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JP2003096167A - 環状オレフィン開環重合体水素化物の製造方法及びジシクロペンタジエン開環重合体水素化物 - Google Patents

環状オレフィン開環重合体水素化物の製造方法及びジシクロペンタジエン開環重合体水素化物

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Publication number
JP2003096167A
JP2003096167A JP2001286223A JP2001286223A JP2003096167A JP 2003096167 A JP2003096167 A JP 2003096167A JP 2001286223 A JP2001286223 A JP 2001286223A JP 2001286223 A JP2001286223 A JP 2001286223A JP 2003096167 A JP2003096167 A JP 2003096167A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ring
group
cyclic olefin
polymer
ruthenium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001286223A
Other languages
English (en)
Inventor
Masato Sakamoto
正人 坂本
Seiji Okada
誠司 岡田
Yasuo Tsunokai
靖男 角替
Shintaro Ikeda
進太郎 池田
Wolfgang A Herrmann
ボルフガング・A・ヘルマン
Karl Oefele
カール・エフエレ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2001286223A priority Critical patent/JP2003096167A/ja
Priority to US10/489,921 priority patent/US7084222B2/en
Priority to PCT/JP2002/009617 priority patent/WO2003027079A1/ja
Publication of JP2003096167A publication Critical patent/JP2003096167A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なルテニウム錯体化合物を用いて環状オ
レフィン開環重合体水素化物を製造する方法、及び耐熱
性に優れるジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を
提供する。 【解決手段】6員環構造を有するヘテロ原子含有カルベ
ン化合物がルテニウムに結合してなるルテニウム錯体化
合物を用いて環状オレフィンを開環メタセシス重合し、
得られた重合体中の炭素−炭素二重結合を水素化するこ
とを特徴とする環状オレフィン開環重合体水素化物の製
造方法、及びゲル・パーミエーション・クロマトグラフ
ィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が
1,000〜500,000であり、ヨウ素価が20以
下であり、かつ示差走査熱量計で測定したガラス転移温
度が100℃以上であるジシクロペンタジエン開環重合
体水素化物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なルテニウム
錯体化合物を触媒として用いる環状オレフィン開環重合
体水素化物の製造方法、及び耐熱性に優れたジシクロペ
ンタジエン開環重合体水素化物に関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィン化合物のメタセシス反応は工
業的に重要な反応であり、開環メタセシス重合、閉環メ
タセシス反応、非環状オレフィンのクロスメタセシス反
応、非環状ジエンのメタセシス反応等が知られている。
このメタセシス反応は触媒の存在下に行なわれるが、近
年、遷移金属にカルベン化合物が結合(配位)した安定
な金属−カルベン錯体が合成され、このものがオレフィ
ン化合物のメタセシス反応の触媒として有用であり、し
かも各種のメタセシス反応を高度に制御できることが報
告されている(例えば、欧州公開特許第218138号
公報、“Metathesis Polymeriza
tionof Olefins and Polyme
rization of Alkynes”,1996
年,1頁等参照。)。
【0003】また最近では、水やアルコールの影響を受
けにくいという利点を持つルテニウム−カルベン結合を
有する錯体化合物(以下、「ルテニウム−カルベン錯
体」ということがある。)が注目されている(例えば、
特表平9−512828号公報、特開平10−1951
82号公報、WO99/51344号、WO00/15
339号公報等参照。)。
【0004】ところで、環状オレフィン、特にノルボル
ネン系モノマーの開環重合体及びその水素化物は非晶質
ポリマーであるため、透明性、耐熱性、低複屈折、成形
加工性等に優れることは従来から知られており、光ディ
スクや光学レンズ用の材料として好適である。また、そ
のような開環重合体及び水素化物は低誘電性や耐薬品性
等のその他の優れた特性も有するため、用途分野は光学
用途以外にも広がりつつある。中でも、最も一般的なノ
ルボルネン系モノマーであるジシクロペンタジエン(D
CP)の開環重合体の水素化物は機械強度に優れてお
り、光学用途以外のより広範な分野での使用が期待され
ている。
【0005】しかしながら、このDCP開環重合体の水
素化物は、ガラス転移温度(Tg)が97℃以下であり
(Polymer Journal 1995年、27
巻、1167頁参照)、その耐熱性が問題視されてい
る。例えば、耐スチーム滅菌性が要求される医療用途や
装置内が高温となる電気部品用途では、100℃以上の
Tgが要求されているので使用することが出来ない。
【0006】すなわち、従来の遷移金属化合物と有機金
属還元剤とを組み合わせた触媒系のみならず、近年提案
されたモリブデン−カルベン錯体、タングステン−カル
ベン錯体化合物やルテニウム−カルベン錯体を用いて
も、Tgが100℃以上の非晶質DCP開環重合体水素
化物を合成することはできなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる実状に
鑑みてなされたものであって、新規なルテニウム錯体化
合物を用いて環状オレフィン開環重合体水素化物を製造
する方法、及び耐熱性に優れるジシクロペンタジエン開
環重合体水素化物を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、6員環構
造を有するヘテロ原子含有カルベン化合物が結合(配
位)したルテニウム錯体化合物を得ることに初めて成功
し、該ルテニウム錯体化合物が環状オレフィンの重合反
応及び水素化反応に対して高活性な触媒となることを見
出した。さらに、該ルテニウム錯体化合物を用いてジシ
クロペンタジエンを重合して得られた重合体中の炭素−
炭素二重結合を水素化して得られる水素化物は、高い耐
熱性を有していることを見出し、本発明を完成するに到
った。
【0009】かくして本発明の第1によれば、6員環構
造を有するヘテロ原子含有カルベン化合物がルテニウム
に結合してなるルテニウム錯体化合物を用いて環状オレ
フィンを開環メタセシス重合し、得られた重合体中の炭
素−炭素二重結合を水素化することを特徴とする環状オ
レフィン開環重合体水素化物の製造方法が提供される。
本発明の製造方法においては、前記環状オレフィンとし
てジシクロペンタジエンを用いるのが好ましい。
【0010】本発明の第2によれば、ゲル・パーミエー
ション・クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換
算の重量平均分子量が1,000〜500,000であ
り、ヨウ素価が20以下であり、かつ示差走査熱量計で
測定したガラス転移温度が100℃以上であるジシクロ
ペンタジエン開環重合体水素化物が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 1)ルテニウム錯体化合物 本発明の製造方法においては、6員環構造を有するヘテ
ロ原子含有カルベン化合物がルテニウムに結合してなる
ルテニウム錯体化合物を環状オレフィンの開環メタセシ
ス重合用触媒として用いる。
【0012】ここで、「6員環構造を有するヘテロ原子
含有カルベン化合物」とは、6員環構造中にヘテロ原子
とメチレン遊離基とをそれぞれ一つ以上有する化合物の
ことである。メチレン遊離基は、結合手を有する電荷の
ない2価の炭素原子であり、(>C:)で表される。
【0013】またヘテロ原子とは、周期律表第15族及
び第16族に属する原子であり、具体的には、N原子、
O原子、P原子、S原子、As原子、Se原子等を例示
することができる。これらの中でも、N原子、O原子、
P原子、S原子が安定なカルベン化合物を得るために好
ましく、N原子及びP原子がさらに好ましく、N原子が
特に好ましい。
【0014】6員環構造を有するN原子含有カルベン化
合物のうち、特に好ましい化合物としては、一般式
[1]で示されるヘキサヒドロピリミジン−2−イリデ
ン誘導体が挙げられる。
【0015】
【化1】
【0016】式中、R〜Rは、互いに独立して水素
原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を表す。また、R
〜Rの少なくとも2つが互いに結合して環構造を形成
していてもよい。前記ハロゲン原子としては、例えば、
フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。また、炭化水素基
としては、例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原
子、硫黄原子、リン原子及びケイ素原子の少なくとも1
種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基が挙
げられる。
【0017】炭素数1〜20の炭化水素基の具体例とし
ては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びア
リール基等が挙げられる。これらのアルキル基、アルケ
ニル基及びアルキニル基は直鎖状でも分岐状でも環状で
もよく、該炭化水素基中の1個以上の水素原子が、例え
ば、ニトロ基、ニトロソ基、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、アミド基、カルボキシル基、カルボニル基、シ
リル基、スルホニル基等の官能基、又はハロゲン原子で
置換されていてもよい。
【0018】上記炭化水素基の中でも、炭素数1〜20
のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基が好まし
い。具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル
基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、
n−ペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n
−ヘキシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;シクロ
ペンチル基、シクロへキシル基等の炭素数3〜8のシク
ロアルキル基;1−フェニルエチル基等の炭素数7〜2
0のアラルキル基;1−(1,2,2−トリメチルプロ
ポキシカルボニル)エチル基、2−(1,2,2−トリ
メチルプロポキシカルボニル)エチル基、2−(エトキ
シカルボニル)エチル基等の官能基を有する炭素数1〜
20のアルキル基;フェニル基、2−メチルフェニル
基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、
2,4−ジメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピル
フェニル基、メシチル基、3,5−ジメトキシフェニル
基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、3
−ニトロフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基
等の置換基を有していてもよいアリール基等が挙げられ
る。
【0019】前記一般式[1]で示されるカルベン化合
物は、公知の方法、例えば、Chemical Com
munications,1999年,241−242
頁に記載された方法で合成することができる。また、W
O00/15339号公報に記載の5員環構造を有する
複素環式カルベン化合物を合成する方法と同様の方法に
より合成することもできる。一般に、メチレン遊離基を
有するカルベン化合物は不安定であるが、本発明で用い
る6員環構造を有するヘテロ原子含有化合物は安定であ
り、単離することができる。
【0020】本発明に用いるルテニウム錯体化合物は、
上記の6員環構造を有するヘテロ原子含有カルベン化合
物が少なくとも1つルテニウムに結合したものであれば
特に限定されない。本発明に用いられるルテニウム錯体
化合物としては、下記一般式[2]で示す化合物が好ま
しい。
【0021】
【化2】
【0022】上記式[2]において、R〜Rは前記式
[1]と同じ意味を表す。X及びXは、互いに独立し
て任意のアニオン性配位子を表し、Lは任意の中性配位
子を示す。また、R及びR10は、互いに独立して水
素原子又は有機基を表す。
【0023】前記アニオン性配位子(X及びX
は、中心金属(Ru)から引き離されたときに負の電荷
を持つ配位子であればいかなるものでもよい。前記アニ
オン性配位子(X及びX)の具体例としては、フッ
素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子、水素、ア
セチルアセトン、ジケトネート基、置換基を有していて
もよいシクロペンタジエニル基、置換基を有していても
よいアリル基、アルケニル基、アルキル基、アリール
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカル
ボニル基、カルボキシル基、アルキル又はアリールスル
フォネート基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、ア
リールチオ基、アルキルスルフォニル基、アルキルスル
フィニル基を挙げることができる。これらの中でもハロ
ゲン原子が好ましい。
【0024】また、中性配位子(L)は、中心金属から
引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればい
かなるものでもよく、前記式[1]で表される6員環構造
を有するヘテロ原子含有カルベン化合物であってもよ
い。中性配位子(L)の具体例としては、酸素原子、
水、カルボニル、アミン類、ピリジン類、エーテル類、
ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、ホスフィナイ
ト類、ホスファイト類、スルホキシド類、チオエーテル
類、アミド類、芳香族化合物、環状ジオレフィン類、オ
レフィン類、イソシアニド類、チオシアネート類、及び
前記式[1]で示される6員環構造を有するヘテロ原子
含有カルベン化合物等が挙げられる。これらの中でも、
ピリジン類、ホスフィン類等が好ましい。
【0025】前記R、R10で表される有機基は、炭
素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニ
ル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20
のアリール基、炭素数1〜20のカルボキシレート基、
炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアル
ケニルオキシ基、炭素数2〜20のアルキニルオキシ
基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜2
0のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルキ
ルチオ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数1
〜20のアルキルスルフォニル基又は炭素数1〜20の
アルキニルスルフィニル基であるのが好ましい。また、
該有機基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子
及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子のいずれか
を含む基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
これらの中でも、R及びR10は、どちらか一方が水
素原子で、他方が上記いずれかの有機基であるのがより
好ましい。
【0026】一般式[2]で示されるルテニウム錯体化
合物の具体例としては、(1,3−ジイソプロピルヘキ
サヒドロピリミジン−2−イリデン)(ベンジリデン)
(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリ
ド、(1,3−ジベンジルヘキサヒドロピリミジン−2
−イリデン)(ベンジリデン)(トリシクロヘキシルホ
スフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジフェニ
ルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(ベンジリ
デン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジ
クロリド、[1,3−ジ(4’−メチルフェニル)ヘキ
サヒドロピリミジン−2−イリデン](ベンジリデン)
(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリ
ド、1,3−ジ(2’,4’−ジメチルフェニル)ヘキ
サヒドロピリミジン−2−イリデン](ベンジリデン)
(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリ
ド、(1,3−ジメシチルヘキサヒドロピリミジン−2
−イリデン)(ベンジリデン)(トリシクロヘキシルホ
スフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジシクロ
へキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(ベ
ンジリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニ
ウムジクロリド、
【0027】(1,3−ジフェニルヘキサヒドロピリミ
ジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシク
ロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、[1,
3−ジ(4’−メチルフェニル)ヘキサヒドロピリミジ
ン−2−イリデン](エトキシメチレン)(トリシクロ
ヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、[1,3
−ジ(2’,4’−ジメチルフェニル)ヘキサヒドロピ
リミジン−2−イリデン](エトキシメチレン)(トリ
シクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、
(1,3−ジメシチルヘキサヒドロピリミジン−2−イ
リデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホ
スフィン)ルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(2’
−プロペニル)ヘキサヒドロピリミジン−2−イリデ
ン](エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフ
ィン)ルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(1’−フ
ェニルエチル)イソプロピルヘキサヒドロピリミジン−
2−イリデン](エトキシメチレン)(トリシクロヘキ
シルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジ
シクロへキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデ
ン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフ
ィン)ルテニウムジクロリド等を挙げることができる。
【0028】本発明に用いられるルテニウム錯体化合物
は、中性配位子を有するルテニウム錯体化合物を原料と
して、上記の6員環構造を有するヘテロ原子含有カルベ
ン化合物との配位子交換反応により製造することができ
る。
【0029】配位子交換される中性配位子としては、例
えば、酸素原子、水、カルボニル、アミン類、ピリジン
類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン
類、ホスフィナイト類、ホスファイト類、スチビン類、
スルホキシド類、チオエーテル類、アミド類、芳香族化
合物、環状ジオレフィン類、オレフィン類、イソシアニ
ド類、チオシアネート類、カルベン化合物等が挙げられ
る。
【0030】配位子交換反応における6員環構造を有す
るヘテロ原子含有カルベン化合物の使用量は、通常、中
性配位子を有するルテニウム錯体化合物(原料)1モル
に対して1モル以上であれば特に制限されない。中性配
位子と6員環構造を有するヘテロ原子含有カルベン化合
物との配位子交換反応は、通常定量的に進行する。従っ
て、ヘテロ原子含有カルベン化合物を原料の等モル程度
使用すれば、1つの6員環構造を有するヘテロ原子含有
カルベン化合物を得ることができる。2倍量(モル)以
上使用すれば、1つ又は2つの6員環構造を有するヘテ
ロ原子含有カルベン化合物がルテニウムに結合したルテ
ニウム錯体化合物を得ることができる。また、6員環構
造を有するヘテロ原子含有カルベン化合物は単離精製し
たものを使用してもよいし、単離精製することなく反応
粗生成物をそのまま配位子交換反応に使用することもで
きる。
【0031】配位子交換反応の温度は、目的とするルテ
ニウム錯体化合物が安定に存在できる温度範囲内であれ
ば特に限定されないが、通常−100℃〜200℃、好
ましくは−80℃〜150℃、より好ましくは−40℃
〜100℃の範囲である。また、反応時間は、好ましく
は1分から24時間、より好ましくは10分から5時間
である。
【0032】配位子交換反応は、通常不活性溶媒中で行
なわれる。用いられる溶媒としては不活性であり、生成
するルテニウム錯体化合物を溶解するものであればよ
く、例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類、ハロ
ゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素
類等を使用することができる。これらの中でも、目的と
するルテニウム錯体化合物が収率よく得られる観点か
ら、エーテル類又は芳香族炭化水素類の使用が特に好ま
しい。
【0033】2)環状オレフィンの開環メタセシス重合 上述したルテニウム錯体化合物は、特に環状オレフィン
化合物の開環メタセシス反応の高活性な触媒となる。本
発明は、かかるルテニウム錯体化合物を開環メタセシス
重合用触媒として用いて環状オレフィンを開環メタセシ
ス重合させた後、得られた重合体中の炭素−炭素二重結
合を水素化する環状オレフィン開環重合体水素化物の製
造方法である。
【0034】本発明に用いられる環状オレフィンとして
は、単環の環状オレフィンモノマー;ノルボルネン類、
ジシクロペンタジエン類、テトラシクロドデセン類等の
ノルボルネン系モノマー等が挙げられる。これらの環状
オレフィンは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデ
ン基、アリール基等の炭化水素基や、極性基によって置
換されていてもよい。また、ノルボルネン系モノマーの
場合、ノルボルネン環の二重結合以外に、さらに二重結
合を有していてもよい。
【0035】単環の環状オレフィンとしては、炭素数が
通常4〜20、好ましくは4〜10の環状モノオレフィ
ン又は環状ジオレフィンが挙げられる。環状モノオレフ
ィンの具体例としては、シクロブテン、シクロペンテ
ン、メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、メチルシ
クロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙
げられる。環状ジオレフィンの具体例としては、シクロ
ヘキサジエン、メチルシクロヘキサジエン、シクロオク
タジエン、メチルシクロオクタジエン、フェニルシクロ
オクタジエン等が挙げられる。
【0036】ノルボルネン系モノマーの具体例として
は、ジシクロペンタジエン、メチル−ジシクロペンタジ
エン、ジヒドロジシクロペンタジエン(トリシクロ
[4.3.12,5.0]−デカ−3−エン)等のジシ
クロペンタジエン類;
【0037】テトラシクロドデセン、8−メチルテトラ
シクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、8
−シクロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロペ
ンチルテトラシクロドデセン、8−メチリデンテトラシ
クロドデセン、8−エチリデンテトラシクロドデセン、
8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペニルテト
ラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテトラシクロ
ドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロドデセ
ン、8−フェニルテトラシクロドデセン、8−メトキシ
カルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−メ
トキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−ヒドロキ
シメチルテトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラ
シクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカ
ルボン酸、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン
酸無水物、8−シアノテトラシクロドデセン、テトラシ
クロドデセン−8,9−ジカルボン酸イミド、8−クロ
ロテトラシクロドデセン、8−トリメトキシシリルテト
ラシクロドデセン等のテトラシクロドデセン類;
【0038】ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、
5−エチルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5
−ヘキシルノルボルネン、5−デシルノルボルネン、5
−シクロヘキシルノルボルネン、5−シクロペンチルノ
ルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニル
ノルボルネン、5−プロペニルノルボルネン、5−シク
ロヘキセニルノルボルネン、5−シクロペンテニルノル
ボルネン、5−フェニルノルボルネン、テトラシクロ
[6.5.12,5.01,6.08,13]トリデカ
−3,8,10,12−テトラエン(1,4−メタノ−
1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともい
う)、テトラシクロ[6.6.12,5.0 1,6.0
8,13]テトラデカ−3,8,10,12−テトラエ
ン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a
−ヘキサヒドロアントラセンともいう)、5−メトキシ
カルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノル
ボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボ
ルネン、5−メチル−5−エトキシカルボニルノルボル
ネン、ノルボルネニル−2−メチルプロピオネイト、ノ
ルボルネニル−2−メチルオクタネイト、ノルボルネン
−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチル
ノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ノルボ
ルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)ノルボルネ
ン、5−ヒドロキシ−i−プロピルノルボルネン、5,
6−ジカルボキシノルボルネン、5−メトキシカルボニ
ル−6−カルボキシノルボルネン等のノルボルネン類;
【0039】オキサノルボルネン、5−メチルオキサノ
ルボルネン、5−エチルオキサノルボルネン、5−ブチ
ルオキサノルボルネン、5−ヘキシルオキサノルボルネ
ン、5−デシルオキサノルボルネン、5−シクロヘキシ
ルオキサノルボルネン、5−シクロペンチルオキサノル
ボルネン、5−フェニルオキサノルボルネン、5−エチ
リデンオキサノルボルネン、5−ビニルオキサノルボル
ネン、5−プロペニルオキサノルボルネン、5−シクロ
ヘキセニルオキサノルボルネン、5−シクロペンテニル
オキサノルボルネン、5−メトキシカルボニルオキサノ
ルボルネン、5−エトキシカルボニルオキサノルボルネ
ン、5−メチル−5−メトキシカルボニルオキサノルボ
ルネン、5−メチル−5−エトキシカルボニルオキサノ
ルボルネン、オキサノルボルネニル−2−メチルプロピ
オネイト、オキサノルボルネニル−2−メチルオクタネ
イト、オキサノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水
物、5−ヒドロキシメチルオキサノルボルネン、5,6
−ジ(ヒドロキシメチル)オキサノルボルネン、5,5
−ジ(ヒドロキシメチル)オキサノルボルネン、5−ヒ
ドロキシ−i−プロピルオキサノルボルネン、5,6−
ジカルボキシオキサノルボルネン、5−メトキシカルボ
ニル−6−カルボキシオキサノルボルネン、5−シアノ
オキサノルボルネン、オキサノルボルネン−5,6−ジ
カルボン酸イミド等のオキサノルボルネン類;
【0040】ヘキサシクロヘプタデセン、12−メチル
ヘキサシクロヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロ
ヘプタデセン、12−ブチルヘキサシクロヘプタデセ
ン、12−ヘキシルヘキサシクロヘプタデセン、12−
デシルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキシ
ルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンチルヘ
キサシクロヘプタデセン、12−エチリデンヘキサシク
ロヘプタデセン、12−ビニルヘキサシクロヘプタデセ
ン、12−プロペニルヘキサシクロヘプタデセン、12
−シクロへキセニルヘキサシクロヘプタデセン、12−
シクロペンテニルヘキサシクロヘプタデセン等のヘキサ
シクロヘプタデセン類;等が挙げられる。これらの環状
オレフィンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組
み合わせて用いることができる。
【0041】環状オレフィンの開環メタセシス重合(以
下、「重合反応」ということがある。)は無溶媒で行う
こともできるが、水素化する場合には溶媒を使用するの
が好ましい。用いられる溶媒としては、生成する重合体
が所定の条件で溶解し、重合反応に影響しないものであ
れば特に限定されない。
【0042】かかる溶媒としては、例えば、n−ペンタ
ン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−
オクタン、n−ノナン、n−デカン等の鎖状脂肪族炭化
水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロ
ヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロ
ヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキ
サン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリ
シクロデカン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素;ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロナフタレン
等の芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン等
のニトロ化合物;アセトニトリル、ベンゾニトリル等の
ニトリル化合物;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン等のエーテル類等の溶媒を使用することができる。
【0043】これらの中でも、工業的に汎用される鎖状
脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素が好
ましい。また、重合体の溶解性に優れること等の観点か
らは、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒を使用
することが推奨される。
【0044】環状オレフィン(モノマー)と溶媒との混
合割合は特に限定されないが、反応溶液中の環状オレフ
ィン濃度は、通常1〜50重量%、好ましくは2〜45
重量%、より好ましくは5〜40重量%である。環状オ
レフィン濃度が1重量%以下の場合は重合体の生産性が
悪くなる。50重量%以上の場合は重合途中の溶液粘度
が高すぎて、反応溶液の撹拌が困難となる。
【0045】開環メタセシス重合において、環状オレフ
ィン(モノマー)に対するルテニウム錯体化合物(触
媒)の使用量は特に限定されないが、(触媒中の金属ル
テニウム)/(環状オレフィン)のモル比として、通常
1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:
500〜1,000,000、より好ましくは1:1,
000〜1:500,000である。使用する触媒量が
多すぎると触媒除去が困難となり、少なすぎると十分な
重合活性が得られない。
【0046】重合反応は、上記したモノマー及び溶媒を
含む反応溶液とルテニウム錯体化合物とを混合すること
により開始させることができる。重合温度は特に制限は
ないが、通常−30℃〜200℃、好ましくは0℃〜1
80℃である。重合時間は、通常1分間〜100時間で
ある。
【0047】また、重合反応の際に反応系に重合体の分
子量調整剤を添加することができる。分子量調整剤とし
ては、例えば、ビニル基を有する化合物等が挙げられ、
具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテン等のα−オレフィン類;スチレン、ビ
ニルトルエン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、
イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル
等のエーテル類;アリルクロライド等のハロゲン含有ビ
ニル化合物;酢酸アリル、アリルアルコール、グリシジ
ルメタクリレート等のビニルエステル化合物;アクリル
アミド等の窒素含有ビニル化合物等が挙げられる。ビニ
ル化合物の使用量は、目的とする重合体の分子量に応じ
て適宜選択することができる。通常の使用量は、環状オ
レフィン類に対して0.1〜10モル%の範囲である。
【0048】また、重合反応終了時においては、所望に
より上記のビニル化合物を再度添加して、重合体の成長
末端からルテニウム錯体化合物を遊離させることで、重
合を停止させることができる。この重合停止法は、重合
反応に引き続いて、得られた重合体を水素化する場合
に、水素化工程に用いる触媒の活性を向上させるために
有用である。
【0049】3)環状オレフィン開環重合体の水素化 前述の環状オレフィンの開環メタセシス重合に用いたル
テニウム錯体化合物は、オレフィン化合物の炭素−炭素
二重結合を選択的に水素化する水素化触媒としても高い
活性を示す。従って、本発明の製造方法においては、開
環メタセシス重合の際に触媒として使用したルテニウム
錯体化合物をそのまま水素化触媒として使用することが
できる。また、重合工程終了後に、前記ルテニウム錯体
化合物を新たに添加して水素化を行なうこともできる。
【0050】また、前述したルテニウム錯体化合物によ
る環状オレフィンの開環メタセシス重合を行って得られ
た重合体は、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウ
ム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等から選
ばれる少なくとも1種の金属を含む水素化触媒を用いて
水素化して、環状オレフィン開環重合体水素化物を得る
こともできる。
【0051】これらの水素化触媒(前述したルテニウム
錯体化合物及びニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジ
ウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等から
選ばれる少なくとも1種の金属を含む水素化触媒)は、
それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせ
て使用してもよい。水素化触媒の使用量は、重合体10
0重量部に対して、通常0.01〜50重量部、好まし
くは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜1
0重量部である。水素化反応温度は、通常10℃〜25
0℃、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは8
0℃〜180℃である。また水素の圧力は、通常0.1
MPa〜30MPa、好ましくは1MPa〜20MP
a、より好ましくは2MPa〜10MPaである。水素
化反応時間は、通常0.5時間〜50時間である。
【0052】水素化反応生成物は、公知の方法、例え
ば、低級脂肪族アルコールの添加による反応溶液からの
沈殿、溶媒の留去、あるいは反応溶液に水蒸気を導入す
ること(スチームストリッピング)により単離すること
ができる。このようにして、重合体中の炭素−炭素二重
結合の50%以上、好ましくは80%以上、より好まし
くは90%以上が水素化された環状オレフィン開環重合
体水素化物を得ることができる。
【0053】本発明の製造方法は、環状オレフィンの中
でもノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合体水
素化物の製造に好ましく適用される。6員環構造を有す
るヘテロ原子含有カルベン化合物が結合してなるルテニ
ウム錯体化合物を用いてノルボルネン系モノマーを開環
メタセシス重合すると、従来の触媒で合成した重合体と
は異なる立体構造を有する重合体を得ることができる。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体及び該重合体の水
素化物の物理的性質は、分子量、分子量分布及び立体構
造によって決まる。従って、本発明によれば、従来の開
環重合体水素化物とは異なる物理的性質を有する新規な
開環重合体水素化物が提供される。
【0054】本発明の製造方法は、前記ノルボルネン系
モノマーの中でもジシクロペンタジエン(DCP)を開
環メタセシス重合させて得られる重合物を水素化する場
合に特に好ましく適用される。前記ルテニウム錯体化合
物を用いてジシクロペンタジエン(DCP)を開環メタ
セシス重合して得られる重合体を水素化すると、従来の
DCP開環重合体水素化物よりも大幅に高いTgを有す
る重合体水素化物を製造することができる。
【0055】本発明のDCP開環重合体水素化物は非晶
質であり、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ
ーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1,
000〜500,000である。耐熱性をより向上させ
るという観点から、重量平均分子量は2,000以上が
好ましく、5,000以上がより好ましい。
【0056】また、本発明のDCP開環重合体水素化物
のヨウ素価は20以下、好ましくは10以下、より好ま
しくは5以下である。ヨウ素価を小さくするとTgはさ
らに向上する。示差走査熱量計で測定したTgは100
℃以上、好ましくは102℃以上、より好ましくは10
5℃以上である。耐熱性の観点から、水素化率は高いほ
ど好ましい。本発明のDCP開環重合体水素化物は、医
療用途や電気部品用途の部材及び成形品として好ましく
用いることができる。
【0057】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定
されるものではない。なお、実施例及び比較例における
部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
【0058】(1)合成したルテニウム錯体化合物は、
H−NMR、13C−NMR及び P−NMRスペ
クトルの測定により構造を同定した。 (2)開環メタセシス重合における重合転化率は、固形
分重量測定法により求めた。 (3)重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子
量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・
パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC、東ソ
ー(株)製、HLC−8020)によるポリスチレン換
算値として測定した。また、開環重合体の水素化物の分
子量は、オルトジクロロベンゼンを溶媒とするゲル・パ
ーミエーション・クロマトグラフィー(GPC、東ソー
(株)製、HLC−8121、135℃)によるポリス
チレン換算値として測定した。 (4)重合体中の炭素−炭素二重結合の水素化率は、
H−NMRスペクトルにより測定した。 (5)ガラス転移温度(Tg)及び融点は、示差走査熱
量計(DSC)にて、10℃/分で昇温して測定した。
【0059】製造例1 (1,3−ジイソプロピルヘキ
サヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレ
ン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジク
ロリドの合成 1,3−ジイソプロピル−1,4,5,6−テトラヒド
ロピリミジニウム テトラフルオロボレート(Tetr
ahedron Letters Vol.32,N
o.38,5031−5034(1991)に記載の方
法にて合成したもの)2.8部及び水素化ナトリウム3
部をシュレンク管に入れ、テトラヒドロフラン(TH
F)130部及びアンモニア240部を加えた。得られ
た混合物をアンモニア還流温度にて3時間撹拌した。溶
媒を減圧除去し、残渣にn−ヘキサン200部を加え、
十分に撹拌した。固体成分をろ別して得られたろ液を、
別に用意したビス(トリシクロヘキシルホスフィン)エ
トキシメチレンルテニウムジクロリド(RuCl(=
CH(OEt))(P(C11)1部及び
テトラヒドロフラン130部の均一混合液に加え、室温
で2時間撹拌した。反応溶媒を減圧除去し、残渣を70
部のn−ヘキサンで5回洗浄した後、減圧乾燥した。得
られた粉末を熱n−ヘキサンから再結晶することによ
り、目的化合物0.3部を得た。なお、すべての操作を
アルゴン雰囲気下で行った。
【0060】得られたルテニウム錯体化合物の物性値は
次の通りである。 元素分析(C3159ONClPRuとして); 計算値:C:54.85、H:8.76、N:4.13
(%) 測定値:C:54.73、H:8.74、N:4.09
(%) H−NMR(CDCl,室温)δppm:14.
77(d,1H,J=1.1Hz,CH(OEt))31 P−NMR(CDCl,室温)δppm:3
8.5(P(C11 13 C−NMR(CDCl,室温)δppm:20
7.9(d,J=82.2Hz,NCN)
【0061】製造例2 (1,3−ジイソプロピルヘキ
サヒドロピリミジン−2−イリデン)(ベンジリデン)
(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリ
ドの合成 1,3−ジイソプロピル−1,4,5,6−テトラヒド
ロピリミジニウム テトラフルオロボレート1.3部を
シュレンク管に入れ、THF23部、リチウムジイソプ
ロピルアミド0.53部を加えた。室温にて1時間撹拌
した。この溶液をセライト濾過し、溶液部を別に用意し
たビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデン
ルテニウムジクロリド(RuCl(=CHC
(P(C 11)1部及びトルエン45部の
均一混合液に加え、室温で1時間撹拌した。反応溶媒を
減圧下で濃縮し、41部のn−ペンタンを加え、不溶物
をセライト濾過により除去した後、減圧乾燥した。得ら
れた粉末を−30℃に冷却し、n−ペンタンで洗浄する
ことにより、0.3部の目的化合物を得た。なお、すべ
ての操作をアルゴン雰囲気下で行なった。
【0062】得られたルテニウム錯体化合物の物性デー
タを下記に示す。 H−NMR(C,室温)δppm:20.76
(d,1H,J=3.7Hz,CHC))。31 P−NMR(C,室温)δppm:35.0
(P(C1113 C−NMR(C,室温)δppm:208.
9(d,J=85Hz,NCN)。
【0063】実施例1 DCPの開環メタセシス重合及
び水素化反応 撹拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン300部
とジシクロペンタジエン66.9部を加え、さらに分子
量調整剤として1−ヘキセン0.64部を添加した。こ
の溶液に、製造例1で得られた(1,3−ジイソプロピ
ルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシ
メチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウ
ムジクロリド0.02部をTHF9部に溶解した触媒溶
液を添加した。溶液を60℃で1時間撹拌した後、エチ
ルビニルエーテル0.3部を加えて重合反応を停止させ
た。重合反応液の一部を採取して分析したところ、重合
転化率は99%以上、Mnは12,300、Mwは2
4,900であった。
【0064】次いで、オートクレーブ内に水素を供給
し、150℃、水素圧力5MPaで6時間撹拌して水素
化反応を行った。得られたDCP重合水素化物の水素化
率は99.9%以上であり、ヨウ素価は1.2、Mnは
15,300、Mwは32,300、Tgは106℃で
あった。融点は観測されなかった。
【0065】実施例2 実施例1で得られた重合反応液100部をオートクレー
ブに加え、水素化触媒として、珪藻土担持ニッケル触媒
2.0部を加えた。この溶液を160℃、水素圧力5M
Paにて6時間撹拌して水素化反応を行った。得られた
DCP重合水素化物の水素化率は99.9%以上であ
り、ヨウ素価は1.2、Mnは15,100、Mwは3
2,400、Tgは106℃であった。融点は観測され
なかった。
【0066】実施例3 DCPの開環メタセシス重合及
び水素化反応 撹拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン300部
とジシクロペンタジエン74.8部を加え、さらに分子
量調整剤として1−ヘキセン0.48部を添加した。こ
の溶液に、製造例2で得られた(1,3−ジイソプロピ
ルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(ベンジリ
デン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジ
クロリド0.016部をTHF9部に溶解した触媒溶液
を添加した。溶液を60℃で1時間撹拌した後、エチル
ビニルエーテル0.16部を加えて重合反応を停止し
た。重合反応液の一部を採取して分析したところ、重合
転化率は99%以上、Mnは23,300、Mwは5
3,500であった。
【0067】次いで、オートクレーブ内に水素を供給
し、150℃、水素圧力5MPaで6時間撹拌して水素
化反応を行った。得られたDCP重合水素化物の水素化
率は99.9%以上であり、ヨウ素価は2.4、Mnは
28,900、Mwは67,300、Tgは103℃で
あった。融点は観測されなかった。
【0068】比較例1 DCPの開環メタセシス重合及
び水素化反応 (1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2
−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシ
ルホスフィン)ルテニウムジクロリドに代えてビス(ト
リシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム
ジクロリドを用いた以外は、実施例1と同様にして重合
反応を行った。重合反応液の一部を採取して分析したと
ころ、収率は100%、Mnは9,800、Mwは1
9,800であった。
【0069】次いで、オートクレーブ内に水素を供給し
て、150℃、水素圧力5MPaで6時間撹拌して水素
化反応を行った。得られたDCP開環重合体水素化物の
水素化率は99.9%以上であり、ヨウ素価は3.4、
Mnは13,200、Mwは27,200、Tgは91
℃であった。融点は観測されなかった。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、新
規なルテニウム錯体化合物を用いて、環状オレフィン化
合物を開環メタセシス重合した後、得られた重合物を水
素化することにより、従来の開環重合体水素化物とは異
なる物理的性質を有する新規な材料が提供される。ま
た、環状オレフィンとしてノルボルネン系モノマーを用
いる場合には、従来の触媒で合成した重合体とは異なる
立体構造を有する開環重合体水素化物を製造することが
できる。本発明のジシクロペンタジエン開環重合体水素
化物は、本発明の製造方法をジシクロペンタジエンの開
環メタセシス重合に適用して、得られた重合体を水素化
して得られるものであり、特に耐熱性に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角替 靖男 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内 (72)発明者 池田 進太郎 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内 (72)発明者 ボルフガング・A・ヘルマン アレクサンダー フォン フンボルト ヴ ェグ 11 D−85354 フライジング ド イツ連邦共和国 (72)発明者 カール・エフエレ ラオレンツァー ヴェグ 12 82334 プ ッフハイム バイ ミュンヘン ドイツ連 邦共和国 Fターム(参考) 4J032 CA22 CA34 CA38 CC07 CD02 CF01 CF03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】6員環構造を有するヘテロ原子含有カルベ
    ン化合物がルテニウムに結合してなるルテニウム錯体化
    合物を用いて環状オレフィンを開環メタセシス重合し、
    得られた重合体中の炭素−炭素二重結合を水素化するこ
    とを特徴とする環状オレフィン開環重合体水素化物の製
    造方法。
  2. 【請求項2】前記環状オレフィンがジシクロペンタジエ
    ンである請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ
    ィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が
    1,000〜500,000であり、ヨウ素価が20以
    下であり、かつ示差走査熱量計で測定したガラス転移温
    度が100℃以上であるジシクロペンタジエン開環重合
    体水素化物。
JP2001286223A 2001-09-20 2001-09-20 環状オレフィン開環重合体水素化物の製造方法及びジシクロペンタジエン開環重合体水素化物 Pending JP2003096167A (ja)

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