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JP2002210890A - 多層容器 - Google Patents

多層容器

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Publication number
JP2002210890A
JP2002210890A JP2001010928A JP2001010928A JP2002210890A JP 2002210890 A JP2002210890 A JP 2002210890A JP 2001010928 A JP2001010928 A JP 2001010928A JP 2001010928 A JP2001010928 A JP 2001010928A JP 2002210890 A JP2002210890 A JP 2002210890A
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JP
Japan
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thermoplastic polyester
resin
polyester resin
acid
layer
Prior art date
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Pending
Application number
JP2001010928A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Nimiya
賢二 仁宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd filed Critical Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2001010928A priority Critical patent/JP2002210890A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃層間剥離性、透明性や透視性等の外
観、ガスバリア性等に優れた多層容器を提供すること。 【解決手段】 エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
(A)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)及びアルカ
リ金属、アルカリ土類金属、ホウ素から選ばれる少なく
とも1種(C)を含有してなる樹脂組成物(I)を中間
層とし、その両側に熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)
層を配してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)組
成物の層と熱可塑性ポリエステル系樹脂の層からなる多
層容器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、EVOHは、透明性、ガスバリ
ア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れており、か
かる特性を生かして、食品包装材料、医薬品包装材料、
工業薬品包装材料、農薬包装材料等のフィルムやシー
ト、或いはボトル等の容器などに成形されて利用されて
おり、特に、容器の防湿性や炭酸ガス・香気成分のバリ
ア性、機械的特性等の性能を向上させる目的で、EVO
H層の両面にポリエステル系樹脂(主にポリエチレンテ
レフタレート、以下PETと略記する)を積層した多層
容器が用いられている。最近では、炭酸を含有したソフ
トドリンクやアルコール飲料の耐圧ボトルとしても注目
を浴びている。一方、PETは、優れた透明性と剛性、
適度なガスバリア性、保香性を有し、炭酸飲料や清涼飲
料用の容器に広く使用されているが、ビールやワイン等
の高度なガスバリア性を要求される用途には、そのガス
バリア性は不充分であり、上記のようにEVOH層との
積層により、優れたガスバリア容器としての利用が可能
である。
【0003】しかし、一般的に、PETのような熱可塑
性ポリエステル系樹脂とEVOHは接着性に乏しく、そ
の層間剥離強度や耐層間剥離性を高めるために、特開昭
59−188433号公報に代表されるように、その層
間に特定の接着性樹脂を介在させることが必要となる。
しかしながら、最近PETはリサイクルされて再生使用
される状況下にあり、層間に接着性樹脂が存在すると、
PETとEVOHの分離が困難となり、その結果、再生
PETの品質が低下するという問題が生じるため、市場
に受け入れられることが困難となっている。
【0004】そこで、かかる接着性樹脂を使用せずにE
VOH層の両面にポリエステル系樹脂(PET)層を積
層した多層容器が望まれるわけであるが、かかる多層容
器に用いる積層体としては、EVOH層の位置等を工夫
したPET層/EVOH層/PET層の積層体(特開昭
61−173924号公報)、PET層/リグラインド
層/EVOH層/リグラインド層/PET層の積層体
(特開昭62−28332号公報)、PET層/EVO
H(2種ブレンド)層/PET層の積層体(特開昭62
−271831号公報、特開平2−139237号公
報)、PET層/EVOH(2種ブレンド)層/PET
層/EVOH(2種ブレンド)層/PET層の積層体
(特開平1−204736号公報)、PET層/EVO
H(他樹脂ブレンド)層/PET層/EVOH(他樹脂
ブレンド)層/PET層の積層体(特開平11−791
56号公報)、PET層/EVOH(低ケン化品)層/
PET層の積層体(特開平11−348194号公報、
特開平11−348195号公報、特開平11−348
196号公報、特開平11−348197号公報)が提
案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
61−173924号公報、特開昭62−28332号
公報、特開平2−139237号公報に記載の積層体で
は、衝撃的な力を受けた場合の耐層間剥離性(耐衝撃層
間剥離性)、特に低温下でその性能が不充分であり、ま
た、特開昭62−271831号公報、特開平1−20
4736号公報、特開平11−79156号公報に記載
の積層体でも、耐衝撃層間剥離性についてはある程度の
改善は認められるものの、ガスバリア性の低下や容器の
透明性・透視性が悪化するという問題点を有しており、
さらに特開平11−348194号公報、特開平11−
348195号公報、特開平11−348196号公
報、特開平11−348197号公報に記載の積層体で
も、耐衝撃層間剥離性についてはある程度の改善は認め
られ、透明性・透視性の悪化の程度も少ないものの、ケ
ン化度が99モル%以下のEVOHを用いているため、
ガスバリア性が不足するという問題点を有しており、耐
衝撃層間剥離性、透明性や透視性等の外観、ガスバリア
性等に優れたEVOH層とPET層の多層容器が望まれ
るところである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、か
かる現況に鑑みて、EVOH層とPET層からなる多層
容器について鋭意研究を重ねた結果、EVOH(A)、
熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)及びアルカリ金属、
アルカリ土類金属、ホウ素から選ばれる少なくとも1種
(C)を含有してなる樹脂組成物(I)を中間層とし、
その両側に熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)層を配し
てなる多層容器が上記の目的を達成できることを見出し
て本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に述べる。
本発明の多層容器は、EVOH(A)、熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂(B)及びアルカリ金属、アルカリ土類金
属、ホウ素から選ばれる少なくとも1種(C)を含有し
てなる樹脂組成物(I)を中間層とするものであり、か
かるEVOH(A)としては、特に限定されないが、エ
チレン含有量が5〜70モル%(更には20〜60モル
%、特には25〜50モル%)、ケン化度が95モル%
以上(更には99モル%以上、特には99.5モル%以
上)のものが用いられ、該エチレン含有量が5モル%未
満では高湿時のガスバリア性、溶融成形性が低下し、逆
に70モル%を越えると充分なガスバリア性が得られ
ず、更にケン化度が95モル%未満ではガスバリア性、
熱安定性、耐湿性等が低下して、本発明の多層容器の用
途には好ましくない。
【0008】また、該EVOHのメルトフローレート
(MFR)(210℃、荷重2160g)は、1〜10
0g/10分(更には3〜50g/10分、特には6〜
35g/10分)が好ましく、該メルトフローレートが
該範囲よりも小さい場合には、得られる多層容器の成形
性が低下することがあり、また該範囲よりも大きい場合
には、得られる多層容器の機械的強度が低下することが
あり好ましくない。
【0009】該EVOHは(A)、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体のケン化によって得られ、該エチレン−酢酸
ビニル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液
重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造さ
れ、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化も公知の方
法で行い得る。
【0010】また、本発明では、本発明の効果を阻害し
ない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重
合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレ
ン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、
(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸
類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたは
ジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜1
8のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルア
クリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸
あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミ
ンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルア
ミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アル
キルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルア
ミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるい
はその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあ
るいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミ
ド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミ
ド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、
アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビ
ニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒ
ドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキル
ビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化
ビニル等のハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシ
ラン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、ア
リルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチ
ル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−
アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸等が挙げられる。又、本発明の趣旨を
損なわない範囲で、ウレタン化、アセタール化、シアノ
エチル化等、後変性されても差し支えない。
【0011】本発明に用いられる熱可塑性ポリエステル
系樹脂(B)としては、示差走査型熱量計(DSC)に
より測定(昇温速度10℃/分)されるガラス転移温度
(Tg)が、−150〜25℃(更には−100〜0
℃)であることが好ましく、Tgが−150℃未満で
は、配合して得られた樹脂組成物(I)がブロッキング
して作業性が劣ることがあり、逆にTgが25℃を越え
るものは、耐衝撃層間剥離性や透明性・透視性等の外観
の向上効果が充分得られないことがあり好ましくない。
【0012】かかる該熱可塑性ポリエステル(B)の示
差走査型熱量計(DSC)により測定(昇温速度20℃
/分)される結晶融解熱(△Hu)は、30J/g以下
(更には25J/g以下)であることが好ましく、△H
uが30J/gを越えるものは、耐衝撃層間剥離性や透
明性・透視性等の外観の向上効果が充分得られないこと
があり好ましくない。また、該熱可塑性ポリエステル
(B)の固有粘度は0.3〜2.0dl/g(更には
0.5〜1.8dl/g)であることが好ましく、この
範囲外のものはEVOH(A)との相溶性が不良となる
ことがあり好ましくない。ここで、該固有粘度は、フェ
ノールと四塩化エタンの混合溶媒(50重量%/50重
量%)中で25℃で測定される値である。
【0013】かかる熱可塑性ポリエステル(B)は、2
0〜70重量%のテレフタル酸やイソフタル酸等の芳香
族ジカルボン酸と80〜30重量%のアジピン酸やセバ
シン酸等の脂肪族ジカルボン酸を酸成分と、1,6−ヘ
キサンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレング
リコール、プロピレングリコール等の炭素数が2〜6の
アルキレングリコールの重縮合により製造されるもの
で、ガラス転移温度(Tg)及び結晶融解熱(△Hu)
は、上記の配合組成によりコントロールすることができ
る。
【0014】即ち、ガラス転移温度(Tg)は、芳香族
酸と脂肪族酸の配合比によりコントロールすることがで
き、脂肪族酸の比率を上げるとガラス転移温度は低下す
る。また、結晶融解熱(△Hu)は、フタル酸等の結晶
性を崩す原料を増量することにより低下し、固有粘度に
ついては、重合触媒の添加量や重合時間によりコントロ
ールすることができる。
【0015】本発明において熱可塑性ポリエステル系樹
脂(B)としては、構造、組成、ガラス転移温度(T
g)、結晶融解熱(△Hu)、固有粘度、分子量分布な
どの異なる熱可塑性ポリエステル系樹脂を併せて2種類
以上用いることもできる。
【0016】さらに、本発明に用いられるアルカリ金
属、アルカリ土類金属、ホウ素から選ばれる少なくとも
1種(C)のうち、アルカリ金属やアルカリ土類金属と
しては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシ
ウム、マンガン、銅、コバルト、亜鉛などが挙げられ、
中でもナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウ
ム、亜鉛が好ましく、これらの金属を含有させるにあた
っては、酢酸やステアリン酸等の脂肪酸や、ホウ酸、リ
ン酸等の無機酸等の金属塩として含有させることが、本
発明の効果に特に優れる点で好ましい。
【0017】また、ホウ素は、ホウ素化合物として含有
させることが、本発明の効果に特に優れる点で好まし
く、かかる化合物としては、ホウ酸、ホウ酸カルシウ
ム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛、メタ
ホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ
酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸ア
ンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニ
ウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウ
ム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホ
ウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、
六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀
(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第
2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウ
ム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホ
ウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリ
ウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸
鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニ
ッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ
酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウ
ム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸
バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム
(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、
メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四
ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第
1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン
等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸
リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カ
ーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザ
イベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホ
ウ酸、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウ
ム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ
酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウ
ム等)が用いられる。
【0018】本発明に用いられる樹脂組成物(I)中の
(A)〜(C)の含有割合は特に限定されないが、
(A)及び(B)の含有重量比(A/B)は、50/5
0〜99/1(更には60/40〜97/3、特には7
0/30〜95/5、殊に80/20〜95/5)が好
ましく、かかる重量比が50/50よりも小さいとき
は、ガスバリア性が不充分となることがあり、逆に99
/1より大きいときは、耐衝撃層間剥離性や透明性・透
視性等の外観の向上効果が不充分となることがあり好ま
しくない。また、(C)の含有割合は、(A)及び
(B)の合計量100重量部に対して、0.001〜1
重量部(更には0.002〜0.5重量部、特に0.0
05〜0.2重量部)になるように含有させることが好
ましく、かかる重量が0.001重量部よりも小さいと
きは、耐衝撃層間剥離性や透明性・透視性等の外観の向
上効果が不充分となることがあり、逆に1重量部より大
きいときは、最終的に得られる多層容器の外観性が逆に
悪化することがあり好ましくない。
【0019】なお、熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)
として、構造、組成、ガラス転移温度(Tg)、結晶融
解熱(△Hu)、固有粘度、分子量分布などの異なる熱
可塑性ポリエステル系樹脂(B)を併せて2種類以上用
いる場合は、その総重量が上記の範囲にあればよい。ま
た、ホウ酸のアルカリ(土類)金属塩を含有させたり、
ホウ酸と脂肪酸やリン酸等のアルカリ(土類)金属塩を
含有させたりするように、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、ホウ素の少なくとも2種(C)が含有される場合
は、その総重量が上記の範囲にあればよい。
【0020】上記の(A)〜(C)からなる樹脂組成物
(I)を得るには、(A)〜(C)成分をブレンドすれ
ば良いのであるが、具体的には、(A)〜(C)成分
を一括で混合した後に溶融混練する方法、(A)成分
及び(B)成分を溶融混練した後に(C)成分を添加し
て更に溶融混練する方法、(A)成分に(C)成分を
含有させた後に(B)成分を溶融混練する方法、
(B)成分に(C)成分を含有させた後に(A)成分を
溶融混練する方法、(A)及び(B)の両成分にそれ
ぞれ(C)成分を含有させた後に両者を溶融混練する方
法、(A)〜(C)成分を溶解可能な溶剤中で均一に
溶解して混合した後に該溶剤を除去する方法等を挙げる
ことができ、好適にはの方法が用いられ、かかる方法
について、更に詳細に説明をするが、これに限定される
ものではない。
【0021】EVOH(A)に(C)成分を含有させる
にあたっては、(C)成分の水溶液にEVOH(A)を
接触させることで生産上好適に含有させることができ、
このときの該水溶液中の(C)成分の濃度は、金属又は
ホウ素換算でその合計量が0.001〜1重量%(更に
は0.005〜0.8重量%、特には0.01〜0.5
重量部)であることが好ましく、0.001重量%未満
では所定量の(C)成分を含有させることが困難とな
り、逆に1重量%を越えると最終的に得られる多層容器
の外観性が悪化することがあり好ましくない。
【0022】かかる水溶液にEVOH(A)を接触させ
る方法としては特に限定されないが、通常は該水溶液に
ペレット状に成形されたEVOH(A)を投入して撹拌
しながら、上記の(C)成分を含有させることが好まし
い。尚、上記のEVOHペレットの調製(成形)にあた
っては、公知の方法を採用することができ、例えば、E
VOHの水とアルコールの混合溶液等を凝固液中にスト
ランド状若しくはシート状に押出した後、得られるスト
ランドやシートをカットしてペレット状にすればよい。
かかるペレット状のEVOHの形状としては、円柱状、
球状等のものが好ましく、円柱状の場合は直径が1〜1
0mm、長さが1〜10mmが好ましく、球状の場合は
直径が1〜10mmが好ましい。
【0023】また、かかるEVOHは、直径が0.1〜
10μm程度の細孔が均一に分布したミクロポーラスな
内部構造をもつものが、(C)成分を均一に含有させ得
る点で好ましく、通常EVOHの溶液(水/アルコール
混合溶媒等)を凝固浴中に押し出すときに、EVOH溶
液の濃度(20〜80重量%)、押し出し温度(45〜
70℃)、溶媒の種類(水/アルコール混合重量比=8
0/20〜5/95等)、凝固浴の温度(1〜20
℃)、滞留時間(0.25〜30時間)、凝固浴中での
EVOH量(0.02〜2重量%)などを任意に調節す
ることで、該構造のEVOHを得ることが可能となる。
更には含水率20〜80重量%のものが、上記の化合物
等を均一にかつ迅速に含有させることができて好まし
い。また、(C)成分の含有量の調整にあたっては、特
に限定されないが、前述の水溶液との接触処理におい
て、(C)成分の水溶液濃度、接触処理時間、接触処理
温度、接触処理時の撹拌速度や処理されるEVOHの含
水率等をコントロールすることで可能である。
【0024】かくして(C)成分を含有したペレット状
の含水EVOH組成物が得られるのであるが、通常は、
上記の接触処理後に乾燥が行われる。
【0025】かかる乾燥方法としては、種々の乾燥方法
を採用することが可能である。例えば、実質的にペレッ
ト状等のEVOH組成物が、機械的にもしくは熱風によ
り撹拌分散されながら行われる流動乾燥や、実質的にペ
レット状等のEVOH組成物が、攪拌、分散などの動的
な作用を与えられずに行われる静置乾燥が挙げられ、流
動乾燥を行うための乾燥器としては、円筒・溝型撹拌乾
燥器、円筒乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流
動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等が挙げられ、また、静
置乾燥を行うための乾燥器として、材料静置型としては
回分式箱型乾燥器が、材料移送型としてはバンド乾燥
器、トンネル乾燥器、竪型乾燥器等を挙げることができ
るが、これらに限定されるものではない。流動乾燥と静
置乾燥を組み合わせて行うことも可能である。
【0026】該乾燥処理時に用いられる加熱ガスとして
は空気または不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、ア
ルゴンガス等)が用いられ、該加熱ガスの温度として
は、40〜150℃が、生産性とEVOH組成物の熱劣
化防止の点で好ましい。該乾燥処理の時間としては、E
VOH組成物の含水量やその処理量にもよるが、通常は
15分〜72時間程度が、生産性とEVOH組成物の熱
劣化防止の点で好ましい。
【0027】上記の条件でEVOH組成物が乾燥処理さ
れて、EVOH(A)及び(C)成分からなる組成物
(A+C)が得られるのであるが、該乾燥処理後の組成
物(A+C)の含水率は0.001〜5重量%(更には
0.01〜2重量%、特には0.1〜1重量部)になる
ようにするのが好ましく、該含水率が0.001重量%
未満では、最終的に得られる樹脂組成物(I)のロング
ラン成形性が低下する傾向にあり、逆に5重量%を越え
ると後述の熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)との溶融
混練時に発泡が発生しやすくなり好ましくない。
【0028】かくして得られたEVOH(A)及び
(C)成分からなる組成物(A+C)[(C)成分が含
有された(A)のペレット]に、さらに、熱可塑性ポリ
エステル系樹脂(B)を溶融混練するのであるが、かか
る溶融混練にあたっては、特に限定はなく、該組成物と
該熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)が十分に溶融混練
されればよく、公知の方法を採用することができる。例
えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、
バンバリーミキサー、プラストミル等の公知の混練装置
を用いることができ、通常は150〜300℃(更には
180〜280℃)で、1分〜1時間程度溶融混練する
ことが好ましく、工業的には単軸押出機、二軸押出機等
の押出機を用いることが有利であり、また必要に応じ
て、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置
等を設けることも好ましい。
【0029】特に、水分や副生成物(熱分解低分子量物
等)を除去するために、押出機に1個以上のベント孔を
設けて減圧下に吸引したり、押出機中への酸素の混入を
防ぐために、ホッパー内に窒素等の不活性ガスを連続的
に供給したりすることにより、熱着色や熱劣化が軽減さ
れた品質の優れた樹脂組成物(I)を得ることができ
る。該溶融混練においては、1)固体状の組成物(A+
C)と熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)を一括して混
合して溶融混練する方法、2)溶融状態の組成物(A+
C)に固体状の熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)を投
入して溶融混練する方法、3)溶融状態の熱可塑性ポリ
エステル系樹脂(B)に固体状の組成物(A+C)を投
入して溶融混練する方法、4)溶融状態の組成物(A+
C)と熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)を混合して溶
融混練する方法等を挙げることができる。
【0030】本発明の多層容器は、上記の如き樹脂組成
物(I)を中間層として、その両側に熱可塑性ポリエス
テル系樹脂(II)層が配されてなるものであり、かかる
熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)としては、特に限定
されず、例えば、芳香族ジカルボン酸またはこれらのア
ルキルエステルとグリコールを主成分とする縮合重合体
が挙げられ、代表的にはエチレンテレフタレートを主た
る繰り返し単位とするものが好ましい。さらに、加工
性、強度等を大幅に損なわない範囲で共重合成分を含有
させることも可能で、そのような共重合成分として、酸
成分としては、イソフタル酸、ジフェニル−4,4’−
ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカ
ルボン酸等の芳香族ジカルボン酸およびこれらのエステ
ル形成性誘導体、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸、コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸およびこれらのエ
ステル形成性誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘ
キサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸および
これらのエステル形成性誘導体、p−オキシ安息香酸、
オキシカプロン酸等のオキシ酸およびこれらのエステル
形成性誘導体の他、トリメリット酸、ピロメリット酸等
を挙げることができる。また、グリコール成分として
は、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、
テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等
の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフ
ェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グ
リコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアル
キレングリコールの他、グリセリン、1,3−プロパン
ジオール、ペンタエリスリトール等を挙げることができ
る。
【0031】エチレンテレフタレート単位の含有量は、
75〜100モル%、好ましくは85〜100モル%程
度である。また、好ましい固有粘度(フェノールとテト
ラクロルエタンの50重量%/50重量%の混合溶剤
中、温度30℃にて測定)は、0.5〜1.3dl/g
(更には0.65〜1.2dl/g)である。
【0032】次に、代表的には、エチレンテレナフタレ
ートを主たる繰り返し単位とするものが挙げられる。上
記と同様の共重合成分を含有させることも可能であり、
エチレンテレナフタレートの含有量は、75〜100モ
ル%、好ましくは85〜98モル%程度である。また、
好ましい固有粘度は0.4〜1.2dl/g(更には
0.55〜1.0dl/g)である。
【0033】また、上記エチレンテレフタレート系ポリ
エステル樹脂とエチレンテレナフタレート系樹脂をブレ
ンドして使用することも、ガスバリア性や紫外線遮断
性、溶融成形性が向上する点で好ましく、その場合のブ
レンド比率は、エチレンテレフタレート系ポリエステル
樹脂が5〜90重量%、更には15〜85重量%であ
り、エチレンテレナフタレート系ポリエステル樹脂が9
5〜10重量%、更には85〜15重量%である。
【0034】さらに、諸特性を大幅に損なわない範囲
で、他の熱可塑性樹脂や添加剤を配合することも可能
で、熱可塑性樹脂としては、MXD−6ナイロン、ポリ
カーボネート、ポリアリレート、液晶ポリマー等が挙げ
られる。
【0035】本発明の多層容器は、上記の如くEVOH
(A)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)及びアルカ
リ金属、アルカリ土類金属、ホウ素から選ばれる少なく
とも1種(C)を含有してなる樹脂組成物(I)からな
る中間層とその両側に配された熱可塑性ポリエステル系
樹脂(II)層からなるもので、かかる多層容器の製造法
について説明する。
【0036】本発明の多層容器を製造するに当たって
は、イ)樹脂組成物(I)からなる層の両面に熱可塑性
ポリエステル系樹脂(II)を積層した多層構造体(シー
ト、フィルム、パリソン等)を作製した後に容器に成形
する方法、ロ)樹脂組成物(I)及び熱可塑性ポリエス
テル系樹脂(II)を共射出成形機等に共して直接多層容
器を成形する方法、等を挙げることができる。
【0037】イ)の方法においては、先ず樹脂組成物
(I)層の両面に熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)層
を積層して多層構造体を作製するのであるが、積層方法
としては、例えば、樹脂組成物(I)からなるフィルム
やシートに熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)を溶融押
出する方法、逆に熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)層
に樹脂組成物(I)を溶融押出する方法、樹脂組成物
(I)と熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)とを共押出
する方法、あるいは樹脂組成物(I)と熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂(II)とを共射出する方法、さらには、樹
脂組成物(I)からなるフィルムやシートと熱可塑性ポ
リエステル系樹脂(II)からなるフィルムやシートとを
有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステ
ル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用
いてドライラミネートする方法等が挙げられる。
【0038】次いで、得られた多層構造体を容器に成形
するのであるが、該成形に当たっては加熱延伸処理を施
すことが好ましく、該処理を行うと、高延伸しても、破
断、ピンホール、クラック、偏肉等が生じず、ガスバリ
ア性や透明性にも優れた多層容器を得ることができる。
【0039】ここで加熱延伸成形とは、該多層構造体を
種々のヒーターや熱源等で均一に加熱して、チャック、
プラグ、真空力、圧空力などにより、各種形状に均一に
成形する操作を意味する。
【0040】加熱延伸については、一軸延伸、二軸延伸
のいずれであってもよく、加熱延伸方法としては、ロー
ル延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸
ブロー法、深絞成形法、真空成形法、圧空成形法、真空
圧空成形法等のものが採用できる。二軸延伸の場合は同
時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採
用できる。加熱延伸時の多層構造体の温度は80〜17
0℃、好ましくは100〜160℃程度の範囲から選ば
れる。
【0041】本発明においては、特にブロー成形により
ボトル、タンク、チューブ等の中空容器を得たりするよ
うな、厚物の加熱延伸成形された多層容器において特に
効果的であり、その製造法についても特に限定はされ
ず、ダイレクトブロー成形法、インジェクションブロー
成形法、共射出二軸延伸ブロー成形法等が挙げられ、更
に共射出二軸延伸ブロー成形法については、コールドパ
リソン法とホットパリソン法が挙げられる。またブロー
成形により得られた中空容器をさらに熱処理すること
も、耐衝撃層間剥離性やガスバリア性の向上が認められ
る点で好ましい。熱処理温度は100〜240℃、熱処
理時間は1秒以上である。これらの製造法の中でも、特
に共射出二軸延伸ブロー成形法が生産上最も好適な方法
として挙げられ、以下、かかる方法について更に詳細に
説明をするが、これに限定されるものではない。
【0042】共射出二軸延伸ブロー成形法とは、まず、
少なくとも樹脂組成物(I)層を中間層とし、その両側
に熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)層を配してなる、
多層構造を有するパリソン(容器前駆体、プリフォーム
とも言う)を共射出成形により作成してから、これを加
熱してブロー金型内で一定温度に保ちながら縦方向に機
械的に延伸し、同時あるいは逐次に加圧空気を吹き込ん
で円周方向に膨らませる方式である。
【0043】まず、多層構造を有するパリソンを作製す
るのであるが、通常は、2台の射出シリンダーと多層マ
ニホールドシステムを有する射出成形機を用い、単一の
金型内に、溶融した樹脂組成物(I)および熱可塑性ポ
リエステル系樹脂(II)をそれぞれの射出シリンダーよ
り、多層マニホールドシステムを通して同時あるいは時
間をずらして射出することにより得られる。例えば、先
に両外層用の熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)を射出
し、次いで中間層となる樹脂組成物(I)を射出して、
所定量の樹脂組成物(I)を射出後に更に熱可塑性ポリ
エステル系樹脂(II)の射出を継続することにより、熱
可塑性ポリエステル系樹脂(II)層/樹脂組成物(I)
層/熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)層の3層の構成
からなり、中間の樹脂組成物(I)層が両側の熱可塑性
ポリエステル系樹脂(II)層に完全に封入された有底パ
リソンが得られるのである。
【0044】かかるパリソンの射出成形条件としては、
樹脂組成物(I)の射出成形温度は150〜300℃
(更には160〜270℃、特には170〜230℃)
が好ましく、かかる温度が150℃未満では、樹脂組成
物(I)の溶融が不充分となることがあり、逆に300
℃を越えると、樹脂組成物(I)の熱分解により得られ
る多層容器の外観性が悪化したり臭気が著しくなったり
することがあり好ましくない。一方、熱可塑性ポリエス
テル系樹脂(II)の射出成形温度は230〜350℃
(更には250〜330℃、特には270〜310℃)
が好ましく、かかる温度が230℃未満では、熱可塑性
ポリエステル系樹脂(II)の溶融が不充分となることが
あり、逆に350℃を越えると、熱可塑性ポリエステル
系樹脂(II)の熱分解により得られる多層容器の外観性
が悪化したり臭気が著しくなったりすることがあり好ま
しくない。
【0045】さらに、樹脂組成物(I)及び熱可塑性ポ
リエステル系樹脂(II)が合流する多層マニホールド部
の温度は230〜350℃(更には250〜330℃、
特には270〜310℃)が好ましく、かかる温度が2
30℃未満では、熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)の
溶融が不充分となることがあり、逆に350℃を越える
と、樹脂組成物(I)及び熱可塑性ポリエステル系樹脂
(II)の熱分解により得られる多層容器の外観性が悪化
したり臭気が著しくなったりすることがあり好ましくな
い。また、樹脂組成物(I)及び熱可塑性ポリエステル
系樹脂(II)が流入する金型の温度は0〜80℃(更に
は5〜60℃、特には10〜30℃)が好ましく、かか
る温度が0℃未満では、金型が結露することがあり得ら
れるパリソンや多層容器の外観性が低下し、逆に80℃
を越えると、得られるパリソンのブロー成形性が低下し
たり得られる多層容器の透明性や透視性が低下したりす
ることがあり好ましくない。
【0046】かくして多層構造を有するパリソンが得ら
れるのであるが、次にかかるパリソンを直接そのまま、
あるいは再加熱してブロー金型内で一定温度に保ちなが
ら縦方向に機械的に延伸し、同時あるいは逐次に加圧空
気を吹き込んで円周方向に膨らませることにより、目的
とする多層容器が得られるのである。射出成形されたパ
リソンをすぐに温かい状態のまま再加熱工程に送りブロ
ー成形する方式がホットパリソン法、射出成形されたパ
リソンを室温状態で一定時間保管してから再加熱工程に
送りブロー成形する方式がコールドパリソン法であり、
目的に応じて両者共に採用されうるが、一般的にはコー
ルドパリソン法の方が生産性に優れる点で好ましい。
【0047】パリソンを再加熱するには、赤外線ヒータ
ーやブロックヒーターなどの発熱体を用いて行うことが
できる。加熱されたパリソンの温度は80〜140℃
(更には85〜130℃、特には90〜120℃)が好
ましく、かかる温度が80℃未満では、延伸の均一性が
不充分となり得られる多層容器の形状や厚みが不均一と
なることがあり、逆に140℃を越えると、熱可塑性ポ
リエステル系樹脂(II)の結晶化が促進され得られる多
層容器が白化することがあり好ましくない。
【0048】次いで、再加熱されたパリソンは二軸延伸
されて目的とする多層容器が得られるのである。一般的
には、縦方向に1〜7倍程度、プラグやロッド等により
機械的に延伸されてから、圧空力により横方向に1〜7
倍程度延伸されて、目的とする多層容器が得られるので
ある。かかる縦方向の延伸と横方向の延伸は、同時に行
うこともできるし逐次に行うこともできる。また、縦方
向の延伸時に圧空力を併用することも可能である。
【0049】ロ)の方法においては、共射出成形機等を
用いて、加熱延伸処理することなしに直接カップ、トレ
ー等の多層容器を得ることが出来る。また、イ)と同様
に得られた多層容器をさらに熱処理することも好まし
い。
【0050】かくして本発明の多層容器が得られるわけ
であるが、かかる多層容器の層構成としては、樹脂組成
物(I)からなる層をI、熱可塑性ポリエステル系樹脂
(II)からなる層をIIとするとき、II/I/IIの三層構
造のみならず、II/I/II/I、II/I/II/I/II、II/
I/II/I/II/I、II/I/II/I/II/I/II、等の任意
の組み合わせが可能である。更に、リグラインド層や樹
脂組成物(I)や熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)以
外の熱可塑性樹脂層を設けることも可能であり、かかる
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、直鎖状低密度
ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(L
DPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密
度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(H
DPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、
アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロック又はラ
ンダム)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エ
チレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタ
クリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共
重合体、ポリプロピレン(PP)、プロピレン−α−オ
レフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合
体、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等
のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのブレ
ンド物などの広義のポリオレフィン系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、ポリアミド系樹脂、共重合ポリアミド、ポリ
スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニ
リデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリ
エステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩
素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族およ
び脂肪族ポリケトン、脂肪族ポリアルコール等が挙げら
れる。
【0051】また、本発明の多層容器は、樹脂組成物
(I)層と熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)層との間
に接着性樹脂を使用することなしに、優れた耐衝撃層間
剥離性が得られるものであるが、必要に応じて接着性樹
脂を使用することも可能であり、該接着性樹脂としても
特に限定されず、種々のものを使用することができる
が、一般的には、不飽和カルボン酸またはその無水物を
オレフィン系重合体(前述の広義のポリオレフィン系)
に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて
得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重
合体を挙げることができ、具体的には、無水マレイン酸
グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変
性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレ
ン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラ
フト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、等から選ばれ
た1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げ
られる。このときの、オレフィン系重合体に含有される
不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、0.001〜
1重量%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.
5重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、層間
接着性の向上効果に乏しく、逆に多いと架橋反応を起こ
し、成形性が悪くなることがあり好ましくない。また、
本発明においては、Iに熱可塑性ポリエステル系樹脂(I
I)を、或いはIIに樹脂組成物(I)をブレンドしたり、
IやIIの少なくとも一方に、両層面の密着性を向上させ
る樹脂を配合することも可能である。
【0052】また、多層容器の各層の厚みは、層構成や
容器とした場合の用途によって一概に言えないが、通常
は、樹脂組成物(I)層については1〜100μm(更
には5〜50μm)が好ましく、熱可塑性ポリエステル
系樹脂(II)層については30〜3000μm(更には
50〜1000μm)が好ましく、樹脂組成物(I)層
が1μm未満ではガスバリア性が不足することがあり、
またその厚み制御が不安定となることがあり、逆に10
0μmを越えると耐衝撃性が劣ることがあり、かつ経済
的でなく好ましくなく、また熱可塑性ポリエステル系樹
脂(II)層が30μm未満では剛性が不足することがあ
り、逆に3000μmを越えると重量が大きくなり、か
つ経済的でなく好ましくない。
【0053】かくして本発明の多層容器が得られるので
あるが、各層の樹脂組成物(I)や熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂(II)には、本発明の目的を逸脱しない範囲に
おいて、可塑剤、滑剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸
収剤、酸化防止剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、
抗菌剤、無機フィラーなどの添加剤を配合したり、他樹
脂をブレンドすることも可能である。特にゲル発生防止
剤として、ハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフ
ェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族
カルボン酸の金属塩を添加することもできる。
【0054】さらに、かかる樹脂組成物(I)や熱可塑
性ポリエステル系樹脂(II)には、酸素吸収剤を配合す
ることも、多層容器の外部からの酸素遮断性や内部の残
存酸素除去性が向上する点で好ましい。酸素吸収剤とし
ては、無機系酸素吸収剤として、還元鉄粉類、さらにこ
れに吸水性物質や電解質等を加えたもの、アルミニウム
粉、亜硫酸カリウム、光触媒酸化チタン等が、有機化合
物系酸素吸収剤として、アスコルビン酸またはその脂肪
酸エステルや金属塩等、ハイドロキノン、没食子酸、水
酸基含有フェノールアルデヒド樹脂等の多価フェノール
類、ビス−サリチルアルデヒド−イミンコバルト、テト
ラエチレンペンタミンコバルト、コバルト−シッフ塩基
錯体、ポルフィリン類、大環状ポリアミン錯体、ポリエ
チレンイミン−コバルト錯体等の含窒素化合物と遷移金
属との配位結合体、テルペン化合物、アミノ酸類とヒド
ロキシル基含有還元性物質の反応物、トリフェニルメチ
ル化合物等が、高分子系酸素吸収剤として、窒素含有樹
脂と遷移金属との配位結合体(例:MXDナイロンとコ
バルトの組合せ)、三級水素含有樹脂と遷移金属とのブ
レンド物(例:ポリプロピレンとコバルトの組合せ)、
炭素−炭素不飽和結合含有樹脂と遷移金属とのブレンド
物(例:ポリブタジエンとコバルトの組合せ)、光酸化
崩壊性樹脂(例:ポリケトン)、アントラキノン重合体
(例:ポリビニルアントラキノン)等が挙げられる。さ
らにこれらの配合物に光開始剤(ベンゾフェノン等)や
過酸化物補足剤(市販の酸化防止剤等)や消臭剤(活性
炭等)を添加することも好ましい。
【0055】かくして得られた本発明の多層容器は、一
般的な食品の他、醤油、ソース、ケチャップ、マヨネー
ズ、ドレッシング等の調味料、味噌、食酢等の発酵食
品、サラダ油等の油脂食品、清酒、ビール、みりん、ウ
ィスキー、焼酎、ワイン等の酒類、炭酸飲料、ジュー
ス、スポーツドリンク、牛乳、コーヒー飲料、ウーロン
茶、紅茶、ミネラルウォーター等の清涼飲料水、化粧
品、医薬品、洗剤、香粧品、工業薬品、農薬等各種の容
器として有用であるが、本発明の多層容器は特に、ビー
ル、ワイン、炭酸飲料、ジュース、お茶、牛乳、コーヒ
ー飲料等の飲料や、ソース、ドレッシング等の調味料の
容器、特に共射出二軸延伸ブロー成形されてなるボトル
の用途に有用である。
【0056】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。尚、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断り
のない限り重量基準を示す。
【0057】熱可塑性ポリエステル(B)のガラス転移
温度(Tg)及び結晶融解熱(△Hu)は、示差走査型
熱量計(パーキンエルマー社製、『DSC−7』)を用
いて、昇温速度10℃/分(ガラス転移温度)又は20
℃/分(結晶融解熱)で測定した。また、固有粘度は、
フェノールと四塩化エタンの混合溶媒(50%/50
%)中で25℃で、オストワルド粘度計を用いて測定し
た。また、EVOH組成物や樹脂組成物(I)中のホウ
素含有量の測定については、EVOH組成物や樹脂組成
物(I)をアルカリ溶融してICP発光分光分析法によ
りホウ素を定量することにより行った。更に、アルカリ
金属含有量の測定については、EVOH組成物や樹脂組
成物(I)を灰化後、塩酸水溶液に溶解して原子吸光分
析法によりアルカリ金属を定量することにより、アルカ
リ土類金属含有量の測定については、EVOH組成物や
樹脂組成物(I)を灰化後、ICP発光分光分析法によ
りアルカリ土類金属を定量することにより行った。
【0058】実施例1 EVOH[エチレン含有量34モル%、ケン化度99.
5モル%、MFR20g/10分(210℃、荷重21
60g)、融点181℃](A)の水/メタノール(水
/メタノール=40/60混合重量比)混合溶液(60
℃、EVOH濃度45%)を5℃に維持された水槽にス
トランド状に押し出して凝固させた後、カッターで切断
して多孔性ペレット状(直径4mm、長さ4mm)のE
VOHを得た。次いで、得られた多孔性ペレット状のE
VOHを水洗後、0.3%のホウ酸(C)と0.1%の
酢酸ナトリウム(C)を含有する水溶液に投入し、35
℃で約4時間攪拌して、更に回分式塔型流動層乾燥器に
より75℃で3時間および回分式通気流箱型乾燥器によ
り125℃で18時間乾燥を行って、ホウ酸(C)をホ
ウ素換算で0.030部および酢酸ナトリウム(C)を
ナトリウム換算で0.012部[(C)の合計量は0.
042部]含有したEVOH組成物(ペレット状)を得
た。
【0059】撹拌機、精留塔、窒素導入管及び真空装置
の付いた4つ口の2リットルのフラスコに酸成分(テレ
フタル酸55モル%、アジピン酸25モル%、セバシン
酸25モル%)45部と1,4−ブタンジオール55部
及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.01
5部を仕込み、140〜220℃で4〜5時間反応させ
た後、更に、220℃で2時間反応を行い、最終的に、
固有粘度が1.5dl/gになるまで250℃以下、
0.2mmHgの条件で反応させて、ガラス転移温度
(Tg)−25℃、結晶融解熱(△Hu)13J/gの
熱可塑性ポリエステル(B)を得た。
【0060】次に、上記で得られたEVOH組成物(A
+C)90部と熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)10
部を二軸押出機にて以下の条件で溶融混練して、樹脂組
成物(I)[A/B≒90部/10部、(A+B)10
0部に対する(C)の配合割合は0.038部]ペレッ
トを得た。 [二軸押出機による溶融ペレット化条件] スクリュ内径 30mm(L/D=30) スクリュ形状 圧縮部に100mmのニーディングディスクを有する スクリーンメッシュ 90/90mesh スクリュ回転数 150rpm ベント孔 減圧吸引を実施 ホッパー内 窒素ガスを供給して置換 押出温度 C1:190℃ C2:200℃ C3:210℃ C4:220℃ C5:220℃ AD:210℃ D :210℃
【0061】上記で得られた樹脂組成物(I)ペレット
と熱可塑性ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタ
レート、日本ユニペット社『BK2180』)(II)を
用いて、多層マニホールドシステム(KORTEC社
製)を有する射出成形機(ARBURG社製)にて、熱
可塑性ポリエステル系樹脂(II)層/樹脂組成物(I)
層/熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)の2種3層の多
層パリソン(厚み構成:[内側]2.1/0.15/
2.1[外側]mm、外径:22mm、高さ:110m
m)を共射出成形にて作製した。得られた多層パリソン
を室温で一日保管してから、二軸延伸ブロー成形機(S
IDEL社製)を用いて、赤外線ヒーターにて該多層パ
リソンを回転させながら予備加熱し、続いて縦方向およ
び横方向に逐次二軸延伸ブロー成形して、内容積500
cc(胴部の外径65mm、高さ250mm)の多層ボ
トル(多層容器)を得た。
【0062】その他、主な成形条件は以下の通りであっ
た。 樹脂組成物(I)可塑化温度 :190〜200℃ 熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)可塑化温度:275〜280℃ 多層マニホールドシステム部温度 :275℃ 金型冷却温度 :10℃ 樹脂組成物(I)射出圧力 :87.5MPa 熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)射出圧力 :60MPa 多層パリソン加熱温度 :110℃ ブロー空気圧力 :3.8MPa 得られた多層ボトルのボトル胴部の層厚み構成は、[内
側]熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)/樹脂組成物
(I)/熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)[外側]=
150/15/200(μm)であった。
【0063】該ボトルについて以下の評価を行った。 (外観性)得られた多層ボトルを目視観察して、以下の
通り評価した。但し、透明性は多層ボトル自体の白濁の
程度で評価し、透視性は印字された紙を多層ボトルの胴
部に当てて、反対側から見た文字の歪みの程度で評価し
た。 ○・・・透明性と透視性ともに良好である △・・・透明性は良好であるが透視性が不良である ×・・・透明性と透視性ともに不良である
【0064】(酸素透過度)温度23℃、ボトル内湿度
100%RH、ボトル外湿度50%の条件でのボトル1
個当たりの酸素透過度(cc/day)を酸素透過度測
定装置(MOCON社製『OXTRAN10/50』)
を用いて測定した。
【0065】(耐衝撃層間剥離性)ボトル内に水(約5
00cc)を充填して口部分をキャップで密封して、温
度23℃および5℃下で1mの高さより胴部を水平にし
て鉄製の床面にそれぞれ10回繰り返し落下させたとき
の層間剥離の状況を目視により観察して、以下の通り評
価した。 ◎・・・層間剥離は全く認められなかった ○・・・ごく僅かに層間剥離が認められた △・・・若干層間剥離が認められた ×・・・著しい層間剥離が認められた
【0066】実施例2 実施例1において、エチレン含有量29モル%、ケン化
度99.6モル%、MFR12g/10分(210℃、
荷重2160g)、融点188℃]のEVOH(A)を
用い、かつ酢酸ナトリウム(C)をナトリウム換算で
0.015部および酢酸マグネシウム(C)をマグネシ
ウム換算で0.007部[(C)の合計量は0.022
部]含有するようにEVOH組成物(ペレット状)を作
製し、熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)とのブレンド
比率を、EVOH組成物(A+C)85部、熱可塑性ポ
リエステル系樹脂(B)15部とした以外は同様に行っ
て樹脂組成物(I)[A/B≒85部/15部、(A+
B)100部に対する(C)の配合割合は0.019
部]を得た。得られた樹脂組成物(I)を用いて実施例
1と同様に行って多層容器を得て、同様に評価を行っ
た。
【0067】実施例3 実施例1において、エチレン含有量36モル%、ケン化
度99.6モル%、MFR25g/10分(210℃、
荷重2160g)、融点177℃]のEVOH(A)を
用い、かつホウ酸(C)をホウ素換算で0.020部お
よび酢酸カルシウム(C)をカルシウム換算で0.01
0部[(C)の合計量は0.030部]含有するように
EVOH組成物(ペレット状)を作製し、熱可塑性ポリ
エステル系樹脂(B)とのブレンド比率を、EVOH組
成物(A+C)94部、熱可塑性ポリエステル系樹脂
(B)6部とした以外は同様に行って樹脂組成物(I)
[A/B≒94部/6部、(A+B)100部に対する
(C)の配合割合は0.028部]を得た。得られた樹
脂組成物(I)を用いて実施例1と同様に行って多層容
器を得て、同様に評価を行った。
【0068】実施例4 実施例1において、エチレン含有量34モル%、ケン化
度99.7モル%、MFR12g/10分(210℃、
荷重2160g)、融点181℃]のEVOH(A)を
用い、かつ酢酸ナトリウム(C)をナトリウム換算で
0.012部およびステアリン酸マグネシウム(C)を
マグネシウム換算で0.002部[(C)の合計量は
0.014部]含有するようにEVOH組成物(ペレッ
ト状)を作製し、熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)の
ブレンド比率を、EVOH組成物(A+C)92部、熱
可塑性ポリエステル系樹脂(B)8部とした以外は同様
に行って樹脂組成物(I)[A/B≒92部/8部、
(A+B)100部に対する(C)の配合割合は0.0
13部]を得た。得られた樹脂組成物(I)を用いて実
施例1と同様に行って多層容器を得て、同様に評価を行
った。
【0069】実施例5 酸成分(テレフタル酸40モル%、アジピン酸60モル
%)40部と1,4ブタンジオール60部を用いて、実
施例1と同様に熱可塑性ポリエステルの製造を行って、
Tg−30℃、△Hu17J/g、固有粘度1.0dl
/gの熱可塑性ポリエステル(B)を得た。上記で得ら
れた熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)を用いた以外は
実施例1と同様に行って、樹脂組成物(I)[A/B≒
90部/10部、(A+B)100部に対する(C)の
配合割合は0.038部]を得た。得られた樹脂組成物
(I)を用いて実施例1と同様に行って多層容器を得
て、同様に評価を行った。
【0070】実施例6 酸成分(テレフタル酸60モル%、アジピン酸30モル
%、セバシン酸10モル%)45部と1,4ブタンジオ
ール55部を用いて、実施例1と同様に熱可塑性ポリエ
ステルの製造を行って、Tg−25℃、△Hu20J/
g、固有粘度;0.7dl/gの熱可塑性ポリエステル
(B)を得た。上記で得られた熱可塑性ポリエステル系
樹脂(B)を用いた以外は実施例2と同様に行って、樹
脂組成物(I)[A/B≒85部/15部、(A+B)
100部に対する(C)の配合割合は0.019部]を
得た。得られた樹脂組成物(I)を用いて実施例1と同
様に行って多層容器を得て、同様に評価を行った。
【0071】実施例7 酸成分(テレフタル酸60モル%、セバシン酸40モル
%)45部とグリコール成分(1,4ブタンジオール4
0モル%、分子量100000のポリテトラメチレング
リコール60モル%)55部を用いて、実施例1と同様
に熱可塑性ポリエステルの製造を行って、Tg−60
℃、△Hu20J/g、固有粘度1.6dl/gの熱可
塑性ポリエステル(B)を得た。上記で得られた熱可塑
性ポリエステル系樹脂(B)を用いた以外は実施例3と
同様に行って、樹脂組成物(I)[A/B≒94部/6
部、(A+B)100部に対する(C)の配合割合は
0.028部]を得た。得られた樹脂組成物(I)を用
いて実施例1と同様に行って多層容器を得て、同様に評
価した。
【0072】比較例1 実施例1において、樹脂組成物(I)に熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂(B)を含有させなかった以外は同様に樹
脂組成物(A+C)を得て、同様に多層容器を得て、同
様に評価を行った。
【0073】比較例2 実施例1において、樹脂組成物(I)にホウ酸(C)及
び酢酸ナトリウム(C)を含有させなかった以外は同様
に樹脂組成物(A+B)を得て、同様に多層容器を得
て、同様に評価を行った。
【0074】実施例及び比較例の評価結果を表1にまと
めて示す。 〔表1〕 外観性 酸素透過度* 耐衝撃層間剥離性 23℃ 5℃ 実施例1 ○ 0.020 ◎ ◎ 〃 2 ○ 0.019 ◎ ◎ 〃 3 ○ 0.023 ◎ ◎ 〃 4 ○ 0.019 ◎ ◎ 〃 5 ○ 0.020 ◎ ◎ 〃 6 ○ 0.019 ◎ ◎ 〃 7 ○ 0.023 ◎ ◎ 比較例1 × 0.050 △ × 〃 2 △ 0.026 ○ × *単位はcc/day・atm(多層ボトル1個当たり)
【0075】
【発明の効果】本発明の多層容器は、特定の樹脂組成物
を中間層とし、その両側に熱可塑性ポリエステル系樹脂
の層を用いているため、耐衝撃層間剥離性、透明性や透
視性等の外観、ガスバリア性等に優れ、食品や酒類、飲
料、化粧品、医薬品、洗剤、香粧品、農薬品、工業薬品
用の容器に非常に有用で、特にビール、ワイン、炭酸飲
料、ジュース、お茶、牛乳、コーヒー飲料等の飲料や、
ソース、ドレッシング等の調味料の容器、特に共射出二
軸延伸ブロー成形されてなるボトルの用途に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 1/09 B65D 65/40 D 65/40 BRJD BRJ BSFD BSF BSMD BSM BSQD BSQ C08K 3/08 C08K 3/08 C08L 29/04 S C08L 29/04 67/00 67/00 B29K 29:00 // B29K 29:00 67:00 67:00 B29L 9:00 B29L 9:00 22:00 22:00 B65D 1/00 B Fターム(参考) 3E033 BA14 BA17 BB08 CA01 CA03 CA16 FA02 FA03 3E086 AA22 AD04 BA04 BA15 BA33 BB03 BB05 BB15 BB22 BB42 BB51 BB74 BB85 CA11 4F100 AK41A AK41B AK41C AK42 AK69A AL05A BA03 BA06 BA10B CA23A CA23H DA01 EH20 EJ38 GB16 JA05A JA12A JD02 JL11 JN01 YY00A 4F208 AA19K AA24 AA24K LA04 LB01 LB21 LG28 4J002 BE03W CF03X CF05X CF06X DA006 DA116 DH046 DK006 EG026 EG036 EG046 GG01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
    (A)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)及びアルカ
    リ金属、アルカリ土類金属、ホウ素から選ばれる少なく
    とも1種(C)を含有してなる樹脂組成物(I)を中間
    層とし、その両側に熱可塑性ポリエステル系樹脂(II)
    層を配してなることを特徴とする多層容器。
  2. 【請求項2】 樹脂組成物(I)中のエチレン−酢酸ビ
    ニル共重合体ケン化物(A)及び熱可塑性ポリエステル
    系樹脂(B)の含有重量比(A/B)が50/50〜9
    9/1であることを特徴とする請求項1記載の多層容
    器。
  3. 【請求項3】 樹脂組成物(I)中のアルカリ金属、ア
    ルカリ土類金属、ホウ素から選ばれる少なくとも1種
    (C)の含有量がエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
    物(A)及び熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)の合計
    量100重量部に対して0.001〜1重量部であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の多層容器。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)のガ
    ラス転移温度(Tg)が−150〜25℃、結晶融解熱
    (△Hu)が30J/g以下であることを特徴とする請
    求項1〜3いずれか記載の多層容器。
  5. 【請求項5】 共射出二軸延伸ブロー成形されてなるこ
    とを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の多層容器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014512413A (ja) * 2011-03-15 2014-05-22 日本合成化学工業株式会社 樹脂組成物およびその成形品
WO2019103069A1 (ja) * 2017-11-22 2019-05-31 株式会社クラレ 樹脂組成物、分散媒、樹脂組成物の製造方法、積層体及び包装体

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JP2014512413A (ja) * 2011-03-15 2014-05-22 日本合成化学工業株式会社 樹脂組成物およびその成形品
WO2019103069A1 (ja) * 2017-11-22 2019-05-31 株式会社クラレ 樹脂組成物、分散媒、樹脂組成物の製造方法、積層体及び包装体

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