JP2004044507A - 車載電動ファンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動ファンの駆動に起因する振動を抑制しつつ、該電動ファンに要求される風量等についてもこれを好適に確保することのできる車載電動ファンの制御装置を提供する。
【解決手段】ガソリン機関2が搭載された車両1のラジエータ5に用いられる電動ファン18の駆動を制御装置32は制御する。この制御装置32は、電動ファン18を、その回転駆動によってガソリン機関2の振動との共振が生じる回転速度よりも低い第1の回転速度と、熱交換のための十分な風量を確保し得る第2の回転速度との間で交互に切り替え駆動する。
【選択図】 図1
【解決手段】ガソリン機関2が搭載された車両1のラジエータ5に用いられる電動ファン18の駆動を制御装置32は制御する。この制御装置32は、電動ファン18を、その回転駆動によってガソリン機関2の振動との共振が生じる回転速度よりも低い第1の回転速度と、熱交換のための十分な風量を確保し得る第2の回転速度との間で交互に切り替え駆動する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関が搭載された車両の冷却用熱交換に用いられる電動ファンについてその駆動を制御する車載電動ファンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車載内燃機関の冷却水を冷却するラジエータやエアーコンディショナーの冷媒を冷却するコンデンサなどといった冷却用熱交換器には、その冷却効率を維持もしくは補助するための電動ファンが設けられている。この電動ファンは、冷却水の温度や冷媒の圧力などをパラメータとする冷却要求に応じてその駆動が制御されるようになっている。
【0003】
ところで、図9に例示するように、電動ファンが回転駆動されるときには通常、振動が発生する。この振動のうちで最も大きな振動となるのは、ファンの重量バランスに起因して発生する振動である。また、同図9に併記するように、上記内燃機関が運転されるときにも振動が発生する。この振動のうちで最も大きな振動となるのは、気筒内での混合気の燃焼・膨張に起因して発生する振動である。そして、これらの振動の周波数が互いに近づくと、上記電動ファンの振動との間で共振が発生する場合がある。すなわち電動ファンのファン回転振動数(1回転毎に発生する振動の単位時間当たりの振動数)と内燃機関の機関燃焼振動数(一燃焼行程毎に発生する振動の単位時間当たりの振動数)との差が所定値Aまたは所定値B以内(共振発生領域)に近づくと電動ファンに共振が発生し、その振動が増大してしまうことがある。この増大された電動ファンの振動は車両の操舵機構等にも伝わり、車両の搭乗者に不快感を与える場合もある。また、この増大された振動が操舵機構等に共振を発生させ、更に大きな振動を車両の操舵機構等に発生させる場合もある。
【0004】
そこで従来は、このような電動ファンの共振に起因する操舵機構等の振動増大を抑制するために、例えば電動ファンを次のようにオン・オフ制御する装置なども提案されている。ちなみに、この制御装置では、図10に例示するように、オン制御するときでも機関燃焼振動数との共振が発生する回転速度NF0よりも低い回転速度NF1で電動ファンを駆動するようにしている。
【0005】
また、例えば特開平11−107753号公報に記載のもののように、電動ファンの回転速度をリニアに可変設定できる制御装置では、ファン回転振動数が機関燃焼振動数よりも常に一定の値だけ小さくなるように電動ファンの回転速度を設定し、ファン回転振動数と機関燃焼振動数とを近づけないようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、電動ファンを所定の低い回転速度でオン・オフ制御するようにすれば、あるいは上記公報に記載の装置のように、電動ファンの回転速度を低く抑えてファン回転振動数が機関燃焼振動数よりも小さくなるようにすれば、電動ファンの振動増大を抑制することはできる。そしてこれにより、車両の操舵機構等の振動も抑制することはできる。しかし、これらの装置はいずれも、電動ファンの回転速度を低下させることによって上記共振を抑えるものであるために、前述したラジエータやコンデンサ等に対する風量低下が避けられず、冷却水や冷媒を十分に冷却することができなくなる。
【0007】
なお、この電動ファンの風量低下による冷却性能の不足分は、前記ラジエータやコンデンサ、あるいは電動ファンに取り付けられるファン等を大型化すれば補うことはできるが、この場合には車両の重量増加やコストアップを招いてしまう。
【0008】
また、機関燃焼振動数に前記の所定値Bを加えた値よりもファン回転振動数が高くなるようにすれば、共振の発生が抑制されるとともに風量も確保することはできる(図9の破線参照)。しかしこの場合には、電動ファンの高回転化に起因して同電動ファンから発生する騒音も大きくなってしまうという新たな問題が生じる。
【0009】
この発明はこうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、電動ファンの駆動に起因する振動を抑制しつつ、該電動ファンに要求される風量等についてもこれを好適に確保することのできる車載電動ファンの制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関が搭載された車両の冷却用熱交換器に用いられる電動ファンについてその駆動を制御する車載電動ファンの制御装置において、前記電動ファンを、その回転駆動によって前記内燃機関の振動との共振が生じる回転速度よりも低い第1の回転速度と、熱交換のための十分な風量を確保し得る第2の回転速度との間で交互に切り替え駆動するようにしたことをその要旨とする。
【0011】
同構成によれば、第2の回転速度で電動ファンが駆動されるときには風量が増大される。また、第1の回転速度で電動ファンが駆動されるときには電動ファンの駆動に起因する振動が抑制される。このように、電動ファンが駆動される際の回転速度を交互に切り替えることにより、電動ファンの駆動に起因する振動を抑制しつつ、該電動ファンに要求される風量等についてもこれを好適に確保することができるようになる。ちなみに、上記共振が生じる回転速度は予めの実験等により知ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載電動ファンの制御装置において、前記電動ファンの前記第2の回転速度での駆動が、該駆動に基づき発生する振動の振幅が所定のレベルに達するまでの期間に限って行われることをその要旨とする。
【0013】
前述したように、機関燃焼振動数とファン回転振動数とが近づくと電動ファンに共振が発生する。ここで、機関燃焼振動数とファン回転振動数とが近づいて電動ファンに共振が発生しはじめても、その振動の振幅が増大するにはある程度の時間がかかる。この点、上記請求項2に記載の構成では、この振動の増幅時間を考慮し、該振動の振幅が所定のレベルに達するまでの期間に限って上記第2の回転速度で電動ファンを駆動するようにしている。そのため、上記第2の回転速度で電動ファンが駆動される場合であれ、振動の振幅を上記所定のレベル以下に抑制することができるようになる。なお、上記振幅に対する所定のレベルの設定に際しては、例えば電動ファンの共振に起因して発生するステアリングホイールの振動レベル、あるいは当該車両の搭乗者が感知できる最小の振動レベル等を予めの実験等により求めておくことで、その適合化を図ることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車載電動ファンの制御装置において、前記電動ファンの前記第1の回転速度での駆動期間は、前記第2の回転速度での駆動に基づき前記所定のレベルに達した振動の振幅が所要に収束され得る期間として設定されることをその要旨とする。
【0015】
同構成によれば、電動ファンが上記第2の回転速度で駆動されることにより増大した振動の振幅は、上記第1の回転速度で電動ファンが駆動される期間中に収束される。そのため、再び電動ファンが上記第2の回転速度で駆動されても、すぐに振動の振幅が上記所定のレベルに達することはなく、もって電動ファンが上記第2の回転速度で駆動される期間を十分に確保することができるようになる。ちなみに、上記振動の振幅が所要に収束され得る期間は予めの実験等により知ることもできる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の車載電動ファンの制御装置において、前記電動ファンの前記第1の回転速度での駆動期間がランダムな期間として設定されることをその要旨とする。
【0017】
同構成によれば、上記第1の回転速度で電動ファンが駆動される時間は、いわば不規則に変更される。このように、電動ファンの回転速度を上下させる上記制御装置にあって、所定の回転速度で電動ファンを駆動する期間の周期性を積極的に崩すことにより、当該車両の搭乗者に上述した回転速度の変化や振動の変化を感知されにくくすることができるようになる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の車載電動ファンの制御装置において、前記第1及び第2の回転速度が、それぞれ前記内燃機関のアイドル回転速度に基づいて設定されることをその要旨とする。
【0019】
前述した機関燃焼振動数は、気筒内での混合気の燃焼・膨張に起因して発生する振動の周波数であるため、機関回転速度が増大するほど高くなる傾向にある。そのため、電動ファンに共振が発生する回転速度領域は機関回転速度の変化に対応して変化する。ここで一般に、電動ファンは、内燃機関の回転速度と比較して低い回転速度で駆動される場合が多く、ファン回転振動数は、内燃機関のアイドル回転速度における機関燃焼振動数に近い値となっている。すなわち、内燃機関のアイドル時に最も電動ファンが共振しやすくなっている。この点、上記請求項5に記載の構成では、内燃機関のアイドル回転速度に基づいて上記第1の回転速度及び第2の回転速度を設定するようにしている。そのため、電動ファンの共振を抑制するという点で最も効果的な電動ファンの回転速度を設定することができるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる車載電動ファンの制御装置を具体化した一実施の形態について図1〜図4に基づき、詳細に説明する。
【0021】
図1は、車両1に搭載された例えばガソリン機関2とともに、本実施の形態にかかる電動ファンの制御装置、並びにそれらの周辺構成を示す概略構成図である。
【0022】
車両1に搭載されたガソリン機関2はシリンダブロック3を備えている。このシリンダブロック3の内部に形成された複数の燃焼室では、その中に供給される燃料と空気の混合気が燃焼される。この混合気の燃焼に基づいてピストンが往復動されることにより、出力軸であるクランクシャフト4が回転する。この混合気の燃焼に伴い、シリンダブロック3には高熱とともに振動が発生する。
【0023】
一方、シリンダブロック3等を冷却するために設けられた水冷式の冷却装置は、熱交換器であるラジエータ5、ウォータポンプ6、サーモスタット7及び冷却配管等を備えている。また、シリンダブロック3の内部には、冷却水の通路であるウォータジャケット9が形成されている。
【0024】
ここで、ウォータジャケット出口10に接続された第1の冷却水通路11は、ラジエータ入口12に接続されている。ラジエータ出口13に接続された第2の冷却水通路14は、サーモスタット7及びウォータポンプ6を介してウォータジャケット入口15に接続されている。第1の冷却水通路11の途中に接続されたバイパス通路16は、ラジエータ5を迂回してサーモスタット7に接続されている。
【0025】
このサーモスタット7は三方弁であり、前記ウォータポンプ6の吸入側と連通する出力ポート、前記ラジエータ出口13と連通する第1入力ポート、及び前記バイパス通路16が接続された第2入力ポートを備えている。このサーモスタット7は、冷却水温THWが所定の値よりも低いときには、第2入力ポートと出力ポートとを連通させる。これにより、ウォータジャケット9から第1の冷却水通路11へ流れ出た冷却水がラジエータ5を迂回してウォータポンプ6に戻り、再びウォータジャケット9へと送液される。この冷却水の循環を通じて同冷却水が徐々に暖められ、シリンダブロック3は暖まった冷却水により暖機が促される。一方、冷却水温THWが所定の値よりも高いときには、サーモスタット7の第1入力ポートと出力ポートとが連通する。これにより、第1の冷却水通路11を流れる冷却水がラジエータ5へ流れ、同冷却水は第2の冷却水通路14、サーモスタット7及びウォータポンプ6を通ってウォータジャケット9へと送液される。この冷却水の循環を通じて、シリンダブロック3の熱が冷却水に奪われ、同シリンダブロック3は冷却される。一方、ラジエータ5では冷却水の熱が外部へ放熱され、同冷却水は冷却される。
【0026】
また前記ラジエータ5は、車両1のフロントグリル17の後方に設置されている。従って、車両1の走行時には、フロントグリル17を通過した走行風がラジエータ5に当たり、同ラジエータ5を通る冷却水が冷却される。
【0027】
このラジエータ5に設けられた冷却用の電動ファン18は、ラジエータ5における熱交換に必要な冷却風をラジエータ5に供給する。従って、アイドル運転時等、ラジエータ5に走行風が当たらない場合やその風量が少ない場合には、電動ファン18を作動させることにより、ラジエータ5を強制冷却することができる。
【0028】
また一方、前記シリンダブロック3には、ウォータジャケット9を流れる冷却水の温度(冷却水温)THWを検出するための水温センサ31が設けられている。また、電源装置22は、バッテリ20やオルタネータ21等を備え、駆動回路23を介して電動ファン18の電動モータ19に電力を供給する。なお、電動モータ19及びバッテリ20は、オルタネータ21に対し電気的に並列に接続されている。また、オルタネータ21はクランクシャフト4に駆動連結されており、このオルタネータ21で発生する電力はバッテリ20及び電動モータ19に供給される。そして、後述する制御装置(ECU)32から前記冷却水温THWが所定値(例えば93℃)以上となったときに出力される制御信号に基づき、前記駆動回路23は前記電動モータ19に印加される電圧を制御する。すなわち、ECU32から出力される制御信号によって駆動回路23がオンされることにより、バッテリ20から電動モータ19に電力が供給され、電動ファン18が駆動されるようになっている。なお、電動ファン18の駆動時には、駆動回路23によって電動モータ19に印加される電圧が2段階に切り替えられることにより、後述する第1の回転速度NF1及び第2の回転速度NF2で同電動ファン18が駆動される。
【0029】
他方、前記ガソリン機関2には、上記水温センサ31の他にも、機関運転状態を検出するための各種センサが備えられている。例えば、クランクシャフト4に近接して設けられる回転速度センサ33は、クランクシャフト4の回転に基づいてガソリン機関2の回転速度に応じた頻度のパルス信号を出力する。そして、この出力信号(パルス信号)に基づいて同ガソリン機関2(クランクシャフト4)の回転速度(機関回転速度)NEが検出される。また、ガソリン機関2の気筒内に吸入される空気量を調量するスロットル弁の近傍には、スロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサが設けられている。また、スロットル弁の上流側に設けられるエアフロメータにより、吸入空気量が検出される。
【0030】
上記ガソリン機関2の点火時期制御、燃料噴射制御、あるいは前述した電動ファン18の駆動制御などの各種制御は、制御装置(ECU)32によって行われる。このECU32は中央処理制御装置(CPU)を備えるマイクロコンピュータを中心として構成されている。例えばECU32には、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)が設けられている。またECU32には、演算結果や予め記憶されたデータ等を機関停止後も保存するためのバックアップRAM、入力インターフェース、出力インターフェース等も設けられている。そして、水温センサ31、回転速度センサ33、スロットル開度センサ、エアフロメータ等からの出力信号は前記入力インターフェースに入力される。これら各センサ等により、ガソリン機関2の運転状態が検出される。
【0031】
一方、出力インターフェースは、前記電動ファン18の駆動回路23、ガソリン機関2の燃料噴射弁を駆動する駆動回路、及び気筒内に設けられる点火プラグに高電圧を印可するイグニッションコイルの駆動回路等に接続されている。そして、ECU32は上記各センサ等からの信号に基づき、ROM内に格納された制御プログラム及び初期データに従って、電動ファン18、燃料噴射弁、及びイグニッションコイル等を制御する。
【0032】
また、ステアリングホイール40は車両1の操舵機構の一部をなしており、搭乗者によって回転操作されることにより車両の進行方向が変更される。
さて、前述したように、ガソリン機関2の機関燃焼振動数に電動ファン18のファン回転振動数が近づくと同電動ファン18に共振が発生し、この共振に起因して車両1の操舵機構の一部であるステアリングホイール40に大きな振動が発生する場合がある。
【0033】
ここで、機関燃焼振動数は、ガソリン機関2の気筒内での混合気の燃焼・膨張に起因して発生する振動の周波数であるため、機関回転速度が上昇するほど高くなる傾向にある。そのため、電動ファン18に共振が発生する回転速度領域は機関回転速度の変化に対応して変化する。ここで一般に、電動ファン18は、機関回転速度と比較して低い回転速度で駆動される場合が多く、ファン回転振動数は、ガソリン機関2がアイドル状態にあるときの機関燃焼振動数に近い値となっている。すなわち、上記共振は、アイドル時などのように機関回転速度が低下して、機関燃焼振動数がファン回転振動数に近づくときに特に発生しやすくなっている。
【0034】
また前述のように、このような電動ファン18の共振に起因するステアリングホイール40の振動を抑制するには、電動ファン18の回転速度を、共振が発生する回転速度よりも低くして震動源である電動ファン18の共振を抑制するといった対策が有効ではある。ただし、この場合には冷却要求に対して風量が不足してしまうことがあり、この不足分を補うためには、ラジエータ5や電動ファン18の大型化が避けられず、車両1の重量増加やコスト上昇を招いてしまうことも前述した。
【0035】
一方、ガソリン機関2と電動ファン18との共振が発達して電動ファン18の振動の振幅が増大するまでにはある程度の時間がかかることが発明者によって確認されている。しかも、共振により増大した電動ファン18の振動がステアリングホイール40に伝わり、このステアリングホイール40の振動の振幅が増大するまでにもある程度の時間がかかる。また、ステアリングホイール40で共振が発生し、その振動の振幅が増大するまでにもある程度の時間がかかる。すなわち、機関燃焼振動数とファン回転振動数とを近づけてからステアリングホイール40に大きな振動が発生するまでにはある程度の時間がある。
【0036】
そこで、本実施の形態にかかる電動ファンの制御装置では、共振が発生する回転速度を超えて電動ファン18を駆動させることで、従来の制御装置と比較して風量を増大させるようにしている。そしてこのとき、振動の発達時間(増幅時間)を考慮してその駆動時間を設定することにより、ステアリングホイール40の振動の振幅が過度に増大することを抑制するようにしている。より具体的には、電動ファン18が回転駆動されるときの回転速度を図2に例示する態様で変化させるようにしている。
【0037】
この図2に実線で示す回転速度の変化態様は、本実施の形態にかかる電動ファン18の回転速度変化を示している。一方、同図2に破線で示す回転速度は、先の図10に示した従来の制御装置による電動ファンの回転速度を示している。この図2に示す共振発生領域は、先の図9に例示した共振発生領域に対応した回転速度領域を示している。また、同図2における回転速度NF0は、先の図10における前記回転速度NF0と同じ回転速度であり、機関燃焼振動数とファン回転振動数とが近づいて電動ファン18に共振が発生するときの電動ファン18の回転速度である。この回転速度NF0は以下のようにして求めることができる。
【0038】
まず、機関回転速度NEとガソリン機関2の気筒数Snとに基づいて次式(1)から機関燃焼振動数EFを算出する。なお、前述したように、電動ファン18の共振に起因して発生するステアリングホイール40の振動は、ガソリン機関2がアイドル状態にあるときに発生しやすい。そのため、本実施の形態では、次式(1)における機関回転速度NEの値として、ガソリン機関2のアイドル回転速度を用いている。
【0039】
機関燃焼振動数EF=(機関回転速度NE×気筒数Sn)/(60×2)…(1)
次に、機関燃焼振動数EFから所定値Aを減算し、電動ファン18に共振が発生し始めるファン回転振動数FFを次式(2)に基づいて算出する。なお、所定値Aは先の図9に示した前記所定値Aと同一の値である。
【0040】
ファン回転振動数FF=機関燃焼振動数EF―所定値A …(2)
次に、次式(3)に基づいてファン回転振動数FFを1分間当たりの電動ファン18の回転速度に変換する。この変換された値が上記回転速度NF0となる。
【0041】
ファン回転速度NF0=ファン回転振動数FF×60 …(3)
また、第1の回転速度NF1は、前記回転速度NF0よりも低い回転速度であって、電動ファン18の共振を確実に防止することができる回転速度領域における最高回転速度に設定されている。
【0042】
そして、第2の回転速度NF2は前記回転速度NF0よりも高い回転速度に設定されており、上記ラジエータ5における熱交換のための十分な風量を確保し得る回転速度に設定されている。ただし、電動ファン18の回転速度がこの第2の回転速度NF2に保持されると前述した共振が発生し、この共振に起因してステアリングホイール40に大きな振動が発生する。そこで本実施の形態では、電動ファン18を時間T2の間だけ第2の回転速度NF2で駆動し、その後、時間T1の間、前述した第1の回転速度NF1で電動ファン18を駆動させるといった回転速度変化を交互に繰り返すようにしている。このときの時間T2は、前述した振動の伝達時間を考慮して設定されている。すなわち、第2の回転速度NF2で電動ファン18が駆動されはじめてから、操舵機構の一部であるステアリングホイール40の振動の振幅が所定レベル(後述する所定レベルC)に達するまでの時間が設定されている。なお、この所定レベルはガソリン機関2が搭載された車両1の搭乗者が感知できる最小の振動レベルよりも所定値だけ低く設定された値であって、実験等により予め求められている値である。また時間T1としては、増大したステアリングホイール40の振動の振幅を収束させるために必要な時間が設定されている。ちなみに、第2の回転速度NF2と時間T2とは互いに相関性があり、回転速度が高くなるほど振動が前記所定レベルに達するまでの時間は短くなるため、第2の回転速度NF2が高くなるほど時間T2は短くなる。従って、第2の回転速度NF2と時間T2とは、風量の確保と振動の抑制との兼ね合いを考慮した最適な値が実験等により求められている。また、時間T1も実験等によりその値が予め求められている。
【0043】
以下、本実施の形態にかかる電動ファンの制御装置による回転速度の制御態様を、図3を併せ参照して詳細に説明する。
図3は、本実施の形態にかかる電動ファンの制御装置による回転速度制御について、その制御手順を示したものである。なお、この回転速度制御は、例えば所定時間毎の割り込み処理としてECU32により繰り返し実行される。
【0044】
この処理が開始されると、まず、冷却水温THWが読み込まれ、現在の冷却水温THWが高いか否かが判定される(ステップS110)。なお、この判定は、予め定められた所定値(例えば93℃)と読み込まれた冷却水温THWとを比較することで行われる。そして、冷却水温が低いときには(ステップS110でNO)、電動ファン18の回転速度NFが「0」に設定され(ステップS210)、同電動ファン18は駆動されることなく本処理を一旦終了する。
【0045】
一方、冷却水温が高いときには(ステップS110でYES)、回転上昇フラグUPFLが「1」であるか否かが判定される(ステップS120)。この回転上昇フラグUPFLは、電動ファン18が第2の回転速度NF2で駆動されているときには「1」に設定されている。また、電動ファン18が第1の回転速度NF1で駆動されているときには「0」に設定されている。
【0046】
そして、回転上昇フラグUPFLが「1」でない場合には(ステップS120でNO)、後述するステップS170以降の処理が行われる。
一方、回転上昇フラグUPFLが「1」である場合には(ステップS120でYES)、ECU32から駆動回路23へ制御信号が出力され、電動ファン18が上述した第2の回転速度NF2で駆動される(ステップS130)。
【0047】
次に、回転上昇カウンタCT2がインクリメントされる(ステップS140)。なお、回転上昇カウンタCT2の初期値は「0」に設定されている。そして、回転上昇カウンタCT2が上述した時間T2に相当する所定値C2以上であるか否か判定され(ステップS150)、回転上昇カウンタCT2が所定値C2に達していない場合には(ステップS150でNO)、本処理を一旦終了する。
【0048】
一方、回転上昇カウンタCT2が所定値C2に達している場合には(ステップS150でYES)、回転上昇フラグUPFLが「0」に設定されるとともに、回転上昇カウンタCT2が「0」にリセットされる(ステップS160)。そして、ECU32から駆動回路23へ制御信号が出力され、電動ファン18が上述した第1の回転速度NF1で駆動される(ステップS170)。
【0049】
次に、回転低下カウンタCT1がインクリメントされる(ステップS180)。なお、回転低下カウンタCT1の初期値は「0」に設定されている。そして、回転低下カウンタCT1が上述した時間T1に相当する所定値C1以上であるか否かが判定され(ステップS190)、回転低下カウンタCT1が所定値C1に達していない場合には(ステップS190でNO)、本処理を一旦終了する。
【0050】
一方、回転低下カウンタCT1が所定値C1に達している場合には(ステップS190でYES)、回転上昇フラグUPFLが「1」に設定されるとともに、回転低下カウンタCT1が「0」にリセットされる(ステップS200)。
【0051】
以後、本制御にかかる処理が所定時間毎に繰り返し実行されることによって、電動ファン18が駆動されるときには、図2に例示したような態様でその回転速度が変化するようになる。
【0052】
図4は、本実施の形態にかかる制御装置により電動ファン18の回転速度が制御されるときのステアリングホイール40の振動レベルの変化態様を例示している。
【0053】
まず、電動ファン18が駆動されていない間は、ガソリン機関2の振動がステアリングホイール40に伝わるのみであって、振動レベルは低い。
そしていま、時刻Xにおいて電動ファン18が第2の回転速度NF2で駆動されると、電動ファン18に共振が発生し、ステアリングホイール40の振動レベルが徐々に増大し始める。
【0054】
その後、時刻Xから時間T2が経過した時点で(時刻Y)、電動ファン18は第1の回転速度NF1で駆動される。そのため、振動レベルが所定レベルC以下に収まった状態で電動ファン18の共振がおさまるとともにステアリングホイール40の振動の振幅が収束していき、ステアリングホイール40の振動レベルが徐々に減少し始める。
【0055】
また、時刻Yから時間T1が経過した時点では(時刻Z)、ステアリングホイール40の振動の振幅が収束しており、その振動レベルも小さくなる。そこで、再び電動ファン18が時間T2の間、第2の回転速度NF2で駆動される。そして時間T2が経過した後、再び電動ファン18は時間T1の間、第1の回転速度NF1で駆動される。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態における電動ファンの制御装置によれば、次のような効果が得られるようになる。
(1)電動ファン18に共振が発生する回転速度領域に属する回転速度である第2の回転速度NF2で電動ファン18を駆動するようにした。すなわち、従来は電動ファン18の共振を避けるために利用できなかった回転速度領域に属する回転速度で電動ファン18を駆動するようにしているため、その風量を増大させることができ、電動ファンに要求される風量を確保することができるようになる。また、電動ファン18の回転速度として、電動ファン18の共振を確実に防止することができる回転速度領域に属する回転速度である第1の回転速度NF1を設定し、第2の回転速度NF2と第1の回転速度NF1を交互に切り替えながら電動ファン18を駆動するようにした。このため、上記第2の回転速度NF2で電動ファン18が駆動されることで増大する振動は、上記第1の回転速度NF1で電動ファン18が駆動されることにより収束されるようになり、電動ファン18の駆動に起因する振動を抑制することができるようになる。
【0057】
(2)電動ファン18を第2の回転速度NF2で駆動する時間T2は、第2の回転速度NF2で電動ファン18が駆動されはじめてから、操舵機構の一部であるステアリングホイール40の振動の振幅が所定レベルCに達するまでの時間が設定されるようにした。そのため、上記第2の回転速度NF2で電動ファン18が駆動されるときにおいて、ステアリングホイール40の振動の振幅を所定レベルC以下に抑制することができるようになる。
【0058】
(3)電動ファン18を第1の回転速度NF1で駆動する時間T1は、第2の回転速度NF2で電動ファン18が駆動されることにより増大したステアリングホイール40の振動の振幅を収束させるために必要な時間が設定されるようにした。そのため、再び電動ファン18が第2の回転速度NF2で駆動されても、すぐにステアリングホイール40の振動の振幅が所定レベルCに達することはなく、電動ファン18が第2の回転速度NF2で駆動される時間T2を十分に確保することができるようになる。
【0059】
(4)上記所定レベルCとして、実験等により予め求めることができる値であって、ステアリングホイール40の振動が搭乗者に感知される最小の振動レベルよりも所定値だけ低い値を設定した。そのため、電動ファン18の風量が増大されるときでも、ステアリングホイール40の振動が搭乗者に感知されることを抑制することができるようになる。
【0060】
(5)機関燃焼振動数EFは、ガソリン機関2の気筒内での混合気の燃焼・膨張に起因して発生する振動の周波数であるため、機関回転速度NEが増大するほど高くなる傾向にある。そのため、電動ファン18に共振が発生する回転速度領域は機関回転速度NEの変化に対応して変化する。ここで一般に、電動ファン18は、機関回転速度NEと比較して低い回転速度で駆動される場合が多く、ファン回転振動数FFは、ガソリン機関2がアイドル状態にあるときの機関燃焼振動数EFに近い値となっている。すなわち、ガソリン機関2がアイドル状態にあるときに最も電動ファン18に共振が発生しやすくなる。そこで、上記実施の形態では、ガソリン機関2のアイドル回転速度に基づいて上記第1の回転速度NF1及び第2の回転速度NF2を設定するようにした。そのため、電動ファン18の共振を抑制するという点で最も効果的な電動ファン18の回転速度が設定できるようになる。
【0061】
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態で設定された時間T1は、第2の回転速度NF2で電動ファン18が駆動されることにより増大したステアリングホイール40の振動の振幅を収束させるために必要な時間であった。その他、図5に例示するように、例えば上記振動を収束させるために必要な時間を最短時間として、ランダムにその時間を可変設定させてもよい。例えば、電動ファン18が第1の回転速度NF1で駆動される毎に、上記時間T1を最短時間として適宜にランダムな値を加算し、この加算された時間T1‘の間、電動ファン18を第1の回転速度NF1で駆動するようにしてもよい。この場合には、電動ファン18が第1の回転速度NF1で駆動される時間が、いわば不規則に変更される。このように、電動ファン18の回転速度を上下させる上記制御装置にあって、所定の回転速度で電動ファン18を駆動する期間の周期性を積極的に崩すことにより、当該車両1の搭乗者に上述した回転速度の変化や振動の変化を感知されにくくすることができるようになる。
【0062】
・上記実施の形態における電動ファンの制御装置は、冷却水温THWに応じて電動ファン18の駆動をオン・オフ制御する装置であり、電動ファン18が駆動されるときには、上記第2の回転速度NF2と第1の回転速度NF1とを交互に切り替えながら電動ファン18を駆動する制御装置でもあった。その他、上記駆動回路23をパルス幅変調制御(PWM制御)に基づく平均電流制御が可能な駆動回路として構成することもできる。そしてこの場合には、次のように電動ファン18の回転速度を制御することとなる。すなわち、冷却媒体の状態、例えば冷却水温THWに応じて電動ファン18の回転速度を可変設定する。これにより、より一層冷却要求に見合った回転速度で電動ファン18を駆動させることができるようになる。なお、車両1がエアーコンディショナーを備える場合には、冷却媒体の状態として冷媒の圧力を測定し、この測定値に応じて電動ファン18の回転速度を可変設定させてもよい。また、このような冷却媒体の状態に応じて設定される回転速度が、電動ファン18に共振の発生する回転速度領域に属する回転速度である場合には、この設定された回転速度を上記第2の回転速度NF2として上記実施の形態と同様な回転速度制御を行うことにより、上記実施の形態に準ずる作用効果を得ることができる。
【0063】
・上記実施の形態における時間T1及び時間T2は、予め実験等により求めておく必要のある値であった。一方、上記ステアリングホイール40に振動センサを配設し、この振動センサによって検出される振動レベルに基づいて電動ファン18の回転速度を切り替えるようにしてもよい。この場合には、上記時間T1及び時間T2を求めるための実験等が不要になる。
【0064】
・上記実施の形態では、電動ファン18の共振に起因して発生するステアリングホイール40の振動を抑制するようにしたが、その他にも、車両1の所定部位、例えばシフトレバーなどのように搭乗者に触れられる機会の多い部位や電動ファン18の振動そのものを抑制するようにしてもよい。この場合には、振動の抑制対象に合わせた最適な上記第1の回転速度NF1、第2の回転速度NF2、時間T1、及び時間T2を設定すればよく、この場合にも上記実施の形態に準ずる作用効果を得ることができる。
【0065】
・上記実施の形態における制御装置では、先の図2に示したように、電動ファン18の回転速度を矩形波状に変化させるようにした。この他にも、電動ファン18の回転速度をリニアに変更させることができる場合には、以下のようにして電動ファン18の回転速度を変化させるようにしてもよい。まず、図6に示すように、電動ファン18の回転速度を徐々に増大させながら第2の回転速度NF2に到達させ、その後急激に第1の回転速度NF1に低下させる、略ノコギリ波状の変化態様としてもよい。また、図7に示すように、電動ファン18の回転速度を徐々に増大させながら第2の回転速度NF2に到達させてその速度を所定時間保持した後、急激に第1の回転速度NF1に低下させる、略ノコギリ波状の変化態様としてもよい。また、図8に示すように、電動ファン18の回転速度を徐々に増大させながら第2の回転速度NF2に到達させ、その後徐々に第1の回転速度NF1に低下させる、略三角波状の変化態様としてもよい。
【0066】
・上記実施の形態においては特に言及しなかったが、電動ファン18が設けられる個数については任意であり、複数の電動ファンを制御する制御装置であっても、本発明は同様に適用することができる。
【0067】
・上記実施の形態における冷却用熱交換器は、ガソリン機関2の冷却水を冷却するラジエータ5であり、電動ファン18はこのラジエータ5に対応して設けられた。この他にも、更にエアーコンディショナーの冷媒を冷却するコンデンサを冷却用熱交換器として備え、このコンデンサに対応した電動ファンが設けられる場合であっても上記実施の形態にかかる電動ファンの制御装置は適用することができる。なお、この場合には、冷却水温THWだけではなく冷媒の圧力にも基づいて電動ファンの駆動を制御すると、電動ファンをより好適なタイミングで駆動することができる。
【0068】
・上記実施の形態では、ガソリン機関2が搭載された車両に本発明にかかる電動ファンの制御装置を適用する場合について例示した。しかしながら、搭載対象となる内燃機関はこのガソリン機関2に何ら限定されるものではない。ディーゼル機関やその他の内燃機関が搭載される車両にも本発明は同様に適用することができる。
【0069】
その他、上記実施の形態あるいはその変形例から把握することができる技術思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項1または5に記載の内燃機関の電動ファン制御装置において、前記制御装置は、振動センサによって検出される振動レベルが所定レベルに達するまで前記第2の回転速度で前記電動ファンを駆動し、その後、前記振動センサによって検出される振動が収束するまで前記第1の回転速度で前記電動ファンを駆動することを特徴とする車載電動ファンの制御装置。
【0070】
同構成によっても、電動ファンの駆動に起因する振動を抑制しつつ、該電動ファンに要求される風量等についてもこれを好適に確保することができるようになる。更に、第2の回転速度で電動ファンを駆動させる時間、及び第1の回転速度で電動ファンを駆動させる時間を予め実験等により求めておく必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる車載電動ファンの制御装置の一実施の形態について、その概略構成を示す図。
【図2】同実施の形態における制御装置による電動ファンの回転速度の制御態様を模式的に示すタイミングチャート。
【図3】同実施の形態による電動ファンの回転速度制御の制御手順を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態の制御装置によって電動ファンの回転速度が切り替えられるときの回転速度変化と振動レベルの変化態様とを模式的に示すタイミングチャート。
【図5】上記電動ファンの回転速度制御についての変形例を示すタイミングチャート。
【図6】上記電動ファンの回転速度制御についての変形例を示すタイミングチャート。
【図7】上記電動ファンの回転速度制御についての変形例を示すタイミングチャート。
【図8】上記電動ファンの回転速度制御についての変形例を示すタイミングチャート。
【図9】内燃機関から発生する振動及び電動ファンから発生する振動の態様を模式的に示すグラフ。
【図10】従来の車載電動ファンの制御装置による電動ファンの回転速度の制御態様についてその一例を模式的に示すタイミングチャート。
【符号の説明】
1…車両、2…ガソリン機関、3…シリンダブロック、4…クランクシャフト、5…ラジエータ、6…ウォータポンプ、7…サーモスタット、9…ウォータジャケット、10…ウォータジャケット出口、11…第1の冷却水通路、12…ラジエータ入口、13…ラジエータ出口、14…第2の冷却水通路、15…ウォータジャケット入口、16…バイパス通路、17…フロントグリル、18…電動ファン、19…電動モータ、20…バッテリ、21…オルタネータ、22…電源装置、23…駆動回路、31…水温センサ、32…制御装置(ECU)、33…回転速度センサ、40…ステアリングホイール。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関が搭載された車両の冷却用熱交換に用いられる電動ファンについてその駆動を制御する車載電動ファンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車載内燃機関の冷却水を冷却するラジエータやエアーコンディショナーの冷媒を冷却するコンデンサなどといった冷却用熱交換器には、その冷却効率を維持もしくは補助するための電動ファンが設けられている。この電動ファンは、冷却水の温度や冷媒の圧力などをパラメータとする冷却要求に応じてその駆動が制御されるようになっている。
【0003】
ところで、図9に例示するように、電動ファンが回転駆動されるときには通常、振動が発生する。この振動のうちで最も大きな振動となるのは、ファンの重量バランスに起因して発生する振動である。また、同図9に併記するように、上記内燃機関が運転されるときにも振動が発生する。この振動のうちで最も大きな振動となるのは、気筒内での混合気の燃焼・膨張に起因して発生する振動である。そして、これらの振動の周波数が互いに近づくと、上記電動ファンの振動との間で共振が発生する場合がある。すなわち電動ファンのファン回転振動数(1回転毎に発生する振動の単位時間当たりの振動数)と内燃機関の機関燃焼振動数(一燃焼行程毎に発生する振動の単位時間当たりの振動数)との差が所定値Aまたは所定値B以内(共振発生領域)に近づくと電動ファンに共振が発生し、その振動が増大してしまうことがある。この増大された電動ファンの振動は車両の操舵機構等にも伝わり、車両の搭乗者に不快感を与える場合もある。また、この増大された振動が操舵機構等に共振を発生させ、更に大きな振動を車両の操舵機構等に発生させる場合もある。
【0004】
そこで従来は、このような電動ファンの共振に起因する操舵機構等の振動増大を抑制するために、例えば電動ファンを次のようにオン・オフ制御する装置なども提案されている。ちなみに、この制御装置では、図10に例示するように、オン制御するときでも機関燃焼振動数との共振が発生する回転速度NF0よりも低い回転速度NF1で電動ファンを駆動するようにしている。
【0005】
また、例えば特開平11−107753号公報に記載のもののように、電動ファンの回転速度をリニアに可変設定できる制御装置では、ファン回転振動数が機関燃焼振動数よりも常に一定の値だけ小さくなるように電動ファンの回転速度を設定し、ファン回転振動数と機関燃焼振動数とを近づけないようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、電動ファンを所定の低い回転速度でオン・オフ制御するようにすれば、あるいは上記公報に記載の装置のように、電動ファンの回転速度を低く抑えてファン回転振動数が機関燃焼振動数よりも小さくなるようにすれば、電動ファンの振動増大を抑制することはできる。そしてこれにより、車両の操舵機構等の振動も抑制することはできる。しかし、これらの装置はいずれも、電動ファンの回転速度を低下させることによって上記共振を抑えるものであるために、前述したラジエータやコンデンサ等に対する風量低下が避けられず、冷却水や冷媒を十分に冷却することができなくなる。
【0007】
なお、この電動ファンの風量低下による冷却性能の不足分は、前記ラジエータやコンデンサ、あるいは電動ファンに取り付けられるファン等を大型化すれば補うことはできるが、この場合には車両の重量増加やコストアップを招いてしまう。
【0008】
また、機関燃焼振動数に前記の所定値Bを加えた値よりもファン回転振動数が高くなるようにすれば、共振の発生が抑制されるとともに風量も確保することはできる(図9の破線参照)。しかしこの場合には、電動ファンの高回転化に起因して同電動ファンから発生する騒音も大きくなってしまうという新たな問題が生じる。
【0009】
この発明はこうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、電動ファンの駆動に起因する振動を抑制しつつ、該電動ファンに要求される風量等についてもこれを好適に確保することのできる車載電動ファンの制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関が搭載された車両の冷却用熱交換器に用いられる電動ファンについてその駆動を制御する車載電動ファンの制御装置において、前記電動ファンを、その回転駆動によって前記内燃機関の振動との共振が生じる回転速度よりも低い第1の回転速度と、熱交換のための十分な風量を確保し得る第2の回転速度との間で交互に切り替え駆動するようにしたことをその要旨とする。
【0011】
同構成によれば、第2の回転速度で電動ファンが駆動されるときには風量が増大される。また、第1の回転速度で電動ファンが駆動されるときには電動ファンの駆動に起因する振動が抑制される。このように、電動ファンが駆動される際の回転速度を交互に切り替えることにより、電動ファンの駆動に起因する振動を抑制しつつ、該電動ファンに要求される風量等についてもこれを好適に確保することができるようになる。ちなみに、上記共振が生じる回転速度は予めの実験等により知ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載電動ファンの制御装置において、前記電動ファンの前記第2の回転速度での駆動が、該駆動に基づき発生する振動の振幅が所定のレベルに達するまでの期間に限って行われることをその要旨とする。
【0013】
前述したように、機関燃焼振動数とファン回転振動数とが近づくと電動ファンに共振が発生する。ここで、機関燃焼振動数とファン回転振動数とが近づいて電動ファンに共振が発生しはじめても、その振動の振幅が増大するにはある程度の時間がかかる。この点、上記請求項2に記載の構成では、この振動の増幅時間を考慮し、該振動の振幅が所定のレベルに達するまでの期間に限って上記第2の回転速度で電動ファンを駆動するようにしている。そのため、上記第2の回転速度で電動ファンが駆動される場合であれ、振動の振幅を上記所定のレベル以下に抑制することができるようになる。なお、上記振幅に対する所定のレベルの設定に際しては、例えば電動ファンの共振に起因して発生するステアリングホイールの振動レベル、あるいは当該車両の搭乗者が感知できる最小の振動レベル等を予めの実験等により求めておくことで、その適合化を図ることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車載電動ファンの制御装置において、前記電動ファンの前記第1の回転速度での駆動期間は、前記第2の回転速度での駆動に基づき前記所定のレベルに達した振動の振幅が所要に収束され得る期間として設定されることをその要旨とする。
【0015】
同構成によれば、電動ファンが上記第2の回転速度で駆動されることにより増大した振動の振幅は、上記第1の回転速度で電動ファンが駆動される期間中に収束される。そのため、再び電動ファンが上記第2の回転速度で駆動されても、すぐに振動の振幅が上記所定のレベルに達することはなく、もって電動ファンが上記第2の回転速度で駆動される期間を十分に確保することができるようになる。ちなみに、上記振動の振幅が所要に収束され得る期間は予めの実験等により知ることもできる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の車載電動ファンの制御装置において、前記電動ファンの前記第1の回転速度での駆動期間がランダムな期間として設定されることをその要旨とする。
【0017】
同構成によれば、上記第1の回転速度で電動ファンが駆動される時間は、いわば不規則に変更される。このように、電動ファンの回転速度を上下させる上記制御装置にあって、所定の回転速度で電動ファンを駆動する期間の周期性を積極的に崩すことにより、当該車両の搭乗者に上述した回転速度の変化や振動の変化を感知されにくくすることができるようになる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の車載電動ファンの制御装置において、前記第1及び第2の回転速度が、それぞれ前記内燃機関のアイドル回転速度に基づいて設定されることをその要旨とする。
【0019】
前述した機関燃焼振動数は、気筒内での混合気の燃焼・膨張に起因して発生する振動の周波数であるため、機関回転速度が増大するほど高くなる傾向にある。そのため、電動ファンに共振が発生する回転速度領域は機関回転速度の変化に対応して変化する。ここで一般に、電動ファンは、内燃機関の回転速度と比較して低い回転速度で駆動される場合が多く、ファン回転振動数は、内燃機関のアイドル回転速度における機関燃焼振動数に近い値となっている。すなわち、内燃機関のアイドル時に最も電動ファンが共振しやすくなっている。この点、上記請求項5に記載の構成では、内燃機関のアイドル回転速度に基づいて上記第1の回転速度及び第2の回転速度を設定するようにしている。そのため、電動ファンの共振を抑制するという点で最も効果的な電動ファンの回転速度を設定することができるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる車載電動ファンの制御装置を具体化した一実施の形態について図1〜図4に基づき、詳細に説明する。
【0021】
図1は、車両1に搭載された例えばガソリン機関2とともに、本実施の形態にかかる電動ファンの制御装置、並びにそれらの周辺構成を示す概略構成図である。
【0022】
車両1に搭載されたガソリン機関2はシリンダブロック3を備えている。このシリンダブロック3の内部に形成された複数の燃焼室では、その中に供給される燃料と空気の混合気が燃焼される。この混合気の燃焼に基づいてピストンが往復動されることにより、出力軸であるクランクシャフト4が回転する。この混合気の燃焼に伴い、シリンダブロック3には高熱とともに振動が発生する。
【0023】
一方、シリンダブロック3等を冷却するために設けられた水冷式の冷却装置は、熱交換器であるラジエータ5、ウォータポンプ6、サーモスタット7及び冷却配管等を備えている。また、シリンダブロック3の内部には、冷却水の通路であるウォータジャケット9が形成されている。
【0024】
ここで、ウォータジャケット出口10に接続された第1の冷却水通路11は、ラジエータ入口12に接続されている。ラジエータ出口13に接続された第2の冷却水通路14は、サーモスタット7及びウォータポンプ6を介してウォータジャケット入口15に接続されている。第1の冷却水通路11の途中に接続されたバイパス通路16は、ラジエータ5を迂回してサーモスタット7に接続されている。
【0025】
このサーモスタット7は三方弁であり、前記ウォータポンプ6の吸入側と連通する出力ポート、前記ラジエータ出口13と連通する第1入力ポート、及び前記バイパス通路16が接続された第2入力ポートを備えている。このサーモスタット7は、冷却水温THWが所定の値よりも低いときには、第2入力ポートと出力ポートとを連通させる。これにより、ウォータジャケット9から第1の冷却水通路11へ流れ出た冷却水がラジエータ5を迂回してウォータポンプ6に戻り、再びウォータジャケット9へと送液される。この冷却水の循環を通じて同冷却水が徐々に暖められ、シリンダブロック3は暖まった冷却水により暖機が促される。一方、冷却水温THWが所定の値よりも高いときには、サーモスタット7の第1入力ポートと出力ポートとが連通する。これにより、第1の冷却水通路11を流れる冷却水がラジエータ5へ流れ、同冷却水は第2の冷却水通路14、サーモスタット7及びウォータポンプ6を通ってウォータジャケット9へと送液される。この冷却水の循環を通じて、シリンダブロック3の熱が冷却水に奪われ、同シリンダブロック3は冷却される。一方、ラジエータ5では冷却水の熱が外部へ放熱され、同冷却水は冷却される。
【0026】
また前記ラジエータ5は、車両1のフロントグリル17の後方に設置されている。従って、車両1の走行時には、フロントグリル17を通過した走行風がラジエータ5に当たり、同ラジエータ5を通る冷却水が冷却される。
【0027】
このラジエータ5に設けられた冷却用の電動ファン18は、ラジエータ5における熱交換に必要な冷却風をラジエータ5に供給する。従って、アイドル運転時等、ラジエータ5に走行風が当たらない場合やその風量が少ない場合には、電動ファン18を作動させることにより、ラジエータ5を強制冷却することができる。
【0028】
また一方、前記シリンダブロック3には、ウォータジャケット9を流れる冷却水の温度(冷却水温)THWを検出するための水温センサ31が設けられている。また、電源装置22は、バッテリ20やオルタネータ21等を備え、駆動回路23を介して電動ファン18の電動モータ19に電力を供給する。なお、電動モータ19及びバッテリ20は、オルタネータ21に対し電気的に並列に接続されている。また、オルタネータ21はクランクシャフト4に駆動連結されており、このオルタネータ21で発生する電力はバッテリ20及び電動モータ19に供給される。そして、後述する制御装置(ECU)32から前記冷却水温THWが所定値(例えば93℃)以上となったときに出力される制御信号に基づき、前記駆動回路23は前記電動モータ19に印加される電圧を制御する。すなわち、ECU32から出力される制御信号によって駆動回路23がオンされることにより、バッテリ20から電動モータ19に電力が供給され、電動ファン18が駆動されるようになっている。なお、電動ファン18の駆動時には、駆動回路23によって電動モータ19に印加される電圧が2段階に切り替えられることにより、後述する第1の回転速度NF1及び第2の回転速度NF2で同電動ファン18が駆動される。
【0029】
他方、前記ガソリン機関2には、上記水温センサ31の他にも、機関運転状態を検出するための各種センサが備えられている。例えば、クランクシャフト4に近接して設けられる回転速度センサ33は、クランクシャフト4の回転に基づいてガソリン機関2の回転速度に応じた頻度のパルス信号を出力する。そして、この出力信号(パルス信号)に基づいて同ガソリン機関2(クランクシャフト4)の回転速度(機関回転速度)NEが検出される。また、ガソリン機関2の気筒内に吸入される空気量を調量するスロットル弁の近傍には、スロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサが設けられている。また、スロットル弁の上流側に設けられるエアフロメータにより、吸入空気量が検出される。
【0030】
上記ガソリン機関2の点火時期制御、燃料噴射制御、あるいは前述した電動ファン18の駆動制御などの各種制御は、制御装置(ECU)32によって行われる。このECU32は中央処理制御装置(CPU)を備えるマイクロコンピュータを中心として構成されている。例えばECU32には、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)が設けられている。またECU32には、演算結果や予め記憶されたデータ等を機関停止後も保存するためのバックアップRAM、入力インターフェース、出力インターフェース等も設けられている。そして、水温センサ31、回転速度センサ33、スロットル開度センサ、エアフロメータ等からの出力信号は前記入力インターフェースに入力される。これら各センサ等により、ガソリン機関2の運転状態が検出される。
【0031】
一方、出力インターフェースは、前記電動ファン18の駆動回路23、ガソリン機関2の燃料噴射弁を駆動する駆動回路、及び気筒内に設けられる点火プラグに高電圧を印可するイグニッションコイルの駆動回路等に接続されている。そして、ECU32は上記各センサ等からの信号に基づき、ROM内に格納された制御プログラム及び初期データに従って、電動ファン18、燃料噴射弁、及びイグニッションコイル等を制御する。
【0032】
また、ステアリングホイール40は車両1の操舵機構の一部をなしており、搭乗者によって回転操作されることにより車両の進行方向が変更される。
さて、前述したように、ガソリン機関2の機関燃焼振動数に電動ファン18のファン回転振動数が近づくと同電動ファン18に共振が発生し、この共振に起因して車両1の操舵機構の一部であるステアリングホイール40に大きな振動が発生する場合がある。
【0033】
ここで、機関燃焼振動数は、ガソリン機関2の気筒内での混合気の燃焼・膨張に起因して発生する振動の周波数であるため、機関回転速度が上昇するほど高くなる傾向にある。そのため、電動ファン18に共振が発生する回転速度領域は機関回転速度の変化に対応して変化する。ここで一般に、電動ファン18は、機関回転速度と比較して低い回転速度で駆動される場合が多く、ファン回転振動数は、ガソリン機関2がアイドル状態にあるときの機関燃焼振動数に近い値となっている。すなわち、上記共振は、アイドル時などのように機関回転速度が低下して、機関燃焼振動数がファン回転振動数に近づくときに特に発生しやすくなっている。
【0034】
また前述のように、このような電動ファン18の共振に起因するステアリングホイール40の振動を抑制するには、電動ファン18の回転速度を、共振が発生する回転速度よりも低くして震動源である電動ファン18の共振を抑制するといった対策が有効ではある。ただし、この場合には冷却要求に対して風量が不足してしまうことがあり、この不足分を補うためには、ラジエータ5や電動ファン18の大型化が避けられず、車両1の重量増加やコスト上昇を招いてしまうことも前述した。
【0035】
一方、ガソリン機関2と電動ファン18との共振が発達して電動ファン18の振動の振幅が増大するまでにはある程度の時間がかかることが発明者によって確認されている。しかも、共振により増大した電動ファン18の振動がステアリングホイール40に伝わり、このステアリングホイール40の振動の振幅が増大するまでにもある程度の時間がかかる。また、ステアリングホイール40で共振が発生し、その振動の振幅が増大するまでにもある程度の時間がかかる。すなわち、機関燃焼振動数とファン回転振動数とを近づけてからステアリングホイール40に大きな振動が発生するまでにはある程度の時間がある。
【0036】
そこで、本実施の形態にかかる電動ファンの制御装置では、共振が発生する回転速度を超えて電動ファン18を駆動させることで、従来の制御装置と比較して風量を増大させるようにしている。そしてこのとき、振動の発達時間(増幅時間)を考慮してその駆動時間を設定することにより、ステアリングホイール40の振動の振幅が過度に増大することを抑制するようにしている。より具体的には、電動ファン18が回転駆動されるときの回転速度を図2に例示する態様で変化させるようにしている。
【0037】
この図2に実線で示す回転速度の変化態様は、本実施の形態にかかる電動ファン18の回転速度変化を示している。一方、同図2に破線で示す回転速度は、先の図10に示した従来の制御装置による電動ファンの回転速度を示している。この図2に示す共振発生領域は、先の図9に例示した共振発生領域に対応した回転速度領域を示している。また、同図2における回転速度NF0は、先の図10における前記回転速度NF0と同じ回転速度であり、機関燃焼振動数とファン回転振動数とが近づいて電動ファン18に共振が発生するときの電動ファン18の回転速度である。この回転速度NF0は以下のようにして求めることができる。
【0038】
まず、機関回転速度NEとガソリン機関2の気筒数Snとに基づいて次式(1)から機関燃焼振動数EFを算出する。なお、前述したように、電動ファン18の共振に起因して発生するステアリングホイール40の振動は、ガソリン機関2がアイドル状態にあるときに発生しやすい。そのため、本実施の形態では、次式(1)における機関回転速度NEの値として、ガソリン機関2のアイドル回転速度を用いている。
【0039】
機関燃焼振動数EF=(機関回転速度NE×気筒数Sn)/(60×2)…(1)
次に、機関燃焼振動数EFから所定値Aを減算し、電動ファン18に共振が発生し始めるファン回転振動数FFを次式(2)に基づいて算出する。なお、所定値Aは先の図9に示した前記所定値Aと同一の値である。
【0040】
ファン回転振動数FF=機関燃焼振動数EF―所定値A …(2)
次に、次式(3)に基づいてファン回転振動数FFを1分間当たりの電動ファン18の回転速度に変換する。この変換された値が上記回転速度NF0となる。
【0041】
ファン回転速度NF0=ファン回転振動数FF×60 …(3)
また、第1の回転速度NF1は、前記回転速度NF0よりも低い回転速度であって、電動ファン18の共振を確実に防止することができる回転速度領域における最高回転速度に設定されている。
【0042】
そして、第2の回転速度NF2は前記回転速度NF0よりも高い回転速度に設定されており、上記ラジエータ5における熱交換のための十分な風量を確保し得る回転速度に設定されている。ただし、電動ファン18の回転速度がこの第2の回転速度NF2に保持されると前述した共振が発生し、この共振に起因してステアリングホイール40に大きな振動が発生する。そこで本実施の形態では、電動ファン18を時間T2の間だけ第2の回転速度NF2で駆動し、その後、時間T1の間、前述した第1の回転速度NF1で電動ファン18を駆動させるといった回転速度変化を交互に繰り返すようにしている。このときの時間T2は、前述した振動の伝達時間を考慮して設定されている。すなわち、第2の回転速度NF2で電動ファン18が駆動されはじめてから、操舵機構の一部であるステアリングホイール40の振動の振幅が所定レベル(後述する所定レベルC)に達するまでの時間が設定されている。なお、この所定レベルはガソリン機関2が搭載された車両1の搭乗者が感知できる最小の振動レベルよりも所定値だけ低く設定された値であって、実験等により予め求められている値である。また時間T1としては、増大したステアリングホイール40の振動の振幅を収束させるために必要な時間が設定されている。ちなみに、第2の回転速度NF2と時間T2とは互いに相関性があり、回転速度が高くなるほど振動が前記所定レベルに達するまでの時間は短くなるため、第2の回転速度NF2が高くなるほど時間T2は短くなる。従って、第2の回転速度NF2と時間T2とは、風量の確保と振動の抑制との兼ね合いを考慮した最適な値が実験等により求められている。また、時間T1も実験等によりその値が予め求められている。
【0043】
以下、本実施の形態にかかる電動ファンの制御装置による回転速度の制御態様を、図3を併せ参照して詳細に説明する。
図3は、本実施の形態にかかる電動ファンの制御装置による回転速度制御について、その制御手順を示したものである。なお、この回転速度制御は、例えば所定時間毎の割り込み処理としてECU32により繰り返し実行される。
【0044】
この処理が開始されると、まず、冷却水温THWが読み込まれ、現在の冷却水温THWが高いか否かが判定される(ステップS110)。なお、この判定は、予め定められた所定値(例えば93℃)と読み込まれた冷却水温THWとを比較することで行われる。そして、冷却水温が低いときには(ステップS110でNO)、電動ファン18の回転速度NFが「0」に設定され(ステップS210)、同電動ファン18は駆動されることなく本処理を一旦終了する。
【0045】
一方、冷却水温が高いときには(ステップS110でYES)、回転上昇フラグUPFLが「1」であるか否かが判定される(ステップS120)。この回転上昇フラグUPFLは、電動ファン18が第2の回転速度NF2で駆動されているときには「1」に設定されている。また、電動ファン18が第1の回転速度NF1で駆動されているときには「0」に設定されている。
【0046】
そして、回転上昇フラグUPFLが「1」でない場合には(ステップS120でNO)、後述するステップS170以降の処理が行われる。
一方、回転上昇フラグUPFLが「1」である場合には(ステップS120でYES)、ECU32から駆動回路23へ制御信号が出力され、電動ファン18が上述した第2の回転速度NF2で駆動される(ステップS130)。
【0047】
次に、回転上昇カウンタCT2がインクリメントされる(ステップS140)。なお、回転上昇カウンタCT2の初期値は「0」に設定されている。そして、回転上昇カウンタCT2が上述した時間T2に相当する所定値C2以上であるか否か判定され(ステップS150)、回転上昇カウンタCT2が所定値C2に達していない場合には(ステップS150でNO)、本処理を一旦終了する。
【0048】
一方、回転上昇カウンタCT2が所定値C2に達している場合には(ステップS150でYES)、回転上昇フラグUPFLが「0」に設定されるとともに、回転上昇カウンタCT2が「0」にリセットされる(ステップS160)。そして、ECU32から駆動回路23へ制御信号が出力され、電動ファン18が上述した第1の回転速度NF1で駆動される(ステップS170)。
【0049】
次に、回転低下カウンタCT1がインクリメントされる(ステップS180)。なお、回転低下カウンタCT1の初期値は「0」に設定されている。そして、回転低下カウンタCT1が上述した時間T1に相当する所定値C1以上であるか否かが判定され(ステップS190)、回転低下カウンタCT1が所定値C1に達していない場合には(ステップS190でNO)、本処理を一旦終了する。
【0050】
一方、回転低下カウンタCT1が所定値C1に達している場合には(ステップS190でYES)、回転上昇フラグUPFLが「1」に設定されるとともに、回転低下カウンタCT1が「0」にリセットされる(ステップS200)。
【0051】
以後、本制御にかかる処理が所定時間毎に繰り返し実行されることによって、電動ファン18が駆動されるときには、図2に例示したような態様でその回転速度が変化するようになる。
【0052】
図4は、本実施の形態にかかる制御装置により電動ファン18の回転速度が制御されるときのステアリングホイール40の振動レベルの変化態様を例示している。
【0053】
まず、電動ファン18が駆動されていない間は、ガソリン機関2の振動がステアリングホイール40に伝わるのみであって、振動レベルは低い。
そしていま、時刻Xにおいて電動ファン18が第2の回転速度NF2で駆動されると、電動ファン18に共振が発生し、ステアリングホイール40の振動レベルが徐々に増大し始める。
【0054】
その後、時刻Xから時間T2が経過した時点で(時刻Y)、電動ファン18は第1の回転速度NF1で駆動される。そのため、振動レベルが所定レベルC以下に収まった状態で電動ファン18の共振がおさまるとともにステアリングホイール40の振動の振幅が収束していき、ステアリングホイール40の振動レベルが徐々に減少し始める。
【0055】
また、時刻Yから時間T1が経過した時点では(時刻Z)、ステアリングホイール40の振動の振幅が収束しており、その振動レベルも小さくなる。そこで、再び電動ファン18が時間T2の間、第2の回転速度NF2で駆動される。そして時間T2が経過した後、再び電動ファン18は時間T1の間、第1の回転速度NF1で駆動される。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態における電動ファンの制御装置によれば、次のような効果が得られるようになる。
(1)電動ファン18に共振が発生する回転速度領域に属する回転速度である第2の回転速度NF2で電動ファン18を駆動するようにした。すなわち、従来は電動ファン18の共振を避けるために利用できなかった回転速度領域に属する回転速度で電動ファン18を駆動するようにしているため、その風量を増大させることができ、電動ファンに要求される風量を確保することができるようになる。また、電動ファン18の回転速度として、電動ファン18の共振を確実に防止することができる回転速度領域に属する回転速度である第1の回転速度NF1を設定し、第2の回転速度NF2と第1の回転速度NF1を交互に切り替えながら電動ファン18を駆動するようにした。このため、上記第2の回転速度NF2で電動ファン18が駆動されることで増大する振動は、上記第1の回転速度NF1で電動ファン18が駆動されることにより収束されるようになり、電動ファン18の駆動に起因する振動を抑制することができるようになる。
【0057】
(2)電動ファン18を第2の回転速度NF2で駆動する時間T2は、第2の回転速度NF2で電動ファン18が駆動されはじめてから、操舵機構の一部であるステアリングホイール40の振動の振幅が所定レベルCに達するまでの時間が設定されるようにした。そのため、上記第2の回転速度NF2で電動ファン18が駆動されるときにおいて、ステアリングホイール40の振動の振幅を所定レベルC以下に抑制することができるようになる。
【0058】
(3)電動ファン18を第1の回転速度NF1で駆動する時間T1は、第2の回転速度NF2で電動ファン18が駆動されることにより増大したステアリングホイール40の振動の振幅を収束させるために必要な時間が設定されるようにした。そのため、再び電動ファン18が第2の回転速度NF2で駆動されても、すぐにステアリングホイール40の振動の振幅が所定レベルCに達することはなく、電動ファン18が第2の回転速度NF2で駆動される時間T2を十分に確保することができるようになる。
【0059】
(4)上記所定レベルCとして、実験等により予め求めることができる値であって、ステアリングホイール40の振動が搭乗者に感知される最小の振動レベルよりも所定値だけ低い値を設定した。そのため、電動ファン18の風量が増大されるときでも、ステアリングホイール40の振動が搭乗者に感知されることを抑制することができるようになる。
【0060】
(5)機関燃焼振動数EFは、ガソリン機関2の気筒内での混合気の燃焼・膨張に起因して発生する振動の周波数であるため、機関回転速度NEが増大するほど高くなる傾向にある。そのため、電動ファン18に共振が発生する回転速度領域は機関回転速度NEの変化に対応して変化する。ここで一般に、電動ファン18は、機関回転速度NEと比較して低い回転速度で駆動される場合が多く、ファン回転振動数FFは、ガソリン機関2がアイドル状態にあるときの機関燃焼振動数EFに近い値となっている。すなわち、ガソリン機関2がアイドル状態にあるときに最も電動ファン18に共振が発生しやすくなる。そこで、上記実施の形態では、ガソリン機関2のアイドル回転速度に基づいて上記第1の回転速度NF1及び第2の回転速度NF2を設定するようにした。そのため、電動ファン18の共振を抑制するという点で最も効果的な電動ファン18の回転速度が設定できるようになる。
【0061】
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態で設定された時間T1は、第2の回転速度NF2で電動ファン18が駆動されることにより増大したステアリングホイール40の振動の振幅を収束させるために必要な時間であった。その他、図5に例示するように、例えば上記振動を収束させるために必要な時間を最短時間として、ランダムにその時間を可変設定させてもよい。例えば、電動ファン18が第1の回転速度NF1で駆動される毎に、上記時間T1を最短時間として適宜にランダムな値を加算し、この加算された時間T1‘の間、電動ファン18を第1の回転速度NF1で駆動するようにしてもよい。この場合には、電動ファン18が第1の回転速度NF1で駆動される時間が、いわば不規則に変更される。このように、電動ファン18の回転速度を上下させる上記制御装置にあって、所定の回転速度で電動ファン18を駆動する期間の周期性を積極的に崩すことにより、当該車両1の搭乗者に上述した回転速度の変化や振動の変化を感知されにくくすることができるようになる。
【0062】
・上記実施の形態における電動ファンの制御装置は、冷却水温THWに応じて電動ファン18の駆動をオン・オフ制御する装置であり、電動ファン18が駆動されるときには、上記第2の回転速度NF2と第1の回転速度NF1とを交互に切り替えながら電動ファン18を駆動する制御装置でもあった。その他、上記駆動回路23をパルス幅変調制御(PWM制御)に基づく平均電流制御が可能な駆動回路として構成することもできる。そしてこの場合には、次のように電動ファン18の回転速度を制御することとなる。すなわち、冷却媒体の状態、例えば冷却水温THWに応じて電動ファン18の回転速度を可変設定する。これにより、より一層冷却要求に見合った回転速度で電動ファン18を駆動させることができるようになる。なお、車両1がエアーコンディショナーを備える場合には、冷却媒体の状態として冷媒の圧力を測定し、この測定値に応じて電動ファン18の回転速度を可変設定させてもよい。また、このような冷却媒体の状態に応じて設定される回転速度が、電動ファン18に共振の発生する回転速度領域に属する回転速度である場合には、この設定された回転速度を上記第2の回転速度NF2として上記実施の形態と同様な回転速度制御を行うことにより、上記実施の形態に準ずる作用効果を得ることができる。
【0063】
・上記実施の形態における時間T1及び時間T2は、予め実験等により求めておく必要のある値であった。一方、上記ステアリングホイール40に振動センサを配設し、この振動センサによって検出される振動レベルに基づいて電動ファン18の回転速度を切り替えるようにしてもよい。この場合には、上記時間T1及び時間T2を求めるための実験等が不要になる。
【0064】
・上記実施の形態では、電動ファン18の共振に起因して発生するステアリングホイール40の振動を抑制するようにしたが、その他にも、車両1の所定部位、例えばシフトレバーなどのように搭乗者に触れられる機会の多い部位や電動ファン18の振動そのものを抑制するようにしてもよい。この場合には、振動の抑制対象に合わせた最適な上記第1の回転速度NF1、第2の回転速度NF2、時間T1、及び時間T2を設定すればよく、この場合にも上記実施の形態に準ずる作用効果を得ることができる。
【0065】
・上記実施の形態における制御装置では、先の図2に示したように、電動ファン18の回転速度を矩形波状に変化させるようにした。この他にも、電動ファン18の回転速度をリニアに変更させることができる場合には、以下のようにして電動ファン18の回転速度を変化させるようにしてもよい。まず、図6に示すように、電動ファン18の回転速度を徐々に増大させながら第2の回転速度NF2に到達させ、その後急激に第1の回転速度NF1に低下させる、略ノコギリ波状の変化態様としてもよい。また、図7に示すように、電動ファン18の回転速度を徐々に増大させながら第2の回転速度NF2に到達させてその速度を所定時間保持した後、急激に第1の回転速度NF1に低下させる、略ノコギリ波状の変化態様としてもよい。また、図8に示すように、電動ファン18の回転速度を徐々に増大させながら第2の回転速度NF2に到達させ、その後徐々に第1の回転速度NF1に低下させる、略三角波状の変化態様としてもよい。
【0066】
・上記実施の形態においては特に言及しなかったが、電動ファン18が設けられる個数については任意であり、複数の電動ファンを制御する制御装置であっても、本発明は同様に適用することができる。
【0067】
・上記実施の形態における冷却用熱交換器は、ガソリン機関2の冷却水を冷却するラジエータ5であり、電動ファン18はこのラジエータ5に対応して設けられた。この他にも、更にエアーコンディショナーの冷媒を冷却するコンデンサを冷却用熱交換器として備え、このコンデンサに対応した電動ファンが設けられる場合であっても上記実施の形態にかかる電動ファンの制御装置は適用することができる。なお、この場合には、冷却水温THWだけではなく冷媒の圧力にも基づいて電動ファンの駆動を制御すると、電動ファンをより好適なタイミングで駆動することができる。
【0068】
・上記実施の形態では、ガソリン機関2が搭載された車両に本発明にかかる電動ファンの制御装置を適用する場合について例示した。しかしながら、搭載対象となる内燃機関はこのガソリン機関2に何ら限定されるものではない。ディーゼル機関やその他の内燃機関が搭載される車両にも本発明は同様に適用することができる。
【0069】
その他、上記実施の形態あるいはその変形例から把握することができる技術思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項1または5に記載の内燃機関の電動ファン制御装置において、前記制御装置は、振動センサによって検出される振動レベルが所定レベルに達するまで前記第2の回転速度で前記電動ファンを駆動し、その後、前記振動センサによって検出される振動が収束するまで前記第1の回転速度で前記電動ファンを駆動することを特徴とする車載電動ファンの制御装置。
【0070】
同構成によっても、電動ファンの駆動に起因する振動を抑制しつつ、該電動ファンに要求される風量等についてもこれを好適に確保することができるようになる。更に、第2の回転速度で電動ファンを駆動させる時間、及び第1の回転速度で電動ファンを駆動させる時間を予め実験等により求めておく必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる車載電動ファンの制御装置の一実施の形態について、その概略構成を示す図。
【図2】同実施の形態における制御装置による電動ファンの回転速度の制御態様を模式的に示すタイミングチャート。
【図3】同実施の形態による電動ファンの回転速度制御の制御手順を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態の制御装置によって電動ファンの回転速度が切り替えられるときの回転速度変化と振動レベルの変化態様とを模式的に示すタイミングチャート。
【図5】上記電動ファンの回転速度制御についての変形例を示すタイミングチャート。
【図6】上記電動ファンの回転速度制御についての変形例を示すタイミングチャート。
【図7】上記電動ファンの回転速度制御についての変形例を示すタイミングチャート。
【図8】上記電動ファンの回転速度制御についての変形例を示すタイミングチャート。
【図9】内燃機関から発生する振動及び電動ファンから発生する振動の態様を模式的に示すグラフ。
【図10】従来の車載電動ファンの制御装置による電動ファンの回転速度の制御態様についてその一例を模式的に示すタイミングチャート。
【符号の説明】
1…車両、2…ガソリン機関、3…シリンダブロック、4…クランクシャフト、5…ラジエータ、6…ウォータポンプ、7…サーモスタット、9…ウォータジャケット、10…ウォータジャケット出口、11…第1の冷却水通路、12…ラジエータ入口、13…ラジエータ出口、14…第2の冷却水通路、15…ウォータジャケット入口、16…バイパス通路、17…フロントグリル、18…電動ファン、19…電動モータ、20…バッテリ、21…オルタネータ、22…電源装置、23…駆動回路、31…水温センサ、32…制御装置(ECU)、33…回転速度センサ、40…ステアリングホイール。
Claims (5)
- 内燃機関が搭載された車両の冷却用熱交換器に用いられる電動ファンについてその駆動を制御する車載電動ファンの制御装置において、
前記電動ファンを、その回転駆動によって前記内燃機関の振動との共振が生じる回転速度よりも低い第1の回転速度と、熱交換のための十分な風量を確保し得る第2の回転速度との間で交互に切り替え駆動するようにした
ことを特徴とする車載電動ファンの制御装置。 - 前記電動ファンの前記第2の回転速度での駆動が、該駆動に基づき発生する振動の振幅が所定のレベルに達するまでの期間に限って行われる
請求項1に記載の車載電動ファンの制御装置。 - 前記電動ファンの前記第1の回転速度での駆動期間は、前記第2の回転速度での駆動に基づき前記所定のレベルに達した振動の振幅が所要に収束され得る期間として設定される
請求項2に記載の車載電動ファンの制御装置。 - 前記電動ファンの前記第1の回転速度での駆動期間がランダムな期間として設定される
請求項1〜3のいずれかに記載の車載電動ファンの制御装置。 - 前記第1及び第2の回転速度が、それぞれ前記内燃機関のアイドル回転速度に基づいて設定される
請求項1〜4のいずれかに記載の車載電動ファンの制御装置。
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