JP2003214516A - トロイダル変速機構 - Google Patents
トロイダル変速機構Info
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- JP2003214516A JP2003214516A JP2002015531A JP2002015531A JP2003214516A JP 2003214516 A JP2003214516 A JP 2003214516A JP 2002015531 A JP2002015531 A JP 2002015531A JP 2002015531 A JP2002015531 A JP 2002015531A JP 2003214516 A JP2003214516 A JP 2003214516A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 パワーローラがトラニオン部材から外れ落ち
ることがなく、且つ、トラニオンアセンブリ全体の強度
および剛性を向上させる。 【解決手段】 入出力ディスク110,210の間に挟
持されるトラニオンアセンブリ150がパワーローラ1
53およびトラニオン部材151から構成される。トラ
ニオン部材151は、揺動軸方向両端において揺動自在
に支持される一対の軸受け部152と、軸受け部を一体
に繋いで形成されてパワーローラを回転自在に支持する
支持平面151cおよび支持側面151dを有する支持
部と、支持部に支持されたパワーローラを挟んで支持部
の両端を連結して取り付けられた補強部材157とから
構成される。パワーローラ153および補強部材157
の対向面にそれぞれ凹部153bおよび凸部157aが
形成され、凸部と凹部とを緩嵌合させて支持部に対して
パワーローラをその回転軸と直角な方向に所定量の相対
移動を許容した状態で支持部と補強部材との間に保持す
る。
ることがなく、且つ、トラニオンアセンブリ全体の強度
および剛性を向上させる。 【解決手段】 入出力ディスク110,210の間に挟
持されるトラニオンアセンブリ150がパワーローラ1
53およびトラニオン部材151から構成される。トラ
ニオン部材151は、揺動軸方向両端において揺動自在
に支持される一対の軸受け部152と、軸受け部を一体
に繋いで形成されてパワーローラを回転自在に支持する
支持平面151cおよび支持側面151dを有する支持
部と、支持部に支持されたパワーローラを挟んで支持部
の両端を連結して取り付けられた補強部材157とから
構成される。パワーローラ153および補強部材157
の対向面にそれぞれ凹部153bおよび凸部157aが
形成され、凸部と凹部とを緩嵌合させて支持部に対して
パワーローラをその回転軸と直角な方向に所定量の相対
移動を許容した状態で支持部と補強部材との間に保持す
る。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同一回転軸上で相
対回転自在に且つ対向して配設された入力ディスクおよ
び出力ディスクの間にトラニオンアセンブリを揺動自在
に挟持して構成されるトロイダル変速機構に関する。 【0002】 【従来の技術】このようなトロイダル変速機構におい
て、トラニオンアセンブリは、入出力ディスクの対向面
間に挟持されるパワーローラと、このパワーローラを回
転自在に支持するとともに入出力ディスクの回転軸と直
角な方向の揺動軸を中心として揺動自在なトラニオン部
材とから構成されており、トラニオン部材の揺動により
パワーローラと入出力ディスクとの接触半径方向位置を
変更し、入力ディスクの回転を無段階に変速して出力デ
ィスクに伝達する制御を行うように構成されている。こ
のような構成のトロイダル変速機構は従来から知られて
おり、例えば、特開平7−198014号公報、特開2
001−227611号公報、特開2001−3043
66号公報等に開示されている。 【0003】ここで、上述のようにして無段変速制御を
行うためにはトラニオン部材を揺動させる制御が必要で
ある。これは、トラニオン部材をその揺動軸方向に押圧
することにより行われるが、このとき、トラニオン部材
が揺動軸方向に若干移動されるためこれに対応してパワ
ーローラは揺動軸に直角な方向へ若干の相対移動するこ
とが可能なように構成することが求められる。この相対
移動を許容するため、特開平7−198014号公報、
特開2001−227611号公報(特に、図3参照)
に開示のトロイダル変速機構においては、パワーローラ
をトラニオン部材に対してリニアベアリングを介して支
持する構成を採用している。また、特開2001−30
4366号公報に開示のトロイダル変速機構において
は、パワーローラを回転自在に支持する回転支持軸(先
半部9b)にこれと一体で且つ偏心した揺動支持軸(基
半部9a)を設け、揺動支持軸をトラニオン部材により
回転自在に支持し、回転支持軸により回転自在に支持さ
れたパワーローラを揺動支持軸を中心として揺動させて
上記相対移動を許容する構造を採用している。なお、特
開2001−304366号公報に開示のトロイダル変
速機構においては、トラニオン部材の揺動軸方向両側を
パワーローラを挟んで連結する連結部材が取り付けられ
て、トラニオン部材が補強されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、パワーロー
ラをトラニオン部材に対してリニアベアリングを介して
支持する構成の場合には、パワーローラが入出力ディス
クにより挟持されてトラニオン部材に対して押し付けら
れた状態、すなわち、トロイダル変速機構としてアセン
ブリされた状態においては、パワーローラはリニアベア
リングを介してトラニオン部材に確実に支持されるが、
トラニオンアセンブリが組み付けられる前の状態では、
パワーローラはトラニオン部材から外れ落ちる状態にあ
る。このため、トラニオンアセンブリの組み付け作業が
非常に難しいという問題がある。 【0005】一方、特開2001−304366号公報
に開示のトロイダル変速機構のように、パワーローラを
回転自在に支持する回転支持軸と一体の揺動支持軸をト
ラニオン部材により回転自在に支持する構成の場合に
は、回転支持軸にパワーローラを回転自在に取り付ける
とともに揺動支持軸をトラニオン部材に回転自在に取り
付ける構成であるため、パワーローラがトラニオンから
外れ落ちるという問題はない。しかしながら、回転支持
軸によりパワーローラを回転自在に支持するためにパワ
ーローラに回転支持軸を挿入させる軸孔を形成する必要
があるため、パワーローラの強度、剛性が低下するとい
う問題がある。また、揺動支持軸をトラニオン部材に回
転自在に取り付けるためにトラニオン部材に揺動支持軸
を挿入させる軸孔を形成する必要があるため、トラニオ
ン部材の強度、剛性が低下するという問題がある。 【0006】本発明はこのような問題に鑑みたもので、
トラニオンアセンブリ単独の状態でパワーローラがトラ
ニオン部材から外れ落ちるおそれがなく、且つ、トラニ
オンアセンブリ全体の強度および剛性を向上させること
ができるような構成のトロイダル変速機構を提供するこ
とを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】このような目的達成のた
め、本発明においては、同一回転軸上で相対回転自在に
且つ対向して配設された入力ディスク(例えば、実施形
態における第1および第2入力ディスク110,21
0)および出力ディスク(例えば、実施形態における第
1および第2出力ディスク120,220)の間にトラ
ニオンアセンブリを揺動自在に挟持して構成されるトロ
イダル変速機構において、トラニオンアセンブリ(例え
ば、実施形態における第1〜第4トラニオンアセンブリ
150,160,250,260)を、入出力ディスク
の対向面間に挟持されるパワーローラと、入出力ディス
クの間における上記同一回転軸に直角な面内を延びる揺
動軸上で揺動自在なトラニオン部材とから構成し、さら
に、トラニオン部材を、揺動軸方向両端において揺動自
在に支持される一対の軸受け部と、これら軸受け部を一
体に繋いで形成されるとともにパワーローラを回転自在
に支持する支持部(例えば、実施形態における支持平面
151cおよび支持側面151d)と、支持部に支持さ
れたパワーローラを挟んで支持部の両端を連結して取り
付けられた補強部材とから構成している。そして、パワ
ーローラおよび補強部材の互いに対向する面のいずれか
一方に凸部を形成するとともに他方に凹部を形成し、こ
れら凸部と凹部とを緩嵌合させて支持部に対してパワー
ローラをその回転軸と直角な方向に所定量の相対移動を
許容した状態で支持部と補強部材との間に保持するよう
に構成されている。 【0008】このような構成の本発明に係るトロイダル
変速機構によれば、パワーローラおよび補強部材の互い
に対向する面に形成された凸部と凹部との緩嵌合により
パワーローラがトラニオン部材に保持されるため、トラ
ニオンアセンブリ単独の状態でパワーローラがトラニオ
ン部材から外れ落ちるおそれがない。これにより、パワ
ーローラをトラニオン部材に対してリニアベアリングに
より支持する構成を採用してもトラニオンアセンブリの
組み付け作業が難しくなることがない。また、このよう
にリニアベアリングによる支持構成を採用することによ
り、トラニオン部材に揺動軸を挿入するための軸孔を形
成する必要がなく、トラニオン部材の強度、剛性を高め
ることができる。 【0009】なお、リニアベアリング上にアンギュラー
ボールベアリングを介してパワーローラを回転自在に支
持する構成を採用することが可能であり、このように構
成すれば、パワーローラに回転軸を挿入するための軸孔
を形成する必要がなくなり、パワーローラの強度、剛性
を高めることができる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について、図面を参照して説明する。本発明に係るトロ
イダル変速機構を有して構成される無段変速機の動力伝
達経路構成を図1に示している。この無段変速機は、マ
スダンパーMDを介して駆動源としてのエンジン(図示
せず)の出力シャフトに繋がる変速機入力シャフト20
を備え、変速機入力シャフト20に伝達されるエンジン
の回転駆動力を変速して出力側(例えば、駆動輪)に伝
達する。変速機入力シャフト20はトロイダル無段変速
機構CVTと繋がり、且つベルト機構BMを介して動力
伝達機構TMと繋がる。また、トロイダル無段変速機構
CVTの出力ギヤが動力伝達機構TMと繋がり、トロイ
ダル無段変速機構CVTの出力回転駆動力およびベルト
機構BMにより伝達された回転駆動力が動力伝達機構T
Mにより集合されて終減速機FDに伝達され、終減速機
FDから左右の駆動輪(図示せず)に伝達されるように
構成されている。 【0011】まず、トロイダル無段変速機構CVTにつ
いて説明する。この無段変速機構CVTは、図2に詳細
に示すように、変速機入力シャフト20の上に並列に配
設された第1および第2トロイダル変速ユニット10
0,200を備える。すなわち、この無段変速機構CV
Tはダブルキャビティ型のトロイダル無段変速機構から
構成される。なお、第1および第2トロイダル変速ユニ
ット100,200は同一構成であるので、対応する構
成部材については下二桁が同一となる番号を付して示し
ている。 【0012】第1トロイダル変速ユニット100は、断
面が半円状となる半ドーナッツ状の内面110aを有し
た第1入力ディスク110と、この内面110aに対し
て軸方向に対向するとともに断面が半円状となる半ドー
ナッツ状の内面120aを有した第1出力ディスク12
0と、第1入力および第1出力ディスク110,120
の内面110a,120aに囲まれた第1キャビティ1
30内に配設され、これら内面110a,120aと当
接した状態で挟持された一対の第1および第2トラニオ
ンアセンブリ150,160とから構成される。なお、
これらトラニオンアセンブリ150,160(但し、図
2は断面方向が図1と相違するため、トラニオンアセン
ブリ150のみ示されている)は両ディスク110,1
20の回転軸を挟んで対向する位置、すなわち、回転軸
を挟んで対称となる位置に配設されている。 【0013】第1入力ディスク110および第1出力デ
ィスク120は変速機入力シャフト20の上にこれと同
軸に互いに対向して配設されており、第1入力ディスク
110は変速機入力シャフト20一体に形成されてお
り、これと一体回転する。一方、第1出力ディスク12
0は変速機入力シャフト20上に相対回転自在に配設さ
れ、第1出力ディスク120の外周には第1出力ディス
クギヤ121が形成されている。 【0014】第2トロイダル変速ユニット200は、第
1トロイダル変速ユニット100に対して軸方向左右対
称となって構成されており、半ドーナッツ状の内面21
0aを有した第2入力ディスク210と、この内面21
0aに対して軸方向に対向するとともに半ドーナッツ状
の内面220aを有した第2出力ディスク220と、こ
れら内面210a,220aに囲まれた第2キャビティ
230内に挟持された一対の第3および第4トラニオン
アセンブリ250,260とから構成される。両ディス
ク210,220は変速機入力シャフト20の上にこれ
と同軸に互いに対向して配設されており、第2入力ディ
スク210は変速機入力シャフト20に結合されてこれ
と一体回転する。一方、第2出力ディスク220は変速
機入力シャフト20上に相対回転自在に配設され、且つ
第1出力ディスク120と連結されて一体回転する。な
お、第2出力ディスク220の外周に第1出力ディスク
ギヤ121と同一歯数の第2出力ディスクギヤ221が
やま歯ギヤから構成されている。 【0015】変速機入力シャフト20の入力側と反対側
端部(図2の左側端部)に押圧ピストン215が取り付
けられており、この押圧ピストン215が第2入力ディ
スク210の端部に形成されたシリンダ部210a内に
軸方向に摺動自在に嵌入されている。このため、変速機
入力シャフト20内の油通路孔を介してシリンダ部21
0a内にローディング用油圧を作用させて油圧ピストン
215に対して第2入力ディスク210を右方(第2出
力ディスク220の方)に押圧することができる。ここ
で、図2に示すように、第1入力ディスク110が変速
機入力シャフト20と一体に形成されており、一方、第
2入力ディスク210と第1および第2出力ディスク1
20,220とはそれぞれ変速機入力シャフト20の上
に軸方向に移動可能に取り付けられている。このため、
上記のようにシリンダ部210a内のローディング用油
圧を受けて第2入力ディスク210が右方向に押圧され
ると、この押圧力に対応する軸方向の力で、第1入出力
ディスク110,120の間に第1および第2トラニオ
ンアセンブリ150,160を挟持し、第2入出力ディ
スク210,220の間に第3および第4トラニオンア
センブリ250,260を挟持する。 【0016】このような構成のトロイダル無段変速機構
CVTにおける変速作動は、第1〜第4トラニオンアセ
ンブリ150,160,250,260をそれぞれの傾
転揺動軸O1(図2の紙面に垂直に延びる軸)を中心と
して傾転揺動させて行われる。その構造を、図1の矢印
III-IIIに沿った断面図である図3を参照して第1トロ
イダル変速ユニット100について説明する。なお、第
2トロイダル変速ユニット200の基本構造は第1トロ
イダル変速ユニット100と同一であるので、以下にお
いては基本的には第1トロイダル変速ユニット100を
代表して説明し、第2トロイダルユニット200におけ
る説明は省略する。 【0017】第1トロイダル変速ユニット100を構成
する第1および第2トラニオンアセンブリ150,16
0は変速機入力シャフト20の回転中心軸(第1入力お
よび第1出力ディスク110,120の回転中心軸でも
ある)を挟んで対称となる位置に配設されている。第1
および第2トラニオンアセンブリ150,160は第1
および第2支持部材30,40に支持されたトラニオン
部材151,161を有する。トラニオン部材151,
161はともに、後述するように図3において左右方向
(y方向)に揺動移動可能である。また、トラニオン部
材151,161は、左右トラニオン軸受け部152,
152および162,162において、それぞれベアリ
ング152a,152aおよび162a,162aを介
して両支持部材30,40により支持され、第1および
第2支持部材30,40に対して傾転揺動軸O1を中心
として傾転揺動可能となっている。 【0018】各トラニオン部材151,161の端部に
は駆動ロッド151b,161bを介してピストン部1
51a,161aが連結されており、ピストン部151
a,161aを嵌入させて油圧シリンダ機構145,1
46が構成されている。油圧シリンダ機構145,14
6は制御油圧を受けて作動され、ピストン部151a,
161aを軸方向(y方向)に押圧させるものであり、
この押圧力によりトラニオン部材151,161が駆動
ロッド151b,161bを介して軸方向(y方向)に
押圧移動されるように構成されている。 【0019】以上のように構成される第1および第2ト
ラニオンアセンブリ150,160は同一構成であるの
で、第1トラニオンアセンブリ150を代表して図4に
示しており、この図に基づいて第1トラニオンアセンブ
リ150の構成を説明する。但し、第2トラニオンアセ
ンブリ160、さらに第3,第4トラニオンアセンブリ
250,260については第1トラニオンアセンブリ1
50と同一構成であるため、これらの説明は省略する。 【0020】第1トラニオンアセンブリ150は、上記
トラニオン部材151のトラニオン軸受け部152,1
52の間に揺動軸O1から偏心するとともにこれと平行
に延びる支持面151cと、支持平面151cの軸方向
端部にこれに直角で且つ揺動軸O1に対しても直角に延
びる支持側面151d,151dとからなる支持部が形
成されている。この支持部を図4の矢印V−Vに沿って
断面して図5に示しており、この支持部にリニアベアリ
ング155が設けられている。リニアベアリング155
は、多数の第1ニードルローラ156aをその軸がy方
向に延びるようにして平面ケージ部155aにより回転
自在に保持するとともに、平面ケージ部155aの両端
において直角に折れ曲がった側面ケージ部155b,1
55bによりそれぞれ多数の第2ニードルローラ156
bをその軸がz方向(紙面に垂直な方向)に延びるよう
にして回転自在に保持して構成され、第1ニードルロー
ラ56aが支持平面151cの上に当接し、第2ニード
ルローラ56bが支持側面151dに当接するようにし
て配設されている。 【0021】図4に示すように、このリニアベアリング
155の上にアンギュラーボールベアリング154が配
設されており、さらにアンギュラーボールベアリング1
54の上にパワーローラ153が配設されている。アン
ギュラーボールベアリング154のレース部材はリニア
ベアリング155の内部形状に合わせた矩形形状に形成
されており、その下面が第1ローラベアリング156a
の上に載置され、両側面が第2ローラベアリング151
dとそれぞれ当接する。このため、アンギュラーボール
ベアリング154は、支持平面151cの上をリニアベ
アリング155により支持されて、図5および図6に示
すx方向に移動自在で、y方向には移動が拘束された状
態となる。なお、図5に示すように、リニアベアリング
155の平面ケージ部155aには矩形状の開孔155
cが形成され、アンギュラーボールベアリング154の
レース部材の下面に形成された矩形状突起154bがこ
の開孔155c内に突出して嵌合している。 【0022】アンギュラーボールベアリング154のレ
ース部材の上面には、支持平面151cに垂直に延びる
回転中心軸O2を中心とする円形状に配列されて複数の
ボール154aが回転自在に取り付けられており、この
上にパワーローラ153が配設されている。このため、
パワーローラ153はアンギュラーボールベアリング1
54により回転中心軸O2の回りを回転自在となって支
持される。この結果、パワーローラ153は、トラニオ
ン部材151の支持部に、x方向に移動自在で、y方向
の移動は構成され、回転中心軸O2を中心として回転自
在に支持される。なお、パワーローラ153の上面には
球面状の接触面153aが形成されており、第1入出力
ディスク110,120に第1トラニオンアセンブリ1
50が挟持されたときに、接触面153aが第1入出力
ディスク110,120の内面110a,120aと当
接する。 【0023】トラニオン部材151の支持部両端部が支
持平面151cに対して垂直に延びて連結突起151
e,151eが形成されている。そして、これら連結突
起151e,151eを連結するとともに、上記のよう
にリニアベアリング155およびアンギュラーボールベ
アリング154を介して支持部に配設されたパワーロー
ラ153を覆って補強部材157がボルト158により
図示のように取り付けられている。ここで、図4および
図6から良く分かるように、パワーローラ153の接触
面153aの中央に形成された平面部に円形状の凹部1
53bが形成されている。一方、補強部材157の下面
(パワーローラ153と対向する面)には略楕円状の凸
部157aが形成されており、この凸部157aがパワ
ーローラ153の凹部153b内に突出して緩嵌合して
いる。また、パワーローラ153と補強部材157とは
近接している。 【0024】この結果、補強部材157とトラニオン部
材151との間ににリニアベアリング155およびアン
ギュラーボールベアリング154を介して支持部に配設
された状態でパワーローラ153が緩やかに挟持されて
保持され、これが外れ落ちることがない。なお、凸部1
57aはy方向に長く、x方向に短い楕円形状であり、
円形状の凹部153b内に緩嵌合された状態で、補強部
材157(およびトラニオン部材151)に対してパワ
ーローラ153はx方向にある程度相対移動可能であ
り、上述したリニアベアリング155による移動を凸部
157aと凹部153bとの隙間分だけ許容する。ま
た、補強部材157の覆い部157bによってパワーロ
ーラ153の球面状接触面153aが緩やかに挟持され
て保持されてもいる。すなわち、補強部材157に対す
るパワーローラ153のx方向の相対移動は、凸部15
7aと凹部153bとの隙間分および覆い部157bと
球面状接触面153aとの隙間分のいずれか小さな方に
対応して許容している。なお、y方向に対しては若干の
相対移動が可能であるが上述のようにリニアベアリング
155において移動は規制されている。 【0025】以上の構成の第1トロイダル変速ユニット
100において、上述した油圧シリンダ機構145,1
46によりトラニオン部材151,161をy方向に押
圧移動させると、パワーローラ153,163と入出力
ディスク110,120との接触点における両者の回転
速度方向に差が生じ、この回転速度方向を一致させる方
向の力が傾転揺動方向に発生し、トラニオン部材15
1,161が傾転揺動軸O1を中心として傾転揺動され
る。なお、このとき、リニアベアリング155によりパ
ワーローラ153がx方向に移動して自動調芯される。
その結果、パワーローラ153,163は入力および出
力ディスク110,120の間に挟持されたまま内面1
10a,120aに沿って傾転揺動、すなわち、図1の
面内において傾転揺動軸O1を中心として傾転揺動す
る。なお、この場合において、油圧シリンダ機構14
5,146によりトラニオン部材151,161をy方
向に押圧移動させるときに必要な移動量は僅かであり、
押圧力を維持している限りトラニオン部材151,16
1を傾転揺動させ続けることができる。 【0026】以上のように、油圧シリンダ機構145,
146によりトラニオン部材151,161をy方向に
スムーズに押圧移動させてパワーローラ153,163
を入力および出力ディスク110,120の間に挟持さ
れたままその内面110a,120aに沿って傾転揺動
させると、パワーローラ153,163と入力ディスク
110との接触点の位置および出力ディスク120との
接触点の位置が変動する。この結果、変速機入力シャフ
ト20が回転駆動されて入力ディスク110が回転駆動
されたときにパワーローラ153,163を介して回転
される出力ディスク120の回転速度がパワーローラ1
53,163の傾転揺動に応じて無段階に変化する。 【0027】以上のようにパワーローラ153,163
を介して入力ディスク110から出力ディスク120に
回転駆動力を変速して伝達するときに、パワーローラ1
53,163に作用する力を、第一トラニオンアセンブ
リ150を例にして、図7〜図9を参照して説明する。
パワーローラ153が入出力ディスク110,120に
挟まれたときの接触点が点A,Bとなるときの外力を図
に示しており、入出力ディスク110,120からの挟
持力によりこれら接触点A,Bには接触面153aに対
する法線方向に垂直な荷重が作用し、そのy方向および
z方向成分を矢印ay,byおよび矢印az,bzとして示
している。なお、この挟持力は変速機入力軸方向に作用
するものであり、x方向成分を有していない。但し、こ
のとき同時に回転動力伝達を行っているため、入力ディ
スク110からのトルクを出力ディスク120に伝達す
るために、接触点A,Bの摩擦力に相当するトラクショ
ン力以下の接線方向(x方向)荷重ax,bxをパワーロ
ーラ153が接触点A,Bに受ける。 【0028】その結果、接触点A,Bにはそれぞれ、矢
印で示す力ax,ay,azの合力および力bx,by,bz
の合力として、図7および図8に太線の矢印で示す合力
aおよびbがパワーローラ153に作用する。そして、
このような合力a,bを受けたパワーローラ153の弾
性変形を図8に二点鎖線で誇張して示しており、楕円状
に弾性変形される。但し上述のように、本実施形態のパ
ワーローラ153は、従来のような回転軸を挿入するた
めの軸孔を有さない中実形状のため、強度および合成が
高く、この弾性変形量を小さく抑えることができる。 【0029】上記合力a,bを合成した合力cを図9に
太線矢印で示しており、このようにパワーローラ153
に作用する合力cはアンギュラーボールベアリング15
4およびリニアベアリング155を介してトラニオン部
材151により支持される。この合力Cは図示のように
揺動軸O2に対して若干傾く方向になり、スラスト力成
分を有するが、これをアンギュラーボールベアリング1
54により受け止めて、パワーローラ153を回転自在
に支障無く支持することかできる。 【0030】以上の説明から分かるように、トロイダル
無段変速機構CVTにおいて、第1〜第4トラニオンア
センブリ150,160,250,260の傾転揺動制
御により無段変速制御が行われる。このようにして、変
速機入力シャフト20の回転が無段変速されて出力ディ
スク120,220に伝達されるのであるが、この出力
ディスク120,220の外周に形成された第1および
第2出力ディスクギヤ121,221は動力伝達機構T
Mを構成する第1ギヤ71に噛合し、変速された回転駆
動力が動力伝達機構TMに伝達される。 【0031】動力伝達機構TMは、図1から良く分かる
ように、変速機入力シャフト20と平行に配設された第
1〜第7カウンターシャフトCS1〜CS7と、これら
カウンターシャフト上に配設された第1〜第9ギヤ71
〜79と、IVTクラッチ65と、トルクスプリットク
ラッチ66と、ダイレクトクラッチ87と、変速プラネ
タリギヤ機構80とから構成される。第1カウンターシ
ャフトCS1には第1および第2ギヤ71,72が固設
されており、第1ギヤ71は第1および第2出力ギヤ1
21,221と噛合する(図2参照)。第2カウンター
シャフトCS2には第8ギヤ(終減速駆動ギヤ)78が
固設されるとともにダイレクトクラッチ87の一端側部
材と繋がっている。なお、ダイレクトクラッチ87の一
端側部材には変速プラネタリギヤ機構80を構成するリ
ングギヤ84が設けられている。 【0032】第3カウンターシャフトCS3は第2カウ
ンターシャフトCS2の上に相対回転自在に配設されて
いる。第3カウンターシャフトCS3には第2ギヤ72
と噛合する第3ギヤ73と変速プラネタリギヤ機構80
を構成するサンギヤ81が固設されており、ダイレクト
クラッチ87の他端側部材と繋がっている。ダイレクト
クラッチ87は一端側部材と他端側部材とを係脱自在に
連結するものであり、ダイレクトクラッチ87により第
2および第3カウンターシャフトCS2,CS3の係脱
が制御される。 【0033】第4カウンターシャフトCS4は第3カウ
ンターシャフトCS3の上に相対回転自在に配設されて
いる。第4カウンターシャフトCS4には第4ギヤ74
および第6ギヤ76が固設されるとともに変速プラネタ
リギヤ機構80を構成するキャリア82が取り付けられ
ている。このキャリア82にはピニオンギヤ83が回転
自在に保持され、ピニオンギヤ83はサンギヤ81およ
びリングギヤ84と図示のように噛合する。すなわち、
変速プラネタリギヤ機構80はシングルピニオンタイプ
のプラネタリギヤから構成される。 【0034】第5カウンターシャフトCS5には第6ギ
ヤ76と噛合する第7ギヤ77が固設されており、この
第5カウンターシャフトCS5の上に第6および第7カ
ウンターシャフトCCS6,CS7が並列に且つそれぞ
れ回転自在に配設されている。第6カウンターシャフト
CS6には第4ギヤ74と噛合する第5ギヤ75が固設
されている。第7カウンターシャフトCS7にはベルト
機構BMを構成する従動スプロケット63が固設されて
いる。さらに、IVTクラッチ65およびトルクスプリ
ットクラッチ66が設けられており、IVTクラッチ6
5により第6および第7カウンターシャフトCS6,C
S7の係脱制御が行われ、トルクスプリットクラッチ6
6により第5および第7カウンターシャフトCS5,C
S7の係脱制御が行われる。 【0035】一方、入力ディスク110の側面に駆動ス
プロケット61が一体に形成されており、駆動スプロケ
ット61と従動スプロケット63とにチェーン(もしく
は歯付きベルト)62が掛け渡されてベルト機構BMが
構成されている。このため、変速機入力シャフト20の
回転はベルト機構BMを介して第7カウンターシャフト
CS7に伝達される。 【0036】第2カウンターシャフトCS2に固設され
た第8ギヤ78は、終減速機構FDを構成する第9ギヤ
(終減速従動ギヤ)79と噛合している。第9ギヤ79
の回転はデフ機構5により左右アクスルシャフト6a,
6bを介して左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。
この結果、エンジンからの回転駆動力は、トロイダル無
段変速機構CVTおよびベルト機構BMにより分かれて
伝達された後、動力伝達機構TMにより集合されて終減
速機FDに伝達され、終減速機FDから左右の駆動輪に
伝達される。 【0037】以上説明したトラニオンアセンブリの第1
の変形実施形態を図10に示している。ここでも第1ト
ラニオンアセンブリを例にして説明し、上述した第1ト
ラニオンアセンブリ150と同一構成部品には同一番号
を付して説明を省略し、これと相違する構成について説
明する。この第1トラニオンアセンブリ250は、パワ
ーローラ253を複数の円錐コロ254aを円形状に配
列してなるアンギュラーローラーベアリング254によ
り支持する構成のみが上記第1トラニオンアセンブリ1
50と相違する。この構成から明らかなように、この第
1トラニオンアセンブリ250においても、パワーロー
ラ253は中実構造となり、十分な強度および合成を確
保できる。また、図9に示す合力cのスラスト成分(回
転軸O2に直角な方向の成分)をアンギュラーローラー
ベアリング254により支障無く受け止めて、パワーロ
ーラ253を回転自在に支持することかできる。 【0038】次に、トラニオンアセンブリの第2の変形
実施形態を図11に示している。この第1トラニオンア
センブリ350は、パワーローラ353を複数のボール
354aを同一平面上に円形状に配列してなる通常のス
ラストボールベアリング354により支持する構成とな
っている。このスラストボールベアリング354は、回
転軸O2方向の力は支障無く受け止めるが、これと直角
な方向の力を受け止めることができない。このため、パ
ワーローラ353に回転軸O2と同軸となる軸孔353
aを貫通形成し、一方、スラストボールベアリング35
4のレース部材から一体に延びる回転軸部354bを形
成するとともにこれを軸孔353a内に突出させてい
る。そして、回転軸部354aと軸孔353aとの間に
配設したニードルローラーベアリング354cによりパ
ワーローラ353を回転自在に支持するとともにここで
回転軸O2に直角な方向の力を受け止めている。但し、
この構成の場合には、パワーローラ353に軸孔353
aが形成されるため、パワーローラ353の強度、剛性
がその分だけ小さくなる。 【0039】なお、以上においては、パワーローラに凹
部を設け、補強部材に凸部を設けて、両者を緩嵌合させ
ているが、これが逆でも良い。すなわち、パワーローラ
に凸部を設け、補強部材に凹部を設けて両者を緩嵌合さ
せても良い。また、これら凹部と凸部との緩嵌合とし
て、凸部157aと凹部153bとの緩嵌合に加えて、
補強部材157の覆い部157bによってパワーローラ
153の球面状接触面153aを緩やかに挟持する緩嵌
合構成、すなわち、覆い部157bが凹部となりこれに
球面状接触面153aからなる凸部を緩嵌合させる構成
を設けてもく、これらのうちのいずれか一方の緩嵌合構
成のみでもよい。 【0040】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
パワーローラおよび補強部材の互いに対向する面に形成
された凸部と凹部との緩嵌合(凸部157aと凹部15
3bとの緩嵌合構成および覆い部157bが凹部となり
これに球面状接触面153aからなる凸部を緩嵌合させ
る構成を含む)によりパワーローラがトラニオン部材に
保持されるため、トラニオンアセンブリ単独の状態でパ
ワーローラがトラニオン部材から外れ落ちるおそれがな
い。これにより、パワーローラをトラニオン部材に対し
てリニアベアリングにより支持する構成を採用してもト
ラニオンアセンブリの組み付け作業が難しくなることが
ない。また、このようにリニアベアリングによる支持構
成を採用することにより、トラニオン部材に揺動軸を挿
入するための軸孔を形成する必要がなく、トラニオン部
材の強度、剛性を高めることができる。 【0041】なお、リニアベアリング上にアンギュラー
ボールベアリングを介してパワーローラを回転自在に支
持する構成を採用することが可能であり、このように構
成すれば、パワーローラに回転軸を挿入するための軸孔
を形成する必要がなくなり、パワーローラの強度、剛性
を高めることができる。
対回転自在に且つ対向して配設された入力ディスクおよ
び出力ディスクの間にトラニオンアセンブリを揺動自在
に挟持して構成されるトロイダル変速機構に関する。 【0002】 【従来の技術】このようなトロイダル変速機構におい
て、トラニオンアセンブリは、入出力ディスクの対向面
間に挟持されるパワーローラと、このパワーローラを回
転自在に支持するとともに入出力ディスクの回転軸と直
角な方向の揺動軸を中心として揺動自在なトラニオン部
材とから構成されており、トラニオン部材の揺動により
パワーローラと入出力ディスクとの接触半径方向位置を
変更し、入力ディスクの回転を無段階に変速して出力デ
ィスクに伝達する制御を行うように構成されている。こ
のような構成のトロイダル変速機構は従来から知られて
おり、例えば、特開平7−198014号公報、特開2
001−227611号公報、特開2001−3043
66号公報等に開示されている。 【0003】ここで、上述のようにして無段変速制御を
行うためにはトラニオン部材を揺動させる制御が必要で
ある。これは、トラニオン部材をその揺動軸方向に押圧
することにより行われるが、このとき、トラニオン部材
が揺動軸方向に若干移動されるためこれに対応してパワ
ーローラは揺動軸に直角な方向へ若干の相対移動するこ
とが可能なように構成することが求められる。この相対
移動を許容するため、特開平7−198014号公報、
特開2001−227611号公報(特に、図3参照)
に開示のトロイダル変速機構においては、パワーローラ
をトラニオン部材に対してリニアベアリングを介して支
持する構成を採用している。また、特開2001−30
4366号公報に開示のトロイダル変速機構において
は、パワーローラを回転自在に支持する回転支持軸(先
半部9b)にこれと一体で且つ偏心した揺動支持軸(基
半部9a)を設け、揺動支持軸をトラニオン部材により
回転自在に支持し、回転支持軸により回転自在に支持さ
れたパワーローラを揺動支持軸を中心として揺動させて
上記相対移動を許容する構造を採用している。なお、特
開2001−304366号公報に開示のトロイダル変
速機構においては、トラニオン部材の揺動軸方向両側を
パワーローラを挟んで連結する連結部材が取り付けられ
て、トラニオン部材が補強されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、パワーロー
ラをトラニオン部材に対してリニアベアリングを介して
支持する構成の場合には、パワーローラが入出力ディス
クにより挟持されてトラニオン部材に対して押し付けら
れた状態、すなわち、トロイダル変速機構としてアセン
ブリされた状態においては、パワーローラはリニアベア
リングを介してトラニオン部材に確実に支持されるが、
トラニオンアセンブリが組み付けられる前の状態では、
パワーローラはトラニオン部材から外れ落ちる状態にあ
る。このため、トラニオンアセンブリの組み付け作業が
非常に難しいという問題がある。 【0005】一方、特開2001−304366号公報
に開示のトロイダル変速機構のように、パワーローラを
回転自在に支持する回転支持軸と一体の揺動支持軸をト
ラニオン部材により回転自在に支持する構成の場合に
は、回転支持軸にパワーローラを回転自在に取り付ける
とともに揺動支持軸をトラニオン部材に回転自在に取り
付ける構成であるため、パワーローラがトラニオンから
外れ落ちるという問題はない。しかしながら、回転支持
軸によりパワーローラを回転自在に支持するためにパワ
ーローラに回転支持軸を挿入させる軸孔を形成する必要
があるため、パワーローラの強度、剛性が低下するとい
う問題がある。また、揺動支持軸をトラニオン部材に回
転自在に取り付けるためにトラニオン部材に揺動支持軸
を挿入させる軸孔を形成する必要があるため、トラニオ
ン部材の強度、剛性が低下するという問題がある。 【0006】本発明はこのような問題に鑑みたもので、
トラニオンアセンブリ単独の状態でパワーローラがトラ
ニオン部材から外れ落ちるおそれがなく、且つ、トラニ
オンアセンブリ全体の強度および剛性を向上させること
ができるような構成のトロイダル変速機構を提供するこ
とを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】このような目的達成のた
め、本発明においては、同一回転軸上で相対回転自在に
且つ対向して配設された入力ディスク(例えば、実施形
態における第1および第2入力ディスク110,21
0)および出力ディスク(例えば、実施形態における第
1および第2出力ディスク120,220)の間にトラ
ニオンアセンブリを揺動自在に挟持して構成されるトロ
イダル変速機構において、トラニオンアセンブリ(例え
ば、実施形態における第1〜第4トラニオンアセンブリ
150,160,250,260)を、入出力ディスク
の対向面間に挟持されるパワーローラと、入出力ディス
クの間における上記同一回転軸に直角な面内を延びる揺
動軸上で揺動自在なトラニオン部材とから構成し、さら
に、トラニオン部材を、揺動軸方向両端において揺動自
在に支持される一対の軸受け部と、これら軸受け部を一
体に繋いで形成されるとともにパワーローラを回転自在
に支持する支持部(例えば、実施形態における支持平面
151cおよび支持側面151d)と、支持部に支持さ
れたパワーローラを挟んで支持部の両端を連結して取り
付けられた補強部材とから構成している。そして、パワ
ーローラおよび補強部材の互いに対向する面のいずれか
一方に凸部を形成するとともに他方に凹部を形成し、こ
れら凸部と凹部とを緩嵌合させて支持部に対してパワー
ローラをその回転軸と直角な方向に所定量の相対移動を
許容した状態で支持部と補強部材との間に保持するよう
に構成されている。 【0008】このような構成の本発明に係るトロイダル
変速機構によれば、パワーローラおよび補強部材の互い
に対向する面に形成された凸部と凹部との緩嵌合により
パワーローラがトラニオン部材に保持されるため、トラ
ニオンアセンブリ単独の状態でパワーローラがトラニオ
ン部材から外れ落ちるおそれがない。これにより、パワ
ーローラをトラニオン部材に対してリニアベアリングに
より支持する構成を採用してもトラニオンアセンブリの
組み付け作業が難しくなることがない。また、このよう
にリニアベアリングによる支持構成を採用することによ
り、トラニオン部材に揺動軸を挿入するための軸孔を形
成する必要がなく、トラニオン部材の強度、剛性を高め
ることができる。 【0009】なお、リニアベアリング上にアンギュラー
ボールベアリングを介してパワーローラを回転自在に支
持する構成を採用することが可能であり、このように構
成すれば、パワーローラに回転軸を挿入するための軸孔
を形成する必要がなくなり、パワーローラの強度、剛性
を高めることができる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について、図面を参照して説明する。本発明に係るトロ
イダル変速機構を有して構成される無段変速機の動力伝
達経路構成を図1に示している。この無段変速機は、マ
スダンパーMDを介して駆動源としてのエンジン(図示
せず)の出力シャフトに繋がる変速機入力シャフト20
を備え、変速機入力シャフト20に伝達されるエンジン
の回転駆動力を変速して出力側(例えば、駆動輪)に伝
達する。変速機入力シャフト20はトロイダル無段変速
機構CVTと繋がり、且つベルト機構BMを介して動力
伝達機構TMと繋がる。また、トロイダル無段変速機構
CVTの出力ギヤが動力伝達機構TMと繋がり、トロイ
ダル無段変速機構CVTの出力回転駆動力およびベルト
機構BMにより伝達された回転駆動力が動力伝達機構T
Mにより集合されて終減速機FDに伝達され、終減速機
FDから左右の駆動輪(図示せず)に伝達されるように
構成されている。 【0011】まず、トロイダル無段変速機構CVTにつ
いて説明する。この無段変速機構CVTは、図2に詳細
に示すように、変速機入力シャフト20の上に並列に配
設された第1および第2トロイダル変速ユニット10
0,200を備える。すなわち、この無段変速機構CV
Tはダブルキャビティ型のトロイダル無段変速機構から
構成される。なお、第1および第2トロイダル変速ユニ
ット100,200は同一構成であるので、対応する構
成部材については下二桁が同一となる番号を付して示し
ている。 【0012】第1トロイダル変速ユニット100は、断
面が半円状となる半ドーナッツ状の内面110aを有し
た第1入力ディスク110と、この内面110aに対し
て軸方向に対向するとともに断面が半円状となる半ドー
ナッツ状の内面120aを有した第1出力ディスク12
0と、第1入力および第1出力ディスク110,120
の内面110a,120aに囲まれた第1キャビティ1
30内に配設され、これら内面110a,120aと当
接した状態で挟持された一対の第1および第2トラニオ
ンアセンブリ150,160とから構成される。なお、
これらトラニオンアセンブリ150,160(但し、図
2は断面方向が図1と相違するため、トラニオンアセン
ブリ150のみ示されている)は両ディスク110,1
20の回転軸を挟んで対向する位置、すなわち、回転軸
を挟んで対称となる位置に配設されている。 【0013】第1入力ディスク110および第1出力デ
ィスク120は変速機入力シャフト20の上にこれと同
軸に互いに対向して配設されており、第1入力ディスク
110は変速機入力シャフト20一体に形成されてお
り、これと一体回転する。一方、第1出力ディスク12
0は変速機入力シャフト20上に相対回転自在に配設さ
れ、第1出力ディスク120の外周には第1出力ディス
クギヤ121が形成されている。 【0014】第2トロイダル変速ユニット200は、第
1トロイダル変速ユニット100に対して軸方向左右対
称となって構成されており、半ドーナッツ状の内面21
0aを有した第2入力ディスク210と、この内面21
0aに対して軸方向に対向するとともに半ドーナッツ状
の内面220aを有した第2出力ディスク220と、こ
れら内面210a,220aに囲まれた第2キャビティ
230内に挟持された一対の第3および第4トラニオン
アセンブリ250,260とから構成される。両ディス
ク210,220は変速機入力シャフト20の上にこれ
と同軸に互いに対向して配設されており、第2入力ディ
スク210は変速機入力シャフト20に結合されてこれ
と一体回転する。一方、第2出力ディスク220は変速
機入力シャフト20上に相対回転自在に配設され、且つ
第1出力ディスク120と連結されて一体回転する。な
お、第2出力ディスク220の外周に第1出力ディスク
ギヤ121と同一歯数の第2出力ディスクギヤ221が
やま歯ギヤから構成されている。 【0015】変速機入力シャフト20の入力側と反対側
端部(図2の左側端部)に押圧ピストン215が取り付
けられており、この押圧ピストン215が第2入力ディ
スク210の端部に形成されたシリンダ部210a内に
軸方向に摺動自在に嵌入されている。このため、変速機
入力シャフト20内の油通路孔を介してシリンダ部21
0a内にローディング用油圧を作用させて油圧ピストン
215に対して第2入力ディスク210を右方(第2出
力ディスク220の方)に押圧することができる。ここ
で、図2に示すように、第1入力ディスク110が変速
機入力シャフト20と一体に形成されており、一方、第
2入力ディスク210と第1および第2出力ディスク1
20,220とはそれぞれ変速機入力シャフト20の上
に軸方向に移動可能に取り付けられている。このため、
上記のようにシリンダ部210a内のローディング用油
圧を受けて第2入力ディスク210が右方向に押圧され
ると、この押圧力に対応する軸方向の力で、第1入出力
ディスク110,120の間に第1および第2トラニオ
ンアセンブリ150,160を挟持し、第2入出力ディ
スク210,220の間に第3および第4トラニオンア
センブリ250,260を挟持する。 【0016】このような構成のトロイダル無段変速機構
CVTにおける変速作動は、第1〜第4トラニオンアセ
ンブリ150,160,250,260をそれぞれの傾
転揺動軸O1(図2の紙面に垂直に延びる軸)を中心と
して傾転揺動させて行われる。その構造を、図1の矢印
III-IIIに沿った断面図である図3を参照して第1トロ
イダル変速ユニット100について説明する。なお、第
2トロイダル変速ユニット200の基本構造は第1トロ
イダル変速ユニット100と同一であるので、以下にお
いては基本的には第1トロイダル変速ユニット100を
代表して説明し、第2トロイダルユニット200におけ
る説明は省略する。 【0017】第1トロイダル変速ユニット100を構成
する第1および第2トラニオンアセンブリ150,16
0は変速機入力シャフト20の回転中心軸(第1入力お
よび第1出力ディスク110,120の回転中心軸でも
ある)を挟んで対称となる位置に配設されている。第1
および第2トラニオンアセンブリ150,160は第1
および第2支持部材30,40に支持されたトラニオン
部材151,161を有する。トラニオン部材151,
161はともに、後述するように図3において左右方向
(y方向)に揺動移動可能である。また、トラニオン部
材151,161は、左右トラニオン軸受け部152,
152および162,162において、それぞれベアリ
ング152a,152aおよび162a,162aを介
して両支持部材30,40により支持され、第1および
第2支持部材30,40に対して傾転揺動軸O1を中心
として傾転揺動可能となっている。 【0018】各トラニオン部材151,161の端部に
は駆動ロッド151b,161bを介してピストン部1
51a,161aが連結されており、ピストン部151
a,161aを嵌入させて油圧シリンダ機構145,1
46が構成されている。油圧シリンダ機構145,14
6は制御油圧を受けて作動され、ピストン部151a,
161aを軸方向(y方向)に押圧させるものであり、
この押圧力によりトラニオン部材151,161が駆動
ロッド151b,161bを介して軸方向(y方向)に
押圧移動されるように構成されている。 【0019】以上のように構成される第1および第2ト
ラニオンアセンブリ150,160は同一構成であるの
で、第1トラニオンアセンブリ150を代表して図4に
示しており、この図に基づいて第1トラニオンアセンブ
リ150の構成を説明する。但し、第2トラニオンアセ
ンブリ160、さらに第3,第4トラニオンアセンブリ
250,260については第1トラニオンアセンブリ1
50と同一構成であるため、これらの説明は省略する。 【0020】第1トラニオンアセンブリ150は、上記
トラニオン部材151のトラニオン軸受け部152,1
52の間に揺動軸O1から偏心するとともにこれと平行
に延びる支持面151cと、支持平面151cの軸方向
端部にこれに直角で且つ揺動軸O1に対しても直角に延
びる支持側面151d,151dとからなる支持部が形
成されている。この支持部を図4の矢印V−Vに沿って
断面して図5に示しており、この支持部にリニアベアリ
ング155が設けられている。リニアベアリング155
は、多数の第1ニードルローラ156aをその軸がy方
向に延びるようにして平面ケージ部155aにより回転
自在に保持するとともに、平面ケージ部155aの両端
において直角に折れ曲がった側面ケージ部155b,1
55bによりそれぞれ多数の第2ニードルローラ156
bをその軸がz方向(紙面に垂直な方向)に延びるよう
にして回転自在に保持して構成され、第1ニードルロー
ラ56aが支持平面151cの上に当接し、第2ニード
ルローラ56bが支持側面151dに当接するようにし
て配設されている。 【0021】図4に示すように、このリニアベアリング
155の上にアンギュラーボールベアリング154が配
設されており、さらにアンギュラーボールベアリング1
54の上にパワーローラ153が配設されている。アン
ギュラーボールベアリング154のレース部材はリニア
ベアリング155の内部形状に合わせた矩形形状に形成
されており、その下面が第1ローラベアリング156a
の上に載置され、両側面が第2ローラベアリング151
dとそれぞれ当接する。このため、アンギュラーボール
ベアリング154は、支持平面151cの上をリニアベ
アリング155により支持されて、図5および図6に示
すx方向に移動自在で、y方向には移動が拘束された状
態となる。なお、図5に示すように、リニアベアリング
155の平面ケージ部155aには矩形状の開孔155
cが形成され、アンギュラーボールベアリング154の
レース部材の下面に形成された矩形状突起154bがこ
の開孔155c内に突出して嵌合している。 【0022】アンギュラーボールベアリング154のレ
ース部材の上面には、支持平面151cに垂直に延びる
回転中心軸O2を中心とする円形状に配列されて複数の
ボール154aが回転自在に取り付けられており、この
上にパワーローラ153が配設されている。このため、
パワーローラ153はアンギュラーボールベアリング1
54により回転中心軸O2の回りを回転自在となって支
持される。この結果、パワーローラ153は、トラニオ
ン部材151の支持部に、x方向に移動自在で、y方向
の移動は構成され、回転中心軸O2を中心として回転自
在に支持される。なお、パワーローラ153の上面には
球面状の接触面153aが形成されており、第1入出力
ディスク110,120に第1トラニオンアセンブリ1
50が挟持されたときに、接触面153aが第1入出力
ディスク110,120の内面110a,120aと当
接する。 【0023】トラニオン部材151の支持部両端部が支
持平面151cに対して垂直に延びて連結突起151
e,151eが形成されている。そして、これら連結突
起151e,151eを連結するとともに、上記のよう
にリニアベアリング155およびアンギュラーボールベ
アリング154を介して支持部に配設されたパワーロー
ラ153を覆って補強部材157がボルト158により
図示のように取り付けられている。ここで、図4および
図6から良く分かるように、パワーローラ153の接触
面153aの中央に形成された平面部に円形状の凹部1
53bが形成されている。一方、補強部材157の下面
(パワーローラ153と対向する面)には略楕円状の凸
部157aが形成されており、この凸部157aがパワ
ーローラ153の凹部153b内に突出して緩嵌合して
いる。また、パワーローラ153と補強部材157とは
近接している。 【0024】この結果、補強部材157とトラニオン部
材151との間ににリニアベアリング155およびアン
ギュラーボールベアリング154を介して支持部に配設
された状態でパワーローラ153が緩やかに挟持されて
保持され、これが外れ落ちることがない。なお、凸部1
57aはy方向に長く、x方向に短い楕円形状であり、
円形状の凹部153b内に緩嵌合された状態で、補強部
材157(およびトラニオン部材151)に対してパワ
ーローラ153はx方向にある程度相対移動可能であ
り、上述したリニアベアリング155による移動を凸部
157aと凹部153bとの隙間分だけ許容する。ま
た、補強部材157の覆い部157bによってパワーロ
ーラ153の球面状接触面153aが緩やかに挟持され
て保持されてもいる。すなわち、補強部材157に対す
るパワーローラ153のx方向の相対移動は、凸部15
7aと凹部153bとの隙間分および覆い部157bと
球面状接触面153aとの隙間分のいずれか小さな方に
対応して許容している。なお、y方向に対しては若干の
相対移動が可能であるが上述のようにリニアベアリング
155において移動は規制されている。 【0025】以上の構成の第1トロイダル変速ユニット
100において、上述した油圧シリンダ機構145,1
46によりトラニオン部材151,161をy方向に押
圧移動させると、パワーローラ153,163と入出力
ディスク110,120との接触点における両者の回転
速度方向に差が生じ、この回転速度方向を一致させる方
向の力が傾転揺動方向に発生し、トラニオン部材15
1,161が傾転揺動軸O1を中心として傾転揺動され
る。なお、このとき、リニアベアリング155によりパ
ワーローラ153がx方向に移動して自動調芯される。
その結果、パワーローラ153,163は入力および出
力ディスク110,120の間に挟持されたまま内面1
10a,120aに沿って傾転揺動、すなわち、図1の
面内において傾転揺動軸O1を中心として傾転揺動す
る。なお、この場合において、油圧シリンダ機構14
5,146によりトラニオン部材151,161をy方
向に押圧移動させるときに必要な移動量は僅かであり、
押圧力を維持している限りトラニオン部材151,16
1を傾転揺動させ続けることができる。 【0026】以上のように、油圧シリンダ機構145,
146によりトラニオン部材151,161をy方向に
スムーズに押圧移動させてパワーローラ153,163
を入力および出力ディスク110,120の間に挟持さ
れたままその内面110a,120aに沿って傾転揺動
させると、パワーローラ153,163と入力ディスク
110との接触点の位置および出力ディスク120との
接触点の位置が変動する。この結果、変速機入力シャフ
ト20が回転駆動されて入力ディスク110が回転駆動
されたときにパワーローラ153,163を介して回転
される出力ディスク120の回転速度がパワーローラ1
53,163の傾転揺動に応じて無段階に変化する。 【0027】以上のようにパワーローラ153,163
を介して入力ディスク110から出力ディスク120に
回転駆動力を変速して伝達するときに、パワーローラ1
53,163に作用する力を、第一トラニオンアセンブ
リ150を例にして、図7〜図9を参照して説明する。
パワーローラ153が入出力ディスク110,120に
挟まれたときの接触点が点A,Bとなるときの外力を図
に示しており、入出力ディスク110,120からの挟
持力によりこれら接触点A,Bには接触面153aに対
する法線方向に垂直な荷重が作用し、そのy方向および
z方向成分を矢印ay,byおよび矢印az,bzとして示
している。なお、この挟持力は変速機入力軸方向に作用
するものであり、x方向成分を有していない。但し、こ
のとき同時に回転動力伝達を行っているため、入力ディ
スク110からのトルクを出力ディスク120に伝達す
るために、接触点A,Bの摩擦力に相当するトラクショ
ン力以下の接線方向(x方向)荷重ax,bxをパワーロ
ーラ153が接触点A,Bに受ける。 【0028】その結果、接触点A,Bにはそれぞれ、矢
印で示す力ax,ay,azの合力および力bx,by,bz
の合力として、図7および図8に太線の矢印で示す合力
aおよびbがパワーローラ153に作用する。そして、
このような合力a,bを受けたパワーローラ153の弾
性変形を図8に二点鎖線で誇張して示しており、楕円状
に弾性変形される。但し上述のように、本実施形態のパ
ワーローラ153は、従来のような回転軸を挿入するた
めの軸孔を有さない中実形状のため、強度および合成が
高く、この弾性変形量を小さく抑えることができる。 【0029】上記合力a,bを合成した合力cを図9に
太線矢印で示しており、このようにパワーローラ153
に作用する合力cはアンギュラーボールベアリング15
4およびリニアベアリング155を介してトラニオン部
材151により支持される。この合力Cは図示のように
揺動軸O2に対して若干傾く方向になり、スラスト力成
分を有するが、これをアンギュラーボールベアリング1
54により受け止めて、パワーローラ153を回転自在
に支障無く支持することかできる。 【0030】以上の説明から分かるように、トロイダル
無段変速機構CVTにおいて、第1〜第4トラニオンア
センブリ150,160,250,260の傾転揺動制
御により無段変速制御が行われる。このようにして、変
速機入力シャフト20の回転が無段変速されて出力ディ
スク120,220に伝達されるのであるが、この出力
ディスク120,220の外周に形成された第1および
第2出力ディスクギヤ121,221は動力伝達機構T
Mを構成する第1ギヤ71に噛合し、変速された回転駆
動力が動力伝達機構TMに伝達される。 【0031】動力伝達機構TMは、図1から良く分かる
ように、変速機入力シャフト20と平行に配設された第
1〜第7カウンターシャフトCS1〜CS7と、これら
カウンターシャフト上に配設された第1〜第9ギヤ71
〜79と、IVTクラッチ65と、トルクスプリットク
ラッチ66と、ダイレクトクラッチ87と、変速プラネ
タリギヤ機構80とから構成される。第1カウンターシ
ャフトCS1には第1および第2ギヤ71,72が固設
されており、第1ギヤ71は第1および第2出力ギヤ1
21,221と噛合する(図2参照)。第2カウンター
シャフトCS2には第8ギヤ(終減速駆動ギヤ)78が
固設されるとともにダイレクトクラッチ87の一端側部
材と繋がっている。なお、ダイレクトクラッチ87の一
端側部材には変速プラネタリギヤ機構80を構成するリ
ングギヤ84が設けられている。 【0032】第3カウンターシャフトCS3は第2カウ
ンターシャフトCS2の上に相対回転自在に配設されて
いる。第3カウンターシャフトCS3には第2ギヤ72
と噛合する第3ギヤ73と変速プラネタリギヤ機構80
を構成するサンギヤ81が固設されており、ダイレクト
クラッチ87の他端側部材と繋がっている。ダイレクト
クラッチ87は一端側部材と他端側部材とを係脱自在に
連結するものであり、ダイレクトクラッチ87により第
2および第3カウンターシャフトCS2,CS3の係脱
が制御される。 【0033】第4カウンターシャフトCS4は第3カウ
ンターシャフトCS3の上に相対回転自在に配設されて
いる。第4カウンターシャフトCS4には第4ギヤ74
および第6ギヤ76が固設されるとともに変速プラネタ
リギヤ機構80を構成するキャリア82が取り付けられ
ている。このキャリア82にはピニオンギヤ83が回転
自在に保持され、ピニオンギヤ83はサンギヤ81およ
びリングギヤ84と図示のように噛合する。すなわち、
変速プラネタリギヤ機構80はシングルピニオンタイプ
のプラネタリギヤから構成される。 【0034】第5カウンターシャフトCS5には第6ギ
ヤ76と噛合する第7ギヤ77が固設されており、この
第5カウンターシャフトCS5の上に第6および第7カ
ウンターシャフトCCS6,CS7が並列に且つそれぞ
れ回転自在に配設されている。第6カウンターシャフト
CS6には第4ギヤ74と噛合する第5ギヤ75が固設
されている。第7カウンターシャフトCS7にはベルト
機構BMを構成する従動スプロケット63が固設されて
いる。さらに、IVTクラッチ65およびトルクスプリ
ットクラッチ66が設けられており、IVTクラッチ6
5により第6および第7カウンターシャフトCS6,C
S7の係脱制御が行われ、トルクスプリットクラッチ6
6により第5および第7カウンターシャフトCS5,C
S7の係脱制御が行われる。 【0035】一方、入力ディスク110の側面に駆動ス
プロケット61が一体に形成されており、駆動スプロケ
ット61と従動スプロケット63とにチェーン(もしく
は歯付きベルト)62が掛け渡されてベルト機構BMが
構成されている。このため、変速機入力シャフト20の
回転はベルト機構BMを介して第7カウンターシャフト
CS7に伝達される。 【0036】第2カウンターシャフトCS2に固設され
た第8ギヤ78は、終減速機構FDを構成する第9ギヤ
(終減速従動ギヤ)79と噛合している。第9ギヤ79
の回転はデフ機構5により左右アクスルシャフト6a,
6bを介して左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。
この結果、エンジンからの回転駆動力は、トロイダル無
段変速機構CVTおよびベルト機構BMにより分かれて
伝達された後、動力伝達機構TMにより集合されて終減
速機FDに伝達され、終減速機FDから左右の駆動輪に
伝達される。 【0037】以上説明したトラニオンアセンブリの第1
の変形実施形態を図10に示している。ここでも第1ト
ラニオンアセンブリを例にして説明し、上述した第1ト
ラニオンアセンブリ150と同一構成部品には同一番号
を付して説明を省略し、これと相違する構成について説
明する。この第1トラニオンアセンブリ250は、パワ
ーローラ253を複数の円錐コロ254aを円形状に配
列してなるアンギュラーローラーベアリング254によ
り支持する構成のみが上記第1トラニオンアセンブリ1
50と相違する。この構成から明らかなように、この第
1トラニオンアセンブリ250においても、パワーロー
ラ253は中実構造となり、十分な強度および合成を確
保できる。また、図9に示す合力cのスラスト成分(回
転軸O2に直角な方向の成分)をアンギュラーローラー
ベアリング254により支障無く受け止めて、パワーロ
ーラ253を回転自在に支持することかできる。 【0038】次に、トラニオンアセンブリの第2の変形
実施形態を図11に示している。この第1トラニオンア
センブリ350は、パワーローラ353を複数のボール
354aを同一平面上に円形状に配列してなる通常のス
ラストボールベアリング354により支持する構成とな
っている。このスラストボールベアリング354は、回
転軸O2方向の力は支障無く受け止めるが、これと直角
な方向の力を受け止めることができない。このため、パ
ワーローラ353に回転軸O2と同軸となる軸孔353
aを貫通形成し、一方、スラストボールベアリング35
4のレース部材から一体に延びる回転軸部354bを形
成するとともにこれを軸孔353a内に突出させてい
る。そして、回転軸部354aと軸孔353aとの間に
配設したニードルローラーベアリング354cによりパ
ワーローラ353を回転自在に支持するとともにここで
回転軸O2に直角な方向の力を受け止めている。但し、
この構成の場合には、パワーローラ353に軸孔353
aが形成されるため、パワーローラ353の強度、剛性
がその分だけ小さくなる。 【0039】なお、以上においては、パワーローラに凹
部を設け、補強部材に凸部を設けて、両者を緩嵌合させ
ているが、これが逆でも良い。すなわち、パワーローラ
に凸部を設け、補強部材に凹部を設けて両者を緩嵌合さ
せても良い。また、これら凹部と凸部との緩嵌合とし
て、凸部157aと凹部153bとの緩嵌合に加えて、
補強部材157の覆い部157bによってパワーローラ
153の球面状接触面153aを緩やかに挟持する緩嵌
合構成、すなわち、覆い部157bが凹部となりこれに
球面状接触面153aからなる凸部を緩嵌合させる構成
を設けてもく、これらのうちのいずれか一方の緩嵌合構
成のみでもよい。 【0040】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
パワーローラおよび補強部材の互いに対向する面に形成
された凸部と凹部との緩嵌合(凸部157aと凹部15
3bとの緩嵌合構成および覆い部157bが凹部となり
これに球面状接触面153aからなる凸部を緩嵌合させ
る構成を含む)によりパワーローラがトラニオン部材に
保持されるため、トラニオンアセンブリ単独の状態でパ
ワーローラがトラニオン部材から外れ落ちるおそれがな
い。これにより、パワーローラをトラニオン部材に対し
てリニアベアリングにより支持する構成を採用してもト
ラニオンアセンブリの組み付け作業が難しくなることが
ない。また、このようにリニアベアリングによる支持構
成を採用することにより、トラニオン部材に揺動軸を挿
入するための軸孔を形成する必要がなく、トラニオン部
材の強度、剛性を高めることができる。 【0041】なお、リニアベアリング上にアンギュラー
ボールベアリングを介してパワーローラを回転自在に支
持する構成を採用することが可能であり、このように構
成すれば、パワーローラに回転軸を挿入するための軸孔
を形成する必要がなくなり、パワーローラの強度、剛性
を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトロイダル変速機構を有して構成
されるトロイダル無段変速機の動力伝達経路構成を示す
概略図である。 【図2】上記変速機を構成するトロイダル無段変速機構
の構成を示す断面図である。 【図3】上記トロイダル無段変速機構を図1の矢印III
−IIIに沿って示す断面図である。 【図4】上記トロイダル無段変速機構を構成する第1ト
ラニオンアセンブリを取り出して示す断面図である。 【図5】上記第1トラニオンアセンブリを図4の矢印V
−Vに沿って示す断面図である。 【図6】上記第1トラニオンアセンブリを図4の矢印VI
−VIに沿って示す断面図である。 【図7】上記第1トラニオンアセンブリにおいて回転駆
動力伝達時にパワーローラに作用する力を示す説明図で
ある。 【図8】上記第1トラニオンアセンブリにおいて回転駆
動力伝達時にパワーローラに作用する力を示す説明図で
ある。 【図9】上記第1トラニオンアセンブリにおいて回転駆
動力伝達時にパワーローラに作用する力を示す説明図で
ある。 【図10】本発明に係るトロイダル変速機構を構成する
第1トラニオンアセンブリの第1の変形実施形態を示す
断面図である。 【図11】本発明に係るトロイダル変速機構を構成する
第1トラニオンアセンブリの第2の変形実施形態を示す
断面図である。 【符号の説明】 20 入力シャフト 100,200 第1および第2トロイダル変速ユニッ
ト 110,210 第1および第2入力ディスク 120,220 第1および第2出力ディスク 150,160,250,260 第1〜第4トラニオ
ンアセンブリ 151,161 トラニオン部材 151c 支持平面(支持部) 151d 支持側面(支持部) 152,162 トラニオン軸受け部 153,163 パワーローラ 153a 凹部 157 補強部材 157a 凸部
されるトロイダル無段変速機の動力伝達経路構成を示す
概略図である。 【図2】上記変速機を構成するトロイダル無段変速機構
の構成を示す断面図である。 【図3】上記トロイダル無段変速機構を図1の矢印III
−IIIに沿って示す断面図である。 【図4】上記トロイダル無段変速機構を構成する第1ト
ラニオンアセンブリを取り出して示す断面図である。 【図5】上記第1トラニオンアセンブリを図4の矢印V
−Vに沿って示す断面図である。 【図6】上記第1トラニオンアセンブリを図4の矢印VI
−VIに沿って示す断面図である。 【図7】上記第1トラニオンアセンブリにおいて回転駆
動力伝達時にパワーローラに作用する力を示す説明図で
ある。 【図8】上記第1トラニオンアセンブリにおいて回転駆
動力伝達時にパワーローラに作用する力を示す説明図で
ある。 【図9】上記第1トラニオンアセンブリにおいて回転駆
動力伝達時にパワーローラに作用する力を示す説明図で
ある。 【図10】本発明に係るトロイダル変速機構を構成する
第1トラニオンアセンブリの第1の変形実施形態を示す
断面図である。 【図11】本発明に係るトロイダル変速機構を構成する
第1トラニオンアセンブリの第2の変形実施形態を示す
断面図である。 【符号の説明】 20 入力シャフト 100,200 第1および第2トロイダル変速ユニッ
ト 110,210 第1および第2入力ディスク 120,220 第1および第2出力ディスク 150,160,250,260 第1〜第4トラニオ
ンアセンブリ 151,161 トラニオン部材 151c 支持平面(支持部) 151d 支持側面(支持部) 152,162 トラニオン軸受け部 153,163 パワーローラ 153a 凹部 157 補強部材 157a 凸部
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 同一回転軸上で相対回転自在に且つ対向
して配設された入力ディスクおよび出力ディスクの間に
トラニオンアセンブリを揺動自在に挟持して構成され、 前記トラニオンアセンブリが、前記入力ディスクおよび
前記出力ディスクの対向面間に挟持されるパワーローラ
と、前記入力ディスクおよび前記出力ディスクの間にお
ける前記同一回転軸に直角な面内を延びる揺動軸上で揺
動自在なトラニオン部材とから構成され、 前記トラニオン部材が、前記揺動軸方向両端において揺
動自在に支持される一対の軸受け部と、前記軸受け部を
一体に繋いで形成されるとともに前記パワーローラを回
転自在に支持する支持部と、前記支持部に支持された前
記パワーローラを挟んで前記支持部の両端を連結して取
り付けられた補強部材とからなり、 前記パワーローラおよび前記補強部材の互いに対向する
面のいずれか一方に凸部を形成するとともに他方に凹部
を形成し、前記凸部と前記凹部とを緩嵌合させて前記支
持部に対して前記パワーローラをその回転軸と直角な方
向に所定量の相対移動を許容した状態で前記支持部と前
記補強部材との間に保持するように構成されていること
を特徴とするトロイダル変速機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002015531A JP2003214516A (ja) | 2002-01-24 | 2002-01-24 | トロイダル変速機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002015531A JP2003214516A (ja) | 2002-01-24 | 2002-01-24 | トロイダル変速機構 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003214516A true JP2003214516A (ja) | 2003-07-30 |
Family
ID=27651905
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002015531A Pending JP2003214516A (ja) | 2002-01-24 | 2002-01-24 | トロイダル変速機構 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2003214516A (ja) |
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---|---|---|---|---|
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- 2002-01-24 JP JP2002015531A patent/JP2003214516A/ja active Pending
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WO2012105663A1 (ja) | 2011-02-03 | 2012-08-09 | 日本精工株式会社 | トロイダル型無段変速機 |
WO2013115396A1 (ja) | 2012-02-03 | 2013-08-08 | 日本精工株式会社 | トロイダル型無段変速機 |
US9670996B2 (en) | 2012-02-03 | 2017-06-06 | Nsk Ltd. | Toroidal continuously-variable transmission |
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US10436294B2 (en) | 2014-04-02 | 2019-10-08 | Nsk Ltd. | Toroidal continuously variable transmission |
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