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JP2002505576A - 神経栄養因子レセプター - Google Patents

神経栄養因子レセプター

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JP2002505576A JP50067499A JP50067499A JP2002505576A JP 2002505576 A JP2002505576 A JP 2002505576A JP 50067499 A JP50067499 A JP 50067499A JP 50067499 A JP50067499 A JP 50067499A JP 2002505576 A JP2002505576 A JP 2002505576A
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フオツクス,ギヤリー・エム
チン,シユウチエン
ウエン,ドウアンチイ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、中枢および末梢神経系の両方の種々の細胞型において広範な生物学的活性スペクトルを示す強力な神経栄養因子である、グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)に関する。本発明は、GDNFレセプターのクローニングおよび特徴付けを含む。核酸およびアミノ酸配列は、GDNFRタンパク質産物に関して記載する。シグナルペプチドの特徴を示す疎水性ドメインがアミノ末端に認められるが、カルボキシ末端の第二疎水性ドメインは、細胞膜へのレセプターの結合に関与している。トランスメンブランドメインおよび細胞質領域の欠失により、トランスメンブランシグナリングを仲介するために、GDNFRは1つ以上の補助分子を必要とすることが示唆される。GDNFRmRNAは、神経系および非−神経組織の両方に広範に分布しており、GDNFで見られる類似した分布と一致している。

Description

【発明の詳細な説明】 神経栄養因子レセプター 1.発明の分野 本発明は神経栄養因子レセプターに関する。特に、本発明はグリア細胞系由来 神経栄養因子(GDNF)およびニューチュリン(neurturin)のレセ プターに関し、このレセプターをコードする核酸およびアミノ酸を提供する。本 発明はまた、神経栄養因子応答症状の処置における治療技術に関する。 2.発明の背景グリア細胞系由来神経栄養因子 グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)が、中脳ドーパミン作動性ニュー ロンの生存を亢進する強力な神経栄養因子として初めてラットB49細胞から単 離およびクローン化された(Linら、Science、260、1130−1 132、1993)。近年、研究により、この分子は種々の他の生物学的活性を 示し、中枢および末梢神経系両方の数種のニューロンに対して効果を有すること が示された。中枢神経系(CNS)において、GDNFは哺乳動物顔面および脊 髄運動ニューロ ンの軸索切断誘導死を防ぎ(Liら、Proceedings Of The National Academy Of Sciences、U.S.A.、 92、9771−9775、1995;Oppenheimら、Nature、 373、344−346、1995;Yanら、Nature、373、341 −344、1995;Hendersonら、Science、266、106 2−1064、1994;Zurnら、Neuroreport、6、113− 118、1994)、発達中トリ運動ニューロンを自然にプログラムされた細胞 死から助ける(Oppenheimら1995上記)ことが示された。GDNF の局所投与により、軸索切断誘導(KearnsおよびGash、Brain Research、672、104−111、1995;Beckら、Natu re、373、339−341、1995)または神経毒誘導変性(Sauer ら、Proceedings Of The National Academ y Of Sciences U.S.A.、92、8935−8939、19 95;Tomacら、Nature、373、335−339、1995)から 黒質ドーパミン作動性ニューロンを保護することが示された。 さらに、GDNFの局所投与は、ドーパミン作動性ニューロンの出芽を誘導し、 ドーパミン、ノルアドレナリン、およびセロトニンのレベルを増加させ、運動行 動を亢進することが示された(Tomacら、1995上記)。 より近年では、GDNFは脳ノルアドレナリンニューロンおよびプルキンエ細 胞の強力な栄養因子であることが報告されている。GDNFを異所的に発現して いる線維芽細胞の移植により、インビボにおいて、6−ヒドロキシドーパミン− 誘導変性を防ぎ、成人ノルアドレナリンニューロンの表現型を促進し(Aren asら、Neuron、15、1465−1473、1995)、一方、外因的 に適用したGDNFによりインビトロにおいて肝プルキンエ細胞の生存および形 態学的分化を効果的に促進した(Mountら、Proceedings Of The National Academy Of Sciences U. S.A.、92、9092−9096、1995)。末梢神経系において、GD NFは結節、毛様体および交換神経神経節のニューロン、並びに後根神経節(D RG)および三叉神経神経節の小群の胚感覚ニューロンの生存を促進することが 示された(TruppらJournal of Cell Biology、 130、137−148、1995;Ebendalら、Journal Of Neuroscience Research、40、276−284、19 95;Oppenheimら、1995上記;Yanら、1995上記;Hen dersonら、1994上記)。GDNFはまた、培養上頚部神経節(SCG )ニューロンにおいて血管作動性腸ペプチドおよびプレプロタキキニン−AmR NAの発現を亢進し、従ってSCGニューロンの発現型に影響を与え束様出芽を 誘導することが報告されている(Truppら、1995上記)。 GDNFの発現が、神経系の数多くの異なる細胞型および構造において観察さ れている。CNSにおいて、GDNF mRNA発現が、逆転写ポリメラーゼ鎖 反応(RT−PCR)により、発育中および成人ラット線状体の両方、黒質ドー パミン作動性神経支配の主要標的、および海馬、皮質、視床、隔膜、小脳、脊髄 、および延髄を含む他領域において広範に観察されている(Arenasら、上 記1995;Poulsenら、Neuron、13、1245−1252、1 994;Springerら、Experimental Neurology 、127、167−170、1994;Stroembergら、 Experimental Neurology、124、401−412、1 993;Schaarら、Experimental Neurology、1 24、368−371、1993)。ヒトにおいて、GDNF転写物はまた線状 体において、尾状核で最も高いレベルで、被殻でより低いレベルで観察された。 検出可能なレベルはまた、海馬、皮質、および脊髄にも認められたが、小脳には 観察されなかった(Schaarら、Experimental Neurol ogy、130、387−393、1994;Springerら1994上記 )。末梢において、GDNF mRNA発現が、生後1目のラットのDRGおよ びSCG、坐骨神経、および新生児シュワン細胞の一次培養物において報告され ている(Truppら、1995上記;Hofferら、Neuroscien ce Letters、182、107−111、1994;Henderso nら、1994上記;Springerら、1994上記)。さらに、近年の研 究により、GDNF転写物はまた、生後精巣および腎臓を含む末梢非ニューロン 器官、胚髭パッド、胃、および皮膚において広範に発現されていることが示され た。発現は、胚筋肉、副腎および肢芽、および生後肺、肝臓および卵巣において 低いレベルで検出できる(Truppら、1995上記;Hendersonら 、1994上記)。しかしこれまでに、GDNFの非ニューロン発現の生物学的 重要性は明らかでない。 「ニューチュリン」と呼ばれる神経栄養因子は、Nature 384(5) :467−470、1996に記載されている。GDNFタンパク質産物の製造 および特性の詳細な記述は、1994年5月23日出願の米国特許出願番号08 /182,183およびその親出願(1992年9月17日出願PCT/US9 2/07888、WO93/06116および欧州特許出願番号9292102 2.7、公開番号EP610254も参照)に認められ得、その開示は引用によ りここに援用する。さらに別のGDNFタンパク質産物が、1995年9月28 日出願の出願中米国特許出願番号08/535,681に記載されており、その 開示は引用によりここに援用する。本明細書に使用されているように、「GDN Fタンパク質産物」という用語は、生物学的に活性な合成または組換えGDNF タンパク質および類似体、並びにその化学的修飾誘導体を含む。GDNF類似体 は切形GDNFタンパク質などの欠失変異体、並びにGDNFの挿入および置換 変異体を含む。その他にヒトGDNFタンパ ク質に実質上相同的なGDNFタンパク質が含まれる。GDNF療法 GDNF療法は、1つ以上の型の神経細胞の生存および/または適当な機能が 傷害を受けた症状により引き起こされた神経障害の処置に有効である。かかる神 経障害は、多くの異なる原因により生じ得る。神経障害は、(1)傷害部位付近 の軸索プロセスおよび/または神経細胞体の変性を引き起こす、物理的傷害;( 2)卒中など神経系部分への血流の一時的または永久的停止;(3)恣意的また は偶発的神経毒への暴露(例えば、癌治療の化学療法剤(例えばシスプラチン) またはAIDS治療のジデオキシシチジン(ddC));(4)慢性代謝疾患、 例えば糖尿病または腎機能不全;または(5)神経変性疾患、例えばパーキンソ ン病、アルツハイマー病、および筋萎縮性側索硬化症(ALS)(これは特定の ニューロン個体群の変性により生じる)により、1つ以上の型の神経細胞に生じ 得る。 いくつかの研究により、GDNF療法は、例えばパーキンソン病における黒質 のドーパミン作動性ニューロンの変性などの神経変性症状の処置に特に有用であ ることが示唆されている。パーキンソン病の現在の唯一の治療法は、待機的であ り、線状 体におけるドーパミンレベルの上昇を目標としている。GDNF療法の期待する 効果は単に、線状体におけるドーパミン作動性神経終末でのドーパミン作動性神 経伝達の増加だけでなく(これは症候の緩解をもたらす)、また変性プロセスの 進行を遅延または停止させ傷害黒質線状体路を修復しその機能を回復することで ある。GDNFはまたヒト患者においてドーパミン作動性神経細胞の他の形の傷 害または不適当な機能の処置に使用し得る。かかる傷害または機能不全は分裂病 および他の形の精神病において生じ得る。かかる症状の唯一の治療法は、対症療 法であり、ドーパミンレセプターまたはドーパミン取り込み部位に作用する薬剤 を必要とし、これらのレセプターを有するニューロン個体群に分布するドーパミ ンニューロンの不適切な機能が疾患プロセスに関与し得るという見解と一致する 。レセプター タンパク質因子への結合および応答を仲介する数多くのレセプター(インシュ リン、血小板由来増殖因子、表皮増殖因子およびその関連物、線維芽細胞増殖因 子、種々のインターロイキン、造血増殖因子および毛様体神経栄養因子のレセプ ターを含む)が特徴づけられ分子クローニングされた(U.S. 5,426,177)。研究結果により、いくつかのレセプターが複数(関連) 増殖因子に結合でき、一方、他の場合では同因子が複数(関連)レセプターに結 合および活性化できることが示される(例えば、Lupuら、Science、 249:1552−1555、1990;Dionneら、EMBO J.、9 :2685−2692、1990;Mikiら、Science、251:72 −75、1991)。ほとんどのレセプターはおおまかに、タンパク質因子への 特異的結合に関与する細胞外部分またはドメイン、細胞膜に及ぶトランスメンブ ランドメイン、およびタンパク質因子のレセプター細胞外部分への結合時におい てシグナル変換の開始にしばしば関与する細胞内ドメインを有することを特徴と する。多くのレセプターが1本のポリペプチド鎖から成るが、他のレセプターは 、タンパク質因子を高親和性で結合させ、結合後に機能性応答が可能となるよう に、明らかに2つ以上の別々のサブユニットを必要とする(例えば、Hemps teadら、Science、243:373−375、1989;Hibiら 、Cell、63:1149−1157、1990)。 該レセプターの細胞外および細胞内部分は、他のレセプター の対応する領域と共通した構造モチーフを所有し得、このことは異なるレセプタ ー間の進化的および機能的関係を示唆する。これらの関係は、しばしば極めて希 薄であり得、単にある一般的なドメイン構造の反復使用を反映することもある。 例えば、非関連因子に結合する種々の異なるレセプターは、細胞外部分に「免疫 グロブリン」ドメインを使用し、一方、他のレセプターはその因子結合領域に「 サイトカインレセプター」ドメインを使用する(例えば、Akiraら、The FASEB J.、4:2860−2867、1990)。別個の細胞外結合 ドメインをもつ(従って異なる因子に結合する)数多くのレセプターは、因子結 合に応答して活性化されるチロシン特異的プロテインキナーゼをコードする関連 細胞質内ドメインを含む(例えば、Ul1richおよびSchlessing er、Cell、61:203−212、1990)。因子結合がシグナル変換 を「活性化」する機構は、レセプターチロシンキナーゼの場合でさえもよく理解 されていない。細胞内ドメインが未知の機能のドメインをコードするか、または 結合成分が第2の未知の機能を有するタンパク質と結合した他のレセプターにお いて(例えばHibiら、Cell、63:1149−1157、1990)、 シグナル変換の活性化は、十分に特徴づけられていない。 インビボにおけるGDNFの作用形式は、当分野で明らかには解明されていな いが、これはGDNFレセプターに関する情報不足も一因である。2つのグルー プが別個に、線状体注入[125I]−標識GDNFは黒質においてドーパミン作 動性ニューロンにより逆送できることを発見した(Tomacら、Procee dings Of The National Academy Of Sci ences Of The United States Of Americ a、92、8274−8278、1995;Yanら、1995上記)。 脊髄運動ニューロン、DRG感覚ニューロンおよび網膜神経節のB層のニューロ ンによる[125I]−GDNF逆行性移送もまた観察された。これらの逆行性移 送現象は、全て特異的に100倍またはそれ以上の濃度の非標識GDNFにより 阻害することができ、これは飽和可能なレセプター仲介移送プロセスを示唆する 。インビトロにおいて、組換えGDNFは、生存を亢進し、非常に低い濃度で培 養ドーパミン作動性ニューロンのドーパミン取り込みを促進することが示された 。これらのニューロンにおいて観察されたGDNFの50%有効濃度(EC50) は、0.2−1.6pMである(Linら、1993上記)。GDNFはまた、 低濃度で解離運動ニューロンの生存を支持することが示された。報告された運動 ニューロンにおける5−10fM範囲におけるGDNFのEC50は、ドーパミン 作動性ニューロンに対するよりも低い(Hendersonら、1994上記) 。 総合すると、こららの観察は、これらの細胞で発現されたGDNFレセプター は非常に高いリガンド結合親和性を有することを示唆する。TGF−βファミリ ーのメンバーと類似して、異なる細胞個体群上におけるGDNFの広範に分散し た組織分布および種々の生物学的機能は、異なる種類のGDNFレセプターまた はレセプター複合体が存在し得ることを示唆する。E10ひよこ交換神経ニュー ロンの飽和定常状態および[125I]−GDNFの競合結合により、これらのニ ューロンはドーパミンおよび運動ニューロンで観察されたものとは異なるGDN F結合部位を発現することが示される。これらの結合部位上におけるGDNFの 50%飽和濃度および50%阻害濃度は、1−5nMの範囲にある(Trupp ら、1995上記)。同様に、P1ラットSCG由来の交換神経ニューロンの生 存を支持するGDNFのEC50がナノモルの範囲であることが報告された (Truppら、1995上記)。 GDNFがシグナル変換を活性化し細胞上にその効果を奏効する機構をより理 解するためには、このタンパク質因子への結合および応答を仲介するレセプター を同定することが有益であろう。また、GDNF療法において、GDNFシグナ ル変換を提供または亢進する補助分子を同定およびその産生を可能とすることが 有益であろう。さらに、GDNFタンパク質レセプターの同定は、例えば個体が GDNFタンパク質療法の効果を受けているかを決定する手段などの診断用途に おいて効果的な適用を提供する。さらに、GDNFのタンパク質レセプターは、 レセプターに結合し、結果として所望の生物学的活性をもたらす付加分子を同定 するアッセイにおいて鍵成分となり得る。 発明の要約 本発明は、図に示したアミノ酸配列を有する神経栄養因子レセプタータンパク 質をコードする核酸配列並びに生物学的等価類似体を提供する。本発明の神経栄 養因子レセプタータンパク質およびタンパク質産物は、本明細書ではグリア細胞 系由来神経栄養因子レセプター(GDNFR)タンパク質およびタンパク質産物 を意味する。本明細書で言及した特定のレセプタータ ンパク質は、GDNFR−α、およびグリア細胞系由来神経栄養因子レセプター −α−関連レセプタータンパク質2および3(GRR2およびGRR3)を含む 。新規タンパク質は、GDNFおよび/またはニューチュリンに特異的に結合し 、およびGDNFおよび/またはニューチュリンのシグナル変換効果を仲介また は亢進する分子複合体の一部として作用できることにより機能的に特徴付けられ る。GDNFRタンパク質産物は、典型的には、可溶性レセプタータンパク質と して、実質的に純粋な形で提供される。 1つの態様において、本発明は、組換え遺伝子工学技術によるGDNFRタン パク質産物の産生を提供する。別の態様において、GDNFRタンパク質は、化 学技術または組換えおよび化学技術の組合せにより合成する。 本発明のまた別の態様において、GDNFRタンパク質は、グリコシル化また は非−グリコシル化形で製造し得る。GDNFRタンパク質の誘導体は典型的に 、水溶性ポリマーへのGDNFRタンパク質の結合を含む。例えば、GDNFR タンパク質は1つ以上のポリエチレングリコール分子とコンジュゲートさせ、水 性環境においてGDNFRタンパク質産物の沈殿を減少させ 得る。 また別の本発明の態様は、GDNFRタンパク質をコードする種々のポリヌク レオチドを含む。これらの核酸配列は、真核または原核宿主細胞におけるGDN FRの発現に使用され、ここでこの発現産物またはその誘導体はGDNFに結合 し、よってドーパミン作動性細胞によるドーパミン取り込み増加などのGDNF 活性を仲介できる複合体を形成できることを特徴とする。ポリヌクレオチドはま た細胞療法または遺伝子療法において使用し得る。適当な核酸配列は、特に図に 示したもの並びに本発明に基づいた変性配列、天然に存在する対立遺伝子変異お よび修飾配列を含む。 核酸配列の例は、グリア細胞系由来神経栄養因子(GFNF)および/または ニューチュリンと複合体を形成でき、GDNFおよび/またはニューチュリンに 細胞応答を仲介できる図に示したアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタータ ンパク質をコードする配列、およびその生物学的等価類似体を含む。かかる配列 は、(a)グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)と複合体を形成でき、G DNFへの細胞応答を仲介できる神経栄養因子レセプター(GDNFR−α)並 びにGRR2および GRR3をコードする、Met1からSer465をコードするヌクレオチドを含む 図1(配列番号1)またはMet1からSer468をコードするヌクレオチドを含 む図3(配列番号3)に示す配列;(b)(1)(a)の相補的配列にハイブリ ダイズし、(2)GDNFR活性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列; および(c)遺伝子コードの縮重がなければ(a)の相補的配列にハイブリダイ ズし、(2)GDNFR活性を有するアミノ酸をコードする核酸配列を含む。そ の他に本明細書で開示されるものは、配列が典型的に、核酸配列の増幅または発 現を行える1つ以上の機能エレメントに機能的に結合させた核酸配列を含むベク ターである。かかるベクターを含む宿主細胞もまた考えられる。典型的には、宿 主細胞は、例えばCOS−7細胞または大腸菌などのそれぞれ哺乳動物細胞およ び細菌細胞から選択する。 本発明にさらに別の目的は、増幅および/または発現調節配列に機能的に結合 させたGDNFRタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含 む。原核および真核宿主細胞は両方共、かかるベクターを用いて安定に形質転換 またはトランスフェクションし、GDNFRタンパク質を発現し得る。 本発明はさらに、タンパク質GDNFRの組換え産物を含み、ここでかかる形質 転換またはトランスフェクト宿主細胞は適当な栄養培地で成育させ、細胞により 発現されるGDNFRタンパク質を、任意に、宿主細胞および/または栄養培地 から単離する。本発明はさらに、遺伝子療法または細胞療法における、GDNF Rタンパク質をコードするポリヌクレオチドおよびかかるポリヌクレオチドを含 むベクターの使用を含む。 宿主細胞はまた、ヒト移植への適合性について選択し得、移植細胞は本発明の 栄養因子レセプターを発現および分泌する。宿主細胞はまた、ヒト移植に適当な 半透膜に封入され得る。宿主細胞は生体外で形質転換またはトランスフェクトさ せ得る。神経傷害処置装置の例は(a)移植に適当な半透膜;および(b)膜内 に被包された細胞を含み、ここで細胞は本明細書で開示したように神経栄養因子 レセプターを発現および分泌する。膜は、神経栄養因子レセプタータンパク質に 透過性であるが、被包細胞に傷害性の物質には不透過性である物質から選択する 。 本発明の神経栄養因子レセプターの組換え産生法もまた開示される。方法例は (a)グリア細胞系由来神経栄養因子および/またはニューチュリンと複合体を 形成でき、GDNFおよび /またはニューチュリンに細胞応答を仲介できる図に示すアミノ酸配列などの、 本発明のGDNFRタンパク質をコードする核酸配列またはその生物学的等価類 似体を含む宿主細胞を培養し;(b)該宿主細胞を、該宿主細胞による該神経栄 養因子レセプターの発現に適当な条件下で維持し;(c)任意に、該宿主細胞に より発現される該神経栄養因子レセプターを単離することを含む。宿主細胞は原 核または真核細胞であり得る。細菌発現が関与すれば、方法はさらに神経栄養因 子レセプターをリホールド(re−fold)する段階を含み得る。 本発明は、グリア細胞系由来神経栄養因子および/またはニューチュリンと複 合体を形成でき、GDNFおよび/またはニューチュリンへの細胞応答を仲介で きる図に示すアミノ酸配列およびその生物学的に等価な類似体を含む単離および 精製タンパク質を含む。類似体の例は、図2(配列番号2)に示すアミノ酸配列 Ser18からPro446、Asp25からLeu447およびCys29からCys442 を含むタンパク質並びに図4(配列番号4)に示すアミノ酸配列Met17からP ro449およびCys29からCys443を含むタンパク質を含むが、これらに限定 されない。本発明のタンパク質はグリコシル化または 非グリコシル化され得、組換え技術または化学合成により産生し得る。本発明は さらにかかるアミノ酸配列を含むレセプタータンパク質をコードする核酸配列を 含む。 本明細書ではまた、医薬的に許容できる担体と組合せて本発明のGDNFRタ ンパク質を含む医薬組成物が開示される。種々の他の製剤物質を使用して製造、 貯蔵、取扱、送達および/または効力を高め得る。 本発明の別の態様は、GDNFR遺伝子およびタンパク質の治療使用を含む。 例えば、循環または可溶性GDNFRタンパク質産物は、GDNFおよび/また はニューチュリンのトランスメンブランシグナリングの活性を亢進することによ り、神経系の疾患または傷害の処置に、単独でまたはGDNFおよび/またはニ ューチュリンと共に使用し得る。従って、本発明のタンパク質および医薬組成物 は、不適切に機能しているドーパミン作動性神経細胞、パーキンソン病、アルツ ハイマー病および筋萎縮性側索硬化症の処置に使用し得る。また、組換えGDN FR遺伝子を、筋萎縮性側索硬化症罹患患者における運動ニューロンなどの、G DNFまたはニューチュリンへの感受性の増加が望ましい組織の細胞に挿入し得 るという利点がある。さらに別 の実施形態において、GDNFまたはニューチュリン活性が有害であると考えら れる場合、GDNFRはGDNFまたはニューチュリン活性を遮断し得る。GD NFRタンパク質を用いてGDNFまたはニューチュリンの観察された効果はG DNFRタンパク質に起因するかを確認するために使用し得る。 本発明の別の態様において、GDNFRプローブを用いて、正常または疾患状 態においてGDNFまたはニューチュリンに応答する細胞および組織を同定し得 る。また、このプローブを用いて、GDNF−関連疾患またはニューチュリンー 関連疾患に罹患する患者におけるGDNFRタンパク質発現の異常を検出し得る 。 本発明のさらに別の態様において、核酸を含むGDNFRプローブ並びに抗体 プローブを用いて、GDNFR−関連分子を同定し得る。例えば、本発明は、G DNFRタンパク質と複合体を形成し、よってGDNFRタンパク質機能を示す 分子を提供する。別の例として、本発明は相同的または抗原交差反応するが、G DNFR−α、GRR2またはGRR3とは同一でないレセプター分子(図に示 す共通配列を含む)を提供する。 本発明はまた、レセプターに基づくGDNFまたはニューチ ュリンに関する結合および機能の両アッセイの開発を提供する。例えば、GDN F活性を検出するアッセイシステムは、高レベルのGDNFR−αを発現し、そ れゆえ非常に低い濃度のGDNFまたはGDNF様分子にさえ極めて感受性の高 い細胞を含み得る。類似アッセイは、ニューチュリンおよびGRR2を含み得る 。さらに別の実施形態において、可溶性GDNFRを使用し、GDNFまたはG DNF様分子に結合またはその存在を検出し得る。 さらに、本発明は、GDNFまたはニューチュリンの生理学的役割を研究する 実験モデル系を提供する。かかる系は、抗−GDNFR抗体またはオリゴヌクレ オチドプローブ並びに動物モデル、例えばトランスジェニック動物(高レベルの GDNFRを発現し、よってGDNFおよび/またはニューチュリンに過敏であ る)または肝幹細胞技術を用いて誘導した動物(ここで内因性GDNFR遺伝子 はゲノムから削除する)を含むアッセイを含む。抗−GDNFR抗体は、神経栄 養因子レセプタータンパク質のペプチド部分に結合する。抗体は、モノクローナ ルおよびポリクローナル抗体を含む。また、抗体がすでに存在する免疫タグをG DNFRタンパク質に結合させ検出可能とし 得る。かかるタグは、フラッグ(IBI/Eastman Kodak)および myc配列を含むがこれに限定されない。ポリヒスチジンなどの他のタグ配列も また検出および金属キレートカラム上での精製に使用する。 本発明のさらに別の態様は、以下の詳細な記載および実施例に記載したレセプ ターを活性化するリガンド同定のためのGDNFRの使用を含む。タンパク質並 びに小分子神経栄養因子疑似物は、本明細書に記載の結合研究により同定および 研究され得る。 本発明のさらに別の態様および利点は、本発明の実施を詳述した以下の記載を 考慮すれば当業者には明らかであろう。 図面の簡単な説明 図1は、ヒトグリア細胞系由来神経栄養因子レセプター(GDNFR−α)を コードする核酸配列(配列番号1)を示す。全長GDNFRタンパク質のアミノ 酸配列は、核酸540−1934によりコードされる。 図2は、全長ヒトGDNFR−αタンパク質のアミノ酸配列(配列番号2)を 示す。 図3は、ラットGDNFR−αをコードする核酸配列(配列 番号3)を示す。全長GDNFR−αタンパク質のアミノ酸配列は核酸302− 1705によりコードされる。 図4は、全長ラットGDNFR−αタンパク質のアミノ酸配列(配列番号4) を示す。 図5は、種々のクローンにおいて産生されたGDNFR−αcDNA配列の一 部の配列および比較、並びにヒトGDNFR−αの共通配列を示す。 図6は、GDNFR−αを発現するニューロ−2A由来細胞系の同定を示す。 図7Aおよび7Bは、GDNFR−αを発現する細胞への[125I]GDNF の平衡結合の結果を示す。 図8は、[125I]GDNFのGDNFR−αへの化学的架橋結合およびGD NFR−α発現細胞におけるRet発現の結果を示す。 図9は、GDNFR−α発現細胞におけるGDNFによるc−Ret自己リン 酸化誘導の結果を示す。 図10は、GDNFおよび可溶性GDNFR−αによるc−Ret自己リン酸 化誘導の結果を示す。 図11は、Ret−Fc融合タンパク質によるc−Ret自 己リン酸化の遮断結果を示す。 図12は、運動ニューロンにおけるGDNFによるc−Ret自己リン酸化の 誘導結果を示す。 図13は、GDNFR−αおよびRetにより仲介されるGDNFシグナリン グのモデルを示す。 図14は、ヒトグリア細胞系由来神経栄養因子レセプター−α−関連タンパク 質2(GRR2)をコードする核酸配列(配列番号 )を示す。全長GRR2タ ンパク質のアミノ酸配列は、核酸1585−2989によりコードされている。 図15は、ヒトグリア細胞系由来神経栄養因子レセプター−α−関連タンパク 質3(GRR3)をコードする核酸配列(配列番号 )を示す。 図16は、ラットグリア細胞系由来神経栄養因子レセプター−α−関連タンパ ク質2(ラットGRR2)をコードする核酸配列(配列番号 )を示す。 図17は、ラットグリア細胞系由来神経栄養因子レセプター−α−関連タンパ ク質3(ラットGRR3)をコードする核酸配列(配列番号 )を示す。 図18は、種々のヒト、ラットおよびマウスGDNFRアミ ノ酸配列の配列および比較を示す。 図19は、ヒト、ラットおよびマウスGDNFR−α、GRR2およびGRR 3アミノ酸配列の配列および比較並びに例示的共通GDNFR配列を示す。 図20は、ヒトおよびラットGDNFR−αおよびGRR2ペプチド配列の配 列および比較を示す。 図21(パネルAおよびB)は、ニューチュリンおよびGDNFのLA−N− %およびNGR−38細胞への結合を示す。LA−N−5(パネルA)およびN GR−38(パネルB)細胞を、50pMの[125I]NTNまたは[125I]G DNFいずれかと共に、非標識GDNF(暗灰色棒)またはニューチュリン(黒 色棒)の非存在(明灰色棒)または存在下で4℃で2時間インキュベートした。 図22は、ニューチュリンおよびGDNFのGDNFR−αおよびGRR2へ の化学的架橋結合の結果を示す。 図23は、NGR−38細胞におけるニューチュリン誘導ret自己リン酸化 の結果を示す。 図24は、LA−N−5細胞におけるニューチュリン誘導ret自己リン酸化 の結果を示す。 図25(パネルAおよびB)は、LA−N−5およびNGR−38細胞におけ るニューチュリンおよびGDNF誘導MAPキナーゼ活性化の結果を示す。 図26は、GDNFR−α、GRR2およびGRR3のアミノ酸配列を並べ、 共通配列を3つのレセプター配列上に示すことを表す。共通配列の大文字は、3 つ全てのレセプターで保存されているアミノ酸を示し、小文字は3つのレセプタ ー中2つが該アミノ酸を共有し、点は3つ全てのレセプターがその位置で異なる アミノ酸を有することを示す。仮想シグナルペプチド配列は、GDNFR−αお よびGRR3に下線を付け;GRR2にはシグナルペプチドは全く予想されない 。3つ全ての仮想レセプターの疎水性C−末端領域に下線を付ける。可能なN− グリコシル化部位が太文字で示され、2つのレセプター間で保存された部位は四 角で囲む。 発明の詳細な説明 グリア細胞系神経由来栄養因子(GDNF)は強力な神経栄養因子であり、中 枢および末梢神経系両方の種々の細胞型において広範な生物学的活性を示す。グ リコシル化されたジスルフィド−結合ダイマーであり、これは形質転換増殖因子 −β (TGF−β)スーパーファミリーとは関連性が低い(相同性20%未満)。ド ーパミン作動性ニューロンおよび他のニューロン集合の生存を亢進するGDNF の能力により、パーキンソン病並びに他の形の神経傷害または機能不全の処置に 治療有効性が示される。 ニューチュリン神経栄養因子の記載の生物学的活性(Nature 384( 5):467−470、1996)は、上頚部神経節交換神経ニューロンに加え て、結節神経節感覚ニューロンおよび小群の後根神経節感覚ニューロンの生存の 促進を含む。活性により、共通または類似のシグナル経路の可能性が示唆される 。さらに、ニューチュリンの生物学的活性は、運動ニューロンおよびドーパミン ニューロンに伸長し得る。従って、ニューチュリンはGDNFの使用が指示され 得る疾患の処置に有用であり得る。 本発明は、生後ラットの培養網膜細胞の表面上で初めて発見された高親和性レ セプターの発見に基づいている。これらのレセプターは、ドーパミン作動性およ び運動ニューロン;中脳ドーパミン作動性ニューロン(Linら、1993上記 ;Sauerら、1995上記;KearnsおよびGash、1995上 記;Beckら、1995上記;Tomacら、1995a上記)、顔面および 脊髄運動ニューロン(Liら、1995上記;Oppenheimら1995上 記;Yanら1995上記;Zurnら、1994上記;Hendersonら 1994上記)に見られるレセプターと同等の推定GDNF結合親和性を有する 。レセプター分子は、GDNFのレセプターシステムの最初に知られた成分であ るため、GDNFレセプター−アルファ(GDNF−α)と呼ばれる。本発明は また、GDNFR−αタンパク質の発現クローニングおよび特性に関する最初の 記載を提供する。組換えレセプターを発現するように修飾された細胞は高親和性 でGDNFに結合する。さらに別のレセプタータンパク質は、グリア細胞系由来 神経栄養因子レセプター−α関連レセプタータンパク質2および3(GRR2お よびGRR3)を含む。 培養細胞上でドーパミン取り込みアッセイおよび[125I]−GDNF結合を 用いて、GDNFへの高親和性レセプターを、ラット光受容体細胞の表面上で検 出した。実施例でさらに記載するように、光レセプター細胞の研究により、GD NFR−αの発現クローニングによるcDNAクローンが単離できる。 GDNFR−αの核酸配列は31システイン残基および3つのN−グリコシル化 可能部位を有する468アミノ酸のタンパク質をコードする。次に、ラットcD NAクローン由来の核酸配列を用いて、そのヒト相同体を単離し、これはアミノ 酸レベルでラットレセプターとほぼ同一であることが判明した。ヒトGDNFR −αcDNA配列は、全システイン残基およびN−グリコシル化可能部位がラッ トレセプターと比較して保存されている465アミノ酸のタンパク質をコードす る。この高い一次配列保存は、GDNFの生物学的機能においてこのレセプター が重要な役割を果たしていることを示唆する。 上記で議論したように、多くのレセプターが3つの主要ドメインを有する。す なわち:タンパク質因子との特異的結合に関与する細胞外または細胞表面ドメイ ン、細胞膜に及ぶトランスメンブランドメイン;およびタンパク質因子が細胞外 ドメインに結合する場合にシグナル変換の開始に典型的に関与する細胞内または 細胞質ドメインである。しかし、下記に詳述したように、GDNFR−αは任意 の公知のタンパク質と配列または構造特性において相関性がなく(例えばレセプ ターキナーゼまたはサイトカインレセプターのいずれかに見られる共通配列)、 細胞質ドメインを欠失し、トランスメンブランドメインに特徴的なC末端荷電残 基を欠失し、グリコシル−ホスファチジルイノシトール(GPI)結合により細 胞膜に固定されていると決定された。細胞内触媒ドメインが存在しないことによ りトランスメンブランシグナリングにおける直接的な役割は除外されるが、高結 合親和性および強い進化配列保存により、さらにこのレセプターはGDNF機能 に重要であることが示唆された。 GDNFR−αは細胞質ドメインを欠失するので、このレセプターはトランス メンブランシグナリングに役割を果たす1つ以上の補助分子と共に作用するに違 いないと考えられた。次いで、GDNF遺伝子を欠失するトランスジェニックマ ウスは死亡し全く腎臓がないことが発見された。c−ret癌原遺伝子を欠失し たトランスジェニックマウス(Schuchardtら、Nature、367 、380−383、1994)は類似の発現型を有することが判明した。c−r et癌原遺伝子は、正常な機能が依然決定されていないレセプターチロシンキナ ーゼ(RTK)をコードする。全RTKは、類似のトポロジーを有する:それら は細胞外リガンド結合ドメイン、トランスメンブランドメインおよび触媒タンパ ク質チロシンキナーゼドメイ ンを含む細胞質部分を保持する。リガンドの結合により、キナーゼドメインの活 性化および細胞内の特定の基質のリン酸化が生じ、細胞内シグナリングを仲介す る。本発明は、GDNFR−αの可溶形を用いてGDNFのc−ret癌原遺伝 子への結合を仲介し、よってGDNFへの細胞応答を顕現しその細胞型特異性を 修飾し得るという発見を含む。 類似の種である「レセプターアルファ」と呼ばれる成分は、リガンド結合特異 性を提供するが、それ自体でシグナルを変換する能力はもたない。かかる成分は 毛様体神経栄養因子(CNTF)およびインターロイキン−6(IL−6)レセ プターシステムに認められる。GDNFR−αと同様、およびIL−6レセプタ ーと対照的に、CNTFレセプターは高親和性でそのリガンドに結合し、疎水性 C末端を保持し、全く細胞質ドメインを保持せず、GPI結合により細胞膜に固 定されている(Davisら、1991)。シグナル変換を仲介するために、C NTFは始めにCNTFレセプターに結合し、gp130に結合可能な複合体を 形成する。この不活性複合体は次いで、LIPレセプターに結合し、活性シグナ リング複合体を形成する(Davisら、Science、260、1805− 1807、1993)。 本発明では、CNTFレセプター(リガンド特異的結合成分)はシグナリングを 起こすために存在しなければならないが、膜に結合する必要はない(Econo midesら、Science、270、1351−1353、1995)。 さらに以下に記載したように、GDNFRタンパク質は、細胞表面に固定し得 るか、または可溶形で提供され得る。どちらの場合でも、GDNFRタンパク質 はGDNFおよび/またはニューチュリンとリガンド複合体を形成し、リガンド 複合体は細胞表面レセプターに結合し、細胞内シグナリングを奏効する。従って 、GDNFRタンパク質の可溶形を用いて、それに結合および/またはその細胞 型特異性を修飾する神経栄養因子の作用を高め得る。 GDNFRタンパク質は、以前に公知のレセプターとは関連性がない。関連配 列に対して、ゲンバンク(Genbank)およびワシントン大学−メルクデー タベースには全く見かけ上適合がない。ワシントン大学−メルクESTデータベ ースに見られる発現配列タグ(EST)は、GDNFR−αのコード領域の小部 分(クローンの5’端から作製した521ヌクレオチド配列の約340ヌクレオ チド)に75%相同性を示す。 このクローン(ゲンバンクアクセス番号#H12981)はオリゴ−dTプライ ムヒト乳児脳ライブラリーから単離され、LafmidBAベクターに直接クロ ーン化された(Hiller,Lら、非公開データ)。#H12981クローン の3’端を配列決定したが、GDNFR−αのどの部分とも相同性を示さない。 短い領域におけるこの#H12981クローンおよびGDNFR−α間の相同性 の出現、次いで相同性の消失は、#H12981クローンは非スプライス転写物 、またはボナフィドcDNA転写物よりもクローニングアーチファクト(人為構 造)を示すことを示唆する。 従って本発明は、GDNFRタンパク質を発現する標的細胞を選択する方法の 提供により、GDNFRタンパク質のクローニングを可能とする。GDNFRタ ンパク質コード配列を増やす方法を提供することにより、本発明はさらにGDN FRタンパク質の精製およびGDNFR−コードDNAの直接的クローニングを 提供する。GDNFR核酸およびアミノ酸配列の本記載は、これらの実体並びに 種々のGDNFR類似体の再生に必要な情報を提供する。この情報を用いて、G DNFRタンパク質産物を、当業者に公知の任意の方法により単離または産生し 得る。GDNFRタンパク質の組換えまたは合成産生の種々の方法が開示される 。 本明細書で使用されているように、「GDNFRタンパク質産物」という用語 は、生物学的に活性な精製天然、合成または組換えGDNFR−α、GRR2お よびGRR3(合わせてグリア細胞由来神経栄養因子レセプター、GDNFR、 GDNFRタンパク質と呼ぶ)、GDNFR類似体(すなわち、図に示す共通配 列に基づく、挿入、置換および欠失変異体を含むGDNFR相同体および変異体 )およびその化学的修飾誘導体を含む。GDNFR類似体は実質的に図に示した GDNFRアミノ酸配列に相同である。 本明細書で使用した「生物学的に活性」という用語は、GDNFRタンパク質 産物はGDNFおよび/またはニューチュリンに対して高親和性結合を示し、G DNF−誘導またはニューチュリンー誘導シグナル変換を仲介または亢進するこ とを意味する。本開示を用いて、GDNFRタンパク質類似体が図に示したGD NFRタンパク質産物と実質的に同じ生物学的活性を有するかを決定することは 十分当業者の能力の範囲内である。 本明細書で使用した「実質的に相同的」アミノ酸配列という用語は、相同配列が これらGDNFRのアミノ酸配列に記載したものと類似した生物学的活性または 機能を有するように、図に示したGDNFRアミノ酸配列に「類似」または相同 性を有するアミノ酸配列を意味する。比較的多くの個々または一群のアミノ酸残 基を、全アミノ酸配列において、分子の3次元立体構造または活性に影響を与え ることなく、変化、位置的な交換(例えば逆順番または再追加)または欠失でき ることは当業者により理解されるだろう。かかる修飾は、本開示により十分当業 者の能力内である。かかる修飾配列の同定および提供法は、以下で詳細に記載す る。実質的に相同なタンパク質(ペプチド)の相同性度は70%またはそれ以上 であることが好ましい(すなわち70%から100%の範囲の相同性)。従って 、好ましい「実質的に相同」なGDNFRアミノ酸配列は、GDNFR−α、G RR2、GRR3および図に示したその共通配列も示したアミノ酸配列の70% またはそれ以上の相同度を有し得る。より好ましくは、相同度は、80%または 85%またはそれ以上であり得る。さらにより好ましくは90%またはそれ以上 、または最も好ましくは95%またはそれ以上である。 本明細書で記載した相同比率は、第2タンパク質配列の同一または類似アミノ 酸残基と並ぶあるタンパク質配列に見られるアミノ酸残基の比率として計算する 。従って、GDNFRタンパク質相同の場合、配列相同性度は比較分子のアミノ 酸配列を、図に示した対照GDNFRポリペプチドのそれと、または図に示した 核酸配列によりコードされるものに対して最適に並べ、2つの配列間で残基の適 合を最大にすることにより決定し得る。かかるアラインメントは、適当な保存残 基置換を含み得、必要とされる間隙の導入による比較配列の切形および内部欠失 または挿入は考慮しないことは当業者により理解されよう;例えば、Dayho ff、Atlas of Protein Sequence and Str ucture Vol.5(100アミノ酸長中平均3または4間隙が導入され アラインメントに参入し得る)参照(p.124、National Bioc hemical Research Foundation、Washingt on,D.C.、1972;その開示は引用によりここに援用する)。一旦並べ たら、比較ポリペプチドのアラインした残基の数を比較ポリペプチドの全残基数 で割ることにより比率を測定する。本発明のGDNFRタンパク質配列 を用いて、少なくとも部分的にGDNFRタンパク質活性を有する融合タンパク 質またはキメラタンパク質の一部を形成し得ることがさらに考えられる。かかる タンパク質のアラインメントおよび相同性は、GDNFRタンパク質活性と関連 する融合タンパク質またはキメラタンパク質の一部を用いて決定する。 かかる実質的に相同なGDNFRタンパク質源は、ヒトGDNFRタンパク質 に対して高い相同性を有することが期待される他の哺乳動物(例えば図に示した もの)のGDNFRタンパク質を含む。例えば、本明細書に開示したラットおよ びヒトGDNFR−αタンパク質間の相同度は、約93%である。実質的に相同 なGDNFRタンパク質は、図に示したGDNFRアミノ酸配列に対する抗体を 用いた交差反応によりを該哺乳動物から単離し得る。また、それらは、GDNF Rタンパク質をコードする遺伝子または遺伝子断片とのハイブリダイゼーション により単離されるか、または図に示した核酸配列の相補的配列とハイブリダイズ する核酸配列により発現され得る。適当なハイブリダイゼーション条件は以下に 詳細に記載する。 新規GDNFRタンパク質産物は典型的に単離および精製されて、GDNFR タンパク質産物を形成し、これは目的の用途 における本発明のポリペプチドの使用に障害となる望ましくない物質が実質上含 まれていない。例えば、好ましいGDNFRタンパク質産物には、他のヒト(例 えば、非−GDNFR)タンパク質様物質または病原物質が実質的に含まれ得な い。好ましくは、GDNFRタンパク質産物は、約80%他のタンパク質(これ はGDNFRタンパク質産物の製造に使用する生成技術に起因して存在し得る) が含まれていない。より好ましくは、GDNFRタンパク質産物は約90%他の タンパク質が含まれず、特に好ましくは約95%他のタンパク質が含まれず、最 も好ましくは約>98%他のタンパク質が含まれない。さらに、本発明は、相同 GDNFRタンパク質製造用のポリヌクレオチド配列を提供するという独特の利 点を有する。 種々のGDNFR変異体(付加、欠失および置換変異体を含む)が考えられる 。例えば、一連の欠失変異体は、GDNFRタンパク質のアミノおよび/または カルボキシ末端から1つ以上のアミノ酸残基を除去することにより作製し得る。 von Heijneによる記載のシグナルペプチド除去の推定法則を用いて( von Heijne、Nucleic Acids Research、14 、4683−4690、1986)、 GDNF結合に関与するGDNFR−αタンパク質の最初のアミノ酸残基は、S er18である(これは図2(配列番号2)のヒトGDNFR−αの全長アミノ酸 配列に示す)。アミノ酸残基Met1からSer18は、アミノ末端疎水性領域に あり、シグナルペプチド配列の一部のようであり、従ってレセプタータンパク質 の成熟形には含まれない。同様に、GDNF結合に必要であると思われるGDN FR−αタンパク質の最後のアミノ酸残基はSer446である。アミノ酸残基L eu447からSer465は、カルボキシ末端疎水性領域にあり、細胞表面へのタン パク質のGPI結合に関与している。従って、Met1からSer18および/ま たはLeu447からSer465の数個または全ての残基(図2(配列番号2)に記 載)は、GDNFR−αタンパク質へのGDNF結合に影響を与えることなくタ ンパク質から除去し得、従ってAla19からPro446の「コア」配列を残すと 考えられる。公知の分析法を用いて、N−末端切形は、Gly24を含むこれまで の1つ以上のアミノ酸残基除去を含み得ることがさらに考えられる。従って、G DNFR−α切形類似体はまた、一端または両端の1つ以上のアミノ酸残基の欠 失を含み得、Asp25からPro446またはLeu447 のアミノ酸配列がコア分子の基礎を形成する。追加のGDNFR−α類似体は、 図4(配列番号4)のGDNFR−αアミノ酸配列に示すアミノ酸残基Ser18 からPro449を含む、すなわち、アミノ酸残基Met1からSer18および/ま たはPro449からSer468で示される疎水性領域を含む一端または両端の1つ 以上のアミノ酸残基を欠失すると考えられる。同様の類似体が、図に示した、G RR2およびGRR3のアミノ酸配列、並びに共通配列を用いて設計され得る。 さらに、全長配列の最初および最後のシステイン残基に達するまで、GDNF Rタンパク質のアミノおよびカルボキシ末端の一端または両端から1つ以上のア ミノ酸残基が除去され得ることが考えられる。GDNFRタンパク質の適当な分 子内結合のためにシステイン残基を保持することが有利である。図2(配列番号 2)のヒトGDNFR−αの全長アミノ酸配列に示すように、Met1からAs p28までの数個または全てのアミノ酸残基は、Cys29として現れる最初のシス テイン残基を除去することなくアミノ末端から除去され得る。同様に、Gly44 3 からSer465までの数個または全てのアミノ酸残基は、Cys442として現れ る最後のシステイン残基を除去することなくカルボ キシ末端から除去され得る。他のGDNFR−α類似体は、図4(配列番号4) のGDNFR−αアミノ酸配列に示されるCys29からCys443のアミノ酸残 基を用いて製造され得、すなわち、アミノ酸残基、Met1からAsp28および /またはSer444からSer468で示される全てまたは一部の末端領域を削除す る。同様の類似体は、図に示したGRR2およびGRR3のアミノ酸配列、並び に共通配列を用いて設計され得る。 同理由のために、これらの同定アミノ酸残基は、GDNFRタンパク質の機能 に影響を与えることなく、欠失よりもむしろ置換され得ると考えられることは当 業者により理解されるだろう。また、これらの同定アミノ酸残基は、GDNFR タンパク質の機能に影響を与えることなく、残基内挿入または末端付加により修 飾され得る。さらに別の実施形態において、1つ以上の欠失、置換または付加の 組合せを作製し得る。 本GDNFRタンパク質または核酸は、処置法、または処置用医薬品の製造法 に使用され得る。かかる処置はGDNFまたはニューチュリンの過剰産生を特徴 とする症状を含み、ここで本GDNFR、特に可溶形を用いて複合体を形成し、 従って過 剰GDNFまたはニューチュリンを不活性化し得る。この処置は、可溶性レセプ ターの製造(例えば、GDNFまたはニューチュリン結合ドメインの使用)によ りまたは該GDNFRを含む細胞集合を調製し、かかる細胞を必要とする個体に 移植することにより達成され得る。本GDNFRタンパク質産物はまた、欠損G DNFおよび/またはニューチュリンレセプターを有するものの処置に使用され 得る。例えば、可溶性レセプターの製造および送達により、またはかかる非欠損 GDNFRを含む細胞集合を製造し、かかる細胞を個体に移植することにより、 欠損GDNFRを有する個体を処置し得る。または、個体は不適切な数のGDN Fまたはニューチュリンレセプターを有し得、かかるレセプターを含む細胞は、 個体に利用できるGDNFまたはニューチュリンレセプターの数を増加させるた めに移植し得る。かかる組成物はGDNFまたはニューチュリンの送達と共に使 用し得る。また、GDNFRタンパク質産物は、c−retレセプターチロシン キナーゼの活性化に応答する症状の処置に使用し得ることが考えられる。 本発明のさらに別の態様において、新規組成物のさらに別の利点は、GDNF タンパク質またはニューチュリン医薬組成物 を安定化させるGDNFRの使用である。本発明の別の態様において、GDNF Rを用いて化合物をアンタゴニスト活性についてスクリーニングし得る。 本発明の別の態様および利点は、当業者には明らかであろう。 例えばさらに別の使用は、新規アッセイ系、トランスジェニック動物および抗体 産生を含む。研究モデル 本発明は、ペプチドまたは非ペプチド化合物への暴露から生じたGDNFまた はニューチュリン活性またはGDNFまたはニューチュリン活性に類似の活性が 、本発明のGDNFR分子を発現する細胞または細胞系における生理学的応答の 顕現を測定することにより検出し得るアッセイ系を提供する。生理学的応答は、 GDNFまたはニューチュリンの任意の生理学的効果を含み得、これは、ドーパ ミン取り込み、神経突起伸長、細胞生存または増殖の亢進、並びにある核酸配列 の転写活性化(例えばプロモーター/エンハンサーエレメント並びに構造遺伝子 )、GDNF−関連プロセシング、翻訳またはリン酸化、および実質的には少な いがGDNFにより直接または間接的に誘導されたプロセスに応答した二次プロ セスの誘導を含むが、こ れらに限定されない。 例えば、モデル系を作成し、これを用いて過剰GDNF活性の効果を研究し得 る。かかる系では、細胞のGDNFへの応答は、修飾されていない細胞に対して 増加数の適当なGDNFRをモデル系の細胞上で工作することにより増加させ得 る。また系を改良して、GDNFRを正常に発現する細胞上で増加数の該GDN FRを選択的に提供し得る。GDNFRの発現を確実にするために、GDNFR 遺伝子を、適当なプロモーター配列の制御下に配置し得る。構成および/または 組織特異的プロモーター(CNSニューロン特異的エノラーゼ、ニューロフィラ メント、およびチロシンヒドロキシラーゼプロモーターを含むがこれに限定され ない)、誘導プロモーター(例えばメタロチオネインプロモーター)、ヒト免疫 不全ウイルス長末端反復におけるUV活性化プロモーター(Valeriら、1 988、Nature 333:78−81)、またはCMVプロモーター(p CMXに含まれる、下記)または発達性調節プロモーターの制御下にGDNFR 遺伝子を置くことが望ましくあり得る。 細胞性GDNFRの数を増加することにより、内因性GDN Fに対する応答を増加し得る。モデル系がGDNFを殆どまたは全く含まなけれ ば、GDNFを系に添加し得る。モデル系に追加のGDNFを加えて、過剰GD NF活性の効果を測定することが望ましくあり得る。GDNF(または分泌GD NF)の過剰発現は、すでにGDNFRを発現している細胞上でGDNFレベル 上昇の効果を研究する1つの方法であり得る。GDNFR療法 別の態様において、ある状態において、GDNFおよび/またはニューチュリ ン応答性の増加は利点があり得る。ゆえに、GDNFおよび/またはニューチュ リン療法に応答性の症状に罹患している患者においてGDNFRの数または結合 親和性を増加させることは利点があり得る。これは遺伝子療法により達成でき、 ここでは適当な細胞における組換えGDNFRの選択的発現が、例えば、組織特 異的または誘導プロモーターにより調節したGDNFR遺伝子を用いることによ り、または組換えGDNFR遺伝子を有する複製欠損ウイルスを用いて局所感染 を産生することにより達成される。 GDNFRまたは組換えGDNFまたはニューチュリン/GDNFR送達によ り利点が得られる症状は、運動ニューロン 疾患(筋萎縮性側索硬化症、糖尿病関連神経疾患、パーキンソン病、アルツハイ マー病およびハンティングトン舞踏病を含む)を含むがこれに限定されない。G DNFRまたは組合せGDNFまたはニューチュリン/GDNFR送達の使用の さらに別の適用は上記し、さらに、緑内障または網膜神経節細胞変性を含む他の 疾患および症状:感覚ニューロンへの傷害、損傷または変性により生じた感覚神 経障害:例えば遺伝性網膜変性および年齢、疾患または障害関連網膜症(ここで は光受容体の変性が生じ、聴覚消失に関与する)などの病的状態:および様々な 原因による聴覚消失を予防および/または処置する毛細胞などの内耳感覚細胞お よび感覚ニューロンの障害または変性の処置を含む。トランスジェニック動物 さらに別の態様において、組換えGDNFR遺伝子を用いて、内因性遺伝子を 不活性化または「ノックアウト」し(例えば相同的組換えにより)、よってGD NFR欠損細胞、組織または動物を作製し得る。例えば、組換えGDNFR−α 遺伝子を工作して、GDNFR−αを不活性化する挿入変異を含ませ得る。適当 なプロモーターの制御下でかかる構築物は、胚幹細胞など の細胞中に、トランスフェクション、形質導入、注入等を含む慣用的な技術によ り導入し得る。この構築物を含む細胞は、次いで、例えばG418耐性などによ り選択し得る。次いで、無傷GDNFR−α遺伝子を欠失する細胞を同定する( 例えば、サザンブロットまたはノーザンブロットまたは発現アッセイによる)。 次いで、無傷GDNFR−α遺伝子を欠失する細胞を、初期肝細胞に融合し、G DNFR欠損トランスジェニック動物を作製する。かかる動物を内因性GDNF を発現しない動物と比較すると、2つの発現型が完全に適合するか否かが判明し 、このことは追加的GDNF様因子またはレセプターが存在することを示唆する 。かかる動物を用いて、通常GDNFに依存的な、インビボプロセスにおける特 定のニューロン集合、またはその他を規定し得る。従って、これらの集合または プロセスは、動物はGDNFR−αを発現せず、よってGDNFに応答できない かにより影響を受けることが予測され得る。類似の構築物が製造され得、方法は GRR2およびGRR3と同様である。診断適用 本発明により、GDNFRプローブを用いて、正常または疾患状態において、 GDNFまたはニューチュリンに応答性の細 胞および組織を同定し得る。本発明は、かかる細胞におけるGDNFR発現を検 出することにより、GDNFまたはニューチュリンに応答性の細胞を同定する方 法を提供する。GDNFR発現は、GDNFRmRNAの転写またはGDNFR タンパク質の産生により確認され得る。GDNFR発現は、GDNFR核酸また はタンパク質を同定するプローブを用いて、またはGDNFRタンパク質に人工 的に加えられた「タグ」配列を検出することにより検出し得る。 GDNFR発現を検出するために使用され得る1種類のプローブは、核酸プロ ーブであり、これは当業者に公知の任意の方法(インサイトハイブリダイゼーシ ョン、ノーザンブロット解析、またはPCR関連技術を含むがこれに限定されな い)によるGDNFRコードRNAの検出に使用され得る。本発明の核酸産物は 、検出可能なマーカー(例えば放射標識および非同位体標識、例えばビオチン) で標識し、ハイブリダイゼーションプロセスで使用し、ヒトGDNFR遺伝子位 置および/または任意の関連遺伝子ファミリーの位置を染色体マップに配置し得 る。それらはまた、DNAレベルにおけるヒトGDNFR遺伝子疾患の同定に使 用し得、および近隣遺伝子およびその疾患を 同定する遺伝子マーカーとして使用し得る。本明細書ではかかる標識物質を含む キットにも関する。 本発明のポリペプチド産物は、検出可能なマーカー物質または標識(例えば放 射性同位体、蛍光または化学蛍光化学物質、酵素または当業者により入手可能な 他の標識)と結合させることにより「標識」され得、固体組織および液体サンプ ル、例えば血液または尿などにおけるGDNFまたはニューチュリンの検出およ び定量に有用な試薬を提供する。かかる産物はまた、正常または疾患状態のGD NFまたはニューチュリンに応答性の細胞および組織の検出に使用され得る。 試験サンプルにおけるGDNFまたはニューチュリンの存在を検出またはGD NF様分子の存在をスクリーニングする他の可能なアッセイは、試験サンプルを 、固定相に固定した、GDNFまたはニューチュリン結合に適当なGDNFRタ ンパク質と接触させ、よってGDNFR結合GDNFまたはニューチュリンタン パク質を産生することを含む。GDNFR結合GDNFまたはニューチュリンは 、任意に、検出試薬、例えばGDNFまたはニューチュリンに特異的な標識抗体 と接触させ、よって検出可能な産物を産生し得る。かかるアッセイは、試験サン プル 分析用アッセイ装置の形で開発され得る。基本形において、かかる装置は、適当 なGDNFRタンパク質を含むまたはこれで被覆された固体相を含む。GDNF 様タンパク質の存在について試験サンプルを分析する方法は、サンプルを、GD NFRタンパク質を含むアッセイ試薬に接触させ、該GDNFRタンパク質を試 験サンプルに存在するGDNF様タンパク質と反応させ、GDNFの存在を示唆 する検出可能な反応産物を産生することを含み得る。 本明細書で提供するアッセイ試薬は、キットの一部または製造品として具体化 し得る。パッケージング物質および1つ以上の本明細書で提供した核酸またはア ミノ酸配列の調製物を含む製品にも関する。かかるパッケージング物質は標識を 含み、このことは製品は生物学的サンプルにおけるGDNF、ニューチュリン、 GDNFRまたはGDNFR欠損の検出に有用であることを示す。このように、 キットは任意に、例えば、血液、尿、または組織サンプルにおけるタンパク質分 析、DNAまたはRNAハイブリダイゼーション分析、またはPCR分析を実施 するに有用な試薬などの、かかる試験を実施する物質を含む。抗−GDNFR抗体 本発明により、GDNFRタンパク質、またはフラグメントまたはその誘導体 は、抗−GDNFR抗体を産生する免疫原として使用され得る。抗−GDNFR 免疫応答産生をさらに亢進するために、GDNFRのアミノ酸配列を分析して、 免疫原性増加と関連し得る分子の部分を同定し得る。例えば、アミノ酸配列をコ ンピューター解析にかけ、親水性、表面確率、柔軟性、抗原性指数、両極性ヘリ ックス、両極性シート、およびGDNFRの二次構造のコンピューター作成図を 提示する表面エピトープを同定し得る。また、異なる種由来のGDNFRのアミ ノ酸配列を比較し、相対的非相同性領域を同定し;これらの相同性領域は種々の 種に及び免疫原性がより高いようである。 また、GDNFR内で連続アミノ酸または二次コンフォメーションのほんの一 部が複製したポリペプチドフラグメントが考えられ、かかるフラグメントは、哺 乳動物GDNFRのある活性(例えば、免疫活性)を有するが他の活性(例えば 、GDNFタンパク質結合活性)は保持し得ない。従って、抗体の産生は、抗− ペプチド抗体の産生を含むことができる。以下の例示的ペプチドはGDNFR配 列を用いて合成した: ペプチドSJP−6、7および8は、ラットおよびヒトGDNFR−αにおい て同一である。ペプチドSJP−9および10はラット配列から誘導され、ヒト と各1つのアミノ酸が異なる。ポリクローナルおよびモノクローナル両方の抗体 が、これらのペプチドまたは他の部分のGDNFRを用いて当業者に公知の方法 により作製され得る。 GDNFRに対して指向したモノクローナル抗体は、任意の公知の技術により 製造され得、培養における連続細胞系による抗体分子の産生を提供する。例えば 、元来KohlerびMilsteinにより開発されたモノクローナル抗体を 産生するハイブリドーマ技術(Nature、256:495−497、197 5)並びにトリオーマ技術、ヒトB−細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら 、Immunology Today 4:72、1983)、EBV−ハイブリドーマ技術(Coleら 、「モノクローナル抗体および癌療法」、Alan R.Liss,Inc.p p.77−96、1985)等を使用し得る。 ヒトモノクローナル抗体またはキメラヒト−マウス(または他の種)モノクロ ーナル抗体もまた治療用途に製造し得、当分野で公知の数多くの任意の技術によ り製造し得る(例えば、Tengら、Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A.、80:7308−7312、1983;Kozborら、Imm unology Today、4:72−79、1983;Olssonら、M eth.Enzymol.、92:3−16、1982)。ヒト定常領域と共に マウス抗原−結合ドメインを含むキメラ抗体分子を製造し得る(Morriso nら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:6851、 1984;Takedaら、Nature、314:452、1985)。 当分野で公知の種々の方法を、ポリクローナル抗体の産生に使用し得る。抗体 の産生に、種々の宿主動物(ウサギ、マウス、ラット等を含むがこれに限定され ない)を、GDNFRタンパ ク質、またはそのフラグメントまたは誘導体の注入により免疫化できる。種々の アジュバンドを用いて、選択した宿主種により、免疫応答を増加させ得る。有用 なアジュバンドは、フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなど のミネラルゲル、リソレシチンなどの界面活性物質、プルロニックポリオール、 ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルション、キーホールリムペットヘモシア ニン、ジニトロフェノール、およびBCG(Bacille Calmette Guerin)などのヒトアジュバント、およびコリネバクテリウムパルブム を含むがこれに限定されない。 GDNFRエピトープに対する抗体の分子クローンはまた、公知の技術により 製造し得る。組換えDNA技術(例えば、Maniatisら、Molecul ar Cloning、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.、1982)を用いて、モノクローナル抗体分子、ま たはその抗原結合領域をコードする核酸配列を構築し得る。 抗体分子は、例えば免疫吸着または免疫アフィニティークロ マトグラフィー、クロマトグラフ法(例えば高速液体クロマトグラフィー)また はその組合せ等の公知の技術により精製し得る。本発明は、抗体分子並びにかか る抗体分子のフラグメントを提供する。分子のイディオタイプを含む抗体フラグ メントは公知の技術により産生できる。例えば、かかるフラグメントは、以下を 含むがこれに限定されない:抗体分子のペプシン消化により産生できるF(ab ’)2フラグメント;F(ab’)2フラグメントのジスルフィド橋を還元する ことにより産生できるFab’フラグメント、およびパパインおよび還元剤で抗 体分子を処理することにより産生できるFabフラグメント。 かかる選択的結合分子は、それ自体GDNFRの代価物であり得、医薬組成物 として製剤化し得る。GDNFRタンパク質の組換え発現 本発明は、GDNFRタンパク質をコードする種々のポリヌクレオチドを提供 する。発現産物またはその誘導体は、GDNFまたはニューチュリンへの結合能 を特徴とし、よってさらにシグナル分子との相互作用が可能となり、よってGD NFまたはニューチュリン活性を提供または亢進する(例えばドーパミン細胞に よるドーパミン取り込み増加)。ポリヌクレオチドはま た細胞療法または遺伝子療法に使用し得る。 本発明により、かかるレセプターの全部または一部をコードする新規GDNF Rタンパク質およびDNA配列が提供される。本発明の新規核酸配列は、少なく とも一部の一次構造コンフォメーションおよび1つ以上の組換えヒトGDNFR の生物学的特性を有するポリペプチド産物の原核または真核宿主細胞における発 現に有用である。核酸は精製および単離し得、所望のコード領域が本ポリペプチ ドの産生に有用である。また、核酸配列は、下記でより完全に記載したように、 診断目的に使用し得る。本発明の例示的DNA配列は、図2および4および配列 番号2および4に示すGDNFR−αアミノ酸配列およびをコードする核酸配列 を含む。さらに、本発明により開示されるDNA配列は、以下を含む:(a)図 に示したGDNFR DNA配列(および相補鎖);(b)亜部分(a)または そのフラグメントのDNA配列にハイブリダイズ(下記のcDNAライブラリー スクリーニング章で開示したハイブリダイゼーション条件下、または等価の条件 またはよりストリンジェントな条件下)するDNA配列;および(c)遺伝子コ ードの縮重がなければ亜部分(a)のDNA配列にハイブリダイズするDNA配 列。 (b)および(c)部分に特異的に含まれるものは、ヒトGDNFRの対立遺伝 子変異体形をコードおよび/または他の哺乳動物種のGDNFRをコードするゲ ノムDNA配列、およびGDNFR、GDNFRのフラグメントおよびGDNF Rの類似体をコードする製造DNA配列(DNA配列は、細菌宿主においてメッ センジャーRNAの転写および翻訳を容易にするコドンを取り込み得る)である 。このように製造された配列は、当分野で公知の方法並びに本明細書に記載の方 法により容易に構築され得る。 本明細書の記載または他の公知の方法に従って実施する組換え発現技術を用い て、これらのポリヌクレオチドを産生し、種々のGDNFRタンパク質を発現し 得る。例えば、GDNFRタンパク質をコードする核酸配列を適当なベクターに 挿入することにより、当業者は容易に大量の所望のヌクレオチド配列を製造でき る。次いで、配列を用いて検出プローブまたは増幅プライマーを産生できる。ま た、GDNFRタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、発現ベクターに挿 入できる。発現ベクターを適当な宿主に導入することにより、所望のGDNFR タンパク質を大量に産生し得る。 本明細書でさらに記載するように、核酸配列の伸長および/ またはGDNFRタンパク質の産生に利用可能な数多くの宿主/ベクター系があ る。これらはプラスミド、ウイルスおよび挿入ベクターおよび原核および真核宿 主を含むがこれに限定されない。当業者は、異種DNAを伸長または発現できる 宿主/ベクター系を適合させ、本発明の配列を産生または発現することができる 。 かかる組換え技術により、本発明のGDNFRタンパク質は、商業的量および 高純度で容易に産生される。さらに、本開示により、新規核酸配列は、図に特別 に示したGDNFRタンパク質をコードする変性核酸配列、GDNFRタンパク 質の変異体をコードする配列、および好ましくはストリンジェントなハイブリダ イゼーション条件下でこれらの核酸配列の相補鎖にハイブリダイズする核酸配列 含むことが当業者により理解されるだろう(Maniatisら、Molecu lar Cloning(A Laboratory Manual);Col d Spring Harbor Laboratory、pp.387−38 9、1982参照)。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、 4×SSCで62−67℃、次いで0.1×SSCで62−67℃で約1時間洗 浄である。別 に、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの例は、45−55%ホルムア ミド、4×SSCで40−45℃でのハイブリダイゼーションである。緩和なハ イブリダイゼーション条件下でGDNFRタンパク質の相補配列にハイブリダイ ズし、本発明のGDNFRタンパク質をコードするDNA配列もまた本明細書に 含まれる。かかる緩和ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、 4×SSCで45−55℃または30−40%ホルムアミドで40−45℃での ハイブリダイゼーションである。GDNFRをコードするポリヌクレオチドの製造 本発明の開示を基本として、全長GDNFRタンパク質またはそのフラグメン トをコードする核酸配列は、種々の方法(化学的合成、cDNAまたはゲノムラ イブラリースクリーニング、発現ライブラリースクリーニング、および/または cDNAのPCR増幅を含むがこれに限定されない)により容易に製造または得 られ得る。核酸配列の製造に有用なこれらの方法およびその他は、当分野で公知 であり、例えばSambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbo r Laboratory Press、Cold Spring Harbor、 NY、1989)により、Ausubelら編(Current Protoc ols in Molecular Biology、Current Pro tocols Press、1994)およびBergerおよびKimmel (Methods in Enzymology:Guide to Mole cular Cloning Techniques,vol.152、Aca demic Press,Inc.、San Diego、CA、1987)に より記載されている。GDNFRをコードする好ましい核酸配列は哺乳動物配列 である。 GDNFRタンパク質をコードする核酸配列の化学的合成はまた、当分野で公 知の方法、例えばEngelsらにより記載された方法を用いて実施できる(A ngew.Chem.Intl.Ed.、28:716−734、1989)。 これらの方法は、すなわち、核酸配列合成のホスホトリエステル、ホスホルアミ ジトおよびH−ホスホネート法を含む。かかる化学合成の好ましい方法は、標準 的なホルホルアミジト化学を用いたポリマー支持合成である。典型的に、所望の ポリペプチドをコードするDNAは、数百塩基対(bp)またはヌクレオチド長 である。 ヌクレオチドが約100以上の核酸配列は、これらの方法を用いて数個のフラグ メントとして合成できる。次いで、フラグメントは共に結合させて全長GDNF Rタンパク質またはその部分の発現用の配列を形成することができる。 また、適当な核酸配列が、適当なcDNAライブラリー(すなわち、タンパク 質を発現すると信じられている1つ以上の組織源から調製したライブラリー)ま たはゲノムライブラリー(全ゲノムDNAから調製したライブラリー)をスクリ ーニングすることにより得られ得る。cDNAライブラリー源は、典型的に、適 当な量でGDNFRを発現すると信じられている組織である。典型的に、ゲノム ライブラリー源は、GDNFRをコードする遺伝子を有すると信じられている任 意の組織または哺乳動物種由来の組織である。ライブラリーは、GDNFRcD NAまたはライブラリーに存在する遺伝子と選択的にハイブリダイズする1つ以 上の核酸プローブ(例えば、本開示配列に基づいた、オリゴヌクレオチド、cD NAまたはゲノムDNAフラグメント)を用いて、GDNFRcDNA/遺伝子 の存在に関してスクリーニングできる。かかるライブラリースクリーニングに典 型的に使用されるプローブは、通常、ライブラリーを調製 した種と同一または類似種由来のGDNFR核酸配列の小領域をコードする。ま た、プローブは、本明細書で記載のように変性させ得る。 ライブラリースクリーニングは、典型的に、非特異的結合を防ぐが、プローブ またはプライマーと有意な相同性レベルを有するクローンの結合(ハイブリダイ ゼーション)は許容するストリンジェントな条件下、オリゴヌクレオチドまたは cDNAをライブラリー中のクローンにアニーリングさせることにより達成され る。典型的なハイブリダイゼーションおよびストリンジェントな条件の洗浄は、 部分的に、cDNAまたはオリゴヌクレオチドプローブののサイズ(すなわちヌ クレオチド数長)、およびプローブが変性しているかに依存する。クローンが得 られる可能性はまた、ハイブリダイゼーション溶液(例えばcDNAまたはゲノ ムライブラリーがスクリーニングされる;それがcDNAライブラリーであるな らば、目的とするcDNAが高レベルで存在する可能性がある)を設計する上で 考慮する。 DNAフラグメント(例えばcDNA)をプローブとして使用する場合、典型 的なハイブリダイゼーション条件はAusubelら編、上記に記載のものを含 む。ハイブリダイゼーション後、ラ イブラリーを含むブロットを、プローブサイズ、予測されるプローブのクローン に対する相同性、スクリーニングするライブラリーの型、スクリーニングするク ローン数等などの種々の因子により適当なストリンジェンシーで洗浄する。スト リンジェントな洗浄溶液の例(通常イオン強度が低く、比較的高温で使用する) は、以下の通りである。あるストリンジェント洗浄は0.015M NaCl、 0.005M Naクエン酸および0.1%SDSで55−65℃である。別の かかるストリンジェント緩衝液は1mM Na2EDTA、40mM NaHP O4、pH7.2および1%SDSで約40−50℃である。他のストリンジェ ント洗浄は、0.2×SSCおよび0.1%SDSで約50−65℃である。 また、オリゴヌクレオチドプローブをcDNAまたはゲノムライブラリーのス クリーニングに使用するストリンジェントな洗浄条件のプロコトール例がある。 例えば、最初のプロトコールは、プローブ長により、約35ないし62℃の温度 で、0.05%ピロリン酸ナトリウムと共に6×SSCを使用する。例えば、1 4塩基プローブを35−40℃で、17塩基プローブを45−50℃で、20塩 基プローブを52−57℃で、お よび23塩基プローブを57−63℃で洗浄する。バックグラウンドの非特異的 結合が高いと考えられる場合、温度を2−3℃増加させることができる。二番目 のプロトコールは洗浄に塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)を使用する 。あるストリンジェントな洗浄溶液は3M TMAC、50mMトリス−HCl 、pH8.0および0.2%SDSである。 GDNFRタンパク質をコードする核酸配列を得る他の適当な方法は、複製連 鎖反応(PCR)である。この方法では、ポリ(A)+RNAまたは全RNAを 、GDNFRを発現する組織から抽出する。次いで、cDNAを逆転写酵素を用 いてRNAから調製する(すなわちRT−PCR)。GDNFRcDNAの2つ の別々の領域に典型的に相補的な2つのプライマーを、次いで、Taqポリメラ ーゼなどのポリメラーゼと共にcDNAに加え、ポリメラーゼは2つのプライマ ー間でcDNA領域を増幅する。 所望のGDNFRタンパク質をコードする核酸配列を調製する選択法が、オリ ゴヌクレオチドプライマーまたはプローブの使用を必要とする場合(例えばPC R、cDNAまたはゲノムライブラリースクリーニング)、プローブまたはプラ イマーと して選択したオリゴヌクレオチド配列は、ライブラリースクリーニングまたはP CR増幅間に生じる非特異的結合の量を最小化する適当な長さであり十分に明瞭 であるべきである。プローブまたはプライマーの実際の配列は、通常、他の有機 体のものと同一または類似した遺伝子の保存または高度に相同的な配列または領 域(例えば本発明に含まれるラット核酸配列)に基づく。任意に、プローブまた はプライマーは、全体的にまたは部分的に変性でき、すなわちプローブ/プライ マーの混合物を含み得、全て同じアミノ酸配列をコードするが、そうするために 異なるコドンを使用する。変性プローブを調製する別法は、種により異なるこれ らのコドン位置の数個または全てにイノシンを配置することである。オリゴヌク レオチドプローブまたはプライマーは上記したDNAの化学合成法により製造し 得る。 GDNFR並びにその突然変異体または変異体をコードするこれらの核酸配列 に基づいたGDNFRタンパク質もまた、本発明の範囲内と考えられる。突然変 異体または変異体配列は、野生型配列と比較して1つ以上のヌクレオチド置換、 欠失および/または挿入を含み、その結果野生型アミノ酸配列と比較して種々の アミノ酸配列を発現する配列を含む。ある場合では、 天然に存在するGDNFRアミノ酸突然変異体または変異体が、天然対立遺伝子 対変異の存在により生じ得る。かかる天然に存在する突然変異体または変異体に 基づくGDNFRタンパク質もまた本発明の範囲内である。合成突然変異体配列 の製造は当分野で既知であり、例えばWellsら(Gene、34:315、 1985)およびSambrookら、上記で記載されている。 ある場合では、天然に存在するGDNFRの核酸および/またはアミノ酸変異 体を調製することが望ましい。核酸変異体(1つ以上のヌクレオチドが、野生型 または天然に存在するGDNFRと異なるように設計されている)は、部位特異 的突然変異誘発またはPCR増幅(ここで、プライマーは所望の点突然変異を有 する)を用いて産生し得る(Sambrookら、上記およびAusubelら 、上記、突然変異技術の記載参照)。Engelsら、上記により記載の方法を 用いた化学合成もまた使用して、かかる変異体を調製し得る。当業者に公知の他 の方法も同様に使用し得る。好ましい核酸変異体は、GDNFRを組換え産生す るために使用する宿主細胞におけるコドン選択の原因となるヌクレオチド置換を 含むものである。他の好まし い変異体は、野生型に比較して保存的アミノ酸変化(例えば、天然存在アミノ酸 側鎖の荷電または極性が、異なるアミノ酸での置換により実質的に変化しない) をコードし、および/またはGDNFR上に新規グリコシル化および/またはリ ン酸化部位を産生するように設計されたもの、またはGDNFR上に存在するグ リコシル化および/またはリン酸化部位を欠失するように設計されたものである 。さらに別の好ましい変異体は、図に示したGDNFR共通配列に基づいたGD NFRをコードするものである。ベクター 所望のGDNFRタンパク質をコードするcDNAまたはゲノムDNAを、さ らにクローニング(DNAの増幅)または発現するために、ベクターに挿入する 。適当なベクターは市販により入手できるか、またはベクターを特別に構築し得 る。可能なベクターは、コスミド、プラスミドまたは修飾ウイルスを含むがこれ に限定されない、しかしベクター系は選択した宿主細胞と相容性でなければなら ない。かかるベクターは、ラムダ誘導体などのバクテリオファージ、pBR32 2、pUC、またはBluescript(登録商標)プラスミド誘導体 (Stratagene、La Jolla CA)などのプラスミドを含むが これに限定されない。組換え分子は、形質転換、トランスフェクション、感染、 電気穿孔、または他の公知の技術により宿主細胞に導入できる。 例えば、GDNFRコード核酸配列をクローニングベクターに挿入し、これを 用いて適当な宿主細胞を形質転換、トランスフェクト、または感染させ、核酸配 列の多くのコピーを作製する。これはDNAフラグメントを、相補的結合端を有 するクローニングベクターに連結させることにより達成できる。DNAのフラグ メント化に使用した相補的制限部位がクローニングベクター中に存在しない場合 、DNA分子端を酵素的に修飾し得る。また、制限エンドヌクレアーゼ開裂部位 を、複製連鎖反応に使用したオリゴヌクレオチドプライマーに取り込むことは、 得られた核酸配列のベクターへの挿入を容易にするのに有利であり得る。また、 所望の任意の部位を、ヌクレオチド配列(リンカー)をDNA末端に連結させる ことにより産生し得;これらの連結されたリンカーは、制限エンドヌクレアーゼ 認識配列をコードする特異的化学合成オリゴヌクレオチドを含み得る。別の方法 では、開裂ベクターおよびGDNFRコード核酸配列 を、ホモポリマーテイリングにより修飾し得る。特別な実施形態において、単離 GDNFR遺伝子、cDNA、または合成DNA配列を取り込む組換えDNA分 子で宿主細胞を形質転換することにより、遺伝子の複数のコピーの作製が可能と なる。従って、GDNFRコード核酸配列は、形質転換体を成育し、組換えDN A分子を形質転換体から単離し、必要であれば挿入遺伝子を単離組換えDNAか ら取り出すことにより大量に得られ得る。 適当なベクターの選択または構築は、1)DNA増幅またはDNA発現に使用 するか、2)ベクターに挿入するDNAのサイズ、および3)ベクターで形質転 換する宿主細胞(例えば、哺乳動物、昆虫、酵母、菌、植物または細菌細胞)に 依存する。各ベクターは、その機能(DNAの増幅またはDNAの発現)および 目的の宿主細胞との相容性により種々の成分を含む。DNA発現では、ベクター 成分は、1つ以上の下記を含み得るがこれに限定されない:シグナル配列、複製 起源、1つ以上の選択またはマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモ ーター、転写終結配列等。これらの成分は、天然源から得られるか、または公知 の方法により合成され得る。本発明のベクタ ーは、選択宿主細胞においてGDNFRコード核酸配列の増幅または発現を、指 示、制御または別様に奏効可能な、1つ以上の増幅、発現制御、調節または類似 の機能エレメントに機能的に結合させた目的のGDNFRタンパク質をコードす る核酸配列を含む。 GDNFR核酸配列挿入物を含む発現ベクターは、3つの一般的な方法により 同定できる:(a)DNA−DNAハイブリダイゼーション;(b)「マーカー 」遺伝子機能の存在または非存在、および(c)挿入配列の発現。最初の試みに おいて、発現ベクターに挿入された外来核酸配列の存在は、挿入GDNFR−コ ード核酸配列に相同的な配列を含むプローブを用いたDNA−DNAハイブリダ イゼーションにより検出できる。第2の試みにおいて、組換えベクター/宿主系 は、外来核酸配列のベクターへの挿入に起因する、特定の「マーカー」遺伝子機 能(例えばチミジンキナーゼ活性、抗生物質抵抗性、形質転換表現型、バキュロ ウイルスにおける閉塞体形成等)の存在または非存在に基づいて同定および選択 できる。例えば、GDNFRコードタンパク質核酸配列をベクターのマーカー遺 伝子配列内に挿入すれば、GDNFR挿入物を含む組換え体を、マーカー遺伝子 機能の欠損により同定できる。第3の試みにおいて、組換え発現ベクターを、組 換え核酸配列により発現される外来タンパク質産物を検出することにより同定で きる。かかるアッセイは、例えば、GDNFR−αタンパク質のGDNF、また は直接的にGDNFR−αを認識する抗体への結合により発現GDNFRタンパ ク質産物の物理的または機能的特性に基づくことができる。シグナル配列 シグナル配列は、ベクターの成分であり得るか、またはベクターに挿入される GDNFR DNAの一部であり得る。天然GDNFR DNAは、タンパク質 の翻訳後プロセシング間で開裂され、成熟GDNFRタンパク質を形成するタン パク質のアミノ末端でシグナル配列をコードする。本発明の範囲内に含まれるも のは、天然シグナル配列(ただし天然シグナル配列は、異種シグナル配列で欠失 および置換されている)並びにGDNFRポリヌクレオチドを有するGDNFR ポリヌクレオチドである。選択した異種シグナル配列は、宿主細胞により、認識 およびプロセス化、すなわちシグナルペプチダーゼにより開裂されるされるもの である。天然GDNFRシグナル配列を認識およびプ ロセス化しない原核宿主細胞では、シグナル配列は、例えばアルカリホスファタ ーゼ、ペニシリナーゼまたは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選 択された原核シグナル配列により置換される。酵母分泌では、天然GDNFRシ グナル配列は酵母インベルターゼ、アルファ因子、または酸性ホスファターゼリ ーダーにより置換され得る。哺乳動物細胞発現において、他の哺乳動物のシグナ ル配列が適当であり得るが、天然シグナル配列は満足のいくものである。複製起源 発現およびクローニングベクターは一般的に、ベクターを1つ以上の選択した 宿主細胞において複製可能とする核酸配列を含む。クローニングベクターにおい て、この配列は典型的にベクターが宿主染色体DNAとは独立的に複製可能とさ せ、複製起源または自律的複製配列を含むものである。かかる配列は種々の細菌 、酵母、およびウイルスでよく知られている。プラスミドpBR322由来の複 製起源は、ほとんどのグラム陰性菌に適当であり、種々の起源(例えばSV40 、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)は哺乳動物細胞における クローニングベクターに有用である。一般的に、複製成分の 起源は、哺乳動物発現ベクター(例えば、SV40起源はしばしば初期プロモー ターを含む理由のみで使用される)には必要でない。選択遺伝子 発現およびクローニングベクターは選択遺伝子を含み得る。この遺伝子は、選 択培養培地での成育時に、形質転換宿主細胞の生存または成育に必要な「マーカ ー」タンパク質をコードする。ベクターで形質転換されない宿主細胞は、選択遺 伝子を含まず、ゆえに培養培地で生存しない。典型的な選択遺伝子は(a)抗生 物質または他の毒素(例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、 またはテトラサイクリン)に抵抗性を付与し;(b)栄養要求性欠損を補足し; または(c)培養培地から得られない必須栄養分を供給するタンパク質をコード する。 他の選択遺伝子を使用して、発現される遺伝子を増幅し得る。増幅は、増殖に 必須なタンパク質の産生に要求が高い遺伝子を、組換え細胞の連続的産生の染色 体内で直列に反復したプロセスである。哺乳動物細胞の適当な選択マーカーの例 は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)およびチミジンキナーゼを含む。哺 乳動物細胞形質転換体は、形質転換体のみがベクター中に存在するマーカーによ り唯一生存適合する、選択圧力下に置く。選択圧力は、選択剤の培地中濃度が連 続的に変化し、従って選択遺伝子およびGDNFRをコードするDNAの両方が 増幅される条件下で、形質転換細胞を培養することにより課せられる。結果とし て、増加量のGDNFRが増幅DNAから合成される。 例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換した細胞を、最初に全形質転換体を、 DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキサートを含む培養培地中で培 養することにより同定する。野生型DHFRを使用した場合の適当な宿主細胞は 、DHFR活性を欠損したチャイニーズハムスター卵巣細胞系である(例えば、 UrlaubおよびChasin、Proc.Natl.Acad.Sci、U .S.A.、77(7):4216−4220、1980参照)。次いで、形質 転換細胞を増量したメトトレキサートにさらす。これにより、DHFR遺伝子の 複数のコピー、および、同時に発現ベクターに存在する他のDNAの複数のコピ ー(例えばGDNFRタンパク質をコードするDNA)が合成される。プロモーター 本発明の発現およびクローニングベクターは、典型的に、宿主有機体により認 識され、GDNFRタンパク質をコードする核酸配列に機能的に結合させたプロ モーターを含む。プロモーターは、GDNFRをコードするものなどの、特定の 核酸配列の転写および翻訳を調節する構造遺伝子(一般的に約100kから10 00bp内)の開始コドンに対して上流(5’)に位置する非翻訳配列である。 プロモーターは、慣用的には、誘導プロモーターおよび構成プロモーターの2つ のクラスの1つに該当する。誘導プロモーターは、栄養の存在または非存在また は温度変化などの培養条件における変化に応答してその制御下でDNAの転写レ ベルの増加を開始する。種々の効力のある宿主細胞により認識されるプロモータ ーが数多く公知である。これらのプロモーターは、DNA源から制限酵素消化に よりプロモーターを取り出し、所望のプロモーター配列をベクターに挿入するこ とにより、GDNFRをコードするDNAに機能的に連結させている。天然GD NFRプロモーター配列を用いて、GDNFR DNAの増幅および/または発 現を指向し得る。しかし、もし天然プロモーターに比較して多くの転写および高 収量の発現タンパク質を可能とし、使用するために選択した宿主細胞系と相容性 であるならば、異種プロモーターが好ましい。 原核宿主での使用に適当なプロモーターは、ベーターラクタマーゼおよびラク トースプロモーター系;アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プ ロモーター系;およびハイブリッドプロモーター例えばtacプロモーターを含 む。他の公知の細菌プロモーターも適当である。そのヌクレオチド配列が刊行さ れ、これにより当業者はそれらを、任意の必要な制限部位の供給に必要なリンカ ーまたはアダプターを用いて所望のDNA配列に連結させることができる。 酵母宿主に使用する適当なプロモーター配列もまた当分野でよく知られている 。酵母エンハンサーは、有利には酵母プロモーターと共に使用する。哺乳動物宿 主細胞に使用する適当なプロモーターは、よく知られており、ポリオーマウイル ス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシパピロー マウイルス、トリサルコーマウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス 、B型肝炎および最も好ましくはシミアン(Simian)ウイルス40(SV 40)などのウイルスのゲノムから得られたものを含む。他の適当な哺乳動物プ ロモーターは、異種哺乳動物プロモーター、例えば熱ショックプロモーターおよ びアクチンプロモーターを含む。CHO細胞においてGDNFRタンパク質の産 生に使用可能なプロモーターは、SRaである(Takebeら、Mol.Ce ll.Biol.、8(1):466−472、1988参照)。適当な発現ベ クターは、pDSRa2である。適当なGDNFRcDNAを含むpDSRa2 プラスミド構築物は、実質的に、1990年3月29日出願の共有および同時係 属出願中の米国特許出願番号501,904に記載のプロセスに従って調製し得 る(また、1990年3月18日出願、欧州特許出願番号90305433、公 開番号EP398753およびWO90/14363(1990)も参照、この 開示は引用によりここに援用する)。 GDNFR発現を調節する目的のさらに別のプロモーターは、以下を含むがこ れに限定されない:SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびC hambon、Nature、290:304−310、1981);CMVプ ロモーター;ラウスサルコーマウイルスの3’長末端反復に含まれるプロモータ ー(Yamamotoら、Cell、22:787−797、1980);ヘル ペスチミジンキナーゼプロモーター (Wagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、7 8:144−1445、1981);メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Br insterら、Nature、296:39−42、1982);β−ラクタ マーゼプロモーターなどの原核発現ベクター(Villa−Kamaroffら 、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、75:3727−3 731、1978);またはtacプロモーター(DeBoerらProc.N atl.Acad.Sci.U.S.A.80:21−25、1983)。その 他の目的のものは、以下の動物転写調節領域であり、これは組織特性を示し、ト ランスジェニックマウスに使用される:膵臓小核細胞において活性なエラスター ゼI遺伝子調節領域(Swiftら、Cell、38:639−646、198 4;Ornitzら、Cold Spring Harbor Symp.Qu ant.Biol.50:399−409、1986;MacDonald、H epatology、7:425−515、1987);膵臓β細胞で活性なイ ンシュリン遺伝子調節領域(Hanahan、Nature、315:115− 122、1985);リンパ細胞で活性な免疫グロブリン遺伝子調節領域(Gr osschedlら、 Cell、38:647−658、1984;Adamesら、Nature、 318:533−538、1985;Alexanderら、Mol.Cell .Biol.、7:1436−1444、1987);精巣、乳房、リンパおよ び肥満細胞で活性なマウス動物腫瘍ウイルス調節領域(Lederら、Cell 、45:485−495、1986)、肝臓で活性なアルブミン遺伝子調節領域 (Pinkertら、Genes and Devel、1:268−276、 1987);肝臓で活性なα−フェトプロテイン遺伝子調節領域(Krumla ufら、Mol.Cell.Biol.、5:1639−1648、1985; Hammerら、Science、235:553−58、1987);肝臓で 活性なα1−抗トリプシン遺伝子調節領域(Kelseyら、Genes an d Devel.、1:161−171、1987);骨髄細胞で活性なβ−グ ロビン遺伝子調節領域(Mogramら、Nature、315:338−34 0、1985;Kolliasら、Cell、46:89−94、1986); 脳のオリゴデンドロサイト細胞において活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子 調節領域(Readheadら、Cell、48:703−712、 1987);骨格筋で活性なミオシン軽鎖−2遺伝子調節領域(Sani、Na ture、314:283−286、1985);および視床下部で活性なゴナ ドトロピン放出ホルモン遺伝子調節領域(Masonら、Science,23 4:1372−1378、1986)。エンハンサーエレメント エンハンサー配列をベクターに挿入し、より高等真核細胞による、本発明のG DNFRタンパク質をコードするDNA配列の転写を増加させ得る。エンハンサ ーは、DNAのシス作用エレメントであり、通常約10−300bp長で、プロ モーターに作用してその転写を増加させる。エンハンサーは比較的配向および位 置独立性である。それらは転写単位の5’および3’に見られる。哺乳動物遺伝 子から入手できるいくつかのエンハンサー配列が公知である(例えば、グロビン 、エラスターゼ、アルブミン、α−フェエト−タンパク質およびインシュリン) 。典型的には、しかし、ウイルス由来のエンハンサーを使用する。SV40エン ハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエ ンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーは、真核細胞プロモーターの活 性化における 例示的亢進エレメントである。エンハンサーをGDNFRDNAの5’または3 ’位でベクターにスプライシングし得るが、それは典型的にプロモーターから5 ’部位に位置する。転写終結 真核宿主細胞に使用する発現ベクター(他の多細胞有機体由来の酵母、菌、昆 虫、植物、動物、ヒト、または有核細胞)はまた、転写終結およびmRNAを安 定化させるために必要な配列を含む。かかる配列は共通して真核DNAまたはc DNAの5’および時に3’非翻訳領域から得られる。これらの領域は、GDN FRをコードするmRNAの非翻訳部分におけるポリアデニル化フラグメントと して転写したヌクレオチド断片を含む。 1つ以上の上記の成分を、所望のGDNFRコード配列と共に含む適当なベク ターの構築は、標準的な連結法により達成される。単離プラスミドまたはDNA フラグメントを、開裂し、尾部をつけ、所望の順序で再度連結させ、必要なプラ スミドを産生する。正しい配列が構築されたことを確認するために、連結混合物 を用いて大腸菌を形質転換し、成功した形質転換体を、上記した例えばアンピシ リンまたはテトラサイクリン抵抗性などの公知の技術により選択し得る。次いで 、形質転換体からの プラスミドを調製し、制限エンドヌクレアーゼ消化により分析し、および/また は配列決定し所望の構築物を確認し得る。 哺乳動物細胞におけるGDNFRをコードするDNAの一過性発現を提供する ベクターを使用し得る。一般的に、一過性発現は、宿主細胞で効果的に複製でき る発現ベクターの使用を含み、宿主細胞は発現ベクターの多くのコピーを蓄積し 、代わって、発現ベクターによりコードされる所望のタンパク質を高レベルで合 成する。適当な発現ベクターおよび宿主細胞を含む一過性発現系により、クロー ン化DNAによりコードされるタンパク質の簡便な同定、並びに所望の生物学的 または生理学的特性に関してかかるタンパク質を急速にスクリーニングすること が可能となる。従って、一過性発現系はタンパク質変異体の同定に特に有用であ る。宿主細胞の選択および形質転換 組換えGDNFRタンパク質の発現に使用するために核酸配列で形質転換した 宿主細胞(例えば、細菌、哺乳動物、昆虫、酵母または植物細胞)もまた本発明 により提供される。形質転換宿主細胞は、核酸配列の発現が可能な適当な条件下 で培養する。適当な宿主細胞の選択および形質転換、培養、増幅、スク リーニングおよび産物産生および精製法は、当分野でよく知られている。例えば 、Gething and Sambrook、Nature、293:620 −625(1981)、または別にKaufmanら、Mol.Cell.Bi ol.、5(7):1750−1759(1985)またはHowleyら、米 国特許第4,419,446号参照。追加の例示的物質および方法を本明細書で 議論する。形質転換宿主細胞を適当な培地で培養し、次いで、発現GDNFRタ ンパク質を任意に、培養培地から(またはもし細胞内的に発現されていれば細胞 から)当業者に公知の適当な方法を用いて回収、単離および精製する。 異なる宿主細胞はタンパク質の翻訳および翻訳後プロセシングおよび修飾(例 えばグリコシル化、開裂)に関して特徴的および特異的機構を有する。適当な細 胞系または宿主系を選択して、発現される外来タンパク質の所望の修飾およびプ ロセシングを確認することができる。例えば、細菌系での発現を用いて、非グリ コシル化コアタンパク質産物を産生し得る。酵母における発現を用いて、グリコ シル化産物を産生し得る。哺乳動物での発現を用いて異種GDNFRタンパク質 の「天然」グリコシル化を確認できる。さらに、異なるベクター/宿主発現系は 、 種々の範囲で原核細胞開裂などのプロセシング反応を奏効し得る。 本明細書で開示したベクターをクローニングまたは発現する適当な宿主細胞は 、原核細胞、酵母、または高等真核細胞である。糸状菌または酵母などの真核微 生物が、GDNFRタンパク質を発現する適当な宿主であり得る。サッカロマイ セスセレビジアエ、または共通のベーカー酵母菌は、低級真核宿主微生物の間で 最も一般的に使用されているが、数多くの他の属、種、および株がよく知られて おり一般に入手できる。 グリコシル化GDNFRタンパク質の発現に使用される宿主細胞はまた、多細 胞生物体から誘導される。かかる宿主細胞は、プロセシングおよびグリコシル化 活性を複合できる。原則的に、培養物が脊椎または非脊椎細胞(植物および昆虫 細胞を含む)を含むかにより、任意の高等真核細胞培養物も使用し得る。培養( 組織培養)における脊椎細胞の増殖は、よく知られた方法である。有用な哺乳動 物宿主細胞系の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1系(COS 7)、ヒト胚腎臓系(懸濁培養における増殖にサブクローニングされた293ま たは293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞、およびチャイニー ズハムスター卵巣細胞を含むがこれに限定されない。他の適当な哺乳動物細胞系 は、HeLa、マウスL−929細胞、Swiss、Balb−cまたはNIH マウス由来3T3系、BHKまたはHaKハムスター細胞系を含むがこれに限定 されない。 適当な宿主細胞はまた、原核細胞を含む。原核宿主細胞は、細菌細胞、例えば グラム陰性またはグラム陽性生物体、例えば大腸菌、枯草菌などの桿菌、シュー ドモナス種、例えば緑膿菌、ネズミチフス菌、または霊菌を含むがこれに限定さ れない。例えば、種々の大腸菌(例えば、HB101、DH5a、DH10、お よびMC1061)が、バイオテクノロジーの分野で宿主細胞としてよく知られ ている。種々のストレプトマイセス属の株等もまた使用し得る。GDNFRタン パク質産生に本明細書で好ましい宿主細胞は、細菌細胞(例えば大腸菌)および 哺乳動物細胞(例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞、COS細胞等)である 。 宿主細胞をトランスフェクトさせ、好ましくは上記の発現またはクローニング ベクターで形質転換させ、慣用的な栄養培地で培養する。培地は、プロモーター の誘導、形質転換体の選択、 または所望の配列をコードする遺伝子の増幅に適当に修飾し得る。トランスフェ クションおよび形質転換は、当業者によく知られ、関与する宿主細胞に適当に選 択した標準的な技術を用いて実施する。例えば、細胞壁のない哺乳動物細胞では 、リン酸カルシウム沈降法を使用し得る。電気穿孔、マイクロインジェクション および他の公知の技術も使用し得る。宿主細胞の培養 本発明のGDNFRタンパク質の産生に使用した形質転換細胞を、適当な培地 中で培養する。培地に、必要であれば、ホルモンおよび/または他の増殖因子( 例えば、インシュリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子)、塩(例えば 、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸)、緩衝液(例え ばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデノシンおよびチミジン)、抗体(例 えばゲンタマイシン)、微量元素(通常マイクロモルの範囲の最終濃度で存在す る無機化合物として定義する)、およびグルコースまたは他のエネルギー源を補 足し得る。他の補足物もまた、当業者により理解される適当な濃度で含み得る。 選択した宿主細胞での使用に適当な培養条件、例えば温度、pH等もまた当業者 によりよく知られている。 GDNFRタンパク質を産生すれば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交 換、アフィニティー、およびサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心、溶解度 の差を含む標準的な方法、またはタンパク質精製の任意の他の標準的な技術によ り単離および精製し得る。例えば、GDNFR−αタンパク質は、固定支持体に 結合させたGDNFまたは抗−GDNFR−α抗体を含むアフィニティーカラム に結合させることにより単離し得る。同様に、GRR2タンパク質は、固定支持 体に結合させたニューチュリンまたは抗−GRR2抗体を含むアフィニティーカ ラムに結合させることにより単離し得る。相同的組換え GDNFRタンパク質は相同的組換えにより、またはすでにGDNFRをコー ドするDNAを含む細胞に導入した調節エレメントを用いた組換え産生法を用い て産生され得ると考えられる。例えば、相同的組換え法を用いて、正常な転写性 サイレントGDNFR遺伝子または低発現遺伝子を含む細胞を修飾し、よってG DNFRを発現する細胞を産生し得る。相同的組換えは、転写活性遺伝子におけ る変異を誘導または修正する遺伝子を標的化するために元来開発された技術であ る(Kucherlapati、Prog.in Nucl.Acid Res .およびMol.Biol、36:301、1989)。基本的な技術が、特異 的変異を哺乳動物ゲノムの特定領域に導入する方法として(Thomasら、C ell、44:419−428、1986;ThomasおよびCapecch i、Cell、51:503−512、1987;Doetschmanら、P roc.Natl.Acad.Sci.、85:8583−8587、1988 )、または欠損遺伝子内の特異的変異を修正するために開発された(Doets chmanら、Nature、330:576−578、1987)。相同的組 換え技術の例は、U.S.5,272,071(EP91903051、EP公 開番号505500;PCT/US90/07642、国際公開番号WO91/ 09955)に記載され、その開示は引用してここに援用する。 相同的組換えにより、ゲノムに挿入するDNA配列を、標的DNAに結合させ ることにより目的の遺伝子の特定領域に指向化できる。標的DNAは、ゲノムD NAの領域に相補的(相同)なDNAである。ゲノムの特定領域に相補的な標的 DNAの小 片を、DNA複製プロセスの間、親鎖と接触させる。ハイブリダイズし、よって 、共有相同領域を通して内因性DNAの他の部分と再度結合するのは、細胞に挿 入されたDNAの一般的特徴である。この相補鎖がDNAの変異または異なる配 列を含むオリゴヌクレオチドと結合すれば、組換えの結果として新規に合成され た鎖に組み込まれる。校正機能の結果として、DNAの新規配列を鋳型として使 用することが可能である。従って、転移DNAがゲノムに取り込まれる。 特定の遺伝子の配列が知られていれば(例えば、本明細書で提示したGDNF Rの核酸配列、配列前後、または発現調節配列)、遺伝子の選択領域に相補的な DNA片を、例えば目的の領域に結合する特異的認識部位での天然DNAの適当 な制限により合成または得ることができる。この片は、細胞への挿入時に標的配 列として作用し、ゲノム内の相同領域にハイブリダイズする。このハイブリダイ ゼーションがDNA複製間に起これば、このDNA片、およびそれに結合した任 意の追加的配列は、Okazakiフラグメントとして作用し、新規に合成され たDNAの娘鎖に逆戻りする。 標的DNAのこれらの断片に結合したものは、GDNFRタ ンパク質の発現と相互作用し得るDNA領域である。例えば、プロモーター/エ ンハンサーエレメント、サプレッサー、または外因性転写調節エレメントを、所 望のGDNFRタンパク質をコードするDNAの転写に影響を与えるに十分な近 接度および配向性で目的の宿主細胞のゲノムに挿入する。調節エレメントはGD NFRをコードしないが、代わりに宿主細胞ゲノムに存在するDNAの一部を調 節する。従って、GDNFRタンパク質の発現は、DNAのGDNFR遺伝子自 体をコードするDNAのトランスフェクションによるのではなく、むしろGDN FRタンパク質の認識可能な転写シグナルと共にの内因性遺伝子配列を提供する DNA調節セグメントと結合した標的DNA(目的の内因性遺伝子との相同性領 域を含む)の使用により達成され得る。 A.GDNFR変異体 上記で議論したように、本明細書で使用する「GDNFR類似体」という用語 は、図に示したものを含む天然に存在するGDNFRポリペプチドのアミノ酸配 列内で、アミノ酸が(「欠失変異体」)から欠失し、(「付加変異体」)に挿入 し、または(「置換変異体」)残基で置換したポリペプチドを含む。か かる変異体は、適当なヌクレオチド変化をポリペプチドをコードするDNAに導 入することにより、または所望のポリペプチドのインビトロ化学合成により調製 する。最終分子がGDNFR活性を有するならば、欠失、挿入、および置換の多 くの組合せを、成熟ヒトGDNFRなどのアミノ酸配列に施し得ることは当業者 により理解されるだろう。 多種由来の特定のGDNFR−α、GRR2およびGRR3アミノ酸配列の本 記載並びに、それから誘導した共通配列に基づき、図に示したものとは1つ以上 の残基の同一性または位置の点で異なる一次構造を有するポリペプチドの組換え (例えば細菌)発現における使用に適当な種々の核酸配列を容易に設計および製 造できる。図2および4に示す核酸配列によりコードされる1つ以上の選択した アミノ酸残基の置換、挿入または欠失の突然変異誘発は、当業者にはよく知られ ている(例えば、米国特許第4,518,584号、その開示は引用してここに 援用する)。置換変異体の構築において2つの原則的に可変なものは、変異部位 の位置および変異の性質である。GDNFR置換変異体の設計において、変異部 位の選択および変異の性質は、修飾するGDNFRの特性による。変異の部位は 、例えば (1)最初に保存的アミノ酸修飾物で置換し、次いで、得られた結果により根本 的な選択物で置換し、(2)標的アミノ酸残基を削除し、または(3)位置する 部位に隣接したアミノ酸残基を挿入することにより、個々にまたは連続して修飾 できる。1−30連続アミノ酸の保存的変化が好ましい。N−末端およびC−末 端欠失GDNFRタンパク質変異体もまたタンパク質分解酵素により産生し得る 。 GDNFR欠失変異体において、欠失は、一般的に、約1−30連続残基、よ り通常には約1−10連続残基および典型的には約1−5連続残基の範囲である 。N−末端、C−末端および内部配列内欠失が考えられる。欠失は、非−ヒトG DNFRと相同性の低い分子の領域に導入し、GDNFRの活性を修飾し得る。 非−ヒトGDNFR配列と大きな相同性がある領域での欠失は、GDNFRの生 物学的活性を大きく修飾するようである。連続欠失数は、典型的に、影響を受け るドメインにおけるGDNFRタンパク質産物の3次構造、例えばシステイン架 橋を保持するように選択する。欠失変異体の非制限的な例は、N−末端またはC −末端アミノ酸残基を欠失する切形GDNFRタンパク質産物を含む。例えば、 GDNFRレセプターの細胞 質膜へのグリコシル−ホスファチジルイノシトール(GIP)固定に関与するペ プチド領域の削除により可溶性レセプターを調製し得る。 GDNFR付加変異体において、アミノ酸配列付加は典型的に、1残基から1 00以上の残基を含むポリペプチド長の範囲のN−および/またはC−末端融合 または末端付加、並びに単一または複数アミノ酸残基の内部または中部付加を含 む。本発明のポリペプチドは、開始メチオニンアミノ酸残基を(所望のポリペプ チドの最初のアミノ酸残基に関して−1位に)含み得る。内部付加は、一般的に 、約1−10連続残基、より典型的には約1−5残基、および通常約1−3アミ ノ酸残基の範囲であり得る。N−末端付加変異体の例は、異種N−末端シグナル 配列がGDNFRのN−末端に封入されたGDNFRを含み、組換え宿主細胞か らの成熟GDNFRの分泌を促進し、よって収量またはバイオアベイラビリティ ーを高める。かかるシグナル配列は、一般的に、目的の宿主細胞種から得られ、 従って、それに相同的である。付加はまた他の神経栄養因子の配列から誘導され たアミノ酸配列を含み得る。例えば、GDNFおよびGDNFR−α、またはニ ューチュリンおよびGRR2の融合 タンパク質は、連結配列と共にまたは無しで産生され得、よって単一分子治療体 を形成すると考えられる。 GDNFR置換変異体は、除去されたGDNFRアミノ酸配列およびその場所 に挿入された異なる残基の1つ以上のアミノ酸残基を有する。かかる置換変異体 は、対立遺伝子変異体を含み、アミノ酸変化を引き起こし得るまたは得ない種の 集合における、天然に存在するヌクレオチド配列変化を特徴とする。他の変異体 形と同様に、置換変異体は、1つ以上の異なる位置における単一または連続アミ ノ酸残基の置換を含み得る。 GDNFRアミノ酸配列の特異的変異は、グリコシル化部位(例えば、セリン 、トレオニン、またはアスパラギン)への修飾を含み得る。グリコシル化の不在 または部分的グリコシルは、任意のアスパラギン−結合グリコシル化認識部位ま たはO−結合炭水化物の付加により修飾される任意の分子の部位におけるアミノ 酸置換または欠失から生じる。アスパラギン−結合グリコシル化認識部位は、適 当な細胞グリコシル化酵素により特異的に認識されるトリペプチド配列を含む。 これらのトリペプチド配列は、Asn−Xaa−Thr、またはAsn−Xaa −Ser(ただし、XaaはPro以外の任意のアミノ酸であり 得る)である。グリコシル化認識部位の第1または第3アミノ酸位置の一方また は両方における種々のアミノ酸置換または欠失(および/または第2位における アミノ酸欠失)により、修飾トリペプチド配列に非グリコシル化を受ける。従っ て、適当な変化ヌクレオチド配列の発現は、この部位でグリコシル化されない変 異体を産生する。また、GDNFRアミノ酸配列は修飾を受け、グリコシル化部 位が加わり得る。 突然変異誘発GDNFRアミノ酸残基または領域を同定する1つの方法は、C unninghamおよびWellsにより記載(Science、244:1 081−1085、1989)の「アラニン走査突然変異誘発」と呼ばれる。こ の方法では、標的残基のアミノ酸残基または群が同定され(例えば、Arg、A sp、His、LysおよびGluなどの荷電残基)、中性または陰性荷電アミ ノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)により置換され、細胞の内 外で周辺の水性環境とアミノ酸との相互作用に影響を与える。次いで、置換基に 対してこれらのドメインが示す機能的感受性は、置換部位に付加または別の残基 を導入することにより亢進され得る。従って、アミノ酸配列変異を導入する標的 部位を決定し、アラニン探索また はランダム突然変異を、DNA配列の対応する標的コドンまたは領域上で行い、 発現されたGDNFR変異体を所望の活性および活性度の最適の組合せに関して スクリーニングする。 置換突然変異の最大の目的の部位は、種々の種由来のGDNFRタンパク質に 認められるアミノ酸が側鎖の容積、荷電、および/または疎水性の点で実質的に 異なる部位を含む。目的の他の部位は、種々の種から得られたGDNFR様タン パク質の特定の残基が同一であるものである。かかる位置は、タンパク質の生物 学的活性に一般的に重要である。始めに、これらの部位を比較的保守的な方法で 置換する。かかる保守的置換を、好ましい置換基の題名で表2に示す。かかる置 換が生物学的活性を変化させれば、次いで、より実質的な変化(例示的置換基) が導入され得、および/または他の付加または欠失を施し得、得られた産物は活 性スクリーニングする。 アミノ酸配列に対する保存的修飾(およびコード核酸配列に対する対応する修 飾)は、天然に存在するGDNFRと類似し た機能的および化学的特性を有するGDNFRタンパク質産物を産生することが 予測される。対照的に、GDNFRタンパク質産物の機能および/または化学的 特徴の実質的修飾は、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えば シートまたはラセンコンフォメーション、(b)標的部位における分子の荷電ま たは疎水性、または(c)側鎖の容積を維持する効果が大きく異なる置換基を選 択することにより達成され得る。天然に存在する残基は、共通側鎖特性に基づき 群に分け得る: 1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile; 2)中性親水性:Cys、Ser、Thr; 3)酸性:Asp、Glu; 4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg; 5)鎖の配向性に影響を与える残基:Gly、Pro;および 6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。 非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーの、別のクラスのメンバー との交換を含み得る。かかる置換残基は、非−ヒトGDNFRタンパク質と相同 的なヒトGDNFRタンパク質の領域に、または分子の非−相同領域に導入し得 る。 従って、GDNFRタンパク質は、図に示したアミノ酸配列の全部または一部 、並びに共通および修飾配列を含む生物学的に活性な分子を含み、生物学的に等 価なアミノ酸残基は、配列内で、サイレントな変化が起こる残基で置換する。例 えば、配列内の1つ以上のアミノ酸残基を、機能性等価体として作用する類似の 極性を有する別のアミノ酸で置換でき、サイレント変化が生じる。配列内でのア ミノ酸の置換は、アミノ酸が属する他のクラスのメンバーから選択し得る。例え ば、非極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン 、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンを含む。極性 中性アミノ酸は、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アス パラギンおよびグルタミンを含む。正に荷電した(塩基正)アミノ酸は、アルギ ニン、リジンおよびヒスチジンを含む。負に荷電した(酸性)アミノ酸は、アス パラギン酸およびグルタミン酸を含む。また、GDNFRタンパク質、類似体、 またはそのフラグメントまたは誘導体は、翻訳中または後、例えば、リン酸化、 グリコシル化、架橋、アシル化、タンパク質分解開裂、抗体分子、膜分子または 他のリガンドへの結合により、異なって修飾され得る。 B.GDNFR誘導体 GDNFRまたはGDNFR類似体の化学的修飾誘導体は、当業者により本開 示に基づき製造され得る。誘導体化に最も適当な化学部分は、水溶性ポリマーを 含む。水溶性ポリマーは、結合するタンパク質が生理学的環境などの水性環境で は沈殿しないため、望ましい。好ましくは、ポリマーは、治療産物または組成物 の製造において医薬的に許容される。ポリマー/タンパク質コンジュゲートを治 療に使用するかの考察、もしそうであれば、望ましい用量、循環時間、タンパク 質加水分解に対する抵抗性、および他の考察に基づいて、当業者は望ましいポリ マーを選択できる。誘導体化の効果は、望ましい形で(例えば、浸透ポンプによ り、またはより好ましくは、注射または注入により、またはさらに経口、経肺ま たは他の送達経路により)誘導体を投与し、その効果を測定することにより確認 され得る。 適当な水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール、エチレングリコール/プ ロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン 、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン 、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリ マー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、お よびデキストランまたはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール 、プロプロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレンオキシド/エチレ ンオキシドコポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール(例えば、グリセロー ル)、ポリビニルアルコール、およびその混合物を含むがこれに限定されない。 ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中での安定性により製造利 点を有し得る。 ポリマーは、任意の分子量であり得、分枝または非分枝であり得る。ポリエチ レングリコールにおいて、好ましい分子量は、取扱および製造が容易なことから 、約2kDaないし約100kDaである(「約」という用語は、ポリエチレン グリコールの製造において、いくつかの分子は記載の分子量より多い、または少 ないことを示す)。所望の治療プロフィール(例えば、望む持続放出時間;もし あれば生物学的活性の効果;扱い易さ;抗原性度またはその欠失およびポリエチ レングリコールの治療タンパク質または変異体に対する他の公知の効果)により 、他のサイズを使用し得る。 結合したポリマー分枝の数は変化し得、当業者は機能の効果 を確認できる。モノ誘導体化、または同じまたは異なる化学部分(例えば、異な る分子量のポリエチレングリコールなどのポリマー)を用いたジ−、トリ−、テ トラ−またはいくつかの組合せの誘導体化を提供し得る。ポリマー分子のタンパ ク質(またはペプチド)分子に対する比率は、その反応混合物中での濃度が変化 するように変化する。一般的に、最適比(全く過剰の末反応タンパク質またはポ リマーが存在しない反応の効率の点から)を、所望の誘導体化度(例えば、モノ 、ジ−、トリ−等)、分泌されるポリマーの分子量、ポリマーは分枝または非分 枝か、および反応条件などの因子により決定する。 ポリエチレングリコール分子(または他の化学部分)を、タンパク質の機能ま たは抗原ドメイン上への効果を考慮してタンパク質に結合させる。当業者に利用 可能な数多くの結合法がある。例えばEP0401384参照、この開示は引用 してここに援用する(PEGのG−CSFへのカップリング)、またMalik ら、Exp.Hematol.、20:1028−1035、1992(塩化ト レシルを用いたGM−CSFのペギレーション報告)参照。例えば、ポリエチレ ングリコールは、遊離アミノまたはカルホキシ基などの反応性基を介してアミノ 酸残基を通して共有結合させ得る。反応性基は、活性化ポリエチレングリコール 分子が結合し得るような基である。遊離アミノ基を有するアミノ酸残基は、リジ ン残基およびN−末端アミノ酸残基を含み得る。遊離カルボキシ基を有するもの は、アルパラギン酸残基、グルタミン酸残基、およびC−末端アミノ酸残基を含 み得る。スルフヒドリル基もまた、ポリエチレングリコール分子を結合させる反 応性基として使用し得る。治療目的のために、アミノ基における結合、例えばN −末端またはリジン基での結合が好ましい。レセプター結合に重要な残基での結 合は、レセプター結合が望ましいならば回避する。 特に、N−末端化学修飾タンパク質を所望し得る。ポリエチレングリコールを 本組成物の例示として用いて、種々のポリエチレングリコール分子(分子量、分 枝等により)から、反応混合物におけるポリエチレングリコール分子のタンパク 質(またはペプチド)に対する比率、実施するペギレーション反応の型、および 選択したN−末端ペギレーション化タンパク質を得る方法を選択し得る。N−末 端ペギレーション調製物を得る方法(すなわち、この部分を他のモノペギレーシ ョン部分から必要であれば分離する)は、ペギレーションタンパク質分子の集合 から のN−末端ペギレーション物質の精製であり得る。選択的N−末端化学修飾は、 特定のタンパク質における誘導体化に利用できる一次アミノ基(リジン対N−末 端)の異なる型の異なる反応性を活用した還元アルキル化により達成され得る。 適当な反応条件下、ポリマーを含むカルボニル基を用いたN−末端におけるタン パク質の実質的に選択的な誘導体化が達成される。例えば、リジン残基のe−ア ミノ基およびタンパク質のN−末端残基のa−アミノ基間でのpKaの差を利用 できるpHで反応を実施することにより選択的にタンパク質をN−末端ペギレー ションし得る。かかる選択的誘導体化により、水溶性ポリマーのタンパク質への 結合を調節する:ポリマーとのコンジュゲートは、優先的にタンパク質のN−末 端で起こり、リジン側鎖アミノ基などの他の反応性基の修飾が全く有意に生じな い。還元的アルキル化を用いて、水溶性ポリマーは上記した型であり得、タンパ ク質へのカップリングのために単一の反応性アルデヒドを有する。単一の反応性 アルデヒドを含むポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドを使用し得る。 本発明は、少なくとも1つのポリエチレングリコール分子に結合させた原核細 胞−発現GDNFRタンパク質またはそ の変異対である誘導体の使用、並びにアシルまたはアルキル結合により1つ以上 のポリエチレングリコール分子に結合したGDNFRタンパク質、またはその変 異体の使用を含む。 ペギレーションは、当分野で公知の任意のペギレーション反応により実施し得 る。例えば、Focus on Growth Factors、3(2):4 −10、1992;EP0154316参照、この開示は引用によりここに援用 する:EP0401384;およびペキレーションに関連する本明細書に記載の 他の刊行物。ペキレーションは、アシル化反応によりまたはアルキル化反応によ り、反応性ポリエチレングリコール分子(または類似反応性水溶性ポリマー)を 用いて実施し得る。 アシル化によるペギレーションは、一般的に、ポリエチレングリコール(PE G)の活性エステル誘導体とGDNFRタンパク質または変異体との反応を含む 。任意の公知または次いで発見された反応性PEG分子を用いて、GDNFRタ ンパク質または変異体のペギレーションを実施し得る。好ましい活性化PEGエ ステルは、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)にエステル化されたPEG である。本明細書で使用するように、「アシル化」という用語は、治療タンパク 質とPEGなどの水 溶性ポリマーとの間に以下の型の結合を制限なく含むと考える:アミド、カルバ メート、ウレタン等。Bioconjugate Chem.、5:133−1 40、1994参照。反応条件は、ペギレーション分野で公知の任意のものまた は後に開発されたものから選択し得るが、修飾するGDNFRまたは変異体を不 活性化する温度、溶媒およびpHなどの条件は避ける。 アシル化によるペギレーションは、一般的に、ポリ−ペギレート化GDNFR タンパク質または変異体を生じる。好ましくは、連結結合はアミドである。また 好ましくは、得られた産物は、実質的に唯一(例えば>95%)モノ、ジ−また はトリ−ペギレート化される。しかし、高度のペキレーションを有する種が、使 用する特定の反応条件による量で形成され得る。所望であれば、より精製したペ ギレート化種を混合物から、特に非反応種から、標準的な精製法(とりわけ、透 析、塩析、限外濾過、イオン−交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラ フィーおよび電気穿孔を含む)により分離し得る。 アルキル化によるペギレーションは、一般的に、PEGの末端アルデヒド誘導 体をGDNFRタンパク質または変異体と、還元剤の存在下で反応させることを 含む。アルキル化によるペ ギレーションにより、ポリ−ペギレートGDNFRタンパク質または変異体を得 ることができる。さらに、GDNFRタンパク質または変異体のN−末端のa− アミノ基でのみ実質的にペギレーションが起こる(すなわち、モノ−ペギレート 化タンパク質)反応条件を操作することができる。モノペギレーションまたはポ リペキレーションのどちらの場合でも、PEG基は好ましくは−CH2−NH− 基を介してタンパク質に結合する。特に−CH2−基に関して、この型の結合は 本明細書で「アルキル」結合と呼ぶ。 モノペギレート化産物を産生する還元的アルキル化による誘導体化は、誘導体 化に利用できる一次アミノ基(リジン対N−末端)の異なる型の異なる反応性を 活用する。反応は、リジン残基のe−アミノ基の間およびタンパク質のN−末端 残基のa−アミノ基の間のpKa差を利用可能なpHで実施する。かかる選択的 誘導体化により、アルデヒドなどの反応性基を含む水溶性ポリマーのタンパク質 への結合が調節される:ポリマーとのコンジュゲートはタンパク質のN−末端で 優先的に起こり、リジン側鎖アミノ基などの他の反応性基の有意な修飾は全く起 こらない。1つの重要な態様において、本発明は、モノポリマ ー/GDNFRタンパク質(または変異体)コンジュゲート分子(ポリマー分子 が実質的に単一の位置にのみ結合している(すなわち、>95%)GDNFRタ ンパク質または変異体)の実質的に相同な調製物の使用を含む。より具体的には 、ポリエチレングリコールを使用すれば、本発明はまた、あるいは抗原結合を欠 失し、直接GDNFRタンパク質または変異体に結合したポリエチレングリコー ル分子を有する、ペギレート化GDNFRタンパク質または変異体の使用を含む 。 従って、本発明に記載のGDNFRタンパク質産物は、PEG基がアシルまた はアルキル基を介して結合している、ペギレート化GDNFRタンパク質または 変異体を含む。上記で議論したように、かかる産物はモノ−ペギレート化または ポリ−ペギレート化し得る(例えば、2−6、および好ましくは2−5、PEG 基を含む)。PEG基は、一般的に、アミノ酸のa−またはe−アミノ基でタン パク質に結合するが、PEG基は、タンパク質に結合した任意のアミノ基(適当 な反応条件下でPEG基に結合するに十分な程活性である)に結合できることが 考えられる。 アシル化およびアルキル化法の両方で使用するポリマー分子 は、上記した水溶性ポリマーから選択し得る。選択したポリマーを、アシル化の 活性エステルまたはアルキル化のアルデヒドなどの単一の反応性基を有するよう に修飾し、好ましくは重合度を本法で提供したように調節し得る。反応性PEG アルデヒドの例は、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(これは水に 安定である)、またはそのモノC1−C10アルコキシまたはアリールオキシ誘 導体である(米国特許第5,252,714号参照)。ポリマーは分枝または非 分枝であり得る。アシル反応において、選択したポリマーは単一の反応性エステ ル基を有する。本還元アルキル化において、選択したポリマーは、単一の反応性 アルデヒド基を有する。一般的に、水溶性ポリマーは、天然に存在するグリコシ ル残基から選択されない。なぜなら、これらは通常より簡便には哺乳動物組換え 発現系により作製されているためである。ポリマーは任意の分子量であり得、分 枝または非分枝であり得る。 本明細書で使用する水溶性ポリマーの例は、ボリエチレングリコールである。 本明細書で使用した、ポリエチレングリコールは、モノ(C1−C10)アルコ キシ−またはアリールオキシ−ポリエチレングリコールなどの他のタンパク質を 誘導体化 するために使用する任意の形のPEGを含むことを意味する。 一般的に、化学的誘導体化は、生物学的活性物質と活性化ポリマー分子の反応 に使用する任意の適当な条件下で実施し得る。ペギレート化GDNFRタンパク 質産物の製造法は、一般的に、(a)タンパク質が1つ以上のPEG基に結合す るような条件下で、GDNFRタンパク質産物をポリエチレングリコール(例え ばPEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体)と反応させ、および(b) 反応産物を得る段階を含む。一般的に、アシル化反応の最適反応条件は、既知の パラメーターおよび所望の結果により場合によって決定する。例えば、PEG: タンパク質の比が大きくなればなる程、ポリーペギレート化産物の比も高くなる 。 実質的に均一な集合のモノ−ポリマー/GDNFRタンパク質産物を産生する 還元的アルキル化は、一般的に、(a)GDNFRタンパク質または変異体を反 応性PEG分子と、還元的アルキル化条件下、該GDNFRタンパク質または変 異体のアミノ末端におけるa−アミノ基の選択的修飾を実施するに適当なpHで 反応させ;および(b)反応産物を得る段階を含む。 実質的に均一な集合のモノ−ポリマー/GDNFRタンパク 質産物では、還元アルキル化反応条件は、GDNFRタンパク質または変異体の N−末端への水溶性ポリマー部分の選択的結合を可能とするものである。かかる 反応条件は、一般的に、リジンアミノ基とN−末端のa−アミノ基の間のpKa 差を提供する(pKaは50%のアミノ基がプロトン化され、50%がされてい ないpHである)。pHはまた使用するタンパク質に対するポリマーの比にも影 響を与える。一般的に、pHが低ければ、タンパク質に対して過剰なポリマーが 望ましい(すなわち、N−末端a−アミノ基の反応性が低い程、最適条件を得る ためにより多くのポリマーが必要となる)。pHが高ければ、ポリマー:タンパ ク質比が大きい必要はない(すなわち、より多くの反応性基が利用できる程、必 要なポリマー分子の量は少ない)。本発明の目的のために、pHは一般的に3− 9、好ましくは3−6の範囲である。 別の重要な考察は、ポリマーの分子量である。一般的に、ポリマーの分子量が 高ければ高い程、タンパク質に結合するポリマー分子は少ない。同様に、ポリマ ー分枝を、これらのパラメーターを最適化する場合には考慮するべきである。一 般的に、分子量が大きい程(または分枝が多い程)、ポリマー:タンパ ク質比は高い。一般的に、本明細書で考察するペギレート反応について、好まし い平均分子量は約2kDaから約100kDaである。好ましい平均分子量は約 5kDaから約50kDa、特に好ましくは約12kDaから約25kDaであ る。水溶性ポリマーのGDNFRタンパク質または変異体に対する比は、一般的 に、1:1から100:1、好ましくは(ペキレーションに対し)1:1から2 0:1および(モノペギレーションに対して)1:1から5:1である。 上記した条件を用いて、還元的アルキル化により、アミノ末端にa−アミノ基 を有する任意のGDNFRタンパク質または変異体に対するポリマーの選択的結 合が提供され、および実質的に均一なモノポリマー/GDNFRタンパク質(ま たは変異体)コンジュゲートの調製物が提供される。「モノポリマー/GDNF Rタンパク質(または変異体)コンジュゲート」という用語は、本明細書ではG DNFRタンパク質またはGDNFR変異体タンパク質の分子に結合した単一ポ リマー分子からなる組成物を意味する。モノポリマー/GDNFRタンパク質( または変異体)コンジュゲートは、典型的に、リジンアミノ側基上ではなくN− 末端に位置したポリマー分子を有する。調製物 は、一般的に、90%モノポリマー/GDNFRタンパク質(または変異体)コ ンジュゲートよりも多く、より通常では95%モノポリマー/GDNFRタンパ ク質(または変異体)コンジュゲートよりも多く、観察可能な分子の残りは未反 応である(すなわち、ポリマー部分を欠失したタンパク質)。GDNFRタンパ ク質産物は、GDNFR−αおよびGDNF分子またはGRR2およびニューチ ュリン分子などの、融合タンパク質または結合GDNFRおよび神経栄養因子を 含むペギレート分子の調製物を含み得る。 本還元的アルキル化において、還元剤は水溶液で安定であり、好ましくは還元 的アルキル化の最初のプロセスで形成されるシッフ塩基のみを還元できる。適当 な還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、シアノボロハイドライドナトリウム、ジ メチルアミンボラン、トリメチルアミンボランおよびピリジンボランから選択し 得る。特に適当な還元剤は、シアノボロハイドライドナトリウムである。溶媒、 反応時間、温度等の他の反応パラメーター、および産物の精製法は、タンパク質 の水溶性ポリマーを用いた誘導体化に関する刊行された情報に基づき場合により 決定できる(本明細書に記載の刊行物参照)。 C.GDNFRタンパク質産物医薬組成物 GDNFRタンパク質産物医薬組成物は、典型的に、治療または予防に有効な 量のGDNFRタンパク質産物を、投与形態との適合性から選択した1つ以上の 医薬的および生理学的に許容可能な製剤物質と共に含む。適当な製剤物質は、抗 酸化剤、保存剤、着色剤、矯臭剤および希釈剤、乳化剤、懸濁剤、溶媒、増量剤 、充填剤、緩衝剤、送達媒体、希釈剤、添加剤および/または医薬的アジュバン トを含むがこれに限定されない。例えば、適当な媒体は、おそらく非経口投与用 組成物と共通の他の物質を補足した、注射用水、生理学的食塩水、または人工脳 脊髄液であり得る。中和緩衝食塩水または血清アルブミンと混合した食塩水はさ らに別の例の媒体である。本明細書で使用する「医薬的に許容される担体」また は「生理学的に許容される担体」という用語は、医薬組成物であるGDNFRタ ンパク質産物の輸送を実施または亢進するのに適当な製剤物質を意味する。 媒体における一次溶媒は、水性または非水性であり得る。さらに、媒体は、製 剤のpH、浸透圧、粘度、透明度、色、無菌性、安定性、溶解速度、またはにお いを改変または維持する他の製剤物質を含み得る。同様に、媒体は、GDNFR タンパク 質産物の放出速度を修飾または維持、または血液−脳関門をGDNFRタンパク 質産物が吸収または透過するのを促進する追加の製剤物質を含み得る。 治療医薬組成物が製剤化されれば、溶液、懸濁液、ゲル、エマルション、固体 または脱水または凍結乾燥粉末として無菌バイアル中に保存し得る。かかる製剤 は、直ちに使用できる形または投与前に再構成を必要とする形(例えば、凍結乾 燥)で貯蔵し得る。 最適の医薬製剤は、当業者により投与経路および所望の用量に基づき決定する 。例えば、Remington’sPharmaceutical Scien ces、18巻(1990、Mack Publishing Co.、Eas ton、PA 18042)ページ1435−1712参照、この開示は引用に よりここに援用する。かかる組成物は物理的状態、安定性、インビボ放出速度、 および本タンパク質および誘導体のインビボ消失速度に影響を与え得る。 (1)遅延放出製剤、(2)吸入ミスト、または(3)経口有効製剤などの効 果的な投与形が考えられる。GDNFRタンパク質産物医薬組成物はまた、非経 口投与用に製剤化し得る。 かかる非経口投与治療組成物は、典型的に、医薬的に許容される媒体中にGDN FRタンパク質産物を含む、発熱性物質非含有の非経口投与的に許容される水溶 液の形である。1つの好ましい媒体は生理学的食塩水である。GDNFRタンパ ク質産物医薬組成物はまた、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等、またはリポソーム 中などのポリマー化合物の粒子組成物を含み得る。ヒアルロン酸も使用され得、 循環中の持続放出を促進する効果を有し得る。 非経口注射に特に適当な媒体は、無菌蒸留水であり、ここでGDNFRタンパ ク質産物は、無菌、等張溶液として製剤化され、適当に保持されている。また別 の調製物は、注射可能なミクロスフェアまたはリポソームなどの試薬と共にGD NFRタンパク質産物の製剤を含み得、これは貯蔵注射として送達され得るタン パク質の遅延または持続放出を提供する。GDNFRタンパク質産物の他の適当 な導入方法は、GDNFRタンパク質産物を含む移植可能な薬物送達装置を含む 。 本発明の調製物は、当業者にはよく知られているように、例えば非経口投与に 許容される保存剤、強壮剤、共溶媒、湿潤剤、錯化剤、緩衝剤、抗菌剤、抗酸化 剤および界面活性剤などの他 の成分を含み得る。例えば、適当な強壮亢進剤は、アルキル金属ハライド(好ま しくは塩化ナトリウムまたはカリウム)、マンニトール、ソルビトール等を含む 。適当な保存剤は、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、フェネチルアルコー ル、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸等を含 むがこれに限定されない。過酸化水素も保存剤として使用し得る。適当な共溶媒 は、例えば、グリセリン、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール である。適当な錯化剤は、例えば、カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シ クロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである。 適当な界面活性化剤または湿潤剤は、ソルビタンエステル、ポリソルベート、例 えばポリソルベート80、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサ パル等を含む。緩衝剤は、ホウ酸塩、クエン酸、リン酸、重炭酸塩、またはトリ ス−HClなどの慣用的な緩衝剤であり得る。 製剤成分は、投与部位に許容される濃度で存在する。例えば、緩衝剤を用いて 生理学的pHまたは僅かに低いpH、典型的には約5−約8のpH範囲内で組成 物を維持する。 医薬組成物は吸入用に製剤化し得る。例えば、GDNFRタ ンパク質産物は、吸入用乾燥粉末として製剤化し得る。GDNFRタンパク質産 物吸入溶液はまた、エアゾール送達用液体推進薬に製剤化し得る。さらに別の製 剤において、溶液は噴霧化し得る。 GDNFRタンパク質産物を含む特定の製剤は経口投与することも考えられる 。このように投与するGDNFRタンパク質産物は、錠剤およびカプセル化剤な どの固体薬用形の化合物化に慣用的に使用する担体と共にまたは無しで製剤化し 得る。例えば、カプセルは、胃腸管においてバイオアベイラビリティーが最大と なり、プレ−全身性分解が最小化となる時点で製剤の活性部分を放出するように 設計し得る。追加の製剤物質は、GDNFRタンパク質産物の吸収を促進するこ とを含み得る。希釈剤、矯臭剤、低融点ワックス、植物油、滑沢剤、懸濁剤、錠 剤崩壊剤、および結合剤も使用し得る。 別の調製物は、錠剤の製造に適当な非毒性添加剤との混合物中、GDNFRタ ンパク質産物の有効量を含み得る。錠剤を無菌水または他の適当な媒体に溶解す ることにより、溶液を単位用量形で調製できる。適当な添加剤は、不活性希釈剤 、例えば炭酸カルシウム、炭酸または重炭酸ナトリウム、ラクトース、 またはリン酸カルシウム;または結合剤、例えばデンプン、ゼラチン、またはア カシア;または滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、また はタルクを含むがこれに限定されない。 追加のGDNFRタンパク質産物製剤は、当業者には明らかであり、GDNF タンパク質産物と組合せてGDNFRタンパク質産物と共に含む製剤を含む。例 えばリポソーム担体、生体−腐食微粒子または多孔性ビーズおよび貯蔵注射など の、種々の他の持続−または調節−輸送方法を製剤化する方法はまた、当業者に よく知られている。例えば、Supersaxoら医薬組成物の送達における多 孔性ポリマー微粒子放出制御の記載(国際公開番号WO93/15722;国際 出願番号PCT/US93/00829)参照、この開示は引用によりここに援 用する。 D.GDNFRタンパク質産物の投与 GDNFRタンパク質産物は、皮下、筋肉内、静脈内、経肺、経皮、髄腔内お よび脳内送達を含む種々の経路を介して非経口投与的に投与し得る。さらに、容 易に血液−脳関門を通過しないタンパク質因子は、直接脳内でまたはそれ以外で は関門を横 切ってそれらを輸送する他の要素と結合して投与し得る。例えば、GDNFRタ ンパク質産物は、脳内脳室にまたは脳にまたは脊髄くも膜下空間に投与し得る。 GDNFRタンパク質産物はまた、脳実質に直接脳内的に投与し得る。GDNF Rタンパク質産物は、血液−脳関門を通過するように化学的に修飾またはパッケ ージングされた形で、または関門を横切ってGDNFRタンパク質産物の透過を 促進可能な1つ以上の薬剤と共に脳外的に投与し得る。例えば、NGFおよびモ ノクローナル抗−トランスフェリンレセプター抗体のコンンジュゲートが、トラ ンスフェリンレセプターへの結合を介して脳に輸送されることが示された。 所望レベルのGDNFRタンパク質産物を得るために、繰り返し毎日またはそ れ以下の頻度の注射を投与し得るか、またはGDNFRタンパク質産物は、一定 またはプログラム可能フロー具備ポンプから連続的または周期的に注入し得る。 生物分解可能ポリマー基質に固定した神経栄養因子を含む遅延放出インプラント もまたGDNFRタンパク質産物を送達できる。用量の頻度は、製剤化したGD NFRタンパク質産物の薬物動態パラメーターおよび投与経路および部位に左右 される。 投与方法に関係なく、特定の用量は、体重、体表面積または器官のサイズによ り計算し得る。各上記製剤を含む、処置に適当な用量を測定するに必要な計算の さらなる改良は、通常当業者によりなされ、彼らにより通常実施される仕事の範 囲内である。適当な用量は、適当な用量反応データの使用により確認され得る。 特定の傷害または症状の処置法に関与する最終用量管理は、担当医師により決 定される。一般的に、有効量のGDNFRタンパク質産物は、年令、症状、体重 、性および患者の食事、感染の重度、投与時間および他の臨床因子などの薬物の 作用を修飾する種々の因子を考慮することにより決定される。Remingto n’s Pharmaceutical Sciences、上記、ページ69 7−773参照、引用によりここに援用する。例えば、もしGDNFR−αがG DNF作用を亢進するために使用されるならば、GDNFR−α用量はGDNF 療法に必要な用量と類似するように選択され;もしGDNFR−αがGDNF作 用を拮抗するために使用されるならば、GDNFR−α用量はGDNF用量の数 倍であろう。投薬は1日1回以上、またはそれ以下であり得、本明細書に記載 の他の組成物と組合せ得る。本発明は、本明細書に記載の用量に限定しないこと に注意されたい。 GDNFRタンパク質産物の連続投与または持続送達は、該処置に有利であり 得ると考えられる。連続的投与は注入ポンプなどの機械的手段を用いて達成され 得るが、他の形の連続またはほぼ連続的な投与も実施し得ることが考えられる。 例えば、化学誘導体化またはカプセル化により、タンパクは持続放出形となり得 、これは決定された用量管理に基づいた、検出可能量で、血流中に連続的に存在 する効果を有する。従って、GDNFRタンパク質産物は、かかる連続投与を可 能とする誘導体化または別様に製剤化されたタンパク質を含む。GDNFRタン パク質産物の持続放出形は、製剤化されて所望の1日または1週の有効量を提供 する。 さらに、GDNFRタンパク質産物はGDNFおよび/またはニューチュリン と組合せた形で投与し得る。また、GDNFRタンパク質産物は、順次または同 時に、神経栄養因子とは別に投与し得ることが考えられる。 本発明のGDNFRタンパク質産物はまた、単独または他の増殖因子と共に、 神経疾患の処置に使用され得る。さらに、化 学組成物を含む他の因子または他の分子は、GDNFRタンパク質産物と共に使 用され得る。例えば、パーキンソン病の処置において、GDNFRタンパク質産 物は単独でまたはレボドパの投与と合わせて使用され、ここでGDNFRは内因 性GDNFの活性を亢進し、よって、増加ドーパミン濃度の神経取り込みを亢進 すると考えられる。 上記したように、追加の神経栄養性または神経に栄養を与える因子は、ニュー ロン細胞集合またはある型の傷害または疾患の処置に有用または必要である。G DNFRと共に、またはGDNFRとGDNFまたはニューチュリンなどの神経 栄養因子と組合せて使用し得る他の因子は、以下を含むがこれに限定されない: インシュリン、インシュリン様増殖因子、上皮増殖因子、血管作動性増殖因子、 下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド、インターフェロンおよびソマ トスタチンなどのマイトジェン:神経栄養因子、例えば、神経増殖因子、脳由来 神経栄養因子、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4/5、ニュー ロトロフィン−6、インシュリン様増殖因子、毛様体神経栄養因子、酸性および 塩基性線維芽細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子−5、形質転換成長因子−β、 コカイ ン−アンフェタミン調節転写物(CART);および上皮増殖因子、白血球阻害 因子、インターロイキン、インターフェロン、およびコロニー刺激因子などの他 の増殖因子;並びにこれらの因子と機能的に等価な分子および物質。GDNFRタンパク質産物細胞療法および遺伝子療法 GDNFRタンパク質産物細胞療法、例えば、GDNFRタンパク質産物を産 生する細胞の脳内移植も考えられる。この実施形態は、GDNFRタンパク質産 物の生物学的に活性な形を合成および分泌できる細胞の患者への移植を含む。か かるGDNFRタンパク質産物産生細胞は、GDNFRタンパク質産物の天然産 生体である細胞であり得るか、またはGDNFRタンパク質産物産生能が、所望 のGDNFRタンパク質産物をコードする遺伝子で形質転換することにより増加 させた組換え細胞であり得る。かかる修飾は、遺伝子送達並びにその発現および 分泌を促進するに適当なベクターによりなされ得る。外来種由来のGDNFRタ ンパク質産物を投与した患者における起こり得る免疫学的反応を最小限にするた めに、GDNFRタンパク質産物を産生する天然細胞はヒト起源であり、ヒトG DNFRタンパク質産物を産生することが好ましい。同様 に、GDNFRタンパク質産物を産生する組換え細胞は、ヒトGDNFRタンパ ク質産物をコードする遺伝子を含む発現ベクターで形質転換することが好ましい 。 移植細胞は周囲組織の浸潤を防ぐためにカプセル化し得る。ヒトまたは非−ヒ ト動物細胞は、患者に、GDNFRタンパク質産物を放出可能であるが、患者の 免疫系によるまたは周辺組織からの他の有害な因子による細胞の破壊を防ぐ、生 物学的適合性の半透過性ポリマー封入物または膜で移植し得る。また、GDNF Rタンパク質産物を生体外で産生するように形質転換された患者自身の細胞は、 かかるカプセル化を行わずに患者に直接、移植できる。 生細胞のカプセル化法は、当業者によく知られており、カプセル化細胞の調製 および患者への移植は、過度の実験を行わずに達成され得る。例えば、Baet geら(国際公開番号WO95/05452;国際出願番号PCT/US94/ 09299この開示は引用によりここに援用する)は、生物学的に活性な分子を 効果的に送達する遺伝子工学細胞を含む生物学的適合性カプセルを記載する。さ らに、米国特許番号第4,892,538号、5,011,472号および5, 106,627号参照、 各々特別に引用によりここに援用する。生細胞をカプセル化する系は、Aebi scherらのPCT出願WO91/10425に記載されており、特別に引用 によりここに援用する。また、AebischerらのPCT出願WO91/1 0470、Winnら、Exper.Neurol.、113:322−329 、1991、Aebischerら、Exper.Neurol.、111:2 69−275、1991;Trescoら、ASAIO、38:17−23、1 992参照、各々引用により特別にここに援用する。 GDNFRタンパク質産物のインビボおよびインビトロ遺伝子療法送達もまた 考えられる。インビトロ遺伝子療法は、GDNFRタンパク質産物をコードする 遺伝子を標的細胞に、核酸構築物の局所注入または他の適当な運搬ベクターを介 して導入することにより達成され得る。(Hefti、J.Neurobiol .、25:1418−1435、1994)。例えば、GDNFRタンパク質産 物をコードする核酸配列は、標的細胞への送達用のアデノ−関連ウイルスベクタ ーに含まれ得る(例えば、Johnson、国際公開番号WO95/34670 ;国際出願番号PCT/US95/07178、こ の開示は引用によりここに援用する)。選択し得るウイルスベクターは、レトロ ウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルスおよびパピローマウイルスベ クターを含むがこれに限定されない。適宜インビホまたは生体外のいずれかであ る物理的転移はまた、リポソーム仲介転移、直接注入(裸DNA)、レセプター 仲介転移(リガンド−DNA複合体)、電気穿孔、リン酸カルシウム沈降法また は微小粒子衝撃(遺伝子ガン)により達成され得る。 また、GDNFRタンパク質産物遺伝子療法または細胞療法は、さらに、GD NFタンパク質産物の送達を含むことができると考えられる。例えば、宿主細胞 を修飾して、GDNFR−αタンパク質産物およびGDNF、またはGRR2お よびニューチュリンの両方を発現および放出し得る。また、GDNFR−αおよ びGDNFタンパク質産物、またはGRR2およびニューチュリンは、別々の細 胞で発現され、別々の細胞から放出され得る。かかる細胞は、患者に別々に導入 し得、細胞は、上記のカプセル化膜などの単一の移植可能な装置に含み得る。 本明細書に記載のGDNFRタンパク質産物製剤は、動物並びにヒト適用に使 用し得、「患者」という用語は、限定された 意味で解釈しないことに注意されたい。動物適用の場合、用量範囲は上記したよ うに決定し得る。 実施例 実施例1 高親和性GDNF結合部位を発現する細胞の同定 発現クローニングは、有意な量の標的転写物を含むmRNA源の選択を含む。 網膜光受容体細胞は、非常に低い濃度でGDNFに応答するものとして同定され 、このことは機能生高親和生レセプターの存在を示唆する。ラット光受容体細胞 がGDNFの高親和生レセプターを発現することを確認するために、[125I] GDNF結合および写真感光乳剤解析を実施した。ラット網膜細胞培養物 5日目のC57B1/6マウス子供または3日目のスプラウグ−ダウリー(S prague−Dawley)ラット子供の神経網膜(Jackson Lab oratories、BarHarbor、MA)を、色素上皮がないように注 意して取り出し切断し、1mm2のフラグメントに切断し、氷冷リン酸緩衝溶液 (PBS)に置く。次いで、網膜を、120単位のパパインおよび2000単位 のDNAaseを含む、10mLのハン ク平衡塩溶液(HBSS)に移し、20分間37℃で回転プラットフォーム撹拌 器で約200rpmでインキュベートした。次いで、細胞を、十分磨いたパスツ ールピペットで粉砕することにより拡散し、20μmニテックス(Nitex) ナイロンメッシュを通してふるいをかけ、5分間200×gで遠心した。得られ た細胞ペレットを、1%オホアルブミンおよび500単位のDNAaseを含む HBSSに懸濁し、4%オホアルブミン溶液(HBSS中)の先端に重ね、10 分間500×gで遠心した。最終ペレットを、完全培養培地(下記参照)に再懸 濁し、約15000細胞/mLに調節し、90μlアリコート中、前記したポリ オルニチンおよびラミニンで被覆した組織培養プレートに接種した(Louis ら、Journal Of Pharmacology And Experi mental Therapeutics、262、1274−1283、19 92)。 培養培地は、ダルベッコ修飾イーグルス培地(DMEM)およびF12培地の 1:1混合物から構成し、2.5%熱不活性化ウマ血清(Hyclone、Lo gan、UT)、B27培地補足(GIBCO、Grand Island、N Y)、D− グルコース(最終濃度:5mg/mL)、L−グルタミン(最終濃度:2mM) 、20mMHEPES、ウシインシュリンおよびヒトトランスフェリン(最終濃 度:それぞれ2.5および0.1mg/mL)を補足した。光受容体の免疫細胞化学同定 光受容体は、桿状体−特異的抗原であるアレスチンの免疫染色により同定した 。光受容体の培養物を、30分間室温で、4%パラホルムアルデヒド(PBS中 、pH7.4)を用いて固定し、次いで、PBS中で3回洗浄した。次いで、固 定培養物を、抗体の透過を増加させるために1%ノニデットP−40を含むスー パーブロック遮断緩衝液(Pierce、Rockford、IL)中インキュ ベートした。次いで、抗−アレスチン抗体(アレスチンの合成ペプチド配列に対 するポリクローナルウサギ抗体:Val−Phe−Glu−Glu−Phe−A la−Arg−Gln−Asn−Leu−Lys−Cys)を同緩衝液中1:2 000間の希釈で適用し、培養物を1時間37℃で回転撹拌器でインキュベート した。PBSで3回洗浄後、培養物を1時間37℃でヤギ−抗−ウサギIgG( Vevtor LavoratoriesからのVectastainキット、 Burlingame、CA)と共に1:500の希釈度でインキュベートした 。PBSで3回洗浄後、次いで、二次抗体を、1:500に希釈したアビジン− ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体で標識した(45分37℃)。さらに3回P BSで洗浄した後、標識した細胞培養物を、0.04%3’,3’−ジアミノベ ンジン−(HCl)4、0.06%NiCl2および0.02%過酸化水素を含 む0.1Mトリス−HCl、pH7.4の溶液中で5−20分間反応させた。ア レスチン−免疫反応生に基づき、培養物中約90%の細胞が桿状体光受容体であ った。 光受容体の生存は、200倍率の明光レンズにおけるアレスチン染色培養物の 測定により決定した。アレスチン−陽性光受容体数は、6mmウエルの全表面積 の約20%を示す1つの直径1×6mm片で計測した。生存可能な光受容体は、 通常短いアクソン様プロセスと共に一定の型の細胞体を有すると特徴付けられた 。不規則な空胞のある核周部またはフラグメント化神経突起を有するなどの変性 の徴候を示す光受容体は、計測から除外した(しかし、ほとんどの変性光受容体 は培養実体から分離した)。細胞数は、細胞/6−mmウエルとして表現した。 光受容体に富む培養ラット網膜細胞(10,000/6−mmウエル)を、ヒ ト組換えGDNF(10ng/mLから1pg/mLの範囲の10倍連続希釈) で処理した。培養物を、6日後固定し、光受容体特異的抗原であるアレスチンで 免疫染色した。GDNFで処理しなかった培養物において、光受容体数は、時間 毎に着実に減少し、培養物中で6日後に最初の数値の約25%に達した。培養物 をGDNFで処置すると、培養物中6日後に生存可能なアレスチン−陽性光受容 体が約2倍高い数値となった。GDNFの効果は200pg/mLで最大であり 、ED50は約30pg/mLであった。光受容体生存の亢進に加えて、GDNF の添加もまた、そのアクソン様プロセスの伸長を刺激し、よって光受容体の形態 学的発達における効果を実証した(GDNFにおける光受容体の平均神経突起長 :68μm、対照培養物における27±18μmと比較)。 ラット網膜細胞が高親和生GDNFレセプターを発現することを確認するため に、[125I]GDNF結合および写真感光乳剤分析を実施した。生後ラット光 受容体細胞を、実験の3−4日前に2800細胞/mm2の密度で、プラスティ ックスライドフラスケット(Nunc)に接種した。細胞を、氷冷洗浄 緩衝液(25mM N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンス ルホン酸(HEPES);pH7.5を含むダルベッコ修飾イーグル培地(DM EM))を用いて1回洗浄した。競合的結合において、細胞を、4時間4℃で5 00nM非標識GDNFの存在または非存在下、結合緩衝液(25mMHEPE S、pH7.5および2mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)を含むDME M)中における種々の濃度の[125I]GDNFを用いてインキュベートした。 細胞を、氷冷洗浄緩衝液で4回洗浄し、1MNaOHに溶解し、細胞関連放射活 性をガンマカウンターで計測した。低いリガンド濃度(30pMの低さ)でも有 意な量の[125I]GDNFが光受容体細胞に結合し、この結合は、過剰の非標 識GDNFの存在により完全に阻害された。 写真感光乳剤検出において、細胞を、結合緩衝液中、500nMの非標識GD NFの存在または非存在下、4℃で4時間、50pMの[125I]GDNFと共 にインキュベートした。細胞を6回氷冷洗浄緩衝液で洗浄し、2.5%グルタル アルデヒドで固定し、50%および70%エタノールで連続的に脱水し、NTB −2写真感光乳化剤に浸した(Eastman Kodak、 Rochester NY)。5日間さらした後、スライドを現像し、検証した 。写真感光乳化剤分析により、いくつかの光受容体細胞への[125I]GDNF の会合が実証され、これはGDNFレセプターの存在を示唆する。しかし、この 会合は非標識GDNFの添加により十分に遮断された。 実施例2 光受容体細胞由来GDNFR−αの発現クローニング ラット光受容体細胞を、実施例1に記載のように、放射標識GDNFの細胞表 面結合および非常に低濃度のリガンドに応答する能力に基づいて、GDNFへの 高親和性レセプター源として選択した。レセプターを同定するために、約50, 000の独立したクローンのサイズ−選択cDNAライブラリーを、哺乳動物発 現ベクター(pSRの誘導体、Takebeら、1988上記)を用いて構築し 、mRNAを下記した方法により培養生後ラット光受容体細胞から単離した。ラ イブラリーを、約1,500から2,000の独立したクローンのプールに分割 し、確立された発現クローニング法を用いてスクリーニングした(Gearin gら、EMBO Journal、8、3667−3676、1989)。各ラ イブラリーのプールを 示すプラスミドDNAを調製し、プラスティック顕微鏡スライドフラスケット上 で成育したCOS7細胞にトランスフェクトさせた(Nunc、Napervi lle、IL)。 トランスフェクトした細胞は、[125I]GDNFで処置し、グルタルアルデ ヒドで固定し、脱水し、オートラジオグラフィー用に写真感光乳化剤中に浸した 。5目間さらした後、スライドを現像し、銀色の粒子により覆われた細胞の存在 について検証し、これはGDNFレセプターの細胞発現の結果としての細胞表面 への[125I]GDNFの結合を示唆した。[125I]EGFで処理したEGFレ セプタートランスフェクト細胞を陽性対照として用いた。 このようにスクリーニングした27プール(F8−11)中1つが、トランス フェクション後、19の陽性細胞を示した。従って、単一のcDNAライブラリ ープールを同定し、これはGDNFR−αを発現するcDNAクローンを含んだ 。このプールは、100クローン/プールの60の小サブプールに分割され、こ れを上記の同法により再度スクリーニングした。これらのプールの5つが陽性と 同定され、5つのプールの2つがさらに再分割され、GDNF結合活性に関与す る単一のクローン を産生した。単一クローンからのCOS7細胞へのプラスミドDNAのトランス フェクションにより、[125I]GDNFが細胞の約15%に結合する結果とな った。この結合は過剰の非標識GDNFとの競合により特異的に阻害された。発現cDNAライブラリーの構築 ラット網膜細胞を、生後3−7日のラットから採取し、ラミニンおよびポリオ ルニチンでで被覆した培養皿に、約5700細胞/mm2の密度で接種した。培 養3−4日後、個体群は、約80%の光受容体細胞を含むと推定された。全RN Aは、この培養物から標準的な方法により調製し、ポリA+RNAを、ポリA− トラクトキット(Promega、Madison、WI)を用いて精製した。 cDNAライブラリーを、ギブコ・スーパースクリプト・チョイス・システム( Gibco/BRL、Gaithersburg、MD)を用いてラット光受容 体ポリA+RNAから構築した。2μgのポリA+RNAを、50ngのランダ ムヘキサマーと混合し、10分間70℃に加熱し、次いで氷上で急速に冷凍した 。最初の鎖合成は、400UスーパースクリプトIIRTを用いて37℃で1時 間実施した。二番目の鎖合成は、dNTP、10Uの大腸菌DNAリガーゼ、 40Uの大腸菌DNAポリメラーゼI、および2Uの大腸菌RNaseHの添加 後、同チューブで実施した。16℃で2時間後、cDNA末端を10UのT4ポ リメラーゼでさらに5分間16℃で処理することにより平滑にした。イソプロパ ノール沈殿後、10μgの非リン酸化EcoRIアダプターオリゴヌクレオチド を用いて一晩ライゲートすることにより、EcoRIクローニング部位をcDN Aに加えた。 次いで、EcoRI接着cDNAをリン酸化し、セファクリルS−500HR サイズ分画カラムに適用した。適用した後、カラムを、100μlアリコートの TEN緩衝液(10mMトリス−HClpH7.5、0.1mMEDTA、25 mMNaCl)で洗浄し、30μl画分を回収した。画分6−8(これは約34 ngの高分子量cDNAを含む)をプールし沈殿させた。回収したEcoRI− 接着cDNAを一晩、50ngのEcoRI切断ベクターpBJ5を用いてライ ゲートさせた。約15ngのcDNAを含むライゲート混合物のアリコートを、 コンピテント細胞(大腸菌株DH10B;GIBCO/BRL、Gaither sburg、MD)に電気穿孔により形質転換した。形質転換混合物を滴定し、 次いで27Amp/LBプレ ート上に1500コロニー/プレートの密度で置いた。コロニーを各プレートか ら採取し、10mLのルリアブイヨン(LB)に回収し、各1500の独立した クローンを27プール作成した。各プールからの細胞部分をグリセロール中で凍 結し、残りを用いてキアーゲン・チップ−500キット(QiagenInc. 、Chatsworth、CA)を用いてプラスミドDNAを単離した。COS細胞トランスフェクションおよび写真感光乳化剤解析 COS7細胞を、トランスフェクションの1日前に、プロネクチン(10μg /mlリン酸緩衝溶液(PBS)中)で被覆したプラスティックスライドフラス ケット(Nunc)上に接種した(220,000細胞/スライド)。トランス フェクションでは、2μgのcDNAを含む、700μlのオプチMEMI(G IBCO/BRL、Gaithersburg、MD)を、35μlのDEAE デキストラン溶液(10mg/mL、Sigma、St.Louis、MO)と 共にエッペンドルフチューブ中穏やかに混合した。細胞を2回PBSで洗浄し、 トランスフェクション混合物と共に30分間37℃で5%CO2雰囲気中インキ ュベートした。インキュベート後、10%ウシ 胎児血清(FCS)および80nMクロロキン(Sigma、St.Louis 、MO)を含む3mLのDMEM培地を、各フラスケットに加えた。細胞をさら に3.5時間インキュベートし、DMEM中室温で2分間10%ジメチルスルホ キシドで衝撃を与え、PBSで1回洗浄し、10%FCSを含むDMEM中で成 育させた。48時間後、トランスフェクトCOS7細胞を1回氷冷洗浄緩衝液( 25mMHEPES、pH7.5を含むDMEM)で洗浄し、50pM[125I ]GDNFを補足した、氷冷結合緩衝液(25mMHEPES、pH7.5およ び2mg/mLBSAを含むDMEM)中4℃で4時間インキュベートした。細 胞を6回氷冷洗浄緩衝液中で洗浄し、2.5%グルタルアルデヒドを用いて室温 で5分間固定し、50%および70%エタノールで順次脱水し、次いでNTB− 2写真感光乳剤(Eastman Kodak)に浸した。4−5日4℃で暗所 においた後、スライドを現像し、明野および暗野顕微鏡で映した。陽性プールの再分 推定GDNFレセプタークローンを含む単一のプールを同定した。このプール 由来のクローンは、100コロニー/プレー トの密度で60プレートに配置した。細胞を各プレートから採取し、LBに回収 し、4−5時間37℃で成育させた。凍結貯蔵およびDNA調製物は、前記のよ うに各プールから作製し、各100の独立したクローンを含む60のサブプール を作製した。これら60サブプールの2つを、上記の方法を用いて陽性と同定し 、これらのプール由来のクローンを、単一のコロニーが単離できるように低密度 で配置した。単一のコロニー(384)を、2つのサブプールの各々から拾い、 6時間96−ウエルプレートの200μlLB中で成育させた。GDNFR−α を発現する単一のクローンを選択するために、4つの96−ウエルプレートを、 16横列および24縦列からなる単一の大きなマトリックスに配列させた。各横 列および各縦列におけるウエルの細胞は合わせると全部で40混合物となる。こ れらの混合物は一晩、10mLLB/Amp(100μg/mL)中で成育させ 、DNAをキアーゲンチップ−20キットを用いて調製した。推定GDNFレセ プタークローンについて解析した場合、3つの横列混合物および3つの縦列混合 物により、陽性シグナルが得られ、これは9つの有効な陽性単一クローンを示唆 する。各々の有効な陽性単一クローンのDNAが調製され、EcoRI およびPStIを用いて消化された。9つの単一クローンの3つのDNAは、同 一の制限パターンを示したか、他の6つは相関せず、これは3つがGDNFR− αを含む真のクローンを提示することを示す。 実施例3 DNA配列決定および配列解析 陽性で単一のクローン由来のDNAを調製し、自動ABI373ADNAシー クエンサー(Perkin/Elmer Applied Biosystem s、Santa Clara、CA)およびジデオキシ−ダイ−ターミネーター を用いて製造業者の指示に従って配列決定した。GDNFR−α配列と全ての利 用可能な公開データベースとの比較は、ウイスコンシン・ジェネティクス・コン ピューター・グループ・パッケージ(ウイスコンシンパッケージのプログラムマ ニュアル、バージョン8、1994年9月、ジェネティクス・コンピューター・ グループ、Madison、WI)に記載のFASTA(Pearson an d Lipman、Proceeding Of The National Academy Of Sciences U.S.A.、85、2444−2 448、1988)プログ ラムアルゴリズムを用いて実施した。ラットGDNFR−αの配列特性 上記実施例2に記載のクローン由来のプラスミドDNAを調製し、DNA配列 決定解析にかけた。クローン化2138bpラットcDNAのヌクレオチド配列 解析により、468アミノ酸残基の翻訳タンパク質をコードする単一の大きなオ ープンリーディングフレームが示された(図3)。 コード配列は、301bpの5’−非翻訳領域および430bpの3’−非翻 訳領域にフランキングし、ポリアデニル化可能部位を含まない。最初のATGの 上流の302塩基対におけるインフレーム停止コドンの存在およびその周辺のヌ クレオチド配列により、このメチオニンコドンが翻訳開始部位である可能性が最 も高いことが示唆される(Kozak、Nucleic Acids Rese arch、15、8125−8148、1987)。 ラットcDNAクローンの3’非翻訳配列の430ヌクレオチドには全くポリ アデニル化シグナルが認められない。ノーザンブロットデータにより、最も短い mRNA転写物は約3.6kbであることが示されているため、これは驚くべき ことでは ない。 GDNFR−αポリペプチド配列は、分泌シグナルペプチドの特徴を有する、 約19残基(メチオニン−1からアラニン−19、図3)のN−末端疎水性領域 を有する(von Heijne、タンパク質配列およびデータ解析、1、41 −42、1987;von Heijne、Nucleic Acids Re search、14、4683−4690、1986)。トランスメンブランド メインとして機能できる内部疎水性ドメインは全く見られなかった。その代わり に、21残基のカルボキシ−末端疎水性領域(図3のロイシン−448からセリ ン−468)が存在し、レセプターの細胞室膜へのグリコシル−ホスファチジル イノシトール(GPI)固定に関与し得る。3つの有効なN−結合グリコシル化 部位の存在以外は、保存配列または構造モチーフは全く見られなかった。タンパ ク質は、システイン(468アミノ酸残基中31)に極めて富むが、その空間は 公知のレセプターの細胞外部分に見られるシステインに富むドメインのとは共有 していない。 GDNFR−α配列は、FASTAを用いて利用可能な公開データベースにお ける配列と比較した。探索により、他の公開 配列との有意な相同性は認められなかった。ラットcDNAクローンが得られれ ば、放射標識し、実施例5に下記のヒト脳黒質から調製したcDNAライブラリ ーをプローブするために使用された。 実施例4 GDNFR−α発現細胞へのGDNF結合 結合アッセイを、Jingら(Journal Of Cell Biolo gy、110、283−294、1990)により以前に記載されたアッセイ法 に従って実施した。アッセイは、[125I]GDNFの、GDNFR−αを発現 するようにトランスフェクトされたラット光受容体細胞、COS7細胞または2 93T細胞に対する結合を含んだ。293T細胞表面上に発現した組換えGDN FR−αは、GDNFに、特異的に、およびラット網膜細胞上のGDNF結合部 位で観察されたものと同等の親和性で結合できた。 ラット光受容体細胞は、上記実施例1に記載のように調製し、アッセイの2か ら3日前に、ポリオルニチンおよびラミニンで前以て被覆した24−ウエル・コ ースター組織培養プレート中、5.7×105細胞/cm2の密度で接種した。C OS7細胞は、 2.5×104細胞/cm2の密度で、アッセイの1日前に接種し、DEAE−デ キストラン−クロロキン法を用いて10−20μgのプラスミドDNAでトラン スフェクトした(AruffoおよびSeed、Proceedings Of The National Academy Of Sciences U. S.A.、84、8573−8577、1987)。各皿の細胞を取り出し、ト ランスフェクションの24時間後、24−ウエルコスター組織培養プレートの3 0ウエルに再度接種しさらに48時間成育させた。次いで、細胞を5−10分間 氷上に放置し、氷冷洗浄緩衝液で1回洗浄し、4℃で4時間非標識GDNFと共 にまたは無しで種々の濃度の[125I]GDNFを含む結合緩衝液0.2mLと 共にインキュベートした。細胞を0.5mL氷冷洗浄緩衝液で洗浄し、0.5m Lの1MNaOHで溶解した。溶解物を1470ウィザード自動ガンマカウンタ ーで計測した。 結合実験において、一過性にトランスフェクトした293T細胞を用いた(下 記293T細胞トランスフェクション参照)。トランスフェクション2日後、細 胞を2×ベルシンによりIIIから取り出した。細胞をペレット化し、1回氷冷結 合緩衝液で洗 浄し、氷冷結合緩衝液中3×105細胞/mLの密度で再懸濁した。細胞懸濁液 を1.5×105細胞/サンプルを含むアリコートに分割した。次いで、細胞を ペレット化し、種々の濃度の[125I]GDNFと共に非標識GDNF500n Mの存在下または非存在下で4℃で4時間穏やかに撹拌しながらインキュベート した。細胞を4回氷冷洗浄緩衝液で洗浄し、0.5mL洗浄緩衝液に再懸濁した 。懸濁液の2つの0.2mLアリコートをガンマカウンターで計測し、細胞に結 合した[125I]GDNFの量を測定した。 全アッセイにおいて、非特異的結合を二重サンプルを用いて測定し、その1つ は非標識GDNF500nMを含む。非特異的結合のレベルは、非標識GDNF の非存在下で測定した特異的結合において10%から20%に変化し、特異的結 合から引く。アッセイにより、細胞をGDNFR−αcDNAクローンでトラン スフェクトさせなければ細胞はGDNFに結合しないことが示された。 実施例5 GDNFR−αmRNAの組織分布 胚マウス、成人マウス、ラット、およびヒト組織における GDNFR−αmRNAの発現パターンは、ノーザンブロット解析により確認し た。クローン化ラットGDNFR−αcDNAは、製造業者の指示に従ってラン ダムプライムドDNA標識キット(Boehringer Mannheim、 Indianapolis、IN)を用いて標識した。ラット、マウスおよびヒ ト組織RNAブロット(Clontech、Palo Alto、CAから購入 )をプローブとハイブリダイズさせ、製造業者の指示に従ってExpressH ybキット(Clontech)の試薬を用いて洗浄した。 成人ラット、マウス、およびヒト組織から調製した組織ノーザンブロットによ り、GDNFR−αmRNAは、肝臓、脳、および腎臓において最も高く発現さ れることが示された。高mRNA発現はまた、肺にも検出され、脾臓、腸、精巣 、および骨格筋においてはより低いまたは検出不可能な量であった。マウス胚か ら単離したmRNAから作製したブロットにおいて、発現は胚7日目では検出不 可能であり、肝11日目に明らかになり、胚17日目に非常に高かった。GDN FR−αmRNAは比較的等レベルで成人ヒト脳の数個の小領域から単離された 組織において発現された。ヒト成人脳におけるGDNFR− αmRNAの発現は、任意の特定の領域にほとんど特異性を示さなかった。 ほとんどの組織において、2つの異なるサイズの転写物が存在した。マウスお よびヒト組織において、8.5および4.4kbの転写物が認められたが、ラッ トにおける転写物は8.5および3.6kbであった。大および小転写物の相対 量は、組織の型により変化し、小転写物が肝臓および腎臓において優勢であり、 大転写物は脳においてより豊富であった。pBKRSVベクターにおけるGDN FR−αcDNAでトランスフェクトさせた293T細胞へのGDNFの結合は 、スッキャチャード解析により確認した。2つのクラスの結合部位が検出され、 1つは低ピコモル範囲の結合親和性を有し、他方は約500pMの親和性を有す る。 実施例6 組換えヒトGDNFR−α バクテリオファージgt10にクローン化した成人ヒト黒質cDNAライブラ リー(5’−伸長プラスcDNAライブライリー、Clontech、Palo A1to、CA)を、プローブとして実施例1のラットGDNFR−αcDN Aクローンを 用いてスクリーニングした。プローブを、製造業者の指示に従って、ランダムプ ライムドDNA標識キット(Boehringer Mannheim、Ind ianapolis、IN)を用いて[32P]−dNTPsで標識した。ヒト黒 質cDNAライブラリー由来の約1.2×106gt10ファージを、15cm アガロースプレート上に置き、二重ニトロセルロースフィルター上に複製した。 次いで、フィルターを放射標識プローブでハイブリダイゼーションすることによ りスクリーニングした。フィルターを、200mLの6×SSC、1×デンハー ド、0.5%SDS、50μg/mLサケ精子DNA中、55℃で3.5時間プ レハイブリダイズした。放射標識プローブ2×108cpm添加後、18時間ハ イブリダイゼーションを続けた。次いで、フィルターを2回30分間、各0.5 ×SSC、0.1%SDS中55℃で洗浄し、強化スクリーンで一晩X線フィル ムにさらした。 cDNA挿入物がヒトGDNFR−αcDNAの部分を示す5つの陽性プラー クを単離した。図3に示したラットGDNFR−αの核酸配列と比較して(bp 0−2140)、5つのヒトGDNFR−αクローンが以下の配列を含むことが 判明した: 図5に示した配列のアラインメントおよび比較によりヒトGDNFR−αの共 通配列が提供された。ヒトcDNA配列により予想される翻訳産物は465アミ ノ酸からなり、ラットGDNFR−αに93%相同性である。 全長GDNFR−αをコードするヒトcDNAクローンを産生するために、ク ローン21Bおよび2の部分を内部BglII部位で共に接合し、哺乳動物ベク ターpBKRSV(Stratagene、La Jolla、CA)にサブク ローニングした。 組換えヒトGDNFR発現ベクターは、哺乳動物細胞において発現用に調製し 得る。上記に示した通り、発現は細菌細胞などの非哺乳動物細胞においてもなし 得る。本明細書で開示した核酸配列は、哺乳動物細胞における発現用の市販の哺 乳動物ベクター(例えば、CEP4、Invitrogen)(市販の ヒト肝腎臓細胞系「293」を含む)中に配置し得る。細菌細胞における発現で は、リーダー配列をコードする部分を典型的には削除する(例えば、図1の核酸 1−590)。細菌発現用にN−末端に追加のメチオニルを加え得る。さらに、 発現を容易にするために、天然のリーダー配列を異なるリーダー配列、または他 の開裂配列に置換し得る。 実施例7 可溶性GDNFR構築物 可溶性ヒトGDNFRタンパク質産物を作製した。以下の例は4つの異なる形 を提供し、カルボキシ末端のみが異なり、これは図2で提供される残基ナンバリ ングにより示唆される。2つは、疎水性テイルから上流および最後のシステイン 残基から下流の異なる点で切形した可溶形である。その他の2つは同じ切形であ るが、市販の抗体が使用できるオクタペプチドである「FLAG」配列が付加す る(Eastman Kodak)。FLAG配列はH2N−DYKDDDDK −COOHである。方法 ヒトGDNFR−αのほぼ全てのコード領域を含むラムダファージクローン# 21を、EcoRIで消化し、cDNAインサートを切断した。このフラグメン トを精製し、EcoRI 切断pBKRSVベクター(Stratagene、LaJolla、CA)に ライゲートし、クローン21−B−3/pBKRSVを産生した。下記に示した プライマー1および2を、鋳型としてヒトGDNFR−αクローン21−B−3 /pBKRSVと共にPCR反応に使用した。PCR条件は94℃、5分間、次 いで25サイクル、94℃、1分間;55℃1分間;72℃、2分間および72 ℃で5分間の最後の伸長であった。これにより、ヒトGDNFR−αクローンの ヌクレオチド1265−1868、および終始コドンおよびプライマー2により 提供されるHindIII制限部位からなるフラグメントが産生された。このフ ラグメントを、制限酵素HindIII(プライマー2に含まれる)およびBg lII(ヒトGDNFR−αの1304位)で消化し、得られた572ヌクレオ チドフラグメントをゲル電気泳動により単離した。このフラグメントは、イソロ イシン−225からグリシン−443までのhGDNFR−αコード領域を含ん だ。同様の方法をプライマーおよび3と共に用いて、イソロイシン−255から プロリン−446をコードする、BglIIおよびHindIII端を有するフ ラグメントを産生した。プライマー4および5は、hGDNFR−αの同領域お よびプライマー1および3をコードするが、Flag ペプチドコード配列(IBI/Kodak、New Haven、CN)が追加 されたフラグメントを産生するように設計された。 Flagペプチド配列は、8つのアミノ酸(H2N−Asp−Tyr−Lys− Asp−Asp−Asp−Asp−Lys−COOH)から構成され、これに対 する抗体は市販により入手できる。プライマー1および4または1および5は、 PCR反応において前記と同じ鋳型と共に使用し、前記のようにHindIII およびBglIIで消化した。この方法により、イソロイシン−255からグリ シン−443およびイソロイシン−255からプロリン−446をコードするが 、そのカルボキシ末端にFlagペプチドが追加されているフラグメントが産生 された。プライマー 前記のように産生した全4つのフラグメントを、21B3/pBKRSVに戻 した。21B3/pBKRSVクローンを、BglIIおよびHindIIIで 消化し、ウシ腸アルカリホスファターゼ(CIAP)で処理した。ベクターおよ びBglII部位までのヒトGDNFR−αコード領域を含む大フラグメントを 、ゲル精製し、ゲルから抽出した。上記のように産生した各4つのBglII/ HindIIIフラグメントを、このベクターにライゲートさせるとpBKRS Vベクターにおける以下の構築物が得られた。 全クローンの正しい構築は、DNA配列決定により確認された。pBKRSV クローンからのインサートは、下記のpBKRSVポリリンカー配列に存在する 酵素部位を用いて他の発現ベクタ ーに移行した。可溶性GDNFR(例えば、sGDNFR−α/glyおよびs GDNFR−α/pro)もまた、一過性発現用ベクターおよびCHO細胞にお ける安定発現用pDSR−2に移行した。pDSRα2+PLクローン : 適当なpBKRSVクローンを、XbaIおよびSalIで消化する。インサ ートを、同酵素で切断しCIAPで処理したpDSRα+PLにライゲートする 。この構築物はCHO細胞におけるGDNFRの安定発現に使用し得る。pCEP4クローン : 適当なpBKRSVクローンを、SpeIおよびXhoIで消化する。インサ ートを、NheI(SpeI端)およびXhoIで消化したpCEP4(Inv itrogen、San Diego、CA)にライゲートさせ、CIAPで処 理した。この構築物はGDNFRの一過性発現に使用し得る。 プラスミド構築物pDSR−2を、1990年3月29日に出願の共有および 同時係属中の米国特許出願番号501,904(また、1990年5月18日出 願欧州特許出願番号90305433、公開番号EP398753、およびWO 90/14363 (1990)参照、この開示は引用によりここに援用する)に記載の方法に従っ て実質的に調製する。GDNFR類似体をコードする種々の核酸配列を使用し得 ることが当業者により理解されるだろう。 別の構築物は、プラスミドpCDの誘導体であるpDSRα2(Okayam a&Berg、Mol.Cell Biol.3:280−289、1983) であり、以下の3つの主な修飾を有する:(i)SV40ポリアデニル化シグナ ルは、ウシ小胞刺激ホルモンであるα−bFSHのα−サブユニットからのシグ ナルで置換されている(Goodwinら、Nucleic Acids Re s.11:6873−6882,1983);(ii)マウスジヒドロ葉酸還元 酵素ミニゲン(Gasserら、Proc.Natl.Acad.Sci.79 :6522−6526,1982)は、形質転換体の選択および増幅が可能とな るように、発現カセットから下流に挿入されている;および(iii)ヒトT− 細胞白血球ウイルス型I(HTLV−I)の長い末端反復(LTR)の「R−エ レメント」および「U5」配列を含む267bpフラグメントがクローン化され 、前記のSV40プロモーターおよびスプライスシグナルの間に挿入さ れた(Takebeら、Mol.Cell Biol.8:466−472、1 988)。 CHO細胞におけるGDNFR−αの発現は、細胞表面へのヨード化GDNF の結合により確認された。上記で議論したように、組換え発現可溶性GDNFR −αタンパク質産物を用いてGDNFの活性または細胞特異性を亢進し得る。検 出可能な標識に結合した可溶性GDNFR−αもまた上記で議論したように診断 に使用し得る。 実施例8 GDNFR−αとGDNFの化学的架橋 結合特性および分子の特徴を研究するために、GDNFR−αを、ラットcD NAクローンのトランスフェクションにより293Tの細胞表面上に一過性的に 発現させた。293T細胞のトランスフェクションは、製造業者の指示に従って リン酸カルシウムトランスフェクションシステム(GIBCO/BRL、Gai thersburg、MD)を用いて実施した。トランスフェクション2日後、 細胞を2×ベルシン処理で取り出し、1回洗浄緩衝液で洗浄し、2×106細胞 /mLの密度で洗浄緩衝液に再懸濁した。細胞の二重セットを、[125I]GD NF 結合の前に、0.5u/mLPI−PLCと共に37℃で30分間インキュベー トした。これらの細胞を氷冷結合緩衝液で3回洗浄し、次いで、他の細胞と1− 3nMの[125I]GDNFと共に4℃で4時間インキュベートした。細胞を4 回氷冷洗浄緩衝液で洗浄し、架橋のために1mMのビススベレート(BS3Pi erce、Rockford、IL)で補足した洗浄緩衝液に再懸濁し、室温で 30分問インキュベートした。TBSで3回洗浄した後、二重のサンプル群を、 37℃で30分間0.5u/mLのPI−PLCにより処理した。これらの細胞 をペレット化し、上清を回収した。次いで、細胞を洗浄緩衝液で洗浄し、他の全 ての細胞と共に2×SDS−PAGEサンプル緩衝液で溶解した。細胞溶解液お よび回収した上清は7.5%SDS−PAGE上で解析した。 細胞懸濁液を、1.5×105細胞/サンプルを含むアリコートに分割した。 次いで、細胞をペレット化し、種々の濃度の[125I]GDNFと共に、500 nMの非標識GDNFの存在下または非存在下、4℃で4時間穏やかに撹拌しな がらインキュベートした。細胞を4回氷冷洗浄緩衝液で洗浄し、0.5mL洗浄 緩衝液に再葱濁した。懸濁液の2つの0.2mLアリ コートを、ガンマカウンターで計測し、細胞に結合した[125I]GDNFの量 を測定した。 偽トランスフェクト293T細胞は、GDNF結合能力を全く示さなかったが 、GDNFR−αトランスフェクト細胞はピコモルの濃度でも[125I]GDN Fに強く結合する。この結合は、500nMの非標識GDNFによりほぼ完全に 阻害され、このことは天然GDNFの発現レセプターへの特異的結合を示唆する 。 293T細胞により発現されたGDNFR−αは、ホスファチジルイノシトー ル−特異的ホスホリパーゼC(PI−PLC、Boehringer Mann heim、Indianapolis、IN)での処理により細胞から放出でき る。リガンド結合前におけるトランスフェクト細胞のPI−PLCでの処理は、 細胞のGDNF結合能をほぼ完全に削除した。さらに、架橋後のトランスフェク ト細胞の処理は、架槁産物の大半を中膜に放出した。これらの結果により、GD NFR−αhがGPI結合を介して細胞膜に固定されていることが強く示唆され る。 架橋データはさらに、GDNFR−αの分子量は、約50−65kDaである ことを示し、このことはグリコシル化レベル が低いことを示唆する。主要な架槁種は、レセプターのモノマーと等しい分子量 を有するが、少数派の種はダイマーが認められると予測される分子量に近い。 実施例9 GDNFシグナリングは、GDNFR−αおよびRetレセプタ−タンパク質チ ロシンキナーゼの複合体により仲介される 序 論 GDNF遺伝子において標的化ヌル変異を有するマウスは、自立神経系、およ び三叉神経および脊髄運動ニューロンにおいて、神経堤細胞由来組織において種 々の欠損を示す。最も重度の欠損は、腎臓の欠失および消化管における腸ニュー ロンの完全な欠失である。GDNFノックアウトマウスの発現型は、c−ret ノックアウト動物のそれと著しく類似しており(Schuchardtら199 4)、これはGDNFおよびc−retのシグナル変換経路の間に連鎖がある可 能性を示唆する。 癌原遺伝子c−retは、遺伝子移動実験において単離した癌遺伝子から誘導 したプローブを用いて同定した(Takahashiら、Cell.42、58 1−588、1985;Takahashi およびCooper、Mol.Cell.Biol.、7、1378−1385 、1987)。c−retcDNAの配列解析により、新規レセプタータンパク 質チロシンキナーゼ(PTK)をコードする大きいオープンリーディングフレー ムが示された。レセプターPTKのファミリーは、細胞外ドメイン構造および細 胞内キナーゼドメインとの配列相同性によりサブファミリーに分類した(van der Geerら、1994)。Retの特異な細胞外ドメイン構造は、他 の公知のレセプターPTKサブファミリーから逸脱し;シグナルペプチド、カド ヘリン様モチーフ、およびシステインに富む領域を含む(van Heynin gen、Nature、367、319−320、1994;Iwamotoら 、1993)。インサイトハイブリダイゼーションおよび免疫組織学的分析によ り、発達中の中枢および末梢神経系およびマウス胚の排出系において高レベルの retmRNAおよびタンパク質発現が示され(Pachnisら、1993; Tsuzukiら、Oncogene、10、191−198、1995)、こ れによりこれらの組織の発達およびその機能におけるRetレセプターの役割を 示唆する。Retレセプターの機能性リガンドは、同定されておらず、よ ってRetシグナリングの分子機構のさらなる理解は制限される。 c−ret遺伝子の変異は、家族性髄様甲状腺癌(FMTC)、および多発性分 泌腫瘍形成2A(MEN2A)および2B(MEN2B)型において癌の遺伝素 因と関連している。これらの疾患は、構成的にRetキナーゼを活性化する「機 能の獲得」変異におそらく起因するだろう(Donis−Kellerら、Hu m.Molec.Genet.2、851−856、1993;Hofstra ら、Nature、367、375−376、1994;Mulliganら、 Nature、363、458−460、1993;Santoroら、Sci ence、267、381−383、1995)。それらはretが通常発達初 期に発現されている特に神経堤由来の組織において癌への素因を付与する。別の ret−関連遺伝子疾患である、ヒルシュプルング病(HSCR)は、下部腸管 における先天性副交感神経支配欠失を特徴とする(Ederyら、Nature 、367、378−380、1994;Romeoら、1994)。HSCRの 最も可能性の高い原因は、ナンセンス変異であり、結果としてRetキナーゼを 不活性化するキ ナーゼドメインまたはミスセンス変異を欠失する切形Retタンパク質が産生さ れる。上記したように、マウスにおけるc−ret癌原遺伝子の標的破壊により 、腎非形成または重度の発育不全および消化管全体におよぶ腸ニューロンの欠失 が生じる(Schuchardtら、1994)。この表現型は、GDNFノッ クオウトマウスのそれと極めて類似している。両者を合わせると、これらのデー タにより、RetおよびGDNFの両方が、腎臓および腸神経系の発達に極めて 重要なシグナル変換経路に関与していることが示唆される。しかしどのようにR etおよびGDNFが関与しているかは明らかにされていない。 上記したように発現クローニングによるGDNFR−αにおけるcDNAの単 離および特徴付けにより、形質転換ヒト胚腎臓細胞系293TにおけるGDNF R−αの発現がもたらされる。形質転換により、高(約2pMのKd)および低 (約200pMのKd)親和性結合部位の両方が出現する。この高親和性結合部 位は、GDNFR−αのみのホモダイマーまたはホモーオリゴマー、または他の 分子とGDNFR−αのヘテロダイマーまたはヘテロ−オリゴマーからなる。上 記で議論したように、GDNFR−αは細胞質ドメインを欠失しているので、G DNF シグナル変換に役割を果たすためには1つ以上の補助分子を介して機能しなけれ ばならない。本研究において、我々はGDNFR−αの存在下で、GDNFはR etタンパク質チロシンキナーゼレセプターと結合し、迅速にRet自己リン酸 化を誘導することを確認する。 結果 GDNFR−αを発現するニューロ−2a細胞は、高親和性でGDNFに結合す ニューロ−2aは、内因性に高レベルのRetタンパク質を発現するが(Ik edaら、Oncogene、5、1291−1296、1990;Iwamo toら、Oncogene、8、1087−1091、1993;Takaha shiおよびCopper、1987)、ノーザンブロットにより判断して検出 可能なレベルのGDNFR−αmRNAを発現しないマウス神経芽細胞系である 。RetはGDNFR−αの存在下でGDNFと結合できるかを決定するために 実験を行い、GDNFR−αを発現するように工作したニューロ−2a細胞への [125I]GDNFの結合を調べた。ニューロ−2a細胞を、ラットGDNFR −αcDNAを含む哺乳動物発現ベクター(例えば 上記の発現プラスミド)でトランスフェクションさせた。3つのクローン系、N GR−16、NGR−33、およびNGR−38を[125I]GDNF結合能に ついて試験した。非結合[125I]GDNFをインキュベートの最後に取り除き 、細胞に結合した放射活性の量を、実験方法に記載のように決定した。3つ全て の系が[125I]GDNFに特異的に結合できたが、親ニューロ−2a細胞は殆 どもしくは全く[125I]GDNF結合を示さなかった(図6)。結合は、50 0nM非標識GDNFの添加により効果的に競合できた。これらの結果は、ニュ ーロ−2a細胞上に発現されたRetレセプターは、GDNFR−αの非存在下 でGDNFに結合できず、このことはGDNFR−αはニューロ−2a細胞にお いて評価可能なレベルで発現されないという以前の観察と一致する。 [125I]GDNFのNGR−38細胞に対する平衡結合は、幅広いリガンド濃 度(500nM非標識GDNFの存在下または非存在下で0.5pMから1nM の[125I]GDNF)で検証した(図7A参照)。インキュベート後、非結合 [125I]GDNFを除去し、細胞に結合した放射活性を実験方法に記載のよう に測定した。結果は図7に示す:(A)非標識GDNF の存在下(白抜き丸および白抜き四角)または非存在下(黒丸および黒四角)に おけるNGR−38細胞(丸)およびニューロ−2a細胞(四角)に対する[125 I]GDNFの平衡結合;(B)NGR−38細胞への[125I]GDNF結合 のスッキャチャード解析。ニューロ−2a細胞は、1nMの[125I]GDNF の濃度でもほとんど結合を示さず、この結合は過剰の非標識GDNFの添加によ り影響を受けなかった。NGR−38細胞への結合は、図7Bに示したようにス キャッチャードプロットにより解析した。2つのクラスの結合部位が検出され、 1つはKd=1.5±0.5pMであり、他方はKd=332±53pMであっ た。これらの解離定数は、上記したように、GDNFR−αを一過性に発現した 293T細胞における高および低親和性結合部位で得られた値と非常に近似して いる。GDNFはGDNFR−αを発現するニューロ−2a細胞においてRetと結合 する RetレセプターPTKが、GDNFR−αを発現する細胞においてGDNF と結合できるか否かを決定するために、架橋実験をNGR−38および親ニュー ロ−2a細胞を用いて実施した。NGR−38細胞を[125I]GDNFと共に インキュ ベートし、架橋試薬で処理し、次いでSDS−PAGEサンプル緩衝液中または トリトンX−100溶解緩衝液中で直接溶解し、さらに実験方法に記載のように 抗−Ret抗体で免疫沈降させた。免疫沈降物を、SDS−PAGEによりメル カプトエタノールの非存在下(NR)または存在下(R)解析した。溶解物をR et特異的抗体で処理し、免疫沈降させ、SDS−PAGEにより還元条件下で 解析した(図8参照、バンドは以下のように記録した:〜75kDa、黒三角; 〜150kDa、白抜き三角;〜185kDa、黒矢印;〜250kDa、アス タリスク;〜400kDa、白抜き矢印)。最も際だった架橋種は、〜75kD aおよび〜185kDaであり、強度のやや低いものは〜150kDaおよび〜 250kDaであった。非常に弱い〜400kDaのバンドも見られた(図8、 レーン2)。免疫沈降物を非還元SDS−PAGEにより解析した場合、〜75 kDa、〜150および〜185kDaバンドが、還元ゲルとほぼ同じ強度で存 在したが、〜400kDaバンドの量は劇的に増加した(図8、レーン4)。よ り際だってくるものは〜250kDでのバンドであった。 還元および非還元条件下、親ニューロ−2a細胞をNGR− 38の代わりに使用した場合、類似の分子量を有するが強度が大きく減少したバ ンドが観察された(図8、レーン1および3)。〜75kDaおよび〜150k Da種は、GDNFおよびGDNFR−αの架橋複合体を示すようである。なぜ なら、同一の分子量を有する種が、Retを発現しない293T細胞において架 橋により産生されるからである。さらに、Retの分子量は170kDaである ので、Retを含む任意の複合体は、少なくともこのサイズでなければならない 。 これらの複合体は抗−Ret抗体により免疫沈降するという事実は、それらは ゲル解析の条件下で分解するRetおよびGDNF/GDNFR−α複合体の間 の結合産物であることを示唆する。〜185kDaでの幅広いバンドは、いくつ かのダイマーGDNFも含まれ得るであろうが、おそらく1分子のモノマー組換 えGDNF(15kDa)と架橋した1分子のRet(170kDa)からなる と考えられる。この種でのRetの存在は、別々の実験により確認され、非標識 GDNFをNGR−38細胞に架橋した場合に同分子量のバンドが観察され、産 物を抗−Ret抗体でウエスタンブロットにより確認した(データは示していな い)。 〜400kDaバンドは、一部にはその分子量を測定することが困難であるため 確実に同定されていない。非還元条件下でのみ際だつという事実は、それは還元 条件下で観察された1つ以上の種のジスルフィド結合ダイマーであることを示唆 する。最も妥当な説明は、それは185kDa種のダイマーであるというもので あるが、2つのRet、1または2つのGDNFR−α、および1または2つの GDNF分子からなる高分子量複合体の混合物ということもあり得る。250k Dバンドの正確な実体は依然明らかにされていない。1つの可能性は、〜75k D(GDNF+GDNFR−α)および〜185kD(GDNF+Ret)複合 体の架橋ヘテロダイマーを示すというものである。GDNFはGDNFR−αを発現するニューロ−2a細胞においてRetの自己 リン酸化を刺激する GDNFR−α存在下における、Retタンパク質チロシンキナーゼのGDN Fとの結合能から、Retの自己リン酸化のGDNF刺激の研究が行われた。N GR−38細胞をGDNFで処理し、溶解し、溶解物を抗−Ret抗体で免疫沈 降させた。免疫沈降物を、実験方法に記載した抗−ホスホチロシン抗体を 用いてウエスタンブロットにより解析した。NGR−38細胞(図9A、レーン 2−4)を、哺乳動物(CHO細胞;図9A、レーン4)または大腸菌細胞(図 9A、レーン1、3)のいずれかで産生した精製組換えGDNFで処置した場合 、強力なバンドが170kDaで観察され、これは成熟形のRetのチロシン残 基の自己リン酸化を示唆する。はるかに弱い対応するバンドがGDNF−処理ニ ューロ−2a細胞において観察された(図9A、レーン1)。Retの任意にグ リコシル化された150kDa前駆体形上には全くリン酸化が観察されなかった (図9A)。GDNFによるRet自己リン酸化の誘導は、用量依存性であった 。NGR−38細胞におけるGDNF−誘導Retチロシンリン酸化の用量応答 および動力学は、パネルBおよびCに示す。全パネルにおいて、チロシンリン酸 化170kDRetバンドは黒矢印で示す。抗−Ret抗体(SantaCru z、C−19、カタログ番号#sc−167)でイムノブロットを再プローブす ることにより測定した各レーンにのせたRetタンパク質の量は、パネルAの右 側に示す。〜150kDのバンドは、自己リン酸化されていない任意にグリコシ ル化した非成熟形Retを示す。図9Bに示したように、NGR −38細胞におけるRet自己リン酸化の刺激は、50pg/mLのGDNFで 検出でき、応答は20−50ng/mLGDNFで飽和となった。処置後0−2 0分間におよぶNGR−38細胞における精製組換えGDNFによるRet自己 リン酸化の刺激は、図9Cに示す。Ret自己リン酸化のレベルの上昇は、GD NF処置の1分以内に観察でき、処置後10分が最大であった(図9C)。GDNFおよび可溶性GDNFR−αは、ニューロ−2A細胞においてRet自 己リン酸化を誘導する 上記で議論したように、GDNFR−αは、GPI結合を介して細胞質膜に固 定され、ホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼC(PI−PLC) で処置することにより放出できる。NGR−38細胞をPI−PLCと共にイン キュベートした場合、これらの細胞におけるRetのGDNF−誘導レセプター 自己リン酸化は消失した(図10A;PI−PLC処置(レーン1)または非処 置(レーン2および3)NGR−38細胞をGDNFと共に(レーン1および3 )または無しで(レーン2)インキュベートし、実験方法に記載のイムノブロッ トによりRet自己リン酸化について解析した)。 図10Bは、ニューロ−2aまたはNGR−38細胞から得られた、PI−P LC/CMの存在下(レーン5−8)または非存在下(レーン1−4)、GDN Fで処理(レーン2、4、6、8)または処理しない(レーン1、3、5、7) 親ニューロ−2a細胞、実験方法に記載のイムノブロットによりRet自己リン 酸化について解析したものを示す。GDNFで処置したNGR−38細胞を陽性 対照として用いた。パネルAおよびBの両方において、自己リン酸化170kD Retバンドは黒矢印で示す。NGR−38細胞のPI−PLC処理(PI−P LC/CM)により放出された可溶性GDNFR−αを含むならし培地を、親ニ ューロ−2a細胞にGDNFと共に加えた場合、NGR−38細胞のGDNF処 置で得られたものと同等なRetレセプターの自己リン酸化が観察された(図1 0B、レーン2および8)。GDNFを全く加えない場合、またはニューロ−2 a細胞のPI−PLC処置から誘導したならし培地を試験した場合、バックグラ ウンドレベルのRet自己リン酸化のみが観察された(図10B、レーン3−7 )。Ret−Fc融合タンパク質は、GDNFおよび可溶性GDNFR−αにより誘 導されるRetリン酸化を遮断する GDNFR−αの存在下でGDNFにより誘導されたRet リン酸化は、レセプター自己リン酸化の結果であることを確認するために、実験 を行い、Ret細胞外ドメイン/免疫グロブリンFc(Ret−Fc)融合タン パク質はRet活性化を遮断できるか否かを決定した。NGR−38細胞上で発 現された多くのGDNFαレセプターを遮断することは技術的に困難であるため 、Retリン酸化アッセイを、ニューロ−2aを標的細胞として、およびPI− PLCで処置したNGR−38細胞から除去した培養培地をGDNFR−α源と して用いて実施した。細胞を、種々の組合せのGDNF(50ng/mL)、可 溶性GDNFR−αを含む培地(例えば、NGR−38細胞から誘導したPI− PLC/CM)、および異なる濃度のRet−Fc融合タンパク質を、図11に 示したように単独でまたは種々の組合せで含む混合物で処置した。ニューロ−2 a細胞をGDNF、可溶性GDNFR−αを含む培地、Ret−Fc、またはプ レーインキュベート混合物で処理した。次いで、細胞を溶解し、実験方法に記載 のように、抗−Ret抗体を用いて、溶解物を免疫沈降によりc−Ret自己リ ン酸化について解析した。免疫沈降物を、抗−ホスホチロシン抗体を用いてウエ スタンブロットにより解析した。 GDNFおよび可溶性GDNFR−αを含む培地のプレ−インキュベート混合 物は、ニューロ−2aに発現されたRetレセプターのチロシンリン酸化を、G DNF−処理NGR−38対照細胞と同等のレベルで誘導した(図11、レーン 7および2)。自己リン酸化170kDaRetバンドの位置は、黒矢印で示す 。Ret−Fc融合タンパク質がプレーインキュベートGDNF/GDNFR− α混合物に含まれた場合、Retリン酸化は用量依存的に阻害された(図11、 レーン8−10)。これにより、Retリン酸化は、GDNFR−αにより仲介 されるGDNF/Ret相互作用の結果であることが示唆される。非処理ニュー ロ−2a細胞において、またはGDNFまたはRet−Fc融合タンパク質の任 意の組合せを用いてGDNFR−αの非存在下で処置した細胞において、バック グラウンドレベルのRetリン酸化のみが観察された(図11、レーン3−6) 。GDNFは、胚運動ニューロンにおいて発現されたc−RETの自己リン酸化を 誘導する 脊髄運動ニューロンは、インビボにおけるGDNF作用の主要な標的の1つで ある(Hendersonら、Science、266、1062−1064、 1994;Liら、Proceedings Of The National Academy Of Sciences, U.S.A.、92、9771−9775、1995;Oppenheimら、 Nature、373、344−346、1995;Yanら、Nature、 373、341−344、1995;Zurnら、Neuroreport、6 、113−118、1995)。これらの細胞におけるGDNFのRet自己リ ン酸化誘導能について試験するために、胚ラット脊髄運動ニューロンを、20n g/mLGDNFを用いて(レーン2および4)または無しで(レーン1および 3)処理し、次いで細胞を溶解し、抗−Ret抗体で免疫沈降し、実験方法に記 載のように抗−ホスホチロシン抗体でウエスタンブロットにより解析した。GD NFで処理した細胞の溶解物において、分子量〜170kDaのチロシンリン酸 化タンパク質のバンドが観察された(図12、レーン2)。結合緩衝液のみで処 理した細胞には全くシグナルは観察されなかった(図12、レーン1)。同ウエ スタンブロットフィルターを剥がし、抗−Ret抗体で再プローブした場合(す なわち、各レーンにのせたc−Retタンパク質の量は、抗−Ret抗体でイム ノブロットを再プローブすることにより決定した)、同分子量および類似の 強度を有するバンドが両方のサンプルにおいて認められた(図12、レーン3お よび4)。GDNF−処理細胞におけるホスホチロシンバンドは、Retタンパ ク質と共に移動し、このことはGDNFはRetの自己リン酸化を刺激すること を示す。自己リン酸化Retバンド(レーン1および2)および対応するタンパ ク質バンド(レーン3および4)は黒矢印で示した。 議 論 ポリペプチド増殖因子は、その同種の細胞表面レセプターへの結合を介して、 生物学的効果を顕現する。レセプターは、その構造および作用機構により数個の クラスに分類することができる。これらの分類は、タンパク質チロシンキナーゼ (PTK)、セリン/トレオニンキナーゼ、およびサイトカインレセプターを含 む。レセプターPTKシグナリングは、リガンドとの直接的な相互作用により開 始され、これはレセプタータイマー化またはオリゴマー化を誘導し、次いでレセ プター自己リン酸化を誘導する。次いで、活性化レセプターは、細胞内基質を取 り入れリン酸化し、カスケード反応を開始し、ついに生物学的応答が引き起こさ れる(Schlessinger and Ul1rich、Neuron 9 、383−391、1992)。 対照的に、セリン/トレオニンキナーゼまたはサイトカインレセプターによるシ グナル変換はしばしば、多成分レセプター複合体の形成を含む(ただしリガンド 結合およびシグナル変換成分は別個である)。例はTGF−レセプター複合体、 別々の結合(II型)およびシグナリング(I型)成分からなるセリン/トレオ ニンキナーゼレセプターおよびCNTFファミリーである。CNTF、インター ロイキン−6(IL−6)および白血球阻害因子(LIF)は、そのそれぞれの レセプター複合体において、共通のシグナリング成分、gp130および/また はLIFRを共有している。これらの複合体のリガンド特異性は、各個々のリガ ンドへの特異的結合サブユニットにより決定されるが、シグナル変換は、リガン ドおよびリガンド結合サブユニットの最初の複合体と、リガンドに直接結合でき ない他のレセプターサブユニットとの結合を必要とする(Ipら、Cell、6 9、1121−1132、1992)。CNTFレセプター複合体において、リ ガンド結合成分は、CNTFレセプター(CNTFR)であり、GDNFRと同 様、GPI−固定膜タンパク質である。本発明は、自己リン酸化が別々のリガン ド−特異的結合成分との結合に依存する、レセプターPTKの初め ての例の記載を含む。 本研究により、GDNFR−α、高い親和性でGDNFに結合するGPI−連 結膜タンパク質は、GDNFのRetレセプターPTKとの十分な結合に必要で あることが確認される。GDNFR−αの非存在下で、GDNFは、Retに結 合またはRetレセプター自己リン酸化を刺激できない。GDNFR−αの存在 下、GDNFはRetと結合し、用量依存的にRet自己リン酸化を急速に誘導 する。GDNFR−αは、上記で議論したように、膜結合または可溶形(図11 )で機能できる。50pg/mL(1.7pM)のGDNF濃度で、GDNFR −αを発現する細胞のRetチロシンキナーゼを活性化できるこれはNGR−3 8細胞上の高親和性GDNF結合部位で見られる解離定数(1.5pM)と一致 する。GDNFによるRet自己リン酸化の急速な誘導(処置の1分後に検出可 能)およびRet−Fcの自己リン酸化遮断能により、Retは、いくつかの他 のレセプターのリン酸化の流れつく結果としてではなく直接活性化されることが 示唆される。 架橋研究により、RetのGDNFとの十分な結合はGDNFR−αに依存す るという仮説が支持される。高レベルのGDNFR −αを発現するNGR−38細胞におけるGDNFのRetへの架橋は、確固と しているが、親ニューロ−2a細胞において架橋産物はほとんど検出できない。 全ての架橋複合体の決定的な同定は困難であるが、データは明らかに、GDNF R−αの存在に依存的なRetとGDNFの結合を示し、およびGDNFR−α は架橋産物のいくつかに含まれていることを示している。ニューロ−2a細胞に おける少数派の架橋種が存在する理由については明らかでない。ニューロ−2a 細胞におけるGDNFR−αmRNAの発現はノーザンブロットでは検出できな いが、GDNFR−αをこれらの細胞で非常に低いレベルで発現することは可能 である。 Retは培養ラット肝脊髄運動ニューロンにおいてGDNFにより活性化でき るという事実は、さらにRet/GDNF相互作用の生物学的相関を示唆する。 これらの細胞はインビボにおけるGDNFの一次標的であり、インビトロにおい て低用量のGDNFに反応することが示された(Hendersonら1994 )。Retリン酸化の刺激は、運動ニューロン細胞を、PI−PLCで前処理し た場合には消失し(データは示していない)、このことはGDNFによるRet の活性化にはGDNFR −αが必要であることを示唆する。 リガンドのレセプター細胞外ドメインへの結合は、他の公知のレセプターPT Kの活性化における第一段階であるが、本データにより、これはGDNFおよび Retには当てはまらないことが示された。図13は、GDNFのGDNFR− αおよびRetへの結合モデル、およびGDNFに応答し結果としてRetPT Kの活性化が生じることを示す。このプロセスで最初に生じる事象は、ジスルフ ィド連結ダイマーGDNFの、モノマーまたはダイマー形のGDNFR−αへの 結合である。現在ダイマーGDNFR−αの存在に関する直接的な証拠は全くな いが、293T細胞をGDNFR−αcDNAでトランスフェクトさせた場合、 2つのクラスの結合部位が出現した。この観察に対する最も簡単な説明は、各々 それ自体結合親和性を有する、モノマーおよびダイマーGDNFR−αの存在で ある。これはGDNF結合親和性が、Retの存在により見かけ上影響を受けな いという発見と一致する。本実験では、ダイマーGDNFR−αは、GDNFの 非存在下においてそのモノマーと平衡状態にあるかどうか、またはダイマー化は GDNF結合により誘導されるかという疑問を解明するものではないので、 これらの可能性は別の経路として提示される。ダイマーGDNFR−αおよびダ イマーGDNFからなる複合体は、2つのRet分子に結合でき、活性化シグナ ル複合体を形成する。他のPTKのように、2つのRet分子の細胞内触媒ドメ イン間の密接な接触により、レセプター自己リン酸化が引き起こされるようであ る。Retはこの機構により機能するという認識は、Retの定常状態ダイマー 化を引き起こすMEN2A変異により、Retキナーゼの構成的活性化が引き起 こされるという事実により支持される(Santoroら、1995)。 運動ニューロンは、5fMという低いED50でGDNFに応答することが報告 されている(Hendersonら、1994)。生物学的応答についてED50 で結合親和性を比較することは困難であるが、非常に高親和性のGDNF結合部 位がこれらの細胞上に存在することは可能である。例えば肝ヒヨコ交換神経ニュ ーロンなどの他の細胞が、1−5nMのKdでGDNFと結合することが報告さ れている(Truppら、Journal Of Cell Biology、 130、137−148、1995)。GDNFR−αは、かかる低い親和性部 位のレセプター複合体に関与してないと考えられるが、GDNFおよび Ret間の弱い直接的相互作用は存在し得る。 c−retの発現は、発達中の中枢および末梢神経形の多くの細胞系統(腸神 経形の細胞を含む)で肝形成の間に観察された(Pachnisら、Devel opment、119、1005−1017、1993;Tsuzukiら、1 995)。神経系外で、c−ret発現は、ウォルフ氏管、尿管芽上皮および腎 臓集合管で検出された(Pachnisら、上記;Tsuzukiら、1995 )。Ret発現はまた、神経堤から(Ikedaら、1990)および外科的に 切除した神経芽細胞から(Nagaoら、1990;Takahashi&Co oper、1987)誘導した全神経芽腫細胞系において検出された。GDNF 発現は、胚発達の間、CNSおよびPNSの両方において、並びに非−ニューロ ン組織において観察された。多くの非−ニューロン組織に見られるGDNF発現 のレベルは、神経系におけるよりも高かった(Choi−Lundbergおよ びBohn、Brain Res.Dev.Brain Res.85、80− 88、1995)。GDNFR−αの発現は、十分に研究されていないが、基本 的なノーザンブロット解析により、成人ラットおよびマウスの肝臓、脳、および 腎臓 において高レベルのGDNFR−αmRNAの存在が検出された。発達中神経系 および腎臓におけるret、GDNFおよびGDNFR−αの発現パターンの類 似性は、発達中の複合作用と一致する。 哺乳動物腎臓発達は、後腎および発達中尿管、ウォルフ氏管の尾部から生じた 分枝間の相反する相互作用から生じると推定されている(Saxen、腎臓の器 官形成、Development and Cell Biology ser ies、Cambridge University Press、Cambr idge、England、1987)。Retの発現は、発達中胚における尿 管芽で見られるが、その周辺間葉では見られず、GDNFの発現は腎臓の成人後 腎帽ではなく非分化で検出された。これらの観察は、GDNFおよびRetの相 互作用は、尿管構造の発達の開始に関与することを示唆する。この仮説をさらに 支持するものは、腎臓における非常に類似した表現型欠損につながる、GDNF およびret遺伝子の標的破壊により提供される(Schuchardtら、N ature、367、380−383、1994;Sanchez、刊行物)。 GDNF(−/−)およびret(−/−)ノックアウト動物の両方で観察され た 別の主要な表現型欠損は、消化管全体におよぶ腸ニューロンの完全な欠失である 。下部腸管における副交感神経支配の先天性欠失を特徴とする遺伝子疾患である ヒルシュプルング病は、retにおける「機能の消失」変異に関連している(R omeoら、Nature、367、377−378、1994、Ederyら 、1994)。その後の報告により(Angristら、Hum.Mol.Ge net、4、821−830、1995)、以前の観察とは対照的に、幾人かの ヒルシュプルング患者はretに変異がないことが示された。かかる患者は、G DNF、GDNFR−αまたはこのシグナリング経路の他の重要な成分に変異を 有し得ることが今回考えられる。 実験方法 GDNFR−αを発現するニューロ−2a細胞への[125I]GDNFの結合 ニューロ−2a細胞(ATCC#CCL131)を、上記のように、リン酸カ ルシウム・トランスフェクション・システム(GIBCO/BRL)を用いて製 造業者の指示に従って、発現プラスミドを用いてトラスフェクトさせた。トラス フェクトした細胞を、400μg/mLG418抗生物質(Sigma) 中での増殖による、プラスミドの発現について選択した。G418耐性クローン を増殖し、[125I]GDNFへの結合によりGDNFR−α発現について解析 した(Amersham,Inc.、慣用的ヨード化、カクログ番号#IMQ1 057)。各クローンの細胞を、3×104細胞/cm2の密度で、ポリオルニチ ンで前以て被覆した24−ウエル組織培養プレートの二重ウエル(Becton Dickinson)に接種した。細胞を、1回氷冷洗浄緩衝液(25mM HEPES、pH7.5を含むDMEM)で洗浄し、次いで、500mM非標識 GDNFの存在下または非存在下のいずれかで4℃で4時間結合緩衝液(洗浄緩 衝液および0.2%BSA)中、50pM[125I]GDNFと共にインキュベ ートした。次いで、細胞を4回氷冷洗浄緩衝液で洗浄し、1M NaOHに溶解 し、細胞結合放射標識を1470ウィザード自動ガンマカウンター(Walla c Inc.)で定量した。個々のクローンにより発現されたGDNFR−αの 量は、非標識GDNFの非存在下または存在下における細胞への[1251]GD NF結合の比により判断した。3つのクローンを、結合実験に使用する、高、中 、および低レベルGDNFR−α発現体の代表例として選択した。これらのクロ ーンにおける、非標識GDNFの非存在下および存在下で[125I]GDNF結 合比は:NGR−38)16:1、NGR−16)12.8:1、およびNGR −33)8:1であった。NGR−38細胞への[125I]GDNFの平衡結合 は、標識GDNFの濃度は0.5pMから1nMの範囲である以外は、上記に記 載の通りに実施した。全アッセイにおいて、500nM非標識GDNFの存在下 における細胞への放射標識結合の量により判断した非特異的結合は、非標識GD NFの非存在下における結合から差し引いた。結合データは、スキャッチャード プロットにより解析した。化学的架橋 ニューロ−2aまたはNGR−38細胞を、1回リン酸緩衝液(PBS、pH 7.1)で洗浄し、次いで、4時間4℃で1−3nM[125I]GDNFを用い て結合緩衝液中、500nM非標識GDNFの存在下または非存在下で処理した 。結合させた後、細胞を4回氷冷洗浄緩衝液で洗浄し、室温で45分間1mMビ ススベレート(BS3、Pierce)と共に洗浄緩衝液中インキュベートした 。架橋反応は、細胞を3回トリス−緩衝食塩水(PBS、pH7.5)で洗浄す ることにより反応停止 した。次いで、細胞を、SDS−PAGEサンプル緩衝液(80mMトリスHC l[pH6.8]、10%グリセロール、1%SDS、0.025%ブロモフェ ノールブルー)中またはトリトンX−100溶解緩衝液(50mMHepes、 pH7.5、1%トリトンX−100、50mM NaCl、50mM NaF 、10mMピロリン酸ナトリウム、1%アプロチニン(Sigma、製造番号A −6279)、1mM PMSF(Sigma、製造番号P−7626)、0. 5mMNa3VO4(Fisher、製造番号#S454−50))中に直接溶解 した。溶解物を、遠心により清澄とし、5μg/mL抗−Ret抗体(Sant a Cruz抗体、C−19、製造番号#SC−167)と共にインキュベート し、得られた免疫複合体をプロテインA−セファロースCL−4B(Pharm acia)で沈降させることにより回収した。免疫沈降物を、3回溶解緩衝液で 、1回50mM NaClおよび20mMトリス−Cl、pH7.5を含む0. 5%NP−40で洗浄し、次いで、SDS−PAGEサンプル緩衝液に再懸濁し た。全細胞溶解物および免疫沈降物両方を、ビス:アクリルアミド比1:200 で7.5%SDS−PAGEにより分画した。ウエスタンブロット解析 Retレセプターの自己リン酸化をウエスタンブロツト解析により検証した。 簡潔には、細胞をアッセイの24時間前に6−ウエル組織培養皿に1.5×106 細胞/ウエルの密度で接種した。細胞を1回結合緩衝液で洗浄し、単独または組 合せて種々の濃度の異なる試薬(GDNF、PI−PLC、PI−PLC/CM 、およびRet−Fc融合タンパク質を含む)を用いて、結合緩衝液中、種々の 反応時間で処理した。処理した細胞および非処理対照を、トリトン−X溶解緩衝 液中で溶解し、上記の抗−Ret抗体(Santa Cruz、C−19、製造 番号#SC−167)およびプロテイン−Aセファロースを用いて免疫沈降した 。免疫沈降物をSDS−PAGEにより分画し、HarlowおよびLaneに より記載されたようにニトロセルロース膜に移行した(抗体:A Labora tory Manual.Cold Spring Harbor Labor atory:Cold Spring Harbor、New York、19 88)。膜は5%BSA(Sigma)により前以て遮断し、レセプターのチロ シンリン酸化レベルを、膜を抗−ホスホチロシンモノクローナル抗体4G10( UBI、 製造番号#05−321)で室温で2時間ブロッティングすることにより測定し た。各レーンに含まれるタンパク質の量は、同膜を抗−Ret抗体を用いて剥が し再プローブすることにより測定した。最後に、膜を製造業者の指示に従って化 学蛍光試薬(ECL、Amersham)で処理し、X線フィルム(Hyper film−ELC、Amersham)にあてた。PI−PLCを用いた細胞の処理およびPI−PLC処理ならし培地の作成 GPI−結合GDNFR−αを細胞表面から放出するために、細胞を1回洗浄 緩衝液で洗浄し、次いで、1U/mLホスファチジルイノシトール特異的ホスホ リパーゼC(PI−PLC、Boehringer Mannheim、製造番 号#1143069)と共に結合緩衝液中37℃で45分間インキュベートした 。次いで、細胞を3回洗浄緩衝液で洗浄し、さらにRet自己リン酸化アッセイ または架槁のために処理した。PI−PLC処理ならし培地(PI−PLC/C M)の作成のために、8×106細胞を、細胞を37℃で5−10分間、2mM EDTAを含むPBSで処理することにより組織培養皿から取り出した。細胞 を1回洗浄緩衝液で洗浄し、1U/mLPI−PLCを含む 結合緩衝液1mL中に再懸濁し、37℃で45分間インキュベートした。細胞を ペレット化し、PI−PLC/CMを回収した。Ret−Fc融合タンパク質の調製 c−Retの全コード領域を含むcDNAを、マウスc−Retの最初の20 アミノ酸に対応するオリゴヌクレオチドプローブを用いて、17日目の胎盤cD NAライブラリーから単離した(Iwamotoら、1993;van Hey ningen、1994)。Retレセプターの細胞外ドメインのコード領域( 最後のアミノ酸R636で終結する)を、ヒトIgG(IgGI)のFc領域を コードするDNAでインフレーム融合し、前記したように発現ベクターpDSR 2にサブクローニングした(Bartleyら、Nature、368、558 −560、1994)。ret−Fc/pDSRa2プラスミドを、チャイニー ズハムスター卵巣(CHO)細胞にトランスフェクトし、組換えRet−Fc融 合タンパク質をNi++カラム(Qiagen)を用いてアフィニティークロマト グラフィーにより精製した。胚ラット脊髄運動ニューロン培養物の調製 富化胚ラット脊髄運動ニューロン培養物を、E15スプラウ グ−ダウリーラット胎児の全脊髄から実験の24時間前に調製した。脊髄を切開 し、髄膜および後根神経節(DRG)を取り出した。脊髄を小片に切断し、L1 5培地中パパインで消化した(パパインキット、Worthington)。解 離細胞懸濁液に含まれる他の型の細胞よりも大きい運動ニューロンを、6.8% メトリザミド勾配を用いて富化した(CamuおよびHenderson、J Neuroscience、44、59−70、1992)。メトリザミド緩衝 剤および細胞懸濁液の間の界面に位置する富化運動ニューロンを、回収し、洗浄 し、およびポリ−L−オルニチンおよびラミニンで前以て被覆した組織培養皿に 、〜9×104細胞/cm2の密度で接種し、37℃で培養した。 実施例10 ニューチュリンおよびGDNF−誘導Ret活性化のGRR2仲介 本研究は、ニューチュリンが、GDNFR−αおよびGDNFR−αに関連し た新規なレセプターであるGRR2の両方に結合することを示す。GDNFR− αおよびGRR2の両方共、Retタンパク質チロシンキナーゼのニューチュリ ン−誘導自己 リン酸化を仲介できる。GDNFはまた、GDNFR−αおよびGRR2の両方 に結合し、どちらの結合レセプターの存在下でもRetを活性化する。しかし、 ニューチュリンはGDNFよりもより効果的にGRR2に結合するが、GDNF はニューチュリンよりもより効果的にGDNFR−αに結合する。これらのデー タにより、交差はあるが、GDNFはGDNFR−αの基本的なリガンドであり 、ニューチュリンはGRR2に選択性を示すことが示唆される。 序 論 近年、Kotzbauerら(Nature、384、467−470、19 96)は、GDNFとアミノ酸配列が約42%同一である新規栄養因子のニュー チュリンのクローニングを報告した。GDNFおよびニューチュリンは両方共、 前後の形で合成され、その前駆体分子はタンパク質加水分解プロセスを受けて、 約100アミノ酸の成熟タンパク質を生成し、結合してジスルフィド結合ホモダ イマーとなる。GDNFの構造およびその空間パターンに必須な全7つのシステ イン残基は、ニューチュリンにおいて保存されている(Kotzbauerら、 1996)。ニューチュリンの生物学的活性は依然完全に調査 されていないが、GDNFのそれと非常に近似しているようである。ニューチュ リンおよびGDNFは両方共、上頚神経節(SCG)由来の交換神経ニューロン 、および結節(NG)および後根神経節(DRG)両方の感覚ニューロンの生存 を亢進することが示された。ニューチュリンおよびGDNF mRNAは、胚お よび成人の種々のニューロン性および非−ニューロン性組織の両方に広範に分布 している。両方共、脳、腎臓、および肺において認められ、ニューチュリンmR NAはまた新生児血液にも高レベルで発現されている。 GDNFおよびニューチュリン間の構造的および生物学的類似性により、その 作用は同一または関連レセプターにより仲介され得ることが示唆される。GDN Fレセプターは、GDNFレセプターα(GDNFR−α)およびRetタンパ ク質チロシンキナーゼ(PTK)の複合体からなる(Jingら、Cell、8 5、1113−1124、1996;Treanorら、Nature、382 、80−83、1996)。GDNFR−αは、グリコシル−ホスファリジルイ ノシトール(GPI)固定細胞表面分子であり、GDNFと結合する機能を有す るが、細胞質ドメインを欠失しているため独立してシグナルを出すこ とはできない。GDNFシグナリングは、GDNFおよびGDNFR−αの複合 体とRetとの結合によりなされ、その結果Retキナーゼが活性化される。 GDNFR−αmRNAは、ニューロン性および非ニューロン性組織に広範に 分布し、肝発達から成人を通して発現されており、生物学的機能の範囲が広範で あることを示す(Treanorら、1996;Foxら、非公開データ)。G DNFレセプター複合体の他の成分であるRetは、ret癌原遺伝子によりコ ードされるレセプター型PTKである。RetmRNAおよびタンパク質は、C NSおよびPNS並びに腎臓において高度に発現されている。ret遺伝子にお ける種々の変異は、家族性髄様甲状腺癌(FMTC)、多発性分泌腫瘍形成2A (MEN2A)および2B(MEN2B)型、およびヒルシュプルング病を含む 、遺伝性ヒト疾患に関連性がある。ノックアウトマウスにおけるret遺伝子の 標的破壊により、腎非形成または重度の発育不全および全体の腸神経形の欠失を 含む、重度の表現型傷害が引き起こされる。これらの傷害は、GDNFヌル変異 により引き起こされるものと極めて類似しており、このことはRetを介したG DNF−仲介シグナリングは、これ らの組織の発達に必要とされることを示す。しかし、はるかに重篤度の低い傷害 が、GDNFR−αおよびRetの両方が発現されている数多くのニューロン構 造において、例えば三叉および前庭神経節、顔面運動ニューロン、黒質、および 青斑に検出された(Schuchardtら、Nature、367、380− 383、1994;Treanorら、1996)。これにより、GDNFシグ ナリングはこれらの構造の胚発達には必要でないか、またはそれらの代価となり 得るGDNFまたはRetに類似した未知のシグナリング分子が存在し得ること が示される。また、これらの組織の胚発達は、別の依然として未知のシグナリン グ系に完全に依拠しているかもしれない。 本実施例は、新規GDNFR−α関連レセプターGRR2のクローニングを記 載し、GRR2はニューチュリンのレセプターである証拠を提供する。GDNF およびGDNFR−αに類似して、ニューチュリンは効果的にGRR2に結合し 、Ret活性化を誘導する。またデータにより、GDNFおよびニューチュリン の両方共、GDNFR−αまたはGRR2のいずれかと相互作用でき、いずれか の結合レセプターの存在下でRet PTKを活性化できることを示す。GRR2のクローニングおよび配列解析 GDNFR−αに高い相同性を示すヒト発現配列タグ(EST)が、公共的に 入手できる核酸配列データベースのFASTA検索により判明した(Marra ら、1996、WashU−HHMIマウスESTプロジェクト、非公開)。こ のESTの末端に対応するオリゴヌクレオチドを合成し、逆転写−複製連鎖反応 (RT−PCR)において鋳型であるヒト胎児脳mRNAと共に使用した。期待 した長さのフラグメントを単離し、ハイブリダイゼーションプローブとして使用 し、ヒト胎児脳cDNAライブラリーをスクリーニングした。5つの陽性クロー ンを同定し、最も長いクローンを配列決定した。このクローンは、配列がGDN FR−αに関連性のある464アミノ酸タンパク質をコードする大きなオープン リーディングフレームを含んだ。我々はこのタンパク質をGDNFR−α関連レ セプター2(GRR2)と呼ぶ。上記のオリゴヌクレオチドはまた、ラット光受 容体cDNAライブラリー(Jingら、1996)からのプールのPCRによ るスクリーニングに使用し、期待した長さの産物を単一のプールから得た。この プールの個々のcDNAクローンを、放射標識PCR産物に対してハイブリダイ ゼーシ ョンし、配列決定することにより同定した。このクローンは、ヒトGRR2とほ ぼ同一な460アミノ酸ペプチドをコードするオープンリーディングを有する2 .2kbのインサートを含んだ。 ヒトおよびラットGDNFR−αとGRR2のアミノ酸配列の比較を、図20 に示す。影の領域は、全4つのレセプター間のアミノ酸配列保存を示し、囲った 領域は異なる種由来の同一のレセプター間でのみの保存を示す。GDNFR−α およびGRR2両方のアミノ酸配列は、種間で極めてよく保存されており、各ヒ トレセプターはそのラット対応物に対して92%同一である。ヒトGDNFR− α(hGDNFR−α)およびヒトGRR2(hGRR2)間での全体のアミノ 酸配列同一性は48%である。配列はC−末端領域で最も相違し、hGDNFR −αのアミノ酸350−465は、hGRR2のアミノ酸361−464とはわ ずか22%の同一性である。N−末端領域において、hGDNFR−αおよびh GGR2はより密接に関連し、56%アミノ酸同一性を有する。ラットGDNF R−αおよびGRR2(rGDNFR−αおよびrGRR2)間の対応する同一 性は非常に類似している:全体で48%、C−末端領域で 26%、およびN−末端領域で55%。配列の比較により、GDNFR−αおよ びGRR2は構造的に非常に類似しているようである。GDNFR−αに見られ る31システイン残基の30位(太文字で示す、図20)はヒトおよびラットG RR2の両方で保存されている(1つの追加のシステイン残基がhGRR2のN −末端付近に存在している)。さらに、細胞膜へのGDNFR−αのGPI−結 合に関与している疎水性C−末端も(Jingら、1996;Treanorら 、1996)、GRR2に存在する。図20 GDNFR−αおよびGRR2ペプチド配列の比較 ヒトおよびラットGDNFR−αおよびGRR2のアミノ酸配列をアラインし た。影の領域は、全4つの配列で同一なアミノ酸を示す。囲った領域は、GDN FR−αおよびGRR2間ではなく、同一レセプターのラットおよびヒトのオル トログ(ortholog)間の保存を示す。ニューチュリンおよびGDNFは両方共LA−N−5およびNGR−38細胞に 結合する LA−N−5は、高レベルのretmRNAを発現するヒト神経芽細胞腫細胞 系(SonnenfeldおよびIshii、 J.Neuroscience Research、8:375−391、19 82)である(Bounoneら、Exp.Cell.Res.、217:92 −99、1995)。 GDNFR−αおよびGRR2に特異的なプライマーを用いたRT−PCR実験 により、これらの細胞がGRR2mRNAを発現することが示されたが、GDN FR−αmRNAは検出されなかった(データは示していない)。NGR−38 は、マウスニューロ−2a細胞から誘導した細胞系である(Jingら、199 6)。高レベルのGDNFR−αおよびRetの両方を発現するが(Jingら 、1996)、検出可能なGRR2(データは示していない)は全く発現せず、 GDNFに特異的に結合する。LA−N−5およびNGR−38細胞を、[125 I]−標識組換えヒトニューチュリン(NTN)またはGDNFと共に、過剰の 非標識リガンドの非存在下または存在下でインキュベートした。図21Aに示さ れるように、[125I]NTNは、[125I]GDNFよりも強力にLA−N−5 細胞に結合したが、両方の結合共検出可能なレベルであった。[125I]NTN のLA−N−5細胞への結合は、非標識ニューチュリンにより大きく阻害された が、GDNFによっては阻害されなか った。[125I]GDNFはまたLA−N−5細胞にも結合したが、結合は冷G DNFまたはニューチュリンのいずれかにより阻害された 図21Bは、[125I]NTNおよび[125I]GDNFのGDNFR−α発現 細胞系NGR−38への結合を示す。 [125I]NTNおよび[125I]GDNFの両方共NGR−38細胞に結合する が、[125I]GDNFはより強力に結合した。LA−N−5細胞において観察 されたように、[125I]GDNFのNGR−38細胞への結合は、非標識ニュ ーチュリンおよびGDNFの両方により阻害されたが、[125I]NTNの結合 はニューチュリンによってのみ置換できた(図21B)。図21 ニューチュリンおよびGDNFのLA−N−5およびNGR−38細胞 への結合 LA−N−5(A)およびNGR−38(B)細胞を、50pMの[125I] NTNまたは[125I]GDNFのいずれかと共に、非標識GDNF(暗灰色棒 )またはニューチュリン(黒棒)の非存在下(明灰色棒)または存在下、4℃で 2時間インキュベートした。非結合リガンドを、インキュベートの最後に除去し 、細胞に結合した放射活性を記載のように測定した。ニューチュリンおよびGDNFのGDNFR−αおよびGRR2への架橋 結合実験により、ニューチュリンおよびGDNFの両方共GDNFR−αおよ びGRR2と相互作用することが示唆される。しかし、GRR2特異的抗体の欠 失により、これらの相互作用の研究がより困難となった。この困難を克服するた めに、293T細胞にトランスフェクトさせた時に一過性的にGDNFR−α/ FcおよびGRR2/Fc融合タンパク質を発現するプラスミドを産生した。G DNFR−α/FcまたはGRR2/Fc融合タンパク質のいずれかを含むなら し培地(CM)を、[125I]NTNまたは[125I]GDNFと共にインキュベ ートし、化学架橋させ、次いで、プロテイン−Aセファロースビーズを用いて直 接沈降させた。免疫沈降物をSDS−PAGEにより解析した(図22)。[12 5 I]GDNFまたは[125I]NTNを用いた場合、それぞれ、主な種である1 00−120kDおよび90−110kDが観察された(図22)。高分子量の 強いバンド、GDNFR−α/Fcの〜300kDおよびGRR2/Fcの〜2 80kDもまた観察された(図22)。さらに、少量のバンドである、[125I ]GDNFレーンにお ける〜15kD、35kD、および60kD、および[125I]NTNレーンに おける〜12kD、26kD、および50kDが可視的であった(図22)。偽 トランスフェクト細胞のCMを用いた場合、架橋バンドは全くプロテイン−Aセ ファロースによって沈降しなかった(データは示していない)。過剰の非標識リ ガンドを対照サンプルに添加した場合、皆無またははるかに弱い放射標識バンド が検出された(図22)。図22 ニューチュリンおよびGDNFのGDNFR−αおよびGRR2レセプ ターへの化学的架橋 GDNFR−α/Fc(GDNFR−α)またはGRR2/Fc(GEE2) 融合タンパク質を含むCMを、10nMの[125I]NTN(N)または5nM の[125I]GDNF(G)のいずれかと共に、ニューチュリン(N)またはG DNF(G)の存在下(+非標識)または非存在下(−非標識)でインキュベー トした。結合したレセプター−リガンド複合体を、1mMのBS3により化学的 に架橋し、プロテイン−Aセファロースで沈降させ、記載のようにSDS−PA GEで解析した。黒矢印は、90−110kDおよび100−120kDの架橋 種を示す。白抜き矢印は〜280kDおよび〜300kDの複合体を 示す。ニューチュリンはGDNFR−αを発現する細胞においてRet自己リン酸化を 誘導する ニューチュリンのGDNFR−αとの結合能は、GDNFのようにニューチュ リンはGDNFR−αを介してRetを活性化し得ることを示す。この可能性を 検証するために、NGR−38細胞におけるニューチュリンのRet自己リン酸 化誘導能について試験した。NGR−38細胞を、0−50nMの範囲のニュー チュリン濃度で処理し、溶解し、溶解物を抗−Ret抗体で免疫沈降させた。免 疫沈降物をSDS−PAGEにより解析し、次いで、抗−ホスホチロシン抗体を 用いてイムノブロットを行った。成熟形のRetにおけるチロシン残基の自己リ ン酸化を示す170kDのバンドが、全レーンにおいて認められた(図23、左 からレーン8−14)。はるかに弱い対応するバンドがニューチュリン−処理ニ ューロ−2a細胞において認められた(データは示していない)。ニューチュリ ンによるRet自己リン酸化の誘導は、用量依存的である。NGR−38細胞に おけるRet自己リン酸化の刺激は、500pMニューチュリンで検出できた( 図23)。ニューチュリンの代わりに GDNFを用いた平行実験において、バックグラウンド以上の170kDのRe tバンドのリン酸化レベルの上昇が、5pMのGDNF濃度で見られた(図23 、左からレーン1−7)。フィルターを剥がし、抗Ret−抗体で再プローブし た場合、170kDのRetタンパク質バンドがほぼ等しい強度で全レーンに出 現した(データは示していない)。図23 ニューチュリンおよびGDNFは、NGR−38細胞においてRet自 己リン酸化を誘導する NGR−38細胞を、記載のように種々の濃度のGDNFまたはニューチュリ ンで処理した。細胞を溶解し、抗−Ret抗体で免疫沈降させ、SDS−PAG Eで分画し、Retリン酸化について抗−ホスホチロシン抗体でブロッティング した。リン酸化Retのバンドは矢印で示す。ニューチュリンおよびGDNFは、LA−N−5細胞においてRet自己リン酸 化を誘導する ニューチュリンおよびGDNFの両方共、GRR2に結合し、RetPTKは 、ニューチュリンまたはGDNFのいずれかによりGDNFR−αを介して活性 化できる。これらの観察により、GRR2は、Retのニューチュリンおよび/ またはGDNF 活性化を仲介可能であり得ることが示唆される。この可能性を検証するためにG RR2およびRetを発現するヒトLA−N−5線維芽細胞腫細胞を、種々の濃 度のニューチュリンまたはGDNFで処理し、前記の章で記載のようにイムノブ ロッティング用に処理した(図24)。示されるように、ニューチュリンおよび GDNFの両方共、Ret自己リン酸化を誘導する(図24)。図24 ニューチュリンおよびGDNFはLA−N−5細胞においてRet自己 リン酸化を誘導する LA−N−5細胞を、記載のように種々の濃度のGDNFまたはニューチュリ ンで処理した。細胞を溶解し、抗−Ret抗体で免疫沈降させ、SDS−PAG Eにより分画し、Retリン酸化について抗−ホスホチロシン抗体でブロッティ ングした。リン酸化Retのバンドは矢印で示す。ニューチュリンおよびGDNFはLA−N−5およびNGR−38細胞において MAPキナーゼ活性化を誘導する 我々は、ニューチュリンおよびGDNFの両方共、GDNFR−αまたはGR R2のいすれかを発現する細胞において、Ret自己リン酸化を誘導できること を実証した。次いで、我々はニ ューチュリンおよび/またはGDNFによるRetキナーゼの活性化は、下流シ グナリング分子であるMAPキナーゼの活性化をもたらすかを試験した。LA− N−5およびNGR−38細胞の両方共、ニューチュリン、GDNFまたはNG Fのいずれかで処理した。処理した細胞を、直接SDS−PAGEサンプル緩衝 液に溶解し、SDS−PAGEにより分画し、抗−リン酸化MAPキナーゼ抗体 を用いてイムノブロッティングした(New England Biolabs 、Beverly、MA)。図25に示したように、MAPキナーゼのp44お よびp42アイソフォームの両方共、ニューチュリンおよびGDNFの両方によ り、LA−N−5またはNGR−38細胞のいずれかにおいて活性化されるよう である。NGFによるMAPキナーゼ活性化(陽性対照として用いた)もまた観 察された。図25(パネルAおよびB)ニューチュリンおよびGDNFはLA−N−5およ びNGR−38細胞においてMAPキナーゼ活性化を誘導する 25A LA−N−5細胞を、記載のように種々の濃度のGDNFまたはニュ ーチュリンで処理した。細胞を、0.5mMNaVO4を含む2×SDS−PA GEサンプル緩衝液中 で直接溶解し、SDS−PAGEにより分画し、リン酸化MAPキナーゼ(MA PK−P)に対する抗体でブロッティングした。25B膜を剥がし、各レーンに のせたMAPキナーゼタンパク質の量について(MAPK)抗−MAPキナーゼ 抗体で再プローブした。 議 論 ほとんどのレセプターPTKによるシグナル変換は、そのリガンドとの直接的 相互作用によりおよび続くレセプターの活性化により開始される。リガンド結合 における補助分子であるGDNFR−αのクローニングおよび特徴付けにより、 RetレセプターPTKがGDNFシグナルを変換する新規な機構が判明した。 GDNFはRetのみに結合するのではなく、代わりに、初めにGDNFR−α に結合し、次いでGDNF−GDNFR−α複合体の一部としてRetと相互作 用する。新規にクローン化されたGRR2は、アミノ酸レベルおよび3次元構造 の両方においてGDNFR−αと関連する。それはGDNFR−αと48%同一 のアミノ酸残基を有し、その中には31システイン中30がある。 我々は、ニューチュリンおよびGDNFの両方共、GDNFR −αおよびGRR2に結合することを実証した。GDNFまたはニューチュリン のGDNFR−αまたはGRR2への結合により、リガンドのRetとのさらな る結合、および結果として下流シグナリング分子であるRetPTKおよびMA Pキナーゼの活性化がもたらされる。しかし、各リガンドは1つのレセプターに 優先的に結合するようである。ニューチュリンは、GDNFよりも効果的にGR R2発現LA−N−5細胞に結合し、GDNFは、ニューチュリンよりも効果的 にGDNFR−α発現NGR−38細胞に結合する。なぜGDNFR−αおよび GRR2の両方への[125I]GDNFの結合は、非標識GDNFおよびニュー チュリンにより置換できるが、[125I]NTNの結合は冷ニューチュリンによ ってのみ阻害できるのか、この時点では明らかではない。 結合研究と一致して、GDNFは、GRR2/Fcよりも、より効果的にGD NFR−α/Fc融合レセプターに架橋するが、ニューチュリン架橋は逆の結果 を示す。 実験方法 GRR2のcDNAクローニング GDNFR−αに関連した配列に関するゲンバンクデータベ ースの探索により、EST、H12981.Gb_Est1が同定された。H1 2981.Gb_ESt1のヌクレオチド47−65(5’−CTGCAAGA AGCTGCGCTCC−3’)および244−265(5’−CTTGTCC TCATAGGAGCAGC−3’)に対応するプライマーを合成し、鋳型とし てヒト胎児脳mRNAと共にRT−PCRに用いた(Clontech、製造番 号#64019−1)。218ntフラグメントを増幅し、pBlue−Scr ipt(Stratagene、LaJolla、CA)にサブクローニングし 、配列決定して元のESTとの対応性を確かめた。次いで、フラグメントを、ラ ンダム・プライムドDNA標識キット(Stratagene、La Joll a、CA)を用いて製造業者の指示に従って[32P]−dCTPで放射標識した 。放射標識プローブを用いて、ヒト胎児脳cDNAライブラリーをスクリ−ニン グした(Stratagene、La Jolla、CA)。2百万クローンを 15cmアガロースプレートにのせ、二重ニトロセルロースフィルター上で複製 した。フィルターを55℃で3.5時間、200mlの6×SSC、1×デンハ ード、0.5%SDS、および50μg/mlサケ精子DNA中プレ ハイブリダイズさせた。2×108cpmの放射標識プローブを添加した後、ハ イブリダイゼーションを18時間続けた。次いで、フィルターを2回30分間各 55℃で0.2×SSC、0.1%SDS中洗浄し、一晩強化スクリーンと共に X線フィルムにあてた。5つの陽性クローンを同定し、そのDNA配列を決定し た。 上記のオリゴヌクレオチドプライマーはまた、ラット光受容体cDNAライブ ラリーの27プール(各1500クローン)から単離したDNAのPCRスクリ ーニングに用いた(Jingら、1996)。単一の陽性プールを同定し、上記 の同放射標識プローブに対するハイブリダイゼーションによりスクリーニングし た。このプール由来の個々のcDNAクローンを同定および配列決定した。DNA配列決定および配列解析 自動アプライド・バイオシステム373ADNAシークエンサーおよびTaq ダイデオキシターミネーター・サイクル・配列決定キット(Applied B iosystems、Foster City CA)を用いて、DNA配列決 定を行った。GDNFR−αおよびGRR2配列と公共データベー スとの比較は、FASTAコンピューターアルゴリズムを用いて行った(Pea rsonおよびLipman、Proceedings Of The Nat ional Academy Of Sciences Of The Uni ted States Of America、85、2444−2448、1 988)。GDNFR−αおよびGRR2のペプチド配列は、ラインアッププロ グラムを用いてアラインした。用いた全配列解析プログラムは、ウイスコンシン 配列解析パッケージに含まれた(Wisconsin Package Ver sion 9.0、Genetics Computer Group、Mad ison、WI)。NGR−38およびLA−N−5細胞への[125I]GDNFおよび[125I]N TNの結合 組換えヒトニューチュリンは、可溶性タンパク質として大腸菌で発現させた。 封入体を可溶化し、ニューチュリンタンパク質をリホールドし、イオン交換およ び疎水性相互作用クロマトグラフィーにより精製した。 [125I]NTN(〜2000Ci/mmole)を、精製大腸菌発現タンパ ク質を用いて調製した(Amersham, Inc.、Arlington Heights、IL;慣用的ヨウ素化、カタ ログ番号#IMQ1057)。組換えヒトGDNFもまた放射ヨウ素化した(J ingら、1996)。[125I]NTNおよび[125I]GDNFの、LA−N −5およびNGR−38細胞への結合は、前記のように実施した(Jingら、 1990)。簡潔には、細胞を、ポリオルニチンで前以て被覆した24ウエル組 織培養プレート中に、3×104細胞/cm2の密度でアッセイ1日前に接種した 。細胞を氷上に5−10分間置き、1回氷冷緩衝液(25mMHEPES[pH 7.0])で洗浄し、種々の濃度の[125I]NTNまたは[125I]GDNFを 含む0.2ml結合緩衝液(2mg/mlのウシ血清アルブミンを含む洗浄緩衝 液)中4℃で、500nM非標識リガンドの非存在下または存在下で4時間イン キュベートした。細胞を4回0.5ml氷冷洗浄緩衝液で洗浄し、0.5mlの 1M NaOHで溶解した。溶解物を1470ウィザード自動ガンマカウンター (Wallac Inc.、Gaithersburg、MD)で計測した。化学的架橋 ヒトGDNFR−αの最初の455アミノ酸およびヒト GRR2cDNAの最初の451残基のコード領域を、カルボキシ末端において 6ヒスチジン残基で標識したヒトIgG1のFc領域をコードするDNAフラグ メントでインフレーム融合した(Culouscouら、J.Biochem、 270:12857−12863、1995)。次いで、この構築物を前記(J ingら、1996)のように発現ベクターpBKRSV(Stratagen e、La Jolla、CA)に挿入した。GDNFR−α/FcおよびGRR 2/Fc融合構築物を、293T細胞にトランスフェクトし、融合タンパク質を 含むならし培地(CM、0.5%ウシ胎児血清を補給したDMEM)をトランス フェクション4目後に回収した。1mlCMおよび50μlの1M HEPES 、pH7.5のアリコートを、4℃で10nM[125I]NTNまたは5nM[1 25 I]GDNFと共に、1μMの非標識リガンドの存在下または非存在下で4時 間インキュベートした。洗浄緩衝液中ビススベレート(BS3Pierce、R ockford、IL)保存溶液(40mM)を、各結合混合物に加え最終濃度 1mMとし、混合し、室温で30分間合およびインキュベートした。反応は、5 0μlの1Mグリシンを添加して停止し、室温で15分間インキュベ ートした。トリトンX−100を加え最終濃度1%とし、架橋産物を200μl のプロテイン−AセファロースCL−4B(Pharmacia)を用いて直接 沈降させた。架橋産物を、還元条件下で7.5%SDS−PAGEにより解析し た。イムノブロット解析 Ret自己リン酸化は、前記のようにイムノブロット解析により検証した(J ingら、1996)。簡潔には、細胞をアッセイの24時間前に6−ウエル組 織培養皿中1.5×106細胞/ウエルの密度で接種した。細胞を1回結合緩衝 液で洗浄し、結合緩衝液中、37℃で10分間、種々の濃度のニューチュリンま たはGDNF(0.5pM−50nM)で処理した。処理した細胞および非処理 対照を、トリトン−X溶解緩衝液(50mM HEPES、pH7.5、1%ト リトンX−100、50mM NaCl、50mM NaF、10mM ピロリ ン酸ナトリウム、1%アプロチニン(Sigma、製造番号A−6279)、1 mM PMSF(Sigma、製造番号#P−7626)、0.5mM Na3 VO4(Fisher製造番号#S454−50))中で溶解し、記載の抗−R et抗体(Santa Cruz Biotechnology)およびプロテ イン−A セファロースを用いて免疫沈降した(Jingら、1996)。免疫沈降物を7 .5%SDS−PAGEにより分画し、HarlowおよびLaneにより記載 されたようにニトロセルロース膜に移行した(抗体:A Laboratory Manual.Spring Harbor Laboratory:Spr ing Harbor Press、1988)。膜は5%BSA(Sigma )により遮断し、Retレセプターのチロシンリン酸化を、抗−ホスホチロシン モノクローナル抗体4G10(UBI、製造番号#05−321)を用いて室温 で2時間ブロッティングすることにより検出した。各レーンのRetタンパク質 の量は、同膜を抗−Ret抗体を用いて剥がし再度プローブすることにより測定 した。検出は、製造業者の指示に従って、化学蛍光試薬(ECL、Amersh am)と組合せてセイヨウワサビペルオキシダーゼ(Amersham、製造番 号#NA931)にコンジュゲートさせたヒツジ抗−マウス二次抗体またはプロ テイン−Aを用いて行った。 MAPキナーゼの活性化は、製造業者の指示に従ってホスホプラスMAPK抗 体キット(New England Biolabs、Beverly、MA、 製造番号#9100)を用いて解析し た。LA−N−5およびNGR−38細胞を、上記のように6−ウエル皿に接種 した。細胞を0.5%ウシ胎児血清(FCS)を含むDMEM中で37℃で24 時間静置した。次いで、細胞を新鮮な培地と共に2時間インキュベートし、50 ng/mlのNGF、GDNF、またはニューチュリンで37℃で5分間処理し 、0.5mMNaVO4を含む150μlの2×SDS−PAGEサンプル緩衝 液中に直接溶解した。細胞溶解物を、10%SDS−PAGEにより分画し、ニ トロセルロースフィルターに移行した。フィルターを、5%無脂肪乾燥ミルクを 用いて4℃で一晩遮断し、次いで、同緩衝液中1:1000希釈の抗−リン酸化 MAPキナーゼ抗体と共に一晩4℃でインキュベートした(New Engla nd Biolabs)。バンドを、セイヨウワサビペルオキシダーゼコンジュ ゲート抗−ウサギ抗体およびLumiGLO化学蛍光試薬を用いて、製造業者の 薦めに従って検出した。X線フィルムにあてた後、フィルターを剥がし抗−MA PK抗体により再プローブした。図25(パネルAおよびB)ニューチュリンおよびGDNFはLA−N−5およ びNGR−38細胞においてMAPキナーゼ活性化を誘導する 25A LA−N−5細胞を、記載のように種々の濃度の GDNFまたはニューチュリンで処理した。細胞を、0.5mMNaVO4を含 む2×SDS−PAGEサンプル緩衝液中で直接溶解し、SDS−PAGEによ り分画し、リン酸化MAPキナーゼ(MAPK−P)に対する抗体でブロッティ ングした。膜を剥がし、各レーンにのせたMAPキナーゼタンパク質の量につい て(MAPK)抗−MAPキナーゼ抗体て再プローブした。 実施例11 GRR2およびGRR3のクローニングおよび発現 グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)によるシグナリングは2つのレセ プター成分により仲介される。GDNFレセプター−α(GDNFR−α)はG DNFに特異的に結合し、GDNFはRetと結合しRetキナーゼは活性化さ れる。同様に、ニューチュリンは、GDNFR−α−関連レセプターであるGR R2との結合によりRet活性化を誘導する。GDNFR−αおよびGRR2の 両方共、GDNFまたはニューチュリンのいずれかに結合できるが、各々その同 種のリガンドに顕著な選択性を示す。3番目の分子がクローン化され、GDNF R−αおよびGRR2に対して構造および一次アミノ酸配列におい て関連性がある。この分子はGDNFR−α−関連レセプター3(GRR3)と 呼ばれる。mRNAブロットおよびインサイトハイブリダイゼーションによるG DNFR−α、GRR2、GRR3、およびRetの組織分布解析により、複重 しているが別個の型の発現であることが判明する。GDNF機能におけるその役 割と一致して、GDNFR−αおよびretは公知のGDNF作用部位において 共発現されている。GRR2およびGRR3転写物はまた、ある場合においてr etのそれと共に局在し、このことはGRR3もまたGDNFまたは関連リガン ドによるRet活性化を仲介し得ることを示唆する。 序 論 グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)は、中脳ドーパミン作動性ニュー ロン、運動ニューロン、および他の数種類のニューロン細胞における強力な生存 因子である。マウスにおけるGDNF遺伝子の標的破壊により、完全な腎非形成 および腸ニューロンの欠失が引き起こされ(Mooreら、Nature、38 2、76−79、1996;Pichelら、Nature、382、73−7 6、1996;Sanchezら、Nature、382、70−73、199 6;およびHudsonら、Brain Research Bul1etin、36、425−32、1995)、この ことは腎および腸神経系の発達においてGDNFが不可欠な役割を担っているこ とを示唆する。GDNFレセプターは、新規リガンド結合成分であるGDNFR −αおよびシグナリング成分であるRetレセプタータンパク質チロシンキナー ゼからなることが発見された。 GDNFR−αはグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合によ り細胞膜に結合しているが、全く細胞質ドメインをもたない。それはGDNFに 特異的におよび高い親和性でRetの存在の如何にかかわらず結合する。Ret は、元来ret癌原遺伝子における大きいオープンリーディングフレームとして 発見されたレセプタータンパク質チロシンキナーゼ(PTK)である。シグナル ペプチド、カドヘリン様モチーフ、およびシステインに富む領域を含む、その特 異な細胞外ドメイン構造は、他の公知のレセプターPTKサブファミリーとは逸 脱している。Retは単独ではGDNFに結合しないが、GDNFおよびGDN FR−αと複合体を形成し、Retを活性化することが判明した。Retキナー ゼの活性化はGDNFの生物学的効果と関連しているようである。RetPKT 遺伝子の標的 破壊により、GDNF破壊から生じたものとほぼ同一の表現型が得られる(Sc huchardtら、Nature、367、380−383、1994)。イ ンサイトハイブリダイゼーションおよび免疫組織学的解析により、発達中中枢お よび末梢神経系およびマウス胚の排泄系において、retmRNAおよびタンパ ク質の高レベルの発現が検出される。この発現パターンはGDNFのそれと類似 しており、GDNFシグナリングにおけるRetの役割と一致する。 GDNFR−αの発現パターンはまた、GDNFシグナリングにおけるその関 与に一致する。GDNFR−αmRNAは、神経系の多くのGDNF−応答性細 胞型および構造において見られ、しばしばretと共に局在する。中枢神経系に おいて、GDNFR−αmRNAは、発達中および成人の両方のラット下部中脳 、顔面神経および下部脊髄において観察された。さらに、プルキンエ細胞に隣接 する土丘、側隔膜、小脳の分子層における特定の細胞、および大脳皮質および背 中線覆蓋における核は、GDNFR−αを発現することが示された。末梢神経系 において、GDNFR−αmRNA発現は、後根神経節のニューロンの亜集合に おいて、腸ニューロンにおいて、および交換 神経節のニューロンにおいて見られた。高レベルのGDNFR−αmRNA発現 がまた、網膜、視床、橋、および延髄を含む神経系の他の領域にも観察された。 発現はまた、例えば発達中のネフロン、下垂体、尿生殖管および膵原基などの非 ニューロン組織においても見られた。 ニューチュリンは、アミノ酸配列および生物学的活性の両方においてGDNF と類似性を示す分子である。GRR2タンパク質(DNFR−α−elat ed eceptor2(GDNFR−α−関連レセプター2))は、アミノ 酸配列がGDNFR−αに関連した新規なタンパク質である。GRR2はGDN Fおよびニューチュリンの両方に結合でき、GDNFR−αのように、これらの リガンドに応答してRetPTKの活性化を仲介する。GDNFおよびニューチ ュリンの両方共、GDNFR−αおよびGRR2の両方に結合できるが、GDN FはGDNFR−αに顕著な選択性を示すが、ニューチュリンはGRR2とより 強く相互作用する。このレセプターファミリーの3番目のメンバーであるDN FR−α−elated eceptor3(GDNFR−α−関連レセプ ター3)(GRR3)もまた認められた。本研究は、GDNFR−α、 GRR2、GRR3、およびretの組織および細胞−特異的mRNA発現を検 証する。 結 果 GRR2およびGDNFR−αを用いたGRR3の分子クローニングおよび配列 比較 公的に人手できる配列データベースの検証により、GDNFR−αおよびGR R2cDNAクローンに相同的な配列を有する短い発現配列タグ(EST)の存 在が判明した(WashU−HHMIマウスESTプロジェクト)。このEST の末端に対応するオリゴヌクレオチドを、逆転写−複製連鎖反応(RT−PCR )におけるプライマーとして、鋳型である全ラット肝RNAと共にとして用いた 。225ヌクレオチド(nt)フラグメントを増幅し、プラスミドベクターにク ローン化し、配列決定してそれが元のGDNFR−α/GRR2−関連ESTに 対応することを確認した。E15ラット胚cDNAライブラリーのプールから単 離したプラスミドDNAをPCRによりスクリーニングし、単一の陽性プールを 発見した。このプールのクローンを、放射標識225ntPCRフラグメントに ハイブリダイゼーションしてスクリーニングし、単一の陽性クローンを 単離した。このクローン由来の1.8kbインサートの配列解析により、GDN FR−αおよびGRR2の両方に関連する397アミノ酸ペプチドをコードする オープンリーディングフレームが判明した。このタンパク質をGDNFR−α− 関連レセプター3(GRR3)と呼んだ。 ラットGDNFR−α、GRR2、およびGRR3のアミノ酸配列のアライン メントを図26に示す。3つのレセプター間での全アミノ酸配列同一性は30% −50%の範囲である。GDNFR−αおよびGRR2は互いに、GRR3(そ れぞれ35%および33%同一性)に対するよりも、より密接に関連している( 48%同一性)。GRR2のアミノ末端以外は、疎水性領域が全3つの分子のア ミノおよびカルボキシ末端両方において認められる(下線、図26)。GDNF R−αおよびGRR3の両方のアミノ末端領域は、シグナルペプチド配列に期待 される特徴を有する。GRR2N−末端配列は古典的シグナルペプチドの範疇に は適合していないが、GRR2が分泌されている証拠がある。GDNFR−αの カルボキシ末端疎水性領域は、細胞膜へのGPI−結合に関与することが知られ ており、GRR2およびGRR3における対応する領域は同目的に 機能しているようである。配列アラインメントの最も驚くべき特徴は、全3つの レセプター間での28システイン残基の保存であり(図26に記載)、このこと はこれらのタンパク質はおそらく類似の三次元構造を有することを示唆する。数 個の潜在的なN−グリコシル化部位がレセプターに存在するが(太文字で示す、 図26)、全3つのレセプターにおいて同じ部位では全く見られなかった。GD NFR−αおよびGRR2は、GRR3において見られない365および427 位において部位を共有し、GRR2は322−323位においてGRR3と可能 な部位を共有する(図26)。成人ラットにおけるGDNFR−α、GRR2、およびGRR3の発現 成人ラット組織におけるGDNFR−α、GRR2、およびGRR3mRNA の発現は、ブロットハイブリダイゼーション解析により検証した。GDNFR− αmRNAは広範に、肺、脳、肝臓、腎臓および脾臓において高いレベルで発現 されている。発現はまた、心臓においても検出可能であり、試験した組織の中で 筋肉および精巣のみに欠失している。2つの異なるサイズの転写物が観察され、 その相対量は組織によって変化する。 3.6kb転写物は肝臓、肺、心臓および脾臓において優勢であるが、3.6k bおよび8.5kb転写物の同等量が脳および腎臓に存在する。GRR2mRN Aの組織分布はGDNFR−αのそれと類似している。GRR2発現は肺、脾臓 および脳において最も高く、腎臓および心臓ではより低い。1つの差異は、肝臓 におけるGRR2発現の欠失である。GRR2転写物のサイズは、約3.6kb であり、2つのGDNFR−α転写物の小さい方に類似している。GRR3mR NAの発現は腎臓で最も高く、脳では欠失している。GRR3の検出可能な発現 はまた脾臓、肺、肝臓および心臓においても存在する。GRR3の転写物のサイ ズは、GDNFR−αおよびGRR2で観察されたものよりも幾分小さい(〜2 .1kb)。マウス胚におけるGDNFR−α、GRR2およびGRR3の発現 GDNFR−α、GRR2およびGRR3mRNAの発達性発現を、胚7、1 1、15、および17日目にマウスにおいて検証した。GDNFR−αの3.6 kb転写物の発現は最初に胚11日目に出現し、胚15日目で幾分減少したが、 胚17日目に劇的に増加した。8.5kbGDNFR−αmRNAの少 量が胚11日目に検出できたが、その後この転写物の発現は検出されない。3. 6kbGRR2転写物の発現は、胚11目目にはほとんど検出できないが、次第 に胚17日目に増加する。2.1kbGRR3mRNAの発現は胚7日目には検 出されないが、胚11日目には極めて強力である。胚11日目以後、発現は減少 し、胚15−胚17では一定である。GDNFR−α、GRR2およびGRR3の発現のインサイトハイブリダイゼー ション解析 GDNFR−α、GRR2およびGRR3の潜在的役割および機能部位の糸口 を提供するために、その発現を、GDNFの生物学的効果が実証される領域にお いて検証した。胚18日目のラット胚において、GDNFは、腎臓の成長尿管芽 および成熟ネフロン並びに腸の腸ニューロンにおいて高度に発現されている。G DNFR−αはGDNFと同じ腎臓および腸の領域において認められるが、それ はまた背側および腹側脊髄の両方において中低度のレベルで発現される。ret は同様に腎臓および腸において発現されるが、その腎臓における発現は尿管芽に 限られるようである。retの発現は腹側運動ニューロンにおいて高いが、脊髄 の背側には低い。retのように、GRR2 の腎臓における発現は尿管芽に限られる。GRR2は、脊髄の背側および腹側の 領域両方において発現される。弱く広範なハイブリダイゼーションシグナルがG DNF、ret、およびGDNFR−αについて肝臓で検出された。 生後7日目のラットにおいて、ret発現は黒質、三叉神経節においてかなり のレベルで、およびより低いレベルで網様体視床核において検出できた。GDN FR−α発現は、網様体および腹側正中視床核並びに内側手綱核において高い。 GDNFR−αの中程度の発現が黒質において観察され、低いが検出可能なレベ ルで海馬において認められる。GRR2は中程度で網膜視床核、腹側正中視床核 、大脳皮質(特に帯皮質)および黒質において中程度で発現される。我々は、P 7ラット脳においてGRR3の発現を全く検出できなかったが、三叉神経節にお いては有意な発現が検出できた。 議 論 本研究は、GDNFR−αおよびGRR2に関連した新規な分子であるGRR 3の単離を記載し、retの組織発現をGDNFRレセプターファミリーの全3 つのメンバーと比較する。GRR2はGDNFR−αに対してアミノ酸配列が4 8% 同一性であるが、GRR3は35%同一性で幾分関連性が低い。28システイン 残基の位置が全3つの分子において保存されている。GDNFR−αのように、 GRR2およびGRR3の両方共細胞膜へのGPI結合に関与し得る疎水性C− 末端を有し、両方共細胞質ドメインをもたない。この強い配列および構造特徴の 保存により、GDNFR−α、GRR2、およびGRR3はGDNFおよび関連 リガンドの新規なファミリーのレセプターを規定することが示される。GDNF シグナリングはGDNFR−αへの結合により開始され、RetPTKの結合お よび続く活性化により達成される。GDNFR−αおよびGRR2とのその配列 および構造類似性に基づいて、GRR3は、GDNF、ニューチュリンおよび/ またはこのリガンドファミリーのまだ発見されていないメンバーであるその他に 対する結合対として機能するようである。 成人ラット組織におけるGDNFR−α、GRR2およびGRR3の発現パタ ーンは、類似しているが異なる。全3つのmRNAが、肺、脾臓、心臓および腎 臓において見られるが、3つのどれも筋肉または精巣において有意な発現を示さ なかった。成人脳は、GDNFR−αおよびGRR2mRNAの高発 現を示すが、ほとんどまたは全くGRR3は検出されない。GDNFR−αmR NAの発現は肝臓において高いが、GRR2mRNAはほとんど存在しない。も しGDNF、ニューチュリンおよびまだ発見されていないGDNF−様リガンド であるその他が専らRetを介してシグナルを出すのであれば、リガンド−特異 的結合レセプターの発現パターンにおける差異により、リガンド組織特異性の機 構が提供できる。c−retの発現は胚8.5から胚16.5の期間検出できる ので、レセプタータンパク質の経時的発現における差異はまた発達中のリガンド 特異性を規定できる。 全レセプターおよびc−retの発現は、Retノックアウト動物において見 られるほとんどの重度の傷害部位である成人腎臓において高い。インサイトハイ ブリダイゼーション解析により、ret、GDNFR−α、GRR2およびGR R3は数個の組織に共局在し、これによりGRR2およびGRR3はまたRet との相互作用を介してそのインビボ効果を奏効し得ることが示される(表5)。*高レベルの発現が成人腎臓において検出された。 GDNFR−αおよびGRR2は両方共、腎臓および腸、黒質、視床、および 腹側脊髄運動ニューロンにおいてretと共に転写される。この発見は、GDN Fがドーパミン作動性および運動ニューロンの生存を宜進できること、およびR etおよびGDNFノッタアウト動物の表現型と一致する。脳ではほとんどGR R3の発現が認められなかったが、胚18およびP7ラットの三叉神経節におい てretおよびGDNFR−αと共 に共発現されている。これらの観察により、GDNF作用は、常にRetを介し てシグナルを出しているが、組織および発達段階に依存して異なる結合成分との 結合により調節され得ることが示される。 retの発現はしばしばGDNFR−α、GRR2およびGRR3の発現と共 に局在しているが、ret発現は検出不可能であるが、高レベルで1つ以上の結 合レセプターを発現する数個の部位がある。脾臓または肺においてほとんどまた は全くretは発現されないが、全3つのレセプターは高レベルで発現される。 高レベルのGDNFR−αmRNAは、肝臓、内側手綱核、および海馬に見られ るが、GRR2発現は皮質において著しい。これらの領域のいずれにおいてもr et発現はほとんど観察されなかった。高いGDNFR発現の部位におけるre t発現の欠失は、Ret以外のシグナリング対が、これらの組織においてGDN FRにより使用され得るかまたはレセプターは別の作用機構を有することを示唆 する。レセプターは、GDNFファミリーのリガンドを隔離するように作用し得 るかまたは膜結合レセプターの画分が放出され可溶性レセプターとしてリガンド 機能を仲介するという2つの可能性がある。実験方法 GRR3のクローニング ゲンバンクデータベースを、ウイスコンシン配列解析パッケージを用いてGD NFR−αおよびGRR2に関連した配列について検索した(Wisconsi n Package Version 9.0、Genetics Compu ter Group、Madison、WI)。ESTAA238748.Gb _New2の末端付近の領域に対応するオリゴヌクレオチドプライマーを合成し た。AA238748.Gb_New2に対応するプライマーを、各々ラットE 15胚cDNAライブラリー由来の1000クローンの83プールのPCRスク リーニングに用いた。単一の陽性プールをこの方法により同定した。このプール から増幅したDNAフラグメントを、プラスミドペクターにサブクローニングし 、インサートを、Taqダイデオキシ・ターミネーター・サイクル・配列決定キ ットと共にアプライド・バイオシステムズ373A自動DNAシークエンサーを 用いて配列決定した(Applied Biosystems、Foster City、CA)。次いで、インサートをランダム・プライムドDNA標識キッ ト(Stratagene、 La Jolla、CA)を用いて製造業者の指示に従って[32P]−dCTP で標識した。PCRにより陽性と同定されたcDNAライブラリープール由来の クローンを、15cmアガロースプレート土にまき、放射標識インサートへのハ イブリダイゼーションによりスクリーニングするために二重セルロースフィルタ ー上に複製した。フィルターを、55℃で3.5時間200mlの6×SSC、 1×デンハード、0.5%SDS、および50μg/mlサケ精子DNA中プレ ハイブリダイゼーションした。2×108cpmの放射標識プローブを添加後、 ハイブリダイゼーションを18時間続けた。次いで、フィルターを2回30分間 各55℃で0.2×SSC、0.1%SDS中で洗浄し、強化スクリーンと共に 一晩X線にあてた。DNA配列決定および配列解析 ハイブリダイゼーションにより陽性とスクリーニングされたクローン由来のD NAを調製し、自動アプライド・バイオシステムズ373A自動DNAシークエ ンサーおよびTaqダイデオキシ・ターミネーター・サイクル・配列決定キット (Applied Biosystems、Foster City、CA)を 用いて配列決定した。GDNFR−α、GRR2およびGRR3 のペプチド配列を、ラインアッププログラムを用いてアラインした(Wisco nsin Package Version 9.0、Genetics Co mputer Group、Madison、WI)。ブロットハイブリダイゼーション解析 ブロットハイブリダイゼーション解析用に、製造業者の指示に従ってクローン 化ラットGRR3cDNAをランダム・プライムドDNA標識キット(Boeh ringer Mannheim、Indianapolis、IN)を用いて 標識した。ラットおよびマウスRNAブロット(Clontech)をプローブ とハイブリダイズし、高ストリンジェント下でエクスプレスHybキット(Cl ontech、Palo Alto、CA)の試薬を用いて製造業者の指示に従 って洗浄した。X線フィルムにあてた後、フィルターを、0.5%SDS中10 分間煮沸し、プローブを剥がし全RNA負荷量の対照としてβ−アクチンプロー ブ(Clontech、Palo Alto、CA)と再度ハイブリダイズした 。インサイトハイブリダイゼーション GDNF、ret、GDNFR−α、GRR2、およびGRR3 のアンチセンスリボプローブを用いたインサイトハイブリダイゼーションは、Z houら(Journal Of Neuroscience Researc h、37、129−143、1994)に従って実施した。retプローブは、 ラットretcDNAの細胞外ドメインから誘導した316ntフラグメントで ある。GDNF mRNAは、ラットGDNFcDNAクローンの303ntフ ラグメント(ヌクレオチド#50−352、Linら、1993)を用いて検出 した。GDNFR−α転写物は、アミノ酸339−413に対応する205nt アンチセンスリボプローブで検出した(図26)。GRR3転写物はアミノ酸2 39−315に対応する225ntアンチセンスリホプローブで検出した(図2 6)。 本発明は、好ましい実施形態および核酸およびアミノ酸の例に関して記載した が、当業者により変形および修飾を施し得ることを理解されたい。ゆえに、添付 の請求の範囲は請求した本発明の範囲内のかかる全ての等価な変化を包含する。
【手続補正書】特許法第184条の4第4項 【提出日】平成10年12月22日(1998.12.22) 【補正内容】 請求の範囲 1.(a)配列番号36のアミノ酸配列、 (b)配列番号38のアミノ酸配列、 (c)配列番号40のアミノ酸配列、 (d)配列番号42のアミノ酸配列、 (e)配列番号43のアミノ酸配列、および (f)配列番号44のアミノ酸配列からなる群から選択されたアミノ酸配列を含 む単離され精製されたタンパク質。 2.(a)配列番号36のCys40からCys421を含むアミノ酸配列、 (b)配列番号38のCys44からCys389を含むアミノ酸配列、 (c)配列番号40のCys36からCys417を含むアミノ酸配列、 (d)配列番号42のCys41からCys337を含むアミノ酸配列、 (e)配列番号43のCys46からCys446を含むアミノ酸 配列、および (f)配列番号44のCys41からCys435を含むアミノ酸配列からなる群か ら選択されたアミノ酸配列を含む単離され精製されたタンパク質。 3.タンパク質は神経栄養因子と複合体を形成し、よって該神経栄養因子への細 胞応答を仲介できる、請求項1または2のアミノ酸配列の置換、欠失または付加 類似体を含む単離され精製されたタンパク質。 4.グリコシル化されている請求項1−3のいずれかのタンパク質。 5.グリコシル化されていない請求項1−3のいずれかのタンパク質。 6.組換え技術または化学合成により生産される請求項1−5いずれかのタンパ ク質。 7.請求項1−6のいずれか一項で記載したタンパク質を、医薬的に許容される 担体と組合せて含む医薬組成物。 8.(a)配列番号36のアミノ酸配列、 (b)配列番号38のアミノ酸配列、 (c)配列番号40のアミノ酸配列、 (d)配列番号42のアミノ酸配列、 (e)配列番号43のアミノ酸配列、および (f)配列番号44のアミノ酸配列からなる群から選択されたアミノ酸配列を含 む神経栄養因子レセプタータンパク質をコードする単離されたポリ核酸分子。 9.(a)配列番号36のCys40からCys421を含むアミノ酸配列、 (b)配列番号38のCys44からCys389を含むアミノ酸配列、 (c)配列番号40のCys36からCys417を含むアミノ酸配列、 (d)配列番号42のCys41からCys337を含むアミノ酸配列、 (e)配列番号43のCys46からCys446を含むアミノ酸配列、および (f)配列番号44のCys41からCys435を含むアミノ酸配列からなる群か ら選択されたアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタータンパク質をコードす る単離されたポリ核酸分子。 10.タンパク質は、神経栄養因子と複合体を形成し、よって 細胞応答を該神経栄養因子に仲介できる、詰求項8または9のアミノ酸配列の置 換、欠失または付加類似体を含む神経栄養因子レセプタータンパク質をコードす る単離されたポリ核酸分子。 11.神経栄養因子と複合体を形成する神経栄養因子レセプタータンパク質をコ ードする単離されたポリ核酸分子であって、該ポリ核酸分子は、 (a)Met1からLeu464をコードするヌクレオチドを含む配列番号35また はMet1からTrp400をコードするヌクレオチドを含む配列番号37またはヌ クレオチドMet1からLeu460を含む配列番号39またはヌクレオチドMet1 からTrp397を含む配列番号41の分子; (b)(1)(a)の相補的配列またはその縮退配列にハイブリダイズし、(2 )ハイブリダイゼーション条件は4×SSCで45−55℃または30−40% ホルムアミドで40−55℃でのハイブリダイゼーション、またはストリンジェ ントなハイブリダイゼーション条件を使用するポリ核酸分子からなる群から選択 するものである、単離されたポリ核酸分子。 12.請求項8−11のいずれかのポリ核酸分子を含むベクター。 13.請求項12のベクターで形質転換またはトランスフェクトした宿主細胞。 14.請求項8−11のいずれかのポリ核酸分子で形質転換またはトランスフェ クトした宿主細胞。 15.(a)配列番号36のCys40からCys421を含むアミノ酸配列、 (b)配列番号38のCys44からCys389を含むアミノ酸配列、 (c)配列番号40のCys36からCys417を含むアミノ酸配列、 (d)配列番号42のCys41からCys337を含むアミノ酸配列、 (e)配列番号43のCys46からCys446を含むアミノ酸配列、および (f)配列番号44のCys41からCys435を含むアミノ酸配列からなる群か ら選択されたアミノ酸配列を含む、神経栄養因子レセプタータンパク質をコード するポリ核酸分子を発現するように形質転換またはトランスフェクトした宿主細 胞。 16.該細胞はヒト移植に適当であり、該細胞は該神経栄養因 子レセプターを発現および分泌する、請求項13−15のいずれかの宿主細胞。 17.該細胞は生体外で形質転換またはトランスフェクトされる請求項13−1 5のいずれかの宿主細胞。 18.該細胞はヒト移植に適当な半透膜に封入されている請求項13−15のい ずれかの宿主細胞。 19.神経栄養因子タンパク質と複合体を形成する神経栄養因子レセプタータン パク質の産生法であって、該方法は、 (a)(i)配列番号36のアミノ酸配列、 (ii)配列番号38のアミノ酸配列、 (iii)配列番号40のアミノ酸配列、 (iv)配列番号42のアミノ酸配列、 (v)配列番号43のアミノ酸配列、および (vi)配列番号44のアミノ酸配列からなる群から選択されたアミノ酸配列を 含む神経栄養因子レセプタータンパク質をコードするポリ核酸分子を含む宿主細 胞を該宿主細胞による該神経栄養因子レセプタータンパク質の発現に適当な条件 下で培養し;および (b)任意に、該宿主細胞により発現される該神経栄養因子レ セプタータンパク質を単離する段階を含む方法。 20.神経栄養因子タンパク質と複合体を形成する神経栄養因子レセプタータン パク質の産生法であって、該方法は、 (a)(i)配列番号36のCys40からCys421を含むアミノ酸配列、 (ii)配列番号38のCys44からCys389を含むアミノ酸配列、 (iii)配列番号40のCys36からCys417を含むアミノ酸配列、 (iv)配列番号42のCys41からCys337を含むアミノ酸配列、 (v)配列番号43のCys46からCys446を含むアミノ酸配列、および (vi)配列番号44のCys41からCys435を含むアミノ酸配列からなる群 から選択されたアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタータンパク質をコード するポリ核酸分子を含む宿主細胞を、該宿主細胞による該神経栄養因子レセプタ ータンパク質の発現に適当な条件下で培養し;および (b)任意に、該宿主細胞により発現される該神経栄養因子レ セプタータンパク質を単離する段階を含む方法。 21.神経栄養因子タンパク質と複合体を形成する神経栄養因子レセプタータン パク質の産生法であって、 (a)請求項1−3のいずれかのアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタータ ンパク質をコードするポリ核酸分子を発現する形質転換またはトランスフェクト 宿主細胞を、該宿主細胞による該神経栄養因子レセプタータンパク質の発現に適 当な条件下で培養し;および (b)任意に、該宿主細胞により発現される該神経栄養因子レセプタータンパク 質を単離する段階を含む方法。 22.単離神経栄養因子レセプターをリホールドする段階をさらに含む請求項1 9−21のいずれかの方法。 23.該宿主細胞は原核細胞である、請求項19−21のいずれかの方法。 24.該宿主細胞は真核細胞である、請求項19−21のいずれかの方法。 25.請求項19−21のいずれかの方法により製造した実質的に精製した神経 栄養因子レセプタータンパク質。 26.医薬組成物の製造における請求項1の神経栄養因子レセ プタータンパク質の使用。. 27機能が傷害されたドーパミン作動性神経細胞、パーキンソン病、アルツハイ マー病または筋萎縮側索硬化症を処置する医薬組成物の製造における請求項1の 神経栄養因子レセプタータンパク質の使用。 28.請求項1−3のいずれかのアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタータ ンパク質に結合する抗体。 29.該抗体はモノクローナル抗体である請求項41の抗体。 30.該抗体はポリクローナル抗体である請求項41の抗体。 31.請求項1−3のいずれかのアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタータ ンパタ質で動物を免疫化することにより産生した抗体。 32.請求項1−3のいずれかのアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタータ ンパク質に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。 33.(a)移植に適当な半透膜;および (b)該膜でカプセル化した細胞(該細胞は請求項1−3のいずれかに記載の神 経栄養因子レセプタータンパク質を分泌し、該膜は神経栄養因子レセプタータン パク質には透過性であるが、 該細胞に有害な物質には非透過性である)を含む、神経傷害を処置する装置。 34.該細胞は該神経栄養因子レセプタータンパク質を分泌する天然に存在する 細胞である、請求項34の装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/00 A61P 25/28 25/18 C07K 14/71 25/28 17/00 C07K 14/71 C12N 1/21 17/00 C12P 21/02 C C12N 1/21 21/08 5/10 C12Q 1/00 Z C12P 21/02 G01N 33/15 Z 21/08 33/50 Z C12Q 1/00 33/53 D G01N 33/15 33/577 B 33/50 A61K 35/74 A 33/53 39/395 D 33/577 N // A61K 35/74 (C12N 1/21 39/395 C12R 1:19) (C12P 21/08 (C12N 1/21 C12R 1:91) C12R 1:19) C12N 15/00 ZNAA (C12P 21/08 5/00 B C12R 1:91) A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,V N,YU,ZW (72)発明者 チン,シユウチエン アメリカ合衆国、カリフオルニア・91362、 サウザンド・オークス、ボーダロー・レイ ン・3254 (72)発明者 ウエン,ドウアンチイ アメリカ合衆国、カリフオルニア・91360、 サウザンド・オークス、レインダンス・ス トリート・517

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.タンパク質がグリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)と複合体を形成で き、よってGDNFへの細胞応答を仲介できる、図2または4(配列番号2また は4)で示したアミノ酸配列およびその類似体を含む単離および精製タンパク質 。 2.図2(配列番号2)で示したアミノ酸配列を含む請求項1のタンパク質。 3.図4(配列番号4)で示したアミノ酸配列を含む請求項1のタンパク質。 4.図2(配列番号2)で示したアミノ酸配列Ser18からPro446を含む請 求項1のタンパク質。 5.図2(配列番号2)で示したアミノ酸配列Asp25からLeu447を含む請 求項1のタンパク質。 6.図2(配列番号2)で示したアミノ酸配列Cys29からCys442を含む請 求項1のタンパク質。 7.図4(配列番号4)で示したアミノ酸配列Ala19からVal450を含む請 求項1のタンパク質。 8.図4(配列番号4)で示したアミノ酸配列Cys29から Cys443を含む請求項1のタンパク質。 9.グリコシル化されている請求項1のタンパク質。 10.非グリコシル化されている請求項1のタンパク質。 11.組換え技術または化学合成により産生される請求項1−10のタンパク質 。 12.請求項1−10のいずれか一項で記載したタンパク質を、医薬的に許容さ れる担体と組合せて含む医薬組成物。 13.請求項1−8のいずれか一項で記載したアミノ酸配列を含む、神経栄養因 子レセプタータンパク質をコードする単離核酸配列。 14.タンパク質がグリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)と複合体を形成 でき、よってGDNFへの細胞応答を仲介できる、図2または4(配列番号2ま たは4)で示したアミノ酸配列およびその類似体を含む神経栄養因子レセプター タンパク質をコードする単離核酸配列。 15.図2(配列番号2)で示したアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプター タンパク質をコードする請求項14の核酸配列。 16.図4(配列番号4)で示したアミノ酸配列を含む神経栄 養因子レセプタータンパク質をコードする請求項14の核酸配列。 17.(a)Met1からSer465をコードするヌクレオチドを含む図1(配列 番号1)、またはMet1からSer468をコードするヌクレオチドを含む図3( 配列番号3)に示した配列(ただし、該配列は、グリア細胞系由来神経栄養因子 (GDNF)と複合体を形成でき、よってGDNFへの細胞応答を仲介できる、 神経栄養因子レセプタータンパク質(GDNFR)をコードする); (b)(1)(a)の相補的配列とハイブリタイズし、(2)GDNFR活性を 有するアミノ酸配列をコードする核酸配列;および (c)遺伝子コード縮重がなければ(a)の相補的配列にハイブリダイズし、( 2)GDNFR活性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む単離核酸 配列。 18.該核酸配列の増幅または発現を奏効できる1つ以上の機能エレメントに機 能的に結合させた請求項14−17のいずれかに記載の核酸配列を含むベクター 。 19.該核酸配列の増幅または発現を奏効できる1つ以上の機 能エレメントに機能的に結合させた図2または4(配列番号2または4)に示し たアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタータンパク質をコードする核酸配列 を含むベクター。 20.請求項18のベクターで形質転換またはトランスフェクトさせた宿主細胞 。 21.請求項19のベクターで形質転換またはトランスフェクトさせた宿主細胞 。 22.哺乳動物細胞および細菌細胞からなる群から選択した請求項20の宿主細 胞。 23.COS−7細胞または大腸菌である請求項22の宿主細胞。 24.該細胞はヒト移植に適当であり、該細胞は該神経栄養因子レセプターを発 現および分泌する、請求項20の宿主細胞。 25.該細胞はヒト移植に適当であり、該細胞は該神経栄養因子レセプターを発 現および分泌する、請求項21の宿主細胞。 26.該細胞は生体外で形質転換またはトランスフェクトさせる、請求項20の 宿主細胞。 27.該細胞をヒト移植に適当な半透膜に封入する、請求項20の宿主細胞。 28.(a)図2または4(配列番号2または4)で示したアミノ酸配列および その類似体を含む神経栄養因子レセプタータンパク質をコードする核酸配列を含 む宿主細胞を培養し(ここでタンパク質は、該宿主細胞による該神経栄養因子レ セプタータンパク質の発現に適当な条件下で、グリア細胞系由来神経栄養因子( GDNF)と複合体を形成し、よってGDNFへの細胞応答を仲介できる);お よび (b)任意に、該宿主細胞により発現される該神経栄養因子レセプタータンパク 質を単離する段階を含む、 神経栄養因子レセプタータンパク質の産生法。 29.該核酸配列は、図2(配列番号2)に示したアミノ酸配列を含む神経栄養 因子レセプタータンパク質をコードする請求項28の方法。 30.該核酸配列は、図4(配列番号4)に示したアミノ酸配列を含む神経栄養 因子レセプタータンパク質をコードする請求項28の方法。 31.(a)該宿主細胞による該神経栄養因子レセプタータンパク質の発現に適 当な条件下で、請求項17に記載の核酸配列で形質転換またはトランスフェクト した宿主細胞を培養し;お よび (b)任意に該宿主細胞により発現される該神経栄養因子レセプタータンパク質 を単離する段階を含む、神経栄養因子レセプタータンパク質の産生法。 32.単離神経栄養因子レセプターをリホールドする段階をさらに含む、請求項 28または31の方法。 33.該宿主細胞は原核細胞である、請求項28または31の方法。 34.該宿主細胞は真核細胞である、請求項28または31の方法。 35.請求項28−31のいずれかの方法により製造した実質的に精製された神 経栄養因子レセプタータンパク質。 36.医薬組成物の製造における請求項1の神経栄養因子レセプタータンパク質 の使用。 37請求項1の神経栄養因子レセプタータンパク質を投与することによる、機能 が傷害されたドーパミン神経細胞の処置法。 38.請求項1の神経栄養因子レセプタータンパク質の投与によるパーキンソン 病の処置法。 39.請求項1の神経栄養因子レセプタータンパク質の投与に よるアルツハイマー病の処置法。 40.請求項1の神経栄養タンパク質の投与による筋萎縮性側索硬化症の処置法 。 41.配列番号2または4のアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタータンパ ク質に結合する抗体。 42.該抗体はモノクローナル抗体である請求項41の抗体。 43.該抗体はポリクローナル抗体である請求項41の抗体。 44.配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタ ータンパク質で動物を免疫化することにより産生された抗体。 45.配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタ ータンパク質に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。 46.(a)移植に適当な半透膜;および (b)該膜でカプセル化した細胞(該細胞は請求項1に記載の神経栄養因子レセ プタータンパク質を分泌し、該膜は神経栄養因子レセプタータンパク質に透過性 であり、該細胞に有害な物質には不透過性である)を含む、神経障害の処置装置 。 47.該細胞は、該神経栄養因子レセプタータンパク質を分泌 する、天然に存在する細胞である請求項46の装置。 48.該細胞は (a)グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)と複合体を形成し、GDNF への細胞応答を仲介できる神経栄養因子レセプタータンパク質(GDNFR)を コードする、Met1からSer465をコードするヌクレオチドを含む図1(配列 番号1)、またはMet1からSer468をコードするヌクレオチドを含む図3( 配列番号3)に示した配列; (b)(1)(a)の相補的配列にハイブリタイズし、(2)GDNFR活性を 有するアミノ酸配列をコードする核酸配列;および (c)遺伝子コードの縮重がなければ(a)の相補的配列にハイブリダイズし、 (2)GDNFR活性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列、を含む核酸 配列により該神経栄養因子レセプタータンパク質を分泌するように修飾されてい る請求項46の装置。 49.GDNFRタンパク質を含むまたはそれで被覆された固体相を含む(ここ で該GDNFRタンパク質は試験サンプル中に存在するGDNFと反応し、GD NFの存在を示す検出可能 な反応産物を産生する)、グリア細胞系由来神経栄養因子の存在について試験サ ンプルを分析するアッセイ装置。 50.サンプルをGDNFRタンパク質を含むアッセイ試薬と接触させることを 含む(ここで該GDNFRタンパク質は試験サンプル中に存在するGDNFと反 応し、GDNFの存在を示す検出可能な反応産物を産生する)、グリア細胞系由 来神経栄養因子の存在について試験サンプルを分析する方法。 51.タンパク質は、グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)またはニュー チュリン神経栄養因子と複合体を形成し、よって該神経栄養因子に細胞応答を仲 介する、図14、15、16、17、18、19または26に示したGDNFR −α、GRR2、GRR3またはGDNFR共通配列のアミノ酸配列を含む、単 離および精製タンパク質。 52.医薬的に許容される担体と組合せて請求項51に記載したタンパク質を含 む医薬組成物。 53.請求項51のアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタータンパク質をコ ードする単離核酸配列。 54.(a)該配列は、グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)またはニュ ーチュリン神経栄養因子と複合体を形成し、よって 細胞応答を該神経栄養因子に仲介できる、神経栄養因子レセプタータンパク質( GDNFR)をコードする図19または26に示した配列; (b)(1)(a)の相補的配列にハイブリタイズし、(2)GDNFR活性を 有するアミノ酸配列をコードする核酸配列;および (c)遺伝子コードの縮重がなければ(a)の相補的配列にハイブリダイズし、 (2)GDNFR活性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、単離 核酸配列。 55.該核酸配列の増幅または発現を奏効できる1つ以上の機能エレメントに機 能的に結合させた請求項53または54に記載の核酸配列を含むベクター。 56.請求項55のベクターで形質転換またはトランスフェクトさせた宿主細胞 。 57.該細胞はヒト移植に適当であり、該細胞は該神経栄養因子レセプターを発 現および分泌する請求項56の宿主細胞。 58.該細胞は生体外で形質転換またはトランスフェクトさせる請求項56の宿 主細胞。 59.該細胞はヒト移植に適当な半透膜に封入される、請求項 56の宿主細胞。 60.(a)請求項51のアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタータンパク 質をコードする核酸配列を含む宿主細胞を培養し(ここで、該宿主細胞による該 神経栄養因子レセプタータンパク質の発現に適当な条件下、タンパク質は、グリ ア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)またはニューチュリン神経栄養因子と複 合体を形成し、よって細胞応答を該神経栄養因子に仲介できる);および (b)任意に、該宿主細胞により発現される該神経栄養因子レセプタータンパク 質を単離する段階を含む神経栄養因子レセプタータンパク質の産生法。 61.請求項51の神経栄養因子レセプタータンパク質の投与による機能が傷害 されたドーパミン作動性神経細胞の処置法。 62.請求項51のアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタータンパク質に結 合する抗体。 63.請求項51のアミノ酸配列を含む神経栄養因子レセプタータンパク質に結 合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。 64.(a)移植に適当な半透膜;および (b)該膜でカプセル化した細胞(該細胞は請求項51に記載の神経栄養因子レ セプタータンパク質を分泌し、該膜は神経栄養因子レセプタータンパク質には透 過性であるが、該細胞に有害な物質には非透過性である)を含む、神経傷害を処 置する装置。 65.GDNFRタンパク質を含むまたはそれで被覆された固体相を含む(ここ で該GDNFRタンパク質は試験サンプル中に存在する神経栄養因子と反応し、 神経栄養因子の存在を示す検出可能な反応産物を産生する)、神経栄養因子の存 在について試験サンプルを分析するアッセイ装置。 66.サンプルをGDNFRタンパク質を含むアッセイ試薬と接触させることを 含む(ここで該GDNFRタンパク質は試験サンプル中に存在する神経栄養因子 と反応し、神経栄養因子の存在を示す検出可能な反応産物を産生する)、神経栄 養因子の存在について試験サンプルを分析する方法。 67.サンプルを、GDNFRタンパク質を含むアッセイ試薬と接触させ(ここ で該GDNFRタンパク質は該リガンドと反応してGDNFRタンパク質/リガ ンド複合体を形成し、該複合体は該レセプターチロシンキナーゼの細胞外リガン ド結合ド メインに結合する)、キナーゼドメインの活性化および細胞内シグナリングを仲 介する特異的基質のリン酸化を検出することを含む、リガンドがレセプターチロ シンキナーゼを活性化するか否かを決定する方法。 68.該レセプターチロシンキナーゼはc−ret癌原遺伝子である、請求項6 7の方法。 69.細胞は、細胞内シグナリングを検出する触媒的タンパク質−チロシンキナ ーゼドメインを含む細胞外リガンド結合ドメイン、トランスメンブランドメイン および細胞質セグメントを含むように修飾された、請求項67の方法。
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