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JP2002338343A - 誘電体磁器組成物の製造方法および電子部品の製造方法 - Google Patents

誘電体磁器組成物の製造方法および電子部品の製造方法

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JP2002338343A
JP2002338343A JP2001148205A JP2001148205A JP2002338343A JP 2002338343 A JP2002338343 A JP 2002338343A JP 2001148205 A JP2001148205 A JP 2001148205A JP 2001148205 A JP2001148205 A JP 2001148205A JP 2002338343 A JP2002338343 A JP 2002338343A
Authority
JP
Japan
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component
dielectric
composition
oxide
producing
Prior art date
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Pending
Application number
JP2001148205A
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English (en)
Inventor
Ikuka Chiba
郁華 千葉
Akira Sato
陽 佐藤
Takeshi Nomura
武史 野村
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Ceramic Capacitors (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 低温で焼成しても各種電気特性を損なうこと
なく緻密化した誘電体磁器組成物を得ることができる誘
電体磁器組成物の製造方法を提供すること。 【解決手段】 2種類以上のM1の化合物(ただし、M
1はアルカリ金属)を含む第1成分と、M2の化合物
(ただし、M2はV族元素およびVI族元素)を含む第
2成分と、M3の化合物(ただし、M3はBa、Ca、
Sr、Mg、Mn、B、AlおよびZnから選ばれる少
なくとも1つ)を含む第3成分と、Siの酸化物、また
は焼成によりSiの酸化物になる化合物を含む第4成分
とを有し、四面体組成図で表したとき、前記組成比が、
前記点B、点Cおよび点Dで囲まれるBCD面(第1成
分=0の組成)上を除く領域を満たす焼結助剤を用い
て、前記誘電体磁器組成物を製造することを特徴とする
誘電体磁器組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば積層セラ
ミックコンデンサの誘電体層などとして用いられる誘電
体磁器組成物の製造方法と、その誘電体磁器組成物を誘
電体層として用いる電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子部品の一例である積層型セラミック
コンデンサを構成する従来の誘電体磁器組成物は、強誘
電体であるチタン酸バリウム(BaTiO)や、常
誘電体であるチタン酸ストロンチウム(SrTi
)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、ジ
ルコン酸ストロンチウムカルシウム(CaSrZrO
)、ジルコン酸カルシウム(CaZrO)、ジ
ルコン酸ストロンチウム(SrZrO)、酸化チタ
ン(TiO)、チタン酸ネオジム(NdTi
)などの各種誘電体酸化物を含む主成分を有す
る。
【0003】この種の誘電体磁器組成物は、そのままで
は焼結し難いことから、各種焼結助剤を加えて上で13
00℃を超える温度で焼成されていた。また、この種の
誘電体磁器組成物は、低酸素分圧である中性雰囲気また
は還元性雰囲気下で焼成すると、還元されて半導体化す
る性質を有していたことから、該誘電体磁器組成物を用
いて積層型セラミックコンデンサを製造するに際して
は、高酸素分圧である酸化性雰囲気下で焼成することを
余儀なくされていた。
【0004】このため、誘電体磁器組成物と同時に焼成
される内部電極材料としては、該誘電体磁器組成物が焼
結する温度で溶融しない程度の高い融点をもち、酸化性
雰囲気下で焼成しても酸化されない、などの特性を有す
る貴金属(たとえばパラジウムや白金など)を用いる必
要があった。
【0005】しかしながら、貴金属は一般に高価である
ことから、コンデンサ内に占める内部電極材料費が全体
の中でかなりの割合を占めることになり、製造される積
層型セラミックコンデンサの低価格化に支障をきたして
いた。
【0006】また、焼成温度が高いと、(1)焼成炉そ
のものの価格も高価な上に、用いる焼成炉の損傷も激し
くなり、焼成炉の保守や管理コストなどが使用時間の経
過につれて漸次増加するとともに、磁器化に要するエネ
ルギーコストも膨大になってしまう。(2)誘電体磁器
組成物と内部電極材料との間の熱膨張係数の差により応
力が溜まりやすく、クラックの発生や比誘電率の低下な
どの不都合を生じる要因ともなる。
【0007】したがって、低温で焼成が可能であり、安
価な卑金属(たとえばニッケルや銅など)を内部電極の
材料に用いて中性雰囲気または還元性雰囲気下で焼成し
ても半導体化せず、すなわち耐還元性に優れ、焼成後に
は十分な比誘電率や優れた誘電特性を有する、誘電体磁
器組成物を開発することが必要である。
【0008】この種の誘電体磁器組成物としては、従来
から種々の提案がなされている。
【0009】たとえば、特許第2997236号公報
(特開平10−335169号公報)では、次に示す誘
電体磁器組成物が開示してある。この誘電体磁器組成物
は、{(CaSr1−x )O}{(Ti
Zr1−y )O}で示される組成の誘電体酸化物
(ただし、0≦x≦1、0≦y≦0.10、0.75≦
m≦1.04)を主成分とし、この主成分に対して所定
量の副成分を含有する。副成分は、MnO換算で0.2
〜5モル%のMn酸化物と、Al換算で0.
1〜10モル%のAl酸化物と、0.5〜15モル%の
{(BaCa 1−z )O}SiO(ただ
し、0≦z≦1、0.5≦v≦4.0)とで構成され
る。すなわち、Mn酸化物と、Al酸化物と、ケイ酸バ
リウム/カルシウムとが焼結助剤として含有してある。
【0010】特開平5−17222号公報では、次に示
す誘電体磁器組成物が開示してある。この誘電体磁器組
成物は、{(CaSr1−x )O}{(Ti
Zr1−y )O}で示される組成の誘電体酸化
物(ただし、0.35≦x≦0.5、0.9≦y、1.
00≦m≦1.04)を主成分とし、この主成分に対し
て所定量の副成分を含有する。副成分は、0.01〜
0.05モル%のLi SiOと、0.01〜
0.05モル%のMF(ただし、MはCa、Sr、
BaおよびMgから選ばれる少なくとも1種の元素)と
で構成される。すなわち、ケイ酸リチウムと、アルカリ
土類金属のフッ化物とが焼結助剤として含有してある。
【0011】特開平5−217426号公報では、次に
示す誘電体磁器組成物が開示してある。この誘電体磁器
組成物は、{(CaSr1−x )O}{(T
Zr1−y )O}で示される組成の誘電体酸
化物(ただし、0≦x≦1.0、0≦y≦0.2、0.
9≦m≦1.1)を含んで主成分とし、この主成分に対
して所定量の副成分を含有する。副成分は、LiO
1/2 換算でaモル%(ただし、aは0.01〜0.
8)のLi酸化物と、MO換算でaモル%(ただし、a
は0.01〜0.8)のM酸化物(ただし、MはCa、
SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素)
と、BO3/2 換算で(1−a)モル%のB酸化物
と、SiO換算で(1−a)モル%のSi酸化物と
で構成される。すなわち、Li酸化物と、M酸化物と、
B酸化物と、Si酸化物とが焼結助剤として含有してあ
る。
【0012】特開平4−206109号公報では、次に
示す誘電体磁器組成物が開示してある。この誘電体磁器
組成物は、{(CaSr1−x )O}{(T
Zr1−y )O}で示される組成の誘電体酸
化物(ただし、0.30≦x≦0.50、0.80≦y
≦1.00、0.95≦m≦1.08)を主成分とし、
この主成分に対して所定量の副成分を含有する。副成分
は、B、SiOおよびLiOから選
ばれる少なくとも1種の化合物で構成される。すなわ
ち、B酸化物、Si酸化物およびLi酸化物から選ばれ
る少なくとも1種の化合物が焼結助剤として含有してあ
る。
【0013】特開昭63−131412号公報では、次
に示す誘電体磁器組成物が開示してある。この誘電体磁
器組成物は、{(CaSr1−x )O}
{(Ti Zr1−y )O}で示される組
成の誘電体酸化物(ただし、x=0、0.01≦y≦
0.25、0.8≦m≦1.3)を主成分とし、この主
成分に対して所定量の副成分を含有する。副成分は、B
、SiOおよびMO(ただし、MはC
a、Sr、Ba、MgおよびZnから選ばれる少なくと
も1種の元素)が特定割合で含有される。すなわち、B
酸化物と、Si酸化物と、M酸化物とが焼結助剤として
含有してある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】これらの公報記載の誘
電体磁器組成物では、1300℃以下で焼成が可能とさ
れているものであるが、これらはいずれもCR積や誘電
損失などの電気特性の悪化を招いていた。焼成温度は比
較的コスト面に影響を与えることが多いことから、でき
る限り低くすることが望ましい。
【0015】その一方で、焼成温度をあまりに低くしす
ぎると、磁器化を行うにあたり緻密化できず、十分な特
性を持つ誘電体磁器組成物が得られない。
【0016】したがって、誘電体磁器組成物の緻密化を
損なうことなく、より一層低温で焼成することが求めら
れていた。
【0017】本発明の目的は、低温で焼成しても各種電
気特性を損なうことなく緻密化した誘電体磁器組成物を
得ることができる誘電体磁器組成物の製造方法、および
この誘電体磁器組成物を誘電体層として用いる電子部品
の製造方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の観点に係る誘電体磁器組成物の製造方法は、
誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助剤とを有する誘電
体磁器組成物を製造する方法であって、2種類以上のM
1の化合物(ただし、M1はアルカリ金属)を含む第1
成分と、M2の化合物(ただし、M2はV族元素および
VI族元素)を含む第2成分と、M3の化合物(ただ
し、M3はBa、Ca、Sr、Mg、Mn、B、Alお
よびZnから選ばれる少なくとも1つ)を含む第3成分
と、Siの酸化物、または焼成によりSiの酸化物にな
る化合物を含む第4成分とを有し、これら第1成分〜第
4成分の組成比:(第1,第2,第3,第4)を、点
A:(100,0,0,0)、点B:(0,100,
0,0)、点C:(0,0,100,0)および点D:
(0,0,0,100)で表される四面体組成図で表し
たとき、前記組成比が、前記点B、点Cおよび点Dで囲
まれるBCD面(第1成分=0の組成)上を除く領域を
満たす焼結助剤を用いて、前記誘電体磁器組成物を製造
することを特徴とする。
【0019】第2の観点に係る誘電体磁器組成物の製造
方法は、誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助剤とを有
する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、第1成
分と、第2成分、第3成分および第4成分から選ばれる
少なくとも一つの成分とを有し、前記第1成分が2種類
以上のM1の化合物(ただし、M1はアルカリ金属)を
含み、前記第2成分がM2の化合物(ただし、M2はV
族元素およびVI族元素)を含み、前記第3成分がM3
の化合物(ただし、M3はBa、Ca、Sr、Mg、M
n、B、AlおよびZnから選ばれる少なくとも1つ)
を含み、前記第4成分がSiの酸化物、または焼成によ
りSiの酸化物になる化合物を含む焼結助剤を用いて、
前記誘電体磁器組成物を製造することを特徴とする。
【0020】第3の観点に係る誘電体磁器組成物の製造
方法は、誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助剤とを有
する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、2種類
以上のM1の化合物(ただし、M1はアルカリ金属)を
含む第1成分を有する焼結助剤を用いて、前記誘電体磁
器組成物を製造することを特徴とする。
【0021】第4の観点に係る誘電体磁器組成物の製造
方法は、誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助剤とを有
する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、M1の
化合物(ただし、M1はアルカリ金属の少なくとも一
つ)を含む第1成分と、M2の化合物(ただし、M2は
V族元素およびVI族元素)を含む第2成分と、M3の
化合物(ただし、M3はBa、Ca、Sr、Mg、M
n、B、AlおよびZnから選ばれる少なくとも1つ)
を含む第3成分と、Siの酸化物、または焼成によりS
iの酸化物になる化合物を含む第4成分とを有し、これ
ら第1成分〜第4成分の組成比:(第1,第2,第3,
第4)を、点A:(100,0,0,0)、点B:
(0,100,0,0)、点C:(0,0,100,
0)および点D:(0,0,0,100)で表される四
面体組成図で表したとき、前記組成比が、前記点A、点
Cおよび点Dで囲まれるACD面(第2成分=0の組
成)上を除く領域を満たす焼結助剤を用いて、前記誘電
体磁器組成物を製造することを特徴とする。
【0022】第5の観点に係る誘電体磁器組成物の製造
方法は、誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助剤とを有
する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、第2成
分と、第1成分、第3成分および第4成分の少なくとも
一つの成分とを有し、前記第1成分がM1の化合物(た
だし、M1はアルカリ金属の少なくとも一つ)を含み、
前記第2成分がM2の化合物(ただし、M2はV族元素
およびVI族元素)を含み、前記第3成分がM3の化合
物(ただし、M3はBa、Ca、Sr、Mg、Mn、
B、AlおよびZnから選ばれる少なくとも1つ)を含
み、前記第4成分がSiの酸化物、または焼成によりS
iの酸化物になる化合物を含む焼結助剤を用いて、前記
誘電体磁器組成物を製造することを特徴とする。
【0023】第6の観点に係る誘電体磁器組成物の製造
方法は、誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助剤とを有
する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、M2の
化合物(ただし、M2はV族元素およびVI族元素)を
含む第2成分を有する焼結助剤を用いて、前記誘電体磁
器組成物を製造することを特徴とする。
【0024】上記目的を達成するために、第1の観点に
係る電子部品の製造方法は、誘電体酸化物を含む主成分
と、焼結助剤とを有する誘電体磁器組成物で構成してあ
る誘電体層を有する電子部品を製造する方法であって、
2種類以上のM1の化合物(ただし、M1はアルカリ金
属)を含む第1成分と、M2の化合物(ただし、M2は
V族元素およびVI族元素)を含む第2成分と、M3の
化合物(ただし、M3はBa、Ca、Sr、Mg、M
n、B、AlおよびZnから選ばれる少なくとも1つ)
を含む第3成分と、Siの酸化物、または焼成によりS
iの酸化物になる化合物を含む第4成分とを有し、これ
ら第1成分〜第4成分の組成比:(第1,第2,第3,
第4)を、点A:(100,0,0,0)、点B:
(0,100,0,0)、点C:(0,0,100,
0)および点D:(0,0,0,100)で表される四
面体組成図で表したとき、前記組成比が、前記点B、点
Cおよび点Dで囲まれるBCD面(第1成分=0の組
成)上を除く領域を満たす焼結助剤を用いて、前記誘電
体磁器組成物を製造することを特徴とする。
【0025】第2の観点に係る電子部品の製造方法は、
誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助剤とを有する誘電
体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品
を製造する方法であって、第1成分と、第2成分、第3
成分および第4成分から選ばれる少なくとも一つの成分
とを有し、前記第1成分が2種類以上のM1の化合物
(ただし、M1はアルカリ金属)を含み、前記第2成分
がM2の化合物(ただし、M2はV族元素およびVI族
元素)を含み、前記第3成分がM3の化合物(ただし、
M3はBa、Ca、Sr、Mg、Mn、B、Alおよび
Znから選ばれる少なくとも1つ)を含み、前記第4成
分がSiの酸化物、または焼成によりSiの酸化物にな
る化合物を含む焼結助剤を用いて、前記誘電体磁器組成
物を製造することを特徴とする。
【0026】第3の観点に係る電子部品の製造方法は、
誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助剤とを有する誘電
体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品
を製造する方法であって、2種類以上のM1の化合物
(ただし、M1はアルカリ金属)を含む第1成分を有す
る焼結助剤を用いて、前記誘電体磁器組成物を製造する
ことを特徴とする。
【0027】第4の観点に係る電子部品の製造方法は、
誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助剤とを有する誘電
体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品
を製造する方法であって、M1の化合物(ただし、M1
はアルカリ金属の少なくとも一つ)を含む第1成分と、
M2の化合物(ただし、M2はV族元素およびVI族元
素)を含む第2成分と、M3の化合物(ただし、M3は
Ba、Ca、Sr、Mg、Mn、B、AlおよびZnか
ら選ばれる少なくとも1つ)を含む第3成分と、Siの
酸化物、または焼成によりSiの酸化物になる化合物を
含む第4成分とを有し、これら第1成分〜第4成分の組
成比:(第1,第2,第3,第4)を、点A:(10
0,0,0,0)、点B:(0,100,0,0)、点
C:(0,0,100,0)および点D:(0,0,
0,100)で表される四面体組成図で表したとき、前
記組成比が、前記点A、点Cおよび点Dで囲まれるAC
D面(第2成分=0の組成)上を除く領域を満たす焼結
助剤を用いて、前記誘電体磁器組成物を製造することを
特徴とする。
【0028】第5の観点に係る電子部品の製造方法は、
誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助剤とを有する誘電
体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品
を製造する方法であって、第2成分と、第1成分、第3
成分および第4成分の少なくとも一つの成分とを有し、
前記第1成分がM1の化合物(ただし、M1はアルカリ
金属の少なくとも一つ)を含み、前記第2成分がM2の
化合物(ただし、M2はV族元素およびVI族元素)を
含み、前記第3成分がM3の化合物(ただし、M3はB
a、Ca、Sr、Mg、Mn、B、AlおよびZnから
選ばれる少なくとも1つ)を含み、前記第4成分がSi
の酸化物、または焼成によりSiの酸化物になる化合物
を含む焼結助剤を用いて、前記誘電体磁器組成物を製造
することを特徴とする。
【0029】第6の観点に係る電子部品の製造方法は、
誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助剤とを有する誘電
体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品
を製造する方法であって、M2の化合物(ただし、M2
はV族元素およびVI族元素)を含む第2成分を有する
焼結助剤を用いて、前記誘電体磁器組成物を製造するこ
とを特徴とする。
【0030】好ましくは、前記誘電体酸化物が、組成式
(E1O)・E2で表され、前記組成式
中の記号E1がSr、CaおよびBaから選ばれる少な
くとも1つの元素であり、記号E2がTiおよびZrの
少なくとも1つの元素である。
【0031】好ましくは、前記誘電体酸化物が、組成式
{(Ba(1−x−y) CaSr)O}
(Ti(1−z) Zr で表さ
れ、前記組成式中の記号A、記号B、記号x、記号yお
よび記号zが、 記号Bに対する記号Aの比(A/B):0.75≦A/
B≦1.04、 記号x:0≦x≦0.9、 記号y:0≦y≦0.5、 記号z:0<z<1である。
【0032】好ましくは、1300℃未満の焼成温度で
前記誘電体磁器組成物を製造する。
【0033】本発明で用いる焼結助剤の化合物には、酸
化物のほか、焼成により酸化物になる化合物(たとえ
ば、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩など)も含まれる。勿
論、酸化物と、焼成により酸化物になる化合物との組み
合わせであってもよい。
【0034】本発明の誘電体磁器組成物の製造方法は、
電子部品の一例である積層型セラミックコンデンサの誘
電体層などに用いられる誘電体磁器組成物を製造するに
際して、好適に用いることができる。
【0035】電子部品としては、特に限定されないが、
積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダク
タ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、
その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示さ
れる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施
形態に基づき説明する。
【0037】図1は本発明の一実施形態に係る積層セラ
ミックコンデンサの断面図、図2は誘電体磁器組成物の
製造に用いる焼結助剤(第1〜第3の観点)の組成比を
示す四面体組成図、図3は実施例1に係る(Li,N
a)−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量
と、比較例2に係る(Ba,Ca,Mn,Al)−Si
−Oの添加量とを変化させた場合における焼成温度と密
度との関係を示すグラフ、図4は実施例2に係る(L
i,Na)−(Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比
較例2に係る(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの
添加量とを変化させた場合における焼成温度と密度との
関係を示すグラフ、図5は実施例3に係る(Li,N
a)−W−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添
加量と、比較例2に係る(Ba,Ca,Mn,Al)−
Si−Oの添加量とを変化させた場合における焼成温度
と密度との関係を示すグラフ、図6は比較例1に係るL
i−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量
と、比較例2に係る(Ba,Ca,Mn,Al)−Si
−Oの添加量とを変化させた場合における焼成温度と密
度との関係を示すグラフ、図7は実施例1に係る(L
i,Na)−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの
添加量と、比較例2に係る(Ba,Ca,Mn,Al)
−Si−Oの添加量とを変化させた場合における焼成温
度とCR積との関係を示すグラフ、図8は実施例2に係
る(Li,Na)−(Mn,Al)−Si−Oの添加量
と、比較例2に係る(Ba,Ca,Mn,Al)−Si
−Oの添加量とを変化させた場合における焼成温度とC
R積との関係を示すグラフ、図9は実施例3に係る(L
i,Na)−W−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−
Oの添加量と、比較例2に係る(Ba,Ca,Mn,A
l)−Si−Oの添加量とを変化させた場合における焼
成温度とCR積との関係を示すグラフ、図10は比較例
1に係るLi−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−O
の添加量と、比較例2に係る(Ba,Ca,Mn,A
l)−Si−Oの添加量とを変化させた場合における焼
成温度とCR積との関係を示すグラフ、図11は実施例
1の試料1と、比較例2の試料31とにおける温度と誘
電損失との関係を示すグラフ、図12は実施例2の試料
7と、比較例2の試料31とにおける温度と誘電損失と
の関係を示すグラフ、図13は実施例3の試料14と、
比較例2の試料31とにおける温度と誘電損失との関係
を示すグラフ、図14は比較例1の試料22と、比較例
2の試料31とにおける温度と誘電損失との関係を示す
グラフ、図15は誘電体磁器組成物の製造に用いる焼結
助剤(第4〜第6の観点)の組成比を示す四面体組成
図、図16は実施例8に係るLi−W−(Ba,Ca,
Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比較例1に係るL
i−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量
と、比較例2に係る(Ba,Ca,Mn,Al)−Si
−Oの添加量とを変化させた場合における焼成温度と密
度との関係を示すグラフ、図17は実施例8に係るLi
−W−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量
と、比較例1に係るLi−(Ba,Ca,Mn,Al)
−Si−Oの添加量と、比較例2に係る(Ba,Ca,
Mn,Al)−Si−Oの添加量とを変化させた場合に
おける焼成温度と比抵抗との関係を示すグラフ、図18
は実施例8に係るLi−W−(Ba,Ca,Mn,A
l)−Si−Oの添加量と、比較例1に係るLi−(B
a,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比較例
2に係る(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加
量とを変化させた場合における焼成温度と誘電率との関
係を示すグラフ、図19は実施例8に係るLi−W−
(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比
較例1に係るLi−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si
−Oの添加量と、比較例2に係る(Ba,Ca,Mn,
Al)−Si−Oの添加量とを変化させた場合における
焼成温度とCR積との関係を示すグラフ、図20は実施
例8の試料42と、比較例2の試料31とにおける温度
と誘電損失との関係を示すグラフ、図21は実施例10
の試料61と、比較例2の試料31とにおける温度と誘
電損失との関係を示すグラフである。
【0038】図1に示すように、本実施形態に係る電子
部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1は、誘
電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコ
ンデンサ素子本体10を有する。コンデンサ素子本体1
0の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置され
た内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成
してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限は
ないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも
特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい
が、通常、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0
mm)×(0.3〜1.9mm)程度である。内部電極
層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2
端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対
の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形
成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接
続されて、コンデンサ回路を構成する。
【0039】誘電体層2は、本発明の製造方法により得
られる誘電体磁器組成物を含有する。本発明の一実施形
態に係る製造方法により得られる誘電体磁器組成物は、
組成式(E1O)・E2を具体化した組
成式{(Ba(1−x−y) CaSr)O}
(Ti(1−z) Zr で表され
る誘電体酸化物を含む主成分を有する。この際、酸素
(O)量は、上記式の化学量論組成から若干偏倚しても
よい。
【0040】上記組成式中、記号Bに対する記号Aのモ
ル比(A/B)は、特に限定されないが、好ましくは
0.75≦A/B≦1.04、より好ましくは0.99
≦A/B≦1.01である。A/Bを0.75以上とす
ることで、還元雰囲気下での焼成に対して半導体化を生
じることが防止され、A/Bを1.04以下とすること
で、低温での焼成も緻密な焼結体を得ることができる。
【0041】上記組成式中、記号xは、特に限定されな
いが、好ましくは0≦x≦0.9、より好ましくは0≦
x≦0.8である。xを0.9以下とすることで、低温
焼結化の効果が得られる。
【0042】上記組成式中、記号yは、特に限定されな
いが、好ましくは0≦y≦0.5、より好ましくは0≦
y≦0.4である。yを0.5以下とすることで、信頼
性の向上、CR積の向上、誘電損失の改善などの効果が
ある。
【0043】上記組成式中、記号zは、特に限定されな
いが、好ましくは0<z<1、より好ましくは0.01
≦z≦0.98である。zを1未満とすることで、比誘
電率の低下が防止される。zはZr原子数を表すが、T
iOに比べ還元されにくいZrOを置換してい
くことにより耐還元性がさらに増していく傾向がある。
【0044】xはCa原子数を表し、yはSr原子数を
表す。これらxとy(Ba/Ca/Sr比)と、z(T
i/Zr比)とを変えることで、結晶の相転移点を任意
にシフトさせることが可能となる。そのため、容量温度
係数や比誘電率を任意に制御することができる。
【0045】本実施形態の誘電体磁器組成物は、副成分
として第1〜第6のいずれかの観点に係る焼結助剤を含
有する。
【0046】本実施形態では、焼結助剤の含有量は、誘
電体磁器組成物の全体を100モル%として、好ましく
は0.1〜25モル%、より好ましくは1〜15モル%
である。焼結助剤の添加量をこの範囲にすることで比誘
電率を低下させることなく、より低い温度で焼成でき
る。
【0047】本発明の焼結助剤の融点は、好ましくは1
200℃以下、より好ましくは1000℃以下である。
融点が1200℃以下であることにより、低温での焼成
が容易になる。
【0048】第1の観点に係る焼結助剤は、2種類以上
のM1の化合物(ただし、M1はアルカリ金属)を少な
くとも含む第1成分を有する。この第1成分は、焼結温
度を低下させる物質として作用する。M1(アルカリ金
属)としては、Li、Na、K、Rb、CsおよびFr
が挙げられるが、これらの中でも、LiおよびNaの組
み合わせが好ましい。すなわち第1成分として、Liの
酸化物(LiO)およびNaの酸化物(Na
O)を少なくとも含むことが好ましい。
【0049】第1の観点では、M2の化合物(ただし、
M2はV族元素およびVI族元素)を含む第2成分をさ
らに有することが好ましい。この第2成分は、第1成分
と組み合わされることにより、焼結温度を低下させると
ともに、各種電気特性を向上させる物質として作用す
る。M2(V族元素およびVI族元素)としては、V、
Nb、Ta、Cr、MoおよびWから選ばれる少なくと
も1つの元素であればよいが、これらの中でも、V、M
oおよびWから選ばれる少なくとも1つの元素が好まし
く、より好ましくはV、MoおよびWから選ばれる少な
くとも2つの組み合わせである。すなわち第2成分とし
て、Vの酸化物(V)、Moの酸化物(Mo
)、およびWの酸化物(WO)から選ばれる
少なくとも1つの化合物を含むことが好ましい。
【0050】第1の観点では、M3の化合物(ただし、
M3はBa、Ca、Sr、Mg、Mn、B、Alおよび
Znから選ばれる少なくとも1つ)を含む第3成分をさ
らに有することが好ましい。この第3成分は、第1成分
と組み合わされることにより、母材との濡れ性を改善し
たり、焼結温度を低下させる物質として作用する。
【0051】第1の観点では、Siの酸化物、または焼
成によりSiの酸化物になる化合物を含む第4成分をさ
らに有することが好ましい。この第4成分は、第1成分
と組み合わされることにより、焼結温度を一層低下させ
る物質として作用する。
【0052】第2の観点に係る焼結助剤は、上述した第
1成分を少なくとも含み、さらに上述した第2成分、第
3成分および第4成分の中から選ばれる少なくとも一つ
の成分を有する。
【0053】第3の観点に係る焼結助剤は、上述した第
1成分、第2成分、第3成分および第4成分を、特定の
組成比で有する。
【0054】本発明では、これら第1成分〜第4成分の
組成比:(第1,第2,第3,第4)を、点A:(10
0,0,0,0)、点B:(0,100,0,0)、点
C:(0,0,100,0)および点D:(0,0,
0,100)で表される四面体組成図(図2参照)で表
したとき、前記組成比が、前記点B、点Cおよび点Dで
囲まれるBCD面(第1成分=0の組成)上を除く領域
を満たす。
【0055】好ましくは、第1成分〜第4成分の組成比
は、さらに前記点A、点Bおよび点Cで囲まれるABC
面(第4成分=0の組成)上を除く領域を満たす。
【0056】より好ましくは、第1成分〜第4成分の組
成比は、後述する点D、点E、点F、点G、点Hおよび
点Iで囲まれる五面体内の領域を満たす(ただし、点
D、点Eおよび点Fで囲まれるDEF面(第2成分=0
の組成)を除く)。
【0057】 点D:(0,0,0,100)、 点E:(90,0,0,10)、 点F:(0,0,90,10)、 点G:(0,30,0,70)、 点H:(60,30,0,10)、 点I:(0,30,60,10)。
【0058】第4の観点に係る焼結助剤では、M2の化
合物(ただし、M2はV族元素およびVI族元素)を含
む第2成分を有する。この第2成分は、焼結温度を低下
させるとともに、各種電気特性を向上させる物質として
作用する。M2(V族元素およびVI族元素)として
は、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWから選ばれる
少なくとも1つの元素であればよいが、これらの中で
も、V、MoおよびWから選ばれる少なくとも1つの元
素が好ましく、より好ましくはV、MoおよびWから選
ばれる少なくとも2つの元素の組み合わせである。すな
わち第2成分として、Vの酸化物(V)、M
oの酸化物(MoO)、およびWの酸化物(WO
)から選ばれる少なくとも1つの化合物を含むこと
が好ましい。
【0059】第4の観点では、M1の化合物(ただし、
M1はアルカリ金属の少なくとも一つ)を含む第1成分
をさらに有することが好ましい。この第1成分は、第2
成分と組み合わされることにより、焼結温度を低下させ
る物質として作用する。M1(アルカリ金属)として
は、Li、Na、K、Rb、CsおよびFrが挙げられ
るが、これらの中でも、Liが好ましい。すなわち第1
成分として、Liの酸化物(LiO)を含むことが
好ましい。
【0060】第4の観点では、M3の化合物(ただし、
M3はBa、Ca、Sr、Mg、Mn、B、Alおよび
Znから選ばれる少なくとも1つ)を含む第3成分をさ
らに有することが好ましい。この第3成分は、第2成分
と組み合わされることにより、母材との濡れ性を改善し
たり、焼結温度を低下させる物質として作用する。
【0061】第4の観点では、Siの酸化物、または焼
成によりSiの酸化物になる化合物を含む第4成分をさ
らに有することが好ましい。この第4成分は、焼結温度
を一層低下させる物質として作用する。
【0062】第5の観点に係る焼結助剤は、上述した第
2成分を少なくとも含み、さらに上述した第1成分、第
3成分および第4成分の少なくとも一つの成分を有す
る。
【0063】第6の観点に係る焼結助剤は、上述した第
1成分、第2成分、第3成分および第4成分を、特定の
組成比で有する。
【0064】本発明では、これら第1成分〜第4成分の
組成比:(第1,第2,第3,第4)を、点A:(10
0,0,0,0)、点B:(0,100,0,0)、点
C:(0,0,100,0)および点D:(0,0,
0,100)で表される四面体組成図で表したとき、前
記組成比が、前記点A、点Cおよび点Dで囲まれるAC
D面(第2成分=0の組成)上を除く領域を満たす(図
15参照)。
【0065】好ましくは、前記組成比が、前記ACD面
の他に、さらに前記点A、点Bおよび点Cで囲まれるA
BC面(第4成分=0の組成)上を除く領域を満たす
(図15参照)。
【0066】より好ましくは、第1成分〜第4成分の組
成比は、後述する点S、点T、点U、点V、点Wおよび
点Xで囲まれる八面体内の領域を満たす(ただし、点
T、点Uおよび点Xで囲まれるTUX面と点Aとの三角
錐部分;点S、点Uおよび点Vで囲まれるSUV面と点
Bとの三角錐部分;点T、点Sおよび点Wで囲まれるT
SW面と点Dとの三角錐部分;点T、点X、点Cおよび
点Wで囲まれるTXCW面;を除く)。
【0067】 点S:(0,50,0,50)、 点T:(50,0,0,50)、 点U:(50,50,0,0)、 点V:(0,50,50,0)、 点W:(0,0,50,50)、 点X:(50,0,50,0)。
【0068】上述した第1〜第6の観点に係る焼結助剤
では、Y、Gd、Tb、Dy、SnおよびPの化合物か
ら選ばれる少なくとも1つを含むその他の成分が、さら
に含有してあってもよい。この場合において、焼結助剤
中のその他の成分の含有量は、好ましくは0.05〜5
モル%程度である。
【0069】なお、図1に示す誘電体層2の積層数や厚
み等の諸条件は、目的や用途に応じ適宜決定すればよい
が、本実施形態では、誘電体層2の厚みは、6μm以
下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm未
満である。また、誘電体層2は、グレインと粒界相とで
構成され、誘電体層2のグレインの平均粒子径は、0.
1〜5μm程度あることが好ましい。この粒界相は、通
常、誘電体材料あるいは内部電極材料を構成する材質の
酸化物や、別途添加された材質の酸化物、さらには工程
中に不純物として混入する材質の酸化物を成分とし、通
常ガラスないしガラス質で構成されている。
【0070】内部電極層3に含有される導電材は、特に
限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有
するため、卑金属を用いることができる。導電材として
用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好まし
い。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlか
ら選択される1種以上の元素とNiとの合金が好まし
く、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが
好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P,F
e,Mg等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含ま
れていてもよい。内部電極層の厚さは用途等に応じて適
宜決定すればよいが、通常、0.5〜5μm、特に1〜
2.5μm程度であることが好ましい。
【0071】外部電極4に含有される導電材は、特に限
定されないが、通常、CuやCu合金あるいはNiやN
i合金等を用いる。なお、AgやAg−Pd合金等も、
もちろん使用可能である。なお、本実施形態では、安価
なNi,Cuや、これらの合金を用いる。外部電極の厚
さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、1
0〜50μm程度であることが好ましい。
【0072】本発明に係る誘電体磁器組成物の製造方法
を用いて製造される積層セラミックコンデンサ1は、従
来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用
いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作
製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写し
て焼成することにより製造される。以下、製造方法につ
いて具体的に説明する。
【0073】まず、誘電体層用ペーストに含まれる誘電
体磁器組成物粉末を準備し、これを塗料化して、誘電体
層用ペーストを調整する。
【0074】誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機
ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水
系の塗料であってもよい。
【0075】誘電体原料には、前述した本発明に係る誘
電体磁器組成物の組成に応じ、主成分を構成する原料
と、第1〜4成分およびその他の成分を構成する原料と
が用いられる。
【0076】主成分原料としては、Ti、Ba、Sr、
CaまたはZrの酸化物、および焼成によりTi、B
a、Sr、CaまたはZrの酸化物になる化合物が用い
られる。
【0077】焼結助剤の第1成分原料としては、Li、
Na、K、Rb、CsまたはFrの酸化物、および焼成
によりLi、Na、K、Rb、CsまたはFrの酸化物
になる化合物が挙げられるが、安全性への配慮などか
ら、好ましくはLi、Na、Kが用いられる。第1〜第
3の観点に係る焼結助剤では、この第1成分原料には、
2種類以上のアルカリ金属の化合物が含まれる。第4〜
第6の観点に係る焼結助剤では、この第1成分原料を第
2成分原料とともに含有させることにより、焼結性の向
上が図られる。ただし、第2成分を必須成分として含有
する第4〜第6の観点の焼結助剤では、第1成分とし
て、いずれかのアルカリ金属(Li、Na、K、Rb、
CsまたはFr)の化合物を含有させることが好まし
く、より好ましくはLiの酸化物を含有させる。Liの
酸化物を含有させることにより、焼結性がさらに向上す
る。
【0078】焼結助剤の第2成分原料としては、V、N
b、Ta、Cr、MoまたはWの酸化物、および焼成に
よりV、Nb、Ta、Cr、MoまたはWの酸化物にな
る化合物が用いられる。
【0079】焼結助剤の第3成分原料としては、Ba、
Ca、Sr、Mg、Mn、B、AlまたはZnの酸化
物、および焼成によりBa、Ca、Sr、Mg、Mn、
B、AlまたはZnの酸化物になる化合物が用いられ
る。
【0080】焼結助剤の第4成分原料としては、Siの
酸化物、または焼成によりSiの酸化物になる化合物が
用いられる。
【0081】焼結助剤のその他の成分原料としては、
Y、Gd、Tb、Dy、SnまたはPの酸化物、および
焼成によりY、Gd、Tb、Dy、SnまたはPの酸化
物になる化合物が用いられる。
【0082】焼結助剤を構成する各成分原料は、その添
加形態は特に限定されないが、あらかじめ焼結助剤を配
合しておき、これを熱処理して溶融して化合物ガラス成
分とし、その後に粉砕したものを主成分原料に添加して
混合してもよい。
【0083】なお、焼成により酸化物になる化合物とし
ては、たとえば、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、有機金
属化合物などが挙げられる。もちろん、酸化物と、焼成
により酸化物になる化合物とを併用してもよい。誘電体
原料中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体
磁器組成物の組成となるように決定すればよい。
【0084】これらの原料粉末は、通常、平均粒子径
0.0005〜5μm程度のものが用いられる。
【0085】有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中
に溶解したものであり、有機ビヒクルに用いられるバイ
ンダは、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニ
ルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すれ
ばよい。また、このとき用いられる有機溶剤も特に限定
されず、印刷法やシート法等利用する方法に応じてテル
ピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン
等の有機溶剤から適宜選択すればよい。
【0086】また、誘電体層用ペーストを水系の塗料と
する場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶
解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよ
い。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定さ
れず、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水
溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
【0087】内部電極用ペーストは、上述した各種導電
性金属や合金からなる導電材料あるいは焼成後に上述し
た導電材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネ
ート等と、上述した有機ビヒクルとを混練して調製され
る。また、外部電極用ペーストも、この内部電極用ペー
ストと同様にして調製される。
【0088】上述した各ペーストの有機ビヒクルの含有
量は、特に限定されず、通常の含有量、たとえば、バイ
ンダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度
とすればよい。また、各ペースト中には必要に応じて各
種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添
加物が含有されても良い。これらの総含有量は、10重
量%以下とすることが好ましい。
【0089】印刷法を用いる場合は、誘電体ペーストお
よび内部電極用ペーストをポリエチレンテレフタレート
等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断したのち基板
から剥離することでグリーンチップとする。これに対し
て、シート法を用いる場合は、誘電体ペーストを用いて
グリーンシートを形成し、この上に内部電極ペーストを
印刷したのちこれらを積層してグリーンチップとする。
そして、グリーンチップを脱バインダ処理および焼成す
る。
【0090】脱バインダ処理は、内部電極層ペースト中
の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電
材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、脱バ
インダ雰囲気中の酸素分圧を10−45 〜10
aとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であ
ると、脱バインダ効果が低下する。また酸素分圧が前記
範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にある。
【0091】また、それ以外の脱バインダ条件として
は、昇温速度を好ましくは5〜300℃/時間、より好
ましくは10〜100℃/時間、保持温度を好ましくは
180〜400℃、より好ましくは200〜350℃、
温度保持時間を好ましくは0.5〜24時間、より好ま
しくは2〜20時間とする。また、焼成雰囲気は、空気
もしくは還元性雰囲気とすることが好ましく、還元性雰
囲気における雰囲気ガスとしては、たとえばNとH
との混合ガスを加湿して用いることが好ましい。
【0092】グリーンチップの焼成雰囲気は、内部電極
層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定すれば
よい。ただし、内部電極層用ペースト中の導電材にNi
やNi合金等の卑金属を用いる場合には、酸素分圧が好
ましくは10−10 〜10 −3Paの雰囲気で焼成を
行う。内部電極層の導電材に卑金属を用いる場合におい
て、焼成雰囲気の酸素分圧が前記範囲未満であると内部
電極層の導電材が異常焼結を起こして途切れてしまうこ
とがあり、焼成雰囲気の酸素分圧が前記範囲を超えると
内部電極層が酸化する傾向にある。
【0093】グリーンチップの焼成温度は、グリーンチ
ップの緻密化を十分に行え、しかも内部電極層の異常焼
結による電極の途切れ、内部電極層構成材料の拡散によ
る容量温度特性の悪化、あるいは誘電体磁器組成物の還
元が生じない範囲で適宜決定される。なぜなら、焼成温
度があまりに低いとグリーンチップが緻密せず、焼成温
度があまりに高いと内部電極が途切れたり、導電材の拡
散により容量温度特性が悪化したり、誘電体の還元が生
じてしまうからである。
【0094】従来、グリーンチップを十分に緻密化させ
るためには1300℃を超える温度で焼成する必要があ
ったが、本実施形態では、上述した低温焼結可能な焼結
助剤を含有していることから、好ましくは1300℃未
満、より好ましくは1260℃以下、さらに好ましくは
1180℃以下の低温で行うことができる。これによ
り、焼成炉の損傷を防止でき、保守や管理コスト、ひい
てはエネルギーコストをも効果的に抑制でき、しかもク
ラックの発生や比誘電率の低下などの不都合も防止しう
る。なお、焼成温度の下限は、好ましくは600℃程度
である。
【0095】これ以外の焼成条件としては、昇温速度を
好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは20
0〜300℃/時間、温度保持時間を好ましくは0.5
〜8時間、より好ましくは1〜3時間、冷却速度を好ま
しくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜
300℃/時間とする。また、焼成雰囲気は還元性雰囲
気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしてはたとえ
ば、NとHとの混合ガスを加湿して用いること
が好ましい。
【0096】還元性雰囲気中で焼成した場合、コンデン
サチップの焼結体(コンデンサ素子本体)にはアニール
を施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化
するための処理であり、これによりIR寿命を著しく長
くすることができるので、信頼性が向上する。
【0097】アニール雰囲気中の酸素分圧は、1×10
−4Pa以上、特に1×10−4〜10Paとすること
が好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると誘電体層
の再酸化が困難であり、前記範囲を超えると内部電極層
が酸化する傾向にある。
【0098】アニールの際の保持温度は、1200℃以
下、特に500〜1200℃とすることが好ましい。保
持温度が前記範囲未満であると誘電体層の酸化が不十分
となるので、IRが低く、また、IR寿命が短くなりや
すい。一方、保持温度が前記範囲を超えると、内部電極
層が酸化して容量が低下するだけでなく、内部電極層が
誘電体素地と反応してしまい、容量温度特性の悪化、I
Rの低下、IR寿命の低下が生じやすくなる。なお、ア
ニールは昇温過程および降温過程だけから構成してもよ
い。すなわち、温度保持時間を零としてもよい。この場
合、保持温度は最高温度と同義である。
【0099】これ以外のアニール条件としては、温度保
持時間を好ましくは0〜20時間、より好ましくは2〜
10時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時
間、より好ましくは100〜300℃/時間とする。ま
た、アニールの雰囲気ガスとしては、たとえば、加湿し
たNガス等を用いることが好ましい。
【0100】上記した脱バインダ処理、焼成およびアニ
ールにおいて、Nガスや混合ガス等を加湿するに
は、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、
水温は5〜75℃程度が好ましい。
【0101】脱バインダ処理、焼成およびアニールは、
連続して行なっても、独立に行なってもよい。これらを
連続して行なう場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰
囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して
焼成を行ない、次いで冷却し、アニールの保持温度に達
したときに雰囲気を変更してアニールを行なうことが好
ましい。一方、これらを独立して行なう場合、焼成に際
しては、脱バインダ処理時の保持温度までNガスあ
るいは加湿したNガス雰囲気下で昇温した後、雰囲
気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、アニ
ール時の保持温度まで冷却した後は、再びNガスあ
るいは加湿したNガス雰囲気に変更して冷却を続け
ることが好ましい。また、アニールに際しては、N
ガス雰囲気下で保持温度まで昇温した後、雰囲気を変更
してもよく、アニールの全過程を加湿したNガス雰
囲気としてもよい。
【0102】以上のようにして得られたコンデンサ焼成
体に、たとえば、バレル研磨やサンドブラストにより端
面研磨を施し、外部電極用ペーストを印刷または転写し
て焼成し、外部電極4を形成する。外部電極用ペースト
の焼成条件は、たとえば、加湿した窒素ガスと水素ガス
との混合ガス中で600〜800℃にて10分〜1時間
程度とすることが好ましい。そして、必要に応じて外部
電極4の表面にメッキ等により被覆層(パッド層)を形
成する。
【0103】このようにして製造された本実施形態のセ
ラミックコンデンサ1は、はんだ付け等によってプリン
ト基板上に実装され、各種電子機器に用いられる。
【0104】以上、本発明の実施形態について説明して
きたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において
種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0105】たとえば、本発明に係る製造方法により得
られる誘電体磁器組成物は、積層セラミックコンデンサ
のみに使用されるものではなく、誘電体層が形成される
その他の電子部品に使用されても良い。
【0106】
【実施例】次に、本発明の実施形態をより具体化した実
施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本
発明は、これらの実施例のみに限定されるものではな
い。
【0107】実施例1 まず、最終的に、組成式{(Ca0.70
0.30)O−(Zr0.97Ti0.03
}で示される誘電体酸化物が得られるように各酸
化物や炭酸塩(CaCO、SrCO、ZrO
、TiO)を調合して主成分原料母材を得た。
【0108】次いで、得られた主成分原料母材に対し
て、予め作製しておいた焼結助剤:(Li,Na)−
(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oを、次に示す割
合で添加し、ボールミルにて湿式混合し、乾燥すること
によって誘電体原料(誘電体磁器組成物)を得た。(L
i,Na)−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの
添加量は、母材100モル%に対して、表1に示す割合
(5.13モル%、7.00モル%、8.87モル%)
とした。なお、(Li,Na)−(Ba,Ca,Mn,
Al)−Si−Oは、次に示すようにして作製した。ま
ず、所定組成が得られるように、各成分の酸化物、炭酸
塩、あるいは水酸化物など(たとえば、Li O、N
O、SiOなど)を調合した。次に、これを
ボールミルで16時間湿式混合して粉砕後、蒸発乾燥さ
せた。得られた粉末を、1000℃、空気中で2時間焼
成した。その後、微粉砕し、平均粒径が約1〜2μm程
度のガラス成分粉末を得た。
【0109】次いで、得られた誘電体原料に対して、バ
インダとしてのポリビニルアルコールを0.6重量%と
なるように添加して、顆粒状になるようにバインダと誘
電体原料とを混合した。そして、この顆粒状の誘電体原
料を約0.3g秤量して、1.3トン/cmの圧力
で加圧して、直径12mm、厚さ0.7mmの円盤状成
形体を得た。
【0110】次いで、得られた円盤状成形体に、脱バイ
ンダ処理、焼成およびアニールを施して、直径約10m
m、厚さ約0.5mmの円盤状焼成体を得た。
【0111】脱バインダ処理は、昇温速度:300℃/
時間、保持温度:500℃、保持時間:2時間、雰囲
気:大気中、の条件で行った。
【0112】焼成は、昇温速度:200℃/時間、保持
温度:表1に示す温度、保持時間:2時間、冷却速度:
300℃/時間、雰囲気:加湿したN+H混合
ガス雰囲気(酸素分圧:10−11 〜10−6
a)、の条件で行った。
【0113】アニールは、保持温度:1050℃、保持
時間:2時間、冷却速度:300℃/時間、雰囲気:窒
素ガス雰囲気、の条件で行った。
【0114】なお、脱バインダー処理および焼成の際の
雰囲気ガスの加湿には、水温を35℃としたウェッター
を用いた。
【0115】次いで、得られた円盤状焼成体の両面に、
In−Ga合金を塗布することで、φ6mmの電極を形
成し、円盤状サンプルを作製した。
【0116】実施例2 (Li,Na)−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−
Oの代わりに、(Li,Na)−(Mn,Al)−Si
−Oを用い、その添加量を母材100モル%に対して表
1に示す割合(4.13モル%、5.96モル%、1
0.51モル%)とした以外は、実施例1と同様にして
誘電体原料を得た。得られた誘電体原料を用いて、実施
例1と同様にして円盤状サンプルを作製した。
【0117】実施例3 (Li,Na)−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−
Oの代わりに、(Li,Na)−W−(Ba,Ca,M
n,Al)−Si−Oを用い、その添加量を母材100
モル%に対して表1に示す割合(4.56モル%、5.
27モル%、5.98モル%、7.76モル%)とした
以外は、実施例1と同様にして誘電体原料を得た。得ら
れた誘電体原料を用いて、実施例1と同様にして円盤状
サンプルを作製した。なお、(Li,Na)−W−(B
a,Ca,Mn,Al)−Si−Oは、次に示すように
して作製した。まず、所定組成が得られるように、各成
分の酸化物、炭酸塩、あるいは水酸化物など(たとえ
ば、LiO、NaO、WOなど)を調合し
た。次に、これをボールミルで16時間湿式混合して粉
砕後、蒸発乾燥させた。得られた粉末を450℃、空気
中で2時間焼成した。その後、微粉砕し、平均粒径が約
1〜2μm程度の粉末を得た。
【0118】実施例4 (Li,Na)−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−
Oの代わりに、(Li,Na)−Mo−(Ba,Ca,
Mn,Al)−Si−Oを用い、その添加量を母材10
0モル%に対して表1に示す割合(4.72モル%)と
した以外は、実施例1と同様にして誘電体原料を得た。
得られた誘電体原料を用いて、実施例1と同様にして円
盤状サンプルを作製した。なお、(Li,Na)−Mo
−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oは、次に示す
ようにして作製した。まず、所定組成が得られるよう
に、各成分の酸化物、炭酸塩、あるいは水酸化物など
(たとえば、LiO、NaO、MoO
ど)を調合した。次に、これをボールミルで16時間湿
式混合して粉砕後、蒸発乾燥させた。得られた粉末を4
70℃、空気中で2時間焼成した。その後、微粉砕し、
平均粒径が約1〜2μm程度の粉末を得た。
【0119】比較例1 (Li,Na)−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−
Oの代わりに、Li−(Ba,Ca,Mn,Al)−S
i−Oを用い、その添加量を母材100モル%に対して
表1に示す割合(8.20モル%、12.20モル%)
とした以外は、実施例1と同様にして誘電体原料を得
た。得られた誘電体原料を用いて、実施例1と同様にし
て円盤状サンプルを作製した。
【0120】比較例2 (Li,Na)−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−
Oの代わりに、(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−O
を用い、その添加量を母材100モル%に対して表1に
示す割合(4.20モル%)とした以外は、実施例1と
同様にして誘電体原料を得た。得られた誘電体原料を用
いて、実施例1と同様にして円盤状サンプルを作製し
た。
【0121】比較例3 (Li,Na)−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−
Oの代わりに、(Mn,Al)−Oを用い、その添加量
を母材100モル%に対して表1に示す割合(1.40
モル%)とした以外は、実施例1と同様にして誘電体原
料を得た。得られた誘電体原料を用いて、実施例1と同
様にして円盤状サンプルを作製した。
【0122】上記実施例1〜4および比較例1〜3で得
られた円盤状サンプルを用いて、磁器特性(収縮率、密
度)、電気特性(比誘電率ε、絶縁抵抗IR、CR積、
誘電損失(tanδ))の特性評価を行った。結果を表
1に示す。
【0123】磁器特性(収縮率、密度)は、次のように
して評価した。円盤状サンプルの寸法と質量とから、磁
器密度を算出した。そして、基準密度(真密度=4.7
98g/cm)に対する相対密度を求めた。
【0124】評価として、相対密度は、好ましくは96
%(密度:4.6g/cm)以上、より好ましくは
98%(密度:4.7g/cm)以上を良好とし
た。
【0125】電気特性(比誘電率ε、絶縁抵抗IR、C
R積、誘電損失)は、次のようにして評価した。
【0126】円盤状サンプルに対し、基準温度25℃で
デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、
周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1Vrm
sの条件下で、静電容量を測定した。そして、得られた
静電容量と、円盤状サンプルの電極寸法および電極間距
離とから、比誘電率(単位なし)を算出した。その後、
絶縁抵抗計(アドバンテスト社製R8340A)を用い
て、25℃においてDC50Vを、円盤状サンプルに6
0秒間印加した後の絶縁抵抗IRを測定し、この測定値
と、円盤状サンプルの電極面積および厚みとから、比抵
抗ρ(単位はΩcm)を計算で求めた。
【0127】CR積は、静電容量(C,μF)と、絶縁
抵抗(R,MΩ)との積で表した。
【0128】誘電損失(tanδ)は、125℃におい
て、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)に
て、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1V
rmsの条件下で測定した。
【0129】評価として、比誘電率εは、小型で高誘電
率のコンデンサを作成するために重要な特性であり、好
ましくは30以上を良好とした。絶縁抵抗IRは、好ま
しくは2×1014Ωcm以上を良好とした。CR積
は、好ましくは500MΩ・μF以上を良好、さらに好
ましくは2000MΩ・μF以上を良好とした。誘電損
失は、好ましくは1%未満を良好、さらに好ましくは
0.5%未満を良好とした。
【0130】なお、これらの特性値は、円盤状サンプル
数n=10個を用いて測定した値の平均値から求めた。
【0131】
【表1】
【0132】表1中、絶縁抵抗IRの数値において、
「mE+n」は「m×10+n」を意味する。表1によ
り、以下のことが確認できた。
【0133】表1に示すように、まず、焼結助剤の添加
量に関し、実施例1〜4(試料1〜19)では、比較例
1(試料21〜28)と比較して、少量の添加量で焼結
できることが確認できた。また、焼成温度に関し、実施
例1〜4では、比較例2〜3と比較して、低い温度で焼
成できることも確認できた。
【0134】さらに、電気特性に関し、実施例1では、
比較例1と比較して誘電損失を改善できることが確認で
きた。実施例2〜4では、比較例1と比較して誘電損失
の他、CR積も向上することが確認できた。すなわち、
実施例1〜4では、本発明の焼結助剤を添加しているこ
とから、少ない添加量で、しかも1300℃未満、好ま
しくは1260℃以下、より好ましくは1180℃以下
の低温で焼成しても、電気特性を維持しながら、チップ
を十分に緻密化させることができた。また、実施例1〜
4では、誘電率を悪化させることなく絶縁抵抗が改善で
きるため、CR積を向上でき、さらには誘電損失も改善
できた。
【0135】実施例5 実施例1と比較例2の円盤状サンプルを用いて、焼成温
度と密度との関係(図3参照)と、焼成温度とCR積と
の関係(図7参照)とを評価した。また、実施例1の試
料1と、比較例2の試料31の円盤状サンプルを用い
て、焼成温度と誘電損失との関係(図11参照)を評価
した。
【0136】実施例6 実施例2と比較例2の円盤状サンプルを用いて、焼成温
度と密度との関係(図4参照)と、焼成温度とCR積と
の関係(図8参照)とを評価した。また、実施例2の試
料7と、比較例2の試料31の円盤状サンプルを用い
て、焼成温度と誘電損失との関係(図12参照)を評価
した。
【0137】実施例7 実施例3と比較例2の円盤状サンプルを用いて、焼成温
度と密度との関係(図5参照)と、焼成温度とCR積と
の関係(図9参照)とを評価した。また、実施例3の試
料14と、比較例2の試料31の円盤状サンプルを用い
て、焼成温度と誘電損失との関係(図13参照)を評価
した。
【0138】比較例4 比較例1と比較例2の円盤状サンプルを用いて、焼成温
度と密度との関係(図6参照)と、焼成温度とCR積と
の関係(図10参照)とを評価した。また、比較例1の
試料22と、比較例2の試料31の円盤状サンプルを用
いて、焼成温度と誘電損失との関係(図14参照)を評
価した。
【0139】密度については、図3〜6に示すように、
各実施例の試料では、本発明の焼結助剤を添加している
ので、1300℃未満の低温で焼成しても、相対密度の
変化が小さく、緻密化したチップを得ることができるこ
とが確認できた。CR積および誘電損失については、図
7〜14に示すように、各実施例の試料では、本発明の
焼結助剤を添加しているので、1300℃未満の低温で
焼成しても、十分な値が得られることが確認できた。
【0140】実施例8 (Li,Na)−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−
Oの代わりに、Li−W−(Ba,Ca,Mn,Al)
−Si−Oを用い、、その添加量を母材100モル%に
対して表2に示す割合(5.13〜7.98モル%)と
した以外は、実施例1と同様にして誘電体原料を得た。
得られた誘電体原料を用いて、実施例1と同様にして円
盤状サンプルを作製した。
【0141】実施例9 Li−W−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの代
わりに、V−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oを
用い、その添加量を母材100モル%に対して表2に示
す割合(4.40モル%、4.37モル%)とした以外
は、実施例8と同様にして誘電体原料を得た。得られた
誘電体原料を用いて、実施例8と同様にして円盤状サン
プルを作製した。
【0142】実施例10 Li−W−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの代
わりに、Li−Mo−(Ba,Ca,Mn,Al)−S
i−Oを用い、その添加量を母材100モル%に対して
表2に示す割合(4.51モル%、4.77モル%)と
した以外は、実施例8と同様にして誘電体原料を得た。
得られた誘電体原料を用いて、実施例8と同様にして円
盤状サンプルを作製した。
【0143】実施例11 Li−W−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの代
わりに、Na−Mo−(Ba,Ca,Mn,Al)−S
i−Oを用い、その添加量を母材100モル%に対して
表2に示す割合(4.68モル%)とした以外は、実施
例8と同様にして誘電体原料を得た。得られた誘電体原
料を用いて、実施例8と同様にして円盤状サンプルを作
製した。
【0144】上記実施例8〜11で得られた円盤状サン
プルを用いて、上記実施例1〜4および比較例1〜3と
同様に、磁器特性(収縮率、密度)、電気特性(比誘電
率ε、絶縁抵抗IR、CR積、誘電損失(tanδ))
の特性評価を行った。結果を表2に示す。
【0145】
【表2】
【0146】表2に示すように、まず、焼結助剤の添加
量に関し、実施例8〜11(試料35〜66)では、表
1に示す比較例1(試料21〜28)と比較して、少量
の添加量で焼結できることが確認できた。また、焼成温
度に関し、実施例8〜11では、表1に示す比較例2〜
3(試料29〜34)と比較して、低い温度で焼成でき
ることも確認できた。さらに、電気特性に関し、実施例
8,11では、表1に示す比較例1と比較して誘電損失
が向上し、CR積が向上することが確認できた。実施例
9〜10では、表1に示す比較例1と比較して誘電損失
が向上し、CR積が同程度か、向上することが確認でき
た。
【0147】すなわち、実施例8〜11では、本発明の
焼結助剤を添加していることから、少ない添加量で、し
かも1300℃未満、好ましくは1260℃以下、より
好ましくは1180℃以下の低温で焼成しても、電気特
性を維持しながら、チップを十分に緻密化させることが
できた。また、実施例8〜11では、誘電率を悪化させ
ることなく絶縁抵抗が改善できるため、CR積を向上で
き、さらには誘電損失も改善できた。特に実施例8で
は、CR積の向上が顕著である。
【0148】実施例12 実施例8、比較例1および比較例2の円盤状サンプルを
用いて、焼成温度と密度との関係(図16参照)と、焼
成温度と比抵抗との関係(図17参照)と、焼成温度と
誘電率との関係(図18参照)と、焼成温度とCR積と
の関係(図19参照)とを評価した。
【0149】実施例13 実施例8の試料42と、比較例2の試料31の円盤状サ
ンプルを用いて、温度と誘電損失との関係(図20参
照)を評価した。
【0150】実施例14 実施例10の試料61と、比較例2の試料31の円盤状
サンプルを用いて、温度と誘電損失との関係(図21参
照)を評価した。
【0151】密度については、図16に示すように、実
施例8のサンプルでは、本発明の焼結助剤を添加してい
るので、1300℃未満の低温で焼成しても、相対密度
の変化が小さく、緻密化したチップを得ることができる
ことが確認できた。
【0152】比抵抗、誘電率およびCR積については、
図17〜19に示すように、実施例8のサンプルでは、
本発明の焼結助剤を添加しているので、1300℃未満
の低温で焼成しても、十分な値が得られることが確認で
きた。
【0153】誘電損失については、図20〜21に示す
ように、実施例8,10のサンプルでは、本発明の焼結
助剤を添加しているので、1300℃未満の低温で焼成
しても、十分な値が得られることが確認できた。
【0154】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、低温で焼成しても各種電気特性(比誘電率、絶縁抵
抗、CR積、誘電損失など)を損なうことなく緻密化し
た誘電体磁器組成物を得ることができる誘電体磁器組成
物の製造方法、およびこの誘電体磁器組成物を誘電体層
として用いる電子部品の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミ
ックコンデンサの断面図である。
【図2】 図2は誘電体磁器組成物の製造に用いる焼結
助剤(第1〜第3の観点)の組成比を示す四面体組成図
である。
【図3】 図3は実施例1に係る(Li,Na)−(B
a,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比較例
2に係る(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加
量とを変化させた場合における焼成温度と密度との関係
を示すグラフである。
【図4】 図4は実施例2に係る(Li,Na)−(M
n,Al)−Si−Oの添加量と、比較例2に係る(B
a,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量とを変化さ
せた場合における焼成温度と密度との関係を示すグラフ
である。
【図5】 図5は実施例3に係る(Li,Na)−W−
(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比
較例2に係る(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの
添加量とを変化させた場合における焼成温度と密度との
関係を示すグラフである。
【図6】 図6は比較例1に係るLi−(Ba,Ca,
Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比較例2に係る
(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量とを変
化させた場合における焼成温度と密度との関係を示すグ
ラフである。
【図7】 図7は実施例1に係る(Li,Na)−(B
a,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比較例
2に係る(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加
量とを変化させた場合における焼成温度とCR積との関
係を示すグラフである。
【図8】 図8は実施例2に係る(Li,Na)−(M
n,Al)−Si−Oの添加量と、比較例2に係る(B
a,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量とを変化さ
せた場合における焼成温度とCR積との関係を示すグラ
フである。
【図9】 図9は実施例3に係る(Li,Na)−W−
(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比
較例2に係る(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの
添加量とを変化させた場合における焼成温度とCR積と
の関係を示すグラフである。
【図10】 図10は比較例1に係るLi−(Ba,C
a,Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比較例2に係
る(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量とを
変化させた場合における焼成温度とCR積との関係を示
すグラフである。
【図11】 図11は実施例1の試料1と、比較例2の
試料31とにおける温度と誘電損失との関係を示すグラ
フである。
【図12】 図12は実施例2の試料7と、比較例2の
試料31とにおける温度と誘電損失との関係を示すグラ
フである。
【図13】 図13は実施例3の試料14と、比較例2
の試料31とにおける温度と誘電損失との関係を示すグ
ラフである。
【図14】 図14は比較例1の試料22と、比較例2
の試料31とにおける温度と誘電損失との関係を示すグ
ラフである。
【図15】 図15は誘電体磁器組成物の製造に用いる
焼結助剤(第4〜第6の観点)の組成比を示す四面体組
成図である。
【図16】 図16は実施例8に係るLi−W−(B
a,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比較例
1に係るLi−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−O
の添加量と、比較例2に係る(Ba,Ca,Mn,A
l)−Si−Oの添加量とを変化させた場合における焼
成温度と密度との関係を示すグラフである。
【図17】 図17は実施例8に係るLi−W−(B
a,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比較例
1に係るLi−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−O
の添加量と、比較例2に係る(Ba,Ca,Mn,A
l)−Si−Oの添加量とを変化させた場合における焼
成温度と比抵抗との関係を示すグラフである。
【図18】 図18は実施例8に係るLi−W−(B
a,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比較例
1に係るLi−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−O
の添加量と、比較例2に係る(Ba,Ca,Mn,A
l)−Si−Oの添加量とを変化させた場合における焼
成温度と誘電率との関係を示すグラフである。
【図19】 図19は実施例8に係るLi−W−(B
a,Ca,Mn,Al)−Si−Oの添加量と、比較例
1に係るLi−(Ba,Ca,Mn,Al)−Si−O
の添加量と、比較例2に係る(Ba,Ca,Mn,A
l)−Si−Oの添加量とを変化させた場合における焼
成温度とCR積との関係を示すグラフである。
【図20】 図20は実施例8の試料42と、比較例2
の試料31とにおける温度と誘電損失との関係を示すグ
ラフである。
【図21】 図21は実施例10の試料61と、比較例
2の試料31とにおける温度と誘電損失との関係を示す
グラフである。
【符号の説明】
1… 積層セラミックコンデンサ 10… コンデンサ素子本体 2… 誘電体層 3… 内部電極層 4… 外部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 武史 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 4G030 AA01 AA02 AA03 AA04 AA07 AA08 AA09 AA10 AA16 AA17 AA19 AA20 AA21 AA22 AA23 AA24 AA25 AA32 AA35 AA36 AA37 BA09 GA11 GA14 GA15 GA16 GA17 GA20 GA25 GA26 GA27 GA34 4G031 AA01 AA03 AA04 AA05 AA06 AA10 AA11 AA12 AA13 AA17 AA18 AA19 AA26 AA28 AA29 AA30 BA09 GA02 GA04 GA07 GA11 5E001 AB03 AH09 AJ02 5G303 AA01 AB15 CA01 CB01 CB02 CB03 CB06 CB10 CB11 CB14 CB16 CB17 CB18 CB20 CB21 CB30 CB32 CB33 CB35 CB36 CB37 CB38 CB39 CC03 CD01 CD04 DA05

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体酸化物を含む主成分と、 焼結助剤とを有する誘電体磁器組成物を製造する方法で
    あって、 2種類以上のM1の化合物(ただし、M1はアルカリ金
    属)を含む第1成分と、 M2の化合物(ただし、M2はV族元素およびVI族元
    素)を含む第2成分と、 M3の化合物(ただし、M3はBa、Ca、Sr、M
    g、Mn、B、AlおよびZnから選ばれる少なくとも
    1つ)を含む第3成分と、 Siの酸化物、または焼成によりSiの酸化物になる化
    合物を含む第4成分とを有し、 これら第1成分〜第4成分の組成比:(第1,第2,第
    3,第4)を、点A:(100,0,0,0)、点B:
    (0,100,0,0)、点C:(0,0,100,
    0)および点D:(0,0,0,100)で表される四
    面体組成図で表したとき、前記組成比が、前記点B、点
    Cおよび点Dで囲まれるBCD面(第1成分=0の組
    成)上を除く領域を満たす焼結助剤を用いて、前記誘電
    体磁器組成物を製造することを特徴とする誘電体磁器組
    成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 誘電体酸化物を含む主成分と、 焼結助剤とを有する誘電体磁器組成物を製造する方法で
    あって、 第1成分と、 第2成分、第3成分および第4成分から選ばれる少なく
    とも一つの成分とを有し、 前記第1成分が2種類以上のM1の化合物(ただし、M
    1はアルカリ金属)を含み、前記第2成分がM2の化合
    物(ただし、M2はV族元素およびVI族元素)を含
    み、前記第3成分がM3の化合物(ただし、M3はB
    a、Ca、Sr、Mg、Mn、B、AlおよびZnから
    選ばれる少なくとも1つ)を含み、前記第4成分がSi
    の酸化物、または焼成によりSiの酸化物になる化合物
    を含む焼結助剤を用いて、前記誘電体磁器組成物を製造
    することを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 誘電体酸化物を含む主成分と、 焼結助剤とを有する誘電体磁器組成物を製造する方法で
    あって、 2種類以上のM1の化合物(ただし、M1はアルカリ金
    属)を含む第1成分を有する焼結助剤を用いて、前記誘
    電体磁器組成物を製造することを特徴とする誘電体磁器
    組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 誘電体酸化物を含む主成分と、 焼結助剤とを有する誘電体磁器組成物を製造する方法で
    あって、 M1の化合物(ただし、M1はアルカリ金属の少なくと
    も一つ)を含む第1成分と、 M2の化合物(ただし、M2はV族元素およびVI族元
    素)を含む第2成分と、 M3の化合物(ただし、M3はBa、Ca、Sr、M
    g、Mn、B、AlおよびZnから選ばれる少なくとも
    1つ)を含む第3成分と、 Siの酸化物、または焼成によりSiの酸化物になる化
    合物を含む第4成分とを有し、 これら第1成分〜第4成分の組成比:(第1,第2,第
    3,第4)を、点A:(100,0,0,0)、点B:
    (0,100,0,0)、点C:(0,0,100,
    0)および点D:(0,0,0,100)で表される四
    面体組成図で表したとき、前記組成比が、前記点A、点
    Cおよび点Dで囲まれるACD面(第2成分=0の組
    成)上を除く領域を満たす焼結助剤を用いて、前記誘電
    体磁器組成物を製造することを特徴とする誘電体磁器組
    成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 誘電体酸化物を含む主成分と、 焼結助剤とを有する誘電体磁器組成物を製造する方法で
    あって、 第2成分と、 第1成分、第3成分および第4成分の少なくとも一つの
    成分とを有し、 前記第1成分がM1の化合物(ただし、M1はアルカリ
    金属の少なくとも一つ)を含み、前記第2成分がM2の
    化合物(ただし、M2はV族元素およびVI族元素)を
    含み、前記第3成分がM3の化合物(ただし、M3はB
    a、Ca、Sr、Mg、Mn、B、AlおよびZnから
    選ばれる少なくとも1つ)を含み、前記第4成分がSi
    の酸化物、または焼成によりSiの酸化物になる化合物
    を含む焼結助剤を用いて、前記誘電体磁器組成物を製造
    することを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 誘電体酸化物を含む主成分と、 焼結助剤とを有する誘電体磁器組成物を製造する方法で
    あって、 M2の化合物(ただし、M2はV族元素およびVI族元
    素)を含む第2成分を有する焼結助剤を用いて、前記誘
    電体磁器組成物を製造することを特徴とする誘電体磁器
    組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記誘電体酸化物が、組成式(E1O)
    ・E2 で表され、前記組成式中の記号E1
    がSr、CaおよびBaから選ばれる少なくとも1つの
    元素であり、記号E2がTiおよびZrの少なくとも1
    つの元素である請求項1〜6のいずれかに記載の誘電体
    磁器組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記誘電体酸化物が、組成式{(Ba
    (1−x−y) Ca Sr)O}(Ti
    (1−z) Zr で表され、 前記組成式中の記号A、記号B、記号x、記号yおよび
    記号zが、 記号Bに対する記号Aの比(A/B):0.75≦A/
    B≦1.04、 記号x:0≦x≦0.9、 記号y:0≦y≦0.5、 記号z:0<z<1である請求項1〜6のいずれかに記
    載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 1300℃未満の焼成温度で前記誘電体
    磁器組成物を製造する請求項1〜8のいずれかに記載の
    誘電体磁器組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助
    剤とを有する誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層
    を有する電子部品を製造する方法であって、 2種類以上のM1の化合物(ただし、M1はアルカリ金
    属)を含む第1成分と、 M2の化合物(ただし、M2はV族元素およびVI族元
    素)を含む第2成分と、 M3の化合物(ただし、M3はBa、Ca、Sr、M
    g、Mn、B、AlおよびZnから選ばれる少なくとも
    1つ)を含む第3成分と、 Siの酸化物、または焼成によりSiの酸化物になる化
    合物を含む第4成分とを有し、 これら第1成分〜第4成分の組成比:(第1,第2,第
    3,第4)を、点A:(100,0,0,0)、点B:
    (0,100,0,0)、点C:(0,0,100,
    0)および点D:(0,0,0,100)で表される四
    面体組成図で表したとき、前記組成比が、前記点B、点
    Cおよび点Dで囲まれるBCD面(第1成分=0の組
    成)上を除く領域を満たす焼結助剤を用いて、前記誘電
    体磁器組成物を製造することを特徴とする電子部品の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助
    剤とを有する誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層
    を有する電子部品を製造する方法であって、 第1成分と、 第2成分、第3成分および第4成分から選ばれる少なく
    とも一つの成分とを有し、 前記第1成分が2種類以上のM1の化合物(ただし、M
    1はアルカリ金属)を含み、前記第2成分がM2の化合
    物(ただし、M2はV族元素およびVI族元素)を含
    み、前記第3成分がM3の化合物(ただし、M3はB
    a、Ca、Sr、Mg、Mn、B、AlおよびZnから
    選ばれる少なくとも1つ)を含み、前記第4成分がSi
    の酸化物、または焼成によりSiの酸化物になる化合物
    を含む焼結助剤を用いて、前記誘電体磁器組成物を製造
    することを特徴とする電子部品の製造方法。
  12. 【請求項12】 誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助
    剤とを有する誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層
    を有する電子部品を製造する方法であって、 2種類以上のM1の化合物(ただし、M1はアルカリ金
    属)を含む第1成分を有する焼結助剤を用いて、前記誘
    電体磁器組成物を製造することを特徴とする電子部品の
    製造方法。
  13. 【請求項13】 誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助
    剤とを有する誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層
    を有する電子部品を製造する方法であって、 M1の化合物(ただし、M1はアルカリ金属の少なくと
    も一つ)を含む第1成分と、 M2の化合物(ただし、M2はV族元素およびVI族元
    素)を含む第2成分と、 M3の化合物(ただし、M3はBa、Ca、Sr、M
    g、Mn、B、AlおよびZnから選ばれる少なくとも
    1つ)を含む第3成分と、 Siの酸化物、または焼成によりSiの酸化物になる化
    合物を含む第4成分とを有し、 これら第1成分〜第4成分の組成比:(第1,第2,第
    3,第4)を、点A:(100,0,0,0)、点B:
    (0,100,0,0)、点C:(0,0,100,
    0)および点D:(0,0,0,100)で表される四
    面体組成図で表したとき、前記組成比が、前記点A、点
    Cおよび点Dで囲まれるACD面(第2成分=0の組
    成)上を除く領域を満たす焼結助剤を用いて、前記誘電
    体磁器組成物を製造することを特徴とする電子部品の製
    造方法。
  14. 【請求項14】 誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助
    剤とを有する誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層
    を有する電子部品を製造する方法であって、 第2成分と、 第1成分、第3成分および第4成分の少なくとも一つの
    成分とを有し、 前記第1成分がM1の化合物(ただし、M1はアルカリ
    金属の少なくとも一つ)を含み、前記第2成分がM2の
    化合物(ただし、M2はV族元素およびVI族元素)を
    含み、前記第3成分がM3の化合物(ただし、M3はB
    a、Ca、Sr、Mg、Mn、B、AlおよびZnから
    選ばれる少なくとも1つ)を含み、前記第4成分がSi
    の酸化物、または焼成によりSiの酸化物になる化合物
    を含む焼結助剤を用いて、前記誘電体磁器組成物を製造
    することを特徴とする電子部品の製造方法。
  15. 【請求項15】 誘電体酸化物を含む主成分と、焼結助
    剤とを有する誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層
    を有する電子部品を製造する方法であって、 M2の化合物(ただし、M2はV族元素およびVI族元
    素)を含む第2成分を有する焼結助剤を用いて、前記誘
    電体磁器組成物を製造することを特徴とする電子部品の
    製造方法。
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