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JP2003516124A - 標的とした遺伝的干渉の手段としてのrna干渉経路遺伝子 - Google Patents

標的とした遺伝的干渉の手段としてのrna干渉経路遺伝子

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Publication number
JP2003516124A
JP2003516124A JP2001531856A JP2001531856A JP2003516124A JP 2003516124 A JP2003516124 A JP 2003516124A JP 2001531856 A JP2001531856 A JP 2001531856A JP 2001531856 A JP2001531856 A JP 2001531856A JP 2003516124 A JP2003516124 A JP 2003516124A
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JP
Japan
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rde
rnai
gene
nucleic acid
dsrna
Prior art date
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Pending
Application number
JP2001531856A
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English (en)
Inventor
クレイジ シー. メロー
アンドリュー ファイヤー
浩昭 田原
アラー グリショック
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Massachusetts UMass
Original Assignee
University of Massachusetts UMass
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Publication date
Application filed by University of Massachusetts UMass filed Critical University of Massachusetts UMass
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Pending legal-status Critical Current

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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/67General methods for enhancing the expression
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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Abstract

(57)【要約】 二本鎖RNA干渉に関与する遺伝子(RNAi経路遺伝子)を同定し、これを用いてRNAi経路を調べる。遺伝子およびその産物はまた、RNAi経路の活性の調節に関して有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】関連出願情報 本出願は、1999年10月15日に出願された仮特許出願第60/159,776号および2000
年3月30日に出願された仮特許出願第60/193,218号からの優先権を主張する。
【0002】連邦政府助成研究に関する声明 本明細書に記載した研究の資金は、連邦政府によって提供され(GM58800およ
びGM37706)、連邦政府は本発明において特定の権利を有する。
【0003】発明の分野 本発明は、その発現産物が遺伝的干渉の媒介に関係する遺伝子の発見に関する
【0004】発明の背景 全ての真核生物は、DNAからRNA、そしてタンパク質へと情報の伝達に関する類
似の機構を共通に有する。RNA干渉は、特異的標的遺伝子に対するこの伝達過程
を不活化する効率的な機構を表す。ターゲティングは、細胞に導入されたRNA分
子の配列によって媒介される。二本鎖(ds)RNAは、線虫であるC.エレガンス(C
. elegans)(ファイア(Fire)ら、1998、Nature 391:806〜811)、植物、ト
リパノソーマ、ショウジョウバエ(Drosophila)、およびプラナリア(ウォータ
ーハウス(Waterhouse)ら、1998、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:13959〜13
964;ヌゴ(Ngo)ら、1998、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:14687〜14692;
ケナーデル(Kennerdel)およびカーシュー(Carthew)、1998、Cell 95:1017
〜1026;ミスキッタ(Misquitta)およびパターソン(Patterson)、1999、Proc
. Natl. Acad. Sci. USA 96:1451〜1456;サンチェス-アルボラド(Sanchez-Al
vorado)およびニューマーク(Newmark)、1999、Proc. Natl. Acad. Sci. USA
96:5049〜5054)を含むいくつかの生物において、遺伝子機能の配列特異的阻害
(遺伝的干渉)を誘導することができる。dsRNAがいくつかの異なる系統からの
生物において遺伝的干渉を誘導することができるという発見は、干渉過程に関し
て保存された機構と、おそらく保存された生理的役割を示唆している。RNAiに関
していくつかのモデルが提唱されているが(バウルコーム(Baulcomb)、1999、
Curr. Biol. 9:R599〜R601;シャープ(Sharp)ら、1999、Genes & Dev. 13:
139〜141)、経路の特異的成分の作用機序は不明である。
【0005】 遺伝子を過剰発現させる試み(例えば、導入遺伝子)は、しばしば遺伝子の一
過性の発現が起こるに過ぎない。導入遺伝子の対応する内因性コピーが不活化さ
れる「同時抑制」というさらにより望ましくない作用が起こりうる。場合によっ
ては、導入遺伝子の沈黙化(silencing)によって、遺伝子導入技術の商業的ま
たは治療的応用に関する問題が起こり、細胞、生物、またはヒト患者の遺伝子構
成が変化する。
【0006】発明の概要 本発明は、二本鎖RNA依存的な遺伝子沈黙化(遺伝的干渉)の媒介に関係するR
NA干渉(RNAi)経路遺伝子の発見に関する。RNAiは、遺伝子発現を抑制するため
に一連の保存された細胞因子を必要とする。これらの因子は、RNAi経路の成分で
ある。本明細書に記載のRNAi経路の変異および遺伝子(例えば、rde-1、rde-2、
rde-3、rde-4、rde-5、mut-2、およびmut-7)、ならびにそのタンパク質産物(
例えば、RDE-1およびRDE-4)は、RNAiに関係する機構を調べるため、およびRNAi
経路を調節する方法を開発するために有用な手段である。本明細書に記載の配列
および方法は、RNAi経路を調節するために有用であり、dsRNAによる遺伝的阻害
の利用を含む他の方法と組み合わせて用いてもよい(例えば、その全文が参照と
して本明細書に組み入れられる、1998年12月18日に出願された米国特許出願第09
/215,257号を参照のこと)。
【0007】 RNAi経路の成分(例えば、RDE-1、RDE-4)は、干渉に必要な活性を提供する。
これらの活性は、ヒトのような生物の細胞を含む多くの細胞型において存在しな
いか、または十分に活性化されてない可能性があり、これらの場合、遺伝的干渉
は治療的価値を有する可能性がある。C.エレガンス(C. elegans)におけるRNAi
経路の成分は、遺伝子導入(transgenesis)によってまたは直接RNA:タンパク
質複合体として提供されれば、RNAiを欠損する異種細胞における遺伝的干渉を活
性化、または直接媒介するために十分である可能性がある。
【0008】 RNAi経路の成分(例えば、RDE-1、RDE-4)をコードする核酸配列は、例えばRN
Ai経路の調節を研究するために有用である。そのような配列を用いて、C.エレガ
ンス(C. elegans)のような動物のノックアウト(knockout)株を作製することが
できる。
【0009】 本発明の核酸には、例えばストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(
本明細書において定義するように)で、配列番号:1(図5A〜C)もしくはその相
補体、配列番号:2(図6A〜D)もしくはその相補体、または配列番号:4もしく
はその相補体のヌクレオチド配列の全てまたは一部とハイブリダイズする核酸が
含まれる。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズする部分は、好ましくは長
さが20塩基、30塩基、50塩基、または70塩基である。好ましくは、ハイブリダイ
ズする核酸のハイブリダイズする部分は、RDE-1ポリペプチドまたはRDE-4ポリペ
プチドをコードする核酸の一部または全ての配列と80%、より好ましくは95%、
さらに98%、または100%同一である。上記の種類のハイブリダイズする核酸を
、クローニングプローブ、プライマー(例えば、PCRプライマー)、または診断
用プローブとして用いることができる。好ましいハイブリダイズする核酸は、例
えば、下記のアッセイ法において決定するように、天然に存在するRDE-1ポリペ
プチドまたはRDE-4ポリペプチドが保有する生物活性のいくつかまたは全てを有
するポリペプチドをコードする。
【0010】 ハイブリダイズする核酸は、本明細書に記載のRDE-1タンパク質またはRDE-4タ
ンパク質より短いまたは長いタンパク質をコードしてもよい。ハイブリダイズす
る核酸は同様に、RDE-1またはRDE-4に関連するタンパク質をコードしてもよい(
例えば、本明細書に記載のrde-1遺伝子またはrde-4遺伝子と比較的高い程度の同
一性を有する部分を含む遺伝子によってコードされるタンパク質)。
【0011】 本発明はまた、精製または単離されたRDE-1ポリペプチドおよびRDE-4ポリペプ
チドを特徴とする。RDE-1およびRDE-4ポリペプチドは、RDE-1またはRDE-4に特異
的に結合する抗体を作製および試験するために有用である。そのような抗体は、
例えばC. エレガンス(C. elegans)および他の生物におけるRNAi経路を調べる
ために用いることができる。本明細書において用いられるように、「タンパク質
」および「ポリペプチド」という用語はいずれも、長さまたは翻訳後修飾(例え
ば、グリコシル化またはリン酸化)によらず、アミノ酸の任意の鎖を意味する。
このように、「RNAi経路ポリペプチド」という用語には、RDE-1タンパク質また
はRDE-4タンパク質のような完全長の天然に存在するRNAi経路ポリペプチドと共
に、完全長の天然に存在するRDE-1タンパク質、RDE-4タンパク質、または天然に
存在するRNAi経路タンパク質の特定の領域もしくは一部に対応する、組換え型ま
たは合成によって産生されたポリペプチドが含まれる。
【0012】 RNAi経路の変異およびそれらの変異を有する株(例えば、rde-1、rde-2、rde-
3、rde-4、rde-5)は、RNAi経路の調節物質(modulator)の同定を含む、RNAi経
路の研究にとって有用である。
【0013】 RNAi経路の成分(例えば、mut-7およびrde-2に関連した成分)は、導入遺伝子
を脱沈黙化する(desilence)ためまたは導入遺伝子の沈黙化を防止するために
用いることができる。この機能を促進するために、そのようなRNAi経路の成分を
、RNAi経路遺伝子またはその産物の特異的阻害物質を用いて阻害する。
【0014】 一つの態様において、本発明には、RDE-1ポリペプチドをコードするヌクレオ
チド配列を含む単離された核酸分子が含まれる。核酸分子は、例えば高ストリン
ジェントな条件で、GenBankアクセッション番号AF180730(配列番号:2)の核酸
配列もしくはその相補体、または配列番号:1の配列もしくはその相補体とハイ
ブリダイズする。一つの態様において、単離された核酸は、rde-1変異を補完で
きる。本発明はまた、そのヌクレオチド配列が配列番号:3のアミノ酸配列をコ
ードする、単離された核酸を含む。
【0015】 本発明はまた、本明細書に記載の単離された核酸によってコードされる実質的
に純粋なRDE-1ポリペプチドも含む。
【0016】 本発明は、RDE-1ポリペプチドに特異的に結合する抗体を特徴とする。
【0017】 本発明にはまた、RNAi経路の活性を低下させる段階を含む、細胞における導入
遺伝子の発現を増強する方法が含まれる。本発明の一つの態様において、rde-2
の発現または活性が低下する。
【0018】 本発明はまた、核酸分子が配列番号:4の核酸配列またはその相補体と高スト
リンジェントな条件でハイブリダイズする、RDE-4ポリペプチドをコードするヌ
クレオチド配列を含む、単離された核酸分子を特徴とする。本発明はまた、核酸
がrde-4変異を補完できる、RDE-4ポリペプチドをコードする、単離された核酸を
含む。本発明はまた、ヌクレオチド配列が配列番号:5のアミノ酸配列をコード
するRDE-4ポリペプチドをコードする、単離された核酸を含む。
【0019】 本発明はまた、本明細書に記載の単離された核酸によってコードされる、実質
的に純粋なRDE-4ポリペプチドを特徴とする。
【0020】 もう一つの態様において、本発明はRDE-4ポリペプチドに特異的に結合する抗
体を特徴とする。
【0021】 本発明はまた、RDE-1タンパク質とRDE-4タンパク質との存在下でdsRNAをイン
キュベートする段階を含む、RNAi剤を調製する方法を特徴とする。
【0022】 本発明はまた、RNAi剤のdsRNA成分が遺伝子にターゲティングされるように、R
NAi剤を細胞に導入することによって、遺伝子の活性を阻害する方法を特徴とす
る。本発明のもう一つの態様において、細胞は、外因性のRNAi経路配列を含む。
外因性のRNAi経路配列は、RDE-1ポリペプチドまたはRDE-4ポリペプチドでありう
る。さらにもう一つの態様において、RDE-1またはRDE-4を発現する核酸配列のよ
うな外因性RNAi経路配列を含む細胞にdsRNAを導入する。
【0023】 RNAi経路成分は、dsRNA媒介遺伝的干渉の増強に関係するタンパク質または核
酸である。核酸成分は、RNAまたはDNAでありうる。RNAi経路の成分をコードする
遺伝子における変異は、RNAi経路の活性を低下または上昇させる可能性がある。
【0024】 RNAi経路のタンパク質は、dsRNA媒介遺伝的干渉の増強に関係するタンパク質
である。
【0025】 「実質的に純粋なDNA」は、本発明のDNAが由来する生物の天然に存在するゲノ
ムにおいて直に隣接しているコード配列の双方(すなわち、一つは5'末端でもう
一つは3'末端)に直に隣接していない(すなわち、共有結合していない)DNAで
ある。したがって、この用語には、ベクター、自律的に複製するプラスミドもし
くはウイルス、または原核細胞もしくは真核細胞のゲノムに組み入れられる組換
えDNA;または他の配列とは無関係の別個の分子として存在する組換えDNA(例え
ば、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)または制限エンド核酸分解酵素消化によって
作製されたcDNAまたはゲノム断片もしくはcDNA断片)が含まれる。同様に、さら
なるポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNA
が含まれる。
【0026】 「阻害されたRNAi経路」とは、野生型細胞において阻害を引き起こす能力と比
較して、dsRNAによる少なくとも2倍弱い阻害が起こるdsRNAの阻害活性の低下を
意味する。RNAi経路の活性を測定する技術を本明細書に記載する。経路は、その
機能が低下するように、経路の成分(例えば、RDE-1)を阻害するまたは成分を
変異させることによって阻害されうる。
【0027】 「実質的に純粋なポリペプチド」とは、天然に付随しているタンパク質および
有機分子を重量で少なくとも60%含まないポリペプチド、例えばRNAi経路ポリペ
プチドまたはその断片である。好ましくは、調製物は、RNAi経路ポリペプチドま
たは断片の、重量で少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、および最
も好ましくは少なくとも99%である。実質的に純粋なRNAi経路ポリペプチドまた
はその断片は、例えば、天然の供給源からの抽出によって;RNAi経路ポリペプチ
ドもしくはその断片をコードする組換え核酸の発現によって;またはポリペプチ
ドもしくは断片を化学合成することによって、得られる。純度は適当な方法によ
って、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、
またはHPLC分析によって測定することができる。
【0028】 「特異的に結合する」とは、特定の実体、例えばRNAi経路ポリペプチドに対し
て結合するが、特定の実体、例えばRDE-1を含む試料中、例えば生体試料中の他
の分子を実質的に認識しないまたは結合しない分子を意味する。
【0029】 RNAi剤は、dsRNA上にRNAi活性を付与するために必要であるRNAi経路の成分に
よって処理されているdsRNA分子である。例えば、RDE-1およびRDE-4を含む条件
下でdsRNAを処理すると、RNAi剤が得られる。そのような物質をRDE-1およびRDE-
4に関して変異体である動物に注入すると、ターゲティングされた遺伝子に関し
てRNAi経路の活性化が起こるであろう。典型的に、RNAi剤の形成を誘発するため
に用いられるdsRNAは、ターゲティングされた遺伝子のヌクレオチド配列の全て
または一部に対応するRNAとなるように選択される。
【0030】 特に明記していない限り、本明細書において用いられる全ての技術的および科
学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味
と同じ意味を有する。本明細書における記述と類似または同等の方法および材料
を本発明の実施または試験において用いることができるが、適した方法および材
料を以下に記載する。本明細書において言及した全ての刊行物、特許出願、特許
およびその他の引用文献は、参照として本明細書に組み入れられる。さらに、材
料、方法、および実施例は、例示的にすぎず、制限する意図はない。
【0031】 本発明のその他の特徴および利点は、詳細な説明および特許請求の範囲から明
らかとなるであろう。
【0032】詳細な説明 dsRNA媒介遺伝的干渉(RNAi)に関係する遺伝子を特定する変異が発見されて
いる。RNAi経路の遺伝子は遺伝的干渉に関係する産物をコードし、遺伝的干渉を
媒介または増強するために有用である。これらの遺伝子は二本鎖RNAによる干渉
の媒介物質をコードする。媒介物質は核酸またはタンパク質でありうる。RNAi経
路遺伝子はまた、特異的過程を媒介するために有用であり、例えば細胞によるRN
Aiの取り込みを媒介する遺伝子は、他のRNAの細胞への輸送にとって、または薬
物のような薬剤の細胞への流入を促進するために有用である。下記の方法および
実施例は、RNAi経路の成分の特定、RNAi経路の成分、変異体、遺伝子およびその
産物の利用を説明する。
【0033】RNAi欠損変異体およびRNAi経路遺伝子rde-1の同定 RNAiに関するC. エレガンス(C. elegans)株変異体のスクリーニングを用い
て、RNAi経路遺伝子を同定した(実施例2および3)。変異は、生殖細胞系列およ
び体細胞作用、トランスポゾン転移に及ぼす影響、X染色体喪失および導入遺伝
子の沈黙化、ならびに標的組織活性に関してさらに特徴を調べた(実施例4およ
び5)。
【0034】 rde-1変異体を救出(rescue)するために、YACs(酵母の人工染色体)および
コスミドを用いてrde-1遺伝子を同定した。同定された配列に基づき、C. エレガ
ンス(C. elegans)のcDNAライブラリーにおいてcDNA配列を同定し、完全なcDNA
配列を決定した(実施例6)。
【0035】rde-1、rde-2、rde-3、およびrde-4と相同であるRNAi経路遺伝子の同定 C. エレガンス(C. elegans)(本明細書に記載のもののように)および他の
生物(例えば、植物、哺乳類、特にヒト)由来のRNAi経路遺伝子は、遺伝的干渉
に関係する生化学経路の解明にとって、および本明細書に記載するRNAi経路遺伝
子の利用の開発にとって有用である。
【0036】 ツーハイブリッドスクリーニング、クローニングした異種(例えば、植物、哺
乳類、ヒト)cDNAの発現ライブラリーによるC. エレガンス(C. elegans)変異
体の補完、縮重オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いる(primed)ポリメ
ラーゼ連鎖反応(PCR)、異種cDNAまたはゲノムライブラリーとC. エレガンス(
C. elegans)RNAi経路遺伝子との低ストリンジェントなハイブリダイゼーション
スクリーニング、およびRNAi経路遺伝子と相同な配列に関するデータベーススク
リーニングを含むいくつかのアプローチを用いて、RNAi経路遺伝子を単離するこ
とができる。ハイブリダイゼーションはストリンジェントな条件で行う。または
、標識した断片を用いて、適当にストリンジェントな条件を用いて、関係する生
物に由来するゲノムライブラリーをスクリーニングすることができる。そのよう
なストリンジェントな条件は公知であり、ライブラリーと標識配列とが由来する
特定の生物に依存して予測可能に変化するであろう。
【0037】 核酸二本鎖またはハイブリッドの安定性は、融解温度またはTmとして表記され
、これは標的DNAからプローブが解離する温度である。この融解温度を用いて必
要なストリンジェントな条件を定義する。プローブに関係し、同一であるよりむ
しろ実質的に同一である配列が同定されれば、特定のSSCまたはSSPE濃度で相同
的ハイブリダイゼーションのみが起こる最低温度を最初に確立する段階に有用で
ある。次に、1%の不一致によってTmが1℃低下すると仮定すると、最終的な洗浄
温度(例えば、プローブと95%以上の同一性を有する配列を求める場合、最終洗
浄温度を5℃低下させる)をそれに従って低下させる。この仮定は非常に概算で
あり、Tmの正確な変化は1%の不一致につき0.5℃〜1.5℃でありうることに注意
すること。
【0038】 本明細書において用いられるように、高ストリンジェントな条件には、SSC/5
×デンハルト(Denhardt)溶液/1.0%SDS、または0.5 M NaHPO4(pH 7.2)/1mM
EDTA/7%SDS、または50%ホルムアミド/0.25 M NaHPO4(pH 7.2)/0.25 M NaCl/
1mM EDTA/7%SDS中で68℃でハイブリダイズさせる段階;および0.2×SSC/0.1%S
DS中で室温もしくは42℃で洗浄する段階、または0.1×SSC/0.1%SDS中で68℃で
洗浄する段階、40 mM NaHPO4(pH 7.2)/1mM EDTA/5%SDS中で50℃で洗浄する段
階、または40 mM NaHPO4(pH 7.2)/1mM EDTA/1%SDS中で50℃で洗浄する段階が
含まれる。適度にストリンジェントな条件には、3×SSC中で42℃で洗浄する段階
が含まれる。塩濃度と温度のパラメータは、プローブと標的核酸の間の同一性の
所望のレベルが得られるように変更することができる。
【0039】 そのような条件に関する指針に関しては、例えば、サムブルック(Sambrook)
ら、1989、「分子のクローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Lab
oratory Manual)」、コールドスプリングハーバー出版、ニューヨーク州);お
よびアウスユベール(Ausubel)ら編、1995、「分子生物学の現行プロトコール
(Current Protocols in Molecular Biology)」(ジョン・ウィリー&サンズ、
ニューヨーク)2.10章を参照のこと。
【0040】 C. エレガンス(C. elegans)RNAi遺伝子(例えば、rde-1)の相同体をスクリ
ーニングして同定するための方法は当技術分野で公知である。例えば、実施例に
おいて記載した変異体の補完は、C. エレガンス(C. elegans)以外の生物から
の核酸配列を用いて行うことができる。dsRNAを用いて細胞における標的遺伝子
の発現を阻害する方法は、当技術分野で公知であり、その全文が参照として本明
細書に組み入れられる、1998年12月18日に出願された米国特許出願第09/215,257
号に例示されている。
【0041】 もう一つのスクリーニング方法は、同定されたRNAi経路遺伝子配列を用いて、
低ストリンジェントな条件を用いてcDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニ
ングすることである。そのような方法は当技術分野で公知である。
【0042】 縮重オリゴヌクレオチドによるPCRは、RNAi経路遺伝子の相同体(例えば、ヒ
トrde-1)を同定するためのもう一つの方法である。他の種において同定されたR
NAi経路遺伝子の相同体を比較して、高い程度の相同性を有する特異的領域を同
定する(図4に示す配列比較において)。これらの相同性の高い領域は、異種遺
伝子との可能性な塩基対形成を最大にするPCRプライマーを設計するために選択
する。そのようなプライマーの構築は、遺伝子記号における縮重の原因となる、
すなわちRNAi経路タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない、RNAi経路遺伝
子において可能な塩基変化を考慮に入れる、オリゴヌクレオチド混合物の利用を
伴う。そのようなプライマーを用いて別の生物(例えばマウスまたはヒト)から
単離したDNAから、可能性があるRNAi経路遺伝子断片を増幅およびクローニング
してもよい。その単離したDNAをシークエンシングして、RNAi経路のタンパク質
断片と高い程度の相同性を有するタンパク質断片をコードする配列を、ゲノムDN
AおよびcDNAライブラリー(例えば、マウスまたはヒト)のその後のスクリーニ
ングにおける核酸プローブとして用いる。先に同定されたRNAi経路遺伝子と実質
的な相同性を有する完全長の遺伝子およびcDNAを、これらのスクリーニングにお
いて同定する。
【0043】 RNAi経路遺伝子産物(例えば、RDE-1)を産生するために、遺伝子をコードす
る配列を発現ベクターに入れて、適当な細胞種において遺伝子を発現させる。当
技術分野で公知の方法を用いて遺伝子産物をそのような細胞株から単離し、本明
細書において記載するアッセイ法および方法において用いる。遺伝子産物は完全
なRNAi経路タンパク質(例えば、RDE-1)またはそのようなタンパク質の断片と
なりうる。
【0044】RNAi経路タンパク質を発現する方法 完全長のRNAi経路タンパク質の完全長のポリペプチドおよび一つまたはそれ以
上の領域に対応するポリペプチド、例えばRDE-4のRNA結合領域も同様に、本発明
の範囲内である。RDE-1またはRDE-4の一部(例えば、一つまたは複数の領域)が
無関係なタンパク質またはポリペプチド(すなわち融合相手)と融合して融合タ
ンパク質を形成する融合タンパク質も同様に、本発明の範囲に含まれる。融合相
手は、精製、検出、もしくは可溶化を促進するように、または他のいくつかの機
能を提供するように選択される部分となりうる。融合タンパク質は一般的に、RN
Ai経路タンパク質の全てまたは一部をコードするヌクレオチド配列が、融合相手
をコードするヌクレオチド配列にインフレーム(in-frame)で結合しているハイ
ブリッド遺伝子を発現させることによって産生される。融合相手には、免疫グロ
ブリンの定常領域(IgFc)が含まれるがこれらに限定されない。RNAi経路ポリペ
プチドがIgFcに融合している融合タンパク質は、より安定となり、ポリペプチド
それ自身より体内での半減期が長くなりうる。
【0045】 一般的に、本発明のRNAi経路タンパク質(例えば、RDE-1、RDE-4)は、適した
発現媒体においてRNAi経路タンパク質コードDNA断片(例えば、本明細書に記載
するcDNAの一つ)の全てまたは一部による宿主細胞の形質転換(トランスフェク
ション、形質導入、または感染)によって産生することができる。適した発現媒
体には、プラスミド、ウイルス粒子およびファージが含まれる。昆虫細胞に関し
て、バキュロウイルス発現ベクターが適している。完全な発現媒体、またはその
一部は、宿主細胞ゲノムに組み入れることができる。いくつかの状況において、
誘導型発現ベクター、例えばLACSWITCH(商標)誘導型発現系(ストラタジーン
社、ラホヤ、カリフォルニア州)を用いることが望ましい。
【0046】 分子生物学の分野の当業者は、組換えタンパク質を提供するために広く多様な
発現系を用いることができることを理解するであろう。用いる正確な宿主細胞は
本発明にとって重要ではない。RNAi経路タンパク質は、原核細胞宿主(例えば、
大腸菌(E. coli)もしくは枯草菌(B. subtilis))または真核細胞宿主(例え
ば、サッカロミセス(Saccharomyces)もしくはピキア(Pichia);哺乳類細胞
、例えばCOS、NIH 3T3 CHO、BHK、293、もしくはHeLa細胞;または昆虫細胞)に
おいて産生することができる。
【0047】 タンパク質およびポリペプチドも同様に植物細胞において産生することができ
る。植物細胞に関して、ウイルスの発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイ
クウイルスおよびタバコモザイクウイルス)およびプラスミド発現ベクター(例
えば、Tiプラスミド)が適している。そのような細胞は、広範囲の供給源から入
手可能である(例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション、ロックラン
ド、メリーランド州;同様にアウスユベールら編(Ausubel、「分子生物学の現
行プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、ジョン・ウィ
リー&サンズ、ニューヨーク、1994年)を参照のこと)。形質転換またはトラン
スフェクションの方法および発現媒体の選択は、選択した宿主系に依存する。形
質転換法およびトランスフェクション法は、上記のアウスユベール(Ausubel)
らに記載されており、発現媒体は例えば、「ベクターのクローニング:実験マニ
ュアル(Cloning Vectors:A Laboratory Manual)」(P.H. パウエルス(Pouwe
ls)ら、1985、補遺、1987)に提供される媒体から選択してもよい。
【0048】 発現媒体を有する宿主細胞を、選択した遺伝子の活性化、選択した遺伝子の抑
制、形質転換体の選択、または選択した遺伝子の増幅のために必要に応じて適合
させた従来の栄養培地中で培養することができる。
【0049】 一つの好ましい発現系は、pMAMneo発現ベクター(クロンテック社、パロアル
ト、カリフォルニア州)をトランスフェクトしたマウス3T3繊維芽細胞宿主細胞
である。pMAMneoは、デキサメタゾン誘導型MMTV-LTRプロモーターに結合したRSV
-LTRエンハンサー、哺乳類の系において複製を可能にするSV40複製開始点、選択
可能なネオマイシン遺伝子、ならびにSV40スプライシング部位およびポリアデニ
ル部位を提供する。RNAi経路タンパク質をコードするDNAは、発現を可能にする
ように設計された方向でpMAMneoベクターに挿入されると考えられる。組換え型R
NAi経路タンパク質は、本明細書に記載のように単離されると考えられる。pMAMn
eo発現媒体と組み合わせて用いることができるその他の好ましい宿主細胞には、
COS細胞およびCHO細胞(それぞれ、ATCCアクセッション番号CRL 1650およびCCL
61)が含まれる。
【0050】 RNAi経路のポリペプチドは融合タンパク質として産生することができる。例え
ば、発現ベクターpUR278(ルター(Ruther)ら、EMBO J. 2:1791、1983)を用
いて、LacZ融合タンパク質を作製することができる。pGEXベクターを用いて、グ
ルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペ
プチドを発現させることができる。一般的に、そのような融合タンパク質は可溶
性であり、グルタチオン-アガロースビーズに吸着させた後、遊離のグルタチオ
ンの存在下で溶出することによって、溶解した細胞から容易に精製されることが
できる。pGEXベクターは、クローニングした標的遺伝子をGST部分から放出する
ことができるように、トロンビンまたは第10a因子(factor Xa)タンパク質分解
酵素切断部位を含むように設計される。
【0051】 昆虫細胞発現系において、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugipe
rda)細胞において増殖するオートグラファ・カリフォルニカ(Autographa cali
fornica)核ポリハイドロシスウイルス(AcNPV)をベクターとして用いて外来遺
伝子を発現させる。RNAiタンパク質コード配列を、ウイルスの非必須領域(例え
ば、ポリヘドリン領域)において個々にクローニングして、AcNPVプロモーター
、例えばポリヘドリンプロモーターの制御下に置くことができる。RNAi経路ポリ
ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子が首尾よく挿入されれば、ポリヘ
ドリン遺伝子の不活化および非閉鎖組換え型ウイルスの産生(すなわち、ポリヘ
ドリン遺伝子によってコードされるタンパク質様外被を欠損するウイルス)が起
こると考えられる。これらの組換え型ウイルスを用いてスポドプテラ・フルギペ
ルダ(Spodoptera frugiperda)を感染させると、その中で挿入された遺伝子が
発現される(例えば、スミス(Smith)ら、J. Virol. 46:584、1983;スミス(
Smith)、米国特許第4,215,051号を参照のこと)。
【0052】 哺乳類の宿主細胞において、多くのウイルスに基づく発現系を利用することが
できる。アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合、RNAi経路タンパク質
核酸配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロモーターおよ
び3部からなるリーダー配列にライゲーションすることができる。次に、このキ
メラ遺伝子をインビトロまたはインビボ組換えによってアデノウイルスゲノムに
挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3
)への挿入によって、感染した宿主において生存して、RNAi経路遺伝子を発現す
ることができる組換えウイルスが得られるであろう(例えば、ローガン(Logan
)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3655、1984を参照のこと)。
【0053】 挿入された核酸配列の効率的な翻訳のために特異的開始シグナルが必要となる
場合がある。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる
。その自身の開始コドンおよび隣接配列を含む完全な本来のRNAi経路タンパク質
遺伝子またはcDNAを適当な発現ベクターに挿入する場合、さらなる翻訳制御シグ
ナルは必要ではない可能性がある。その他の場合は、おそらくATG開始コドンを
含む外因性の翻訳制御シグナルを提供しなければならない。さらに、開始コドン
は、インサート全体の翻訳を確実にするために所望のコード配列の読みとり枠(
reading frame)と同じ相になければならない。これらの外因性の翻訳制御シグ
ナルおよび開始コドンは天然および合成の双方について多様な起源となりうる。
発現効率は、適当な転写エンハンサー要素、転写ターミネータを含むことによっ
て増強されうる(ビットナー(Bittner)ら、Methods in Enzymol. 153:516、1
987)。
【0054】 RNAi経路ポリペプチドは、直接発現させることができ、またはシグナル配列の
ような、または成熟タンパク質もしくはポリペプチドのN末端および/またはC末
端で特異的切断部位を有するその他のポリペプチドのような、異種ポリペプチド
との融合体として発現させることができる。異種シグナル配列を有するRNAi経路
ポリペプチドも本発明の範囲内に含まれる。選択した異種シグナル配列は、認識
およびプロセシングされる配列でなければならず、すなわち宿主細胞によってシ
グナルペプチダーゼによって切断されなければならない。原核細胞宿主細胞に関
して、原核細胞シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナー
ゼ、lpp、または熱安定性エンテロトキシンIIリーダー配列(leaders)からなる
群より選択される。酵母の分泌に関しては、酵母のインバーターゼ、α因子、ま
たは酸ホスファターゼリーダー配列を選択してもよい。哺乳類細胞においては、
一般的に哺乳類のシグナル配列を選択することが望ましい。
【0055】 挿入された配列の発現を調節する、または特異的な望ましいように遺伝子産物
を改変および処理する宿主細胞を選択してもよい。タンパク質産物のそのような
改変(例えば、グルコシル化)およびプロセシング(例えば切断)は、タンパク
質の機能にとって重要となる可能性がある。異なる宿主細胞は、タンパク質およ
び遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび改変に関する特徴的で特異的な機構を
有する。発現される外来タンパク質の正しい改変およびプロセシングを確実にす
るために、適当な細胞株または宿主系を選択することができる。この目的のため
、遺伝子産物の一次転写物の適切なプロセシング、グリコシル化、およびリン酸
化のための細胞装置を有する真核宿主細胞を用いることができる。そのような哺
乳類宿主細胞には、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、WI38および
特に脈絡叢細胞株が含まれるが、これらに限定しない。
【0056】 または、RNAi経路タンパク質は安定にトランスフェクトした哺乳類細胞株によ
って産生することができる。哺乳類細胞の安定なトランスフェクションにとって
適した多くのベクターが、一般に利用できる;例えばパウエルス(Pouwels)ら
(上記)を参照のこと;そのような細胞株を構築する方法も同様に、例えばアウ
スユベール(Ausubel)(上記)において公表されている。一つの例において、R
NAi経路タンパク質(例えばRDE-1またはRDE-4)をコードするcDNAを、ジヒドロ
葉酸リダクターゼ(DHFR)遺伝子を含む発現ベクターにクローニングする。プラ
スミド、したがってRNAi経路タンパク質コード遺伝子の宿主細胞染色体への組み
込みは、細胞培養培地に0.01 μM〜300 μMメソトレキセートを含めることによ
って選択される(アウスユベール(Ausubel)ら、上記に記載されるように)。
この優性選択は、ほとんどの細胞種において行うことができる。
【0057】 組換えタンパク質の発現は、トランスフェクトされた遺伝子のDHFR媒介増幅に
よって増大させることができる。遺伝子増幅を有する細胞株を選択する方法は、
アウスユベール(Ausubel)(上記)において記載されている;そのような方法
は一般的に、漸増する量のメソトレキセートを含む培地中でさらに培養する段階
を含む。この目的のために一般的に用いられるDHFR含有ベクターには、pCVSEII-
DHFRおよびpAdD26SV(A)(アウスユベール(Ausubel)(上記)に記載)が含ま
れる。上記の宿主細胞のいずれも、または好ましくはDHFR欠損CHO細胞株(例え
ば、CHO DHFR細胞、ATCCアクセッション番号CRL 9096)は、安定にトランスフェ
クトした細胞株のDHFR選択またはDHFR媒介遺伝子増幅にとって好ましい宿主細胞
である。
【0058】 単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、ヒポキサンチン-グアニンホスホリ
ボシルトランスフェラーゼ、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ
遺伝子を含むが、これらに限定されないその他の多くの発現系を用いることがで
き、これらの系はそれぞれtk、hgprt、またはaprt細胞において用いることがで
きる。さらに、ミコフェノール酸に対する抵抗性を付与するgpt(マリガン(Mul
ligan)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072、1981);アミノグリコシド
G418に対する抵抗性を付与するneo(コルベール-ガラピン(Colberre-Garapin)
ら、J. Mol. Biol. 150:1、1981);およびヒグロマイシンに対する抵抗性を付
与するhygro(サンテール(Santerre)ら、Gene、30:147、1981)を用いること
ができる。
【0059】 または、任意の融合タンパク質は、発現される融合タンパク質に対して特異的
な抗体を利用することによって、容易に精製されることができる。例えば、ヤン
クネヒトら(Janknecht、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8972(1981))に記
載の系は、ヒト細胞株において発現された非変性融合タンパク質の容易な精製を
可能にする。この系において、関係する遺伝子を、遺伝子の転写解読枠が、ヒス
チジン残基6個からなるアミノ末端タグに翻訳的に融合されるように、ワクシニ
ア組換えプラスミドにサブクローニングする。組換えワクシニアウイルスに感染
した細胞からの抽出物を、Ni2+ニトリロ酢酸-アガロースカラムにローディング
して、イミダゾール含有緩衝液によってヒスチジンタグタンパク質を選択的に溶
出する。
【0060】 または、RNAi経路タンパク質またはその一部を免疫グロブリンFc領域に融合す
ることができる。そのような融合タンパク質はプロテインAカラムを用いて容易
に精製することができる。
【0061】RNAi経路タンパク質を認識する抗体 特定のタンパク質に対して特異的なモノクローナル抗体およびポリクローナル
抗体の双方を作製する技術は公知である。本発明には、ヒト化、またはキメラ抗
体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab')2断片、およびFab発現ライブラリーを用いて
産生された分子も同様に含まれる。
【0062】 抗体は、RNAi経路遺伝子(例えば、rde-1)の短いペプチドエピトープ、免疫
原性を増強するために公知の免疫原と結合させたエピトープ、RNAi経路遺伝子の
長い断片、または損なわれていないタンパク質に対して作製することができる。
そのような抗体は、例えば、組織切片または分画した細胞調製物におけるRNAi経
路ポリペプチドの位置を特定するために、RNAi経路遺伝子が発現されているか否
かを決定する段階(例えば、RNAi経路遺伝子のトランスフェクション後)、およ
びRNAi経路が影響を受ける可能性がある障害におけるRNAi経路遺伝子の発現を評
価する段階に関して、有用である。
【0063】 単離されたRNAi経路タンパク質(例えば、RDE-1)、またはその一部もしくは
断片を免疫原として用いて、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体調製
に関する標準的な技術を用いて、RNAi経路タンパク質に結合する抗体を作製する
ことができる。RNAi経路免疫原はまた、変異体RNAi経路タンパク質、または変異
体RNAi経路タンパク質の断片となりうる。完全長のRNAi経路タンパク質を用いる
ことができ、またはRNAi経路タンパク質の抗原性ペプチド断片を免疫原として用
いることができる。RNAi経路タンパク質の抗原性ペプチドは、少なくとも8個(
好ましくは10個、15個、20個、または30個)のアミノ酸残基を含む。RDE-1の場
合、これらの残基は、配列番号:3に示すアミノ酸配列から得られ、ペプチドに
対して作製された抗体がRDE-1と特異的免疫複合体を形成するように、エピトー
プを含む。抗原性ペプチドによって含まれる好ましいエピトープは、タンパク質
表面に存在するタンパク質領域、例えば疎水性領域である。
【0064】 RNAi経路タンパク質免疫原は典型的に、適した被験者(例えば、ウサギ、ヤギ
、マウス、または哺乳類)を免疫原によって免疫することによって抗体を調製す
るために用いられる。適当な免疫原性調製物は、例えば組換え的に発現されたRN
Ai経路タンパク質または化学合成されたRNAiポリペプチドを含みうる。調製物は
さらに、フロイントの(Freund's)完全または不完全アジュバントのようなアジ
ュバントまたは類似の免疫刺激薬剤を含みうる。適した被験者を免疫原性RNAi経
路タンパク質調製物によって免疫すると、ポリクローナル抗RNAi経路タンパク質
抗体反応を誘導する。
【0065】 RNAi経路タンパク質を認識するポリクローナル抗体(「RNAi経路抗体」)は、
RNAi経路タンパク質免疫原を用いて適した被験者を免疫することによって、上記
のように調製することができる。免疫した被験者におけるRNAi経路抗体力価は、
免疫原が由来する固定したRNAi経路タンパク質を用いる酵素結合イムノソルベン
トアッセイ法(ELISA)のような標準的な技術によって経時的にモニターするこ
とができる。望ましければ、RNAi経路タンパク質に対して作製された抗体分子は
、哺乳類から(例えば、血液から)単離することができ、プロテインAクロマト
グラフィーのような公知の技法によってさらに精製してIgG分画を得ることがで
きる。免疫後の適当な時期、例えばRNAi経路抗体力価が最高である時期に、抗体
産生細胞を被験者から得て、コーラーおよびミルスタイン(KohlerおよびMilste
in、1975、Nature 256:495〜497)によって初めて記述されたハイブリドーマ技
術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(コズバー(Kozbor)ら、(1983)、Immunol
. Today 4:72)、EBV-ハイブリドーマ技術(コール(Cole)ら(1985)、「モ
ノクローナル抗体と癌治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)」、
アランリス社、77〜96頁)、またはトリオーマ技術のような標準的な技術によっ
てモノクローナル抗体を調製することができる。ハイブリドーマを産生する技術
は公知である(一般的に、「免疫学の現行プロトコール(Current Protocols in
Immunology)」、(1994)、コリガン(Coligan)ら編、ジョン・ウィリー&サ
ンズ社、ニューヨーク、ニューヨーク州を参照のこと)。簡単に説明すると、不
死化細胞株(典型的に骨髄腫)を、上記のようにRNAi経路免疫原によって免疫し
た哺乳類からのリンパ球(典型的に脾細胞)に融合させ、得られたハイブリドー
マ細胞の培養上清をスクリーニングして、RNAi経路タンパク質に結合するモノク
ローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定する。
【0066】 リンパ球と不死化細胞株とを融合するために用いられる多くの公知のプロトコ
ールのいずれも、RNAi経路タンパク質に対するモノクローナル抗体を作製する目
的のために適用することができる(例えば、上記の「免疫学の現行プロトコール
(Current Protocols in Immunology)」、上記;ガルファー(Galfre)ら、197
7、Nature 266:55052;ケネス(R.H. Kenneth)、「モノクローナル抗体:生物
分析における新しい次元(Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biolog
ical Analyses)」、プレナム出版社、ニューヨーク、ニューヨーク州、1980;
およびレーナー(Lerner)、(1981)、Yale J. Biol. Med. 54:387〜402を参
照のこと)。その上、当業者は、同様に有用であるそのような方法の多くの変法
が存在することを認識するであろう。本発明のモノクローナル抗体を産生するハ
イブリドーマ細胞は、例えば標準的なELISAアッセイ法を用いて、RNAi経路タン
パク質に結合する抗体に関してハイブリドーマ培養上清をスクリーニングするこ
とによって検出される。
【0067】 モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製する代わりに、組換え型コンビ
ナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイラ
イブラリー)をRNAi経路タンパク質によってスクリーニングして、それによって
RNAi経路タンパク質に結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離する
ことによって、モノクローナルRNAi経路抗体を同定して単離することができる。
ファージディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングするためのキッ
トが市販されている(例えば、ファルマシア社の組換えファージ抗体系、カタロ
グ番号27-9400-01;およびストラタジーン社のSurfZAP(商標)ファージディス
プレイキット、カタログ番号240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリー
を作製およびスクリーニングするために特に用いることができる方法および試薬
の例は、例えば米国特許第5,223,409号;PCT出願された国際公開公報第92/18619
号;PCT出願された国際公開公報第91/17271号;PCT出願された国際公開公報第92
/20791号;PCT出願された国際公開公報第92/15679;PCT出願された国際公開公報
第93/01288号;PCT出願された国際公開公報第92/01047号;PCT出願された国際公
開公報第92/09690号;PCT出願された国際公開公報第90/02809号;フクス(Fuchs
)ら(1991、Bio/Technology 9:1370〜1372);ヘイ(Hay)ら(1992、Hum. An
tibod. Hybridomas 3:81〜85);ヒューズ(Huse)ら(1989、Science 246:12
75〜1281);グリフィス(Griffiths)ら(1993、EMBO J. 12:725〜734)に見
ることができる。
【0068】 「キメラ抗体」を作製するために開発された技術(モリソン(Morrison)ら、
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851、1984;ニューバーガー(Neuberger)ら
、Nature 312:604、1984;タケダ(Takeda)ら、Nature 314:452、1984)を用
いて、適当な生物活性のヒト抗体分子からの遺伝子と共に、適当な抗原特異性の
マウス抗体分子からの遺伝子をスプライシングすることができる。キメラ抗体は
、マウスmAbに由来する可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域とを有する抗体
のように、異なる部分が異なる動物種に由来する分子である。
【0069】 または、一本鎖抗体の作製のために記述される技術(米国特許第4,946,778号
;ならびに米国特許第4,946,778号および第4,704,692号)をRNAi経路タンパク質
またはポリペプチドに対する一本鎖抗体を産生するように適合させることができ
る。一本鎖抗体は、アミノ酸架橋によってFv領域の重鎖と軽鎖断片とを結合させ
ることによって形成され、その結果一本鎖ポリペプチドが得られる。
【0070】 特異的エピトープを認識して結合する抗体断片は、公知の技術によって作製す
ることができる。例えば、そのような断片は、抗体分子のペプシン消化によって
産生することができるF(ab')2断片、F(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元する
ことによって産生することができるFab断片を含みうるが、これらに限定されな
い。または、所望の特異性を有するモノクローナルFab断片を迅速かつ容易に同
定できるように、Fab発現ライブラリーを構築することができる(ヒューズ(Hus
e)ら、Science 246:1275、1989)。
【0071】RNAi経路成分の同定 RNAi経路成分を、下記の実施例に記載する方法を用いてC. エレガンス(C. el
egans)および他の動物(例えば、哺乳類)において同定することができる。経
路の成分をまた、当技術分野で公知の方法および本発明明細書に提供する情報を
用いて同定することができる。そのような成分には、タンパク質:タンパク質お
よびタンパク質:RNA相互作用に関係する成分が含まれる。特に、RDE-1を用いて
RDE-1タンパク質に結合し、それによって遺伝的干渉を促進するさらなるタンパ
ク質およびRNA分子を同定することができ。
【0072】 本明細書に記載のRNAi経路変異株(例えば、rde-1、rde-2、rde-3、rde-4、お
よびrde-5;またmut-2およびmut-7)を遺伝子スクリーニングにおいて用いて、
さらなるRNAi経路成分を同定することができる。例えば、rde-1活性を欠損する
株を変異誘発して、遺伝的干渉の回復に関してスクリーニングすることができる
。この種のスクリーニングによって、他の遺伝子における対立遺伝子特異的抑制
物質またはその活性を回復するrde-1遺伝子内での第二の部位変異を同定するこ
とができる。得られた株はRNAiを活性化してrde-1欠損を克服または回避する新
しい遺伝子を明らかにする可能性がある。これらの方法によって同定された変異
を用いて、対応する遺伝子配列を同定することができる。
【0073】 ツーハイブリッドスクリーニングも同様に用いて、RDE-1のようなRNAi経路タ
ンパク質に結合するタンパク質を同定することができる。RDE-1またはC. エレガ
ンス(C. elegans)RDE-1のヒト相同体と相互作用するタンパク質をコードする
遺伝子は、ツーハイブリッド法(フィールズ(Fields)およびソング(Song)、
1989、Nature 340:245〜246;チーン(Chien)ら、1991、Proc. Natl. Acad. S
ci. USA 88:9578〜9582;フィールズ(Fields)およびスタングランツ(Sterng
lanz)、1994、Trends Genet. 10:286〜292;バーテル(Bartel)およびフィー
ルズ(Fields)、1995、Methods Enzymol. 254:241〜263)を用いて同定される
。RDE-1タンパク質をコードするDNAをクローニングしてGAL4またはlexA DNA結合
領域を有するプラスミドから発現させて、GAL4活性化領域を有するプラスミドに
クローニングしておいたcDNAのライブラリーと共に、LacZおよびHIS3レポーター
構築物を有する細胞に同時形質転換する。そのような同時形質転換のために用い
られるライブラリーには、C. エレガンス(C. elegans)または脊椎動物胚細胞
から作製したライブラリーが含まれる。
【0074】RNAi経路成分の作用機序 RNAi経路に関連した特異的細胞機能には、dsRNAによる核酸の特異的ターゲテ
ィング、dsRNAの取り込み、dsRNAの輸送、dsRNAシグナルの増幅、および遺伝的
干渉が含まれる。干渉の機構は、翻訳の阻害、またはRNAプロセシングの干渉を
伴う可能性がある。さらに、対応する遺伝子に及ぼす直接作用が干渉に関与する
可能性がある。これらの機構は、本明細書に記載の方法および当技術分野で公知
の方法を用いて同定して調べることができる。
【0075】RNAi経路を阻害する分子のスクリーニング方法 RNAi経路の有効な阻害剤である化合物を同定するために、以下のアッセイ法を
設計する。そのような阻害剤は、例えばRDE-1ポリペプチド(例えば、C. エレガ
ンス(C. elegans)、マウス、またはヒト由来)との結合、RNAi経路成分に結合
する細胞内タンパク質、RNAi経路成分とdsRNAとの間を含むRNAi経路成分間の相
互作用を干渉する化合物、およびrde-1のようなRNAi経路遺伝子の活性または発
現を調節する化合物との結合によって作用する可能性があるが、これらに限定さ
れない。RNAi経路の阻害剤も同様に、導入遺伝子の発現を促進するために用いる
ことができる。
【0076】 アッセイ法はまた、RNAi経路遺伝子調節配列(例えば、プロモーター配列)に
結合し、それによって遺伝子発現を調節する分子を同定するために用いることが
できる。例えば、その全文が参照として本明細書に組み入れられる、プラット(
Platt、1994、J. Biol. Chem. 269:28558〜28562)を参照のこと。
【0077】 本明細書に記載の方法によってスクリーニングされうる化合物には、RNAi経路
タンパク質に結合する(例えばRDE-1に結合する)、またはその活性を任意の方
法で阻害するペプチド、および他の有機化合物(例えば、ペプチド模倣体)が含
まれるがこれらに限定されない。
【0078】 そのような化合物は、ペプチド、例えばランダムペプチドライブラリーのメン
バー(例えば、ラム(Lam)ら、1991、Nature 354:82〜94;ホーテン(Houghte
n)ら、1991、Nature 354:84〜86)、およびD-および/またはL-アミノ酸で構
成されるコンビナトリアル化学由来分子ライブラリー、ホスホペプチド(ランダ
ムのまたは部分的な縮重、方向付けされた(directed)ホスホペプチドライブラ
リーのメンバーを含むが、これらに限定されない;例えばソンヤン(Songyang)
ら(1993、Cell 72:767〜778)を参照のこと)を含むがこれらに限定されない
可溶性ペプチド、および低有機分子または無機分子を含んでもよいがこれらに限
定されない。
【0079】 有機分子をスクリーニングして、例えば、遺伝子の調節領域または転写因子と
相互作用することによってRNAi経路遺伝子(例えば、rde-1)の発現に影響を及
ぼす候補分子を同定する。化合物も同様にスクリーニングして、そのようなタン
パク質の活性(例えば、rde-1活性を阻害することによって)、または例えば、r
de-1の調節に関係する分子の活性に影響を及ぼす化合物を同定する。
【0080】 コンピューターモデリングまたは検索技術を用いて、RNAi経路タンパク質の発
現または活性を調節する化合物を同定、または化合物の改変を同定する。例えば
、タンパク質(例えば、RDE-1)の活性部位と相互作用する可能性がある化合物
を同定する。RNAi経路タンパク質の活性部位は、例えば、分子のアミノ酸配列の
分析、RNAi経路のその本来のリガンド(例えば、dsRNA)との複合体の研究を含
む、当技術分野で公知の方法を用いて同定することができる。化学的またはX線
結晶学的方法を用いて、dsRNAのような結合したリガンドの位置によってRNAi経
路タンパク質の活性部位を同定することができる。
【0081】 活性部位の三次元構造を決定する。これは、完全な分子構造を決定するために
用いてもよいX線結晶学を含む公知の方法を用いて行うことができる。固相また
は液相NMRを用いて特定の分子間距離を測定することができる。その他の構造分
析法を用いて、部分的または完全な幾何学構造を決定することができる。より正
確な活性部位構造決定を提供する可能性がある天然または人工リガンドに結合し
たRNAi経路タンパク質について、幾何学構造を決定することができる。
【0082】 コンピューターに基づく数値モデリングも同様に用いて、タンパク質構造(特
に活性部位の)を予測する、または不完全もしくは不十分に正確な構造を完全に
することができる。用いられうるモデリング法は、例えばタンパク質または核酸
のような特定の生体高分子に対して特異的なパラメータ化モデル、分子運動の計
算に基づく分子動態モデル、熱集合に基づく統計的力学モデル、または組み合わ
せモデルである。ほとんどの種類のモデルに関して、構成原子と基の間の力を表
す標準的な分子力の場が必要であり、物理化学において公知の力の場からモデル
を選択することができる。上記のように決定した不完全またはあまり正確でない
構造に関する情報は、これらのモデリング方法によって計算された構造を制限す
るものとして組み入れることができる。
【0083】 RNAi経路タンパク質(例えば、RDE-1)の活性部位の構造を実験的に、モデリ
ング、または構造の組み合わせによって決定した後、候補となる調節化合物をそ
の分子構造に基づく情報と共に化合物を含むデータベースを検索することによっ
て同定することができる。そのような検索において同定された化合物は、活性部
位構造と調和する、活性部位に適合する、または活性部位を定義する置換基と相
互作用する構造を有する化合物である。検索によって同定された化合物は、RNAi
経路調節化合物の可能性がある。
【0084】 これらの方法を同様に用いて、公知の調節化合物またはリガンドから改善され
た調節化合物を同定してもよい。公知化合物の構造を改変して、上記のように実
験的およびコンピューターモデリング法を用いてその作用を決定する。構造の変
化をRNAi経路タンパク質(例えば、RDE-1)の活性部位構造と比較して、リガン
ドまたは調節化合物に対する特定の改変が、そのタンパク質との相互作用にどの
ように影響を及ぼすかを決定または予測してもよい。側鎖を変化させることによ
るような組成物における系統的な変化を評価して、好ましい特異性または活性の
改変された調節化合物またはリガンドを得ることができる。
【0085】 RNAi経路タンパク質ならびに関連する形質導入および転写因子の活性部位の同
定に基づく調節化合物を同定するために有用なその他の実験およびコンピュータ
ーモデリング法は、当業者に明らかであると考えられる。
【0086】 分子モデリング系の例は、QUANTAプログラム、例えばCHARMm、MCSS/HOOK、お
よびX-LIGAND(モレキュラー・シミュレーションズ社、サンジエゴ、カリフォル
ニア州)である。QUANTAは構築、グラフィックモデリングを分析し、分子構造の
分析を行う。CHARMmは、エネルギーの最小化および分子力学機能を分析する。MC
SS/HOOKは、CHARMmによって計算されたエネルギー学を用いて活性部位のリガン
ド結合能の特徴を調べる。X-LIGANDはタンパク質リガンド複合体の電子密度にリ
ガンド分子を適合させる。これは同様に、分子の相互作用構築、改変、可視化、
および互いの挙動の分析を可能にする。
【0087】 特定のタンパク質と相互作用する化合物のコンピューターモデリングを論評す
る論文はさらなる手引きを提供しうる。例えば、ロチビネン(Rotivinen)ら(1
988、Acta Pharmaceutical Fennica 97:159〜166);リプカ(Ripka)(New Sc
ientist 6月16日号、1988、54〜57頁);マッキナリー(McKinaly)およびロス
マン(Rossmann)(1989、Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 29:111〜122);ペ
リー(Perry)およびデビーズ(Davies)(「QSAR薬物設計における定量的構造
活性相関(QSAR Quantitative Structure-Activity Relationship in Drug Desi
gn)」、189〜193頁、アランRリス社、1989);ルイス(Lewis)およびディーン
(Dean)(1989、Proc. R. Soc. Lond. 236:125〜140、141〜152);および核
酸成分に対するモデル受容体に関しては、アスキュー(Askew)ら(Am. J. Chem
. Soc. 111:1082〜1090)を参照のこと。化学物質をスクリーニングおよび描写
するために設計されたコンピュータープログラムは、MSI(上記)、アレリック
ス社(ミッシソーガ、オンタリオ州、カナダ)、およびハイパーキューブ社(ゲ
インズビル、フロリダ州)のような企業から販売されている。
【0088】 これらの応用は、そのほとんどが特定のタンパク質に対して特異的な薬物のた
めに設計されている;しかし、それらはDNAまたはRNAの同定された領域に対して
特異的な薬物を設計するために適合させることができる。本明細書に記載のプロ
トコールにおいて用いることができる化学ライブラリーには、例えば、アーキュ
ル社(メドフォード、マサチューセッツ州)およびオンコジーンサイエンス社(
ユニオンデール、ニューヨーク州)から販売されているものが含まれる。
【0089】 上記のように結合を変化させる化合物を設計および作製することの他に、天然
物、合成化学物質およびペプチドを含む生体活性材料を含む公知の化合物のライ
ブラリーを、本明細書において同定されたRNAi経路成分の阻害剤または活性化剤
である化合物に関してスクリーニングすることができる。
【0090】 上記の方法によって同定された化合物は、例えば、RNAi経路遺伝子産物(例え
ば、RDE-1)の生物機能を調べるため、およびRNAi経路タンパク質を伴う遺伝子
障害を治療するために用いることができる。本明細書に記載の化合物のような化
合物の有効性を調べるアッセイ法は後に詳しく記載する。
【0091】RNAi経路タンパク質に結合する化合物および遺伝子に結合する化合物のインビト ロスクリーニングアッセイ法 インビトロ系を用いて、RNAi経路タンパク質またはそれらのタンパク質をコー
ドする遺伝子(例えば、rde-1およびそのタンパク質産物)と相互作用する(例
えば、結合する)化合物を同定することができる。そのような化合物は、例えば
これらの実体の活性を調節するため、その生化学を調べるため、dsRNA媒介遺伝
的干渉の増加または減少が望ましい障害を治療するために、有用である。そのよ
うな化合物はまた、線虫を含む動物、特にヒトにおける疾患、例えば旋毛虫症、
べん虫症、およびトキソカラ症を治療するために有用でありうる。本明細書に記
載の化合物のような化合物には、線虫によって引き起こされる植物疾患を治療す
るために有用でありうる。これらの化合物は、正常な機能を破壊する化合物のス
クリーニングにおいて用いることができ、またはそれ自身正常機能を破壊する可
能性がある。
【0092】 RNAi経路タンパク質に結合する化合物を同定するアッセイ法は、2つの成分が
相互作用して結合し、このように除去および/または検出することができる複合
体を形成するために十分な条件でタンパク質と試験化合物との反応混合物を調製
する段階を伴う。
【0093】 スクリーニングアッセイ法は多数の方法を用いて行うことができる。例えば、
ある生物からのRNAi経路タンパク質(例えばRDE-1)、ペプチド、または融合タ
ンパク質を固相に固定して、試験化合物と反応させ、試験化合物の直接または間
接標識によって複合体を検出する。または、試験化合物を固定して、RNAi経路分
子と反応させ、複合体を検出する。マイクロタイタープレートを固相として用い
て、固定された成分を共有結合または非共有結合相互作用によって結合する。非
共有結合的接着は分子を含む溶液によって固相を被覆して乾燥させることによっ
て行ってもよい。または、抗体、例えばRDE-1のようなRNAi経路タンパク質に対
して特異的な抗体を用いて分子を固相に結合させる。そのような表面は、予め使
用前に調製して保存してもよい。
【0094】 これらのスクリーニングアッセイ法において、非固定成分を、2つの成分の間
に相互作用が起こるために十分な条件で、固定成分を含む被覆した表面に加える
。形成された任意の複合体が固相上に固定されたままとなる条件で非反応成分を
除去(例えば、洗浄によって)する。複合体の検出は、当業者に公知の多くの方
法によって行ってもよい。例えば、アッセイ法の非固定成分を放射活性または酵
素的物質によって予め標識して、適当な手段を用いて検出してもよい。非固定物
質を予め標識しない場合、間接法を用いる。例えば、非固定物質がRDE-1である
場合、RDE-1に対する抗体を用いて結合分子を検出し、二次標識抗体を用いて複
合体全体を検出する。
【0095】 または、反応は液相で行うことができ、反応産物を未反応成分から分離して、
複合体を検出する(例えば、RNAi経路タンパク質に特異的な固定抗体を用いて)
【0096】 細胞に基づくアッセイ法を用いて、RNAi経路タンパク質と相互作用する化合物
を同定することができる。そのようなタンパク質を天然に発現する、またはその
ようなタンパク質を発現するように遺伝子改変されている(例えば、rde-1 DNA
のトランスフェクションまたは形質導入によって)細胞株を用いることができる
。例えば、試験化合物を細胞培養に加えて、RANi経路遺伝子に由来するmRNAの量
を例えばノーザン分析によって分析することができる。そのような遺伝子から転
写されたRNAの量が、試験化合物を含まない対照培養と比較して増加すれば、試
験化合物がRNAi経路の阻害剤であることが示される。同様に、RNAi経路遺伝子に
よってコードされるポリペプチドの量、またはそのようなポリペプチドの活性を
、試験化合物の存在下および非存在下で分析することができる。ポリペプチドの
量または活性が増加すれば、試験化合物がRNAi経路の阻害剤であることが示され
る。
【0097】RNAi経路遺伝子の異所発現 変異体RNAi経路遺伝子(すなわち、遺伝的干渉を抑制するRNAi経路遺伝子)の
異所発現(すなわち、それが通常発現されない場所、または通常発現されない時
期での細胞におけるRNAi経路遺伝子の発現)を用いて、宿主生物における内因性
の干渉を遮断または減少させることができる。これは、例えばRNAi経路が導入遺
伝子の発現を干渉する場合に、導入遺伝子発現を増強するために有用である。こ
れを行うもう一つの方法は、当技術分野で公知の方法を用いてRNAi経路遺伝子を
ノックアウトまたは下方制御することである。これらの方法は、植物と動物(例
えば、線虫のような無脊椎動物、マウス、またはヒト)の両者において有用であ
る。
【0098】 RNAi経路遺伝子、例えばrde-1またはrde-4の異所発現はまた、RNAi経路を活性
化するために用いることができる。場合によっては、ターゲティングを用いて特
定の細胞種、例えば腫瘍細胞における経路を活性化することができる。例えば、
非ウイルスRNAi経路遺伝子構築物をインビボで特定の組織または臓器、例えば患
者の肝臓または筋肉にターゲティングすることができる。そのような構築物をタ
ーゲティングするための輸送系の例には、受容体が媒介する食作用、リポソーム
封入(上記)、または非ウイルス発現ベクターの直接挿入が含まれる。
【0099】 そのような一つの方法の例は、核酸のリポソーム封入である。インビボ遺伝子
移入の成功は、DNAを、例えばリポソームに封入された直鎖状構築物または環状
構築物として注入することによって得られる(レドリー(Ledley)、Human Gene
Therapy 6:1129〜1144(1995)、およびファーフード(Farhood)ら、Ann. NY
. Acad. Sci. 716:23〜35(1994))。この目的のために用いることができる多
くの陽イオンリポソーム両親媒物質が開発されている(レドリー(Ledley)、Hu
man Gene Therapy 6:1129〜1144(1995)、およびファーフード(Farhood)ら
、Ann. NY. Acad. Sci. 716:23〜35(1994))。
【0100】 標的とした遺伝子移入は、そのような方法を用いて起こることが示されている
。例えば、陽イオン脂質-DNA複合体の気管内投与は、気管支の内側に存在する上
皮細胞において遺伝子移入および発現をもたらすが示されている(ブリガム(Br
igham)ら、Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 8:209〜213(1993);およびカ
ノニコ(Canonico)ら、Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 10:24〜29(1994)
)。複合体を静脈内注射すると、肺組織および内皮において発現されることが報
告されている(ブリガム(Brigham)ら、Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 8:2
09〜213(1993);ズー(Zhu)ら、Science、261:209〜211(1993);スチュワ
ート(Stewart)ら、Human Gene Therapy 3:267〜275(1992);ナベル(Nabel
)ら、Human Gene Therapy 3:649〜656(1992);およびカノニコ(Canonico)
ら、J. Appl. Physiol. 77:415〜419(1994))。直線状のプラスミドまたはウ
イルスDNA型におけるRNAi経路配列の発現カセットを、陽イオン脂質とのイオン
相互作用によって濃縮して、インビボ輸送のための微粒子複合体を形成すること
ができる(スチュワート(Stewart)ら、Human Gene Therapy 3:267〜275(199
2))。
【0101】 その他のリポソーム剤形、例えば、ウイルス外被受容体タンパク質を含むプロ
テオリポソーム、すなわちビロソームは、直接注入すると肝細胞および腎細胞に
効率的に遺伝子を移入することが判明した(ニコラウ(Nicolau)ら、Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA 80:1068〜1072(1993);カネダ(Kaneda)ら、Science 24
3:375〜378(1989);マンニーノ(Mannino)ら、Biotechniques 6:682(1988
);およびトミタ(Tomita)ら、Biochem. Biophys. Res. Comm. 186:129〜134
(1992))。
【0102】 直接注入はまた、溶液またはリン酸カルシウム沈殿物のいずれかとして、例え
ば筋肉または肝臓にDNA発現ベクター中のRNAi経路核酸配列を投与するために、
用いられることができる(ウォルフ(Wolff)ら、Science 247:1465〜1468(19
90);アスカディ(Ascadi)ら、The New Biologist 3:71〜81(1991);およ
びベンベニスティ(Benvenisty)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:9551〜9
555(1986))。
【0103】RNAi剤の調製 RNAi経路成分を用いてRNAi剤を調製することができる。そのような物質は、処
理したdsRNAをRNAi経路において活性にすることができるRNAi経路成分によって
処理され、標的とした遺伝的干渉にとって有用な配列特異的干渉物質として用い
ることができるdsRNAである。特に、RDE-1およびRDE-4によってdsRNAを処理する
ことは、RNAi剤を作製するために有用である。RNAi剤は、RDE-1およびRDE-4の存
在下でインビトロでdsRNAをプレインキュベートすることによって産生すること
ができる。
【0104】 RNAi剤を調製するもう一つの方法は、標的細胞におけるrde-1コード配列およ
びrde-4コード配列の遺伝子導入によって、標的細胞(すなわち、腫瘍細胞のよ
うなRNAi経路を活性化することが望ましい細胞)におけるRNAi経路を活性化する
段階である。
【0105】 RNAi経路ポリペプチドは、例えば、親油性もしくはその他のヘルパー(helper
)基をポリペプチドに結合させることによって、細胞に取り込まれるタンパク質
もしくはその他の部分とのキメラを形成することによって、またはリポソームも
しくは当技術分野で公知の薬物輸送に関する他の技術を用いることによって、そ
の安定性もしくは細胞の取り込みを増強するように、改変することができる。
【0106】 C. エレガンス(C. elegans)において、RNAi剤は細胞から細胞へと伝幡する
ように思われ、したがって、活性RNAi剤は条件培地または血清から直接標的細胞
に拡散または能動輸送されうる。または、RNAi剤は生物または細胞に注入するこ
とができる。それらは、リポソームまたは当技術分野で公知の他のそのような方
法を用いて細胞に組み入れてもよい。
【0107】 そのような方法は、C. エレガンス(C. elegans)細胞、ならびに植物および
脊椎動物を含む異種細胞においてRNAi経路を刺激するために有用である。そのよ
うな方法は哺乳類、例えばヒト細胞において有用である。
【0108】カーゴ(cargo)化合物の輸送の増強 dsRNAの細胞および組織への輸送を媒介するRNAi経路成分を用いて、別の化合
物に結合したdsRNAを含む細胞および組織へのdsRNAの流入を促進することができ
る。方法は、dsRNAをカーゴ化合物(例えば、薬物またはDNA分子)に、例えば共
有結合によって結合させることによって行われる。dsRNA輸送機能を発現する内
因性RNAi経路遺伝子は、当技術分野で公知の方法を用いて活性化される。または
、輸送に影響を及ぼす遺伝子を標的細胞にトランスフェクトし、それによって細
胞または組織にdsDNAを取り込ませる段階のようなその他の方法を用いることが
できる。
【0109】実施例 本発明は、RNAi経路における変異を同定する方法、およびRNAi経路の成分をコ
ードする遺伝子を同定する方法を記述する以下の実施例においてさらに説明する
【0110】実施例1:株および対立遺伝子 ブリストル株N2を標準的な野生型株として用いた。用いたマーカー変異および
欠損は、以下のように染色体によって記載する:LGI:dpy-14(e188)、unc-13
(e51);LGIII:dpy-17(e164)、unc-32(e189);LGV:dpy-11(e224)、unc
-42(e270)、daf-11(m87)、eDf1、mDf3、nDf31、sDf29、sDf35、unc-76(e91
1)。C. エレガンス(C. elegans)株DP13を用いて、STS連鎖地図作成のための
ハイブリッドを作製した(ウィリアムス(Williams)ら、1992、Genetics 131:
609〜624)。
【0111】 RNAiに対する感受性は以下の株において調べた。MT3126:mut-2(r459)(ニ
ューハンプシャー州ダーラムのニューハンプシャー大学生化学分子生物学教室の
ジョン・コリンズ(John Collins)氏から得た);dpy-19(n1347)、TW410:mu
t-2(r459)、sem-4(n1378)、NL917:mut-7(pk204)、SS552:mes-2(bn76)
rol-1(e91)/mnCl(インディアナ大学生物学教室のストローム(S. Strome)氏
から得た)、SS449:mes-3(bn88)dpy-5(e61)(上記のストローム(S. Strom
e)氏から得た);hDp20、SS268:dpy-11(e224)mes-4(bn23)unc-76(e911)
/nTl、SS360:mes-6(bn66)dpy-20(e1282)/nTl、CB879:him-1(e879)。用
いた非Unc mut-6株は、unc-22におけるTcl挿入の喪失により、RW7096:mut-6(s
t702)unc-22(st192::Tcl)に由来した。
【0112】 mut-6、mes-2、3、4、6およびhim-1のホモ接合変異体は、pos-1 dsRNAの注入
によってRNAiに対する感受性を示した。注入したRNAの用量は約0.7 mg/mlであっ
た。この用量は、濃度の減少によって干渉作用が減少する範囲内である。pos-1
dsRNAをこれらの変異体に注入した結果は以下の通りであった(死亡胚/F1子孫
):mut-6:422/437、mes-2:781/787、mes-3:462/474、mes-4:810/814、mes-
6:900/1,002、him-1:241/248、N2(対照):365/393。
【0113】 変異物質活性を調べるために、Tc4トランスポゾン挿入によって引き起こされ
た変異体を用いた;TR1175:unc-22(r765::Tc4)。株TW410およびTR1175は、ボ
ーズ(Q. Boese)およびコリンズ(J. Collins)両氏からの寄贈であった(ニュ
ーハンプシャー州ダーラムのニューハンプシャー大学生化学分子生物学教室)。
【0114】実施例2:RNA干渉アッセイ法 マイクロインジェクションによって投与したRNAiを用いた遺伝的干渉は、ファ
イア(Fire)ら(1998)、上記およびロチェリュー(Rocheleau)ら(1997、Cel
l 90:707〜716)に記載されたように実施した。pos-1 cDNAクローンyk61hl、pa
r-2 cDNAクローンyk96h7、sqt-3 cDNAクローンyk75f2を用いてインビトロでdsRN
Aを調製した。これらのcDNAクローンは、C. エレガンス(C. elegans)cDNAプロ
ジェクト(Y. コハラ(Kohara)、遺伝子ネットワーク研究所、国立遺伝子学研
究所、三島411、日本)から得た。
【0115】 食餌によって投与したRNAiを用いた遺伝的干渉は、チモンズ(Timmons)およ
びファイア(Fire)(1998、Nature 395:854)に記載されるように実施した。p
os-1 cDNAを、頭-頭構造で配置された2つのT7プロモーター配列を含むプラスミ
ドにクローニングした。プラスミドを大腸菌(E. coli)株、BL21(DE3)に形質
転換し、形質転換した細菌を、60 μg/mlアンピシリンおよび80 μg/ml IPTGを
含むNGM(線虫増殖培地)プレートに播種する。細菌を室温で一晩増殖させて、p
os-1 dsRNAを誘導する。4℃で保存した播種したプレート(BL21(DE3)[dsRNA]
プレート)は2週間まで干渉の誘導に関して有効であった。RNAi感受性を調べる
ために、C. エレガンス(C. elegans)幼虫をBL21(DE3)[dsRNA]プレートに移
し、次世代において胚の致死性をアッセイした。
【0116】 unc-22に関する干渉RNAを発現するトランスジェニック株を、3つのプラスミド
の混合物を用いて操作した:pPD[L4218](myo-3プロモーターによって駆動され
る、unc-22アンチセンスセグメント);pPD[L4218](myo-3プロモーターによっ
て駆動される、unc-22センスセグメントに対応する);pRF4(半優性形質転換マ
ーカー)。注入した混合物におけるDNA濃度はそれぞれ、100 μg/mlであった。
注入は記述通りに行った(メロ(Mello)ら、1991、EMBO J. 10:3959);メロ
(Mello)およびファイア(Fire)(1995、Methods in Cell Biol. 48:451〜48
2)。
【0117】実施例3:RNAi欠損変異体の同定 変異集団へのdsRNAの大規模適用を可能にする、RNAi経路を欠損する変異体の
スクリーニング方法を考案した。虫にdsRNAを発現する大腸菌(E. coli)を与え
るか、または虫をdsRNA溶液に単に浸す段階は、いずれもC. エレガンス(C. ele
gans)における干渉を誘導するために十分である(チモンズおよびファイア(Ti
mmonsおよびFire)、1998、上記;タバラ(Tabara)ら、1998、Science 282:43
0〜431)。選択を行うために、必須遺伝子であるpos-1に関して干渉RNAを輸送す
るように給餌方法を最適化した。pos-1のセグメントに対応するdsRNAを発現する
細菌を摂取したC. エレガンス(C. elegans)の雌雄同体は、それ自身影響を受
けないが、明確なpos-1胚致死表現型を有する死亡胚を生じる。
【0118】 RNAi経路を欠損する株を同定するために、野生型動物を変異誘発して、戻し交
配し、生存可能な子孫の完全な同腹子を生じることができるまれな個体に関して
F2世代を調べた。化学的変異誘発を用いて、Tc1トランスポゾンが活性化されるm
ut-6株において生じた自然発生変異と共に、変異を作製した(モリ(Mori)ら、
1988、Genetics 120:397〜407)。変異に関するスクリーニングを容易にするた
めに、産卵開始株を用いた。産卵が行われない場合、F3子孫は母体のクチクラ内
に置かれたままであった。候補となる変異体は生存胚の内部孵化同腹子を有し、
したがって、主に死亡胚で満たされる個体のバックグラウンド集団とは容易に区
別された(図1A)。候補体は、注入したdsRNAに対する抵抗性に関して再度試験
した。
【0119】 RNAi経路変異体を単離するために用いた遺伝子スクリーニングは、母性効果変
異体の同定に関してジェームス・プライス(James R. Preiss)によって設計さ
れたスクリーニングと類似していた(ケンヒューズ(Kemphues)ら、1988、Cell
52:311〜320)。Egl株、lin-2(e1309)をEMSによって変異誘発し、F2世代をp
os-1 dsRNAを発現する細菌ローン(lawn)上で培養した。次に、特有の「虫の集
団(bag of worms)」表現型を形成する、生存可能な子孫の完全な同腹子を産生
することができるまれな個体に関して、変異誘発した集団をスクリーニングした
。動物が本当にRNAiに対して抵抗性であることを確認するために、次に、候補株
を注入によってRNAiに対する抵抗性に関してアッセイした。rde-1の独立したEMS
誘導対立遺伝子は、変異誘発した動物の異なる2つのプールにおいて、半数体ゲ
ノム2,000個〜4,000個中に対立遺伝子約1個の発生率で見出された。
【0120】 さらに、Tclトランスポゾンが活性化されるmut-6株を用いて自然発生変異体に
関する研究を行った(モリ(Mori)ら、1988)。mut-6:lin-2動物100,000個(メ
ロ(Mello)ら、1994)をpos-1 dsRNAを発現する細菌上で培養した。1世代増殖
させた後、生存動物をdsRNAを発現する細菌を有するプレートに再度移して、抵
抗性変異体に関してスクリーニングした。得られた株3つの遺伝地図を作成した
。これらの株の一つ(ne300)はLGVに地図作成され、rde-1(ne219)を補完でき
なかった。二つの株ne299およびne301は、LGIIIに地図作成され、rde-4補完群を
定義した。スクリーニングは本質的にクローン性であり、濃縮段階を伴うため、
双方のrde-4株が関連する可能がある。
【0121】 7株の変異株を遺伝地図作成のために選択した。これらの変異体7株は、以下の
4個の補完性群を明らかにする:rde-1、対立遺伝子3個、rde-4、対立遺伝子2個
、ならびにrde-2およびrde-3、それぞれ対立遺伝子1個。
【0122】 RNAi欠損変異の地図作成をするために、RNAi抵抗性表現型をpos-1 dsRNAを発
現する細菌を給餌するか、またはpos-1とunc-22のdsRNA混合物を注入するかのい
ずれかによってアッセイした。同じアッセイ法を補完試験にも用いた。unc-22 d
sRNAのインビボ発現も同様に、rde-1の地図作成に用いた。可視マーカー変異に
よる地図作成は、ブレナー(Brenner、1974、Genetics、77:71〜94)に記載通
りに実施し、およびSTSマーカーの地図作成はウィリアムス(Williams)ら(199
2、上記)に記載通りに実施した。
【0123】 ne219、ne297、およびne300は、互いに補完することができず、rde-1座を定義
した。rde-1変異はunc-42Vの近傍に地図作成された。3因子地図作成を用いて、u
nc-42/daf-11区間からの距離の8分の1にrde-1(ne300)位を特定した(分析した
Unc-non-Daf組換え体の3/24)。rde-1(ne300)対立遺伝子は、染色体欠損sDf29
を補完して、eDf1、mDf3、nDf31、およびsDf35を補完することができなかった。
rde-2(ne221)およびrde-3(ne298)は、unc-13Iの近傍に地図作成された。rde
-2は、rde-3を補完した。rde-4(ne299)および(n301)は、unc-69 IIIの近傍
に地図作成され、互いに補完することができなかった。ne299はmut-7(pk204)
を補完した。
【0124】 rde-1(+)活性は、母性体または受精体にとって十分である。母性十分性を調べ
るために、rde-1(ne219)に関してヘテロ接合である動物に受精体遺伝子をター
ゲティングするdsRNAを注入して、自己子孫をSqt表現型に関してアッセイした。
rde-1ホモ接合子孫を含む自己子孫の100%がSqt表現型を示すことが判明した。
このように、母性体から提供されたrde-1(+)活性は、受精体標的遺伝子の干渉を
媒介するために十分である。受精体の十分性は、ホモ接合rde-1母親に受精体unc
-22遺伝子をターゲティングするdsRNAを注入することによってアッセイした(図
3)。注入動物に自己子孫を産生させるか、そのかわりに12時間後に野生型雄性
体と交配させて、ヘテロ接合rde/+交配子孫を生じた。各種類の子孫を、図3に示
す分数によって示すように、unc-22収縮表現型に関して記録した(Unc子孫/総
子孫)。注入動物を野生型雄性体と交配させた。ホモ接合の注入した母性体由来
の自己子孫は影響を受けなかったが、交配子孫の68%がUncであった。この結果
は、受精体によって提供されたrde-1(+)活性も十分であることを示している。し
かし、野生型注入母性体からの子孫の100%がunc-22干渉を示したことから(606
/606)、母性体および受精体のrde-1(+)活性はいずれも受精体の干渉に関与した
。このように、rde-1(+)およびrde-4(+)活性は、dsRNAの取り込み、輸送、また
は安定性に必要ではない。
【0125】 いくつかの既存のC. エレガンス(C. elegans)変異体のRNAi感受性も同様に
調べた。これらの変異株のほとんどがRNAiに対して十分に感受性を示した。しか
し、RNAi抵抗性は、これまでトランスポゾン転移のレベルの上昇を示すことが示
された2つの株において同定された:mut-2(コリンズ(Collins)ら、1987、Nat
ure 328:726〜728に記載)およびmut-7(ケティング(Ketting)ら、Cell 10月
15日発売に向けて印刷中、1999に記載)。もう一つの変異誘発体株であるmut-6
(st702)もRNAiに対して十分感受性があった。変異誘発体株は変異を絶えず蓄
積するため、mut-2およびmut-7の抵抗性は二次変異の存在による可能性がある。
この可能性を調べるために、本発明者らは、mut-2およびmut-7の変異誘発物質と
RNAi抵抗性表現型との遺伝子連鎖を調べた。本発明者らは、個々に外部交配した
mut-2(r459)変異誘発体株TW410とMT3126がいずれもRNAiに対して抵抗性を示す
ことを発見した。本発明者らは、mut-7(pk204)のRNAi抵抗性表現型を、ケティ
ング(Ketting)ら(上記)によってmut-7(pk204)の変異誘発体活性に関して
定義されている位置である連鎖群IIIの中央に地図作成した(図1B)。併せて、
これらの知見は、mut-2とmut-7株のRNAi抵抗性表現型がその変異誘発体活性に遺
伝子連鎖していることを示している。rdeとmut対立遺伝子に関してヘテロ接合で
ある動物を、野生型雄性体とUnc-RdeまたはUnc-Mut雌雄同体とを交配することに
よって作製した。rdeおよびmut変異は、弱い優性であるように思われるmut-2(r
459)を除いて単純劣性変異であると思われた(図2A)。
【0126】 これらのデータはいくつかの遺伝子が必須ではないことを示している(例えば
、rde-1およびrde-4)。
【0127】 この方法を用いて、RNAi経路遺伝子におけるさらなる変異を同定することがで
きる。
【0128】実施例4:RNAi欠損変異体の特性の同定 生殖細胞系列および体細胞組織におけるrde変異の影響 マイクロインジェクションを用いて、いくつかの異なるdsRNA種に対する各rde
株の感受性をアッセイした。pos-1およびpar-2遺伝子は母性生殖細胞系列におい
て発現され、適切な胚発達を必要とする(タバラ(Tabara)ら、1999、Developm
ent 126:1〜11;ボイド(Boyd)ら、1996、Development 122:3075〜3084)。
調べた全てのrde-株(と共にmut-2およびmut-7)は、これらの生殖細胞系列特異
的遺伝子のdsRNAターゲティングと共に(図2B)、調べたいくつかの他の生殖細
胞系列特異的遺伝子に対して有意な抵抗性を示した。rde-3データ(図2Bにおけ
る星印)には、rde-3株に存在する10%の非特異的胚致死が含まれる。
【0129】 これらの変異が体細胞発現遺伝子の遺伝的干渉に及ぼす影響を調べるために、
クチクラコラーゲン遺伝子sqt-3および体筋肉構造遺伝子unc-22をターゲティン
グするdsRNAを細胞に注入した。sqt-3低次形態遺伝子変異体は短いずんぐりした
体型を示す(dpy;ファンデルケイル(van der Keyl)ら、1994、Dev. Dyn. 201
:86〜94)。unc-22変異は、明確な体収縮表現型を有する重度の麻痺を示す(モ
アマン(Moerman)ら、1986、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:2579〜2583)。
rde-1、rde-3、rde-4、およびmut-2株は、sqt-3およびunc-22 dsRNAの双方に対
して強い抵抗性を示したが、rde-2およびmut-7株は部分的抵抗を示した。このよ
うに、rde-2およびmut-7は、生殖細胞系列に対して有効なRNAiを必要とするが、
体細胞発現遺伝子は必要としないという点において、部分的に組織または遺伝子
特異的であるように思われた。rde-1、rde-3、rde-4、およびmut-2(+)活性は、
分析した全ての遺伝子に関して干渉にとって必要であるように思われた。rdeお
よびmut株は、sqt-2 dsRNAに対する感受性が互いに異なる。
【0130】 トランスポゾン転移に及ぼすrdeの影響 rde変異がトランスポゾン転移移動に及ぼす影響を調べた。新たに同定された
変異体2個、すなわちrde-2とrde-3は、mut-7と類似のトランスポゾン活性化レベ
ルを示した(表1)。対照的に、トランスポゾン転移は、rde-1またはrde-4の存
在下では認められなかった(表1)。
【0131】
【表1】 rde株およびmut株におけるトランスポゾン転移と雄性体発生率
【0132】 X染色体の喪失 変異誘発株(mut-2、mut-7、rde-2、およびrde-3を含む)は第二の表現型を示
す:高頻度の雄性体は、減数分裂の際のX染色体の喪失頻度の増加を反映する(
コリンズ(Collins)ら、1987、上記;ケティング(Ketting)ら、上記)。この
表現型は、rde-2およびrde-3株において認められたが、野生型と同じ雄性体の発
生率を示したrde-1およびrde-4株では認められなかった(表1)。
【0133】 これまでに記述された遺伝子沈黙化過程は、C. エレガンス(C. elegans)の
生殖細胞系列における導入遺伝子に作用するように思われる。沈黙化の機構は十
分に理解されていないが、それらは遺伝子mes-2、3、4および6の産物に依存する
ことが知られている(ケリー(Kelly)およびファイア(Fire)、1998、Develop
ment 125:2451〜2456)。RNAiおよび生殖細胞系列の導入遺伝子沈黙化が共通の
機構上の特徴を有する可能性を調べるために、本発明者らはまず、mes変異体がR
NAiに対して抵抗性であるか否かを調べた。本発明者らは、これらの株のそれぞ
れにおいてRNA干渉レベルが正常であることを発見した。次に本発明者らは、RNA
i欠損株が導入遺伝子沈黙化が欠損しているか否かを調べた。三つの株を分析し
た:mut-7(pk204)、rde-1(ne219)、およびrde-2(ne221)。
【0134】 mut-7虫における導入遺伝子の沈黙化を分析するために、様々なGFPリポーター
導入遺伝子を有するホモ接合mut-7系を以下のように作製した:N2(ブリストル
株)雄性体を、mut-7(pk204)unc-32(e189)雌雄同体と交配させた;次に、交
配子孫の雄性体を、GFP導入遺伝子を有する株と交配させた。これらの交配から
のmut-7 unc-32/++交配子孫をクローニングして、導入遺伝子を有するmut-7 unc
-32ホモ接合動物をその自己子孫から単離した。GFPリポーター導入遺伝子を異な
る遺伝的背景に導入した後、生殖細胞におけるGFP導入遺伝子発現の活性化を、
蛍光顕微鏡によって25℃でアッセイした。調べたGFPリポーター導入遺伝子はそ
れぞれいくつかまたは全ての体細胞組織において活性であったが、生殖細胞系列
では沈黙化した。用いたプラスミドおよび導入遺伝子の命名は以下の通りである
:1)広汎に発現される遺伝子、let-858へのGFPのインフレーム挿入を含む、pBK
48(ケリー(Kelly)ら、1997、Genetics 146:227〜238)。ccExPD7271は、染
色体外に保持される高コピー反復アレイにおいて100コピー以上のBK48を含む。2
)pJH3.92は、母性体のpie-1遺伝子とGFPとのインフレーム融合体である(M. ダ
ン(Dunn)およびG. セイドクッス(Seydoux)、ジョンズホプキンス大学、ボル
チモア、メリーランド州)。jhEx1070は、ケリー(Kelly)ら(1997、上記)の
技法によって作製された低コピーの「複雑な」染色体外アレイにおいてpJH3.92
を有する。pJKL380.4は、全ての組織において発現されるC. エレガンス(C. ele
gans)核ラミニン遺伝子、lam-1とGFPとの融合体である(J. リウ(Liu)および
A. ファイア(Fire))。ccIn4810は、標準的な技法を用いてγ線照射によってX
染色体に組み入れられた完全なアレイにおいて、pJKL380.4を有する。
【0135】 mut-7株をより広く分析すると、調べた3つの異なる生殖細胞系列導入遺伝子の
脱沈黙化を示すことが判明した(表2)。rde-2株は、単一の導入遺伝子に関して
類似の脱沈黙化レベルを示した。対照的に、rde-1変異体では導入遺伝子の脱沈
黙化を認められなかった(表2)。このように、トランスポゾン転移および高頻
度のX染色体喪失を有するという点でrde-1とは異なるmut-7およびrde-2はまた、
沈黙する生殖細胞系列導入遺伝子の部分的再活性化能においてもrde-1とは異な
る。
【0136】
【表2】 mut-7(pk204)の生殖細胞系列における沈黙化された導入遺伝子の再 活性化
【0137】実施例5:標的組織におけるrde-1(+)およびrde-4(+)活性の必要性 rde-1およびrde-4変異体は、本明細書に同定された他のRNAi欠損株とは、それ
らがトランスポゾン転移を引き起こさないのみならず、染色体喪失も引き起こさ
ないという点において異なる。dsRNAの取り込み、輸送または安定性のような上
流の事象におけるこれらの遺伝子の役割を調べた。そのような事象は、外因性の
誘発体RNAiによって誘導された干渉にとって必要となりうるが、RNAiの本来の機
能にとって必要でない可能性がある。これらの上流の事象を評価するために、rd
e-1およびrde-4ホモ接合体をdsRNAに曝露した。次世代を干渉に関して記録した
。unc-22をターゲティングするdsRNAをホモ接合rde-1およびrde-4雌雄同体の間
質細胞に注入し、注入動物を野生型の雄性体と交配させた(図3)。双方の株の
自己子孫は、標的遺伝子との干渉を示さなかった。しかし、rde-1/+およびrde-4
/+交配子孫に強力な干渉が存在した(図3)。これらの知見は、rde-1およびrde-
4変異体が、注入動物の注入部位(腸)から胚に、そしてその後得られた子孫の
組織に、干渉作用を輸送するための完全な機構を有することを示した。得られた
干渉の安定性は同様に、ホモ接合注入母性体が注入後数日間、影響を受けた交配
子孫を産生し続けることから、rde-1およびrde-4において正常であるように思わ
れた。
【0138】 rde-1およびrde-4変異体が、標的組織において直接発現されたdsRNAによって
引き起こされた干渉を阻害するか否かを調べるために、myo-3遺伝子からの筋特
異的プロモーター(ディブ(Dibb)ら、1989、J. Mol. Biol. 205:605〜613)
を用いて体壁筋肉における筋構造遺伝子unc-22の双方の鎖の発現を駆動した(モ
アマン(Moerman)ら、1986、上記;ファイア(Fire)ら、1991、Development 1
13:503〜514)。これらのプラスミドの混合物を注入した:[myo-3プロモーター
::unc-22アンチセンス]、[myo-3::unc-22センス]およびマーカープラスミド(pR
F4[rol-6(su1006gf)](メロ(Mello)ら、1991)。Uncトランスジェニック動
物の発生率をF1およびF2世代において追跡した。aUnc表現型は脆弱であった。こ
の導入遺伝子を有する野生型動物は、unc-22干渉と一致する強い収縮表現型を示
す。収縮表現型はrde-1およびrde-4変異体の双方によって強く抑制された(表3
)。unc-22(RNAi)に対していずれも感受性であるmut-7およびrde-2変異体は、
同様に筋肉いおけるプロモーター駆動unc-22干渉に対して感受性であった(表3
)。併せて考慮すると、これらの知見は、rde-1(+)およびrde-4(+)活性が干渉RN
Aの取り込みまたは安定性にとって必要であり、標的遺伝子において直接機能す
る可能性があることを示唆する。
【0139】
【表3】 導入遺伝子駆動干渉RNAに対するrde株およびmut株の感受性
【0140】実施例6:rde-1遺伝子の分子同定 rde-1遺伝子は、YACsおよびrde-1変異体を救出するコスミドを用いて、遺伝子
を含む可能性がある物理的遺伝子間隔を定義するために標準的な遺伝地図作成に
よってクローニングした。これらを用いてクローニングしたrde-1 cDNA配列およ
びクローニングしたrde-4配列を同定した。これらの方法はまた、本明細書にお
いて提供する変異株を用いて、rde-2、rde-3、およびrde-5の遺伝子を同定する
ために用いることができる。
【0141】 rde-1遺伝子をクローニングするため、この区間からのC. エレガンス(C. ele
gans)DNAを含む酵母の人工染色体クローン(YACs)を用いて、rde-1変異体表現
型を救出した。この分析を容易にするために、YACsを救出する候補体をunc-22(
RNAi)を発現するように設計されたプラスミドと同時注入した。rde-1座の近傍
に地図作成されるYACおよびコスミドクローンは、コールソン(A. Coulson)氏
から得た。rde-1(ne219)はYACクローン:Y97C12およびY50B5によって救出され
た。2つの重なり合うYACクローンは、F1およびF2トランスジェニック動物におけ
る特徴的な体の麻痺および収縮によってunc-22遺伝的干渉によって示されるよう
に、rde-1救出活性を提供した。対照的に、重なり合わないYACクローンは、救出
できず、100%の非収縮トランスジェニック株が得られた(図4A)。
【0142】 救出活性はさらに、2つの重なり合うコスミドクローン、すなわちコスミドC27
H6とT10A5に限定され、最終的にK08H10.7(配列番号:1;図5A〜5C)と呼ばれる
単一の遺伝子を含むと予想される単一の4.5 kbゲノムPCR断片に限定された。K08
H10.7 PCR産物は、野生型ゲノムDNAから増幅すると、強力な救出を生じた。この
救出は、3つの任意のrde-1対立遺伝子から増幅されたPCR断片を用いると大きく
減少し、rde-1コード領域における独自のNheI部位での4bp挿入によって消失した
。隣接する遺伝子C27H6.4からの野生型PCR産物も同様に、救出することができな
かった。
【0143】 rde-1変異株のそれぞれからのK08H10.7遺伝子の塩基配列を決定して、K08H10.
7におけるコード配列を変化させると予測される明確な点突然変異を同定した(
図4A)。これらの知見に基づき、rde-1は、K08H10.7遺伝子として同定すること
ができる。
【0144】 完全長のcDNA配列を、cDNAクローン、yk296b10およびyk595h5を用いてrde-1に
関して決定した。rde-1に関するcDNAクローンはY. コハラ(Kohara)氏(遺伝子
ネットワーク研究所、国立遺伝子研究所、三島411、日本)から得た。5'UTRの配
列をyk595h5上で決定したことを除き、コード領域および3' UTRのcDNA配列をyk2
96b10に関して決定した。rde-1 cDNAに関するGenBankアクセッション番号はAF18
0730(配列番号:2)である。rde-1 cDNA配列を用いて、予想翻訳産物(配列番
号:3)を作製し、これはRDE-1と呼ばれ、アミノ酸1020個からなる。RDE-1配列
を用いてGenBankを調べ、C. エレガンス(C. elegans)と共に他の動物および植
物における多数の関連遺伝子を同定した。この遺伝子ファミリーには少なくとも
23個の予想C. エレガンス(C. elegans)遺伝子が含まれ、そのいくつかは、保
存されたサブファミリーのメンバーであるように思われる。サブファミリー内に
おいて、保存はタンパク質全体に広がり、全てのファミリーメンバーは、非常に
保存されたカルボキシ末端領域を有する(図4B)。図4Bに示す遺伝子の他に、そ
の他の関連遺伝子には、ARGONAUTE(シロイヌナズナ(Arabidopsis))、SPCC73
6.11(S. ポンベ(S. pombe))、およびピーウィ(ショウジョウバエ(Drosoph
ila))が含まれる。RDE-1のN末端領域の一部は、同定された任意の関連遺伝子
と有意な類似性を示さなかった。この遺伝子ファミリー内には定義された機能的
モチーフは存在しないが、RDE-1を含むメンバーは、PSORT分析によって細胞質ま
たは核であると予測される(ナカイおよびホートン(Nakai および Horton)、1
999、Trends Biochem. Sci. 24:34〜36)。さらに、eIF2Cと命名される一つの
ファミリーメンバーは、ウサギ網赤血球溶解物から単離した細胞質タンパク質分
画の成分として同定されている。RDE-1タンパク質はウサギeIF2Cと最も類似する
。しかし、2つの他のC. エレガンス(C. elegans)ファミリーメンバーは、RDE-
1よりeIF2Cにかなり類似している(図4B)。RDE-1は、dsRNAに反応して翻訳開始
の配列特異的阻害を提供する可能性がある。
【0145】 rde-1変異は、rde-1(+)活性を減少または消失させる可能性があるように思わ
れる。2つのrde-1対立遺伝子ne219およびne297は、RDE-1タンパク質内にアミノ
酸置換を引き起こすと予測され、単純な機能喪失変異に関して予測されるものと
類似の頻度で同定された。rde-1(ne219)病変は、保存されたグルタミン酸をリ
ジンに変化させる(図4B)。rde-1(ne297)病変は、タンパク質の末端から4残
基めに位置する保存されていないグリシンをグルタミン酸に変化させる。第3の
対立遺伝子、ne300は最も強い分子病変を含み、タンパク質内の最も高度に保存
された領域の前に未成熟な停止コドンを引き起こすと予想される(図4Bにおいて
Q>オーカー(ochre))。rde-1(ne300)が最も強い機能喪失変異であるという
考え方と一致して、本発明者らは、染色体欠損に対してトランスで置くと、得ら
れた欠損トランスへテロ接合体はRNAi欠損であるが、さらなる表現型を示さない
ことを発見した。これらの知見は、rde-1対立遺伝子がRNAiにとって必要である
遺伝子に影響を及ぼすが、そうでなければ必須ではない単純な機能喪失変異であ
ることを示唆している。
【0146】 その上流の役割のRNA干渉(下記の実施例8〜10を参照のこと)のために、RDE-
1タンパク質およびその断片を用いて、RNAi剤として有用であるdsRNAを調製する
ことができる。
【0147】実施例7:RNAiの母性体の確立と父性体の伝幡 RNAiによって誘導された干渉作用が標的遺伝子との連鎖を示すか否かを調べる
ために(例えば、遺伝子または関連する染色質の可逆的変化に関係した)、RNAi
効果を有するF1雄性体が標的遺伝子を除去する染色体欠失を同様に有するような
株を構築した(図7B)。標的遺伝子との連鎖の場合、RNAi効果は優性因子として
伝幡されると考えられる。
【0148】 標的遺伝子に対する干渉作用の連鎖を調べる実験において、dsRNAの3つの異な
る種(pos-1 dsRNA、mom-2 dsRNA、またはsgg-1 dsRNA)を独立した実験におい
てC. エレガンス(C. elegans)に輸送した。dsRNAは、腸に挿入した針を通じて
注入によって輸送した。一般的に、T3およびT7ポリメラーゼを用いてインビトロ
でdsRNAを合成した。鋳型DNAをDNA分解酵素処理によってRNA試料から除去した(
37℃で30分)。センスおよびアンチセンスRNAの等量を混合し、アニーリングし
て、dsRNAを得た。1 mg/ml〜5 mg/mlの濃度のdsRNAを動物の腸に注入した。対照
実験において、RNAを合成するために用いられる直鎖状鋳型DNAプラスミドの混合
物は、0.2 mg/mlの濃度で雌雄同体の腸に注入した場合に、P0、F1、またはF2動
物における干渉を誘導できなかった。図7Aはこの実験を示す。親(P0)雌雄同体
の性腺は、図7Aに示すように対称的な前方および後方のU型の腕を有する。子宮
の中央に存在するいくつかの受精卵を図7Aに示す。長方形の成熟卵母細胞を子宮
に対して最も近位の性腺の腕に列をなして並んでいる。注入時にP0で存在する胚
は、影響を受けないF1子孫を生じた。注入したP0性腺の近位の腕に存在する卵母
細胞は、RNAi効果を遺伝するが、機能的な母性体mRNAも同様に有する(RNAiのF1
保有者)。
【0149】 保有体と影響を受けないF1子孫とが産生されるクリアランス期間後、注入した
P0は、注入したRNAによってターゲティングされる遺伝子の不活化に対応する表
現型を有する死亡F1胚のみを産生し始める(タバラ(Tabara)ら、1999、Develo
pment 126:1;C. ロチェリュー(Rocheleau)、1997、Cell 90:707)。可能性
がある干渉作用のF1およびF2保有体は、注入動物の同腹子内で同定された。雌雄
同体の場合、動物が標的とした座に関する母性体の機能喪失に対応する表現型を
有する死亡胚を少なくとも20%生じる場合に、保有体は「影響を受けた」と定義
された。雄性体の場合、保有体は、その交配子孫に影響を受けた少なくとも一個
の罹患F2雌雄同体を含む動物として、定義された。注入した3つのdsRNAのそれぞ
れに関する各世代において同定された保有体の総数を、アッセイした動物の総数
の分数として図7Aに示す。
【0150】 RNAiの遺伝子外遺伝を調べるために、欠失を遺伝して、したがって標的座のコ
ピーを有しない精子がF2世代に干渉作用を運ぶか否かを調べる実験を行った。po
s-1(RNAi)とpos-1座の染色体欠損の双方を有するF1の雄性体を作製した。pos-
1の欠損を有する染色体はまた、表現型的に非協調の(unc)欠損を輸送した。保
有体雄性体のF2子孫には2つの遺伝子型が含まれる:(+)染色体を遺伝する表現型
野生型動物、およびmDf3染色体を遺伝する表現型的に非協調の(Unc)子孫。こ
れらの実験において、欠損を有する精子は単に、F2雌雄同体子孫に対して野生型
精子と同様に干渉を輸送することが可能であった(図7B)。このように、標的座
は干渉作用の遺伝にとって必要ではなかった。
【0151】 驚くべきことに、雄性体はRNAiに対して感受性があり、その母性体から獲得し
たRNAiを遺伝して伝幡しうるが、雄性体に直接注入しても、試験したいくつかの
遺伝子に関してRNAiのF1への伝幡を引き起こすことができなかった。この種類の
プロトコールの例において、野生型の雄性体にターゲティングdsRNA:体筋構造
遺伝子unc-22、クチクラコラーゲン遺伝子sqt-3、母性体遺伝子pos-1およびsgg-
1を注入した。pes-10::gfp株の雄性体(セイドックス(Seydoux) G. およびダ
ン(Dunn)MA、1997、Development 124:2191〜2201)をgfp dsRNAに注入した。
注入した雄性体は、unc-22およびgfp dsRNAによって注入した雌雄同体と同じ程
度に影響を受けた。F1子孫または注入した雄性体においてRNAi干渉は検出されな
かった(試験された各RNAに関して記録した、40例〜200例のF1動物)。したがっ
て、RNAiのF1子孫への初回伝幡は、雌雄同体のみにおいて活性である機構を必要
とする可能性があるが、F2子孫へのその後の伝幡は雌雄同体および雄性体の双方
において活性である異なる機構を必要とする可能性がある。雌雄同体特異的段階
は、RNAi剤を増幅する母性体生殖細胞系列過程の存在を示す可能性がある。これ
らのデータは、C. エレガンス(C. elegans)の母性体の生殖細胞系列組織由来
からの抽出物をRDE-1およびRDE-4活性と共に用いて、RNAi剤を作製してその後増
幅してもよいことを示す。
【0152】 さらに、RNAi剤を増幅する生殖細胞系列因子を、RNAi欠損変異体表現型となる
変異によって同定することができる。そのような因子は、RNAi剤の効率的な増幅
のためのインビトロ系のさらなる成分として用いることができる。
【0153】実施例8:F1自己子孫における干渉に関する注入動物におけるrde-1、rde-2、mut -7、およびrde-4の野生型活性の十分性 rde-1、rde-2、rde-4、およびmut-7の活性が、それぞれF1およびF2世代におけ
る干渉に関して注入した雌雄同体において十分であるか否かを調べるために、こ
れらの遺伝子の野生型活性が注入動物に存在するがF1またはF2世代では存在しな
いように交配を設計した。F1世代における遺伝を調べるために、各変異体に関し
てヘテロ接合である(雌雄同体)母性体を(P0)を注入して、自己子孫(F1)を
産生させ、F1世代におけるホモ接合変異体子孫を遺伝的干渉に関して調べた(図
8A)。これを行うために、各遺伝子型部類、rde-1、unc-42/+;rde-2、unc-13/+
;mut-7、dpy-17/+;およびrde-4、unc-69/+(以下の対立遺伝子を本研究におい
て用いた:rde01(ne300)unc-42、rde-1(ne219)、rde-2(ne221)、rde-4(n
e299)、およびmut-7(pk2040))由来のヘテロ接合雌雄同体に、pos-1 dsRNAを
注入した。それぞれの場合において、連鎖したマーカー変異の存在によって区別
される2つの種類のF1自己子孫を干渉に関して記録した(図8A)。これらの実験
において、rde-1およびrde-4変異体F1子孫は、野生型と同等の強い干渉を示した
が、rde-2およびmut-7 F1子孫は干渉を示すことができなかった。対照実験にお
いて、ヘテロ接合(非注入)母性体からのホモ接合F1子孫に、pos-1 dsRNAを直
接注入した(図8B)。dsRNAを、非注入ヘテロ接合母性体のrde-1およびrde-4変
異体子孫に直接注入しても干渉は起こらなかった。このように、dsRNAをヘテロ
接合雌雄同体に注入すると、そうでなければRNAi抵抗性であるrde-1およびrde-4
変異体において遺伝子沈黙化を誘発する干渉作用の遺伝が起こったが、rde-2お
よびmut-7変異体F1子孫は抵抗性のままであった。
【0154】 本実験において、注入動物におけるrde-1(+)およびrde-4(+)の発現は、後の世
代における干渉にとって十分であった。
【0155】 これらのデータは、機能的rde-1およびrde-4遺伝子産物によってdsRNAを処理
すると、RNAi経路の残りを活性化する物質が産生されうることを示唆している。
【0156】実施例9:F1およびF2干渉におけるrde-1、rde-2、rde-4、およびmut-7に関する
要件 F2世代におけるRNAi遺伝子の遺伝的要件を調べるために、干渉作用を有すると
共に各それぞれの座;rde-1、rde-2、およびmut-7の一つの変異体コピーを有す
るF1雄性体子孫を作製した(図9A)。次に、これらの雄性体のそれぞれを、各対
応する変異体に関してホモ接合である非注入雌雄同体と戻し交配した(図9A)。
得られた交配子孫(F1)には、ヘテロ接合体50%およびホモ接合体50%が含まれ
、これらは連鎖マーカー変異の存在によって識別された。ヘテロ接合子孫は対照
として役立ち、それぞれの場合において、野生型動物において認められるものと
類似の頻度で干渉を示した(図9A)。これらの交配において、rde-2およびmut-7
ホモ接合F2子孫は干渉を示すことができず、このことは、これらの2つの遺伝子
の活性がF2世代における干渉にとって必要であることを示している。対称的に、
本発明者らは、ホモ接合rde-1 F2動物が野生型レベルのF2干渉を示すことを見出
した(図9A)。同一の交配によって作製した対照rde-1ホモ接合体は、F2世代に
おいてdsRNAと共に新たに試すと、pos-1::RNAiに対して完全に抵抗性であった。
これらの実験において、図9Aに示した交配によって作製したrde-1ホモ接合動物3
5例をpos-1 dsRNAを発現する細菌を給餌することによって試験し、類似の動物21
例をpos-1 dsRNAの直接注入によって試験した。試験した全ての動物はpos-1(RN
Ai)に対して抵抗性であった。このように、先の世代におけるrde-1活性は、rde
-1変異体F2動物において干渉を引き起こすために十分であるが、rde-2とmut-7の
野生型活性はF2動物では干渉のために直接必要であった。
【0157】 この実験において、注入動物におけるrde-1(+)およびrde-4(+)の発現は、後の
世代における干渉にとって十分であった。rde-2およびmut-7遺伝子の野生型活性
は、アッセイした全ての世代における干渉にとって必要であった。このように、
rde-2およびmut-7は、下流のみを必要とする可能性があるか、またはrde-1およ
びrde-4と共に機能する可能性がある。
【0158】 これらのデータは、適当に処理したdsRNAをRNAi剤として用いることができる
という考え方のさらなる根拠となる。
【0159】実施例10:rde-2、mut-7、またはrde-4の野生型活性を欠損する注入動物におけ
るRNA干渉を開始するためのrde-1活性の十分性 rde-2およびmut-7活性がrde-1と共に、または下流で機能するか否かを調べる
ために、これらの遺伝子の活性が連続的に存在する遺伝子交配実験を設計した(
図9B)。例えば、rde-1(+);rde-2(-)動物にpos-1 dsRNAを注入した後、交配し
てrde-1(-);rde-2(+)に関してホモ接合のF1雌雄同体を作製した。これらの実験
において、注入動物におけるrde-1(+)活性は、注入動物がrde-2またはmut-7変異
に関してホモ接合である場合でもF1干渉にとって十分であった(図10B)。対照
的に、注入動物におけるrde-1(+)活性は、注入動物がrde-4変異体に関してホモ
接合である場合では十分ではなかった(図10B)。このように、rde-1は、注入動
物においてrde-2およびmut-7とは独立して作用することができるが、rde-1およ
びrde-4は共に機能しなければならない。これらの知見は、rde-1とrde-4が遺伝
された干渉物質(すなわちRNAi剤)の形成において機能するが、rde-2とmut-7は
干渉にとって必要な後の段階で機能するというモデルと一致する。
【0160】 要約すると、上記の実施例は、C. エレガンス(C. elegans)生殖細胞系列に
おける遺伝子外干渉物質の形成および伝幡に関する遺伝的証拠を提供する。2つ
のC. エレガンス(C. elegans)遺伝子、rde-1とrde-4は、これらの遺伝子外物
質の形成にとって必要であるが、それらによって媒介される干渉にとっては必要
でないように思われる。対照的に、他の2つの遺伝子、rde-2およびmut-7の活性
は、干渉に関して下流を必要とするに過ぎない。
【0161】 これらの例は、rde-1およびrde-4遺伝子産物またはその相同体(例えば、哺乳
類由来の)を用いて、RNAi経路を活性化するために有効な物質を調製することが
できるという証拠を提供する。
【0162】実施例11:rde-4配列 rde-4遺伝子を、実施例6に記載の方法と類似の方法を用いてクローニングした
。核酸配列(配列番号:4)および予想アミノ酸配列(配列番号:5)を図10に示
す。
【0163】 rde-4核酸配列の分析は、これがdsRNA結合タンパク質と類似性を有するタンパ
ク質(RDE-4)をコードすることを示している。X1RBPA(配列番号:6;スイスプ
ロット:座TRBP_XENLA、アクセッション番号Q91836;エックマン(Eckmann)お
よびヤンチュ(Jantsch)、1997、J. Cell Biol. 138:239〜253)およびHSPKR
(配列番号:7;AAF13156.1;ウ(Wu)およびウィリアムズ(Williams)、1998
、J. Interferon Cytokine Res. 18:609〜616)、および共通配列(配列番号:
8)との相同性の例を図11に示す。このdsRNA結合領域ファミリーの全てのメンバ
ーにおいて認められる保存領域に対応する予想RDE-4タンパク質内に、3つの領域
が同定された。これらの領域はdsRNA結合領域の適切な折り畳みにとって重要で
あるように思われる。dsRNAヘリックスの骨格との相互作用にとって重要な保存
されたアミノ酸残基は、RDE-4を含むタンパク質ファミリーの全てのメンバーに
おいて認められる(図11における共通残基を参照)。このモチーフはdsRNAとの
一般的な非配列特異的相互作用を提供すると考えられる。RDE-4タンパク質は、
このタンパク質ファミリーにおけるdsRNA結合領域の集合にとって重要であると
考えられる保存されたタンパク質の折り畳みを含む。RDE-4において保存された
アミノ酸残基は、X1RBP dsRNA複合体の結晶構造においてdsRNAとの接触を形成す
る残基と同一である。これらの知見は、RDE-4がdsRNA結合活性を有する可能性が
あることを強く示唆する。
【0164】 RDE-4は一般的に任意のdsRNAと結合する可能性があるモチーフを含むことから
、およびRDE-4はRNAi剤の作製において上流で機能するように思われることから
、RDE-4タンパク質またはその断片を用いて任意のdsRNAをRNAi剤に変換できる。
dsRNA結合領域の他に、RDE-4はRNAi剤の形成を媒介する可能性がある他の機能的
領域を含む。これらの領域は、RDE-4とRDE-1との相互作用、またはdsRNAをRNAi
剤に変換する核酸分解酵素のような酵素との結合を提供する可能性がある。RNA
干渉におけるそのRNA結合機能のために、RDE-4タンパク質およびその断片を用い
て、RNAi剤を調製するために有用であるdsRNAを調製することができる。
【0165】実施例12:RNAi剤を作製するために必要であるRDE-1およびRDE-4の領域の同定 インビボおよびインビトロアッセイ法を用いて、RNAi剤の作製にとって重要な
RDE-1およびRDE-4における領域を同定する。インビボアッセイ法において、rde-
1およびrde-4を対応するC. エレガンス(C. elegans)変異株に導入遺伝子によ
って導入する(タバラ(Tabara)ら、Cell 99:123(1999);および実施例13)
。RDE-1およびRDE-4における重要な機能的領域は、RNAi欠損表現型の救出に関し
て調べるために、タンパク質を系統的に変化させた後に変異体動物に再導入する
ことによって定義される。一連の入れ子状の欠失を、rde-1およびrde-4の双方に
関する救出活性に関して分析する。特異的点突然変異を用いて、特異的アミノ酸
の重要性を分析する。RDEタンパク質と関連タンパク質および遺伝子の間にキメ
ラを作製する。例えば、虫またはヒトのRDE-1相同体からのコード配列を、そのr
de-1変異体救出能に関して調べる。RDE-4 dsRNA結合モチーフを異なるRNA結合モ
チーフ、例えば特異的ウイルスdsRNA配列またはssRNA配列を認識するモチーフに
置換すると、RNAi反応の特異性を変化させ、おそらく配列特異的またはssRNA誘
導遺伝子ターゲティングを引き起こすと考えられる。インビトロアッセイ法の一
つの形において、rde-1またはrde-4欠損虫株由来の全タンパク質抽出物を用いる
【0166】 次に、組換え型RDE-1またはRDE-4を加えて抽出物を再構築する。変化したRDE-
1およびRDE-4タンパク質(上記、欠失、点突然変異体およびキメラを含む)をイ
ンビトロで作製して、これらの抽出物に戻した場合にそれらが機能するか否かを
調べる。RNAi活性は、再構築された抽出物を動物に直接注入することによって、
または加えたインビトロ合成標的mRNAの破壊に関してアッセイすることによって
分析する。
【0167】実施例13:rde-4動物の救出 RNAi経路の変異体である動物(例えば、C. エレガンス(C. elegans))の救
出は、機能的ポリペプチド、例えば、変異表現型を消失させうるポリペプチドを
コードするRNAi経路遺伝子からの配列を同定する有用な方法である。
【0168】 rde-4変異体動物を同定するそのような方法の例は以下の通りである。転写解
読枠(T20G5.11;図12に示す)の1kb上流および500ヌクレオチド下流に存在する
プライマーを用いるPCRを用いて、C. エレガンス(C. elegans)ゲノムDNAからr
de-4遺伝子を増幅する。次に、得られたPCR産物をタバラら(Tabara、Cell 99:
123(1999)、その全文が参照として本明細書に組み入れられる)に記載される
リポーター構築物と共に注入して、注入動物の子孫をRNAi欠損表現型の救出に関
してアッセイする。PCR産物はまた、RDE-4の特定部位変異誘発分析のためにプラ
スミドベクターにクローニングすることができる(実施例12参照)。そのような
野生型RDE-4プラスミドと変化した誘導体との同時注入を用いて、rde-4の機能的
領域を特定することができる。類似の方法を用いて、rde-1およびその他のRNAi
経路成分の機能的領域を同定することができる。
【0169】その他の態様 本発明は、その詳細な説明と共に記述してきたが、先の記述は、本発明を説明
するためであって本発明の範囲を制限するようには意図されておらず、それらは
添付の特許請求の範囲によって定義される。その他の局面、長所および改変は以
下の請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 rde変異体を同定するために用いられる遺伝学的機構を示す。
【図1B】 rde変異およびmut変異の遺伝地図作成からのデータを要約する
図である。垂直の棒は染色体;LGI、LGIII、およびLGVを表す。参照遺伝子マー
カーを各染色体の右側に表示し、rdeおよびmut対立遺伝子の相対的な遺伝的位置
を左側に示す。
【図2A】 マイクロインジェクションによるRNAiに対するrdeおよびmut株
の感度を測定する実験の、グラフによる表示である。各グラフの上段のRNA種は
、高濃度(pos-1:7mg/ml、par-2:3mg/ml、sqt-3:7mg/ml)で注入した。注入
を行った株を左側に示し、水平方向の棒グラフは遺伝的干渉を示す子孫の割合を
反映している。用いたUncマーカー変異体も示す。F1子孫の%胚致死率を黒い棒
グラフとして記し、影響を受けた子孫の分画を各グラフの右側に示す。
【図2B】 rdeおよびmut対立遺伝子に関してホモ接合である動物は、母性
発現遺伝子をターゲティングするRNAi、すなわちpos-1およびpar-2に対して抵抗
性であることを示す実験の、グラフによる表示である。F1子孫の%胚致死率を黒
い棒グラフとして記し、影響を受けた子孫の比を各グラフの右側に示す。
【図3】 体筋肉構造遺伝子をターゲティングするdsRNAであるunc-22の注
入を受けたホモ接合rde-1(ne219)およびrde-4(ne299)変異体母性体の概略図
である。
【図4A】 rde-1領域の物理的地図の略図である。救出に関して陽性であ
ったC.エレガンス(C. elegans)YACおよびコスミドDNAを星印によって示す。コ
スミドT10A5およびC27H6の間の重なりによって定義される最小の25 kbの救出区
間を示す、拡大した区間の図をYACとコスミド地図の下に示す。この配列区間内
の予想される遺伝子を、線影付きの線の上下に示す。KO8H10.7予想遺伝子を含む
単一の救出4.5 kb PCR断片を拡大して示す。エキソンおよびイントロン(囲み/
線)境界を示すと共に、予想コード配列におけるrde-1点突然変異の位置を示す
【図4B】 RDE-1の予想配列図および4つの関連するタンパク質との整列図
である。配列はRDE-1(C. エレガンス(C. elegans);GenBankアクセッション
番号AF180730)、F48F7.1(C. エレガンス(C. elegans);GenBankアクセッシ
ョン番号Z69661)、elF2C(ウサギ:GenBankアクセッション番号AF005355)、ZW
ILLE(シロイヌナズナ(Arabidopsis);GenBankアクセッション番号AJ223508)
およびスティング(ショウジョウバエ(Drosophila);GenBankアクセッション
番号AF145680)である。RDE-1との同一性を黒で示し、相同体間の同一性は灰色
で示す。
【図5A〜5C】 5'非翻訳領域の最初のヌクレオチドからポリアデニル部
位までのrde-1遺伝子に対応するコスミドKO8H10(GenBankアクセッション番号Z8
3113.1;配列番号:1)由来のゲノム配列の図である。
【図6A〜6D】 5'非翻訳配列(5'UTR)を構成する最初の20ヌクレオチ
ドを含むrde-1(配列番号:2)のcDNA配列と、rde-1によってコードされる予想
アミノ酸配列(RDE-1;配列番号:3)の図である。ヌクレオチド配列は、翻訳領
域の最初のヌクレオチドから始めて番号をつける。
【図7A】 野生型雌雄同体にdsRNAを注入するプロトコールの説明である
【図7B】 RNAiの遺伝子外遺伝を示す遺伝機構の図である。示した分数は
、それぞれの遺伝子型の種類について記録した交配子孫の総数で割った、RNAiの
影響を受けたF2雌雄同体の数を表す。表現型的に非協調の(Unc)。
【図8A〜8B】 rde-1、rde-2、rde-4およびmut-7の野生型活性が、注入
された動物においてF1自己子孫における干渉に関して、十分であるか否かを決定
するための遺伝機構の図である。(A)はヘテロ接合雌雄同体の交配を示す;(B
)はヘテロ接合母性体からのホモ接合F1子孫を用いる交配を示す。示した分数は
、各遺伝子型の種類について記録した交配子孫の総数で割った、RNAiの影響を受
けた動物の数を表す。
【図9A】 rde-1、rde-2、rde-4およびmut-7の野生型活性が、注入された
動物においてF1自己子孫における干渉に関して十分であるか否かを決定するため
の遺伝機構の実験を表す。示した分数は各遺伝子型の種類について記録した交配
子孫の総数で割った、RNAiの影響を受けた動物の数を表す。
【図9B】 F2(図10A)およびF1(図10B)干渉におけるrde-1、rde-2、rd
e-4、およびmut-7に関する要件を決定するために設計された実験を表す。示した
分画は、各遺伝子型の種類について記録した交配子孫の総数で割った、RNAiの影
響を受けた動物の数を表す。
【図10A〜10B】 C.エレガンス(C. elegans)の野生型rde-4核酸配
列のcDNA配列(配列番号:4)および予想RDE-4アミノ酸配列(配列番号:5)の
図である。*はあいまいな塩基指定を示す。
【図11】 予想RDE-4アミノ酸配列、X1RBPA(配列番号:6)、HsPKR(配
列番号:7)、および共通配列(配列番号:8)の間の相同性領域の図である。α
ヘリックスおよびβプリーツシート構造の予想領域を示すRDE-4の予想二次構造
も同様に示す。
【図12】 rde-4の救出に関する機構を示す。
【手続補正書】
【提出日】平成14年11月22日(2002.11.22)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0163
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0163】 rde-4核酸配列の分析は、これがdsRNA結合タンパク質と類似性を有するタンパ
ク質(RDE-4)をコードすることを示している。X1RBPA(配列番号:11;スイス
プロット:座TRBP_XENLA、アクセッション番号Q91836;エックマン(Eckmann)
およびヤンチュ(Jantsch)、1997、J. Cell Biol. 138:239〜253)およびHSPK
R(配列番号:12;AAF13156.1;ウ(Wu)およびウィリアムズ(Williams)、199
8、J. Interferon Cytokine Res. 18:609〜616)、および共通配列(配列番号
:8)との相同性の例を図11に示す。このdsRNA結合領域ファミリーの全てのメン
バーにおいて認められる保存領域に対応する予想RDE-4タンパク質内に、3つの領
域が同定された。これらの領域はdsRNA結合領域の適切な折り畳みにとって重要
であるように思われる。dsRNAヘリックスの骨格との相互作用にとって重要な保
存されたアミノ酸残基は、RDE-4を含むタンパク質ファミリーの全てのメンバー
において認められる(図11における共通残基を参照)。このモチーフはdsRNAと
の一般的な非配列特異的相互作用を提供すると考えられる。RDE-4タンパク質は
、このタンパク質ファミリーにおけるdsRNA結合領域の集合にとって重要である
と考えられる保存されたタンパク質の折り畳みを含む。RDE-4において保存され
たアミノ酸残基は、X1RBP dsRNA複合体の結晶構造においてdsRNAとの接触を形成
する残基と同一である。これらの知見は、RDE-4がdsRNA結合活性を有する可能性
があることを強く示唆する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 rde変異体を同定するために用いられる遺伝学的機構を示す。
【図1B】 rde変異およびmut変異の遺伝地図作成からのデータを要約する
図である。垂直の棒は染色体;LGI、LGIII、およびLGVを表す。参照遺伝子マー
カーを各染色体の右側に表示し、rdeおよびmut対立遺伝子の相対的な遺伝的位置
を左側に示す。
【図2A】 マイクロインジェクションによるRNAiに対するrdeおよびmut株
の感度を測定する実験の、グラフによる表示である。各グラフの上段のRNA種は
、高濃度(pos-1:7mg/ml、par-2:3mg/ml、sqt-3:7mg/ml)で注入した。注入
を行った株を左側に示し、水平方向の棒グラフは遺伝的干渉を示す子孫の割合を
反映している。用いたUncマーカー変異体も示す。F1子孫の%胚致死率を黒い棒
グラフとして記し、影響を受けた子孫の分画を各グラフの右側に示す。
【図2B】 rdeおよびmut対立遺伝子に関してホモ接合である動物は、母性
発現遺伝子をターゲティングするRNAi、すなわちpos-1およびpar-2に対して抵抗
性であることを示す実験の、グラフによる表示である。F1子孫の%胚致死率を黒
い棒グラフとして記し、影響を受けた子孫の比を各グラフの右側に示す。
【図3】 体筋肉構造遺伝子をターゲティングするdsRNAであるunc-22の注
入を受けたホモ接合rde-1(ne219)およびrde-4(ne299)変異体母性体の概略図
である。
【図4A】 rde-1領域の物理的地図の略図である。救出に関して陽性であ
ったC.エレガンス(C. elegans)YACおよびコスミドDNAを星印によって示す。コ
スミドT10A5およびC27H6の間の重なりによって定義される最小の25 kbの救出区
間を示す、拡大した区間の図をYACとコスミド地図の下に示す。この配列区間内
の予想される遺伝子を、線影付きの線の上下に示す。KO8H10.7予想遺伝子を含む
単一の救出4.5 kb PCR断片を拡大して示す。エキソンおよびイントロン(囲み/
線)境界を示すと共に、予想コード配列におけるrde-1点突然変異の位置を示す
【図4B】 RDE-1の予想配列図および4つの関連するタンパク質との整列図
である。配列はRDE-1(C. エレガンス(C. elegans);GenBankアクセッション
番号AF180730)、F48F7.1(C. エレガンス(C. elegans);GenBankアクセッシ
ョン番号Z69661)、elF2C(ウサギ:GenBankアクセッション番号AF005355)、ZW
ILLE(シロイヌナズナ(Arabidopsis);GenBankアクセッション番号AJ223508)
およびスティング(ショウジョウバエ(Drosophila);GenBankアクセッション
番号AF145680)である。RDE-1との同一性を黒で示し、相同体間の同一性は灰色
で示す。
【図5A〜5C】 5'非翻訳領域の最初のヌクレオチドからポリアデニル部
位までのrde-1遺伝子に対応するコスミドKO8H10(GenBankアクセッション番号Z8
3113.1;配列番号:1)由来のゲノム配列の図である。
【図6A〜6D】 5'非翻訳配列(5'UTR)を構成する最初の20ヌクレオチ
ドを含むrde-1(配列番号:2)のcDNA配列と、rde-1によってコードされる予想
アミノ酸配列(RDE-1;配列番号:3)の図である。ヌクレオチド配列は、翻訳領
域の最初のヌクレオチドから始めて番号をつける。
【図7A】 野生型雌雄同体にdsRNAを注入するプロトコールの説明である
【図7B】 RNAiの遺伝子外遺伝を示す遺伝機構の図である。示した分数は
、それぞれの遺伝子型の種類について記録した交配子孫の総数で割った、RNAiの
影響を受けたF2雌雄同体の数を表す。表現型的に非協調の(Unc)。
【図8A〜8B】 rde-1、rde-2、rde-4およびmut-7の野生型活性が、注入
された動物においてF1自己子孫における干渉に関して、十分であるか否かを決定
するための遺伝機構の図である。(A)はヘテロ接合雌雄同体の交配を示す;(B
)はヘテロ接合母性体からのホモ接合F1子孫を用いる交配を示す。示した分数は
、各遺伝子型の種類について記録した交配子孫の総数で割った、RNAiの影響を受
けた動物の数を表す。
【図9A】 rde-1、rde-2、rde-4およびmut-7の野生型活性が、注入された
動物においてF1自己子孫における干渉に関して十分であるか否かを決定するため
の遺伝機構の実験を表す。示した分数は各遺伝子型の種類について記録した交配
子孫の総数で割った、RNAiの影響を受けた動物の数を表す。
【図9B】 F2(図10A)およびF1(図10B)干渉におけるrde-1、rde-2、rd
e-4、およびmut-7に関する要件を決定するために設計された実験を表す。示した
分画は、各遺伝子型の種類について記録した交配子孫の総数で割った、RNAiの影
響を受けた動物の数を表す。
【図10A〜10B】 C.エレガンス(C. elegans)の野生型rde-4核酸配
列のcDNA配列(配列番号:4)および予想RDE-4アミノ酸配列(配列番号:5)の
図である。*はあいまいな塩基指定を示す。
【図11】 予想RDE-4アミノ酸配列、X1RBPA(配列番号:11)、HsPKR(配
列番号:12)、および共通配列(配列番号:8)の間の相同性領域の図である。
αヘリックスおよびβプリーツシート構造の予想領域を示すRDE-4の予想二次構
造も同様に示す。
【図12】 rde-4の救出に関する機構を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/435 C12N 15/00 ZNAA 16/18 A61K 37/02 C12N 5/10 C12N 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),AU,CA,J P,KR (72)発明者 メロー クレイジ シー. アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 シ ュレウスバリー ライアン ロード 19 (72)発明者 ファイヤー アンドリュー アメリカ合衆国 メリーランド州 バルチ モア ブライト リーフ ウェイ 2320 (72)発明者 田原 浩昭 アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ウ ースター オリエント ストリート 145 (72)発明者 グリショック アラー アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 シ ュレウスバリー シュレウスバリー グリ ーン ドライブ 18ケイ Fターム(参考) 4B024 AA20 BA80 CA02 CA11 DA02 GA12 HA17 4B065 AA90X AA90Y AB01 BA01 CA24 4C084 AA02 AA06 AA07 AA13 BA01 BA08 BA22 BA23 DC01 NA14 ZB212 ZC022 4H045 AA10 AA11 AA20 BA10 CA50 FA74

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核酸分子がGenBankアクセッション番号AF180730の核酸配列
    (配列番号:2)もしくはその相補体(complement)、または配列番号:1記載の
    核酸配列もしくはその相補体と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズす
    る、RDE-1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸
    分子。
  2. 【請求項2】 核酸がrde-1変異を補完(complement)できる、請求項1記載
    の単離された核酸。
  3. 【請求項3】 ヌクレオチド配列が配列番号:3のアミノ酸配列をコードす
    る、請求項1記載の単離された核酸。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の単離された核酸によってコードされる、実質
    的に純粋なRDE−1ポリペプチド。
  5. 【請求項5】 RDE-1ポリペプチドに特異的に結合する抗体。
  6. 【請求項6】 RNAi経路の活性を低下させる段階を含む、細胞において導入
    遺伝子(transgene)の発現を増強する方法。
  7. 【請求項7】 rde-2の発現または活性を低下させる、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 核酸分子が、配列番号:4の核酸配列またはその相補体と高
    ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、RDE-4ポリペプチドをコード
    するヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
  9. 【請求項9】 核酸がrde-4変異を補完できる、請求項8記載の単離された核
    酸。
  10. 【請求項10】 ヌクレオチド配列が配列番号:5のアミノ酸配列をコード
    する、請求項8記載の単離された核酸。
  11. 【請求項11】 請求項8記載の単離された核酸によってコードされる、実
    質的に純粋なRDE-4ポリペプチド。
  12. 【請求項12】 RDE-4ポリペプチドに特異的に結合する抗体。
  13. 【請求項13】 RDE-1タンパク質およびRDE-4タンパク質の存在下でdsRNA
    をインキュベートする段階を含む、RNAi剤(agent)を調製する方法。
  14. 【請求項14】 RNAi剤のdsRNA成分が遺伝子にターゲティングされる(tar
    geted)、RNAi剤を細胞に導入する段階を含む、遺伝子の活性を阻害する方法。
  15. 【請求項15】 細胞が外因性のRNAi配列を含む、請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 外因性のRNAi配列がRDE-1ポリペプチドまたはRDE-4ポリペ
    プチドである、請求項14記載の方法。
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