においては、分子量1000〜20000程度のノボラック樹脂類、分子量3000〜50000程度のポリヒドロキシスチレン誘導体をこのような樹脂として用いることができるが、これらは250nm以下の光に対して吸収が大きいため、一部水素添加して用いるか、又は全樹脂量の30質量%以下の量で使用するのが好ましい。
また、カルボキシル基をアルカリ可溶性基として含有する樹脂も用いることができる。カルボキシル基を含有する樹脂中にはドライエッチング耐性向上のために単環、又は多環の脂環炭化水素基を有していることが好ましい。具体的には酸分解性を示さない脂環式炭化水素構造を有するメタクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合体あるいは末端にカルボキシル基を有する脂環炭化水素基の(メタ)アクリル酸エステルの樹脂などを挙げることができる。
【0215】
≪その他の添加剤≫
本発明のポジ型レジスト組成物には、必要に応じてさらに染料、可塑剤、上記(D)成分以外の界面活性剤、ハレーション防止剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を含有させることができる。
【0216】
本発明で使用できる現像液に対する溶解促進性化合物は、フェノール性OH基を2個以上、又はカルボキシ基を1個以上有する分子量1,000以下の低分子化合物である。カルボキシ基を有する場合は上記と同じ理由で脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。
これら溶解促進性化合物の好ましい添加量は、(B)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂に対して2〜50質量%であり、さらに好ましくは5〜30質量%である。50質量%を越えた添加量では、現像残渣が悪化し、また現像時にパターンが変形するという新たな欠点が発生して好ましくない。
【0217】
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号公報、特開平2−28531号公報、米国特許第4916210号明細書、欧州特許第219294号明細書等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成することができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0218】
本発明においては、上記(D)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を加えることもできる。
具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0219】
好適なハレーション防止剤としては、照射する放射線を効率よく吸収する化合物が好ましく、フルオレン、9−フルオレノン、ベンゾフェノンのような置換ベンゼン類;アントラセン、アントラセン−9−メタノール、アントラセン−9−カルボキシエチル、フェナントレン、ペリレン、アジレンのような多環式芳香族化合物などが挙げられる。なかでも、多環式芳香族化合物が特に好ましい。これらのハレーション防止剤は基板からの反射光を低減し、レジスト膜内の多重反射の影響を少なくさせることで、定在波改良の効果を発現する。
【0220】
また露光による酸発生率を向上させるために、光増感剤を添加することができる。好適な光増感剤として、ベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、ピレン、フェノチアジン、ベンジル、ベンゾフラビン、アセトフェノン、フェナントレン、ベンゾキノン、アントラキノン、1,2−ナフトキノン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの光増感剤は前記ハレーション防止剤としても使用可能である。
【0221】
さらに本発明のレジスト組成物は、メタル等の金属不純物やクロルイオンなどの不純物成分を100ppb以下に低減しておくことが好ましい。これらの不純物が多く存在すると、半導体デバイスを製造する上で動作不良、欠陥、収率低下を招いたりするので好ましくない。
尚、本発明のレジスト組成物は、如何なる露光源のための組成物であってもよいが、特には220nm以下の波長の遠紫外光による露光用の組成物であるのが好ましい。
【0222】
≪使用方法≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、次のように所定の支持体上に塗布して用いる。
すなわち、上記ポジ型レジスト組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布する。
塗布後、所定のマスクを通して露光し、ベークを行い現像する。このようにすると、良好なレジストパターンを得ることができる。ここで露光光としては、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の波長の遠紫外線である。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等が挙げられる。
【0223】
現像工程では、現像液を次のように用いる。ポジ型レジスト組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
さらに、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0224】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0225】
<樹脂の合成例>
合成例(1) 樹脂(1)の合成(側鎖型)
2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート、ブチロラクトンメタクリレートを55/45の割合で仕込みメチルエチルケトン/テトラヒドロフラン=5/5に溶解し、固形分濃度20%の溶液100mLを調製した。この溶液に和光純薬製V−65を2mol%加え、これを窒素雰囲気下、4時間かけて60℃に加熱したメチルエチルケトン10mLに滴下した。滴下終了後、反応液を4時間加熱、再度V−65を1mol%添加し、4時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、蒸留水/ISOプロピルアルコール=1/1の混合溶媒3Lに晶析、析出した白色粉体である樹脂(1)を回収した。
C13NMRから求めたポリマー組成比は46/54であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量Mwは10700であった。
【0226】
上記合成例(1)と同様の操作で樹脂(2)〜(12)を合成した。
以下に上記樹脂(2)〜(12)の組成比、分子量を示す。(繰り返し単位1、2、3、4は構造式の左からの順番である。)
【0227】
【表1】
【0228】
また、以下に上記樹脂(1)〜(12)の構造を示す。
【0229】
【化55】
【0230】
【化56】
【0231】
【化57】
【0232】
合成例(2) 樹脂(13)の合成(主鎖型)
ノルボルネンカルボン酸tブチルエステル、ノルボルネンカルボン酸ブチロラクトンエステルと無水マレイン酸(モル比40/10/50)およびTHF(固形分60質量%)をセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下60℃で加熱した。反応温度が安定したところで和光純薬社製ラジカル開始剤V−601を2mol%加え反応を開始させた。12時間加熱した。得られた反応混合物をテトラヒドロフランで2倍に稀釈した後、ヘキサン/イソプロピルアルコール=1/1の混合溶液に投入し白色粉体を析出させた。析出した粉体を濾過取り出しし、乾燥、目的物である樹脂(13)を得た。
得られた樹脂(13)のGPCによる分子量分析を試みたところ、ポリスチレン換算で8300(質量平均)であった。また、NMRスペクトルより樹脂(1)のノルボルネンカルボン酸tブチルエステル/ノルボルネンカルボン酸ブチロラクトンエステル/無水マレイン酸繰り返し単位のモル比は42/8/50であることを確認した。
【0233】
合成例(2)と同様の方法で以下、樹脂(14)〜(17)を合成した。
以下に上記樹脂(14)〜(17)の組成比、分子量を示す。(脂環オレフィン単位1、2、3は構造式の左からの順番である。)
【0234】
【表2】
【0235】
また、以下に上記樹脂(13)〜(17)の構造を示す。
【0236】
【化58】
【0237】
合成例(3) 樹脂(18)の合成(ハイブリッド型)
ノルボルネン、無水マレイン酸、tブチルアクリレート、2−メチルシクロヘキシル−2−プロピルアクリレートをモル比で35/35/20/10で反応容器に仕込み、テトラヒドロフランに溶解し、固形分60%の溶液を調製した。これを窒素気流下65℃で加熱した。反応温度が安定したところで和光純薬社製ラジカル開始剤V−601を1mol%加え反応を開始させた。8時間加熱した後、反応混合物をテトラヒドロフランで2倍に稀釈した後、反応混合液の5倍容量のヘキサンに投入し白色粉体を析出させた。析出した粉体を濾過取り出しし、これをメチルエチルケトンに溶解し、5倍容量のヘキサン/t−ブチルメチルエーテル=1/1混合溶媒に再沈し、析出した白色粉体を濾取、乾燥、目的物である樹脂(18)を得た。
得られた樹脂(18)のGPCによる分子量分析を試みたところ、ポリスチレン換算で12100(質量平均)であった。また、NMRスペクトルより樹脂(1)の組成は本発明のノルボルネン/無水マレイン酸/tブチルアクリレート/2−メチルシクロヘキシル−2−プロピルアクリレートをモル比で32/39/19/10であった。
【0238】
合成例(3)と同様の方法で以下、樹脂(19)〜(24)を合成した。
以下に上記樹脂(19)〜(24)の組成比、分子量を示す。
【0239】
【表3】
【0240】
また、以下に上記樹脂(18)〜(24)の構造を示す。
【0241】
【化59】
【0242】
合成例(4) 樹脂(25)の合成(ハイブリッド型)
ノルボルネンカルボン酸tブチルエステル、無水マレイン酸、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、ノルボルネンラクトンアクリレートをモル比で20/20/35/25で反応容器に仕込み、メチルエチルケトン/テトラヒドロフラン=1/1溶媒に溶解し、固形分60%の溶液を調製した。これを窒素気流下65℃で加熱した。反応温度が安定したところで和光純薬社製ラジカル開始剤V−601を3mol%加え反応を開始させた。12時間加熱した後、反応混合物を5倍量のヘキサンに投入し白色粉体を析出させた。析出した粉体を再度メチルエチルケトン/テトラヒドロフラン=1/1溶媒に溶解させ5倍量のヘキサン/メチルtBuエ−テルに投入し白色粉体を析出させ、濾過取り出した。この作業を再度繰り返し、乾燥、目的物である樹脂(25)を得た。
得られた樹脂(25)のGPCによる分子量分析(RI分析)を試みたところ、ポリスチレン換算で11600(質量平均)、残留モノマーの量は0.4%であった。また、NMRスペクトルより樹脂(25)の組成は本発明のノルボルネン/無水マレイン酸/2−メチル−2−アダマンチルアクリレート/ノルボルネンラクトンアクリレートをモル比で18/23/34/25であった。
【0243】
合成例(4)と同様の方法で以下、樹脂(26)〜(31)を合成した。
以下に上記樹脂(26)〜(31)の組成比、分子量を示す。
【0244】
【表4】
【0245】
また、以下に上記樹脂(25)〜(31)の構造を示す。
【0246】
【化60】
【0247】
【化61】
【0248】
【化62】
【0249】
【化63】
【0250】
【化64】
【0251】
実施例1〜31及び比較例1〜4
(ポジ型レジスト組成物の調製と評価)
上記合成例で合成した表5〜6に示す樹脂をそれぞれ1.03g、
光酸発生剤(表中に記載)、
本発明の(C)成分(表中に記載)、及び
界面活性剤 全体の100ppm
を表5〜6に示すように配合し、それぞれ固形分が11質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル(=7/3)に溶解した後、0.1μmのミクロフィルターで濾過し、実施例1〜31と比較例1〜4のポジ型レジスト組成物を調製した。
【0252】
【表5】
【0253】
【表6】
【0254】
(C)成分における(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物としては、
C1−1: 1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン
C1−2: 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン
C1−3: 4−ジメチルアミノピリジン
C1−4: トリフェニルイミダゾール
C1−5: ジイソプロピルアニリン
C1−6: トリブチルアミン
C1−7: トリオクチルアミン
C1−8: トリドデシルアミン
C1−9: N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン
C1−10:2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン
を表す。
【0255】
(C)成分における(C2)イオン性含窒素塩基性化合物としては、
C2−1: テトラメチルアンモニウム ヒドロキシド
C2−2: テトラブチルアンモニウム ヒドロキシド
C2−3: テトラヘキシルアンモニウム ヒドロキシド
C2−4: 1,6−ビス(テトラメチルアンモニウム)ヘキサン ジヒドロキシド
を表す。
【0256】
界面活性剤としては、
W−1: メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2: メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコーン系)
W−3: ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
W−4: トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
W−5: メガファックF−475(大日本インキ化学工業(株)製)
W−6: C6F13基を有するアクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレートと(ポリ(オキシエチレン))メタクリレートとの共重合体、
W−7: C6F13基を有するアクリレートと(ポリ(エチレンオキシとプロピレンオキシとエチレンオキシとのブロック))アクリレート、
を表す。
【0257】
(評価試験)
初めにBrewer Science社製ARC−25をスピンコーターを利用してシリコンウエハー上に30nm塗布、乾燥した後、その上に得られたポジ型フォトレジスト組成物溶液をスピンコータを利用して塗布し、115℃で90秒間乾燥、約0.4μmのポジ型フォトレジスト膜を作成し、それにArFエキシマレーザー(193nm)により露光した。
露光後の加熱処理を115℃で90秒間行い、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像、蒸留水でリンスし、レジストパターンプロファイルを得た。
これらについて、以下のようにPED安定性、プロファイルを評価した。これらの評価結果を表7に示す。
【0258】
〔PED安定性〕:0.13μmのラインパターンを再現する露光量でPED後(露光後23℃で60分間放置)の線幅が変動する変動率を下記式により評価し、得られた値をPED安定性として評価した。
PED安定性(%)= │(露光後経時したパターン(0.13μm)の線幅)−(露光後直ちに加熱処理した際の線幅)│/(0.13μm)×100
【0259】
〔プロファイル〕
マスクにおける0.16μmのラインパターンを再現する最小露光量により得られた0.16μmラインパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡により観察した。矩形状のものを○とし、テーパー形状のものを×で示した。ややテーパー状のものを△で示した。
【0260】
【表7】
【0261】
表7の結果から明らかなように、本発明のポジ型レジスト組成物は、PED安定性及びプロファイルにおいて優れていることが判る。
【0262】
【発明の効果】
本発明は、PED安定性及びプロファイルの良好なポジ型レジスト組成物を提供することができる。
Claims (5)
- (A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
(B)単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂、及び
(C)下記(CA)及び(CB)から選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物、
(CA)少なくとも1つの(C1)非イオン性含窒素塩基性化合物、及び、少なくとも1つの(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物、
(CB)少なくとも2種の(C2)イオン性含窒素塩基性化合物からなる塩基性化合物、
を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。 - 更に、(D)フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤を含有する請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
- 更に、(F)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解性を増大させる基を有し、分子量3000以下の溶解阻止低分子化合物を含有する請求項1又は2に記載のポジ型レジスト組成物。
- 更に、(E)水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
- 220nm以下の波長の遠紫外光による露光用組成物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
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