JP2003144049A - 茶類エキスの製造方法 - Google Patents
茶類エキスの製造方法Info
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Abstract
スの製造方法を提供すること。 【解決手段】 茶類原料を、プロテアーゼおよびタンナ
ーゼの存在下に抽出することを特徴とする茶類エキスの
製造方法。
Description
く、渋味の少ない茶類エキスの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、茶類飲料を缶あるいはペットボト
ル等に充填した商品が提供されており、消費者の甘味ば
なれから高い支持を得てその生産量は増加の一途をたど
っている。最近の傾向としては、旨味やコク味が強く、
渋味の抑えられた茶類飲料が好まれている。 【0003】茶類エキスを製造するに際して、酵素剤に
より処理する方法としては、例えば、プロトペクチナー
ゼとセルラーゼを併用して茶葉を抽出する方法(特公昭
46−17958号公報)、紅茶葉をタンナーゼで処理
する方法(特公昭52−42877、特公昭62−15
175号公報)、アミラーゼ或いはプロテアーゼ或いは
セルラーゼまたはこれらの混合酵素の水溶液を含浸させ
て乾燥させ、次いで100〜170℃で加熱焙煎する穀
茶の製造法(特開昭57−47465号公報)、粘着性
澱粉、α−アミラーゼ、およびβ−アミラーゼ、セルラ
ーゼおよびプロテアーゼから選択した少なくとも1種の
酵素の混合物により抽出したインスタント茶の製法(特
公平1−47979号公報)、紅茶の葉をタンナーゼ及
び少なくとも一つの細胞壁消化酵素で湿潤する方法(特
公平4−63662号公報)、茶葉抽出残渣をセルラー
ゼおよびプロテアーゼで処理する方法(特許第3157
539号公報)、茶類の熱水抽出液を予めタンナーゼで
処理した後凍結濃縮する方法(特開平5−328901
号公報)、茶抽出液に、クロロゲン酸エステラーゼを作
用させて混濁の少ない茶類飲料の製造法(特開平11−
308965号公報)などが提案されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従来提案されている上
述した方法は、例えば、紅茶抽出液の混濁防止、可溶性
固形分の増加などの点ではそれなりの効果があったが、
茶類エキスの旨味やコク味を増強する点では十分満足で
きるものではなかった。 【0005】従って、本発明の目的は、旨味やコク味が
強く、渋味の少ない茶類エキスを製造する方法を提供す
ることである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記のごと
き課題を解決すべく、鋭意研究を行った。例えば、煎茶
葉中には約25%のタンパク質が含まれており(5訂食
品成分表)、このタンパク質をプロテアーゼで分解すれ
ば旨味の強い茶類エキスが得られるのではないかと考え
て、茶葉にプロテアーゼを単独で作用させたところ、そ
れほどのアミノ酸の遊離が見られなかったことから、茶
葉中のタンパク質がタンニンと結合しているのではない
かと推測し、さらに鋭意研究を行った結果、今回、茶類
原料を、プロテアーゼおよびタンナーゼの存在下に抽出
することにより旨味やコク味が強く、渋味の少ない茶類
エキスが得られることを見出し本発明を完成するに至っ
た。 【0007】かくして、本発明によれば、茶類原料を、
プロテアーゼおよびタンナーゼの存在下に抽出すること
を特徴とする茶類エキスの製造方法が提供される。 【0008】以下、本発明について更に詳細に説明す
る。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明に用いられる茶類原料は、
例えば、煎茶、番茶、ほうじ茶、玉露、かぶせ茶、てん
茶等の蒸し製の不発酵茶;嬉野茶、青柳茶、各種中国茶
等の釜炒茶等の不発酵茶;包種茶、鉄観音茶、ウーロン
茶等の半発酵茶;紅茶、阿波番茶、碁石茶、プアール茶
などの発酵茶を挙げることができる。特に、旨味、コク
味を要求される不発酵茶および半発酵茶が好適である。 【0010】本発明では、上述した茶類原料を、プロテ
アーゼおよびタンナーゼの存在下に抽出することを特徴
とする。 【0011】かかるプロテアーゼとしては、特に制限さ
れず動植物由来、微生物由来のプロテアーゼを少なくと
も1種類以上使用することができ、例えば、プロテアー
ゼA,プロテアーゼM, プロテアーゼP、ウマミザイム、
ペプチダーゼR、ニューラーゼA、ニューラーゼF(以
上、アマノエンザイム社製の麹菌由来プロテアーゼ);
スミチームAP, スミチームLP, スミチームMP, スミチー
ムFP, スミチームLPL(以上、新日本化学工業社製の麹
菌由来プロテアーゼ);プロチンFN(大和化成社製の麹
菌由来プロテアーゼ);デナプシン2P、デナチームA
P、XP-415(以上、ナガセケムテックス社製麹菌由来プ
ロテアーゼ);オリエンターゼ20A、オリエンターゼON
S、テトラーゼS(以上、阪急バイオインダストリー社製
の麹菌由来プロテアーゼ);モルシンF、PD酵素、IP
酵素、AO-プロテアーゼ(以上、キッコーマン社製の麹
菌由来プロテアーゼ);サカナーゼ(科研製薬社製の麹
菌由来プロテアーゼ);パンチダーゼYP-SS、パンチダ
ーゼNP-2、パンチダーゼP(以上、ヤクルト本社製の麹
菌由来プロテアーゼ);フレーバザイム(ノボノルディ
スクバイオインダストリー社製の麹菌由来プロテアー
ゼ);コクラーゼSS、コクラーゼP(以上、三共社製の
麹菌由来プロテアーゼ);VERON PS、COROLASE PN-L
(以上、レーム・エンザイム社製の麹菌由来プロテアー
ゼ);プロテアーゼN、プロテアーゼNL、プロテアーゼ
S、プロレザーFG-F(以上、アマノエンザイム社製の細
菌由来プロテアーゼ);プロチンP、デスキン、デピレ
イス、プロチンA、サモアーゼ(以上、大和化成社製の
細菌由来プロテアーゼ);ビオプラーゼ XL-416F、ビオ
プラーゼSP-4FG、ビオプラーゼSP-15FG(以上、ナガセ
ケムテックス社製細菌由来プロテアーゼ);オリエンタ
ーゼ 90N、ヌクレイシン、オリエンターゼ 10NL、オリ
エンターゼ22BF(以上、阪急バイオインダストリー社製
の細菌由来プロテアーゼ);アロアーゼ AP-10(ヤクル
ト本社製の細菌由来プロテアーゼ);プロタメックス、
ニュートラーゼ、アルカラーゼ(以上、ノボノルディス
クバイオインダストリー社製の細菌由来プロテアー
ゼ);COROLASE N、COROLASE 7089、VERON W、VERON P
(以上、レーム・エンザイム社製の細菌由来プロテアー
ゼ);エンチロンNBS(洛東化成工業社製細菌由来プロ
テアーゼ);アルカリプロテアーゼGL440、ピュラフェ
クト4000L、プロテアーゼ899、プロテックス6L(以上、
協和エンザイム社製細菌由来プロテアーゼ);アクチナ
ーゼAS、アクチナーゼAF(以上、科研製薬社製の放線菌
由来プロテアーゼ);タシナーゼ(協和エンザイム社製
の放線菌由来プロテアーゼ);パパイン W-40(アマノ
エンザイム社製植物由来プロテアーゼ);食品用精製パ
パイン(ナガセケムテックス社製植物由来プロテアー
ゼ);その他動物由来のペプシン、トリプシンなどを挙
げることができる。プロテアーゼの使用量は、力価など
により一概には言えないが、例えば、茶類原料の重量を
基準として0.01〜100U/gの範囲を例示するこ
とができる。 【0012】また、本発明に使用するタンナーゼとして
は、タンニンを分解する活性を有するものであれば任意
のものを使用することができる。具体的には、アスペル
ギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属、ムコール属な
どに属するタンナーゼ生産菌をこれら糸状菌の培養に用
いられる培地を用い、常法に従って固体培養または液体
培養し、得られた培養物またはその処理物を常法により
精製処理したものを挙げることができる。なお、市販さ
れているタンナーゼ、例えば、タンナーゼ(キッコーマ
ン社製)、タンナーゼ(三共社製)などを用いてもよ
い。タンナーゼの使用量は、力価などにより一概には言
えないが、例えば、茶類原料の重量を基準として0.1
〜50U/gの範囲を例示することができる。 【0013】本発明の一実施態様を例示すれば、茶類原
料1重量部に水8〜50重量部を添加して、約60〜約
121℃で約2秒〜約20分間殺菌した後冷却し、上述
のプロテアーゼおよびタンナーゼを添加して、約20〜
約60℃で約30分〜約24時間酵素処理を行う。酵素
処理後、約60〜約121℃で約2秒〜約20分間酵素
失活した後冷却し、遠心分離、濾紙濾過等の適宜な分離
手段を採用して分離することにより清澄な茶類エキスを
得ることができる。得られた茶類エキスは所望により適
宜な濃縮手段を採用して濃縮液の形態とすることもでき
る。 【0014】本発明の茶類エキスは、通常そのまま液状
で利用するが、所望により該エキスにデキストリン、加
工澱粉、サイクロデキストリン、アラビアガム等の賦形
剤を添加して粉末状とすることもできる。 【0015】本発明によって得られる茶類エキスは、所
望により、容器に充填後、又は充填前に加熱殺菌するこ
とができる。更に望ましくは、熱交換機により高温瞬間
殺菌後凍結して冷凍保存することにより、本発明の茶類
の優れた風味を長期間保持することができる。 【0016】以下、本発明を実施例および比較例により
具体的に説明する。 【0017】 【実施例】実施例1 緑茶葉(粉末)100gに軟水900gを添加し、80
℃で5分間殺菌した。殺菌後、40℃まで冷却し、プロ
テアーゼM(アマノエンザイム(株))1gおよびタン
ナーゼ(三共(株))1gを添加して溶解後、40℃に
て16時間酵素処理を行った。酵素処理後、90℃にて
10分間殺菌した後、濾紙濾過、遠心分離により清澄な
緑茶エキス820g(本発明品1)を得た。 【0018】比較例1 実施例1に使用した緑茶葉(粉末)と同じものを100
gに、60℃の温水900gを添加して30分間浸漬し
た後、濾紙濾過、遠心分離して清澄な緑茶エキス820
g(比較品1)を得た。 【0019】比較例2 実施例1において、酵素剤(プロテアーゼおよびタンナ
ーゼ)を使用しない以外は実施例1と同様に処理して緑
茶エキス820g(比較品2)を得た。 【0020】比較例3 実施例1において、タンナーゼを使用しない以外は実施
例1と同様に処理して緑茶エキス820g(比較品3)
を得た。 【0021】比較例4 実施例1において、プロテアーゼを使用しない以外は実
施例1と同様に処理して緑茶エキス820g(比較品
4)を得た。 【0022】比較例5 実施例1において、プロテアーゼの代わりにペクチナー
ゼG(アマノエンザイム(株))1gを使用した以外は
実施例1と同様に処理して緑茶エキス820g(比較品
5)を得た。 【0023】比較例6 実施例1において、タンナーゼの代わりにペクチナーゼ
G(アマノエンザイム(株))1gを使用した以外は実
施例1と同様に処理して緑茶エキス820g(比較品
6)を得た。 (遊離アミノ酸量の比較)実施例1および比較例1〜6
で得られたそれぞれの緑茶エキスを、図1に示したニン
ヒドリン法にて測定し、その結果を図2に示した。図2
の結果より、本発明品1は比較品に比べアミノ酸が多く
抽出されていることが示された。 (遊離アミノ酸組成の比較)実施例1および比較例2
(酵素未添加品)で得られたそれぞれのアミノ酸組成を
アミノ酸分析計にて測定し、その結果を図3および表1
に示した。 【0024】 【表1】 【0025】表1の結果より、本発明品1は比較品2に
比べ約6倍アミノ酸含量を示した。 (官能評価)実施例1および比較例1〜6で得られたそ
れぞれの緑茶エキスを飲用濃度に希釈した後、良く訓練
された10名のパネラーにて官能評価を行った。10名
のパネラーの平均的な官能評価を表2に示した。 【0026】 【表2】【0027】 【発明の効果】本発明によれば、旨味やコク味が強く、
渋味の少ない茶類エキスの製造方法を提供することがで
きる。 【0028】
ある。 【図2】各種酵素処理茶葉抽出液の遊離アミノ酸量を示
すグラフである。 【図3】茶葉抽出液の遊離アミノ酸組成を示すグラフで
ある。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】茶類原料を、プロテアーゼおよびタンナー
ゼの存在下に抽出することを特徴とする茶類エキスの製
造方法。
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