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JP2002231796A - 静電チャック - Google Patents

静電チャック

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Publication number
JP2002231796A
JP2002231796A JP2001022517A JP2001022517A JP2002231796A JP 2002231796 A JP2002231796 A JP 2002231796A JP 2001022517 A JP2001022517 A JP 2001022517A JP 2001022517 A JP2001022517 A JP 2001022517A JP 2002231796 A JP2002231796 A JP 2002231796A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
internal electrode
electrostatic chuck
aluminum nitride
plate
sintered body
Prior art date
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Pending
Application number
JP2001022517A
Other languages
English (en)
Inventor
Junji Oe
純司 大江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2001022517A priority Critical patent/JP2002231796A/ja
Publication of JP2002231796A publication Critical patent/JP2002231796A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い吸着力を有するとともに、被吸着物の離脱
応答性に優れる静電チャック1を提供する。 【解決手段】窒化アルミニウム質焼結体からなる板状セ
ラミック体2の一方の主面を、被吸着物を載せる設置面
3とするとともに、板状セラミック体2中に金属を主成
分とする内部電極4を備える静電チャック1において、
窒化アルミニウム質焼結体中に含有する珪素含有量を1
0重量ppm乃至300重量ppmとするとともに、不
純物酸素量を3重量%以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CVD、PVD、
スパッタリング等の成膜装置や、光エッチングやプラズ
マエッチング等のエッチング装置において、半導体ウエ
ハ等の被吸着物を静電気力でもって吸着保持する静電チ
ャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体デバイスの製造工程におい
て、半導体ウエハへの成膜工程やエッチング工程、ある
いは各種処理工程間での搬送等においては、ウエハを高
精度に保持するため静電チャックが使用されている。
【0003】図4(a)(b)に従来の静電チャックを
示すように、この静電チャック51は、板状セラミック
体52の上面を、被吸着物Wを載せる設置面53とする
とともに、板状セラミック体52の内部に静電吸着用の
内部電極54が埋設され、板状セラミック体52の下面
に内部電極54と電気的に接続される通電端子55が固
定されている。そして、この静電チャック51の通電端
子55と、設置面53に載せた被吸着物Wとの間に高圧
直流電源58から100〜1000Vの直流電圧を印加
すると、被吸着物Wと設置面53の間に静電吸着力が発
現するため、この静電吸着力によって被吸着物Wを設置
面53に吸着固定するようになっていた。
【0004】さらに、板状セラミック体52の周縁部に
は3つの穴56を穿設してあり、この穴56よりピン5
7が昇降可能になっている。その為、静電チャック51
への通電を止め、ピン57を設置面53より突出させる
ことにより、被吸着物Wを設置面53より持ち上げて切
り離すようになっていた。
【0005】ただし、被吸着物Wを設置面53より離脱
させるにあたり、静電チャック51への通電を止めても
被吸着物Wと設置面53の近傍に帯電した電荷は直ぐに
はなくならず、被吸着物Wを設置面53に吸着させよう
とする力、即ち残留吸着力が発生しているため、このよ
うな状態においてピン57により被吸着物Wを無理に持
ち上げようとすると、被吸着物Wが半導体ウエハのよう
な薄板であると破損するといった課題があった。
【0006】そこで、被吸着物Wの離脱時間を短縮する
手段として、特開平9−219441号公報には、被吸
着物Wと設置面53の間に導電ガスを供給し、被吸着物
Wと設置面53に蓄積した電荷を逃がす技術が提案され
ている。
【0007】また、特開2000−158275公報に
は、静電吸着用の内部電極54として金網を用い、この
金網からなる内部電極54の開口部の割合を50%〜7
0%とするとともに、開口部の最短幅を0.23mm以
上とすることにより、実用に供する程度の吸着力を維持
しつつ、被吸着物Wの離脱性を向上させる技術が提案さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、半導
体デバイスの製造工程においては、半導体ウエハの生産
性を高めることが求められている中で、この残留吸着力
の消滅時間、即ち半導体ウエハの離脱時間を10秒以
下、好ましくは5秒以下に短縮することが要求されてい
るが、特開平9−219441号公報に開示された技術
では、ウエハや設置面53に帯電する電荷を逃がし、ピ
ン57によりウエハを破損させずに持ち上げるには10
秒乃至30秒かかり、また、特開2000−15827
5公報に開示された技術でも、ピン57によりウエハを
破損させずに持ち上げるには約30秒かかり、いずれの
技術を用いたとしてもウエハを破損させることなく10
秒以内に離脱させることは難しいものであった。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記課
題に鑑み、窒化アルミニウム質焼結体からなる板状セラ
ミック体の一方の主面を、被吸着物を載せる設置面とす
るとともに、上記板状セラミック体中に金属を主成分と
する内部電極を備える静電チャックにおいて、上記窒化
アルミニウム質焼結体中に含有する珪素含有量を10重
量ppm乃至300重量ppmとするとともに、不純物
酸素量を3重量%以下としたことを特徴とする。
【0010】また、上記静電チャックの内部電極として
は、高融点金属又は金属化合物の粒子と窒化アルミニウ
ムの粒子が焼結したものであって、上記高融点金属又は
金属化合物の平均粒径を0.2μm乃至100μmとし
たものを用いることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0012】図1は本発明に係る静電チャックを示す図
で、(a)はその斜視図、(b)は(a)のX−X線断
面図である。
【0013】この静電チャック1は、円盤状をした窒化
アルミニウム質焼結体からなる板状セラミック体2の上
面を、被吸着物Wを載せる設置面3とするとともに、板
状セラミック体2中の設置面3側近傍には、静電吸着用
電極として、図2(a)に示すような半円形状をした一
対の内部電極4を円を構成するように埋設してあり、上
記板状セラミック体2の下面には上記一対の内部電極4
と電気的に接続される通電端子5をそれぞれ接合してあ
る。そして、この静電チャック1の通電端子5間に高圧
直流電源8から100〜1000Vの直流電圧を印加す
ると、被吸着物Wと設置面3の間に静電吸着力が発現す
るため、この静電吸着力によって被吸着物Wを設置面3
に吸着固定するようになっている。
【0014】そして、板状セラミック体2を形成する窒
化アルミニウム質焼結体は、弗素や塩素を含むハロゲン
系ガスに対する耐蝕性や耐プラズマ性に優れることか
ら、ハロゲン系ガスやプラズマに曝されるような雰囲気
下で用いたとしても長期間にわたって使用することがで
きるとともに、窒化アルミニウム質焼結体は、他のセラ
ミックスと比較して高い熱伝導率を有することから、静
電チャック1を介して被吸着物Wを加熱したり冷却する
際、他のセラミック焼結体からなる静電チャックと比較
して被吸着物Wの加工表面における温度分布を均一にす
ることができる。
【0015】また、図示してないが、設置面3の上方に
別の電極を設置し、この電極と内部電極4との間に高周
波電力を印加しても良く、この場合、設置面3上の被吸
着物Wに対してプラズマを発生させることができる。
【0016】なお、板状セラミック体2中に埋設する内
部電極4のパターン形状としては、図2(a)に示すも
のだけに限らず、図2(b)に示すように、一枚の円板
形状をした内部電極4からなるもの、図2(c)に示す
ように、リング形状をした内部電極4を同心円状に配置
したもの、図2(d)に示すように、扇形状をした内部
電極4を円を構成するように配置したもの、さらには図
2(e)に示すように、櫛歯形状の内部電極4を互いの
歯部を互い違いに配置したもの等であっても構わない。
また、内部電極4の性状としては、金属粉体が焼結され
た膜や金網、あるいは金属箔板や多数の穴を有する金属
箔板等、様々な性状のものを用いることができる。
【0017】さらに、上記内部電極4を形成する材質と
しては、Ta(タンタル),W(タングステン)、Mo
(モリブデン)、Pt(白金),Re(レニウム),H
f(ハフニウム)等の高融点金属を用いることができる
が、板状セラミック体2を形成する窒化アルミニウム質
焼結体との密着性を高める観点から、窒化アルミニウム
質焼結体との熱膨張差が小さい、W(タングステン)や
Mo(モリブデン)を用いることが好ましい。
【0018】また、板状セラミック体2の周縁部には3
つの穴6を穿設してあり、この穴6よりピン7が昇降可
能になっている。その為、静電チャック1への通電を止
め、ピン7を設置面3より突出させることにより、被吸
着物Wを設置面3より持ち上げて切り離すことができ
る。
【0019】そして、本発明の静電チャック1は、板状
セラミック体2を形成する窒化アルミニウム質焼結体中
における珪素含有量を10重量ppm乃至300重量p
pmとするとともに、不純物酸素量を3重量%以下とし
たことを特徴とする。
【0020】即ち、本件発明者は、実用に供する程度の
静電吸着力を有するとともに、被吸着物Wの離脱応答性
に優れた静電チャック1を得るため研究を重ねたとこ
ろ、図3に示すように、内部電極4の周囲にあるセラミ
ック部Pとの境界に内部電極4と平行なクラックSが発
生していることを知見した。そして、このクラックSが
設置面3側のセラミック部Pと内部電極4との境界に多
数形成されていたり、設置面3と平行に長いクラックS
があると、設置面3側のセラミック部Pと内部電極4と
の接触面積が少なくなり、設置面3の近傍に帯電する電
荷を内部電極4へ逃がし難く、また、セラミック部Pの
クラックS表面近傍には電荷が帯電しており、設置面3
の近傍における電荷とでコンデンサーを形成するため、
設置面3の近傍における電荷が逃げ難いため、内部電極
4への通電を止めても設置面3の近傍に帯電する電荷を
直ちに内部電極4へ逃がすことができず、その結果、被
吸着物Wの離脱応答性を高めることができないことを知
り、少なくとも設置面3側のセラミック部Pと内部電極
4との境界にできるクラックSの発生を抑制するため、
さらに研究を繰り返したところ、板状セラミック体2を
形成する窒化アルミニウム質焼結体中の珪素と不純物酸
素の含有量が大きく関与していることを見出した。
【0021】ここで、珪素は窒化アルミニウム質焼結体
中において不純物として含有されており、酸素と結合し
てSiO2の状態で存在しているものと思われるが、こ
のSiO2は1500℃以下の温度で液層を生成し、焼
結時に内部電極4とセラミック部Pとの境界に作用する
内部応力を吸収、緩和する効果があるものと思われる。
【0022】ただし、一部の珪素は内部電極4を形成す
るMo(モリブデン)やW(タングステン)等の高融点
金属と結合して珪素化物を生成するのであるが、この珪
素化合物は、板状セラミック体2を形成する窒化アルミ
ニウム質焼結体や内部電極4を形成するMo(モリブデ
ン)やW(タングステン)等の高融点金属との熱膨張差
が大きいため、珪素含有量が300重量ppmを超え、
珪素化合物の生成量が多くなると、内部電極4とセラミ
ック部Pとの境界に応力が作用し、この境界に多数の大
きなクラックSが発生する。
【0023】また、珪素含有量が10重量ppmを下回
ると、窒化アルミニウム質焼結体中に占める珪素の割合
が少ないため、焼結時に内部電極4とセラミック部Pと
の境界に作用する応力を吸収、緩和する効果が小さく、
内部電極4とセラミック部Pとの境界に多数の大きなク
ラックSが発生する。
【0024】その為、前述したように、窒化アルミニウ
ム質焼結体中に含有する珪素の含有量は10重量ppm
乃至300重量ppmとすることが好ましい。
【0025】また、本発明において、不純物酸素量と
は、窒化アルミニウム質焼結体中に焼結等の助剤として
添加される酸化物の酸素量を除いた酸素量のことであ
る。例えば、窒化アルミニウム質焼結体の焼結助剤とし
て含有される成分としては、Caなど周期律表の2a族
元素の酸化物(CaO,SrO2,BaO2等)やYなど
希土類元素を含む周期律表の3a族元素の酸化物(Y2
3,Er23,La23,CeO2等)が用いられるの
であるが、この周期律表2a族元素や周期律表3a族元
素と結合する酸素量を除いたもののことを言う。
【0026】そして、この不純物酸素量を規定するの
は、不純物酸素は内部電極4を形成するMo(モリブデ
ン)やW(タングステン)等の高融点金属と結合して内
部電極4の表面に金属酸化物を生成するのであるが、こ
の金属酸化物も板状セラミック体2を形成する窒化アル
ミニウム質焼結体や内部電極4を形成するMo(モリブ
デン)やW(タングステン)等の高融点金属との熱膨張
差が大きいからで、不純物酸素量が3重量%を超える
と、内部電極4の表面に生成される金属酸化物量が多く
なり過ぎるため、セラミック部Pとの境界に応力が作用
し、この境界に多数の大きなクラックSが発生するから
である。
【0027】かくして、静電チャック1を構成する板状
セラミック体2として、珪素含有量が10重量ppm乃
至300重量ppm、不純物酸素量が3重量%以下の窒
化アルミニウム質焼結体により形成することで、内部電
極4とセラミック部Pとの境界にクラックSが発生する
ことを効果的に低減することができるため、静電チャッ
ク1への通電を止めれば、設置面3の近傍に帯電する電
荷を直ちに内部電極4へ逃がすことができるため、残留
吸着力の消滅時間を短くすることができ、被吸着物Wの
離脱応答性を向上させることができる。
【0028】なお、珪素含有量と不純物酸素量の測定
は、窒化アルミニウム焼結体を、アルミナ質乳鉢を用い
て粉砕し、堀場製作所 EGMA−650A酸素、窒素
分析装置にて、全酸素量を定量分析する。具体的には、
黒鉛ルツボを加熱炉とし、Heガスを流しながら100
0℃以上の温度に熱して発生する二酸化炭素量を赤外線
検出器によって検出定量する。次に、粉砕した粉体を1
5%HF/HNO3混酸より加熱溶融分解して溶液化し、A
lを除く全ての陽イオンをICP(Inductively Couple
d Plasma Atomic Emission Spectroscopy)分析により
定量分析する。そして、得られた陽イオンの内、珪素の
量を珪素含有量とするとともに、周期律表2a族元素や
周期律表3a族元素など焼結助剤となる元素について
は、酸化物に換算した時の酸素量、即ち、Caの酸化物
はCaO、Srの酸化物はSrO2、Baの酸化物はB
aO2、YやEr,La,Ceの酸化物はY23、Er2
3、La23、CeO2として求め、全酸素量から差し
引いた残りの酸素量を不純物酸素量とした。また、Si
2の生成と内部電極4を形成する金属酸化物の生成の
確認は、静電チャック1を切断した断面をEPMA分析
(波長分散型X線マイクロアナライザー)にて測定する
と、内部電極4の周辺における珪素及び酸素の濃度が高
くなっていることから判断することがきる。
【0029】また、板状セラミック体2を形成する窒化
アルミニウム質焼結体として、周期律表2a族元素や周
期律表3a族元素の酸化物からなる焼結助剤を含有する
ものでは、1重量%〜10重量%の範囲で含有したもの
が良く、この範囲で焼結助剤を含有した窒化アルミニウ
ム質焼結体は、3点曲げ強度が250MPa以上、ビッ
カース硬度が9GPa以上と十分な機械的強度を有する
とともに、70W/m・K以上の高い熱伝導率を有する
ことから、吸着保持した被吸着物Wを均熱化するのに好
適であり、また、板状セラミック体2を形成する窒化ア
ルミニウム質焼結体として、焼結助剤を含有せず、珪素
と不純物酸素以外は実質的に窒化アルミニウムのみから
なるものでは、焼結体中の粒界層が占める割合が少ない
ため、窒化アルミニウム質焼結体の耐蝕性及び耐プラズ
マ性をより一層向上させることができ、ハロゲン系ガス
やプラズマ雰囲気下で使用したとしても寿命の長い静電
チャック1とすることができる。
【0030】また、内部電極4がW(タングステン)や
Mo(モリブデン)等の高融点金属粒子を焼結した膜か
らなるものである場合、高融点金属粒子の平均粒径は
0.2μm乃至100μmの範囲にあることが良い。な
ぜなら、高融点金属の平均粒径が0.2μmより小さい
と、窒化アルミニウム質焼結体中に含まれている不純物
酸素と反応し易くなって高融点金属粒子の表面に金属酸
化物層を生成するのであるが、金属酸化物は、高融点金
属や窒化アルミニウムとの熱膨張係差が大きいため、加
熱や冷却が繰り返されると、高融点金属粒子とセラミッ
ク部Pとの界面にクラックSが生じ易くなるからであ
り、逆に高融点金属の平均粒径が100μmを超える
と、均一な厚みを持った内部電極4を形成することが難
しく、均一な静電吸着力が得られなくなるからである。
なお、好ましくは高融点金属粒子の平均粒径を0.5μ
m乃至100μmとすることが良い。
【0031】ところで、このような静電チャック1を製
造するには、出発原料として珪素や酸素の含有が少ない
窒化アルミニウム粉末を用いることが重要であり、珪素
含有量は多くても300重量ppm以下、不純物酸素量
は多くても3重量%以下の範囲で含有するものを選択す
ることが良い。
【0032】そして、窒化アルミニウム粉末に対し、必
要に応じて周期律表2a族元素や周期律表3a族元素の
酸化物等からなる焼結助剤を添加するとともに、有機バ
インダーを添加し、さらにアルミナや窒化珪素からなる
粉砕ボールを加えて混練する。この時、粉砕ボールが摩
耗して摩耗粉が混入するのであるが、出発原料中の珪素
含有量が比較的多い場合には、できるだけ不純物が少な
く、特に珪素含有量の少ないアルミナや窒化珪素からな
る粉砕ボールを用いることが好ましく、また、出発原料
中の珪素含有量が少ない場合には、珪素含有量が5重量
%を超えない範囲で珪素を含むアルミナからなる空ずり
摩耗率が1000ppm/時間以下の粉砕ボールや、窒
化珪素からなる空ずり摩耗率が10ppm/時間以下粉
砕ボールを用いる。
【0033】そして、混練したものを泥しょうや造粒粉
とし、テープ成形法、鋳込み成形法、プレス成形法、ホ
ットプレス法等のセラミック成形手段を用いて内部電極
4を埋設した板状セラミック体2を製作する。
【0034】例えば、セラミック成形手段としてテープ
成形法、鋳込み成形法、プレス成形法を用いる場合、テ
ープ成形法にて複数枚のAlNグリーンシートを製作し
た後、数枚のAlNグリーンシートを積層し、その上に
内部電極4を配置する。ここで、金網や金属箔板を内部
電極4として用いる場合、所定のパターン形状に加工し
たものを所定位置に配置すれば良く、金属粉体が焼結さ
れた膜を内部電極4として用いる場合、金属粉体に溶剤
と有機結合剤を混ぜた導体ペーストを予定のパターン形
状となるように所定位置に印刷すれば良い。
【0035】次いで、内部電極4を覆うように残りのA
lNグリーンシートを積み重ねて熱圧着し、内部電極4
が埋設された板状のグリーンシート積層体を製作する。
ここで、金属粉体が焼結された膜を内部電極4として用
いる場合、熱圧着時の圧力は3〜15MPaとすること
が良い。なぜなら、加圧力が3MPa以下では、金属粒
子とAlNグリーンシートが物理的に密着せず、その界
面にクラックが発生し易いからであり、加圧力が15M
Paより大きいと、セラミック積層体が変形するととも
に、内部電極4の外径寸法が変化し、所望の寸法にコン
トロールできないからである。
【0036】しかる後、得られたセラミック積層体を焼
成することにより、内部電極4が埋設された板状セラミ
ック体2を製作するのであるが、焼成にあたっては最高
温度を1750〜2200℃とし、この最高温度で1時
間以上保持することが好ましい。
【0037】ここで、最高温度を1750〜2200℃
とするのは、最高温度が1750℃より低いと、緻密化
することが難しいからであり、最高温度が2200℃よ
り高いと、窒化アルミニウム結晶の異常粒成長が発生
し、窒化アルミニウム質焼結体の機械的特性(3点曲げ
強度やビッカース硬度等)が大幅に低下するからであ
る。また、最高温度での保持時間を1時間以上とするの
は、AlNグリーンシート中の不純物酸素を有機バイン
ダーの炭素と反応させ、COガスとして外部に放出する
ためで、最高温度での保持時間が1時間未満であると、
AlNグリーンシート中に含まれている余剰の不純物酸
素をCOガスとして十分に放出することができず、不純
物酸素量を3重量%以下とすることができないからであ
る。ただし、最高温度での保持時間が長すぎると不経済
であるため、長くても10時間以内とすれば良い。
【0038】また、セラミック成形手段としてホットプ
レス法を用いる場合、造粒粉を金型内に充填し、プレス
成形にて成形体を形成した後、この成形体上に内部電極
4を配置する。ここで、金網や金属箔板を内部電極4と
して用いる場合、所定のパターン形状に加工したものを
所定位置に配置すれば良く、金属粉体が焼結された膜を
内部電極4として用いる場合、金属粉体に溶剤と有機結
合剤を混ぜた導体ペーストを予定のパターン形状となる
ように所定位置に印刷すれば良い。
【0039】次いで、内部電極4を覆うように金型内に
残りの造粒粉を充填した後、ホットプレス法により、高
温下で一軸加圧することにより、内部電極4が埋設され
た板状セラミック体2を製作するのであるが、焼成にあ
たっては焼成温度を1750〜2200℃とし、5MP
a以上の圧力で1時間以上加圧することが良く、好まし
くは10MPa以上の圧力で2時間以上加圧することが
良い。
【0040】ここで、焼成温度を1750〜2200℃
とするのは、焼成温度が1750℃より低いと、緻密化
することが難しいからであり、焼成温度が2200℃を
超えると、窒化アルミニウム結晶の異常粒成長が発生
し、窒化アルミニウム質焼結体の機械的特性(3点曲げ
強度やビッカース硬度等)が大幅に低下するといった不
都合があるからである。また、加圧力を5MPa以上と
するのは、5MPa未満であると、緻密化することが難
しく、セラミック部Pと内部電極4の境界にクラックS
が生じ易いといった不都合があるからである。さらに、
加圧時間を1時間以上とするのは、AlNグリーンシー
ト中の不純物酸素を有機バインダーの炭素と反応させ、
COガスとして外部に放出するためで、加圧時間が1時
間未満であると、AlNグリーンシート中に含まれてい
る余剰の不純物酸素をCOガスとして十分に放出するこ
とができず、不純物酸素量を3重量%以下とすることが
できないからである。ただし、最高温度で保持時間が長
すぎると不経済であるため、長くても10時間以内とす
れば良い。
【0041】このようにして板状セラミック体2を製作
することにより、板状セラミック体2を形成する窒化ア
ルミニウム質焼結体中の珪素含有量を10重量ppm乃
至300重量ppm、不純物酸素量を3重量%以下とす
ることができる。
【0042】しかる後、得られた板状セラミック体2の
一方の主面に研磨加工を施し、その表面粗さを算術平均
粗さ(Ra)で1μm以下とすることにより被吸着物W
の設置面3を形成するとともに、板状セラミック体2の
他方の主面に内部電極4と連通する穴を穿孔し、この穴
内に通電端子5を挿入してロウ付け等の手段にて接合す
ることにより得ることができる。
【0043】なお、本発明の静電チャック1は、本実施
例で示した構造をしたものだけに限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で改良や変更したも
のでも良いことは言うまでもない。
【0044】
【実施例】(実施例1)ここで、内部電極4に金網を用
いた図1(a)(b)に示すような静電チャック1を用
意し、静電チャック1の板状セラミック体2を形成する
窒化アルミニウム質焼結体中の珪素含有量と不純物酸素
量を異ならせた時の被吸着物の離脱応答性を調べる実験
を行った。
【0045】まず、出発原料として還元窒化法にて製作
した平均粒径1μm程度の窒化アルミニウム粉末を用意
し、焼結助剤として酸化カルシウム粉末を1重量%、酸
化イットリウム粉末を0.5重量%添加するとともに、
平均粒径1μm程度のアルミナ粉末およびコロイダルシ
リカ粉末を添加量を異ならせて添加し、さらにエタノー
ル及びバインダーを加えて混練乾燥することにより造粒
粉を製作した。得られた造粒粉を金型中に充填し、プレ
ス成形法にて直径200mm、厚み6mmの円板状の予
備成形体を製作した後、この予備成形体上にモリブデン
線よりなる金網を図2(a)に示すパターン形状となる
ように加工したものを載せ、この上に残りの造粒粉を充
填し、さらにプレス成形にて内部電極4を埋設してな
り、厚みが15mmの成形体を製作した。
【0046】なお、内部電極4としては、線径が0.5
mm、開口部の形状が正方形、開口率が65%程度の金
網を用いた。
【0047】次に、得られた成形体をカーボン製のホッ
トプレス成形型に設置し、一軸加圧すると共に、120
0℃まで真空雰囲気とし、5℃/分の昇温速度で加熱し
た後、窒素ガスを導入し、1750℃まで窒素雰囲気と
し、8℃/分の昇温速度で加熱し、1750℃の温度で
表1に示す時間保持した後、さらに1900℃まで5℃
/分の速度で昇温し、1900℃の温度で3時間保持す
ることにより、円盤状をした板状セラミック体2を製作
した。
【0048】この時、板状セラミック体2と同じ条件に
て形成した試料片としての窒化アルミニウム質焼結体の
密度をアルキメデス法にて測定した。
【0049】次に、得られた板状セラミック体2を、ダ
イヤモンド砥石を用いたロータリー研磨装置にて研磨
し、厚みを4mmとするとともに、万能研磨装置にて外
径を200mmとし、さらにマシニングセンターにて穴
径が5mmの貫通した穴6を3個、板状セラミック体2
の周縁部に等間隔で穿孔するとともに、板状セラミック
体2の一方の主面に穴径が3mmの電極供給用の穴を2
個穿孔し、電極供給用の穴に通電端子5を挿入し、ロウ
付け固定することにより静電チャック1を製作した。
【0050】このようにして製作した静電チャック1
を、真空度0.1Paの真空装置内に入れ、静電チャッ
ク1の貫通した一つの穴6に、接触式のセンサーを埋め
込んだピンを昇降可能に設置し、他の貫通した2つの穴
6にはHeガスを600Paの圧力で供給するようにし
た。
【0051】そして、静電チャック1の設置面3に被吸
着物としてシリコンウエハを載せ、通電端子5間に50
0Vの電圧を印加して静電吸着力を発現させ、シリコン
ウエハを設置面5に吸着固定し、10秒後、通電端子5
間への通電を遮断した後、ピン7によりシリコンウエハ
を15Nの力にて押圧し、シリコンウエハが設置面3よ
り離脱するまでの時間を3回測定し、その平均値を被吸
着物の離脱時間とした。
【0052】その後、ダイヤモンド砥石にて内部電極4
と垂直な方向に切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(S
EM)にて1000倍に拡大して観察し、設置面3側の
セラミック部と内部電極4との境界におけるクラックの
有無とその大きさを観察した。結果は表1に示す通りで
ある。
【0053】
【表1】
【0054】この結果、試料No.3,4,7,8,1
0,11,12,13,16のように、板状セラミック
体2を形成する窒化アルミニウム質焼結体中における珪
素含有量が10重量ppm乃至300重量ppmで、か
つ不純物酸素量が3重量%以下の範囲にあるものは、設
置面3側のセラミック部と内部電極4との境界における
クラックの大きさが、いずれも幅1μm以下、長さ20
μm以下と小さく、その結果、シリコンウエハの離脱時
間が10秒以内と短く、離脱応答性に優れたものであっ
た。
【0055】(実施例2)次に、内部電極4に金属粒子
を焼き固めた膜を用いた図1(a)(b)に示すような
静電チャック1を用意し、静電チャック1の板状セラミ
ック体2を形成する窒化アルミニウム質焼結体中の珪素
含有量と不純物酸素量を異ならせた時の被吸着物の離脱
応答性を調べる実験を行った。
【0056】まず、出発原料として還元窒化法にて製作
した平均粒径1μm程度の窒化アルミニウム粉末を用意
し、焼結助剤として酸化カルシウム粉末を1重量%、酸
化イットリウム粉末を0.5重量%添加するとともに、
平均粒径1μm程度のアルミナ粉末およびコロイダルシ
リカ粉末を添加量を異ならせて添加し、さらにバインダ
ーとしてポリビニルブチラールを、溶剤としてトルエン
とキシレンを加え、ボールミル中で混合することにより
スラリーを製作した。
【0057】次に、得られたスラリーをドクターブレー
ド法により、一辺が250mm、厚みが300μmのA
lNグリーンシートを11枚製作した。
【0058】一方、タングステン粉末にポリビニルブチ
ラール樹脂とテルピネオールを混合することにより導体
ペーストを作製し、得られた導体ペーストを、数枚積み
重ねたAlNグリーンシートの上面にスクリーン印刷法
により図2(a)のパターン形状となるように塗布した
後、残りのAlNグリーンシートを積み重ね、70℃の
温度で熱圧着することにより、内部電極4をなす導体ペ
ーストを埋設したセラミック積層体を製作した。
【0059】次に、得られたセラミック積層体を真空雰
囲気下で500℃に加熱して脱脂処理を行った後、カー
ボン焼成炉にて、BN製の焼成鉢に設置し、真空雰囲気
下で1200℃まで5℃/分の速度で昇温した後、窒素
ガスを導入し、窒素雰囲気下で1750℃まで8℃/分
の速度で昇温し、1750℃の温度で表2に示す時間保
持した後、さらに1980℃まで5℃/分の速度で昇温
し、1980℃の温度で3時間保持することにより、円
盤状をした板状セラミック体2を製作した。
【0060】この時、板状セラミック体2と同じ条件に
て形成した試料片としての窒化アルミニウム質焼結体の
密度をアルキメデス法にて測定した。
【0061】次に、得られた板状セラミック体2を、ダ
イヤモンド砥石を用いたロータリー研磨装置にて研磨
し、厚みを4mmとするとともに、万能研磨装置にて外
径を200mmとし、さらにマシニングセンターにて穴
径が5mmの貫通した穴6を3個、板状セラミック体2
の周縁部に等間隔で穿孔するとともに、板状セラミック
体2の一方の主面に穴径が3mmの電極供給用の穴を2
個穿孔し、電極供給用の穴に通電端子5を挿入し、ロウ
付け固定することにより静電チャック1を製作した。
【0062】このようにして製作した静電チャック1
を、真空度0.1Paの真空装置内に入れ、静電チャッ
ク1の貫通した一つの穴6に、接触式のセンサーを埋め
込んだピンを昇降可能に設置し、他の貫通した2つの穴
6にはHeガスを600Paの圧力で供給するようにし
た。
【0063】そして、静電チャック1の設置面3に被吸
着物としてのシリコンウエハを載せ、通電端子5間に5
00Vの電圧を印加して静電吸着力を発現させ、シリコ
ンウエハを設置面3に吸着固定し、10秒後、通電端子
5間への通電を遮断した後、ピンによりシリコンウエハ
を15Nの力で押圧し、シリコンウエハが設置面3より
離脱するまでの時間を3回測定し、その平均値を被吸着
物の離脱時間とした。その後、ダイヤモンド砥石にて内
部電極4と垂直な方向に切断し、切断面を走査型電子顕
微鏡(SEM)にて1000倍に拡大して観察し、設置
面3側のセラミック部と内部電極4との境界におけるク
ラックの有無とその大きさ、及び内部電極4を形成する
タングステン粒子の平均粒径を観察した。結果は表2に
示す通りである。
【0064】
【表2】
【0065】この結果、資料No.20,23,24,
27,28,29,31のように、板状セラミック体2
を形成する窒化アルミニウム質焼結体中における珪素含
有量が10重量ppm乃至300重量ppmで、かつ不
純物酸素量が3重量%以下の範囲にあり、内部電極4を
形成するタングステン粒子の平均粒径が0.2乃至10
0μmの範囲にあるものは、設置面3側のセラミック部
と内部電極4との境界におけるクラックの大きさが、い
ずれも幅1μm以下、長さ20μm以下と小さく、その結
果、シリコンウエハの離脱時間が10秒以内と短く、離
脱応答性に優れたものであった。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、窒化ア
ルミニウム質焼結体からなる板状セラミック体の一方の
主面を、被吸着物を載せる設置面とするとともに、上記
板状セラミック体中に金属を主成分とする内部電極を備
える静電チャックにおいて、上記窒化アルミニウム質焼
結体中に含有する珪素含有量を10重量ppm乃至30
0重量ppmとするとともに、不純物酸素量を3重量%
以下とすることによって、実用に供する程度の大きさを
有する静電吸着力を維持しつつ、静電チャックへの通電
を止めれば10秒以内に被吸着物を離脱させることがで
き、離脱応答性を大幅に高めることができる。
【0067】その為、本発明の静電チャックを半導体ウ
エハへの成膜工程やエッチング工程に用いれば、精度の
高い成膜やエッチング加工を施すことができるととも
に、静電チャックへの通電を止めれば直ちに半導体ウエ
ハを離脱させることができるため、次の半導体ウエハを
処理するまでの時間を短縮することができるため、半導
体デバイスの生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る静電チャックの一例を示す図で、
(a)はその斜視図、(b)は(a)のX−X線断面図
である。
【図2】(a)〜(e)は内部電極のさまざまなパター
ン形状を示す平面図である。
【図3】静電チャックを切断した時の設置面側における
セラミック部と内部電極との境界付近を拡大した模式断
面図である。
【図4】従来の静電チャックの一例を示す図で、(a)
はその斜視図、(b)は(a)のY−Y線断面図であ
る。
【符号の説明】
1,51:静電チャック 2,52:板状セラミック体
3,53:設置面 4,54:内部電極 5,55:通電端子 6,56:
穴 7,57:ピン 8,58:電源 P:セラミック部 S:クラック

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化アルミニウム質焼結体からなる板状セ
    ラミック体の一方の主面を、被吸着物を載せる設置面と
    するとともに、上記板状セラミック体中に金属を主成分
    とする内部電極を備える静電チャックにおいて、上記窒
    化アルミニウム質焼結体中に含有する珪素含有量が10
    重量ppm乃至300重量ppmで、且つ不純物酸素量
    が3重量%以下であることを特徴とする静電チャック。
  2. 【請求項2】上記内部電極は高融点金属又は金属化合物
    の粒子と窒化アルミニウムの粒子が焼結したものであっ
    て、上記高融点金属又は金属化合物の平均粒径が0.2
    μm乃至100μmの範囲にあることを特徴とする請求
    項1に記載の静電チャック。
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