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JP2003073327A - 有機酸の製造方法 - Google Patents

有機酸の製造方法

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JP2003073327A
JP2003073327A JP2001266189A JP2001266189A JP2003073327A JP 2003073327 A JP2003073327 A JP 2003073327A JP 2001266189 A JP2001266189 A JP 2001266189A JP 2001266189 A JP2001266189 A JP 2001266189A JP 2003073327 A JP2003073327 A JP 2003073327A
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JP
Japan
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steam
organic acid
heat
gas
pipe
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Pending
Application number
JP2001266189A
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English (en)
Inventor
Takeshi Nishimura
武 西村
Tetsuji Mitsumoto
哲治 光元
Kazuhiko Sakamoto
一彦 坂元
Hidefumi Haramaki
英文 原槇
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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    • F01K3/188Plants characterised by the use of steam or heat accumulators, or intermediate steam heaters, therein having heaters using heat from a specified chemical reaction
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/16Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by oxidation
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    • C07C51/25Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by oxidation with molecular oxygen of unsaturated compounds containing no six-membered aromatic ring
    • C07C51/252Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by oxidation with molecular oxygen of unsaturated compounds containing no six-membered aromatic ring of propene, butenes, acrolein or methacrolein
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C67/00Preparation of carboxylic acid esters
    • C07C67/08Preparation of carboxylic acid esters by reacting carboxylic acids or symmetrical anhydrides with the hydroxy or O-metal group of organic compounds
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  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定して有機酸および/または有機酸エステ
ルを製造でき、かつその製造工程内で発生する廃熱に対
し常に高い熱効率を実現することのできる有機酸および
/または有機酸エステルの製造方法を提供する。 【解決手段】 有機酸および/または有機酸エステル製
造工程における発生熱を蒸気として回収し、該発生蒸気
を有機酸および/または有機酸エステル製造工程におい
て、熱エネルギー、力学エネルギーおよび電気エ
ネルギーのいずれかとして使用することを特徴とする有
機酸および/または有機酸エステルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な有機酸およ
び/または有機酸エステルの製造方法に関するものであ
る。より詳しくは、有機酸および/または有機酸エステ
ルの製造工程で発生する大量の熱を蒸気回収し、有機酸
および/または有機酸エステルの製造工程で生成した水
や副生物を廃水や廃油として燃焼処理するときにもまた
蒸気を熱回収し、その高圧蒸気を接触気相酸化の空気の
供給源である圧縮機用タービンや、生成した有機酸およ
びそれをエステル化した液の精製に使用する再沸器の蒸
気などに使うことで、廃熱を有効利用して、熱効率、ひ
いては生産効率に優れた新規な有機酸および/または有
機酸エステルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】化学プラントのような大型商業プラント
から発生する廃熱量は大きく、可能な限り熱利用技術の
導入によって有効に活用するための努力が払われてい
る。
【0003】接触気相酸化反応によるアクリル酸の製造
プロセスについても、廃熱量は大きく、可能な限り熱利
用技術の導入によって有効に活用するための努力が払わ
れている。
【0004】かかる接触気相酸化反応に際しては、原料
をガスで供給する必要があり、原料の液化プロピレン
を、蒸発器を介してガス化し、反応器に供給する。原料
等を接触気相酸化反応触媒の存在下に分子状酸素含有ガ
スにより接触気相酸化すると、目的物である有機酸の他
に副生物を含む生成ガスが得られると同時に大量の反応
熱が発生してくる。このため、通常は、かかる反応熱を
熱交換により回収している。一方、接触気相酸化によっ
て生成して得たガスを有機酸捕集塔に導いて、有機酸捕
集溶剤(通常、水が使われる)と接触させて冷却、吸収
捕集し、有機酸と副生物を含有する溶液を得、次いでこ
れを溶剤分離塔にて含まれる溶剤を除去し、次いで精製
塔で蒸留して有機酸を分離、精製して精製有機酸を得て
いる。
【0005】こうして有機酸を接触気相酸化反応で製造
するときに発生する反応熱利用については、例えば、特
開昭49−73381号公報に記載の反応熱の回収方法
が提案されている。該反応熱の回収方法は、プロピレン
の接触気相酸化によるアクロレインの製造やオルソシキ
レンまたはナフタリンの接触気相酸化による無水フタル
酸の製造などにおいて、これらの接触酸化反応熱によっ
て発生する反応熱の1部を利用して水蒸気を発生させ、
得られた水蒸気を、残りの反応熱を利用して過熱し、過
熱蒸気を得ることを特徴とするものである。これによれ
ば、接触酸化反応熱によって発生する反応熱が、蒸気発
生に用いられ、ついで過熱蒸気の製造に用いられ、得ら
れたこの過熱蒸気が、当該接触気相酸化反応の原料空気
供給のためのコンプレッサに連結されたスチームタービ
ンの動力源とされるものである。これにより、経済的面
においてもまた運転操作上でも極めて有利に反応熱を回
収利用させることができるというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載の発明では、一段階の接触気相酸化反応におけ
る反応熱の回収方法が示されているものであり、これを
実際の工業規模の製造プラントに適用する場合には、複
数の反応器を直列または並列に配置して連続的または並
列的に処理することで反応を進めることが必要なことも
あり得る。このような場合には、上記に記載の反応熱の
回収方法をそれぞれの反応器に適用する必要があり、こ
れに要する反応熱の回収装置も配置する反応器の数に対
処できるだけの数が必要となる。そのため、設備費用の
増大と、装置構成の複雑化、高度化による安全対策や環
境対策などもより複雑で高度化させる必要があり、その
ための設計開発費やランニングコストも増大せざるをえ
ない問題があった。
【0007】そこで、本発明の目的は、有機酸の反応形
態によらず常に安定して接触気相酸化反応を行うことが
でき、かつ如何なる反応形態においてもその製造工程内
で発生する廃熱に対し常に高い熱効率を実現することの
できる蒸気システムを有してなる有機酸および/または
有機酸エステルの製造方法を提供するものである。な
お、有機酸の反応形態としては、例えば、(1)1段階
の接触気相酸化反応によるものもあれば、多段階の接触
気相酸化反応によらなければならないものもあるし;
(2)複数の反応器を直列または並列に配置して連続的
または並列的に処理して大量生産されているものもあれ
ば、1つの反応器に1または複数のチャンバを形成して
処理しているものもある;特に多段階接触気相酸化反応
では、各反応ごとに1または複数の反応器を用いて処理
するものもあれば、1つの反応器胴内を遮蔽板で仕切っ
て複数のチャンバを形成し、各チャンバで異なる反応を
行うことができるように各チャンバに独立して熱媒が循
環できるようにしているものもあるなど、様々な反応形
態が実施されている。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、上
記目的を達成すべく、鋭意研究を重ねた結果、有機酸お
よび/または有機酸エステルの製造工程内の各所で発生
する熱を蒸気発生装置により蒸気回収し、さらに得られ
た蒸気を有機酸および/または有機酸エステルの製造工
程内の各所で複合的に使用することで、常に安定して接
触気相酸化反応を行うことができ、かつ如何なる反応形
態においてもその製造工程内で発生する廃熱に対し常に
高い熱効率を実現することのできる蒸気システムを得る
ことができることを見出し、本発明を完成するに至った
ものである。さらに、本発明者らは、かかる蒸気発生装
置および蒸気配管の制御系につき、それぞれ単独に圧力
制御することで、多段階接触気相酸化反応で各反応ごと
に温度の異なる熱媒を利用する場合などにおいても、発
生熱の持つエネルギーを製造工程を通じてより一層有効
に蒸気回収し、安定的に使用できることを見出したもの
である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の有機酸および/または有
機酸エステルの製造方法は、有機酸および/または有機
酸エステルの製造工程における発生熱を蒸気として回収
し、該発生蒸気を有機酸および/または有機酸エステル
製造工程において、熱エネルギー、力学エネルギー
および電気エネルギーのいずれかとして使用すること
を特徴とするものである。好ましくは、有機酸および/
または有機酸エステル製造工程における発生熱を蒸気と
して回収し、蒸気発生装置および蒸気配管をそれぞれ単
独に圧力制御しながら、有機酸および/または有機酸エ
ステルの製造工程で使用することを特徴とするものであ
る。
【0010】これにより、蒸気が不足しない際には、系
外から蒸気配管を通じて蒸気を受け入れる必要もない。
また、発生させた蒸気は単に動力源として払い出すだけ
でなく、有機酸および/または有機酸エステルの製造プ
ラント内で有効に活用(自家消費)することができる。
そのため、発生熱の回収効率に優れ、製造コストの低減
にも寄与するものであり、蒸気システムの簡素化、排出
蒸気の削減を達成できる。なお、本発明では、上記発生
蒸気を、有機酸および/または有機酸エステル製造工程
で使用するものであればよく、その他での使用を何ら制
限するものではない。
【0011】以下、本発明の好適な実施形態につき、図
面を用いて説明する。
【0012】図1は、本発明に係る有機酸および/また
は有機酸エステルの製造方法の好適な一実施形態とし
て、主な有機酸および/または有機酸エステルの製造プ
ロセスおよび該製造プロセスで発生する蒸気システムに
用いられる装置(一部、工程で表す)概略図である。な
お、図中、製造プロセスの流れは、1重線の矢印(→)
で示し、これに用いられる装置または工程を一重線の枠
で示す。一方、蒸気の流れは二重線の矢印(⇒)で示
し、これに用いられる装置または工程を二重線の枠で示
す。これらの装置または工程のうち、発生蒸気の消費装
置または工程に関しては、装置名または工程名に下線を
付した。
【0013】図1に示す実施形態での有機酸および/ま
たは有機酸エステルの製造プロセスの流れとしては、ま
ず、予熱した原料ガス、酸素含有ガスおよび蒸気を混合
後、1段目反応器101に供給し、1段目の接触気相酸化
反応を行う。この反応によって生成したガスは、配管15
1を通じて直接2段目反応器103に送られ、ここで、2段
目の接触気相酸化反応を行うことにより、有機酸に転換
される。
【0014】なお、1段目反応器101および2段目反応
器103においては、共に多管式の反応器が用いられてお
り、反応器胴内に設置された多数の反応管(管束)内に
充填した触媒に、原料供給配管を通じて原料ガスを供給
して接触気相酸化反応を行う。反応原料と酸素含有ガス
等を混合した原料ガスは、例えば、原料ガス供給口より
反応器胴内の触媒の充填された反応管の管束内に供給さ
れ、各反応管内で酸化されて反応生成物となった後、反
応ガス排出口より配管を通じて生成ガスとして排出され
る。
【0015】その後、この生成ガスは、配管153、さら
に蒸気発生装置の1つである廃熱ボイラ105、配管155を
通じて酸精製工程107に送られ、以下の操作を経て精製
有機酸を得る。さらに、この精製有機酸は、配管157を
通じてエステル化工程109に送られ、以下の操作を経て
精製有機酸エステルを得、配管159を通じて取り出され
る。上記エステル化工程109には有機酸エステルの精製
工程を含む。
【0016】ここで、酸精製工程とは、有機酸捕集工程
以降のこと(ただし、エステル化工程は除く)である。
つまり、有機酸捕集工程から出された有機酸水溶液から
有機酸を分離、精製する塔から中間貯蔵タンク、精製有
機酸の貯蔵タンクまでを含有し、その分離、精製に必要
な蒸留塔、抽出塔、熱交換器などを包含するものであ
る。図2の実施形態の酸精製工程も同様に定義されるも
のである。
【0017】酸精製工程107内の有機酸捕集工程では、
廃熱ボイラ105を通過した生成ガスを配管155を通じて有
機酸捕集塔に導き、ここで、溶剤、通常、水と接触させ
て有機酸水溶液として捕集する。得られた有機酸水溶液
は、酸精製工程107内の酸精製装置に送られる。
【0018】酸精製工程107内では、有機酸捕集工程か
ら送られてきた有機酸水溶液を抽出塔にて抽出および/
または蒸留塔にて精留し有機酸を得、廃液は廃液処理装
置へ送液される。抽出された有機酸含有成分は、その
後、蒸留にて軽質分および重質分を分離し、精製有機酸
を得る。図2の実施形態の酸精製工程でも同様に処理さ
れる。
【0019】また、エステル化工程109では、酸精製工
程107で製造された有機酸をアルコールと反応させてエ
ステル化させる。反応生成物は、蒸留および/または抽
出操作により、未反応有機酸およびアルコールと、有機
酸エステルは分離され、その後、蒸留にて軽質分および
重質分を分離し、精製有機酸エステルを得る。
【0020】ここでエステル化工程とは、酸精製工程か
らの精製有機酸をアルコールと反応させてエステル化
し、得られた有機酸エステルを分離、精製する塔から中
間貯蔵タンク、精製有機酸エステルの貯蔵タンクまでを
含有し、エステル化反応、分離、精製に必要なエステル
化反応器、蒸留塔、抽出塔、熱交換器などを包含するも
のである。図2の実施形態のエステル化工程も同様に定
義されるものである。
【0021】また、上記有機酸捕集工程で有機酸水溶液
を捕集、分離した際にでる廃ガスは、配管165を通じて
廃ガス燃焼装置113に送られ、燃焼処理した後、配管173
を通じ、排ガスとして系外に排気される。
【0022】また、燃焼処理後のガスの一部は、廃ガス
燃焼装置113から配管167を通じてガス昇温器115に送ら
れ所定温度(通常は露点以上の温度)に予熱された後、
配管169を通じて配管151に戻され、ここを通る生成ガス
と混合されて2段目反応器103にリサイクルされる。
【0023】また、2段目反応器103に供給される酸素
含有ガスは、酸素含有ガス供給機で圧縮され、さらに2
段目の接触気相酸化反応に適する温度までガス昇温器11
1により昇温を行った後、配管163を通じて配管151に送
られ、ここを通る生成ガスと混合されて2段目反応器10
3に供給される。酸素含有ガス供給機としては、図1に
示すようなコンプレッサ125が利用できる。これらの酸
素含有ガス供給機としては、図1に示すように酸素含有
ガス供給機の動力源として過熱蒸気を利用することがで
きる蒸気タービン121を持つものであることが望まし
い。
【0024】ここで、上記ガス昇温器111、115として
は、例えば、フィン式熱交換器を用いることができる。
かかるフィン式熱交換器を用いたガス昇温器の胴内部に
は、フィン付伝熱管が配置されており、該伝熱管の管内
流体として蒸気を通じることができるように、伝熱管の
一端が蒸気導入部と連結され、他端が蒸気排出部と連結
されている。また、酸素含有ガスを配管を通じてガス昇
温器の管外流体(胴側流体)として供給できるように、
該ガス昇温器の胴内部の一端には酸素含有ガス投入口
が、他端には酸素含有ガス取出口が設けられている。な
お、ガス昇温器111、115としては、これらフィン式熱交
換器に制限されるべきものではなく、他にもプレート式
熱交換器、多管式熱交換器などを利用することができ
る。
【0025】次に、本実施形態では、上記製造プロセス
において、上記発生熱を回収し、使用するための蒸気シ
ステムを有する。かかる蒸気システムでは、当該発生熱
を蒸気として回収し、発生蒸気を有機酸および/または
有機酸エステル製造工程で使用するものである。
【0026】本実施形態では、上記蒸気システムの圧力
の制御として、蒸気発生装置および蒸気配管の圧力をそ
れぞれ単独にコントロールすることで、より安定的にプ
ラントを稼動させることができる。
【0027】本発明で、発生熱とは、(1)反応熱のほ
か、(2)反応生成ガスおよび(精製工程で発生する)
廃液の燃焼熱を含むものとする。
【0028】このうち上記(1)の反応熱は、反応器内
で発生する熱をいう。ここでいう反応器とは、有機酸の
製造に用いられる反応器のほか、有機酸エステルの製造
に用いられるエステル化反応器をも含むものとする。本
実施形態では、主として有機酸の製造に用いられる1段
目から2段目までの反応器をいうが、通常、複数の反応
器による場合は、全ての反応器を含む。かかる反応熱の
回収は、本実施形態では、主として有機酸の製造に用い
られる1段目反応器および2段目反応器を熱媒でもって
行い、熱媒ボイラで熱媒が奪った反応熱により蒸気を発
生させて回収するほか、反応生成ガス側に幾分反応熱が
持ち出されるので、2段目反応器を出た後に設けた廃熱
ボイラで反応熱により蒸気を発生させて回収する。
【0029】また、上記(2)の反応生成ガスの燃焼熱
とは、反応生成ガスを有機酸捕集工程で捕集した際に出
される廃ガスを、必要があればこれに補助燃料を加えて
燃焼効率を高めて燃焼処理した際に発生する熱をいう。
かかる反応生成ガスの燃焼熱は、廃ガスを廃ガス燃焼装
置で燃焼させ、蒸気発生させることにより回収する。
【0030】また、上記(2)の廃液の燃焼熱とは、接
触気相酸化反応したときに水および他の副生物も生成す
るので、その後の酸精製工程やエステル化工程でかかる
水および他の副生物が廃水および廃油として分離排出さ
れるが、かかる廃水および廃油を同時または別々に燃焼
処理した際に発生する熱をいう。かかる廃液燃焼熱は、
廃液を廃液処理装置の廃液燃焼器で燃焼させ、蒸気発生
させることにより回収する。
【0031】なお、上記(2)の反応生成ガスおよび廃
液をまとめて1つの廃ガス・廃液処理装置の廃ガス・廃
液燃焼器で燃焼させてもよく、こうした場合の燃焼熱に
は、上記反応生成ガスの燃焼熱および廃液の燃焼熱の双
方が含まれるものである。
【0032】以下、本実施形態における上記蒸気システ
ムにつき、図1を用いて説明する。
【0033】まず、1段目反応器101および2段目反応
器103の胴内に満たされている熱媒を、共に熱媒ボイラ1
17へ循環用ポンプなどにより配管102、104を通じて循環
する。これにより反応器101と反応器103とで異なる温度
の熱媒を使用する接触気相酸化反応において、反応器10
1、103内で発生した反応熱の回収を1つの熱媒ボイラ11
7で蒸気として回収するものである。
【0034】ここで、反応器101と反応器103とで異なる
温度の熱媒を使用するのは、反応器101と反応器103とで
は、異なる接触気相酸化反応がなされており、反応器ご
とに異なる反応温度をそれぞれ一定に保つには、反応器
ごとに反応器内部を循環させる熱媒の温度を調節する必
要があるためである。したがって、反応器ごとに発生す
る反応熱も異なるため、熱媒ボイラ117に循環されてく
る熱媒の温度も異なっており、ここで、それぞれに熱交
換して異なる熱媒温度に調整した上で、再度各反応器に
戻すものである。
【0035】反応熱の回収を行う熱媒ボイラ117では、
発生蒸気の圧力が高い方がよく、そのためには温度の高
い熱媒と温度の低い熱媒とを別々の熱媒ボイラを用いて
行うよりも、蒸気システムの簡素化が図れ、熱効率に優
れ、回収できないで放出される蒸気排熱量を削減でき
る。もちろん、熱媒ボイラは反応器毎または反応温度毎
に分割して設置し、それぞれ適した温度で蒸気回収する
ことも可能である。
【0036】なお、ここで用いることのできるボイラと
しては、例えば、管側を熱媒が通り、胴側に水蒸気を発
生させるタイプのケルト式熱交換器や、胴側を熱媒が通
り、管側で水蒸気を発生させるタイプの自然循環式な
ど、一般的な多管式熱交換器が挙げられる。また、熱媒
としては、例えば、硝酸カリウム−亜硝酸ナトリウム−
硝酸ナトリウム混合物、硝酸カリウム−亜硝酸ナトリウ
ム混合物、ダウサム、サームエスに代表されるような有
機熱媒などを用いることができる。
【0037】蒸気発生装置である熱媒ボイラ117では一
般的に飽和水蒸気を発生させる。蒸気圧力は、熱媒の凝
固点相当蒸気圧力よりも高く、かつ熱媒温度相当蒸気圧
力未満の範囲であれば、自由に選択できるが、発生蒸気
を有効に使用する点で0.5〜5.0MPa gauge、好
ましくは1.0〜4.8MPa gauge、より好ましくは
1.5〜4.5MPa gaugeの範囲である。操作圧力が
低いと凝固点に近づき固結し易くなるだけでなく、粘度
が上昇し、伝熱効率が悪くなる。その結果、十分な熱回
収を行うには、装置が大型化することになる。一方、操
作圧力を高くし過ぎると、設計圧力が高くなるため、装
置が高価となる。また、高圧では蒸気エンタルピはそれ
ほど変わらないため、発生蒸気圧を高くしても発生蒸気
量はさほどかわらない。
【0038】熱媒ボイラ117における圧力制御手段とし
ては、特に制限されるべきものではなく、例えば、弁
(コントロールバルブ)などを挙げることができる。
【0039】また、熱媒ボイラ117内の圧力は、例え
ば、ブルドン管型、ダイヤフラム型などの圧力計や圧力
センサなどを熱媒ボイラ117の適所に適宜設置して計測
することができる。
【0040】また、当該蒸気発生装置内の温度は、熱電
温度計、抵抗温度計、膨脹温度計などを配管または機器
の適所に適宜設置して計測することができる。
【0041】なお、上記圧力計や温度計等の検出部及び
圧力制御バルブ等の動作部を用いて圧力の自動制御が可
能なように制御部を組み合わせてもよい。
【0042】なお、蒸気発生装置における圧力制御手段
や圧力・温度測定装置などについては、熱媒ボイラ以外
の他の蒸気発生装置、さらには図2の実施形態の蒸気発
生装置についても同様であるため、以下における他の蒸
気発生装置および図2の実施形態の蒸気発生装置でのこ
れらの説明については重複を避けるため省略する。
【0043】上記熱媒ボイラ117で発生した蒸気の一部
は、蒸気配管175、176を通じて廃液処理装置119に送ら
れる。
【0044】ここで、蒸気配管175の蒸気の圧力は、熱
媒ボイラと同等または0.05〜0.1MPa低くなる
ように制御を行う。
【0045】蒸気配管175の圧力制御については、蒸気
発生装置である熱媒ボイラ117側の圧力制御とは別に単
独で行い、蒸気配管を流れる際に生じる損失をできる限
り小さく抑えて過熱蒸気発生装置である廃液処理装置11
9まで流すようにすればよい。また、蒸気配管内での蒸
気の持つ熱エネルギー損失や圧力損失をできるだけ小さ
く抑えるために、例えば、蒸気配管を断熱材で被覆した
り、配管途中に鋭角なコーナー部を設けないようにする
ことが望ましい。配管の圧力制御のみとし、熱媒ボイラ
の圧力制御をなくすことも可能である。
【0046】なお、本実施形態および後述する図2の実
施形態の蒸気配管内の圧力・温度の測定・制御について
は、前述の蒸気発生装置と同様である。
【0047】また、2段目反応器103での接触気相酸化
反応により得られた生成ガスは、配管153を通じて廃熱
ボイラ105に送られ、該生成ガスが持つ発生熱を廃熱ボ
イラ105の熱源に利用し、蒸気を発生させて余熱の回収
を行う。
【0048】ここでの蒸気発生装置である廃熱ボイラ10
5内での蒸気温度は、ボイラや配管が閉塞防止可能な温
度であればよい。すなわち、廃熱ボイラ105は、2段目
反応器103で得られた生成ガスそのものを通過させて、
生成ガス側に幾分持ち出されてくる反応熱を有効に回収
するものである。しかしながら、生成ガスである有機酸
含有ガス中には易閉塞性物質が含まれているため、廃熱
ボイラ105内での熱交換により生成ガスの温度を下げ過
ぎると、易閉塞性物質の析出による閉塞等の問題が生
じ、製造プロセスの運転ができなくなる。そこで、当該
廃熱ボイラ105においては、発生蒸気温度をボイラや配
管の閉塞防止可能な温度に制御するものである。廃熱ボ
イラ105内での発生蒸気温度としては、プロセスにより
異なるが、有機酸ガスを、アクリル酸では140℃以
上、メタクリル酸では230℃以上を保持できるよう蒸
気温度・圧力を制御することが望ましい。
【0049】廃熱ボイラ105で発生した蒸気は、蒸気配
管174から蒸気配管176を通じて廃液処理装置119に送ら
れる。ここで、蒸気配管174の発生蒸気の圧力は、その
先で蒸気配管176に合流することから、熱媒ボイラと同
程度の圧力で運転される。
【0050】廃液処理装置119では、酸精製工程107およ
びエステル化工程109からそれぞれ配管195および配管19
6を通じて送られた廃液に、必要に応じて最適な燃焼効
率を得るべく助燃材(補助燃料)を加えて燃焼処理す
る。この際に発生する燃焼熱を利用して、蒸気配管176
を通じて送られてくる蒸気を過熱して過熱蒸気を発生す
る。なお、廃液処理装置では、酸精製工程107から出る
廃水と、エステル化工程109から出る廃油とを同時また
は別々に処理するものである。
【0051】ここで、廃液処理装置119中の蒸気回収部
の廃液燃焼器(過熱蒸気発生装置でもある)内の圧力は
熱媒ボイラの圧力以下で、蒸気過熱度はタービンに使用
することから20〜150℃、好ましくは40〜130
℃、より好ましくは50〜120℃である。なお、廃液
処理装置119の廃液燃焼器としては、例えば、液中燃焼
炉や乾式燃焼炉などが挙げられる。
【0052】なお、廃液処理装置119での廃液の燃焼温
度は、助燃材の使用の有無などにもよるが、ダストの溶
融、NOxの発生等を考慮して、最高1200℃程度に
抑え、有機物の完全燃焼や臭気防止の点から最低900
℃を維持するようにし、必要に応じて助燃材を使用す
る。また、燃焼ガスの熱回収温度は、廃油や助燃剤に含
有される硫黄分濃度により、硫酸腐食が生じないように
決定される。
【0053】一方、上記熱媒ボイラ117で発生された蒸
気の一部は、蒸気配管175から分岐した蒸気配管189、19
1を通じて蒸気消費装置であるガス昇温器111に送られ、
酸素含有ガス供給機により配管162から配管166を通じて
送風されてくる圧縮空気との熱交換により、該圧縮空気
を所定温度にまで昇温するのに使用される。なお、上記
酸素含有ガス供給機は、装置構成部材としてコンプレッ
サ125、モータ123および蒸気タービン121を備えてい
る。
【0054】同様に、熱媒ボイラ117で発生された蒸気
の一部は、蒸気配管175から分岐した蒸気配管189、193
を通じて蒸気消費装置であるガス昇温器115に送られ、
廃ガス燃焼装置113から配管167を通じて送られてくるリ
サイクルガスとの熱交換により、該未反応ガスを所定温
度にまで昇温するのに使用される。
【0055】図示していないが、リサイクルガスをガス
昇温器115を通じ、2段目反応器103へ循環させる際に
も、コンプレッサが用いられるが、これにも蒸気タービ
ンを備え、過熱蒸気を利用し、同様に動力および低圧蒸
気の回収が行えることはいうまでもない。
【0056】ここで当該蒸気配管189、191、193の圧力
制御については、特に行う必要がなく、熱媒ボイラで発
生した蒸気のエネルギーを有効に利用できるようガス昇
温器を設計、使用すればよい。もちろん、必要に応じて
減圧弁などを設置し、蒸気圧力、温度を適正化すること
も可能である。さらに、これらの蒸気配管での圧力や温
度が不足するような場合には、廃液処理装置119で得ら
れる高温高圧の過熱蒸気の一部を当該蒸気配管に供給す
るようにしてもよい。
【0057】なお、熱媒ボイラ117で発生された蒸気の
配分に関しては、製造プラント全体の熱エネルギー収支
を勘案して、廃液処理装置119、ガス昇温器111およびガ
ス昇温器115への配分比率を決定すればよい。
【0058】また、上記廃液処理装置119で発生した過
熱蒸気は、蒸気配管177を通じて酸素含有ガス供給機の
蒸気消費装置である蒸気タービン121に送られ、高温高
圧の過熱蒸気の持つ熱エネルギーを有用な力学エネルギ
ー(機械的仕事)に変換される。
【0059】蒸気タービン121では、この高温高圧の過
熱蒸気をタービン内のノズルを通過させ断熱膨張させて
高速蒸気流をつくり、この高速蒸気流によってタービン
121の回転羽根を駆動して機械的仕事を行なう。
【0060】本実施形態では、蒸気タービン121で使用
した過熱蒸気の2次的利用を行い熱効率を高める観点か
ら、蒸気タービンとしては、抽気タービンあるいは背圧
タービンを利用することができる。また、蒸気タービン
に発電機を接続し、電気エネルギーに変換し、製造プラ
ントに必要な電力源として利用することもできる。
【0061】上記蒸気タービン121で過熱蒸気を力学エ
ネルギーとして使用した後の蒸気(排気)には、なお有
用な熱エネルギーを残している。そのため本実施形態で
は、かかる蒸気(排気)の持つ有用な熱エネルギーの複
合的利用や多段階熱利用によりエネルギーを利用する上
で有効利用がなされている。詳しくは、基幹となる蒸気
配管179を通じて製造プラント内の様々な装置(蒸気消
費装置)の動力源や熱源として使用され、可能な限り熱
交換等して有効活用がなされる。これは、蒸気(排気)
でも最適配分の重要性から、各種装置や機器の駆動用と
して比較的高温蒸気の熱源が必要なところへは高圧で高
温の蒸気を優先的に回し、熱交換器などの比較的低温蒸
気の熱源で足りるところへは低圧で低温になった蒸気を
回して利用するなど、製造プラント内のそれぞれの蒸気
消費装置に適した圧力の蒸気の供給がなされるようにで
きる点で有利である。
【0062】まず、上記蒸気タービン121で過熱蒸気を
力学エネルギーとして使用した後の蒸気(排気)は、蒸
気配管179から蒸気配管181を通じて配管164に接触気相
酸化反応用蒸気として供給され、原料ガスと混合された
上で蒸気消費装置である1段目反応器101に供給され、使
用される。これは、反応そのものに蒸気が必要であるた
めであり、例えば、アクリル酸の製造方法では、プロピ
レンなどの原料ガスは、酸素含有ガスおよび蒸気の存在
下で気相・高温度条件下で接触酸化され、1段目の酸化
反応でアクロレインに変換され、ついでこのアクロレイ
ンが2段目の酸化反応によりアクリル酸になる。
【0063】ここで、蒸気配管179の圧力は、蒸気ター
ビン121からの蒸気供給以外にも他の蒸気発生装置から
の蒸気の供給や、それぞれの蒸気消費装置に蒸気を供給
または循環していくにつれ、蒸気流量および蒸気の持つ
エネルギー量が変動する。このことから、配管全体を同
じ圧力に保持する必要はなく、当該蒸気配管の各部で最
適な圧力を保持できるように圧力制御がなされていれば
よい。よって、蒸気配管179の圧力は、一義的に規定す
ることはできないが、通常0.1〜2MPa gauge、好
ましくは0.25〜1MPa gaugeの範囲内で制御を行
う。蒸気配管179からそれぞれの蒸気消費装置で使用さ
れ系外に放出する過程において、蒸気の持つエネルギー
は最大限消費されており、そのため排出されるものは蒸
気でなく、水に戻っていてもよい。
【0064】上記蒸気(排気)はまた、蒸気配管179か
ら蒸気配管183を通じて、廃液処理装置119にて廃液を燃
焼処理する際に、当該廃液を所定の温度にまで上げると
きの廃液昇温熱交換器に利用される。これは、酸精製工
程107およびエステル化工程109で分離された廃水および
/または廃油を燃焼処理する上で、予め昇温させておく
ことで燃焼に必要な外部エネルギー源である助燃材を最
小限に抑えることができる点で有利である。
【0065】本実施形態では、廃液処理装置119におい
て、廃水と廃油を同時または別々に処理するものであ
る。この際、(1)廃液中の有機物濃度が低い廃水を燃
焼処理するような場合には助燃材を加えて、(2)廃液
中の有機物濃度が高い廃油を燃焼処理するような場合に
は特に助燃材を加えることなく、(3)廃水と廃油を同
時に処理する場合には、廃液中の有機物濃度に応じて適
宜助燃材を加えて、直接燃焼法により燃焼処理する。こ
の際、廃水の燃焼処理には従来大量の助燃材を必要とし
ていたが、有機酸の製造プラント内で発生させた蒸気の
一部を廃水の昇温に利用することで、助燃材の使用量を
大幅に減らすことができ、製造コストの削減にもつなが
るものである。
【0066】上記蒸気(排気)はさらに、蒸気配管179
から蒸気配管185を通じて酸精製工程107に、また蒸気配
管179から蒸気配管187を通じてエステル化工程109にそ
れぞれ送られ、各工程内の再沸器、加熱器、真空発生装
置にて使用される。
【0067】例えば、有機酸や有機酸エステルを蒸留す
る際に、真空下のある程度の温度で蒸留するので、その
真空発生装置の駆動用に当該蒸気が利用される。同様
に、有機酸や有機酸エステルを蒸留、精製する際に、溶
剤分離塔や軽沸分離塔・高沸分離塔等の蒸留塔の塔底液
を再沸させるために再沸器が設けられており、当該塔底
液との熱交換用蒸気として使用することができるもので
ある。
【0068】さらに、有機酸や有機酸エステルを蒸留、
精製する際に、溶剤分離塔や軽沸分離塔・高沸分離塔等
の蒸留塔および放散塔への供給原料を加熱するために加
熱器が設けられており、該加熱器の熱媒として使用する
ことができるものである。なお。ここでいう加熱器には
昇温器、蒸発器などの熱交換器が含まれていてもよい。
【0069】有機酸および有機酸エステルが易重合性物
質である場合、再沸器、加熱器で排気蒸気を使用するの
は特に有効である。熱媒ボイラ等で発生した高圧・高温
蒸気を使用すると再沸器、加熱器は小型化するが、重合
を引き起こしやすい。そのため、高圧蒸気をタービンで
動力回収し低圧・低温とし、再沸器、加熱器に排気蒸気
を利用する。必要に応じ調整弁で更に低圧・低温とする
ことも有効である。再沸器、加熱器で使用する蒸気と易
重合性物質との温度差は、50℃以下、より好ましくは
30℃以下が望ましい。
【0070】ここで、蒸気配管179の圧力は、上述した
通りである。したがって、蒸気配管185および蒸気配管1
87の圧力も、配管全体が同じ圧力に制御されている必要
はなく、目的とする蒸気消費装置にごとに分岐された配
管部分において適宜、所望の圧力範囲にコントロールす
るようにしてもよいし、蒸気配管全体が略同じ圧力に保
たれるようにコントロールするようにしてもよい。いず
れにせよ、再沸器および加熱器の熱媒として使用する場
合には、通常0.1〜1MPa gauge、好ましくは0.
1〜0.6MPa gaugeとなるように制御を行う。再沸
器および加熱器に供給する蒸気配管の圧力が0.1MP
a gauge未満の場合には、取り扱い流体との温度差が小
さく、熱効率も悪く、設備が大きくなり、一方、1MP
a gaugeを超える場合には、易重合性物質では重合を引
き起こしやすい。
【0071】なお、再沸器の使用例としては、竪形、横
型、ケトル形、塔内挿入形などが挙げられる。加熱器に
は、例えば、(1)プロペラ式撹拌器が用いられてなる
エステル化反応器の外周部に設けられてなる、エステル
化反応器内の温度を調節するために熱媒を投入して使用
するための加熱用ジャケット、(2)エステル反応器あ
るいは蒸留塔や放散塔などの各塔に原料を所定温度に調
節して供給するための固定管板式熱交換器を用いた加熱
器なども含まれるものとする。
【0072】さらに、真空発生装置の駆動用として利用
する場合には、蒸気配管の圧力は、通常0.3〜2MP
a gauge、好ましくは0.5〜1MPa gaugeとなるよ
うに制御を行う。
【0073】また、酸精製工程107およびエステル化工
程109で蒸留する際には、凝縮器や冷却器が必要となる
が、該凝縮器や冷却器には冷却水が循環されている。こ
の冷却水は大量に使用されるため、一般的には、冷却水
装置から、大型のポンプで循環使用される。そのポンプ
の駆動用にも蒸気が動力源として利用できる。かかる蒸
気も熱媒ボイラからの高圧・高温蒸気を使用することも
できるが、プラント内の余剰蒸気を利用し、排出前に蒸
気タービンに発電機を接続し、電気エネルギーに変換
し、電力源として利用することもできる。
【0074】さらに、蒸気発生装置の1つである廃ガス
燃焼装置113では、酸精製工程107内の有機酸捕集工程か
ら配管165を通じて供給される廃ガスに必要に応じて助
燃材を加えて燃焼処理する際に発生する燃焼熱を有効利
用して蒸気を発生させる。また、上記酸精製工程および
エステル化工程から出る上記廃液と酸精製工程から出る
上記廃ガスを同一装置で処理することも可能である。
【0075】廃ガス燃焼装置113で発生させた蒸気は、
蒸気配管171から蒸気配管179に送られる。ここで、蒸気
発生装置の圧力は、通常、接続される蒸気配管と同等ま
たは0.05〜0.1MPa高目の圧力で制御される。
【0076】以上が、図1に示す実施形態の説明である
が、図示するように、各蒸気配管を装置の簡素化の観点
から一系統として用いてもよいほか、後述する実施例に
記載したように、これらは必要に応じて適宜異なる圧力
ごとに制御されてなる複数系統の蒸気配管(例えば、高
圧用の蒸気配管、中圧用の蒸気配管、低圧用の蒸気配
管)を配置していてもよい。すなわち、それぞれの蒸気
発生装置で得られる圧力の異なる蒸気を、それぞれの蒸
気消費装置に必要な圧力の蒸気を供給することができる
ように、それぞれ異なる圧力に制御された蒸気配管を通
じて供給し、使用してもよい。このことは、後述する図
2においても同様である。
【0077】次に、本発明に係る有機酸の製造方法の好
適な他の一実施形態として、二段階接触気相酸化を1つ
の反応器を用いてなる有機酸の製造プロセスおよび該製
造プロセスで発生する蒸気システムに用いられる装置
(一部、工程で表す)概略図を図2に示す。上記反応器
としては、具体的には、反応器胴内が遮蔽板で仕切ら
れ、1段目の接触気相酸化反応を行う前段チャンバと、
2段目の接触気相酸化反応を行う後段チャンバとの2つ
のチャンバが形成され、各チャンバが独立して異なる温
度の熱媒が循環できるようにしてなる反応器である。な
お、図中の使用記号については、図1と同様である。
【0078】図2に示す実施形態での有機酸の製造プロ
セスの流れとしては、まず、原料ガスおよび酸素含有ガ
ス(空気およびリサイクルガス)を昇温混合後、酸素含
有ガス供給機により圧縮し、反応器201の前段チャンバ
に供給し、1段目の接触気相酸化反応を行う。この反応
によって生成したガスは、次に直接、反応器201の後段
チャンバに送られ、ここで、2段目の接触気相酸化反応
を行うことにより、所望の有機酸に転換される。
【0079】なお、反応器201においては、多管式の反
応器が用いられており、反応器胴内に設置された多数の
反応管(管束)内に充填した触媒に原料供給配管を通じ
て原料ガスを供給して接触気相酸化反応を行う。この
際、反応原料と酸素含有ガスである圧縮予熱空気等を混
合した原料ガスは、例えば、原料ガス供給口より反応器
胴内の各チャンバに適した触媒が充填された反応管の管
束内に供給され、各チャンバ内でそれぞれ気相接触酸化
されて反応生成物となった後、反応ガス排出口より配管
を通じて生成ガスとして排出される。
【0080】その後、この生成ガスは、配管251、さら
に蒸気発生装置の1つである廃熱ボイラ203、配管253を
通じて酸精製工程205に送られ、以下の操作を経て精製
有機酸を得る。さらに、この精製有機酸は、配管255を
通じてエステル化工程207に送られ、以下の操作を経て
有機酸エステルを得、配管257を通じて取り出される。
上記エステル化工程には、有機酸エステルの精製工程を
含む。
【0081】酸精製工程205内の有機酸捕集工程では、
廃熱ボイラ203を通過した生成ガスを配管253を通じて有
機酸捕集塔に導き、ここで、溶剤、通常、水と接触させ
て有機酸溶液として捕集する。得られた有機酸溶液は、
酸精製塔へ送られる。
【0082】また、酸精製塔では有機酸捕集工程から送
られてくる水溶液の水を共沸溶剤を用いて蒸留あるいは
溶剤を用いて抽出し有機酸を得、分離した水の一部は系
内に循環し、残りを廃水として系外へ排出する。抽出さ
れた有機酸含有成分は、その後、蒸留にて軽質分および
重質分を分離し、精製有機酸を製造する。
【0083】また、エステル化工程207では、酸精製工
程205で製造された有機酸をアルコールと反応させてエ
ステル化させる。反応生成物は、蒸留および/または抽
出操作により、未反応有機酸およびアルコールと、有機
酸エステルは分離され、その後、蒸留にて軽質分および
重質分を分離し、精製有機酸エステルを得る。
【0084】また、上記有機酸捕集工程で有機酸水溶液
を捕集、分離した際にでる廃ガスを配管261から263を通
じて廃ガス燃焼装置211に送り、燃焼処理した後、配管2
67を通じ、排ガスとして系外に排気される。
【0085】また、上記廃ガスの一部は、配管261から2
62を通じてガス昇温器209に送られ、所定温度に予熱さ
れた後、配管264を通じて配管266に供給され、酸素含有
ガスと混合された後、酸素含有ガス供給機に送られ、適
当に圧縮された後、配管259を通じて反応器201に供給さ
れる。
【0086】上記酸素含有ガス供給機としては、図2に
示すようなコンプレッサ213が利用できる。すなわち、
これらの酸素含有ガス供給機としては、図2に示すよう
に酸素含有ガス供給機の動力源として過熱蒸気を利用す
ることができる蒸気タービン219を持つものであればよ
い。さらに、上記酸素含有ガス供給機は、装置構成部材
としてモータ221を備えていてもよい。
【0087】なお、上記ガス昇温器209としては、図1
の実施形態で説明したガス昇温器111、115と同様のもの
が利用できる。
【0088】次に、本実施形態では、上記製造プロセス
において、接触気相酸化反応における発生熱を回収し、
使用するための蒸気システムを有する。かかる蒸気シス
テムでは、当該発生熱を蒸気として回収し、発生蒸気を
接触気相酸化反応工程およびそれ以後の工程で使用する
ものである。なお、上記発生熱に関しては、図1の実施
形態で説明した通りである。また、本実施形態は、廃液
燃焼熱を蒸気回収せずに、安定的にプラントを稼動さ
せ、発生熱を有効に回収・利用して、蒸気システム全体
の熱効率を高めた態様といえる。
【0089】以下、本実施形態における上記蒸気システ
ムにつき、図2を用いて説明する。
【0090】まず、反応器201の2つのチャンバの各胴
内に満たされている熱媒のうち、前段および/または後
段チャンバ内の熱媒を、熱媒ボイラ213へ循環用ポンプ
などにより配管269を通じて循環する。これにより反応
器201の前段チャンバ内で発生した反応熱を熱媒ボイラ2
13で熱交換して蒸気回収するものである。熱媒ボイラ21
3に関する装置類、蒸気圧力、圧力制御手段などの説明
については、図1の実施形態で説明した熱媒ボイラ117
と同様である。
【0091】上記熱媒ボイラ213で発生された蒸気の一
部は、蒸気配管273を通じて過熱器215に送られる。
【0092】ここで、蒸気配管273の蒸気の圧力は、熱
媒ボイラと同等または0.05〜0.1MPa低くなる
ように制御を行う。蒸気配管273の圧力制御について
は、図1の実施形態で説明した蒸気配管175と同様であ
る。
【0093】過熱器215に蒸気配管273を通じて送られて
くる蒸気は、反応器201の前段および/または後段チャ
ンバ内の反応熱を利用して過熱し過熱蒸気を発生する。
一般的には前段の方が高温であるため、過熱蒸気作成に
は適している。
【0094】なお、過熱器としては、一般的な多管式熱
交換器が使用できる。
【0095】ここで、過熱器215内の圧力および蒸気過
熱度は、図1の実施形態で説明した廃液処理装置119内
の圧力および蒸気過熱度と同様である。
【0096】上記過熱器215で発生した過熱蒸気は、蒸
気配管275を通じて酸素含有ガス供給機用の蒸気消費装
置である蒸気タービン219に送られ、高温高圧の過熱空
気の持つ熱エネルギーを有用な力学エネルギー(機械的
仕事)に変換される。
【0097】蒸気タービン219に関する説明について
は、図1の実施形態で説明した蒸気タービン121と同様
である。
【0098】また、上記熱媒ボイラ213で発生された蒸
気の一部は、蒸気配管273から分岐した蒸気配管283を通
じて蒸気配管277に送られ、かかる蒸気の持つ有用な熱
エネルギーをも併せて複合的利用や多段階熱利用などの
有効利用がなさる。さらには、後述する廃熱ボイラ203
や廃ガス燃焼装置211で発生された蒸気についても蒸気
配管277に送られ、これらの蒸気の持つ有用な熱エネル
ギーをも併せて複合的利用や多段階熱利用などの有効利
用がなさる。
【0099】ここで、蒸気配管283の圧力は、蒸気配管2
73と277の圧力差により弁などで制御される。
【0100】上記蒸気タービン219で過熱蒸気を力学エ
ネルギーとして使用した後の蒸気(排気)や上記熱媒ボ
イラ213で発生された蒸気の一部、さらには廃熱ボイラ2
03および廃ガス燃焼装置211で発生された蒸気は、メイ
ンの蒸気配管277に送られ、さらにここから蒸気配管279
を通じてガス昇温器209に送られ、酸精製工程から配管2
61、262を通じて送られてくる廃ガスとの熱交換によ
り、該廃ガスを所定温度にまで昇温するのに使用され
る。
【0101】ここで、蒸気配管277の圧力や蒸気配管277
から系外に排出されるまでの説明に関しては、図1の実
施形態で説明した蒸気配管179と同様である。
【0102】また、当該蒸気配管279の圧力制御につい
ても図1の蒸気配管191、193と同様である。
【0103】上記蒸気(排気)はさらに、蒸気配管277
から蒸気配管280を通じて酸精製工程205に、また蒸気配
管277から蒸気配管281を通じてエステル化工程207にそ
れぞれ送られ、各工程内の再沸器、加熱器、真空発生装
置等に使用される。なお、酸精製工程205およびエステ
ル化工程207での蒸気消費装置、各蒸気消費装置への蒸
気配管の圧力の説明に関しては、図1の実施態様の酸精
製工程107およびエステル化工程109での蒸気消費装置、
各蒸気消費装置への蒸気配管の圧力で説明したと同様で
ある。
【0104】上記蒸気(排気)はまた、蒸気配管277か
ら蒸気配管278を通じて、廃液処理装置217にて廃液を燃
焼処理する際に、当該廃液を昇温するときの廃液昇温熱
交換器に利用されるものであり、詳しくは、図1の実施
形態で説明した蒸気配管183を通じた蒸気の2次的利用
の利点等に関するものと同様である。
【0105】廃液処理装置217では、酸精製工程205およ
びエステル化工程207から配管285および配管286を通じ
て送られた廃液に、必要に応じて最適な燃焼効率を得る
べく助燃材を加えて燃焼処理する。なお、廃液処理装置
217では、酸精製工程205から出る廃水と、エステル化工
程207から出る廃油とを、燃焼効率などを勘案して同時
または別々に適宜処理することができる。
【0106】ここで、廃液処理装置217および廃液の燃
焼温度については、図1の実施形態で説明した廃液処理
装置119および廃液の燃焼温度と同様である。なお、廃
液処理装置217では、図2に示すように蒸気消費装置と
しての利用以外にも、例えば、図1と同様に蒸気発生装
置として利用してもよく、ここで回収した蒸気は、図1
と同様に過熱蒸気として蒸気配管275に加えて使用すれ
ばよい。この場合の廃液処理装置内の圧力、蒸気過熱
度、燃焼ガスの熱回収温度についても、図1の実施形態
で説明した通りである。
【0107】また、反応器201の後段チャンバ内での二
段階接触気相酸化反応により得られた生成ガスは、配管
251を通じて廃熱ボイラ203に送られ、該生成ガスが持つ
発生熱を廃熱ボイラ203の熱源に利用し、蒸気を発生さ
せて余熱の回収を行う。
【0108】ここでの蒸気発生装置である廃熱ボイラ20
3内での発生蒸気温度の説明に関しては、図1の実施態
様の廃熱ボイラ105で説明したと同様である。
【0109】廃熱ボイラ203で発生した蒸気は、蒸気配
管252から蒸気配管277に送られる。
【0110】また、蒸気発生装置の1つである廃ガス燃
焼装置211では、配管261から配管263を通じて供給され
る廃ガスの一部に必要に応じて助燃材を加えて燃焼処理
する際に発生する燃焼熱を有効利用して蒸気を発生させ
る。
【0111】廃ガス燃焼装置211で発生させた蒸気は、
蒸気配管265から蒸気配管277に送られる。ここで、蒸気
発生装置の圧力は、通常、接続される蒸気配管と同等ま
たは0.05〜0.1MPa高目の圧力で制御される。
【0112】なお、排出蒸気に関しては、系外に排出し
てもよいし、熱交換器で凝縮し、凝縮水としてボイラの
供水などに利用してもよい。
【0113】また、本発明の製造方法を適用することの
できる有機酸としては、接触気相酸化反応で製造し得る
全てのものが適用可能である。有機酸としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸、フタル酸、マレイン酸などが
挙げられるが、好ましくは(メタ)アクリル酸である。
また、本発明の製造方法では、有機酸をさらにエステル
化して有機酸エステルを製造する工程を含むものであっ
てもよい。かかる有機酸エステルとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸のエステル、例えば、(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプ
ロピル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシルなどが挙
げられる。
【0114】なお、本発明の有機酸および/または有機
酸エステルの製造方法については、図1、2に示す代表
的な実施形態にのみ制限されるべきものではなく、図
1、2の実施形態を適当に組み合わせてもよいし、組み
替えてもよいなど、本発明の技術的範囲を逸脱しないも
のであれば、特に制限されるべきものではない。
【0115】
【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明す
る。
【0116】実施例1 図1の形態でメタクリル酸を経由し、メタクリル酸メチ
ルを製造した。1段目反応器101へは、原料のイソブチ
レンと酸素含有ガスおよび蒸気を供給し、反応器用の熱
媒としては、硝酸カリウム−亜硝酸ナトリウムを各50
質量%で混合したものを用いた。各反応器101、103の熱
媒は混合し、熱媒ボイラ117へ供給され、高圧蒸気を発
生させた後、反応器へ循環された。熱媒ボイラは4.1
MPa gaugeで制御され、発生蒸気21.2T/hはプ
ラント内の4.0MPa gauge(高圧蒸気)で制御され
ている蒸気配管へ排出された。反応ガスは廃熱ボイラ10
5で260℃まで冷却し、酸精製工程107内の捕集塔へ導
入した。廃熱ボイラ105は4.1MPa gauge(高圧蒸
気)で制御されている蒸気配管へ排出された。高圧蒸気
はユーザーであるガス昇温器111、115などで3.5T/
h消費され、残りの19.9T/hが廃液処理装置へ送
気された。捕集塔からの廃ガスは、廃ガス処理工程113
で触媒で燃焼され、燃焼熱は蒸気として回収された。蒸
気回収装置は0.25MPa gaugeで制御され、発生蒸
気2.8T/hはプラント内の0.2MPa gauge(低
圧蒸気)で制御されている蒸気配管へ排出された。熱回
収後のガスの一部は昇温後2段目反応器103へリサイク
ルし、残りは系外へ排出された。捕集塔塔底の捕集液を
酸精製工程107内で抽出、蒸留の精製し、メタクリル酸
を得た。さらに、メタクリル酸はエステル化工程109で
メタノールとエステル化され蒸留精製後、メタクリル酸
メチルが得られた。酸、エステルの各精製工程では自然
循環式再沸器、加熱器、真空発生装置(スチームエゼク
タ)に蒸気が使用された。使用蒸気は0.6MPa gau
ge(中圧蒸気)および0.2MPa gauge(低圧蒸気)
で反応器に投入する蒸気を含め、消費量は17.3T/
hであった。酸精製工程およびエステル化工程で生じる
廃液は廃液処理装置で処理した。廃水は蒸発器で低圧蒸
気4.2T/hを使用して一部蒸発させ、その廃水蒸気
および廃水と廃油および補助燃料を炉で、980℃で燃
焼処理した。燃焼ガスは230℃まで熱回収し、反応系
からの蒸気と併せて4MPa gauge、350℃の過熱蒸
気を24.3T/h発生させた。過熱蒸気は空気圧縮機
およびリサイクルガス圧縮機用背圧タービンに全量使用
し、0.6MPa gaugeおよび0.2MPa gaugeで制
御されている蒸気ラインへ回収した。また、余剰蒸気を
低圧蒸気として5.6T/hで排出した。結果として蒸
気発生系および消費系で安定して稼動が可能であった。
さらに、圧縮機をタービン駆動することにより約160
0kWの電力節減が可能となった。
【0117】実施例2 図2の形態でアクリル酸を製造した。反応器201へは、
原料のプロピレンと酸素含有ガスを供給し、反応器用の
熱媒としては、硝酸カリウム−亜硝酸ナトリウムを各5
0質量%で混合したものを用いた。反応器201は遮蔽板
で仕切られ、それぞれの熱媒は混合後、熱媒ボイラ213
へ供給され、高圧蒸気を発生させた後、反応器へ循環さ
れた。熱媒ボイラ213は2.1MPa gaugeで制御さ
れ、発生蒸気14.3T/hは2.0MPa gaugeに制
御された高圧蒸気配管に通じ、さらに過熱器215で27
0℃まで昇温された。過熱蒸気は、酸素含有ガス圧縮機
用背圧タービンに使用された。排気蒸気はプラント内の
0.6MPa gauge(中圧蒸気)で制御されている蒸気
配管へ排出された。反応ガスは廃熱ボイラで170℃ま
で冷却し、酸精製工程205内の捕集塔へ導入した。廃熱
ボイラは0.25MPa gaugeで制御され、発生蒸気
1.2T/hはプラント内の0.2MPa gauge(低圧
蒸気)で制御されている蒸気配管へ排出された。捕集塔
からの廃ガスは、一部リサイクルガスとして酸素含有ガ
ス圧縮機経由で反応器201へ回収され、残りは廃ガス処
理工程で触媒燃焼された。廃ガスの燃焼熱は2.1T/
hの蒸気で回収された。なお、この蒸気回収装置は0.
65MPa gaugeで制御され、プラント内の0.6MP
a gauge(中圧蒸気)で制御されている蒸気配管へ排出
された。捕集塔塔底の捕集液を酸精製工程内で蒸留の精
製し、アクリル酸を得た。酸精製工程では、自然循環式
再沸器、加熱器、真空発生装置(スチームエゼクタ)に
蒸気が使用された。使用蒸気は0.6MPa gauge(中
圧蒸気)および0.2MPa gauge(低圧蒸気)で、蒸
気消費量は8.6T/hであった。酸精製工程で生じる
廃液は廃液処理装置で処理した。廃水は放散塔で燃焼用
空気を使用して一部放散させ、その廃水蒸気および廃水
と廃油および補助燃料を液中燃焼炉で、920℃で燃焼
処理した。なお、放散塔へ供給する廃水は、燃焼ガスお
よび低圧蒸気0.4T/hで予熱した。アクリル酸プラ
ントの余剰蒸気約8.6T/hをエステル化工程207へ
排出した。結果として、蒸気発生系および消費系で安定
して稼動が可能であった。さらに、圧縮機をタービン駆
動することにより約520kWの電力節約が可能となっ
た。エステル系では反応器、自然循環式再沸器、真空発
生装置、加熱器に使用し、系外からの受け入れ蒸気が削
減された。
【0118】
【発明の効果】本発明に係る有機酸および/または有機
酸エステルの製造方法では、有機酸および/または有機
酸エステルの製造工程における発生熱を蒸気として回収
し、該発生蒸気を有機酸および/または有機酸エステル
製造工程において、熱エネルギー、力学エネルギー
および電気エネルギーのいずれかとして使用すること
を特徴とするものであるため、システムの簡素化および
排出蒸気の削減が行えるなど、その製造プラントから発
生する副生物や排熱量を極めて有効に活用することがで
きる。特に、本発明では、製造工程内の発生熱を蒸気回
収し、製造工程内の各所で複合的に使用する上で、
(1)蒸気発生装置および(2)該蒸気発生装置と蒸気
消費装置とを結ぶ蒸気配管をそれぞれ単独に圧力制御す
ることで、それぞれの蒸気発生装置で得られる高圧〜低
圧の圧力の異なる蒸気を、それぞれの蒸気消費装置に適
した圧力の蒸気を供給することができるように、圧力の
異なる蒸気配管を通じて供給し、使用することができる
ように制御されてなるので、上記効果をより一層向上さ
せることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る有機酸および有機酸エステルの
製造方法の好適な一実施形態として、主な有機酸および
有機酸エステルの製造プロセスおよび該製造プロセスで
発生する蒸気システムに用いられる装置(一部、工程で
表す)の概略図である。
【図2】 本発明に係る有機酸および有機酸エステルの
製造方法の好適な他の一実施形態として、二段階接触気
相酸化を1つの反応器を用いてなる有機酸および有機酸
エステルの製造プロセスおよび該製造プロセスで発生す
る蒸気システムに用いられる装置(一部、工程で表す)
の概略図である。
【符号の説明】
101…1段目反応器、 103…2段目反
応器、105、203…廃熱ボイラ、 107、205
…酸精製工程、109、207…エステル化工程、
111、115、209…ガス昇温器、113、211…廃ガス燃焼装
置、 117、213…熱媒ボイラ、119、217…廃液
処理装置、 121、219…蒸気タービン、12
3、221…モータ、 125、213…コンプ
レッサ、201…反応器、 215…
過熱器、102、104、151、153、155、157、159、162、16
3、164、165、166、167、169、173、195、196、251、25
3、255、257、259、261、262、263、264、266、267、26
9、271、285、286…配管、171、174〜177、179、181、1
83、185、187、189、191、193、252、265、273、275、2
77、278、279、280、281、283…蒸気配管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F22B 1/18 F22B 1/18 D (72)発明者 坂元 一彦 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 原槇 英文 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 Fターム(参考) 4G075 AA14 AA41 AA44 4H006 AA02 AC46 AC48 BE30 BS10 KA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機酸および/または有機酸エステル製
    造工程における発生熱を蒸気として回収し、該発生蒸気
    を有機酸および/または有機酸エステル製造工程におい
    て、 熱エネルギー、 力学エネルギー、 電気エネルギー、 のいずれかとして使用することを特徴とする有機酸およ
    び/または有機酸エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 発生蒸気を、 接触気相酸化反応器への供給ガスの昇温用熱交換器、 接触気相酸化反応器への酸素含有ガス供給機の動力
    源、 接触気相酸化反応用蒸気、 有機酸精製工程および/またはエステル化工程の再沸
    器、加熱器または真空発生装置、 廃水昇温用熱交換器、 有機酸精製工程および/またはエステル化工程に使用
    する用役用ポンプの動力源、 のいずれかに使用することを特徴とする請求項1に記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 有機酸が、(メタ)アクリル酸である請
    求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。
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