JP2003195802A - プラズマディスプレイ装置の駆動方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度上昇などによって書き込みが不安定にな
ったり画質が劣化することを抑制する面放電型のＡＣ−
ＰＤＰの駆動方法を提供する。 【解決手段】 表示データに応じて放電セルで壁電荷を
形成する書込み期間と、書込み期間に壁電荷が形成され
た放電セルにおいて維持放電を実施する維持期間と、維
持期間の最後の維持放電の後に消去放電を生じさせて壁
電荷を消去する消去期間を有し、消去期間において、消
去放電の終了後に第１および第２の電極対からなる行電
極のうちの少なくとも一方の電極に印加する電圧を維持
パルスと同極性に変化させる行程を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は大型のテレビジョン
や広告・情報等の公衆表示用に利用が拡大しつつあり、
平面型ディスプレイ装置として需要が拡大してきている
プラズマディスプレイ装置の駆動方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】このプラズマディスプレイ装置に使用さ
れる面放電型の交流型プラズマディスプレイパネル（以
下、ＡＣ−ＰＤＰという）の構成の一例を図３に示す。
図３（ａ）は、そのパネルの構造の一部を示した斜視断
面図である。図３（ａ）に示すように、前面パネル１０
において、前面ガラス基板１２の下面上に、ストライプ
状の透明電極１６が多数本平行に形成され、これらの透
明電極１６のそれぞれには金属等の電気抵抗の小さい材
料からなるバス電極が積層されて行電極が構成されてい
る。この行電極は、図３（ｂ）に示すように、第１の電
極に相当する走査電極２（ＳＣ１，ＳＣ２，・・，ＳＣ
ｎ）群と、走査電極２群のそれぞれと対をなす第２の電
極に相当する維持電極３（ＳＵ１，ＳＵ２，・・，ＳＵ
ｎ）群とが交互に配置されて構成されている。さらに、
走査電極２群および維持電極３群を覆うように放電によ
る生起電荷を壁電荷として帯電させるための誘電体層１
４とＭｇＯ保護層１５とが設けられている。

【０００３】一方、背面パネル１１において、背面ガラ
ス基板１３の上面に、前面パネル１０の走査電極２およ
び維持電極３とに対して交差するように直角方向に延び
る、列電極としてのアドレス電極４（Ａ１，Ａ２，・
・，Ａｎ）群が設けられている。このアドレス電極４を
覆うように背面ガラス基板１３上に誘電体層１７が形成
され、さらにその上に隔壁１８がアドレス電極４と平行
に、かつアドレス電極４間の領域の直上に位置するよう
に設けられている。さらに、隔壁１８の壁面と隣り合う
隔壁１８の間の領域にある誘電体層１７の上には蛍光体
層１９が塗布形成されている。

【０００４】そして、この前面パネル１０と背面パネル
１１とを行電極と列電極とが互いにほぼ直角に交差する
ように対向配置し、前面パネル１０と背面パネル１１の
周辺部分を封着した後、前面パネル１０と背面パネル１
１との間を真空に排気したうえで、希ガスからなる放電
ガスを封入することで表示パネル１ができあがる。

【０００５】図３（ｂ）に示すように、表示パネル１か
ら引き出された各電極端に駆動回路を接続してＡＣ−Ｐ
ＤＰ表示装置を完成させる。走査電極２（ＳＣ１，ＳＣ
２，・・，ＳＣｎ）群端子には走査電極駆動回路５が、
維持電極３（ＳＵ１，ＳＵ２，・・，ＳＵｎ）群端子に
は維持電極駆動回路６が接続される。アドレス電極４
（Ａ１，Ａ２，・・，Ａｎ）群端子にはデータドライバ
７が接続されて、表示データに応じて書込みパルスをア
ドレス電極４（Ａ１，Ａ２，・・，Ａｎ）群に印加し、
行電極と列電極が交差する部分に形成されるセルで放電
発光を生じさせて所望の画像表示を行なう。図３に示し
た面放電型ＡＣ−ＰＤＰを実際に駆動するために各種の
駆動方式、駆動方法や駆動回路が提案されている（例：
特開平８−２１２９３０号公報）。

【０００６】図４は面放電型ＡＣ−ＰＤＰを駆動するた
めのタイミングチャートの１例である。図４のタイミン
グチャートで示す一連のパルスからなる駆動電圧が走査
電極２（ＳＣ１，ＳＣ２，・・，ＳＣｎ）群端子、維持
電極３（ＳＵ１，ＳＵ２，・・，ＳＵｎ）群端子および
アドレス電極４（Ａ１，Ａ２，・・，Ａｎ）群端子に印
加されて表示駆動させることができる。図４は、１画面
を表示する１フレーム期間を複数のサブフィールドに分
割して表示する駆動方式における一つのサブフィールド
の駆動波形を示している。このサブフィールドは初期化
期間、書込み期間、維持期間、消去期間に分かれて、通
常これら一連の動作で形成されている。以下、それぞれ
の期間ごとに説明する。

【０００７】初期化期間では、書込み期間に先立って走
査電極駆動回路５が初期化パルスを走査電極２（ＳＣ
１，ＳＣ２，・・，ＳＣｎ）に印加し、各セルに初期化
放電を生じさせる。これによって、後に続く書込み放電
を生じやすくする。

【０００８】書込み期間では、走査電極駆動回路５が走
査電極２に走査パルスを印加し、表示データに対応して
アドレス電極４（Ａ１，Ａ２，・・，Ａｎ）に走査パル
スと逆極性の書込みパルスを印加することによって、両
電極間に放電を生じさせる。そして、この放電をトリガ
として走査電極２と維持電極３（ＳＵ１，ＳＵ２，・
・，ＳＵｎ）との間に放電が生じてデータの書込みが行
なわれる。

【０００９】維持期間では、走査電極２と維持電極３と
に交互に維持パルスを印加し、維持放電を生じさせるこ
とによって実際の表示発光が行なわれる。

【００１０】消去期間では、前の維持期間において走査
電極２および維持電極３からなる行電極と、列電極とし
てのアドレス電極４それぞれの上にある誘電体層１４に
蓄積された壁電荷を消去するために、維持電極３に消去
パルスを印加する。

【００１１】このタイミングチャートと同様な一連の駆
動電圧パルスを引き続き各サブフィールドにも印加して
１フレームの画像が表示される。

【００１２】また、複数のサブフィールドのうち、最初
のサブフィールド以外のサブフィールドにおいて維持期
間の最後の消去放電と初期化を同時に行なう駆動法を利
用することも多い。この駆動法はコントラストを大きく
するために、最初のサブフィールド以外の初期化放電を
弱くする目的で採用されている。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】上記の面放電型ＡＣ−
ＰＤＰでは、走査電極と維持電極からなる行電極対間に
おける維持放電の際に、行電極と列電極との間で放電が
生じるが、この放電によって列電極に壁電荷が生じ、消
去放電後には列電極上に残ることになる。また、部分的
な温度上昇による電荷の移動度の局所的な増大などによ
って、アドレス電極上の壁電荷が行電極のほうに移動
し、局所的に壁電荷が減少してしまうと、初期化直前に
アドレス電極上に残る壁電荷の量がばらついて、アドレ
ス電極および走査電極間における初期化放電もばらつ
き、アドレス電極上の壁電荷の消去がうまくできない放
電セルが生じてしまう。このため、続く書込み期間にお
ける書込み放電が局所的に正常に行なわれなくなり、画
質が悪化する。先に説明したこれまでの駆動法では、初
期化期間に初期化パルスによる初期化放電の後、書込み
期間の書込みパルスを印加する前に壁電荷を消去するた
めの消去パルスを加えてアドレス電極上の壁電荷の消去
を行なっていたので、このような表示パネルの局所的な
温度上昇や、隣り合うサブフィールドの間隔が長くなっ
て初期化直前にアドレス電極上に残る壁電荷の量がばら
ついて、初期化放電が不安定になる現象には対処が難し
いという課題が残されていた。

【００１４】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、列電極上に蓄積された壁電荷が行電極に移
動するのを抑制して、安定に書込みを行なうことが可能
な駆動方法を提案し、高画質の表示装置の提供を可能に
することを目的とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明のプラズマディス
プレイ装置の駆動方法は、互いに隣接し、並行して複数
配置されて対をなす第１および第２の電極からなる行電
極と、この行電極に交差するように複数配置された列電
極とを有し、前記行電極と列電極が交差する領域に複数
の放電セルを形成したプラズマディスプレイ装置の駆動
方法であって、複数の前記放電セルの壁電荷分布を均一
にするための初期化期間と、表示データに応じて前記放
電セルにて壁電荷を形成する書込み期間と、前記書込み
期間に表示データが書き込まれた放電セルに維持パルス
を印加して維持放電を実施する維持期間と、前記維持期
間後に消去放電を生じさせて壁電荷を消去する消去期間
を有し、前記消去期間において、前記消去放電の終了後
に前記行電極のうちの少なくとも一方の行電極の電位を
前記維持パルスと同極性の方向に変化させる行程を有す
る構成とともに、対をなして行電極を構成する第１およ
び第２の電極はそれぞれ走査パルスを印加する走査電極
と維持パルスを印加する維持電極であって、消去期間に
おいて、消去放電の終了後に走査電極の電位を維持パル
スと同極性の方向に変化させる構成を有している。この
構成により、アドレス電極上の壁電荷が走査電極に移動
しにくくなってアドレス電極上にとどまるので、走査電
極の電位を調整することによってアドレス電極上の壁電
荷のばらつきを軽減し、書込みを安定に行なうことが可
能となる。

【００１６】また、本発明のプラズマディスプレイ装置
の駆動方法は、互いに隣接し、並行して複数配置されて
対をなす第１および第２の電極からなる行電極と、この
行電極に交差するように複数配置された列電極とを有
し、前記行電極と列電極が交差する領域に複数の放電セ
ルを形成したプラズマディスプレイ装置の駆動方法であ
って、複数の前記放電セルの壁電荷分布を均一にするた
めの初期化期間と、表示データに応じて前記放電セルに
て壁電荷を形成する書込み期間と、前記書込み期間に表
示データが書き込まれた放電セルに維持パルスを印加し
て維持放電を実施する維持期間とを有する複数のサブフ
ィールドからなり、かつ、第２サブフィールド以降のサ
ブフィールドでは、初期化期間が直前のサブフィールド
における前記維持放電による電荷を消去する消去放電を
生じさせる消去放電動作に続く次のサブフィールドの初
期化を行なう初期化放電動作とからなり、前記第２サブ
フィールド以降の初期化期間において、前記消去放電の
終了後、前記行電極のうちの少なくとも一方の行電極の
電位を前記維持パルスと同極性の方向に変化させる行程
を有するとともに、対をなして行電極を構成する第１お
よび第２の電極はそれぞれ走査パルスを印加する走査電
極と維持パルスを印加する維持電極であって、第２サブ
フィールド以降の初期化期間において、消去放電の終了
後、走査電極の電位を前記維持パルスと同極性の方向に
変化させる構成を有している。この構成により、消去放
電後のアドレス電極から走査電極への壁電荷の移動をよ
り効果的に防ぐことができ、十分に壁電荷が蓄積された
状態で書込みを行えるので、書込みを安定に行なうこと
ができるとともに、消去放電後に走査電極の電圧を増加
させることが可能となり、温度上昇などによるアドレス
電極上の壁電荷の減少を抑制することができ、高いコン
トラストを維持したまま安定して書込みを行なうことが
できる。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の実施
の形態で説明に使用する、面放電型のＡＣ−ＰＤＰの表
示パネルおよび、駆動回路を取り付けた表示ユニットの
構成については、図３に示した構成を用いる。しかしな
がら、本発明はこの構成を用いた例に限定されるもので
はない。

【００１８】（実施の形態１）図１は、本発明の実施の
形態１における面放電型のＡＣ−ＰＤＰを駆動するため
に印加する電圧パルスのタイミングチャートである。図
１に示した電圧波形は、１画面を表示する１フレーム期
間を複数のサブフィールドに分割して駆動する方式にお
ける一つのサブフィールドの駆動波形である。最初に、
一つのサブフィールドの駆動の手順を簡単に説明する。
以下の説明にあたっては、面放電型ＡＣ−ＰＤＰの構成
として示した図３に付した符号を適宜参照する。

【００１９】図１において、初期化期間には初期化パル
スＰｒｎが走査電極２（ＳＣ１，ＳＣ２，・・，ＳＣ
ｎ）に一斉に印加され、初期化が行なわれる。書込み期
間には、走査電極２に走査パルスＰｓｃｎが印加され、
走査パルス印加と同時に表示データに応じて書込みパル
スＰａがアドレス電極４（Ａ１，Ａ２，・・，Ａｎ）に
印加されることによって表示データの書込みが行なわれ
る。維持期間には、維持パルスＰｓｘおよびＰｓｙが維
持電極３および走査電極２にそれぞれ交互に印加される
ことによって放電維持が行なわれる。消去期間には、例
えばｋ番目の維持電極ＳＵｋにパルス幅の細い消去パル
スＰｅが時刻Ｔｋ１に印加され、その立ち下がりと同時
に時刻Ｔｋ２に走査電極２および維持電極３の電圧を０
からＶｈに変化させる。この後、次のサブフィールドの
初期化期間に移り、同様の行程を繰り返し、１フレーム
分の駆動によって１画面が表示される。

【００２０】次に図１における駆動タイミングチャート
の、各期間における動作について少し詳しく説明する。

【００２１】初期化期間においては、初期化パルスＰｒ
ｎの立ち上がりにおいて走査電極２とアドレス電極４間
および走査電極２と維持電極３間で初期化放電が生じ
る。この放電によって主にアドレス電極４上の壁電荷が
消去される。

【００２２】維持期間においては、維持パルスの印加に
より走査電極２および維持電極３間で維持放電が行なわ
れるが、同時にアドレス電極４との間にも放電が生じ
る。走査電極２、維持電極３に印加する維持パルスはア
ドレス電極４に対して正極性のパルスであって、アドレ
ス電極４は放電における陰極となるため、放電後にはア
ドレス電極４上に正極性の電荷が壁電荷として蓄積され
る。もちろん、行電極においてもその維持放電の陰極側
となる電極に正の壁電荷が、また陽極側となる電極に負
の壁電荷が蓄積され、維持パルス印加のたびに反転して
いる。維持期間の最初の維持パルス印加による維持放電
によって一度アドレス電極上に正の電荷がたまると、そ
の後は維持パルスが印加されても行電極とアドレス電極
間の電圧は壁電荷分だけ小さくなるため、放電は生じな
い。

【００２３】一方、消去期間ではパルス幅の狭い消去パ
ルスがＰｅ印加されるため、このパルスによる放電が大
きくなる前（時刻Ｔｋ２）に電圧の印加がなくなって放
電が終了し、消去パルス印加によって走査電極２と維持
電極３で対をなす行電極間の放電は小さくなる。この消
去放電によって行電極上の壁電荷がほぼ消去される。こ
のとき、行電極とアドレス電極４との間ではアドレス電
極上に正の壁電荷があることから放電はほとんど生じな
いため、アドレス電極上の電荷は消去されず、残った壁
電荷は初期化時に消去されることになる。

【００２４】本発明実施の形態１における駆動法では、
維持期間の維持放電が終了して、次のサブフレームの初
期化放電が始まる前の消去期間に維持電極３に維持パル
スと同極性の消去パルスを印加して消去放電を行ない行
電極上に蓄積された壁電荷の消去を図る駆動法に基づい
ている。これに加えて、消去放電終了後に走査電極２に
Ｖｈの電圧を印加して次のサブフィールドの初期化パル
スの印加時まで保持している。それゆえ、電位が０Ｖの
ときと比べてアドレス電極４と走査電極２間の電界が小
さくなることから、アドレス電極４上の正の壁電荷が走
査電極２に移動しにくくなってアドレス電極４上にとど
まるため、Ｖｈを調整することによってアドレス電極上
の壁電荷のばらつきを軽減し、書込みを安定に行なうこ
とができるようになる。

【００２５】したがって、従来の面放電型ＡＣ−ＰＤＰ
の課題、すなわち、部分的な温度上昇等により電荷の移
動度の局所的な増大が生じ、アドレス電極４上の壁電荷
が行電極の方に移動し、局所的に壁電荷が減少してしま
い、初期化直前にアドレス電極４上に残る壁電荷の量が
ばらつき初期化放電が不安定になるという現象に対し
て、本発明実施の形態１における駆動法はこの現象の解
消に有効な方法であることは明らかである。

【００２６】なお、本実施例では電圧Ｖｈを走査電極２
にのみ印加している例を示したが、維持電極３にのみ、
あるいは走査電極２および維持電極３の両方に同様の電
圧を印加しても同じ効果が得られる。また、Ｖｈの印加
のタイミングはなるべく消去放電後にアドレス電極４上
の壁電荷が移動しないうちに印加したほうが良いため、
消去放電が終了した時刻に近いほど望ましい。

【００２７】また、本発明の実施の形態１では細幅の消
去パルスを維持電極３に印加して消去を行なう場合につ
いて説明しているが、ランプ波形のように立ち上がりの
電圧が徐々に変わるような消去パルスを用いる場合や、
消去パルスを走査電極２に印加する場合など、消去の方
法が変わっても効果は同じである。

【００２８】（実施の形態２）図２は、本発明の実施の
形態２における面放電型のＡＣ−ＰＤＰを駆動するため
に印加する電圧パルスのタイミングチャートの別の例で
ある。以下の説明にあたり、面放電型ＡＣ−ＰＤＰの構
成として示した図３を適宜参照する。

【００２９】図２の駆動波形は第１サブフィールド、第
２サブフィールドおよび第３サブフィールドの初期化期
間までを示している。初期化期間においては、各走査電
極２（ＳＣ１，ＳＣ２，・・，ＳＣｎ）には、初期化パ
ルスとして第１サブフィールドではＰｒｎ１が、第２サ
ブフィールド以降ではＰｒｎ２が一斉に印加される。第
１サブフィールドにおけるＰｒｎ１の波高値はＶｒｎで
ある。一方、第２サブフィールド以降では、Ｐｒｎ２は
印加後に一度立ち下がって電圧値Ｖｓ２をとり、その後
Ｖｓに戻り、最後に再び立ち下がって電圧値Ｖａｄをと
る。また、維持電極３には、第１サブフィールドにおい
て初期化パルスが立ち下がる前にＶｅの電圧が印加され
る。第２サブフィールド以降ではＰｒｎ２が波高値Ｖｓ
２に立ち下がるのと同時にＶｅ２の電圧が印加され、立
ち下がり始めるとＶｅの電圧値をとる。書込み期間にお
いては、走査電極２（ＳＣ１，ＳＣ２，・・，ＳＣｎ）
の電圧にＶｓｃｎが重畳され、さらにアドレス電極４
（Ａ１，Ａ２，・・，Ａｎ）に印加される書込みパルス
Ｐａに対応して走査パルスＰｓｃｎが順次印加されてい
く。維持期間においては、維持パルスＰｓｘおよびＰｓ
ｙが維持電極２および走査電極３にそれぞれ交互に印加
されることによって放電維持が行なわれる。

【００３０】次に、各期間における動作を説明する。

【００３１】第１サブフィールドの初期化期間において
は、初期化パルスＰｒｎ１が印加され、立ち上がりおよ
び立ち下がりの電圧の変化を傾斜を有して減少するラン
プ状に設定している。立ち上がりでは走査電極２−アド
レス電極４間で放電が生じ、立ち下がりでは走査電極２
−アドレス電極４間および走査電極２−維持電極３間の
それぞれで放電が生じる。これらの放電は通常は微弱な
ものであるため画質にはほとんど影響を与えず、初期化
パルスが立ち下がってＶａｄに至る時点では、放電セル
内にかかる走査電極２−アドレス電極４間および走査電
極２−維持電極３間の壁電荷を含めた電圧はそれぞれの
電極間において放電開始電圧付近にある。

【００３２】第２サブフィールド以降における初期化期
間では、走査電極２に印加される初期化パルスＰｒｎ２
が立ち上がっていったんＶｓに達するときに第１の消去
放電を生じ、その後時刻Ｔｍ１でＶｓ２に立ち下がると
同時にｍ番目の維持電極３に電圧Ｖｅ２が印加されるこ
とによって第２の消去放電を生じる。第２の消去放電が
終了した後に時刻Ｔｍ２で再び走査電極２は電圧値Ｖｓ
に戻る。そしてその後初期化パルスが２度目の立ち下が
りを開始すると同時にｍ番目の維持電極３に電圧Ｖｅを
印加し、初期化パルスを傾斜を持たせて減少するように
ランプ状に立ち下げることによって、走査電極２−アド
レス電極４間および走査電極２−維持電極３間のそれぞ
れで放電を生じさせ、走査電極２がＶａｄに達したとき
には、第１サブフィールドの場合と同様に、放電セル内
にかかる走査電極２−アドレス電極４間および走査電極
２−維持電極３間の壁電荷を含めた電圧はそれぞれの電
極間において放電開始電圧付近にある。このとき、第２
サブフィールド以降の初期化パルスＰｒｎ２の立ち上が
りの第１の消去放電は、第１サブフィールドの初期化パ
ルスＰｒｎ１の立ち上がりの初期化放電と対応している
ので、第２サブフィールド以降の初期化動作は消去動作
と初期化動作を同時に行っていることになる。

【００３３】書込み期間においては、最初Ｖａｄであっ
た走査電極２の電圧に電圧Ｖｓｃｎが重畳され、維持電
極３の電圧はＶｅのままであるため、そこに波高値Ｖｓ
ｃｎの走査パルスＰｓｃｎが印加される時点において
も、放電セル内にかかる走査電極２−アドレス電極４間
および走査電極２−維持電極３間の壁電荷を含めた電圧
はそれぞれの電極間において放電開始電圧付近にある。
このためこれらの電極間の電圧は、書込みパルスＰａを
印加して書込みを行なう際には、ほぼＰａの波高値の分
だけ放電開始電圧を越えることになり、書込み放電が生
じることになる。

【００３４】維持期間における動作は実施の形態１と同
じであるため、重複を避けるため説明を省略する。

【００３５】第２サブフィールド以降における第１およ
び第２の消去放電が終了した後に走査電極２およびアド
レス電極４の間で生じる放電は、維持放電および消去放
電後のアドレス電極４上の壁電荷を直接利用するため、
実施の形態１と比較して壁電荷の量に影響を受けやす
い。したがって、温度上昇などによってこの壁電荷が減
少すれば、初期化パルスＰｒｎ２の立ち下がりにおける
放電が生じにくくなって、初期化期間終了時に放電開始
電圧に達せず、書込み放電が弱くなり、画質の劣化につ
ながることになる。

【００３６】そこで、本発明の実施の形態２におけるＡ
Ｃ−ＰＤＰの駆動法では、第１および第２の消去放電後
に走査電極の電圧をＶｓ２から上げてＶｓに戻すことに
よって、消去放電後のアドレス電極４から走査電極２へ
の壁電荷の移動を防ぐことができ、十分に壁電荷が蓄積
された状態で書込みを行えるため、書込みを安定に行な
うことができる。すなわち、本発明の実施の形態２にお
けるＡＣ−ＰＤＰの駆動法を適用することによって、消
去放電後に走査電極２の電圧を増加させることが可能と
なり、温度上昇などによるアドレス電極上の壁電荷の減
少を抑制することができ、安定して書込みを行なうこと
ができる。また、本発明の実施の形態２におけるＡＣ−
ＰＤＰの駆動法では、直接アドレス電極上の壁電荷を利
用して初期化を行なうことから、本発明の実施の形態１
におけるＡＣ−ＰＤＰの駆動法よりも大きな効果が得ら
れる。

【００３７】なお、消去放電後に増加させる走査電極の
電圧はここではＶｓとしたが、温度上昇による画質の劣
化がひどい場合などは、Ｖｓより大きな値に設定しても
よいことは言うまでもないことである。

【００３８】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のＡＣ
−ＰＤＰの駆動方法は、消去放電が終了した後に行電極
の少なくとも一方の電圧を維持パルスと同極性の方向に
変化させることによって、列電極上に蓄積された壁電荷
が行電極に移動するのを抑制し、温度上昇などによって
生じる書込み放電のばらつきを軽減できる。またこれに
加えて、初期化期間に同時に消去放電を生じさせる駆動
方法において、消去放電が終了した後に行電極の少なく
とも一方の電圧を維持パルスと同極性の方向に変化させ
ることによって列電極上にある壁電荷が行電極に移動す
るのを抑制でき、温度上昇などによって書込み放電が弱
くなるのを抑制して、安定した書込みを実現できる。こ
の駆動方法を採用して、高画質で信頼性の高いＡＣ−Ｐ
ＤＰ表示装置の提供を可能にするものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態１におけるＡＣ−ＰＤＰの
駆動電圧印加タイミングチャート

【図２】本発明の実施の形態２におけるＡＣ−ＰＤＰの
駆動電圧印加タイミングチャート

【図３】（ａ）面放電型ＡＣ−ＰＤＰの構造の一部を示
す斜視断面図 （ｂ）ＡＣ−ＰＤＰ表示装置の構成図

【図４】面放電型ＡＣ−ＰＤＰの駆動電圧印加タイミン
グチャート

【符号の説明】

Ａ１，Ａ２，・・，Ａｎ アドレス電極 Ｐａ 書込みパルス Ｐｅ 消去パルス Ｐｒｎ，Ｐｒｎ１，Ｐｒｎ２ 初期化パルス Ｐｓｃｎ 走査パルス Ｐｓｘ，Ｐｓｙ 維持パルス ＳＣ１，ＳＣ２，・・，ＳＣｎ 走査電極 ＳＵ１，ＳＵ２，・・，ＳＵｎ 維持電極 Ｔｋ１，Ｔｋ２，Ｔｍ１，Ｔｍ２ 時刻 Ｖａｄ 初期化期間終了後の走査電極電圧 Ｖｅ，Ｖｅ２ 初期化期間および維持期間の維持電極電
圧 Ｖｒｎ 第１の初期化電圧 Ｖｓ 維持パルス電圧 Ｖｓ２ 第２の消去放電発生時の走査電極電圧 Ｖｓｃｎ 走査パルス電圧 １ 表示パネル ２ 走査電極 ３ 維持電極 ４ アドレス電極 ５ 走査電極駆動回路 ６ 維持電極駆動回路 ７ データドライバ １０ 前面パネル １１ 背面パネル １２ 前面ガラス基板 １３ 背面ガラス基板 １４，１７ 誘電体層 １５ ＭｇＯ保護層 １６ 透明電極 １８ 隔壁 １９ 蛍光体層

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに隣接し、並行して複数配置されて
   対をなす第１および第２の電極からなる行電極と、この
   行電極に交差するように複数配置された列電極とを有
   し、前記行電極と列電極が交差する領域に複数の放電セ
   ルを形成したプラズマディスプレイ装置の駆動方法であ
   って、複数の前記放電セルの壁電荷分布を均一にするた
   めの初期化期間と、表示データに応じて前記放電セルに
   て壁電荷を形成する書込み期間と、前記書込み期間に表
   示データが書き込まれた放電セルに維持パルスを印加し
   て維持放電を実施する維持期間と、前記維持期間後に消
   去放電を生じさせて壁電荷を消去する消去期間を有し、
   前記消去期間において、前記消去放電の終了後に前記行
   電極のうちの少なくとも一方の行電極の電位を前記維持
   パルスと同極性の方向に変化させる行程を有することを
   特徴とするプラズマディスプレイ装置の駆動方法。
2. 【請求項２】 対をなして前記行電極を構成する前記第
   １および第２の電極はそれぞれ走査パルスを印加する走
   査電極と維持パルスを印加する維持電極であって、前記
   消去期間において、前記消去放電の終了後に前記走査電
   極の電位を前記維持パルスと同極性の方向に変化させる
   ことを特徴とする請求項１に記載のプラズマディスプレ
   イ装置の駆動方法。
3. 【請求項３】 互いに隣接し、並行して複数配置されて
   対をなす第１および第２の電極からなる行電極と、この
   行電極に交差するように複数配置された列電極とを有
   し、前記行電極と列電極が交差する領域に複数の放電セ
   ルを形成したプラズマディスプレイ装置の駆動方法であ
   って、複数の前記放電セルの壁電荷分布を均一にするた
   めの初期化期間と、表示データに応じて前記放電セルに
   て壁電荷を形成する書込み期間と、前記書込み期間に表
   示データが書き込まれた放電セルに維持パルスを印加し
   て維持放電を実施する維持期間とを有する複数のサブフ
   ィールドからなり、かつ、第２サブフィールド以降のサ
   ブフィールドでは、初期化期間が直前のサブフィールド
   における前記維持放電による電荷を消去する消去放電を
   生じさせる消去放電動作に続く次のサブフィールドの初
   期化を行なう初期化放電動作とからなり、前記第２サブ
   フィールド以降の初期化期間において、前記消去放電の
   終了後、前記行電極のうちの少なくとも一方の行電極の
   電位を前記維持パルスと同極性の方向に変化させる行程
   を有することを特徴とするプラズマディスプレイ装置の
   駆動方法。
4. 【請求項４】 対をなして前記行電極を構成する前記第
   １および第２の電極はそれぞれ走査パルスを印加する走
   査電極と維持パルスを印加する維持電極であって、前記
   第２サブフィールド以降の前記初期化期間において、前
   記消去放電の終了後、前記走査電極の電位を前記維持パ
   ルスと同極性の方向に変化させることを特徴とする請求
   項３に記載のプラズマディスプレイ装置の駆動方法。